説明

半導体装置、及び半導体装置の製造方法

【課題】リッド(LID:蓋材)と配線基板との接着強度を高める。
【解決手段】半導体装置は、配線基板と、この配線基板に貼り付けられたリッドを備える。このリッドには、注入口部が設けられている。このリッドの内側には、この注入口部から樹脂が注入されている。このリッドと配線基板とは、注入された樹脂により固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、特に配線基板に貼り付けられたリッド(LID:蓋材)を有する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、FCBGA(Flip Chip Ball Grid Array)タイプの半導体パッケージでは、配線基板上に搭載された半導体チップをリッドと呼ばれるカバーで覆い、半導体チップとリッドとを放熱ペースト等を介して接触させることにより放熱板として機能させるものが知られている。
【0003】
図1は特開2000−311960号公報(特許文献1)に開示された半導体パッケージの断面図を示している。この半導体パッケージでは、半導体チップ20はリッド(LID:蓋材)30と呼ばれるカバーにより覆われている。また、リッド30は縁の部分(リッドの縁:配線基板と接する外枠部分)のみで配線基板10と接着している。リッド30を放熱板として機能させるため、アンダーフィル(UF)樹脂21の硬化後、半導体チップ20の裏面に放熱ペースト22を塗布する。リッド30は、次のようにして配線基板10に接着される。配線基板10上に線状に接着剤(リッド接着樹脂)23を塗布し、接着剤23を塗布した部分にリッドの縁を接着させ、リッド30を貼り付け、接着剤23を硬化(キュア)する。
【0004】
なお、関連する技術として、特開2001−110926号公報(特許文献2)に、半導体チップに形成したバンプ及び半導体チップに加わる応力を低減し、配線基板とリッドの平坦性向上を目的としたフリップチップパッケージが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−311960号公報
【特許文献2】特開2001−110926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の従来技術では、リッド30と配線基板10とを接着するために、リッド30の縁の部分を利用していた。つまり、リッド30の縁の部分と配線基板とのみを接着剤23を用いて接続する構造を用いていた。発明者の考察によれば、リッド30と配線基板10との間に良好な接着強度を得るためには、リッド30の縁の部分をある程度以上の大きさにせざるを得ず、半導体パッケージを小型化する上で障壁になっていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の半導体装置は、半導体チップが搭載された配線基板と、配線基板上で半導体チップを覆い、樹脂を注入するための注入口部を有するリッドと、リッドの内側で、配線基板とリッドとを接着しているギャップ充填樹脂とを具備する。
【0008】
本発明の半導体装置の製造方法は、樹脂を注入するための注入口部を有し、半導体チップが搭載された配線基板上で半導体チップを覆うリッドを配置する工程と、注入口部にディスペンサを挿入し、ディスペンサで注入口部からリッドの内側にギャップ充填樹脂を注入する工程と、ギャップ充填樹脂を熱硬化する工程とを含む。
【0009】
本発明によれば、リッドの内側に配線基板とリッドとを接着固定するギャップ充填樹脂が充填されているため、リッドの内側で、リッドと配線基板とを接着固定することができる。
【発明の効果】
【0010】
リッドと配線基板との接着強度を保ちながら、半導体パッケージを小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】従来のFCBGAタイプの半導体パッケージの構成例を示す図である。
【図2】本発明における半導体装置の構成例を示す図である。
【図3A】リッドにおける注入口部の配置の第1の例を示す図である。
【図3B】リッドにおける注入口部の配置の第2の例を示す図である。
【図3C】リッドにおける注入口部の配置の第3の例を示す図である。
【図4】比較例における製造工程のフローを示す図である。
【図5】本発明における製造工程のフローを示す図である。
【図6A】リッドの固定方法の第1の例を示す図である。
【図6B】リッドの固定方法の第2の例を示す図である。
【図6C】リッドの固定方法の第3の例を示す図である。
【図6D】リッドの固定方法の第4の例を示す図である。
【図7】本発明における半導体装置の他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
図2に示すように、本発明における半導体装置は、配線基板10と、半導体チップ20と、リッド(LID:蓋材)30を備える。
【0013】
本発明における半導体装置の例として、FCBGA(Flip Chip Ball Grid Array)タイプの半導体パッケージを想定している。但し、実際には、本発明における半導体パッケージは、類似のパッケージでも良く、FCBGAに限定されない。また、本発明における半導体装置は、半導体パッケージ自体に限らず、当該半導体パッケージを備えた電子機器やその他の装置でも良い。
【0014】
配線基板10は、半導体チップ20を実装するための多層配線基板である。ここでは、配線基板10は、パッケージ基板とする。
【0015】
半導体チップ20は、配線基板10に搭載されている。ここでは、半導体チップ20と配線基板10は、はんだボール(バンプ)11で電気的に接続されている。このはんだボール11は、アンダーフィル(UF)樹脂21で封止されている。また、半導体チップ20の裏面(図2では上面)には、放熱ペースト22が塗布されている。なお、はんだボール11、アンダーフィル(UF)樹脂21、及び放熱ペースト22は、本発明の特徴部分ではないため、必須ではない。例えば、はんだボール11の代わりに、金や銀などの金属を添加した接着剤、或いは銀ペーストなどを使用する事例も考えられる。また、放熱ペースト22は、放熱シートでも良い。
【0016】
リッド30は、半導体チップ20を覆う形で、配線基板10に貼り付けられている。リッド30には、注入口部31が設けられている。注入口部31は、リッド30を貫通した穴である。図2の例では、リッド30の絞り部分(側壁)に、注入口部31が設けられている。
【0017】
このとき、注入口部31は、図3Aに示すように、リッド30の絞り部分(側壁)に沿って細長く開口された穴でも良いし、図3Bに示すように、リッド30の絞り部分(側壁)に沿って小さな穴が一定間隔で並んでいるものでも良い。また、注入口部31は、リッド30の絞り部分に限らず、図3Cに示すように、リッド30の天板の部分(頂部壁)に設けられていても良い。また、図3Aや図3Bのようにリッド30の側壁に注入口部31が形成された上で、更に図3Cのようにリッド30の天板の部分にも注入口部31が設けられていても良い。この場合、図3Aや図3Bと、図3Cを組み合わせた形となる。
【0018】
この注入口部31から、リッド30の内側のギャップ部分(何も配置されていない空間)にギャップ充填樹脂(Gap樹脂)40が注入されている。リッド30の内側とは、リッド30で覆われた領域であり、半導体チップ20が配置されている領域である。
【0019】
図2の例では、ギャップ充填樹脂40は、リッド30の内側で、注入口部31の高さ以下で充填されている。実際には、ギャップ充填樹脂40は、リッド30の内側で、リッド30の天板の部分まで充填されていても良い。
【0020】
また、ギャップ充填樹脂40は、図2のように、アンダーフィル(UF)樹脂21に接するように設けても良い。この場合、リッド30で囲まれる配線基板10の表面は、アンダーフィル(UF)樹脂21及びギャップ充填樹脂40で覆われることになり、配線基板が反るのを抑制することができる。この効果は特にギャップ充填樹脂40が、アンダーフィル(UF)樹脂21と同じ材料の場合に顕著である。
【0021】
また、図示していないが、ギャップ充填樹脂40は、半導体チップ20及びアンダーフィル(UF)樹脂21に接することなく、リッド30の内側で、配線基板10とリッド30の絞り部分のみに接するように充填されていても良い。この場合におけるギャップ充填樹脂40の充填方法として、リッド30の内側で、配線基板10とリッド30の絞り部分との間にギャップ充填樹脂40を集中的に少量だけ注入し充填する方法や、アンダーフィル(UF)樹脂21とリッド30の縁の部分との間に段差や突起又は仕切りを設け、設けられた段差や突起又は仕切りとリッド30の縁の部分との間にギャップ充填樹脂40を充填する方法が考えられる。なお、段差や突起又は仕切りは、配線基板10やリッド30を変形したものでも良いし、樹脂やはんだ等で生成したものでも良い。但し、実際には、これらの例に限定されない。
【0022】
ギャップ充填樹脂40がアンダーフィル(UF)樹脂21に接しないようにすることによる効果について、以下に説明する。アンダーフィル(UF)樹脂21のフィレット(側面)の形状、特に側面の傾きは基板の反りとの関係から最適化されている場合がある。その場合に、ギャップ充填樹脂40がアンダーフィル(UF)樹脂21のフィレットに接触すると、応力分布が意図しない方向に変化してしまい、アンダーフィル(UF)樹脂21による配線基板10の反り抑制効果が低下してしまうことがある。このような場合には、ギャップ充填樹脂40がアンダーフィル樹脂21と接しないようにすることで、アンダーフィル(UF)樹脂21による配線基板10の反りを抑制するという効果に悪影響を与えずに、リッド30と配線基板10とを接着することができるという効果が得られる。
【0023】
ここでは、注入口部31でのギャップ充填樹脂40の注入は、ジェットディスペンサ又はニードルディスペンサ等のディスペンサ(図示略)で行われるものとする。ディスペンサの先端は、円形であると好適である。
【0024】
なお、ギャップ充填樹脂40を熱硬化する際は、配線基板10とリッド30の両方に接する部分が熱硬化すれば良いため、リッド30の絞り部分(側壁)のみ加熱し、半導体チップ20まで熱が伝わらないようにしても良い。また、半導体チップ20は、ギャップ充填樹脂40の熱硬化の際の加熱の影響を受けないように、断熱素材によるコーティング等で防護又は隔離されていても良い。
【0025】
次に、図4、図5を参照して、本発明の比較例と本発明との製造工程のフローを比較する。これらの製造工程は、FCBGAタイプの半導体パッケージの製造装置により行われるものとする。なお、アンダーフィル(UF)樹脂を注入するまでの工程は、共通の工程であり、比較例と本発明との差異がないため、説明を省略する。
【0026】
図4に、比較例における製造工程のフローを示す。
【0027】
(1)ステップS101
アンダーフィル(UF)樹脂21を注入し、アンダーフィル(UF)樹脂21の硬化(キュア)を行う。
【0028】
(2)ステップS102
半導体チップ20の裏面に放熱ペーストを塗布した後、配線基板10上に線状に接着剤(リッド接着樹脂)23を塗布し、接着剤23を塗布した部分にリッドの縁を接着させ、リッド30を貼り付け、放熱ペースト22及び接着剤23の硬化(キュア)を行う。
【0029】
(3)ステップS103
次に、形成されたFCBGAタイプの半導体パッケージの裏面(配線基板10の半導体チップ20搭載面とは反対側の面)の電極(図示略)にはんだボール11を搭載し、半導体パッケージを加熱(リフロー)してはんだボール11を溶融させて、電極(図示略)と接合する。その後、洗浄乾燥を行う。
【0030】
図5に、本発明における製造工程のフローを示す。
【0031】
(1)ステップS201
アンダーフィル(UF)樹脂21を注入し、アンダーフィル(UF)樹脂21の硬化(キュア)を行う。この工程は、図4に示すステップS101と同じである。
【0032】
(2)ステップS202
アンダーフィル(UF)樹脂21の硬化後、半導体チップ20の裏面に放熱ペースト22を塗布し、半導体チップ20にリッド30をかぶせて、配線基板10上にリッド30を配置する。その後、放熱ペースト22の硬化(キュア)を行う。ここで、FCBGA用のリッド30に、予め樹脂注入用の注入口部31が設けられているものとする。
【0033】
(3)ステップS203
配線基板10上にリッド30を配置した後、リッド30に設けられた注入口部31にニードルディスペンサ(図示略)を挿入し、このニードルディスペンサで、注入口部31から、リッド30の内側のギャップ部分にギャップ充填樹脂40を注入し、ギャップ充填樹脂40の硬化(キュア)を行う。なお、ギャップ充填樹脂40の材料は、接着剤23と同じリッド接着樹脂と同じでも良い。また、ギャップ充填樹脂40の材料は、アンダーフィル(UF)樹脂21と同じにすることも可能である。
【0034】
(4)ステップS204
ギャップ充填樹脂40の硬化後、形成されたFCBGAタイプの半導体パッケージの裏面(配線基板10の半導体チップ20搭載面とは反対側の面)の電極(図示略)にはんだボール11を搭載し、半導体パッケージを加熱(リフロー)してはんだボール11を溶融させて、電極(図示略)と接合する。その後、洗浄乾燥を行う。この工程は、図4に示すステップS103と同じである。
【0035】
上記のステップS202において、配線基板10上にリッド30を配置するとき、放熱ペースト22によりある程度はリッド30が仮固定されるが、更に一時的に配線基板10上でリッド30が動かないようにすると好適である。
【0036】
このとき、リッド30の縁の部分を一時的に固定するため、図1に示す従来のFCBGAと同じように、配線基板10上に線状に接着剤(リッド接着樹脂)23を塗布し、配線基板10とリッド30の縁の部分とを貼り付けて接着剤23を熱硬化するようにしても良い。但し、接着剤23は、ギャップ充填樹脂40で配線基板10とリッド30を完全に接着するまでの間、リッド30が配線基板10上で動かないように一時的に固定(仮止め)する程度の量であれば良い。すなわち、配線基板10とリッド30を完全に接着するほどの量の接着剤23は不要である。従って、この場合の本発明におけるリッド30の縁の部分や接着剤23の占める領域は、図1に示す従来のFCBGAにおけるリッドの縁や接着剤23の占める領域よりも小さくて済む。
【0037】
他にも、リッド30の固定方法として、配線基板10側に、リッド30の縁の部分を一時的に固定するための陥没部分や突起部分、段差部分を設ける方法が考えられる。
【0038】
例えば、図6Aでは、配線基板10側に、リッド30の縁の部分を一時的に固定するための陥没部分を設け、この陥没部分で配線基板10とリッド30が嵌合している。図6Bでは、配線基板10側に凹部、リッド30側に凸部(又はその逆)を設け、配線基板10とリッド30が嵌合している。図6Cでは、リッド30の縁の部分の外側に、突起部分又は段差部分を設け、この突起部分又は段差部分で、リッド30の縁の部分を一時的に固定している。図6Dでは、リッド30の縁の部分の内側に、突起部分又は段差部分を設け、この突起部分又は段差部分で、リッド30の縁の部分を一時的に固定している。これらの陥没部分や突起部分、段差部分は、配線基板10自体を変形したものでも良いし、樹脂やはんだ等で生成したものでも良い。
【0039】
更に、製造工程自体を工夫し、リッド30の縁の部分の固定を不要とする方法も考えられる。
【0040】
例えば、リッド30に設けられた注入口部31にニードルディスペンサを挿入した状態で、配線基板10上にリッド30を配置し、そのまま、このニードルディスペンサで、注入口部31から、リッド30の内側のギャップ部分にギャップ充填樹脂40を注入する。
【0041】
或いは、配線基板10上にリッド30を仮置きして、リッド30に設けられた注入口部31にニードルディスペンサを挿入する際に、このニードルディスペンサで、リッド30の位置決めと固定を行うようにしても良い。この場合、ニードルディスペンサでリッド30を固定した状態で、注入口部31から、リッド30の内側のギャップ部分にギャップ充填樹脂40を注入する。
【0042】
その後、注入口部31からこのニードルディスペンサを外し、続けてギャップ充填樹脂40を熱硬化する。
【0043】
このように製造工程自体を工夫すれば、樹脂や構造等でリッド30の縁の部分を一時的に固定する必要がなくなる。
【0044】
なお、リッド30自体に十分な重みや摩擦があり、ギャップ充填樹脂40を注入する際に配線基板10上でリッド30が容易に動かない場合、リッド30を一時的に固定するための工夫は特に必要ない。
【0045】
ここで、リッド30に、予め樹脂注入用の注入口部31が設けられていない場合、配線基板10上にリッド30を配置した後に、注入口部31を設ける工程を追加することが考えられる。この場合、注入口部31を設ける際に発生する粉塵や破片が、リッド30の内側にある配線基板10や半導体チップ20に影響を与えないように注意する必要がある。対策としては、リッド30の一部を溶解して注入口部31を設ける方法や、リッド30の一部をくり抜いてその部分の破片を外側で吸着して回収し注入口部31を設ける方法等が考えられる。但し、実際には、これらの方法に限定されない。
【0046】
本実施形態では、配線基板10上にリッド30を配置した後、リッド30に設けられた注入口部31から、リッド30の内側にギャップ充填樹脂40を注入し、このギャップ充填樹脂40を熱硬化する。リッド30の内側に充填されたギャップ充填樹脂40により、配線基板10とリッド30との接着強度を高めることができる。配線基板10とリッド30との接着強度が高まるため、配線基板10とリッド30の縁の部分とを接着するための接着剤23が必須ではなくなり、リッド30の縁の部分の面積を小さくすることができる。従って、半導体パッケージ全体のサイズを小さくすることができる。
【0047】
或いは、リッド30の縁の部分の面積を小さくした分、リッド30の内側を占める領域のサイズを大きくすることができる。そのため、従来と同じパッケージサイズでも、半導体チップ20を配置できる領域のサイズを大きくすることができる。これに伴い、半導体チップサイズを大きくすることや、同一パッケージ内に複数の半導体チップ20を搭載する際に搭載できる半導体チップ20の数を増やすことができる。
【0048】
また、リッド30の内側のギャップ部分をギャップ充填樹脂40で固めてしまうため、温度サイクル時の配線基板10の反り変動を低減することができる。そのため、完成後の半導体パッケージの信頼性が向上する。
【0049】
また、本発明では、配線基板10の反りを抑制しているため、はんだボール11に応力がかかり、はんだボール11を介した電気的接続が切断されてしまうという不良が発生するのを抑制することができる。
【0050】
更に、リッド30上の注入口部31を開ける位置を工夫することにより、リッド30の内側に空気が流れ、空気の対流が発生し、放熱性が向上する。
【0051】
ここでは、半導体チップオンパッケージを例に説明しているが、実際には、パッケージオンパッケージに対しても、本発明を適用することができる。この場合、本発明における半導体チップ20を、パッケージと読み替える。或いは、本発明における半導体チップ20を上部パッケージと読み替え、配線基板10を下部パッケージと読み替えるようにしても良い。
【0052】
以上のように、本発明では、FCBGA(Flip Chip Ball Grid Array)等の半導体パッケージにおいて、リッドに注入口部を設け、この注入口部からリッドの内側に注入された樹脂により、リッドと配線基板との接着強度を高めることを可能にしている点を特徴とする。すなわち、本発明では、FCBGA用パッケージのリッドを、配線基板に対して十分な強度を持って固定することができる。
【0053】
従来のFCBGAタイプの半導体パッケージに関する技術では、図1に示すように、リッドの縁の部分で配線基板と接着することが必須又は重要であるが、本発明では、リッドの縁の部分で配線基板と接着しなくても良い。
【0054】
また、本発明では、半導体パッケージにおいて、リッドに設けられた注入口部が開口部としての役割を果たし、この注入口部からの空気の出入りにより、放熱性を向上することができる。更に、リッドと配線基板とが強力に接着されているため、熱サイクル(温度変化)があった場合にも、パッケージ(特に配線基板)が反る事態を防ぐことができる。また、パッケージ内部の接着剤からのアウターガスを排出することもできる。
【0055】
以上、図2から図6を用いて本発明の構成例及び製法を示してきたが、本発明の他の半導体装置の構成例の一例を図7に示す。図7において、図2の発明と異なる点は、リッドの縁が存在する点である。その他の点は図2と同じである。本構成例では、リッドの縁が存在するため、小型化することはできないが、図1の従来技術と比較し、リッド30と配線基板10とは、接着剤23のほかギャップ充填樹脂40でも接着されるため、接着面積を広くでき、接着強度を高めることができる。接着面積が広くなるため、配線基板10が反るのをリッド30により抑制することができる。配線基板10の反りを抑制できるため、BGA(Ball Grid Array)タイプの半導体パッケージを配線基板に搭載時にはんだ付け不良(はんだバンプの電気的接続不良)が発生するのを抑制することができる。
【0056】
以上、本発明の実施形態を詳述してきたが、実際には、上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の変更があっても本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
10… 配線基板
11… はんだボール(バンプ)
20… 半導体チップ
21… アンダーフィル(UF)樹脂
22… 放熱ペースト
23… 接着剤(リッド接着樹脂)
30… リッド(LID:蓋材)
31… 注入口部
40… ギャップ充填樹脂(Gap樹脂)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップが搭載された配線基板と、
前記配線基板上で前記半導体チップを覆い、樹脂を注入するための注入口部を有するリッドと、
前記リッドの内側で、前記配線基板と前記リッドとを接着しているギャップ充填樹脂と
を具備する
半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置であって、
前記注入口部は、前記リッドの絞り部分(側壁)に設けられている
半導体装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の半導体装置であって、
前記注入口部は、前記リッドの天板の部分(頂部壁)に設けられている
半導体装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の半導体装置であって、
前記ギャップ充填樹脂は、前記リッドの内側で、前記配線基板と前記リッドの絞り部分(側壁)と前記アンダーフィル樹脂とに接した状態で充填され、前記配線基板と前記リッドとを接着している
半導体装置。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の半導体装置であって、
前記ギャップ充填樹脂は、前記リッドの内側で、前記配線基板及び前記リッドの絞り部分(側壁)に接した状態で充填されており、前記半導体チップ及びアンダーフィル(UF)樹脂に接していない状態で、前記配線基板と前記リッドとを接着している
半導体装置。
【請求項6】
樹脂を注入するための注入口部を有し、半導体チップが搭載された配線基板上で前記半導体チップを覆うリッドを配置する工程と、
前記注入口部にディスペンサを挿入し、前記ディスペンサで前記注入口部から前記リッドの内側にギャップ充填樹脂を注入する工程と、
前記ギャップ充填樹脂を熱硬化する工程と
を含む
半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記配線基板上に、陥没部分、突起部分、及び段差部分のうち少なくとも1つを設け、前記リッドを配置してから前記ギャップ充填樹脂を注入するまでの間、前記リッドを一時的に固定する工程
を更に含む
半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項6に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記リッドの内側にギャップ充填樹脂を注入する際、前記ディスペンサで前記リッドを固定する工程
を更に含む
半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項6乃至8のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記リッドの内側で、前記ギャップ充填樹脂が前記半導体チップ及びアンダーフィル(UF)樹脂に接することを回避し、前記配線基板と前記リッドの絞り部分(側壁)との間に前記ギャップ充填樹脂を充填する工程
を更に含む
半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項6乃至9のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記配線基板上に前記リッドを配置した後、前記リッドに前記注入口部を設ける工程
を更に含む
半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−146415(P2011−146415A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−3701(P2010−3701)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】