説明

半導体装置およびその製造方法、圧電発振器

【課題】半導体基板と該半導体基板上に積層される各種層との密着性を向上させることに
より、信頼性を高めた半導体装置とその製造方法、および圧電発振器を提供する。
【解決手段】本発明の半導体装置100は、貫通電極161aを有する半導体基板110
と、半導体基板110の能動面110aとは反対側の裏面110bに形成された下地絶縁
層164と、下地絶縁層164の半導体基板110とは反対側の面に形成され、貫通電極
161aに接続された配線層150と、を有し、半導体基板110の裏面110bに、凹
凸面110Aと平滑面110Bとが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法、圧電発振器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話等の携帯機器の小型化、薄型化が進められており、携帯機器に搭載され
る圧電発振器にも小型化が求められている。圧電発振器は、例えば水晶振動片等の圧電振
動片を含む振動子と、振動子を駆動する集積回路等を有するICチップとを備えている。
圧電発振器を小型化するために、配線基板を兼ねたICチップと振動子とを実装基板に重
ねて実装する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
配線を兼ねたICチップは、シリコン等の半導体基板の片面に集積回路等とその外部接
続端子が形成されたものであり、その裏面には振動子と接続用の裏面電極が形成されてい
る。また、半導体基板を貫通する貫通電極が形成されており、これを介して裏面電極は集
積回路と電気的に接続されている。裏面電極と半導体基板の間には、これらが導通しない
ようにシリコン酸化物やシリコン窒化物等からなる絶縁性の薄膜が設けられている。この
ような構成により、外部接続端子側を実装基板に接続するとともに、裏面電極に振動子を
接続することが可能になっている。
【特許文献1】特開2006−60281号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている技術を用いれば、ICチップの面積程度の圧電発振器とす
ることができ、圧電発振器の小型化を図ることができる。また、ICチップと振動子との
間に配線基板が不要となるので、圧電発振器の薄型化を図ることができる。このような圧
電発振器では、製造時において半導体ウェハの平滑面とされた表面上に絶縁層や樹脂層な
どを形成していた。
【0005】
しかし、特許文献1のICチップでは、絶縁層や樹脂層が剥離しやすいという問題があ
った。これは、半導体基板を裏面側から研削することでその板厚を調整し、その後ドライ
ポリッシュなどにより平滑処理を施して、裏面側の破砕層を除去していたためである。こ
のように、裏面側が平滑面となるために、裏面上に形成される絶縁層や樹脂層などの半導
体基板に対する密着性が弱くなっていた。このため、シリコンウェハを個片化後、半導体
基板の端部に発生したチッピング(欠け、ヒビ)が起点となって、半導体基板から絶縁層
や樹脂層が剥がれてしまうことがあった。
【0006】
本発明は、前記事情に鑑み成されたものであって、半導体基板と該半導体基板上に積層
される各種層との密着性を向上させることにより、信頼性を高めた半導体装置とその製造
方法、および圧電発振器を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の半導体装置は、上記課題を解決するために、貫通電極を有する半導体基板と、
前記半導体基板の能動面とは反対側の裏面に形成された絶縁層と、前記絶縁層の前記半導
体基板上に形成され、前記貫通電極に接続された配線層と、を有し、前記半導体基板の前
記裏面は、凹凸面が形成された領域と平滑面が形成された領域とを有していることを特徴
とする。
【0008】
本発明では、半導体基板の裏面(能動面とは反対側の面)に、凹凸面が形成された領域
と平滑面が形成された領域とが存在しており、このうち凹凸面によって裏面上に積層され
る絶縁層の密着性が向上する。つまり、凹凸面を設けることによって裏面の表面積が増え
るので、絶縁層との密着性が高められるという効果がある。これにより、半導体基板から
絶縁層が剥がれてしまうという不具合が防止されて、信頼性の高い半導体装置となる。
【0009】
また、前記平滑面が、半導体基板の周縁部に設けられていることが好ましい。
本発明によれば、平滑面が半導体装置の周縁部に設けられているので、ダイシング後に
半導体基板の端部にチッピングおよびクラックが生じるのが防止されたものとなる。これ
により、半導体基板から絶縁層が剥がれてしまうという不具合が防止されて、信頼性の高
い半導体装置となる。
【0010】
また、前記平滑面が、前記貫通電極の周辺に設けられていることが好ましい。
本発明によれば、平滑面が貫通電極の周辺に設けられているので、貫通電極の周辺にか
かる熱ストレスなどによる影響をなくすことができる。
【0011】
また、前記半導体基板の厚みが、前記凹凸面が形成された領域と、前記平滑面が形成さ
れた領域とで異なっていることが好ましい。
製造方法の詳細については後述するが、本発明では、半導体基板に対して凹凸面および
平滑面のどちらを先に形成するかによって、半導体基板の厚みが、凹凸面が形成された領
域と平滑面が形成された領域とで異なることになる。
【0012】
また、前記半導体基板の厚みは、前記凹凸面が形成された領域よりも前記平滑面が形成
された領域の方が薄くなっていることが好ましい。
本発明によれば、例えば、凹凸面を先に形成した後に半導体装置の周縁部に平滑面を形
成する場合、その部分の凹凸面を除去することになるので、半導体基板の厚みは必然的に
凹凸面よりも平滑面の方が薄くなる。
【0013】
また、前記絶縁層が、少なくとも一層の樹脂層を有することが好ましい。
本発明によれば、絶縁層が少なくとも一層の樹脂層を有することにより、半導体基板と
配線層との間を広くすることができる。これにより、寄生容量を効果的に低減することが
でき、例えば、本発明の半導体装置を後述の圧電発振器に適用した場合に、ノイズなどに
よって誤作動が生じてしまうのをなくすことができる。
【0014】
本発明の圧電発振器は、上記課題を解決するために、先に記載の半導体装置と、前記半
導体装置の配線層に接続された振動子と、を有している。
本発明によれば、信頼性の高い半導体装置を備えているので、圧電発振器も高信頼性の
ものとなる。
【0015】
本発明の半導体装置の製造方法は、上記課題を解決するために、貫通電極を有する半導
体基板と、前記半導体基板の能動面とは反対側の裏面に形成された絶縁層と、前記絶縁層
の前記半導体基板と反対側に形成され、前記貫通電極に接続された配線層とを有する半導
体装置の製造方法であって、前記半導体基板の前記裏面を研削する工程と、前記裏面に、
開口部を有するレジストパターンを形成する工程と、前記レジストパターンの前記開口部
を介して露出した前記裏面を平滑化する工程と、前記レジストパターンを剥離する工程と
、前記裏面の前記平滑な領域に貫通孔を形成する工程と、前記貫通孔内に前記貫通電極を
形成する工程と、前記裏面に前記絶縁層および前記配線層をこの順で形成する工程と、を
有する。
【0016】
本発明によれば、半導体基板の裏面側に、半導体基板を研削した際(板厚調整時)に形
成された研削面を残すことによって、裏面上に積層される絶縁層との密着性を向上させる
ことができる。このように研削面を利用することによって、裏面に対して新たに凹凸を形
成する工程が必要なくなるので製造効率がよい。
【0017】
本発明の半導体装置の製造方法は、上記課題を解決するために、貫通電極を有する半導
体基板と、前記半導体基板の能動面とは反対側の裏面に形成された絶縁層と、前記絶縁層
の前記半導体基板と反対側に形成され、前記貫通電極に接続された配線層とを有する半導
体装置の製造方法であって、前記半導体基板の前記裏面を研削する(粗面にする)工程と
、研削後の前記裏面を平滑にする工程と、前記裏面に開口部を有するレジストパターンを
形成する工程と、前記レジストパターンの前記開口部を介して露出した前記裏面を粗面に
する工程と、前記レジストパターンを剥離する工程と、前記裏面の前記平滑な領域に貫通
孔を形成する工程と、前記貫通孔内に前記貫通電極を形成する工程と、前記裏面に前記絶
縁層および前記配線層をこの順で形成する工程と、を有する。
【0018】
本発明によれば、半導体基板を研削した後、その裏面を平滑にすることによって研削時
に形成された微小なクラックなどが形成された層(破砕層)を全て除去しているので、半
導体基板の強度を向上することができる。
【0019】
また、前記半導体基板を多面取り可能なシリコンウェハを用い、前記シリコンウェハの
ダイシング領域に、前記半導体基板における前記裏面の平滑な領域が形成されることが好
ましい。
本発明によれば、シリコンウェハのダイシング領域に平滑な領域が形成されることから
、シリコンウェハを個片化して複数の半導体基板を形成する際には平坦な領域を切断する
ことになる。これによって、ダイシング後に半導体基板の端部にチッピングおよびクラッ
クが発生するのを防止することができ、半導体基板の裏面から絶縁層が剥離するのを防ぐ
ことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を説明するが、本発明の技術範囲は以下の実施形態に限定さ
れるものではない。以降の説明では図面を用いて各種の構造を例示するが、構造の特徴的
な部分を分かりやすく示すために、図面中の構造はその寸法や縮尺を実際の構造に対して
異ならせて示す場合がある。
【0021】
図1は、本実施形態の圧電発振器1の構成を概略して示す分解斜視図である。
図1に示すように、圧電発振器1は、半導体装置100と圧電振動子200とを備えて
いる。半導体装置100は、シリコン等からなる半導体基板110を基体としている。本
実施形態の半導体基板110は平面視略長方形のものであり、その能動面110aに図示
略の集積回路が設けられている。能動面110aは、電極端子310を有する実装基板3
00に実装される側の面である。また、集積回路を覆って内部配線等を有するウェハレベ
ルCSP層130が設けられている。
【0022】
半導体基板110における能動面110aの反対面である裏面110bには、絶縁性の
樹脂層120(絶縁層)が設けられている。半導体基板110と樹脂層120とを貫通し
て貫通電極161a,161bが設けられている。また、樹脂層120の一部を覆うよう
にして、裏面電極162a,162bが設けられている。貫通電極161aと裏面電極1
62bは一体に形成されて導電部160aを構成しており、同様に貫通電極161bと裏
面電極162bは導電部160bを構成している。ここで、上記集積回路が貫通電極16
1aと電気的に接続されている。
【0023】
圧電振動子200は、水晶振動片等の圧電振動片220を内部に収容したものである。
圧電振動子200の、上記樹脂層120と対向する面には電極層210が設けられている
。電極層210は、導電部160と導通する図示略の電極膜を有しており、この電極膜は
圧電振動片220と電気的に接続されている。
【0024】
図2は、図1のA−A’線矢視断面図であり、これを参照しつつ詳細な構成を説明する
。図2に示すように、半導体装置100と圧電振動子200とは、接着剤等からなる充填
部材410で接合されて一体となっている。このうち半導体基板110には、その厚さ方
向を貫通する貫通孔163,(163(図1))が設けられている。本実施形態における
半導体基板110の裏面110bは、凹凸を有する凹凸面110Aと、複数の平滑面11
0Bとを有している。平滑面110Bは、裏面110bの周縁部と、貫通孔163,(1
63)の周辺の領域とに形成されている。凹凸面110Aは、裏面110bの平滑面11
0Bを除いた領域に形成されており、凹凸面110Aよりも板厚方向で高い位置に設けら
れている。すなわち、半導体基板110において平滑面110Bが形成された領域は、他
の部分よりも厚さが薄くなっている。なお、本実施形態では、面粗さが0.2μm以上の
面を凹凸面110Aとし、面粗さが0.02μm以下の面を平滑面110Bとして定義す
る。そして、このような凹凸面110A、平滑面110Bを有する裏面110bおよび貫
通孔163の内壁を覆って下地絶縁層164(絶縁層)が設けられている。
【0025】
下地絶縁層164は、シリコン酸化物やシリコン窒化物等の無機材料からなるもので、
例えばCVD法で成膜されている。ここで、上記した貫通孔163は断面形状が略円形と
なっており、その内側には中実構造の貫通電極161aが設けられている。そのため、下
地絶縁層164を設けることにより、貫通電極161aと半導体基板110とが導通しな
いようになっている。なお、図1に示した貫通電極161bも同様の構造となっている。
【0026】
樹脂層120は、半導体基板110の裏面110b側の下地絶縁層164の一部を除い
た領域を覆って設けられている。具体的に樹脂層120は、貫通電極161a,(161
b)の周辺に設けられた平滑面110B上を除いて、それ以外の凹凸面110A全体と裏
面110bの周縁部の平滑面110B上に設けられている。
【0027】
樹脂層120は、例えばポリイミド系樹脂やエポキシ系樹脂、フェノール系樹脂等の樹
脂材料からなっている。樹脂層120の形成方法としては、スピンコート法や液滴吐出法
等の塗布法で液状の樹脂材料を成膜した後これを固化する方法や、樹脂フィルム等をラミ
ネートする方法等が挙げられる。樹脂層120の膜厚が10μm以上になっていれば、後
述する寄生容量を十分に小さくすることができる。本実施形態の樹脂層120は、ポリイ
ミド系樹脂からなり厚みが20μm程度のものである。ポリイミド系樹脂は、耐熱性や機
械強度等に優れており電子機器に用いられる樹脂材料として実績があるので、これを用い
ることにより高信頼性とすることができる。
【0028】
なお、上記した貫通孔163,(163)は、半導体基板110及び樹脂層120を貫
通しており、その内寸(内径)は樹脂層120側の方が半導体基板110側よりも大きく
なっている。つまり、貫通電極161aの内径は、樹脂層120側で大きくなっている。
【0029】
樹脂層120における所定の領域を覆って、裏面電極162a,162bが設けられて
いる。本実施形態の裏面電極162a,162bは、平面視略長方形のものであり、互い
にX方向に離間して並んでいる。裏面電極162aは、貫通電極161aを介して上記集
積回路と電気的に接続されている。また、裏面電極162bも貫通電極161bを介して
集積回路と電気的に接続されている。樹脂層120上にはさらに再配置配線も形成されて
おり、これら裏面電極162a,162bおよび再配置配線などから本実施形態の配線層
150が形成されている。
【0030】
裏面電極162a,162bの端部とこれらの間の樹脂層120とを覆って絶縁部16
5が設けられている。本実施形態の絶縁部165は、樹脂層120と同様に絶縁性の樹脂
材料からなっている。絶縁部165により、裏面電極162aと裏面電極162bとの間
に短絡を生じることが防止されている。
【0031】
一方、半導体基板110の能動面110aには、下地層131が設けられている。下地
層131は、例えばシリコン酸化物(SiO2)やシリコン窒化物(Si3N4)等の絶
縁性材料からなっている。半導体基板110の能動面110a側の表層や下地層131の
表面等には、例えばトランジスタやメモリ素子等を有する集積回路(不図示)が形成され
ている。この集積回路は、例えば発振回路の一部を構成するものや、圧電振動片220を
駆動する駆動回路等である。
【0032】
貫通孔163は、下地層131を貫通して形成されており、その開口と開口周辺の下地
層131を覆って電極132a,(132b(図1))が設けられている。電極132a
は、貫通電極161aと導通接触しており、電極132bは貫通電極161b(図1)と
導通接触している。電極132a,132bは、例えばチタン(Ti)、窒化チタン(T
iN)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、あるいはこれらを含む合金等からなってい
る。
【0033】
下地層131における電極132a,132bの非形成領域には、絶縁膜133が設け
られている。絶縁膜133に露出した電極132a及びその周辺を覆って内部配線134
aが設けられており、この内部配線134aは電極132aと導通接触している。同様に
、電極132bに導通接触させて内部配線134bが設けられている。また、絶縁膜13
3の所定の部分を覆って内部配線135が設けられている。内部配線134a,135は
、絶縁膜133の表面に引き回されて設けられており、上記集積回路と電気的に接続され
ている。
【0034】
層間絶縁膜136は、絶縁膜133の一部及び内部配線134a,134b,135を
覆って設けられている。層間絶縁膜136の所定の領域には、内部配線134b,135
をそれぞれ露出させる開口が設けられている。それぞれの開口の内壁と開口周辺を覆って
内部配線137a,137bが設けられており、内部配線134b,135はそれぞれ内
部配線137a,137bと導通接触している。
【0035】
保護膜138は、内部配線137a,137b及び層間絶縁膜136を覆って設けられ
ており、その所定の領域には、内部配線137a,137aをそれぞれ露出させる開口1
38a,138aが設けられている。各開口138a,138aに露出した内部配線13
7a,137bにそれぞれ導通接触させてバンプ139a,139bが設けられている。
【0036】
バンプ139a,139bは、実装基板300の電極端子310に接続される外部接続
端子である。これらバンプ139a,139bは、例えば印刷法によるハンダコートや、
保護膜138に露出した部分の内部配線137a,137bに析出させためっき等からな
っている。めっき用の金属には、Ni、Au、Cu、Sn、Sn−Ag等を用いることが
好ましい。
【0037】
上記した集積回路は、内部配線135,137aを介してバンプ139aと電気的に接
続されているとともに、内部配線134a、電極132a、貫通電極161aを介して裏
面110b側と電気的に接続されている。また、裏面110b側と電気的に接続される貫
通電極161bの一端は、電極を介し集積回路に接続される。貫通電極に接続されていな
い電極132bは、内部配線134b,137bを介してバンプ139bと電気的に接続
されている。
【0038】
圧電振動子200は、平面視した半導体装置100に略全体が重なり合うように配置さ
れている。圧電振動子200は、支持基板230と封止部材240との間に封止された圧
電振動片220を有している。また、封止部材240の表面には、圧電振動片220と電
気的に接続された引出し配線250が設けられている。
【0039】
支持基板230および封止部材240は、例えばセラミックスや、ガラス、石英などの
材料を用いて形成されている。これら支持基板230や封止部材240には、板厚方向に
凹む凹部230a,240aがそれぞれ形成されており、支持基板230及び封止部材2
40は互いの凹部230a,240aを内側にして貼り合わされている。これら凹部23
0a,240aによって、圧電振動片220を収容するとともにその周囲を密封する収容
室235が形成されることになる。
【0040】
圧電振動片220は、基部220aから2つの腕部220b,(220b(図1))が
同一方向に並列して延びる音叉型の平面形状を有した薄板状の水晶片からなるものである
。この基部220aは、支持基板230と封止部材240とで挟持されて片持ち状に支持
されている。また、収容室235は、腕部220b,(220b)の運動を阻害しない程
度の空間を確保するようになっている。
【0041】
引出し配線250は、封止部材240の半導体装置100と対向する面に設けられた電
極膜260a,260bと導通するようになっている。電極膜260a,260bは、そ
れぞれハンダ部420a,420bを介して、裏面電極162a,162bと電気的に接
続されている。
【0042】
圧電振動子200と半導体装置100との間には、充填部材410が設けられている。
充填部材410は、例えばエポキシ樹脂、アクリル系樹脂、フェノール樹脂、シリコーン
樹脂などの樹脂材料からなっている。充填部材410により圧電振動子200と半導体装
置100との間が封止され、ここに水分などの不純物が入り込まないようになっている。
【0043】
以上のような構成の圧電発振器1において、実装基板300の電極端子310からバン
プ139aや139bに供給される電気信号は、上記集積回路に適宜処理されるとともに
、貫通電極161a,161b等を介して半導体装置100の裏面110b側と受け渡し
される。また、この電気信号は、半導体装置100の裏面電極162a,162bと圧電
振動子200との間で受け渡しされる。
【0044】
そして、圧電振動子200の圧電振動片220に所定の電気振動が伝達されると、圧電
振動片220の腕部が固有振動数で振動し、これを用いた発振回路が構成されるようにな
っている。これにより、例えば発振回路から所定の周波数の方形波電圧等を出力させるこ
とができ、圧電発振器1をタイミングデバイス等に用いることが可能になっている。
【0045】
本実施形態の圧電発振器1は、半導体基板110の裏面110bの所定領域に凹凸面1
10Aが設けられている。凹凸面110Aを設けることで裏面110bの表面積が増し、
裏面全体が平滑面とされていた従来の構成に比べて、裏面110b上に積層される下地絶
縁層164との密着性が向上する。このため、半導体基板110から下地絶縁層164が
剥離してしまうなどの不具合をなくすことができ、信頼性の高い半導体装置100を備え
た圧電発振器1となる。
【0046】
また、裏面110bにおける貫通電極161a,161bの周辺には、平滑面110B
が設けられている。圧電発振器1において貫通電極161a,161bは、熱ストレスな
どにより、裏面電極162a,162bを介して応力が伝達される。半導体基板110の
裏面110bにおける貫通電極161a,161b周辺に破砕層が残留してその部分がも
ろくなっている場合、裏面電極162a,162b、または再配置配線と貫通電極161
a,161bとの接続部分に応力が集中し、破断により断線が生じる可能性がある。した
がって、応力の耐性を得るためには、貫通電極161a,161b周辺の破断層を除去し
、上記したように平滑面110Bを設けておくことが望ましい。これにより、裏面電極1
62a,162b、または再配置配線と貫通電極161a,161bとの接続部分におけ
る強度を確保することができる。
【0047】
[製造方法]
次に、圧電発振器1の製造方法の一例を説明する。
まず、半導体装置100の製造方法について述べる。本実施形態では、シリコンウェハ
500を用いて複数の半導体装置100を一括して形成する。シリコンウェハ500は、
個片化後に半導体基板110となる部分である。なお、図3〜図7には半導体領域A0(
1つの半導体装置100と対応する部分)を拡大して示している。
【0048】
図3(a)に示すように、シリコンウェハ500の各半導体領域A0に集積回路を形成
するとともにウェハレベルCSP層130を形成する。具体的には、シリコンウェハ50
0の表面500aを例えば熱酸化してこれを下地層131とする。半導体基板110の表
層や下地層131等に集積回路を形成するとともに、下地層131上の所定位置に電極1
32a,132bを形成する。下地層131及び電極132a,132bを覆って、例え
ばシリコン酸化物を成膜する。この膜のうち電極132a,132bや集積回路の端子を
覆う部分をフォトリソグラフィ法及びエッチング法を用いて除去して、この膜を絶縁膜1
33とする。
【0049】
そして、電極132a,132bとその周辺の絶縁膜133上に内部配線134a,1
34b,135を形成する。内部配線134a,135は、集積回路の端子と導通するよ
うに形成する。内部配線134a,134b,135及び絶縁膜133を覆って、例えば
CVD法でシリコン酸化物を成膜する。この膜の所定部分を除去して内部配線134b,
135の所定領域を露出させ、この膜を層間絶縁膜136とする。内部配線134b,1
35の露出された部分の各々と導通させて、内部配線137a,137bを形成する。
【0050】
内部配線134a,134b,135,137a,137bの形成方法としては、例え
ばTiW、Cuを順にスパッタリング法で成膜した後、このCu膜にめっき処理でCuを
析出させて厚膜化する方法が挙げられる。内部配線137a,137b及び層間絶縁膜1
36を覆ってシリコン酸化物を形成する。その所定部分を除去して内部配線137a,1
37bの所定領域を露出させ、この膜を保護膜138とする。このようにして、ウェハレ
ベルCSP層130を形成する。なお、引き続きバンプ139a,139bを形成しても
よいが、ここでは後の工程で形成する。ここでは、バンプ139a,139bが形成され
ていない状態とし、圧電振動子200を固着した後にバンプ139a,139b形成を形
成する。
【0051】
次に、ウェハレベルCSP層130側に接着層510を介してサポートガラス520を
貼り付ける。接着層510としては、熱硬化性接着剤や光硬化性接着剤等の硬化性接着剤
を使用することが好ましい。そして、図3(b)に示すように、サポートガラス520を
支持体として、砥石等の研削部材を用いて裏面500b側からシリコンウェハ500を研
削する。このようにして、シリコンウェハ500を、例えば100μm程度の厚みまで薄
厚化する。なお、研削することにより、シリコンウェハ500の裏面500bが粗面化さ
れる。
【0052】
次に、図3(c)に示すように、シリコンウェハ500の裏面500bにレジストパタ
ーン530Aを形成する。レジストパターン530Aは、半導体領域A0のうち第1の領
域A1を覆うとともに、第2の領域A2を露出させる開口部530aを有するものである
。本実施形態における第2の領域A2とは、後の工程において貫通孔163を形成する領
域およびその周辺を含んだ領域と、半導体領域A0の周縁部に相当する。
【0053】
そして、このようなレジストパターン530Aをマスクとして、開口部530aから露
出する第2の領域A2に対してドライエッチングを施す。このとき、リアクティブイオン
エッチング(RIE)や誘導結合プラズマエッチング(ICP)等を用いると、高度の異
方性でドライエッチングすることができる。なお、ウェットエッチングを施してもよい。
このようにして、裏面500bの第2の領域A2における破砕層を取り除く。このため、
必然的に第1の領域A1よりも第2の領域A2におけるシリコンウェハ500の板厚の方
が薄くなる。
【0054】
すると、図3(d)に示すように、裏面500bにおける第2の領域A2が平滑化され
、各半導体領域A0の周縁部と、貫通孔163を形成する領域およびその周辺を含んだ領
域とにそれぞれ平滑面110Bが形成される。その後、レジストパターン530Aを剥離
する。半導体領域A0の第1の領域A1には、シリコンウェハ500を研削した際の研削
面が残っており、これによって本実施形態における凹凸面110Aが形成される。
【0055】
次に、図4(a)に示すように、シリコンウェハ500の、電極132a,(132b
)の各々に対応した平滑面110Bの所定部分に板厚方向を貫通する貫通孔163,(1
63)を形成する。具体的には、シリコンウェハ500の裏面500bにレジストパター
ン530Bを形成し、これをマスクとしてドライエッチングする。リアクティブイオンエ
ッチング(RIE)や誘導結合プラズマエッチング(ICP)等を用いると、高度の異方
性でドライエッチングすることができる。このようにして、貫通孔163の内側に電極1
32a、132bを露出させる。その後、レジストパターン530Bを剥離する。
【0056】
次に、図4(b)に示すように、シリコンウェハ500の裏面500b側に、例えばC
VD法でシリコン酸化物やシリコン窒化物等を成膜し、裏面500b側及び貫通孔163
の内壁を覆う下地絶縁層164を形成する。例えば、裏面500b側に1.5μm程度の
厚みで成膜すると、貫通孔163の内壁には0.3〜0.4μm程度の厚みで成膜される

【0057】
そして、貫通孔163の内壁にスパッタリング法でTiW、TiN、Ti等を成膜して
、これをバリア層(図示略)とする。さらに、貫通孔163の内壁にCuをスパッタリン
グ法で成膜して、これをシード層(図示略)とする。バリア層は、貫通電極161a、1
61bの金属原子がシリコンウェハ500側に拡散しないようにするものであり、シード
層と貫通孔163の内壁側との密着層としても機能する。シード層は、後に貫通電極16
1a、161bをめっき処理で形成する際にシードとして機能する。
【0058】
次に、図4(c)に示すように、シリコンウェハ500の裏面500b側の下地絶縁層
164を覆うとともに、貫通孔163の開口周辺を露出させて、樹脂層120を形成する
。ここでは、まず裏面500b側の下地絶縁層164を覆ってスピンコート法で感光性の
ポリイミド系樹脂を成膜する。樹脂材料をスピンコート法や液滴吐出法等の塗布法で成膜
すれば、無機材料を蒸着法やCVD法、スパッタリング法で成膜する場合よりも、成膜速
度が格段に速くなる。したがって、樹脂材料を厚く成膜することが容易化される。例えば
、シリコン酸化物(無機材料)からなる下地絶縁層164は、成膜速度の制約により通常
と同様に1.5μm程度の厚みに形成している。一方、樹脂材料の成膜時には、成膜速度
の制約がほとんどないので、ここでは樹脂材料を20μm程度の厚みに成膜する。
【0059】
そして、フォトマスク等を用いてこの膜を選択的に露光・現像する。このようにして、
この膜における電極132a、132b上を開口し、これを貫通孔163の一部とする。
ここでは、シリコンウェハ500側の貫通孔163よりも内径が大きくなるように、開口
させる。例えば、ポジ型の感光性のポリイミド系樹脂を用いる場合には、フォトマスクの
透光部の寸法を貫通孔163の内径より大きくすればよい。また、上記の現像とともにシ
リコンウェハ500側の貫通孔163内側のポリイミド系樹脂を除去して、電極132a
、132bを露出させる。この他にも、樹脂フィルムをラミネートにより貼設した後、貫
通孔163と対応する部分を開口させる手法を用いてもよい。この場合にも無機材料から
なる膜よりも格段に厚い膜を効率的に設けることができる。
【0060】
次に、図4(d)に示すように、貫通孔163の内壁及び樹脂層120を覆って導電部
160a,(160b)を形成する。具体的には、電気化学プレーティング法を用いて上
記シード層にめっきを析出させて貫通孔163の内側に中実構造(円柱状)の貫通電極1
61a,(161b)を形成する。さらに、めっき処理を行った後めっきを適宜パターニ
ングして、樹脂層120を覆う裏面電極162a,(162b)を形成する。なお、樹脂
層120上の所定領域に下地膜パターンを形成しておき、この下地膜にめっきを析出させ
ること等によって裏面電極162a,(162b)を形成してもよい。また、めっきの膜
厚を制御すること等により貫通孔163の内壁を覆う円筒状(中空構造)の貫通電極を形
成してもよい。また、樹脂層120の所定領域に再配置配線を形成し、裏面電極162a
,(162b)とからなる配線層150を形成する。
【0061】
次に、図5(a)に示すように、裏面電極162a,(162b)の間に絶縁部165
を形成する。ここでは、裏面電極162a,(162b)及び樹脂層120を覆って樹脂
材料を成膜した後この膜をパターニングして、裏面電極162a,(162b)の端部、
及び裏面電極162a,(162b)の間の樹脂層120を覆う絶縁部165を形成する

【0062】
次に、図5(b)に示すように、シリコンウェハ500上にダイシングテープ等を貼付
け、これを支持としてサポートガラス520をシリコンウェハ500から剥離した後、ダ
イシングカッタ600等の個片化装置を用いてシリコンウェハ500を半導体領域A0ご
とに個片化する。これによりバンプ139a,139bが形成されていない状態の半導体
装置100が複数得られる。なお、ダイシングテープを貼付ける前に、ハンダメッキ等に
よってハンダ部420a,420bとなるハンダを裏面電極162a,(162b)上に
配置しておいてもよい。
【0063】
続いて、圧電振動子200の製造方法について説明する。
圧電振動子200は、半導体装置100と独立して形成し、本実施形態では、大判のガ
ラスウェハ700を用いて多数の圧電振動子200を一括して形成する。ガラスウェハ7
00は、個片化後に支持基板230となる部分である。
具体的には図6(a)に示すように、ガラスウェハ700上の複数の振動子形成領域B
0にそれぞれ圧電振動片220を配置する。そして、ガラスウェハ700に封止部材24
0を固着するとともに、これらの間に各圧電振動片220を気密封止する。そして、封止
部材240上に圧電振動片220に接続された引出し配線250を形成する。引出し配線
250と導通させて、半導体装置100の裏面電極162a、162bと同程度の大きさ
の電極膜260a、260bを形成する。この後にガラスウェハ700を個片化すれば圧
電振動子200が得られるが、本実施形態では半導体装置100を実装した後に個片化す
る。
【0064】
そこで、図6(b)に示すように、ガラスウェハ700上の圧電振動子200に対応す
る各振動子形成領域B0に、上記した半導体装置100をそれぞれ実装し、圧電振動子2
00の電極膜260a、260bを半導体装置100の裏面電極162a、162bにそ
れぞれ電気的に接続する。接続方法としては、ハンダ接合やAgペーストによる接合、A
u−Au接合、プラズマ活性化接合、導電性接着剤による接合等を用いることができる。
Au−Au接合を採用する場合には、例えばシリコンウェハ500を個片化する前に裏面
電極162a、162bにめっき処理を施しておく。
【0065】
本実施形態では、ハンダ接合を採用する。具体的には、電極膜260a、260b上に
印刷法、スピンコート法あるいはディスペンス法等によって、フラックス又はソルダーペ
ーストを供給する。そして、シリコンウェハ500の裏面電極162a、162bが、電
極膜260a、260bとそれぞれ対向するように、個片化された半導体装置100をガ
ラスウェハ700上に搭載する。この段階ではガラスウェハ700及び半導体装置100
に加熱を行わずに、フラックス又はソルダーペーストの粘着力で半導体装置100をガラ
スウェハ700に保持させる。そして、リフロー炉やホットプレート等の加熱手段により
、ガラスウェハ700を加熱する。加熱温度は、ハンダが充分に溶解(溶融)する温度(
例えば240℃以上)とする。
【0066】
次に、図7(a)に示すように、半導体基板110の能動面110a側に露出した部分
の内部配線137a、137b上に、バンプ139a、139bを形成する。具体的な形
成方法としては、内部配線137a、137b上にハンダを供給した後に、ハンダをリフ
ローする方法等がある。この場合、残留するフラックスを除去するために、洗浄すること
が望ましい。また、ハンダを供給する方法としては、ハンダペーストを塗布する方法や、
ハンダペーストを印刷する方法、ハンダボールを搭載する方法等が挙げられる。
【0067】
本実施形態では、半導体装置100と圧電振動子200との接続後に、ハンダペースト
によりバンプ139a、139bを形成するが、ウェハレベルCSP層130を形成した
後、接着層510を設ける前にバンプ139a、139bを形成してもよい。この場合に
は、バンプ139a、139bを露出させないように、接着層510をバンプ139a、
139bの高さよりも厚く形成することが望ましい。また、ハンダによるバンプ139a
、139bの他に、露出した部分の内部配線137a、137bの表面にめっきを析出さ
せてめっきからなるバンプを形成してもよい。このめっき処理は、導電部160a、16
0bを形成する際のめっき処理と同じプロセスで行ってもよい。そして、半導体装置10
0と圧電振動子200との間を充填部材410で封止する。
【0068】
次に、図7(b)に示すように、ダイシングカッタ600等の個片化装置を用いてガラ
スウェハ700を個片化することにより、図2に示した圧電発振器1が得られる。
【0069】
なお、本実施形態では、半導体装置100をガラスウェハ700に搭載した後に、これ
を個片化しているが、搭載前にガラスウェハ700を個片化しておき、個片化された圧電
振動子200に半導体装置100を搭載してもよい。また、各種部材や回路、配線等が形
成された個片化する前のシリコンウェハ500とガラスウェハ700とを固着した後に、
個片化して圧電発振器1を製造してもよい。
【0070】
本実施形態の製造方法によれば、シリコンウェハ500の裏面500bの所定領域に凹
凸面110Aを形成することにより、裏面500b上に形成される下地絶縁層164との
密着性を向上させることができる。また、本実施形態では、シリコンウェハ500を研削
した際に形成される研削面を利用して凹凸面110Aを形成しており、裏面500bを粗
面化することで凹凸面を形成する工程が必要ない。このため、製造工程が増加することが
なく生産性が良い。
【0071】
また、本実施形態では、ダイシング領域を含む半導体領域A0の周縁部に平滑面110
Bを形成している。これにより、シリコンウェハ500を個片化した際に半導体基板11
0の端部や周縁部にヒビや割れなどが生じるのを防止することができる。
【0072】
上述したように、シリコンウェハ500の厚さを調整するために研削すると、裏面50
0bから20〜30μmの深さで破砕層が形成される。この破砕層とは、微小なクラック
が形成された層であり、表層に近いほどクラックの発生度合が大きい。特に、シリコンウ
ェハ500を個片化する際に破砕層部分をカットした場合、半導体基板110の端部には
ダイシング時の衝撃によってクラックが入り、チッピングが発生しやすくなる。このチッ
ピングが起点となって、半導体基板110の裏面110b上に積層された膜が半導体基板
110から剥がれてしまうなどの不具合が生じてくる。そのため、ダイシング後に半導体
基板110の端部となるダイシング領域およびシリコンウェハ500における半導体領域
A0の周縁部の破砕層を除去しておくことが望ましい。
【0073】
また、貫通電極161a,161bの周辺の領域にもそれぞれ平滑面110Bが設けら
れている。これによって、半導体基板110に対して貫通孔163,163を形成する際
、良好な加工を施すことができ、半導体基板110に亀裂などが生じるおそれもない。
【0074】
以上により、半導体基板110の裏面110b上に積層された下地絶縁層164などが
、半導体基板110から剥がれてしまうという不具合をなくすことができ、信頼性の高い
圧電発振器1が得られる。
【0075】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について図8を用いて説明する。図8は、第2実施形態
の圧電発振器2の全体構成を示す平面図である。以下に示す本実施形態の圧電発振器2の
基本構成は、上記第1の実施形態と略同様であるが、半導体基板の構成が異なる。よって
、以下の説明では、半導体基板について詳しく説明し、共通な箇所の説明は省略する。ま
た、説明に用いる各図面において、図1〜図7と共通の構成要素には同一の符号を付すも
のとする。
【0076】
本実施形態における圧電発振器2は、半導体基板140の裏面140b(能動面140
aとは反対側の面)に、凹凸を有する凹凸面140Aと、複数の平滑面140Bとを有し
ている。平滑面140Bは、裏面140bの周縁部と、貫通孔163,(163)の周辺
の領域とに形成されている。凹凸面140Aは、裏面140bの平滑面140Bを除いた
領域に設けられており、凹凸面140Aよりも板厚方向で低い位置に設けられている。つ
まり、半導体基板140は、その平滑面140Bが形成された領域において部分的に板厚
が厚くなっている。そして、このような凹凸面140A、平滑面140Bを有する裏面1
40bおよび貫通孔163の内壁を覆って下地絶縁層164が設けられている。
【0077】
樹脂層120は、半導体基板140の裏面140b側の下地絶縁層164の一部を除い
た領域を覆って設けられている。具体的に樹脂層120は、貫通電極161a,(161
b)の周辺に設けられた平滑面140B上を除いて、それ以外の凹凸面140A全体と裏
面140bの周縁部の平滑面140B上に設けられている。
【0078】
このような圧電発振器2を製造するには、まず、第1の実施形態と同様にシリコンウェ
ハ500の表面500aに集積回路およびウェハレベルCSP層130などを形成した後
、裏面500b側からシリコンウェハ500を研削して所望の板厚にする(図3(a),
(b)参照)。
【0079】
その後、図9(a)に示すように、スピンエッチング、またはドライポリッシュなどに
よってシリコンウェハ500の破砕層を取り除く。このようにして、シリコンウェハ50
0の裏面500bを平滑にする。
【0080】
図9(b)に示すように、シリコンウェハ500の裏面500bにレジストパターン5
30Cを形成する。レジストパターン530Cは、半導体領域A0のうち第2の領域A2
を覆うとともに、第1の領域A1を露出させる開口部530bを有するものである。第2
の領域A2は、後の工程において貫通孔163を形成する領域およびその周辺を含んだ領
域と、半導体領域A0の周縁部に相当する。
【0081】
そして、このようなレジストパターン530Cをマスクとして、開口部530bから露
出する第1の領域A1に対して、サンドブラスト、ウェットエッチング、ドライエッチン
グなどを施すことで粗面化する。ウェットエッチング法を用いる場合、例えばエッチング
液にCuなどを混合させることによって処理面に所望の凹凸を形成することができる。サ
ンドブラスト法やドライエッチング法を用いる場合には、吹き付ける媒体やガスの種類、
あるいはガス圧などを適宜調整することによって凹凸を形成することが可能である。
【0082】
すると、図9(c)に示すように、裏面500bにおける第1の領域A1に凹凸面14
0Aが形成される。その後、レジストパターン530Cを剥離すると、裏面500bの第
2の領域A2に本実施形態における平滑面140Bが露出する。
【0083】
次に、図9(d)に示すように、シリコンウェハ500の裏面500bにレジストパタ
ーン530Dを形成し、電極132a,(132b)の各々に対応した平滑面140Bの
所定部分にその厚さ方向を貫通する貫通孔163,(163)を形成する。
これ以降の製造工程については、第1の実施形態と同様である。
【0084】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られるほか、シリコンウェハ5
00の研削時に形成される破砕層を全て除去しているため、半導体基板140の強度をよ
り高めることができる。また、半導体基板140の裏面140bにおいて平滑面140B
よりも凹凸面140Aの方が占める領域の割合が大きい。このため、凹凸面140Aをエ
ッチングによって形成すれば衝撃が少なく破砕層とはなりにくいため、半導体基板140
の強度を確保することができるとともに、裏面140b上に積層される下地絶縁層164
などの密着性をさらに向上させることが可能である。
【0085】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発
明は係る例に限定されないことは言うまでもなく、上記各実施形態を組み合わせても良い
。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変
更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技
術的範囲に属するものと了解される。
【0086】
例えば、半導体基板110(140)と配線層150との間、すなわち、樹脂層120
の上層あるいは下層のいずれかにおいて絶縁性の樹脂層(絶縁層)をさらに追加してもよ
い。圧電発振器1(2)を正常に動作させるためには、圧電振動片220に伝達される電
圧波形のノイズを低減させることが重要である。ノイズを生じさせる原因の1つに寄生容
量が挙げられる。半導体基板110(140)の裏面110b(140b)側には、樹脂
層120が設けられており、この樹脂層120を覆って裏面電極162a,162bが設
けられている。上記実施形態では、裏面電極162a,162bの総面積から樹脂層12
0の膜厚が規定されており、これによって半導体基板110(140)と裏面電極162
a,162bとの間に構成される寄生容量が低減されている。この寄生容量をより低減さ
せるためには、半導体基板110(140)と配線層150(裏面電極162a,162
b)との間を広くする必要がある。その一例として、樹脂層120の膜厚を厚くする方法
が考えられるが、樹脂層120と下地絶縁層164との線膨張係数が大きく異なることか
ら、熱ストレスによる影響を防止するためには半導体基板110(140)と配線層15
0との間の樹脂層を2層にすることで、半導体基板110(140)と配線層150(裏
面電極162a,162b)との距離を広げる方が望ましい。これにより、寄生容量を効
果的に低減することが可能となり、誤作動のない信頼性の高い圧電発振器1(2)とする
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】第1の実施形態の圧電発振器の構成を概略して示す分解斜視図である。
【図2】図1のA−A’線矢視断面図である。
【図3】(a)〜(c)は、圧電発振器の製造方法を示す断面工程図である。
【図4】(a)〜(c)は、図3(c)から続く断面工程図である。
【図5】(a)、(b)は、図4(c)から続く断面工程図である。
【図6】(a)、(b)は、図5(c)から続く断面工程図である。
【図7】(a)、(b)は、図6(c)から続く断面工程図である。
【図8】第2の実施形態の圧電発振器の概略構成を示す断面図である。
【図9】(a)〜(d)は、第2の実施形態の圧電発振器の製造方法の一部を示す断面工程図である。
【符号の説明】
【0088】
1,2…圧電発振器、100…半導体装置、110,140…半導体基板、110a,1
40a…能動面、110b,140b…裏面、110A,140A…凹凸面、110B,
140B…平滑面、120…樹脂層(絶縁層)、125…凹部、150…配線層、160
a、160b…導電部、161a、161b…貫通電極(導電部)、162a、162b
…裏面電極、163…貫通孔、164…下地絶縁層(絶縁層)、165…絶縁部、170
…樹脂層、200…圧電振動子(振動子)、220…圧電振動片、500…シリコンウェ
ハ、530A,530B,530C,530D…レジストパターン、530a,530b
…開口部、A1…第1の領域、A2…第2の領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通電極を有する半導体基板と、
前記半導体基板の能動面とは反対側の裏面に形成された絶縁層と、
前記絶縁層の前記半導体基板上に形成され、前記貫通電極に接続された配線層と、を有
し、
前記半導体基板の前記裏面に、凹凸面が形成された領域と、平滑面が形成された領域と
を有している
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記平滑面が、半導体基板の周縁部に設けられている
ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記平滑面が、前記貫通電極の周辺に設けられている
ことを特徴とする請求項1または2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体基板の厚みが、前記凹凸面が形成された領域と、前記平滑面が形成された領
域とで異なっている
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体基板の厚みは、前記凹凸面が形成された領域よりも前記平滑面が形成された
領域の方が薄くなっている
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記絶縁層が、少なくとも一層の樹脂層を有する
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか一項に記載の半導体装置と、
前記半導体装置の前記配線層に接続された振動子と、を有する
ことを特徴とする圧電発振器。
【請求項8】
貫通電極を有する半導体基板と、前記半導体基板の能動面とは反対側の裏面に形成され
た絶縁層と、前記絶縁層の前記半導体基板と反対側に形成され、前記貫通電極に接続され
た配線層とを有する半導体装置の製造方法であって、
前記半導体基板の前記裏面を研削する工程と、
前記裏面に、開口部を有するレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンの前記開口部を介して露出した前記裏面を平滑化する工程と、
前記レジストパターンを剥離する工程と、
前記裏面の前記平滑な領域に貫通孔を形成する工程と、
前記貫通孔内に前記貫通電極を形成する工程と、
前記裏面に前記絶縁層および前記配線層をこの順で形成する工程と、を有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
貫通電極を有する半導体基板と、前記半導体基板の能動面とは反対側の裏面に形成され
た絶縁層と、前記絶縁層の前記半導体基板と反対側に形成され、前記貫通電極に接続され
た配線層とを有する半導体装置の製造方法であって、
前記半導体基板の前記裏面を研削する工程と、
研削後の前記裏面を平滑にする工程と、
前記裏面に開口部を有するレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンの前記開口部を介して露出した前記裏面を粗面にする工程と、
前記レジストパターンを剥離する工程と、
前記裏面の前記平滑な領域に貫通孔を形成する工程と、
前記貫通孔内に前記貫通電極を形成する工程と、
前記裏面に前記絶縁層および前記配線層をこの順で形成する工程と、を有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記半導体基板を多面取り可能なシリコンウェハを用い、
前記シリコンウェハのダイシング領域に、前記半導体基板における前記裏面の平滑な領
域を形成する
ことを特徴とする請求項8または9記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−87101(P2010−87101A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−252654(P2008−252654)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】