説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】半導体装置の信頼性を向上させることができる製造方法を提供する。
【解決手段】半導体基板1に形成される半導体素子を覆う絶縁膜11が、埋め込み特性が良好とされる熱CVD法等によって形成される。その絶縁膜11を覆うように、耐湿性に優れているとされるプラズマCVD法によって絶縁膜14が形成される。その絶縁膜11および絶縁膜14を貫通するようにプラグ13が形成される。さらに、その絶縁膜14上に、誘電率が比較的低いLow−k膜からなる絶縁膜16が形成され、その絶縁膜16に、ダマシン技術によって、プラグ13に電気的に接続される配線20が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置およびその製造方法に関し、特に、ダマシン技術を使用した半導体装置の製造方法と、その方法によって製造される半導体装置とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体基板に形成される複数の半導体素子は、たとえば多層配線によって互いに電気的に接続されて、所定の回路が構成される。微細化に伴い、配線構造として埋込み配線構造が開発されている。埋込み配線構造は、たとえば、絶縁膜に形成された配線溝や、ホールなどのような配線開口部内に、ダマシン(Damascene)技術によって、配線材料を埋込むことで形成される。ダマシン技術には、シングルダマシン(Single Damascene)とデュアルダマシン(Dual Damascene)がある。
【0003】
たとえば特許文献1には、シリコン窒化膜、シリコン酸化窒化膜、シリコン炭化膜またはシリコン炭化窒化膜からなる絶縁膜と、その上に形成された有機ポリマー系低誘電率絶縁材料からなる絶縁膜と、さらにその上に形成されたシリコン窒化膜、シリコン炭化膜またはシリコン炭化窒化膜からなる絶縁膜との3層構造に、ダマシン技術によって銅配線を形成する技術が提案されている。また、特許文献2には、ダマシン技術によって銅配線が形成されるSiOC膜の炭素の組成を制御する技術が提案されている。
【0004】
さらに、特許文献3には、ゲート電極間に塗布法にてシロキサンSOGを埋め込む工程、このシロキサンSOG上にフッ素化シリコン酸化膜をプラズマCVD法によって形成する工程、シロキサンSOGとフッ素化シリコン酸化膜とを貫通し半導体基板に達するコンタクトを形成する工程、フッ素化シリコン酸化膜上に塗布法によりフッ素化ポリイミドを形成する工程、配線溝パターンにてフッ素化ポリイミドをエッチングしフッ素化シリコン酸化膜に達する配線溝を形成する工程およびコンタクト内と配線溝内に導電物質を埋め込んで配線を形成する工程を備えた半導体装置の製造方法が開示されている。
【0005】
そして、特許文献4には、アルミニウム多層配線構造を備えた半導体装置に関する記載があり、アルミニウム配線をプラズマCVD法によって形成されたSiONで挟むように配置することにより、プラズマCVD法によって形成された層間膜であるSiOF膜が大気中等から水分を吸って、その水分がアルミニウム配線の絶縁耐性等に悪影響を与えるのを防ぐ手法が提案されている。
【0006】
また、特許文献5には、下層にオゾンTEOS、上層にプラズマ酸化膜を有する配線層構造が開示されている。さらに、特許文献6には、層間絶縁膜として、有機シランとオゾンによる熱CVD膜の上にプラズマCVD法によるシリコン酸化膜を形成することで耐湿性の多層層間膜を形成する手法が開示されている。また、特許文献7には、配線層において低誘電率膜であるフッ素を含有したプラズマCVD酸化膜の上と下に、シリコンリッチな酸化膜を形成することにより、フッ素を含有したプラズマCVD酸化膜からのフッ素の拡散を防止することが開示されている。そして、特許文献8には、配線層において上下に耐湿性の絶縁膜(シリコン窒化物)を形成し、その間に吸湿性のオゾンTEOSを形成した構造が開示されている。
【0007】
半導体基板の主表面にMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)のような半導体素子を形成した後、半導体基板の主表面上には半導体素子を覆うように層間絶縁膜が形成される。近年、微細化に伴いMISFETのゲート電極間の間隔が狭くなってきており、このような層間絶縁膜には、ゲート電極間などへの埋込特性が良好な絶縁膜を用いることが望まれている。プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法で形成した絶縁膜は埋込み特性が低く、ゲート電極間の間隔が比較的狭い場合に、そのスペースを確実に埋込むことができず、ボイドが発生するおそれがある。これに対して、O3−TEOS(Tetraethoxysilane)酸化膜のように熱CVD法によって形成された絶縁膜や、SOG(Spin On Glass)膜のように塗布法によって形成された絶縁膜は、ゲート電極間のスペースなどの埋込み特性が良好な膜とされる。
【特許文献1】特開2005−136152号公報
【特許文献2】特開2005−223021号公報
【特許文献3】特開平11−87510号公報
【特許文献4】特開平6−302704号公報
【特許文献5】特開平7−153840号公報
【特許文献6】特開平5−109910号公報
【特許文献7】特開平11−317454号公報
【特許文献8】特開平6−53210号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の技術では次のような問題点があった。埋込み特性に優れているとされるO3−TEOS酸化膜やSOG膜のような絶縁膜では、プラズマCVD法によって形成された絶縁膜に比べて吸湿性が高いという性質がある。そのため、これらの絶縁膜を成膜した段階で水分を吸収し水分の含有量が高くなりやすい。ここで、水分の含有量とは、以下、水分およびOH基の両方を含む含有量を意図するものとする。そのような埋込み特性に優れるが水分の含有量が高くなりやすい絶縁膜を層間絶縁膜として形成し、その層間絶縁膜にコンタクトホールを形成してプラグを埋込んだ後、その層間絶縁膜上にさらに絶縁膜を形成してダマシン技術によって配線を形成すると、この層間絶縁膜の水分の含有量が高いことに起因して、配線の信頼性が低下する可能性があることが判明した。
【0009】
すなわち、吸湿性が高く水分の含有量が多くなりやすい層間絶縁膜上に、耐湿性の低い絶縁膜を形成した場合には、その層間絶縁膜と絶縁膜との界面が電気的に弱くなり、銅配線中の銅(Cu)が拡散しなくても、この界面を介して絶縁破壊を起こしやすいことが本発明者らの研究で判明した。
【0010】
また、特許文献3においては、最下層の配線が形成される層の層間絶縁膜も塗布法によって形成される膜であり、水分を多量に含んでいる。そのために、配線間のリーク電流や配線とコンタクト間のリーク電流に起因する絶縁耐性に関する信頼性が確保できない問題があった。
【0011】
さらに、特許文献4においては、半導体基板上に形成される絶縁膜は全てプラズマCVD法によって形成されている。この特許文献4に基づいてゲート電極間に層間絶縁膜を埋め込むことを想定した場合には、ゲート電極間に層間絶縁膜を隙間をできる限り少なくして埋め込むことが困難となる問題や、アルミニウム配線を誘電率の比較的高いSiON膜によって挟み込む構造となるために、配線遅延が大きくなり、半導体デバイスの動作を高速化しにくくなる問題があった。
【0012】
また、特許文献5においては、プラズマ酸化膜上に形成される層間膜や配線構造に関して何らの考慮もなされておらず、集積回路の高速動作と信頼性を両立できない問題があった。
【0013】
さらに、特許文献6においては、有機シランとオゾンとによる熱CVD膜とプラズマCVD法によるシリコン酸化膜とを積層構造とした場合、配線の間を埋め込む有機シランとオゾンとによる熱CVD膜が水分を多量に含んでいるために、結局、配線間のリーク電流や配線とコンタクト間のリーク電流に起因した絶縁耐性に関する信頼性を確保することができないという問題があった。
【0014】
また、特許文献7においては、主たる層間膜がプラズマCVD法によって形成されているために、これをゲート電極を埋め込む層間膜に適用した場合、配線間の埋め込み特性が悪化する問題があった。そして、配線が配線誘電率の比較的高いシリコンリッチな酸化膜によって挟み込まれる構造となるために、配線遅延が大きくなり、半導体デバイスの動作を高速化しにくくなる問題があった。
【0015】
そして、特許文献8では、まず、配線材料を形成した後、配線材料をエッチングして複数の配線が形成され、その後、シリコン窒化物が配線間および配線上を埋め込みように形成され、その上にオゾンTEOSが配線間および配線上を埋め込むように形成される。そして、その上にシリコン窒化物が配線間および配線上を埋め込むように形成されてデバイスが形成される。この手法を前提として多層配線構造を形成すると、配線間に誘電率の高いシリコン窒化物が2層も入ることとなる。そのため、特許文献8では、配線遅延が大きくなり、半導体デバイスの動作を高速化しにくくなる問題があった。
【0016】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、半導体装置の信頼性を向上させることができる半導体装置の製造方法を提供することであり、他の目的は、そのような方法によって製造される半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、以下の工程を備えている。主表面を有する半導体基板に、互いに間隔を隔てられた第1ゲート電極および第2ゲート電極を形成する。半導体基板上に、熱化学的気相成長法および塗布法の少なくともいずれかによって、第1ゲート電極と第2ゲート電極との間の領域において第1ゲート電極および第2ゲート電極の高さよりも高くなる態様で第1層間絶縁膜を形成する。第1層間絶縁膜上に、プラズマ化学気相成長法によって第2層間絶縁膜を形成する。第2層間絶縁膜および第1層間絶縁膜を貫通して半導体基板に電気的に接続される第1プラグ電極を形成する。第1プラグ電極を覆うように、第2層間絶縁膜上に、プラズマ化学気相成長法によって所定の誘電率を有する第3層間絶縁膜を形成する。第3層間絶縁膜にエッチングを施すことにより、第2層間絶縁膜および第1プラグ電極を露出する配線溝を形成する。配線溝内に配線を形成することにより、配線と半導体基板とを第1プラグ電極を介して電気的に接続する。
【0018】
本発明に係る他の半導体装置の製造方法は、以下の工程を備えている。主表面を有する半導体基板に、互いに間隔を隔てられた第1ゲート電極および第2ゲート電極を形成する。半導体基板上に、熱化学的気相成長法および塗布法の少なくともいずれかによって、第1ゲート電極と第2ゲート電極との間の領域において第1ゲート電極および第2ゲート電極の高さよりも高くなる態様で第1層間絶縁膜を形成する。第1層間絶縁膜を貫通して半導体基板に電気的に接続される第1プラグ電極を形成する。第1層間絶縁膜が含有する水分を除去するための所定の熱処理を施す。第1プラグ電極を覆うように第1層間絶縁膜上に、プラズマ化学気相成長法によって第2層間絶縁膜を形成する。第2層間絶縁膜上に、プラズマ化学気相成長法によって所定の誘電率を有する第3層間絶縁膜を形成する。第3層間絶縁膜および第2層間絶縁膜にエッチングを施すことにより、第1層間絶縁膜および第1プラグ電極を露出する配線溝を形成する。配線溝内に配線を形成することにより、配線と半導体基板とを第1プラグ電極を介して電気的に接続する。
【0019】
本発明に係る半導体装置は、半導体基板と第1ゲート電極および第2ゲート電極と第1層間絶縁膜と第2層間絶縁膜と第1プラグ電極と第3層間絶縁膜と配線溝と配線とを備えている。半導体基板は主表面を有している。第1ゲート電極および第2ゲート電極は、互いに間隔を隔てられるように、半導体基板上に形成されている。第1層間絶縁膜は、第1ゲート電極と第2ゲート電極との間の領域において、第1ゲート電極および第2ゲート電極の高さよりも高くなる態様で半導体基板上に形成され、所定含有密度の水分およびOH基を含有するとともに、所定の誘電率を有している。第2層間絶縁膜は第1層間絶縁膜上に形成され、所定含有密度よりも低い水分およびOH基の含有密度を有し、所定の誘電率を有している。第1プラグ電極は第2層間絶縁膜および前記第1層間絶縁膜を貫通して半導体基板に電気的に接続されている。第3層間絶縁膜は、第1層間絶縁膜および第2層間絶縁膜のそれぞれの所定の誘電率よりも低く、シリコン酸化膜の誘電率よりも低い所定の誘電率を有する材料により、第1プラグ電極を覆うように第2層間絶縁膜上に形成され、所定含有密度よりも低い水分およびOH基の含有密度を有している。配線溝は、第3層間絶縁膜を貫通して第2層間絶縁膜および第1プラグ電極を露出する。配線は配線溝内に形成され、第1プラグ電極を介して半導体基板と電気的に接続されている。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一つの実施の形態に係る半導体装置の製造方法によれば、ゲート電極を覆う第1層間絶縁膜が熱化学的気相成長法および塗布法の少なくともいずれかによって形成されることで、隣接するゲート電極間の領域を良好に埋め込むことができる。そして、熱化学的気相成長法等によって形成することで水分の吸湿性が高いとされる第1層間絶縁膜が、プラズマ化学気相成長法によって形成することで耐湿性が高いとされる第2層間絶縁膜によって覆われる。これにより、第1層間絶縁膜中の水分が第1層間絶縁膜より上方へ拡散するのが阻止されて、配線の底面と第1プラグ電極の上面とが接触する第2層間絶縁膜と第3層間絶縁膜との界面に、水分に起因する絶縁破壊経路が形成されるのを防止することができる。その結果、配線と第1プラグ電極とを電気的に確実に接続することができるとともに、隣接する配線と配線との絶縁性を確保することができて、半導体装置としての信頼性を確保することができる。
【0021】
本発明の他の実施の形態に係る半導体装置の製造方法によれば、熱化学的気相成長法によって形成されることで吸湿性が高いとされる第1層間絶縁膜が含有する水分が熱処理によって除去され、その水分が除去された第1層間絶縁膜が、プラズマ化学気相成長法によって形成される耐湿性が高い第2層間絶縁膜によって覆われる。これにより、第1層間絶縁膜と第2層間絶縁膜との界面に絶縁破壊経路が形成されるのを抑制することができる。その結果、半導体装置としての信頼性を向上させることができる。
【0022】
本発明のさらに他の実施の形態に係る半導体装置によれば、第1プラグ電極が貫通するように形成される第2層間絶縁膜および第3層間絶縁膜は、第1層間絶縁膜の所定含有密度よりも低い水分およびOH基の含有密度を有し、そして、配線溝と配線が形成される第3層間絶縁膜は、第1層間絶縁膜および第2層間絶縁膜のそれぞれの所定の誘電率よりも低く、シリコン酸化膜の誘電率よりも低い所定の誘電率を有する材料によって形成されている。これにより、第1層間絶縁膜中の水分が第1層間絶縁膜より上方へ拡散するのが阻止されて、配線の底面と第1プラグ電極の上面とが接触する第2層間絶縁膜と第3層間絶縁膜との界面に、水分に起因する絶縁破壊経路が形成されるのを防止することができる。その結果、配線と第1プラグ電極とを電気的に確実に接続することができるとともに、隣接する配線と配線との絶縁性を確保することができて、半導体装置としての信頼性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る半導体装置について説明する。図1に示すように、本半導体装置では、まず、半導体基板1に形成される半導体素子を覆う絶縁膜11が、埋め込み特性が良好な熱CVD法等によって形成され、そして、その絶縁膜11を覆うように、耐湿性に優れているとされるプラズマCVD法による絶縁膜14が形成されている。その絶縁膜11および絶縁膜14を貫通するようにプラグ13が形成されている。さらに、その絶縁膜14上に、誘電率が比較的低いLow−k膜からなる絶縁膜16が形成され、その絶縁膜16に、ダマシン技術によって、プラグ13に電気的に接続される配線20が形成されている。
【0024】
半導体装置の構造について、さらに詳しく説明する。半導体基板1の主表面には、MISFETQn、QpのようなMISFETを含む半導体素子が形成されている。そのMISFETQn、Qpを覆うように、半導体基板1の表面上に絶縁膜10が形成されている。その絶縁膜10の上に、熱CVD法によって絶縁膜11が形成されている。その絶縁膜11上に、プラズマCVD法によって絶縁膜14が形成されている。絶縁膜11は、MISFETのような半導体素子が形成された半導体基板1の主表面上に、MISFETのゲート電極5aとゲート電極5bとの間を埋めるように形成されている。
【0025】
絶縁膜14は、絶縁膜11よりもシリコン(Si)原子の数密度が大きな膜であり、絶縁膜11よりも吸湿性が低い。絶縁膜10、11、14には、コンタクトホール12が形成されている。そのコンタクトホール12内には、プラグ13が埋込まれている。プラグ13は、MISFETのソース領域またはドレイン領域(n-型半導体領域6a、n+型半導体領域8a、p-型半導体領域6b、p+型半導体領域8b)に電気的に接続されている。また、プラグ13は、ゲート電極と電気的に接続されている(図示せず)。絶縁膜11上には絶縁膜14が形成され、その絶縁膜14上に絶縁膜16が形成されている。すなわち、絶縁膜11と絶縁膜16とは直接接しておらず、絶縁膜11と絶縁膜16との間には絶縁膜14が介在している。
【0026】
絶縁膜16には、開口部17が形成されている。開口部17内には配線20が埋込まれている。開口部17の底には、プラグ13の上面の少なくとも一部が露出し、配線20はプラグ13と接して電気的に接続されている。配線20は、半導体基板1の上に形成された複数の配線層のうちの最下層の配線層からなる。各絶縁膜10、11、14、16を形成するための材料については、後述する。
【0027】
次に、上述した半導体装置の製造方法について説明する。まず、図2に示すように、たとえば1〜10Ωcm程度の比抵抗を有するp型の単結晶シリコンなどからなる半導体基板(半導体ウェハ)1が用意される。次に、その半導体基板1の主表面に、素子分離領域2が形成される。素子分離領域2は、シリコン酸化膜などからなり、たとえばSTI(Shallow Trench Isolation)法またはLOCOS(Local Oxidization of Silicon)法などにより形成される。
【0028】
次に、半導体基板1のnチャネル型MISFETが形成される領域に、p型ウェル3aが形成される。また、半導体基板1のpチャネル型MISFETが形成される領域に、n型ウェル3bが形成される。p型ウェル3aは、たとえばホウ素(B)などのp型の不純物をイオン注入することによって形成される。また、n型ウェル3bは、たとえばリン(P)または砒素(As)などのn型の不純物をイオン注入することによって形成される。
【0029】
次に、半導体基板1の表面(p型ウェル3aおよびn型ウェル3bの表面)に、ゲート絶縁膜4が形成される。ゲート絶縁膜4は、たとえば薄い酸化シリコン膜などからなり、たとえば熱酸化法などによって形成される。次に、図3に示すように、p型ウェル3aのゲート絶縁膜4上に、ゲート電極5aが形成される。また、n型ウェル3bのゲート絶縁膜4上に、ゲート電極5bが形成される。ゲート電極5a、5bは、たとえば多結晶シリコン膜(ドープトポリシリコン膜)などから形成される。
【0030】
ゲート電極5a、5bを形成するには、まず、半導体基板1上に多結晶シリコン膜が形成される。次に、フォトレジスト膜(図示せず)をマスクとして、nチャネル型MISFETが形成される領域に位置する多結晶シリコン膜の部分に、リン(P)または砒素(As)などのn型の不純物をイオン注入することにより、この多結晶シリコン膜の部分が低抵抗のn型半導体膜とされる。そして、他のフォトレジスト膜(図示せず)をマスクとして、pチャネル型MISFETが形成される領域に位置する多結晶シリコン膜の部分に、ホウ素(B)などのp型の不純物をイオン注入することにより、この多結晶シリコン膜の部分が低抵抗のp型半導体膜とされる。次に、この多結晶シリコン膜を、フォトリソグラフィ法およびドライエッチング法を用いてパターニングすることにより、ゲート電極5a、5bが形成される。
【0031】
次に、ゲート電極5aをマスクとしてp型ウェル3aの領域にリン(P)などのn型の不純物をイオン注入することにより、低不純物濃度のn-型半導体領域6aが形成される。また、ゲート電極5bをマスクとして、n型ウェル3bにホウ素(B)などのp型不純物をイオン注入することにより、低不純物濃度のp-型半導体領域6bが形成される。次に、ゲート電極5a、5bの側壁上に、たとえばシリコン酸化膜などからなるサイドウォール絶縁膜7が形成される。サイドウォール絶縁膜7は、たとえば半導体基板1上にシリコン酸化膜を形成し、このシリコン酸化膜に異方性エッチングを施すことによって形成される。
【0032】
次に、ゲート電極5aおよびサイドウォール絶縁膜7をマスクとして、p型ウェル3aにリン(P)などのn型の不純物をイオン注入することにより、n+型半導体領域8a(ソース、ドレイン)が形成される。また、ゲート電極5bおよびサイドウォール絶縁膜7をマスクとして、n型ウェル3bにホウ素(B)などのp型の不純物をイオン注入することにより、p+型半導体領域(ソース、ドレイン)8bが形成される。n+型半導体領域8aは、n-型半導体領域6aよりも不純物濃度が高く、p+型半導体領域8bは、p-型半導体領域6bよりも不純物濃度が高い。
【0033】
次に、ゲート電極5a、5b、n+型半導体領域8aおよびp+型半導体領域8bの表面を露出させ、その表面を覆うように、たとえばニッケル(Ni)膜のような金属膜(図示せず)が形成される。次に、図4に示すように、その金属膜に所定の熱処理を施すことによって、ゲート電極5a、5b、n+型半導体領域8aおよびp+型半導体領域8bの表面に、それぞれ金属シリサイド層9が形成される。これにより、n+型半導体領域8aおよびp+型半導体領域8bの拡散抵抗や、コンタクト抵抗などを低抵抗化することができる。その後、未反応の金属膜(ニッケル膜)が除去される。
【0034】
本半導体装置では、微細化による低抵抗化の要求から、金属シリサイド層9はコバルトシリサイド層ではなく、ニッケルシリサイド層とすることが好ましい。金属シリサイド層9をニッケルシリサイド層とすることで、金属シリサイド層9の抵抗をより低くすることができ、n+型半導体領域8aおよびp+型半導体領域8bの拡散抵抗や、コンタクト抵抗などをより低減することができる。このニッケルシリサイドは、コバルトシリサイドなどと比べて、耐熱性が低く、約500℃で相転位を起こす。このため、金属シリサイド層9を形成した後では、熱処理として、温度約500℃以下の熱処理しか許容できなくなることに留意する必要がある。このようにして、半導体基板1のp型ウェル3aにnチャネル型のMISFETQnが形成され、n型ウェル3bにpチャネル型のMISFETQpが形成される。
【0035】
次に、図5に示すように、ゲート電極5a、5bおよびサイドウォール絶縁膜7を覆うように、半導体基板1の表面上にシリコン窒化膜などからなる絶縁膜10が形成される。次に、その絶縁膜10を覆うように、熱CVD法によってシリコン酸化膜などからなる絶縁膜(第1層間絶縁膜)11が形成される。このとき、絶縁膜11は、MISFETQn、Qpのゲート電極5aとゲート電極5bとのスペースが埋められるように形成される。言い換えると、少なくともゲート電極5aとゲート電極5bとの間の領域において、ゲート電極5aおよびゲート電極5bの高さよりも高くなる態様で、半導体基板上に絶縁膜11を形成する。
【0036】
絶縁膜10の膜厚は、絶縁膜11の膜厚よりも薄い。絶縁膜11は、層間絶縁膜として機能する絶縁膜であり、絶縁膜10は、絶縁膜11にコンタクトホールを形成する際のエッチングストッパ膜として機能する絶縁膜である。絶縁膜10と絶縁膜11とは、互いにエッチング特性(エッチング速度)が異なる材料により形成されており、たとえば絶縁膜10はシリコン窒化膜とされ、絶縁膜11はシリコン酸化膜とされることが好ましい。
【0037】
本半導体装置では、絶縁膜11は、シリコン(Si)と酸素(O)とを構成元素として含有する絶縁膜であり、好ましくは、シリコン(Si)と酸素(O)とを主成分とし、より好ましくは、シリコン酸化(SiOX)膜である。なお、シリコン酸化膜は、典型的には二酸化シリコン(SiO2)膜であるが、本半導体装置では、化学量論比(SiO2)からシリコン(Si)と酸素(O)との原子比(原子数比率)がずれている場合もシリコン酸化膜に含むものとする。
【0038】
絶縁膜11におけるシリコン(Si)と酸素(O)の組成比、すなわち、シリコン(Si)と酸素(O)との原子数比(O原子数/Si原子数)は、1.5以上であることが好ましい、この場合、絶縁膜11は、酸素(O)の含有量がシリコン(Si)の含有量に対して、原子数比で1.5以上となる。また、絶縁膜11の組成をSiOXで表記すると、このSiOXにおけるXは1.5以上(X≧1.5)となる。
【0039】
また、絶縁膜11が、さらに微量の炭素(C)を含有していてもよい。この場合には、絶縁膜11におけるシリコン(Si)と炭素(C)との組成比、すなわち、シリコン(Si)と炭素(C)の原子数比(C原子数/Si原子数)は、0.05以下であることが好ましい。この場合、絶縁膜11は、炭素(C)の含有量がシリコン(Si)の含有量に対して原子数比で5%以下となる。また、絶縁膜11の組成をSiOXYで表記すると、このSiOXYにおけるXは、1.5以上(X≧1.5)で、Yは0.05以下(Y≦0.05)となる。なお、絶縁膜11は、さらに水素(H)を含有していてもよい。
【0040】
ところで、近年、微細化に伴いMISFETのゲート電極間の間隔が狭くなってきており、ゲート電極間のスペースを埋めるように形成すべき絶縁膜11としては、埋込み特性が良好な絶縁膜を用いることが望まれる。プラズマCVD法で形成した絶縁膜は、埋込み特性が比較的悪く、ゲート電極間のスペースが狭い場合には、そのスペースを十分に埋め込むことができず、ボイドが発生する可能性がある。一方、O3−TEOS酸化膜のように熱CVD法で形成した絶縁膜や、SOG膜のように塗布法で形成した絶縁膜は、ゲート電極間のスペースなどの埋込み特性が良好な膜とされる。このため、本半導体装置では、絶縁膜11として、プラズマCVD法により形成される絶縁膜を適用せず、熱CVD法や塗布法により形成される絶縁膜を適用する。
【0041】
すなわち、本半導体装置では、絶縁膜11は、ゲート電極間の狭いスペースを埋込み可能とされる絶縁膜からなり、この絶縁膜11は、プラズマCVD法ではなく、熱CVD法または塗布法によって形成されることが好ましい。そのような絶縁膜11としては、O3−TEOS酸化膜(オゾンテオス膜)またはSOG膜がある。SOG膜としては、たとえばポリシラザン系のSOG膜を用いることができる。SOG膜は、塗布後に温度400℃〜500℃のもとでアニール処理が施される。ポリシラザン系のSOG膜では、窒素(N)成分を酸化させるために、アニール処理は酸化雰囲気中で行なわれることになる。なお、O3−TEOS酸化膜とは、オゾン(O3)およびテトラエトキシシラン(TEOS:Tetraethoxysilane)を原料ガス(ソースガス)として、熱CVD法により形成したシリコン酸化膜である。成膜時の半導体基板の温度は約400℃〜500℃とされる。
【0042】
また、上述したように、本半導体装置では、金属シリサイド層9としてニッケルシリサイド層が形成される。このため、ニッケルシリサイド層の耐熱性(約500℃)の制限が生じることになる。したがって、絶縁膜11を熱CVD法によって形成する場合には、成膜温度を500℃以下にする必要がある。また、絶縁膜11を塗布法によって形成する場合には、塗布後のアニール温度を500℃以下にする必要がある。
【0043】
次に、図6に示すように、絶縁膜11に化学的機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)法による研磨処理を施すことによって、絶縁膜11の上面が平坦化される。なお、絶縁膜11を形成した段階で絶縁膜11に十分な平坦性が確保されるのであれば、この平坦化処理を省略してもよい。
【0044】
次に、図7に示すように、絶縁膜11上に絶縁膜(第2層間絶縁膜)14が形成される。上述したように、絶縁膜11としては、プラズマCVD法により形成される絶縁膜を適用せず、熱CVD法や塗布法により形成される、比較的埋め込み特性が高い絶縁膜が適用される。しかしながら、このような埋込み特性が高い絶縁膜は、プラズマCVD法によって形成される絶縁膜と比べると、膜としての緻密さが低くシリコン(Si)原子数の数密度が小さくなり、吸湿性が高くなる性質がある。
【0045】
同一の材料で比較した場合、たとえば、シリコン酸化膜において、O3−TEOS等を原料ガスとして熱CVD法によって形成されたシリコン酸化膜や、SOGを塗布法により堆積することで形成されたシリコン酸化膜は、TEOS等を原料ガスとしてプラズマCVD法によって形成されたシリコン酸化膜に比べて、膜としての緻密さが低く、シリコン原子数の数密度が小さい。
【0046】
これは、水やOH基の含有密度が、プラズマCVD法によって形成された絶縁膜よりも、熱CVD法や塗布法によって形成された絶縁膜の方が高いからである。さらに、水やOH基の含有密度に関しては、材料が異なっていたとしても、プラズマCVD法によって形成された絶縁膜よりも熱CVD法や塗布法によって形成された絶縁膜の方が高い。このことは、たとえば、後述するプラズマCVD法によって形成されたLow−k絶縁膜、Low−k材料などの低誘電率材料からなる低誘電率絶縁膜、シリコン酸化膜、シリコン酸化窒化膜、シリコン窒化系およびシリコン炭化系の材料と、熱CVD法によって形成されたO3−TEOS酸化膜および塗布法によって形成されたSOG膜との間で成り立つ。このため、絶縁膜14は形成された段階で吸湿しており、水分の含有量が高くなりやすい。
【0047】
ここで、絶縁膜11を形成した後に、たとえば温度800℃以上の高温のもとでアニール処理を施せば、絶縁膜11は緻密になってSi原子の数密度が大きくなり、吸湿しにくくなる。しかしながら、このアニール処理は、金属シリサイド層9を構成するニッケルシリサイド層の耐熱性(約500℃)の制限があるためすることができない。このため、絶縁膜11上に、絶縁膜11に接するように耐湿性が低い膜を形成すると、その膜と絶縁膜11との界面が電気的に弱くなって、この界面が絶縁破壊経路となり、絶縁破壊耐性が低下する可能性がある。
【0048】
そこで、本半導体装置では、絶縁膜14を、電気的特性と耐湿性に優れた膜として形成するために、プラズマCVD法により形成することが好ましい。絶縁膜14は、シリコン(Si)と酸素(O)とを構成元素として含有する絶縁膜とされるが、シリコン(Si)と酸素(O)とを主成分とすることが好ましく、シリコン酸化(SiOX)膜またはシリコン酸化窒化(SiON)膜(または、シリコン酸窒化膜)であることがより好ましい。
【0049】
ここで、シリコン酸化窒化(SiON)膜は、シリコン(Si)と酸素(O)とを主成分とし、これに窒素(N)が導入(添加)された絶縁膜である。絶縁膜14におけるシリコン(Si)と酸素(O)の組成比、すなわち、シリコン(Si)と酸素(O)の原子数比(O原子数/Si原子数)は、1.5以上であることが好ましい。この場合、絶縁膜14は、酸素(O)の含有量がシリコン(Si)の含有量に対して、原子数比で1.5倍以上となる。また、絶縁膜14の組成をSiOXまたはSiOXYで表記すると、このSiOXまたはSiOXYにおけるXは、1.5以上(X≧1.5)となる。
【0050】
絶縁膜14を、窒素(N)を含有しないシリコン酸化(SiOX)膜とすれば、絶縁膜14の誘電率を低くすることができ、後述する配線20間の寄生容量を低減することができる。また、絶縁膜14をシリコン(Si)と酸素(O)と窒素(N)とを含有するシリコン酸化窒化(SiON)膜とする場合には、絶縁膜14におけるシリコン(Si)と窒素(N)の組成比、すなわち、シリコン(Si)と窒素(N)の原子数比(N原子数/Si原子数)は、0.2以下であることが好ましい。
【0051】
この場合、絶縁膜14は、窒素(N)の含有量がシリコン(Si)の含有量に対して原子数比で20%以下となる。また、絶縁膜14の組成をSiOXYで表記すると、このSiOXYにおけるXは1.5以上(X≧1.5)で、Yは0.2以下(Y≦0.2)となる。絶縁膜14におけるシリコン(Si)と窒素(N)の原子数比(N原子数/Si原子数)を0.2以下とすることで、窒素(N)を導入したことによる絶縁膜14の誘電率の増加を抑制して、後述する配線20間の寄生容量を低減することができる。また、絶縁膜14にさらに水素(H)を含有させてもよい。
【0052】
また、絶縁膜14として、シリコン窒化(SiN)系とシリコン炭化(SiC)系の材料を用いてもよいが、シリコン窒化系の材料は誘電率(たとえば比誘電率k=7〜8)が高く、配線間の寄生容量を高めてしまうので、それよりも誘電率が低い(たとえば比誘電率k=3.5〜5程度)のシリコン炭化(SiC)系の材料を用いることが好ましい。
【0053】
シリコン炭化(SiC)系の材料は、シリコン(Si)と炭素(C)を主成分とすることが好ましいが、シリコン(Si)および炭素(C)以外に、水素(H)、窒素(N)、酸素(O)が含まれていてもよい。したがって、絶縁膜14として、シリコン(Si)と炭素(C)とで構成されるシリコン炭化(SiC)膜、シリコン(Si)と炭素(C)と窒素(N)とで構成されるシリコン炭化窒化(SiCN)膜(または、炭素含有シリコン窒化膜)、または、シリコン(Si)と炭素(C)と酸素(O)とで構成されるSiOC膜(または、SiCO膜、炭素含有シリコン酸化膜)を適用することができる。
【0054】
ここで、SiCN膜は、シリコン(Si)と炭素(C)とを主成分とし、これに窒素(N)が導入(添加)された絶縁膜である。また、SiOC膜は、シリコン(Si)と炭素(C)とを主成分とし、これに酸素(O)が導入(添加)された絶縁膜である。このように、絶縁膜14として、シリコン炭化(SiC)系の材料を用いることで、絶縁膜14の誘電率(比誘電率)を、シリコン窒化膜の誘電率(比誘電率)よりも低くすることができる。
【0055】
上述したように、プラズマCVD法によって形成された絶縁膜14は、熱CVD法または塗布法によって形成された絶縁膜11と比べると、狭いスペースを埋込む埋込み特性は劣るが、膜自体は緻密で膜中のシリコン(Si)の原子数の数密度が大きな膜となり、それによって、吸湿性が低く、かつ、耐湿性が高くなる。さらに、プラズマ中での成膜形成法であるプラズマCVD法では、水あるいはOH基などは成膜中に効率良く排出されるため、膜中に水やOH基が取り込まれることなく耐湿性の良い層間絶縁膜を形成することができる。それに対して、熱CVD法では、成膜中に水やOH基の排出性がプラズマCVD法よりも劣るために、ある程度膜中に水やOH基が取り込まれることとなる。また、塗布法においては、材料溶液等を回転塗布した後、加熱硬化処理を行って絶縁膜を形成するために、多量の水やOH基が膜中に取り込まれることとなる。
【0056】
絶縁膜14は、平坦化された絶縁膜11の上面上に形成されるので、埋込み特性は問題にはならず、水分の含有量が高くなりやすい絶縁膜11を、絶縁膜11よりも吸湿性が低く耐湿性に優れた絶縁膜14で覆うことができる。このため、絶縁膜11と絶縁膜14との界面は劇的に電気的に弱くはならず、この界面に絶縁破壊経路が形成されるのを防止することができ、絶縁破壊耐性を向上させることができる。
【0057】
このように、本半導体装置では、絶縁膜14(第2層間絶縁膜)は、絶縁膜11(第1層間絶縁膜)よりもシリコン(Si)原子の数密度が大きな膜とされる。ここで、シリコン(Si)原子の数密度とは、単位体積当たりのシリコン(Si)原子の数に対応する。したがって、絶縁膜14は、絶縁膜11よりも単位体積当たりのシリコン(Si)原子の数が大きいということもできる。
【0058】
絶縁膜11および絶縁膜14のように、シリコン(Si)および酸素(O)を主成分とする絶縁膜の場合、シリコン(Si)原子の数密度が小さいほど、膜の緻密さが低くなり、吸湿性が高くなる。この関係は、シリコン(Si)と酸素(O)とで構成されるシリコン酸化(SiOX)膜の場合の他に、シリコン(Si)と酸素(O)と窒素(N)とで構成されるシリコン酸化窒化(SiON)膜の場合にも、膜中のシリコン(Si)と窒素(N)の原子数比(N原子数/Si原子数)が0.2以下であれば、成り立つ。
【0059】
また、シリコン酸化膜同士を比べた場合、シリコン酸化窒化膜同士を比べた場合、あるいは、シリコン酸化膜とシリコン酸化窒化膜とを比べた場合のいずれであっても、シリコン酸化窒化膜中のシリコン(Si)と窒素(N)との原子数比(N原子数/Si原子数)が0.2以下であれば、上述した関係が成り立つ。
【0060】
さらに、絶縁膜11および絶縁膜14の一方または双方が、微量の炭素(C)をさらに含有する場合でも、上述した関係は成り立つ。なお、微量の炭素とは、この場合、絶縁膜中のシリコン(Si)と炭素(C)との原子数比(C原子数/Si原子数)が0.05以下程度の量をいう。したがって、本半導体装置では、絶縁膜14は絶縁膜11よりもシリコン(Si)原子の数密度が大きい膜であり、絶縁膜14は絶縁膜11よりも吸湿性が低い膜とされる。
【0061】
また、絶縁膜11および絶縁膜14のように、シリコン(Si)および酸素(O)を主成分とする絶縁膜は、フッ酸(HF)によりエッチングされ得るが、シリコン(Si)原子の数密度が小さいほど、フッ酸によるエッチング速度が大きくなる。このため、シリコン(Si)および酸素(O)を主成分とする絶縁膜では、フッ酸によるエッチング速度が大きいほど、シリコン(Si)原子の数密度がより小さく、吸湿性が高い膜であると判断することができる。
【0062】
このことより、フッ酸によるエッチング速度を比べることで、絶縁膜11と絶縁膜14のいずれがシリコン(Si)原子の数密度が大きく、吸湿性が低い膜であるかを判別することができる。本半導体装置では、絶縁膜14は、絶縁膜11よりも、シリコン(Si)原子の数密度が大きく吸湿性が低い膜であるため、フッ酸によるエッチングを行なった場合には、絶縁膜14のエッチング速度は、絶縁膜11のエッチング速度よりも小さくなる。すなわち、熱CVD法によって形成されたO3−TEOS酸化膜やスピンオングラス法によって形成されたSOG膜(絶縁膜11)よりも、プラズマCVD法で形成したシリコン酸化膜またはシリコン酸化窒化膜(絶縁膜14)の方が、シリコン(Si)原子の数密度が大きく、フッ酸によるエッチング速度が小さな膜であり、吸湿性が低い。
【0063】
次に、絶縁膜14上に所定のフォトレジストパターン(図示せず)が形成される。そのフォトレジストパターンをマスクとして、絶縁膜14、絶縁膜11および絶縁膜10にドライエッチングを施すことにより、図8に示すように、コンタクトホール12が形成される。コンタクトホール12は、ゲート電極5a、5b、n+型半導体領域8aおよびp+型半導体領域8bの上方に形成される。そのため、コンタクトホール12の底には、n+型半導体領域8aの一部、または、p+型半導体領域8bの一部が露出する。また、ゲート電極5a、5bの一部が露出する(図示せず)。
【0064】
コンタクトホール12を形成するためのドライエッチングでは、まず、絶縁膜10に対するエッチングレートよりも、絶縁膜14、11に対するエッチングレートが速くなるエッチング条件のもとで、絶縁膜10をエッチングストッパとして機能させることによって、絶縁膜14および絶縁膜11に順次エッチングが施される。次に、絶縁膜14に対するエッチングレートよりも絶縁膜10に対するエッチングレートが速くなるエッチング条件のもとで、絶縁膜10にエッチングを施すことによって、絶縁膜10、11、14を貫通するコンタクトホール12が形成される。
【0065】
コンタクトホール12を形成するために絶縁膜11にエッチングを施す際に、絶縁膜10をエッチングストッパとして機能させることで、そのエッチングにより半導体基板1の領域にエッチングによる損傷を与えたり、加工寸法精度が悪化したりするのを回避することができる。このため、絶縁膜10を形成することが好ましいが、不要であれば、絶縁膜10を形成しなくてもよい。
【0066】
次に、図9に示すように、コンタクトホール12内に、タングステン(W)膜または銅(Cu)膜などの導体からなるプラグ(第1プラグ電極)13が形成される。まず、コンタクトホール12の側壁および底部を含む絶縁膜11上に導電性バリア膜13aが形成される。次に、コンタクトホール12内を埋めるように導電性バリア膜13a上に、主導体膜13bが形成される。導電性バリア膜13aは、たとえば、チタン膜、窒化チタン膜あるいはそれらの積層膜などからなり、主導体膜13bは、たとえば、タングステン(W)膜または銅(Cu)膜などからなる。
【0067】
次に、化学的機械研磨処理あるいはエッチバック処理を施すことにより、絶縁膜11の上面上に位置する導電性バリア膜13aの部分および主導体膜13bの部分が除去されて、コンタクトホール12内に位置する導電性バリア膜13aの部分および主導体膜13bの部分がプラグ13として形成される。プラグ13は、銅(Cu)またはタングステン(W)を主成分とする主導体膜13bとチタン膜等の導電性バリア膜13aからなる。なお、主導体膜13bおよび導電性バリア膜13aを研磨する際には、絶縁膜11との研磨の選択性が低い場合があり、この場合には、絶縁膜11の上面が導電性バリア膜13a等とともに研磨される場合もある。
【0068】
次に、図10に示すように、プラグ13を覆うように、絶縁膜14上に絶縁膜(第3層間絶縁膜)16が形成される。絶縁膜14は、絶縁膜16に配線溝等をエッチングにより形成する際に、そのエッチングによって下層に損傷を与えたり、加工寸法精度が悪化したりするのを回避することにも利用することができる。すなわち、絶縁膜16にエッチングを施す際に、絶縁膜14をエッチングストッパ膜として機能させることができる。このため、絶縁膜14と絶縁膜16とは、エッチング速度が互いに異なる材料によって形成される。このように、絶縁膜16に対するエッチングのエッチングストッパとして絶縁膜14を機能させることにより、絶縁膜16と絶縁膜14との間に新たにエッチングストッパを設ける必要がなくなり、半導体デバイスの低誘電率化を図ることができ、高速化を図ることができる。
【0069】
絶縁膜14をエッチングストッパ膜として機能させるには、絶縁膜14のエッチング速度と絶縁膜16のエッチング速度とのエッチング選択比(絶縁膜16のエッチング速度/絶縁膜14のエッチング速度)を高くすることが好ましい。たとえば、絶縁膜14に対して、エッチング選択比が3以上の絶縁膜を絶縁膜16として用いることが好ましい。
【0070】
上述したように、絶縁膜14は、シリコン酸化(SiOX)膜、シリコン酸化窒化(SiON)膜、シリコン窒化(SiN)膜、または、シリコン炭化(SiC)系材料から形成され、さらには、微量の水素(H)も含有してもよい。絶縁膜14が、これらの膜等からなる絶縁膜の場合には、絶縁膜16の材料として、シリコン(Si)と酸素(O)とを構成元素として含有する絶縁膜であれば、絶縁膜14とのエッチング選択比を確保することができて、絶縁膜14をエッチングストッパ膜として十分に機能させることができる。
【0071】
また、絶縁膜14のエッチングストッパ膜としての機能と、シリコン窒化膜よりも誘電率(比誘電率)が低いというシリコン炭化(SiC)系材料の利点とを考慮すると、絶縁膜14におけるシリコン(Si)と炭素(C)との組成比、すなわち、シリコン(Si)と炭素(C)との原子数比(C原子数/Si原子数)は、0.5以上とすることが好ましい。この場合、絶縁膜14は、炭素(C)の含有量がシリコン(Si)の含有量に対して、原子数比で0.5倍以上となる。
【0072】
また、絶縁膜14をSiC膜とした場合の絶縁膜14の組成をSiCXで表記し、絶縁膜14をSiCN膜とした場合の絶縁膜14の組成をSiCXYで表記し、そして、絶縁膜14をSiCO膜とした場合の絶縁膜14の組成をSiCXYで表記すると、このSiCX、SiCXYまたはSiCXYにおけるXは、0.5以上(X≧0.5)となる。
【0073】
さらに、絶縁膜16として、いわゆるLow−k絶縁膜、Low−k材料などの低誘電率材料からなる低誘電率絶縁膜であれば、隣接する配線間の寄生容量も低減することができるのでより好ましい。なお、低誘電率絶縁膜(Low−k絶縁膜)とは、パッシベーション膜に含まれる酸化シリコン膜(たとえばTEOS酸化膜)の誘電率よりも低い誘電率を有する絶縁膜を例示することができる。一般的には、TEOS酸化膜の比誘電率(ε=4.1〜4.2程度)よりも低い比誘電率を有する絶縁膜(絶縁材料)を低誘電率絶縁膜(低誘電率材料)といい、ε=1.8〜3程度が研究レベルで報告されている。
【0074】
上述した低誘電率材料としては、有機ポリマー系材料とシリカ系材料とがある。このうち、主成分としてSiを含まない有機ポリマーは変形しやすく、変形しにくい配線群に応力が集中して断線しやすいという欠点がある。そこで、低誘電率材料としては、シリコン(Si)と酸素(O)とを主成分とするシリカ系材料が主に用いられる。そのシリカ系の低誘電率材料としては、たとえば、Si−CH3を含むものがある。Si−CH3系材料は、一般的には、SiOCまたはOSG(Organo Silica Glass)と称され、比誘電率は、2.1〜3.3程度である。
【0075】
さらに、プラズマCVD法によって形成されるシリコン酸化フッ化(SiOF)膜(または、フッ素含有シリコン酸化膜)でもよく、比誘電率は3.5〜3.9である。これら低誘電率材料であるSiOC、OSGおよびSiOFは、絶縁膜14の材料であるシリコン酸化(SiO)膜、シリコン酸化窒化(SiON)膜、シリコン窒化(SiN)膜、または、シリコン炭化(SiC)膜とのエッチング選択性を簡単に稼ぐことができ、エッチング選択比(絶縁膜16のエッチング速度/絶縁膜14のエッチング速度)を3以上とすることができる。なお、ここでのエッチング選択性とは、絶縁膜16に配線溝等をエッチングにより形成する際のエッチング選択性をいう。
【0076】
ここで、成膜方法について説明する。Si−CH3系材料は、回転塗布法によってもプラズマCVD法によっても形成することができる。しかしながら、回転塗布法により絶縁膜16を形成した場合、溶液を回転塗布した後、加熱硬化処理が行われるため、絶縁膜16中に水分が多量に含まれることとなり、絶縁膜14と絶縁膜16との間の界面に水分に起因する絶縁破壊経路が形成されることとなる。したがって、このことを防ぐために本発明ではプラズマCVD法によって絶縁膜16を形成する。
【0077】
プラズマCVD法で形成する場合には、原料ガスの主成分は、Si−CH3を含有する成分(TMS(Trimethyl Silane)、TMCTS(Tetramethyl Cyclo Tetrasiloxanes)など)、酸化剤(O2、CO2など)などであり、この原料ガスを、基板温度350℃〜400℃のもとで反応させることによって低誘電率絶縁膜が形成される。
【0078】
絶縁膜16は、シリコン(Si)と酸素(O)とを含有する絶縁膜であるが、シリコン(Si)および酸素(O)以外に、炭素(C)、水素(H)、フッ素(F)が含まれていてもよい。このように、絶縁膜16は、シリコン(Si)と酸素(O)とを含有し、好ましくは、シリコン(Si)と酸素(O)とを主成分とし、より好ましくは、シリコン酸化膜またはシリコン酸化膜よりも低い誘電率を有する低誘電率絶縁膜である。絶縁膜16として、低誘電率絶縁膜を用いる場合には、上述したように、シリコン(Si)と酸素(O)とを主成分とするシリカ系の低誘電率材料を用いることが好ましい。
【0079】
絶縁膜16におけるシリコン(Si)と酸素(O)との組成比、すなわち、シリコン(Si)と酸素(O)との原子数比(O原子数/Si原子数)は、1.0以上であることが好ましい。この場合、絶縁膜16は、酸素(O)の含有量がシリコン(Si)の含有量に対して、原子数比で1.0倍以上となり、絶縁膜16は、酸素(O)の含有量がシリコン(Si)の含有量以上となる。また、絶縁膜16の組成を、SiOXY(絶縁膜16が炭素を含有するシリカ系低誘電率材料膜の場合に対応)と表記すると、このSiOXYにおけるXは、1.0以上(X≧1.0)となる。また、比誘電率を、たとえば3.3以下の低い値にするためには、SiOXYにおけるYは、0.5以上(Y≧0.5)とすることが好ましい。
【0080】
絶縁膜14としてシリコン酸化(SiOX)を適用し、絶縁膜16の材料としてシリコン(Si)と酸素(O)とを主成分としている場合、絶縁膜14中に窒素(N)や炭素(C)を含んでいないため、絶縁膜16のエッチングとの関係では、絶縁膜14はエッチングストッパとしての十分なエッチング選択比が得られない場合がある。
【0081】
したがって、絶縁膜16の材料としては、低誘電率材料(Low−k絶縁膜、Low−k材料)からなる低誘電率絶縁膜であれば、絶縁膜14に対して高いエッチング選択比を得ることができるとともに、隣接した配線間の寄生容量を低減することができる。本半導体装置では、絶縁膜14としてシリコン酸化(SiOX)膜を用い、絶縁膜16として、低誘電率材料からなる低誘電率絶縁膜が用いられる。
【0082】
次に、図10に示すように、絶縁膜16上にフォトリソグラフィ法により所定のレジストパターンRP1が形成される。次に、図11に示すように、レジストパターンRP1をエッチングマスクとして、絶縁膜16にドライエッチングを施して絶縁膜16を選択的に除去することにより、開口部17が形成される。このとき、絶縁膜14よりも絶縁膜16をドライエッチングしやすいエッチング条件のもとで絶縁膜16をエッチングすることにより、下層の絶縁膜14をエッチングストッパ膜として機能させることができる。開口部14の底には、絶縁膜14が露出するとともに、プラグ13の上面が露出する。その後、図12に示すように、レジストパターンRP1が除去される。
【0083】
ここで、設計上は、プラグ13の上面全体が開口部17の底に露出するように、絶縁膜16に開口部17が形成される。しかしながら、実際には、フォトリソグラフィ(レジストパターンRP1)の位置合わせ誤差などに起因して、開口部17とプラグ13の位置ずれが発生する可能性がある。この位置ずれがあっても、プラグ13の上面の全体が開口部17の底に露出するようにするには、ずれ量を見込んで開口部17の寸法を予め大きく設計しておけばよいが、そうすると、その分、半導体装置のチップサイズが大きくなることが懸念される。
【0084】
そこで、電気的接続に十分な接触面積が得られることを条件として、プラグ13の上面の一部が開口部17内に露出せずに、開口部17が平面的に見て外側に張り出すことを許容するのが一般的である。図12に示す工程では、プラグ13のうち、一部のプラグ13dは、その上面の全体が開口部17の底に露出しているが、プラグ13cは、上面の一部だけが開口部17の底に露出している。
【0085】
次に、図13に示すように、開口部17の底および側壁を含む絶縁膜16上に、たとえばタンタル(Ta)膜、窒化タンタル(TaN)膜あるいはこれらの積層膜などからなる膜厚約50nm程度の比較的薄い導電性バリア膜18が形成される。導電性バリア膜18は、スパッタリング法やCVD法などによって形成される。また、導電性バリア膜18は、たとえば後述する主導体膜19の銅の拡散を抑制または防止する機能、および、主導体膜19と絶縁膜(絶縁膜14〜16)との密着性を向上させる機能などを有している。
【0086】
このような導電性バリア膜18の材料としては、上述したタンタル系の材料に代えて、銅とほとんど反応しない窒化タングステン(WN)または窒化チタン(TiN)などのような高融点金属窒化物などを用いることもできる。また、導電性バリア膜18の材料として、高融点金属窒化物にシリコン(Si)を添加した材料や、銅と反応しにくいチタン(Ti)、タングステン(W)、チタンタングステン(TiW)合金、ルテニウム(Ru)などのような高融点金属を用いることもできる。また、導電性バリア膜18としては、上述した材料の単体膜でなく、積層膜を用いることもできる。
【0087】
次に、導電性バリア膜18上に、開口部17を充填するように、たとえば膜厚約800〜3600nm程度の、導電性バリア膜18に対して相対的に厚い銅からなる主導体膜19が形成される。主導体膜19は、たとえばスパッタリング法またはめっき法などを用いて形成される。また、主導体膜19は、銅を主成分とする導体膜、たとえば銅または銅合金(Cuを主成分とし、たとえばMg、Ag、Pd、Ti、Ta、Al、Nb、ZrまたはZnなどを含む)により形成することができる。
【0088】
あるいは、導電性バリア膜18上に、相対的に薄い銅(または銅合金)などからなるシード膜をスパッタリング法などによって形成し、そのシード膜上に相対的に厚い銅(または銅合金)などからなる主導体膜19をめっき法などによって形成することもできる。その後、たとえば非酸化性雰囲気(たとえば水素雰囲気)中において、半導体基板1に熱処理を施すことにより主導体膜19の結晶粒を成長させる。
【0089】
次に、図14に示すように、化学的機械研磨法により、絶縁膜16の上面が露出するまで、主導体膜14および導電性バリア膜18が研磨される。絶縁膜16の上面内に位置する導電性バリア膜18および主導体膜19の部分が除去されて、開口部17内に導電性バリア膜18および主導体膜19が残されることにより、開口部17内に配線20が形成される。配線20は、相対的に薄い導電性バリア膜18と相対的に厚い主導体膜19とからなる。
【0090】
配線20は、絶縁膜16に形成された開口部17内に埋込まれた配線(埋込み配線)であり、その配線20の底の一部がプラグ13の上面に接することで、配線20はプラグ13と電気的に接続されている。これにより、配線20は、プラグ13を介してn+型半導体領域(ソース、ドレイン)8a、p+型半導体領域(ソース、ドレイン)8bあるいはゲート電極5a、5bなどと電気的に接続されることになる。なお、化学的機械研磨法の他に、たとえば、電荷エッチングなどのエッチング法によって不要な導電性バリア膜18および主導体膜19を除去してもよい。
【0091】
また、本半導体装置では、図12に示す工程において説明したように、開口部17とプラグ13との位置合わせずれを許容しており、プラグ13の上面の少なくとも一部が開口部17から露出して配線20と接していればよい。このため、プラグ13のうち、プラグ13dでは、その上面の全部が配線20に接しているが、プラグ13cでは、その上面の一部だけが配線20と接し、他の上面の部分は絶縁膜16によって覆われた状態となっている。すなわち、プラグ13cでは、上面の一部が配線20と接し、残りの上面の部分は絶縁膜16で覆われた状態となっている。
【0092】
このような場合には、プラグ13cと、このプラグ13cに接続された配線20aに隣接する配線20bとの間の距離が、隣り合う配線20間の間隔(配線20aと配線20bとの間隔)が最も接近した間隔よりも短くなってしまい、互いに近接したプラグ13cと配線20bとの間の、特に、絶縁膜14と絶縁膜16との界面において絶縁破壊が生じやすくなる。
【0093】
この絶縁破壊に関して、発明者らの研究により、この絶縁膜破壊は、絶縁膜14と絶縁膜16との界面の水分に起因することが実験により確認された。本半導体装置では、吸湿して水分を比較的多く含んでいる絶縁膜11の上に、水分を透過しにくい絶縁膜14を積層することで、絶縁膜14と絶縁膜16との界面は水分が排除された界面になっている。これにより、絶縁膜14と絶縁膜16との界面において弱い絶縁破壊経路が形成されるのを防止することができ、たとえ、プラグ13cと配線20bとの間が近接したとしても、プラグ13cと配線20bとの間で絶縁破壊が生じるのを防止することができることが確認された。さらに、絶縁膜14および絶縁膜16を製造上水分を含有しにくいプラズマCVD法によって形成することにより、絶縁膜14と絶縁膜16との間の界面に水分に起因する絶縁破壊経路が形成されることを防ぐことができる。
【0094】
次に、半導体基板1がプラズマCVD装置の処理室内に配置される。そのプラズマ処理装置室内にアンモニアガスを導入してプラズマ電源を印加することにより、半導体基板1に対してアンモニア(NH3)プラズマ処理が施される。また、あるいは、窒素(N2)ガスおよび水素(H2)ガスを導入し、N2/H2プラズマ処理を施してもよい。このような還元性プラズマ処理を施すことにより、化学的機械研磨処理を施すことによって酸化された配線20の表面の酸化銅(CuO、Cu2O、CuO2)が銅(Cu)に還元され、さらに、窒化銅(CuN)層が配線20の表面のごく薄い領域に形成される。
【0095】
次に、図15に示すように、配線20を覆うように、半導体基板1の表面上に絶縁膜21が形成される。絶縁膜21は、銅配線からなる配線20のバリア絶縁膜として機能する。したがって、絶縁膜21は、配線20の主導体膜19の銅が、後で形成される絶縁膜22中に拡散するのを抑制または防止する。絶縁膜21は、銅に対するバリア性に優れた材料膜と用いることが好ましく、たとえば、シリコン窒化(SiN)膜、シリコン炭化(SiC)膜またはシリコン炭化窒化(SiCN)膜を用いることが好ましい。これらの膜は、たとえばプラズマCVD法などによって形成することができる。
【0096】
また、シリコン酸化窒化(SiON)膜も、銅(Cu)の拡散を抑制または防止する機能を有している。このため、絶縁膜として、シリコン(Si)と酸素(O)と窒素(N)とを含有していれば、絶縁膜22だけでなく、絶縁膜16にも銅(Cu)の拡散を抑制または防止する機能を持たせることができる。また、隣接する配線20間の絶縁膜16と絶縁膜21との界面において、絶縁破壊経路が形成されるのをさらに抑制または防止することができる。これにより、配線20の信頼性をより向上させることができる。
【0097】
次に、絶縁膜21上に、絶縁膜22、絶縁膜23および絶縁膜24が順次形成される。絶縁膜22、24は、絶縁膜16と同様の材料によって形成することができる。また、絶縁膜23は、エッチングストッパ膜として、絶縁膜14と同様の材料によって形成することができる。
【0098】
次に、図16に示すように、ドライエッチング法などにより、絶縁膜21〜24に配線20に達する開口部(ビア)30および開口部(配線溝)31が形成される。開口部31は、絶縁膜24および絶縁膜23を選択的に除去することにより形成される。開口部30は、開口部31の底において、絶縁膜22および21を選択的に除去することにより形成される。開口部3の底には、配線20の上面が露出する。次に、開口部30の底に露出した配線20の表面に形成された酸化銅が除去される。これは、たとえば、水素(H2)プラズマ処理のような還元性プラズマ処理により、配線20の表面に形成された酸化銅(CuO、Cu2O、CuO2)を銅(Cu)に還元することにより行なわれる。
【0099】
次に、開口部30および開口部31の底面および側面を含む絶縁膜24上に、導電性バリア膜18と同様の材料からなる薄い導電性バリア膜32が形成される。導電性バリア膜32は、導電性バリア膜18と同様の機能を有し、たとえば、後述する主導体膜33の銅の拡散を抑制または防止する機能、および、主導体膜33と絶縁膜21〜24との密着性を向上させる機能などを有している。次に、開口部30、31内を充填するように、導電性バリア膜32上に、主導体膜19と同様の材料からなる主導体膜33が形成される。その後、たとえば非酸化性雰囲気(たとえば水素雰囲気)中において、半導体基板1に熱処理を施すことにより、主導体膜33の結晶粒を成長させる。
【0100】
次に、化学的機械研磨法により主導体膜33および導電性バリア膜32に研磨処理を施すことで、絶縁膜24の上面を露出させる。絶縁膜24の上面上に位置する導電性バリア膜32および主導体膜33の部分が除去されて、開口部30、31内に導電性バリア膜32および主導体膜33が残されることにより、配線34が形成される。配線34は、開口部31に位置する導電性バリア膜32および主導体膜33の部分からなる配線部(配線本体)と、開口部(ビア)30に位置する導電性バリア膜32および主導体膜33の部分からなるビア部とを有している。配線34の配線部は、配線34のビア部を介して、配線20と電気的に接続されている。その後、図15および図16に示す工程と同様の工程を必要に応じて繰返すことにより、さらに上層の配線層を形成することができるが、ここではその説明を省略する。こうして、半導体装置の主要部分が形成されることになる。
【0101】
上述した半導体装置の製造方法では、まず、MISFETのゲート電極5a,5bを覆うように熱CVD法によって絶縁膜11が形成され、その絶縁膜11を覆うように絶縁膜11上に、プラズマCVD法によって絶縁膜14が形成される。次に、その絶縁膜11および絶縁膜14にプラグ13が形成され、そのプラグ13を覆うようにLow−k膜等の低誘電率材料からなる絶縁膜16が形成される。そして、その絶縁膜16に、プラグ13に電気的に接続される配線20が形成される。
【0102】
このため、まず、ゲート電極5a,5bを覆う絶縁膜11が熱CVD法によって形成されることで、隣接するゲート電極5aとゲート電極5bとの間の領域を良好に埋め込むことができる。そして、熱CVD法によって形成することで水分の吸湿性が高いとされる絶縁膜11が、プラズマCVD法によって形成することで耐湿性が高いとされる絶縁膜14によって覆われる。これにより、図17に示すように、絶縁膜11中の水分が絶縁膜11より上方へ拡散するのが阻止されて、配線20の底面とプラグ13の上面とが接触する絶縁膜14と絶縁膜16との界面に、水分に起因する絶縁破壊経路が形成されるのを防止することができる。その結果、配線20とプラグ13とを電気的に確実に接続することができるとともに、隣接する配線20と配線20との絶縁性を確保することができて、半導体装置としての信頼性を確保することができる。
【0103】
さらに、絶縁膜16のエッチングの際に、絶縁膜14をエッチングストッパとして用いることで、絶縁膜16と絶縁膜14との間に新たにエッチングストッパを設ける必要がない。また、絶縁膜16も低誘電率材料で構成されているために半導体デバイスの動作の高速化を図ることができる。さらに、絶縁膜14や絶縁膜16をプラズマCVD法によって形成することで、製造過程で絶縁膜14や絶縁膜16に含まれる水分が少なくなり、絶縁膜14と絶縁膜16との間の界面に水分に起因する絶縁破壊経路が形成されることを防止することができる。
【0104】
(実施の形態2)
ここでは、生産性(スループット)を向上させることのできる半導体装置について説明する。前述したゲート電極5a、5bを覆う絶縁膜11は、埋込み特性を良好にするための絶縁膜であり、熱CVD法によって形成される。熱CVD法は、定性的には成膜速度が極めて小さい。そこで、ゲート電極の埋込みにだけ熱CVD法による絶縁膜11を形成し、その絶縁膜11を形成した後に、成膜速度の比較的速いとされるプラズマCVD法によって絶縁膜14aを形成することにより、生産性を向上させることが可能となる。
【0105】
また、熱CVD法による絶縁膜11に比べて、プラズマCVD法による絶縁膜14aの方が硬度が高く、CMP処理によるスクラッチに対する耐性が高いため、熱CVD法で形成された絶縁膜11に対してCMP処理を施さないこの実施の形態はその点からも優れている。
【0106】
図18に示すように、本実施の形態に係る半導体装置では、ゲート電極5a,5bの埋込みにだけ熱CVD法による絶縁膜11が形成されることで、絶縁膜11では下地のゲート電極5a,5bを覆う部分が周囲よりも突出している。そして、その絶縁膜11を覆うように、プラズマCVD法によって絶縁膜14aが形成されている。なお、これ以外の構成については、図1に示す半導体装置と同様なので、同一部材には同一符号を付しその説明を省略する。
【0107】
次に、上述した半導体装置の製造方法について説明する。前述した図1から図4に示す工程を経た後、図19に示すように、熱CVD法により、ゲート電極5aとゲート電極5bとの間の領域を埋込むように絶縁膜11が形成される。言い換えると、少なくともゲート電極5aとゲート電極5bとの間の領域において、ゲート電極5aおよびゲート電極5bの高さよりも高くなる態様で、半導体基板上に絶縁膜11を形成する。
【0108】
その絶縁膜11上に、プラズマCVD法によりシリコン酸化膜からなる絶縁膜14aが形成される。ここでは、絶縁膜11は、隣接するゲート電極5a、5b間の領域を充填するのに最小限の膜厚をもって形成される。また、その絶縁膜11上に形成される絶縁膜14aは、平坦性と所定の膜厚を確保するために形成される。
【0109】
次に、図20に示すように、化学的機械研磨法により絶縁膜14aの上面を研磨することで、絶縁膜14aの表面が平坦化される。このとき、絶縁膜11の表面が露出しないように絶縁膜14aのみが研磨される。そのため、あらかじめ、絶縁膜14aを十分な膜厚をもって形成しておくこと必要がある。研磨された絶縁膜14aの上面は、平坦化された状態となる。
【0110】
次に、図8に示す工程と同様にして、図21に示すように、絶縁膜14a、11にコンタクトホール12が形成される。次に、図9に示す工程と同様にして、そのコンタクトホール12内にプラグ13が形成される(図22参照)。次に、図10〜図14に示す工程と同様の工程を経て、配線等が形成される。図22に示すように、プラグ13を覆うように、絶縁膜14a上に絶縁膜16が形成される。その絶縁膜16上に、レジストパターンRP1が形成される。
【0111】
そのレジストパターンRP1をマスクとして、絶縁膜16に異方性エッチングを施すことにより開口部17(図23参照)が形成される。このとき、前述したように、絶縁膜14aをエッチングストッパとして機能させ、絶縁膜16にエッチングを施すことにより絶縁膜16に開口部17が形成される。次に、図23に示すように、開口部17内に配線20が形成される。その後、図15および図16に示す工程と同様にして、絶縁膜22、23、24、開口部30、31および配線34が形成される(図15、図16を参照)。
【0112】
上述した半導体装置の製造方法によれば、前述した実施の形態1に係る効果に加えて、次のような効果が得られる。すなわち、成膜速度の比較的遅い熱CVD法によって、ゲート電極5a、5b間の領域を埋込むに必要な最小の膜厚をもって絶縁膜11を形成し、その絶縁膜11上に、成膜速度の比較的速いプラズマCVD法によって絶縁膜14aを形成することにより、前述した半導体装置の製造方法と比べて、よりスループットを上げて生産性を向上することができる。
【0113】
(実施の形態3)
ここでは、熱CVD法によって形成される絶縁膜が、プラズマCVD法によって形成される絶縁膜によって確実に覆われる半導体装置について説明する。図24に示すように、本実施の形態に係る半導体装置では、絶縁膜11上に絶縁膜14aが形成され、その絶縁膜14a上にさらに絶縁膜14bが形成されている。後述するように、絶縁膜11は熱CVD法によって形成され、絶縁膜14a、14bは、プラズマCVD法によって形成される。なお、これ以外の構成については、図1に示す半導体装置と同様なので、同一部材には同一符号を付しその説明を省略する。
【0114】
次に、上述した半導体装置の製造方法について説明する。まず、前述した図19に示す工程の後、図25に示すように、化学的機械研磨法により絶縁膜14aに研磨処理が施される。このとき、ゲート電極5a、5bを覆う絶縁膜11の部分では、凸状に盛り上がっていることで、この部分では、絶縁膜11の表面が露出することになる。次に、図26に示すように、絶縁膜14a、11上に、プラズマCVD法によって絶縁膜14bが形成される。この絶縁膜14bは、下層の絶縁膜14aと密着性の良い膜であることが好ましく、同種の膜であることが好ましい。
【0115】
次に、図8に示す工程と同様にして、図27に示すように、絶縁膜14b、14a、11に、コンタクトホール12が形成される。次に、図9に示す工程と同様にして、そのコンタクトホール12内にプラグ13が形成される。次に、図10〜図14に示す工程と同様の工程を経て、配線等が形成される。図28に示すように、プラグ13を覆うように、絶縁膜14b上に絶縁膜16が形成される。その絶縁膜16上に、レジストパターンRP1が形成される。
【0116】
そのレジストパターンRP1をマスクとして、絶縁膜16に異方性エッチングを施すことにより開口部17(図29参照)が形成される。このとき、前述したように、絶縁膜14bをエッチングストッパとして機能させ、絶縁膜16にエッチングを施すことにより絶縁膜16に開口部17が形成される。次に、図29に示すように、開口部17内に配線20が形成される。その後、図15および図16に示す工程と同様にして、絶縁膜22、23、24、開口部30、31および配線34が形成される(図15、図16を参照)。
【0117】
上述した半導体装置の製造方法によれば、前述した実施の形態1に係る効果に加えて、次のような効果が得られる。すなわち、絶縁膜14aに研磨処理を施す際に、絶縁膜14aの残膜の確保が困難な場合等において、絶縁膜14aを覆うように絶縁膜14bを形成することによって、絶縁膜11上に、絶縁膜14aおよび14bを所定の膜厚分だけ確保することができる。また、絶縁膜14aに研磨処理を施す際に、絶縁膜11の表面が露出したとしても、その露出した絶縁膜11が絶縁膜14bによって覆われることで、熱CVD法によって形成されることで比較的多く水分を含む絶縁膜11中の水分が、上方へ拡散するのを確実に阻止することができて、電気的な信頼性をさらに向上させることができる。
【0118】
(実施の形態4)
ここでは、プラグが銅以外の金属から形成され、また、そのプラグが形成される絶縁膜と、その絶縁膜に接して配線が形成される絶縁膜とが同じ主成分からなる絶縁膜である場合について説明する。
【0119】
図30に示すように、本実施の形態に係る半導体装置では、熱CVD法によって形成される絶縁膜11に、銅以外の金属からなるプラグ13が形成され、そのプラグ13を覆うように、絶縁膜11上に絶縁膜14cが、プラズマCVD法によって形成されている。その絶縁膜14c上に絶縁膜16が形成されている。絶縁膜16、14cに、プラグ13の表面を露出する開口部17が形成され、その開口部17に配線20が形成されている。なお、これ以外の構成については、図1に示す半導体装置と同様なので、同一部材には同一符号を付しその説明を省略する。
【0120】
次に、上述した半導体装置の製造方法について説明する。前述した図2〜図6に示す工程と同様の工程を経た後、図31に示すように、絶縁膜11、10に、n+型半導体領域8a、p+型半導体領域8bの表面を露出するコンタクトホール12が形成される。また、ゲート電極5a、5bの表面を露出するコンタクトホール(図示せず)も形成される。次に、図32に示すように、コンタクトホール12内にプラグ13が形成される。プラグ13は、銅以外の金属として、たとえばタングステン等から形成される導体部3bおよび導電性バリア膜13aからなる。
【0121】
次に、図33に示すように、プラグ13を覆うように絶縁膜11上に絶縁膜14cが形成される。前述したように、熱CVD法によって形成される絶縁膜11は、吸湿性が高く水分の含有量が多くなりやすい。そのため、絶縁膜11上に耐湿性が低い絶縁膜が形成されると、その絶縁膜と絶縁膜11との界面に絶縁破壊経路が形成されて、絶縁破壊耐性が低下するおそれがある。
【0122】
そこで、絶縁膜14cと絶縁膜11との界面に絶縁破壊経路が形成されないようにするために、絶縁膜14cは、プラズマCVD法によって形成されることが好ましい。また、絶縁膜14cを形成する前に、絶縁膜11に、温度400〜500℃、時間約20分程度のアニール処理を施すことにより、絶縁膜11に含まれる水分を除去する効果があることを発明者らは確認している。そのために、プラグ13を形成した後、絶縁膜14cを形成する前にこのアニール処理を施す。
【0123】
さらに、絶縁膜14cの主成分は絶縁膜11と主成分が同じであることが好ましく、絶縁膜14cの主成分をシリコン(Si)と酸素(O)とすることが好ましい。典型的な材料としては、TEOSガスを原料としてプラズマCVD法によって形成されたシリコン酸化膜や、シラン系ガスを原料としてプラズマCVD法によって形成されたシリコン酸化膜や窒素含有シリコン酸化膜がある。
【0124】
次に、絶縁膜14c上に絶縁膜16が形成される。絶縁膜14cは、絶縁膜16に配線を形成するための溝や孔をエッチングによって形成する際に、オーバーエッチングにより下層に損傷を与えたり、加工寸法精度が低下したりするのを回避するために形成される。すなわち、絶縁膜14cは、絶縁膜16にエッチングを施す際のエッチングストッパとして機能させることができる。このため、絶縁膜14cと絶縁膜16とは、エッチング速度が互いに異なるように、異なる材料により形成されることが好ましい。絶縁膜16としては、前述した半導体装置と同様に、Low−k膜が好ましい。
【0125】
次に、絶縁膜16上にフォトリソグラフィ法により所定のレジストパターンRP1が形成される。次に、図34に示すように、レジストパターンRP1をエッチングマスクとして、絶縁膜16にドライエッチングを施して絶縁膜16を選択的に除去することにより、絶縁膜14cの表面を露出する開口部17が形成される。このとき、絶縁膜14cよりも絶縁膜16をドライエッチングしやすい条件のもとで絶縁膜16をエッチングすることにより、下層の絶縁膜14cをエッチングストッパ膜として機能させることができる。次に、図35に示すように、レジストパターンRP1をマスクとして、開口部17の底に露出した絶縁膜14cの部分にドライエッチングを施すことにより、プラグ13の表面を露出する開口部17が形成される。その後、レジストパターンRP1が除去される。
【0126】
次に、図36に示すように、開口部17内に、導電性バリア膜18および主導体膜19を含む配線20が形成される。導電性バリア膜18として、たとえば、タンタル(Ta)膜、窒化タンタル(TaN)膜あるいはこれらの積層膜として形成される。また、主導体膜19は、たとえば銅または銅合金により形成される。こうして、半導体装置の主要部分が形成される。
【0127】
上述した半導体装置の製造方法では、熱CVD法によって形成されることで水分の吸湿性が高いとされる絶縁膜11が、熱処理を加えられることによって水分を除去されたうえで絶縁膜11と同じ主成分を有し、プラズマCVD法によって形成されることで耐湿性が高いとされる絶縁膜14によって覆われる。これにより、絶縁膜11と絶縁膜14cとの界面の密着性が上がるうえに、絶縁膜11から水分が除去されているため、この界面に絶縁破壊経路が形成されるのを抑制することができる。その結果、半導体装置としての信頼性を向上させることができる。
【0128】
また、本半導体装置では、前述した半導体装置と同様に、開口部17とプラグ13との位置合わせずれを許容しており、プラグ13の上面の少なくとも一部が開口部17から露出して配線20と接していればよい。このため、プラグ13のうち、プラグ13dでは、その上面の全部が配線20に接しているが、プラグ13cでは、その上面の一部だけが配線20と接し、他の上面の部分は絶縁膜16によって覆われた状態となっている。すなわち、プラグ13cでは、上面の一部が配線20と接し、残りの上面の部分は絶縁膜16で覆われた状態となっている。
【0129】
このような場合には、プラグ13cと、このプラグ13cに接続された配線20aに隣接する配線20bとの間の距離が、隣り合う配線20間の間隔(配線20aと配線20bとの間隔)が最も接近した間隔よりも短くなってしまい、互いに近接したプラグ13cと配線20bとの間の絶縁膜14と絶縁膜16との界面において、絶縁破壊が生じやすくなる。
【0130】
このため、比較的水分含有量が多い絶縁膜11に対して熱処理を行って水分を除去したうえで、絶縁膜11の主成分と同じ主成分を有し耐湿性が高い絶縁膜14cを形成することにより、プラグ13cと配線20bとの間に電気的に弱い絶縁破壊経路が形成されるのを防止することができる。これにより、たとえ、プラグ13cと配線20bとの間が接近したとしても、プラグ13cと配線20bとの間で絶縁破壊が生じるのを防止することができる。また、プラグ13が銅以外の金属から形成されることで、銅が絶縁膜14c中に拡散して、所定のプラグ13に対してそのプラグ13に接続される配線とは異なる他の配線と電気的に接続されるようなことがなくなる。
【0131】
なお、プラグ13が銅(Cu)を含有する場合は、絶縁膜14cが、シリコン酸化窒化(SiON)膜であることが好ましい。シリコン(Si)と酸素(O)と窒素(N)とを含有するシリコン酸化窒化(SiON)膜は、銅の拡散を抑制または防止する機能を有しているため、プラグ13が銅(Cu)を含有する場合は、絶縁膜14cをシリコン酸化窒化(SiON)膜とすれば、たとえ、開口部17とプラグ13との位置合わせずれにより、プラグ13cの上面の一部が絶縁膜14cによって覆われた状態となったとしても、プラグ13中の銅(Cu)が絶縁膜14c中に拡散するのを抑制または防止することができる。これにより、プラグ13cと配線20bとの間で絶縁破壊が生じるのを確実に防止することができる。
【0132】
本半導体装置では、上述したように、プラグ13が銅(Cu)を含む場合を想定している。プラグ13をなす主導体膜13bが、たとえばタングステン(W)を主成分とする場合には、プラグ13から絶縁膜14cへの銅の拡散を考慮する必要がないので、絶縁膜14cとして、シリコン酸化(SiOX)膜とシリコン酸化窒化(SiON)膜のいずれを用いてもよい。誘電率を考慮すると、シリコン酸化(SiOX)膜を用いることが好ましい。シリコン酸化窒化(SiON)膜よりもシリコン酸化(SiOX)膜のほうが誘電率を低くすることができるので、絶縁膜14cとしてシリコン酸化(SiOX)膜を用いることにより、隣接する配線20間の寄生容量をより低減することができる。
【0133】
(実施の形態5)
ここでは、プラグが銅を含む金属から形成され、また、そのプラグが形成される絶縁膜に接して配線が形成される絶縁膜が、銅の拡散を防止する絶縁膜である場合について説明する。
【0134】
図37に示すように、本実施の形態に係る半導体装置では、熱CVD法によって形成される絶縁膜11上に、プラズマCVD法によって絶縁膜14が形成されている。その絶縁膜14,11にプラグ13が形成されている。そのプラグ13を覆うように、プラズマCVD法によって、絶縁膜14dが絶縁膜14上に形成されている。その絶縁膜14d上に絶縁膜16が形成されている。絶縁膜16、14dに、プラグ13の表面を露出する開口部17が形成され、その開口部17に配線20が形成されている。なお、これ以外の構成については、図1に示す半導体装置と同様なので、同一部材には同一符号を付しその説明を省略する。
【0135】
次に、上述した半導体装置の製造方法について説明する。まず、前述した図2〜図9に示す工程と同様の工程を経た後、図38に示すように、プラグ13を覆うように、絶縁膜14上に、プラズマCVD法により絶縁膜14dが形成される。その絶縁膜14d上に、さらに絶縁膜16が形成される。その絶縁膜16上にレジストパターンRP1が形成される。次に、そのレジストパターンRP1をマスクとして、絶縁膜16および絶縁膜14dに異方性エッチングを施すことにより、プラグ13の表面を露出する開口部17が形成される。その後、レジストパターンRP1が除去される。次に、図39に示すように、開口部17内に配線20が形成される。こうして、半導体装置の主要部分が形成される。
【0136】
上述した半導体装置の製造方法では、まず、実施の形態1において説明したように、熱CVD法によって形成することで水分の吸湿性が高いとされる絶縁膜11が、プラズマCVD法によって形成することで耐湿性が高いとされる絶縁膜14によって覆われることで、絶縁膜11中の水分が絶縁膜11より上方へ拡散するのが阻止されて、絶縁膜14と絶縁膜14dとの界面に絶縁破壊経路が形成されるのを防止することができる。その結果、配線20とプラグ13とを電気的に確実に接続することができるとともに、隣接する配線20と配線20との絶縁性を確保することができ、半導体装置としての信頼性を確保することができる。
【0137】
また、本半導体装置では、プラグ13は銅を含む金属から形成され、絶縁膜14dは、シリコン(Si)と窒素(N)とを含む絶縁膜とされる。シリコン(Si)と窒素(N)とを含む絶縁膜は、銅の拡散を抑制または防止する機能を有しているため、プラグ13が銅(Cu)を含有する場合には、絶縁膜14dをこのようなシリコン(Si)と窒素(N)とを含む絶縁膜とすることで、たとえ、開口部17とプラグ13との位置合わせずれにより、プラグ13cの上面の一部が絶縁膜14dによって覆われた状態となったとしても、プラグ13中の銅(Cu)が絶縁膜14d中に拡散するのを抑制または防止することができる。これにより、プラグ13cと配線20bとの間で絶縁破壊が生じるのを確実に防止することができる。
【0138】
そのシリコン(Si)と窒素(N)とを含む絶縁膜としては、シリコン窒化(SiN)膜の他に、たとえばシリコン(Si)と酸素(O)と窒素(N)とを含有するシリコン酸化窒化(SiON)膜や、シリコン(Si)と炭素(C)と窒素(N)とを含有するシリコン炭化窒化(SiCN)膜等を適用することができる。
【0139】
絶縁膜14dをシリコン酸化窒化(SiON)膜とする場合、絶縁膜14dにおけるシリコン(Si)と窒素(N)との組成比、すなわち、シリコン(Si)と窒素(N)との原子数比(N原子数/Si原子数)は、0.01以上であることが好ましい。この場合、絶縁膜14dは、窒素(N)の含有量がシリコン(Si)の含有量に対して、原子数比で1%以上となる。また、絶縁膜14dの組成をSiOXYで表記すると、このYは0.01以上(Y≧0.01)となる。これにより、絶縁膜14dによって、プラグ13中の銅が拡散するのが抑制されて、プラグ13cと配線20bとの間で絶縁破壊が生じるのを確実に防止することができる。
【0140】
また、絶縁膜14d中の窒素(N)の含有率が高すぎると、絶縁膜14dの誘電率が高くなって配線20間の寄生容量が増大する。このため、絶縁膜14dをシリコン酸化窒化(SiON)膜とする場合には、絶縁膜14dにおけるシリコン(Si)と窒素(N)との組成比、すなわち、シリコン(Si)と窒素(N)との原子数比(N原子数/Si原子数)は、0.01以上で、かつ、0.2以下であることが好ましい。この場合には、絶縁膜14dは、窒素(N)の含有量がシリコン(Si)の含有量に対して原子数比で1%以上20%以下となる。また、絶縁膜14dの組成をSiOXYで表記すると、Yは、0.01以上0.2以下(0.01≦Y≦0.2)となる。これにより、絶縁膜14dの銅に対するバリア性の向上によるプラグ13cと配線20bとの間の絶縁破壊耐性の向上の効果と、配線20間の寄生容量の低減の効果の双方を実現することができる。
【0141】
なお、実施の形態4では、熱CVD法によって、ゲート電極5a,5bを覆う絶縁膜11を形成した後、プラズマCVD法によって絶縁膜14を形成する前に、絶縁膜11に、温度400〜500℃、時間約20分程度のアニール処理を施すことにより、絶縁膜11に含まれる水分を除去する効果があることを述べた。このアニール処理は、実施の形態4に限られず、他の実施の形態の半導体装置においても適用することができ、絶縁膜11にこのアニール処理を施すことで、絶縁膜11中に含まれる水分が除去されて、絶縁破壊耐性をさらに向上させることができる。
【0142】
なお、実際の適用においては、少なくとも熱CVD法によって形成された絶縁膜11が少なくとも一部露出している状態でアニール処理を施すことで露出した絶縁膜11から効率的に水分を除去するようにする。実施の形態1および実施の形態5においては、絶縁膜11を形成する工程と、この絶縁膜11に化学的機械研磨処理を施して平坦化を行う工程との間、絶縁膜11に化学的機械研磨処理を施して平坦化を行う工程と絶縁膜11の上に絶縁膜14をプラズマCVD法によって形成する工程との間、コンタクトホール12を形成する工程とプラグ13を形成する工程との間のうちのいずれかの間にこのアニール処理を行う。実施の形態2および実施の形態3では、絶縁膜11を形成する工程と絶縁膜14を形成する工程との間、コンタクトホール12を形成する工程とプラグ13を形成する工程との間のうちのいずれかの間にこのアニール処理を行う。
【0143】
また、絶縁膜11として、熱CVD法によって形成される絶縁膜を例に挙げて説明したが、スピンオングラス法によって形成されるSOG膜や、熱CVD法によって形成される膜とSOG膜との積層膜としてもよい。
【0144】
今回開示された実施の形態は例示であってこれに制限されるものではない。本発明は上記で説明した範囲ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】本発明の実施の形態1に係る半導体装置の断面図である。
【図2】同実施の形態において、半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図3】同実施の形態において、図2に示す工程の後に行なわれる工程を示す断面図である。
【図4】同実施の形態において、図3に示す工程の後に行なわれる工程を示す断面図である。
【図5】同実施の形態において、図4に示す工程の後に行なわれる工程を示す断面図である。
【図6】同実施の形態において、図5に示す工程の後に行なわれる工程を示す断面図である。
【図7】同実施の形態において、図6に示す工程の後に行なわれる工程を示す断面図である。
【図8】同実施の形態において、図7に示す工程の後に行なわれる工程を示す断面図である。
【図9】同実施の形態において、図8に示す工程の後に行なわれる工程を示す断面図である。
【図10】同実施の形態において、図9に示す工程の後に行なわれる工程を示す断面図である。
【図11】同実施の形態において、図10に示す工程の後に行なわれる工程を示す断面図である。
【図12】同実施の形態において、図11に示す工程の後に行なわれる工程を示す断面図である。
【図13】同実施の形態において、図12に示す工程の後に行なわれる工程を示す断面図である。
【図14】同実施の形態において、図13に示す工程の後に行なわれる工程を示す断面図である。
【図15】同実施の形態において、図14に示す工程の後に行なわれる工程を示す断面図である。
【図16】同実施の形態において、図15に示す工程の後に行なわれる工程を示す断面図である。
【図17】同実施の形態において、絶縁膜による作用効果を説明するための断面図である。
【図18】本発明の実施の形態2に係る半導体装置の断面図である。
【図19】同実施の形態において、半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図20】同実施の形態において、図19に示す工程の後に行なわれる工程を示す断面図である。
【図21】同実施の形態において、図20に示す工程の後に行なわれる工程を示す断面図である。
【図22】同実施の形態において、図21に示す工程の後に行なわれる工程を示す断面図である。
【図23】同実施の形態において、図22に示す工程の後に行なわれる工程を示す断面図である。
【図24】本発明の実施の形態3に係る半導体装置の断面図である。
【図25】同実施の形態において、半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図26】同実施の形態において、図25に示す工程の後に行なわれる工程を示す断面図である。
【図27】同実施の形態において、図26に示す工程の後に行なわれる工程を示す断面図である。
【図28】同実施の形態において、図27に示す工程の後に行なわれる工程を示す断面図である。
【図29】同実施の形態において、図28に示す工程の後に行なわれる工程を示す断面図である。
【図30】本発明の実施の形態4に係る半導体装置の断面図である。
【図31】同実施の形態において、半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図32】同実施の形態において、図31に示す工程の後に行なわれる工程を示す断面図である。
【図33】同実施の形態において、図32に示す工程の後に行なわれる工程を示す断面図である。
【図34】同実施の形態において、図33に示す工程の後に行なわれる工程を示す断面図である。
【図35】同実施の形態において、図34に示す工程の後に行なわれる工程を示す断面図である。
【図36】同実施の形態において、絶縁膜による作用効果を説明するための断面図である。
【図37】本発明の実施の形態5に係る半導体装置の断面図である。
【図38】同実施の形態において、半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図39】同実施の形態において、図38に示す工程の後に行なわれる工程を示す断面図である。
【符号の説明】
【0146】
1 半導体基板、2 素子分離領域、3a p型ウェル、3b n型ウェル、4 ゲート絶縁膜、5a,5b ゲート電極、6a n-型半導体領域、6b p-型半導体領域、7 サイドウォール絶縁膜、8a n+型半導体領域、8b p+型半導体領域、9 金属シリサイド層、10,11,14a 絶縁膜、12 コンタクトホール、13,13c,13d プラグ、13a 導電性バリア膜、13b 主導体膜、20 配線、21,22,23,24 絶縁膜、30,31 開口部、32 導電性バリア膜、33 主導体膜、34 配線、Qn,Qp MISFET。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主表面を有する半導体基板に、互いに間隔を隔てられた第1ゲート電極および第2ゲート電極を形成する工程と、
前記半導体基板上に、熱化学的気相成長法および塗布法の少なくともいずれかによって、前記第1ゲート電極と前記第2ゲート電極との間の領域において前記第1ゲート電極および前記第2ゲート電極の高さよりも高くなる態様で第1層間絶縁膜を形成する工程と、
前記第1層間絶縁膜上に、プラズマ化学気相成長法によって第2層間絶縁膜を形成する工程と、
前記第2層間絶縁膜および前記第1層間絶縁膜を貫通して前記半導体基板に電気的に接続される第1プラグ電極を形成する工程と、
前記第1プラグ電極を覆うように、前記第2層間絶縁膜上に、プラズマ化学気相成長法によって所定の誘電率を有する第3層間絶縁膜を形成する工程と、
前記第3層間絶縁膜にエッチングを施すことにより、前記第2層間絶縁膜および前記第1プラグ電極を露出する配線溝を形成する工程と、
前記配線溝内に配線を形成することにより、前記配線と前記半導体基板とを前記第1プラグ電極を介して電気的に接続する工程と
を備えた、半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1層間絶縁膜を形成する工程では、前記第1層間絶縁膜として、熱化学的気相成長法によってオゾンTEOS膜が形成され、
前記第2層間絶縁膜を形成する工程では、前記第2層間絶縁膜として、プラズマ化学気相成長法によって、プラズマTEOS膜、シリコン酸化膜、シリコン酸化窒化(SiON)膜、シリコン炭化窒化(SiCN)膜およびシリコン酸化炭化(SiOC)膜からなる群から選ばれるいずれかの膜が形成され、
前記第3層間絶縁膜を形成する工程では、前記第3層間絶縁膜として、シリコン酸化炭化(SiOC)膜またはシリコン酸化フッ化(SiOF)膜が形成される、請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1層間絶縁膜を形成する工程の後、前記第2層間絶縁膜を形成する工程の前に、前記第1層間絶縁膜に化学的機械研磨処理を施すことにより前記第1層間絶縁膜を平坦化する工程を備えた、請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第2層間絶縁膜を形成する工程の後、前記第1プラグを形成する工程の前に、前記第2層間絶縁膜に化学的機械研磨処理を施すことにより前記第2層間絶縁膜を平坦化する工程を備えた、請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第2層間絶縁膜を形成する工程は、
前記第1層間絶縁膜上に第1層を形成する工程と、
前記第1層に化学的機械研磨処理を施すことにより前記第1層を平坦化する工程と、
平坦化された前記第1層上に第2層を形成する工程と
を含む、請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1プラグ電極を形成する工程の後、前記第3層間絶縁膜を形成する工程の前に、前記第1プラグ電極を覆うように前記第2層間絶縁膜上に、プラズマ化学気相成長法によって第4層間絶縁膜を形成する工程を備え、
前記配線溝を形成する工程では、前記第3層間絶縁膜および前記第4層間絶縁膜にエッチングを施すことにより、前記第2層間絶縁膜が露出される、請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記配線溝を形成する際のエッチングでは、前記第3層間絶縁膜のエッチング速度が前記第2層間絶縁膜のエッチング速度の三倍以上である、請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
第1層間絶縁膜を形成する工程の後、前記第2層間絶縁膜を形成する工程の前に、前記第1層間絶縁膜が含有する水分を除去するための所定の熱処理を施す工程をさらに備えた、請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1ゲート電極および第2ゲート電極を形成する工程と前記第1層間絶縁膜を形成する工程との間に、前記第1ゲート電極の両側部に形成されるソース・ドレイン領域の表面および前記第2ゲート電極の両側部に形成されるソース・ドレイン領域の表面のそれぞれに、ニッケルシリサイド膜を形成する工程をさらに備えた、請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
主表面を有する半導体基板に、互いに間隔を隔てられた第1ゲート電極および第2ゲート電極を形成する工程と、
前記半導体基板上に、熱化学的気相成長法および塗布法の少なくともいずれかによって、前記第1ゲート電極と前記第2ゲート電極との間の領域において前記第1ゲート電極および前記第2ゲート電極の高さよりも高くなる態様で第1層間絶縁膜を形成する工程と、
前記第1層間絶縁膜を貫通して前記半導体基板に電気的に接続される第1プラグ電極を形成する工程と、
前記第1層間絶縁膜が含有する水分を除去するための所定の熱処理を施す工程と、
前記第1プラグ電極を覆うように前記第1層間絶縁膜上に、プラズマ化学気相成長法によって第2層間絶縁膜を形成する工程と、
前記第2層間絶縁膜上に、プラズマ化学気相成長法によって所定の誘電率を有する第3層間絶縁膜を形成する工程と、
前記第3層間絶縁膜および前記第2層間絶縁膜にエッチングを施すことにより、前記第1層間絶縁膜および前記第1プラグ電極を露出する配線溝を形成する工程と、
前記配線溝内に配線を形成することにより、前記配線と前記半導体基板とを前記第1プラグ電極を介して電気的に接続する工程と
を備えた、半導体装置の製造方法。
【請求項11】
主表面を有する半導体基板と、
互いに間隔を隔てられるように、前記半導体基板上に形成された第1ゲート電極および第2ゲート電極と、
前記第1ゲート電極と前記第2ゲート電極との間の領域において前記第1ゲート電極および前記第2ゲート電極の高さよりも高くなる態様で前記半導体基板上に形成され、所定含有密度の水分およびOH基を含有するとともに、所定の誘電率を有する第1層間絶縁膜と、
前記第1層間絶縁膜上に形成され、前記所定含有密度よりも低い水分およびOH基の含有密度を有し、所定の誘電率を有する第2層間絶縁膜と、
前記第2層間絶縁膜および前記第1層間絶縁膜を貫通して前記半導体基板に電気的に接続される第1プラグ電極と、
前記第1層間絶縁膜および前記第2層間絶縁膜のそれぞれの前記所定の誘電率よりも低く、シリコン酸化膜の誘電率よりも低い所定の誘電率を有する材料により、前記第1プラグ電極を覆うように前記第2層間絶縁膜上に形成され、前記所定含有密度よりも低い水分およびOH基の含有密度を有する第3層間絶縁膜と、
前記第3層間絶縁膜を貫通して前記第2層間絶縁膜および前記第1プラグ電極を露出する配線溝と、
前記配線溝内に形成され、前記第1プラグ電極を介して前記半導体基板と電気的に接続された配線と
を備えた、半導体装置。
【請求項12】
前記第1層間絶縁膜はオゾンTEOS膜であり、
前記第2層間絶縁膜は、プラズマTEOS膜、シリコン酸化膜、シリコン酸化窒化(SiON)膜、シリコン炭化窒化(SiCN)膜およびシリコン酸化炭化(SiOC)膜からなる群から選ばれるいずれかの膜であり、
前記第3層間絶縁膜は、シリコン酸化炭化(SiOC)膜またはシリコン酸化フッ化(SiOF)膜である、請求項11記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第2層間絶縁膜は、
前記第1層間絶縁膜上に形成された第1層と、
平坦化された前記第1層上に形成された第2層と
を含む、請求項11または12に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【公開番号】特開2010−56156(P2010−56156A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−217049(P2008−217049)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】