説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】同一平面上に形成された2つの配線が互いにショートするのを回避すること。
【解決手段】第1の方向(X)に複数本並べて配置された活性領域(50)の各々は、第1の方向(X)と直交する第2の方向(Y)に離間して配置された2つの縦型トランジスタ(51)と、この2つの縦型トランジスタ(51)の間に位置する縦型のゲート電極用ダミーピラー(1a)と、から成る。半導体装置(100)は、複数本の活性領域(50)の中央に位置するゲート電極用ダミーピラー(1a)へ給電するために第1の方向(X)へ延在して配置されたゲート給電配線(23)と、2つの縦型トランジスタ(51)間を接続するために、第2の方向(Y)に延在し、かつゲート給電配線(23)を迂回するように構成されたトランジスタ間接続配線(21、10A、16)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置とその製造方法に関し、特に、縦型トランジスタを有する半導体装置とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トランジスタの微細化の対策として、縦型SGT(Surround Gate transistor)構造を有する3次元トランジスタが知られている。3次元トランジスタは、半導体基板の主面(X方向とY方向とによって規定されるXY平面)に対して垂直方向(Z方向)に延びるシリコンピラー(半導体の基柱)をチャネルとして用いるトランジスタである。以下では、このような3次元トランジスタを、単に、縦型トランジスタとも呼ぶことにする。
【0003】
このような縦型トランジスタ(縦型SGT構造)を有する半導体装置は、従来から種々提案されている。
【0004】
例えば、特開2009−081389号公報(特許文献1)は、完全空乏化が可能な太さに形成された複数の半導体の基柱と、複数の基柱の各々の外周面に設けられたゲート絶縁膜と、複数の基柱の隙間を埋めて複数の基柱の各々の外周面を覆うゲート電極と、を備えた半導体装置を開示している。すなわち、特許文献1は、複数の縦型トランジスタを並列に配置した半導体装置を開示している。
【0005】
一方、縦型トランジスタを高耐圧とするために、複数の縦型トランジスタを直列に接続した半導体装置も知られている。例えば、特開2009−088134号公報(特許文献2)は、低耐圧トランジスタを構成する単位トランジスタの基柱の高さと同じ高さの半導体の基柱を有する複数の単位トランジスタのソース拡散層とドレイン拡散層を直列に接続し、且つ複数の単位トランジスタのゲート電極同士を電気的に接続することによって形成された高耐圧トランジスタを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−081389号公報
【特許文献2】特開2009−088134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した高耐圧トランジスタにおいて、上下に(Y方向に離間して)配置された2つの縦型トランジスタと、これら2つの縦型トランジスタの間に位置する縦長のゲート給電用ダミーピラーと、からなる活性領域を、X方向に複数本並べて配置する場合がある。このレイアウトでは全体のエリアを縮小するため、複数本の活性領域の中央に位置するゲート給電用ダミーピラーへの接続配線(ゲート給電配線)を、複数本の活性領域の中央を横断するようにX方向に延在して設けることが効率的である。このようなゲート給電配線は、X方向に延在して設けられるので、「X方向配線」とも呼ばれる。
【0008】
一方、上下(Y方向に離間して)に配置されている2つの縦型トランジスタ間を接続するためのトランジスタ間接続配線は、Y方向に延在する。したがって、トランジスタ間接続配線は「Y方向配線」とも呼ばれる。
【0009】
その結果、複数本の活性領域の中央を横断するように配置されたゲート給電配線(X方向配線)と、上下に(Y方向に離間して)配置されている縦型トランジスタ間を接続するためのトランジスタ間接続配線(Y方向配線)と、が互いに交差することになる。そのため、同一平面上にゲート給電配線(X方向配線)とトランジスタ間接続配線(Y方向配線)とを形成しようとすると、それらの配線が互いにショートしてしまうので、配線を形成できないこととなる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による半導体装置は、第1の方向に複数本並べて配置された活性領域を含む半導体装置であって、複数本の活性領域の各々は、第1の方向と直交する第2の方向に離間して配置された2つの縦型トランジスタと、2つの縦型トランジスタの間に位置する縦型のゲート電極用ダミーピラーと、から成る半導体装置において、複数本の活性領域の中央に位置するゲート電極用ダミーピラーへ給電するために、2つの縦型トランジスタとゲート電極用ダミーピラーとを覆う層間絶縁膜上に形成され、第1の方向へ延在して配置されたゲート給電配線と、2つの縦型トランジスタ間を接続するために、層間絶縁膜上に形成され、第2の方向に延在し、かつゲート給電配線を迂回するように構成されたトランジスタ間接続配線と、を備える。
【0011】
また、本発明による半導体装置の製造方法は、半導体基板の第1の方向に並べて配置された複数本の活性領域の各々に、第1の方向と直交する第2の方向で離間して配置された2つの縦型トランジスタと、2つの縦型トランジスタの間の位置する縦長のゲート給電用ダミーピラーとを形成する工程と、複数本の活性領域の中央に位置するゲート電極用ダミーピラーへ給電するために、2つの縦型トランジスタとゲート電極用ダミーピラーとを覆う層間絶縁膜上に、第1の方向へ延在して配置されたゲート給電配線を形成する工程と、2つの縦型トランジスタ間を接続するために、層間絶縁膜上で、第2の方向に延在し、かつゲート給電配線を迂回するように構成されたトランジスタ間接続配線を形成する工程と、を具備する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、ゲート給電配線を迂回するようにトランジスタ間接続配線を形成しているので、それらの配線が短絡するのを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】本発明の第1の実施例による半導体装置の平面図である。
【図1B】図1AのAA’線における断面図である。
【図1C】図1AのBB’線における断面図である。
【図1D】図1AのCC’線における断面図である。
【図2A】シリコン基板に素子分離領域を形成することにより、活性領域を形成する工程を示す平面図である。
【図2B】図2AのAA’線における断面図である。
【図3B】シリコン基板の全面に第1の絶縁膜および第1のマスク膜(ハードマスク)を形成する工程を示す断面図である。
【図4A】ハードマスクをパターニングする工程を示す平面図である。
【図4B】図4AのAA’線における断面図である。
【図5B】ハードマスクをエッチングマスクに用いて、第1および第2のピラーを同時に形成する工程を示す断面図である。
【図6B】第1および第2のピラーの内壁面に第1のサイドウォール絶縁膜を形成する工程を示す断面図である。
【図7B】シリコン基板に、第2の絶縁膜と第1の不純物拡散層とを形成する工程を示す断面図である。
【図8B】ゲート絶縁膜とゲート電極とを形成する工程を示す断面図である。
【図9B】第1層間絶縁膜を形成する工程を示す断面図である。
【図10A】シリコン基板の全面に第2のマスク膜を形成する工程を示す平面図である。
【図10B】図10AのAA’における断面図である。
【図11B】第1のマスク膜を除去して第1のスルーホールを形成し、この第1のスルーホールの側面に第2のサイドウォール絶縁膜を形成する工程を示す断面図である。
【図12B】第2のピラーの上部にLDD領域を形成する工程を示す断面図である。
【図13B】第1のスルーホールの底部にある第1の絶縁膜に開口部を設けて、第2のピラーを露出させ、第2のピラーの上面から第1のスルーホールの内壁に沿ってシリコンエピタキシャル層を形成する工程を示す断面図である。
【図14B】シリコンエピタキシャル層に不純物をイオン注入して、第2の不純物拡散層を形成する工程を示す断面図である。
【図15A】シリコン基板の全面に第2層間絶縁膜を形成し、ホールを形成する工程を示す平面図である。
【図15B】図15AのAA’線における断面図である。
【図15C】図15AのBB’線における断面図である。
【図16B】ホール内の埋め込むように絶縁プラグを形成して、迂回配線を形成するAA’における断面図である。
【図16C】ホール内の埋め込むように絶縁プラグを形成して、迂回配線を形成するBB’における断面図である。
【図17A】第2層間絶縁膜と第1層間絶縁膜に対してパターンニングを行い、第2乃至第5のスルーホールを形成する工程を示す平面図である。
【図17B】図17AのAA’線における断面図である。
【図17C】図17AのBB’線における断面図である。
【図17D】図17AのCC’線における断面図である。
【図18B】第2乃至第5のスルーホールに、それぞれ、コンタクトプラグ、ゲートコンタクトプラグ、ピラーコンタクトプラグ、およびSDコンタクトプラグを形成する工程を示す、AA’線における断面図である。
【図18C】第2乃至第5のスルーホールに、それぞれ、コンタクトプラグ、ゲートコンタクトプラグ、ピラーコンタクトプラグ、およびSDコンタクトプラグを形成する工程を示す、BB’線における断面図である。
【図18D】第2乃至第5のスルーホールに、それぞれ、コンタクトプラグ、ゲートコンタクトプラグ、ピラーコンタクトプラグ、およびSDコンタクトプラグを形成する工程を示す、CC’線における断面図である。
【図19A】本発明の第2の実施例による半導体装置の平面図である。
【図19B】図19AのAA’線における断面図である。
【図19C】図19AのBB’線における断面図である。
【図19D】図19AのCC’線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の概要について説明する。
【0015】
本発明の実施の形態に係る半導体装置では、縦型トランジスタを高耐圧とするために、複数の縦型トランジスタを直列に接続している。
【0016】
このとき、図1Aに示されているように、上下に(Y方向に離間して)配置された2つの縦型トランジスタ51と、これら2つの縦型トランジスタの間に位置する縦長のゲート給電用ダミーピラー1aと、からなる活性領域50を、X方向に3本(複数本)並べて配置する場合がある。
【0017】
このレイアウトでは全体のエリアを縮小するため、複数本の活性領域50の中央に位置するゲート給電用ダミーピラー1aへの接続配線(ゲート供給配線)23を、複数本の活性領域50の中央を横断するようにX方向に延在して設けることが効率的である。この接続配線(ゲート供給配線)23は、X方向配線とも呼ばれる。
【0018】
なお、配線を引き回せば如何様にでもレイアウトできるが、本発明の実施の形態では、各活性領域50を接続するためにX方向に配線が横断するレイアウトで発生する問題を取り扱っている。したがって、他のレイアウトは考慮していない。
【0019】
一方、上下に(Y方向に離間して)配置されている2つの縦型トランジスタ51の間を接続するためのトランジスタ間接続配線21がY方向に延在する。このトランジスタ間接続配線21は、Y方向配線とも呼ばれる。
【0020】
その結果、複数本の活性領域50の中央を横断するように、ゲート給電配線(X方向配線)23を配置すると、そのゲート給電配線(X方向配線)23はトランジスタ間接続配線(Y方向配線)21と交差することになる。そのため、同一平面上に、X方向配線23とY方向配線21とを配線すると、それら配線は互いにショートしてしまうので、形成できないこととなる。
【0021】
そこで、本発明の実施形態による半導体装置では、ゲート給電配線(X方向配線)23との短絡を回避するために、Y方向配線21をダミーピラー1aの側面部に設けられた導電膜(迂回配線)10A(図1C参照)を介し、X方向配線23の下を潜るように、迂回させる配線構成としている。
【実施例1】
【0022】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の第1の実施例について詳細に説明する。
【0023】
以下の図面において、各構成を分かり易くするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等が異なっている。また、XYZ座標系を設定し、各構成の配置を説明する。この座標系において、Z方向はシリコン基板の表面に垂直な方向であり、X方向とY方向はZ方向と直交する方向であって互いに直交する方向である。尚、X方向は第1の方向とも呼ばれ、Y方向は第2の方向とも呼ばれる。
【0024】
図1A、図1B、図1C、および図1Dは、本発明の第1の実施例に係る半導体装置100の構成を示す図面である。図1Aは、本第1の実施例による半導体装置100の平面図である。図1Bは、図1AのAA’線における断面図である。同様に、図1Cは、図1AのBB’線における断面図であり、図1Dは、図1AのCC’線における断面図である。但し、図1Aでは、構成要素の配置状況を明確にするため、コンタクトプラグ上に位置している配線並びに層間絶縁膜は、透過状態として輪郭だけを記載している。
【0025】
図1A〜図1Dにおいて、領域50はトランジスタが配置されている活性領域であり、これ以降は活性領域50と称する。P型のシリコン(Si)からなる半導体基板1上には、素子分離領域2として、絶縁膜で埋め込まれたSTI(Shallow Trench Isolation)が設けられており、素子分離領域2によって、活性領域50が区画されている。
【0026】
活性領域50には、縦型MOSトランジスタの構造を有する半導体素子51が配置されている。半導体素子51は、縦型トランジスタとも呼ばれる。
【0027】
図1Aでは、半導体素子(縦型トランジスタ)51を第1乃至第6の半導体素子51a、51b、51c、51d、51e、および51fとして6個記載している。しかしながら、半導体装置100を構成する半導体素子51は6個に限定されるのではなく、半導体装置100の設計仕様によって、半導体素子51の個数は異なっている。これ以降、第1乃至第6の半導体素子51a〜51fをまとめて半導体素子51と称することがある。
【0028】
半導体素子51は、半導体基板1のシリコン表面を凹形状として設けた第2のピラー(半導体の立体柱)1bをチャネル領域としている。第2のピラー1bの下端周辺部には、N型の第1の不純物拡散層8が設けられている。この第1の不純物拡散層8は、第2のピラー1bのチャネル領域に対して、ソース/ドレイン領域(S/D)の一方となっている。第2のピラー1bの上方には、N型の第2の不純物拡散層19が設けられている。この第2の不純物拡散層19は、第2のピラー1bに対して、S/Dの他方となっている。第2のピラー1bの側面には、ゲート絶縁膜9を介して、ゲート電極10が第2のピラー1bの外周を取り囲むように設けられている。このように、第2のピラー1bに設けられた縦型MOSトランジスタとなる半導体素子51は、第2のピラー1bの側面を覆っているゲート絶縁膜9と、ゲート絶縁膜9を覆っているゲート電極10と、第2のピラー1bの下端部に位置した第1の不純物拡散層8と、第2のピラー1bの上方に位置した第2の不純物拡散層19と、から構成されている。
【0029】
第2のピラー1b下端の周囲における半導体基板1の表面には、第2の絶縁膜7が設けられている。この第2の絶縁膜7によって、第1の不純物拡散層8とゲート電極10の底部が電気的に絶縁されている。素子分離領域2は、第1の不純物拡散層8よりも深く設けられており、素子分離領域2を挟んで隣接する活性領域50の第1の不純物拡散層8が互いに導通しないようになっている。
【0030】
第2のピラー1bの上方に位置している第2の不純物拡散層19は、ピラーコンタクトプラグ20を介して、第2の配線21に接続されている。さらに、第2の不純物拡散層19はLDD(Lightly Doped Drain)領域17を介して、第2のピラー1bに接続されている。第2の不純物拡散層19とゲート電極10とは、第2のサイドウォール絶縁膜18と第1の絶縁膜3によって絶縁されている。
【0031】
さらにゲート電極10と第2の配線21は、第1層間絶縁膜11と第2層間絶縁膜12で絶縁されている。なお、第2のサイドウォール絶縁膜18の底部と第2のピラー1bの上面との間には、第1の絶縁膜3が設けられている。第2のピラー1bの下部周辺に位置している第1の不純物拡散層8は、SDコンタクトプラグ13を介して、第1の配線15に接続されている。
【0032】
活性領域50内のY方向で隣接している半導体素子51の間には、配線領域52が設けられている。配線領域52は、第2のピラー1bに隣接して活性領域50内に設けられた第1のピラー1aで構成されている。第1のピラー1aも、半導体基板1のシリコン表面を凹形状として設けられている。第1のピラー1aは、ゲート給電用ダミーピラーとも呼ばれる。なお配線領域52は、所定の方向(Y方向)(図1Aでは上下方向、図1B、図1C、図1Dでは左右方向)に延在する島状のパターンとなっている。
【0033】
第1のピラー(ゲート給電用ダミーピラー)1aの上面は、第1の絶縁膜3を介して、第1のマスク膜4で覆われており、第1のマスク膜4上は第1層間絶縁膜11と第2層間絶縁膜12とで覆われている。第1のピラー(ゲート給電用ダミーピラー)1aの側面を囲むように、ゲート電極10が設けられている。ここで、第1のピラー(ゲート給電用ダミーピラー)1aの一方の側面を囲んでいるゲート電極10の一部は、絶縁プラグ14で電気的に分離されて、配線10Aとなっている。
【0034】
この配線10Aは、第3の配線(ゲート給電配線)32との短絡を避けるために、第3の配線23の下を潜るように、迂回しているので、迂回配線と呼ばれる。このような迂回配線10Aは、第1のピラー(ゲート給電用ダミーピラー)1aの側面部に設けられた導電膜からなる。
【0035】
第1のピラー(ゲート給電用ダミーピラー)1aと第2のピラー1bの間隔を調整することにより、図1Bに示したように、第1のピラー1aと第2のピラー1bとの隣接スペース部をゲート電極10で充填するように設けることができる。ゲート電極10は、配線領域52の側面を囲むようにサイドウォール状に設けられているので、第2のピラー1bと対向しない位置でゲートコンタクトプラグ24を接続して、第3の配線23に導通させることができる。またゲート電極10は、素子分離領域2の側面を囲むようにサイドウォール状に設けられて、配線10Bとなっている。
【0036】
Y方向で隣接している第2の不純物拡散層19は、夫々ピラーコンタクトプラグ20を介して第2の配線21の一方の端部に接続されているが、さらに双方の第2の配線21の他の端部に接続されたコンタクトプラグ16と、コンタクトプラグ16の底部に接続された配線(迂回配線)10Aを介して接続されている。このように半導体装置100では、活性領域50内で隣接している半導体素子51が、電気的に直列となるように接続されている。
【0037】
さらに、X方向で隣接している第2の半導体素子51bと第3の半導体素子51c並びに第4の半導体素子51dと第5の半導体素子51eは、第1の配線15で接続されているので、6個の半導体素子51a〜51fは、電気的に直列となるように接続されている。
【0038】
ここで、配線(迂回配線)10Aは、半導体素子51のゲート電極10として機能するものではなく、絶縁プラグ14でゲート電極10から電気的に分離されて、単なる配線として機能している。絶縁プラグ14は、第1のピラー(ゲート供給用ダミーピラー)1aの一方の側面だけに設けているので、絶縁プラグ14で仕切られた領域内にコンタクトプラグ16を設けることで、配線10Aを迂回配線(導電膜)として機能させている。なお第1のピラー(ゲート供給用ダミーピラー)1aの他方の側面は、絶縁プラグ14を設けていないので、ゲート電極10として機能させている。
【0039】
Y方向に延在している第2の配線21と配線(迂回配線)10Aは、Y方向に延在している配線(迂回配線)10Aを覆っている第1層間絶縁膜11と第2層間絶縁膜12によって、電気的に絶縁されている。X方向に延在している第3の配線23と配線(迂回配線)10Aも同様である。
【0040】
ここでは、Y方向に延在している第2の配線21をY方向配線とも呼び、X方向に延在している第3の配線23をX方向配線とも呼ぶ。なお、Y方向配線21は、第1乃至第6の半導体素子51a〜51fにそれぞれ対応して、第1乃至第6のY方向配線21a、21b、21c、21d、21e、および21fに分けられる。また、Y方向配線21は、半導体素子(縦型トランジスタ)51から延在しているので、トランジスタ延在配線とも呼ばれる。
【0041】
Y方向配線21とX方向配線23とは、第2層間絶縁膜12上に設けられている。しかしながら、同一線上に配置された第1のY方向配線21aと第2のY方向配線21bは、一対のコンタクトプラグ16と配線(迂回配線)10Aとによって、対向している夫々の端部から第2層間絶縁膜12の下方へ一旦迂回して接続されているので、X方向配線23と交わって短絡することはない。
【0042】
換言すれば、第1の半導体素子51aと第2の半導体素子51bとの間を接続するためのトランジスタ間接続配線は、第1のY方向配線(トランジスタ延在配線)21a、第2のY方向配線(トランジスタ延在配線)21b、一対のコンタクトプラグ16、および迂回配線(導電膜)10Aから構成される。
【0043】
なお、同一線上に配置された第3のY方向配線21cと第4のY方向配線21d並びに第5のY方向配線21eと第6のY方向配線21fも同様である。
【0044】
次に、本第1の実施例による半導体装置100の製造方法について詳細に説明する。
【0045】
図2〜図18は、本第1の実施例による半導体装置100の製造方法を説明するための工程図である。図2〜図18の各々(図○)において、図○Aは、各工程における半導体装置100の平面図であり、図○Bは、図○AのAA’線における断面図である。同様に、図○Cは、図○AのBB’線における断面図であり、図○Dは、図○AのCC’線における断面図である。なお各工程の説明は、主として図○Bの断面図を用いて行い、適宜、図○A、図○C、および図○Dの図面を追加して図○Bの補足をする。また図○Aでは、構成要素の配置状況を明確にするため、最上層の下地となった構成要素を破線で記載している。
【0046】
図2Aおよび図2Bを参照して、半導体装置100の製造では、まず半導体基板1(以降、シリコン基板1と称する)を用意し、このシリコン基板1にSTIである素子分離領域2を形成することにより、素子分離領域2に囲まれた活性領域50を形成する。実際のシリコン基板1には多数の活性領域が形成されるが、図2Bには1つの活性領域のみを示している。特に限定されるものではないが、本第1の実施例の活性領域50は矩形状を有している。
【0047】
素子分離領域2の形成では、まずシリコン基板1の主面に270nmの深さを有する溝をドライエッチング法により形成する。次に、溝の内壁を含むシリコン基板1の全面に薄いシリコン酸化膜(図示せず)を熱酸化法により形成した後、溝の内部を含むシリコン基板1の全面に400〜500nmの厚みを有するシリコン窒化膜をCVD(Chemical Vapor Deposition)法によって堆積させる。その後、シリコン基板1上の不要なシリコン窒化膜をCMP(Chemical Mechanical Polishing)により除去して、シリコン窒化膜を溝の内部だけに残すことにより、STIとなる素子分離領域2が形成される。
【0048】
次に、図3Bに示されるように、シリコン基板1の全面にシリコン酸化膜である第1の絶縁膜3及びシリコン窒化膜である第1のマスク膜4を形成する。特に限定されるものではないが、第1の絶縁膜3及び第1のマスク膜4はCVD法で形成することができ、第1の絶縁膜3の膜厚は10nm、第1のマスク膜4の膜厚は120nmであることが好ましい。本説明においては、第1の絶縁膜3及び第1のマスク膜4の積層膜を単にハードマスク4Aと呼ぶことがある。ハードマスク4Aは、エッチング時のマスク膜として機能するものである。
【0049】
次に、図4Aおよび図4Bに示されるように、フォトリソグラフィとドライエッチング法によって、ハードマスク4Aをパターニングすることにより、第1および第2のピラー1a、1bを形成する領域のハードマスク4Aと、活性領域50よりも外側の領域にあるハードマスク4Aを残して、それ以外のハードマスク4Aを除去する。
【0050】
次に、図5Bに示されるように、パターニングで残留したハードマスク4Aをエッチングマスクに用いて、ドライエッチング法により、シリコン基板1の露出面を250nmまで掘り下げる。このドライエッチングにより、活性領域50におけるシリコン基板1の露出面に凹部5が形成され、掘り下げられなかった部分は、シリコン基板1の主面に対してほぼ垂直で高さH1が250nmとなった第1および第2のピラー1a、1bとなる。このように、第1および第2のピラー1a、1bは同時に形成されており、第1および第2のピラー1a、1bの上方にハードマスク4Aが残存する。
【0051】
次に、図6Bに示されるように、第1および第2のピラー1a、1bの内壁面に第1のサイドウォール絶縁膜22を形成する。第1のサイドウォール絶縁膜22は、凹部5によって露出したシリコン基板1の全面に、シリコン酸化膜である保護絶縁膜22a及びシリコン窒化膜であるキャップ絶縁膜22bを形成した後、エッチバックすることによって形成することができる。このように、第1および第2のピラー1a、1bの側面部を覆っている保護絶縁膜22a及びキャップ絶縁膜22bの積層膜を第1のサイドウォール絶縁膜22と称することがある。
【0052】
なお、活性領域50の内周面となる素子分離領域2の側面部は、シリコン基板ではないので保護絶縁膜22aは形成されないものの、キャップ絶縁膜22bが形成されて、これも第1のサイドウォール絶縁膜22として機能する。保護絶縁膜22aは熱酸化法によって形成し、キャップ絶縁膜22bはCVD法で形成することができる。特に限定されるものではないが、保護絶縁膜22aの膜厚は10nm、キャップ絶縁膜22bの膜厚は15nmであることが好ましい。従って、第1および第2のピラー1a、1bは25nm厚となった第1のサイドウォール絶縁膜22で覆われているが、活性領域50における凹部5の底面は、半導体基板1の表面(シリコン面)が露出している。また活性領域50の内周面も15nm厚となった第1のサイドウォール絶縁膜22で覆われている。
【0053】
次に、図7Bに示されるように、活性領域50の凹部5の底面で露出しているシリコン基板1に、シリコン酸化膜である第2の絶縁膜7を熱酸化により形成する。このとき、第1および第2のピラー1a、1bの上面及び側面は、それぞれハードマスク4A及び第1のサイドウォール絶縁膜22によって覆われているので、新たに熱酸化されることはない。また特に限定されるものではないが、第2の絶縁膜7の膜厚は30nmであることが好ましい。
【0054】
次に、第2のピラー1bで構成された凹部5の下方に位置したシリコン基板1に、フォトレジストをマスクとしたイオン注入法によって、第1の不純物拡散層8を形成する。第1の不純物拡散層8は、凹部5の底面に形成された第2の絶縁膜7を介して、シリコン基板1中の不純物とは反対の導電型であるN型不純物の砒素(As)を1×1015〜5×1015atoms/cmのドーズ量でイオン注入することにより形成することができる。
【0055】
次に、熱燐酸(HPO)を用いたウェットエッチングより、第1のサイドウォール絶縁膜22を構成しているキャップ絶縁膜22bを除去する。ここで、第1のマスク膜4が同時にエッチングされるため、ウェットエッチングの時間を調節して、エッチング後に第1のマスク膜4が残存するように設定する。第1および第2のピラー1a、1bの上部は、ハードマスク4Aで覆われたままである。引き続き、希フッ酸(HF)を用いたウェットエッチングによって、第1および第2のピラー1a、1bの側面に形成された保護絶縁膜22aを除去する。ここでも第2の絶縁膜7が同時にエッチングされるため、ウェットエッチングの時間を調節して、エッチング後に第2の絶縁膜7が残存するように設定する。これにより、活性領域50に形成された第1および第2のピラー1a、1bの側面が露出した状態となる。
【0056】
次に、図8Bに示されるように、熱酸化法によって、第1および第2のピラー1a、1bの側面に5nm厚のシリコン酸化膜であるゲート絶縁膜9を形成する。次に、CVD法によって、シリコン基板1上の全面にゲート電極となる不純物を含有した30nm厚のポリシリコンを成膜し、全面エッチバックを行うことによって、第1および第2のピラー1a、1bの側面および活性領域50の内側面にゲート電極10を形成する。
【0057】
ここで、第1のピラー1aと第2のピラー1bとの間に形成された凹部5aの幅をゲート電極10の膜厚の2倍以下にしておくことで、凹部5aをゲート電極10で完全に埋め込むことができる。また、第2のピラー1bと素子分離領域2との間に形成された凹部5bの幅をゲート電極10の膜厚の2倍以上にしておくと、凹部5bはゲート電極10で完全に埋め込まれずに残留する。この状態で引き続きエッチバックを行うと、凹部5bの底部におけるポリシリコンが除去されて、ゲート電極10は第2のピラー1bと素子分離領域2の側面部に分離される。
【0058】
なお、素子分離領域2の側面部に形成されたゲート電極10は、ゲート電極としては機能しないので、今後、配線10Bと称する。ゲート電極10としては、タングステン(W)等の金属膜や、ポリシリコンと金属膜の積層体を用いてもよい。
【0059】
次に、図9Bに示されるように、シリコン基板1の全面にCVD法によりシリコン酸化膜からなる第1層間絶縁膜11を形成した後、第1層間絶縁膜11の表面をCMP法により研磨して平坦化する。このとき、第1のマスク膜4がCMPストッパーとしての役割を果すので、第1層間絶縁膜11の膜厚を確実に制御することができる。このようにして、活性領域50内は、第1層間絶縁膜11で埋められた状態となる。
【0060】
次に、図10Aおよび図10Bに示されるように、シリコン基板1の全面にシリコン酸化膜からなる第2のマスク膜6を形成する。第2のマスク膜6は、CVD法によって形成することができ、その膜厚は20nmであることが好ましい。次に、第2のピラー1bの上方に形成された第1のマスク膜4が露出して、第1のピラー1aと素子分離領域2の上方の第1のマスク膜4が露出しないように、フォトリソグラフィとドライエッチング法によって第2のマスク膜6をパターニングする。
【0061】
次に、図11Bに示されるように、露出した第1のマスク膜4をドライエッチング又はウェットエッチング法により除去することにより、第1の絶縁膜3を底面とした第1のスルーホール25を形成する。第1のスルーホール25は、第2のピラー1bを形成する際にマスクとして用いた第1のマスク膜4を除去することで形成されることから、第2のピラー1bに対して自己整合的に形成されている。従って、ゲート電極10で囲まれた第1のスルーホール25の内径は、第2のピラー1bの直径に等しくなる。
【0062】
次に、半導体基板1上の全面にCVD法によってサイドウォール絶縁膜となるシリコン窒化膜を10nmの膜厚で成膜してから、全面エッチバックを行い、第1のスルーホール25の側面に第2のサイドウォール絶縁膜18を形成する。
【0063】
次に、図12Bに示されるように、第2のピラー1bの上部にLDD領域17を形成する。LDD領域17は、第2のピラー1bの上面に形成された第1の絶縁膜3を介して、シリコン基板1中の不純物と逆の導電型を有する低濃度の不純物を浅くイオン注入することにより形成することができる。
【0064】
次に、図13Bに示されるように、第1のスルーホール25をドライエッチングにより掘り下げ、第1のスルーホール25の底部にある第1の絶縁膜3に開口部を設けて、第2のピラー1bの上面を露出させる。そして、第2のピラー1bの上面から第1のスルーホール25の内壁に沿って、シリコンエピタキシャル層19aを選択的エピタキシャル成長法により形成する。
【0065】
次に、図14Bに示されるように、シリコンエピタキシャル層19aへシリコン基板1中の不純物とは反対の導電型を有する高濃度の不純物をイオン注入することにより、第2の不純物拡散層19を形成する。これで、第2の不純物拡散層19が第2のピラー1bに対して自己整合的に形成される。なおここでは、第1のスルーホール25の側面に第2のサイドウォール絶縁膜18を形成しているので、ゲート電極10が第2の不純物拡散層19と短絡することは無い。ここで、第2のサイドウォール絶縁膜18で囲われた第2の不純物拡散層19の直径は、第2のピラー1bの直径に等しい。
【0066】
次に、図15A、図15Bおよび図15Cに示されるように、CVD法によって、シリコン基板1の全面にシリコン酸化膜を形成した後、CMP法によって、シリコン酸化膜の表面を研磨して平坦化する。このとき、第1のマスク膜4がCMPストッパーとしての役割を果すので、第2の不純物拡散層19は、シリコン酸化膜で埋め込まれた状態となる。
【0067】
次に、CVD法によって、シリコン基板1の全面にシリコン酸化膜である第2層間絶縁膜12を形成した後、フォトリソグラフィとドライエッチング法によるパターニングを行って、ホール26を形成する。ホール26は、第1のピラー(ゲート給電用ダミーピラー)1aの一方の側面に設けられたゲート電極10を貫通して分断し、シリコン基板1まで達している。さらにホール26は、貫通させたゲート電極10と接していた第1のピラー(ゲート給電用ダミーピラー)1aと第1層間絶縁膜11の一部も除去して、シリコン基板1まで達している。従って、ホール26の側面には、第1のピラー(ゲート給電用ダミーピラー)1aとゲート電極10と第1層間絶縁膜11の一部が露出しており、ホール26の底面には、シリコン基板1の一部が露出している。
【0068】
次に、図16Bおよび図16Cに示されるように、CVD法によって、ホール26内を埋め込むように絶縁プラグとなるシリコン酸化膜を成膜してから、CMP法によって、第2層間絶縁膜12上の余剰なシリコン酸化膜を除去することにより、絶縁プラグ14を形成する。第1の絶縁プラグ14aと第2の絶縁プラグ14bとで囲まれて分断されたゲート電極10は、第2のピラー1bに接続しているゲート電極10と電気的に絶縁されている。従って、第1の絶縁プラグ14aと第2の絶縁プラグ14bとで囲まれたゲート電極10は、ゲート電極を構成していないので、今後、配線10Aと称する。
【0069】
前述したように、この配線10Aは、迂回配線や導電膜とも呼ばれる。
【0070】
次に、図17A、図17B、図17C、および図17Dに示されるように、フォトリソグラフィとドライエッチング法によって、第2層間絶縁膜12と第1層間絶縁膜11に対してパターニングを行い、第2乃至第5のスルーホール27、28、29、および30を形成する。
【0071】
第2のスルーホール27は、絶縁プラグ14が形成された第1のピラー(ゲート給電用ダミーピラー)1aの側面において、配線(迂回配線)10Aをその途中まで分断している。さらに、第2のスルーホール27は、途中まで分断した配線(迂回配線)10Aと接していた第1のマスク膜4と、第1層間絶縁膜11の一部も除去している。従って、第2のスルーホール27の側面には、第1のマスク膜4と配線(迂回配線)10Aと第1層間絶縁膜11の一部が露出しており、第2のスルーホール27の底面も同様である。
【0072】
第3のスルーホール28は、絶縁プラグ14が形成されていない第1のピラー(ゲート給電用ダミーピラー)1aの側面部上方においてゲート電極10をその途中まで分断している。さらに、第3のスルーホール28は、途中まで分断したゲート電極10と接していた第1のマスク膜4と、第1層間絶縁膜11の一部も除去している。従って、第3のスルーホール28の側面には、第1のマスク膜4とゲート電極10と第1層間絶縁膜11の一部が露出しており、第3のスルーホール28の底面も同様である。
【0073】
第4のスルーホール29は、第2層間絶縁膜12を貫通して、第2の不純物拡散層19まで達しており、第5のスルーホール30は、第2層間絶縁膜12と第1層間絶縁膜11と第2の絶縁膜7を貫通して、第1の不純物拡散層8まで達している。ここでは、第2乃至第5のスルーホール27乃至30を同時に形成したが、別々に形成することもできる。
【0074】
次に、図18B、図18C、および図18Dに示されるように、CVD法によって、第2乃至第5のスルーホール27乃至30の内部を埋め込むようにポリシリコンを成膜して、さらにCMPによって、第2層間絶縁膜12上の余剰なポリシリコンを除去して、それぞれ、コンタクトプラグ16、ゲートコンタクトプラグ24、ピラーコンタクトプラグ20、およびSDコンタクトプラグ13を形成する。ここで、コンタクトプラグ16は、配線(迂回配線)10Aに接続され、ゲートコンタクトプラグ24は、ゲート電極10に接続される。また、ピラーコンタクトプラグ20は、第2の不純物拡散層19に接続され、SDコンタクトプラグ13は、第1の不純物拡散層8に接続される。
【0075】
次に、図1A、図1B、図1C、および図1Dに示されるように、シリコン基板1の全面にCVD法、スパッタ法、メッキ法などによって、金属膜を形成し、さらにフォトリソグラフィとドライエッチング法によって、金属膜をパターニングして、第1乃至第3の配線15、21、23を形成する。ここで、金属膜の材料としては、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等を用いることができる。
【0076】
第1の配線15は、SDコンタクトプラグ13に接続され、第3の配線23はゲートコンタクトプラグ24に接続される。さらに、第2の配線21は、コンタクトプラグ16とピラーコンタクトプラグ20とに接続される。
【0077】
これらの工程によって、図1Aから図1Dに示した半導体装置100となる。
【0078】
次に、第1の実施例の効果について説明する。
【0079】
以上の構成による第1の実施例による半導体装置100によれば、第1のピラー(ゲート給電用ダミーピラー)1aの一方の側面に設けられたゲート電極10は、その一部を絶縁プラグ14によって電気的に分離することで、迂回配線10Aとして利用することができる。すなわち、迂回配線10Aとコンタクトプラグ16とを用いて、第2層間絶縁膜12上に設けられた第2の配線(Y方向配線)21を第2層間絶縁膜12の下方へ迂回させることで、第2の配線(Y方向配線)21が第2層間絶縁膜12上に設けられた第3の配線(X方向配線)23と短絡するのを回避させることができる。
【実施例2】
【0080】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の第2の実施例について詳細に説明する。
【0081】
以下の図面において、各構成を分かり易くするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等が異なっている。また、XYZ座標系を設定し、各構成の配置を説明する。この座標系において、Z方向はシリコン基板の表面に垂直な方向であり、X方向とY方向はZ方向と直交する方向であって互いに直交する方向である。尚、X方向は第1の方向とも呼ばれ、Y方向は第2の方向とも呼ばれる。
【0082】
図19A、図19B、図19C、および図19Dは、本発明の第2の実施例に係る半導体装置100の構成を示す図面である。図19Aは、本第2の実施例による半導体装置100の平面図である。図19Bは、図19AのAA’線における断面図である。同様に、図19Cは、図19AのBB’線における断面図であり、図19Dは、図19AのCC’線における断面図である。但し、図19Aでは、構成要素の配置状況を明確にするため、コンタクトプラグ上に位置している配線並びに層間絶縁膜は、透過状態として輪郭だけを記載している。
【0083】
図19A〜図19Dにおいて、領域50はトランジスタが配置されている活性領域であり、これ以降は活性領域50と称する。P型のシリコン(Si)からなる半導体基板1上には、素子分離領域2として、絶縁膜で埋め込まれたSTI(Shallow Trench Isolation)が設けられており、素子分離領域2によって、活性領域50が区画されている。
【0084】
活性領域50には、縦型MOSトランジスタの構造を有する半導体素子51が配置されている。半導体素子51は、縦型トランジスタとも呼ばれる。
【0085】
図19Aでは、半導体素子(縦型トランジスタ)51を第1乃至第6の半導体素子51a、51b、51c、51d、51e、および51fとして6個記載している。しかしながら、半導体装置100を構成する半導体素子51は6個に限定されるのではなく、半導体装置100の設計仕様によって、半導体素子51の個数は異なっている。これ以降、第1乃至第6の半導体素子51a〜51fをまとめて半導体素子51と称することがある。
【0086】
半導体素子51は、半導体基板1のシリコン表面を凹形状として設けた第2のピラー(半導体の立体柱)1bをチャネル領域としている。第2のピラー1bの下端周辺部には、N型の第1の不純物拡散層8が設けられている。この第1の不純物拡散層8は、第2のピラー1bのチャネル領域に対して、ソース/ドレイン領域(S/D)の一方となっている。第2のピラー1bの上方には、N型の第2の不純物拡散層19が設けられている。この第2の不純物拡散層19は、第2のピラー1bに対して、S/Dの他方となっている。第2のピラー1bの側面には、ゲート絶縁膜9を介して、ゲート電極10が第2のピラー1bの外周を取り囲むように設けられている。このように、第2のピラー1bに設けられた縦型MOSトランジスタとなる半導体素子51は、第2のピラー1bの側面を覆っているゲート絶縁膜9と、ゲート絶縁膜9を覆っているゲート電極10と、第2のピラー1bの下端部に位置した第1の不純物拡散層8と、第2のピラー1bの上方に位置した第2の不純物拡散層19と、で構成されている。
【0087】
第2のピラー1b下端の周囲における半導体基板1の表面には、第2の絶縁膜7が設けられている。この第2の絶縁膜7によって、第1の不純物拡散層8とゲート電極10の底部が電気的に絶縁されている。素子分離領域2は、第1の不純物拡散層8よりも深く設けられており、素子分離領域2を挟んで隣接する活性領域50の第1の不純物拡散層8が互いに導通しないようになっている。
【0088】
第2のピラー1bの上方に位置している第2の不純物拡散層19は、ピラーコンタクトプラグ20を介して、第2の配線21と電気的に接続されている。さらに、第2の不純物拡散層19はLDD(Lightly Doped Drain)領域17を介して、第2のピラー1bと電気的に接続されている。第2の不純物拡散層19とゲート電極10とは、第2のサイドウォール絶縁膜18と第1の絶縁膜3によって絶縁されている。
【0089】
さらにゲート電極10と第2の配線21は、第1層間絶縁膜11と第2層間絶縁膜12で絶縁されている。なお、第2のサイドウォール絶縁膜18の底部と第2のピラー1bの上面との間には、第1の絶縁膜3が設けられている。第2のピラー1bの下部周辺に位置している第1の不純物拡散層8は、SDコンタクトプラグ13を介して、第1の配線15と電気的に接続されている。
【0090】
活性領域50内のY方向で隣接している第2のピラー1bの間には、第1のピラー1aが設けられている。第1のピラー1aは、ゲート給電用ダミーピラーとも呼ばれる。第1のピラー(ゲート給電用ダミーピラー)1aも、半導体基板1のシリコン表面を凹形状として設けられている。なお第1のピラー(ゲート給電用ダミーピラー)1aは、所定の方向(Y方向)(図19Aでは上下方向、図19B、図19C、および図19Dでは左右方向)に延在する島状のパターンとなっている。
【0091】
第1のピラー(ゲート給電用ダミーピラー)1aの上面は、第1の絶縁膜3を介して、第1のマスク膜4で覆われている。第1のマスク膜4上は、第1層間絶縁膜11と第2層間絶縁膜12で覆われている。第1のピラー(ゲート給電用ダミーピラー)1aと第2のピラー1bの側面を囲むように、ゲート電極10が設けられている。第1のピラー(ゲート給電用ダミーピラー)1aと第2のピラー1bの間隔を調整することにより、図19Bに示したように、第1のピラー(ゲート給電用ダミーピラー)1aと第2のピラー1bの隣接スペース部をゲート電極10で充填するように設けることができる。
【0092】
ゲート電極10は、第1のピラー(ゲート給電用ダミーピラー)1aの側面を囲むようにサイドウォール状に設けられているので、第2のピラー1bと対向しない位置でゲートコンタクトプラグ24を接続して、第3の配線23に導通させることができる。また、素子分離領域2の側面を囲むように、配線(迂回配線)10Aがサイドウォール状に設けられている。配線(迂回配線)10Aは、ゲート電極10と対峙するように設けられているが、第1層間絶縁膜11によって絶縁されている。また配線10Aは、コンタクトプラグ16を介して、第2の配線(Y方向配線)21と電気的に接続されている。
【0093】
活性領域50内のY方向で隣接している第2の不純物拡散層19は、夫々ピラーコンタクトプラグ20を介して第2の配線21の一方の端部に接続されているが、さらに双方の第2の配線21の他の端部に接続されたコンタクトプラグ16と、コンタクトプラグ16の底部に接続された配線(迂回配線)10Aを介して、電気的に接続されている。このように半導体装置100では、活性領域50内で隣接している半導体素子51が、電気的に直列となるように接続されている。
【0094】
さらに、X方向で隣接している第2の半導体素子51bと第3の半導体素子51c並びに第4の半導体素子51dと第5の半導体素子51eは、第1の配線15で接続されているので、6個の半導体素子51a〜51fは、電気的に直列となるように接続されている。Y方向に延在している第2の配線21と配線10Aは、配線10Aを覆っている第1層間絶縁膜11と第2層間絶縁膜12によって、電気的に絶縁されており、X方向に延在している第3の配線23と配線10A並びにX方向に延在している第1の配線15と配線10Aも同様である。
【0095】
ここでは、Y方向に延在している第2の配線21をY方向配線とも呼び、X方向に延在している第3の配線23をX方向配線とも呼ぶ。また、第1乃至第6の半導体素子51a〜51fから延在しているY方向配線21を、それぞれ、第1乃至第6のY方向配線21a、21b、21c、21d、21e、および21fと呼ぶことにする。第2の配線(Y方向配線)21は、半導体素子(縦型トランジスタ)51から延在しているので、トランジスタ延在配線とも呼ばれる。
【0096】
また、Y方向配線21とX方向配線23は、第2層間絶縁膜12上に設けられている。しかしながら、同一線上に配置された第1のY方向配線21aと第2のY方向配線21bは、コンタクトプラグ16と配線(迂回配線)10Aとによって、対向している夫々の端部から第2層間絶縁膜12の下方へ一旦迂回してから接続されているので、X方向配線23と交わって短絡することはない。
【0097】
なお、同一線上に配置された第3のY方向配線21cと第4のY方向配線21d並びに第5のY方向配線21eと第6のY方向配線21fも同様である。
【0098】
したがって、第2の実施例による半導体装置100も、上述した第1の実施例による半導体装置100と同様の効果を奏する。
【0099】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明は、上記の実施例に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0100】
1 半導体基板(シリコン基板)
1a 第1のピラー(ゲート給電用ダミーピラー)
1b 第2のピラー
2 素子分離領域(STI)
3 第1の絶縁膜(シリコン酸化膜)
4 第1のマスク膜(シリコン窒化膜)
4A ハードマスク
5 凹部
5a 凹部
5b 凹部
6 第2のマスク膜(シリコン酸化膜)
7 第2の絶縁膜(シリコン酸化膜)
8 第1の不純物拡散層
9 ゲート絶縁膜(シリコン酸化膜)
10 ゲート電極
10A 配線(迂回配線;導電膜)
10B 配線
11 第1層間絶縁膜(シリコン酸化膜)
12 第2層間絶縁膜(シリコン酸化膜)
13 SDコンタクトプラグ
14 絶縁プラグ
14a 第1の絶縁プラグ
14b 第2の絶縁プラグ
15 第1の配線
16 コンタクトプラグ
17 LLD領域
18 第2のサイドウォール絶縁膜
19 第2の不純物拡散層
19a シリコンエピタキシャル層
20 ピラーコンタクトプラグ
21 第2の配線(Y方向配線;トランジスタ延在配線)
21a 第1のY方向配線
21b 第2のY方向配線
21c 第3のY方向配線
21d 第4のY方向配線
21e 第5のY方向配線
21f 第6のY方向配線
22 第1のサイドウォール絶縁膜
22a 保護絶縁膜(シリコン酸化膜)
22b キャップ絶縁膜(シリコン窒化膜)
23 第3の配線(X方向配線;ゲート給電配線)
24 ゲートコンタクトプラグ
25 第1のスルーホール
26 ホール
27 第2のスルーホール
28 第3のスルーホール
29 第4のスルーホール
30 第5のスルーホール
50 活性領域
51 半導体素子(縦型トランジスタ)
51a 第1の半導体素子
51b 第2の半導体素子
51c 第3の半導体素子
51d 第4の半導体素子
51e 第5の半導体素子
51f 第6の半導体素子
52 配線領域
100 半導体装置
X X方向(第1の方向)
Y Y方向(第2の方向)
Z Z方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に複数本並べて配置された活性領域を含む半導体装置であって、前記複数本の活性領域の各々は、前記第1の方向と直交する第2の方向に離間して配置された2つの縦型トランジスタと、該2つの縦型トランジスタの間に位置する縦型のゲート電極用ダミーピラーと、から成る半導体装置において、
前記複数本の活性領域の中央に位置する前記ゲート電極用ダミーピラーへ給電するために、前記2つの縦型トランジスタと前記ゲート電極用ダミーピラーとを覆う層間絶縁膜上に形成され、前記第1の方向へ延在して配置されたゲート給電配線と、
前記2つの縦型トランジスタ間を接続するために、前記層間絶縁膜上に形成され、前記第2の方向に延在し、かつ前記ゲート給電配線を迂回するように構成されたトランジスタ間接続配線と、
を備えた半導体装置。
【請求項2】
前記トランジスタ間接続配線は、
前記層間絶縁膜上に形成されて、前記2つの縦型トランジスタからそれぞれ延在する2つのトランジスタ延在配線と、
前記ゲート給電配線との短絡を回避するために、前記ゲート給電配線の下を潜るように迂回する迂回配線と、
前記2つのトランジスタ延在配線と前記迂回配線との間を接続する一対のコンタクトプラグと、
から成る、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記迂回配線は、前記ゲート電極用ダミーピラーの側壁部に設けられた導体膜から成る、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記迂回配線は、各活性領域を区画する素子分離領域の側面を囲むように、サイドウォール状に設けられた導体膜から成る、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
半導体基板の第1の方向に並べて配置された複数本の活性領域の各々に、前記第1の方向と直交する第2の方向で離間して配置された2つの縦型トランジスタと、該2つの縦型トランジスタの間の位置する縦長のゲート給電用ダミーピラーとを形成する工程と、
前記複数本の活性領域の中央に位置する前記ゲート電極用ダミーピラーへ給電するために、前記2つの縦型トランジスタと前記ゲート電極用ダミーピラーとを覆う層間絶縁膜上に、前記第1の方向へ延在して配置されたゲート給電配線を形成する工程と、
前記2つの縦型トランジスタ間を接続するために、前記層間絶縁膜上で、前記第2の方向に延在し、かつ前記ゲート給電配線を迂回するように構成されたトランジスタ間接続配線を形成する工程と、
を具備する半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記トランジスタ間接続配線を形成する工程は、
前記ゲート給電配線との短絡を回避するために、前記ゲート給電配線の下を潜るように迂回する迂回配線を形成する工程と、
前記迂回配線と接続するように、前記層間絶縁膜に一対のコンタクトプラグを形成する工程と、
前記層間絶縁膜上に、前記一対のコンタクトプラグと接続するように、前記2つの縦型トランジスタからそれぞれ延在する2つのトランジスタ延在配線を形成する工程と、
を含む、請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記迂回配線は、前記ゲート電極用ダミーピラーの側壁部に設けられた導体膜から成る、請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記迂回配線は、各活性領域を区画する素子分離領域の側面を囲むように、サイドウォール状に設けられた導体膜から成る、請求項6に記載の半導体装置の製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5B】
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【図6B】
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【図7B】
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【図8B】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11B】
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【図12B】
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【図13B】
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【図14B】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図16B】
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【図16C】
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【図17A】
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【図17B】
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【図17C】
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【図17D】
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【図18B】
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【図18C】
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【図18D】
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【図19A】
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【図19B】
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【図19C】
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【図19D】
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【公開番号】特開2013−42034(P2013−42034A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178973(P2011−178973)
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】