説明

半導体装置およびその試験方法

【課題】ワイヤボンディング時のストレスでボンディングパッド下の絶縁層のダメージを電気的に検出できる半導体装置および導入されたダメージを検出して良品、不良品を判定できる半導体装置の試験方法を提供すること。
【解決手段】酸化膜4上にポリシリコン5を配置し、このポリシリコン5にpnダイオード9を形成し、nカソード層6上に層間絶縁膜10を挟んで第1ボンディングパッド11を配置する。また、pアノード層7上に第2ボンディングパッド12を配設することで、層間絶縁膜10に導入されるダメージが層間絶縁膜10を貫通するか否かを電気的に検出できる半導体装置(パワーICなど)とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ボンディングパッドを有する半導体装置およびその試験方法に係り、特に、ボンディングパッド下の絶縁層のダメージを電気的に検出できる半導体装置および導入されたダメージを検出し、良品、不良品を判定できる半導体装置の試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップ上に多数のボンディングパッドを有するパワーICなどの半導体装置において、ワイヤボンディング時のストレスでボンディングパッド下の絶縁層にクラックなどのダメージが導入されることがある。
【0003】
絶縁層に導入されたクラックが進行してその下のシリコン層の近傍に達すると、ボンディングパッド下の絶縁層が絶縁破壊を起こす場合が生じる。また、シリコン層に達したクラックがさらに進行すると、パワーICの特性の変化やパワーICの破壊を起こす場合がある。
【0004】
図4は、パワーICの要部平面図である。パワーICは、制御回路などからなる集積回路34とパワーMOSFET(出力段MOSFET35)などのパワー半導体素子で構成され、これらが同一の半導体チップ30に形成されている。この半導体チップ30の外周部には多数のボンディングパッドが配置され、ボンディングパッドはリードフレームの外部導出端子にボンディングワイヤで接続されている。図4において、後述の説明に対応して、一部のボンディングパッドを符号11,12で示す。同様に、ボンディングパッド11,12に対応する外部導出端子を符号15,16で示し、ボンディングパッド11,12と外部導出端子15,16との間を接続するボンディングワイヤを符号13,14で示す。
【0005】
また、半導体チップ30のドレイン38は、半導体チップ30の裏面に導出され支持導体31(リードフレームのダイの部分)に固着・接続される。そして、半導体チップ30と外部導出端子、および、ボンディグパッドと外部導出端子とを接続するボンディングワイヤを樹脂33で封止する。樹脂33は、例えばエポキシ樹脂である。
【0006】
前記の外部導出端子およびドレイン電極38に接続するドレイン端子32の先端は、封止樹脂33から外部に導出されて露出している。支持導体31と外部導出端子15、16は、必要な箇所を切り離したリードフレームの一部である。ドレイン端子32は支持導体31に接続した外部導出端子である。
【0007】
なお、図4の要部上面図において、封止樹脂33で封止された内部を説明するため、上面の封止樹脂は図示をしていない。
図5は、パワーICのボンディングパッド部分の構成図であり、同図(a)は要部平面図、同図(b)は同図(a)のX−X線で切断した要部断面図である。ここでは、多数ある中の2つのボンディングパッド11,12の箇所(図4のHの箇所)を例に挙げて説明する。
【0008】
図5(a)に示すように、ボンディングパット11,12は外部導出端子15,16に超音波ボンディングされたボンディングワイヤ13,14で接続する。
このボンディングパッド11,12部分の断面構造は、図5(b)に示すように、n半導体基板1上にnエピタキシャル層2が配置され、nエピタキシャル層2上に図4に示す集積回路34を形成するpウェル領域の延在部分3が配置され、このpウェル領域の延在部分3上にLOCOS膜からなる酸化膜4が配置される。前記のpウェル領域の延在部分3が無い場合はnエピタキシャル層2上にLOCOS膜からなる酸化膜4が配置される。
【0009】
この酸化膜4上にはBPSG(ボロン・リンガラス)膜からなる層間絶縁膜10が配置され、層間絶縁膜10上には第1、第2ボンディングパッド11,12が配置される。この第1、第2ボンディングパッド11,12にボンディングワイヤ13,14がそれぞれ超音波ボンディングされている。前記の第1、第2ボンディングパッド11,12は1%程度のシリコンが添加されたアルミシリコンで形成される。また、n半導体基板1はMOSFETのドレイン層である。前記の層間絶縁膜10はほぼ全面に形成される。
【0010】
図6は、ボンディング時に導入されるダメージを検出するための試験方法を示す図である。ダメージEは層間絶縁膜10内でダメージが止まった場合、ダメージFは層間絶縁膜10を貫通して酸化膜4内で止まった場合、ダメージGは酸化膜4を貫通してpウェル領域の延在箇所3へ達した場合である。
【0011】
このダメージが導入されるメカニズムについて説明する。ボンディングパッド11,12内に添加された微量のシリコンがプロセスの温度履歴で析出し、この析出した微小シリコン片に超音波ボンディングからの力がボンディングワイヤ13,14であるアルミニウムワイヤもしくはAuワイヤを介して与えられ、この力により層間絶縁膜10にクラックのようなダメージが入るものと推察される。
【0012】
つぎに、ダメージを検出する試験方法について説明する。第1ボンディングパッド11とpウェル領域の延在部分3(pウェル領域が無い場合はnエピタキシャル層2)の間に電源41から出力される電圧を印加して層間絶縁膜10および酸化膜4を通して流れる電流43を電流計42で測定する。ダメージE、Fの場合は電流46は殆ど流れないので良品と判定される。一方、ダメージGの場合は大きな電流が流れ不良品と判定される。
【0013】
また、特許文献1では、電気的に並列に接続される複数の二重拡散型電界効果トランジスタセルと、前記各二重拡散型電界効果トランジスタセルを構成するゲートとソース間に電気的に接続して使用するツェナーダイオード若しくは保護回路とを有する半導体装置において、従来のゲートパッドを、前記ゲートに電気的に接続された第1ゲートパッドと、ツェナーダイオード若しくは保護回路に電気的に接続された第2ゲートパッドとに分離形成する。検査工程では、ツェナーダイオードとゲートが電気的に分離しており、ボンディング工程において第1ゲートパッドと第2ゲートパッドをボンディングワイヤにより電気的に接続する。これにより、ゲート絶縁膜の絶縁破壊をあらかじめ防止し得るとともに、使用中に発生するサージ電圧による素子破壊を回避できる半導体装置が開示されている。
【0014】
つまり、この特許文献1は、完成する前に電界効果型トランジスタのゲートとソースの間に接続するツェナーダイオードを外して、ゲートとソース間の絶縁耐量を確認する。その後でツェナーダイオードを接続してサージ破壊を回避することが開示されている。
【0015】
このツェナーダイオードはボンディングパッド下の層間絶縁膜内にポリシリコンで形成され、一端はソースと接続し、他端は層間絶縁膜上の第2ゲートパッドと接続し、第1ゲートパッドはゲートと接続する。ポリシリコンの他端にゲートが接続されていない状態でゲート絶縁耐量を確認し、その後で、第1、第2ゲートパッドをワイヤボンデングすることで接続する。第1、第2ゲートパッドが接続されることで、ゲートとソースの間にツェナーダイオードが接続され、使用中に発生するサージ電圧による素子破壊を回避できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開平11−154746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
図6において、ダメージE,Fの良品と判定された場合でも、例えば、顧客側のエージング試験(動作試験)などで、ダメージが進行してダメージGの状態となり不良品と判定される場合がある。また、パワーICの動作中にダメージGの状態になると、パワーICは通常動作ができなくなる場合がある。
【0018】
また、前記の特許文献1では、ゲートとソース間の絶縁耐圧を層間絶縁膜内に形成したツェナーダイオードを接続しない状態で測定し、その後、このツェナダイオードをゲートとソース間に接続することでサージ破壊が回避できることは記載されている。
【0019】
しかし、2つのボンディングパッドのうちの第1ボンディングパッド下に層間絶縁膜を介してn層を配置し、他の第2ボンディングパッド下にp層を配置してポリシリコンでpnダイオードを形成する。このポリシリコン下に酸化膜を配置し酸化膜下にシリコン基板を配置する。第1ボンディングパッドと第2ボンディングパッド間に電圧を印加して層間絶縁膜に流れる電流を測定することで、層間絶縁膜に入るダメージを電気的に検出してパワーICの良否を判定することについては記載されていない。
【0020】
この発明の目的は、前記の課題を解決して、ワイヤボンディング時のストレスでボンディングパッド下の絶縁層のダメージを電気的に検出できる半導体装置および導入されたダメージを検出して良品、不良品を判定できる半導体装置の試験方法を提供することにある。
【0021】
また、絶縁膜内のダメージが進行してもパワーICの通常動作に影響を及ぼさない半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
前記の目的を達成するために、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明によれば、半導体層上に配置される第1絶縁層と、該第1絶縁層上に配置されるポリシリコンで形成されたpnダイオードと、該pnダイオードのn層上に配置される第2絶縁層と、該第2絶縁層上で前記n層の直上に配置される第1ボンディングパッドと、前記pnダイオードのp層上に該p層と接して配置される第2ボンディングパッドと、前記第1、第2ボンディングパッドに超音波ボンディングで接続される導線とを有する構成とする。
【0023】
また、特許請求の範囲の請求項2記載の発明によれば、請求項1に記載の発明において、前記第1ボンディングパッドの電圧を前記第2ボンディングパッドの電圧より常に高い状態で動作させるとよい。
【0024】
また、特許請求の範囲の請求項3記載の発明によれば、請求項1または2に記載の発明において、前記半導体層が半導体基板上に配置されるエピタキシャル層であるとよい。
また、特許請求の範囲の請求項4に記載の発明によれば、請求項1または2に記載の発明において、前記半導体層の表面層に配置され該半導体層と逆導電型の拡散層上に前記第1絶縁層が配置されるとよい。
【0025】
また、特許請求の範囲の請求項5に記載の発明によれば、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発明において、前記第1ボンディングパッドの電圧を前記第2ボンディングパッドの電圧より常に高い状態で動作させるとよい。
【0026】
また、特許請求の範囲の請求項6に記載の発明によれば、前記請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体装置の試験方法において、前記第1ボンディングパッドと前記第2ボンディングパッド間に電圧源を配設し、前記第1ボンディングパッドと前記第2ボンディングパッド間に電圧を印加して、第2ボンディングパッドから前記pnダイオードのp層、前記pnダイオードのn層、前記第2絶縁層を経由して第1ボンディングパッドに電流を流し、その電流の大きさが所定値以上となったことでダメージを検出し前記半導体装置の良、不良を判定する試験方法とする。
【0027】
また、特許請求の範囲の請求項7に記載の発明によれば、前記請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体装置の試験方法において、前記第1ボンディングパッドと前記第2ボンディングパッド間に電流源を配設し、前記第2ボンディングパッドから前記第1ボンディングパッドに向かって電流を流し、第1ボンディングパッドと第2ボンディングパッド間に発生する電圧の大きさが所定値以下となったことでダメージを検出し半導体装置の良、不良を判定する試験方法とする。
【0028】
また、特許請求の範囲の請求項8に記載の発明によれば、前記請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体装置の試験方法において、前記第1ボンディングパッドと前記第2ボンディングパッドに、前記電圧源もしくは前記電流源を配設するにあたり、前記第1ボンディングパッド,前記第2ボンディングパッドに前記導線にてそれぞれ接続された外部導出端子に前記電圧源もしくは前記電流源を配設する試験方法とする。
【発明の効果】
【0029】
この発明によると、酸化膜上にポリシリコンを配置し、このポリシリコンにpnダイオードを形成し、nカソード層上に層間絶縁膜を挟んで第1ボンディングパッドを配置する。また、pアノード層上に第2ボンディングパッドを配設することで、層間絶縁膜に導入されるダメージが層間絶縁膜を貫通するか否かを電気的に検出できる半導体装置(パワーICなど)を提供することができる。
【0030】
また、第1、第2ボンディングパッド間に電圧を印加し流れる電流もしくは一定電流を流して第1、第2ボンディングパッド間に発生する電圧を測定することで、ボンディングパッド下の層間絶縁膜に導入されるダメージが層間絶縁膜を貫通しているか否かを電気的に検出して半導体装置の良、不良を判定できる試験方法を提供することができる。
【0031】
また、層間絶縁膜内のダメージが進行してポリシリコンに達してもボリシリコンに形成されたpnダイオードで第1、第2ボンディングパッドを電気的に絶縁するため、通常動作に影響を及ぼさない半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】この発明の第1実施例の半導体装置の構成図であり、(a)は要部平面図、(b)は(a)のX−X線で切断した要部断面図である。
【図2】ボンディング時に導入されるクラックなどのダメージについて説明する図である。
【図3】この発明の第2実施例の半導体装置の試験方法を示す図であり、(a)は電流値で良品、不良品を判定する場合の図、(b)は電圧値で良品、不良品を判定する場合の図である。
【図4】パワーICの要部平面図である。
【図5】パワーICのボンディングパッド部分の構成図であり、(a)は要部平面図、(b)は(a)のX−X線で切断した要部断面図である。
【図6】ボンディング時に導入されるダメージを検出するための試験方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
実施の形態を以下の実施例で説明する。従来と同一部位には同一の符号を付した。
<実施例1>
図1は、この発明の第1実施例の半導体装置の構成図であり、同図(a)は要部平面図、同図(b)は同図(a)のX−X線で切断した要部断面図である。ここでは、半導体装置は例えばパワーICであり、多数ある中の2つのボンディングパッドの箇所を例に挙げて説明する。
【0034】
図1(a)に示すように、ボンディングパット11,12は外部導出端子15,16に超音波ボンディングされたボンディングワイヤ13,14で接続する。
このボンディングパッド11,12部分の断面構造は、図1(b)に示すように、n半導体基板1上にnエピタキシャル層2が配置され、nエピタキシャル層2上に図4に示す集積回路34を形成するpウェル領域の延在部分3が配置され、このpウェル領域の延在部分3上にLOCOS膜からなる酸化膜4が配置され、酸化膜4上にポリシリコン5で形成されたpnダイオード9が配置されている。
【0035】
pnダイオード9のnカソード層6上にBPSG(ボロン・リンガラス)膜からなる層間絶縁膜10が配置され、層間絶縁膜10上で前記nカソード層6の直上に第1ボンディングパッド11が配置される。また、pnダイオード9のpアノード層7上にこのpアノード層7と接して第2ボンディングパッド12が配置される。前記のpウェル領域の延在部分3が無い場合はnエピタキシャル層2上にLOCOS膜からなる酸化膜4が配置される。
【0036】
第1、第2ボンディングパッド11,12にボンディングワイヤ13,14がそれぞれ超音波ボンディングされている。この第1、第2ポンディングパッド11,12は、例えば1%程度のシリコンが添加されたAl−Si(アルミシリコン)やさらにCuを添加したAl−Si−Cu(アルミシリコンカッパー)などで形成される。また、ボンディングワイヤ13,14は、アルミニウム(Al)ワイヤや金(Au)ワイヤなどである。Auワイヤの場合は超音波ボンディングの範疇に入る超音波併用熱圧着ボンディングが用いられることが多い。
【0037】
このパワーICが動作する間は、nカソード層6上の第1ボンディングパッド11に印加される電圧がpアノード層7上の第2ボンディングパッド12に印加される電圧より常に高くしてpn接合8を常に逆バイアス状態にする。
【0038】
尚、前記の実施例1ではパワーICなどの半導体装置を構成する半導体層(pウェル領域の延在部分3もしくはnエピタキシャル層2)上に配置されるボンディングパッド11,12について説明したが、半導体装置としてはパワーICに限るものではなく、集積回路装置や単体のパワー半導体素子のボンディングパッドにも本発明は適用できる。
【0039】
図2は、ボンディング時に導入されるクラックなどのダメージについて説明する図である。ダメージAは層間絶縁膜10内でダメージが止まった場合、ダメージBは層間絶縁膜10を貫通してポリシリコン5に形成されるnカソード層6に達した場合、ダメージCはポリシリコン5を貫通し酸化膜4内で止まった場合、ダメージDは酸化膜4を貫通してpウェル領域の延在部分3へ達した場合である。pウェル領域の延在部分3が形成されていない場合には、nエピタキシャル層2へ達した場合に相当する。
【0040】
つぎに、絶縁層に導入されたダメージを電気的に検出しパワーICが良品、不良品であることを判定する試験方法について説明する。
<実施例2>
図3は、この発明の第2実施例の半導体装置の試験方法を示す図であり、同図(a)は電流値で良品、不良品を判定する場合の図、同図(b)は電圧値で良品、不良品を判定する場合の図である。
【0041】
同図(a)において、電圧源21のマイナス極をボンディングワイヤ13を介して第1ボンディングパッド11に接続し、電圧源21のプラス極を電流計22、ボンディングワイヤ14を介して第2ボンディングパッド12を接続する。電圧源21の電圧を、例えば、1.6Vに固定し(pnダイオードの立ち上がり電圧(0.6V)+1V)、この1.6Vをアルミニウムワイヤ13,14を通して第1、第2ボンディングパッド11,12に印加して流れる電流23(μA程度)を電流計22で測定する。
【0042】
図3(a)では、電圧源21をボンディングワイヤを介して第1、第2ボンディングパッド11,12に接続している。電圧源21第1、第2ボンディングパッド11,12に直接接続することが可能であれば、直接接続してもよい。
【0043】
しかしながら、この半導体装置の試験方法は、ワイヤボンディング工程より後に行うものであるため、電圧源21の電極(プローブ:図示せず)を第1、第2ボンディングパッド11,12に接触させるための応力をワイヤボンディング工程以降にさらに印加することになるため、図示しないプローブを直接ボンディングパッドに接触させるのは避けた方がよい。すくなくとも、ボンディングワイヤを介して、ボンディングパッドに接続するのが望ましい。
【0044】
電圧源21の電極をボンディングワイヤへ直接接続することが可能であれば、直接接続してもよい。
しかしながら、ボンディングワイヤは細くてやわらかいため、電圧源21の電極と十分に接触させることが難しい。また、ボンディングワイヤのボンディングパット並びに外部導出端子(リードフレーム)への接合部分へ、不要な応力の印加を避けるためには、ボンディングワイヤが接続された外部導出端子(リードフレーム)への接続が望ましい。
【0045】
リードフレームは、図4に示すような外部導出端子やダイ部を1チップ分として、複数チップ分が連続して形成されている。外部導出端子は、その内側(封止樹脂で覆われる側)に確実にワイヤボンディグが行えるように、外側の領域でリードフレームのランナー部に一体となっている。上記の第1の実施形態では、ボンディグパッド11と12との間に電圧源21からの電圧を印加する。上述のとおり、電圧源21を外部導出端子に接続して、電圧または電流を印加するためには、外部導出端子は個々に独立している必要がある。
【0046】
図4に示すように、半導体チップ30を支持導体31にマウントし、ボンディングパッドと外部導出端子との間のワイヤボンディグを行う。続いて、半導体チップ30とボンディングワイヤを封止樹脂33にて封止した後、リードフレームのランナー部にタイバー(図示せず)によって一体に形成されている外部導出端子を切り離して、外部導出端子を電気的に独立させる。続いて、外部導出端子を切り離した後に、外部導出端子(リードフレーム)に電圧源21を接続することで、ボンディングワイヤを介してボンディングパッドに所定の試験電圧を印加する。
【0047】
電圧源21より所定の電圧を印加した結果、図3(a)に示すダメージAの状態のチップには電流23は殆ど流れない。これを良品と判定する(電流はpAのオーダー)。同様に、ダメージB〜ダメージDの状態のチップには、pnダイオード9、層間絶縁膜10のダメージを通って大きな電流23(例えば、10μA以上)が流れるので、これを不良と判定する。この1.6Vの電圧のうち0.6V(立ち上がり電圧)がpnダイオード9に印加され、1Vが層間絶縁膜10に印加される。そのため、層間絶縁膜10の抵抗は1V÷10μA=100kΩ以下となる。つまり、層間絶縁膜10の抵抗が100kΩ以下となったとき不良品と判定される。この電流源21の電圧は1.6Vに限ったことではなく、pnダイオード9の立ち上がり電圧(0.6V)より高ければよい。しかし、0.6Vに近い電圧では層間絶縁膜10に印加される電圧が小さくなり過ぎるので、層間絶縁膜10に印加される電圧が1V以上高くするのが望ましい。
【0048】
また、図4のツェナーダイオード39のアノードがpnダイオード9のアノードに接続し、ツェナーダイオード39のカソードは集積回路34を介してpnダイオード9のカソードに接続する。つまり、ツェナーダイオード39とpnダイオード9は集積回路34を介して並列接続されている。そのため、集積回路34の内部抵抗が小さい場合は、第1、第2ボンディングパッド11,12の間にはツェナーダイオード39の立ち上がり電圧(0.6V)以上の電圧が印加されないことになる。
【0049】
つぎに、別の試験方法について説明する。第1、第2ボンディングワイヤ13,14の間にはpnダイオード9とは別に図4に示すようにツェナーダイオード39が挿入される場合がある。それは、第1、第2ボンディングパッド11,12が出力段MOSFET35のゲート36とソース37に接続し、このゲート36とソース37間にツェナーダイオード39が接続されている場合などである。その場合は、図3(b)の方法を用いて判定する。
【0050】
同図(b)において、電流源26のプラス極にボンディングワイヤ14を介して第2ボンディングパッド12を接続し、電流源26のマイナス極にボンディングワイヤ14を介して第1ボンディングパッド11を接続する。第1、第2ボンディングパッド11,12の間には電圧計27が接続する。
【0051】
図3(b)においても、電流源26をボンディングワイヤを介して第1、第2ボンディングパッド11,12に接続している。図3(a)の説明と同様に、電流源26を第1、第2ボンディングパッド11,12に直接接続することが可能であれば、直接接続してもよいが、第1、第2ボンディングパッド11,12への応力の印加を避けた方がよい。つまり、電流源26の電極(プローブ)をボンディングパッドに直接接触させるのは避けた方がよい。
【0052】
また、電流源26の電極をボンディングワイヤへ直接接続することが可能であれば、直接接続してもよいが、ボンディングワイヤとボンディングパット並びに外部導出端子(リードフレーム)との接合部分への不要な応力の印加をさけるためには、ボンディングワイヤが接続された外部導出端子(リードフレーム)への接続が望ましい。
【0053】
従って、図3(a)の場合と同様に、半導体チップ30を支持導体31にマウントし、ボンディングパッドと外部導出端子との間のワイヤボンディグをおこなって、全体を樹脂封止した後、リードフレームのランナー部に一体に形成されている外部導出端子を切り離す。そして外部導出端子が電気的に独立した後に、上記の試験を行うことで、ボンディングワイヤを介してボンディングパッドに所定の試験電流を印加することができる。
【0054】
図3(b)のように、電流源26から例えば5μAに固定した一定の電流28を流し、そのとき第1、第2ボンディングパッド11,12間に発生する電圧を電圧計27で測定する。その電圧がpnダイオード9の立ち上がり電圧である0.6Vより低い、例えば、0.5V以下の場合にダメージがある不良品と判定する。この場合の層間絶縁層10の抵抗は0.5V÷5μA=100kΩとなる。つまり、層間絶縁膜10の抵抗が100kΩ以下となったとき不良品と判定する。
【0055】
図3(a)(b)の試験で。良品と判定したパワーICが実動作中に、ダメージが進行してダメージBの状態になる場合がある。
パワーICにおいて、上記の試験のためのpn接合8は、動作状態においてボンディングパッドに印加される電圧が常に第1ボンディングパット11の電圧は第2ボンディングパッド12の電圧より高い状態となる部分に配置される。したがって、動作状態では、pnダイオード9は常に逆バイアス状態にある。そのため、第1、第2ボンディングパッド11,12は電気的に絶縁され、第1、第2ボンディングパッド11,12はそれぞれ所望の電位状態とすることができる。その結果、ダメージが進行しても、ダメージDの状態にならない限り、通常動作には影響を及ぼさない。また、エージング試験(動作試験)では、第1ボンディングパッド11の電圧は第2ボンディングパッド12の電圧より常に高い状態で動作させるため、不良品と判定されることはない。
【0056】
また、ポリシリコン5が層間絶縁膜10と酸化膜4の間に配置されているので、ボンディング時のストレスで導入されるダメージの進行をポリシリコン5で抑制できるので信頼性を高めることができる。
【0057】
尚、前記の実施例2ではボンディングパッドが2個の場合について説明したが、多数ある場合は、ポリシリコン5上に形成されるボンディングパッドのうち高い電圧が印加されるボンディングパッド同士を接続し、また低い電圧が印加されるボンディングパッド同士を接続して、同様の試験を一括して行なうことができる。しかし、この場合は、流す電流を前記した値より増やす必要がある。
【0058】
なお、本発明は、上記のようなリードフレームに代えて、半導体チップ30を絶縁基板上の回路パターンに実装する場合にも適用可能である。絶縁基板は、アルミニウムなどの金属板上に絶縁層を介して回路パターンを形成した金属絶縁基板や、セラミックなどの絶縁体上回路パターンを形成した基板などを用いることができる。
【0059】
絶縁基板上にマウントされた半導体チップ30のボンディングパッドを絶縁基板上の回路パターンにや樹脂ケースに固定された外部導出端子にボンディングワイヤによって接続する。
【0060】
絶縁基板上の回路パターンや外部導出端子は、ワイヤボンディグを行う時点ですでに相互に電気的に独立しているので、絶縁基板上の回路パターンや外部導出端子に対し電圧源21または電流源26を接続することで、試験対象のボンディングパッドに対してボンディングワイヤを介して所望の試験電圧または試験電流を印加することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 n半導体基板
2 nエピタキシャル層
3 pウェル領域
4 酸化膜
5 ポリシリコン
6 nカソード層
7 pアノード層
8 pn接合
9 pnダイオード
10 層間絶縁膜
11 第1ボンディングパッド
12 第2ボンディングパッド
13、14 ボンディングワイヤ
15 第1外部導出端子
16 第2外部導出端子
21 電圧源
22,42 電流計
23,28,43 電流
26 電流源
27 電圧計
30 半導体チップ
31 支持導体
32 ドレイン端子
33 封止樹脂
34 集積回路
35 出力段MOSFET
36 ゲート
37 ソース
38 ドレイン
39 ツェナーダイオード
41 電源
A〜G ダメージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体層上に配置される第1絶縁層と、該第1絶縁層上に配置されるポリシリコンで形成されたpnダイオードと、該pnダイオードのn層上に配置される第2絶縁層と、該第2絶縁層上で前記n層の直上に配置される第1ボンディングパッドと、前記pnダイオードのp層上に該p層と接して配置される第2ボンディングパッドと、前記第1、第2ボンディングパッドに超音波ボンディングで接続される導線とを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第1ボンディングパッドの電圧を前記第2ボンディングパッドの電圧より常に高い状態で動作させることを特徴とする請求項1のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記半導体層が半導体基板上に配置されるエピタキシャル層であることを特徴とする請求項1または2のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体層の表面層に配置され該半導体層と逆導電型の拡散層上に前記第1絶縁層が配置されることを特徴とする請求項1または2のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1絶縁層が酸化膜であり、前記第2絶縁層が層間絶縁膜であり、第1,第2ボンディングパッドの材質が、Al−SiまたはAl−Si−Cuであることを特徴とする請求項1または2のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体装置の試験方法において、前記第1ボンディングパッドと前記第2ボンディングパッド間に電圧源を配設し、前記第1ボンディングパッドと前記第2ボンディングパッド間に電圧を印加して、第2ボンディングパッドから前記pnダイオードのp層、前記pnダイオードのn層、前記第2絶縁層を経由して第1ボンディングパッドに電流を流し、その電流の大きさが所定値以上となったことでダメージを検出し前記半導体装置の良、不良を判定すること特徴とする半導体装置の試験方法。
【請求項7】
前記請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体装置の試験方法において、前記第1ボンディングパッドと前記第2ボンディングパッド間に電流源を配設し、前記第2ボンディングパッドから前記第1ボンディングパッドに向かって電流を流し、第1ボンディングパッドと第2ボンディングパッド間に発生する電圧の大きさが所定値以下となったことでダメージを検出し半導体装置の良、不良を判定すること特徴とする半導体装置の試験方法。
【請求項8】
前記第1ボンディングパッドと前記第2ボンディングパッドに、前記電圧源もしくは前記電流源を配設するにあたり、
前記第1ボンディングパッド,前記第2ボンディングパッドに前記導線にてそれぞれ接続された外部導出端子に前記電圧源もしくは前記電流源を配設することを特徴とする請求項6または7のいずれか一項に記載の半導体装置の試験方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−93500(P2013−93500A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235795(P2011−235795)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】