説明

半導体装置および半導体装置の作製方法

【課題】酸化物半導体を用いた半導体装置において、より安定した電気的特性を付与し、信頼性の高い半導体装置を提供する。また、当該半導体装置の作製方法を提供する。
【解決手段】ゲート電極と、ゲート電極上に形成されたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に形成された酸化物半導体膜と、酸化物半導体膜上に形成されたソース電極およびドレイン電極と、保護膜と、を有し、該保護膜は金属酸化膜を有し、該金属酸化膜は、膜密度が3.2g/cm以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
半導体装置および半導体装置の作製方法に関する。
【0002】
なお、本明細書中において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指し、電気光学装置、半導体回路および電子機器は全て半導体装置である。
【背景技術】
【0003】
絶縁表面を有する基板上に形成された半導体薄膜を用いてトランジスタを構成する技術が注目されている。該トランジスタは集積回路(IC)や画像表示装置(表示装置)のような電子デバイスに広く応用されている。トランジスタに適用可能な半導体薄膜の材料としてシリコン系半導体材料が広く知られているが、その他の材料として酸化物半導体が注目されている。
【0004】
例えば、トランジスタに用いる半導体薄膜として、電子キャリア濃度が1018/cm未満であるインジウム(In)、ガリウム(Ga)、および亜鉛(Zn)を含む非晶質酸化物を用いたトランジスタが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−165528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
酸化物半導体はデバイス作製工程において、電子供与体を形成する水や水素の混入などが生じることや酸化物半導体膜から酸素が抜けてしまうことによって、その電気伝導度が変化する恐れがある。このような現象は、酸化物半導体を用いたトランジスタにとって電気的特性の変動要因となる。
【0007】
このような問題に鑑み、酸化物半導体を用いた半導体装置に安定した電気的特性を付与し、信頼性の高い半導体装置を提供することを課題の一とする。また、当該半導体装置の作製方法を提供することを目的の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
酸化物半導体膜を含む半導体装置において、酸化物半導体膜に接する保護膜に、金属酸化膜を用いる。金属酸化膜は、酸化物半導体膜を構成する酸素以外の元素と同族からなる元素を含む材料により形成する。また、金属酸化膜は、水や水素が酸化物半導体膜に侵入し、拡散することを抑制することができる。また、酸化物半導体膜から酸素が抜けてしまうことを抑制することができる。また、金属酸化膜と酸化物半導体膜とが接する構成にすると金属酸化膜と酸化物半導体膜の界面は、金属酸化膜と酸化物半導体膜とが同族の金属元素を含んだ構成となるため、界面特性が非常に安定である。
【0009】
また、酸化物半導体膜を含む半導体装置において、ボトムゲート構造のトランジスタを形成する場合、酸化物半導体膜下の膜を、金属酸化膜とすると好ましい。酸化物半導体膜に接して金属酸化膜を設けることにより、界面特性が非常に安定し、より優れた半導体装置を提供することができる。
【0010】
本発明の一態様は、ゲート電極と、ゲート電極上に形成されたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に形成された酸化物半導体膜と、酸化物半導体膜上に形成されたソース電極およびドレイン電極と、酸化物半導体膜、ソース電極およびドレイン電極上に形成された保護膜と、を有し、保護膜は、酸化物絶縁膜上に金属酸化膜がある積層膜であり、金属酸化膜は、膜密度が3.2g/cm以上である半導体装置である。
【0011】
本発明の他の一態様は、ゲート電極と、ゲート電極上に形成されたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に形成された酸化物半導体膜と、酸化物半導体膜上に形成されたソース電極およびドレイン電極と、酸化物半導体膜、ソース電極およびドレイン電極上に形成された保護膜と、を有し、保護膜は、酸化物絶縁膜上に金属酸化膜がある積層膜であり、金属酸化膜は、酸化アルミニウムを含む膜であり、金属酸化膜の膜密度が3.2g/cm以上である半導体装置である。
【0012】
また、上記構成において、保護膜の金属酸化膜に接して導電膜があると好ましい。
【0013】
また、上記構成において、導電膜は、酸化亜鉛、インジウム錫酸化物、酸化チタン、アルミニウムおよびチタンの中から、少なくともいずれか一種を含んでいると好ましい。
【0014】
また、上記構成において、酸化物半導体膜は、インジウム、亜鉛、ガリウム、ジルコニウム、スズ、ガドリニウム、チタンおよびセリウムの酸化物の中から、少なくともいずれか一種を含んでいると好ましい。
【0015】
また、上記構成において、ゲート電極の下で接している下地絶縁膜を有し、下地絶縁膜は、ゲート電極と接する面に金属酸化膜を有し、金属酸化膜の膜密度が3.2g/cm以上であると好ましい。
【0016】
また、本発明の他の一態様は、ゲート電極を形成し、ゲート電極上にゲート絶縁膜を形成し、ゲート絶縁膜形成後に加熱処理し、ゲート絶縁膜上に酸化物半導体膜を形成し、酸化物半導体膜上にソース電極およびドレイン電極を形成し、ソース電極およびドレイン電極形成後に保護膜を形成し、保護膜は、酸化物絶縁膜上に金属酸化膜がある積層膜で形成され、金属酸化膜は、膜密度が3.2g/cm以上である半導体装置の作製方法である。
【0017】
また、本発明の他の一態様は、ゲート電極を形成し、ゲート電極上にゲート絶縁膜を形成し、ゲート絶縁膜形成後に加熱処理し、ゲート絶縁膜上に酸化物半導体膜を形成し、酸化物半導体膜上にソース電極およびドレイン電極を形成し、ソース電極およびドレイン電極形成後に保護膜を形成し、保護膜は、酸化物絶縁膜上に金属酸化膜がある積層膜で形成され、金属酸化膜は、酸化アルミニウムを含む膜またはGa−Zn系酸化物膜であり、金属酸化膜の膜密度が3.2g/cm以上である半導体装置の作製方法である。
【0018】
また、上記作製方法において、保護膜の金属酸化膜に接して導電膜を形成すると好ましい。
【0019】
また、上記作製方法において、ゲート絶縁膜上に接して金属酸化膜が形成され、該金属酸化膜は、膜密度が3.2g/cm以上であると好ましい。金属酸化膜は酸化アルミニウム膜またはGa−Zn系酸化物膜であることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
酸化物半導体を用いた半導体装置において、より安定した電気的特性を付与し、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。また、当該半導体装置の作製方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】半導体装置の一形態の断面を説明する図。
【図2】半導体装置の作製方法の一形態を説明する図。
【図3】半導体装置の作製方法の一形態を説明する図。
【図4】半導体装置の一形態の断面を説明する図。
【図5】半導体装置の一形態の平面を説明する図。
【図6】半導体装置の一形態の断面を説明する図。
【図7】半導体装置の一形態の断面を説明する図。
【図8】電子機器を説明する図。
【図9】実施例の金属酸化膜の一例を説明する図。
【図10】酸化アルミニウム膜の膜密度測定の結果を示す図。
【図11】実施例の金属酸化膜の一例を説明する図。
【図12】SIMS分析の測定結果を示す図。
【図13】実施例の金属酸化膜の一例を説明する図。
【図14】TDS分析の測定結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0023】
以下に説明する実施の形態において、同じものを指す符号は異なる図面間で共通して用いる場合がある。なお、図面において示す構成要素、すなわち層や領域等の厚さ、幅、相対的な位置関係等は、実施の形態において説明する上で明確性のために誇張して示される場合がある。
【0024】
なお、本明細書等における「第1」、「第2」、「第3」などの序数詞は、構成要素の混同を避けるために付すものであり、数的に限定するものではないことを付記する。
【0025】
また、本明細書等において「電極」や「配線」という用語は、これらの構成要素を機能的に限定するものではない。例えば、「電極」は「配線」の一部として用いられることがあり、その逆もまた同様である。さらに、「電極」や「配線」という用語は、複数の「電極」や「配線」が一体となって形成されている場合なども含む。
【0026】
また、「ソース」や「ドレイン」の機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書等においては、「ソース」や「ドレイン」という用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
【0027】
また、本明細書等において、平均面粗さ(Ra)とは、JIS B 0601:2001(ISO4287:1997)で定義されている算術平均粗さを、曲面に対して適用できるよう三次元に拡張したものであり、基準面から指定面までの偏差の絶対値を平均した値で表現される。
【0028】
そして、平均面粗さ(Ra)は、指定面をZ=f(x,y)で表すとき、基準面から指定面までの偏差の絶対値を平均した値で表現され、次の式(1)で与えられる。
【0029】
【数1】

【0030】
ここで、指定面とは、粗さ計測の対象となる面であり、座標(x,y,f(x,y))、(x,y,f(x,y))、(x,y,f(x,y))、(x,y,f(x,y))で表される4点により囲まれる四角形の領域とし、指定面をxy平面に投影した長方形の面積をS、基準面の高さ(指定面の平均の高さ)をZとする。平均面粗さ(Ra)は原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)にて測定可能である。
【0031】
(実施の形態1)
本実施の形態は、本発明の一態様であるトランジスタを有する半導体装置およびその作製方法について、図1乃至図3を用いて説明する。
【0032】
<本実施の形態における半導体装置の構成>
図1は酸化物半導体膜を有する半導体装置の断面図である。図1に示すトランジスタ150は、下地絶縁膜104が設けられた絶縁表面を有する基板102上に形成されたゲート電極106と、下地絶縁膜104およびゲート電極106上に形成されたゲート絶縁膜108と、ゲート絶縁膜108上に形成された酸化物半導体膜110と、ゲート絶縁膜108および酸化物半導体膜110上に形成されたソース電極112aおよびドレイン電極112bと、酸化物半導体膜110、ソース電極112aおよびドレイン電極112b上に形成された保護膜114と、を有し、保護膜114は、酸化物絶縁膜114aと、金属酸化膜114bと、の積層膜を用いている。
【0033】
金属酸化膜114bは、酸化物半導体膜110を構成する元素の一つと同族の12族の元素、13族の元素もしくは13族の元素と同様の性質を示す3族の元素を含む材料で形成する。例えば、酸化物半導体膜110がインジウム(In)および亜鉛(Zn)の酸化物を含む酸化物半導体材料である場合、金属酸化膜114bは亜鉛と同じ族に属する元素、すなわち12族の元素でなる絶縁性の金属酸化膜、またはインジウムと同じ族に属する元素、すなわち13族の元素、若しくは13族の元素と同様の性質を示す3族の元素でなる絶縁性の金属酸化膜を用いることが好ましい。3族の元素としてランタノイド系の元素、例えば、セリウム(Ce)やガドリニウム(Gd)の酸化膜を用いると良い。金属酸化膜114bとして酸化アルミニウム膜、酸化ガリウム膜、酸化亜鉛膜、Ga−Zn系酸化物膜は好適な一例として選択することができる。
【0034】
また、金属酸化膜114bは、特に膜密度が3.2g/cm以上、さらに好ましくは3.6g/cm以上の酸化アルミニウム膜を用いるとよい。金属酸化膜114bとして、酸化アルミニウム膜を用い、当該酸化アルミニウム膜の膜密度を上記数値とすることで、水や水素が酸化物半導体膜に侵入し、拡散することを抑制することができる。また、酸化物半導体膜から酸素が抜けてしまうことを抑制することができる。
【0035】
<本実施の形態における半導体装置の作製方法>
トランジスタ150の作製方法について図2および図3を用いて説明する。
【0036】
まず、基板102上に下地絶縁膜104を形成する。
【0037】
基板102としては、アルミノシリケートガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスなどのガラス材料を用いる。量産する上では、基板102は、第8世代(2160mm×2460mm)、第9世代(2400mm×2800mm、または2450mm×3050mm)、第10世代(2950mm×3400mm)等のマザーガラスを用いることが好ましい。マザーガラスは、処理温度が高く、処理時間が長いと大幅に収縮するため、マザーガラスを使用して量産を行う場合、作製工程の加熱処理は、700℃以下、好ましくは450℃以下、さらに好ましくは350℃以下とすることが望ましい。
【0038】
下地絶縁膜104は、プラズマCVD法またはスパッタリング法を用いて50nm以上600nm以下の膜厚で、酸化シリコン膜、酸化ガリウム膜、酸化アルミニウム膜、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化窒化アルミニウム膜、または窒化酸化シリコン膜から選ばれた一層またはこれらの積層膜を用いる。下地絶縁膜104により、基板102側からの不純物の侵入を抑制することができる。なお、下地絶縁膜104が不要な場合、例えば、基板102の表面吸着した水分、および基板102に含有する水分が少ない場合には下地絶縁膜104を設けない構成としてもよい。
【0039】
また、後に形成されるゲート電極106に接する金属酸化膜を設けると良い。特に膜密度が3.2g/cm以上、さらに好ましくは3.6g/cm以上の酸化アルミニウム膜を設けるとよい。酸化アルミニウム膜の膜厚は、30nm以上150nm以下、好ましくは50nm以上100nm以下であるとよい。当該酸化アルミニウム膜の膜密度を上記数値とすることで、水や水素が酸化物半導体膜に侵入し、拡散することを抑制することができる。また、酸化物半導体膜から酸素が抜けてしまうことを抑制することができる。
【0040】
なお、本明細書中において、酸化窒化シリコンなどの「酸化窒化物」とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多いものをいう。
【0041】
なお、本明細書中において、窒化酸化シリコンなどの「窒化酸化物」とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多いものをいう。
【0042】
次に、下地絶縁膜104上に、導電膜を形成した後、フォトリソグラフィ工程およびエッチング工程によりゲート電極106を形成する(図2(A)参照)。ゲート電極106は、スパッタリング法等により、モリブデン、チタン、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、ネオジム、およびスカンジウム等の金属材料、または、これらを含む合金材料を用いて、単層、または積層して形成することができる。
【0043】
次に、下地絶縁膜104およびゲート電極106上にゲート絶縁膜108を形成する(図2(B)参照)。本実施の形態においては、ゲート絶縁膜108として、酸化窒化シリコン膜を用いることができる。
【0044】
酸化窒化シリコン膜は、プラズマCVD装置を用いて、真空中で連続して形成することができる。
【0045】
酸化窒化シリコン膜は、例えば、SiH、NO、NH、N等のガスを用いて形成することができる。
【0046】
また、ゲート絶縁膜108は化学量論比より酸素の含有量が過剰な領域が含まれているのが好ましい。この場合、酸素の含有量は、ゲート絶縁膜108の化学量論比を超える程度とする。例えば、組成がSiO(x>0)で表現される酸化シリコン膜の場合、酸化シリコンの化学量論比はSi:O=1:2であるので、xが2を超える酸素過剰領域を有する酸化シリコン膜を用いることが好ましい。このような酸素過剰領域は、酸化シリコン膜の一部(界面も含む)に存在していればよい。
【0047】
後に形成される酸化物半導体膜110と接するゲート絶縁膜108が化学量論比より酸素の含有量が過剰な領域を有していると、酸化物半導体膜110からこれと接するゲート絶縁膜108への酸素の移動を抑制することができ、かつ、酸化物半導体膜110と接するゲート絶縁膜108から酸化物半導体膜110への酸素の供給を行うこともできるためである。
【0048】
次に、酸化窒化シリコン膜が形成された基板102に対して、水分や水素などを除去するための加熱処理を行う。
【0049】
なお、加熱処理としては、電気炉、もしくは抵抗発熱体などの発熱体からの熱伝導または熱輻射によって、被処理物を加熱する装置を用いることができる。例えば、LRTA(Lamp Rapid Thermal Anneal)装置、GRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)装置等のRTA(Rapid Thermal Anneal)装置を用いることができる。LRTA装置は、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧水銀ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する装置である。GRTA装置は、高温のガスを用いて加熱処理を行う装置である。高温のガスには、アルゴンなどの希ガス、または窒素のような、加熱処理によって被処理物と反応しない不活性気体が用いられる。
【0050】
例えば、加熱処理として、熱せられた不活性ガス雰囲気中に被処理物を投入し、数分間熱した後、当該不活性ガス雰囲気から被処理物を取り出すGRTA処理を行ってもよい。GRTA処理を用いると短時間での高温熱処理が可能となる。また、被処理物の耐熱温度を超える温度条件であっても適用が可能となる。なお、処理中に不活性ガスを、酸素を含むガスに切り替えても良い。酸素を含む雰囲気において加熱処理を行うことで、膜中の欠陥密度を低減することができる。
【0051】
なお、不活性ガス雰囲気としては、窒素、または希ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴン等)を主成分とする雰囲気であって、水分、水素などが含まれない雰囲気を適用するのが望ましい。例えば、熱処理装置に導入する窒素や、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上、好ましくは7N(99.99999%)以上(すなわち、不純物濃度が1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とする。
【0052】
加熱処理温度は、基板102として、マザーガラスを用いた場合、処理温度が高く、処理時間が長いと大幅に収縮するため、200℃以上450℃以下、さらに好ましくは、250℃以上350℃以下である。
【0053】
なお、加熱処理を行うことで、酸化窒化シリコン膜中の水や水素等の不純物を除去することができる。また、当該加熱処理により、膜中の欠陥密度を低減することができる。酸化窒化シリコン膜は、膜中の不純物、または膜中の欠陥密度が低減することにより、半導体装置の信頼性が向上する。例えば、半導体装置の信頼性試験の一つである光負バイアスストレス試験における半導体装置の劣化を抑制させることができる。
【0054】
ところで、上述の加熱処理には水分や水素などを除去する効果があるから、当該加熱処理を、脱水化処理や、脱水素化処理などと呼ぶこともできる。また、このような脱水化処理、脱水素化処理は、一回に限らず複数回行っても良い。
【0055】
次に、酸化物半導体膜110を形成する(図2(C)参照)。
【0056】
酸化物半導体膜110を形成する酸化物半導体としては、不純物が除去され、酸化物半導体の主成分以外のキャリア供与体となる不純物が極力含まれないように高純度化することにより真性(i型)化または実質的に真性(i型)化された酸化物半導体を用いる。
【0057】
酸化物半導体膜110は単結晶でも、非単結晶でもよい。後者の場合、アモルファスでも、多結晶でもよい。また、アモルファス中に結晶性を有する部分を含む構造でも、非アモルファスでもよい。
【0058】
アモルファス状態の酸化物半導体膜は、比較的容易に平坦な表面を得ることができるため、これを用いてトランジスタを作製した際の界面散乱を低減でき、比較的容易に、比較的高い移動度を得ることができる。
【0059】
また、結晶性を有する酸化物半導体膜(結晶性酸化物半導体膜)では、よりバルク内欠陥を低減することができ、表面の平坦性を高めればアモルファス状態の酸化物半導体膜以上の移動度を得ることができる。表面の平坦性を高めるためには、平坦な表面上に酸化物半導体膜を形成することが好ましく、具体的には、平均面粗さ(Ra)が1nm以下、好ましくは0.3nm以下、より好ましくは0.1nm以下の表面上に形成するとよい。なお、平均面粗さ(Ra)が0に近いほど好ましい。
【0060】
結晶性酸化物半導体膜における結晶状態は、結晶軸の方向が無秩序な状態でも、一定の配向性を有する状態であってもよい。
【0061】
また、酸化物半導体膜として、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)膜を用いることができる。
【0062】
CAAC−OS膜は、完全な単結晶ではなく、完全な非晶質でもない。CAAC−OS膜は、非晶質相に結晶部および非晶質部を有する結晶−非晶質混相構造の酸化物半導体膜である。なお、当該結晶部は、一辺が100nm未満の立方体内に収まる大きさであることが多い。また、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)による観察像では、CAAC−OS膜に含まれる非晶質部と結晶部との境界は明確ではない。また、TEMによってCAAC−OS膜には粒界(グレインバウンダリーともいう)は確認できない。そのため、CAAC−OS膜では、粒界に起因する電子移動度の低下が抑制される。
【0063】
CAAC−OS膜に含まれる結晶部は、c軸がCAAC−OS膜の被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向に揃い、かつ、ab面に垂直な方向から見て三角形状または六角形状の原子配列を有し、金属原子および酸素原子を有する層が重なる(なお、当該層の法線ベクトルがc軸方向である)。なお、異なる結晶部間で、それぞれa軸およびb軸の向きが異なっていてもよい。本明細書において、単に垂直と記載する場合、85°以上95°以下の範囲も含まれることとする。また、単に平行と記載する場合、−5°以上5°以下の範囲も含まれることとする。
【0064】
なお、CAAC−OS膜において、結晶部の分布が一様でなくてもよい。例えば、CAAC−OS膜の形成過程において、酸化物半導体膜の表面側から結晶成長させる場合、被形成面の近傍に対し、表面の近傍では結晶部の占める割合が高くなることがある。また、CAAC−OS膜へ不純物を添加することにより、当該不純物添加領域において結晶部が非晶質化することもある。
【0065】
CAAC−OS膜に含まれる結晶部のc軸は、CAAC−OS膜の被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向に揃うため、CAAC−OS膜の形状(被形成面の断面形状または表面の断面形状)によっては互いに異なる方向を向くことがある。なお、結晶部のc軸の方向は、CAAC−OS膜が形成されたときの被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向となる。結晶部は、成膜することにより、または成膜後に熱処理などの結晶化処理を行うことにより形成される。
【0066】
CAAC−OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動が小さい。よって、当該トランジスタは、信頼性が高い。
【0067】
CAAC−OS膜は、例えば、多結晶である酸化物半導体スパッタリング用ターゲットを用い、スパッタリング法によって成膜する。当該スパッタリング用ターゲットにイオンが衝突すると、スパッタリング用ターゲットに含まれる結晶領域がa−b面から劈開し、a−b面に平行な面を有する平板状またはペレット状のスパッタリング粒子として剥離することがある。この場合、当該平板状のスパッタリング粒子が、結晶状態を維持したまま基板に到達することで、CAAC−OS膜を成膜することができる。
【0068】
また、CAAC−OS膜を成膜するために、以下の条件を適用することが好ましい。
【0069】
成膜時の不純物混入を低減することで、不純物によって結晶状態が崩れることを抑制できる。例えば、成膜室内に存在する不純物濃度(水素、水、二酸化炭素および窒素など)を低減すればよい。また、成膜ガス中の不純物濃度を低減すればよい。具体的には、露点が−80℃以下、好ましくは−100℃以下である成膜ガスを用いる。
【0070】
また、成膜時の基板加熱温度を高めることで、基板到達後にスパッタリング粒子のマイグレーションが起こる。具体的には、基板加熱温度を100℃以上740℃以下、好ましくは200℃以上500℃以下として成膜する。成膜時の基板加熱温度を高めることで、平板状のスパッタリング粒子が基板に到達した場合、基板上でマイグレーションが起こり、スパッタリング粒子の平らな面が基板に付着する。
【0071】
また、成膜ガス中の酸素割合を高め、電力を最適化することで成膜時のプラズマダメージを軽減すると好ましい。成膜ガス中の酸素割合は、30体積%以上、好ましくは100体積%とする。
【0072】
スパッタリング用ターゲットの一例として、In−Ga−Zn系酸化物ターゲットについて以下に示す。
【0073】
InO粉末、GaO粉末およびZnO粉末を所定のmol比で混合し、加圧処理後、1000℃以上1500℃以下の温度で加熱処理をすることで多結晶であるIn−Ga−Zn系酸化物ターゲットとする。なお、X、YおよびZは任意の正数である。ここで、所定のmol比は、例えば、InO粉末、GaO粉末およびZnO粉末が、2:2:1、8:4:3、3:1:1、1:1:1、4:2:3または3:1:2である。なお、粉末の種類、およびその混合するmol比は、作製するスパッタリング用ターゲットによって適宜変更すればよい。
【0074】
酸化物半導体膜110の膜厚は、1nm以上200nm以下、好ましくは15nm以上30nm以下とし、スパッタリング法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法、パルスレーザ堆積法、ALD(Atomic Layer Deposition)法等を適宜用いることができる。また、酸化物半導体膜110は、スパッタリングターゲット表面に対し、概略垂直に複数の基板表面がセットされた状態で成膜を行うスパッタ装置を用いて成膜してもよい。
【0075】
なお、酸化物半導体の成膜を行う前に、成膜室の加熱および排気を行って、成膜室中の水素、水、水酸基、水素化物などの不純物を除去しておくことが好ましい。特に成膜室の内壁に吸着して存在するこれらの不純物を除去することが重要である。ここで、加熱処理は、例えば、100℃以上450℃以下で行えばよい。また、処理室の排気は、ドライポンプなどの粗引きポンプと、スパッタイオンポンプ、ターボ分子ポンプおよびクライオポンプなどの高真空ポンプとを適宜組み合わせて行うとよい。ターボ分子ポンプは大きいサイズの分子の排気が優れる一方、水分や水素の排気能力が低い。さらに、水分の排気能力の高いクライオポンプまたは水素の排気能力の高いスパッタイオンポンプを組み合わせることが有効となる。また、このとき、不活性ガスを導入しながら不純物の除去を行うと、排気するだけでは脱離しにくい水分などの脱離速度をさらに大きくすることができる。このような処理を行って酸化物半導体の成膜前に成膜室の不純物を除去することにより、酸化物半導体膜110への水素、水、水酸基、水素化物などの混入を抑制することができる。
【0076】
用いる酸化物半導体としては、少なくともインジウム(In)あるいは亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。特にInとZnを含むことが好ましい。また、該酸化物半導体を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすためのスタビライザーとして、それらに加えてガリウム(Ga)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてスズ(Sn)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてハフニウム(Hf)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてアルミニウム(Al)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてチタン(Ti)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてジルコニウム(Zr)を有することが好ましい。
【0077】
また、他のスタビライザーとして、ランタノイドである、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)のいずれか一種あるいは複数種を有してもよい。
【0078】
例えば、酸化物半導体として、単元系金属の酸化物である酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、二元系金属の酸化物であるIn−Zn系酸化物、Sn−Zn系酸化物、Al−Zn系酸化物、Zn−Mg系酸化物、Sn−Mg系酸化物、In−Mg系酸化物、In−Ga系酸化物、三元系金属の酸化物であるIn−Ga−Zn系酸化物(IGZOとも表記する)、In−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物、Sn−Ga−Zn系酸化物、Al−Ga−Zn系酸化物、Sn−Al−Zn系酸化物、In−Hf−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物、四元系金属の酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn系酸化物、In−Hf−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Hf−Zn系酸化物、In−Hf−Al−Zn系酸化物を用いることができる。
【0079】
なお、ここで、例えば、In−Ga−Zn系酸化物とは、InとGaとZnを主成分として有する酸化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZn以外の金属元素が入っていてもよい。
【0080】
また、酸化物半導体として、InMO(ZnO)(m>0、且つ、mは整数でない)で表記される材料を用いてもよい。なお、Mは、Ga、Fe、MnおよびCoから選ばれた一の金属元素または複数の金属元素を示す。また、酸化物半導体として、InSnO(ZnO)(n>0、且つ、nは整数)で表記される材料を用いてもよい。
【0081】
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1あるいはIn:Ga:Zn=2:2:1の原子比のIn−Ga−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いることができる。あるいは、In:Sn:Zn=1:1:1、In:Sn:Zn=2:1:3あるいはIn:Sn:Zn=2:1:5の原子比のIn−Sn−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いるとよい。
【0082】
しかし、これらに限られず、必要とする半導体特性(移動度、しきい値、ばらつき等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とする半導体特性を得るために、キャリア濃度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間距離、密度等を適切なものとすることが好ましい。
【0083】
例えば、In−Sn−Zn系酸化物では比較的容易に高い移動度が得られる。しかしながら、In−Ga−Zn系酸化物でも、バルク内欠陥密度を下げることにより移動度を上げることができる。
【0084】
なお、例えば、In、Ga、Znの原子数比がIn:Ga:Zn=a:b:c(a+b+c=1)である酸化物の組成が、原子数比がIn:Ga:Zn=A:B:C(A+B+C=1)の酸化物の組成の近傍であるとは、a、b、cが、(a−A)+(b−B)+(c−C)≦rを満たすことをいう。rとしては、例えば、0.05とすればよい。他の酸化物でも同様である。
【0085】
酸化物半導体としてIn−Ga−Zn系の酸化物を用いる場合、用いるターゲットの組成はIn:Ga:ZnO=1:x:y[mol比](xは0以上、yは0.5以上5以下)を用いるのが好適である。例えば、In:Ga:ZnO=1:1:2[mol比]の組成を有するターゲットなどを用いることができる。また、In:Ga:ZnO=1:1:1[mol比]の組成を有するターゲットや、In:Ga:ZnO=1:1:4[mol比]の組成を有するターゲットを用いることもできる。
【0086】
また、酸化物半導体としてIn−Sn−Zn系の酸化物を用いる場合、用いるターゲット中の金属元素の原子数比は、In:Sn:Zn=1:2:2、In:Sn:Zn=2:1:3、In:Sn:Zn=1:1:1あるいはIn:Sn:Zn=20:45:35などとすればよい。
【0087】
また、酸化物半導体としてIn−Zn系の酸化物を用いる場合、用いるターゲット中の金属元素の原子数比は、In:Zn=50:1〜1:2(mol比に換算するとIn:ZnO=25:1〜1:4)、好ましくはIn:Zn=20:1〜1:1(mol比に換算するとIn:ZnO=10:1〜1:2)、さらに好ましくはIn:Zn=15:1〜1.5:1(mol比に換算するとIn:ZnO=15:2〜3:4)とする。例えば、In−Zn系の酸化物の形成に用いるターゲットは、原子数比がIn:Zn:O=X:Y:Zのとき、Z>1.5X+Yとする。
【0088】
なお、酸化物半導体膜110は、成膜時に酸素が多く含まれるような条件(例えば、酸素100%の雰囲気下でスパッタリング法により成膜を行うなど)で成膜して、酸素を多く含む(好ましくは酸化物半導体が結晶状態における化学量論的組成に対し、酸素の含有量が過剰な領域が含まれている)膜とすることが好ましい。
【0089】
成膜の雰囲気は、希ガス(代表的にはアルゴン)雰囲気下、酸素雰囲気下、または、希ガスと酸素の混合雰囲気下などとすればよい。ここで、成膜時に希ガスより酸素の体積比を大きくすることにより、酸化物半導体膜110に酸素を容易に供給することができ、酸化物半導体膜110中の酸素欠損を低減することができる。また、酸化物半導体膜110への水素、水、水酸基、水素化物などの混入を防ぐために、水素、水、水酸基、水素化物などの不純物が十分に除去された高純度ガスを用いた雰囲気とすることが望ましい。
【0090】
酸化物半導体膜110成膜後、酸化物半導体膜110に対して、過剰な水素(水分や水酸基を含む)を除去(脱水化または脱水素化)するための加熱処理を行ってもよい。加熱処理を行うことによって、酸化物半導体膜110中に含まれる水素原子、または水素原子を含む物質をさらに除去することができる。加熱処理の温度は、不活性ガス雰囲気下、250℃以上700℃以下、好ましくは450℃以上600℃以下、かつ、基板の歪み点未満とする。不活性ガス雰囲気としては、窒素、または希ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴン等)を主成分とする雰囲気であって、水分、水素などが含まれない雰囲気を適用するのが望ましい。例えば、熱処理装置に導入する窒素や、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上、好ましくは7N(99.99999%)以上(すなわち、不純物濃度が1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とする。
【0091】
当該加熱処理は、例えば、抵抗発熱体などを用いた電気炉に基板を導入し、窒素雰囲気下、450℃、1時間の条件で行うことができる。
【0092】
また、加熱処理装置は電気炉に限られず、加熱されたガスなどの媒体からの熱伝導、または熱輻射によって、被処理物を加熱する装置を用いても良い。例えば、LRTA(Lamp Rapid Thermal Anneal)装置、GRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)装置等のRTA(Rapid Thermal Anneal)装置を用いることができる。LRTA装置は、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧水銀ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する装置である。GRTA装置は、高温のガスを用いて熱処理を行う装置である。ガスとしては、アルゴンなどの希ガス、または窒素のような、熱処理によって被処理物と反応しない不活性気体が用いられる。なお、加熱処理装置としてGRTA装置を用いる場合には、その熱処理時間が短いため、650℃〜700℃の高温に加熱した不活性ガス中で基板を加熱してもよい。
【0093】
なお、上述の加熱処理には水分や水素などを除去する効果があるため、当該加熱処理を、脱水化処理や、脱水素化処理などと呼ぶこともできる。当該加熱処理は、例えば、酸化物半導体膜を島状に加工した後などのタイミングにおいて行うことも可能である。また、このような脱水化処理、脱水素化処理は、一回に限らず複数回行っても良い。
【0094】
また、上記の加熱処理で酸化物半導体膜110を加熱した後、同じ炉にて加酸素化(酸化物半導体膜に酸素を加えることをいう。以降、同様である。)のための加熱処理を行ってもよい。該加熱処理は、加熱処理装置に高純度の酸素ガス、高純度のNOガス、または超乾燥エア(CRDS(キャビティリングダウンレーザー分光法)方式の露点計を用いて測定した場合の水分量が20ppm(露点換算で−55℃)以下、好ましくは1ppm以下、さらに好ましくは10ppb以下の空気)を導入し、200℃以上基板の歪み点未満で加熱処理を行えばよい。好ましくは、250℃以上450℃以下で加熱処理を行えばよい。特にこれらのガスには、水分、水素などが含まれないことが好ましい。また、同じ炉に導入する酸素ガスまたはNOガスの純度を、6N以上好ましくは7N以上(即ち不純物濃度を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。酸素ガスまたはNOガスの作用によって、脱水化または脱水素化処理による不純物の排除工程で低減してしまった酸化物半導体を構成する主成分材料の一つである酸素を供給することができる。この工程により、脱水化または脱水素化処理により生じた酸素欠損を補填することができる。
【0095】
なお、上述の加熱処理には脱水化処理または脱水素化処理により酸化物半導体中に生じた酸素欠損を補填する効果があるため、当該加熱処理を、加酸素化処理などと呼ぶこともできる。当該加熱処理は、例えば、酸化物半導体膜を島状に加工した後などのタイミングにおいて行うことも可能である。また、このような加酸素化処理は、一回に限らず複数回行っても良い。
【0096】
次に、ゲート絶縁膜108および酸化物半導体膜110上に、導電膜を形成し、当該導電膜をフォトリソグラフィ工程およびエッチング工程を行い、ソース電極112aおよびドレイン電極112bを形成する(図3(A)参照)。
【0097】
ソース電極112aおよびドレイン電極112bに用いる導電膜としては、例えば、Al、Cr、Cu、Ta、Ti、Mo、Wから選ばれた元素を含む金属膜、または上述した元素を成分とする金属窒化物膜(窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜)等を用いることができる。また、Al、Cuなどの金属膜の下側または上側の一方または双方にTi、Mo、Wなどの高融点金属膜、またはそれらの金属窒化物膜(窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜)を積層させた構成としても良い。
【0098】
次に、酸化物半導体膜110、ソース電極112aおよびドレイン電極112b上に保護膜114を形成する(図3(B)参照)。本実施の形態においては、保護膜114として、酸化物絶縁膜114aと、金属酸化膜114bと、の積層膜を用いることができる。
【0099】
酸化物絶縁膜114aは、化学量論比より酸素の含有量が過剰な領域が含まれているのが好ましい。化学量論比より酸素の含有量が過剰な領域を有していると、酸化物半導体膜110からこれと接する酸化物絶縁膜114aへの酸素の移動を抑制することができ、かつ、酸化物半導体膜110と接する酸化物絶縁膜114aから酸化物半導体膜110への酸素の供給を行うこともできるためである。また、例えば、酸化物絶縁膜114aとして酸化シリコン膜を用いた場合、スパッタリング法やプラズマCVD法によって形成することができる。
【0100】
金属酸化膜114bは、酸化物半導体膜110を構成する元素の一つと同族の12族の元素、13族の元素、もしくは13族の元素と同様の性質を示す3族の元素を含む材料で形成することが好ましい。例えば、インジウム(In)および亜鉛(Zn)の酸化物を含む酸化物半導体膜110である場合、亜鉛と同じ族に属する元素、すなわち12族の元素でなる絶縁性の金属酸化膜、またはインジウムと同じ族に属する元素、すなわち13族の元素、若しくは13族の元素と同様の性質を示す3族の元素でなる絶縁性の金属酸化膜114bを用いることが好ましい。3族の元素としてランタノイド系の元素、例えば、セリウム(Ce)やガドリニウム(Gd)の酸化膜を用いると良い。金属酸化膜114bとして酸化アルミニウム膜、酸化ガリウム膜、酸化亜鉛膜は好適な一例として選択することができる。
【0101】
金属酸化膜114bは、スパッタリング法にて、金属酸化物ターゲット、または金属ターゲットを用いて形成することができる。スパッタリング時の雰囲気としては、不活性ガス雰囲気、酸素ガス雰囲気、不活性ガスと酸素ガスの混合ガス雰囲気等で行うことができる。また、スパッタリング法には、スパッタリング用電源に高周波電源を用いるRFスパッタリング法、直流電源を用いるDCスパッタリング法、交流電源を用いるACスパッタリング法等がある。また、さらにパルス的にバイアスを与えるパルスDCスパッタリング法もある。金属酸化膜114bは、RFスパッタリング法、ACスパッタリング法を用いることで、緻密な膜が形成できるので好適である。また、金属酸化膜114bを形成する際に、基板を加熱することで、緻密な膜が形成できるので好適である。
【0102】
また、金属酸化膜114bの形成工程において、金属酸化膜114bに水や水素などの不純物がなるべく含まれないようにするために、金属酸化膜114bの前処理として、スパッタリング装置の予備加熱室で加熱処理を行い、水素、水などの不純物を脱離し、排気することが好ましい。なお、予備加熱室に設ける排気手段はクライオポンプが好ましい。
【0103】
また、金属酸化膜114bは、特に膜密度が3.2g/cm以上、さらに好ましくは3.6g/cm以上の酸化アルミニウム膜を用いるとよい。酸化アルミニウム膜の膜厚は、30nm以上150nm以下、好ましくは50nm以上100nm以下であるとよい。金属酸化膜114bとして、酸化アルミニウム膜を用い、当該酸化アルミニウム膜の膜密度を上記数値とすることで、水や水素が酸化物半導体膜に侵入し、拡散することを抑制することができる。また、酸化物半導体膜から酸素が抜けてしまうことを抑制することができる。
【0104】
金属酸化膜114b形成後に、加熱処理を行っても良い。加熱処理を行うことにより、酸化物半導体膜110へ酸素を供給し、膜中に含まれるミクロな欠陥や、積層界面の欠陥を修復することができる。このため、酸化物半導体膜110はより高純度化し、i型(真性)化することができる。該加熱処理の温度は、好ましくは300℃以上350℃以下である。
【0105】
なお、保護膜114上にトランジスタ150の凹凸を低減するために、さらに平坦化絶縁膜を形成してもよい。平坦化絶縁膜としては、ポリイミド系樹脂、アクリル樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、等の有機材料を用いることができる。
【0106】
また、金属酸化膜114bに接して、酸化亜鉛(ZnO)、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化チタン(TiO)、アルミニウム(Al)およびチタン(Ti)から選ばれた一層またはこれらの積層膜を設けてもよい。
【0107】
金属酸化膜114bに接して、上記の金属酸化物や金属を設けることにより、酸化物絶縁膜114aと金属酸化膜114bである酸化アルミニウム膜との間に溜まった電荷を逃がすことができ、また、保護膜114表面に電荷が溜まることを抑制することができる。
【0108】
以上のように、本実施の形態に示す酸化物半導体を用いた半導体装置において、酸化物半導体膜に接する保護膜として、金属酸化膜を含む膜を設ける。また、金属酸化膜は、水や水素が酸化物半導体膜に侵入し、拡散することを抑制することができる。また、酸化物半導体膜から酸素が抜けてしまうことを抑制することができる。
【0109】
したがって、酸化物半導体を用いた半導体装置において、より安定した電気的特性を付与し、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。また、当該半導体装置の作製方法を提供することができる。
【0110】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0111】
(実施の形態2)
本実施の形態は、本発明の他の一態様であるトランジスタを有する半導体装置およびその作製方法について、図4を用いて説明する。
【0112】
<本実施の形態における半導体装置の構成>
図4は、酸化物半導体膜を有する半導体装置の断面図である。図4に示すトランジスタ250は、下地絶縁膜104が設けられた絶縁表面を有する基板102上に形成されたゲート電極106と、下地絶縁膜104およびゲート電極106上に形成されたゲート絶縁膜208aと、ゲート絶縁膜208a上に形成された金属酸化膜208bと、金属酸化膜208b上に形成された酸化物半導体膜110と、金属酸化膜208bおよび酸化物半導体膜110上に形成されたソース電極112aおよびドレイン電極112bと、酸化物半導体膜110、ソース電極112aおよびドレイン電極112b上に形成された保護膜114と、を有し、保護膜114は、酸化物絶縁膜114aと金属酸化膜114bと、の積層膜を用いている。
【0113】
ここで、実施の形態1と異なる点は、ゲート絶縁膜上に金属酸化膜がある点である。
【0114】
<本実施の形態における半導体装置の作製方法>
トランジスタ250の作製方法について説明する。
【0115】
まず、基板102上に下地絶縁膜104を形成し、下地絶縁膜104上にゲート電極106を形成する。
【0116】
基板102、下地絶縁膜104およびゲート電極106の形成方法、材料などは実施の形態1を参酌することができる。
【0117】
次に、下地絶縁膜104およびゲート電極106上にゲート絶縁膜208aを形成する。
【0118】
ゲート絶縁膜208aの形成方法、材料などは実施の形態1を参酌することができる。
【0119】
次に、ゲート絶縁膜208a上に、金属酸化膜208bおよび酸化物半導体膜110を形成する。
【0120】
金属酸化膜208bおよび酸化物半導体膜110は、マルチチャンバー構造のスパッタリング装置を用いて、真空中で連続して形成することができる。
【0121】
金属酸化膜208b成膜前に加熱処理を行う場合、マルチチャンバー構造のスパッタリング装置を用いることで、加熱処理、金属酸化膜208bの成膜および酸化物半導体膜110の成膜を、真空中で連続して行うことができる。
【0122】
また、金属酸化膜208bは、酸化物半導体膜110に接するため、酸化物半導体膜110を構成する元素の一つと同族の12族の元素、13族の元素もしくは3族の元素を含む材料で形成することが好ましい。例えば、インジウムおよび亜鉛の酸化物を含む酸化物半導体膜110である場合、亜鉛と同じ族に属する元素、すなわち12族の元素でなる絶縁性の金属酸化膜、またはインジウムと同じ族に属する元素、すなわち13族の元素、若しくは13族の元素と同様の性質を示す3族の元素でなる絶縁性の金属酸化膜208bを用いることが好ましい。3族の元素としてランタノイド系の元素、例えば、セリウム(Ce)やガドリニウム(Gd)の酸化膜を用いると良い。金属酸化膜208bとして酸化アルミニウム膜、酸化ガリウム膜、酸化亜鉛膜は好適な一例として選択することができる。
【0123】
金属酸化膜208bは、スパッタリング法にて、金属酸化物ターゲット、または金属ターゲットを用いて形成することができる。スパッタリング時の雰囲気としては、不活性ガス雰囲気、酸素ガス雰囲気、不活性ガスと酸素ガスの混合ガス雰囲気等で行うことができる。また、スパッタリング法には、スパッタリング用電源に高周波電源を用いるRFスパッタリング法、直流電源を用いるDCスパッタリング法、交流電源を用いるACスパッタリング法等がある。また、さらにパルス的にバイアスを与えるパルスDCスパッタリング法もある。金属酸化膜208bは、RFスパッタリング法、ACスパッタリング法を用いることで、緻密な膜が形成できるので好適である。また、金属酸化膜208bを形成する際に、基板を加熱することで、緻密な膜が形成できるので好適である。
【0124】
また、金属酸化膜208bおよび酸化物半導体膜110の形成工程において、金属酸化膜208bおよび酸化物半導体膜110に水分、または水素がなるべく含まれないようにするために、金属酸化膜208bの前処理として、スパッタリング装置の予備加熱室、すなわち真空中で、ゲート絶縁膜208aが形成された基板102の加熱処理を行い、基板102およびゲート絶縁膜208aに吸着した水素、水などの不純物を脱離し、排気することが好ましい。なお、予備加熱室に設ける排気手段はクライオポンプが好ましい。
【0125】
ここで、酸化物半導体膜110の材料などは実施の形態1を参酌することができる。
【0126】
次に、金属酸化膜208bおよび酸化物半導体膜110上に導電膜を形成し、当該導電膜をフォトリソグラフィ工程およびエッチング工程を行い、ソース電極112aおよびドレイン電極112bを形成する。
【0127】
次に、酸化物半導体膜110、ソース電極112aおよびドレイン電極112b上に保護膜114を形成し、トランジスタ250を形成する。
【0128】
ここで、ソース電極112a、ドレイン電極112bおよび保護膜114の材料などは実施の形態1を参酌することができる。
【0129】
また、保護膜114の金属酸化膜114bは、特に膜密度が3.2g/cm以上、さらに好ましくは3.6g/cm以上の酸化アルミニウム膜を用いるとよい。酸化アルミニウム膜の膜厚は、30nm以上150nm以下、好ましくは50nm以上100nm以下であるとよい。金属酸化膜114bとして、酸化アルミニウム膜を用い、当該酸化アルミニウム膜の膜密度を上記数値とすることで、水や水素が酸化物半導体膜に侵入し、拡散することを抑制することができる。また、酸化物半導体膜から酸素が抜けてしまうことを抑制することができる。
【0130】
金属酸化膜114b形成後に、加熱処理を行っても良い。加熱処理を行うことにより、酸化物半導体膜110へ酸素を供給し、膜中に含まれるミクロな欠陥や、積層界面の欠陥を修復することができる。このため、酸化物半導体膜110はより高純度化し、i型(真性)化することができる。該加熱処理の温度は、好ましくは300℃以上350℃以下である。
【0131】
なお、保護膜114上にトランジスタ250の凹凸を低減するために、さらに平坦化絶縁膜を形成してもよい。平坦化絶縁膜としては、ポリイミド系樹脂、アクリル樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂等の有機材料を用いることができる。
【0132】
また、金属酸化膜114bに接して、酸化亜鉛(ZnO)、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化チタン(TiO)、アルミニウム(Al)およびチタン(Ti)から選ばれた一層またはこれらの積層膜を設けてもよい。
【0133】
酸化アルミニウム膜に接して、上記の金属酸化物や金属を設けることにより、酸化物絶縁膜114aと金属酸化膜114bである酸化アルミニウム膜との間に溜まった電荷を逃がすことができ、また、保護膜114表面に電荷が溜まることを抑制することができる。
【0134】
以上のように、本実施の形態に示す酸化物半導体を用いた半導体装置において、酸化物半導体膜に接する保護膜として、金属酸化膜を含む膜を設ける。また、金属酸化膜は、酸化物半導体膜を構成する酸素以外の元素と同族からなる元素を含む材料により形成するため、金属酸化膜と酸化物半導体膜とが接する構成にすると界面特性が非常に安定である。また、金属酸化膜は、水や水素が酸化物半導体膜に侵入し、拡散することを抑制することができる。また、酸化物半導体膜から酸素が抜けてしまうことを抑制することができる。
【0135】
また、金属酸化膜と、酸化物半導体膜と、を大気に暴露せずに真空中で連続して形成することにより、金属酸化膜と酸化物半導体膜との界面を清浄に保つことができる。
【0136】
したがって、酸化物半導体を用いた半導体装置において、より安定した電気的特性を付与し、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。また、当該半導体装置の作製方法を提供することができる。
【0137】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0138】
(実施の形態3)
実施の形態1で例示したトランジスタを用いて表示機能を有する半導体装置(表示装置ともいう)を作製することができる。また、トランジスタを含む駆動回路の一部または全体を、画素部と同じ基板上に一体形成し、システムオンパネルを形成することができる。
【0139】
図5(A)において、第1の基板401上に設けられた画素部402を囲むようにして、シール材405が設けられ、第2の基板406によって封止されている。図5(A)においては、第1の基板401上のシール材405によって囲まれている領域とは異なる領域に、別途用意された基板上に単結晶半導体膜または多結晶半導体膜で形成された走査線駆動回路404、信号線駆動回路403が実装されている。また、別途形成された信号線駆動回路403と、走査線駆動回路404または画素部402に与えられる各種信号および電位は、FPC(Flexible printed circuit)418a、FPC418bから供給されている。
【0140】
図5(B)、図5(C)において、第1の基板401上に設けられた画素部402と、走査線駆動回路404とを囲むようにして、シール材405が設けられている。また、画素部402と、走査線駆動回路404の上に第2の基板406が設けられている。よって、画素部402と走査線駆動回路404とが、第1の基板401とシール材405と第2の基板406とによって、表示素子と共に封止されている。図5(B)、図5(C)においては、第1の基板401上のシール材405によって囲まれている領域とは異なる領域に、別途用意された基板上に単結晶半導体膜または多結晶半導体膜で形成された信号線駆動回路403が実装されている。図5(B)、図5(C)においては、別途形成された信号線駆動回路403と、走査線駆動回路404または画素部402に与えられる各種信号および電位は、FPC418から供給されている。
【0141】
また、図5(B)、図5(C)においては、信号線駆動回路403を別途形成し、第1の基板401に実装している例を示しているが、この構成に限定されない。走査線駆動回路を別途形成して実装しても良いし、信号線駆動回路の一部または走査線駆動回路の一部のみを別途形成して実装しても良い。
【0142】
なお、別途形成した駆動回路の接続方法は、特に限定されるものではなく、COG(Chip On Glass)方法、ワイヤボンディング方法、或いはTAB(Tape Automated Bonding)方法などを用いることができる。図5(A)は、COG方法により信号線駆動回路403、走査線駆動回路404を実装する例であり、図5(B)は、COG方法により信号線駆動回路403を実装する例であり、図5(C)は、TAB方法により信号線駆動回路403を実装する例である。
【0143】
また、表示装置は、表示素子が封止された状態にあるパネルと、該パネルにコントローラを含むIC等を実装した状態にあるモジュールとを含む。
【0144】
なお、本明細書中における表示装置とは、画像表示デバイス、表示デバイス、もしくは光源(照明装置を含む)を指す。また、コネクター、例えば、FPCもしくはTABテープもしくはTCPが取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、または表示素子にCOG方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て表示装置に含むものとする。
【0145】
また、第1の基板401上に設けられた画素部402および走査線駆動回路404は、トランジスタを複数有しており、実施の形態1で例示したトランジスタを適用することができる。
【0146】
表示装置に設けられる表示素子としては液晶素子(液晶表示素子ともいう)、発光素子(発光表示素子ともいう)を用いることができる。発光素子は、電流または電圧によって輝度が制御される素子をその範疇に含んでおり、具体的には無機EL(Electro Luminescence)、有機EL等が含まれる。また、電子インクなど、電気的作用によりコントラストが変化する表示媒体も適用することができる。
【0147】
半導体装置の一形態について、図6および図7を用いて説明する。図6および図7は、図5(B)のQ−Rにおける断面図に相当する。
【0148】
図6および図7で示すように、半導体装置は接続端子電極層415および端子電極層416を有しており、接続端子電極層415および端子電極層416はFPC418が有する端子と異方性導電膜419を介して電気的に接続されている。
【0149】
接続端子電極層415は、第1の電極層430と同じ導電膜から形成され、端子電極層416は、トランジスタ410、トランジスタ411のソース電極層およびドレイン電極層と同じ導電膜で形成されている。
【0150】
また、第1の基板401上に設けられた画素部402と、走査線駆動回路404は、トランジスタを複数有しており、図6および図7では、画素部402に含まれるトランジスタ410と、走査線駆動回路404に含まれるトランジスタ411とを例示している。図6では、トランジスタ410、トランジスタ411上には保護膜420が設けられ、図7ではさらに、保護膜424、絶縁膜421が設けられている。なお、絶縁膜423は下地膜として機能する絶縁膜である。
【0151】
本実施の形態では、トランジスタ410、トランジスタ411として、実施の形態1で示したトランジスタを適用することができる。
【0152】
トランジスタ410およびトランジスタ411は酸素欠損の形成を抑制および水や水素の混入を抑えた酸化物半導体膜を有するトランジスタである。よって、トランジスタ410およびトランジスタ411は、電気的特性変動が抑制されており、電気的に安定である。
【0153】
よって、図6および図7で示す本実施の形態の半導体装置として信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0154】
画素部402に設けられたトランジスタ410は表示素子と電気的に接続し、表示パネルを構成する。表示素子は表示を行うことができれば特に限定されず、様々な表示素子を用いることができる。
【0155】
図6に表示素子として液晶素子を用いた液晶表示装置の例を示す。図6において、表示素子である液晶素子413は、第1の電極層430、第2の電極層431、および液晶層408を含む。なお、液晶層408を挟持するように配向膜として機能する絶縁膜432、絶縁膜433が設けられている。第2の電極層431は第2の基板406側に設けられ、第1の電極層430と第2の電極層431とは液晶層408を介して積層する構成となっている。
【0156】
また、柱状のスペーサ435は絶縁膜を選択的にエッチングすることで得られ、液晶層408の膜厚(セルギャップ)を制御するために設けられている。なお、球状のスペーサを用いていても良い。
【0157】
表示素子として、液晶素子を用いる場合、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、高分子分散型液晶、強誘電性液晶、反強誘電性液晶等を用いることができる。これらの液晶材料は、条件により、コレステリック相、スメクチック相、キュービック相、カイラルネマチック相、等方相等を示す。
【0158】
また、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を用いてもよい。ブルー相は液晶相の一つであり、コレステリック液晶を昇温していくと、コレステリック相から等方相へ転移する直前に発現する相である。ブルー相は狭い温度範囲でしか発現しないため、温度範囲を改善するために数重量%以上のカイラル剤を混合させた液晶組成物を用いて液晶層に用いる。ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、応答速度が短く、光学的等方性であるため配向処理が不要であり、視野角依存性が小さい。また、配向膜を設けなくてもよいのでラビング処理も不要となるため、ラビング処理によって引き起こされる静電破壊を防止することができ、作製工程中の液晶表示装置の不良や破損を軽減することができる。よって、液晶表示装置の生産性を向上させることが可能となる。酸化物半導体膜を用いるトランジスタは、静電気の影響によりトランジスタの電気的な特性が著しく変動して設計範囲を逸脱する恐れがある。よって酸化物半導体膜を用いるトランジスタを有する液晶表示装置にブルー相の液晶材料を用いることはより効果的である。
【0159】
また、液晶材料の固有抵抗は、1×10Ω・cm以上であり、好ましくは1×1011Ω・cm以上であり、さらに好ましくは1×1012Ω・cm以上である。なお、本明細書における固有抵抗の値は、20℃で測定した値とする。
【0160】
液晶表示装置に設けられる保持容量の大きさは、画素部に配置されるトランジスタのリーク電流等を考慮して、所定の期間、電荷を保持できるように設定される。保持容量の大きさは、トランジスタのオフ電流等を考慮して設定すればよい。酸素過剰領域を有する酸化物半導体膜を有するトランジスタを用いることにより、各画素における液晶容量に対して1/3以下、好ましくは1/5以下の容量の大きさを有する保持容量を設ければ充分である。
【0161】
本実施の形態で用いる酸素欠損の形成を抑制した酸化物半導体膜を有するトランジスタは、オフ状態における電流値(オフ電流値)を低くすることができる。よって、画像信号等の電気信号の保持時間を長くすることができ、電源オン状態では書き込み間隔も長く設定できる。よって、リフレッシュ動作の頻度を少なくすることができるため、消費電力を抑制する効果を奏する。
【0162】
また、本実施の形態で用いる酸素欠損の形成を抑制した酸化物半導体膜を有するトランジスタは、比較的高い電界効果移動度が得られるため、高速駆動が可能である。例えば、このような高速駆動が可能なトランジスタを液晶表示装置に用いることで、画素部のスイッチングトランジスタと、駆動回路部に使用するドライバートランジスタを同一基板上に形成することができる。すなわち、別途駆動回路として、シリコンウェハ等により形成された半導体装置を用いる必要がないため、半導体装置の部品点数を削減することができる。また、画素部においても、高速駆動が可能なトランジスタを用いることで、高画質な画像を提供することができる。
【0163】
液晶表示装置には、TN(Twisted Nematic)モード、IPS(In−Plane−Switching)モード、FFS(Fringe Field Switching)モード、ASM(Axially Symmetric aligned Micro−cell)モード、OCB(Optical Compensated Birefringence)モード、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liquid Crystal)モードなどを用いることができる。
【0164】
また、ノーマリーブラック型の液晶表示装置、例えば、垂直配向(VA)モードを採用した透過型の液晶表示装置としてもよい。垂直配向モードとしては、いくつか挙げられるが、例えば、MVA(Multi−Domain Vertical Alignment)モード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モード、ASV(Advanced Super View)モードなどを用いることができる。また、VA型の液晶表示装置にも適用することができる。VA型とは、液晶表示パネルの液晶分子の配列を制御する方式の一種である。VA型は、電圧が印加されていないときにパネル面に対して液晶分子が垂直方向を向く方式である。また、画素(ピクセル)をいくつかの領域(サブピクセル)に分け、それぞれ別の方向に分子を倒すよう工夫されているマルチドメイン化あるいはマルチドメイン設計といわれる方法を用いることができる。
【0165】
また、表示装置において、ブラックマトリクス(遮光層)、偏光部材、位相差部材、反射防止部材などの光学部材(光学基板)などは適宜設ける。例えば、偏光基板および位相差基板による円偏光を用いてもよい。また、光源としてバックライト、サイドライトなどを用いてもよい。
【0166】
また、画素部における表示方式は、プログレッシブ方式やインターレース方式等を用いることができる。また、カラー表示する際に画素で制御する色要素としては、RGB(Rは赤、Gは緑、Bは青を表す)の三色に限定されない。例えば、RGBW(Wは白を表す)、またはRGBに、イエロー、シアン、マゼンタ等を一色以上追加したものがある。なお、色要素のドット毎にその表示領域の大きさが異なっていてもよい。ただし、開示する発明はカラー表示の表示装置に限定されるものではなく、モノクロ表示の表示装置に適用することもできる。
【0167】
また、表示装置に含まれる表示素子として、エレクトロルミネッセンスを利用する発光素子を適用することができる。エレクトロルミネッセンスを利用する発光素子は、発光材料が有機化合物であるか、無機化合物であるかによって区別され、一般的に、前者は有機EL素子、後者は無機EL素子と呼ばれている。
【0168】
有機EL素子は、発光素子に電圧を印加することにより、一対の電極から電子および正孔がそれぞれ発光性の有機化合物を含む層に注入され、電流が流れる。そして、それらキャリア(電子および正孔)が再結合することにより、発光性の有機化合物が励起状態を形成し、その励起状態が基底状態に戻る際に発光する。このようなメカニズムから、このような発光素子は、電流励起型の発光素子と呼ばれる。
【0169】
無機EL素子は、その素子構成により、分散型無機EL素子と薄膜型無機EL素子とに分類される。分散型無機EL素子は、発光材料の粒子をバインダ中に分散させた発光層を有するものであり、発光メカニズムはドナー準位とアクセプター準位を利用するドナー−アクセプター再結合型発光である。薄膜型無機EL素子は、発光層を誘電体層で挟み込み、さらにそれを電極で挟んだ構造であり、発光メカニズムは金属イオンの内殻電子遷移を利用する局在型発光である。なお、ここでは、発光素子として有機EL素子を用いて説明する。
【0170】
発光素子は発光を取り出すために少なくとも一対の電極の一方が透光性であればよい。そして、基板上にトランジスタおよび発光素子を形成し、基板とは逆側の面から発光を取り出す上面射出や、基板側の面から発光を取り出す下面射出や、基板側および基板とは反対側の面から発光を取り出す両面射出構造の発光素子があり、どの射出構造の発光素子も適用することができる。
【0171】
図7に表示素子として発光素子を用いた発光装置の例を示す。表示素子である発光素子453は、画素部402に設けられたトランジスタ410と電気的に接続している。なお、発光素子453の構成は、第1の電極層430、電界発光層452、第2の電極層431の積層構造であるが、示した構成に限定されない。発光素子453から取り出す光の方向などに合わせて、発光素子453の構成は適宜変えることができる。
【0172】
隔壁451は、有機絶縁材料、または無機絶縁材料を用いて形成する。特に感光性の樹脂材料を用い、第1の電極層430上に開口部を形成し、その開口部の側壁が連続した曲率を持って形成される傾斜面となるように形成することが好ましい。
【0173】
電界発光層452は、単数の層で構成されていても、複数の層が積層されるように構成されていてもどちらでも良い。
【0174】
発光素子453に酸素、水素、水、二酸化炭素等が侵入しないように、第2の電極層431および隔壁451上に保護膜を形成してもよい。保護膜としては、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、DLC(Diamond Like Carbon)膜等を形成することができる。また、第1の基板401、第2の基板406、およびシール材405によって封止された空間には充填材454が設けられ密封されている。このように外気に曝されないように気密性が高く、脱ガスの少ない保護フィルム(貼り合わせフィルム、紫外線硬化樹脂フィルム等)やカバー材でパッケージング(封入)することが好ましい。
【0175】
充填材454としては窒素やアルゴンなどの不活性な気体の他に、紫外線硬化樹脂または熱硬化樹脂を用いることができ、PVC(ポリビニルクロライド)、アクリル樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)またはEVA(エチレンビニルアセテート)を用いることができる。例えば、充填材として窒素を用いればよい。
【0176】
また、必要であれば、発光素子の射出面に偏光板、または円偏光板(楕円偏光板を含む)、位相差板(λ/4板、λ/2板)、カラーフィルタなどの光学フィルムを適宜設けてもよい。また、偏光板または円偏光板に反射防止膜を設けてもよい。例えば、表面の凹凸により反射光を拡散し、映り込みを低減できるアンチグレア処理を施すことができる。
【0177】
なお、図6および図7において、第1の基板401、第2の基板406としては、ガラス基板の他、可とう性を有する基板も用いることができ、例えば、透光性を有するプラスチック基板などを用いることができる。プラスチックとしては、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)板、PVF(ポリビニルフルオライド)フィルム、ポリエステルフィルムまたはアクリル樹脂フィルムを用いることができる。また、アルミニウムホイルをPVFフィルムやポリエステルフィルムで挟んだ構造のシートを用いることもできる。
【0178】
本実施の形態では、保護膜420として酸化シリコン膜を用い、図7の保護膜424として酸化アルミニウム膜を用いる。保護膜420、保護膜424はスパッタリング法やプラズマCVD法によって形成することができる。
【0179】
酸化物半導体膜上に保護膜424として設けられた酸化アルミニウム膜は、膜密度が3.2g/cm以上、さらに好ましくは3.6g/cm以上であると好ましい。そうすることにより、水素、水などの不純物、および酸素の両方に対して膜を透過させない遮断効果(ブロック効果)が高い。
【0180】
従って、酸化アルミニウム膜は、作製工程中および作製後において、変動要因となる水素、水などの不純物の酸化物半導体膜への混入、および酸化物半導体膜を構成する主成分材料である酸素の酸化物半導体膜からの放出を防止する保護膜として機能する。
【0181】
また、保護膜420として酸化物半導体膜と接して設けられた酸化シリコン膜は、酸素を酸化物半導体膜へ供給する機能を有する。よって、保護膜420は酸素を多く含む酸化絶縁膜が好ましい。
【0182】
トランジスタ410、およびトランジスタ411は、高純度化し、酸素欠損の形成を抑制した酸化物半導体膜を有する。また、トランジスタ410、およびトランジスタ411は、ゲート絶縁膜として、窒化酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、および金属酸化膜により構成されている。このようなゲート絶縁膜の構成とすることで、特性変動が抑制されており、電気的に安定である。
【0183】
また、平坦化絶縁膜として機能する絶縁膜421は、アクリル樹脂、ポリイミド系樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等の、耐熱性を有する有機材料を用いることができる。なお、これらの材料で形成される絶縁膜を複数積層させることで、絶縁膜421を形成してもよい。
【0184】
絶縁膜421の形成法は、特に限定されず、その材料に応じて、スパッタリング法、SOG法、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法(インクジェット法等)、印刷法(スクリーン印刷、オフセット印刷等)、ドクターナイフ、ロールコーター、カーテンコーター、ナイフコーター等を用いることができる。
【0185】
表示装置は光源または表示素子からの光を透過させて表示を行う。よって光が透過する画素部に設けられる基板、絶縁膜、導電膜などの薄膜はすべて可視光の波長領域の光に対して透光性とする。
【0186】
表示素子に電圧を印加する第1の電極層および第2の電極層(画素電極層、共通電極層、対向電極層などともいう)においては、取り出す光の方向、電極層が設けられる場所、および電極層のパターン構造によって透光性、反射性を選択すればよい。
【0187】
第1の電極層430、第2の電極層431は、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、ITO、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物、グラフェンなどの透光性を有する導電性材料を用いることができる。
【0188】
また、第1の電極層430、第2の電極層431はタングステン(W)、モリブデン(Mo)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)等の金属、またはその合金、若しくはその金属窒化物から一つ、または複数種を用いて形成することができる。
【0189】
また、第1の電極層430、第2の電極層431として、導電性高分子(導電性ポリマーともいう)を含む導電性組成物を用いて形成することができる。導電性高分子としては、いわゆるπ電子共役系導電性高分子を用いることができる。例えば、ポリアニリンまたはその誘導体、ポリピロールまたはその誘導体、ポリチオフェンまたはその誘導体、若しくはアニリン、ピロールおよびチオフェンの2種以上からなる共重合体若しくはその誘導体などがあげられる。
【0190】
また、トランジスタは静電気などにより破壊されやすいため、駆動回路保護用の保護回路を設けることが好ましい。保護回路は、非線形素子を用いて構成することが好ましい。
【0191】
以上のように先の実施の形態で示したトランジスタを適用することで、様々な機能を有する半導体装置を提供することができる。
【0192】
以上のように、膜密度が3.2g/cm以上、さらに好ましくは3.6g/cm以上の酸化アルミニウム膜を形成することにより、トランジスタを用いて表示機能を有する半導体装置において、大気から水や水素が酸化物半導体膜に侵入し、拡散することを抑制することができる。よって、トランジスタは、電気的特性変動が抑制されており、電気的に安定である。したがって、該トランジスタを用いることで信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0193】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0194】
(実施の形態4)
本明細書に開示する半導体装置は、さまざまな電子機器(遊技機も含む)に適用することができる。電子機器としては、例えば、テレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等のカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。上記実施の形態で説明した半導体装置を具備する電子機器の例について説明する。
【0195】
図8(A)は、ノート型のパーソナルコンピュータであり、本体3001、筐体3002、表示部3003、キーボード3004などによって構成されている。上記実施の形態のいずれかで示した半導体装置を表示部3003に適用することにより、信頼性の高いノート型のパーソナルコンピュータとすることができる。
【0196】
図8(B)は、携帯情報端末(PDA)であり、本体3021には表示部3023と、外部インターフェイス3025と、操作ボタン3024等が設けられている。また、操作用の付属品としてスタイラス3022がある。上記実施の形態のいずれかで示した半導体装置を表示部3023に適用することにより、より信頼性の高い携帯情報端末(PDA)とすることができる。
【0197】
図8(C)は、電子書籍の一例を示している。例えば、電子書籍は、筐体2701および筐体2703の2つの筐体で構成されている。筐体2701および筐体2703は、軸部2711により一体とされており、該軸部2711を軸として開閉動作を行うことができる。このような構成により、紙の書籍のような動作を行うことが可能となる。また、このような構成により、より強い外部からの衝撃に耐えることが可能となる。また、該軸部2711を取り外して、筐体2701と筐体2703を分離することも可能である。
【0198】
筐体2701には表示部2705が組み込まれ、筐体2703には表示部2707が組み込まれている。表示部2705および表示部2707は、続き画面を表示する構成としてもよいし、異なる画面を表示する構成としてもよい。異なる画面を表示する構成とすることで、例えば、右側の表示部(図8(C)では表示部2705)に文章を表示し、左側の表示部(図8(C)では表示部2707)に画像を表示することができる。上記実施の形態のいずれかで示した半導体装置を表示部2705、表示部2707に適用することにより、信頼性の高い電子書籍とすることができる。表示部2705として半透過型、または反射型の液晶表示装置を用いる場合、比較的明るい状況下での使用も予想されるため、太陽電池を設け、太陽電池による発電、およびバッテリーでの充電を行えるようにしてもよい。なお、バッテリーとしては、リチウムイオン電池を用いると、小型化を図れる等の利点がある。
【0199】
また、図8(C)では、筐体2701に操作部などを備えた例を示している。例えば、筐体2701において、電源2721、操作キー2723、スピーカー2725などを備えている。操作キー2723により、頁を送ることができる。なお、筐体の表示部と同一面にキーボードやポインティングデバイスなどを備える構成としてもよい。また、筐体の裏面や側面に、外部接続用端子(イヤホン端子、USB端子など)、記録媒体挿入部などを備える構成としてもよい。さらに、電子書籍は、電子辞書としての機能をもたせた構成としてもよい。
【0200】
また、電子書籍は、無線で情報を送受信できる構成としてもよい。無線により、電子書籍サーバから、所望の書籍データなどを購入し、ダウンロードする構成とすることも可能である。
【0201】
図8(D)は、携帯電話であり、筐体2800および筐体2801の二つの筐体で構成されている。筐体2801には、表示パネル2802、スピーカー2803、マイクロフォン2804、ポインティングデバイス2806、カメラ用レンズ2807、外部接続端子2808などを備えている。また、筐体2800には、携帯電話の充電を行う太陽電池セル2810、外部メモリスロット2811などを備えている。また、アンテナは筐体2801内部に内蔵されている。上記実施の形態のいずれかで示した半導体装置を表示パネル2802に適用することにより、信頼性の高い携帯電話とすることができる。
【0202】
また、表示パネル2802はタッチパネルを備えており、図8(D)には映像表示されている複数の操作キー2805を点線で示している。なお、太陽電池セル2810で出力される電圧を各回路に必要な電圧に昇圧するための昇圧回路も実装している。
【0203】
表示パネル2802は、使用形態に応じて表示の方向が適宜変化する。また、表示パネル2802と同一面上にカメラ用レンズ2807を備えているため、テレビ電話が可能である。スピーカー2803およびマイクロフォン2804は音声通話に限らず、テレビ電話、録音、再生などが可能である。さらに、筐体2800と筐体2801は、スライドし、図8(D)のように展開している状態から重なり合った状態とすることができ、携帯に適した小型化が可能である。
【0204】
外部接続端子2808はACアダプタおよびUSBケーブルなどの各種ケーブルと接続可能であり、充電およびパーソナルコンピュータなどとのデータ通信が可能である。また、外部メモリスロット2811に記録媒体を挿入し、より大量のデータ保存および移動に対応できる。
【0205】
また、上記機能に加えて、赤外線通信機能、テレビ受信機能などを備えたものであってもよい。
【0206】
図8(E)は、デジタルビデオカメラであり、本体3051、表示部(A)3057、接眼部3053、操作スイッチ3054、表示部(B)3055、バッテリー3056などによって構成されている。上記実施の形態のいずれかで示した半導体装置を表示部(A)3057、表示部(B)3055に適用することにより、信頼性の高いデジタルビデオカメラとすることができる。
【0207】
図8(F)は、テレビジョン装置の一例を示している。テレビジョン装置は、筐体9601に表示部9603が組み込まれている。表示部9603により、映像を表示することが可能である。また、ここでは、スタンド9605により筐体9601を支持した構成を示している。上記実施の形態のいずれかで示した半導体装置を表示部9603に適用することにより、信頼性の高いテレビジョン装置とすることができる。
【0208】
テレビジョン装置の操作は、筐体9601が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機により行うことができる。また、リモコン操作機に、当該リモコン操作機から出力する情報を表示する表示部を設ける構成としてもよい。
【0209】
なお、テレビジョン装置は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0210】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【実施例】
【0211】
本実施例では、開示する発明に係る半導体装置において、用いることのできる金属酸化膜の一例として、酸化アルミニウム膜について評価を行った。図9乃至図14を用いて説明を行う。なお、評価方法としては、X線反射率測定法(XRR:X−Ray Reflectometry)と、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)と、昇温脱離ガス分光法(TDS:Thermal Desorption Spectrometry)を用いた。
【0212】
まず、XRR測定による評価を示す。XRR測定で用いたサンプルの構造を図9(A)および図9(B)に示す。
【0213】
図9(A)および図9(B)に示すサンプルは、ガラス基板502上に、金属酸化膜512aと、金属酸化膜512bをそれぞれ形成した。
【0214】
金属酸化膜512aは、スパッタリング装置を用いて酸化アルミニウム膜を形成した。金属酸化膜512aの形成条件としては、基板温度は室温とし、O=50sccm(O=100%)、電力6kW(DC−Pulse電源、Pulse=300kHz)、圧力0.4Pa、膜厚100nmとした。なお、スパッタリングターゲットとしては、金属アルミニウムターゲットを用いた。
【0215】
金属酸化膜512bは、スパッタリング装置を用いて酸化アルミニウム膜を形成した。金属酸化膜512bの形成条件としては、基板温度は150℃とし、O=300sccm(O=100%)、電力30kW(AC電源)、圧力0.7Pa、膜厚100nmとした。なお、スパッタリングターゲットとしては、金属アルミニウムターゲットを用いた。
【0216】
図9(A)に示す構造を有するサンプルをサンプル1、図9(B)に示す構造を有するサンプルをサンプル2とし、XRR測定により、各酸化アルミニウム膜の膜密度を評価した。なお、XRR測定は、各サンプルの面内を3点測定した。また、酸化アルミニウムの組成を、理想的な組成であるAl(Z/A=0.4882(Z:原子番号/A:質量数))として用い、算出した。
【0217】
測定結果を図10に示す。図10より、サンプル1については、酸化アルミニウム膜の膜密度が約3.0g/cmであり、サンプル2については、酸化アルミニウム膜の膜密度が約3.8g/cmであった。
【0218】
次に、SIMS分析による評価を示す。SIMS分析に用いたサンプルの構造を図11(A)および図11(B)に示す。
【0219】
図11(A)および図11(B)に示す評価用サンプルは、ガラス基板502上に酸化シリコン膜504aおよび酸化シリコン膜504bをそれぞれ形成し、酸化シリコン膜504aおよび酸化シリコン膜504b上に、金属酸化膜513aおよび金属酸化膜513bをそれぞれ形成した。なお、図11(A)に示す構造を有するサンプルをサンプル3、図11(B)に示す構造を有するサンプルをサンプル4とした。
【0220】
酸化シリコン膜504aの形成条件として、スパッタリング法を用い、基板温度200℃とし、O=50sccm(O=100%)、電力6kW(DC−Pulse電源、Pulse=300kHz)、圧力0.4Pa、膜厚100nmとした。
【0221】
酸化シリコン膜504bの形成条件として、スパッタリング法を用い、基板温度は室温とし、O=300sccm(O=100%)、電力6kW(AC電源)、圧力0.7Pa、膜厚400nmとした。
【0222】
金属酸化膜513aは、スパッタリング装置を用いて酸化アルミニウム膜を形成した。金属酸化膜513aの形成条件としては、基板温度は室温とし、O=50sccm(O=100%)、電力6kW(DC−Pulse電源、Pulse=300kHz)、圧力0.4Pa、膜厚50nmとした。なお、スパッタリングターゲットとしては、金属アルミニウムターゲットを用いた。
【0223】
金属酸化膜513bは、スパッタリング装置を用いて酸化アルミニウム膜を形成した。金属酸化膜513bの形成条件としては、基板温度は150℃とし、O=300sccm(O=100%)、電力30kW(AC電源)、圧力0.7Pa、膜厚100nmとした。なお、スパッタリングターゲットとしては、金属アルミニウムターゲットを用いた。
【0224】
なお、金属酸化膜513a、および金属酸化膜513bの酸化アルミニウム膜の膜密度は、それぞれ、3.0g/cm、3.8g/cmとした。
【0225】
上述したサンプル3、およびサンプル4の構造を表1に示す。
【0226】
【表1】

【0227】
表1に示す、サンプル3およびサンプル4について、プレッシャークッカー試験(PCT:Pressure Cooker Test)を行った。本実施例では、PCTとして、温度130℃、湿度85%(気体中に含まれる水蒸気の体積比率がHO(水):DO(重水)=3:1)、2.3気圧(0.23MPa)の条件でサンプル3およびサンプル4を100時間保持した。
【0228】
本実施例において、重水などで表現している「D原子」とは、質量数が2である水素原子(H)を表している。
【0229】
PCT後のサンプル3およびサンプル4のSIMS分析としてSSDP(Substrate Side Depth Profile)−SIMSを用いて、膜中の水素(H)原子および重水素(D)原子の濃度測定を行った。サンプル3、およびサンプル4の評価結果を、それぞれ、図12(A)および図12(B)に示す。
【0230】
なお、SIMS分析は、その測定原理上、試料表面近傍や、材質が異なる膜との積層界面近傍のデータを正確に得ることが困難であることが知られている。そこで、膜中における水素(H)原子および重水素(D)原子濃度の厚さ方向の分布を、SIMSで分析する場合、対象となる膜の存在する範囲において、極端な変動が無く、ほぼ一定の強度が得られる領域における平均値を採用する。
【0231】
図12(A)より、サンプル3の酸化シリコン膜504aの膜中の水素(H)原子および重水素(D)原子の濃度は、それぞれ、1.4×1021atoms/cm、2.9×1020atoms/cmであった。
【0232】
図12(B)より、サンプル4の酸化シリコン膜504bの膜中の水素(H)原子および重水素(D)原子の濃度は、それぞれ、2.2×1019atoms/cm、検出下限以下であった。なお、本実施例におけるSIMS分析の重水素(D)原子濃度の検出下限は、1.0×1016atoms/cmである。
【0233】
なお、本実施例のSIMS分析結果は、すべて酸化シリコン膜の標準試料により定量した結果を示している。
【0234】
図12より、酸化アルミニウム膜の膜密度を3.0g/cmとしたサンプル3においては、水素(H)原子および重水素(D)原子が酸化アルミニウム膜を通過し、酸化シリコン膜中に拡散していることがわかる。一方、酸化アルミニウム膜の膜密度を3.8g/cmとしたサンプル4においては、水素(H)原子および重水素(D)原子が酸化アルミニウム膜中で拡散を抑制していることがわかる。サンプル4を見ると、水素(H)原子および重水素(D)原子ともに、酸化アルミニウム膜の30nm付近で急激に濃度低下が見られることより、サンプル3同様に酸化アルミニウム膜の膜厚が50nmとしても、水素(H)原子および重水素(D)原子を抑制できると示唆している。
【0235】
以上のように酸化アルミニウム膜の膜密度により水素(H)原子および重水素(D)原子に対し、バリア性が異なることが確認された。
【0236】
次に、TDS分析による評価を示す。TDS分析に用いたサンプルの構造を図13(A)および図13(B)に示す。
【0237】
図13(A)に示すサンプルは、ガラス基板502上に、窒化シリコン膜505を形成した。図13(B)に示すサンプルは、ガラス基板502上に、窒化シリコン膜505を形成し、窒化シリコン膜505上に金属酸化膜514として酸化アルミニウム膜を形成した。
【0238】
窒化シリコン膜505の成膜条件は、プラズマCVD装置を用いて、基板温度220℃、SiH=270sccm、H=4000sccm、NO=2700sccm、膜厚100nmとした。
【0239】
金属酸化膜514は、スパッタリング装置を用い酸化アルミニウム膜を形成した。酸化アルミニウム膜の成膜条件は、基板温度は150℃とし、O=300sccm(O=100%)、電力30kW(AC電源)、圧力0.7Pa、膜厚100nmとした。
【0240】
なお、図13(A)に示す構造を有するサンプルをサンプル5、図13(B)に示す構造を有するサンプルをサンプル6とし、サンプル5およびサンプル6のTDS分析を行った。図14(A)に各サンプルのm/z(m:質量、z:電荷)=2(H)のTDS結果を、図14(B)にm/z=18(HO)のTDS結果を、それぞれ示す。なお、図14(A)および図14(B)において、横軸は基板温度を、縦軸は検出強度を表している。
【0241】
図14(A)より、サンプル5については、350℃付近にピークを有し、水素(H)の放出が確認される。この放出は、窒化シリコン膜505膜中に含有されたHと考えられる。一方、サンプル6については、測定範囲内では、概ねフラットな強度分布となっており、顕著な水素(H)の放出は認められない。窒化シリコン膜505膜中に含有されたHは、金属酸化膜514により、外部への放出を抑制されると考えられる。
【0242】
図14(B)より、サンプル5およびサンプル6ともに、50℃〜100℃付近に水(HO)のピークを有するが、このピークは、サンプル表面に付着している吸着水分と考えられる。また、サンプル5とサンプル6を比較した場合、サンプル6の方が、サンプル5よりもHOの放出量が少ない。金属酸化膜514を最表面とすることにより、表面に付着する吸着水分が減少した可能性が示唆される。
【0243】
以上のように、窒化シリコン膜の上方に金属酸化膜を形成することで、窒化シリコン膜中に水分、水素等を含有していても、当該金属酸化膜により、放出を抑制することが確認された。
【0244】
本実施例は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0245】
102 基板
104 下地絶縁膜
106 ゲート電極
108 ゲート絶縁膜
110 酸化物半導体膜
112a ソース電極
112b ドレイン電極
114 保護膜
114a 酸化物絶縁膜
114b 金属酸化膜
150 トランジスタ
208a ゲート絶縁膜
208b 金属酸化膜
250 トランジスタ
401 第1の基板
402 画素部
403 信号線駆動回路
404 走査線駆動回路
405 シール材
406 基板
408 液晶層
410 トランジスタ
411 トランジスタ
413 液晶素子
415 接続端子電極層
416 端子電極層
418 FPC
418a FPC
418b FPC
419 異方性導電膜
420 保護膜
421 絶縁膜
423 絶縁膜
424 保護膜
430 第1の電極層
431 第2の電極層
432 絶縁膜
433 絶縁膜
435 スペーサ
451 隔壁
452 電界発光層
453 発光素子
454 充填材
502 ガラス基板
504a 酸化シリコン膜
504b 酸化シリコン膜
505 窒化シリコン膜
512a 金属酸化膜
512b 金属酸化膜
513a 金属酸化膜
513b 金属酸化膜
514 金属酸化膜
2701 筐体
2703 筐体
2705 表示部
2707 表示部
2711 軸部
2721 電源
2723 操作キー
2725 スピーカー
2800 筐体
2801 筐体
2802 表示パネル
2803 スピーカー
2804 マイクロフォン
2805 操作キー
2806 ポインティングデバイス
2807 カメラ用レンズ
2808 外部接続端子
2810 太陽電池セル
2811 外部メモリスロット
3001 本体
3002 筐体
3003 表示部
3004 キーボード
3021 本体
3022 スタイラス
3023 表示部
3024 操作ボタン
3025 外部インターフェイス
3051 本体
3053 接眼部
3054 操作スイッチ
3056 バッテリー
9601 筐体
9603 表示部
9605 スタンド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲート電極と、
前記ゲート電極上に形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に形成された酸化物半導体膜と、
前記酸化物半導体膜上に形成されたソース電極およびドレイン電極と、
前記酸化物半導体膜、前記ソース電極および前記ドレイン電極上に形成された保護膜と、を有し、
前記保護膜は、酸化物絶縁膜上に金属酸化膜がある積層膜であり、
前記金属酸化膜は、膜密度が3.2g/cm以上である半導体装置。
【請求項2】
ゲート電極と、
前記ゲート電極上に形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に形成された酸化物半導体膜と、
前記酸化物半導体膜上に形成されたソース電極およびドレイン電極と、
前記酸化物半導体膜、前記ソース電極および前記ドレイン電極上に形成された保護膜と、を有し、
前記保護膜は、酸化物絶縁膜上に金属酸化膜がある積層膜であり、
前記金属酸化膜は、酸化アルミニウムを含む膜であり、
前記金属酸化膜の膜密度が3.2g/cm以上である半導体装置。
【請求項3】
前記保護膜の前記金属酸化膜に接して導電膜がある請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記導電膜は、酸化亜鉛、インジウム錫酸化物、酸化チタン、アルミニウムおよびチタンの導体の中から、少なくともいずれか一種を含む請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記酸化物半導体膜は、インジウム、亜鉛、ガリウム、ジルコニウム、スズ、ガドリニウム、チタンおよびセリウムの酸化物の中から、少なくともいずれか一種を含む請求項1乃至請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記ゲート絶縁膜上に接して金属酸化膜が積層されている請求項1乃至請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記ゲート電極の下で接している下地絶縁膜を有し、
前記下地絶縁膜は、前記ゲート電極と接する面に金属酸化膜を有し、
前記金属酸化膜の膜密度が3.2g/cm以上である請求項1乃至請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
ゲート電極を形成し、
前記ゲート電極上にゲート絶縁膜を形成し、
前記ゲート絶縁膜形成後に加熱処理し、
前記ゲート絶縁膜上に酸化物半導体膜を形成し、
前記酸化物半導体膜上にソース電極およびドレイン電極を形成し、
前記ソース電極および前記ドレイン電極形成後に保護膜を形成し、
前記保護膜は、酸化物絶縁膜上に金属酸化膜がある積層膜で形成され、
前記金属酸化膜は、膜密度が3.2g/cm以上である半導体装置の作製方法。
【請求項9】
ゲート電極を形成し、
前記ゲート電極上にゲート絶縁膜を形成し、
前記ゲート絶縁膜形成後に加熱処理し、
前記ゲート絶縁膜上に酸化物半導体膜を形成し、
前記酸化物半導体膜上にソース電極およびドレイン電極を形成し、
前記ソース電極および前記ドレイン電極形成後に保護膜を形成し、
前記保護膜は、酸化物絶縁膜上に金属酸化膜がある積層膜で形成され、
前記金属酸化膜は、酸化アルミニウムを含む膜であり、
前記金属酸化膜の膜密度が3.2g/cm以上である半導体装置の作製方法。
【請求項10】
前記保護膜の前記金属酸化膜に接して導電膜を形成する請求項8または請求項9に記載の半導体装置の作製方法。
【請求項11】
前記導電膜は、酸化亜鉛、インジウム錫酸化物、酸化チタン、アルミニウムおよびチタンの導体の中から、少なくともいずれか一種を含む請求項10に記載の半導体装置の作製方法。
【請求項12】
前記酸化物半導体膜は、インジウム、亜鉛、ガリウム、ジルコニウム、スズ、ガドリニウム、チタンおよびセリウムの酸化物の中から、少なくともいずれか一種を含む請求項8乃至請求項11に記載の半導体装置の作製方法。
【請求項13】
前記ゲート絶縁膜上に接して、金属酸化膜が積層されている請求項8乃至請求項12に記載の半導体装置の作製方法。
【請求項14】
前記ゲート電極の下で接している下地絶縁膜を有し、
前記下地絶縁膜は、前記ゲート電極に接する金属酸化膜を有し、
前記金属酸化膜の膜密度が3.2g/cm以上である請求項8乃至請求項13に記載の半導体装置の作製方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2013−65843(P2013−65843A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−190773(P2012−190773)
【出願日】平成24年8月31日(2012.8.31)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】