説明

半導体装置のリワーク装置及びその方法並びに半導体パッケージの製造方法

【課題】半田の溶融を精度良く検出する。
【解決手段】プリント基板4に実装されたBGAタイプの半導体装置5を取り外すときは、ホットエアヒータ7で半田34を加熱しながら、加振器2でプリント基板4に振動を与える。加振器2は、半田34が溶融する前の固有振動数より小さく、半田34が溶融したときの固有振動数より高い周波数でプリント基板4を縦振動させる。半導体装置5の振動を振動測定器8で検出し、半導体装置5の振動の振幅又は周期が予め定められた閾値以下になったら、半導体装置5をプリント基板4から取り外す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置のリワーク装置及びその方法並びに半導体パッケージの製造方法
に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置などの電子部品をプリント基板に実装する際には、実装後の検査工程でプリ
ント基板と電子部品の間の導通を検査する。この検査工程で導通不良が発見されたときに
は、プリント基板上の半田を溶融させて電子部品を取り外し、再度電子部品を付け直すリ
ワークと呼ばれる作業を実施することがある。また、リワークは、電子部品の修理が必要
になった場合などにも実施される。
【0003】
ここで、リワーク時の半田の溶融条件は、予め測定した結果に基づいて決定される。と
ころが、従来では、半田の溶融状態のばらつきを考慮し、半田が確実に溶融する条件をリ
ワーク時の半田の加熱条件として決定していた。このために、電子部品やプリント基板が
過熱され易かった。電子部品やプリント基板が過熱されると、リワーク対象になっている
電子部品の周囲の他の部品が熱によって劣化したり、周囲の他の部品を接合する半田が溶
融して接触不良を起こしたりする可能性がある。また、熱の影響によって、プリント基板
が反ったり、電極のパッドが剥がれ易くなったりする可能性があった。
【0004】
従って、従来では、レーザ光を用いて半田を溶融させて電子部品をプリント基板に接合
する場合に、レーザ照射によって生じる振動を調べて、半田が溶融したタイミングを検出
するようにしたものがある。レーザ光を半田に照射すると、半田が加熱されると共に、半
田に振動が発生する。この振動は、半田に接触する電子部品に伝わり、振動変換器によっ
て検出される。半田が溶融すると、振動変換器によって検出される振動の振幅が減少する
ので、振幅の減少幅を調べることで半田の溶解を検出できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−182533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、レーザ光を照射する方法では、レーザ光の照射によって生じさせた振動の振幅
が小さく、振動の振幅や周波数の制御が困難であり、振幅の変化から半田が溶融したタイ
ミングを見極めることが難しかった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、半田の溶融を精度良く検出す
ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態の一観点によれば、半田を介して半導体装置を実装した基板を振動させる工
程と、前記半田を加熱する工程と、前記半導体装置の振動を測定する工程と、前記半導体
装置の振動の振幅の減少と位相差の少なくとも一方が、予め定められた閾値に達したとき
に、前記半導体装置を前記基板から取り外す工程と、を含む半導体装置のリワーク方法が
提供される。
【0008】
また、本実施形態の別の観点によれば、基板を振動させる加振器と、前記基板と半導体
装置と接合させている半田を加熱する加熱装置と、前記半導体装置の振動を非接触で測定
する第1の振動測定器と、前記第1の振動測定器で測定した前記半導体装置の振動の振幅
又は周期を算出し、振動の減少と位相差の少なくとも一方が、予め定められた閾値に達し
たときに、前記半田が溶融したと判定する制御装置と、を含む半導体装置のリワーク装置
が提供される。
【0009】
また、本実施形態の別の観点によれば、半田を介して半導体装置を実装した基板を振動
させる工程と、前記半田を加熱する工程と、前記半導体装置の振動を測定する工程と、前
記半導体装置の振動の振幅の減少と位相差の少なくとも一方が、予め定められた閾値に達
したときに、前記半導体装置を前記基板から取り外す工程と、を含む半導体パッケージの
製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
プリント基板に与えた振動ときの半導体装置の振動を測定することで、半田の溶融を判
定するようにしたので、半田が溶融したタイミングを精度良く検出できる。これにより、
他の部品への熱の影響を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置のリワーク装置の構成の一例を示す図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置のリワーク方法において、半田が溶融する前後の半導体装置の振動波形の一例を示す図である。
【図3】図3は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置のリワーク方法における半導体装置の振動を説明するための振動減衰モデルの一例を示す図である。
【図4】図4は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置のリワーク装置の構成の一例を示す図である。
【図5】図5は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置のリワーク方法において、半田が溶融する前の半導体装置及びプリント基板の振動波形の一例を示す図である。
【図6】図6は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置のリワーク方法において、半田が溶融したときの半導体装置及びプリント基板の振動波形の一例を示す図である。
【図7】図7は、本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置のリワーク方法において、半田が溶融する前の半導体装置及びプリント基板の振動波形の一例を示す図である。
【図8】図8は、本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置のリワーク方法において、半田が溶融したときの半導体装置及びプリント基板の振動波形の一例を示す図である。
【図9】図9は、本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置のリワーク装置の構成の一例を示す図である。
【図10】図10は、本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置のリワーク装置の振動測定具の一例の一部を拡大した図である。
【図11】図11は、本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置のリワーク装置の振動測定具の一例の平面図である。
【図12】図12は、本発明の第4の実施の形態の変形例に係る半導体装置のリワーク装置の構成の一例を示す図である。
【図13】図13は、本発明の第5の実施の形態に係る半導体装置のリワーク装置の構成の一例を示す図である。
【図14】図14は、本発明の第5の実施の形態に係る半導体装置のリワーク装置の振動測定具の一例の一部を拡大した図である。
【図15】図15は、本発明の第5の実施の形態に係る半導体装置のリワーク装置の振動測定具の一例の平面図である。
【図16】図16は、本発明の第5の実施の形態の変形例に係る半導体装置のリワーク装置の一例の構成を示す図である。
【図17】図17は、本発明の第6の実施の形態に係る半導体装置のリワーク装置の構成の一例を示す図である。
【図18】図18は、本発明の第6の実施の形態に係る半導体装置のリワーク装置の加熱装置の一例の底面図である。
【図19】図19は、本発明の第6の実施の形態の変形例に係る半導体装置のリワーク装置の構成の一例を示す図である。
【図20】図20は、本発明の第7の実施の形態に係る半導体装置のリワーク装置の構成の一例を示す図である。
【図21】図21は、本発明の第7の実施における半導体装置のリワーク装置の一例の一部を拡大して示す図である。
【図22】図22は、本発明の第7の実施の形態に係る加熱補助治具の構成の一例を示し、(a)は平面図を、(b)は側部断面図を示す。
【図23】図23は、本発明の第7の実施の形態に係る加熱補助治具の構成の変形例を示し、(a)は平面図を、(b)は側部断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明の目的および利点は、請求の範囲に具体的に記載された構成要素および組み合わせ
によって実現され達成される。
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、典型例および説明のためのものであっ
て、本発明を限定するためのものではない。
【0013】
(第1の実施の形態)
図面を参照して第1の実施の形態について詳細に説明する。
図1に、この実施の形態の半導体装置のリワーク方法に用いられるリワーク装置の概略
構成を示す。リワーク装置1は、加振器2を有する。加振器2は、本体部2Aと、本体部
2Aの上部に取り付けられたテーブル2Bとを有する。テーブル2Bは、本体部2Aの上
部に配置され、例えば、磁気回路中に配置されたコイルに通電することで本体部2Aに対
して所定の周期及び振幅で振動する。テーブル2Bの上には、プリント基板4が載置され
る。プリント基板4には、半導体装置5が実装されている。
【0014】
さらに、リワーク装置1は、加振器2の上方に、加熱装置であるホットエアヒータ7と
、振動測定器8と、半導体装置5を吸着搬送するノズル9とが設けられている。また、リ
ワーク装置1には、加振器2、ホットエアヒータ7、振動測定器8(第1の振動測定器)
、ノズル9を制御する制御装置10が設けられている。
【0015】
ホットエアヒータ7は、例えば、ヒータ(不図示)と、ヒータで暖められた空気を加振
器2のテーブル2B上の半導体装置5に吹き付けるファン(不図示)とを有する。
振動測定器8は、非接触で半導体装置5の振動を測定する装置、例えば、レーザ式変位
センサが使用される。レーザ式変位センサは、半導体装置5の上面に対してレーザ光を放
射し、半導体装置5で反射したレーザ光を検出素子(不図示)で検出する構成を有する。
振動測定器8は、渦電流型や、静電容量型、レーザドップラー型などの変位センサでも良
い。
【0016】
また、リワーク装置1の制御装置10は、メモリや演算装置を備え、加振器2や、ホッ
トエアヒータ7、振動測定器8、ノズル9の動作を制御する装置制御部21と、振動測定
器8の出力信号を処理する信号処理部22と、半田の溶融を判定する判定部23とに機能
分割できる。
【0017】
ここで、本実施の形態でリワーク対象となる半導体装置5について説明する。
半導体装置5は、Siなどの基板を有し、基板上に半導体回路が形成されている。また
、半導体装置5は、電極33がマトリックス状に複数形成されている。各電極33には、
ボール状の半田34が1つずつ取り付けられ、BGAを形成している。
【0018】
半田34に用いられる半田材料は、いわゆる鉛フリー半田が用いられている。鉛フリー
半田の半田材料の組成は、例えば、Snが最も含有量が多く、これにBi、In、Zn、
Ag、Sb、Cuのいずれか一種類以上が添加される。例えば、SnAgCu系の半田材
料であれば、Sn−3.0Ag−0.5Cu(3.0質量%Ag−0.5質量%Cuを含
有するSn半田)や、Sn−4.0Ag−0.5Cu(4.0質量%Ag−0.5質量%
Cuを含有するSn半田)が用いられる。鉛フリー半田の半田材料の他の例としては、S
nAgCu系、SnZnBi系、SnCu系、SnAgInBi系、SnSb系が用いら
れる。また、半田材料は、Snの代わりに、Bi、In、Zn、Ag、Sb、Cuを含む
ものでも良い。
【0019】
次に、半導体装置5が実装されるプリント基板4について説明する。
プリント基板4には、導電パターンからなる回路が形成されており、導電パターンの一
部が、半田34に接合される電極35になっている。さらに、プリント基板4には、必要
に応じて半導体装置5以外の他の部品(不図示)が実装され、これにより、電子部品31
(半導体パッケージ)が形成される。
【0020】
次に、この実施の形態における半導体装置5のリワーク方法について説明する。
以下においては、製造工程で半田34の接触不良やショートが発見された場合にリワー
クが実施される場合について説明する。しかしながら、このリワーク方法は、半導体装置
5の修理や交換が必要になったときにも実施することもできる。
【0021】
最初に、半田34を介して接続されたプリント基板4と半導体装置5の電極33,35
間の接触不良やショートが発見されたら、そのプリント基板4はコンベア装置(不図示)
などを用いてリワーク装置1の加振器2のテーブル2B上に搬入される。
この後、制御装置10の装置制御部21が加振器2に指令信号を出力してテーブル2B
を縦方向に振動させる。これに伴って、テーブル2B上に載置されているプリント基板4
が縦方向に振動する。この段階で半田34は凝固状態にあるので、プリント基板4に半田
付けされている半導体装置5もプリント基板4と一体となって振動する。ここで、縦方向
の振動とは、プリント基板4の基板面の垂直な方向に振動することをいう。
【0022】
加振器2がプリント基板4及び半導体装置5を振動させる振動数は、半田34を用いて
半導体装置5をプリント基板4に実装した電子部品31の固有振動数より小さい。これは
、振動数が大きすぎると、電子部品31にかかる負荷が大きくなり過ぎるからである。さ
らに、加振器2による振動数は、半導体装置5が取り外し可能になるまで半田34を溶融
させた状態で半導体装置5が搭載されているプリント基板4、即ち半田34が溶融にある
ときの電子部品31の固有振動数以上である。これは、振動数が小さすぎると、半田34
を溶融したときの半導体装置5の振動の変化が分かり難くなるためである。
【0023】
半導体装置5の振動は、振動測定器8によって計測される。振動測定器8は、例えば、
レーザ光を半導体装置5の上面に照射する。半導体装置5の上面で反射したレーザ光は、
振動測定器8内の検出素子に入射する。振動測定器8は、検出素子上のレーザ光の入射位
置についての情報を制御装置10に出力する。制御装置10は、信号処理部22において
、出力信号から半導体装置5の位置を算出する。
【0024】
半導体装置5が振動すると、振動測定器8の検出素子に入射するレーザ光の入射位置が
変化する。これに伴って、振動測定器8から制御装置10に出力される出力信号が変化す
る。制御装置10の信号処理部22は、時間の経過に伴って変化する出力信号から、それ
ぞれの時刻の半導体装置5の位置を算出する。信号処理部22は、算出された位置の情報
から、半導体装置5の振動の振幅及び周期を算出する。
【0025】
ここで、図2に、半導体装置の振動波形の一例を示す。図2の横軸は時間を示し、縦軸
は半導体装置5の変位量を示す。図2のラインL1に示すように、半導体装置5は、加振
器2によって一定の周期及び振幅で振動させられていることが分かる。半田34によって
半導体装置5がプリント基板4に接合されている状態では、半導体装置5はプリント基板
4の振動に追従し、同じ周期及び振幅で振動している。
【0026】
さらに、リワーク装置1は、プリント基板4及び半導体装置5の加振を開始すると同時
に、又は加振と前後して、ホットエアヒータ7から熱風を放出させる。半田34が溶融す
る前の半導体装置5の振動プロファイルを正確に確認する観点からは、先にプリント基板
4及び半導体装置5の振動を開始し、半導体装置5の振動のプロファイルを測定した後に
、半田34を加熱することが好ましい。
【0027】
ホットエアヒータ7のヒータによって暖められた空気は、ファンによって半導体装置5
の上面及びその周辺に吹き付けられ、半導体装置5及びその下の半田34を加熱する。
【0028】
これにより、プリント基板4と半導体装置5を接合させている半田34が溶融し始める
。半田34が溶解することでプリント基板4の振動と半導体装置5の振動との間にズレが
生じ、具体的にはプリント基板4の振動に対して半導体装置5の振動が減衰し始める。
【0029】
この減衰は、図3に示すような、振動減衰モデルを用いて説明することができる。図3
に示す振動減衰モデルでは、振動する床G1の上に、弾性要素k1と減衰要素C1とが並
列に接続され、さらに弾性部材k1と減衰要素C1を介して質点M1が床G1に連結され
ている。ここで、床G1は、プリント基板4に対応し、弾性要素k1と減衰要素C1が半
田34に対応し、質点M1は半導体装置5に相当する。
【0030】
半田34が溶融し始めると、半導体装置5がプリント基板4に弾性的に支持されるよう
になる。減衰要素C1の存在により、半導体装置5の固有振動数が低下し、半導体装置5
の振動が半田34の溶融が進むに従って小さくなる。
【0031】
これにより、図2のラインL2に示すように、振動測定器8で検出する半導体装置5の
振動の振幅が、ラインL1に示す半田34の溶融前に比べて小さくなる。
【0032】
制御装置10の判定部23は、振動測定器8で検出した半導体装置5の振動の振幅と予
め設定されている閾値TH1とを比較する。振幅が閾値TH1以下になったら、判定部2
3は、半田34が溶融したと判定する。この後、装置制御部21がノズル9に指令信号を
出力し、ノズル9が半導体装置5を吸着してプリント基板4から取り外す。
【0033】
ここで、閾値TH1は、プリント基板4から半導体装置5を取り外し可能になるまで半
田34を溶融させた状態で、プリント基板4に図2のラインL1に示すような振動を与え
たときの半導体装置5の振動の振幅から決定される。
【0034】
また、制御装置10は、振幅の代わりに、振幅の減少量DC1や振幅比RA1(=AM
2/AM1)で半田34の溶融を判定しても良い。この場合は、振動開始時の半導体装置
5の振幅の情報を制御装置10のメモリに記憶し、この記憶しておいた半導体装置5の初
期の振幅と、現在の半導体装置5の振動の振幅とから、信号処理部22が半導体装置5の
振動の振幅の減少量DC1、又は振幅比RA1を算出する。このときに使用される閾値は
、半田34が溶融したときの半導体装置5の振動の振幅の減少量、又は振幅比を予め計測
した値が用いられる。また、振幅比RA1の減少量を用いて半田34の溶融を判定しても
良い。
ここで、リワーク装置1は、図2に示すようなグラフをモニタに出力し、グラフを見た
作業者が半田34の溶融を判定しても良い。
【0035】
次に、プリント基板4から半導体装置5を取り除いた後に、プリント基板4に同じ半導
体装置5を取り付け、又は別の半導体装置5に取り替える場合について説明する。半田3
4は、プリント基板4側に残っており、凝固状態にあるとする。
最初に、ノズル9を用いて、実装する半導体装置5をプリント基板4の上方に搬入する
。続いて、電極33が半田34の上に乗るように、半導体装置5をプリント基板4に載置
する。この後、半導体装置5の吸着を解除してから、ノズル9をプリント基板4の外側に
退避させる。続いて、ホットエアヒータ7による加熱と、加振器2の振動を開始し、半導
体装置5の振動の振幅を第1の振動測定器8で計測する。
【0036】
加熱によって半田34が溶融すると、半導体装置5は、図2のラインL2に示すような
振幅で振動を開始する。従って、このタイミングで、加熱と振動を停止すると、溶融した
半田34が再び凝固し、半導体装置5とプリント基板4とが電気的に接続される。半導体
装置5をプリント基板4に搭載する前、又は搭載するのと同時にホットエアヒータ7によ
る加熱を行っても良い。
【0037】
以上、説明したように、この実施の形態では、半導体装置5のリワーク工程において、
半田34を加熱しながらプリント基板4に振動を与え、このときの半導体装置5の振動波
形から半田34の溶融を判定するようにした。これにより、半田34の溶融を精度良く判
定することができる。
さらに、プリント基板4に与える振動は、半田34の溶融前の電子部品31の固有振動
数より低く、半田34が溶融したときの電子部品31の固有振動数より高くなるような周
波数としたので、半田34が溶融したときの振幅の変化を精度良く検出することが可能に
なる。
【0038】
従来では、半田34が溶融するまでの時間のばらつきを考慮し、マージンを含んだ加熱
時間を決めていたので、加熱時間が長くなり易かった。また、実際に半田34が溶融した
か否かに拘らずに、その加熱時間が経過するまで加熱し続けたので、周囲の回路や半導体
装置に影響を与え易かった。これに対し、この実施の形態では、リワーク工程を実施する
毎に半田34の溶融を精度良く判定できるので、加熱時間が必要最小限で済み、周囲の回
路や部品に与える熱の影響を最小限に止められる。従って、プリント基板4や半導体装置
5の信頼性を低下させることなく、リワーク工程を実施できる。
【0039】
また、この実施の形態では、ホットエアヒータ7を使用することで、半導体装置5を接
合する多数の半田34を同時に溶融させることができる。従来のようにレーザ光を用いる
と、一度に1つの半田しか溶融できず、BGAのように多数の半田を一度に溶融させるこ
とができなかった。さらに、レーザ光を用いた場合には、半導体装置の下側の、かつ内側
部分に配置された半田を加熱することは困難であった。これに対し、この実施の形態では
、熱風を使用するので、場所によらずに複数の半田34を同時に溶融させることができる

【0040】
さらに、従来のようにレーザ光の照射によって生じさせた振動は、振幅が小さく、振動
の振幅や周波数の制御が困難であり、振幅の変化から半田が溶融したタイミングを見極め
ることが難しかった。これに対し、この実施の形態では加振器2で振動を制御することが
できるので、半田34の溶融を判定するのに適切な振動をプリント基板4及び半導体装置
5に与えることができる。
【0041】
半導体装置5の振動の測定に、非接触式の振動測定器8を用いたので、接触式の振動測
定器に比べて半導体装置5の振動に与える影響を小さくできる。このために、半田34の
溶融前後の半導体装置5の振動の変化を精度良く測定できる。また、加振器2で半導体装
置5に縦方向の振動を与えたので、振幅の変化を測定し易くなって、半田34の溶融タイ
ミングを精度良く判定できるようになる。
【0042】
次に、半導体装置5のリワーク方法の実施例について説明する。
半導体装置5は、17mm×17mmの基板上に半導体回路を形成し、重量が1.5g
で、電極33が256個配列されたBGAパッケージを用いた。半導体装置5の実装に用
いる半田34は、Sn−Ag−Cu系の無鉛半田で、融点が218℃、密度が7.3g/
cm2、表面張力γが0.45N/m、粘度μが0.5PaS、ポアソン比が0.5のも
のを用いた。また、半田34は、直径が約0.5mm、高さyが、約0.25mmで、半
田34の配置間隔は約1mmとした。さらに、半田34とプリント基板4の接地総面積S
は、48×10−6cmであった。
【0043】
図3に示す振動減衰モデルで、質点の質量はmで、質点の振動の変位をx(t)とする
。弾性要素のバネ定数をkとし、減数要素の減衰係数はCとする。また、振動する床G1
の強制調和変位はy(t)=Ycosωtとする。ここで、ωは角振動数を示し、tは時
間を示す。Yは、加振器2によって発生させた振動の振幅に相当する。この場合、この系
の運動方程式は、
【0044】
【数1】


となる。ζは減衰比を示し、ωnは固有角振動数を示す。この振動減衰モデルにおける振
幅比は、
【0045】
【数2】


のように示される。さらに、この振動減衰モデルにおける位相差は、
【0046】
【数3】


のように示される。
さらに、この振動減衰モデルで質点を縦振動させたときの減衰比ζは、減衰係数Cと臨
界減衰係数Ccとの比、即ち数式(1)から算出される。
【0047】
【数4】

この実施例で、減衰係数C=(μ/y)×S(μ、y、Sはそれぞれ粘度、半田ボール
の高さ、半田ボールとプリント基板接地総面積)=(0.5/0.25×10−3)×4
8×10−6=96×10−3N/mになる。また、半導体装置5の質量が1.9×10
−3kgで、バネ定数k=2×γ=2×0.45=0.9N/mであるので、臨界減衰係
数Ccは、83×10−3になる。従って、減衰比ζは約1になる。また、電子部品31
の固有角振動数ωnは、
【0048】
【数5】

であった。さらに、電子部品31の固有振動数fnは、
【0049】
【数6】

であった。
【0050】
半田ボールの数が256個だとすると、
【数7】

である。この場合、電子部品31の固有振動数fnは、
【0051】
【数8】

であった。
【0052】
したがって、加振器2は、固有振動数である887Hzより大きい890Hzでテーブ
ル2Bを振動させ、振動測定器8で半導体装置5の振動を測定した。さらに、ホットエア
ヒータ7によって半田34を加熱したところ、半導体装置5の振動の振幅が、図2のライ
ンL1からラインL2に示すように変化した。このようにして、半田34の溶融が検出で
きた。
【0053】
(第2の実施の形態)
図面を参照して第2の実施の形態について詳細に説明する。第1の実施の形態と同様の
構成要素には同一の符号を付してある。また、第1の実施の形態と重複する説明は省略す
る。
図4に示すように、リワーク装置51は、加振器2を有し、加振器2のテーブル2Bの
上方にホットエアヒータ7と第1の振動測定器8と、第2の振動測定器52と、ノズル9
が配置されている。さらに、リワーク装置51には、加振器2などを制御する制御装置1
0が設けられている。
【0054】
第1の振動測定器8は、ホットエアヒータ7の近くに配置され、半導体装置5の縦方向
の振動を非接触で測定する装置が使用される。第2の振動測定器52は、第1の振動測定
器8の外側に配置され、プリント基板4の縦方向の振動を非接触で測定する装置が使用さ
れる。第1、第2の振動測定器8,52は、レーザ式、渦電流型、静電容量型、レーザド
ップラー型のいずれかの変位センサが使用される。
【0055】
また、リワーク装置51の制御装置10は、加振器2や、ホットエアヒータ7、第1の
振動測定器8及び第2の振動測定器52の動作を制御する装置制御部21と、第1の振動
測定器8及び第2の振動測定器52の出力信号を処理する信号処理部22と、半田34の
溶融を判定する判定部23とを有する。
【0056】
次に、この実施の形態における半導体装置5のリワーク方法について説明する。
半導体装置5の電極33の接触不良やショート、又は半導体装置5の故障が発見された
プリント基板4がリワーク装置51に搬入されると、制御装置10が加振器2のテーブル
2Bを縦方向に振動させる。これによって、テーブル2B上に載置されているプリント基
板4及び半導体装置5が一体となって振動する。
【0057】
加振器2がプリント基板4及び半導体装置5を振動させる振動数は、半田34を介して
半導体装置5をプリント基板4に実装した電子部品31の固有振動数より小さい。さらに
、加振器2による振動の振動数は、半導体装置5が取り外し可能になるまで半田34を溶
融させたときの電子部品31の固有振動数以上である。
【0058】
ここで、第1の振動測定器8は、半導体装置5の上面に例えばレーザ光を照射し、半導
体装置5の縦方向の振動を計測する。また、第2の振動測定器52は、プリント基板4の
上面に例えばレーザ光を照射し、プリント基板4の縦方向の振動を測定する。第1の振動
測定器8及び第2の振動測定器52で測定したプリント基板4及び半導体装置5の位置情
報は、制御装置10に出力される。
【0059】
プリント基板4及び半導体装置5の振動波形の一例を図5及び図6に示す。図5は、ホ
ットエアヒータ7によって加熱される前のプリント基板4及び半導体装置5の振動波形を
示す。図6は、ホットエアヒータ7で半田34を溶融させたときのプリント基板4及び半
導体装置5の振動波形を示す。また、図5及び図6において、横軸は時間を示し、縦軸は
プリント基板4及び半導体装置5の変位を示す。
【0060】
半田34が溶融する前は、図5のラインL3に示すプリント基板4の振動の振幅及び周
期と、ラインL4に示す半導体装置5の振動の振幅及び周期とほぼ同じである。これは、
半田34が溶融する前は、半導体装置5が半田34を介してプリント基板4に固定されて
いるので、プリント基板4と半導体装置5が一体となって振動するためである。
【0061】
ホットエアヒータ7によって半田34が溶融したときは、図6のラインL3に示すよう
に、テーブル2B上に載置されているプリント基板4の振動波形に変化はない。これに対
して、ラインL5に示すように、半導体装置5の振動には、半田34の溶融前に比べて振
幅が減少する。これは、図2に示す振動減衰モデルで説明されるように、溶融した半田3
4によってプリント基板4から半導体装置5に伝達される振動が減衰されたためである。
【0062】
このように、半田34が溶融すると、第2の振動測定器52で測定したプリント基板4
の振動の振幅は変化しないのに対し、第1の振動測定器8で測定された半導体装置5の振
動の振幅が小さくなる。
【0063】
制御装置10の判定部23は、第2の振動測定器52で測定した振動の振幅と、第1の
振動測定器8で測定した半導体装置5の振動の振幅とから、半導体装置5の振動の振幅の
減少を算出する。次に、振幅の減少量DC2と予め設定されている閾値TH2とを比較す
る。振動の振幅の減少量DC2が閾値TH2以下になったら、判定部23は、半田34が
溶融したと判定し、装置制御部21がノズル9で半導体装置5を吸着してプリント基板4
から取り外す。
【0064】
ここで、閾値TH2は、プリント基板4から半導体装置5を取り外し可能になるまで半
田34を溶融させた状態で、プリント基板4に図5のラインL3に示すような振動を与え
たときの半導体装置5の振動の振幅から決定される。
【0065】
また、制御装置10は、プリント基板4の振動に対する半導体装置5の振動の振幅比R
A2(=AM4/AM3)、又は振幅比の減少量を算出し、予め設定されている閾値と比
較することで半田34の溶融を判定しても良い。
ここで、リワーク装置51は、図5及び図6に示すようなグラフをモニタに出力し、グ
ラフを見た作業者が半田34の溶融を判定しても良い。
【0066】
次に、プリント基板4から半導体装置5を取り除いた後に、プリント基板4に同じ半導
体装置5を取り付け、又は別の半導体装置5に取り替える場合について説明する。ここで
、半田34は、プリント基板4側に残っており、凝固状態にあるとする。
最初に、ノズル9を用いて、実装する半導体装置5をプリント基板4の上方に搬入する
。続いて、電極33が半田34の上に乗るように、半導体装置5をプリント基板4に載置
する。この後、半導体装置5の吸着を解除してから、ノズル9をプリント基板4の外側に
退避させる。続いて、ホットエアヒータ7による加熱と、加振器2の振動を開始する。さ
らに、半導体装置5の振動の振幅を第1の振動測定器8で計測すると共に、プリント基板
4の振動の振幅を第2の振動測定器52で計測する。
【0067】
図5に示すように、第2の振動測定器52で計測するプリント基板4の振動は、半田3
4の溶融の有無に拘らず変化しない。これに対し、第1の振動測定器8で計測する半導体
装置5の振動は、半田34が溶融すると、図6のラインL5に示すように振幅が小さくな
る。このために、プリント基板4の振動の振幅に対する半導体装置5の振幅の減少量や、
振幅比、振幅比の減少量が予め設定された閾値以下になったら、半田34の加熱及び加振
を停止する。この後、溶融した半田34が再び凝固し、別の半導体装置5とプリント基板
4とが電気的に接続される。
【0068】
以上、説明したように、この実施の形態では、半導体装置5のリワークの際に、第1の
振動測定器8及び第2の振動測定器52を用いてプリント基板4と半導体装置5のそれぞ
れの縦方向の振動の波形を測定するようにした。プリント基板4の振動を第2の振動測定
器52でモニタすることで、加振器2によって実際にプリント基板4に与えられている振
動を正確に把握できるので、半田34の溶融による半導体装置5の振幅の減少をより高精
度に検出できる。従って、例えば、半田34の溶融前後で振幅の変化が少ない場合でも、
半田34の溶融を精度良く検出できる。
【0069】
また、第1の振動測定器8及び第2の振動測定器52を用いることによって、半田34
が溶融する前の半導体装置5の振動を測定する必要がなくなり、振動測定の効率を高めこ
とができる。その他の作用及び効果は第1の実施の形態と同様である。
【0070】
(第3の実施の形態)
図面を参照して第3の実施の形態について詳細に説明する。第1の実施の形態及び第2
の実施の形態と同様の構成要素には同一の符号を付してある。また、第1の実施の形態及
び第2の実施の形態と重複する説明は省略する。
この実施の形態の半導体装置のリワーク装置は、第2の実施の形態と同様の装置が使用
される。すなわち、図4に示すように、リワーク装置51は、加振器2を有し、加振器2
のテーブル2Bの上方には、ホットエアヒータ7と第1の振動測定器8と、第2の振動測
定器52と、ノズル9とが配置されている。さらに、リワーク装置51には、加振器2な
どを制御する制御装置10が設けられている。
【0071】
第1の振動測定器8は、半導体装置5の上方に配置され、半導体装置5の横方向の振動
を非接触で測定する装置が使用される。第2の振動測定器52は、プリント基板4の上方
に配置され、プリント基板4の横方向の振動を非接触で測定する装置が使用される。第1
の振動測定器8、第2の振動測定器52は、レーザ式、渦電流型、静電容量型、レーザド
ップラー型のいずれかの変位センサが使用される。横方向の振動とは、プリント基板4の
基板面に平行な水平方向に振動することをいう。
【0072】
次に、この実施の形態における半導体装置5のリワーク方法について説明する。
半導体装置5の電極33の接触不良やショートが発見されたプリント基板4がリワーク
装置51に搬入されると、制御装置10が加振器2のテーブル2Bを左右方向(横方向)
に振動させる。これによって、テーブル2B上に載置されているプリント基板4及び半導
体装置5が一体となって振動する。
【0073】
加振器2がプリント基板4及び半導体装置5を振動させる振動数は、半田34を介して
半導体装置5をプリント基板4に実装した電子部品31の固有振動数より小さい。さらに
、加振器2による振動の振動数は、半導体装置5が取り外し可能になるまで半田34を溶
融させたときの電子部品31の固有振動数以上である。
【0074】
ここで、第1の振動測定器8は、半導体装置5の横方向の振動を計測する。また、第2
の振動測定器52は、プリント基板4の横方向の振動を測定する。第1の振動測定器8は
、半導体装置5の側面にレーザ光を照射して半導体装置5の位置を検出しても良い。また
、第2の振動測定器52は、プリント基板4の側面にレーザ光を照射してプリント基板4
の位置を検出しても良い。
第1の振動測定器8及び第2の振動測定器52で測定したプリント基板4及び半導体装
置5の位置を示す情報は、制御装置10に出力される。
【0075】
次に、プリント基板4及び半導体装置5の振動波形の一例を図7及び図8を用いて説明
する。ここで、図7は、ホットエアヒータ7によって加熱される前のプリント基板4と半
導体装置5の振動波形を示す。図8は、ホットエアヒータ7で半田34を溶融させたとき
のプリント基板4及び半導体装置5の振動波形を示す。また、図7及び図8において、横
軸は時間を示し、縦軸はプリント基板4及び半導体装置5の変位を示す。
【0076】
半田34が溶融する前は、図7のラインL6に示すプリント基板4の振動の振幅及び周
期と、ラインL7に示す半導体装置5の振動の振幅及び周期とほぼ同じである。これは、
半田34が溶融する前は、半導体装置5が半田34を介してプリント基板4に固定されて
いるので、プリント基板4と半導体装置5が一体となって振動するためである。
【0077】
ホットエアヒータ7によって半田34が溶融したときは、図8のラインL6に示すよう
に、テーブル2B上に載置されているプリント基板4の振動波形に変化はない。これに対
して、ラインL8に示すように、半導体装置5の振動には、半田34の溶融前に比べて位
相差PH1が生じる。これは、図2に示す振動減衰モデルで説明されるように、溶融した
半田34によってプリント基板4から半導体装置5に伝達される振動が減衰されたためで
ある。
【0078】
このように、半田34が溶融すると、第2の振動測定器52で測定したプリント基板4
の振動は変化しないのに対し、第1の振動測定器8で測定された半導体装置5の振動に位
相差PH1が生じる。
このとき、制御装置10の判定部23は、プリント基板4の振動に対する半導体装置5
の振動の位相差PH1を算出する。位相差PH1が予め定められた閾値TH3以上になっ
たら、判定部23は、半田34が溶融したと判定し、装置制御部21がノズル9で半導体
装置5を吸着してプリント基板4から取り外す。
【0079】
ここで、閾値TH3は、プリント基板4から半導体装置5を取り外し可能になるまで半
田34を溶融させた状態で、プリント基板4に図7のラインL6に示すような振動を与え
たときの半導体装置5の振動の位相差から決定する。
リワーク装置1は、図7及び図8に示すようなグラフをモニタに出力し、グラフを見た
作業者が半田34の溶融を判定しても良い。
【0080】
次に、プリント基板4から半導体装置5を取り除いた後に、プリント基板4に同じ半導
体装置5又は別の半導体装置5に取り付ける場合について説明する。ここで、半田34は
、プリント基板4側に残っており、凝固状態にあるとする。
【0081】
最初に、ノズル9を用いて、実装する半導体装置5をプリント基板4の上方に搬入する
。続いて、電極33が半田34の上に乗るように、半導体装置5をプリント基板4に載置
する。この後、半導体装置5の吸着を解除してから、ノズル9をプリント基板4の外側に
退避させる。続いて、ホットエアヒータ7による加熱と、加振器2の振動を開始する。さ
らに、半導体装置5の振動の振幅を第1の振動測定器8で計測すると共に、プリント基板
4の振動の振幅を第2の振動測定器52で計測する。
【0082】
図7及び図8に示すように、第2の振動測定器52で計測するプリント基板4の振動は
、半田34の溶融の有無に拘らず変化しない。これに対し、第1の振動測定器8で計測す
る半導体装置5の振動は、半田34が溶融すると、図8に示すような振幅及び周期になり
、プリント基板4の振動に対して所定の位相差を生じる。位相差が閾値以上になったタイ
ミングで加熱及び加振を停止すると、溶融した半田34が再び凝固し、別の半導体装置5
とプリント基板4とが電気的に接続される。
【0083】
以上、説明したように、この実施の形態では、半導体装置5のリワーク工程において、
第1の振動測定器8及び第2の振動測定器52を用いてプリント基板4と半導体装置5の
それぞれの横方向の振動の波形を測定するようにした。さらに、判定部23で半導体装置
5の振動の位相差と閾値を比較することで半田34の溶融を判定するようした。これによ
り、第2の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0084】
ここで、図1に示すリワーク装置1と同様の構成で、プリント基板4を横方向に振動さ
せても良い。この場合、プリント基板4の振動を第1の振動測定器8で測定し、制御装置
10のメモリに記憶させた後、半田34を加熱する。半田34を加熱する前の半導体装置
5の振動と、現在の半導体装置5の振動の位相差を信号処理部22で算出し、位相差が閾
値TH3を以上になったら、判定部23は半田34が溶融したと判定する。
【0085】
次に、半導体装置5のリワーク工程の実施例について説明する。
半導体装置5は、17mm×17mmの基板上に半導体回路を形成し、重量が1.5g
で、電極33が256個配列されたBGAパッケージを用いた。半導体装置5の実装に用
いる半田34は、Sn−Ag−Cu系の無鉛半田で、融点が218℃、密度が7.3g/
cm2、表面張力γが0.45N/m、粘度μが0.5PaS、ポアソン比が0.5のも
のを用いた。また、半田34の高さyは、約0.25mmで、直径は約0.5mm、配置
間隔は約1mmとした。さらに、半田34とプリント基板4の接地総面積Sは、48×1
−6cmであった。
【0086】
横振動におけるバネ定数kは、縦振動の1/3であることから、臨界減衰係数Ccは、
0.3N/mになる。また、減衰係数Cの値は、縦振動と横振動で変化しない。このため
に、第1の実施の形態の数式(1)を用いて計算すると、減衰比ζは、約2になる。
さらに、固有振動数fnを第1の実施の形態の数式(4)及び数式(5)を用いて計算
すると、512Hzになる。
【0087】
したがって、加振器2は、横振動の固有振動数である512Hzより大きい550Hz
で振動させ、振動測定器8で半導体装置5の振動を測定した。さらに、ホットエアヒータ
7によって半田34を加熱したところ、半導体装置5の振動の振幅が、図7のラインL7
からら図8のラインL8に示すように変化した。これにより、半田34の溶融が検出でき
た。
【0088】
(第4の実施の形態)
図面を参照して第4の実施の形態について詳細に説明する。前記の各実施の形態と同様
の構成要素には同一の符号を付してある。また、前記の各実施の形態と重複する説明は省
略する。
図9に示すように、半導体装置のリワーク装置71は、加振器2を有し、加振器2のテ
ーブル2Bの上方には、加熱装置であるハロゲンヒータ72と、振動測定器8と、ノズル
9とが配置される。また、リワーク装置71には、加振器2などを制御する制御装置10
が設けられている。さらに、電子部品31の半導体装置5の上には、振動測定具75(振
動測定補助具)が載置されている。
【0089】
ここで、ハロゲンヒータ72は、不図示のハロゲンランプ及び反射板を有し、ハロゲン
光を平行に出力する平行光型が用いられる。
振動測定器8は、電子部品31の横方向の振動を非接触で測定する装置、例えば、レー
ザ型、レーザドップラー型などが用いられる。また、振動測定器8は、電子部品31の縦
方向の振動を非接触で測定する装置でも良い。
制御装置10は、装置制御部21と、信号処理部22と、判定部23とに機能分割され
る。
【0090】
次に、振動測定具75の構成について、図9と、図9の一部拡大図である図10と、図
11の平面図を参照して説明する。振動測定具75は、四角形のプレート76を有し、プ
レート76の中央部分には突起部77が上方に向けて取り付けられている。突起部77に
は、反射面77Aが形成されており、反射面77Aによって振動測定器8から出力される
レーザ光が反射させられる。反射面77Aは、振動測定器8に対して垂直に配置されるこ
とが好ましい。例えば、反射面77Aの傾斜角度α1は、垂直方向に対して所定の角度、
例えば60°の角度で傾斜している。反射面77Aの傾斜角度は、45°以外であること
が望ましい。これは、反射面77Aで折り返されて振動測定器8に入射するハロゲンヒー
タ72の光の量を低く抑えるためである。
【0091】
さらに、図10及び図11に示すように、反射面77Aの長さh1及び幅w1は、例え
ば、振動測定器8のスポット径の10倍以上にする。これは、振動測定具75を半導体装
置5上に載せたときに位置がずれたり、振動測定具75が熱膨張したりした場合でも、振
動させた突起部77の反射面77Aから振動測定器8の測定光のスポットが外れないよう
にするためである。例えば、図9に示すプレート76からハロゲンヒータ72までの距離
d1が50mmで、振動測定器8のスポット径が直径100μmであった場合には、反射
面77Aの長さh1及び幅w1は、それぞれ1mm及び1mmになる。
【0092】
また、振動測定具75は、ハロゲンヒータ72からの熱を半田34に効率良く伝達でき
るように金属、例えば、熱伝導率の高い銅が用いられる。プレート76と、突起部77と
は一体に形成されても良いし、プレート76に別体として製造した突起部77を固定して
も良い。また、プレート76の大きさは、半導体装置5より大きくても良いし、小さくて
も良い。プレート76の平面形状は、四角形に限定されない。
【0093】
次に、この実施の形態における半導体装置5のリワーク方法について説明する。
電子部品31は、半導体装置5の電極33の接触不良やショート、又は半導体装置5の
故障が発見されると、リワーク装置71に搬入される。このとき、半導体装置5の上に振
動測定具75が載置される。振動測定具75は、半導体装置5の中心上に突起部77が配
置されることが好ましい。制御装置10は、振動測定具75を半導体装置5上に載置した
後で、加振器2のテーブル2Bを横方向に振動させる。これによって、テーブル2B上に
載置されているプリント基板4及び半導体装置5が一体となって振動する。さらに、半導
体装置5上に載置されている振動測定具75も半導体装置5と一体となって振動する。
【0094】
加振器2がプリント基板4及び半導体装置5を振動させる振動数は、半田34を介して
半導体装置5をプリント基板4に実装した電子部品31の固有振動数より小さい。さらに
、加振器2による振動の振動数は、半導体装置5が取り外し可能になるまで半田34を溶
融させたときの電子部品31の固有振動数以上である。
【0095】
ここで、振動測定器8は、測定光として、例えばレーザ光を照射し、レーザ光が振動測
定具75の反射面77Aに反射した反射光を受光することで振動測定具75の横方向の振
動を計測する。振動測定器8で測定した振動測定具75の位置情報は、制御装置10に出
力される。制御装置10の信号処理部22は、振動測定具75の位置情報から、半導体装
置5の振動波形を算出する。半導体装置5の振動波形は、例えば、図2のラインL1に示
すようになる。
【0096】
さらに、リワーク装置1は、プリント基板4及び半導体装置5の加振を開始すると同時
に、又は加振と前後して、ハロゲンヒータ72を点灯させる。半田34が溶融する前の半
導体装置5の振動プロファイルを正確に確認する観点からは、先にプリント基板4及び半
導体装置5の振動を開始し、半導体装置5の振動のプロファイルを測定した後に、半田3
4を加熱することが好ましい。
【0097】
ハロゲンヒータ72を点灯させると、ハロゲンヒータ72から出力される光の照射によ
って、振動測定具75が加熱される。振動測定具75は熱伝導率の高い材料から製造され
ているので、その下の半導体装置5及び半田34が加熱される。このとき、ハロゲンヒー
タ72の光は、その一部が振動測定具75の反射面77Aで反射される。しかしながら、
反射面77Aの傾斜角度α1は、ハロゲンヒータ72の反射光が振動測定器8に入射し難
い傾斜角度に設定されているので、振動測定器8の測定精度を低下させることはない。
【0098】
ハロゲンヒータ72によって半田34が加熱されると、プリント基板4と半導体装置5
を接合させている半田34が溶融し始める。半田34が溶解することでプリント基板4の
振動と半導体装置5の振動との間にズレが生じる。具体的には、プリント基板4の振動に
対して半導体装置5の振動が減衰し始める。振動測定具75は、半導体装置5に載置され
ているので、半導体装置5と同じ振動数で振動する。振動測定具75の振動を振動測定器
8で調べることで、半導体装置5の振動の変化を測定することができる。
【0099】
ここで、図2に示す振動波形において、半田34によって半導体装置5がプリント基板
4に接合されている状態では、ラインL1に示すように、半導体装置5はプリント基板4
の振動に追従し、同じ周期及び振幅で振動している。これに対し、図2のラインL2に示
すように、半田34が溶融すると、振動測定具75を用いて振動測定器8で検出する半導
体装置5の振動の振幅が、ラインL1に示す半田34の溶融前に比べて小さくなる。
【0100】
制御装置10の判定部23は、振動測定器8で検出した半導体装置5の振動の振幅と予
め設定されている閾値TH1とを比較する。振幅が閾値TH1以下になったら、判定部2
3は、半田34が溶融したと判定する。この後、装置制御部21がノズル9に指令信号を
出力し、ノズル9が半導体装置5を吸着してプリント基板4から取り外す。
【0101】
ここで、閾値TH1は、プリント基板4から半導体装置5を取り外し可能になるまで半
田34を溶融させた状態で、プリント基板4に図2のラインL1に示すような振動を与え
たときの半導体装置5の振動の振幅から決定される。
【0102】
その後、プリント基板4から半導体装置5を取り除いてから、プリント基板4に同じ半
導体装置5又は別の半導体装置5に取り付ける。
【0103】
以上、説明したように、この実施の形態では、振動測定具75を電子部品31の上に載
置し、振動測定具75からの熱伝達を用いて半田34を溶融させるようにした。従って、
半導体装置5のサイズに依らずに半田34を溶融させることが可能になる。
また、反射面77Aを有する振動測定具75を用いて半導体装置5の振動を測定するよ
うにした。反射面77Aは、ハロゲンヒータ72の光が振動測定器8に入射し難い角度に
設定されているので、迷光による振動測定の測定精度の低下を抑えることができる。この
ような振動測定具75を用いることによって、ハロゲンヒータ72を用いた場合でも、半
田34の溶融を半導体装置5の振動の変化から精度良く判定することができる。
さらに、反射面77Aを振動測定具75の中心に配置したので、振動測定具75の材料
が熱膨張した場合でも、半導体装置5の振動を精度良く測定できる。
その他の作用及び効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0104】
ここで、振動測定具75は、突起部77の代わりに、プレート76に反射面77Aを有
する凹部を形成しても良い。また、反射面77Aは、プレート76の中心からずれた位置
に設けても良い。
さらに、図12に示すように、リワーク装置71は、第2の振動測定器52を有しても
良い。プリント基板4と半導体装置5のそれぞれの振動波形を測定できるので、半田34
の溶融による半導体装置5の振幅の減少をより高精度に検出できる。
【0105】
(第5の実施の形態)
図面を参照して第5の実施の形態について詳細に説明する。前記の各実施の形態と同様
の構成要素には同一の符号を付してある。また、前記の各実施の形態と重複する説明は省
略する。
図13に示すように、半導体装置のリワーク装置81は、加熱装置であるハロゲンヒー
タ82として集光用の反射板を有する集光型ヒータを有する。さらに、電子部品31の半
導体装置5の上に振動測定具85が載置される。
【0106】
振動測定具85の構成について、図13と、図13の一部拡大図である図14と、図1
5の平面図を参照して説明する。振動測定具85は、プレート86の上面の中央に突起部
87が設けられている。突起部87は、反射面77Aを有すると共に、反射面77Aの上
端から遮光板88が斜め上方に延びている。遮光板88は、上方から入射するハロゲンヒ
ータ82の光を反射面77Aに入射させないために形成されている。遮光板88の長さs
1は、例えばハロゲンヒータ82の発光部分の幅s2が50mmで、プレート86からハ
ロゲンヒータ82までの距離d2が50mmのときに、2mm以上の突出長さを有する、
ひさし形状になっている。これは、図13の仮想線L11に示すように、ハロゲンヒータ
82の最も外側からの光が、突起部87に向かって放出された場合でも、反射面87Aに
その光が入射しない長さになっている。
【0107】
ここで、反射面77Aは、例えば、幅w1が1mmで、長さh1が1mmになっている
。また、反射面77Aの傾斜角度α1は、例えば60°である。さらに、遮光板88の傾
斜角度β1は、例えば、150°である。
【0108】
次に、この実施の形態における半導体装置5のリワーク方法について説明する。
リワーク装置81に電子部品31を搬入したら、振動測定具85を突起部87が半導体
装置5の中心上に配置されるように載せる。この状態で、制御装置10が加振器2のテー
ブル2Bを横方向に振動させる。これによって、テーブル2B上に載置されているプリン
ト基板4及び半導体装置5が一体となって振動する。さらに、半導体装置5上に載置され
ている振動測定具85も半導体装置5と共に振動する。
【0109】
加振器2がプリント基板4及び半導体装置5を振動させる振動数は、半田34を介して
半導体装置5をプリント基板4に実装した電子部品31の固有振動数より小さい。さらに
、加振器2による振動の振動数は、半導体装置5が取り外し可能になるまで半田34を溶
融させたときの電子部品31の固有振動数以上である。
【0110】
ここで、振動測定器8は、レーザ光を振動測定具85の反射面77Aに照射し、その反
射光から振動測定具85の横方向の振動を計測する。また、ハロゲンヒータ82からの光
が振動測定具85に照射される。突起部87の遮光板88が、ハロゲンヒータ82からの
光を遮断するので、ハロゲンヒータ82の光が反射面77Aで反射して振動測定器8に入
射することはない。振動測定器8に入射する迷光が減少するので、測定誤差が減少する。
【0111】
ハロゲンヒータ82によって振動測定具85が加熱され、さらに振動測定具85からの
熱伝達によって半田34が溶融し始めると、プリント基板4の振動と半導体装置5の振動
との間にズレが生じる。具体的には、プリント基板4の振動に対して半導体装置5の振動
が減衰し始める。半導体装置5の振動の変化は、半導体装置5と一体になって振動する振
動測定具85の振動から検出できる。制御装置10の判定部23は、振動測定器8で検出
した半導体装置5の振動の振幅と予め設定されている閾値TH1とを比較する。振幅が閾
値TH1以下になったら、判定部23は、半田34が溶融したと判定する。この後、装置
制御部21がノズル9に指令信号を出力し、ノズル9が半導体装置5を吸着してプリント
基板4から取り外す。
【0112】
以上、説明したように、この実施の形態では、突起部87に遮光板88を設けたので、
ハロゲンヒータ82からの光が反射面77Aに入射しなくなる。これによって、半導体装
置5の振動を精度良く計測でき、半田34の溶融を確実に検知できるようになる。その他
の作用及び効果は、第4の実施の形態と同様である。
【0113】
ここで、第5の実施の形態の突起部87に遮光板88を形成しても良い。
また、図16に示すように、リワーク装置81は、第2の振動測定器52を有しても良
い。プリント基板4と半導体装置5のそれぞれの振動波形を測定できるので、半田34の
溶融による半導体装置5の振幅の減少をより高精度に検出できる。
【0114】
(第6の実施の形態)
図面を参照して第6の実施の形態について詳細に説明する。前記の各実施の形態と同様
の構成要素には同一の符号を付してある。また、前記の各実施の形態と重複する説明は省
略する。
図17に示すように、半導体装置のリワーク装置91は、加熱装置であるハロゲンヒー
タ92として平行型ヒータを有する。さらに、電子部品31の半導体装置5の上に振動測
定具75が載置される。
【0115】
図17と、図18の底面図に示すように、ハロゲンヒータ92は、下部の発光領域92
Aの中央部分に遮光板95が取り付けられている。遮光板95は、L字形のプレートから
なり、ハロゲンヒータ92の下部から所定の距離、例えば2mmの距離に下面95Aが配
置されている。下面95Aの幅w1および奥行きt1は、振動測定具75を半導体装置5
上に載せたときの位置ずれや、振動測定具75の熱膨張を考慮して、それぞれ1mm及び
1mmになっている。
【0116】
次に、この実施の形態における半導体装置5のリワーク方法について説明する。
リワーク装置91に電子部品31を搬入したら、振動測定具75を突起部77が半導体
装置5の中心上に配置されるように載せる。この位置は、突起部77の上方に遮光板95
が配置される位置でもある。この状態で、制御装置10が加振器2のテーブル2Bを横方
向に振動させる。これによって、テーブル2B上に載置されているプリント基板4及び半
導体装置5が一体となって振動する。さらに、半導体装置5上に載置されている振動測定
具も半導体装置5と共に振動する。
【0117】
加振器2がプリント基板4及び半導体装置5を振動させる振動数は、半田34を介して
半導体装置5をプリント基板4に実装した電子部品31の固有振動数より小さい。さらに
、加振器2による振動の振動数は、半導体装置5が取り外し可能になるまで半田34を溶
融させたときの電子部品31の固有振動数以上である。
【0118】
ここで、振動測定器8は、レーザ光を振動測定具75の反射面77Aに照射し、その反
射光から振動測定具75の横方向の振動を計測する。また、ハロゲンヒータ92からの光
が振動測定具75に照射される。この際、ハロゲンヒータ92に取り付けられた遮光板9
5によって、直下の領域、すなわち、振動測定具75の突起部77及びその周囲には、ハ
ロゲンヒータ92の光が照射されない。即ち、振動測定具75の突起部77には、ハロゲ
ンヒータ92の光が入射しない。その結果、振動測定器8に入射する迷光が減少する。振
動測定器8に入射する迷光が減少するので、測定誤差が減少する。
【0119】
ハロゲンヒータ92によって振動測定具75が加熱され、さらに振動測定具75からの
熱伝達によって半田34が溶融し始めると、プリント基板4の振動と半導体装置5の振動
との間にズレが生じ、具体的にはプリント基板4の振動に対して半導体装置5の振動が減
衰し始める。半導体装置5の振動の変化は、半導体装置5と一体になって振動する振動測
定具75の振動から検出できる。制御装置10の判定部23は、振動測定器8で検出した
半導体装置5の振動の振幅と予め設定されている閾値TH1とを比較する。振幅が閾値T
H1以下になったら、判定部23は、半田34が溶融したと判定する。この後、装置制御
部21がノズル9に指令信号を出力し、ノズル9が半導体装置5を吸着してプリント基板
4から取り外す。
【0120】
以上、説明したように、この実施の形態では、ハロゲンヒータ92に遮光板95を取り
付け、下方に配置された振動測定具75の反射面77Aにハロゲンヒータ92の光が入射
しないようにした。これによって、半導体装置5の振動を精度良く計測でき、半田34の
溶融を確実に検知できるようになる。その他の作用及び効果は、第4の実施の形態と同様
である。
【0121】
ここで、図19に示すように、リワーク装置91は、第2の振動測定器52を有しても
良い。プリント基板4と半導体装置5のそれぞれの振動波形を測定できるので、半田34
の溶融による半導体装置5の振幅の減少をより高精度に検出できる。
【0122】
(第7の実施の形態)
図面を参照して第7の実施の形態について詳細に説明する。前記の各実施の形態と同様
の構成要素には同一の符号を付してある。また、前記の各実施の形態と重複する説明は省
略する。
【0123】
図20に示すように、リワーク装置101は、加振器2を有し、加振器2の上方には加
熱装置102が配置されている。加熱装置102には、例えば、ハロゲンヒータが用いら
れている。加熱装置102は、平行光タイプ、集光タイプおよび放射タイプと光源種類に
よって色々と分離されるが、どのタイプの発光型のヒータを使用しても良い。
【0124】
さらに、リワーク装置101には、加振器2などを制御する制御装置6が設けられてい
る。制御装置6は、加振器2や、加熱装置102を制御する装置制御部21と、振動検知
光学機構の出力信号を処理する信号処理部22と、半田の溶融を判定する判定部23とを
有する。
【0125】
また、電子部品31のリワーク時に生じる振動を非接触で測定する振動測定装置103
(位置測定装置)が設けられている。振動測定装置103は、加熱装置102の熱線を緩
和するフィルター104や、結像レンズ105を有し、結像レンズ105の共焦点位置に
ポジションセンサ106が配置されている。ポジションセンサ16は、例えば、スポット
状の光の位置を検出できるPSD(Position Sensitive Detector)と呼ばれる半導体素
子を用いたセンサが用いられる。
【0126】
また、加振器2のテーブル2Bの上には、プリント基板4が載置されている。プリント
基板4上には、半田34を用いて半導体装置5が実装されている。さらに、半導体装置5
の上には、熱補助具を兼ねる振動測定具110が載置されている。
図21と、図22の断面図に示すように、振動測定具110には、下側が開放されるこ
とで内部に空洞を有する箱形状を有する。振動測定具110の下側の枠部分110Aは、
半導体装置5の上面に形成された回路を避けるように、半導体装置5の外周部分のみに接
触する。これによって、振動測定具110は、熱伝導によって半導体装置5の外周部分を
暖めることで半田34の溶融を促進させ、その一方で、半導体装置5の回路への熱伝達は
減少させている。
【0127】
振動測定具110は、例えば、熱伝導率の良い材料、銅から製造されている。さらに、
熱伝達効率を高めるために、上面110Bの中央の反射面111を除いて表面の全体を黒
色化する処理、例えば、レイデント処理と呼ばれる電気メッキなどのめっき的な表面処理
を行って皮膜を形成している。これによって、振動測定具110の表面は黒色になってい
る。振動測定具110の表面を黒色化させることによって、熱吸収が高まり、半導体装置
5の加熱効率が向上する。さらに、加熱効率を向上させることで、周囲に配置されている
他の部品が過剰に加熱されることを防止できる。
【0128】
反射面111は、振動測定具110の上面110Bの中央部分に形成されており、加熱
装置102から発せられる光を反射する。反射面111は、上面の中央部に形成された突
起からなり、黒色化後に表面を研削加工によって皮膜を除去すると共に鏡面化させてある

【0129】
次に、この実施の形態における電子部品31のリワーク方法について説明する。
電子部品31の電極の接触不良やショート、又は電子部品31の故障が発見されたプリ
ント基板4がリワーク装置101に搬入されると、制御装置6が加振器2のテーブル2B
を左右方向(横方向)に振動させる。これにより、テーブル2B上に載置されているプリ
ント基板4及び電子部品31が一体となって振動する。加振器2がプリント基板4及び電
子部品31を振動させる振動数は、半田34を介してプリント基板4に実装した電子部品
31の固有振動数より小さい。さらに、加振器2による振動の振動数は、半田34を溶融
させたときの電子部品31の固有振動数以上である。
【0130】
電子部品31の加振と共に、又は前後して加熱装置102から光を照射する。加熱装置
102からの光は、振動測定具110に照射され、熱伝導によって半田34を加熱する。
また、加熱装置102からの光の一部が振動測定具110の反射面111によって反射さ
れる。図22に示すように、反射光は、フィルター104を通った後、結像レンズ105
によって集光され、ポジションセンサ106の素子106A上に結像する。
【0131】
加振器2によって電子部品31が振動するのに従って、反射面111の位置が移動する
。半田34が凝固している段階では、反射面111はプリント基板4の振動の周期及び振
幅と略一致する往復運動をする。このために、反射面111において反射した加熱装置1
02の光が、半導体装置5の振幅に応じた範囲で往復運動する。ポジショニングセンサ1
06は、素子106A上でスポット状に結像する反射光の中心位置の情報を出力し、制御
装置10が反射光の中心位置の変動から、半導体装置5の振動プロファイルを算出する。
ここで、反射面111の振動方向の大きさを加振装置2で発生させる振幅Awにすると、
ポジショニングセンサ106の素子106上の反射光のスポットも所定の振動Axで移動
する。振動Axは、振幅Awと一致するか比例する値である。このために、ポジションセ
ンサ106の出力から半導体装置5の振動プロファイルを算出することができる。
【0132】
加熱装置102の光源102Aからの光で振動測定具110が加熱されると、半導体装
置5が周辺部分から加熱される。熱伝達によって半田34が溶融し始めると、プリント基
板4の振動と半導体装置5の振動との間にズレが生じる。具体的には、プリント基板4の
振動に対して半導体装置5の振動が減衰し始める。半導体装置5の振動の変化は、半導体
装置5と一体になって振動する振動測定具110の振動から検出できる。制御装置10の
判定部は、振動測定装置103で検出した半導体装置5の振動の振幅と予め設定されてい
る閾値とを比較する。振幅が閾値以下になったら、判定部23は、半田34が溶融したと
判定する。この後、装置制御部21がノズル(図示せず)に指令信号を出力し、ノズル(
図示せず)が半導体装置5を吸着してプリント基板4から取り外す。プリント基板4の振
動は、加振器2からの信号に基づいて計算しても良いし、第2の振動測定器52を用いて
も良い。
【0133】
以上、説明したように、この実施の形態では、加熱装置102からの光を反射する反射
面111を振動測定具110に設け、加熱装置102の反射光がポジションセンサ106
に結像するようにした。これによって、比較的安価な構成で、半導体装置5の振動を精度
良く計測でき、半田34の溶融を確実に検知できるようになる。その他の作用及び効果は
他の実施の形態と同様である。
【0134】
ここで、図23に変形例を示す。振動測定具120は、下面側から開放された箱形状を
有し、上面を研削加工することで凹形状の反射面121が形成されている。振動測定具1
20の表面は、反射面121を除いて黒色化処理されており、反射面121は鏡面仕上げ
されている。反射面121の大きさは、図20を参照して説明した反射面111と略等し
い。
反射面111,121の形状は四角形以外の多角形でも良い。
【0135】
ここで挙げた全ての例および条件的表現は、発明者が技術促進に貢献した発明および概
念を読者が理解するのを助けるためのものであり、ここで具体的に挙げたそのような例お
よび条件に限定することなく解釈するものであり、また、明細書におけるそのような例の
編成は本発明の優劣を示すこととは関係ない。本発明の実施形態を詳細に説明したが、本
発明の精神および範囲から逸脱することなく、それに対して種々の変更、置換および変形
を施すことができる。
【0136】
各実施の形態において、リワーク装置1,51は、プリント基板4及び半導体装置5の
それぞれの振動の振幅及び位相差の両方が、予め定められた閾値を越えた場合に、半田3
4が溶融したと判定しても良い。また、リワーク装置1,51は、プリント基板4及び半
導体装置5のそれぞれの振動の振幅及び位相の両方をモニタし、振動と振幅の一方が予め
定められた閾値を越えた場合に、半田34が溶融したと判定しても良い。
【0137】
また、リワーク装置1,51は、半田34の溶融に伴って変化する半導体装置5の周期
の変化が予め定められた閾値以上になったときに、半田34が溶融したと判定しても良い
。この場合の閾値は、半田34を溶融させたときの半導体装置5の周期の変化量を予め調
べ、この値を使用することが好ましい。
さらに、第1の振動測定器8のみを有するリワーク装置1,51において、プリント基
板4に横方向の振動を与え、半田34が溶融する前の半導体装置5の振動のとの位相差を
調べることで、半田34の溶融を判定しても良い。
また、各実施の形態のリワーク方法及びリワーク装置1,51は、半導体装置5を実装
する実装方法及び実装装置に適用することができる。
【0138】
第2の実施の形態及び第3の実施の形態において、振動測定具75,85又は、遮光板
95を用いても良い。振動測定具75,85の反射面77Aや、遮光板95のサイズや形
状は、実施の形態に限定されない。
【0139】
以下に、前記の実施の形態の特徴を付記する。
(付記1) 半田を介して半導体装置を実装した基板を振動させる工程と、前記半田を加
熱する工程と、前記半導体装置の振動を測定する工程と、前記半導体装置の振動の振幅の
減少、又は位相差の少なくとも一方が、予め定められた閾値に達したときに、前記半導体
装置を前記基板から取り外す工程と、を含む半導体装置のリワーク方法。
(付記2) 前記基板は、溶融した半田を介して半導体装置を搭載させた基板の固有振動
数以上の振動数で振動させる付記1に記載の半導体装置のリワーク方法。
(付記3) 前記半導体装置を基板から取り外した後、前記半田上に同じ前記半導体装置
又は別の前記半導体装置を搭載する工程と、前記半田を再び加熱する工程と、前記半導体
装置の振動の振幅の減少と位相差の少なくとも一方が予め定められた閾値に達したときに
、前記半田の加熱と前記基板の振動を停止させる工程と、を含む付記1又は付記2に記載
の半導体装置のリワーク方法。
(付記4) 前記半導体装置の振動を測定すると共に、前記基板の振動を測定することを
特徴とする付記1乃至付記3のいずれか一項に記載の半導体装置のリワーク方法。
(付記5) 前記半導体装置の振動を測定する工程は、前記半導体装置を上下方向に振動
させたときの前記半導体装置の振動の振幅の減少を調べることを含む付記1乃至付記4の
いずれか一項に記載の半導体装置のリワーク方法。
(付記6) 前記半導体装置の振動を測定する工程は、前記半導体装置を横方向に振動さ
せたときの前記半導体装置の振動の位相の変化を調べることを含む付記1乃至付記4のい
ずれか一項に記載の半導体装置のリワーク方法。
(付記7) 前記基板を振動させて前記半導体装置の振動の測定を開始した後、前記半田
を加熱する付記1乃至付記6のいずれか一項に記載の半導体装置のリワーク方法。
(付記8) 前記半導体装置の振動を測定する工程は、前記半導体装置の上方に設けた反
射面の移動を前記振動測定器で計測することを含む付記8のいずれか一項に記載の半導体
装置のリワーク方法。
(付記9) 前記半田を加熱する工程は、加熱装置から前記半導体装置に向けて光を放射
することを含み、前記半導体装置の振動を測定する工程は、前記半導体装置の上方に設け
た反射面で反射した前記加熱装置からの光を、受光素子によって検出することを含む付記
1乃至付記7のいずれか一項に記載の半導体装置のリワーク方法。
(付記10) 溶融した半田を介して半導体装置を搭載させた基板の固有振動数以上の振
動数で前記基板を振動させる工程と、前記半田を加熱する工程と、前記半導体装置の振動
を測定する工程と、前記半導体装置の振動の振幅の減少、又は位相差が予め定められた閾
値に達したら、前記半田の加熱と前記基板の加振を停止する工程と、を含む半導体装置の
実装方法。
(付記11) 基板を振動させる加振器と、前記基板と半導体装置と接合させている半田
を加熱する加熱装置と、前記半導体装置の振動を非接触で測定する第1の振動測定器と、
前記第1の振動測定器で測定した前記半導体装置の振動の振幅又は周期を算出し、振動の
減少と位相差の少なくとも一方が、予め定められた閾値に達したときに、前記半田が溶融
したと判定する制御装置と、を含む半導体装置のリワーク装置。
(付記12) 前記加熱装置として発光型のヒータを有すると共に、前記半導体装置の上
に載置され、前記振動測定器の計測光を反射する反射面を設けた振動測定具を有する請求
項7に記載の半導体装置のリワーク装置。
(付記13) 前記反射面には、前記加熱装置から出力された光を遮蔽する遮光板を設け
た付記13に記載の半導体装置のリワーク装置。
(付記14) 前記基板の振動を測定する第2の振動測定器を含む付記10に記載の半導
体装置のリワーク装置。
(付記15) 前記加熱装置として発光型のヒータを有すると共に、前記半導体装置の上
に載置され、前記加熱装置から放射される光を反射する反射面を設けた振動測定具と、前
記反射面で反射した光を検出する受光素子とを有する付記10に記載の半導体装置のリワ
ーク装置。
(付記16) 前記振動測定具の上面は、反射面を除いて黒色処理されていることを特徴
とする請求項9に記載の半導体装置のリワーク装置。
(付記17) 半田を介して半導体装置を実装した基板を振動させる工程と、前記半田を
加熱する工程と、前記半導体装置の振動を測定する工程と、前記半導体装置の振動の振幅
の減少と位相差の少なくとも一方が、予め定められた閾値に達したときに、前記半導体装
置を前記基板から取り外す工程と、を含む半導体パッケージの製造方法。
【符号の説明】
【0140】
1,51,101 リワーク装置
2 加振器
4 プリント基板
5 半導体装置
7 ホットエアヒータ(加熱装置)
8 第1の振動測定器
10 制御装置
23 判定部
52 第2の振動測定器
77A 反射面
102 加熱装置
103 振動測定装置
106 ポジショニングセンサ
110,120 振動測定具
111,121 反射面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半田を介して半導体装置を実装した基板を振動させる工程と、
前記半田を加熱する工程と、
前記半導体装置の振動を測定する工程と、
前記半導体装置の振動の振幅の減少と位相差の少なくとも一方が、予め定められた閾値
に達したときに、前記半導体装置を前記基板から取り外す工程と、を含む半導体装置のリ
ワーク方法。
【請求項2】
前記半導体装置の振動を測定すると共に、前記基板の振動を測定することを特徴とする
請求項1に記載の半導体装置のリワーク方法。
【請求項3】
前記半導体装置の振動を測定する工程は、前記基板を縦方向に振動させたときの前記半
導体装置の振動の振幅の減少を調べることを含む請求項1又は請求項2に記載の半導体装
置のリワーク方法。
【請求項4】
前記半導体装置の振動を測定する工程は、前記基板を横方向に振動させたときの前記半
導体装置の振動の位相の変化を調べることを含む請求項1又は請求項2に記載の半導体装
置のリワーク方法。
【請求項5】
前記半導体装置の振動を測定する工程は、前記半導体装置の上方に設けた反射面の移動
を前記振動測定器で計測することを含む請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の半
導体装置のリワーク方法。
【請求項6】
前記半田を加熱する工程は、加熱装置から前記半導体装置に向けて光を放射することを
含み、
前記半導体装置の振動を測定する工程は、前記半導体装置の上方に設けた反射面で反射
した前記加熱装置からの光を、受光素子によって検出することを含む請求項1乃至請求項
4のいずれか一項に記載の半導体装置のリワーク方法。
【請求項7】
基板を振動させる加振器と、
前記基板と半導体装置と接合させている半田を加熱する加熱装置と、
前記半導体装置の振動を非接触で測定する第1の振動測定器と、
前記第1の振動測定器で測定した前記半導体装置の振動の振幅又は周期を算出し、振動
の減少と位相差の少なくとも一方が、予め定められた閾値に達したときに、前記半田が溶
融したと判定する制御装置と、を含む半導体装置のリワーク装置。
【請求項8】
前記加熱装置として発光型のヒータを有すると共に、前記半導体装置の上に載置され、
前記振動測定器の計測光を反射する反射面を設けた振動測定具を有する請求項7に記載の
半導体装置のリワーク装置。
【請求項9】
前記加熱装置として発光型のヒータを有すると共に、前記半導体装置の上に載置され、
前記加熱装置から放射される光を反射する反射面を設けた振動測定具と、前記反射面で反
射した光を検出する受光素子とを有する請求項6に記載の半導体装置のリワーク装置。
【請求項10】
前記振動測定具の上面は、反射面を除いて黒色処理されていることを特徴とする請求項
9に記載の半導体装置のリワーク装置。
【請求項11】
半田を介して半導体装置を実装した基板を振動させる工程と、
前記半田を加熱する工程と、
前記半導体装置の振動を測定する工程と、
前記半導体装置の振動の振幅の減少と位相差の少なくとも一方が、予め定められた閾値
に達したときに、前記半導体装置を前記基板から取り外す工程と、を含む半導体パッケー
ジの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−195556(P2012−195556A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227779(P2011−227779)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】