半導体装置の製造方法、クリーニング方法、基板処理装置及びプログラム
【課題】反応管内の異物汚染を抑制可能な半導体装置の製造方法、クリーニング方法、基板処理装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】処理室内で基板に対し膜を形成する工程と、該膜形成後の処理室内の少なくとも一部に堆積した堆積物を除去する工程とを有し、前記除去工程では、前記堆積物をエッチングする第一ガスを前記処理室内に供給する第1工程と、少なくとも前記第一ガスよりも前記処理室を構成する部材に対するエッチング力が弱いか、若しくは前記部材に対するエッチング力のない第二ガスを前記処理室内に供給し、前記処理室内の圧力を上昇させる第2工程と、を含むサイクルを所定回数行う。
【解決手段】処理室内で基板に対し膜を形成する工程と、該膜形成後の処理室内の少なくとも一部に堆積した堆積物を除去する工程とを有し、前記除去工程では、前記堆積物をエッチングする第一ガスを前記処理室内に供給する第1工程と、少なくとも前記第一ガスよりも前記処理室を構成する部材に対するエッチング力が弱いか、若しくは前記部材に対するエッチング力のない第二ガスを前記処理室内に供給し、前記処理室内の圧力を上昇させる第2工程と、を含むサイクルを所定回数行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に対して成膜処理を行う半導体装置の製造方法、クリーニング方法、基板処理装置及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程の一例として、CVD(Chemical Vapor Deposition)法やALD(Atomic Layer Deposition)法を用いて基板上に所定の薄膜を堆積する成膜工程がある。CVD法とは、ガス状原料の気相および表面での反応を利用して、原料分子に含まれる元素を構成要素とする薄膜を被処理基板上へ堆積させる方法である。CVD法の中でも薄膜堆積が原子層レベルで制御されているものは、ALD法と呼ばれ、CVD法に対して基板温度が低いことが特徴とされる。また、CVD法で堆積された薄膜から不純物を除去したり、ALD法で吸着した成膜原料の化学反応を補助したりするためにプラズマが用いられている。
【0003】
例えば、DCS(ジクロロシラン)とNH3(アンモニア)プラズマを用いてALD法によるアモルファスシリコン窒化膜(以下、SiN膜と記す)の形成が行われている。基板上へのSiN膜形成処理は、DCS照射処理とNH3プラズマ照射処理で構成される。これら2つの処理を繰り返すことにより(以下、サイクル処理と記す)、基板上に所定の膜厚のSiN膜の堆積を行う。
【0004】
しかしながら、このようなALD法やCVD法においては、基板以外の接ガス部に薄膜が累積的に堆積されてしまう。この累積的な堆積により、マイクロクラックが発生し、このマイクロクラックの剥離された異物により基板が汚染される異物汚染が問題となっている。この異物汚染は、堆積速度が速くなるほど、また、累積膜厚が厚くなるほど発生しやすい。
【0005】
また、上述の異物汚染を防止するために、一連の成膜処理の後にクリーニング処理を施して累積膜を除去するクリーニング工程が実施されている。この処理は、三フッ化窒素(NF3)やフッ素(F2)などのクリーニングガスを反応室へ導入しながらSiN膜と反応させ、SiN膜をガスに変換して排気する(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−33121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のクリーニング処理では、図10に示されているように、クリーニングガスを供給するノズル249と反応管203の間等、処理室201内にてガスの流れの悪くなるエリア(例えば、図10においてデッドスペースD)において膜残りが発生してしまう。そして、成膜処理とクリーニング処理の継続的な使用により、次第にこの膜残り(異物)が堆積され、パーティクルが発生してしまうという問題があった。
【0008】
本発明の目的は、反応管内の異物汚染を抑制することができる半導体装置の製造方法、クリーニング方法、基板処理装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、処理室内で基板に対し膜を形成する工程と、該膜形成後の処理室内の少なくとも一部に堆積した堆積物を除去する工程とを有し、前記除去工程では、前記堆積物をエッチングする第一ガスを前記処理室内に供給する第1工程と、少なくとも前記第一ガスよりも前記処理室を構成する部材に対するエッチング力が弱いか、若しくは前記部材に対するエッチング力のない第二ガスを前記処理室内に供給し、前記処理室内の圧力を上昇させる第2工程と、を含むサイクルを所定回数行う半導体装置の製造方法が提供される。
【0010】
本発明の他の態様によれば、処理室内で基板に対し膜を形成した後に、処理室内の少なくとも一部に堆積した堆積物を除去するクリーニング方法であって、前記堆積物をエッチングする第一ガスを前記処理室内に供給する第1工程と、少なくとも前記第一ガスよりも前記処理室を構成する部材に対するエッチング力が弱いか、若しくは前記部材に対するエッチング力のない第二ガスを前記処理室内に供給し、前記処理室内の圧力を上昇させる第2工程と、を含むサイクルを所定回数行うクリーニング方法が提供される。
【0011】
本発明の他の態様によれば、基板を処理する処理室と、前記処理室を排気する排気系と、成膜に寄与する原料ガスを前記処理室内に供給する原料ガス供給系と、原料ガスの供給に伴って前記処理室内に堆積する堆積物を除去する第一ガスを前記処理室に供給する第1ガス供給系と、少なくとも前記第一ガスよりも前記処理室を構成する部材に対するエッチング力が弱いか、若しくは前記部材に対するエッチング力のない第二ガスを供給する第2ガス供給系と、前記処理室内に前記原料ガス供給系から原料ガスを供給し基板に対し膜を形成した後に、前記第1ガス供給系から前記処理室内に前記第一ガスを供給し、次に前記第2ガス供給系から前記処理室内に前記第二ガスを供給して前記処理室内の圧力を上昇させること、を含むサイクルを所定回数行うように前記排気系、前記原料ガス供給系、前記第1ガス供給系、前記第2ガス供給系を制御する制御部とを備える基板処理装置が提供される。
【0012】
本発明の他の態様によれば、基板処理装置の処理室内の基板に対して膜を形成する手順と、該膜形成後の処理室内の少なくとも一部に堆積した堆積物を除去する手順と、をコンピュータに実行させ、前記除去する手順では、前記堆積物をエッチングする第一ガスを前記処理室内に供給する第1手順と、少なくとも前記第一ガスよりも前記処理室を構成する部材に対するエッチング力が弱いか、若しくは前記部材に対するエッチング力のない第二ガスを前記処理室内に供給し、前記処理室内の圧力を上昇させる第2手順と、を含むサイクルで所定回数実行させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、反応管内の異物汚染を抑制可能な半導体装置の製造方法、クリーニング方法、基板処理装置及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態にて好適に用いられる処理炉の一例とそれに付随する部材の概略構成図であって、特に処理炉部分を縦断面で示す図である。
【図2】本発明の一実施形態にて好適に用いられる図1に示す処理炉のA−A線断面図である。
【図3】本発明の一実施形態にて好適に用いられる成膜工程とクリーニング工程を説明するフローチャートを示す図である。
【図4】本発明の一実施形態にて好適に用いられる成膜工程におけるシーケンスを示す図である。
【図5】本発明の一実施形態にて好適に用いられるクリーニング工程におけるシーケンスを示す図である。
【図6】本発明の一実施形態にて好適に用いられるクリーニング工程において、第三の工程の設定時間と1サイクル当たりのSiN膜の減少量の関係を示す実験結果である。
【図7】図6をグラフで示した図である。
【図8】(a)本実施形態及び比較例に係るクリーニング工程の圧力と時間との関係を説明するための図である。(b)本実施形態及び比較例に係るクリーニング工程のクリーニングガス流量と時間との関係を説明するための図である。
【図9】(a)比較例に係るクリーニング工程において、排気管が反応管の下部にある場合の反応管内の様子を示す図である。(b)比較例に係るクリーニング工程において、排気管が反応管の上部にある場合の反応管内の様子を示す図である。(c)比較例に係るクリーニング工程において、第三の工程を実施しない場合の反応管内の様子を示す図である。(d)本実施形態に係るクリーニング工程を用いた場合の反応管内の様子を示す図である。
【図10】反応管内のデッドスペースの発生部位を示す図である。
【図11】本発明の実施形態で好適に用いられる基板処理装置のコントローラの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<本発明の第1実施形態>
次に、本発明の好ましい第1の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1は、本発明の好ましい実施の形態において好適に使用される基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、処理炉202部分を縦断面で示している。図2は、本発明の好ましい実施の形態において好適に使用される基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、処理炉202部分を横断面で示す図である。
【0017】
図1に示されているように、処理炉202は、加熱手段(加熱機構)としてのヒータ207を有する。ヒータ207は円筒形状である。ヒータ207は保持板としてのヒータベース(図示せず)に支持されることにより垂直に据え付けられている。ヒータ207の内側には、ヒータ207と同心円状に反応容器(処理容器)を構成する反応管203が設けられる。
【0018】
反応管203の下部にはマニホールド209が設けられている。反応管203の下端部およびマニホールド209の上部開口端部には、それぞれ環状のフランジが設けられている。これらのフランジ間には気密部材としてのOリング220が配置され、両者の間は気密にシールされている。
【0019】
マニホールド209の下方には、反応管203の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219はマニホールド209の下端に垂直方向下側から当接されるようになっている。シールキャップ219は例えばステンレス等の金属で構成されており、円盤状に形成されている。シールキャップ219の上面にはマニホールド209の下端と当接するシール部材としてのOリング220が設けられている。少なくとも、反応管203、マニホールド209、及びシールキャップ219により処理室201が形成されている。なお、マニホールド209と反応管203とは同じ材質として、一体として構成されても良い。シールキャップ219の処理室201と反対側には、後述するボート217を回転させる回転機構267が設けられている。回転機構267の回転軸255はシールキャップ219を貫通して、ボート217に接続されている。回転機構267がボート217を回転させることでウエハ200を回転させるように構成されている。シールキャップ219は反応管203の外部に設けられた昇降機構としてのボートエレベータ115によって垂直方向に昇降されるように構成されている。ボートエレベータ115によりボート217を処理室201内に対し搬入搬出することが可能となっている。
【0020】
シールキャップ219には断熱部材としての石英キャップ218を介して基板保持手段(支持具、または、基板保持体という)としてのボート217が立設されている。石英キャップ218は、例えば石英や炭化珪素等の耐熱性材料で構成され断熱部として機能すると共にボートを保持する保持体となっている。ボート217は、例えば、石英や炭化珪素等の耐熱性材料で構成され複数枚のウエハ200を水平姿勢でかつ互いに中心を揃えた状態で整列させて管軸方向に多段に支持されるように構成されている。
なお、石英キャップ218は、ボート217と別体として設けずに、ボート217の下部に一体に設けてもよい。また、石英キャップ218に代えて、あるいは、石英キャップ218に加えて、ボート217の下部、あるいは石英キャップ218の下部に、円板状に形成された断熱板を複数枚設けるように構成してもよい。
【0021】
マニホールド209には、第1のノズル249a及び第2のノズル249bがマニホールド209を貫通するように設けられている。第1のノズル249aには第1のガス供給管232aが接続され、第2のノズル249bには第2のガス供給管232bが接続されている。
【0022】
第1のガス供給管232aには上流方向から順に、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)241a、開閉弁であるバルブ243a、247a、ガス溜り部248及び開閉弁であるバルブ251aが設けられている。このガス溜り部248は、例えば通常の配管よりもガス容量の大きなガスタンク又は螺旋配管などで構成される。
そして、バルブ247aまたはバルブ251aを開閉することにより、第1のガス供給管232aを介して後述する第1の処理ガスとしてのDCSガスをガス溜り部248に溜めたり、溜めたDCSガスを処理室201内に供給できるようになっている。また、第1のガス供給管232aには、不活性ガス供給管232cが接続されている。この不活性ガス供給管232cには、上流方向から順に、流量制御部としての流量制御器であるマスフローコントローラ241c、及び開閉弁であるバルブ243cが設けられている。また、第1のガス供給管232aの先端部には、上述の第1のノズル249aが接続されている。第1のノズル249aは、反応管203の内壁とウエハ200との間における円弧状の空間に、反応管203の内壁の下部より上部に沿って、ウエハ200の積載方向上方に向かって立ち上がるように設けられている。第1のノズル249aはL字型のロングのノズルとして構成されている。第1のノズル249aの側面にはガスを供給するガス供給孔250aが設けられている。ガス供給孔250aは反応管203の中心を向くように開口している。
このガス供給孔250aは、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられ、それぞれが同一の開口面積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられている。主に、第1のガス供給管232a、マスフローコントローラ241a、バルブ243a、247a、ガス溜り部248、バルブ251a及び第1のノズル249aにより第1のガス供給系が構成される。また、主に、不活性ガス供給管232c、マスフローコントローラ241c、バルブ243cにより第1の不活性ガス供給系が構成される。
【0023】
また、第1のガス供給管232aのバルブ251aの下流側には、クリーニングガス供給管252aが接続されている。このクリーニングガス供給管252aには、上流方向から順に、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ253a、開閉弁であるバルブ254a、及び開閉弁であるバルブ256aが設けられている。主に、クリーニングガス供給管252a、マスフローコントローラ253a、及びバルブ254a、256aによりクリーニングガス供給系が構成される。
【0024】
第2のガス供給管232bには上流方向から順に流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)241b、及び開閉弁であるバルブ243b、247bが設けられている。また、第2のガス供給管232bのバルブ243bの下流側には、不活性ガス供給管232dが接続されている。この不活性ガス供給管232dには、上流方向から順に、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ241d、及び開閉弁であるバルブ243dが設けられている。また、第2のガス供給管232bの先端部には、上述の第2のノズル249bが接続されている。第2のノズル249bは、ガス分散空間であるバッファ室237内に設けられている。
【0025】
バッファ室237は反応管203の内壁とウエハ200との間における円弧状の空間であって、反応管203内壁の下部より上部にわたる部分に、ウエハ200の積載方向に沿って設けられている。バッファ室237のウエハ200と隣接する壁の端部にはガスを供給するガス供給孔250cが設けられている。好適には、ガス供給孔250cは反応管203の中心を向くように開口していると、指向性の高いガス供給を行う場合に特に良い。好適には、このガス供給孔250cは、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられ、それぞれが同一の開口面積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられていると良い。
【0026】
第2のノズル249bは、バッファ室237のガス供給孔250cが設けられた端部とは反対側の端部に、反応管203の内壁の下部より上部に沿って、ウエハ200の積載方向上方に向かって立ち上がるように設けられている。第2のノズル249bはL字型のロングのノズルとして構成されている。第2のノズル249bの側面にはガスを供給するガス供給孔250bが設けられている。好適には、ガス供給孔250bはバッファ室237の中心を向くように開口していると良い。好適には、このガス供給孔250bは、バッファ室237のガス供給孔250cと同様に、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられていると良い。この複数のガス供給孔250bのそれぞれの開口面積は、バッファ室237内と処理室201内の差圧が小さい場合には、好適には、上流側(下部)から下流側(上部)まで、それぞれ同一の開口面積で同一の開口ピッチとするとよいが、差圧が大きい場合には、好適には、上流側から下流側に向かって、それぞれ開口面積を大きくするか、開口ピッチを小さくするとよい。
【0027】
本実施形態においては、各ガス供給孔250bの開口面積や開口ピッチを、上流側から下流側にかけて上述のように調節することで、まず、ガス供給孔250bのそれぞれから、流速の差はあるもの、流量がほぼ同量であるガスを噴出させる。そしてこのガス供給孔250bのそれぞれから噴出するガスを、一旦、バッファ室237内に導入し、バッファ室237内においてガスの流速差の均一化を行うこととした。
【0028】
すなわち、第2のノズル249bの各ガス供給孔250bよりバッファ室237内に噴出したガスはバッファ室237内で各ガスの粒子速度が緩和された後、バッファ室237のガス供給孔250cより処理室201内に噴出する。これにより、各ガス供給孔250bよりバッファ室237内に噴出したガスは、各ガス供給孔250cより処理室201内に噴出する際には、均一な流量と流速とを有するガスとなる。
【0029】
主に、第2のガス供給管232b、マスフローコントローラ241b、バルブ243b、247b、第2のノズル249b、バッファ室237により第2のガス供給系が構成される。また、主に、不活性ガス供給管232d、マスフローコントローラ241d、バルブ243dにより第2の不活性ガス供給系が構成される。
【0030】
第1のガス供給管232aからは、例えば、シリコン原料ガス、すなわちシリコン(Si)を含むガス(シリコン含有ガス)が第1の処理ガスとして、マスフローコントローラ241a、バルブ243a、247a、ガス溜り部248、バルブ251a及び第1のノズル249aを介して処理室201内に供給される。シリコン含有ガスとしては、例えばジクロロシラン(SiH2Cl2、DCS)ガスやヘキサクロロジシラン(Si2Cl6、HCD)ガス等を用いることができる。尚、第1の処理ガスは、常温常圧で固体、液体、及び気体のいずれであっても良いが、ここでは気体として説明する。第1の処理ガスが常温常圧で液体の場合は気化器(不図示)を設ける。
【0031】
第2のガス供給管232bからは、例えば窒素(N)を含むガス(窒素含有ガス)が原料ガスを改質する第2の処理ガスとして、マスフローコントローラ241b、バルブ243b、247b、第2のノズル249b、バッファ室237を介して処理室201内に供給される。窒素含有ガスとしては、例えばアンモニア(NH3)ガスを用いることができる。
【0032】
不活性ガス供給管232c及び232dからは、不活性ガスとして例えば窒素(N2)ガスが、それぞれマスフローコントローラ241c、バルブ243c、第1のガス供給管232a及び第1のノズル249aを介して、マスフローコントローラ241d、バルブ243d、第2のガス供給管232b、第2のノズル249b及びバッファ室237を介して処理室201内に供給される。
【0033】
クリーニングガス供給管252aからは、クリーニングガスとして例えば三フッ化窒素(NF3)ガスが、マスフローコントローラ253a、バルブ254a、256a及び第1のノズル249aを介して処理室201内に供給される。
【0034】
なお、例えば各ガス供給管から上述のようなガスをそれぞれ流す場合、第1のガス供給系により原料ガス供給系、すなわちシリコン含有ガス供給系(シラン系ガス供給系)が構成される。また、第2のガス供給系により改質ガス供給系、すなわち窒素含有ガス供給系が構成される。
【0035】
バッファ室237内には、図1及び図2に示すように、細長い構造を有する第1の電極である第1の棒状電極269及び第2の電極である第2の棒状電極270が、反応管203の下部より上部にわたりウエハ200の積層方向に沿って配設されている。第1の棒状電極269及び第2の棒状電極270は、第2のノズル249bと平行に設けられており、上部より下部にわたって各電極を保護する保護管である電極保護管275によりそれぞれ覆われることで保護されている。この第1の棒状電極269又は第2の棒状電極270のいずれか一方は整合器272を介して高周波電源273に接続され、他方は基準電位であるアースに接続されている。この結果、第1の棒状電極269及び第2の棒状電極270間のプラズマ生成領域224にプラズマが生成される。主に、第1の棒状電極269、第2の棒状電極270、電極保護管275、整合器272、高周波電源273によりプラズマ発生器(プラズマ発生部)としてのプラズマ源が構成される。なお、プラズマ源は、後述するようにガスをプラズマで活性化させる活性化機構として機能する。
【0036】
電極保護管275は、第1の棒状電極269及び第2の棒状電極270のそれぞれをバッファ室237の雰囲気と隔離した状態でバッファ室237内に挿入できる構造となっている。ここで、電極保護管275の内部は外気(大気)と同一雰囲気であると、電極保護管275にそれぞれ挿入された第1の棒状電極269及び第2の棒状電極270はヒータ207による熱で酸化されてしまう。そこで、電極保護管275の内部には窒素などの不活性ガスを充填あるいはパージし、酸素濃度を充分低く抑えて第1の棒状電極269又は第2の棒状電極270の酸化を防止するための不活性ガスパージ機構(図示せず)が設けられている。
【0037】
マニホールド209には、処理室201内の雰囲気を排気する排気管231が設けられている。なお、マニホールド209に代えて、反応管203に排気管231を設けるように構成しても良い。
排気管231には処理室201内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ245及び圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ244を介して真空排気装置としての真空ポンプ246が接続されており、処理室201内の圧力が所定の圧力(真空度)となるよう真空排気し得るように構成されている。なお、APCバルブ244は弁を開閉して処理室201内の真空排気・真空排気停止ができ、更に弁開度を調節して圧力調整可能となっている開閉弁である。主に、排気管231、APCバルブ244、真空ポンプ246、圧力センサ245により排気系が構成される。
【0038】
反応管203内には温度検出器としての温度センサ263が設置されており、温度センサ263により検出された温度情報に基づきヒータ207への通電具合を調整することで、処理室201内の温度が所望の温度分布となるように構成されている。温度センサ263は、ノズル249a及び249b、と同様にL字型に構成されており、反応管203の内壁に沿って設けられている。
【0039】
反応管203内には、後述するクリーニングガス供給後の反応管203内に付着した膜の除去状態を確認する石英製の板状部材266a、266bが設けられている。板状部材266a及び266bは、反応管203の内壁の下部より上部に沿って、ウエハ200の積載方向に沿って延びた状態で設けられている。例えば、板状部材266aは、反応管203内の壁面であって第1のノズル249aのガス供給孔250aに対向する位置に配置され、板状部材266bは、反応管203内の壁面であって第1のノズル249aに隣接する位置に配置される。
【0040】
制御部(制御手段)であるコントローラ121は、マスフローコントローラ241a、241b、241c、241d及び253a、バルブ243a、243b、243c、243d、247a、247b、251a、254a及び256a、圧力センサ245、APCバルブ244、真空ポンプ246、ヒータ207、温度センサ263、ボート回転機構267、ボートエレベータ115、高周波電源273等に接続されている。コントローラ121により、マスフローコントローラ241a、241b、241c、241d及び253aによる各種ガスの流量調整動作、バルブ243a、243b、243c、243d、247a、247b、251a、254a及び256aの開閉動作、APCバルブ244の開閉及び圧力センサ245に基づく圧力調整動作、温度センサ263に基づくヒータ207の温度調整動作、真空ポンプ246の起動・停止、ボート回転機構267の回転速度調節動作、ボートエレベータ115の昇降動作等の制御や、高周波電源273の電力供給制御が行われる。
【0041】
なお、図11に示されているように、制御部(制御手段)であるコントローラ121は、CPU
(Central Processing Unit)121a、RAM(Random Access Memory)121b、記憶装置121c、I/Oポート121dを 備えたコンピュータとして構成されている。RAM121b、記憶装置121c、I/Oポート121dは、内部バス121eを介して、CPU121aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ121には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置122が接続されている。
【0042】
記憶装置121cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置121c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件などが記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。なお、プロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ121に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単にプログラムともいう。なお、本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、プロセスレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。また、RAM121bは、CPU121aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0043】
I/Oポート121dは、上述のマスフローコントローラ241a,241b,241c,241d,241e,241f,241g、バルブ243a,243b,243c,243d,243e,243f,243g、圧力センサ245、APCバルブ244、真空ポンプ246、ヒータ207、温度センサ263、回転機構267、ボートエレベータ115等に接続されている。
【0044】
CPU121aは、記憶装置121cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cからプロセスレシピを読み出すように構成されている。そして、CPU121aは、読み出したプロセスレシピの内容に沿うように、マスフローコントローラ241a,241b,241c,241d,253aによる各種ガスの流量調整動作、バルブ243a,243b,243c,243d,247a,247b,251a,254a,256a等の開閉動作、APCバルブ244の開閉動作及びAPCバルブ244による圧力センサ245に基づく圧力調整動作、温度センサ263に基づくヒータ207の温度調整動作、真空ポンプ246の起動および停止、回転機構267によるボート217の回転および回転速度調節動作、ボートエレベータ115によるボート217の昇降動作等を制御するように構成されている。
【0045】
なお、コントローラ121は、専用のコンピュータとして構成されている場合に限らず、汎用のコンピュータとして構成されていてもよい。例えば、上述のプログラムを格納した外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)123を用意し、係る外部記憶装置123を用いて汎用のコンピュータにプログラムをインストールすること等により、本実施形態に係るコントローラ121を構成することができる。なお、コンピュータにプログラムを供給するための手段は、外部記憶装置123を介して供給する場合に限らない。例えば、インターネットや専用回線等の通信手段を用い、外部記憶装置123を介さずにプログラムを供給するようにしてもよい。なお、記憶装置121cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に記録媒体ともいう。なお、本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置121c単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。
【0046】
次に、上述の基板処理装置の処理炉を用いて半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として、基板上に絶縁膜を成膜し、セルフクリーニング処理をするシーケンス例について説明する。尚、以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ121により制御される。
【0047】
ここでは第1の処理ガスとしてシリコン含有ガスであるDCSガスを、第2の処理ガスとして窒素含有ガスであるNH3ガスを用い、基板上に絶縁膜としてSiN膜を形成し、装置をセルフクリーニング処理する例について図3〜図5を参照して説明する。
【0048】
図3は、本発明の一実施形態にて好適に用いられる成膜工程とクリーニング工程を説明するフローチャートである。また、図4は、本発明の一実施形態にて好適に用いられる成膜工程におけるシーケンス図であって、図5は、本発明の一実施形態にて好適に用いられるクリーニング工程におけるシーケンス図である。
【0049】
まず、複数枚のウエハ200がボート217に装填(ウエハチャージ)される(ステップS201)。次に、図1に示されているように、複数枚のウエハ200を支持したボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201内に搬入(ボートロード)される(ステップS202)。この状態で、シールキャップ219はOリング220を介してマニホールド209の下端をシールした状態となる。
【0050】
処理室201内が所望の圧力(真空度)となるように真空ポンプ246によって真空排気される。この際、処理室201内の圧力は、圧力センサ245で測定され、この測定された圧力に基づきAPCバルブ244が、フィードバック制御される(圧力調整)(ステップS203)。また、処理室201内が所望の温度となるようにヒータ207によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように、温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電具合がフィードバック制御される(温度調整)(ステップS204)。続いて、回転機構267により、ボート217が回転されることで、ウエハ200が回転される。次に、DCSガスとNH3ガスを処理室201内に供給することによりSiN膜を成膜する成膜工程を行う。なお、DCSガスはそれ単独で成膜することができるガスであり、熱分解等によりSi膜を処理室201内やノズル形成する。
【0051】
(成膜工程)
<ステップS205>
ステップS205では、まずDCSガスを流す。第1のガス供給管232aのバルブ243a、247a又はバルブ251aを開閉する。これにより、ガス溜り部248を介して第1のガス供給管232a内にDCSガスを流す。第1のガス供給管232a内を流れたDCSガスは、マスフローコントローラ241aにより流量調整される。流量調整されたDCSガスは第1のノズル249aのガス供給孔250aから処理室201内に供給されつつガス排気管231から排気される。このとき、好適には、同時にバルブ243cを開き、不活性ガス供給管232c内に不活性ガスを流す。不活性ガスとしては、Heガス、Neガス、Arガス等の18族元素ガスが好適である。ヒータ207の温度、すなわちウエハ200の温度が低く設定されている本実施形態においては、好適にはN2ガスを用いると良い。不活性ガス供給管232c内を流れたN2ガスは、マスフローコントローラ241cにより流量調整される。流量調整されたN2ガスはDCSガスと一緒に処理室201内に供給されつつガス排気管231から排気される。なお、このとき、好適には、同時にバルブ243d、バルブ247bを開き、不活性ガス供給管232d内に不活性ガスを流しても良い。不活性ガスとしては、Heガス、Neガス、Arガス等の18族元素ガスが好適である。ヒータ207の温度、すなわちウエハ200の温度が低く設定されている本実施形態においては、好適にはN2ガスを用いると良い。不活性ガス供給管232d内を流れたN2ガスは、マスフローコントローラ241dにより流量調整される。流量調整されたN2ガスは、第2のノズル249bのガス供給孔250bからバッファ室237内に供給される。その後、バッファ室237内に供給されたN2ガスは、ガス供給孔250cから処理室201内に供給されつつガス排気管231から排気される。これにより、DCSガスがバッファ室237、第2のノズル249b等へ流れ、バッファ室237、第2のノズル249b内に堆積するのを抑制することができる。
【0052】
このとき、APCバルブ244を適正に調整して処理室201内の圧力を、例えば10〜1000Paの範囲内の圧力とする。マスフローコントローラ241aで制御するDCSガスの供給流量は、例えば100〜5000sccmの範囲内の流量とする。DCSガスをウエハ200に晒す時間、すなわちガス供給時間(照射時間)は、例えば2〜120秒間の範囲内の時間とする。このときヒータ207の温度は、ウエハ200の温度が、例えば、300〜650℃の範囲内の温度となるような温度に設定する。
【0053】
DCSガスの供給により、ウエハ200表面の下地膜上に、シリコン含有層としてのシリコン層(Si層)が形成される。シリコン含有層はDCSの化学吸着(表面吸着)層であってもよい。
【0054】
<ステップS206>
ステップS206では、シリコン含有層が形成された後、バルブ243aを閉じ、DCSガスの供給を停止する。このとき、ガス排気管231のAPCバルブ244は開いたままとして、真空ポンプ246により処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留する未反応もしくはシリコン含有層形成に寄与した後のDCSガスを処理室201内から排除する。なお、この時、好適にはバルブ243c、247a及び251aは開いたままとして、N2ガスの処理室201内への供給を維持しても良い。また、好適には、バルブ243c、247a及び251a、バルブ243d、バルブ247bは開いたままとして、N2ガスの処理室201内への供給を維持しても良い。これにより、処理室201内に残留する未反応もしくはシリコン含有層形成に寄与した後のDCSガスを処理室201内から排除する効果を高める。不活性ガスとしては、N2ガスの他、Arガス、Heガス、Neガス、Xeガス等の希ガスを用いてもよい。
【0055】
<ステップS207>
ステップS207では、処理室201内の残留ガスを除去した後、第2のガス供給管232bのバルブ243b及び247bを開き、第2のガス供給管232b内に窒素含有ガスとしてのNH3ガスを流す。NH3ガスはそれ単独で成膜することができないガスである。第2のガス供給管232b内を流れるNH3ガスは、マスフローコントローラ241bにより流量調整される。流量調整されたNH3ガスは第2のノズル249bのガス供給孔250bからバッファ室237内に供給される。このとき、第1の棒状電極269及び第2の棒状電極270間に高周波電源273から整合器272を介して高周波電力を印加することで、バッファ室237内に供給されたNH3ガスはプラズマ励起され、活性種としてガス供給孔250cから処理室201内に供給されつつガス排気管231から排気される。この時、好適には、同時にバルブ243dを開き、不活性ガス供給管232d内に不活性ガスとしてのN2ガスを流す。N2ガスはNH3ガスと一緒に処理室201内に供給されつつガス排気管231から排気される。なお、このとき、好適には、同時にバルブ243c、バルブ247a、バルブ251aを開き、不活性ガス供給管232c内に不活性ガスを流しても良い。不活性ガスとしては、Heガス、Neガス、Arガス等の18族元素ガスが好適である。ヒータ207の温度、すなわちウエハ200の温度が低く設定されている本実施形態においては、好適にはN2ガスを用いると良い。不活性ガス供給管232c内を流れたN2ガスは、マスフローコントローラ241cにより流量調整される。流量調整されたN2ガスは、第1のノズル249aのガス供給孔250aから処理室201内に供給されつつガス排気管231から排気される。これにより、NH3ガスが第1のノズル249a等へ流れるのを抑制することができる。
【0056】
NH3ガスをプラズマ励起することにより活性種として流すときは、APCバルブ244を適正に調整して処理室201内の圧力を、例えば10〜100Paの範囲内の圧力とする。マスフローコントローラ241bで制御するNH3ガスの供給流量は、例えば1000〜10000sccmの範囲内の流量とする。NH3ガスをプラズマ励起することにより得られた活性種にウエハ200を晒す時間、すなわちガス供給時間(照射時間)は、例えば2〜120秒間の範囲内の時間とする。このときのヒータ207の温度は、ステップS205と同様、ウエハ200の温度が300〜650℃の範囲内の温度となるような温度に設定する。なお、高周波電源273から第1の棒状電極269及び第2の棒状電極270間に印加する高周波電力は、例えば50〜1000Wの範囲内の電力となるように設定する。NH3ガスは反応温度が高く、上記のようなウエハ温度、処理室内圧力では反応しづらいので、プラズマ励起することにより活性種としてから流すようにしており、このためウエハ200の温度は上述のように設定した低い温度範囲のままでよい。なお、NH3ガスを供給する際にプラズマ励起せず、ヒータ207の温度を適正に調整してウエハ200の温度を例えば650℃以上の温度とし、さらにAPCバルブ244を適正に調整して処理室201内の圧力を例えば50〜3000Paの範囲内の圧力とすることで、NH3ガスをノンプラズマで熱的に活性化することも可能である。なお、NH3ガスは熱で活性化させて供給すると、ソフトな反応を生じさせることができる。
【0057】
このとき、処理室201内に流しているガスはNH3ガスをプラズマ励起することにより得られた活性種、もしくは処理室201内温度を高くすることで熱的に活性化されたNH3ガスであり、処理室201内にはDCSガスは流していない。したがって、NH3ガスは気相反応を起こすことはなく、活性種となった、もしくは活性化されたNH3ガスは、ステップS205でウエハ200上に形成された第1の層としてのシリコン含有層の一部と反応する。これによりシリコン含有層は窒化されて、シリコン及び窒素を含む第2の層、すなわち、シリコン窒化層(SiN層)へと改質される。
【0058】
<ステップS208>
ステップS208では、第2のガス供給管232bのバルブ243bを閉じて、NH3ガスの供給を停止する。このとき、ガス排気管231のAPCバルブ244は開いたままとして、真空ポンプ246により処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留する未反応もしくは窒化に寄与した後のNH3ガスを処理室201内から排除する。なお、この時、好適には、バルブ243d及び247bは開いたままとして、N2ガスの処理室201内への供給を維持しても良い。また、好適には、バルブ243d、247b、243c、247a及び251aは開いたままとして、N2ガスの処理室201内への供給を維持しても良い。
これにより、処理室201内に残留する未反応もしくは窒化に寄与した後のNH3ガスを処理室201内から排除する効果を高める。
【0059】
窒素含有ガスとしては、NH3ガスをプラズマや熱で励起したガス以外に、N2ガス、N3ガス、N3H8ガス等をプラズマや熱で励起したガスを用いてもよく、これらのガスをArガス、Heガス、Neガス、Xeガス等の希ガスで希釈したガスをプラズマや熱で励起して用いてもよい。
【0060】
上述したステップS205〜S208を1サイクルとして、このサイクルを少なくとも1回以上行うことにより(ステップS209)、ウエハ200上に所定膜厚のシリコンおよび窒素を含むSiN膜を成膜することができる。なお、上述のサイクルは、複数回繰り返すのが好ましい。
【0061】
所定膜厚のSiN膜を形成する成膜処理がなされると、N2ガス等の不活性ガスが処理室201内へ供給されつつ排気されることで処理室201内が不活性ガスでパージされる(ガスパージ)(ステップS210)。その後、処理室201内の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、処理室201内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)(ステップS211)。
【0062】
その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降されて、マニホールド209の下端が開口されるとともに、処理済ウエハ200がボート217に支持された状態でマニホールド209の下端から反応管203の外部に搬出(ボートアンロード)される(ステップS212)。その後、処理済ウエハ200はボート217より取出される(ウエハディスチャージ)(ステップS213)。
【0063】
以上により、DCSガスとNH3ガスとを用いてウエハ200の表面にSiN膜を成膜することができる。
【0064】
なお、SiN膜を成膜する際に使用する原料ガスとして、DCSガスとNH3ガスとを用いる場合のみならず、ヘキサクロロジシラン(Si2Cl6、HCD)とNH3を用いる場合であっても、それ以外のSi原料や窒化原料を用いている場合であっても、また、Si原料と窒化原料とを交互に供給してALD法によってSiN膜を成膜する場合のみならず、Si原料と窒化原料とを同時に供給してCVD法によってSiN膜を成膜する場合にも、本発明の好ましい実施の形態のエッチング方法は好適に適用できる。
【0065】
次に、本発明の好ましい実施の形態における処理炉202のクリーニング工程について説明する。
【0066】
成膜工程では、反応管203や、マニホールド209、排気管231の内壁、バッファ室237、第一のノズル249a、第2のノズル249bの内外壁等に堆積物が付着する。この堆積物の材質、量は、ウエハ200上へ成膜すべき膜の材質、膜厚、使用するガス種によりさまざまであり、一回の成膜工程の直後にクリーニング工程を実施する場合の他、複数回の成膜工程を実施し、所定の堆積量になった後にクリーニング工程を実施する場合や、一回以上の成膜工程前に実施する場合もある。ここでは、一回の成膜工程の直後に実施する場合について説明する。
本発明の好ましい実施の形態におけるクリーニング工程では、成膜待機状態の温度もしくはその近傍の温度帯にてガスクリーニングを実施する。すなわち、上述したように、DCSガスとNH3ガスとを用いてALD法によりSiN膜を成膜する場合には、ヒータ207の温度が、ウエハ200の温度が300〜650℃の範囲内の温度になるように設定しているので、ガスクリーニングも、処理室201内の温度が300〜650℃の範囲内の温度にて実施する。なお、ガスクリーニングは、温度変更時間を省略し、工程時間を短くするために成膜待機状態の温度もしくはその近傍の温度帯からはじめるが、温度を任意に変更しエッチング条件を変化させて実施してもよい。
【0067】
本実施形態では、反応管203内壁等に付着した堆積物をエッチングするエッチングガス(クリーニングガスともいう)としてNF3ガスを用いる。NF3ガスはNH3ガスポートである第2のガス供給管232bから供給してもよい。しかし、好適には、NH3ガスポートはそれ単独で成膜可能な原料ガスとしてのSiソースポートより相対的にプラズマ強度が強いエリアに設けられているため、図1に示されているようにSiソース側である第1のガス供給管232aから供給すると良い。これにより、反応管203、ノズル249a、249b、バッファ室237等の特に石英部材をはじめ、処理室201を形成する部材や排気管231等のダメージを抑制できる。また、処理室201を形成する部材や排気管231等のダメージの抑制や、コスト面で高くなったり、設置スペースが必要になったりする問題が生じないようであれば、好適には、第1のガス供給管232a、第2のガス供給管232bの両方から、クリーニングガスを供給するようにしても良い。
【0068】
ガスクリーニング時には、NH3ポートより供給される励起されたN2種などからクリーニングガスヘの励起エネルギーの移動(授受)によりクリーニングガスが励起され、もしくは、NH3ポート付近へ拡散しているクリーニングガスやN2などが高周波により励起されて、クリーニングが進行すると考えられる。
【0069】
まず、ウエハ200を搭載しない状態の空のボート217が、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201内に搬入(ボートロード)される(ステップS301)。この状態で、シールキャップ219はOリング220を介してマニホールド209の下端をシールした状態となる。
【0070】
処理室201内が所望の圧力(真空度)となるように真空ポンプ246によって真空排気される。この際、処理室201内の圧力は、圧力センサ245で測定され、この測定された圧力に基づきAPCバルブ244が、フィードバック制御される(圧力調整)(ステップS302)。
【0071】
一方、ヒータ207を制御して処理室201内を例えば300〜650℃の範囲内の成膜待機状態の温度、例えば、630℃に保持しておく(温度調整)(ステップS303)。
【0072】
続いて、クリーニングガスであるNF3ガスと不活性ガスであるN2ガスを処理室201内に供給することによりセルフクリーニング処理をするクリーニング工程を行う。
【0073】
(クリーニング工程)
<ステップS304、第一の工程>(例えば1秒)
まず、APCバルブ244を閉めて、処理室201内の排気処理を停止する。
【0074】
<ステップS305、第二の工程>(例えば15秒)
ステップS305では、排気処理が停止している処理室201内へ所定量(例えば500cc)のNF3ガスを流す。すなわち、クリーニングガス供給管252aのバルブ254a、256aを開閉することにより、クリーニングガス供給管252a内にNF3ガスを流す。クリーニングガス供給管252a内を流れたNF3ガスは、マスフローコントローラ253aにより流量調整される。流量調整されたNF3ガスは第1のノズル249aのガス供給孔250aから処理室201内に供給される。このとき、好適には、不活性ガス供給管232cからは、例えば75ccの不活性ガスとしてのN2ガスが処理室201内へ供給されるようにしても良い。なお、以上の動作の間は、処理室201内の温度を630℃に保持したままとする。
この第二の工程では、上述した第一の工程で排気処理を停止しているため、処理室201を構成する、反応管203、バッファ室237等の構造に依存されることなく、均一にクリーニングガス(NF3ガス)が行き渡る。これは、ガスは圧力の高い場所から低い場所へ流れる性質があるため、排気処理を停止していることにより処理室201内において圧力上昇が等方的に進行されるためである。
なお、このとき、バッファ室237内、第2のノズル249b内外での堆積物の付着がない若しくは、少ない場合には、好適には、同時にバルブ243d、バルブ247bを開き、不活性ガス供給管232d内に不活性ガスを流しても良い。不活性ガスとしては、Heガス、Neガス、Arガス等の18族元素ガスが好適である。ヒータ207の温度、すなわちウエハ200の温度が低く設定されている本実施形態においては、好適にはN2ガスを用いると良い。不活性ガス供給管232d内を流れたN2ガスは、マスフローコントローラ241dにより流量調整される。流量調整されたN2ガスは、第2のノズル249bのガス供給孔250bからバッファ室237内に供給される。その後、バッファ室237内に供給されたN2ガスは、ガス供給孔250cから処理室201内に供給されつつガス排気管231から排気される。これにより、クリーニングガスがバッファ室237、第2のノズル249b等へ流れ、バッファ室237、第2のノズル249bが過剰に劣化するのを抑制することができる。
【0075】
<ステップS306、第三の工程>(X秒)
ステップS306では、バルブ254a、256aを閉じ、NF3ガスの供給を停止し、不活性ガス供給管232cのバルブ243c及びバルブ247a、251aを開閉することにより、所定量(例えば1slm)の不活性ガスとしてのN2ガスを流す。すなわち、クリーニングガスとしてのNF3ガスよりも処理室201を構成する部材、反応管203、バッファ室237、第1のノズル249a、第2のノズル249bに対するエッチング力のない不活性ガスを前記処理室内に供給し、堆積物に対するエッチング力のない不活性ガスを処理室201内に供給し、処理室201内の圧力を上昇させる。
これにより、処理室201内の圧力を高めることができ、圧力を高めることでNF3ガスの分解を促進し、堆積物や累積膜と反応させて、これらを除去することを可能にできる。また、NF3ガスの消費効率を高めることができる。
また、この第三の工程において、第1のノズル249aからN2ガスを供給することで、第1のノズル249a内に残留しているNF3ガスがN2ガスで押し出される。これにより、第1のノズル249aの上流側(下部)から下流側(上部)の各ガス供給孔250aから等量のNF3ガスが供給され、各ガス供給孔250aの開口面積の経時変化量を均一化することができる。すなわち、第三の工程がない場合には、第1のノズル249aの上流側のガス供給孔250aから大量のNF3ガスが流れることで、上流側のガス供給孔250aの開口面積だけが大きくなる。この結果、後の成膜工程において、下流側に比べ上流側のウエハ200に大量の原料ガスが流されることになる。すなわち、下流側、上流側で膜厚が異なり、ウエハ200間での膜厚均一性が悪化することになる。しかしながら、第三の工程を設けることで、これらの問題を是正することができる。
なお、このとき、バッファ室237内、第2のノズル249b内外での堆積物の付着がない若しくは、少ない場合には、好適には、同時にバルブ243d、バルブ247bを開き、不活性ガス供給管232d内に不活性ガスを流しても良い。不活性ガスとしては、Heガス、Neガス、Arガス等の18族元素ガスが好適である。ヒータ207の温度、すなわちウエハ200の温度が低く設定されている本実施形態においては、好適にはN2ガスを用いると良い。不活性ガス供給管232d内を流れたN2ガスは、マスフローコントローラ241dにより流量調整される。流量調整されたN2ガスは、第2のノズル249bのガス供給孔250bからバッファ室237内に供給される。その後、バッファ室237内に供給されたN2ガスは、ガス供給孔250cから処理室201内に供給されつつガス排気管231から排気される。これにより、クリーニングガスがバッファ室237、第2のノズル249b等へ流れ、バッファ室237、第2のノズル249bが過剰に劣化するのを抑制することができる。また、これにより、より一層、処理室201内の圧力を高めることができ、NF3ガスの分解を促進し、堆積物や累積膜と反応させて、これらを除去することを可能とし、また、NF3ガスの消費効率を高めることができる。
【0076】
<ステップS307、第四の工程>(例えば10秒)
ステップS307では、APCバルブ244を開き、処理室201内の排気処理を開始して、処理室201内に残留しているNF3ガスと累積膜の反応生成ガスを排気処理する。
【0077】
上述したステップS304〜S307を1サイクルとして、このサイクルを所定回数、少なくとも1回以上行うことにより(ステップS308)、処理室201内がセルフクリーニングされる。なお、上述のサイクルは、複数回繰り返すのが好ましい。
【0078】
上述のクリーニング処理がなされると、N2ガス等の不活性ガスが処理室201内へ供給されつつ排気されることで処理室201内が不活性ガスでパージされる(ガスパージ)(ステップS309)。その後、処理室201内の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、処理室201内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)(ステップS310)。
【0079】
その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降されて、マニホールド209の下端が開口されて、空のボート217がマニホールド209の下端から反応管203の外部に搬出(ボートアンロード)される(ステップS311)。
【0080】
本実施形態におけるクリーニング工程によれば、1サイクルの処理(第一の工程から第四の工程まで)で除去できる堆積物や累積膜の量は、主に、上述した第二の工程で供給されるクリーニングガス供給量と処理室内の温度に依存する。
【0081】
また、上述のサイクルの繰り返しにより、処理室201内のガス流れの悪くなるガス滞留エリア(デッドスペース)において、SiN膜とNF3ガスが反応して四フッ化ケイ素(SiF4)ガスや窒素(N2)ガスとなる化学反応をおこして堆積物や累積膜を除去することができる。また、窒素ガス等の不活性ガス等と比べ、比較的高価なクリーニングガスの消費効率を向上させることができる。
【0082】
図6は、本発明の一実施形態にて好適に用いられるクリーニング工程において、上述の第三の工程の設定時間と1サイクル当たりのSiN膜の減少量の関係を示す実験結果である。図7は、図6をグラフで示した図である。ここで、SiN膜の減少量はドライエッチングレート(DER)で示されており、DER(Å/cycle)は1サイクルあたりのSiN膜の減少量(Å:オングストローム)であり、DER(Å/min)は1分あたりの実質的なクリーニング速度である。
なお、上述したように、クリーニングガスとしてNF3ガスを用いて、処理室201内の温度を625℃とした。
【0083】
ここで、クリーニングガス消費効率は、第四の工程で排気された未反応のクリーニングガス量/第二の工程で導入されたクリーニングガス量で定義される。また、第四の工程における排気ガスを分析しなくても、1サイクル当たりの累積膜(SiN膜)の減少量と、第三の工程の時間依存を調べることで、クリーニングガス消費効率を調べることができる。
【0084】
図6及び図7に示されているように、DER(Å/min)でみると、第三の工程の設定時間は13秒程度が最適であることが分かる。また、DER(Å/cycle)は、13秒以上ではあまり増加しないことが分かるが、この上限値は主に第二の工程でのクリーニングガスであるNF3ガスの導入量で決まる。また、第三の工程における時間を13秒以上に設定しても、DER(Å/cycle)が上昇しないのは、第二の工程で導入されたNF3ガスの大部分は処理室201内にある累積膜と反応しており、13秒以上の時間では処理室201内にNF3ガスがほとんど存在しなくなっているためと考えられる。したがって、第二の工程でのNF3ガス供給量と第三の工程の設定時間によって、1サイクルでリミットがかかったセルフクリーニングを実施することができることが分かる。すなわち、第三の工程の調整によって、クリーニングガス(NF3ガス)消費効率を向上させることができる。例えば、第二の工程において、NF3ガスを2SLMの流量で15秒間流すと、処理室201内へのNF3ガスのトータル供給量は500ccとなる。この第二の工程で供給されたNF3ガス量でエッチングできる堆積物や累積膜の最大エッチング量を規定することができる。このとき、第三の工程がない場合には、NF3ガスが、実質的に排気管231を経由し排気されてしまうので、その分だけ上記の最大エッチング量よりは低い量しか堆積物や累積膜をエッチングできないため、規定しにくいという問題があるが、第三の工程があるため、規定しやすくすることができる。また、第三の工程がある場合には、既定量のクリーニングガスを処理室201内で対流させることができる。これにより、選択的に堆積物や累積膜とクリーニングガスを反応させることができ、処理室201を構成する部材のクリーニングガスとの反応による劣化、ダメージの発生を低減することができる。例えば、SiN膜等の堆積物や累積膜とNF3ガスを選択的に反応させることができ、処理室201を構成する部材としての反応管203や、第1のノズル249a及び第2のノズル249b等の石英部材のNF3ガスとの反応による劣化、ダメージの発生を低減することができる。
また、処理室201内では、未反応のNF3ガスが排気管231等の排気系統へダメージを与えるという問題があるが、第三の工程があるため、この問題の発生を抑制することができる。
第三の工程がない場合には、第二の工程で処理室201に供給されたNF3ガスの消費効率が23%であったが、第三の工程がある場合には、第二の工程で処理室201に供給されたNF3ガスの消費効率が97%にすることができ、格段にクリーニングガスの消費効率を向上させることができる。
【0085】
また、処理室201内の温度を高くした場合や第二の工程のNF3ガス供給量が増えた場合、処理室201内の容量が変化した場合、不活性ガスであるN2ガスの流量を変更した場合、NF3ガスの供給配管の長さを変更した場合等、様々な条件により、第三の工程の設定時間の最適値へ影響を与えると推定できる。したがって、本発明の実施形態に係るクリーニング工程を実施する場合は、上述したような条件検討、すなわち最適化を実施することが望ましい。
【0086】
以上述べたように、本実施形態に係るクリーニング工程によれば、クリーニングガス消費量を把握しながら条件最適化が容易なうえ、処理室内の構成部材に対するダメージ(経時変化)を低減させることができる。つまり、1サイクル内の第二の工程のクリーニングガス供給量でDER(Å/cycle)の上限値が規定でき、この1サイクル当たりのクリーニングガス供給量によりエッチングされる量(累積膜減少量)はリミットをかけることができる。1サイクル毎にリミットをかけたクリーニングを実施することができるので、処理室201を構成する部材へのセルフクリーニングによるダメージ(経時変化)は従来より抑制することができ、処理室201を構成する部材の交換周期を長くすることができ、長期間にわたって装置を安定的に稼動させることができる。
【0087】
図8は、本実施形態及び比較例に係るクリーニング工程を説明するための図であって、図9は、本実施形態及び比較例に係るクリーニング工程を用いた場合の反応管203内の様子を示すイメージ図である。
【0088】
比較例1は、APCバルブ244の開度を調整することで処理室201内の圧力を一定に維持しながら、一定のクリーニングガス供給量でクリーニングを実施した例であって、本実施形態に係るクリーニング工程の第一の工程を実施しない(排気処理を停止しない)例である。反応管203内は、図9(a)に示されているように、排気管231が反応管203の下部にある場合であっても、図9(b)に示されているように、排気管231が反応管203の上部にある場合であっても、ノズル249周辺と排気管231(排気口)周辺にクリーニングガスが集中してしまい、処理室201の雰囲気は不均一となってしまうことが分かる。
【0089】
比較例2は、上述の本実施形態に係るクリーニング工程において第三の工程(不活性ガス供給)を実施しない例である。反応管203内は、図9(c)に示されているように、ノズル249周辺とノズル249と反応管203の間等のデットスペースにクリーニングガスが溜まってしまい、処理室201の雰囲気が不均一となってしまうことが分かる。また、この場合には、ノズル249内や図示していないガス供給配管内部に未反応のクリーニングガスが滞在し、排気処理時にこれらが未反応のまま排気されるためクリーニングガス消費効率が低くなる(無駄になる)。
【0090】
一方、本実施形態に係るクリーニング工程によれば、図9(d)に示されているように、排気処理を停止させた状態で不活性ガスを一定時間供給することで、処理室201内の圧力は高まり、処理室201内の雰囲気は均一となる。また、ノズル249内を不活性ガスで処理室へ押し出しているため、クリーニングガスの消費効率を従来よりも向上させることができる。
【0091】
すなわち、本発明の実施形態によれば、ガス流れやハードウェア構造に依存しないセルフクリーニングを実現でき、ハードウェア構成部材へのダメージを低減しつつ、クリーニングガス消費効率を向上させることができ、結果として生産性を向上させることができる。
【0092】
以上のように本発明の実施形態によれば、以下の少なくとも1つ以上の効果を奏する。
(1)反応管内の異物汚染を抑制することができる
(2)クリーニングガス消費効率を高めることができる。
(3)最適なクリーニング速度を決定することができる。
(4)石英部材、排気系統への過剰なクリーニングガス流入を抑制することができ、その経時変化を抑制することができる。
(5)反応室構造に依存して発生するデッドスペースに依存しない等方的なクリーニングが可能である。
(6)排気系の経時変化を抑制することで、クリーニング後の残渣を減少させ、膜厚ドロップ加速現象の発生を抑制することができる。
(7)経時変化を抑制することで、長期間にわたって装置を安定稼動させ、装置運用コストを抑えることができる。
(8)従来のクリーニング処理では、図10に示されているように、クリーニングガスを供給するノズル249と反応管203の間等、処理室201内にてガスの流れの悪くなるエリアにおいて膜残りが発生してしまう。そして、成膜処理とクリーニング処理の継続的な使用により、次第にこの膜残り(異物)が堆積され、パーティクルが発生してしまうという問題があった。本実施形態によれば、これらの問題の発生を抑制することができる。すなわち、処理室201内のデッドスペースにもクリーニングガスを行き渡らせることができ、処理室201内にてガスの流れの悪くなるエリアにおいて残った膜を除去することが可能となり、パーティクルの発生を抑制可能となる。
(9)従来のクリーニング処理では、処理室201へ供給されたクリーニングガスの一部は未反応のまま排気管から排気処理されるため効率が悪くなる。これらの問題を改善するため、クリーニング時間を延長(オーバーエッチ量を増加)させたり、頻繁に反応管を交換したり、ウエット洗浄処理等のメンテナンスが実施されているが、結果として装置運用コストは増加(反応管等の耐熱部材の交換頻度の増加、クリーニングガス消費量の増加)し、生産性の低下を招いてしまっていた。本実施形態によれば、これらの問題の発生を抑制することができる。すなわち、クリーニングガスが処理室201から排気管へ未反応のまま排気されるのを抑制することができ、消費効率を向上させることができる。また、クリーニング時間を短縮させることができ、処理室201内の堆積物(堆積膜若しくは累積膜等)が形成されがたい部位におけるオーバーエッチ量の増加によるダメージの増加を抑制することができ、処理室201を構成する部材、例えば、反応管の交換頻度を減らすことができる。また、ボートウエット洗浄処理等のメンテナンスを実施することを抑制することができ、装置運用コストを減少させることができる。その結果、生産性を向上させることができる。
(10)従来のクリーニング処理では、ノズルのガス供給孔の開口径や基板を保持する基板保持体としてのボートや反応管等の反応室(処理室)の構成品が経時変化を引き起こしやすいといった問題があった。ここで、ノズルのガス供給孔は新鮮なクリーニングガスが流れるため、その開口径がクリーニング処理の頻度と伴に増大してしまうという問題があった。ノズル内に供給されたガスはノズル内で滞留し、その後、ガス供給孔から反応室へ排出されるため、ノズル内の圧力は反応室内の圧力よりも大きくなる。そのため、ノズル内やガス供給孔がクリーニングガスによりエッチングされやすい環境下となり、ノズルやガス供給孔の劣化が生じやすくなる。特に、ノズルの材質として、例えば、石英製を用いる場合には、反応室内で基板にSiN等の膜形成する際に生じるノズル内の堆積物と石英との材質の相違による選択比が得られ難いという問題があった。本実施形態によれば、これらの問題の発生を抑制することができる。すなわち、反応室(処理室)の構成品の経時変化を抑制することができる。特にクリーニングガスを処理室201全域に行き渡せることができ、処理室201内に不均等に形成されている堆積物と選択的に反応させることができ、(クリーニング処理中に一部の反応室を構成する部材、例えば、石英が露出しても、クリーニングガスを処理室201に滞留させることで選択的に堆積物と反応させることができ、)ボートや反応管の劣化具合を均一にすることができる。
また、ノズルのガス供給孔の開口径の増大を抑制することができる。特に、ノズルの材質として、石英製を用いる場合にも、反応室内で基板にSiN等の膜形成する際に生じるノズル内の堆積物と石英との材質の相違による選択比が得られ難くてもノズルやガス供給孔の劣化を抑制することができる。
(11)特に、縦型バッチ処理装置では、ノズルの延在方向に複数のガス供給孔があるノズルを用いる場合があり、この場合、ノズルの上流側であって、クリーニングガス導入部に近く、新鮮なクリーニングガスが流れる部位にあるガス供給孔の開口径の経時変化量が、ノズルの下流側の部位にあるガス供給孔の開口径の経時変化量よりも大きく、装置運用とともに、成膜における面内均一性が経時変化してしまう。本実施形態によれば、これらの問題の発生を抑制することができる。すなわち、複数のガス供給孔があるノズルを用いる場合でも、ノズルの上流側であって、クリーニングガス導入部に近く、新鮮なクリーニングガスが流れる部位にあるガス供給孔の開口径の経時変化量が、ノズルの下流側の部位にあるガス供給孔の開口径の経時変化量よりも大きくなることを抑制することができる。その結果、装置運用とともに、成膜における面内均一性が経時変化することを抑制することができる。
(12)従来のクリーニング処理では、反応管内のガスを排気する排気口は、反応管内にて熱などで励起されたクリーニングガスが集まる部位であるため経時変化が大きく、装置運用とともに強度が低下し、反応管やボート等の耐熱部材が破損してしまい、結果として装置構造を複雑化させて運用コストを増加させていた。また、処理室201へ供給されたクリーニングガスの一部は未反応のまま排気管から排気処理されるため効率が悪くなる。さらに、未反応のままのクリーニングガスを排気口から排気管、APCバルブ、排気装置、除外装置等の排気系統に流すことで、これら排気系統が腐食してしまうという問題があった。本実施形態によれば、これらの問題の発生を抑制することができる。すなわち、クリーニングガスと反応室(反応管、処理室ともいう)内の堆積物との反応を促進することで、クリーニングガスの消費効率が向上し、その結果、排気口に集まったガスは反応後のガスが主となるため、従来処理のような熱励起されたクリーニングガスが排気口周辺部位と反応することを抑制できる。さらに、未反応のままのクリーニングガスが排気系統へ流れ出ることを抑制することができ、その結果、排気系統の腐食の発生を抑制することができる。
(13)第三の工程において、処理室201内の圧力が高まった状態で、第四の工程において、排気することで、処理室201内に大きな圧力変動を与えることができる。この圧力変動により、処理室201内に発生したパーティクルや、クリーニング処理により生じた膜はがれ部位を下流(少なくとも処理室201と排気管231との間の排気口よりも排気管231側に移動させることができる。好適には、APCバルブ244よりも下流側へ移動させることができ、後の成膜工程において、パーティクルや膜はがれ部位が悪影響を及ぼすことを抑制することができる。第四工程においては、好適には短時間で排気することとより一層、処理室201内に大きな圧力変動を与えることができる。
【0093】
<本発明の第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
【0094】
上述の第1実施形態では、クリーニング工程として、<ステップS034、第一の工程>として、まず、APCバルブ244を閉めて、処理室201内の排気処理を停止する例について説明したが、本実施形態では、APCバルブ244を完全に閉めることなく、処理室201内の排気量を絞る例について説明する。
なお、上述の第1実施形態と本実施形態とは、処理室201内でクリーニングガスを滞留させた状態で、不活性ガスを供給して処理室内を昇圧することで処理室201内の堆積物をクリーニングガスと反応させて除去する点で共通するものである。
その他の点は、概ね第1実施形態と同様であるので説明を割愛し、クリーニング工程について、以下に詳述する。
【0095】
(クリーニング工程)
<ステップS404、第一の工程>(例えば1秒)
まず、APCバルブ244の開度が小さくなるように制御し、処理室201内の排気量を減らす。好適には、後述するステップS405で処理室201内に供給するガス供給量に対し、排気量を小さくなるようにする。
【0096】
<ステップS405、第二の工程>(例えば15秒)
ステップS405では、排気量が絞られた状態の処理室201内へ所定量(例えば1000cc)のNF3ガスを流す。すなわち、クリーニングガス供給管252aのバルブ254a、256aを開閉することにより、クリーニングガス供給管252a内にNF3ガスを流す。クリーニングガス供給管252a内を流れたNF3ガスは、マスフローコントローラ253aにより流量調整される。流量調整されたNF3ガスは第1のノズル249aのガス供給孔250aから処理室201内に供給される。このとき、不活性ガス供給管232cからは、例えば75ccの不活性ガスとしてのN2ガスが処理室201内へ供給されている。なお、以上の動作の間は、処理室201内の温度を630℃に保持したままとする。
この第二の工程では、上述した第一の工程で排気を絞っているため、反応室構造に依存せず、均一にクリーニングガス(NF3ガス)が行き渡る。これは、ガスは圧力の高い場所から低い場所へ流れる性質があるため、排気処理を絞っていることにより処理室201内において圧力上昇が等方的に進行されるためである。例えば、処理室201内の圧力は500Pa以上1000Pa以下に維持されると良い。
【0097】
<ステップS406、第三の工程>(X秒)
ステップS406では、バルブ254a、256aを閉じ、NF3ガスの供給を停止し、不活性ガス供給管232cのバルブ243c及びバルブ247a、251aを開閉することにより、所定量(例えば5slm)の不活性ガスとしてのN2ガスを流す。すなわち、クリーニングガスとしてのNF3ガスよりも処理室201を構成する部材、反応管203、バッファ室237、第1のノズル249a、第2のノズル249bに対するエッチング力のない不活性ガスを前記処理室内に供給し、堆積物に対するエッチング力のない不活性ガスを処理室201内に供給し、処理室201内の圧力を上昇させる。
これにより、処理室201内の圧力を高めることができ、圧力を高めることでNF3ガスの分解を促進し、堆積物や累積膜と反応させて、これらを除去することを可能にできる。また、NF3ガスの消費効率を高めることができる。
また、この第三の工程において、第1のノズル249aからN2ガスを供給することで、第1のノズル249a内に残留しているNF3ガスがN2ガスで押し出される。これにより、第1のノズル249aの上流側(下部)から下流側(上部)の各ガス供給孔250aから等量のNF3ガスが供給され、各ガス供給孔250aの開口面積の経時変化量を均一化することができる。すなわち、第三の工程がない場合には、第1のノズル249aの上流側のガス供給孔250aから大量のNF3ガスが流れることで、上流側のガス供給孔250aの開口面積だけが大きくなる。この結果、後の成膜工程において、下流側に比べ上流側のウエハ200に大量の原料ガスが流されることになる。すなわち、下流側、上流側で膜厚が異なり、ウエハ200間での膜厚均一性が悪化することになる。しかしながら、第三の工程を設けることで、これらの問題を是正することができる。例えば、処理室201内の圧力は1500Pa以上2000Pa以下に維持されると良い。
【0098】
<ステップS407、第四の工程>(例えば10秒)
ステップS407では、APCバルブ244の開度を大きくし、処理室201内の排気処理を開始して、処理室201内に残留しているNF3ガスと累積膜の反応生成ガスを排気処理する。
【0099】
上述したステップS404〜S407を1サイクルとして、このサイクルを少なくとも1回以上行うことにより(ステップS408)、処理室201内がセルフクリーニングされる。なお、上述のサイクルは、複数回繰り返すのが好ましい。
【0100】
本実施形態によれば、処理室201で未反応だったクリーニングガスが排気系統にそのまま流れるため、排気系統を構成する部材と反応し、これらにダメージを与える可能性が高まるという問題が生じやすいという問題があるものの、第1実施形態に記載した効果のうちの少なくとも1つ以上の効果と同様の趣旨の効果を奏する。
【0101】
<本発明の第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
【0102】
上述の第1実施形態では、クリーニング工程として、<ステップS306、第三の工程>として、クリーニングガスの供給を停止し、代わりに所定量の不活性ガスを流す形態について、説明したが、本実施形態では、クリーニングガスの供給を停止し、代わりに停止したクリーニングガスよりも処理室201を構成する部材に対するエッチング力の弱いクリーニングガスを所定量流す例について説明する。これにより、処理室201を構成する部材に対するエッチング力が、停止したクリーニングガスよりもエッチング力の弱いクリーニングガスを所定量流すと当該構成物へのダメージを抑制することができる。
なお、上述の第1実施形態と本実施形態とは、処理室201内でクリーニングガスを滞留させた状態で、不活性ガスを供給して処理室内を昇圧することで処理室201内の堆積物をクリーニングガスと反応させて除去する点で共通するものである。
その他の点は、概ね第1実施形態と同様であるので説明を割愛し、クリーニング工程について、以下に詳述する。また、上述の第1実施形態で説明した図1における不活性ガス供給系としての不活性ガス供給管232cのバルブ243c及びバルブ247a、251a等の構成は、第二ガス供給系としての第二ガス供給管232cのバルブ243c及びバルブ247a、251a等の構成と、実施形態の概念的には同様であるので、説明の便宜を図るために、そのまま置き換えて説明する。
【0103】
(クリーニング工程)
<ステップS504、第一の工程>(例えば1秒)
まず、APCバルブ244を閉めて、処理室201内の排気処理を停止する。
【0104】
<ステップS505、第二の工程>(例えば15秒)
ステップS505では、排気処理が停止している処理室201内へ所定量(例えば500cc)のNF3ガスを流す。すなわち、クリーニングガス供給管252aのバルブ254a、256aを開閉することにより、クリーニングガス供給管252a内にNF3ガスを流す。クリーニングガス供給管252a内を流れたNF3ガスは、マスフローコントローラ253aにより流量調整される。流量調整されたNF3ガスは第1のノズル249aのガス供給孔250aから処理室201内に供給される。このとき、不活性ガス供給管232cからは、例えば75ccの不活性ガスとしてのN2ガスが処理室201内へ供給されている。なお、以上の動作の間は、処理室201内の温度を630℃に保持したままとする。
この第二の工程では、上述した第一の工程で排気処理を停止しているため、反応室構造に依存せず、均一にクリーニングガス(NF3ガス)が行き渡る。これは、ガスは圧力の高い場所から低い場所へ流れる性質があるため、排気処理を停止していることにより処理室201内において圧力上昇が等方的に進行されるためである。
【0105】
<ステップS506、第三の工程>(X秒)
ステップS506では、バルブ254a、256aを閉じ、NF3ガスの供給を停止し、不活性ガス供給管232cのバルブ243c及びバルブ247a、251aを開閉することにより、所定量(例えば1slm)の第二ガスとしての四フッ化メタン(CF4)ガスを流すことが考えられる。すなわち、第1クリーニングガスとしてのNF3ガスよりも処理室201を構成する部材、反応管203、バッファ室237、第1のノズル249a、第2のノズル249bに対するエッチング力が弱いガスを処理室201内に供給し、処理室201内の圧力を上昇させる。これにより、処理室201内の圧力を高めることができ、圧力を高めることでNF3ガスの分解を促進し、堆積物や累積膜と反応させて、これらを除去することを可能にできる。また、NF3ガスの消費効率を高めることができる。
また、この第三の工程において、第1のノズル249aから第二ガスを供給することで、第1のノズル249a内に残留しているNF3ガスが第二ガスで押し出される。これにより、第1のノズル249aの上流側(下部)から下流側(上部)の各ガス供給孔250aから等量のNF3ガスが供給され、各ガス供給孔250aの開口面積の経時変化量を均一化することができる。すなわち、第三の工程がない場合には、第1のノズル249aの上流側のガス供給孔250aから大量のNF3ガスが流れることで、上流側のガス供給孔250aの開口面積だけが大きくなる。この結果、後の成膜工程において、下流側に比べ上流側のウエハ200に大量の原料ガスが流されることになる。すなわち、下流側、上流側で膜厚が異なり、ウエハ200間での膜厚均一性が悪化することになる。しかしながら、第三の工程を設けることで、これらの問題を是正することができる。
さらに、第1クリーニングガスによりエッチングできない堆積物や累積膜を第2クリーニングガスによりエッチングすることができるとともに処理室201を構成する部材のエッチングによる劣化を抑制することが可能となる。
好適には、第二ガスとして、第二の工程で流した第一クリーニングガスと反応して爆発等しないガスを用いる。その他、例えば、CxFy(フロロカーボンガス)(CxFy) x=1...、y=4・・・で示される物質が考えられる。
【0106】
<ステップS507、第四の工程>(例えば10秒)
ステップS507では、APCバルブ244を開き、処理室201内の排気処理を開始して、処理室201内に残留しているNF3ガスと累積膜の反応生成ガスを排気処理する。
【0107】
上述したステップS504〜S507を1サイクルとして、このサイクルを少なくとも1回以上行うことにより(ステップS508)、処理室201内がセルフクリーニングされる。なお、上述のサイクルは、複数回繰り返すのが好ましい。
【0108】
本実施形態によれば、第1実施形態に記載した効果のうちの少なくとも1つ以上の効果と同様の趣旨の効果に加え、以下の効果を奏する。
(1)第一クリーニングガスを供給したノズルにおいてノズル等処理室201内の残留第一クリーニングガスが完全に除去できない場合に、第一クリーニングガスよりも処理室を構成する部材に対するエッチング力が弱い第二ガスを供給することで、これらの劣化を抑制することができる。特にノズル内壁や、ノズルに設けられたガス供給孔の劣化を抑制することができる。
【0109】
<本発明のその他の実施形態>
本発明のその他の実施形態について、以下に説明する。
その他の実施形態として、上述の第1実施形態において、クリーニングガスを供給する過程、<ステップS305、第二の工程>において、処理室内に供給するクリーニングガスの供給量を減少させるようにしても良い。
この場合、1回のエッチレートが低下することで、クリーニング時間が増加するというデメリットは生じるし、例えば、ステップS304〜S307を複数サイクルする場合には、結果として必要なサイクル数が増加することとなり、少なくともステップS304,S307等バルブ開閉回数や排気回数が増加するため、クリーニング時間が増加するというデメリットが生じる。また、トータルのクリーニングガスの消費量を抑制することはできないというデメリットは生じる。しかしながら、第1実施形態に記載した効果のうちの少なくとも1つ以上の効果と同様の趣旨の効果を奏することができる。
【0110】
また、その他の実施形態として、上述の第1実施形態において、クリーニング工程<ステップS304〜S307>において、ステップS304のAPCバルブ244を閉めて、処理室201内の排気処理を停止するタイミングを、ずらすようにして、ステップS304をS305、S306の途中で行うようにしても良い。すなわち、クリーニングガスを処理室201内に供給している途中、若しくは、クリーニングガスが処理室201内に滞留した状態で、処理室201内の排気処理を停止するようにしてもよい。
この場合、処理室201で未反応だったクリーニングガスが排気系統にそのまま流れるため、排気系統を構成する部材と反応し、これらにダメージを与える可能性が高まるという問題が生じやすいという問題があるものの、第1実施形態に記載した効果のうちの少なくとも1つ以上の効果と同様の趣旨の効果を奏することができる。
【0111】
さらに、その他の実施形態として、上述の第2実施形態において、クリーニングガスを供給する過程、<ステップS405、第二の工程>において、処理室内に供給するクリーニングガスの供給量もしくは排気量を減少させるようにしても良い。この場合、1回のエッチレートが低下することで、クリーニング時間が増加するというデメリットは生じるし、例えば、ステップS404〜S407を複数サイクルする場合には、結果として必要なサイクル数が増加することとなり、少なくともステップS407の排気回数が増加するため、クリーニング時間が増加するというデメリットが生じる。また、トータルのクリーニングガスの消費量を抑制することはできないというデメリットは生じる。しかしながら、第1実施形態および第2実施形態に記載した効果のうちの少なくとも1つ以上の効果と同様の趣旨の効果を奏することができる。
上述した実施形態では、クリーニング工程において、ボート217を処理室201内に収納された状態で行う例にして説明したが、ボート217が処理室201内に収納せずにボート217がない状態で行うようにしても良い。
【0112】
また、上述した実施形態では、電極、バッファ室がある反応管の形態を例にして説明したが、これらがない反応管であっても本発明は適用可能である。
【0113】
また、上述した実施形態では、第1のノズル249a、第2のノズル249bがL字型のロングのノズルである形態を例にして説明したが、L字型のロングのノズルでなくて例えばI字型のストレートのノズルであっても良い。第1のノズル249a、第2のノズル249bのガス供給孔250aが複数でなく、単数でも良い。また、ガス供給孔250aが反応管203の中心を向くように開口していなくても良いし、このガス供給孔250aは、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられ、それぞれが同一の開口面積でなくても良いし、更に同じ開口ピッチで設けられなくても、本発明は適用可能である。
また、上述した実施形態では、反応管203内に、板状部材266a、266bが設けられている形態を例にして説明したが、板状部材266a、266bは設けられていなくても良い。
【0114】
なお、本発明は、ALD法だけでなくCVD法等の縦型装置による処理方法全般に適用される。
【0115】
また、ALD法による成膜例につきSiN膜を形成する例を挙げたがこれに限らず、例えば、非昌質(アモルファス)シリコン膜にも、適用できるし、膜種、ガス種によらず、適用できる。
【0116】
また、上述した実施形態では、第一のクリーニングガス(エッチングガス)として、NF3ガスを用いる場合を例示するがこれに限らず、フッ素(F)含有ガスを用いることができる。フッ素含有ガスとしては、例えば、フッ素(F2)ガスや、フッ化塩素(CLF3)ガスを適用することができ、その他、堆積物に合わせ、クリーニングガスを適宜変更することができる。
【0117】
また、上述の実施形態では、一度に複数枚の基板を処理するバッチ式の基板処理装置を用いて成膜する例について説明したが、本発明はこれに限定されず、一度に1枚または数枚の基板を処理する枚葉式の基板処理装置を用いて成膜する場合にも、好適に適用できる。
【0118】
また、上述の各実施形態や各変形例や各応用例等は、適宜組み合わせて用いることができる。
【0119】
また、本発明は、例えば、既存の基板処理装置のプロセスレシピを変更することでも実現できる。プロセスレシピを変更する場合は、本発明に係るプロセスレシピを電気通信回線や当該プロセスレシピを記録した記録媒体を介して既存の基板処理装置にインストールしたり、また、既存の基板処理装置の入出力装置を操作し、そのプロセスレシピ自体を本発明に係るプロセスレシピに変更したり、することも可能である。
【0120】
以下に付記として示す態様も本発明に含まれる。
(付記1)
本発明の一態様によれば、処理室内で基板に対し膜を形成する工程と、該膜形成後の処理室内の少なくとも一部に堆積した堆積物を除去する工程とを有し、前記除去工程では、前記堆積物をエッチングする第一ガスを前記処理室内に供給する第1工程と、少なくとも前記第一ガスよりも前記処理室を構成する部材に対するエッチング力が弱いか、若しくは前記部材に対するエッチング力のない第二ガスを前記処理室内に供給し、前記処理室内の圧力を上昇させる第2工程と、を含むサイクルを所定回数行う半導体装置の製造方法が提供される。
(付記2)
本発明の他の態様によれば、処理室内で基板に対し膜を形成した後に、処理室内の少なくとも一部に堆積した堆積物を除去するクリーニング方法であって、前記堆積物をエッチングする第一ガスを前記処理室内に供給する第1工程と、少なくとも前記第一ガスよりも前記処理室を構成する部材に対するエッチング力が弱いか、若しくは前記部材に対するエッチング力のない第二ガスを前記処理室内に供給し、前記処理室内の圧力を上昇させる第2工程と、を含むサイクルを所定回数行うクリーニング方法が提供される。
(付記3)
本発明の他の態様によれば、基板を処理する処理室と、前記処理室を排気する排気系と、成膜に寄与する原料ガスを前記処理室内に供給する原料ガス供給系と、原料ガスの供給に伴って前記処理室内に堆積する堆積物を除去する第一ガスを前記処理室に供給する第1ガス供給系と、少なくとも前記第一ガスよりも前記処理室を構成する部材に対するエッチング力が弱いか、若しくは前記部材に対するエッチング力のない第二ガスを供給する第2ガス供給系と、前記処理室内に前記原料ガス供給系から原料ガスを供給し基板に対し膜を形成した後に、前記第1ガス供給系から前記処理室内に前記第一ガスを供給し、次に前記第2ガス供給系から前記処理室内に前記第二ガスを供給して前記処理室内の圧力を上昇させること、を含むサイクルを所定回数行うように前記排気系、前記原料ガス供給系、前記第1ガス供給系、前記第2ガス供給系を制御する制御部と、を備える基板処理装置が提供される。
(付記4)
本発明の他の態様によれば、処理室に収容された基板に原料ガスを供給して前記基板に所望の膜を形成する膜形成工程と、前記基板を搬出した後の処理室をクリーニングするクリーニング工程と、を有し、前記クリーニング工程では、前記処理室の排気を止める第一の工程と、前記処理室にクリーニングガスを供給する第二の工程と、前記処理室に不活性ガスを供給する第三の工程と、前記処理室を排気する第四の工程と、を順に少なくとも1回行なう半導体装置の製造方法が提供される。
(付記5)
本発明の他の態様によれば、前記第1工程における前記処理室内の圧力値より前記第2工程における前記処理室内の圧力値のほうが大きい付記4の半導体装置の製造方法が提供される。
(付記6)
本発明の他の態様によれば、基板を処理する処理室と、前記処理室を排気するための排気路と、前記排気路を開閉する排気バルブと、を備える排気手段と、成膜に寄与する原料ガスを前記処理室内に供給する原料ガス供給手段と、原料ガスの供給に伴って前記処理室内に付着する堆積物を除去するクリーニングガスを前記処理室に供給する第1供給路と、該第1供給路に連通し、不活性ガスを前記処理室に供給する第2供給路と、前記第1供給路の開閉を行う第1ガス供給バルブと、前記第2供給路の開閉を行う第2ガス供給バルブと、を備えるクリーニングガス供給手段と、制御部と、を有し、前記制御部は、前記排気バルブ、前記第1ガス供給バルブ、前記第2ガス供給バルブを制御して、前記処理室の排気を止めた状態でクリーニングガスを前記第1供給路から前記処理室に供給し、所定時間経過後、クリーニングガスの供給を止めた状態で不活性ガスを前記第2供給路から前記処理室に供給し、所定時間経過後、前記処理室の排気を行う基板処理装置が提供される。
(付記7)
基板処理装置の処理室内の基板に対して膜を形成する手順と、該膜形成後の処理室内の少なくとも一部に堆積した堆積物を除去する手順と、をコンピュータに実行させ、前記除去する手順では、前記堆積物をエッチングする第一ガスを前記処理室内に供給する第1手順と、少なくとも前記第一ガスよりも前記処理室を構成する部材に対するエッチング力が弱いか、若しくは前記部材に対するエッチング力のない第二ガスを前記処理室内に供給し、前記処理室内の圧力を上昇させる第2手順と、を含むサイクルで所定回数実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。
【符号の説明】
【0121】
121 コントローラ
200 ウエハ(基板)
201 処理室
202 処理炉
203 反応管
207 ヒータ
217 ボート
231 排気管
237 バッファ室
249 ノズル
250 ガス供給孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に対して成膜処理を行う半導体装置の製造方法、クリーニング方法、基板処理装置及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程の一例として、CVD(Chemical Vapor Deposition)法やALD(Atomic Layer Deposition)法を用いて基板上に所定の薄膜を堆積する成膜工程がある。CVD法とは、ガス状原料の気相および表面での反応を利用して、原料分子に含まれる元素を構成要素とする薄膜を被処理基板上へ堆積させる方法である。CVD法の中でも薄膜堆積が原子層レベルで制御されているものは、ALD法と呼ばれ、CVD法に対して基板温度が低いことが特徴とされる。また、CVD法で堆積された薄膜から不純物を除去したり、ALD法で吸着した成膜原料の化学反応を補助したりするためにプラズマが用いられている。
【0003】
例えば、DCS(ジクロロシラン)とNH3(アンモニア)プラズマを用いてALD法によるアモルファスシリコン窒化膜(以下、SiN膜と記す)の形成が行われている。基板上へのSiN膜形成処理は、DCS照射処理とNH3プラズマ照射処理で構成される。これら2つの処理を繰り返すことにより(以下、サイクル処理と記す)、基板上に所定の膜厚のSiN膜の堆積を行う。
【0004】
しかしながら、このようなALD法やCVD法においては、基板以外の接ガス部に薄膜が累積的に堆積されてしまう。この累積的な堆積により、マイクロクラックが発生し、このマイクロクラックの剥離された異物により基板が汚染される異物汚染が問題となっている。この異物汚染は、堆積速度が速くなるほど、また、累積膜厚が厚くなるほど発生しやすい。
【0005】
また、上述の異物汚染を防止するために、一連の成膜処理の後にクリーニング処理を施して累積膜を除去するクリーニング工程が実施されている。この処理は、三フッ化窒素(NF3)やフッ素(F2)などのクリーニングガスを反応室へ導入しながらSiN膜と反応させ、SiN膜をガスに変換して排気する(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−33121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のクリーニング処理では、図10に示されているように、クリーニングガスを供給するノズル249と反応管203の間等、処理室201内にてガスの流れの悪くなるエリア(例えば、図10においてデッドスペースD)において膜残りが発生してしまう。そして、成膜処理とクリーニング処理の継続的な使用により、次第にこの膜残り(異物)が堆積され、パーティクルが発生してしまうという問題があった。
【0008】
本発明の目的は、反応管内の異物汚染を抑制することができる半導体装置の製造方法、クリーニング方法、基板処理装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、処理室内で基板に対し膜を形成する工程と、該膜形成後の処理室内の少なくとも一部に堆積した堆積物を除去する工程とを有し、前記除去工程では、前記堆積物をエッチングする第一ガスを前記処理室内に供給する第1工程と、少なくとも前記第一ガスよりも前記処理室を構成する部材に対するエッチング力が弱いか、若しくは前記部材に対するエッチング力のない第二ガスを前記処理室内に供給し、前記処理室内の圧力を上昇させる第2工程と、を含むサイクルを所定回数行う半導体装置の製造方法が提供される。
【0010】
本発明の他の態様によれば、処理室内で基板に対し膜を形成した後に、処理室内の少なくとも一部に堆積した堆積物を除去するクリーニング方法であって、前記堆積物をエッチングする第一ガスを前記処理室内に供給する第1工程と、少なくとも前記第一ガスよりも前記処理室を構成する部材に対するエッチング力が弱いか、若しくは前記部材に対するエッチング力のない第二ガスを前記処理室内に供給し、前記処理室内の圧力を上昇させる第2工程と、を含むサイクルを所定回数行うクリーニング方法が提供される。
【0011】
本発明の他の態様によれば、基板を処理する処理室と、前記処理室を排気する排気系と、成膜に寄与する原料ガスを前記処理室内に供給する原料ガス供給系と、原料ガスの供給に伴って前記処理室内に堆積する堆積物を除去する第一ガスを前記処理室に供給する第1ガス供給系と、少なくとも前記第一ガスよりも前記処理室を構成する部材に対するエッチング力が弱いか、若しくは前記部材に対するエッチング力のない第二ガスを供給する第2ガス供給系と、前記処理室内に前記原料ガス供給系から原料ガスを供給し基板に対し膜を形成した後に、前記第1ガス供給系から前記処理室内に前記第一ガスを供給し、次に前記第2ガス供給系から前記処理室内に前記第二ガスを供給して前記処理室内の圧力を上昇させること、を含むサイクルを所定回数行うように前記排気系、前記原料ガス供給系、前記第1ガス供給系、前記第2ガス供給系を制御する制御部とを備える基板処理装置が提供される。
【0012】
本発明の他の態様によれば、基板処理装置の処理室内の基板に対して膜を形成する手順と、該膜形成後の処理室内の少なくとも一部に堆積した堆積物を除去する手順と、をコンピュータに実行させ、前記除去する手順では、前記堆積物をエッチングする第一ガスを前記処理室内に供給する第1手順と、少なくとも前記第一ガスよりも前記処理室を構成する部材に対するエッチング力が弱いか、若しくは前記部材に対するエッチング力のない第二ガスを前記処理室内に供給し、前記処理室内の圧力を上昇させる第2手順と、を含むサイクルで所定回数実行させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、反応管内の異物汚染を抑制可能な半導体装置の製造方法、クリーニング方法、基板処理装置及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態にて好適に用いられる処理炉の一例とそれに付随する部材の概略構成図であって、特に処理炉部分を縦断面で示す図である。
【図2】本発明の一実施形態にて好適に用いられる図1に示す処理炉のA−A線断面図である。
【図3】本発明の一実施形態にて好適に用いられる成膜工程とクリーニング工程を説明するフローチャートを示す図である。
【図4】本発明の一実施形態にて好適に用いられる成膜工程におけるシーケンスを示す図である。
【図5】本発明の一実施形態にて好適に用いられるクリーニング工程におけるシーケンスを示す図である。
【図6】本発明の一実施形態にて好適に用いられるクリーニング工程において、第三の工程の設定時間と1サイクル当たりのSiN膜の減少量の関係を示す実験結果である。
【図7】図6をグラフで示した図である。
【図8】(a)本実施形態及び比較例に係るクリーニング工程の圧力と時間との関係を説明するための図である。(b)本実施形態及び比較例に係るクリーニング工程のクリーニングガス流量と時間との関係を説明するための図である。
【図9】(a)比較例に係るクリーニング工程において、排気管が反応管の下部にある場合の反応管内の様子を示す図である。(b)比較例に係るクリーニング工程において、排気管が反応管の上部にある場合の反応管内の様子を示す図である。(c)比較例に係るクリーニング工程において、第三の工程を実施しない場合の反応管内の様子を示す図である。(d)本実施形態に係るクリーニング工程を用いた場合の反応管内の様子を示す図である。
【図10】反応管内のデッドスペースの発生部位を示す図である。
【図11】本発明の実施形態で好適に用いられる基板処理装置のコントローラの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<本発明の第1実施形態>
次に、本発明の好ましい第1の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1は、本発明の好ましい実施の形態において好適に使用される基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、処理炉202部分を縦断面で示している。図2は、本発明の好ましい実施の形態において好適に使用される基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、処理炉202部分を横断面で示す図である。
【0017】
図1に示されているように、処理炉202は、加熱手段(加熱機構)としてのヒータ207を有する。ヒータ207は円筒形状である。ヒータ207は保持板としてのヒータベース(図示せず)に支持されることにより垂直に据え付けられている。ヒータ207の内側には、ヒータ207と同心円状に反応容器(処理容器)を構成する反応管203が設けられる。
【0018】
反応管203の下部にはマニホールド209が設けられている。反応管203の下端部およびマニホールド209の上部開口端部には、それぞれ環状のフランジが設けられている。これらのフランジ間には気密部材としてのOリング220が配置され、両者の間は気密にシールされている。
【0019】
マニホールド209の下方には、反応管203の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219はマニホールド209の下端に垂直方向下側から当接されるようになっている。シールキャップ219は例えばステンレス等の金属で構成されており、円盤状に形成されている。シールキャップ219の上面にはマニホールド209の下端と当接するシール部材としてのOリング220が設けられている。少なくとも、反応管203、マニホールド209、及びシールキャップ219により処理室201が形成されている。なお、マニホールド209と反応管203とは同じ材質として、一体として構成されても良い。シールキャップ219の処理室201と反対側には、後述するボート217を回転させる回転機構267が設けられている。回転機構267の回転軸255はシールキャップ219を貫通して、ボート217に接続されている。回転機構267がボート217を回転させることでウエハ200を回転させるように構成されている。シールキャップ219は反応管203の外部に設けられた昇降機構としてのボートエレベータ115によって垂直方向に昇降されるように構成されている。ボートエレベータ115によりボート217を処理室201内に対し搬入搬出することが可能となっている。
【0020】
シールキャップ219には断熱部材としての石英キャップ218を介して基板保持手段(支持具、または、基板保持体という)としてのボート217が立設されている。石英キャップ218は、例えば石英や炭化珪素等の耐熱性材料で構成され断熱部として機能すると共にボートを保持する保持体となっている。ボート217は、例えば、石英や炭化珪素等の耐熱性材料で構成され複数枚のウエハ200を水平姿勢でかつ互いに中心を揃えた状態で整列させて管軸方向に多段に支持されるように構成されている。
なお、石英キャップ218は、ボート217と別体として設けずに、ボート217の下部に一体に設けてもよい。また、石英キャップ218に代えて、あるいは、石英キャップ218に加えて、ボート217の下部、あるいは石英キャップ218の下部に、円板状に形成された断熱板を複数枚設けるように構成してもよい。
【0021】
マニホールド209には、第1のノズル249a及び第2のノズル249bがマニホールド209を貫通するように設けられている。第1のノズル249aには第1のガス供給管232aが接続され、第2のノズル249bには第2のガス供給管232bが接続されている。
【0022】
第1のガス供給管232aには上流方向から順に、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)241a、開閉弁であるバルブ243a、247a、ガス溜り部248及び開閉弁であるバルブ251aが設けられている。このガス溜り部248は、例えば通常の配管よりもガス容量の大きなガスタンク又は螺旋配管などで構成される。
そして、バルブ247aまたはバルブ251aを開閉することにより、第1のガス供給管232aを介して後述する第1の処理ガスとしてのDCSガスをガス溜り部248に溜めたり、溜めたDCSガスを処理室201内に供給できるようになっている。また、第1のガス供給管232aには、不活性ガス供給管232cが接続されている。この不活性ガス供給管232cには、上流方向から順に、流量制御部としての流量制御器であるマスフローコントローラ241c、及び開閉弁であるバルブ243cが設けられている。また、第1のガス供給管232aの先端部には、上述の第1のノズル249aが接続されている。第1のノズル249aは、反応管203の内壁とウエハ200との間における円弧状の空間に、反応管203の内壁の下部より上部に沿って、ウエハ200の積載方向上方に向かって立ち上がるように設けられている。第1のノズル249aはL字型のロングのノズルとして構成されている。第1のノズル249aの側面にはガスを供給するガス供給孔250aが設けられている。ガス供給孔250aは反応管203の中心を向くように開口している。
このガス供給孔250aは、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられ、それぞれが同一の開口面積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられている。主に、第1のガス供給管232a、マスフローコントローラ241a、バルブ243a、247a、ガス溜り部248、バルブ251a及び第1のノズル249aにより第1のガス供給系が構成される。また、主に、不活性ガス供給管232c、マスフローコントローラ241c、バルブ243cにより第1の不活性ガス供給系が構成される。
【0023】
また、第1のガス供給管232aのバルブ251aの下流側には、クリーニングガス供給管252aが接続されている。このクリーニングガス供給管252aには、上流方向から順に、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ253a、開閉弁であるバルブ254a、及び開閉弁であるバルブ256aが設けられている。主に、クリーニングガス供給管252a、マスフローコントローラ253a、及びバルブ254a、256aによりクリーニングガス供給系が構成される。
【0024】
第2のガス供給管232bには上流方向から順に流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)241b、及び開閉弁であるバルブ243b、247bが設けられている。また、第2のガス供給管232bのバルブ243bの下流側には、不活性ガス供給管232dが接続されている。この不活性ガス供給管232dには、上流方向から順に、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ241d、及び開閉弁であるバルブ243dが設けられている。また、第2のガス供給管232bの先端部には、上述の第2のノズル249bが接続されている。第2のノズル249bは、ガス分散空間であるバッファ室237内に設けられている。
【0025】
バッファ室237は反応管203の内壁とウエハ200との間における円弧状の空間であって、反応管203内壁の下部より上部にわたる部分に、ウエハ200の積載方向に沿って設けられている。バッファ室237のウエハ200と隣接する壁の端部にはガスを供給するガス供給孔250cが設けられている。好適には、ガス供給孔250cは反応管203の中心を向くように開口していると、指向性の高いガス供給を行う場合に特に良い。好適には、このガス供給孔250cは、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられ、それぞれが同一の開口面積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられていると良い。
【0026】
第2のノズル249bは、バッファ室237のガス供給孔250cが設けられた端部とは反対側の端部に、反応管203の内壁の下部より上部に沿って、ウエハ200の積載方向上方に向かって立ち上がるように設けられている。第2のノズル249bはL字型のロングのノズルとして構成されている。第2のノズル249bの側面にはガスを供給するガス供給孔250bが設けられている。好適には、ガス供給孔250bはバッファ室237の中心を向くように開口していると良い。好適には、このガス供給孔250bは、バッファ室237のガス供給孔250cと同様に、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられていると良い。この複数のガス供給孔250bのそれぞれの開口面積は、バッファ室237内と処理室201内の差圧が小さい場合には、好適には、上流側(下部)から下流側(上部)まで、それぞれ同一の開口面積で同一の開口ピッチとするとよいが、差圧が大きい場合には、好適には、上流側から下流側に向かって、それぞれ開口面積を大きくするか、開口ピッチを小さくするとよい。
【0027】
本実施形態においては、各ガス供給孔250bの開口面積や開口ピッチを、上流側から下流側にかけて上述のように調節することで、まず、ガス供給孔250bのそれぞれから、流速の差はあるもの、流量がほぼ同量であるガスを噴出させる。そしてこのガス供給孔250bのそれぞれから噴出するガスを、一旦、バッファ室237内に導入し、バッファ室237内においてガスの流速差の均一化を行うこととした。
【0028】
すなわち、第2のノズル249bの各ガス供給孔250bよりバッファ室237内に噴出したガスはバッファ室237内で各ガスの粒子速度が緩和された後、バッファ室237のガス供給孔250cより処理室201内に噴出する。これにより、各ガス供給孔250bよりバッファ室237内に噴出したガスは、各ガス供給孔250cより処理室201内に噴出する際には、均一な流量と流速とを有するガスとなる。
【0029】
主に、第2のガス供給管232b、マスフローコントローラ241b、バルブ243b、247b、第2のノズル249b、バッファ室237により第2のガス供給系が構成される。また、主に、不活性ガス供給管232d、マスフローコントローラ241d、バルブ243dにより第2の不活性ガス供給系が構成される。
【0030】
第1のガス供給管232aからは、例えば、シリコン原料ガス、すなわちシリコン(Si)を含むガス(シリコン含有ガス)が第1の処理ガスとして、マスフローコントローラ241a、バルブ243a、247a、ガス溜り部248、バルブ251a及び第1のノズル249aを介して処理室201内に供給される。シリコン含有ガスとしては、例えばジクロロシラン(SiH2Cl2、DCS)ガスやヘキサクロロジシラン(Si2Cl6、HCD)ガス等を用いることができる。尚、第1の処理ガスは、常温常圧で固体、液体、及び気体のいずれであっても良いが、ここでは気体として説明する。第1の処理ガスが常温常圧で液体の場合は気化器(不図示)を設ける。
【0031】
第2のガス供給管232bからは、例えば窒素(N)を含むガス(窒素含有ガス)が原料ガスを改質する第2の処理ガスとして、マスフローコントローラ241b、バルブ243b、247b、第2のノズル249b、バッファ室237を介して処理室201内に供給される。窒素含有ガスとしては、例えばアンモニア(NH3)ガスを用いることができる。
【0032】
不活性ガス供給管232c及び232dからは、不活性ガスとして例えば窒素(N2)ガスが、それぞれマスフローコントローラ241c、バルブ243c、第1のガス供給管232a及び第1のノズル249aを介して、マスフローコントローラ241d、バルブ243d、第2のガス供給管232b、第2のノズル249b及びバッファ室237を介して処理室201内に供給される。
【0033】
クリーニングガス供給管252aからは、クリーニングガスとして例えば三フッ化窒素(NF3)ガスが、マスフローコントローラ253a、バルブ254a、256a及び第1のノズル249aを介して処理室201内に供給される。
【0034】
なお、例えば各ガス供給管から上述のようなガスをそれぞれ流す場合、第1のガス供給系により原料ガス供給系、すなわちシリコン含有ガス供給系(シラン系ガス供給系)が構成される。また、第2のガス供給系により改質ガス供給系、すなわち窒素含有ガス供給系が構成される。
【0035】
バッファ室237内には、図1及び図2に示すように、細長い構造を有する第1の電極である第1の棒状電極269及び第2の電極である第2の棒状電極270が、反応管203の下部より上部にわたりウエハ200の積層方向に沿って配設されている。第1の棒状電極269及び第2の棒状電極270は、第2のノズル249bと平行に設けられており、上部より下部にわたって各電極を保護する保護管である電極保護管275によりそれぞれ覆われることで保護されている。この第1の棒状電極269又は第2の棒状電極270のいずれか一方は整合器272を介して高周波電源273に接続され、他方は基準電位であるアースに接続されている。この結果、第1の棒状電極269及び第2の棒状電極270間のプラズマ生成領域224にプラズマが生成される。主に、第1の棒状電極269、第2の棒状電極270、電極保護管275、整合器272、高周波電源273によりプラズマ発生器(プラズマ発生部)としてのプラズマ源が構成される。なお、プラズマ源は、後述するようにガスをプラズマで活性化させる活性化機構として機能する。
【0036】
電極保護管275は、第1の棒状電極269及び第2の棒状電極270のそれぞれをバッファ室237の雰囲気と隔離した状態でバッファ室237内に挿入できる構造となっている。ここで、電極保護管275の内部は外気(大気)と同一雰囲気であると、電極保護管275にそれぞれ挿入された第1の棒状電極269及び第2の棒状電極270はヒータ207による熱で酸化されてしまう。そこで、電極保護管275の内部には窒素などの不活性ガスを充填あるいはパージし、酸素濃度を充分低く抑えて第1の棒状電極269又は第2の棒状電極270の酸化を防止するための不活性ガスパージ機構(図示せず)が設けられている。
【0037】
マニホールド209には、処理室201内の雰囲気を排気する排気管231が設けられている。なお、マニホールド209に代えて、反応管203に排気管231を設けるように構成しても良い。
排気管231には処理室201内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ245及び圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ244を介して真空排気装置としての真空ポンプ246が接続されており、処理室201内の圧力が所定の圧力(真空度)となるよう真空排気し得るように構成されている。なお、APCバルブ244は弁を開閉して処理室201内の真空排気・真空排気停止ができ、更に弁開度を調節して圧力調整可能となっている開閉弁である。主に、排気管231、APCバルブ244、真空ポンプ246、圧力センサ245により排気系が構成される。
【0038】
反応管203内には温度検出器としての温度センサ263が設置されており、温度センサ263により検出された温度情報に基づきヒータ207への通電具合を調整することで、処理室201内の温度が所望の温度分布となるように構成されている。温度センサ263は、ノズル249a及び249b、と同様にL字型に構成されており、反応管203の内壁に沿って設けられている。
【0039】
反応管203内には、後述するクリーニングガス供給後の反応管203内に付着した膜の除去状態を確認する石英製の板状部材266a、266bが設けられている。板状部材266a及び266bは、反応管203の内壁の下部より上部に沿って、ウエハ200の積載方向に沿って延びた状態で設けられている。例えば、板状部材266aは、反応管203内の壁面であって第1のノズル249aのガス供給孔250aに対向する位置に配置され、板状部材266bは、反応管203内の壁面であって第1のノズル249aに隣接する位置に配置される。
【0040】
制御部(制御手段)であるコントローラ121は、マスフローコントローラ241a、241b、241c、241d及び253a、バルブ243a、243b、243c、243d、247a、247b、251a、254a及び256a、圧力センサ245、APCバルブ244、真空ポンプ246、ヒータ207、温度センサ263、ボート回転機構267、ボートエレベータ115、高周波電源273等に接続されている。コントローラ121により、マスフローコントローラ241a、241b、241c、241d及び253aによる各種ガスの流量調整動作、バルブ243a、243b、243c、243d、247a、247b、251a、254a及び256aの開閉動作、APCバルブ244の開閉及び圧力センサ245に基づく圧力調整動作、温度センサ263に基づくヒータ207の温度調整動作、真空ポンプ246の起動・停止、ボート回転機構267の回転速度調節動作、ボートエレベータ115の昇降動作等の制御や、高周波電源273の電力供給制御が行われる。
【0041】
なお、図11に示されているように、制御部(制御手段)であるコントローラ121は、CPU
(Central Processing Unit)121a、RAM(Random Access Memory)121b、記憶装置121c、I/Oポート121dを 備えたコンピュータとして構成されている。RAM121b、記憶装置121c、I/Oポート121dは、内部バス121eを介して、CPU121aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ121には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置122が接続されている。
【0042】
記憶装置121cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置121c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件などが記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。なお、プロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ121に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単にプログラムともいう。なお、本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、プロセスレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。また、RAM121bは、CPU121aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0043】
I/Oポート121dは、上述のマスフローコントローラ241a,241b,241c,241d,241e,241f,241g、バルブ243a,243b,243c,243d,243e,243f,243g、圧力センサ245、APCバルブ244、真空ポンプ246、ヒータ207、温度センサ263、回転機構267、ボートエレベータ115等に接続されている。
【0044】
CPU121aは、記憶装置121cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cからプロセスレシピを読み出すように構成されている。そして、CPU121aは、読み出したプロセスレシピの内容に沿うように、マスフローコントローラ241a,241b,241c,241d,253aによる各種ガスの流量調整動作、バルブ243a,243b,243c,243d,247a,247b,251a,254a,256a等の開閉動作、APCバルブ244の開閉動作及びAPCバルブ244による圧力センサ245に基づく圧力調整動作、温度センサ263に基づくヒータ207の温度調整動作、真空ポンプ246の起動および停止、回転機構267によるボート217の回転および回転速度調節動作、ボートエレベータ115によるボート217の昇降動作等を制御するように構成されている。
【0045】
なお、コントローラ121は、専用のコンピュータとして構成されている場合に限らず、汎用のコンピュータとして構成されていてもよい。例えば、上述のプログラムを格納した外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)123を用意し、係る外部記憶装置123を用いて汎用のコンピュータにプログラムをインストールすること等により、本実施形態に係るコントローラ121を構成することができる。なお、コンピュータにプログラムを供給するための手段は、外部記憶装置123を介して供給する場合に限らない。例えば、インターネットや専用回線等の通信手段を用い、外部記憶装置123を介さずにプログラムを供給するようにしてもよい。なお、記憶装置121cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に記録媒体ともいう。なお、本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置121c単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。
【0046】
次に、上述の基板処理装置の処理炉を用いて半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として、基板上に絶縁膜を成膜し、セルフクリーニング処理をするシーケンス例について説明する。尚、以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ121により制御される。
【0047】
ここでは第1の処理ガスとしてシリコン含有ガスであるDCSガスを、第2の処理ガスとして窒素含有ガスであるNH3ガスを用い、基板上に絶縁膜としてSiN膜を形成し、装置をセルフクリーニング処理する例について図3〜図5を参照して説明する。
【0048】
図3は、本発明の一実施形態にて好適に用いられる成膜工程とクリーニング工程を説明するフローチャートである。また、図4は、本発明の一実施形態にて好適に用いられる成膜工程におけるシーケンス図であって、図5は、本発明の一実施形態にて好適に用いられるクリーニング工程におけるシーケンス図である。
【0049】
まず、複数枚のウエハ200がボート217に装填(ウエハチャージ)される(ステップS201)。次に、図1に示されているように、複数枚のウエハ200を支持したボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201内に搬入(ボートロード)される(ステップS202)。この状態で、シールキャップ219はOリング220を介してマニホールド209の下端をシールした状態となる。
【0050】
処理室201内が所望の圧力(真空度)となるように真空ポンプ246によって真空排気される。この際、処理室201内の圧力は、圧力センサ245で測定され、この測定された圧力に基づきAPCバルブ244が、フィードバック制御される(圧力調整)(ステップS203)。また、処理室201内が所望の温度となるようにヒータ207によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように、温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電具合がフィードバック制御される(温度調整)(ステップS204)。続いて、回転機構267により、ボート217が回転されることで、ウエハ200が回転される。次に、DCSガスとNH3ガスを処理室201内に供給することによりSiN膜を成膜する成膜工程を行う。なお、DCSガスはそれ単独で成膜することができるガスであり、熱分解等によりSi膜を処理室201内やノズル形成する。
【0051】
(成膜工程)
<ステップS205>
ステップS205では、まずDCSガスを流す。第1のガス供給管232aのバルブ243a、247a又はバルブ251aを開閉する。これにより、ガス溜り部248を介して第1のガス供給管232a内にDCSガスを流す。第1のガス供給管232a内を流れたDCSガスは、マスフローコントローラ241aにより流量調整される。流量調整されたDCSガスは第1のノズル249aのガス供給孔250aから処理室201内に供給されつつガス排気管231から排気される。このとき、好適には、同時にバルブ243cを開き、不活性ガス供給管232c内に不活性ガスを流す。不活性ガスとしては、Heガス、Neガス、Arガス等の18族元素ガスが好適である。ヒータ207の温度、すなわちウエハ200の温度が低く設定されている本実施形態においては、好適にはN2ガスを用いると良い。不活性ガス供給管232c内を流れたN2ガスは、マスフローコントローラ241cにより流量調整される。流量調整されたN2ガスはDCSガスと一緒に処理室201内に供給されつつガス排気管231から排気される。なお、このとき、好適には、同時にバルブ243d、バルブ247bを開き、不活性ガス供給管232d内に不活性ガスを流しても良い。不活性ガスとしては、Heガス、Neガス、Arガス等の18族元素ガスが好適である。ヒータ207の温度、すなわちウエハ200の温度が低く設定されている本実施形態においては、好適にはN2ガスを用いると良い。不活性ガス供給管232d内を流れたN2ガスは、マスフローコントローラ241dにより流量調整される。流量調整されたN2ガスは、第2のノズル249bのガス供給孔250bからバッファ室237内に供給される。その後、バッファ室237内に供給されたN2ガスは、ガス供給孔250cから処理室201内に供給されつつガス排気管231から排気される。これにより、DCSガスがバッファ室237、第2のノズル249b等へ流れ、バッファ室237、第2のノズル249b内に堆積するのを抑制することができる。
【0052】
このとき、APCバルブ244を適正に調整して処理室201内の圧力を、例えば10〜1000Paの範囲内の圧力とする。マスフローコントローラ241aで制御するDCSガスの供給流量は、例えば100〜5000sccmの範囲内の流量とする。DCSガスをウエハ200に晒す時間、すなわちガス供給時間(照射時間)は、例えば2〜120秒間の範囲内の時間とする。このときヒータ207の温度は、ウエハ200の温度が、例えば、300〜650℃の範囲内の温度となるような温度に設定する。
【0053】
DCSガスの供給により、ウエハ200表面の下地膜上に、シリコン含有層としてのシリコン層(Si層)が形成される。シリコン含有層はDCSの化学吸着(表面吸着)層であってもよい。
【0054】
<ステップS206>
ステップS206では、シリコン含有層が形成された後、バルブ243aを閉じ、DCSガスの供給を停止する。このとき、ガス排気管231のAPCバルブ244は開いたままとして、真空ポンプ246により処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留する未反応もしくはシリコン含有層形成に寄与した後のDCSガスを処理室201内から排除する。なお、この時、好適にはバルブ243c、247a及び251aは開いたままとして、N2ガスの処理室201内への供給を維持しても良い。また、好適には、バルブ243c、247a及び251a、バルブ243d、バルブ247bは開いたままとして、N2ガスの処理室201内への供給を維持しても良い。これにより、処理室201内に残留する未反応もしくはシリコン含有層形成に寄与した後のDCSガスを処理室201内から排除する効果を高める。不活性ガスとしては、N2ガスの他、Arガス、Heガス、Neガス、Xeガス等の希ガスを用いてもよい。
【0055】
<ステップS207>
ステップS207では、処理室201内の残留ガスを除去した後、第2のガス供給管232bのバルブ243b及び247bを開き、第2のガス供給管232b内に窒素含有ガスとしてのNH3ガスを流す。NH3ガスはそれ単独で成膜することができないガスである。第2のガス供給管232b内を流れるNH3ガスは、マスフローコントローラ241bにより流量調整される。流量調整されたNH3ガスは第2のノズル249bのガス供給孔250bからバッファ室237内に供給される。このとき、第1の棒状電極269及び第2の棒状電極270間に高周波電源273から整合器272を介して高周波電力を印加することで、バッファ室237内に供給されたNH3ガスはプラズマ励起され、活性種としてガス供給孔250cから処理室201内に供給されつつガス排気管231から排気される。この時、好適には、同時にバルブ243dを開き、不活性ガス供給管232d内に不活性ガスとしてのN2ガスを流す。N2ガスはNH3ガスと一緒に処理室201内に供給されつつガス排気管231から排気される。なお、このとき、好適には、同時にバルブ243c、バルブ247a、バルブ251aを開き、不活性ガス供給管232c内に不活性ガスを流しても良い。不活性ガスとしては、Heガス、Neガス、Arガス等の18族元素ガスが好適である。ヒータ207の温度、すなわちウエハ200の温度が低く設定されている本実施形態においては、好適にはN2ガスを用いると良い。不活性ガス供給管232c内を流れたN2ガスは、マスフローコントローラ241cにより流量調整される。流量調整されたN2ガスは、第1のノズル249aのガス供給孔250aから処理室201内に供給されつつガス排気管231から排気される。これにより、NH3ガスが第1のノズル249a等へ流れるのを抑制することができる。
【0056】
NH3ガスをプラズマ励起することにより活性種として流すときは、APCバルブ244を適正に調整して処理室201内の圧力を、例えば10〜100Paの範囲内の圧力とする。マスフローコントローラ241bで制御するNH3ガスの供給流量は、例えば1000〜10000sccmの範囲内の流量とする。NH3ガスをプラズマ励起することにより得られた活性種にウエハ200を晒す時間、すなわちガス供給時間(照射時間)は、例えば2〜120秒間の範囲内の時間とする。このときのヒータ207の温度は、ステップS205と同様、ウエハ200の温度が300〜650℃の範囲内の温度となるような温度に設定する。なお、高周波電源273から第1の棒状電極269及び第2の棒状電極270間に印加する高周波電力は、例えば50〜1000Wの範囲内の電力となるように設定する。NH3ガスは反応温度が高く、上記のようなウエハ温度、処理室内圧力では反応しづらいので、プラズマ励起することにより活性種としてから流すようにしており、このためウエハ200の温度は上述のように設定した低い温度範囲のままでよい。なお、NH3ガスを供給する際にプラズマ励起せず、ヒータ207の温度を適正に調整してウエハ200の温度を例えば650℃以上の温度とし、さらにAPCバルブ244を適正に調整して処理室201内の圧力を例えば50〜3000Paの範囲内の圧力とすることで、NH3ガスをノンプラズマで熱的に活性化することも可能である。なお、NH3ガスは熱で活性化させて供給すると、ソフトな反応を生じさせることができる。
【0057】
このとき、処理室201内に流しているガスはNH3ガスをプラズマ励起することにより得られた活性種、もしくは処理室201内温度を高くすることで熱的に活性化されたNH3ガスであり、処理室201内にはDCSガスは流していない。したがって、NH3ガスは気相反応を起こすことはなく、活性種となった、もしくは活性化されたNH3ガスは、ステップS205でウエハ200上に形成された第1の層としてのシリコン含有層の一部と反応する。これによりシリコン含有層は窒化されて、シリコン及び窒素を含む第2の層、すなわち、シリコン窒化層(SiN層)へと改質される。
【0058】
<ステップS208>
ステップS208では、第2のガス供給管232bのバルブ243bを閉じて、NH3ガスの供給を停止する。このとき、ガス排気管231のAPCバルブ244は開いたままとして、真空ポンプ246により処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留する未反応もしくは窒化に寄与した後のNH3ガスを処理室201内から排除する。なお、この時、好適には、バルブ243d及び247bは開いたままとして、N2ガスの処理室201内への供給を維持しても良い。また、好適には、バルブ243d、247b、243c、247a及び251aは開いたままとして、N2ガスの処理室201内への供給を維持しても良い。
これにより、処理室201内に残留する未反応もしくは窒化に寄与した後のNH3ガスを処理室201内から排除する効果を高める。
【0059】
窒素含有ガスとしては、NH3ガスをプラズマや熱で励起したガス以外に、N2ガス、N3ガス、N3H8ガス等をプラズマや熱で励起したガスを用いてもよく、これらのガスをArガス、Heガス、Neガス、Xeガス等の希ガスで希釈したガスをプラズマや熱で励起して用いてもよい。
【0060】
上述したステップS205〜S208を1サイクルとして、このサイクルを少なくとも1回以上行うことにより(ステップS209)、ウエハ200上に所定膜厚のシリコンおよび窒素を含むSiN膜を成膜することができる。なお、上述のサイクルは、複数回繰り返すのが好ましい。
【0061】
所定膜厚のSiN膜を形成する成膜処理がなされると、N2ガス等の不活性ガスが処理室201内へ供給されつつ排気されることで処理室201内が不活性ガスでパージされる(ガスパージ)(ステップS210)。その後、処理室201内の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、処理室201内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)(ステップS211)。
【0062】
その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降されて、マニホールド209の下端が開口されるとともに、処理済ウエハ200がボート217に支持された状態でマニホールド209の下端から反応管203の外部に搬出(ボートアンロード)される(ステップS212)。その後、処理済ウエハ200はボート217より取出される(ウエハディスチャージ)(ステップS213)。
【0063】
以上により、DCSガスとNH3ガスとを用いてウエハ200の表面にSiN膜を成膜することができる。
【0064】
なお、SiN膜を成膜する際に使用する原料ガスとして、DCSガスとNH3ガスとを用いる場合のみならず、ヘキサクロロジシラン(Si2Cl6、HCD)とNH3を用いる場合であっても、それ以外のSi原料や窒化原料を用いている場合であっても、また、Si原料と窒化原料とを交互に供給してALD法によってSiN膜を成膜する場合のみならず、Si原料と窒化原料とを同時に供給してCVD法によってSiN膜を成膜する場合にも、本発明の好ましい実施の形態のエッチング方法は好適に適用できる。
【0065】
次に、本発明の好ましい実施の形態における処理炉202のクリーニング工程について説明する。
【0066】
成膜工程では、反応管203や、マニホールド209、排気管231の内壁、バッファ室237、第一のノズル249a、第2のノズル249bの内外壁等に堆積物が付着する。この堆積物の材質、量は、ウエハ200上へ成膜すべき膜の材質、膜厚、使用するガス種によりさまざまであり、一回の成膜工程の直後にクリーニング工程を実施する場合の他、複数回の成膜工程を実施し、所定の堆積量になった後にクリーニング工程を実施する場合や、一回以上の成膜工程前に実施する場合もある。ここでは、一回の成膜工程の直後に実施する場合について説明する。
本発明の好ましい実施の形態におけるクリーニング工程では、成膜待機状態の温度もしくはその近傍の温度帯にてガスクリーニングを実施する。すなわち、上述したように、DCSガスとNH3ガスとを用いてALD法によりSiN膜を成膜する場合には、ヒータ207の温度が、ウエハ200の温度が300〜650℃の範囲内の温度になるように設定しているので、ガスクリーニングも、処理室201内の温度が300〜650℃の範囲内の温度にて実施する。なお、ガスクリーニングは、温度変更時間を省略し、工程時間を短くするために成膜待機状態の温度もしくはその近傍の温度帯からはじめるが、温度を任意に変更しエッチング条件を変化させて実施してもよい。
【0067】
本実施形態では、反応管203内壁等に付着した堆積物をエッチングするエッチングガス(クリーニングガスともいう)としてNF3ガスを用いる。NF3ガスはNH3ガスポートである第2のガス供給管232bから供給してもよい。しかし、好適には、NH3ガスポートはそれ単独で成膜可能な原料ガスとしてのSiソースポートより相対的にプラズマ強度が強いエリアに設けられているため、図1に示されているようにSiソース側である第1のガス供給管232aから供給すると良い。これにより、反応管203、ノズル249a、249b、バッファ室237等の特に石英部材をはじめ、処理室201を形成する部材や排気管231等のダメージを抑制できる。また、処理室201を形成する部材や排気管231等のダメージの抑制や、コスト面で高くなったり、設置スペースが必要になったりする問題が生じないようであれば、好適には、第1のガス供給管232a、第2のガス供給管232bの両方から、クリーニングガスを供給するようにしても良い。
【0068】
ガスクリーニング時には、NH3ポートより供給される励起されたN2種などからクリーニングガスヘの励起エネルギーの移動(授受)によりクリーニングガスが励起され、もしくは、NH3ポート付近へ拡散しているクリーニングガスやN2などが高周波により励起されて、クリーニングが進行すると考えられる。
【0069】
まず、ウエハ200を搭載しない状態の空のボート217が、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201内に搬入(ボートロード)される(ステップS301)。この状態で、シールキャップ219はOリング220を介してマニホールド209の下端をシールした状態となる。
【0070】
処理室201内が所望の圧力(真空度)となるように真空ポンプ246によって真空排気される。この際、処理室201内の圧力は、圧力センサ245で測定され、この測定された圧力に基づきAPCバルブ244が、フィードバック制御される(圧力調整)(ステップS302)。
【0071】
一方、ヒータ207を制御して処理室201内を例えば300〜650℃の範囲内の成膜待機状態の温度、例えば、630℃に保持しておく(温度調整)(ステップS303)。
【0072】
続いて、クリーニングガスであるNF3ガスと不活性ガスであるN2ガスを処理室201内に供給することによりセルフクリーニング処理をするクリーニング工程を行う。
【0073】
(クリーニング工程)
<ステップS304、第一の工程>(例えば1秒)
まず、APCバルブ244を閉めて、処理室201内の排気処理を停止する。
【0074】
<ステップS305、第二の工程>(例えば15秒)
ステップS305では、排気処理が停止している処理室201内へ所定量(例えば500cc)のNF3ガスを流す。すなわち、クリーニングガス供給管252aのバルブ254a、256aを開閉することにより、クリーニングガス供給管252a内にNF3ガスを流す。クリーニングガス供給管252a内を流れたNF3ガスは、マスフローコントローラ253aにより流量調整される。流量調整されたNF3ガスは第1のノズル249aのガス供給孔250aから処理室201内に供給される。このとき、好適には、不活性ガス供給管232cからは、例えば75ccの不活性ガスとしてのN2ガスが処理室201内へ供給されるようにしても良い。なお、以上の動作の間は、処理室201内の温度を630℃に保持したままとする。
この第二の工程では、上述した第一の工程で排気処理を停止しているため、処理室201を構成する、反応管203、バッファ室237等の構造に依存されることなく、均一にクリーニングガス(NF3ガス)が行き渡る。これは、ガスは圧力の高い場所から低い場所へ流れる性質があるため、排気処理を停止していることにより処理室201内において圧力上昇が等方的に進行されるためである。
なお、このとき、バッファ室237内、第2のノズル249b内外での堆積物の付着がない若しくは、少ない場合には、好適には、同時にバルブ243d、バルブ247bを開き、不活性ガス供給管232d内に不活性ガスを流しても良い。不活性ガスとしては、Heガス、Neガス、Arガス等の18族元素ガスが好適である。ヒータ207の温度、すなわちウエハ200の温度が低く設定されている本実施形態においては、好適にはN2ガスを用いると良い。不活性ガス供給管232d内を流れたN2ガスは、マスフローコントローラ241dにより流量調整される。流量調整されたN2ガスは、第2のノズル249bのガス供給孔250bからバッファ室237内に供給される。その後、バッファ室237内に供給されたN2ガスは、ガス供給孔250cから処理室201内に供給されつつガス排気管231から排気される。これにより、クリーニングガスがバッファ室237、第2のノズル249b等へ流れ、バッファ室237、第2のノズル249bが過剰に劣化するのを抑制することができる。
【0075】
<ステップS306、第三の工程>(X秒)
ステップS306では、バルブ254a、256aを閉じ、NF3ガスの供給を停止し、不活性ガス供給管232cのバルブ243c及びバルブ247a、251aを開閉することにより、所定量(例えば1slm)の不活性ガスとしてのN2ガスを流す。すなわち、クリーニングガスとしてのNF3ガスよりも処理室201を構成する部材、反応管203、バッファ室237、第1のノズル249a、第2のノズル249bに対するエッチング力のない不活性ガスを前記処理室内に供給し、堆積物に対するエッチング力のない不活性ガスを処理室201内に供給し、処理室201内の圧力を上昇させる。
これにより、処理室201内の圧力を高めることができ、圧力を高めることでNF3ガスの分解を促進し、堆積物や累積膜と反応させて、これらを除去することを可能にできる。また、NF3ガスの消費効率を高めることができる。
また、この第三の工程において、第1のノズル249aからN2ガスを供給することで、第1のノズル249a内に残留しているNF3ガスがN2ガスで押し出される。これにより、第1のノズル249aの上流側(下部)から下流側(上部)の各ガス供給孔250aから等量のNF3ガスが供給され、各ガス供給孔250aの開口面積の経時変化量を均一化することができる。すなわち、第三の工程がない場合には、第1のノズル249aの上流側のガス供給孔250aから大量のNF3ガスが流れることで、上流側のガス供給孔250aの開口面積だけが大きくなる。この結果、後の成膜工程において、下流側に比べ上流側のウエハ200に大量の原料ガスが流されることになる。すなわち、下流側、上流側で膜厚が異なり、ウエハ200間での膜厚均一性が悪化することになる。しかしながら、第三の工程を設けることで、これらの問題を是正することができる。
なお、このとき、バッファ室237内、第2のノズル249b内外での堆積物の付着がない若しくは、少ない場合には、好適には、同時にバルブ243d、バルブ247bを開き、不活性ガス供給管232d内に不活性ガスを流しても良い。不活性ガスとしては、Heガス、Neガス、Arガス等の18族元素ガスが好適である。ヒータ207の温度、すなわちウエハ200の温度が低く設定されている本実施形態においては、好適にはN2ガスを用いると良い。不活性ガス供給管232d内を流れたN2ガスは、マスフローコントローラ241dにより流量調整される。流量調整されたN2ガスは、第2のノズル249bのガス供給孔250bからバッファ室237内に供給される。その後、バッファ室237内に供給されたN2ガスは、ガス供給孔250cから処理室201内に供給されつつガス排気管231から排気される。これにより、クリーニングガスがバッファ室237、第2のノズル249b等へ流れ、バッファ室237、第2のノズル249bが過剰に劣化するのを抑制することができる。また、これにより、より一層、処理室201内の圧力を高めることができ、NF3ガスの分解を促進し、堆積物や累積膜と反応させて、これらを除去することを可能とし、また、NF3ガスの消費効率を高めることができる。
【0076】
<ステップS307、第四の工程>(例えば10秒)
ステップS307では、APCバルブ244を開き、処理室201内の排気処理を開始して、処理室201内に残留しているNF3ガスと累積膜の反応生成ガスを排気処理する。
【0077】
上述したステップS304〜S307を1サイクルとして、このサイクルを所定回数、少なくとも1回以上行うことにより(ステップS308)、処理室201内がセルフクリーニングされる。なお、上述のサイクルは、複数回繰り返すのが好ましい。
【0078】
上述のクリーニング処理がなされると、N2ガス等の不活性ガスが処理室201内へ供給されつつ排気されることで処理室201内が不活性ガスでパージされる(ガスパージ)(ステップS309)。その後、処理室201内の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、処理室201内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)(ステップS310)。
【0079】
その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降されて、マニホールド209の下端が開口されて、空のボート217がマニホールド209の下端から反応管203の外部に搬出(ボートアンロード)される(ステップS311)。
【0080】
本実施形態におけるクリーニング工程によれば、1サイクルの処理(第一の工程から第四の工程まで)で除去できる堆積物や累積膜の量は、主に、上述した第二の工程で供給されるクリーニングガス供給量と処理室内の温度に依存する。
【0081】
また、上述のサイクルの繰り返しにより、処理室201内のガス流れの悪くなるガス滞留エリア(デッドスペース)において、SiN膜とNF3ガスが反応して四フッ化ケイ素(SiF4)ガスや窒素(N2)ガスとなる化学反応をおこして堆積物や累積膜を除去することができる。また、窒素ガス等の不活性ガス等と比べ、比較的高価なクリーニングガスの消費効率を向上させることができる。
【0082】
図6は、本発明の一実施形態にて好適に用いられるクリーニング工程において、上述の第三の工程の設定時間と1サイクル当たりのSiN膜の減少量の関係を示す実験結果である。図7は、図6をグラフで示した図である。ここで、SiN膜の減少量はドライエッチングレート(DER)で示されており、DER(Å/cycle)は1サイクルあたりのSiN膜の減少量(Å:オングストローム)であり、DER(Å/min)は1分あたりの実質的なクリーニング速度である。
なお、上述したように、クリーニングガスとしてNF3ガスを用いて、処理室201内の温度を625℃とした。
【0083】
ここで、クリーニングガス消費効率は、第四の工程で排気された未反応のクリーニングガス量/第二の工程で導入されたクリーニングガス量で定義される。また、第四の工程における排気ガスを分析しなくても、1サイクル当たりの累積膜(SiN膜)の減少量と、第三の工程の時間依存を調べることで、クリーニングガス消費効率を調べることができる。
【0084】
図6及び図7に示されているように、DER(Å/min)でみると、第三の工程の設定時間は13秒程度が最適であることが分かる。また、DER(Å/cycle)は、13秒以上ではあまり増加しないことが分かるが、この上限値は主に第二の工程でのクリーニングガスであるNF3ガスの導入量で決まる。また、第三の工程における時間を13秒以上に設定しても、DER(Å/cycle)が上昇しないのは、第二の工程で導入されたNF3ガスの大部分は処理室201内にある累積膜と反応しており、13秒以上の時間では処理室201内にNF3ガスがほとんど存在しなくなっているためと考えられる。したがって、第二の工程でのNF3ガス供給量と第三の工程の設定時間によって、1サイクルでリミットがかかったセルフクリーニングを実施することができることが分かる。すなわち、第三の工程の調整によって、クリーニングガス(NF3ガス)消費効率を向上させることができる。例えば、第二の工程において、NF3ガスを2SLMの流量で15秒間流すと、処理室201内へのNF3ガスのトータル供給量は500ccとなる。この第二の工程で供給されたNF3ガス量でエッチングできる堆積物や累積膜の最大エッチング量を規定することができる。このとき、第三の工程がない場合には、NF3ガスが、実質的に排気管231を経由し排気されてしまうので、その分だけ上記の最大エッチング量よりは低い量しか堆積物や累積膜をエッチングできないため、規定しにくいという問題があるが、第三の工程があるため、規定しやすくすることができる。また、第三の工程がある場合には、既定量のクリーニングガスを処理室201内で対流させることができる。これにより、選択的に堆積物や累積膜とクリーニングガスを反応させることができ、処理室201を構成する部材のクリーニングガスとの反応による劣化、ダメージの発生を低減することができる。例えば、SiN膜等の堆積物や累積膜とNF3ガスを選択的に反応させることができ、処理室201を構成する部材としての反応管203や、第1のノズル249a及び第2のノズル249b等の石英部材のNF3ガスとの反応による劣化、ダメージの発生を低減することができる。
また、処理室201内では、未反応のNF3ガスが排気管231等の排気系統へダメージを与えるという問題があるが、第三の工程があるため、この問題の発生を抑制することができる。
第三の工程がない場合には、第二の工程で処理室201に供給されたNF3ガスの消費効率が23%であったが、第三の工程がある場合には、第二の工程で処理室201に供給されたNF3ガスの消費効率が97%にすることができ、格段にクリーニングガスの消費効率を向上させることができる。
【0085】
また、処理室201内の温度を高くした場合や第二の工程のNF3ガス供給量が増えた場合、処理室201内の容量が変化した場合、不活性ガスであるN2ガスの流量を変更した場合、NF3ガスの供給配管の長さを変更した場合等、様々な条件により、第三の工程の設定時間の最適値へ影響を与えると推定できる。したがって、本発明の実施形態に係るクリーニング工程を実施する場合は、上述したような条件検討、すなわち最適化を実施することが望ましい。
【0086】
以上述べたように、本実施形態に係るクリーニング工程によれば、クリーニングガス消費量を把握しながら条件最適化が容易なうえ、処理室内の構成部材に対するダメージ(経時変化)を低減させることができる。つまり、1サイクル内の第二の工程のクリーニングガス供給量でDER(Å/cycle)の上限値が規定でき、この1サイクル当たりのクリーニングガス供給量によりエッチングされる量(累積膜減少量)はリミットをかけることができる。1サイクル毎にリミットをかけたクリーニングを実施することができるので、処理室201を構成する部材へのセルフクリーニングによるダメージ(経時変化)は従来より抑制することができ、処理室201を構成する部材の交換周期を長くすることができ、長期間にわたって装置を安定的に稼動させることができる。
【0087】
図8は、本実施形態及び比較例に係るクリーニング工程を説明するための図であって、図9は、本実施形態及び比較例に係るクリーニング工程を用いた場合の反応管203内の様子を示すイメージ図である。
【0088】
比較例1は、APCバルブ244の開度を調整することで処理室201内の圧力を一定に維持しながら、一定のクリーニングガス供給量でクリーニングを実施した例であって、本実施形態に係るクリーニング工程の第一の工程を実施しない(排気処理を停止しない)例である。反応管203内は、図9(a)に示されているように、排気管231が反応管203の下部にある場合であっても、図9(b)に示されているように、排気管231が反応管203の上部にある場合であっても、ノズル249周辺と排気管231(排気口)周辺にクリーニングガスが集中してしまい、処理室201の雰囲気は不均一となってしまうことが分かる。
【0089】
比較例2は、上述の本実施形態に係るクリーニング工程において第三の工程(不活性ガス供給)を実施しない例である。反応管203内は、図9(c)に示されているように、ノズル249周辺とノズル249と反応管203の間等のデットスペースにクリーニングガスが溜まってしまい、処理室201の雰囲気が不均一となってしまうことが分かる。また、この場合には、ノズル249内や図示していないガス供給配管内部に未反応のクリーニングガスが滞在し、排気処理時にこれらが未反応のまま排気されるためクリーニングガス消費効率が低くなる(無駄になる)。
【0090】
一方、本実施形態に係るクリーニング工程によれば、図9(d)に示されているように、排気処理を停止させた状態で不活性ガスを一定時間供給することで、処理室201内の圧力は高まり、処理室201内の雰囲気は均一となる。また、ノズル249内を不活性ガスで処理室へ押し出しているため、クリーニングガスの消費効率を従来よりも向上させることができる。
【0091】
すなわち、本発明の実施形態によれば、ガス流れやハードウェア構造に依存しないセルフクリーニングを実現でき、ハードウェア構成部材へのダメージを低減しつつ、クリーニングガス消費効率を向上させることができ、結果として生産性を向上させることができる。
【0092】
以上のように本発明の実施形態によれば、以下の少なくとも1つ以上の効果を奏する。
(1)反応管内の異物汚染を抑制することができる
(2)クリーニングガス消費効率を高めることができる。
(3)最適なクリーニング速度を決定することができる。
(4)石英部材、排気系統への過剰なクリーニングガス流入を抑制することができ、その経時変化を抑制することができる。
(5)反応室構造に依存して発生するデッドスペースに依存しない等方的なクリーニングが可能である。
(6)排気系の経時変化を抑制することで、クリーニング後の残渣を減少させ、膜厚ドロップ加速現象の発生を抑制することができる。
(7)経時変化を抑制することで、長期間にわたって装置を安定稼動させ、装置運用コストを抑えることができる。
(8)従来のクリーニング処理では、図10に示されているように、クリーニングガスを供給するノズル249と反応管203の間等、処理室201内にてガスの流れの悪くなるエリアにおいて膜残りが発生してしまう。そして、成膜処理とクリーニング処理の継続的な使用により、次第にこの膜残り(異物)が堆積され、パーティクルが発生してしまうという問題があった。本実施形態によれば、これらの問題の発生を抑制することができる。すなわち、処理室201内のデッドスペースにもクリーニングガスを行き渡らせることができ、処理室201内にてガスの流れの悪くなるエリアにおいて残った膜を除去することが可能となり、パーティクルの発生を抑制可能となる。
(9)従来のクリーニング処理では、処理室201へ供給されたクリーニングガスの一部は未反応のまま排気管から排気処理されるため効率が悪くなる。これらの問題を改善するため、クリーニング時間を延長(オーバーエッチ量を増加)させたり、頻繁に反応管を交換したり、ウエット洗浄処理等のメンテナンスが実施されているが、結果として装置運用コストは増加(反応管等の耐熱部材の交換頻度の増加、クリーニングガス消費量の増加)し、生産性の低下を招いてしまっていた。本実施形態によれば、これらの問題の発生を抑制することができる。すなわち、クリーニングガスが処理室201から排気管へ未反応のまま排気されるのを抑制することができ、消費効率を向上させることができる。また、クリーニング時間を短縮させることができ、処理室201内の堆積物(堆積膜若しくは累積膜等)が形成されがたい部位におけるオーバーエッチ量の増加によるダメージの増加を抑制することができ、処理室201を構成する部材、例えば、反応管の交換頻度を減らすことができる。また、ボートウエット洗浄処理等のメンテナンスを実施することを抑制することができ、装置運用コストを減少させることができる。その結果、生産性を向上させることができる。
(10)従来のクリーニング処理では、ノズルのガス供給孔の開口径や基板を保持する基板保持体としてのボートや反応管等の反応室(処理室)の構成品が経時変化を引き起こしやすいといった問題があった。ここで、ノズルのガス供給孔は新鮮なクリーニングガスが流れるため、その開口径がクリーニング処理の頻度と伴に増大してしまうという問題があった。ノズル内に供給されたガスはノズル内で滞留し、その後、ガス供給孔から反応室へ排出されるため、ノズル内の圧力は反応室内の圧力よりも大きくなる。そのため、ノズル内やガス供給孔がクリーニングガスによりエッチングされやすい環境下となり、ノズルやガス供給孔の劣化が生じやすくなる。特に、ノズルの材質として、例えば、石英製を用いる場合には、反応室内で基板にSiN等の膜形成する際に生じるノズル内の堆積物と石英との材質の相違による選択比が得られ難いという問題があった。本実施形態によれば、これらの問題の発生を抑制することができる。すなわち、反応室(処理室)の構成品の経時変化を抑制することができる。特にクリーニングガスを処理室201全域に行き渡せることができ、処理室201内に不均等に形成されている堆積物と選択的に反応させることができ、(クリーニング処理中に一部の反応室を構成する部材、例えば、石英が露出しても、クリーニングガスを処理室201に滞留させることで選択的に堆積物と反応させることができ、)ボートや反応管の劣化具合を均一にすることができる。
また、ノズルのガス供給孔の開口径の増大を抑制することができる。特に、ノズルの材質として、石英製を用いる場合にも、反応室内で基板にSiN等の膜形成する際に生じるノズル内の堆積物と石英との材質の相違による選択比が得られ難くてもノズルやガス供給孔の劣化を抑制することができる。
(11)特に、縦型バッチ処理装置では、ノズルの延在方向に複数のガス供給孔があるノズルを用いる場合があり、この場合、ノズルの上流側であって、クリーニングガス導入部に近く、新鮮なクリーニングガスが流れる部位にあるガス供給孔の開口径の経時変化量が、ノズルの下流側の部位にあるガス供給孔の開口径の経時変化量よりも大きく、装置運用とともに、成膜における面内均一性が経時変化してしまう。本実施形態によれば、これらの問題の発生を抑制することができる。すなわち、複数のガス供給孔があるノズルを用いる場合でも、ノズルの上流側であって、クリーニングガス導入部に近く、新鮮なクリーニングガスが流れる部位にあるガス供給孔の開口径の経時変化量が、ノズルの下流側の部位にあるガス供給孔の開口径の経時変化量よりも大きくなることを抑制することができる。その結果、装置運用とともに、成膜における面内均一性が経時変化することを抑制することができる。
(12)従来のクリーニング処理では、反応管内のガスを排気する排気口は、反応管内にて熱などで励起されたクリーニングガスが集まる部位であるため経時変化が大きく、装置運用とともに強度が低下し、反応管やボート等の耐熱部材が破損してしまい、結果として装置構造を複雑化させて運用コストを増加させていた。また、処理室201へ供給されたクリーニングガスの一部は未反応のまま排気管から排気処理されるため効率が悪くなる。さらに、未反応のままのクリーニングガスを排気口から排気管、APCバルブ、排気装置、除外装置等の排気系統に流すことで、これら排気系統が腐食してしまうという問題があった。本実施形態によれば、これらの問題の発生を抑制することができる。すなわち、クリーニングガスと反応室(反応管、処理室ともいう)内の堆積物との反応を促進することで、クリーニングガスの消費効率が向上し、その結果、排気口に集まったガスは反応後のガスが主となるため、従来処理のような熱励起されたクリーニングガスが排気口周辺部位と反応することを抑制できる。さらに、未反応のままのクリーニングガスが排気系統へ流れ出ることを抑制することができ、その結果、排気系統の腐食の発生を抑制することができる。
(13)第三の工程において、処理室201内の圧力が高まった状態で、第四の工程において、排気することで、処理室201内に大きな圧力変動を与えることができる。この圧力変動により、処理室201内に発生したパーティクルや、クリーニング処理により生じた膜はがれ部位を下流(少なくとも処理室201と排気管231との間の排気口よりも排気管231側に移動させることができる。好適には、APCバルブ244よりも下流側へ移動させることができ、後の成膜工程において、パーティクルや膜はがれ部位が悪影響を及ぼすことを抑制することができる。第四工程においては、好適には短時間で排気することとより一層、処理室201内に大きな圧力変動を与えることができる。
【0093】
<本発明の第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
【0094】
上述の第1実施形態では、クリーニング工程として、<ステップS034、第一の工程>として、まず、APCバルブ244を閉めて、処理室201内の排気処理を停止する例について説明したが、本実施形態では、APCバルブ244を完全に閉めることなく、処理室201内の排気量を絞る例について説明する。
なお、上述の第1実施形態と本実施形態とは、処理室201内でクリーニングガスを滞留させた状態で、不活性ガスを供給して処理室内を昇圧することで処理室201内の堆積物をクリーニングガスと反応させて除去する点で共通するものである。
その他の点は、概ね第1実施形態と同様であるので説明を割愛し、クリーニング工程について、以下に詳述する。
【0095】
(クリーニング工程)
<ステップS404、第一の工程>(例えば1秒)
まず、APCバルブ244の開度が小さくなるように制御し、処理室201内の排気量を減らす。好適には、後述するステップS405で処理室201内に供給するガス供給量に対し、排気量を小さくなるようにする。
【0096】
<ステップS405、第二の工程>(例えば15秒)
ステップS405では、排気量が絞られた状態の処理室201内へ所定量(例えば1000cc)のNF3ガスを流す。すなわち、クリーニングガス供給管252aのバルブ254a、256aを開閉することにより、クリーニングガス供給管252a内にNF3ガスを流す。クリーニングガス供給管252a内を流れたNF3ガスは、マスフローコントローラ253aにより流量調整される。流量調整されたNF3ガスは第1のノズル249aのガス供給孔250aから処理室201内に供給される。このとき、不活性ガス供給管232cからは、例えば75ccの不活性ガスとしてのN2ガスが処理室201内へ供給されている。なお、以上の動作の間は、処理室201内の温度を630℃に保持したままとする。
この第二の工程では、上述した第一の工程で排気を絞っているため、反応室構造に依存せず、均一にクリーニングガス(NF3ガス)が行き渡る。これは、ガスは圧力の高い場所から低い場所へ流れる性質があるため、排気処理を絞っていることにより処理室201内において圧力上昇が等方的に進行されるためである。例えば、処理室201内の圧力は500Pa以上1000Pa以下に維持されると良い。
【0097】
<ステップS406、第三の工程>(X秒)
ステップS406では、バルブ254a、256aを閉じ、NF3ガスの供給を停止し、不活性ガス供給管232cのバルブ243c及びバルブ247a、251aを開閉することにより、所定量(例えば5slm)の不活性ガスとしてのN2ガスを流す。すなわち、クリーニングガスとしてのNF3ガスよりも処理室201を構成する部材、反応管203、バッファ室237、第1のノズル249a、第2のノズル249bに対するエッチング力のない不活性ガスを前記処理室内に供給し、堆積物に対するエッチング力のない不活性ガスを処理室201内に供給し、処理室201内の圧力を上昇させる。
これにより、処理室201内の圧力を高めることができ、圧力を高めることでNF3ガスの分解を促進し、堆積物や累積膜と反応させて、これらを除去することを可能にできる。また、NF3ガスの消費効率を高めることができる。
また、この第三の工程において、第1のノズル249aからN2ガスを供給することで、第1のノズル249a内に残留しているNF3ガスがN2ガスで押し出される。これにより、第1のノズル249aの上流側(下部)から下流側(上部)の各ガス供給孔250aから等量のNF3ガスが供給され、各ガス供給孔250aの開口面積の経時変化量を均一化することができる。すなわち、第三の工程がない場合には、第1のノズル249aの上流側のガス供給孔250aから大量のNF3ガスが流れることで、上流側のガス供給孔250aの開口面積だけが大きくなる。この結果、後の成膜工程において、下流側に比べ上流側のウエハ200に大量の原料ガスが流されることになる。すなわち、下流側、上流側で膜厚が異なり、ウエハ200間での膜厚均一性が悪化することになる。しかしながら、第三の工程を設けることで、これらの問題を是正することができる。例えば、処理室201内の圧力は1500Pa以上2000Pa以下に維持されると良い。
【0098】
<ステップS407、第四の工程>(例えば10秒)
ステップS407では、APCバルブ244の開度を大きくし、処理室201内の排気処理を開始して、処理室201内に残留しているNF3ガスと累積膜の反応生成ガスを排気処理する。
【0099】
上述したステップS404〜S407を1サイクルとして、このサイクルを少なくとも1回以上行うことにより(ステップS408)、処理室201内がセルフクリーニングされる。なお、上述のサイクルは、複数回繰り返すのが好ましい。
【0100】
本実施形態によれば、処理室201で未反応だったクリーニングガスが排気系統にそのまま流れるため、排気系統を構成する部材と反応し、これらにダメージを与える可能性が高まるという問題が生じやすいという問題があるものの、第1実施形態に記載した効果のうちの少なくとも1つ以上の効果と同様の趣旨の効果を奏する。
【0101】
<本発明の第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
【0102】
上述の第1実施形態では、クリーニング工程として、<ステップS306、第三の工程>として、クリーニングガスの供給を停止し、代わりに所定量の不活性ガスを流す形態について、説明したが、本実施形態では、クリーニングガスの供給を停止し、代わりに停止したクリーニングガスよりも処理室201を構成する部材に対するエッチング力の弱いクリーニングガスを所定量流す例について説明する。これにより、処理室201を構成する部材に対するエッチング力が、停止したクリーニングガスよりもエッチング力の弱いクリーニングガスを所定量流すと当該構成物へのダメージを抑制することができる。
なお、上述の第1実施形態と本実施形態とは、処理室201内でクリーニングガスを滞留させた状態で、不活性ガスを供給して処理室内を昇圧することで処理室201内の堆積物をクリーニングガスと反応させて除去する点で共通するものである。
その他の点は、概ね第1実施形態と同様であるので説明を割愛し、クリーニング工程について、以下に詳述する。また、上述の第1実施形態で説明した図1における不活性ガス供給系としての不活性ガス供給管232cのバルブ243c及びバルブ247a、251a等の構成は、第二ガス供給系としての第二ガス供給管232cのバルブ243c及びバルブ247a、251a等の構成と、実施形態の概念的には同様であるので、説明の便宜を図るために、そのまま置き換えて説明する。
【0103】
(クリーニング工程)
<ステップS504、第一の工程>(例えば1秒)
まず、APCバルブ244を閉めて、処理室201内の排気処理を停止する。
【0104】
<ステップS505、第二の工程>(例えば15秒)
ステップS505では、排気処理が停止している処理室201内へ所定量(例えば500cc)のNF3ガスを流す。すなわち、クリーニングガス供給管252aのバルブ254a、256aを開閉することにより、クリーニングガス供給管252a内にNF3ガスを流す。クリーニングガス供給管252a内を流れたNF3ガスは、マスフローコントローラ253aにより流量調整される。流量調整されたNF3ガスは第1のノズル249aのガス供給孔250aから処理室201内に供給される。このとき、不活性ガス供給管232cからは、例えば75ccの不活性ガスとしてのN2ガスが処理室201内へ供給されている。なお、以上の動作の間は、処理室201内の温度を630℃に保持したままとする。
この第二の工程では、上述した第一の工程で排気処理を停止しているため、反応室構造に依存せず、均一にクリーニングガス(NF3ガス)が行き渡る。これは、ガスは圧力の高い場所から低い場所へ流れる性質があるため、排気処理を停止していることにより処理室201内において圧力上昇が等方的に進行されるためである。
【0105】
<ステップS506、第三の工程>(X秒)
ステップS506では、バルブ254a、256aを閉じ、NF3ガスの供給を停止し、不活性ガス供給管232cのバルブ243c及びバルブ247a、251aを開閉することにより、所定量(例えば1slm)の第二ガスとしての四フッ化メタン(CF4)ガスを流すことが考えられる。すなわち、第1クリーニングガスとしてのNF3ガスよりも処理室201を構成する部材、反応管203、バッファ室237、第1のノズル249a、第2のノズル249bに対するエッチング力が弱いガスを処理室201内に供給し、処理室201内の圧力を上昇させる。これにより、処理室201内の圧力を高めることができ、圧力を高めることでNF3ガスの分解を促進し、堆積物や累積膜と反応させて、これらを除去することを可能にできる。また、NF3ガスの消費効率を高めることができる。
また、この第三の工程において、第1のノズル249aから第二ガスを供給することで、第1のノズル249a内に残留しているNF3ガスが第二ガスで押し出される。これにより、第1のノズル249aの上流側(下部)から下流側(上部)の各ガス供給孔250aから等量のNF3ガスが供給され、各ガス供給孔250aの開口面積の経時変化量を均一化することができる。すなわち、第三の工程がない場合には、第1のノズル249aの上流側のガス供給孔250aから大量のNF3ガスが流れることで、上流側のガス供給孔250aの開口面積だけが大きくなる。この結果、後の成膜工程において、下流側に比べ上流側のウエハ200に大量の原料ガスが流されることになる。すなわち、下流側、上流側で膜厚が異なり、ウエハ200間での膜厚均一性が悪化することになる。しかしながら、第三の工程を設けることで、これらの問題を是正することができる。
さらに、第1クリーニングガスによりエッチングできない堆積物や累積膜を第2クリーニングガスによりエッチングすることができるとともに処理室201を構成する部材のエッチングによる劣化を抑制することが可能となる。
好適には、第二ガスとして、第二の工程で流した第一クリーニングガスと反応して爆発等しないガスを用いる。その他、例えば、CxFy(フロロカーボンガス)(CxFy) x=1...、y=4・・・で示される物質が考えられる。
【0106】
<ステップS507、第四の工程>(例えば10秒)
ステップS507では、APCバルブ244を開き、処理室201内の排気処理を開始して、処理室201内に残留しているNF3ガスと累積膜の反応生成ガスを排気処理する。
【0107】
上述したステップS504〜S507を1サイクルとして、このサイクルを少なくとも1回以上行うことにより(ステップS508)、処理室201内がセルフクリーニングされる。なお、上述のサイクルは、複数回繰り返すのが好ましい。
【0108】
本実施形態によれば、第1実施形態に記載した効果のうちの少なくとも1つ以上の効果と同様の趣旨の効果に加え、以下の効果を奏する。
(1)第一クリーニングガスを供給したノズルにおいてノズル等処理室201内の残留第一クリーニングガスが完全に除去できない場合に、第一クリーニングガスよりも処理室を構成する部材に対するエッチング力が弱い第二ガスを供給することで、これらの劣化を抑制することができる。特にノズル内壁や、ノズルに設けられたガス供給孔の劣化を抑制することができる。
【0109】
<本発明のその他の実施形態>
本発明のその他の実施形態について、以下に説明する。
その他の実施形態として、上述の第1実施形態において、クリーニングガスを供給する過程、<ステップS305、第二の工程>において、処理室内に供給するクリーニングガスの供給量を減少させるようにしても良い。
この場合、1回のエッチレートが低下することで、クリーニング時間が増加するというデメリットは生じるし、例えば、ステップS304〜S307を複数サイクルする場合には、結果として必要なサイクル数が増加することとなり、少なくともステップS304,S307等バルブ開閉回数や排気回数が増加するため、クリーニング時間が増加するというデメリットが生じる。また、トータルのクリーニングガスの消費量を抑制することはできないというデメリットは生じる。しかしながら、第1実施形態に記載した効果のうちの少なくとも1つ以上の効果と同様の趣旨の効果を奏することができる。
【0110】
また、その他の実施形態として、上述の第1実施形態において、クリーニング工程<ステップS304〜S307>において、ステップS304のAPCバルブ244を閉めて、処理室201内の排気処理を停止するタイミングを、ずらすようにして、ステップS304をS305、S306の途中で行うようにしても良い。すなわち、クリーニングガスを処理室201内に供給している途中、若しくは、クリーニングガスが処理室201内に滞留した状態で、処理室201内の排気処理を停止するようにしてもよい。
この場合、処理室201で未反応だったクリーニングガスが排気系統にそのまま流れるため、排気系統を構成する部材と反応し、これらにダメージを与える可能性が高まるという問題が生じやすいという問題があるものの、第1実施形態に記載した効果のうちの少なくとも1つ以上の効果と同様の趣旨の効果を奏することができる。
【0111】
さらに、その他の実施形態として、上述の第2実施形態において、クリーニングガスを供給する過程、<ステップS405、第二の工程>において、処理室内に供給するクリーニングガスの供給量もしくは排気量を減少させるようにしても良い。この場合、1回のエッチレートが低下することで、クリーニング時間が増加するというデメリットは生じるし、例えば、ステップS404〜S407を複数サイクルする場合には、結果として必要なサイクル数が増加することとなり、少なくともステップS407の排気回数が増加するため、クリーニング時間が増加するというデメリットが生じる。また、トータルのクリーニングガスの消費量を抑制することはできないというデメリットは生じる。しかしながら、第1実施形態および第2実施形態に記載した効果のうちの少なくとも1つ以上の効果と同様の趣旨の効果を奏することができる。
上述した実施形態では、クリーニング工程において、ボート217を処理室201内に収納された状態で行う例にして説明したが、ボート217が処理室201内に収納せずにボート217がない状態で行うようにしても良い。
【0112】
また、上述した実施形態では、電極、バッファ室がある反応管の形態を例にして説明したが、これらがない反応管であっても本発明は適用可能である。
【0113】
また、上述した実施形態では、第1のノズル249a、第2のノズル249bがL字型のロングのノズルである形態を例にして説明したが、L字型のロングのノズルでなくて例えばI字型のストレートのノズルであっても良い。第1のノズル249a、第2のノズル249bのガス供給孔250aが複数でなく、単数でも良い。また、ガス供給孔250aが反応管203の中心を向くように開口していなくても良いし、このガス供給孔250aは、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられ、それぞれが同一の開口面積でなくても良いし、更に同じ開口ピッチで設けられなくても、本発明は適用可能である。
また、上述した実施形態では、反応管203内に、板状部材266a、266bが設けられている形態を例にして説明したが、板状部材266a、266bは設けられていなくても良い。
【0114】
なお、本発明は、ALD法だけでなくCVD法等の縦型装置による処理方法全般に適用される。
【0115】
また、ALD法による成膜例につきSiN膜を形成する例を挙げたがこれに限らず、例えば、非昌質(アモルファス)シリコン膜にも、適用できるし、膜種、ガス種によらず、適用できる。
【0116】
また、上述した実施形態では、第一のクリーニングガス(エッチングガス)として、NF3ガスを用いる場合を例示するがこれに限らず、フッ素(F)含有ガスを用いることができる。フッ素含有ガスとしては、例えば、フッ素(F2)ガスや、フッ化塩素(CLF3)ガスを適用することができ、その他、堆積物に合わせ、クリーニングガスを適宜変更することができる。
【0117】
また、上述の実施形態では、一度に複数枚の基板を処理するバッチ式の基板処理装置を用いて成膜する例について説明したが、本発明はこれに限定されず、一度に1枚または数枚の基板を処理する枚葉式の基板処理装置を用いて成膜する場合にも、好適に適用できる。
【0118】
また、上述の各実施形態や各変形例や各応用例等は、適宜組み合わせて用いることができる。
【0119】
また、本発明は、例えば、既存の基板処理装置のプロセスレシピを変更することでも実現できる。プロセスレシピを変更する場合は、本発明に係るプロセスレシピを電気通信回線や当該プロセスレシピを記録した記録媒体を介して既存の基板処理装置にインストールしたり、また、既存の基板処理装置の入出力装置を操作し、そのプロセスレシピ自体を本発明に係るプロセスレシピに変更したり、することも可能である。
【0120】
以下に付記として示す態様も本発明に含まれる。
(付記1)
本発明の一態様によれば、処理室内で基板に対し膜を形成する工程と、該膜形成後の処理室内の少なくとも一部に堆積した堆積物を除去する工程とを有し、前記除去工程では、前記堆積物をエッチングする第一ガスを前記処理室内に供給する第1工程と、少なくとも前記第一ガスよりも前記処理室を構成する部材に対するエッチング力が弱いか、若しくは前記部材に対するエッチング力のない第二ガスを前記処理室内に供給し、前記処理室内の圧力を上昇させる第2工程と、を含むサイクルを所定回数行う半導体装置の製造方法が提供される。
(付記2)
本発明の他の態様によれば、処理室内で基板に対し膜を形成した後に、処理室内の少なくとも一部に堆積した堆積物を除去するクリーニング方法であって、前記堆積物をエッチングする第一ガスを前記処理室内に供給する第1工程と、少なくとも前記第一ガスよりも前記処理室を構成する部材に対するエッチング力が弱いか、若しくは前記部材に対するエッチング力のない第二ガスを前記処理室内に供給し、前記処理室内の圧力を上昇させる第2工程と、を含むサイクルを所定回数行うクリーニング方法が提供される。
(付記3)
本発明の他の態様によれば、基板を処理する処理室と、前記処理室を排気する排気系と、成膜に寄与する原料ガスを前記処理室内に供給する原料ガス供給系と、原料ガスの供給に伴って前記処理室内に堆積する堆積物を除去する第一ガスを前記処理室に供給する第1ガス供給系と、少なくとも前記第一ガスよりも前記処理室を構成する部材に対するエッチング力が弱いか、若しくは前記部材に対するエッチング力のない第二ガスを供給する第2ガス供給系と、前記処理室内に前記原料ガス供給系から原料ガスを供給し基板に対し膜を形成した後に、前記第1ガス供給系から前記処理室内に前記第一ガスを供給し、次に前記第2ガス供給系から前記処理室内に前記第二ガスを供給して前記処理室内の圧力を上昇させること、を含むサイクルを所定回数行うように前記排気系、前記原料ガス供給系、前記第1ガス供給系、前記第2ガス供給系を制御する制御部と、を備える基板処理装置が提供される。
(付記4)
本発明の他の態様によれば、処理室に収容された基板に原料ガスを供給して前記基板に所望の膜を形成する膜形成工程と、前記基板を搬出した後の処理室をクリーニングするクリーニング工程と、を有し、前記クリーニング工程では、前記処理室の排気を止める第一の工程と、前記処理室にクリーニングガスを供給する第二の工程と、前記処理室に不活性ガスを供給する第三の工程と、前記処理室を排気する第四の工程と、を順に少なくとも1回行なう半導体装置の製造方法が提供される。
(付記5)
本発明の他の態様によれば、前記第1工程における前記処理室内の圧力値より前記第2工程における前記処理室内の圧力値のほうが大きい付記4の半導体装置の製造方法が提供される。
(付記6)
本発明の他の態様によれば、基板を処理する処理室と、前記処理室を排気するための排気路と、前記排気路を開閉する排気バルブと、を備える排気手段と、成膜に寄与する原料ガスを前記処理室内に供給する原料ガス供給手段と、原料ガスの供給に伴って前記処理室内に付着する堆積物を除去するクリーニングガスを前記処理室に供給する第1供給路と、該第1供給路に連通し、不活性ガスを前記処理室に供給する第2供給路と、前記第1供給路の開閉を行う第1ガス供給バルブと、前記第2供給路の開閉を行う第2ガス供給バルブと、を備えるクリーニングガス供給手段と、制御部と、を有し、前記制御部は、前記排気バルブ、前記第1ガス供給バルブ、前記第2ガス供給バルブを制御して、前記処理室の排気を止めた状態でクリーニングガスを前記第1供給路から前記処理室に供給し、所定時間経過後、クリーニングガスの供給を止めた状態で不活性ガスを前記第2供給路から前記処理室に供給し、所定時間経過後、前記処理室の排気を行う基板処理装置が提供される。
(付記7)
基板処理装置の処理室内の基板に対して膜を形成する手順と、該膜形成後の処理室内の少なくとも一部に堆積した堆積物を除去する手順と、をコンピュータに実行させ、前記除去する手順では、前記堆積物をエッチングする第一ガスを前記処理室内に供給する第1手順と、少なくとも前記第一ガスよりも前記処理室を構成する部材に対するエッチング力が弱いか、若しくは前記部材に対するエッチング力のない第二ガスを前記処理室内に供給し、前記処理室内の圧力を上昇させる第2手順と、を含むサイクルで所定回数実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。
【符号の説明】
【0121】
121 コントローラ
200 ウエハ(基板)
201 処理室
202 処理炉
203 反応管
207 ヒータ
217 ボート
231 排気管
237 バッファ室
249 ノズル
250 ガス供給孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理室内で基板に対し膜を形成する工程と、該膜形成後の処理室内の少なくとも一部に堆積した堆積物を除去する工程とを有し、前記除去工程では、前記堆積物をエッチングする第一ガスを前記処理室内に供給する第1工程と、少なくとも前記第一ガスよりも前記処理室を構成する部材に対するエッチング力が弱いか、若しくは前記部材に対するエッチング力のない第二ガスを前記処理室内に供給し、前記処理室内の圧力を上昇させる第2工程と、を含むサイクルを所定回数行う半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第二ガスは不活性ガスである請求項1の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1工程および前記第2工程は、前記処理室内の排気を止めた状態で行う請求項1の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記膜形成工程では、ノズルから反応ガスを供給し、前記第1工程では、前記ノズルから前記第一ガスを供給し、前記第2工程では、前記ノズルから前記第二ガスを供給する請求項1の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記膜形成工程では、第一ノズルから反応ガスを供給するとともに第二ノズルから不活性ガスを供給し、前記第1工程では前記第一ノズルから前記第一ガスを供給するとともに前記第二ノズルから不活性ガスを供給し、前記第2工程では前記第一ノズルから前記第二ガスを供給するとともに前記第二ノズルから前記不活性ガスを供給する請求項1の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記膜形成工程では、第一ノズルから単独で成膜することができるガスを供給するとともに第二ノズルから不活性ガスを供給する工程と、前記第一ノズルから不活性ガスを供給するとともに前記第二ノズルから単独で成膜することができないガスを供給し、前記第1工程では前記第一ノズルから前記第一ガスを供給するとともに前記第二ノズルから不活性ガスを供給し、前記第2工程では前記第一ノズルから前記第二ガスを供給するとともに前記第二ノズルから前記不活性ガスを供給する請求項1の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記膜形成工程では、第一ノズルの複数のガス供給孔から単独で成膜することができるガスを供給するとともに第二ノズルから不活性ガスを供給する工程と、前記第一ノズルの前記複数のガス供給孔から不活性ガスを供給するとともに前記第二ノズルから単独で成膜することができないガスを供給し、前記第1工程では前記第一ノズルの前記複数のガス供給孔から前記第一ガスを供給するとともに前記第二ノズルから不活性ガスを供給し、前記第2工程では前記第一ノズルの前記複数のガス供給孔から前記第二ガスを供給するとともに前記第二ノズルから前記不活性ガスを供給する請求項1の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
処理室内で基板に対し膜を形成した後に、処理室内の少なくとも一部に堆積した堆積物を除去するクリーニング方法であって、前記堆積物をエッチングする第一ガスを前記処理室内に供給する第1工程と、少なくとも前記第一ガスよりも前記処理室を構成する部材に対するエッチング力が弱いか、若しくは前記部材に対するエッチング力のない第二ガスを前記処理室内に供給し、前記処理室内の圧力を上昇させる第2工程と、を含むサイクルを所定回数行うクリーニング方法。
【請求項9】
基板を処理する処理室と、前記処理室を排気する排気系と、成膜に寄与する原料ガスを前記処理室内に供給する原料ガス供給系と、原料ガスの供給に伴って前記処理室内に堆積する堆積物を除去する第一ガスを前記処理室に供給する第1ガス供給系と、少なくとも前記第一ガスよりも前記処理室を構成する部材に対するエッチング力が弱いか、若しくは前記部材に対するエッチング力のない第二ガスを供給する第2ガス供給系と、前記処理室内に前記原料ガス供給系から原料ガスを供給し基板に対し膜を形成した後に、前記第1ガス供給系から前記処理室内に前記第一ガスを供給し、次に前記第2ガス供給系から前記処理室内に前記第二ガスを供給して前記処理室内の圧力を上昇させること、を含むサイクルを所定回数行うように前記排気系、前記原料ガス供給系、前記第1ガス供給系、前記第2ガス供給系を制御する制御部とを備える基板処理装置。
【請求項10】
基板処理装置の処理室内の基板に対して膜を形成する手順と、該膜形成後の処理室内の少なくとも一部に堆積した堆積物を除去する手順と、をコンピュータに実行させ、前記除去する手順では、前記堆積物をエッチングする第一ガスを前記処理室内に供給する第1手順と、少なくとも前記第一ガスよりも前記処理室を構成する部材に対するエッチング力が弱いか、若しくは前記部材に対するエッチング力のない第二ガスを前記処理室内に供給し、前記処理室内の圧力を上昇させる第2手順と、を含むサイクルで所定回数実行させるプログラム。
【請求項1】
処理室内で基板に対し膜を形成する工程と、該膜形成後の処理室内の少なくとも一部に堆積した堆積物を除去する工程とを有し、前記除去工程では、前記堆積物をエッチングする第一ガスを前記処理室内に供給する第1工程と、少なくとも前記第一ガスよりも前記処理室を構成する部材に対するエッチング力が弱いか、若しくは前記部材に対するエッチング力のない第二ガスを前記処理室内に供給し、前記処理室内の圧力を上昇させる第2工程と、を含むサイクルを所定回数行う半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第二ガスは不活性ガスである請求項1の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1工程および前記第2工程は、前記処理室内の排気を止めた状態で行う請求項1の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記膜形成工程では、ノズルから反応ガスを供給し、前記第1工程では、前記ノズルから前記第一ガスを供給し、前記第2工程では、前記ノズルから前記第二ガスを供給する請求項1の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記膜形成工程では、第一ノズルから反応ガスを供給するとともに第二ノズルから不活性ガスを供給し、前記第1工程では前記第一ノズルから前記第一ガスを供給するとともに前記第二ノズルから不活性ガスを供給し、前記第2工程では前記第一ノズルから前記第二ガスを供給するとともに前記第二ノズルから前記不活性ガスを供給する請求項1の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記膜形成工程では、第一ノズルから単独で成膜することができるガスを供給するとともに第二ノズルから不活性ガスを供給する工程と、前記第一ノズルから不活性ガスを供給するとともに前記第二ノズルから単独で成膜することができないガスを供給し、前記第1工程では前記第一ノズルから前記第一ガスを供給するとともに前記第二ノズルから不活性ガスを供給し、前記第2工程では前記第一ノズルから前記第二ガスを供給するとともに前記第二ノズルから前記不活性ガスを供給する請求項1の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記膜形成工程では、第一ノズルの複数のガス供給孔から単独で成膜することができるガスを供給するとともに第二ノズルから不活性ガスを供給する工程と、前記第一ノズルの前記複数のガス供給孔から不活性ガスを供給するとともに前記第二ノズルから単独で成膜することができないガスを供給し、前記第1工程では前記第一ノズルの前記複数のガス供給孔から前記第一ガスを供給するとともに前記第二ノズルから不活性ガスを供給し、前記第2工程では前記第一ノズルの前記複数のガス供給孔から前記第二ガスを供給するとともに前記第二ノズルから前記不活性ガスを供給する請求項1の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
処理室内で基板に対し膜を形成した後に、処理室内の少なくとも一部に堆積した堆積物を除去するクリーニング方法であって、前記堆積物をエッチングする第一ガスを前記処理室内に供給する第1工程と、少なくとも前記第一ガスよりも前記処理室を構成する部材に対するエッチング力が弱いか、若しくは前記部材に対するエッチング力のない第二ガスを前記処理室内に供給し、前記処理室内の圧力を上昇させる第2工程と、を含むサイクルを所定回数行うクリーニング方法。
【請求項9】
基板を処理する処理室と、前記処理室を排気する排気系と、成膜に寄与する原料ガスを前記処理室内に供給する原料ガス供給系と、原料ガスの供給に伴って前記処理室内に堆積する堆積物を除去する第一ガスを前記処理室に供給する第1ガス供給系と、少なくとも前記第一ガスよりも前記処理室を構成する部材に対するエッチング力が弱いか、若しくは前記部材に対するエッチング力のない第二ガスを供給する第2ガス供給系と、前記処理室内に前記原料ガス供給系から原料ガスを供給し基板に対し膜を形成した後に、前記第1ガス供給系から前記処理室内に前記第一ガスを供給し、次に前記第2ガス供給系から前記処理室内に前記第二ガスを供給して前記処理室内の圧力を上昇させること、を含むサイクルを所定回数行うように前記排気系、前記原料ガス供給系、前記第1ガス供給系、前記第2ガス供給系を制御する制御部とを備える基板処理装置。
【請求項10】
基板処理装置の処理室内の基板に対して膜を形成する手順と、該膜形成後の処理室内の少なくとも一部に堆積した堆積物を除去する手順と、をコンピュータに実行させ、前記除去する手順では、前記堆積物をエッチングする第一ガスを前記処理室内に供給する第1手順と、少なくとも前記第一ガスよりも前記処理室を構成する部材に対するエッチング力が弱いか、若しくは前記部材に対するエッチング力のない第二ガスを前記処理室内に供給し、前記処理室内の圧力を上昇させる第2手順と、を含むサイクルで所定回数実行させるプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−102129(P2013−102129A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−183265(P2012−183265)
【出願日】平成24年8月22日(2012.8.22)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年8月22日(2012.8.22)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
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