説明

半導体装置の製造方法、半導体装置、および電子部品の製造方法、電子部品

【課題】積層されたインターポーザおよび半導体チップが備える接続部間の電気的な接続を安定的に行い得るとともに生産性の高い半導体装置の製造方法および半導体装置、また、接続信頼性の高い電子部品の製造方法および電子部品を提供すること。
【解決手段】上記課題は、インターポーザと、半導体チップとの間に、樹脂組成物と、半田箔又は錫箔から選ばれる金属箔とから構成される積層構造を有する導電接続材料を介在させ、さらに、加熱することにより、金属箔を溶融し、インターポーザの接続電極と半導体チップの接続電極との間に金属箔を凝集、固化させ、さらに、樹脂組成物を硬化または凝固させて、半導体ウエハーと半導体チップとが固着することにより達成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法、半導体装置、および電子部品の製造方法、電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の高機能化及び小型化の要求に伴い、半導体集積回路の高密度実装技術の開発が進められている。そのような実装技術の一つとして、インターポーザ上に半導体チップを搭載するフリップチップ型の半導体装置が提案されている。この構造は、従来のワイヤボンディング型のパッケージの薄型化及び高密度化を図ることができる点で優れていることから着目されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このようなインターポーザ上への半導体チップの搭載は、例えば、ウエハーから切り出された機能面に金等の金属からなるバンプを有する個別の半導体チップと、半田電極を有するインターポーザを接合する方法が用いられている。しかしながら、このような方法では、インターポーザに半田電極を形成する工程、半田電極にフラックスを塗布する工程、半導体チップとインターポーザの隙間に封止樹脂を充填する工程が必要であり、多くのフリップチップ型の半導体装置を製造する場合、工程数の増加を招き、時間と手間を要することから、生産性の向上を図ることができないという問題がある。
【0004】
かかる問題を解決する方法として、半導体チップとインターポーザを接合する、以下のようなフリップチップ型の半導体装置の製造方法が提案されている。
【0005】
まず、図3(a)に示すような、バンプ511を有する半導体チップ510と、半田電極521を有するインターポーザ520とを用意し、バンプ511に半田電極521が対応するように半導体チップ510、インターポーザ520を位置決めして、接合することにより、これらが接合した半導体チップ/インターポーザ接合体530を得る(図6(b)参照)。
【0006】
次に、図3(c)に示すように、二次実装用の半田バンプ540をインターポーザ520の裏面に形成し、さらに、各個別半導体チップ510毎にインターポーザ520を切断し、半導体装置100を得る。これにより、図3(d)に示すようなバンプ511と半田電極521とにおいて電気的に接続された、半田バンプ540を有する半導体装置100が形成される。
【0007】
ここで、図3(b)における、半導体チップ510とインターポーザ520との接合は、例えば、これらの間に、異方性導電フィルム(ACF)を介在した状態で、半導体チップ510、インターポーザ520を圧着することにより行うことが考えられる。このようなACFを用いた半導体チップ510、インターポーザ520の接合では、ACF中に含まれる金属粒子とバンプ511および半田電極521とが互いに接触すること、すなわち金属粒子間の点接触により、バンプ511、半田電極521間の電気的な接続が確保されている。
【0008】
このような状態で、半導体装置100を駆動すると、半導体装置100から発生する熱や外気温変動により、ACFに含まれる樹脂成分が膨張/収縮することとなる。その結果、接続部間の距離が変動し、場合によっては金属粒子と接続部が非接触な状態となり、バンプ511、半田電極521間の抵抗値が変動、もしくは導通しなくなる。このようなこ
とから、ACFを用いた半導体チップ510、インターポーザ520の接合では、バンプ511、半田電極521間で安定的な導通が得られないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−152778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、インターポーザと半導体チップがそれぞれ備える半田電極とバンプ間の電気的な接続を安定的に行うことができ、さらに、生産性に優れたインターポーザ/半導体チップ接合体を得ることができる半導体装置の製造方法および半導体装置を提供することにある。また、別の目的は、得られたインターポーザ/半導体チップ接合体を個片化することにより、接続信頼性の高い電子部品の製造方法および電子部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような目的は、下記(1)〜(12)に記載の本発明により達成される。
(1)インターポーザと半導体チップとを積層して電気的に接続する半導体装置の製造方法であって、前記インターポーザおよび前記半導体チップをそれぞれ用意する第1の工程と、前記インターポーザと、前記半導体チップとの間に、樹脂組成物と、半田箔又は錫箔から選ばれる金属箔とから構成される積層構造を有する導電接続材料を介在させるとともに、前記インターポーザの第1の端子と、前記半導体チップの第2の端子とが対応するように位置決めして、前記インターポーザと第1の半導体チップとが積層されたインターポーザ/半導体チップ積層体を得る第2の工程と、前記インターポーザ/半導体チップ積層体を加熱することにより、前記金属箔を溶融し、前記インターポーザの第1の端子と前記半導体チップの第2の端子との間に金属箔の溶融物を凝集させた後、固化し、さらに、前記樹脂組成物を硬化または凝固させて、前記インターポーザと前記半導体チップとが固着することにより、前記金属箔が溶融した凝集物の固化物で、前記インターポーザの第1の端子と前記半導体チップの第2の端子とが電気的に接続されたインターポーザ/半導体チップ接合体を得る第3の工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法、
(2)前記第3の工程において、前記インターポーザ/半導体チップ積層体が加熱される際に、前記金属箔の溶融に遅れて、前記樹脂組成物の硬化または凝固が完了する(1)に記載の半導体装置の製造方法、
(3)前記樹脂組成物が熱硬化性樹脂を含む、(1)または(2)に記載の半導体装置の製造方法、
(4)前記樹脂組成物がフラックス機能を有する化合物を含む、(1)ないし(3)のいずれかに記載の半導体装置の製造方法、
(5)前記導電接続材料が、樹脂組成物層/金属箔層/樹脂組成物層からなる積層構造を含む、(1)ないし(4)のいずれかに記載の半導体装置の製造方法、
(6)前記導電接続材料が、樹脂組成物層/金属箔層からなる積層構造を含む、(1)ないし(4)のいずれかに記載の半導体装置の製造方法、
(7)(1)ないし(6)のいずれかに記載の製造方法で製造されたことを特徴とする半導体装置、
(8)(1)ないし(6)のいずれかに記載の半導体装置の製造方法により製造された前記インターポーザ/半導体チップ接合体のインターポーザの裏面に半田バンプを形成する工程を有する半導体装置の製造方法、
(9)(8)に記載の半導体装置の製造方法により製造された前記インターポーザ/半導体チップ接合体を切断して、個片化する工程を有する半導体装置の製造方法、
(10)(9)に記載の製造方法で製造されたことを特徴とする半導体装置、
(11)(10)に記載の半導体装置を基板に搭載する工程を有することを特徴とする電子部品の製造方法、
(12)(11)に記載の製造方法で製造されたことを特徴とする電子部品。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、積層されたインターポーザと半導体チップがそれぞれ備える半田電極とバンプ間の電気的な接続を安定的に行うことができ、さらに、生産性に優れたインターポーザ/半導体チップ接合体を得ることができる半導体装置の製造方法および半導体装置を提供することができる。さらに、得られたインターポーザ/半導体チップ接合体を個片化することにより、接続信頼性の高い電子部品の製造方法および電子部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の電子部品の製造方法により製造される電子部品の一例を示す縦断面図である。
【図2】本発明の半導体装置の製造方法により製造される半導体装置の一例を示す縦断面図である。
【図3】従来の半導体チップ/インターポーザを接合する方法を説明するための縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の半導体装置の製造方法および半導体装置、また、電子部品の製造方法、電子部品を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0015】
まず、本発明の半導体装置の製造方法を説明するのに先立って、本発明の電子部品の製造方法により製造された電子部品について説明する。
【0016】
図1は、本発明の電子部品の製造方法により製造された電子部品の一例を示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図1中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
【0017】
図1に示す電子部品10は、フリップチップ型のパッケージであり、半導体チップ20と、半導体チップ20を支持するインターポーザ(基板)30と、複数の導電性を有する半田バンプ50とを有している半導体装置100が配線回路80を介して基板(マザーボード)70に搭載されている。半導体チップ20とインターポーザ30は、導電部225を介して電気的に接続されており、また、接続部間は絶縁部226により絶縁性が保たれている。また、インターポーザ30の厚み方向には、導電性のビア40が形成されており、導電部225と半田バンプ50は電気的に接続されている。さらに、半導体装置100と基板(マザーボード)70は、半田バンプ50と配線回路80を介して電気的に接続されている。
【0018】
インターポーザ30は、絶縁基板であり、例えばポリイミド・エポキシ・シアネート・ビスマレイミドトリアジン(BTレジン)等の各種樹脂材料をガラス繊維に含浸させたリジット基板、または、ポリイミド、ポリエステル等の各種樹脂材料からなるフレキシブル基板等が挙げられる。このインターポーザ30の平面視形状は、通常、正方形、長方形等の四角形である。
【0019】
インターポーザ30の上面(一方の面)には、例えば、銅等の導電性金属材料で構成される端子(図示しない)が、所定形状で設けられている。
【0020】
また、インターポーザ30には、その厚さ方向に複数の導電性のビア40が形成されて
いる。ビア40は、特に制限はなく、貫通ビア、ブラインドビア、フィルドビア等が挙げられる。
【0021】
各半田バンプ65は、各導電性のビア40を介して、インターポーザ30の端子の一部に電気的に接続され、インターポーザー30の下面(他方の面)から突出している。
【0022】
半田バンプ50のインターポーザー30から突出する部分は、ほぼ球形状(Ball状)をなしている。
【0023】
この半田バンプ50は、例えば、半田、銀ろう、銅ろう、燐銅ろうのようなろう材を主材料として構成されている。
【0024】
図1に示すような電子部品10は、例えば、以下のようにして製造することができる。
【0025】
以下、本発明の半導体装置の製造方法を用いて、インターポーザ210と半導体チップ220とを接合してインターポーザ/半導体チップ接合体250、半導体装置270を得る方法について図2および図3を用いて説明する。
【0026】
<半導体装置の製造方法>
まず、半導体装置の製造方法を用いてインターポーザ/半導体チップ接合体250、半導体装置270を得る方法について図2を用いて説明する。
【0027】
[1A−1] まず、図2(a)に示すような、インターポーザ210と、半導体チップ220と、半田箔又は錫箔から選ばれる金属箔62とから構成される積層構造を有する導電接続材料60を用意する。
【0028】
本実施形態では、図2(a)に示すように、インターポーザ210は接続面211に複数の第1の端子を、また、半導体チップ220は、機能面221に設けられ個別回路に接続する複数の第2の端子(図示せず)を有している。
【0029】
ここで、本発明に係る導電接続材料について説明する。
本発明に係る導電接続材料は、樹脂成分およびフラックス機能を有する化合物を含有する樹脂組成物と、半田箔又は錫箔から選ばれる金属箔とから構成される。その形態は、樹脂組成物層と金属箔層とからなる多層構造を有する積層体であり、樹脂組成物層および金属箔層は各々一層であっても複数層であってもよい。導電接続材料の積層構造は特に制限なく、樹脂組成物層と金属箔層との二層構造(樹脂組成物層/金属箔層)でもよいし、樹脂組成物層あるいは金属箔層の何れかまたは両方を複数含む三層構造またはそれ以上の多層構造でもよい。なお、樹脂組成物層又は金属箔層を複数用いる場合、各層の組成は同一でもよく、異なっていてもよい。
【0030】
本発明に係る導電接続材料の一実施形態では、金属箔の表面酸化膜を、フラックス機能を有する化合物で還元する観点から、金属箔層の上下層は樹脂組成物層であることが好ましい。例えば、三層構造(樹脂組成物層/金属箔層/樹脂組成物層)が好ましい。この場合、金属箔層の両側にある樹脂組成物層の厚みは、同一でもよく、異なっていてもよい。樹脂組成物層の厚みは、接続しようとする電極の導体厚みなどによって適宜調整すればよい。
【0031】
以下、本発明に係る導電接続材料を構成する樹脂組成物層および金属箔層についてより具体的に述べる。
【0032】
(1)樹脂組成物層
本発明に係る樹脂組成物層は、樹脂成分およびフラックス機能を有する化合物を含有する樹脂組成物で構成される。樹脂組成物は、常温で液状、固形状のいずれの形態も使用することができる。本発明において、「常温で液状」とは常温(25℃)で一定の形態を持たない状態を意味し、ペースト状もこれに含まれる。
【0033】
本発明に係る樹脂組成物は、樹脂成分およびフラックス機能を有する化合物を含有するものであれば、特に制限はなく、硬化性樹脂組成物または熱可塑性樹脂組成物を用いることができる。硬化性樹脂組成物としては、加熱により硬化する硬化性樹脂組成物、化学線を照射することにより硬化する硬化性樹脂組成物などが挙げられる。中でも、硬化後の線膨張率や弾性率等の機械特性に優れるという点で、加熱により硬化する硬化性樹脂組成物が好ましい。
熱可塑性樹脂組成物は、所定の温度に加熱することにより、成形が可能な程度に柔軟性を有するものであれば、特に制限されない。
【0034】
(a)硬化性樹脂組成物
本発明に係る樹脂組成物として好ましく用いられる硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂成分およびフラックス機能を有する化合物を含有し、加熱することにより溶融し硬化するものであれば特に制限されない。
【0035】
本発明の一実施態様では、インターポーザの接続面211と半導体チップの機能面221の間に本発明の導電接続材料を配置し、該導電接続材料を加熱することによって、フラックス機能を有する化合物の作用で金属箔の表面酸化膜が除去されて金属の濡れ性が高められる。これにより溶融した半田又は錫が硬化性樹脂成分中を移動して、インターポーザの接続面211の端子(第1の端子)と半導体チップの機能面の端子(第2の端子)間に凝集して接続部を形成することができる。他方、硬化性樹脂成分は接続部の周囲を取り囲んで絶縁部を形成することができる。
第1の端子および第2の端子間が半田又は錫を介して電気的に接続された後は、必要に応じて硬化性樹脂成分を硬化させることにより導通を確保することができる。また、隣接する端子間の絶縁性を確保するとともに対向する第1の端子および第2の端子間の機械的接着強度を高めることができる。
【0036】
(i)硬化性樹脂成分
本発明に係る硬化性樹脂成分は、通常、半導体装置製造用の接着剤成分として使用できるものであれば特に限定されない。このような硬化性樹脂成分としては、特に制限されないが、前記金属箔の融点以上の温度において硬化するものであることが好ましく、例えば、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、オキセタン樹脂、フェノール樹脂、(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル樹脂(不飽和ポリエステル樹脂)、ジアリルフタレート樹脂、マレイミド樹脂、ポリイミド樹脂(ポリイミド前駆体樹脂)、ビスマレイミド−トリアジン樹脂などが挙げられる。特に、エポキシ樹脂、(メタ)アクリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、マレイミド樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。中でも、硬化性と保存性、硬化物の耐熱性、耐湿性、耐薬品性に優れるという観点からエポキシ樹脂が好ましい。また、これらの硬化性樹脂成分は1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0037】
本発明に係る硬化性樹脂成分の形態は、硬化性樹脂組成物の形態などに応じて適宜選択することができる。液状の硬化性樹脂組成物を使用する場合には、液状の硬化性樹脂成分を用いることが好ましく、必要に応じて後述するフィルム形成性樹脂成分を併用してもよ
い。また、固形状の硬化性樹脂組成物を使用する場合には、液状および固形状のいずれの硬化性樹脂成分も用いることができ、フィルム形成性樹脂成分を併用することが好ましい。
【0038】
本発明においては、前記エポキシ樹脂として、25℃で液状および室温で固形状のいずれのエポキシ樹脂も使用することができる。また、室温で液状のエポキシ樹脂と室温で固形状のエポキシ樹脂とを併用することも可能である。硬化性樹脂組成物が液状の場合には、室温で液状のエポキシ樹脂を用いることが好ましく、硬化性樹脂組成物が固形状の場合には、液状および固形状のいずれのエポキシ樹脂も使用することが可能であり、フィルム形成性樹脂を適宜併用することが好ましい。
【0039】
本発明に係る25℃で液状のエポキシ樹脂としては、特に制限はないが、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂などが挙げられる。また、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂とを併用してもよい。
【0040】
25℃で液状のエポキシ樹脂のエポキシ当量は、150〜300g/eqであることが好ましく、160〜250g/eqであることがより好ましく、170〜220g/eqであることが特に好ましい。前記エポキシ当量が上記下限未満になると硬化物の収縮率が大きくなる傾向があり、反りが生じることがある。他方、前記上限を超えると、フィルム形成性樹脂成分を併用した場合に、フィルム形成性樹脂成分、特にポリイミド樹脂との反応性が低下する傾向にある。
【0041】
本発明に係る25℃で固形状のエポキシ樹脂としては、特に制限はないが、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、3官能エポキシ樹脂、4官能エポキシ樹脂などが挙げられる。中でも、固形3官能エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などが好ましい。また、これらのエポキシ樹脂は1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。25℃で固形状のエポキシ樹脂の軟化点は、40〜120℃であることが好ましく、50〜110℃であることがより好ましく、60〜100℃であることが特に好ましい。前記軟化点が前記範囲内にあると、タック性を抑えることができ、容易に取り扱うことが可能となる。
【0042】
本発明においては、このような硬化性樹脂成分としての市販品を使用することができ、さらに、本発明の効果を損ねない範囲で、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、無機フィラー、帯電防止剤や顔料などの各種添加剤を配合したものを使用することもできる。
【0043】
本発明に係る導電接続材料において、前記硬化性樹脂成分の含有量は硬化性樹脂組成物の形態に応じて適宜設定することができる。
例えば、硬化性樹脂組成物が液状の場合、硬化性樹脂成分の含有量は、硬化性樹脂組成物の全重量に対して、10重量%以上が好ましく、15重量%以上がより好ましく、20重量%以上がさらに好ましく、25重量%以上がさらにより好ましく、30重量%以上がなお好ましく、35重量%以上が特に好ましい。また、100重量%未満が好ましく、95重量%以下がより好ましく、90重量%以下がさらに好ましく、75重量%以下がさらにより好ましく、65重量%以下がなお好ましく、55重量%以下が特に好ましい。
硬化性樹脂組成物が固形状の場合は、硬化性樹脂成分の含有量は、硬化性樹脂組成物の全重量に対して、5重量%以上が好ましく、10重量%以上がより好ましく、15重量%以上がさらに好ましく、20重量%以上が特に好ましい。また、90重量%以下が好ましく、85重量%以下がより好ましく、80重量%以下がさらに好ましく、75重量%以下がさらにより好ましく、65重量%以下がなお好ましく、55重量%以下が特に好ましい

硬化性樹脂成分の含有量が前記範囲内にあると端子間の電気的接続強度及び機械的接着強度を十分に確保することができる。
【0044】
(ii)フィルム形成性樹脂成分
本発明において、固形状の硬化性樹脂組成物を使用する場合には、前記硬化性樹脂成分とフィルム形成性樹脂成分とを併用することが好ましい。このようなフィルム形成性樹脂成分としては、有機溶媒に可溶であり、単独で製膜性を有するものであれば特に制限はない。熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂のいずれのものも使用することができ、また、これらを併用することもできる。具体的なフィルム形成性樹脂成分としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シロキサン変性ポリイミド樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリプロピレン樹脂、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体、ポリアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ブチルゴム、クロロプレンゴム、ポリアミド樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリ酢酸ビニル、ナイロンなどが挙げられる。中でも、(メタ)アクリル系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂およびポリイミド樹脂が好ましい。また、これらのフィルム形成性樹脂成分は1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0045】
なお、本発明において、「(メタ)アクリル系樹脂」とは、(メタ)アクリル酸およびその誘導体の重合体、または(メタ)アクリル酸およびその誘導体と他の単量体との共重合体を意味する。ここで、「(メタ)アクリル酸」などと表記するときは、「アクリル酸またはメタクリル酸」などを意味する。
【0046】
前記(メタ)アクリル系樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリアクリル酸−2−エチルヘキシルなどのポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ブチルなどのポリメタクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリアクリルアミド、アクリル酸ブチル−アクリル酸エチル−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体、メタクリル酸メチル−アクリロニトリル共重合体、メタクリル酸メチル−α−メチルスチレン共重合体、アクリル酸ブチル−アクリル酸エチル−アクリロニトリル−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸共重合体、アクリル酸ブチル−アクリル酸エチル−アクリロニトリル−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−アクリル酸共重合体、アクリル酸ブチル−アクリロニトリル−2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、アクリル酸ブチル−アクリロニトリル−アクリル酸共重合体、アクリル酸ブチル−アクリル酸エチル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エチル−アクリロニトリル−N,N−ジメチルアクリルアミド共重合体などが挙げられる。中でも、アクリル酸ブチル−アクリル酸エチル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エチル−アクリロニトリル−N,N−ジメチルアクリルアミドが好ましい。また、これらの(メタ)アクリル系樹脂は1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0047】
このような(メタ)アクリル系樹脂のうち、半導体ウエハーまたは半導体チップへの密着性および他の樹脂成分との相溶性を向上させることができるという観点から、ニトリル基、エポキシ基、水酸基、カルボキシル基などの官能基を有する単量体を共重合させてなる(メタ)アクリル系樹脂が好ましい。このような(メタ)アクリル系樹脂において、前
記官能基を有する単量体の配合量は特に限定されないが、(メタ)アクリル系樹脂合成時の全単量体100mol%に対して0.1〜50mol%であることが好ましく、0.5〜45mol%であることがより好ましく、1〜40mol%であることが特に好ましい。前記官能基を有する単量体の配合量が前記下限値未満になると密着性が十分に向上しない傾向にあり、他方、前記上限を超えると粘着力が強すぎて作業性が十分に向上しない傾向にある。
【0048】
前記(メタ)アクリル系樹脂の重量平均分子量は特に限定されないが、10万以上であることが好ましく、15万〜100万であることがより好ましく、25万〜90万であることが特に好ましい。前記重量平均分子量が前記範囲内にあると製膜性を向上させることが可能となる。
【0049】
本発明においてフィルム形成性樹脂成分としてフェノキシ樹脂を用いる場合、その数平均分子量は、5000〜15000であることが好ましく、6000〜14000であることがより好ましく、8000〜12000であることが特に好ましい。このようなフェノキシ樹脂を用いることにより、硬化前の導電接続材料の流動性を抑制することができる。
【0050】
前記フェノキシ樹脂の骨格は、ビスフェノールAタイプ、ビスフェノールFタイプ、ビフェニルタイプなどが挙げられるが、本発明ではこれらに限定されない。また、飽和吸水率が1%以下であるフェノキシ樹脂は、接着時や半田実装時の高温下において、発泡または剥離などの発生を抑えることができるため好ましい。なお、飽和吸水率は、フェノキシ樹脂を25μm厚のフィルムに加工し、100℃雰囲気中で1時間乾燥(絶乾状態)し、さらに、そのフィルムを40℃、90%RH雰囲気の恒温恒湿槽に放置し、質量変化を24時間おきに測定し、質量変化が飽和した時点の質量を用いて、下記式により算出することができる。
飽和吸水率(%)={(飽和した時点の質量)−(絶乾時点の質量)}/
(絶乾時点の質量)×100
【0051】
本発明に用いられるポリイミド樹脂としては、繰り返し単位中にイミド結合を持つ樹脂であれば特に限定されず、例えば、ジアミンと酸二無水物を反応させ、得られたポリアミド酸を加熱、脱水閉環することにより得られるものが挙げられる。
【0052】
前記ジアミンとしては、例えば、3,3’−ジメチル−4,4’ジアミノジフェニル、4,6−ジメチル−m−フェニレンジアミン、2,5−ジメチル−p−フェニレンジアミンなどの芳香族ジアミン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)―1,1,3,3―テトラメチルジシロキサンなどのシロキサンジアミンが挙げられる。これらのジアミンは1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0053】
また、前記酸二無水物としては、3,3,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、ピロメリット酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物などが挙げられる。これらの酸二無水物は1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0054】
本発明に用いられるポリイミド樹脂は、溶剤に可溶なものでも、不溶なものでもよいが、他の成分と混合する際のワニス化が容易であり、取扱性に優れている点で溶剤可溶性のものが好ましい。特に、様々な有機溶媒に溶解できる点でシロキサン変性ポリイミド樹脂を用いることが好ましい。
【0055】
本発明に用いられるポリアミド樹脂は、特に制限されないが、例えば、6−ナイロン、12−ナイロン等環状脂肪族ラクタムを開環重合したもの、6,6−ナイロン、4,6−
ナイロン、6,10−ナイロン、6,12−ナイロン等脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸とを縮重合させたもの、芳香族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸とを縮重合させたもの、芳香族ジアミンと芳香族ジカルボン酸とを縮重合させたもの、アミノ酸を縮重合させたもの等が挙げられる。
【0056】
本発明で用いられるポリアミド樹脂の分子量は、特に制限されないが、例えば、5000〜100000が好ましく、8000〜50000が特に好ましい。分子量が上記範囲以下であると、成形性は良好であるがフィルムの機械強度が弱く、上記範囲以上であると粘度が高くなり、それにより半田又は錫の動きが阻害され導通不良となる。
本発明に用いられるポリアミド樹脂は、溶剤に可溶なものでも、不溶なものでもよいが、他の成分と混合する際のワニス化が容易であり、取扱性に優れている点で溶剤可溶性のものがより好ましい。
【0057】
本発明に用いられるポリエステル樹脂は、特に制限されないが、酸成分としてテレフタル酸等の2価の酸またはエステル形成能を持つそれらの誘導体を用い、グリコール成分として炭素数2〜10のグリコール、その他の2価のアルコールまたはエステル形成能を有するそれらの誘導体等を用いて得られる飽和ポリエステル樹脂をいう。
【0058】
前記ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリヘキサメチレンテレフタレート樹脂等のポリアルキレンテレフタレート樹脂等が挙げられる。
【0059】
前記ポリエステル樹脂は、必要に応じて他の成分を共重合したポリエステル樹脂でも良い。前記共重合する成分としては、特に制限はないが、例えば、公知の酸成分、アルコール成分、フェノール成分またはエステル形成能を持つこれらの誘導体、ポリアルキレングリコール成分等が挙げられる。
【0060】
前記共重合可能な酸成分としては、例えば、2価以上の炭素数8〜22の芳香族カルボン酸、2価以上の炭素数4〜12の脂肪族カルボン酸、さらには、2価以上の炭素数8〜15の脂環式カルボン酸、およびエステル形成能を有するこれらの誘導体が挙げられる。前記共重合可能な酸成分の具体例としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボジフェニル)メタンアントラセンジカルボン酸、4−4‘−ジフェニルカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、マレイン酸、トリメシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸およびエステル形成能を有するこれらの誘導体が挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上を併用して用いることができる。
【0061】
前記共重合可能なアルコールおよび/またはフェノール成分としては、例えば、2価以上の炭素数2〜15の脂肪族アルコール、2価以上の炭素数6〜20の脂環式アルコール、炭素数6〜40の2価以上の芳香族アルコールまたは、フェノールおよびエステル形成能を有するこれらの誘導体が挙げられる。前記共重合可能なアルコールおよび/またはフェノール成分の具体例としては、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、デカンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、2,2‘−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、ハイドロキノン、グリセリン、ペンタエリスリトール、などの化合物、およびエステル形成能を有するこれらの誘導体、ε−カプロラクトン等の環状エステルが挙げられる。
【0062】
前記共重合可能なポリアルキレングリコール成分としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールおよび、これらのランダムまたはブロック共重合体、ビスフェノール化合物のアルキレングリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、およびこれらのランダムまたはブロック共重合体等)付加物等の変性ポリオキシアルキレングリコール等が挙げられる。
【0063】
本発明においては、このようなフィルム形成性樹脂成分として市販品を使用することができ、さらに、本発明の効果を損ねない範囲で、可塑剤、安定剤、無機フィラー、帯電防止剤や顔料などの各種添加剤を配合したものを使用することもできる。
【0064】
本発明に係る導電接続材料において、前記フィルム形成性樹脂成分の含有量は、使用する硬化性樹脂組成物の形態に応じて適宜設定することができる。
例えば、固形状の硬化性樹脂組成物の場合には、フィルム形成性樹脂成分の含有量は、硬化性樹脂組成物の全重量に対して、5重量%以上であることが好ましく、10重量%以上であることがより好ましく、15重量%以上であることが特に好ましい。また、50重量%以下であることが好ましく、45重量%以下であることがより好ましく、40重量%以下であることが特に好ましい。フィルム形成性樹脂成分の含有量が前記範囲内にあると溶融前の硬化性樹脂組成物の流動性を抑制することができ、導電接続材料を容易に取り扱うことが可能となる。
【0065】
(iii)フラックス機能を有する化合物
本発明に係るフラックス機能を有する化合物は、金属箔の表面酸化膜を還元する作用を有するものである。このようなフラックス機能を有する化合物としては、フェノール性水酸基および/またはカルボキシル基を有する化合物が好ましい。フェノール性水酸基を有する化合物としては、例えば、フェノール、o−クレゾール、2,6−キシレノール、p−クレゾール、m−クレゾール、o−エチルフェノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、m−エチルフェノール、2,3−キシレノール、メジトール、3,5−キシレノール、p−tert−ブチルフェノール、カテコール、p−tert−アミルフェノール、レゾルシノール、p−オクチルフェノール、p−フェニルフェノール、ビスフェノールF、ビスフェノールAF、ビフェノール、ジアリルビスフェノールF、ジアリルビスフェノールA、トリスフェノール、テトラキスフェノールなどのフェノール性水酸基を含有するモノマー類、フェノールノボラック樹脂、o−クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールFノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂などのフェノール製水酸基を含有する樹脂が挙げられる。
【0066】
カルボキシル基を有する化合物としては、例えば、脂肪族酸無水物、脂環式酸無水物、芳香族酸無水物、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸などが挙げられる。前記脂肪族酸無水物としては、無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物などが挙げられる。前記脂環式酸無水物としては、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物などが挙げられる。前記芳香族酸無水物としては、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート、グリセロールトリストリメリテートなどが挙げられる。
【0067】
前記脂肪族カルボン酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、オレイン酸、フマル酸、マレイン酸、シュウ酸
、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ピメリン酸などが挙げられる。中でも、下記式(1):
HOOC−(CH−COOH (1)
(式(1)中、nは1〜20の整数である。)
で表される脂肪族カルボン酸が好ましく、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸がより好ましい。
【0068】
芳香族カルボン酸の構造は特に制限されないが、下記式(2)又は(3)で表される化合物が好ましい。
【化1】

[式中、R〜Rは、それぞれ独立して、1価の有機基であり、R〜Rの少なくとも一つは水酸基である。]
【化2】

[式中、R〜R20は、それぞれ独立して、1価の有機基であり、R〜R20の少なくとも一つは水酸基又はカルボキシル基である。]
【0069】
前記芳香族カルボン酸としては、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘミメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、メロファン酸、プレートニ酸、ピロメリット酸、メリット酸、トリイル酸、キシリル酸、ヘメリト酸、メシチレン酸、プレーニチル酸、トルイル酸、ケイ皮酸、サリチル酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、ゲンチジン酸(2,5−ジヒドロキシ安息香酸)、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、浸食子酸(3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸)、4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3,5−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3,5−2−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸などのナフトエ酸誘導体;フェノールフタリン;ジフェノール酸などが挙げられる。
【0070】
このようなフラックス機能を有する化合物のうち、硬化性樹脂成分の硬化剤として作用する化合物、すなわち、金属箔と端子とを電気的に接続できる程度に、金属箔および端子の表面酸化膜を還元する作用を示し、且つ、硬化性樹脂成分と反応可能な官能基を有する化合物がより好ましい。前記官能基は、硬化性樹脂成分の種類に応じて適宜選択することができ、例えば、硬化性樹脂成分がエポキシ樹脂の場合には、カルボキシル基、水酸基、アミノ基などのエポキシ基と反応可能な官能基が挙げられる。このようなフラックス機能を有する化合物は導電接続材料の溶融時には金属箔の表面酸化膜を還元して金属箔の表面の濡れ性を高め、接続部を容易に形成し、端子間を電気的に接続することが可能となる。また、端子間の電気的な接続が完了した後においては、この化合物は硬化剤として作用し、硬化性樹脂成分に付加して樹脂の弾性率またはTgを高められる。したがって、このようなフラックス機能を有する化合物をフラックスとして用いるとフラックス洗浄が不要であり、また、フラックスの残存に起因するイオンマイグレーションの発生を抑制することが可能となる。
【0071】
このような作用を有するフラックス機能を有する化合物としては、少なくとも1つのカルボキシル基を有する化合物が挙げられる。例えば、硬化性樹脂成分がエポキシ樹脂の場合には、脂肪族ジカルボン酸およびカルボキシル基とフェノール性水酸基とを有する化合物などが挙げられる。
前記脂肪族ジカルボン酸としては、特に制限はないが、脂肪族炭化水素基にカルボキシル基が2個結合した化合物が挙げられる。前記脂肪族炭化水素基は、飽和または不飽和の非環式であってもよいし、飽和または不飽和の環式であってもよい。また、脂肪族炭化水素基が非環式の場合には直鎖状でも分岐状でもよい。
【0072】
このような脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、前記式(1)においてnが1〜20の整数である化合物が挙げられる。前記式(1)中のnが前記範囲内にあると、フラックス活性、接着時のアウトガスおよび導電接続材料の硬化後の弾性率およびガラス転移温度のバランスが良好となる。特に、導電接続材料の硬化後の弾性率の増加を抑制し、半導体ウエハーや半導体チップとの接着性を向上させることができるという観点から、nは3以上であることが好ましく、弾性率の低下を抑制し、接続信頼性をさらに向上させることができるという観点から、nは10以下であることが好ましい。
【0073】
前記式(1)で示される脂肪族ジカルボン酸としては、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸などが挙げられる。中でも、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデンカン二酸が好ましく、セバシン酸が特に好ましい。
【0074】
前記カルボキシル基とフェノール性水酸基とを有する化合物としては、サリチル酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、ゲンチジン酸(2,5−ジヒドロキシ安息香酸)、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、浸食子酸(3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸)などの安息香酸誘導体;1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3,5−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸などのナフトエ酸誘導体;フェノールフタリン;ジフェノール酸などが挙げられる。中でも、フェノールフタリン、ゲンチジン酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸が好ましく、フェノールフタリン、ゲンチジン酸が特に好ましい。
【0075】
本発明に係るフラックス機能を有する化合物は、1種単独で用いても2種以上を併用
してもよい。また、いずれの化合物も吸湿しやすく、ボイド発生の原因となるため、本発明においては、使用前に予め乾燥させることが好ましい。
【0076】
本発明に係る導電接続材料において、前記フラックス機能を有する化合物の含有量は、使用する樹脂組成物の形態に応じて適宜設定することができる。
例えば、樹脂組成物が液状の場合、フラックス機能を有する化合物の含有量は、硬化性樹脂組成物の全重量に対して、1重量%以上が好ましく、2重量部%以上がより好ましく、3重量%以上が特に好ましい。また、50重量%以下が好ましく、40重量%以下がより好ましく、30重量%以下がさらに好ましく、25重量%以下が特に好ましい。
固形状の樹脂組成物の場合には、フラックス機能を有する化合物の含有量は、硬化性樹脂組成物の全重量に対して、1重量%以上が好ましく、2重量%以上がより好ましく、3重量%以上が特に好ましい。また、50重量%以下が好ましく、40重量%以下がより好ましく、30重量%以下がさらに好ましく、25重量%以下が特に好ましい。
フラックス機能を有する化合物の含有量が上記範囲内であると、金属箔及び端子の表面酸化膜を電気的に接合できる程度に除去することができる。さらに、樹脂組成物が硬化性樹脂の場合、硬化時に、樹脂に効率よく付加して樹脂の弾性率又はTgを高めることができる。また、未反応のフラックス機能を有する化合物に起因するイオンマイグレーションの発生を抑制することができる。
【0077】
本発明に係る硬化性樹脂組成物は、硬化促進剤を含むものであることが好ましい。硬化促進剤を添加することによって、前記溶融粘度と前記絶縁抵抗値を有する硬化性樹脂組成物を容易に得ることができる。
【0078】
このような硬化促進剤としては、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4−メチルイミダゾリル(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル(1’)]−エチル−s−トリアジンのイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシジメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒ
【0079】
これらの中でも、硬化性樹脂組成物の硬化が完了する前に半田又は錫が端子の表面に移動することができ、端子間を良好に接続できるという観点から、融点が150℃以上のイミダゾール化合物が好ましい。このような融点が150℃以上のイミダゾールとしては、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4−メチルイミダゾリル(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル(1’)]−エチル−s−トリアジンのイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシジメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールなどが挙げられる。また、本発明においては、このような硬化促進剤を1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0080】
本発明に係る導電接続材料において、前記硬化促進剤の含有量は、使用する硬化促進剤の種類に応じて適宜設定することができる。
例えば、イミダゾール化合物を使用する場合には、イミダゾール化合物の含有量は、硬化性樹脂組成物の全重量に対して、0.001重量%以上が好ましく、0.003重量%以上がより好ましく、0.005重量%以上が特に好ましい。また、1.0重量%以下が好ましく、0.7重量%以下がより好ましく、0.5重量%以下が特に好ましい。イミダゾール化合物の含有量が前記下限未満になると硬化促進剤としての作用が十分に発揮されず、硬化性樹脂組成物を十分に硬化できない場合がある。他方、イミダゾール化合物の含有量が前記上限を超えると、硬化性樹脂組成物の硬化が完了する前に半田又は錫が端子表面に十分に移動せず、絶縁性領域に半田又は錫が残り絶縁性が十分に確保できない場合がある。また、導電接続材料の保存性が低下する場合がある。
【0081】
(iv)その他の添加剤
本発明に係る硬化性樹脂組成物には、硬化剤(フラックスとして作用するものを除く)、シランカップリング剤、可塑剤、安定剤、粘着付与剤、滑剤、酸化防止剤、無機フィラー、充てん材、帯電防止剤や顔料等の添加剤がさらに含まれていてもよい。
【0082】
フラックス機能を有する化合物以外の硬化剤としては、フェノール類、アミン類、チオール類などが挙げられる。このような硬化剤は、硬化性樹脂成分の種類などに応じて適宜選択することができる。例えば、硬化性樹脂成分としてエポキシ樹脂を使用する場合には、エポキシ樹脂との良好な反応性、硬化時の低寸法変化および硬化後の適切な物性(例えば、耐熱性、耐湿性など)が得られる点で硬化剤としてフェノール類を用いることが好ましく、硬化性樹脂成分の硬化後の物性が優れている点で2官能以上のフェノール類がより好ましい。また、このような硬化剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0083】
このようなフェノール類としては、例えば、ビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールA、ジアリルビスフェノールA、ビフェノール、ビスフェノールF、ジアリルビスフェノールF、トリスフェノール、テトラキスフェノール、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂などが挙げられる。中でも、溶融粘度、エポキシ樹脂との反応性が良好であり、硬化後の物性が優れている点でフェノールノボラック樹脂およびクレゾールノボラック樹脂が好ましい。
【0084】
本発明に係る導電接続材料において、前記硬化剤の配合量は、使用する硬化性樹脂成分や硬化剤の種類、およびフラックス機能を有する化合物が硬化剤として機能する官能基を有する場合、その官能基の種類や使用量によって適宜選択することができる。例えば、フェノールノボラック樹脂を使用する場合、その配合量は、硬化性樹脂組成物の全重量に対して、1重量%以上であることが好ましく、3重量%以上であることがより好ましく、5重量%以上であることが特に好ましく、また、50重量部%以下であることが好ましく、40重量%以下であることがより好ましく、30重量%以下であることが特に好ましい。フェノールノボラック樹脂の配合量が前記下限未満になると硬化性樹脂成分が十分に硬化しない傾向にあり、他方、前記上限を超えると未反応のフェノールノボラック樹脂が残存してイオンマイグレーションが発生しやすい傾向にある。
【0085】
また、硬化性樹脂成分としてエポキシ樹脂を用いた場合には、フェノールノボラック樹脂の配合量はエポキシ樹脂に対する当量比で規定してもよい。例えば、エポキシ樹脂に対するフェノールノボラック樹脂の当量比は0.5〜1.2であることが好ましく、0.6〜1.1であることがより好ましく、0.7〜0.98であることが特に好ましい。前記当量比が前記下限未満になると、エポキシ樹脂の硬化後の耐熱性、耐湿性が低下しやすい傾向にあり、他方、前記上限を超えると未反応のフェノールノボラック樹脂が残存し、イ
オンマイグレーションが発生しやすい傾向にある。
【0086】
前記シランカップリング剤としては、例えば、エポキシシランカップリング剤、芳香族含有アミノシランカップリング剤などが挙げられる。このようなシランカップリング剤を添加することにより、半導体ウエハーまたは半導体チップと導電接続材料との密着性を高めることができる。また、このようなシランカップリング剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0087】
本発明に係る導電接続材料において、前記シランカップリング剤の配合量は、インターポーザまたは半導体チップの界面や硬化性樹脂成分などの種類に応じて適宜選択することができ、例えば、硬化性樹脂組成物の全重量に対して、0.01重量%以上であることが好ましく、0.05重量%以上であることがより好ましく、0.1重量%以上であることが特に好ましく、また、2重量%以下であることが好ましく、1.5重量%以下であることがより好ましく、1重量%以下であることが特に好ましい。
【0088】
本発明において、前記硬化性樹脂組成物は、上記各成分を混合・分散させることによって調製することができる。各成分の混合方法や分散方法は特に限定されず、従来公知の方法で混合、分散させることができる。
【0089】
また、本発明においては、前記各成分を溶媒中でまたは無溶媒下で混合して液状の硬化性樹脂組成物を調製してもよい。このとき用いられる溶媒としては、各成分に対して不活性なものであれば特に限定はないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、ジイソブチルケトン(DIBK)、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール(DAA)などのケトン類;ベンゼン、キシレン、トルエンなどの芳香族炭化水素類、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコールなどのアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブ類、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ニ塩基酸エステル(DBE)、3−エトキシプロピオン酸エチル(EEP)、ジメチルカーボネート(DMC)などが挙げられる。また、溶媒の使用量は、溶媒に混合した成分の固形分濃度が10〜80重量%となる量であることが好ましい。
【0090】
(b)熱可塑性樹脂組成物
本発明においては、樹脂組成物として熱可塑性樹脂組成物を用いることもできる。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂成分およびフラックス機能を有する化合物を含有し、所定温度により軟化するものであれば特に制限されない。
【0091】
(i)熱可塑性樹脂成分
前記熱可塑性樹脂成分としては、特に制限されないが、例えば、酢酸ビニル系、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、塩化ビニル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シロキサン変性ポリイミド樹脂、ポリブタジエン樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、イソブチレン樹脂、ビニルエーテル樹脂、液晶ポリマー樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリウレタン樹脂、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体、ポリアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ブチルゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸共重合体、ア
クリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリ酢酸ビニル等が挙げられる。該熱可塑性樹脂成分は、単一の重合体でもよく、上記熱可塑樹脂成分の少なくとも2種以上の共重合体でもよい。
【0092】
前記熱可塑性樹脂成分の軟化点は、特に制限されないが、導電接続材料を構成する前記金属箔の融点より10℃以上低いことが好ましく、20℃以上低いことが特に好ましく、さらに、30℃以上低いことがより好ましい。
また、前記熱可塑性樹脂成分の分解温度は、特に制限されないが、導電接続材料を構成する金属箔の融点よりも10℃以上高いことが好ましく、20℃以上高いことが特に好ましく、さらに、30℃以上高いことがより好ましい。
【0093】
前記熱可塑性樹脂の含有量は使用する熱可塑性樹脂組成物の形態に応じて適宜設定することができる。
例えば、熱可塑性樹脂組成物が液状の場合、熱可塑性樹脂成分の含有量は、熱可塑性樹脂組成物の全重量に対して、10重量%以上が好ましく、15重量%以上がより好ましく、20重量%以上がさらに好ましく、25重量%以上がさらにより好ましく、30重量%以上がなお好ましく、35重量%以上が特に好ましい。また、100重量%以下が好ましく、95重量%以下がより好ましく、90重量%以下がさらに好ましく、75重量%以下がさらにより好ましく、65重量%以下がなお好ましく、55重量%以下が特に好ましい。
熱可塑性樹脂組成物が固形状の場合は、熱可塑性樹脂成分の含有量は、熱可塑性樹脂組成物の全重量に対して、5重量%以上が好ましく、10重量%以上がより好ましく、15重量%以上がさらに好ましく、20重量%以上が特に好ましい。また、90重量%以下が好ましく、85重量%以下がより好ましく、80重量%以下がさらに好ましく、75重量%以下がさらにより好ましく、65重量%以下がなお好ましく、55重量%以下が特に好ましい。
熱可塑性樹脂成分の含有量が上記の範囲内であると端子間の電気的接続強度及び機械的接着強度を十分に確保することができる。
【0094】
(ii)フラックス機能を有する化合物
フラックス機能を有する化合物は、前記「(a)硬化性樹脂組成物」において説明したものと同じものを用いることができる。好ましい化合物および配合量についても同様である。
【0095】
(iii)その他の添加剤
また、上記の熱可塑性樹脂成分に対し、本発明の効果を損ねない範囲でシランカップリング剤、可塑剤、安定剤、粘着付与剤、滑剤、酸化防止剤、無機フィラー、充てん材、帯電防止剤や顔料などを配合してもよい。
【0096】
本発明に係る導電接続材料において樹脂組成物層の厚みは、特に制限されないが、1μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましく、5μm以上であることが特に好ましい。また、樹脂組成物層の厚みは、200μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることが特に好ましい。樹脂組成物層の厚みが前記範囲内にあると、隣接する端子間の間隙に樹脂組成物を十分に充填することができ、樹脂組成物の硬化または固化後の機械的接着強度および対向する端子間の電気的接続を十分に確保することができる。
【0097】
本発明の導電接続材料が樹脂組成物層を複数含む場合、各樹脂組成物層の組成は同一でもよいし、用いる樹脂成分の種類や配合処方の違いなどにより異なっていてもよい。樹脂組成物層の溶融粘度や軟化温度などの物性も同一でもよいし異なっていてもよい。例えば
液状の樹脂組成物層と固形状の樹脂組成物層とを組み合わせて用いてもよい。
【0098】
(2)金属箔層
本発明において金属箔層は、半田箔又は錫箔から選ばれる金属箔で構成される層である。金属箔層は平面視で樹脂組成物層の少なくとも一部に形成されていればよく、樹脂組成物層の全面に形成されていてもよい。
【0099】
金属箔層の形状は特に制限されなく、一定の形状が繰り返しパターン状に形成されていてもよいし、形状が不規則であってもよい。規則的な形状と不規則な形状とが混在していてもよい。金属箔層の形状としては、例えば、点線の抜き模様状(a)、縞模様状(b)、水玉模様状(c)、矩形模様状(d)、チェッカー模様状(e)、額縁状(f)、格子模様状(g)又は多重の額縁状(h)などが挙げられる。これらの形状は一例であり、目的や用途に応じてこれらの形状を組み合わせたり、変形させて用いることができる。
【0100】
本発明の一実施態様において、接続しようとする端子が半導体ウエハーおよび半導体チップの接続面全体に配置されているようなフルグリッド型の被着体を接続する場合、樹脂組成物の全面にシート状の金属箔を形成することが好ましい。
【0101】
また、接続しようとする端子が半導体ウエハーおよび半導体チップの接続面の周辺部に配置されるようなペリフェラル型の被着体を接続する場合、金属箔を有効に利用する観点、及び、隣接する端子間に金属箔を残存させないという観点から、樹脂組成物の少なくとも一部に繰り返しパターン状の金属箔を形成することが好ましい。このとき、金属箔の形状は端子のピッチや形態等によって適宜選択することができる。
【0102】
本発明に使用する金属箔は、特に限定されず、錫(Sn)、鉛(Pb)、銀(Ag)、ビスマス(Bi)、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、アンチモン(Sb)、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、金(Au)、ゲルマニウム(Ge)および銅(Cu)からなる群から選択される少なくとも2種以上の金属の合金、または錫単体からなることが好ましい。
【0103】
このような合金のうち、溶融温度および機械的物性を考慮すると、Sn−Pbの合金、鉛フリー半田であるSn−Biの合金、Sn−Ag−Cuの合金、Sn−Inの合金、Sn−Agの合金などのSnを含む合金からなることがより好ましい。Sn−Pbの合金の場合、錫の含有率は、30重量%以上100重量%未満であることが好ましく、35重量%以上100重量%未満であることがより好ましく、40重量%以上が特に好ましい。また、100重量%未満であることが好ましい。また、鉛フリー半田の場合の錫の含有率は、15重量%以上100重量%未満であることが好ましく、20重量%以上100重量%未満であることがより好ましく、25重量%以上100重量%未満であることが特に好ましい。例えば、Sn−Pbの合金としては、Sn63−Pb(融点183℃)、鉛フリー半田としては、Sn−3.0Ag−0.5Cu(融点217℃)、Sn−3.5Ag(融点221℃)、Sn−58Bi(融点139℃)、Sn−9.0Zn(融点199℃)、Sn−3.5Ag−0.5Bi−3.0In(融点193℃)、Au−20Sn(融点280℃)、等が挙げられる。
【0104】
本発明においては、接続するインターポーザまたは半導体チップの耐熱性に応じて適宜、所望の融点及び組成を有する金属箔を用いることができる。例えば、半導体ウエハーまたは半導体チップが熱履歴により損傷するのを防止するために、融点が330℃以下(より好ましくは300℃以下、特に好ましくは280℃以下、さらに好ましくは260℃以下)である金属箔を用いることが好ましい。なお、金属箔の融点は、示差走査熱量計(DSC)により測定することができる。
【0105】
前記金属箔の厚みは、対向するインターポーザおよび半導体チップ間のギャップ、隣接する端子間の離隔距離などに応じて適宜選択することができ、例えば、金属箔の厚みは、0.5μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましく、5μm以上であることが特に好ましく、また、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることが特に好ましい。金属箔の厚みが前記下限未満になると金属箔不足により未接続の端子が増加する傾向にあり、他方、前記上限を超えると金属箔余剰により隣接端子間でブリッジを起こし、ショートしやすくなる傾向にある。
【0106】
金属箔の作製方法は、特に制限はないが、インゴットなどの塊から圧延により作製する方法、樹脂組成物層へ直接蒸着、スパッタ、めっきなどにより金属箔層を形成する方法などが挙げられる。また、繰り返しパターン状の金属箔の作製方法は、特に制限はないが、金属箔を所定のパターンに打抜く方法、エッチングなどにより所定のパターンを形成する方法、また、遮蔽板やマスクなどを使用することにより蒸着、スパッタ、めっきなどで形成する方法などが挙げられる。
【0107】
前記金属箔の含有量は、導電接続材料の全重量に対して、5重量%以上が好ましく、20重量%以上がより好ましく、30重量%以上が特に好ましい。また、100重量%未満が好ましく、80重量%以下がより好ましく、70重量%以下が特に好ましい。金属箔の含有量が上記下限未満になると半田又は錫不足により未接続の端子が増加する場合がある。他方、金属箔の含有量が上記上限を超えると半田又は錫余剰により隣接端子間でブリッジを起こしやすくなる。
【0108】
あるいは、金属箔の配合量を導電接続材料に対する体積比率で定義してもよい。例えば、金属箔の配合量は、導電接続材料に対して1体積%以上であることが好ましく、5体積%以上であることがより好ましく、10体積%以上であることが特に好ましい。また、90体積%以下であることが好ましく、80体積%以下であることがより好ましく、70体積%以下であることが特に好ましい。金属箔の配合量が前記下限未満になると金属箔不足により未接続の端子が増加する傾向にある。他方、前記上限を超えると金属箔余剰により隣接端子間でブリッジを起こしやすくなる傾向がある。
【0109】
(3)導電接続材料の形態
本発明において導電接続材料の形態は、樹脂組成物の形態などに応じて適宜選択することができる。例えば、樹脂組成物が液状の場合は、金属箔の両面に樹脂組成物を塗布したもの、ポリエステルシート等の剥離基材上に樹脂組成物を塗布し、所定温度で半硬化(Bステージ化)等の目的で乾燥、製膜させた後に金属箔を張り合わせてフィルム状にしたもの等を導電接続材料として供することができる。樹脂組成物が固形状の場合は、有機溶剤に溶解した樹脂組成物のワニスをポリエステルシート等の剥離基材上に塗布し、所定の温度で乾燥させた後に金属箔を張り合わせ、または、蒸着などの手法を使いフィルム状に形成したものを導電接続材料として供することができる。
【0110】
また、本発明の導電接続材料およびこれに用いられる金属箔は、端子との接続を安定させるためにエンボス加工を施したものを用いることもできる。
【0111】
本発明の導電接続材料の厚みは、特に制限されないが、1μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましく、5μm以上であることが特に好ましく、また、200μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることが特に好ましい。導電接続材料の厚みが前記範囲内にあると隣接する端子間の間隙に樹脂組成物を十分に充填することができる。また、樹脂成分の硬化後
または固化後の機械的接着強度および対向する端子間の電気的接続を十分に確保することができる。
【0112】
次に、導電接続材料の製造方法について説明する。
本発明に用いる樹脂組成物が25℃で液状の場合は、例えば、金属箔を液状の樹脂組成物に浸漬させ、金属箔の両面に液状の樹脂組成物を付着させて、本発明の導電接続材料を製造することができる。樹脂組成物の厚み制御が必要な場合は、液状の樹脂組成物に浸漬させた金属箔を一定の間隙を有するバーコーターを通過させる方法や液状の樹脂組成物をスプレーコーター等により吹き付ける方法により作製することができる。
【0113】
また、樹脂組成物が25℃でフィルム状の場合は、例えば、次のようにして導電接続材料を製造することができる。まず、有機溶剤に溶解した樹脂組成物のワニスをポリエステルシート等の剥離基材上に塗布し、所定の温度で乾燥させ製膜させてフィルム状の樹脂組成物を作製する。次に、剥離基材上に製膜させた樹脂組成物を2枚準備し金属箔を挟んで熱ロールでラミネートすることで、金属箔の上下に樹脂組成物を配置した時樹脂組成物/金属箔/樹脂組成物からなる3層の導電接続材料を作製することができる。また、上述のラミネート方式により、金属箔の片面に樹脂組成物を配置することで樹脂組成物/金属箔からなる2層の導電接続材料を作製することができる。
【0114】
また、巻重状の金属箔を使用する場合は、金属箔をベース基材として、金属箔の上下または片側に前記フィルム状の樹脂組成物を熱ロールでラミネートすることで、巻重状の導電接続材料を得ることもできる。さらに、巻重状の金属箔を使用する場合、金属箔の上下または片側に、ワニス状の樹脂組成物を直接塗布し、溶剤を揮散させることにより巻重状の導電接続材料を作製することができる。
【0115】
パターン状の金属箔を使用して導電接続材料を作製する場合は、例えば、剥離基材上に金属箔を配置し、金属箔側から金型で金属箔をハーフカットし、余分な金属箔を除去することによりパターン状の金属箔を作製し、前記フィルム状の樹脂組成物を熱ロールでラミネートすればよい。パターン状の金属箔の両面に樹脂組成物を設ける場合は、前記剥離基材を剥がし、樹脂組成物が形成された面とは反対側のパターン状の金属箔の面に、フィルム状の樹脂組成物をさらにラミネートすればよい。
なお、導電接続材料の製造方法は上記方法に制限されない。導電接続材料の製造方法は、目的や用途に応じて当業者が適宜選択することができる。
【0116】
[1A−2] 次に、図2(b)に示すように、インターポーザ210の接続面211に、樹脂組成物61と、半田箔又は錫箔から選ばれる金属箔62とから構成される積層構造を有する導電接続材料60を形成する。
【0117】
導電接続材料60を接続面211上に形成する方法としては、特に制限はなく、ラミネートによる方法、熱圧着による方法等が挙げられるが、インターポーザ210と導電接続材料60の界面に気泡を巻き込むことを防止できる真空ラミネートによる方法が好ましい。
【0118】
なお、本実施形態では、導電接続材料60は、インターポーザ210の接続面211側に単独で設けているが、半導体チップ220の機能面221側に単独で設けるようにしてもよいし、インターポーザ210の接続面211側と半導体チップ220の機能面221側との双方に設けるようにしてもよい。なお、半導体装置の製造方法における工程の簡略化を図るという観点からは、接続面211および機能面221のうちのいずれか一方に導電接続材料60を設けるのが好ましく、形成される半導体ウエハー/半導体チップ接合体250の密着性の向上を図るという観点からは、接続面211および機能面221の双方
に導電接続材料60を設けてもよい。
【0119】
[1A−3] 次に、図2(c)に示すように、第1の接続端子を有する接続面211側に導電接続材料60が設けられたインターポーザ210と、第2の接続端子を有する半導体チップ220とを、接続面211と機能面221とが対向するようにして、インターポーザ210と、第1の半導体チップ220を配置させる。すなわち、接続面211と機能面221との間に導電接続材料60を介在させた状態で、インターポーザ210と、半導体チップ220を配置させる。
【0120】
そして、接続面211側における第1の端子(図示しない)と、機能面221側における第2の端子(図示しない)とが対応するように位置決めして、図2(c)に示すようにして、導電接続材料60を介してインターポーザ210と、半導体チップ220を重ね合わせることにより、インターポーザ210と半導体チップ220とが積層されたインターポーザ/半導体チップ積層体240を形成する(第2の工程)。
【0121】
[1A−4] 次に、図2(d)に示すように、インターポーザ/半導体チップ積層体240を、加熱する(第3の工程)。
【0122】
前記加熱温度は、金属箔の融点より5℃以上高い温度が好ましく、10℃以上高い温度がより好ましく、20℃以上高い温度がさらに好ましく、30℃以上高い温度が特に好ましい。
具体的には、前記加熱温度は、金属箔の構成材料および導電接続材料60の構成材料等によっても異なるが、100〜260℃程度であるのが好ましく、130〜250℃程度であるのがより好ましい。
【0123】
なお、インターポーザ/半導体チップ積層体240の加熱は、所定の単一温度で加熱する場合の他、例えば、180℃で30秒加熱した後、250℃で100秒加熱するステップキュアや、180℃で10秒熱圧着した後、240℃で10分オーブン硬化させるポストキュアを行うようにしてもよい。これにより、インターポーザの端子(図示しない)と半導体チップの端子(図示しない)を電気的に接続することができ、接続抵抗が低く、接続信頼性が高い導電部225を形成することができる。
【0124】
また、インターポーザ/半導体チップ積層体240を、加熱しつつ、その厚さ方向の間隙が一定となるような制御をすることにより、インターポーザの第1の端子および半導体チップの第2の端子の表面に金属箔を接触させることができ、効率よく凝集させることができる。
前記間隙が一定となるような制御を実施する方法は、特に制限されるわけではなく、フリップチップボンダー等を用いることにより実施することができる。
【0125】
これにより、金属箔を溶融させることができる。その結果、溶融した金属箔が、導電接続材料60中を移動して、第1の端子および第2の端子の表面に自己整合的に凝集する。その後、この凝集した凝集物が固化し、この固化した凝集物で構成される導電部225により、第1の端子および第2の端子を電気的に接続することができる。
【0126】
また、樹脂組成物の硬化または凝固が、金属箔の溶融に遅れて完了することにより、インターポーザ210と半導体チップ220との間の金属箔の溶融物が凝集する領域以外の領域に、樹脂組成物の硬化物または凝固物で構成される絶縁部226を形成することができ、隣接する導電部225同士を確実に絶縁することができるとともに、インターポーザ210と半導体チップ220とを確実に接着することができる。
【0127】
樹脂組成物が硬化性樹脂組成物の場合、硬化性樹脂組成物の硬化は、硬化性樹脂組成物の組成に応じて適宜設定することができるが、前記加熱工程での加熱温度より少なくとも5℃低い温度であることが好ましく、少なくとも10℃低い温度であることが特に好ましい。具体的には、100℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましく、130℃以上であることが特に好ましく、150℃以上であることが最も好ましい。また、300℃以下であることが好ましく、260℃以下であることがより好ましく、250℃以下であることが特に好ましく、240℃以下であることが最も好ましい。硬化温度が前記範囲内にあると、導電接続材料が熱分解せず、硬化性樹脂組成物を十分に硬化させることができる。
【0128】
また、樹脂組成物が熱可塑性樹脂組成物の場合、熱可塑性樹脂組成物の凝固は、熱可塑性樹脂組成物の組成に応じて適宜設定することができるが、前記加熱工程での加熱温度よりも少なくとも10℃以上低いことが好ましく、20℃以上低いことが特に好ましい。また、前記熱可塑性樹脂組成物の凝固温度は、50℃以上であることが好ましく、60℃以上であることが特に好ましく、100℃以上であることがさらに好ましい。前記熱可塑性樹脂組成物の凝固温度が前記範囲内にあると、導電部225を確実に形成することができ、また、絶縁部226が所望の耐熱性を有することができる。このため、隣接する端子間の絶縁性が確保され、隣接する端子間のショートをより確実に防止することができる。
【0129】
以上のようにして、溶融した金属箔を凝集させた後、この凝集した凝集物を固化させ、次いで、樹脂組成物を硬化または凝固させる。その結果、導電接続材料60’を介してインターポーザ210と半導体チップ220とが固着することとなり、溶融した金属箔が凝集した凝集物の固化物で構成される導電部225により、インターポーザの第1の端子と半導体チップの第2の端子とが電気的に接続されたインターポーザ/半導体チップ接合体250を形成することができる。
【0130】
ここで、本発明では、インターポーザの第1の端子および半導体チップの第2の端子間は、導電部225のような固化物を介して電気的に接続される。そのため、後述する電子部品10の駆動時に、半導体チップ20の発熱により、たとえ樹脂組成物で構成される絶縁部226が膨張したとしても、この電気的接続が切断されるのを好適に防止することができ、インターポーザの第1の端子および半導体チップの第2の端子間で安定的な導通を得ることができる。すなわち、インターポーザの第1の端子および半導体チップの第2の端子間で接続信頼性に優れた電気的接続を得ることができる。
【0131】
導電部225の厚さ、すなわち、インターポーザ/半導体チップ接合体250における、導電接続材料60’の厚さ(平均)は、特に限定されないが、3〜200μm程度であるのが好ましく、5〜150μm程度であるのがより好ましい。このようにインターポーザ210と半導体チップ220間の間隔を小さくすることにより、インターポーザ/半導体チップ接合体250を個片化することにより得られる半導体装置270の厚さを薄くすることができる。その結果、この半導体装置270を備える電子部品10の全体としての厚さをも薄くすることができ、さらに電子部品10の軽量化を図ることができる。さらに、接続面211、機能面221に設けられた第1の端子および第2の端子の間隔を小さくすることができるので、信号の高速化を実現することもできる。
【0132】
[1A−5] 次に、図2(e)に示すように、インターポーザ210の裏面213に導電性を有するビア230に対応する位置に半田バンプ260を形成する。インターポーザ210の裏面213に半田バンプ260を形成することにより、後述する、インターポーザ/半導体チップ接合体250を個片化した半導体装置270をマザーボード等の基板に実装することが可能となる。
【0133】
前記半田バンプ260は、例えば、半田、銀ろう、銅ろう、燐銅ろうのようなろう材を主材料として構成されている。
【0134】
[2] 次に、図2(f)に示すように、半田バンプ260を形成したインターポーザ/半導体チップ接合体250を、各半導体チップ210単位毎に個片化し半導体装置270を得る
【0135】
このような方法で製造された半導体装置270は、インターポーザ210または半導体チップ220に半田電極を形成する工程、半田電極にフラックスを塗布する工程、インターポーザ210と半導体チップ220の間隙に封止樹脂を充填する工程を削減することができるため、大量生産が容易となり、さらに、生産コストを削減することが可能となる。
【0136】
<電子部品の製造方法>
[3] 次に、図1に示すように、上面に配線パターン80が設けられた基板(マザーボード)70を用意し、この基板70上に配線パターン80を介して半導体装置270を搭載する。
以上のような工程を経ることにより、電子部品10を製造することができる。
【0137】
なお、本発明の電子部品の製造方法により製造された電子部品10は、例えば、携帯電話、デジタルカメラ、ビデオカメラ、カーナビゲーション、パーソナルコンピュータ、ゲーム機、液晶テレビ、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ、プリンタ等に広く用いることができる。
【0138】
以上、本発明の半導体装置の製造方法および電子部品の製造方法について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0139】
本発明の半導体装置の製造方法は、インターポーザおよび半導体チップ間を電気的に接続し、インターポーザと半導体チップを固着する際に好適に用いることができる。本発明の半導体装置の製造方法を用いることで、インターポーザおよび半導体チップ間の良好な電気的接続を実現できるとともに、半導体装置を製造する際の生産性を向上することができる。
【符号の説明】
【0140】
10 電子部品
20 半導体チップ
30 インターポーザ
40 ビア
50 半田バンプ
60、60’ 導電接続材料
61 樹脂組成物
62 金属箔
70 基板(マザーボード)
80 配線回路
210 インターポーザ
220 半導体チップ
230 ビア
211 接続面
213 裏面
221 機能面
223 裏面
225 導電部
226 絶縁部
240 インターポーザ/半導体チップ積層体
250 インターポーザ/半導体チップ接合体
260 半田バンプ
270 半導体装置
510 半導体チップ
520 インターポーザ
511 バンプ
521 半田電極
530 半導体チップ/インターポーザ接合体
540 半田バンプ
100 半導体装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターポーザと半導体チップとを積層して電気的に接続する半導体装置の製造方法であって、
前記インターポーザおよび前記半導体チップをそれぞれ用意する第1の工程と、
前記インターポーザと、前記半導体チップとの間に、樹脂組成物と、半田箔又は錫箔から選ばれる金属箔とから構成される積層構造を有する導電接続材料を介在させるとともに、前記インターポーザの第1の端子と、前記半導体チップの第2の端子とが対応するように位置決めして、前記インターポーザと第1の半導体チップとが積層されたインターポーザ/半導体チップ積層体を得る第2の工程と、
前記インターポーザ/半導体チップ積層体を加熱することにより、前記金属箔を溶融し、前記インターポーザの第1の端子と前記半導体チップの第2の端子との間に金属箔の溶融物を凝集させた後、固化し、さらに、前記樹脂組成物を硬化または凝固させて、前記インターポーザと前記半導体チップとが固着することにより、前記金属箔が溶融した凝集物の固化物で、前記インターポーザの第1の端子と前記半導体チップの第2の端子とが電気的に接続されたインターポーザ/半導体チップ接合体を得る第3の工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第3の工程において、前記インターポーザ/半導体チップ積層体が加熱される際に、前記金属箔の溶融に遅れて、前記樹脂組成物の硬化または凝固が完了する請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記樹脂組成物が熱硬化性樹脂を含む、請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記樹脂組成物がフラックス機能を有する化合物を含む、請求項1ないし3のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記導電接続材料が、樹脂組成物層/金属箔層/樹脂組成物層からなる積層構造を含む、請求項1ないし4のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記導電接続材料が、樹脂組成物層/金属箔層からなる積層構造を含む、請求項1ないし4のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の製造方法で製造されたことを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項1ないし6のいずれかに記載の半導体装置の製造方法により製造された前記インターポーザ/半導体チップ接合体のインターポーザの裏面に半田バンプを形成する工程を有する半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の半導体装置の製造方法により製造された前記インターポーザ/半導体チップ接合体を切断して、個片化する工程を有する半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の製造方法で製造されたことを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項10に記載の半導体装置を基板に搭載する工程を有することを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の製造方法で製造されたことを特徴とする電子部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−96864(P2011−96864A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−249687(P2009−249687)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】