説明

半導体装置の製造方法及び基板処理装置

基板装入工程または/および基板引出工程時に、反応室内からパーティクルを有効に排除することが可能な半導体装置の製造方法を提供する。
ウェハ(200)を反応室(201)に装入する工程または/およびウェハ(200)を引き出す工程では、ウェハ(200)を処理する工程における排気流量よりも大きな排気流量にて反応室(201)内を排気する。前記ウェハ(200)を装入する工程または/およびウェハ(200)を引き出す工程では、前記反応室(201)内に不活性ガスを導入しつつ排気することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置の製造方法及び基板処理装置に係り、特に反応室内のパーティクルを排除するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程を実施するための基板処理装置として、反応室内(以下、炉内ともいう)において多数枚のウェハに成膜等の処理を施す縦型CVD装置がある。従来の縦型CVD装置では、半導体製造プロセスにおいて、特に、反応室開放時、炉内のパーティクル発生源からパーティクルが飛散して、パーティクルがウェハ表面に付着しやすい。パーティクル発生源は、反応室壁や配管壁等に吸着した反応生成物である。炉内で成膜を繰り返すことにより、反応室壁や配管等に反応生成物の膜が吸着して、この膜が剥離して、図8に示すように、パーティクル92となる。例えば、シリコン窒化膜(SiN膜)の成膜を繰り返すと、高温域500℃以上では、Si膜90が壁面に堆積し、低温域150℃以下では塩化アンモニウム膜(NHCl膜)91が堆積し、これが剥離してパーティクル92となる。
成膜工程時、図8において、まずSi膜90が吸着しやすい場所を挙げると、ヒータ102を外周に設けた2重管構造の石英製反応管(以下、炉体ともいう)103を構成する内部反応管104内壁と、石英製ボート117表面である。次にNHCl膜91が付着しやすい場所を挙げると、排気口111の近傍の内部反応管104下部外壁、供給管132、排気管112が接続される金属製例えばステンレス製のマニホールド106内壁、反応ガスを導入する供給管132の内壁、マニホールド106の排気口111に接続される排気管112の内壁、及び炉口部開口116をシールするシールキャップ119内壁などである。
炉内で成膜が繰り返されることにより、これら部材の高温域にはSi膜90が堆積し、低温域にはNHCl膜91が堆積していく。反応室101内に堆積したSi膜90や反応室低温域、マニホールド、ならびに配管に堆積したNHCl膜91が剥離するとパーティクル92となる。尚、図面では、SiN(Si膜)90やNHCl膜91、パーティクル92は、便宜上、強調して描いてある。
【0003】
何らかの原因で、壁面に吸着、堆積した膜が壁面から剥離するとパーティクル92となるが、そのパーティクル発生のメカニズムを図9を用いて説明する。
図9は、ウェハ100を装填したボート117を白抜き矢印の方向に上昇させて(ボートアップして)反応室101内にウェハ100を装入する工程(ウェハロード工程)を示している。ボートアップするために、炉口部開口116を開くと、炉口部開口116から外部に向かう放熱が起こり、炉体が降温する。
また、室温のウェハ100及びボート117が反応室101内に装入されるため、加熱されている反応管103の壁面温度の低下が起こる。このため、反応管壁面等に付着したSiN膜90が、反応管103との熱膨張の違いによるストレスを受けて壁面から剥離し、パーティクル92が発生する。
また、処理後のウェハ100を保持するボート117を下降させて(ボートダウンして)反応室101内からウェハ100を引き出す(ウェハアンロード)工程でも、同様のメカニズムによりパーティクルが発生する。これは、ウェハ100及びボート117が反応室101内から引き出されるときに、ボートの高温部によって、反応管壁面、マニホールドが管軸方向にさらされていくため、特に低温域となる反応管下部壁面やマニホールド内壁面に吸着しているNHCl膜91がストレスを受けて壁面から剥離し、パーティクル92が発生すると考えられる。
【0004】
そこで、上述したパーティクルによるウェハ汚染を防止するために、従来、ウェハロード/ウェハアンロード時に、反応室内をバックパージすると共にスロー排気する方法(例えば、特許文献1参照)や、反応室が開放されている状態で反応室内に不活性ガスを導入すると共にスロー排気する方法(例えば、特許文献2参照)が提案されている。
【特許文献1】特開平10−326752号公報
【特許文献2】特開平8−31743号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2に記載のように、ウェハロード/ウェハアンロード時、または反応室開放時に、スロー排気により反応室内を排気するやり方だと、パーティクル除去のための有効な気流を形成できないため、改善の余地がある。
本発明の課題は、反応室内からパーティクルを有効に排除することが可能な半導体装置の製造方法及び基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、少なくとも一枚の基板を反応室に装入する工程と、前記反応室内に反応ガスを導入し、前記反応室内を排気して、前記基板を処理する工程と、処理後の基板を前記反応室より引き出す工程とを有し、前記基板を装入する工程または/および基板を引き出す工程では、前記基板を処理する工程における排気流量よりも大きな排気流量にて前記反応室内を排気することを特徴とする半導体装置の製造方法である。
基板を装入する工程または/および基板を引き出す工程では、反応室壁の温度変化が起き、反応室壁に付着した堆積膜と、反応室壁との熱膨張の違いによるストレスで堆積膜が反応室壁から剥離してパーティクルとなる。基板を処理する工程における排気流量よりも大きな排気流量にて前記反応室内を排気すると、パーティクル除去のための有効な気流が形成できるため、パーティクルは反応室外へ有効に排出される。したがって、パーティクルの基板への付着を低減することができる。
【0007】
第2の発明は、第1の発明において、前記基板を装入する工程または/および基板を引き出す工程では、前記反応室内に不活性ガスを導入しつつ前記基板を処理する工程における排気流量よりも大きな排気流量にて前記反応室内を排気することを特徴とする半導体装置の製造方法である。
反応室内に不活性ガスを導入しつつ基板を処理する工程における排気流量よりも大きな排気流量にて前記反応室内を排気すると、パーティクル除去のための有効な気流が形成できるため、パーティクルは反応室外へ有効に排出される。したがって、パーティクルの基板への付着を低減することができる。
この場合において、使用する不活性ガスは、パーティクルのサイズが0.5μm以上と大きい場合には、Nよりも分子の大きなArなど他のガスでもよいが、パーティクルサイズが0.1μm〜0.5μmのオーダである場合には、最も普通に用いられているNを使用するのが好ましい。
【0008】
第3の発明は、少なくとも一枚の基板を反応室内に装入する工程と、前記反応室内に反応ガスを導入し、真空ポンプに連通した第一の排気ラインより前記反応室内を排気して、前記基板を処理する工程と、処理後の基板を前記反応室より引き出す工程とを有し、前記基板を装入する工程または/および基板を引き出す工程では、前記第一の排気ラインよりも排気流量が大きい第二の排気ラインにて前記反応室内を排気することを特徴とする半導体装置の製造方法である。
第一の排気ラインよりも排気流量が大きい第二の排気ラインにて反応室内を排気すると、パーティクル除去のための有効な気流が形成できるため、パーティクルは反応室外へ有効に排出される。したがって、パーティクルの基板への付着を低減することができる。
第二の排気ラインは、真空排気ではなく、大気圧排気となるようにするとよい。大気圧排気であると、真空排気に比べて、パーティクルをより有効に排出できるからである。
【0009】
第4の発明は、第3の発明において、前記基板を装入する工程または/および基板を引き出す工程では、前記反応室内に不活性ガスを導入しつつ前記第一の排気ラインよりも排気流量が大きい第二の排気ラインより前記反応室内を排気することを特徴とする半導体装置の製造方法である。
反応室内に不活性ガスを導入しつつ第一の排気ラインよりも排気流量が大きい第二の排気ラインより反応室内を排気すると、パーティクル除去のための有効な気流が形成できるため、パーティクルは反応室外へ有効に排出される。したがって、パーティクルの基板への付着を低減することができる。
【0010】
第5の発明は、第3の発明において、更に基板引き出し後の反応室内を不活性ガスでパージする工程を有し、前記基板を引き出す工程から前記反応室内をパージする工程が終了するまでの間、連続的に前記反応室内に不活性ガスを導入しつつ前記第一の排気ラインよりも排気流量が大きい第二の排気ラインより前記反応室内を排気することを特徴とする半導体装置の製造方法である。
基板を引き出す工程から前記反応室内をパージする工程が終了するまでの間、連続的に前記反応室内に不活性ガスを導入しつつ前記第一の排気ラインよりも排気流量が大きい第二の排気ラインより前記反応室内を排気すると、パーティクルを反応室外へより有効に排出できる。
【0011】
第6の発明は、第3の発明において、前記第二の排気ラインは、建屋付帯設備の排気設備に連通していることを特徴とする半導体装置の製造方法である。第二の排気ラインとして、建屋付帯設備に組み込まれている排気流量の大きな排気設備を使って排出することができるので、第一の排気ラインよりも排気流量の大きな排気を、確実かつ容易に得られる。
【0012】
第7の発明は、第3の発明において、前記基板を処理する工程では、基板上にシリコン窒化膜を堆積させることを特徴とする半導体装置の製造方法である。基板を処理する工程が、基板上にシリコン窒化膜を堆積させるものであるとき、処理室内に堆積して剥離したシリコン窒化膜や塩化アンモニウム膜から成るパーティクルを反応室外へ有効に排出できる。
【0013】
第8の発明は、第4の発明において、前記不活性ガスの流量は、反応ガス流量の100倍以上とすることを特徴とする半導体装置の製造方法である。不活性ガスの流量は、経験値から反応ガスの流量の100倍以上とすることが好ましい。
【0014】
第9の発明は、第4の発明において、前記不活性ガスの流量は100L/min以上であることを特徴とする半導体装置の製造方法である。不活性ガスの流量は、パーティクルの重力に逆らってパーティクルを反応室外へスムーズに運び出すために、100L/min以上であることが好ましい。
【0015】
第10の発明は、第4の発明において、前記不活性ガスの流量は100L/min〜200L/minであることを特徴とする半導体装置の製造方法である。不活性ガスの流量は、パーティクルを反応室外へスムーズに運びだすとともに、反応室内の熱を奪いすぎないようにするという理由から、100L/minに〜200L/minであることがより好ましい。特に、不活性ガスの流量の上限を150L/minにすると、設備費が高価になることを抑えることができる上、反応室内の熱を奪いすぎないようにすることができる。
【0016】
第11の発明は、第4の発明において、前記第二の排気ラインの排気流量は、前記不活性ガスの供給流量より大きいことを特徴とする半導体装置の製造方法である。なお、第二の排気ラインの排気流量が不活性ガスの流量を上回ると大気が反応室内に吸込まれるため、基板に酸化膜が形成されてほしくない場合には、第二の排気ラインの排気流量は、不活性ガスの流量とほぼ同等の排気流量とするのがよい。しかし、基板に酸化膜が形成されてもよい場合には、パーティクルを反応室外へより有効に排出することができるから、第二の排気ラインの排気流量は不活性ガスの流量より大きい方が好ましい。
【0017】
第12の発明は、第4の発明において、前記不活性ガスが加熱されて前記反応室内に導入されることを特徴とする半導体装置の製造方法である。不活性ガスが加熱されて反応室内に導入されると、基板装入工程または/および基板引出工程にあっても、反応室内温度の変化を抑えることができるので、反応室温度低下による堆積膜クラックの発生を抑制して、パーティクルの発生を一層抑えることができる。
特に、前記不活性ガスの加熱温度が反応室内温度程度であると、基板装入工程または/および基板引出工程にあっても、反応室内温度の変化をより抑えることができるので、パーティクルの発生を一層抑えることができる。
【0018】
第13の発明は、少なくとも一枚の基板の処理を行う反応室と、前記反応室内にガスを導入する少なくとも一つのガス供給ラインと、前記反応室内の排気を真空ポンプにより行う第一の排気ラインと、前記反応室内の排気を行う前記第一の排気ラインより排気流量が大きい第二の排気ラインと、前記反応室内への基板装入時または/および前記反応室からの基板引き出し時に、前記第二の排気ラインより前記反応室内を排気するよう制御するコントローラと、を有することを特徴とする基板処理装置である。
反応室内への基板装入時または/および前記反応室からの基板引き出し時に、反応室内の排気を行う前記第一の排気ラインよりも排気流量が大きい第二の排気ラインにより排気を行うコントローラを備えれば、反応室内で発生するパーティクルの排出を容易に実施できる。
【0019】
第14の発明は、第13の発明において、前記コントローラは、前記反応室内への基板装入時または/および前記反応室からの基板引き出し時に、前記ガス供給ラインより前記反応室内に不活性ガスを導入しつつ前記第二の排気ラインより前記反応室内を排気するよう制御することを特徴とする基板処理装置である。
反応室内への基板装入時または/および前記反応室からの基板引き出し時に、ガス供給ラインから反応室内に不活性ガスを導入しつつ第二の排気ラインにより排気を行うコントローラを備えれば、反応室内で発生するパーティクルの排出を容易に実施できる。
基板処理装置が、例えば、基板を反応室に装入するために保持治具(ボートなどの基板保持具)を用いる場合には、反応室開放時は、主に、保持具により保持した基板を反応室に装入する基板装入(基板ロード)工程、保持具により保持した処理済み基板を反応室から引き出す基板引出し(基板アンロード)工程から構成される。本発明のように、ガス供給ラインから反応室内に不活性ガスを導入しつつ第二の排気ラインにより排気を行う期間を、基板装入時または/および基板引き出し時に限定すると、反応室開放時の全期間継続してガス供給ラインから反応室内に不活性ガスを導入しつつ第二の排気ラインにより排気を行う場合に比して、第二の排気ラインが排熱にさらされる期間が短くなるので、排気ラインを構成する部材の保護をはかることができる。また、ガス供給ラインから反応室内に不活性ガスを導入しつつ第二の排気ラインにより排気を行う期間を、基板装入工程時または/および基板引き出し工程時に限定すると、不活性ガスの消費量を少なくすることができる。
【0020】
第15の発明は、第13の発明において、前記コントローラは、更に前記基板引き出し時から、基板引き出し後に行う反応室パージが終了するまでの間、連続的に前記ガス供給ラインより前記反応室内に不活性ガスを導入しつつ前記第二の排気ラインより前記反応室内を排気するよう制御することを特徴とする基板処理装置である。
基板を引き出し時から、反応室パージが終了するまでの間、連続的に反応室内に不活性ガスを導入しつつ第二の排気ラインより反応室内を排気するようコントローラにより制御すると、パーティクルを反応室外へより有効に排出できる。
【0021】
第16の発明は、第13の発明において、前記第二の排気ラインは、建屋付帯設備の排気設備に連通していることを特徴とする基板処理装置である。
第二の排気ラインが建屋付帯設備に連通していると、排気流量の大きな排気設備を使って排出することができるので、第一の排気ラインよりも排気流量の大きな排気を、確実かつ容易に得られる。
【0022】
第17の発明は、第13の発明において、更に前記反応室内において基板を水平姿勢で多段に装填する保持具を有することを特徴とする基板処理装置である。反応室内を排気流量が大きい第二の排気ラインから排気するので、基板を多段に装填する保持具を収容するような容積の大きな反応室であっても、パーティクルを有効に排出できるので、保持具のどの段においても、基板へのパーティクルの付着を少なくすることができる。
【0023】
第18の発明は、第13の発明において、前記反応室は外部反応管と内部反応管とにより構成されることを特徴とする基板処理装置である。
内部反応管内で発生したパーティクルを反応室外に排出するには、重力に逆らってパーティクルを上昇させる必要があり、パーティクルを排出しにくいが、本発明によれば、排気流量が大きい第二の排気ラインにより排気を行うので、外部反応管と内部反応管とにより構成される反応室であっても、パーティクルを容易に排出できる。
【0024】
第19の発明は、第13の発明において、前記反応室に、前記基板を待機させておく予備室が連接されていることを特徴とする基板処理装置である。反応室に予備室が連接されているので、反応室開放時、反応室を大気中に開放しないで基板の装入、引き出しを行うことができる。特に、予備室に不活性ガスを導入する機能が備えられている場合には、ガス供給ラインと併用して、またはガス供給ラインを使用しなくとも、予備室から反応室内に不活性ガスを導入することができる。上記予備室は、例えばロードロック室またはNパージボックスである。
【0025】
第20の発明は、第14の発明において、前記ガス供給ラインは、反応ガス用のラインと不活性ガス用のラインとを有し、前記不活性ガスは前記不活性ガス用のラインから導入されることを特徴とする基板処理装置である。不活性ガスを不活性ガス用のラインから導入するので、反応ガス用のラインに付着した堆積膜に不活性ガス導入に起因するストレスを与えないようにすることができる。したがって、反応ガス用のラインに付着した堆積膜のクラックの発生を抑制できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明方法によれば、基板を装入する工程または/および基板を引き出す工程で、基板を処理する工程における排気流量よりも大きな排気流量にて反応室内を排気するので、パーティクルを反応室から有効に排出でき、パーティクルの基板への付着を低減できる。
また、本発明装置によれば、反応室内への基板装入時または/および前記反応室からの基板引き出し時に、反応室内の排気を行う第一の排気ラインよりも排気流量が大きい第二の排気ラインにより排気を行うコントローラを備えるので、パーティクルを反応室から有効に排出でき、パーティクルの基板への付着を低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に本発明の半導体装置の製造方法及びその製造方法を実施するための基板処理装置について説明する。なお、基板処理装置が縦型装置であるときは、ウェハのチャージされたボートをボートアップして炉内に装入する動作であるボートロードが、ウェハロード(基板装入)に相当する。また、ウェハのチャージされたボートをボートダウンして炉内から引き出す動作であるボートアンロードが、ウェハアンロード(基板引出し)に相当する。以下の説明では、縦型CVD装置について説明するので、ウェハロードとボートロードの語は同義で用いる。またウェハアンロードとボートアンロードの語も同義で用いる。
【0028】
発明者は、半導体製造工程におけるウェハロード工程及びウェハアンロード工程では、反応管の壁面温度(炉温度)はどの程度に変化するかを調べた。これを図10を用いて説明する。図10は、ボートアップを伴うウェハロード工程と、ボートダウンを伴うウェハアンロード工程で生じる炉温度の変化を示す。図中、U、CU、CL、Lは、それぞれ炉の上部、中央上部、中央下部、及び下部における温度推移曲線を示す。成膜温度は750℃に設定されているが、炉内には温度勾配を形成してあるため、U、CU、CL、及びL部の温度は異なり、下方にいくにしたがって温度が低くなっている。ボートアップ時には、常温のボート117が炉内に装入されるため、装入タイミングからやや遅れて、炉内には大きな温度降下が一時的に生じているのがわかる。また、ボートダウン時には、高温のボート117が炉から引き出されるため、引き出される過程で、U部を除いたU部より温度の低いCU、CL、L部では、高温のボート117から輻射熱を受けて、逆にこれらの部分の温度が上昇していることがわかる。
【0029】
図10に併せて記載した表から、反応室が開放されるウェハロード及びウェハアンロード時において、U部の最高温度と最低温度との温度差が12.0℃に止まるのに対して、CU、CL、及びL部では、CU部からL部に向かうにしたがって、温度差がそれぞれ53.9℃、87.8℃、90.8℃と大きくなることがわかる。反応管壁面は、ウェハロード及びウェハアンロード時に、このように大きな温度変化を受けるために、壁面の膜に加わる熱ストレスが増加して、膜クラックが発生し、壁面から膜が剥離する。膜が剥離すると、それがパーティクルとなって飛散し、反応室101内のウェハ上に付着して、ウェハを汚染することになる。成膜工程時にも、パーティクルの逆流ないし拡散によりウェハ表面に付着することもあるが、発明者はウェハロード及びウェハアンロード時における付着による汚染が最も多いとの知見を得た。
また、発明者は、主なパーティクル発生源が、ウェハロード時では内部反応管に付着した膜であり、ウェハアンロード時ではボートに付着した膜であるとの知見を得た。
【0030】
なお、図10の炉温度特性を得たときの成膜条件は、次の通りである。
膜種 SiN
成膜ガスSiHCl 30〜100sccm
NH 300〜900sccm
成膜温度 680〜800℃
圧力 10〜100Pa
ボートに積載したウェハ枚数 200枚以下
ウェハ径 φ200mm以上
【0031】
本発明者は、上記知見に基づいて本発明を完成した。以下本発明の実施の形態について説明する。
【0032】
基板処理装置は、基板を処理する反応室を有する処理炉を備え、基板の装填された基板保持部材を処理炉に収容して基板を処理するように構成される。この処理炉を図1に例示する。
【0033】
図1は第1の実施の形態による減圧CVD処理炉の断面図である。外部反応管205は例えば石英(SiO)等の耐熱性材料からなり、上端が閉塞され、下端に開口を有する円筒状の形態である。内部反応管204は、上端及び下端の両端に開口を有する円筒状の形態を有し、外部反応管205内に同軸的に配置されている。外部反応管205と内部反応管204の間の空間は、ガス通路となる筒状空間210を成す。内部反応管204の上部開口から上昇したガスは、筒状空間210を通過して排気ライン260から排気されるようになっている。
【0034】
外部反応管205の外周には抵抗加熱ヒータ等からなる加熱装置202が同軸的に配置されている。加熱装置202は、外部反応管205内の温度を所定の処理温度にするよう、コントローラ120により制御する。前述した内部反応管204、外部反応管205と、後述するマニホールド209とで、後述するボート217に支持された基板としてのウェハ200を収納して処理するための反応室201を構成する。
【0035】
外部反応管205および内部反応管204の下端には、例えばステンレス等よりなるマニホールド209が係合され、このマニホールド209に外部反応管205および内部反応管204が保持されている。外部反応管205の下端部およびマニホールド209の上部開口端部には、それぞれ環状のフランジが設けられ、これらのフランジ間には気密部材(以下、Oリング220)が配置され、両者の間が気密にシールされている。
【0036】
マニホールド209の下端開口部(以下、炉口開口部という)には環状のフランジが設けられ、このフランジに対し例えばステンレス等よりなる円盤状の蓋体(以下、シールキャップ219)が気密部材(以下、Oリング220a)を介して気密シール可能に着脱自在に取付けられている。また、マニホールド209の炉口開口部には、炉口シャッタ218が設けられ、ボート217を反応室201より引き出した状態でシールキャップ219に代えて炉口開口部を開閉自在にできるようになっている。炉口シャッタ218はウェハロードする際に開き、ウェハアンロード終了後に閉じられる。
【0037】
シールキャップ219には、回転手段211が連結されており、基板保持部材(以下ボート217)及びボート217上に保持されているウェハ200を回転させる。又、シールキャップ219は昇降手段213に連結されていて、ボート217を昇降させる。回転手段211による回転軸212、ボート217の回転速度、及び昇降手段213によるボート217の昇降速度を所定のスピードにするように、コントローラ120により制御する。
【0038】
マニホールド209の下部には、ガス導入ライン240が設けられている。ガス導入ライン240は、ガス供給管232を有する。ガス供給管232により、処理用のガス(反応ガス)又は不活性ガスが内部反応管204、外部反応管205内に導入されるようになっている。ガス供給管232はガスの流量制御手段(以下マスフローコントローラ(MFC)231)に連結されており、MFC231はコントローラ120に接続されており、導入するガスの流量を所定の量に制御し得る。
【0039】
ガス導入ライン240が設けられているマニホールド209の下部と反対側の上部には、上述した排気ライン260が設けられ、排気ライン260は、主に第一の排気ライン261と、第二の排気ライン262とから構成される。第二の排気ライン262は、ここでは、第一の排気ライン261から分岐する形で設けられている。
第一の排気ライン261は、排気装置(以下真空ポンプ246)に連通して、ガス導入ライン240から反応室201内に導入された反応ガスを排気するようになっている。第二の排気ライン262は、大容量の排気設備に連通して、ガス導入ライン240から反応室201内に導入された不活性ガスを大量に排気するようになっている。なお、ガス導入ライン240から反応室201内に導入される不活性ガスとしては、例えばNガス、Heガス、Arガス等が用いられる。
【0040】
第二の排気ライン262から排気される排気流量は、第一の排気ライン261より排気される排気流量よりも大きく設定されている。そのために、第二の排気ライン262は、例えば建屋付帯設備の排気設備などに接続される。また、第二の排気ライン262より排気する際に、ガス導入ライン240から反応室201内に導入される不活性ガスの流量は、反応ガスの流量の20〜100倍以上としている。
【0041】
上記第一の排気ライン261は、主排気処理を行うための主排気ライン(メイン排気ライン)263と、主排気ライン263側から不活性ガスを導入して反応室201内の圧力を調整するための圧力調整ライン264と、スロー排気処理を行うためのスロー排気ライン265と、反応室201内の圧力が、大気圧を超える圧力(過加圧)とならないようにするための過加圧防止ライン251とから構成される。ここで、圧力調整ライン264による圧力調整処理は、反応室を閉じている時に実行される。スロー排気ライン265によるスロー排気処理は、ウェハロード処理後の真空排気処理(真空引き処理)の開始時に実行される。過加圧防止ライン251による過加圧防止処理は、ウェハ処理後における反応室内のパージの次に行われる反応室201内の大気戻し時に実行される。
【0042】
上記第一の排気ライン261は、主排気配管1Aを有する。この主排気配管1Aの一端部は、マニホールド209に接続されている。主排気配管1Aの他端部は、真空ポンプ246を構成するターボ分子ポンプ246A、及びドライポンプ246Bが上流側から下流側に向かって順次接続されている。この主排気配管1Aには、主排気弁1Bが挿入されている。
【0043】
上記圧力調整ライン264は、圧力調整配管2Aを有する。この圧力調整配管2Aの一端部は、主排気配管1Aに接続されている。この接続位置は、主排気弁1Bと真空ポンプ246との間に設定されている。他端部は不活性ガス源、例えばNガス源に連通している。この圧力調整配管2Aには、仕切弁2Bを介してNガスの流量を制御するピエゾバルブ2Cが挿入されている。
【0044】
上記スロー排気ライン265は、スロー排気配管3Aを有する。このスロー排気配管3Aの一端部は、主排気弁1Bの上流側で主排気配管1Aに接続され、他端部は、主排気弁1Bの下流側で主排気配管1Aに接続されている。スロー排気配管3Aには仕切弁3Bが設けられている。
【0045】
上記過加圧防止ライン251は、圧力検出器250と過加圧防止配管5Aとを有する。この圧力検出器250及び過加圧防止配管5Aの一端部は、主排気弁1Bの上流側で主排気配管1Aに接続される。過加圧防止配管5Aの他端部は、仕切バルブ252を介してチェック弁253で閉じられる。
【0046】
真空ポンプ246に通じる主排気配管1Aは、外部反応管205と内部反応管204との間の筒状空間210を流れるガスを排出し、外部反応管205内を所定の圧力の減圧雰囲気にするように制御する。この制御は、主排気弁1B、仕切弁2B、ピエゾバルブ2C、及び仕切弁3Bを操作するコントローラ120により行う。
【0047】
上記第二の排気ライン262は、大量排気処理を行うための一般排気ラインであるハイフローベントライン(High Flow Vent Line、以下HFVラインという。)266から構成される。HFVラインとは、真空ポンプにより真空引きする真空排気ラインと異なり、大気圧下で排気する排気ラインである。HFVライン266は、副排気配管4Aを有する。この副排気配管4Aの一端部は、主排気配管1Aに接続されている。この接続位置は、主排気弁1Bよりも上流側に設定されている。この副排気配管4Aには、仕切弁4Bが設けられている。ガス供給管232から副排気配管4Aに向かう大きな気流が反応室201内に形成されるよう、仕切弁4Bを操作するコントローラ120により制御する。
【0048】
上述したコントローラ120により、ガス導入ライン240から反応室201内に不活性ガスを導入しつつHFVライン266より不活性ガスを大量排気するよう制御される期間は、反応室201が開放している全期間とすることもできるが、ここでは、ウェハ200を反応室201内に装入するウェハロード工程、及び処理後のウェハ200を反応室201内より引き出すウェハアンロード工程期間に限定する。また、コントローラ120は、この期間、(1)大流量の不活性ガスを流す、(2)HFVライン266により不活性ガスの排気を行わせる、(3)不活性ガスの流量を制御するよう機能する。
【0049】
ここで、HFVライン266の特徴をまとめて説明すると、次のようになる。真空ポンプ246に連通する主排気ライン263、主排気ライン263から分岐して設けられるスロー排気ライン265、過加圧防止ライン251とは異なる排気ラインである。HFVライン266は、主排気ライン263より分岐して設けられ、建屋付帯設備の排気設備に連通している。主排気ライン263、スロー排気ライン265、過加圧防止ライン251よりも排気流量が大きくなるよう設定されており、大気圧で大流量のガスを流すことができる。HFVライン266の内径は、主排気ライン263の内径よりも小さく、スロー排気ライン265、過加圧防止ライン251の内径よりも大きい。
【0050】
図1に示した処理炉による減圧CVD処理方法の一例を説明すると、まず、昇降手段によりボート217を下降させる(ボートダウン)。ボート217が炉から出切ったら炉口シャッタ218を閉じて反応室201の炉口開口部を塞ぐ。図示しない搬送手段によりボート217に複数枚のウェハ200を装填する(ウェハチャージ)。次いで、加熱手段202により反応室201内を加熱しながら、反応室201内の温度を所定の処理温度にする。ガス供給管232より反応室201内に不活性ガスを供給することにより、予め反応室201内を不活性ガスで充填しておく。炉口シャッタ218を開けた後、昇降手段により、ウェハ200のチャージされたボート217を上昇させ(ボートアップ)、ウェハ200を反応室201内に装入し(ウェハロード)、反応室201の内部温度を所定の処理温度に維持する。スロー排気ライン265により、反応室201内をスロー排気した後、第一の排気ライン261により反応室201内を所定の真空状態まで排気した後、回転手段211により、回転軸212、ボート217及びボート217上に装填されているウェハ200を回転させる。
【0051】
ウェハを回転させた状態でガス供給管232から反応ガスを導入する。導入された反応ガスは、反応室201内を上昇し、複数枚のウェハ200に対して均等に導入されつつ、第一の排気ライン261を介して排気され、所定時間減圧CVD処理を行う。
減圧CVD処理が終了すると、次のウェハ200の減圧CVD処理に移るべく、反応室201内のガスを不活性ガスで置換するとともに、圧力を常圧にし、その後、昇降手段によりボート217を下降させて(ボートダウン)、ボート217及び処理済のウェハ200を反応室201から引き出す(ウェハアンロード)。ボート217が炉から出切ったら炉口シャッタ218を閉じて反応室201の炉口開口部を塞ぐ。反応室201から引き出されたボート217上の処理済のウェハ200は、搬送可能な温度に冷却(クーリング)されたのち、図示しない搬送手段により回収される(ウェハディスチャージ)。空になったボート217に未処理のウェハ200を装填して(ウェハチャージ)、再度前述したのと同様にして炉口シャッタ218を開け、ボート217を反応室201内に上昇、装入させ(ボートアップ、ウェハロード)、減圧CVD処理がなされる。
【0052】
ところで、上述した減圧CVD処理工程におけるウェハロード及びウェハアンロード時には、前述したような現象が生じる。すなわち、反応室開放時に、反応室内の温度降下が起こり、またウェハロード時に、室温のウェハ200及びボート217が炉内に挿入されると、反応管壁面等に温度降下が起こる。このため、反応管壁面等に付着した堆積膜が、反応管等の熱膨張率との違いによるストレスで剥離しパーティクルとして飛散する。飛散したパーティクルがウェハ200に付着する。また、ウェハアンロード時にも、ウェハロード時と同様に、炉体の温度変化によるストレスで膜が剥離してパーティクルが発生してウェハ200に付着する。
【0053】
そこで、第1の実施の形態では、ウェハロード及びウェハアンロード時に、飛散したパーティクルがウェハ200に付着することを防止するために、大流量の不活性ガス例えばNガスを、ガス導入側から排気側に向かって炉内に流すようにしている。
【0054】
ウェハロード時、ガス供給管232(ガス導入ライン240)からMFC231により制御された大量のNガスが内部反応管204内に導入される。導入されたNガスは、内部反応管204内を上昇して、上方で内部反応管204と外部反応管205との間に形成された筒状空間210を通過し、主排気配管1Aから分岐された副排気配管4A(HFVライン266)へ排出される。アンロード時も、同様にして、大量のNガスが内部反応管204内に導入され、副排気配管4Aへ排出される。これにより、反応ガスの導入側から排気側に向かう大流量の気流が炉内に形成されて、この気流とともに、ウェハロード時及びウェハアンロード時に、炉内に発生するパーティクルが炉外へ排出される。
【0055】
この場合において、HFVライン266における排気流量は、基板への減圧CVD処理時の主排気ライン263における排気流量よりも大きくするのが好ましく、またHFV266からの排気は真空排気ではなく、真空状態にある炉内圧力、すなわち基板への減圧CVD処理時の圧力よりも大きな圧力下での排気が好ましく、400Pa以上がより好ましく、大気圧排気(101,325Pa)がさらに好ましい。これは、ターボ分子ポンプ246A等の真空ポンプ246により減圧下で排気すると、N分子はガス流中に粗に存在し、N分子の平均自由工程が大きいため、たとえNガスの流れを速くしても、パーティクルを分子流として有効に排出することは困難である。熱によりブラウン運動しているパーティクルは、N分子に当たらずに、重力落下してしまう確率が高いからである。この点で、大気圧排気であると、ガス流速は、例えば10cm/分程度と遅くなるものの、N分子は緻密にガス流中に存在し、パーティクルと容易に衝突するため、パーティクルを排出することは容易である。ちょうど、炉内に導入側から排気側に向かうNガスの風が吹いて、その風とともにパーティクルが炉外へ吹き飛ばされるようになるからである。
【0056】
このように基板処理時の圧力よりも大きな圧力下での排気により、パーティクルを炉外へ有効に排出することができ、これにより、累積膜厚の増加に伴うパーティクル増加を抑制し、ウェハロード時、及びウェハアンロード時のウェハ表面へのパーティクルの付着を大幅に低減することができる。また、炉口部開口が開いて大気が炉内に流入するウェハロード、ウェハアンロード時に、Nガスのような不活性ガスを導入して炉内に不活性ガスの流れを作るので、炉内を不活性ガス雰囲気とすることができ、ウェハ200表面の酸化も防止することができる。
【0057】
図2は、ウェハに対してSiN成膜を行う場合において、ウェハロード、ウェハアンロード時に、HFVラインによる排気を行った場合(HFVあり)と、ウェハロード/ウェハアンロード時に、HFVラインによる排気を行わなかった場合(HFVなし)とで、パーティクル個数がどのように変化したかを比較した説明図である。パーティクルのカウント数は、HFVラインによる排気を行わなかった場合には、350ピース/ウェハ超であったが、HFVライン266による排気を行った場合に、10個近くまで激減しているのが分る。このように、炉内に膜クラックに起因して発生したパーティクルを排出するには、HFVラインによる400Pa以上の圧力での排気、例えば大気圧排気が有効である。
【0058】
なお、この図2に示すHFVラインによる排気を行った場合と、行わなかった場合の比較実験における成膜条件(HFVラインあり、なし共通)及びウェハロード/ウェハアンロード時の不活性ガス導入・排気条件(HFVラインありのみ)は次の通りである。
(1)成膜条件(HFVラインあり、なし共通)
膜種 SiN
反応ガスSiHCl 30〜100sccm
反応ガス NH 300〜900sccm
炉内温度(成膜温度) 750℃
炉内圧力 10〜100Pa
(2)ウェハロード/ウェハアンロード時の不活性ガス導入・排気条件(HFVラインありのみ)
ガス導入量 20〜200L/min
ガス排気流量 導入量と略同じ
排気圧力 40mmHO以上(400Pa以上)
カウント対象となるパーティクル径 φ0.13μm以上
【0059】
上述したように、第1の実施の形態によれば、排気側に第二の排気ライン262を追加して、パーティクルを基板処理時の圧力である真空圧力よりも大きな圧力下で排出するようにしたので、ウェハ上へのパーティクルの付着を十分に抑制することができる。また、同時に、ウェハロード時または/およびウェハアンロード時に炉内をNガス雰囲気とすることで、ウェハ表面の酸化を有効に防止することができる。したがって、従来の縦型CVD装置でSiN膜を成膜した場合に問題となるパーティクルの増加やウェハ表面の酸化を有効に抑制することができる。
【0060】
上述した第1の実施の形態において、炉内に流す不活性ガス(Nガス)の流量は、多ければ多いほどよいが、経験値から、反応ガスの流量の20倍以上、好ましくは100倍以上とすることが好ましい。また、炉内に流す不活性ガスの流量は、パーティクルの重力に逆らって反応室201外へスムーズに運び出すために、20L/min以上、好ましくは100L/min以上であることが好ましい。このときの排気圧力は前述したように40mmHO以上(400Pa以上)、例えば大気圧がよい。また、炉内に流す不活性ガスの流量は、パーティクルを反応室外へスムーズに運びだすとともに、加熱されている反応室内の熱を奪いすぎないようにするという理由から、20〜200L/min、好ましくは100〜200L/minであることが好ましい。また、炉内に流す不活性ガスの流量は、100〜150L/minであることがより好ましい。炉内に流す不活性ガスの流量の上限を150L/minにすると、設備費が高価になることを抑えることができる上、常温不活性ガスの導入による反応室内温度の過度の低下を抑制することができるからある。これらの場合、反応室201の容積は、例えば30L〜120Lである。
【0061】
また、使用する不活性ガスは、成膜する膜種がSiNで、パーティクルサイズが、例えば0.1μm〜0.5μmのオーダである場合には、最も普通に用いられているNを使用するのが好ましいが、成膜する膜種が異なる等で、パーティクルのサイズが0.5μm以上のオーダになる場合には、Nよりも分子の大きなHeガスやArガスなど他のガスを用いることが好ましい。
【0062】
また、第二の排気ライン262の排気流量は、ガス導入ライン240から導入される不活性ガスの流量より大きくしてもよい。このように第二の排気ライン262の排気流量が不活性ガスの流量を上回ると大気が反応室201内に吸い込まれるため、ウェハ200が酸化するおそれがある。したがって、ウェハが酸化すると好ましくない場合には、第二の排気ライン262の排気流量は、不活性ガスの流量とほぼ同等の排気流量か、又は不活性ガスの流量よりも若干小さい排気流量とするのがよい。しかし、ウェハ200が酸化してもよい場合には、第二の排気ライン262の排気流量は、不活性ガスの流量より大きくした方が好ましい。大気とともに、パーティクルを反応室201外へより有効に排出することができるからである。好ましい排気流量範囲は20L/min〜200L/minである。
【0063】
また、図6に示すように、第二の排気ライン262は、大気圧で排気する建屋付帯設備の排気設備270に連通していることが好ましい。一般に、半導体製造工場では、建屋付帯設備に排気流量が大きな排気設備270が設けられている。また、半導体製造工場では、処理炉が複数台並んでいる。したがって、これら複数台の処理炉の全ての第二の排気ライン262を、排気設備270につなげる。第二の排気ライン262として、建屋付帯設備に組み込まれている排気流量の大きな排気設備を使って排出することができるので、第一の排気ライン261よりも排気流量の大きな排気を確実、かつ容易に行える。なお、建屋付帯設備の排気設備270に連通する排気ライン262に、所定の排気流量を確保するために、必要に応じてブロア269を挿入してもよい。
【0064】
また、上述した実施の形態では、反応室開放時のうち、ウェハロード時及びウェハアンロード時に限定して、ガス導入ライン240側から排気ライン260、262側に向かうNガスの大量の流れを炉内に形成している。これは、反応室開放時の全期間継続してガス導入ライン240から反応室201内に不活性ガスを導入しつつ第二の排気ライン262により排気を行なう場合に比して、第二の排気ライン262が排熱にさらされる期間が短くなるので、排気ラインを構成しているOリングなどの部材の保護をはかることができるからである。また、Nガスの消費量を低減することができるからである。しかし、このような制約がなければ、反応室開放時の全期間流すようにしてもよい。
【0065】
また、上述した第1の実施の形態では、ウェハロード/ウェハアンロード時におけるHFVラインによる排気を、反応室201内においてウェハ200を水平姿勢で多段に装填するボート217を有する処理炉に適用している。これは、反応室201内を第一の排気ライン261よりも排気流量が大きい第二の排気ライン262から排気するので、ウェハ200を多段に装填するボート217を収容するような容積の大きな反応室であっても、パーティクルを有効に排出できるので、ボート217のどの段においても、基板へのパーティクルの付着を少なくすることができるからである。しかしながら、本発明は、これに限定されず、反応室内においてウェハを一枚又は二〜三枚程度保持する枚葉の基板処理装置の処理炉にも適用できる。この場合には反応室の容積はそれほど大きくはない。一枚を収容する反応室から多数枚の基板を収容する反応室の容積範囲は、前述したように30L〜120Lである。
【0066】
また、実施の形態では、反応室201内に外部反応管205と内部反応管204とを有する二重反応管からなる処理炉に適用している。二重反応管からなる処理炉の場合、内部反応管204の下部から不活性ガスを供給すると、不活性ガスは内部反応管204内を上昇し、外部反応管205と内部反応管204との間に形成される筒状空間210を通って排気される。したがって、内部反応管204内で発生したパーティクルを炉外に排出するには、重力に逆らう方向に向かってパーティクルを上昇させて内部反応管204を越えさせる必要があり、パーティクルを排出しにくい。しかしながら実施の形態によれば、大流量の不活性ガスにより大気圧パージを行うため、異物を運ぶことが可能な分子、原子の数が多く、異物を運ぶエネルギーが大きいので、パーティクルを排出しづらい二重管構造の処理炉の場合であってもパーティクルを容易に排出できる。
【0067】
また、HFVラインによる排気時の不活性ガスの供給について、上述した実施形態では、ボートロード/ボートアンロード時に、ガス導入ライン240より反応室201内にNを供給しつつHFVライン266にて反応室201内を排気する方法について説明したが、ボートロード/ボートアンロード時に、移載エリア(ボート引き出し位置)にNやクリーンエア等のガスを流すようにすれば、ガス導入ライン240より反応室201内にNを供給しなくとも、HFVライン266にて反応室201内を排気するだけで同様な効果が得られる。
【0068】
例えば、図3に示すように、反応室201にロードロック室やNパージボックス等の予備室271を連接する。予備室271はN供給ライン272を備え、N供給ライン272に、Nガス供給源275がMFC274及び仕切弁273を介して接続され、MFC274により流量制御されたNガスがN供給ライン272から予備室271内に導入され、排気ライン276から排気されるようになっている。
したがって、ボートロード/ボートアンロード時に予備室271にNを流しつつHFVライン266にて反応室201内を排気するようにすれば、ガス導入ライン240より反応室201内にNを供給しなくとも、予備室271内のNが反応室201内に流れることとなるので、同様の効果が得られる。この場合、ガス導入ライン240と予備室271からの不活性ガス導入を並行に行ってもよい。この場合、不活性ガスの流量のトータルが略20L/min〜200L/minとなるようにする。
【0069】
また、移載エリア(ボート引き出し位置)にクリーンエアユニット等を設置し、ボートロード/アンロード時に移載エリアにクリーンエアを流しつつHFVライン266にて反応室201内を排気するようにすれば、ガス導入ライン240より反応室201内にNを供給しなくとも、移載エリア(ボート引き出し位置)に供給されたクリーンエアが反応室201内に流れることとなるので、同様の効果が得られる。
【0070】
なお、反応室201に予備室271を連接すると、Siウェハの酸化も有効に防止することができる。すなわち、実施形態では、ウェハロード工程または/およびウェハアンロード工程で、大流量のNガスを炉内に流すため、炉口部開口から大気を巻き込み、ウェハ表面の酸化が問題となる場合がある。例えば、前工程でSiウェハに下地膜であるWSi膜を成膜した場合、Siウェハは酸化されやすくなる。このような場合には、処理室201に、予備室271としてのロードロック室又はNパージボックス室を連接して、Nガス雰囲気でウェハロードを行うことで、炉口部開口での大気巻き込みを防ぎ、ウェハ表面の酸化、例えば前工程にて処理したWSi膜(タングステンシリサイド膜)の自然酸化膜の増加を有効に防止することができる。
【0071】
また、実施の形態では、ガス導入ライン240が、反応ガス用のラインと不活性ガス用のラインとを共用にした一つのガス供給ラインで構成されている場合について説明した。すなわち、図4に示すように、ガス導入ライン240を、専用のSiHClライン241a、Nライン242a、NHライン243aが設けられるように上流側で分岐して、下流側で一本化して共用のラインとするようにした。なお、SiHClライン241aには、SiHClガス供給源241dがMFC241c、仕切弁241bを介して接続される。Nライン242aには、Nガス供給源242dがMFC242c、仕切弁242bを介して接続される。NHライン243aには、NHガス供給源243dがMFC243c、仕切弁243bを介して接続される。
なお、図5に示すように、反応ガス用のラインと不活性ガス用のラインとを分離して、二つ以上のガス供給ラインで構成して、不活性ガスを不活性ガス用のラインから導入するようにしてもよい。この場合、図5に示すように、SiHClライン241、Nライン242、NHライン243としてそれぞれ別個独立に設けるようにしてもよい。このように不活性ガスNを不活性ガス用の専用ラインから導入すると、反応ガス用のラインの配管内壁に吸着したNHCl膜にクラックを発生させ、パーティクルを飛散させるようなことがない。
【0072】
以上説明したように、第1の実施の形態によれば、反応室へのウェハロード時または/およびウェハアンロード時に、HFVラインを用いて大流量のNガスの流れを炉内に形成することにより炉内をパージし、炉内で発生したパーティクルを排出するようにしたので、ウェハへのパーティクルの付着を低減できる。また、不活性ガスの導入流量と排気流量とをほぼ等しく設定することで、反応室へのウェハロード時または/およびウェハアンロード時のウェハ表面の酸化も有効に防止できる。
【0073】
本実施の形態が特に有効となる工程は、ボートアンロード工程よりもボートロード工程である。ボートロード時はボートアンロード時よりも反応炉内の温度が大きく変動する(図10参照)。例えば図10のCLゾーンに注目すると、ボードアンロード時の炉内温度変動幅は10℃程度であるのに対し、ボートロード時の炉内温度変動幅は80℃程度であり、ボードアンロード時の8倍程度であることが分かる。このため、ボードアンロード時よりもボートロード時の方が壁面に付着した膜に加わる熱ストレスが大きく、膜クラックが発生しやすい。すなわちボートロード時の方が、膜が剥離しやすく、パーティクルが発生しやすい。実施の形態は、このように炉内温度が大きく変化し、パーティクルが発生しやすいボートロード工程において特に有効となる。
【0074】
また、本実施の形態が特に有効となる反応管、ボートの材質は、次の通りである。SiCはSiNと熱膨張率が近いので、炉内温度が変動してもSiCとSiNとの間に応力差はあまり生じない。よって、反応管やボートをSiC製とした場合、炉内温度が変動してもパーティクルは発生しにくい。これに対して、SiO(石英)はSiNと熱膨張率の差が大きいので、炉内温度が変動するとSiOとSiNとの間の応力差は大きくなる。よって、反応管やボートをSiO製とした場合、炉内温度が変動するとパーティクルが発生しやすくなる。本発明は、このように、温度変動によりパーティクルが発生しやすい部材と成膜の組み合せ、すなわち石英製の反応管やボートを用いSiN膜の成膜を行う場合に特に有効となる。
【0075】
図7は、第2の実施の形態による減圧CVD処理炉の断面図である。第1の実施の形態と異なる点は、ガス導入ライン240に加熱機構233を設けた点である。なお、図1を用いて説明した部分と同じ部分には同符合を付して説明を省略する。
加熱機構233は、例えばガス供給管232を加熱して内部を流れるガスを加熱するヒータ、あるいは熱交換器などで構成することができる。コントローラ120は、第1の実施の形態による(1)〜(3)の制御機能に加えて、さらに(4)Nガスを加熱制御する機能を追加してある。なお、(4)の機能は、コントローラ120とは異なる別なコントローラを設けて制御するようにしてもよい。
【0076】
図7に示すように、ボートアップしてウェハロードする時、炉口シャッタ218を開き、炉内温度又はそれらの温度前後に予備加熱したNガスを、黒塗り矢印で示したように、炉内に大流量で導入して、内部反応管204の上部開口から上昇したNガスを、筒状空間210を通過させてHFVライン266にて引くことで、炉内を大気圧パージする。また、ボートダウンしてウェハアンロードする時も同様に、炉内温度又はそれらの温度前後に予備加熱したNガスを、黒塗り矢印で示したように、炉内に大流量で導入しつつHFVライン266にて排気することで炉内を大気圧パージする。
【0077】
このように炉内をNガスでパージする際、Nガスを、炉内温度又はそれらの温度前後に予備加熱すると、炉内に不活性ガスを導入しても、炉内の温度降下を低減できる。したがって、炉内をアイドル時の反応室温度に保つことができるので、ウェハロード時に炉口シャッタ218を開いても、或いはウェハアンロード時にシールキャップ219が炉口部開口を開放しても、反応管壁面等の温度低下を防ぐことができる。
なお、第2の実施の形態におけるウェハロード/ウェハアンロード時のパージ条件を例示すれば、次の通りである。なお、成膜条件については、第1の実施の形態と同じである。
ガス導入量 20L/min〜150L/min
ガス排気流量 導入量と同じ
排気圧力 400Pa以上
ガス予備加熱温度 600℃以下
【0078】
以上のように、本発明の第1、第2の実施形態によれば、ウェハロードまたは/およびウェハアンロード時、つまり反応炉開放時のみ、HFVライン266を用いて大流量のNガスの流れを形成することにより、炉内を大気圧状態でパージし、炉内で発生したパーティクル92を十分に排出できる。また、成膜後は、ボート217をアンロードし炉口シャッタ218が閉められ、反応炉から引出されたボート217に保持されたウェハ200の冷却(クーリング)処理が行われる。例えば、窒化膜では成膜温度780℃程度であるが、クーリング処理中、炉内温度はボートロード時の温度(待機温度)600℃〜780℃に保たれる。
【0079】
しかし、これから説明する第3の実施形態は、炉内でウェハ200を成膜処理した後、ボート217をアンロードして炉口シャッタ218を閉じ、その後、ウェハ200の冷却(クーリング)中に大流量のNを炉内に流すようにしたものであり、これにより更に効果的にパーティクル92を排出することができる。具体的には、ウェハ200を冷却中、炉の温度を例えば20℃/min以上の降温レートにて400℃程度まで急激に下げることにより(強制冷却)、炉内に大きな温度降下を与え、且つ大流量のNを炉内に流す。(以下、強制冷却パージともいう。)つまり、ウェハ200の冷却中にウェハ200を収容していない状態の炉内温度を急激に下げることにより、反応管壁面に堆積しているSiN膜90に熱ストレスを加え、強制的に亀裂を発生させて膜の剥離を発生させる。そして、大流量Nを炉内に流しHFVライン266を用いて排気する。このようにして炉内を大気圧状態でパージすることで、パーティクル92を有効に排出することができる。更に、加熱手段202の温度を制御することにより反応管壁面に堆積したSiN膜を強制的に剥離させ、大流量のNを流すことにより排気しているが、このとき炉口シャッタ218は閉まったままなので、パーティクル92が飛散して、ボート217に保持されているウェハ200上に付着するおそれがない。
【0080】
従って、第1、第2の実施形態に、更に第3の実施形態を加えることで、効果的にパーティクル92の排出を行うことができる。
【0081】
炉内に不活性ガスを導入しつつHFVラインにて排気を行う期間については、基板処理前にあっては、ボートロード時が好ましい。また、基板処理後にあっては、第1、第2の実施の形態で説明したボートアンロード時が好ましい。更には、このボートアンロード時から第3の実施形態で説明した強制冷却パージ工程が終了するまでの間、連続的に流し続けるのが好ましい。
【0082】
また、排気流量については、ボートロード/ボートアンロード時や、強制冷却パージ時のHFVラインによる排気流量の方が、ウェハ処理時の真空排気ラインによる排気流量よりも大きい。なお、ボートロード/ボートアンロード時や強制冷却パージ時のHFVラインによる排気流量が、ボートロードからボートアンロードまでの全処理工程の中で一番大きい。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】第1の実施の形態におけるウェハ処理時の基板処理装置を構成する処理炉の説明図である。
【図2】第1の実施の形態におけるHFVラインによる排気を行った場合(HFVあり)と、HFVラインによる排気を行わなかった場合(HFVなし)とで、パーティクル個数がどのように変化したかを比較した説明図である。
【図3】第1の実施の形態における処理炉に予備室が連接されている場合のウェハロード時の変形例を示す図である。
【図4】第1実施の形態における供給系の詳細説明図である。
【図5】第1の実施の形態における不活性ガス導入ラインが反応ガス導入ラインと別個独立に設けられている場合の変形例を示す図である。
【図6】第1の実施の形態における第2の排気ラインが建屋付帯設備の排気設備に連通している場合を示す説明図である。
【図7】第2の実施の形態におけるウェハロード時の基板処理装置を構成する処理炉の説明図である。
【図8】従来例の縦型CVD装置におけるパーティクル発生源を示す説明図である。
【図9】従来例のボートアップによるウェハロード時に、パーティクル発生するメカニズムを説明する図である。
【図10】従来例のボートのアップ/ダウンによる炉温度の推移を示す説明図である。
【符号の説明】
【0084】
120 コントローラ
200 ウェハ
201 反応室(処理炉)
240 ガス導入ライン
246 真空ポンプ
260 排気ライン
261 第一の排気ライン
262 第二の排気ライン
266 HFVライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一枚の基板を反応室に装入する工程と、
前記反応室内に反応ガスを導入し、前記反応室内を排気して、前記基板を処理する工程と、
処理後の基板を前記反応室より引き出す工程とを有し、
前記基板を装入する工程または/および基板を引き出す工程では、前記基板を処理する工程における排気流量よりも大きな排気流量にて前記反応室内を排気することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記基板を装入する工程または/および基板を引き出す工程では、前記反応室内に不活性ガスを導入しつつ前記基板を処理する工程における排気流量よりも大きな排気流量にて前記反応室内を排気することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
少なくとも一枚の基板を反応室内に装入する工程と、
前記反応室内に反応ガスを導入し、真空ポンプに連通した第一の排気ラインより前記反応室内を排気して、前記基板を処理する工程と、
処理後の基板を前記反応室より引き出す工程とを有し、
前記基板を装入する工程または/および基板を引き出す工程では、前記第一の排気ラインよりも排気流量が大きい第二の排気ラインにて前記反応室内を排気することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記基板を装入する工程または/および基板を引き出す工程では、前記反応室内に不活性ガスを導入しつつ前記第一の排気ラインよりも排気流量が大きい第二の排気ラインより前記反応室内を排気することを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
更に基板引き出し後の反応室内を不活性ガスでパージする工程を有し、前記基板を引き出す工程から前記反応室内をパージする工程が終了するまでの間、連続的に前記反応室内に不活性ガスを導入しつつ前記第一の排気ラインよりも排気流量が大きい第二の排気ラインより前記反応室内を排気することを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第二の排気ラインは、建屋付帯設備の排気設備に連通していることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記基板を処理する工程では、基板上にシリコン窒化膜を堆積させることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記不活性ガスの流量は、反応ガス流量の100倍以上とすることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記不活性ガスの流量は100L/min以上であることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記不活性ガスの流量は100L/min〜200L/minであることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記第二の排気ラインの排気流量は、前記不活性ガスの供給流量より大きいことを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記不活性ガスが加熱されて前記反応室内に導入されることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
少なくとも一枚の基板の処理を行う反応室と、
前記反応室内にガスを導入する少なくとも一つのガス供給ラインと、
前記反応室内の排気を真空ポンプにより行う第一の排気ラインと、
前記反応室内の排気を行う前記第一の排気ラインより排気流量が大きい第二の排気ラインと、
前記反応室内への基板装入時または/および前記反応室からの基板引き出し時に、前記第二の排気ラインより前記反応室内を排気するよう制御するコントローラと、
を有することを特徴とする基板処理装置。
【請求項14】
前記コントローラは、前記反応室内への基板装入時または/および前記反応室からの基板引き出し時に、前記ガス供給ラインより前記反応室内に不活性ガスを導入しつつ前記第二の排気ラインより前記反応室内を排気するよう制御することを特徴とする請求項13に記載の基板処理装置。
【請求項15】
前記コントローラは、更に前記基板引き出し時から、基板引き出し後に行う反応室パージが終了するまでの間、連続的に前記ガス供給ラインより前記反応室内に不活性ガスを導入しつつ前記第二の排気ラインより前記反応室内を排気するよう制御することを特徴とする請求項13に記載の基板処理装置。
【請求項16】
前記第二の排気ラインは、建屋付帯設備の排気設備に連通していることを特徴とする請求項13に記載の基板処理装置。
【請求項17】
更に前記反応室内において基板を水平姿勢で多段に装填する保持具を有することを特徴とする請求項13に記載の基板処理装置。
【請求項18】
前記反応室は外部反応管と内部反応管とにより構成されることを特徴とする請求項13に記載の基板処理装置。
【請求項19】
前記反応室に、前記基板を待機させておく予備室が連接されていることを特徴とする請求項13に記載の基板処理装置。
【請求項20】
前記ガス供給ラインは、反応ガス用のラインと不活性ガス用のラインとを有し、前記不活性ガスは前記不活性ガス用のラインから導入されることを特徴とする請求項14に記載の基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【国際公開番号】WO2005/050725
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【発行日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−515660(P2005−515660)
【国際出願番号】PCT/JP2004/017258
【国際出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】