説明

半導体装置の製造方法

【課題】信頼性の高い半導体装置を効率よく製造する方法を提供する。
【解決手段】半導体装置の製造方法は、複数の電気的接続部15を有する配線パターン12が形成されたベース基板10を用意する工程と、ベース基板10に、配線パターン12を部分的に覆うように第1の樹脂材料20を設ける工程と、第1の樹脂材料20を半硬化させる工程と、複数の電極32を有する半導体チップ30をベース基板10に搭載して、電極32と電気的接続部15とを対向させて電気的に接続する工程と、ベース基板10と半導体チップ30との間に第2の樹脂材料40を設ける工程と、第1の樹脂材料20を硬化させて配線パターン12を部分的に覆うレジスト層25を形成し、かつ、第2の樹脂材料40を硬化させて電気的接続部15及び電極32を封止する封止部45を形成する工程と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
配線パターンを部分的に覆うレジスト層が形成された配線基板が知られている。また、当該配線基板に半導体チップが搭載され、配線基板と半導体チップとの間に封止樹脂が形成された半導体装置が知られている。
【特許文献1】特開2002−26070号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、信頼性の高い半導体装置を効率よく製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(1)本発明に係る半導体装置の製造方法は、
複数の電気的接続部を有する配線パターンが形成されたベース基板を用意する工程と、
前記ベース基板に、前記配線パターンを部分的に覆うように第1の樹脂材料を設ける工程と、
前記第1の樹脂材料を半硬化させる工程と、
前記ベース基板に複数の電極を有する半導体チップを搭載して、前記電気的接続部と前記電極とを対向させて電気的に接続する工程と、
前記ベース基板と前記半導体チップとの間に第2の樹脂材料を設ける工程と、
前記第1の樹脂材料を硬化させて前記配線パターンを部分的に覆うレジスト層を形成し、かつ、前記第2の樹脂材料を硬化させて前記電気的接続部及び前記電極を封止する封止部を形成する工程と、
を含む。
【0005】
本発明によると、第1の樹脂材料を完全に硬化させることなく半導体チップを搭載する工程を行う。そのため、効率よく半導体装置を製造することができる。また、本発明では、第2の樹脂材料を硬化させる工程で、第1の樹脂材料もあわせて硬化させるため、信頼性の高い半導体装置を製造することができる。
【0006】
(2)この半導体装置の製造方法において、
前記第1及び第2の樹脂材料は、熱硬化性の材料であってもよい。
【0007】
(3)この半導体装置の製造方法において、
前記配線パターンの表面はスズめっき層であってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を適用した実施の形態について図面を参照して説明する。ただし、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。また、本発明は、以下の内容を自由に組み合わせたものを含むものとする。
【0009】
図1(A)〜図6は、本発明を適用した実施の形態に係る半導体装置の製造方法について説明するための図である。
【0010】
本実施の形態に係る半導体装置の製造方法は、図1(A)及び図1(B)に示す、ベース基板10を用意することを含む。なお、図1(A)は、ベース基板10の上視図であり、図1(B)は、図1(A)のIB−IB線断面の一部拡大図である。
【0011】
ベース基板10の材料や構造は特に限定されず、既に公知となっているいずれかの基板を利用してもよい。ベース基板10は、フレキシブル基板であってもよく、リジッド基板であってもよい。あるいは、ベース基板10は、テープ基板であってもよい。ベース基板10は、積層型の基板であってもよく、あるいは、単層の基板であってもよい。また、ベース基板10の外形も特に限定されるものではない。
【0012】
ベース基板10には、図1(A)及び図1(B)に示すように、複数の電気的接続部15を有する配線パターン12が形成されてなる。配線パターン12(電気的接続部15)は、ベース基板10上(表面)に形成されてなる。なお、電気的接続部15は、配線パターン12のうち、他の電子部品の電極(例えば後述する半導体チップ30の電極32)との電気的な接続に利用される部分である。配線パターン12(電気的接続部15)の構造や材料は、特に限定されず、既に公知となっているいずれかの配線を利用してもよい。例えば、配線パターン12は、コアパターン16にめっき層18が形成された構成をなしていてもよい。このとき、コアパターン16は、銅(Cu)、クローム(Cr)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、チタンタングステン(Ti−W)、アルミニウム(Al)、ニッケルバナジウム(NiV)、タングステン(W)のうちのいずれかの材料で形成されていてもよい。なお、コアパターン16は、単層の金属層であってもよく、複数層の金属層であってもよい。また、めっき層18は、スズ(Sn)めっき層であってもよい。あるいは、めっき層18は、金(Au)めっき層であってもよい。なお、めっき層18は、配線パターン12の最表層を構成していてもよい。なお、ベース基板10が多層基板である場合、ベース基板10の層間には図示しない他の配線パターンが形成されていてもよい。
【0013】
本実施の形態に係る半導体装置の製造方法は、ベース基板10に第1の樹脂材料20を設けることを含む。第1の樹脂材料20は、ベース基板10(配線パターン12)を部分的に覆うように形成する。第1の樹脂材料20は、配線パターン12のうち少なくとも電気的接続部15を露出させるように形成する。第1の樹脂材料20を設ける方法は特に限定されるものではないが、図2(A)及び図2(B)を参照して、その一例について説明する。
【0014】
はじめに、図2(A)に示すように、ベース基板10上にマスク22を形成する。マスク22は、ベース基板10及び配線パターン12を部分的に覆うように形成する。マスク22は、配線パターン12の電気的接続部15を覆うように形成する。マスク22は、ベース基板10における半導体チップ30を搭載するための領域を覆うように形成してもよい。
【0015】
次に、図2(B)に示すように、ベース基板10に第1の樹脂材料20を設ける。第1の樹脂材料20は、ベース基板10におけるマスク22からの露出領域に設ける。これにより、ベース基板10におけるマスク22の形成領域を露出させるように、第1の樹脂材料20を設けることができる。
【0016】
本実施の形態に係る半導体装置の製造方法は、第1の樹脂材料20を半硬化させることを含む。これにより、半硬化膜24を形成してもよい(図3参照)。第1の樹脂材料20を半硬化させることによって、第1の樹脂材料20をB−ステージ樹脂としてもよい。第1の樹脂材料20として熱硬化性樹脂を利用する場合、加熱温度や加熱時間を調整することで、第1の樹脂材料20を半硬化させてもよい。例えば、第1の樹脂材料20の揮発成分残存率が5%以下になるように、第1の樹脂材料20の処理条件を決定してもよい。本実施の形態では、第1の樹脂材料20を硬化させる工程を、マスク22が形成された状態で行ってもよい。この場合、第1の樹脂材料20を半硬化させた後に、マスク22を除去する(図3参照)。ただし、マスク22を除去した後に、第1の樹脂材料20を半硬化させる工程を行ってもよい。
【0017】
本実施の形態に係る半導体装置の製造方法は、図4に示すように、ベース基板10に、複数の電極32を有する半導体チップ30を搭載することを含む。本工程では、ベース基板10に半導体チップ30を搭載して、電気的接続部15と電極32とを対向させて電気的に接続する。このとき、電気的接続部15と電極32とは、接触させて電気的に接続してもよい。例えば、電気的接続部15と電極32とを接触させて、図示しない共晶合金を形成してもよい(共晶合金接合)。
【0018】
なお、半導体チップ30の構造は特に限定されるものではない。半導体チップ30は、例えばシリコンチップであってもよい。半導体チップ30は、集積回路34を有する。集積回路34の構成は特に限定されないが、例えば、トランジスタ等の能動素子や、抵抗、コイル、コンデンサ等の受動素子を含んでいてもよい。電極32は、半導体チップ30の内部と電気的に接続されていてもよい。電極32は、集積回路34と電気的に接続されていてもよい。あるいは、集積回路34に電気的に接続されていない電極を含めて、電極32と称してもよい。電極32は、アルミニウム又は銅等で形成されたパッドと、該パッド上に形成されたバンプを含んでいてもよい。このとき、バンプの少なくとも表面は金によって形成されていてもよい。さらに、半導体チップ30は、図示しないパッシベーション膜を有してもよい。パッシベーション膜は、例えば、SiO、SiN、ポリイミド樹脂等で形成してもよい。
【0019】
本実施の形態に係る半導体装置の製造方法は、図5に示すように、ベース基板10と半導体チップ30との間に第2の樹脂材料40を設けることを含む。第2の樹脂材料40は、電気的接続部15及び電極32を覆うように設ける。第2の樹脂材料40は、ベース基板10における第1の樹脂材料20からの露出部を(すべて)覆うように形成してもよい。なお、第2の樹脂材料40の材料は特に限定されるものではない。例えば、第2の樹脂材料40として、第1の樹脂材料20と同じ処理(例えば加熱処理)によって硬化する材料を利用してもよい。また、第2の樹脂材料40は、第1の樹脂材料20とは異なる組成の材料を利用してもよい。
【0020】
なお、本実施の形態では、第2の樹脂材料40を設ける工程は、ベース基板10に半導体チップ30を搭載する工程の後に行ってもよい。すなわち、いわゆる後入れのアンダーフィル工程によって、第2の樹脂材料40を設けてもよい。
【0021】
本実施の形態に係る半導体装置の製造方法は、図6に示すように、第1の樹脂材料20(半硬化膜24)を硬化させてレジスト層25を形成し、第2の樹脂材料40を硬化させて封止部45を形成することを含む。封止部45は、電気的接続部15及び電極32を封止するように形成する。封止部45は、ベース基板10における第1の樹脂材料20からの露出部をすべて覆うように形成してもよい。第1及び第2の樹脂材料20,40がともに熱硬化性樹脂である場合、これらを加熱処理することによって、レジスト層25及び封止部45を形成することができる。
【0022】
以上の工程によって、図6に示す半導体装置1を製造することができる。この方法によると、半導体装置を効率よく製造することができる。詳しくは、本発明によると、第1の樹脂材料20を完全に硬化させることなく、半導体チップ30を搭載する工程を行う。すなわち、本発明によると、半導体チップ30を搭載する工程の前に、第1の樹脂材料20を完全に硬化させる必要がないため、効率よく半導体装置を製造することができる。また、第1の樹脂材料20を半硬化させることによって、第1の樹脂材料20の位置ずれや、第1の樹脂材料20が第2の樹脂材料40と混ざり合うことを防止することができる。さらに、本発明によると、第1の樹脂材料20として熱硬化性樹脂を利用した場合でも、ベース基板10に半導体チップ30を搭載する工程の前に、ベース基板10及び配線パターン12が長時間加熱されることを防止することができる。これによると、コアパターン16とめっき層18との間で共晶合金が生成されることを防止することができる。そのため、めっき層18の厚みが減少することを防止することができ、配線パターン12と電極32との電気的な接続(共晶合金の生成)のために必要なメッキ厚を確保することができるため、配線パターン12と電極32との電気的な接続信頼性の高い半導体装置を製造することができる。そして、本発明では、第2の樹脂材料40を硬化させる工程で、第1の樹脂材料20もあわせて硬化させる。そのため、半導体チップ30を搭載した後に、第1の樹脂材料20を完全に硬化させるための新たな工程が不要になるため、信頼性の高い半導体装置を効率よく製造することができる。特に、第1及び第2の牛材料20,40として硬化処理が同じ材料を利用すれば、さらに半導体装置の製造効率を高めることができる。
【0023】
(変形例)
本発明は、以上の実施の形態に限定されるものではない。
【0024】
例えば、図7に示すように、ベース基板10上に第2の樹脂材料40を設けた後に、ベース基板10に半導体チップ30を搭載する工程を行ってもよい。なお、第2の樹脂材料40を設ける工程は、第1の樹脂材料20を半硬化させる工程の後に行ってもよい。そして、第2の樹脂材料40を押し広げながら、ベース基板10に半導体チップ30を搭載することによって、ベース基板10と半導体チップ30との間に第2の樹脂材料40を設けることができる(図5参照)。なお、第2の樹脂材料40として、ペースト状の材料を利用してもよく、フィルム状の材料を利用してもよい。また、第2の樹脂材料40は、図示しない導電性微粒子を含有していてもよい。そして、電気的接続部15と電極32との間に該導電性微粒子を介在させることによって、両者を電気的に接続してもよい。
【0025】
また、他の変形例として、第1及び第2の樹脂材料20,40は、硬化処理が異なる材料を利用してもよい。例えば、第1及び第2の樹脂材料20,40のいずれか一方として熱硬化性材料を利用し、かつ、他の一方として紫外線硬化材料を利用してもよい。そして、第2の樹脂材料40を硬化させる工程では、紫外線照射処理と加熱処理とを同時に行ってもよい。
【0026】
これらの変形例によっても、信頼性の高い半導体装置を効率よく製造することが可能になる。
【0027】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る半導体装置の製造方法を説明するための図である。
【図2】本発明に係る半導体装置の製造方法を説明するための図である。
【図3】本発明に係る半導体装置の製造方法を説明するための図である。
【図4】本発明に係る半導体装置の製造方法を説明するための図である。
【図5】本発明に係る半導体装置の製造方法を説明するための図である。
【図6】本発明に係る半導体装置の製造方法を説明するための図である。
【図7】本発明に係る半導体装置の製造方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0029】
1…半導体装置、 10…ベース基板、 12…配線パターン、 15…電気的接続部、 16…コアパターン、 18…めっき層、 20…第1の樹脂材料、 22…マスク、 25…レジスト層、 30…半導体チップ、 32…電極、 34…集積回路、 40…第2の樹脂材料、 45…封止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電気的接続部を有する配線パターンが形成されたベース基板を用意する工程と、
前記ベース基板に、前記配線パターンを部分的に覆うように第1の樹脂材料を設ける工程と、
前記第1の樹脂材料を半硬化させる工程と、
前記ベース基板に複数の電極を有する半導体チップを搭載して、前記電気的接続部と前記電極とを対向させて電気的に接続する工程と、
前記ベース基板と前記半導体チップとの間に第2の樹脂材料を設ける工程と、
前記第1の樹脂材料を硬化させて前記配線パターンを部分的に覆うレジスト層を形成し、かつ、前記第2の樹脂材料を硬化させて前記電気的接続部及び前記電極を封止する封止部を形成する工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1及び第2の樹脂材料は、熱硬化性の材料である半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の半導体装置の製造方法において、
前記配線パターンの表面はスズめっき層である半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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