半導体装置の製造方法
【課題】フレキシブル基板と半導体チップとの位置合わせを短時間で、安定して行える半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】フレキシブル基板3として、基板本体の曲げ剛性を向上する補強構造5を備えたフレキシブル基板3を用い、半導体チップ1との位置合わせ、接合を行う半導体装置の製造方法とする。基板本体の曲げ剛性を向上する補強構造5を備えることにより、フレキシブル基板の平坦性が増し、製造工程間の搬送が安定化され、半導体チップ1との位置あわせを短時間で、安定に行うことができる。
【解決手段】フレキシブル基板3として、基板本体の曲げ剛性を向上する補強構造5を備えたフレキシブル基板3を用い、半導体チップ1との位置合わせ、接合を行う半導体装置の製造方法とする。基板本体の曲げ剛性を向上する補強構造5を備えることにより、フレキシブル基板の平坦性が増し、製造工程間の搬送が安定化され、半導体チップ1との位置あわせを短時間で、安定に行うことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、特に、フレキシブル基板を有する半導体装置の製造方法に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
絶縁基板(ポリイミド樹脂のフィルム)を用いて半導体装置を製造する従来の方法に関しては、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開平10−321672号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体装置の製造工程の一例を主要部品のみを図示した概略図を用い、図25〜図30にて説明する。図25は、半導体チップを形成したウエハをチップトレイに収納するまでの工程を模式的に表した斜視図である。すなわち、ウエハ101上に構成された半導体チップ102は、電気特性等の合否判定(図示せず)を受けた後、チップダイシング工程にてダイシング刃103にて切断され個別の半導体チップ102となる。その後、半導体チップ102は、チップトレイ104へと収納される。
【0005】
図26に、フレキシブル基板をフレキシブル基板収納トレイに収納するまでの工程を示す。図26(a)は、フレキシブル基板201がテープ202上に多数配置された状態の平面図である。テープ202上には、各製造工程で搬送に用いるスプロケット穴203が形成されている。また、一定の間隔で多数のフレキシブル基板201が配置されている。そして、フレキシブル基板201の各辺にはテープ202上から容易に切り離せるようにパンチ穴204が設けてあり、フレキシブル基板の各コーナ吊り部205でテープと繋がった状態となっている。図26(b)は、フレキシブル基板を切断した後のテープの平面図である。所定の切断装置(図示せず)にて吊り部205よりフレキシブル基板201は切り離されている。その後、図26(c)に示すフレキシブル基板収納用トレイ206にフレキシブル基板201は、収納される。
【0006】
図27に、フレキシブル基板収納トレイの部分拡大図並びにフレキシブル基板の吸着工程の概略を示す。図27(a)にフレキシブル基板収納トレイを示す。図27(b)は、フレキシブル基板収納トレイ206に収納したフレキシブル基板201を拡大した斜視図である。トレイ内のフレキシブル基板201は、基板上に配置された配線パターン(図示せず)や配線パターンを保護するソルダーレジスト(図示せず)等の影響により、反りや捩れ等の変形が起こりやすいと言う課題がある。図27(c)は、フレキシブル基板を吸着する工程の斜視図である。ここでは、吸着治具301の概略のみを示す(他の部分は図示せず)。
【0007】
図28に、吸着治具の断面図を示す。吸着治具301内には、フレキシブル基板201を吸着するための吸着用穴400が設けられている。吸着穴400は、電極バンプ並びに電極パッドを避けて配置されることは云うまでもない。(ここでは、説明を容易にするため、一列に並んだ状態として描いている。)
図28(a)は、フレキシブル基板収納トレイ内の基板を吸着しようとしている断面図である。吸着治具301は、フレキシブル基板201を吸着するため収納トレイ206内への降下動作をする。図28(b)は、フレキシブル基板201に接し、吸着穴400内を減圧し、フレキシブル基板201を吸着する直前の状態を示したものである。
【0008】
図28(c)は、フレキシブル基板を吸着した状態の断面図である。このとき、図28(c)中のA方向より見たときの、フレキシブル基板の吸着状態をモデル的に示しものを図28(d)、図28(e)、図28(f)に示す(吸着面のみ図示する)。図28(d)は、フレキシブル基板206が吸着面402に対して回転した状態で吸着した場合の例である。図中の破線402は理想的に吸着した時の位置を示したものである。図28(e)は、斜め上に移行して吸着した状態を、図28(f)は、斜め下に移行して吸着した状態を示した例である。フレキシブル基板201が変形した状態での吸着においては、吸着位置が安定しないなどの課題が生じる恐れがある。
【0009】
図29に、フレキシブル基板と半導体チップの接合工程の断面図を示す。フレキシブル基板201と半導体チップ1との位置合わせは、例えば、半導体チップ1を吸着したステージ500は、X−Y方向への移動とし、フレキシブル基板201を吸着した吸着治具301を旋回(Θ)方向とする組み合わせ、いわゆるX−Y−Θ方向の組み合わせでフレキシブル基板201の電極パッドと半導体チップ1の電極バンプ位置を合わせることができる。この位置合わせも図28(d)、図28(e)、図28(f)とフレキシブル基板の吸着位置ずれによって位置合わせ時間が異なる工程となる。位置合わせ後、吸着治具301は、半導体チップ1上に降下する(図29(a))。接合方式は、フレキシブル基板と半導体チップの接合金属の組み合わせが金/はんだ、はんだ/はんだであれば加熱加圧接合、金/金であれば超音波接合など適宜得選択して接合をする(図29(b))。
【0010】
図30に、アンダーフィル充填工程の断面図を示す。図30(a)は、半導体チップ1の電極上に形成された電極バンプ700とフレキシブル基板201の電極パッド701で接続された状態を示す。なお、電極パッド701はフレキシブル基板上に配置された配線パターンと接続されている。図30(b)は、アンダーフィル充填過程の断面図である。アンダーフィル702を樹脂充填装置(図示せず)に接続されたシリンジ703より充填する。このとき、フレキシブル基板201が変形しているとアンダーフィル充填時にアンダーフィルのフレキシブル基板の接合面704側にぬれ拡がる恐れがある。図30(c)は、アンダーフィル充填後の断面図を示す。シリンジ703で充填されたアンダーフィル702は、所定の樹脂硬化条件にて加熱硬化を行う。図30(d)は、フレキシブル基板の接続用パッドに接続用バンプを接合した状態を示す断面図である。接続バンプ705は、接続用パッドと接合を行うが接続バンプ705′はアンダーフィルがあることにより接続不良となる恐れがある。また、フレキシブル基板の変形状態でアンダーフィルが硬化する事により、接続面の平坦化も保てない恐れも生じる。
【0011】
ここでは、フレキシブル基板を個別に切断してフレキシブル基板収納トレイに収納する場合の工程の一例を述べたが、この製造工程に限られたものでないことは云うまでもない。例えば、フレキシブル基板を切断せずにテープ上で半導体チップの搭載・接合等を行い、最終的にテープより切断し半導体装置とする製造方法等もあることは言うまでもない。また、半導体チップもウエハより個別に切断し、トレイ収納した後の製造工程について述べたが、ウエハの状態でフレキシブル基板の搭載・接合等の工程を行い最後にウエハより切断し半導体装置とする製造方法等があることは言うまでもない。
【0012】
上述したように、フレキシブル基板を用いると、吸着位置がずれるため、フレキシブル基板と半導体チップと位置あわせに長時間を要する、また、基板ごとに位置合わせ時間が異なるなど製造工程の安定化を損なう恐れがある。
特許文献1には、センター部にパッド電極が形成された半導体チップ上に、接着層(熱可塑性ポリイミドやエポキシ系樹脂)を介して、導体リードが形成された絶縁基板を接着する半導体装置の製造方法が開示されている。しかしながら、上記課題、特に、フレキシブル基板を用いた場合のフレキシブル基板と半導体チップとの位置あわせの問題点については何ら開示されていない。
【0013】
本発明の目的は、フレキシブル基板を用いた半導体装置の製造方法において、フレキシブル基板と半導体チップとの位置合わせを短時間で、安定して行える半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するための一様態として、電極上に電極バンプが形成された半導体チップを準備する工程と、前記半導体チップ上に配置された前記電極を平面状に再配置するための再配置再配線と、前記再配置再配線に接続された電極パッドと、基板本体の曲げ剛性を向上する補強構造とを備えたフレキシブル基板を準備する工程と、前記半導体チップの前記電極バンプと前記フレキシブル基板の前記電極パッドとを対向させるように配置して、前記半導体チップと前記フレキシブル基板とを位置合わせする工程と、前記電極バンプと前記電極パッドとを接続する工程と、前記半導体チップと前記フレキシブル基板との間に液状樹脂を充填する工程と、その後、前記フレキシブル基板上に、前記再配置再配線に接続された接続用バンプを形成する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法とする。
【発明の効果】
【0015】
フレキシブル基板と半導体チップとの位置合わせを短時間で、安定して行える半導体装置の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、実施例にて説明する。
【実施例1】
【0017】
以下、本発明の第1の実施例について図1〜図16を参照しながら説明する。なお、発明が解決しようとする課題の欄に記載されている製造方法で、本実施例に未記載の事項は当該課題の欄に記載の製造方法の内容と同様である。
【0018】
図1は、本発明の第1の実施例に係る方法で製造した半導体装置の斜視図である。図2は、図1のA−A断面を示し、図3は、図1のB−B断面を示す。図1〜図3を用いて本半導体装置の構成を説明する。半導体チップ1の電極上に形成された電極バンプ2は、例えば前記半導体チップ1上にライン状に配置された前記電極を平面状に再配置するための再配置再配線を有するフレキシブル基板3に形成された金属充填されたスルホール4に接合されている。フレキシブル基板3には、反り、捩れ等を防止するため基板外周に折り曲げ部5が設けてある。半導体チップ1とフレキシブル基板3は、アンダーフィル材等の液状樹脂6が注入され所定の硬化条件にて硬化している。アンダーフィル材としては、例えば、エポキシ系樹脂を用いることができる。ここでは、半導体チップ1とフレキシブル基板3の接着に液状樹脂を用いた場合の構成としたが、同様の接着効果のあるシート状の接着剤を用いても何ら支障がないことは云うまでもない。フレキシブル基板3の再配置再配線側には、基板実装時に用いる接続用バンプ7が形成されている。フレキシブル基板の材質としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂等の高耐熱性樹脂が用いられる。
【0019】
本実施例に用いるフレキシブル基板の製造方法について図4〜図6を用いて説明する。図4(a)は、フレキシブル基板がテープ20上に多数配置された状態の平面図である。図4(b)は、1つのフレキシブル基板の拡大図である。図4(a)において、テープ20上には、各製造工程で搬送に用いるスプロケット穴21が形成されている。また、一定の間隔で多数のフレキシブル基板3が配置されている。そして、フレキシブル基板3の各辺にはテープ20上から容易に切り離せるようにパンチ穴22が設けてあり、フレキシブル基板の各コーナ吊り部23でテープと繋がった状態となっている。図4(b)は、フレキシブル基板3の1つを拡大したものであり、フレキシブル基板3上は、再配置再配線領域24と外周部折り曲げ部領域25(斜線部)及び半導体チップ1と接合するセンターパッド領域26とに分かれた構成となっている(配線パターン、パッド等の詳細は図示せず)。テープ上のフレキシブル基板の配置がこれに限定されるものでないことは言うまでもない。また、半導体チップ上の電極バンプ配置もセンター部に限定されるものでないことは云うまでもない。
【0020】
図5〜図7は、テープ上に配置されたフレキシブル基板3の各コーナ吊り部23を切断する工程を模式的に示したものである。図5は、フレキシブル基板部分を拡大した平面図である。フレキシブル基板3の各コーナ吊り部23ならびに各コーナ部23の切断部分124を示したものである。図6、図7を用いて切断工程の概略を説明する。図6、図7は、図5のA−A断面を示す。図6において、フレキシブル基板3は、下押さえ部品31に設けられた吸着穴33で吸着されている。そのフレキシブル基板3上に切断時に固定するための上押さえ部品30で挟まれ固定されている。上押さえ部品30の各コーナ部に、例えば、矩形形状の切断刃32が設置されている。図7は、フレキシブル基板の吊り部が切断された状態を示したものである。切断刃32は、上部より下降し所定の吊り部23を切断する。その後、フレキシブル基板の周辺部の折り曲げ工程へと進む。
【0021】
図8、図9は、フレキシブル基板の外周部を折り曲げる工程を模式的に示したものである。図8は、フレキシブル基板を設置した状態を表した平面図である。図9を用いて折り曲げ工程の概略を説明する。図9は、図8のA−A断面を示す。図9(a)において、フレキシブル基板3は、折り曲げ用下部品40に設けられた吸着穴41で吸着固定されている。さらに、上方より折り曲げ用上押さえ部品42で押さえられ各辺を折り曲げるときのフレキシブル基板3の移動を防止している。折り曲げ用下部品40には、各辺を折り曲げるための折り曲げ用部品43が設置されている。図9(b)は、フレキシブル基板の対向する2辺が折り曲げられた状態を示したものである。折り曲げは折り曲げ後のフレキシブル基板の戻りを考慮し少なくとも水平方向に対して90°以上の角度を持って折り曲げている。同様の方式をもって、他の2辺も折り曲げて折り曲げ工程は終了する。各辺の折り曲げは、少なくとも対向する2辺が折り曲げられればそり防止効果はあるといえる。
【0022】
図10に、フレキシブル基板の折り曲げ部の断面を示す。折り曲げ角度は、Θ1=70度〜Θ2=110度が有効である。また、フレキシブル基板の総厚さ(配線厚さ、ソルダーレジストなど主要構成材の厚さ合計)T1とするとき折曲げ高さT2は、フレキシブル基板厚さT1の1.5〜2.0倍程度であり、最大でも接続用バンプ径の1/2程度までが有効である。例えば、フレキシブル基板の厚さT1が0.1mmで接続用バンプ径が0.4mmの場合、折り曲げ高さT2は、0.15〜0.2mmとなる。折り曲げ後、トレイへと収納される。
【0023】
図11、図12に、フレキシブル基板収納トレイの部分拡大図並びにフレキシブル基板の吸着工程の概略を示す。図11(a)はフレキシブル基板収納トレイ、図11(b)はフレキシブル基板収納トレイ50に収納したフレキシブル基板3を拡大した斜視図である。トレイ内のフレキシブル基板3は、各辺を折り曲げることで平坦性を保っている。図12は、フレキシブル基板を吸着する工程の斜視図である。ここでは、吸着治具51の概略のみを示す(他の部分は図示せず)。
【0024】
図13に、吸着治具の断面図を示す。吸着治具51内には、フレキシブル基板3を吸着するための吸着用穴60が設けられている。吸着穴60は、電極バンプ並びに電極パッドを避けて配置されることは云うまでもない。(ここでは、説明を容易にするため、一列に並んだ状態とした。)
図13(a)は、フレキシブル基板収納トレイ内の基板を吸着しようとしている断面図である。吸着治具51は、フレキシブル基板3を吸着するため収納トレイ50内への降下動作をする。図13(b)は、フレキシブル基板3に接し、吸着穴60内を減圧し、フレキシブル基板3を吸着した直後の状態を示したものである。
【0025】
図13(c)は、フレキシブル基板を吸着・搬送中の状態を示す断面図である。このとき、図13(c)を下部から見たときの、フレキシブル基板の吸着状態をモデル的に示しものを図13(d)に示す(吸着面のみ図示する)。このとき、吸着治具51の吸着面61は、フレキシブル基板3の折り曲げ部より内側に位置することになる。したがって、折り曲げ部は、フレキシブル基板3が吸着時に大きく移動することを防止する手段としても有効である。図13(d)は、フレキシブル基板3が吸着面61に対して良好な状態で吸着した時の位置を示したものである。フレキシブル基板吸着後の半導体チップとの位置合わせならびに接合工程は、課題で説明した工程と同様なので省略する。ただし、フレキシブル基板の吸着位置が安定するため、位置合わせに要する時間を短縮できる効果がある。
【0026】
図14〜図16は、各辺を折り曲げたフレキシブル基板の半導体チップへの接合および接続用バンプを形成するまでの工程を模式的に示したものである。図14は、各辺を折り曲げたフレキシブル基板3aを半導体チップへ接合した状態の断面図である。半導体チップ1の電極上に形成された電極バンプ2は、センターパッド領域にライン状に配置されており、フレキシブル基板3aの対応する電極パッド(図示せず)と電気的に接続されている。電極パッドは再配置再配線と接続されている。このとき、外周を折り曲げてあるフレキシブル基板は、曲げ剛性の向上により平坦面を保持している。
【0027】
図15は、半導体チップとフレキシブル基板間の隙間に液状樹脂を充填する過程の断面図である。アンダーフィル70は、ディスペンサー装置(図示せず)により、所定の充填条件にてシリンジ71より押し出され半導体チップ/フレキシブル基板間の隙間に充填される。このとき、フレキシブル基板の外周の折り曲げ部5は液状樹脂のぬれ上がり72によるフレキシブル基板の接続バンプ形成用のパッド部(図示せず)への濡れ広がりを防止している。
【0028】
図16は、接続用バンプを形成した半導体装置の断面図である。アンダーフィルの充填後、所定の硬化条件にて液状樹脂の硬化70’を行う。その後、はんだボール等の金属性ボールにてフレキシブル基板3aの所定位置に接続用バンプ7を形成して半導体装置とする。
【0029】
本実施例によれば、フレキシブル基板周辺を折り曲げることにより、フレキシブル基板の曲げ剛性が向上し、平坦性が増し、製造工程間の搬送が安定化され、半導体チップとの位置あわせを短時間で、安定に行うことができる。また、フレキシブル基板の平坦性が向上することから、トレイの溝深さを小さくでき、トレイの薄型化、収納場所の縮小化が図れる。また、折り曲げ部は、フレキシブル基板吸着時にフレキシブル基板が大きく移動することを防止する上でも有効である。さらに、吸着位置を安定化することができる。また、半導体チップとフレキシブル基板との間にアンダーフィル(液状樹脂)を注入する際に、フレキシブル基板が平坦であるため均一に注入することができる。さらに、フレキシブル基板の外周の折り曲げ部は液状樹脂のぬれ上がりによるフレキシブル基板の接続バンプ形成用のパッド部への濡れ広がりを防止する効果もある。
【実施例2】
【0030】
本発明の第2の実施例について、図17〜図24を用いて説明する。なお、実施例1に記載され、本実施例に未記載の事項は実施例1と同様である。
【0031】
図17は、本実施例に係る製造方法により製造された半導体装置の斜視図である。図18は、図17のA−A断面を示す、図19は、図17のB−B断面を示す。図18、図19を用いて半導体装置の構成を説明する。図18において、半導体チップ1の電極バンプ2は、再配置再配線層を有するフレキシブル基板3bに形成された金属充填された貫通スルホール4が接合されている。フレキシブル基板3bには、反り、捩れ等を防止するため基板外周部に再配線に用いる金属材及びフレキシブル基板の配線形成工程で使用する部材で補強部80が形成されている。
【0032】
半導体チップ1とフレキシブル基板3bは、アンダーフィル材等の液状樹脂81が注入され所定の硬化条件にて硬化している。ここでは、半導体チップ1とフレキシブル基板3bとの接着を、液状樹脂を用いて行なった例を示したが、同様の接着効果のあるシート状の接着剤を用いても何ら支障がないことは云うまでもない。フレキシブル基板3bの再配置再配線側には、基板実装時に用いる接続用のバンプ7が形成されている。
【0033】
本実施例で用いるフレキシブル基板について図20を用いて説明する。フレキシブル基板3bは、図4(a)と同様にテープ上に多数配置できる。図21は、本実施例で用いるフレキシブル基板3bを拡大した平面図である。フレキシブル基板3b上は、再配置再配線領域24と外周部に□形状の補強部80域(斜格子部)及び半導体チップ1と接合するセンターパッド領域26とに分かれた構成となっている(配線、パッド等の詳細は図示せず)。そして、フレキシブル基板3bの各辺にはテープ20上から容易に切り離せるようにパンチ穴22が設けてあり、フレキシブル基板の各コーナ吊り部23でテープと繋がった状態となっている。
【0034】
次に、外周部の補強部の製造方法について図22用いて説明する。図22(a)は、フレキシブル基板の配線を製造するときの初期状態を示す断面図である。ここでは、フレキシブル基板3bを製造する場合の工程概略を示す。製造はこの方式に限定したものではなく適宜製造方式を変更しても何ら支障のないことは云うまでもない。図22(a)より、フレキシブル基板(有機質基材)90の両面に金属箔91が所定の方式により形成されている。有機質基材としては、ポリイミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂等の高耐熱性樹脂が用いられる。この基材厚さは、10〜50μm程度が用いられる。この配線用の金属材料としては、銅材、アルミ材等が用いられる。その金属膜厚は、通常用いられる片方の厚さが5〜35μm程度のものでよい。
【0035】
図22(b)は、再配置再配線パターンを形成した状態の断面図である。再配線パターンの形成は、一般的なホトリソグラフィ工程による製造である。このとき、配線形成工程で同時に変形防止を行うための金属部93も形成される。
【0036】
図22(c)は、めっき処理等により金属を充填した状態の断面図である。すなわち、半導体チップ1と接続するためのレーザ加工などの手段によりスルホール94を形成する(図示せず)。その後、めっき処理等により金属、例えば、銅めっきなどでスルホール内を埋める。そのとき、配線部92並び金属部93域にも同様の金属層95が形成される。
【0037】
図22(d)は、ソルダーレジストを配線上に形成した状態の断面図である。スルホール94をめっき処理にて充填した後、ソルダーレジスト96を電気的に接続する配線パッドを除いて形成する。このとき、金属部93もソルダーレジスト96にて覆われる。その後、ニッケルめっき、金メッキ等を経て配線部は完成(図示せず)し、フレキシブル基板3bは完成する。フレキシブル基板3bの外周部に金属を含む補強部80(金属部93と金属層95との積層部)が形成される。補強部をフレキシブル基板の表裏2面に形成することで反り変形などを防止し、平坦性の確保が容易となる。そして、配線形成工程において再配置再配線と同時に補強部を形成することで製造コストの低減ができる。
【0038】
ここでは、フレキシブル基板の表裏2面に補強部を形成する場合について説明したが、フレキシブル基板の配線パターンの違いにより、表裏面の片方に補強部を形成することもできる。片面補強の場合、再配置再配線が形成されているフレキシブル基板表面と同じ側に形成することにより、リソグラフィ工程を簡略化できる。
【0039】
半導体装置の製造工程については、課題の欄に記載の工程と同様であるので、ここでは、フレキシブル基板収納トレイの部分拡大図並びにフレキシブル基板の吸着工程の概略を示す。
【0040】
図23は、フレキシブル基板収納トレイとフレキシブル基板を吸着する工程の斜視図である。トレイ98内のフレキシブル基板3bは、補強部80により平坦性を保っている。ここでは、吸着治具97の概略のみを示す(他の部分は図示せず)。
【0041】
図24に、吸着治具の断面図を示す。吸着治具97内には、フレキシブル基板3bを吸着するための吸着用穴99が設けられている。吸着穴99は、電極バンプ並びに電極パッドを避けて配置されることは云うまでもない。(ここでは、説明を容易にするため、一列に並んだ状態とした。)
図24(a)は、フレキシブル基板収納トレイ内の基板を吸着しようとしている断面図である。吸着治具99は、フレキシブル基板3bを吸着するため収納トレイ98内への降下動作をする。図24(b)は、フレキシブル基板3bに接し、吸着穴99内を減圧し、フレキシブル基板3bを吸着した直後の状態を示したものである。
【0042】
図24(c)は、フレキシブル基板を吸着・搬送途中の状態を示す断面図である。このとき、図24(c)の下側から見たときの、フレキシブル基板の吸着状態を図24(d)に模式的に示す(吸着面のみ図示する)。このとき、吸着治具97の吸着面100は、フレキシブル基板3bの補強部80より内側に位置することになる。図24(d)は、フレキシブル基板3bが吸着面99に対して良好な状態で吸着した時の位置を示したものである。フレキシブル基板吸着後の半導体チップとの位置合わせならびに接合工程は、課題の欄で説明した工程と同様なので省略する。ただし、フレキシブル基板の吸着位置が安定するため、位置合わせに要する時間を短縮できる効果がある。
【0043】
本実施例によれば、実施例1と同様、フレキシブル基板周辺を配線部材で補強することにより、フレキシブル基板の平坦性が向上し、半導体チップとの位置あわせを短時間で、安定に行うことができる。また、フレキシブル基板の金属補強部を、再配置再配線の製造工程で同時に形成できるため、製造コストの低減が図れる。更に、片面補強の場合、再配置再配線層が形成されているフレキシブル基板表面と同じ側に形成することにより、補強工程を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】第1の実施例の方法で製造した半導体装置の斜視図である。
【図2】図1の半導体装置のA−A断面図である。
【図3】図1の半導体装置のB−B断面図である。
【図4】第1の実施例に係るフレキシブル基板の平面図であり、(a)は全体構成図、(b)は部分拡大図である。
【図5】第1の実施例に係るフレキシブル基板の各コーナ吊り部の切断部を示す平面図である。
【図6】図5のA−A断面における切断部の構成並びに切断工程を示す断面図である。
【図7】図6の切断後の状態を示す断面図である。
【図8】フレキシブル基板を折り曲げ工程を説明するための図であり、(a)はフレキシブル基板を折り曲げ装置に設置した状態を示す平面図である。
【図9】図8のA−A断面における折り曲げ部の構成を示す断面図であり、折り曲げ前の状況、(b)は折り曲げ後の状況を示す図である。。
【図10】フレキシブル基板の折り曲げ部の拡大断面図。
【図11】フレキシブル基板収納トレイの斜視図であり、(a)は全体構成図、(b)は部分拡大図である。
【図12】フレキシブル基板の吸着工程を示す斜視図である。
【図13】実施例1のフレキシブル基板の吸着工程を説明するための図であり、(a)は吸着直前の吸着治具の断面図、(b)は吸着直後の吸着治具の断面図、(c)は吸着した状態の吸着治具の断面図、(d)はフレキシブル基板を吸着した吸着面の平面図である。
【図14】実施例1のフレキシブル基板を半導体チップへ接合した状態の断面図である。
【図15】半導体チップ/フレキシブル基板間にアンダーフィル(液状樹脂)を充填する過程を示す断面図である。
【図16】接続用バンプを形成した半導体装置の断面図である。
【図17】第2の実施例の方法で製造された半導体装置の斜視図である。
【図18】図14の半導体装置のA−A断面図である。
【図19】図14の半導体装置のB−B断面図である。
【図20】第2の実施例に係るフレキシブル基板の全体構成を示す平面図である。
【図21】第2の実施例に係るフレキシブル基板を拡大した平面図である。
【図22】第2の実施例に係るフレキシブル基板補強部の製造工程を示す断面図であり、(a)はフレキシブル基板の配線を製造するときの初期状態を示す断面図、(b)は再配線パターンを形成した状態の断面図、(c)はめっき処理により金属を充填した状態の断面図、(d)はソルダーレジストを配線上に形成した状態の断面図である。
【図23】フレキシブル基板収納トレイの部分拡大並びに吸着治具の斜視図である。
【図24】実施例2のフレキシブル基板の吸着工程を説明するための図であり、(a)は吸着直前の吸着治具の断面図、(b)は吸着直後の吸着治具の断面図、(c)は吸着した状態の吸着治具の断面図、(d)はフレキシブル基板を吸着した吸着面の平面図である。
【図25】半導体チップを形成したウエハをチップトレイに収納するまでの工程図であり、(a)は半導体素子が形成されたウエハを準備する工程、(b)はチップダイシング工程、(c)はチップをトレイに収納する工程を示す斜視図である。
【図26】フレキシブル基板をフレキシブル基板収納トレイに収納するまでの工程図であり、(a)はフレキシブル基板を準備する工程を示す平面図、(b)はフレキシブル基板を個片に切断する工程を示す平面図、(c)はフレキシブル基板をトレイに収納する工程を示す斜視図である。
【図27】フレキシブル基板を吸着する工程を示す図であり、(a)は収納トレイの全体構成を示す斜視図、(b)は収納トレイを部分拡大した斜視図、(c)は収納トレイ及び吸着治具の斜視図である。
【図28】フレキシブル基板の吸着工程における本発明の課題を説明するための図であり、(a)は吸着直前の吸着治具の断面図、(b)は吸着直後の吸着治具の断面図、(c)は吸着した状態の吸着治具の断面図、(d)(e)(f)はフレキシブル基板を吸着した吸着面の平面図である。
【図29】フレキシブル基板と半導体チップの接合工程の断面図である。
【図30】本発明の課題を説明するための、アンダーフィル充填工程の断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1・・・半導体チップ、2・・・電極バンプ、3a、3b、201・・・フレキシブル基板、4、94・・・スルホール、5・・・折り曲げ部、6・・・液状樹脂、7・・・接続用バンプ、20,202・・・テープ、22,204・・・パンチ穴、23,205・・・吊り部、24・・・再配置再配線領域、25・・・折り曲げ部領域、31・・・下押さえ部品、30・・・上押さえ部品、32・・・切断刃、33・・・吸着穴、40・・・折り曲げ用下部品、42・・・折り曲げ用上押さえ部品、72・・・液状樹脂のぬれ上がり、80・・・補強部、93・・・金属部、96・・・ソルダーレジスト、124・・・切断部分。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、特に、フレキシブル基板を有する半導体装置の製造方法に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
絶縁基板(ポリイミド樹脂のフィルム)を用いて半導体装置を製造する従来の方法に関しては、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開平10−321672号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体装置の製造工程の一例を主要部品のみを図示した概略図を用い、図25〜図30にて説明する。図25は、半導体チップを形成したウエハをチップトレイに収納するまでの工程を模式的に表した斜視図である。すなわち、ウエハ101上に構成された半導体チップ102は、電気特性等の合否判定(図示せず)を受けた後、チップダイシング工程にてダイシング刃103にて切断され個別の半導体チップ102となる。その後、半導体チップ102は、チップトレイ104へと収納される。
【0005】
図26に、フレキシブル基板をフレキシブル基板収納トレイに収納するまでの工程を示す。図26(a)は、フレキシブル基板201がテープ202上に多数配置された状態の平面図である。テープ202上には、各製造工程で搬送に用いるスプロケット穴203が形成されている。また、一定の間隔で多数のフレキシブル基板201が配置されている。そして、フレキシブル基板201の各辺にはテープ202上から容易に切り離せるようにパンチ穴204が設けてあり、フレキシブル基板の各コーナ吊り部205でテープと繋がった状態となっている。図26(b)は、フレキシブル基板を切断した後のテープの平面図である。所定の切断装置(図示せず)にて吊り部205よりフレキシブル基板201は切り離されている。その後、図26(c)に示すフレキシブル基板収納用トレイ206にフレキシブル基板201は、収納される。
【0006】
図27に、フレキシブル基板収納トレイの部分拡大図並びにフレキシブル基板の吸着工程の概略を示す。図27(a)にフレキシブル基板収納トレイを示す。図27(b)は、フレキシブル基板収納トレイ206に収納したフレキシブル基板201を拡大した斜視図である。トレイ内のフレキシブル基板201は、基板上に配置された配線パターン(図示せず)や配線パターンを保護するソルダーレジスト(図示せず)等の影響により、反りや捩れ等の変形が起こりやすいと言う課題がある。図27(c)は、フレキシブル基板を吸着する工程の斜視図である。ここでは、吸着治具301の概略のみを示す(他の部分は図示せず)。
【0007】
図28に、吸着治具の断面図を示す。吸着治具301内には、フレキシブル基板201を吸着するための吸着用穴400が設けられている。吸着穴400は、電極バンプ並びに電極パッドを避けて配置されることは云うまでもない。(ここでは、説明を容易にするため、一列に並んだ状態として描いている。)
図28(a)は、フレキシブル基板収納トレイ内の基板を吸着しようとしている断面図である。吸着治具301は、フレキシブル基板201を吸着するため収納トレイ206内への降下動作をする。図28(b)は、フレキシブル基板201に接し、吸着穴400内を減圧し、フレキシブル基板201を吸着する直前の状態を示したものである。
【0008】
図28(c)は、フレキシブル基板を吸着した状態の断面図である。このとき、図28(c)中のA方向より見たときの、フレキシブル基板の吸着状態をモデル的に示しものを図28(d)、図28(e)、図28(f)に示す(吸着面のみ図示する)。図28(d)は、フレキシブル基板206が吸着面402に対して回転した状態で吸着した場合の例である。図中の破線402は理想的に吸着した時の位置を示したものである。図28(e)は、斜め上に移行して吸着した状態を、図28(f)は、斜め下に移行して吸着した状態を示した例である。フレキシブル基板201が変形した状態での吸着においては、吸着位置が安定しないなどの課題が生じる恐れがある。
【0009】
図29に、フレキシブル基板と半導体チップの接合工程の断面図を示す。フレキシブル基板201と半導体チップ1との位置合わせは、例えば、半導体チップ1を吸着したステージ500は、X−Y方向への移動とし、フレキシブル基板201を吸着した吸着治具301を旋回(Θ)方向とする組み合わせ、いわゆるX−Y−Θ方向の組み合わせでフレキシブル基板201の電極パッドと半導体チップ1の電極バンプ位置を合わせることができる。この位置合わせも図28(d)、図28(e)、図28(f)とフレキシブル基板の吸着位置ずれによって位置合わせ時間が異なる工程となる。位置合わせ後、吸着治具301は、半導体チップ1上に降下する(図29(a))。接合方式は、フレキシブル基板と半導体チップの接合金属の組み合わせが金/はんだ、はんだ/はんだであれば加熱加圧接合、金/金であれば超音波接合など適宜得選択して接合をする(図29(b))。
【0010】
図30に、アンダーフィル充填工程の断面図を示す。図30(a)は、半導体チップ1の電極上に形成された電極バンプ700とフレキシブル基板201の電極パッド701で接続された状態を示す。なお、電極パッド701はフレキシブル基板上に配置された配線パターンと接続されている。図30(b)は、アンダーフィル充填過程の断面図である。アンダーフィル702を樹脂充填装置(図示せず)に接続されたシリンジ703より充填する。このとき、フレキシブル基板201が変形しているとアンダーフィル充填時にアンダーフィルのフレキシブル基板の接合面704側にぬれ拡がる恐れがある。図30(c)は、アンダーフィル充填後の断面図を示す。シリンジ703で充填されたアンダーフィル702は、所定の樹脂硬化条件にて加熱硬化を行う。図30(d)は、フレキシブル基板の接続用パッドに接続用バンプを接合した状態を示す断面図である。接続バンプ705は、接続用パッドと接合を行うが接続バンプ705′はアンダーフィルがあることにより接続不良となる恐れがある。また、フレキシブル基板の変形状態でアンダーフィルが硬化する事により、接続面の平坦化も保てない恐れも生じる。
【0011】
ここでは、フレキシブル基板を個別に切断してフレキシブル基板収納トレイに収納する場合の工程の一例を述べたが、この製造工程に限られたものでないことは云うまでもない。例えば、フレキシブル基板を切断せずにテープ上で半導体チップの搭載・接合等を行い、最終的にテープより切断し半導体装置とする製造方法等もあることは言うまでもない。また、半導体チップもウエハより個別に切断し、トレイ収納した後の製造工程について述べたが、ウエハの状態でフレキシブル基板の搭載・接合等の工程を行い最後にウエハより切断し半導体装置とする製造方法等があることは言うまでもない。
【0012】
上述したように、フレキシブル基板を用いると、吸着位置がずれるため、フレキシブル基板と半導体チップと位置あわせに長時間を要する、また、基板ごとに位置合わせ時間が異なるなど製造工程の安定化を損なう恐れがある。
特許文献1には、センター部にパッド電極が形成された半導体チップ上に、接着層(熱可塑性ポリイミドやエポキシ系樹脂)を介して、導体リードが形成された絶縁基板を接着する半導体装置の製造方法が開示されている。しかしながら、上記課題、特に、フレキシブル基板を用いた場合のフレキシブル基板と半導体チップとの位置あわせの問題点については何ら開示されていない。
【0013】
本発明の目的は、フレキシブル基板を用いた半導体装置の製造方法において、フレキシブル基板と半導体チップとの位置合わせを短時間で、安定して行える半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するための一様態として、電極上に電極バンプが形成された半導体チップを準備する工程と、前記半導体チップ上に配置された前記電極を平面状に再配置するための再配置再配線と、前記再配置再配線に接続された電極パッドと、基板本体の曲げ剛性を向上する補強構造とを備えたフレキシブル基板を準備する工程と、前記半導体チップの前記電極バンプと前記フレキシブル基板の前記電極パッドとを対向させるように配置して、前記半導体チップと前記フレキシブル基板とを位置合わせする工程と、前記電極バンプと前記電極パッドとを接続する工程と、前記半導体チップと前記フレキシブル基板との間に液状樹脂を充填する工程と、その後、前記フレキシブル基板上に、前記再配置再配線に接続された接続用バンプを形成する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法とする。
【発明の効果】
【0015】
フレキシブル基板と半導体チップとの位置合わせを短時間で、安定して行える半導体装置の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、実施例にて説明する。
【実施例1】
【0017】
以下、本発明の第1の実施例について図1〜図16を参照しながら説明する。なお、発明が解決しようとする課題の欄に記載されている製造方法で、本実施例に未記載の事項は当該課題の欄に記載の製造方法の内容と同様である。
【0018】
図1は、本発明の第1の実施例に係る方法で製造した半導体装置の斜視図である。図2は、図1のA−A断面を示し、図3は、図1のB−B断面を示す。図1〜図3を用いて本半導体装置の構成を説明する。半導体チップ1の電極上に形成された電極バンプ2は、例えば前記半導体チップ1上にライン状に配置された前記電極を平面状に再配置するための再配置再配線を有するフレキシブル基板3に形成された金属充填されたスルホール4に接合されている。フレキシブル基板3には、反り、捩れ等を防止するため基板外周に折り曲げ部5が設けてある。半導体チップ1とフレキシブル基板3は、アンダーフィル材等の液状樹脂6が注入され所定の硬化条件にて硬化している。アンダーフィル材としては、例えば、エポキシ系樹脂を用いることができる。ここでは、半導体チップ1とフレキシブル基板3の接着に液状樹脂を用いた場合の構成としたが、同様の接着効果のあるシート状の接着剤を用いても何ら支障がないことは云うまでもない。フレキシブル基板3の再配置再配線側には、基板実装時に用いる接続用バンプ7が形成されている。フレキシブル基板の材質としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂等の高耐熱性樹脂が用いられる。
【0019】
本実施例に用いるフレキシブル基板の製造方法について図4〜図6を用いて説明する。図4(a)は、フレキシブル基板がテープ20上に多数配置された状態の平面図である。図4(b)は、1つのフレキシブル基板の拡大図である。図4(a)において、テープ20上には、各製造工程で搬送に用いるスプロケット穴21が形成されている。また、一定の間隔で多数のフレキシブル基板3が配置されている。そして、フレキシブル基板3の各辺にはテープ20上から容易に切り離せるようにパンチ穴22が設けてあり、フレキシブル基板の各コーナ吊り部23でテープと繋がった状態となっている。図4(b)は、フレキシブル基板3の1つを拡大したものであり、フレキシブル基板3上は、再配置再配線領域24と外周部折り曲げ部領域25(斜線部)及び半導体チップ1と接合するセンターパッド領域26とに分かれた構成となっている(配線パターン、パッド等の詳細は図示せず)。テープ上のフレキシブル基板の配置がこれに限定されるものでないことは言うまでもない。また、半導体チップ上の電極バンプ配置もセンター部に限定されるものでないことは云うまでもない。
【0020】
図5〜図7は、テープ上に配置されたフレキシブル基板3の各コーナ吊り部23を切断する工程を模式的に示したものである。図5は、フレキシブル基板部分を拡大した平面図である。フレキシブル基板3の各コーナ吊り部23ならびに各コーナ部23の切断部分124を示したものである。図6、図7を用いて切断工程の概略を説明する。図6、図7は、図5のA−A断面を示す。図6において、フレキシブル基板3は、下押さえ部品31に設けられた吸着穴33で吸着されている。そのフレキシブル基板3上に切断時に固定するための上押さえ部品30で挟まれ固定されている。上押さえ部品30の各コーナ部に、例えば、矩形形状の切断刃32が設置されている。図7は、フレキシブル基板の吊り部が切断された状態を示したものである。切断刃32は、上部より下降し所定の吊り部23を切断する。その後、フレキシブル基板の周辺部の折り曲げ工程へと進む。
【0021】
図8、図9は、フレキシブル基板の外周部を折り曲げる工程を模式的に示したものである。図8は、フレキシブル基板を設置した状態を表した平面図である。図9を用いて折り曲げ工程の概略を説明する。図9は、図8のA−A断面を示す。図9(a)において、フレキシブル基板3は、折り曲げ用下部品40に設けられた吸着穴41で吸着固定されている。さらに、上方より折り曲げ用上押さえ部品42で押さえられ各辺を折り曲げるときのフレキシブル基板3の移動を防止している。折り曲げ用下部品40には、各辺を折り曲げるための折り曲げ用部品43が設置されている。図9(b)は、フレキシブル基板の対向する2辺が折り曲げられた状態を示したものである。折り曲げは折り曲げ後のフレキシブル基板の戻りを考慮し少なくとも水平方向に対して90°以上の角度を持って折り曲げている。同様の方式をもって、他の2辺も折り曲げて折り曲げ工程は終了する。各辺の折り曲げは、少なくとも対向する2辺が折り曲げられればそり防止効果はあるといえる。
【0022】
図10に、フレキシブル基板の折り曲げ部の断面を示す。折り曲げ角度は、Θ1=70度〜Θ2=110度が有効である。また、フレキシブル基板の総厚さ(配線厚さ、ソルダーレジストなど主要構成材の厚さ合計)T1とするとき折曲げ高さT2は、フレキシブル基板厚さT1の1.5〜2.0倍程度であり、最大でも接続用バンプ径の1/2程度までが有効である。例えば、フレキシブル基板の厚さT1が0.1mmで接続用バンプ径が0.4mmの場合、折り曲げ高さT2は、0.15〜0.2mmとなる。折り曲げ後、トレイへと収納される。
【0023】
図11、図12に、フレキシブル基板収納トレイの部分拡大図並びにフレキシブル基板の吸着工程の概略を示す。図11(a)はフレキシブル基板収納トレイ、図11(b)はフレキシブル基板収納トレイ50に収納したフレキシブル基板3を拡大した斜視図である。トレイ内のフレキシブル基板3は、各辺を折り曲げることで平坦性を保っている。図12は、フレキシブル基板を吸着する工程の斜視図である。ここでは、吸着治具51の概略のみを示す(他の部分は図示せず)。
【0024】
図13に、吸着治具の断面図を示す。吸着治具51内には、フレキシブル基板3を吸着するための吸着用穴60が設けられている。吸着穴60は、電極バンプ並びに電極パッドを避けて配置されることは云うまでもない。(ここでは、説明を容易にするため、一列に並んだ状態とした。)
図13(a)は、フレキシブル基板収納トレイ内の基板を吸着しようとしている断面図である。吸着治具51は、フレキシブル基板3を吸着するため収納トレイ50内への降下動作をする。図13(b)は、フレキシブル基板3に接し、吸着穴60内を減圧し、フレキシブル基板3を吸着した直後の状態を示したものである。
【0025】
図13(c)は、フレキシブル基板を吸着・搬送中の状態を示す断面図である。このとき、図13(c)を下部から見たときの、フレキシブル基板の吸着状態をモデル的に示しものを図13(d)に示す(吸着面のみ図示する)。このとき、吸着治具51の吸着面61は、フレキシブル基板3の折り曲げ部より内側に位置することになる。したがって、折り曲げ部は、フレキシブル基板3が吸着時に大きく移動することを防止する手段としても有効である。図13(d)は、フレキシブル基板3が吸着面61に対して良好な状態で吸着した時の位置を示したものである。フレキシブル基板吸着後の半導体チップとの位置合わせならびに接合工程は、課題で説明した工程と同様なので省略する。ただし、フレキシブル基板の吸着位置が安定するため、位置合わせに要する時間を短縮できる効果がある。
【0026】
図14〜図16は、各辺を折り曲げたフレキシブル基板の半導体チップへの接合および接続用バンプを形成するまでの工程を模式的に示したものである。図14は、各辺を折り曲げたフレキシブル基板3aを半導体チップへ接合した状態の断面図である。半導体チップ1の電極上に形成された電極バンプ2は、センターパッド領域にライン状に配置されており、フレキシブル基板3aの対応する電極パッド(図示せず)と電気的に接続されている。電極パッドは再配置再配線と接続されている。このとき、外周を折り曲げてあるフレキシブル基板は、曲げ剛性の向上により平坦面を保持している。
【0027】
図15は、半導体チップとフレキシブル基板間の隙間に液状樹脂を充填する過程の断面図である。アンダーフィル70は、ディスペンサー装置(図示せず)により、所定の充填条件にてシリンジ71より押し出され半導体チップ/フレキシブル基板間の隙間に充填される。このとき、フレキシブル基板の外周の折り曲げ部5は液状樹脂のぬれ上がり72によるフレキシブル基板の接続バンプ形成用のパッド部(図示せず)への濡れ広がりを防止している。
【0028】
図16は、接続用バンプを形成した半導体装置の断面図である。アンダーフィルの充填後、所定の硬化条件にて液状樹脂の硬化70’を行う。その後、はんだボール等の金属性ボールにてフレキシブル基板3aの所定位置に接続用バンプ7を形成して半導体装置とする。
【0029】
本実施例によれば、フレキシブル基板周辺を折り曲げることにより、フレキシブル基板の曲げ剛性が向上し、平坦性が増し、製造工程間の搬送が安定化され、半導体チップとの位置あわせを短時間で、安定に行うことができる。また、フレキシブル基板の平坦性が向上することから、トレイの溝深さを小さくでき、トレイの薄型化、収納場所の縮小化が図れる。また、折り曲げ部は、フレキシブル基板吸着時にフレキシブル基板が大きく移動することを防止する上でも有効である。さらに、吸着位置を安定化することができる。また、半導体チップとフレキシブル基板との間にアンダーフィル(液状樹脂)を注入する際に、フレキシブル基板が平坦であるため均一に注入することができる。さらに、フレキシブル基板の外周の折り曲げ部は液状樹脂のぬれ上がりによるフレキシブル基板の接続バンプ形成用のパッド部への濡れ広がりを防止する効果もある。
【実施例2】
【0030】
本発明の第2の実施例について、図17〜図24を用いて説明する。なお、実施例1に記載され、本実施例に未記載の事項は実施例1と同様である。
【0031】
図17は、本実施例に係る製造方法により製造された半導体装置の斜視図である。図18は、図17のA−A断面を示す、図19は、図17のB−B断面を示す。図18、図19を用いて半導体装置の構成を説明する。図18において、半導体チップ1の電極バンプ2は、再配置再配線層を有するフレキシブル基板3bに形成された金属充填された貫通スルホール4が接合されている。フレキシブル基板3bには、反り、捩れ等を防止するため基板外周部に再配線に用いる金属材及びフレキシブル基板の配線形成工程で使用する部材で補強部80が形成されている。
【0032】
半導体チップ1とフレキシブル基板3bは、アンダーフィル材等の液状樹脂81が注入され所定の硬化条件にて硬化している。ここでは、半導体チップ1とフレキシブル基板3bとの接着を、液状樹脂を用いて行なった例を示したが、同様の接着効果のあるシート状の接着剤を用いても何ら支障がないことは云うまでもない。フレキシブル基板3bの再配置再配線側には、基板実装時に用いる接続用のバンプ7が形成されている。
【0033】
本実施例で用いるフレキシブル基板について図20を用いて説明する。フレキシブル基板3bは、図4(a)と同様にテープ上に多数配置できる。図21は、本実施例で用いるフレキシブル基板3bを拡大した平面図である。フレキシブル基板3b上は、再配置再配線領域24と外周部に□形状の補強部80域(斜格子部)及び半導体チップ1と接合するセンターパッド領域26とに分かれた構成となっている(配線、パッド等の詳細は図示せず)。そして、フレキシブル基板3bの各辺にはテープ20上から容易に切り離せるようにパンチ穴22が設けてあり、フレキシブル基板の各コーナ吊り部23でテープと繋がった状態となっている。
【0034】
次に、外周部の補強部の製造方法について図22用いて説明する。図22(a)は、フレキシブル基板の配線を製造するときの初期状態を示す断面図である。ここでは、フレキシブル基板3bを製造する場合の工程概略を示す。製造はこの方式に限定したものではなく適宜製造方式を変更しても何ら支障のないことは云うまでもない。図22(a)より、フレキシブル基板(有機質基材)90の両面に金属箔91が所定の方式により形成されている。有機質基材としては、ポリイミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂等の高耐熱性樹脂が用いられる。この基材厚さは、10〜50μm程度が用いられる。この配線用の金属材料としては、銅材、アルミ材等が用いられる。その金属膜厚は、通常用いられる片方の厚さが5〜35μm程度のものでよい。
【0035】
図22(b)は、再配置再配線パターンを形成した状態の断面図である。再配線パターンの形成は、一般的なホトリソグラフィ工程による製造である。このとき、配線形成工程で同時に変形防止を行うための金属部93も形成される。
【0036】
図22(c)は、めっき処理等により金属を充填した状態の断面図である。すなわち、半導体チップ1と接続するためのレーザ加工などの手段によりスルホール94を形成する(図示せず)。その後、めっき処理等により金属、例えば、銅めっきなどでスルホール内を埋める。そのとき、配線部92並び金属部93域にも同様の金属層95が形成される。
【0037】
図22(d)は、ソルダーレジストを配線上に形成した状態の断面図である。スルホール94をめっき処理にて充填した後、ソルダーレジスト96を電気的に接続する配線パッドを除いて形成する。このとき、金属部93もソルダーレジスト96にて覆われる。その後、ニッケルめっき、金メッキ等を経て配線部は完成(図示せず)し、フレキシブル基板3bは完成する。フレキシブル基板3bの外周部に金属を含む補強部80(金属部93と金属層95との積層部)が形成される。補強部をフレキシブル基板の表裏2面に形成することで反り変形などを防止し、平坦性の確保が容易となる。そして、配線形成工程において再配置再配線と同時に補強部を形成することで製造コストの低減ができる。
【0038】
ここでは、フレキシブル基板の表裏2面に補強部を形成する場合について説明したが、フレキシブル基板の配線パターンの違いにより、表裏面の片方に補強部を形成することもできる。片面補強の場合、再配置再配線が形成されているフレキシブル基板表面と同じ側に形成することにより、リソグラフィ工程を簡略化できる。
【0039】
半導体装置の製造工程については、課題の欄に記載の工程と同様であるので、ここでは、フレキシブル基板収納トレイの部分拡大図並びにフレキシブル基板の吸着工程の概略を示す。
【0040】
図23は、フレキシブル基板収納トレイとフレキシブル基板を吸着する工程の斜視図である。トレイ98内のフレキシブル基板3bは、補強部80により平坦性を保っている。ここでは、吸着治具97の概略のみを示す(他の部分は図示せず)。
【0041】
図24に、吸着治具の断面図を示す。吸着治具97内には、フレキシブル基板3bを吸着するための吸着用穴99が設けられている。吸着穴99は、電極バンプ並びに電極パッドを避けて配置されることは云うまでもない。(ここでは、説明を容易にするため、一列に並んだ状態とした。)
図24(a)は、フレキシブル基板収納トレイ内の基板を吸着しようとしている断面図である。吸着治具99は、フレキシブル基板3bを吸着するため収納トレイ98内への降下動作をする。図24(b)は、フレキシブル基板3bに接し、吸着穴99内を減圧し、フレキシブル基板3bを吸着した直後の状態を示したものである。
【0042】
図24(c)は、フレキシブル基板を吸着・搬送途中の状態を示す断面図である。このとき、図24(c)の下側から見たときの、フレキシブル基板の吸着状態を図24(d)に模式的に示す(吸着面のみ図示する)。このとき、吸着治具97の吸着面100は、フレキシブル基板3bの補強部80より内側に位置することになる。図24(d)は、フレキシブル基板3bが吸着面99に対して良好な状態で吸着した時の位置を示したものである。フレキシブル基板吸着後の半導体チップとの位置合わせならびに接合工程は、課題の欄で説明した工程と同様なので省略する。ただし、フレキシブル基板の吸着位置が安定するため、位置合わせに要する時間を短縮できる効果がある。
【0043】
本実施例によれば、実施例1と同様、フレキシブル基板周辺を配線部材で補強することにより、フレキシブル基板の平坦性が向上し、半導体チップとの位置あわせを短時間で、安定に行うことができる。また、フレキシブル基板の金属補強部を、再配置再配線の製造工程で同時に形成できるため、製造コストの低減が図れる。更に、片面補強の場合、再配置再配線層が形成されているフレキシブル基板表面と同じ側に形成することにより、補強工程を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】第1の実施例の方法で製造した半導体装置の斜視図である。
【図2】図1の半導体装置のA−A断面図である。
【図3】図1の半導体装置のB−B断面図である。
【図4】第1の実施例に係るフレキシブル基板の平面図であり、(a)は全体構成図、(b)は部分拡大図である。
【図5】第1の実施例に係るフレキシブル基板の各コーナ吊り部の切断部を示す平面図である。
【図6】図5のA−A断面における切断部の構成並びに切断工程を示す断面図である。
【図7】図6の切断後の状態を示す断面図である。
【図8】フレキシブル基板を折り曲げ工程を説明するための図であり、(a)はフレキシブル基板を折り曲げ装置に設置した状態を示す平面図である。
【図9】図8のA−A断面における折り曲げ部の構成を示す断面図であり、折り曲げ前の状況、(b)は折り曲げ後の状況を示す図である。。
【図10】フレキシブル基板の折り曲げ部の拡大断面図。
【図11】フレキシブル基板収納トレイの斜視図であり、(a)は全体構成図、(b)は部分拡大図である。
【図12】フレキシブル基板の吸着工程を示す斜視図である。
【図13】実施例1のフレキシブル基板の吸着工程を説明するための図であり、(a)は吸着直前の吸着治具の断面図、(b)は吸着直後の吸着治具の断面図、(c)は吸着した状態の吸着治具の断面図、(d)はフレキシブル基板を吸着した吸着面の平面図である。
【図14】実施例1のフレキシブル基板を半導体チップへ接合した状態の断面図である。
【図15】半導体チップ/フレキシブル基板間にアンダーフィル(液状樹脂)を充填する過程を示す断面図である。
【図16】接続用バンプを形成した半導体装置の断面図である。
【図17】第2の実施例の方法で製造された半導体装置の斜視図である。
【図18】図14の半導体装置のA−A断面図である。
【図19】図14の半導体装置のB−B断面図である。
【図20】第2の実施例に係るフレキシブル基板の全体構成を示す平面図である。
【図21】第2の実施例に係るフレキシブル基板を拡大した平面図である。
【図22】第2の実施例に係るフレキシブル基板補強部の製造工程を示す断面図であり、(a)はフレキシブル基板の配線を製造するときの初期状態を示す断面図、(b)は再配線パターンを形成した状態の断面図、(c)はめっき処理により金属を充填した状態の断面図、(d)はソルダーレジストを配線上に形成した状態の断面図である。
【図23】フレキシブル基板収納トレイの部分拡大並びに吸着治具の斜視図である。
【図24】実施例2のフレキシブル基板の吸着工程を説明するための図であり、(a)は吸着直前の吸着治具の断面図、(b)は吸着直後の吸着治具の断面図、(c)は吸着した状態の吸着治具の断面図、(d)はフレキシブル基板を吸着した吸着面の平面図である。
【図25】半導体チップを形成したウエハをチップトレイに収納するまでの工程図であり、(a)は半導体素子が形成されたウエハを準備する工程、(b)はチップダイシング工程、(c)はチップをトレイに収納する工程を示す斜視図である。
【図26】フレキシブル基板をフレキシブル基板収納トレイに収納するまでの工程図であり、(a)はフレキシブル基板を準備する工程を示す平面図、(b)はフレキシブル基板を個片に切断する工程を示す平面図、(c)はフレキシブル基板をトレイに収納する工程を示す斜視図である。
【図27】フレキシブル基板を吸着する工程を示す図であり、(a)は収納トレイの全体構成を示す斜視図、(b)は収納トレイを部分拡大した斜視図、(c)は収納トレイ及び吸着治具の斜視図である。
【図28】フレキシブル基板の吸着工程における本発明の課題を説明するための図であり、(a)は吸着直前の吸着治具の断面図、(b)は吸着直後の吸着治具の断面図、(c)は吸着した状態の吸着治具の断面図、(d)(e)(f)はフレキシブル基板を吸着した吸着面の平面図である。
【図29】フレキシブル基板と半導体チップの接合工程の断面図である。
【図30】本発明の課題を説明するための、アンダーフィル充填工程の断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1・・・半導体チップ、2・・・電極バンプ、3a、3b、201・・・フレキシブル基板、4、94・・・スルホール、5・・・折り曲げ部、6・・・液状樹脂、7・・・接続用バンプ、20,202・・・テープ、22,204・・・パンチ穴、23,205・・・吊り部、24・・・再配置再配線領域、25・・・折り曲げ部領域、31・・・下押さえ部品、30・・・上押さえ部品、32・・・切断刃、33・・・吸着穴、40・・・折り曲げ用下部品、42・・・折り曲げ用上押さえ部品、72・・・液状樹脂のぬれ上がり、80・・・補強部、93・・・金属部、96・・・ソルダーレジスト、124・・・切断部分。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極上に電極バンプが形成された半導体チップを準備する工程と、
前記半導体チップ上に配置された前記電極を平面状に再配置するための再配置再配線と、前記再配置再配線に接続された電極パッドと、基板本体の曲げ剛性を向上する補強構造とを備えたフレキシブル基板を準備する工程と、
前記半導体チップの前記電極バンプと前記フレキシブル基板の前記電極パッドとを対向させるように配置して、前記半導体チップと前記フレキシブル基板とを位置合わせする工程と、
前記電極バンプと前記電極パッドとを接続する工程と、
前記半導体チップと前記フレキシブル基板との間に液状樹脂を充填する工程と、
その後、前記フレキシブル基板上に、前記再配置再配線に接続された接続用バンプを形成する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記補強構造は、前記のフレキシブル基板の外周部が折り曲げられた構造であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項2記載の半導体装置の製造方法において、
前記半導体チップと前記フレキシブル基板とを対向させたとき、前記フレキシブル基板の外周部の折り曲げ部は、前記半導体チップとは逆側に配置されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の半導体装置の製造方法において、
前記外周部の曲がり角度は70度以上110度以下であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記外周部の折曲がり高さは、前記フレキシブル基板の厚さの1.5倍以上2.0倍以下であり、前記接続用バンプの高さの1/2以下であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記補強構造は、前記フレキシブル基板の外周部に設けられた金属補強部であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の半導体装置の製造方法において、
前記金属補強部は、前記再配置再配線と同じ工程で形成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の半導体装置の製造方法において、
前記金属補強部は、前記フレキシブル基板の両面に形成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項6又は7に記載の半導体装置の製造方法において、
前記金属補強部は、前記フレキシブル基板の片面のみに形成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項9記載の半導体装置の製造方法において、
前記金属補強部は、再配置配線が形成されているフレキシブル基板表面と同じ側に形成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項11】
電極上に電極バンプが形成された半導体チップをチップトレイに収納する工程と、
前記半導体チップ上に配置された前記電極を平面状に再配置するための再配置再配線と、前記再配置再配線に接続された電極パッドと、基板本体の曲げ剛性を向上する補強構造とを備えたフレキシブル基板をフレキシブル基板収納トレイに収納する工程と、
吸着治具を用いて、前記フレキシブル基板収納トレイに収納されたフレキシブル基板を吸着して前記フレキシブル基板収納トレイから取り出し、前記半導体チップが収納された前記チップトレイの上部まで搬送する工程と、
前記半導体チップの前記電極バンプと前記フレキシブル基板の前記電極パッドとを対向させるように配置して、前記半導体チップと前記フレキシブル基板とを位置合わせする工程と、
前記電極バンプと前記電極パッドを接続する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の半導体装置の製造方法において、
前記補強構造は、前記のフレキシブル基板の外周部が折り曲げられた構造であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項11に記載の半導体装置の製造方法において、
前記補強構造は、前記フレキシブル基板の外周部に設けられた金属補強部であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項14】
電極上に電極バンプが形成された半導体チップとなるべき素子が複数個形成されたウエハを準備する第1の工程と、
前記素子上に配置された前記電極を平面状に再配置するための再配置再配線と、前記再配置再配線に接続された電極パッドと、基板本体の曲げ剛性を向上する補強構造とを備えた複数のフレキシブル基板をフレキシブル基板収納トレイに収納する第2の工程と、
吸着治具を用いて、前記フレキシブル基板収納トレイに収納されたフレキシブル基板を吸着して前記フレキシブル基板収納トレイから取り出し、前記ウエハの上部まで搬送する第3の工程と、
前記素子の前記電極バンプと前記フレキシブル基板の前記電極パッドとを対向させるように配置して、前記半導体チップと前記フレキシブル基板とを位置合わせする工程と、
前記電極バンプと前記電極パッドとを接続する第4の工程と、
前記第3の工程と前記第4の工程とを繰り返し実行した後、前記ウエハを前記素子毎に切断し、複数の半導体チップとする工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項15】
電極上に電極バンプが形成された複数の半導体チップを準備する第1の工程と、
前記半導体チップ上に配置された前記電極を平面状に再配置するための再配置再配線と、前記再配置再配線に接続された電極パッドと、基板本体の外周部に設けられた金属補強部とを備えた複数のフレキシブル基板をテープ上に配置する第2の工程と、
前記半導体チップの前記電極バンプと前記フレキシブル基板の前記電極パッドとを対向させるように配置して、前記半導体チップと前記フレキシブル基板とを位置合わせする第3の工程と、
前記電極バンプと前記電極パッドとを接続する第4の工程と、
前記第3の工程と前記第4の工程とを繰り返し実行した後、前記テープを前記フレキシブル基板毎に切断し、複数の半導体チップとする工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項16】
電極バンプが形成された半導体チップを準備する工程と、
配線と、前記配線に接続された電極パッドと、基板本体の曲げ剛性を向上する補強構造とを備えたフレキシブル基板を準備する工程と、
前記半導体チップの前記電極バンプと前記フレキシブル基板の前記電極パッドとを対向させるように配置して、前記半導体チップと前記フレキシブル基板とを位置合わせする工程と、
前記電極バンプと前記電極パッドとを接続する工程と、
前記フレキシブル基板上に、前記配線に接続された接続用バンプを形成する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項1】
電極上に電極バンプが形成された半導体チップを準備する工程と、
前記半導体チップ上に配置された前記電極を平面状に再配置するための再配置再配線と、前記再配置再配線に接続された電極パッドと、基板本体の曲げ剛性を向上する補強構造とを備えたフレキシブル基板を準備する工程と、
前記半導体チップの前記電極バンプと前記フレキシブル基板の前記電極パッドとを対向させるように配置して、前記半導体チップと前記フレキシブル基板とを位置合わせする工程と、
前記電極バンプと前記電極パッドとを接続する工程と、
前記半導体チップと前記フレキシブル基板との間に液状樹脂を充填する工程と、
その後、前記フレキシブル基板上に、前記再配置再配線に接続された接続用バンプを形成する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記補強構造は、前記のフレキシブル基板の外周部が折り曲げられた構造であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項2記載の半導体装置の製造方法において、
前記半導体チップと前記フレキシブル基板とを対向させたとき、前記フレキシブル基板の外周部の折り曲げ部は、前記半導体チップとは逆側に配置されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の半導体装置の製造方法において、
前記外周部の曲がり角度は70度以上110度以下であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記外周部の折曲がり高さは、前記フレキシブル基板の厚さの1.5倍以上2.0倍以下であり、前記接続用バンプの高さの1/2以下であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記補強構造は、前記フレキシブル基板の外周部に設けられた金属補強部であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の半導体装置の製造方法において、
前記金属補強部は、前記再配置再配線と同じ工程で形成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の半導体装置の製造方法において、
前記金属補強部は、前記フレキシブル基板の両面に形成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項6又は7に記載の半導体装置の製造方法において、
前記金属補強部は、前記フレキシブル基板の片面のみに形成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項9記載の半導体装置の製造方法において、
前記金属補強部は、再配置配線が形成されているフレキシブル基板表面と同じ側に形成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項11】
電極上に電極バンプが形成された半導体チップをチップトレイに収納する工程と、
前記半導体チップ上に配置された前記電極を平面状に再配置するための再配置再配線と、前記再配置再配線に接続された電極パッドと、基板本体の曲げ剛性を向上する補強構造とを備えたフレキシブル基板をフレキシブル基板収納トレイに収納する工程と、
吸着治具を用いて、前記フレキシブル基板収納トレイに収納されたフレキシブル基板を吸着して前記フレキシブル基板収納トレイから取り出し、前記半導体チップが収納された前記チップトレイの上部まで搬送する工程と、
前記半導体チップの前記電極バンプと前記フレキシブル基板の前記電極パッドとを対向させるように配置して、前記半導体チップと前記フレキシブル基板とを位置合わせする工程と、
前記電極バンプと前記電極パッドを接続する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の半導体装置の製造方法において、
前記補強構造は、前記のフレキシブル基板の外周部が折り曲げられた構造であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項11に記載の半導体装置の製造方法において、
前記補強構造は、前記フレキシブル基板の外周部に設けられた金属補強部であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項14】
電極上に電極バンプが形成された半導体チップとなるべき素子が複数個形成されたウエハを準備する第1の工程と、
前記素子上に配置された前記電極を平面状に再配置するための再配置再配線と、前記再配置再配線に接続された電極パッドと、基板本体の曲げ剛性を向上する補強構造とを備えた複数のフレキシブル基板をフレキシブル基板収納トレイに収納する第2の工程と、
吸着治具を用いて、前記フレキシブル基板収納トレイに収納されたフレキシブル基板を吸着して前記フレキシブル基板収納トレイから取り出し、前記ウエハの上部まで搬送する第3の工程と、
前記素子の前記電極バンプと前記フレキシブル基板の前記電極パッドとを対向させるように配置して、前記半導体チップと前記フレキシブル基板とを位置合わせする工程と、
前記電極バンプと前記電極パッドとを接続する第4の工程と、
前記第3の工程と前記第4の工程とを繰り返し実行した後、前記ウエハを前記素子毎に切断し、複数の半導体チップとする工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項15】
電極上に電極バンプが形成された複数の半導体チップを準備する第1の工程と、
前記半導体チップ上に配置された前記電極を平面状に再配置するための再配置再配線と、前記再配置再配線に接続された電極パッドと、基板本体の外周部に設けられた金属補強部とを備えた複数のフレキシブル基板をテープ上に配置する第2の工程と、
前記半導体チップの前記電極バンプと前記フレキシブル基板の前記電極パッドとを対向させるように配置して、前記半導体チップと前記フレキシブル基板とを位置合わせする第3の工程と、
前記電極バンプと前記電極パッドとを接続する第4の工程と、
前記第3の工程と前記第4の工程とを繰り返し実行した後、前記テープを前記フレキシブル基板毎に切断し、複数の半導体チップとする工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項16】
電極バンプが形成された半導体チップを準備する工程と、
配線と、前記配線に接続された電極パッドと、基板本体の曲げ剛性を向上する補強構造とを備えたフレキシブル基板を準備する工程と、
前記半導体チップの前記電極バンプと前記フレキシブル基板の前記電極パッドとを対向させるように配置して、前記半導体チップと前記フレキシブル基板とを位置合わせする工程と、
前記電極バンプと前記電極パッドとを接続する工程と、
前記フレキシブル基板上に、前記配線に接続された接続用バンプを形成する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2010−171315(P2010−171315A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−14135(P2009−14135)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】
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