半導体装置の製造方法
【課題】ウェットエッチング後の絶縁膜のテーパ角が大きく、かつ、直線的なテーパ形状が確保され、更に、テーパ角の基板面内でのバラツキを抑制できる半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体基板10上に形成された絶縁膜20上にフォトレジストを塗布し、フォトレジストパターン90を形成するフォトレジストパターン形成工程と、前記フォトレジストパターン90をマスクとしてウェットエッチングにより前記絶縁膜20の不要部分を除去する工程と、からなる半導体装置の製造方法において、前記フォトレジストパターン形成工程の前及び/又は後に、前記フォトレジストパターンの有無に応じて、前記絶縁膜20の表面に形成される損傷領域21,22の深さを変化させてイオン注入を行う。
【解決手段】半導体基板10上に形成された絶縁膜20上にフォトレジストを塗布し、フォトレジストパターン90を形成するフォトレジストパターン形成工程と、前記フォトレジストパターン90をマスクとしてウェットエッチングにより前記絶縁膜20の不要部分を除去する工程と、からなる半導体装置の製造方法において、前記フォトレジストパターン形成工程の前及び/又は後に、前記フォトレジストパターンの有無に応じて、前記絶縁膜20の表面に形成される損傷領域21,22の深さを変化させてイオン注入を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、特に、半導体基板上に形成された絶縁膜上にフォトレジストパターンを形成するフォトレジストパターン形成工程と、絶縁膜の不要部分を除去して絶縁膜を加工するウェットエッチング工程とを含む半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、少なくとも半導体基板上に膜を形成する膜形成工程と、膜表面に不活性イオンを照射するイオン照射工程と、膜状にレジストを形成しウェットエッチングにより膜を所望の形状にパターニングするパターン形成工程とを有する半導体装置の製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
かかる特許文献1に記載の発明においては、レジストと層間膜の密着性強化によるレジストと層間膜界面でのエッチャントの染み込み制御、及び、層間膜同士の界面での密着性強化によるエッチャントの染み込み防止を発明が解決しようとする課題としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−246224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1に記載の構成では、実際には、レジストと層間膜との密着性自体は強化されるものの、層間膜自体も不活性イオンの照射によりダメージを受けてしまい、ウェットエッチングが進行し過ぎて、所望の形状よりもエッチング過多の形状がパターンとして形成されてしまうという問題があった。
【0006】
図9は、従来のウェットエッチングを用いた半導体装置の製造方法の問題点を説明するための図である。図9において、半導体基板110の上に絶縁膜120が形成され、絶縁層120の上には、レジスト190が形成された状態が示されている。酸化膜系の絶縁膜120のウェットエッチングは、等方性であるために、仕上がりのテーパ角は45度が理論値となり、図9においては、破線で示されている。しかしながら、実際は、レジスト界面付近で界面方向(図9においては横方向)にエッチングが延びる傾向があり、テーパ角は40度以下となる場合が多い(図9において絶縁膜120の実線)。これは、パターンの微細化に伴い、レジスト界面で毛管現象と同様な現象が発生し、狭い領域の方にエッチング液の拡散が大きくなったことによるものと推定される。更に、ウェットエッチング液の拡散性を良くするために界面活性剤等が添加されていることも加速要因となっていると考えられる。このように、従来のウェットエッチングを用いた半導体装置の製造方法においては、テーパ角が理論値と異なるために、設計上で必要な絶縁膜120の得られる範囲が狭まり、製品特性に悪影響を与えるという問題があった。また、絶縁膜120とレジスト190との密着性の変動が原因と推定されるウエハ面内でのテーパ角バラツキが発生する場合もあり、洗浄追加等の対策を施しているが、思うように制御ができていないという問題もあった。
【0007】
以上をまとめると、従来のウェットエッチングを用いた半導体装置の製造方法では、ウェットエッチング後のテーパ角が45度未満で安定しない、ウェットエッチング後のテーパ角のウエハ面内でのバラツキが大きいという問題があった。
【0008】
上述の特許文献1においては、絶縁膜120とレジスト190との密着性を強化すべく、不活性イオンが照射されているが、実際には、不活性イオンの照射により、密着性自体は高まるものの、絶縁膜のダメージも大きく残り、結果として図9に示したような問題点を解消できない。
【0009】
一方、半導体プロセスにおいて、従来の低電圧系のLSI(Large Scale Integrated Circuit、大規模集積回路)では、ウェットエッチング後の配線が急峻な配線となると、断線等の問題が発生することから、図9の実線のように、レジスト界面付近でのテーパ形状が緩やかにする加工が主流であった。しかしながら、近年、高耐圧MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタやMEMS(Mechanical Electro Micro Systems)等の製造ニーズが発生し、製品内の高段差確保が優先され、絶縁膜120のテーパ角も45度以上で、直線的なテーパ形状が求められるようになってきた。
【0010】
そこで、本発明は、ウェットエッチング後の絶縁膜のテーパ角が45度以上にできるとともに、直線的なテーパ形状を確保することができ、更にテーパ角の半導体基板面内でのバラツキを抑制できる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、第1の発明に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板(10、11、12)上に形成された絶縁膜(20、23、26)上にフォトレジストを塗布し、フォトレジストパターン(90、91、92)を形成するフォトレジストパターン形成工程と、
ウェットエッチングにより前記絶縁膜(20、23、26)の不要部分を除去して前記絶縁膜(20、23、26)を加工するウェットエッチング工程と、
前記フォトレジストパターン形成工程の前及び/又は後に、前記絶縁膜(20、23、26)にイオン注入を行うイオン注入工程と、を含む半導体装置の製造方法であって、
前記イオン注入工程は、前記フォトレジストパターン(90、91、92)の有無に応じて、前記イオン注入により前記絶縁膜(20、23、26)に形成される損傷領域(21、22、24、25、27、28)の深さを変化させて行うことを特徴とする。
【0012】
これにより、フォトレジストパターンの有無に応じてイオン注入による半導体基板の活性化を変化させることができ、状態に応じた適切な加工を行うことができる。
【0013】
第2の発明は、第1の発明に係る半導体装置の製造方法において、
前記イオン注入工程が、前記フォトレジストパターン形成工程の前に行われるときには、
前記イオン注入工程は、前記損傷領域(21、22、24、25、27、28)を、前記絶縁膜(20、23、26)の表面から10nm未満の範囲に設定して行うことを特徴とする。
【0014】
これにより、後に形成されるフォトレジストパターンとの密着状態のみを向上させることができ、絶縁膜自体にはダメージを与えないので、毛細管現象による横方向へのエッチングの過度の進行を防ぐことができ、所望の形状に絶縁膜を加工することができる。
【0015】
第3の発明は、第1又は第2の発明に係る半導体装置の製造方法において、
前記イオン注入工程が、前記フォトレジストパターン形成工程の後に行われるときには、
前記イオン注入工程は、前記損傷領域(21、22、24、25、27、28)を、前記絶縁膜(20、23、26)の表面から10nm以上で前記絶縁膜(20、23、26)の不要部分の深さ以下の範囲に設定して行うことを特徴とする。
【0016】
これにより、フォトレジストパターンで覆われていない部分を活性化させ、ウェットエッチングによる腐食を促進し、効率よくウェットエッチングを行うことができる。
【0017】
第4の発明は、第1〜3のいずれかの発明に係る半導体装置の製造方法において、
前記損傷領域(21、22、24、25、27、28)の深さは、前記イオン注入工程において用いるイオンビームのドーズ量と加速電圧を制御することにより設定されることを特徴とする。
【0018】
これにより、イオンビームの照射条件の設定で、絶縁膜の損傷領域を制御することができ、比較的容易な制御で、絶縁膜を効率良く高精度に所望の形状に加工することができる。
【0019】
第5の発明は、第4の発明に係る半導体装置の製造方法において、
前記ドーズ量と前記加速電圧は、前記ドーズ量及び前記加速電圧と、前記絶縁膜(20、23、26)が前記ウェットエッチングにより加工される形状のテーパ角度依存性との関係に基づいて設定されることを特徴とする。
【0020】
これにより、絶縁膜を、所望のテーパ角を有する形状に加工することができ、高精度な加工を行うことが可能となる。
【0021】
第6の発明に係る半導体装置の製造方法は、第1〜5のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記ウェットエッチング工程の後に、前記絶縁膜の頂上の平坦部にゲートを形成する工程を更に含むことを特徴とする。
【0022】
なお、上記括弧内の参照符号は、理解を容易にするために付したものであり、一例に過ぎず、図示の態様に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、絶縁膜を所望の形状に加工することができ、高精度な半導体装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1A】実施例1の半導体装置の製造方法の絶縁膜形成工程の一例を示した図である。
【図1B】実施例1の半導体装置の製造方法のイオン注入工程の一例を示した図である。
【図1C】実施例1の半導体装置の製造方法のレジストパターン形成工程の一例を示した図である。
【図1D】実施例1の半導体装置の製造方法のエッチング工程の一例を示した図である。
【図2】イオン注入によるウェットエッチングレート変動分布を説明するための図である。
【図3】レジスト塗布前にイオン注入を行った場合のイオンビームの条件とテーパ角度依存性との関係の一例を示した図である。
【図4A】実施例2の半導体装置の製造方法の絶縁膜形成工程の一例を示した図である。
【図4B】実施例2の半導体装置の製造方法のレジストパターン形成工程の一例を示した図である。
【図4C】実施例2の半導体装置の製造方法のイオン注入工程の一例を示した図である。
【図4D】実施例2の半導体装置の製造方法のイオン注入工程の一例を示した図である。
【図5】レジストパターン形成後にイオン注入を行う場合のイオンビームIB2の条件とテーパ角度依存性との関係の一例を示した図である。
【図6A】実施例3の半導体装置の製造方法の絶縁膜形成工程の一例を示した図である。
【図6B】実施例3の半導体装置の製造方法の第1のイオン注入工程の一例を示した図である。
【図6C】実施例3の半導体装置の製造方法のレジストパターン形成工程の一例を示した図である。
【図6D】実施例3の半導体装置の製造方法の第2のイオン注入工程の一例を示した図である。
【図6E】実施例3に係る半導体装置の製造方法のウェットエッチング工程の一例を示した図である。
【図7A】実施例4の半導体装置の製造方法のアイソレーション及び熱酸化膜形成工程の一例を示した図である。
【図7B】実施例4の半導体装置の製造方法の第1のイオン注入工程の一例を示した図である。
【図7C】実施例4の半導体装置の製造方法のレジストパターン形成工程の一例を示した図である。
【図7D】実施例4の半導体装置の製造方法の第2のイオン注入工程の一例を示した図である。
【図7E】実施例4の半導体装置の製造方法のエッチング工程の一例を示した図である。
【図7F】実施例4の半導体装置の製造方法のゲート形成工程の一例を示した図である。
【図7G】実施例4の半導体装置の製造方法の層間膜形成及びコンタクトホール形成工程の一例を示した図である。
【図7H】実施例4の半導体装置の製造方法の配線層形成及び保護膜形成工程の一例を示した図である。
【図8A】実施例5の半導体装置の製造方法の基板段差形成工程の一例を示した図である。
【図8B】実施例5の半導体装置の製造方法の熱酸化膜形成工程の一例を示した図である。
【図8C】実施例5の半導体装置の製造方法の第1のイオン注入工程の一例を示した図である。
【図8D】実施例5の半導体装置の製造方法のレジストパターン形成工程の一例を示した図である。
【図8E】実施例5の半導体装置の製造方法の第2のイオン注入工程の一例を示した図である。
【図8F】実施例5の半導体装置の製造方法のエッチング工程の一例を示した図である。
【図8G】実施例5の半導体装置の製造方法のゲート形成工程の一例を示した図である。
【図8H】実施例5の半導体装置の製造方法の層間膜及びコンタクトホール形成工程の一例を示した図である。
【図8I】実施例5の半導体装置の製造方法の配線層形成及び保護膜形成工程の一例を示した図である。
【図9】従来のウェットエッチングの問題点を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行う。
【実施例1】
【0026】
図1A〜図1Dは、本発明の実施例1に係る半導体装置の製造方法の一例を示した図である。
【0027】
図1Aは、実施例1に係る半導体装置の製造方法の絶縁膜形成工程の一例を示した図である。絶縁膜形成工程においては、半導体基板10の上に、絶縁膜20が形成される。
【0028】
半導体基板10は、種々の半導体材料から構成された基板が用いられてよいが、例えば、シリコン基板が用いられてもよい。その他、ガリウムヒ素からなる半導体基板10や、SiCからなる半導体基板10が用いられてもよい。なお、本実施例においては、シリコン基板を半導体基板10として用いた例を挙げて説明する。なお、半導体基板10は、ウエハ10と呼んでもよいこととする。
【0029】
絶縁膜20は、種々の材料からなる絶縁膜20が、種々の方法により半導体基板10上に形成されてよいが、例えば、半導体基板10を加熱することにより形成される熱酸化膜が形成されてもよい。熱酸化膜は、例えば、半導体基板10がシリコン基板である場合には、SiO2となる。その他、化学気相成長法等により、種々の絶縁膜20が形成されてもよい。
【0030】
図1Bは、実施例1に係る半導体装置の製造方法のイオン注入工程の一例を示した図である。イオン注入工程においては、絶縁膜20の全面に、イオンビームIB1が照射され、レジストとの密着性を向上させる絶縁膜20の表面のみが活性化され、絶縁膜20の表面に損傷領域21が形成される。
【0031】
図2は、イオン注入によるウェットエッチングレート変動分布を説明するための図である。図2において、横軸はエッチングレート、縦軸は絶縁膜表面からの深さを示している。縦軸は、絶縁膜の表面を原点とし、深くなるにつれて下方に下がるように示してある。
【0032】
図2において、縦軸を基準として考察すると、絶縁膜20の表面からすぐ下の領域は、イオン透過領域Pとなる。イオン透過領域には、イオン衝突により、SiO2格子等の損傷層(損傷領域)21が生成される。損傷層21は、Siの非共有結合や、強い歪みを持ったSi−O結合等で活性な反応がある状態のため、図2に示すように、ウェットエッチングレートが速い。
【0033】
図2において、Bより深いイオン非透過領域NPは、注入されたイオンが透過しない領域である。しかしながら、イオン非透過領域NPのイオン透過領域Pに近い領域は、イオン注入によりストレスが誘起される状態にある。図2において、そのようなストレスが誘起して影響を受けている部分を、ダメージ部分Dとしている。ダメージ部分Dは、急激にエッチングレートが変動する状態である。一方、ダメージ部分よりも深い部分では、通常のエッチングレートとなる。
【0034】
ここで、図2に示した性質から、イオン注入により絶縁膜20が活性化し、表面状態が変化するのは、イオン透過領域Pである。そして、絶縁膜20の表面状態が活性化して変化することにより、未処理時よりもレジスト密着性が向上する。一方、イオン透過領域Pにおいては、ウェットエッチングレートも速くなるため、イオン透過領域Pを深くまで設定すると、横方向へのエッチング自体も進んでしまい、結果として、理論値に近いテーパ角45度が得られなくなってしまう。
【0035】
そこで、実施例1に係る半導体装置の製造方法においては、損傷領域21となるイオン透過領域Pが、絶縁層20の表面のみとなるように、イオン注入を行う。つまり、レジスト塗布前においては、塗布されるレジストと接触する表面のみが活性化し、表面よりも深い領域には、損傷領域21が形成されないようにする。これにより、絶縁層20とレジストとの密着性を高めることができるとともに、ウェットエッチングのレジスト界面における横方向への進行を防ぐことができ、直線的なテーパ形状を有する、理論値の45度に近いテーパ角を得ることができる。
【0036】
なお、絶縁層20の損傷領域となるイオン透過領域Pは、例えば、表面から10nm未満の範囲に設定する。イオン透過領域Pは、用途に応じて適切な範囲を設定することができ、例えば、表面から8nm未満の範囲、表面から6nm未満の範囲に設定してもよい。これらの範囲は、現在のイオン注入の技術で十分に調整可能な範囲であり、実験でも、十分に設定可能なことが確かめられている。また、イオン透過領域Pを、どんなに薄皮のように絶縁膜20の表面近傍にのみ設定しても、1nm程度の損傷部は発生すると考えられるので、上述の範囲は、絶縁膜20の表面から1nm以上10nm未満、表面から1nm以上8nm未満、表面から1nm以上6nm未満と言い換えてもよい。
【0037】
図3は、レジスト塗布前にイオン注入を行った場合のイオンビームの条件とテーパ角度依存性との関係の一例を示した図である。図3において、横軸に照射するイオンビームのドーズ量(atoms/cm2)と加速電圧(KeV)、縦軸に絶縁膜20のテーパ角度が示されている。テーパ角度は、ドーズ量及び加速電圧が低い場合と、ドーズ量及び加速電圧が高い場合に低く、ドーズ量及び加速電圧が、中程度の所定範囲内にある場合に、高くなるテーパ角度依存性を示している。かかるテーパ角度依存性から、例えば、A−Bの範囲となるようにイオンビームのドーズ量と加速電圧を設定すれば、高いテーパ角度を得ることができる。A−Bの範囲自体も大きく、制御するパラメータもドーズ量と加速電圧の2つがあるので、ドーズ量と加速電圧を調整して設定することにより、イオン注入の条件がA−Bの範囲内となるように設定することは容易である。
【0038】
イオン注入は、種々のイオンを用いて行うことができるが、例えば、デバイスへの影響が無いように、He、Ne、Ar、Kr、Xe等の希ガスを用いるようにしてもよい。例えば、イオン種がArの場合には、イオン注入条件は、加速電圧が50KeV以下、ドーズ量が5×1013atoms/cm2以下程度となるように設定し、イオン透過領域Pが絶縁膜20の表層面のみとなるように調整する。この後にフォトレジストを塗布することで、未処理時よりもレジスト密着性が向上し、ウェットエッチング時の毛管現象が抑制される。そして、直線的なテーパ形状が得られるとともに、45度程度の高いテーパ角が確保でき、半導体基板10面内でのテーパ角バラツキも抑制される。
【0039】
但し、イオン注入条件が過多になると、レジスト密着性は向上するものの、絶縁膜20とレジストの界面方向へのウェットエッチングが極度に進行し、テーパ角が40度を下回る状態となるために、絶縁膜20の膜種別にイオン注入条件の調整が必要となる。
【0040】
このように、イオン注入におけるイオンビームの条件を適切に設定し、絶縁膜20の表面近傍の薄皮部分のみに損傷領域を形成して活性化させることにより、レジストとの密着性を高めつつ、絶縁膜20のウェットエッチングレート自体は高くならない状態にすることができ、直線的な45度に近いテーパ角を得ることができる。
【0041】
なお、図3においては、イオンビームのドーズ量と加速電圧を制御パラメータとしてイオン注入の条件を設定する例を挙げて説明したが、その他のパラメータを用いて、イオン注入における損傷領域の深さを制御できれば、そのような他のパラメータを用いて調整するようにしてもよい。
【0042】
図1に戻る。図1Bのイオン注入工程において、図2及び図3で説明したように、絶縁膜20の損傷領域21が絶縁膜の20の表面から10nm未満の範囲となるようにイオンビームIB1の条件が設定され、イオンビームが絶縁膜20の全面に照射されてイオン注入が行われる。これにより、絶縁膜20の表面から10nm以上の深さの領域は損傷を受けず、絶縁膜20の表面のみが活性化される。
【0043】
図1Cは、実施例1に係る半導体装置の製造方法のフォトレジストパターン形成工程の一例を示した図である。フォトレジストパターン形成工程においては、絶縁膜20の表面にフォトレジストが塗布され、露光、現像を経てフォトレジストの不要部分が除去され、開口部91を有するフォトレジストパターン90が形成される。図1Bで説明したように、絶縁膜20の表面には損傷領域21が形成されて活性化されているため、フォトレジストパターン90と絶縁膜20との密着性が極めて高い状態でフォトレジストパターン90が形成されることになる。
【0044】
図1Dは、実施例1に係る半導体装置の製造方法のウェットエッチング工程の一例を示した図である。ウェットエッチング工程においては、エッチング液がレジストパターン90で覆われた絶縁膜20に供給され、フォトレジストパターン90に覆われていない開口部91はエッチング液が絶縁膜20に接触し、絶縁膜20のエッチングが行われる。エッチング液の供給は、種々の方法で行われてよく、例えば、エッチング液を収容したエッチング槽に絶縁膜20が形成された半導体基板10が浸漬されてもよいし、ノズル等でフォトレジストパターン90の上からエッチング液を噴霧して供給してもよい。
【0045】
ウェットエッチング工程により、絶縁膜20の不要部分が除去され、絶縁膜20が所望の形状に加工される。このとき、フォトレジストパターン90と絶縁膜20との密着性が高いので、レジストパターン90と絶縁膜20の界面におけるエッチングは、過度には進行しない。また、絶縁膜20自体は、通常のエッチングレートを有するので、理論値に近いエッチングレートでエッチングが行われる。その結果、図1Dに示すように、直線的なテーパ形状の、テーパ角が略45度の絶縁膜20の形状が得られる。
【0046】
このように、実施例1に係る半導体装置の製造方法によれば、フォトレジストパターン形成工程の前にイオン注入工程を設け、イオン注入工程において、絶縁膜20の表面とフォトレジストパターン90との密着性を高め、絶縁膜20の表面以外は損傷を与えないイオン注入を行うことにより、高いテーパ角の絶縁膜20を得る加工を行うことができる。
【実施例2】
【0047】
図4A〜図4Dは、本発明の実施例2に係る半導体装置の製造方法の一例を示した図である。実施例2において、実施例1で説明した構成要素と同様の構成要素には、同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0048】
図4Aは、実施例2に係る半導体装置の製造方法の絶縁膜形成工程の一例を示した図である。絶縁膜形成工程は、実施例1の図1Aと同様の工程であるので、その説明を省略する。
【0049】
図4Bは、実施例2に係る半導体装置の製造方法のフォトレジストパターン形成工程の一例を示した図である。フォトレジストパターン形成工程においては、半導体基板10上に設けられた絶縁膜20の上に、フォトレジストが塗布され、露光、現像を経てフォトレジストの不要部分が除去され、開口部91を有するフォトレジストパターン90が形成される。
【0050】
ここで、実施例2に係る半導体装置の製造方法においては、フォトレジストパターン形成工程の前には、イオン注入工程は設けられていない。従って、特に表面が活性化されていない、通常の状態の絶縁膜20の表面上にフォトレジストが塗布され、フォトレジストパターン90が形成されることになる。
【0051】
図4Cは、実施例2に係る半導体装置の製造方法のイオン注入工程の一例を示した図である。イオン注入工程においては、フォトレジストパターン90の開口部91に位置する絶縁膜20の露出部に、イオンビームIB2が照射され、イオン注入が行われる。実施例2に係る半導体装置の製造方法においては、レジストパターン形成工程の後にイオン注入工程が行われる。この場合のイオン注入は、絶縁膜20の表面だけではなく、内部も含めて損傷領域22が発生するようにイオンビームIB2の照射が行われる。よって、絶縁膜20の表面から10nm以上の深さであって、絶縁膜20の不要部分の深さ以内の範囲内に損傷領域22が形成される。一般的に、下層に半導体基板10が存在する場合には、絶縁膜20の不要部分は、半導体基板10が露出する範囲、つまり絶縁膜20の厚さそのものであるので、10nm以上の適切な範囲で損傷領域22が形成されるように設定される。図2で説明したように、絶縁膜20の損傷領域22は、イオン透過領域Pであるので、イオン透過領域Pが、絶縁膜20の表面から10nm以上の深さとなるようにイオン注入条件を設定すればよい。
【0052】
図5は、レジストパターン形成後にイオン注入を行う場合のイオンビームIB2の条件とテーパ角度依存性との関係の一例を示した図である。図5において、横軸はイオンビームIB2のドーズ量(atoms/cm2)及び加速電圧(KeV)、縦軸は絶縁膜20の形状のテーパ角度の大きさを示している。
【0053】
図5において、ドーズ量及び加速電圧が低い範囲では、テーパ角度が低く、ドーズ量及び加速電圧が高くなるとテーパ角度も高くなり、ある程度のドーズ量及び加速電圧でテーパ角度が飽和するテーパ角度依存性を示している。よって、例えば、ドーズ量及び加速電圧をCよりも大きくすれば、高いテーパ角度が得られることになる。
【0054】
イオン注入は、実施例1と同様に、種々のイオンを用いて行うことができるが、例えば、デバイスへの影響が無いように、He、Ne、Ar、Kr、Xe等の希ガスを用いるようにしてもよい。例えば、イオン種がArの場合には、イオン注入におけるイオンビームIB2の条件は、加速電圧100KeV以上、ドーズ量1.0×1014atoms/cm2以上程度とし、所望のテーパ角が得られるように、イオンビームの条件を調整することが好ましい。但し、フォトレジストパターン90の膜厚は、イオン種の理論飛程よりも厚い設定としなければ、フォトレジストパターン90を透過する危険性があるので、事前の確認が必要である。また、イオン注入の際は、半導体基板10は常圧ではなく低圧状態で処理されるため、フォトレジスト中の溶剤等が気化し、絶縁膜20との密着性が向上する。
【0055】
また、図5においては、ドーズ量と加速電圧をテーパ角度制御のパラメータとした例を挙げて説明しているが、他のパラメータに調整によりイオン注入の条件を調整することが可能であれば、他のパラメータを用いるようにしてもよい。
【0056】
図4に戻る。図4Cにおいて、図5において説明したようなイオンビームIB2の条件でイオン注入が行われ、絶縁膜20の表面よりも深い位置まで損傷領域32が形成され、活性化が行われる。
【0057】
なお、損傷領域32は、絶縁膜20の底面付近まで形成されなくても、図5で説明したように、ある程度のドーズ量及び加速電圧以上でテーパ角度の高さがほぼ一定となることから、ある程度の深さまで形成されることにより、所定のテーパ角度を有する形状を形成できると考えられる。
【0058】
また、実施例2に係る半導体装置の製造方法においては、被エッチング部分のみにイオン注入が行われるため、注入条件でエッチングレート変動幅を制御することができる。結果として、テーパ角の制御が可能となり、45度〜65度程度の範囲で、絶縁膜20の加工形状のテーパ角の角度を制御することが可能となる。
【0059】
図4Dは、実施例2に係る半導体装置の製造方法のイオン注入工程の一例を示した図である。ウェットエッチング工程の一例を示した図である。ウェットエッチング工程自体は、実施例1の図1Dにおける説明と同様であるので、その詳細な内容は省略する。実施例2に係る半導体装置の製造方法においては、フォトレジストパターン90と絶縁膜20の密着性は特に向上させていないが、損傷領域22を絶縁膜20のフォトレジストパターン90の開口部91に対応する位置(露出部)に形成しているので、縦方向のエッチングが速く進行し、横方向にエッチングが過度に進行する前にウェットエッチング工程を完了させることができる。よって、図4Dに示すように、直線的でテーパ角度の大きい絶縁膜20の形状を得ることができる。
【0060】
実施例2に係る半導体装置の製造方法によれば、フォトレジストパターン形成工程後にイオン注入工程を設け、絶縁膜20の除去部分にのみ表面よりも深い損傷領域を形成することにより、直線的なテーパ形状とともに、45度〜65度の高いテーパ角を確保することができ、半導体基板10面内のテーパ角バラツキも抑制することができる。
【実施例3】
【0061】
図6A〜図6Eは、本発明の実施例3に係る半導体装置の製造方法の一例を示した図である。図6A〜図6Eにおいて、実施例1及び実施例2と同様の構成要素には、同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
【0062】
図6Aは、実施例3に係る半導体装置の製造方法の絶縁膜形成工程の一例を示した図である。絶縁膜形成工程は、実施例1の図1Aと同様の工程であるので、各構成要素に図1Aと同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0063】
図6Bは、実施例3に係る半導体装置の製造方法の第1のイオン注入工程の一例を示した図である。第1のイオン注入工程は、実施例1の図1Bにおいて説明した内容と同様であるので、図1Bと同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0064】
第1のイオン注入工程により、フォトレジストを塗布してフォトレジストパターン90を形成する前に、絶縁膜20の表面を活性化することができ、フォトレジストパターン90との密着性を向上させることができる。
【0065】
図6Cは、実施例3に係る半導体装置の製造方法のレジストパターン形成工程の一例を示した図である。レジストパターン形成工程は、実施例1の図1Cにおいて説明した内容と同様であるので、図1Cと同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
【0066】
図6Dは、実施例3に係る半導体装置の製造方法の第2のイオン注入工程の一例を示した図である。フォトレジストパターン形成工程前の第1のイオン注入工程のみならず、フォトレジストパターン形成工程後の第2のイオン注入工程を設けた点において、実施例3に係る半導体装置の製造方法は、実施例1及び実施例2に係る半導体装置の製造方法と異なっている。
【0067】
第2のイオン注入工程は、絶縁膜20の露出部にイオンビームIB2を照射する工程であり、絶縁膜20の表面よりも深い位置まで損傷領域22を形成する。つまり、実施例2において説明したイオン注入工程と同様の工程である。これにより、絶縁膜20のウェットエッチングレートが大きくなるような状態変化が発生する。
【0068】
このように、実施例3に係る半導体装置の製造方法においては、第1のイオン注入工程で、フォトレジストパターン90と絶縁膜20の表面との密着性を向上させ、第2のイオン注入工程で、絶縁膜20の除去部分のエッチングレートを高める状態変化を起こさせる。
【0069】
なお、第2のイオン注入工程の内容自体は、実施例2の図4Cにおいて説明した内容と同様であるので、図4Cと同様の構成要素に同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0070】
図6Eは、実施例3に係る半導体装置の製造方法のウェットエッチング工程の一例を示した図である。ウェットエッチング工程においては、ウェットエッチングが行われ、絶縁膜20の不要部分が除去されるが、第1のイオン注入工程で絶縁膜20とフォトレジストパターン90との密着力が向上し、第2のイオン注入工程で絶縁膜20自体のエッチングレートが高くなっているので、横方向にエッチングが広がらず、深さ方向にエッチングが進行する。そして、図6Eに示すように、直線的なテーパ形状で、テーパ角が45度〜65度程度の範囲となるようにテーパ角を制御することが可能となる。
【0071】
なお、ウェットエッチング工程の具体的な内容は、実施例1の図1Dにおいて説明した内容と同様であるので、同様の構成要素に同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0072】
実施例3に係る半導体装置の製造方法によれば、フォトレジストパターン90と絶縁膜20の表面の密着性を高めてウエハ面内バラツキを抑制する第1のイオン注入工程と、絶縁膜20のテーパ角の制御を可能にする第2のイオン注入工程とを組み合わせることにより、両者の相乗効果を発生させ、絶縁膜20の加工形状のテーパ角を45度以上確保し、テーパ角の面内バラツキを抑制することができる。
【実施例4】
【0073】
図7A〜図7Hは、本発明の実施例4に係る半導体装置の製造方法の一例を示した図である。実施例4に係る半導体装置の製造方法においては、実施例1〜3に係る半導体装置の製造方法を、具体的な半導体装置である高耐圧系素子の製造方法に適用する例について説明する。なお、図7A〜図7Hにおいては、代表例として、実施例3に係る半導体装置の製造方法を、高耐圧素子の製造方法に適用した例について説明する。実施例1又は実施例2に係る半導体装置の製造方法を適用した例は、第1のイオン注入工程又は第2のイオン注入工程のいずれか一方を省略した製造方法であるので、全体を説明してから後述する。
【0074】
図7Aは、実施例4に係る半導体装置の製造方法のアイソレーション及び熱酸化膜形成工程の一例を示した図である。アイソレーション及び熱酸化膜形成工程においては、半導体基板11上に、アイソレーション30がまず形成され、次いで、半導体基板11及びアイソレーション30の上に熱酸化膜21が形成される。本工程は、実施例1〜3の絶縁膜形成工程に該当する。
【0075】
半導体基板11は、実施例1において説明したように、シリコン基板等、種々の半導体材料からなる基板を用いることができる。
【0076】
アイソレーション30は、半導体素子間の絶縁分離に用いられる絶縁領域である。例えば、LOCOS(LOCal Oxidation of Silicon)等で形成されてもよい。
【0077】
熱酸化膜23は、半導体基板11を加熱して形成される絶縁膜であり、例えば、半導体基板11がシリコン基板の場合には、SiO2となる。
【0078】
図7Bは、実施例4に係る半導体装置の製造方法の第1のイオン注入工程の一例を示した図である。第1のイオン注入工程においては、熱酸化膜23の全面に、イオンビームIB3が照射され、イオン注入が行われる。本工程は、実施例1の図1B及び実施例3の図6Bと同様の工程であり、図1B及び図6Bで説明したイオンビームの条件で、イオン注入が行われる。これにより、熱酸化膜23の表面近傍には、活性化された損傷領域24が形成される。
【0079】
図7Cは、実施例4に係る半導体装置の製造方法のフォトレジストパターン形成工程の一例を示した図である。フォトレジストパターン形成工程においては、熱酸化膜23の上にフォトレジストが塗布され、露光及び現像を経て所望のフォトレジストパターン91が形成される。本工程は、実施例1〜3のフォトレジストパターン形成工程に対応する。
【0080】
図7Dは、実施例4に係る半導体装置の製造方法の第2のイオン注入工程の一例を示した図である。第2のイオン注入工程においては、熱酸化膜23の露出部に、イオンビームIB4が照射され、イオン注入が行われる。本工程は、実施例2の図4C及び実施例3の図6Dに対応する工程であり、実施例2及び実施例3において説明したイオンビームの条件でイオン注入が行われる。これにより、熱酸化膜23の表面から10nm以上深い位置まで到達するように損傷領域25が熱酸化膜23の内部に形成される。本工程により、テーパ角の制御が可能となる。
【0081】
図7Eは、実施例4に係る半導体装置の製造方法のウェットエッチング工程の一例を示した図である。ウェットエッチング工程においては、酸化膜23がエッチング液を用いてエッチング加工され、不要部分が除去される。第1のイオン注入工程でフォトレジストパターン91と熱酸化膜23の密着性が改善され、第2のイオン注入工程で絶縁膜23のテーパ角度が所望の高角度となるように調整されているので、ウェットエッチング工程においては、図7Eに示すような、直線的なテーパ形状で45度以上の高角度のテーパ角を有する絶縁膜23の形状が得られる。
【0082】
図7Fは、実施例4に係る半導体装置の製造方法のゲート形成工程の一例を示した図である。ゲート形成工程においては、フォトレジストパターン91が除去された後、加工された熱酸化膜23の上に高耐圧ゲート、半導体基板11及びアイソレーション30の上には低耐圧ゲートが形成される。
【0083】
図7Gは、実施例4に係る半導体装置の製造方法の層間膜形成及びコンタクトホール形成工程の一例を示した図である。層間膜形成及びコンタクトホール形成工程においては、層間膜50が形成され、層間膜50の内部にコンタクトホール60が形成される。
【0084】
図7Hは、実施例4に係る半導体装置の製造方法の配線層形成及び保護膜形成工程の一例を示した図である。配線層形成及び保護膜形成工程においては、層間膜50に形成されたコンタクトホール60上に配線層70が形成され、次いで、配線層70を覆う保護膜が形成される。これにより、高耐圧系素子が完成する。つまり、半導体基板11には、高耐圧ゲート40に対応する高耐圧MOSトランジスタと、低耐圧ゲートに対応する通常のMOSトランジスタが形成されている。
【0085】
ここで、高耐圧ゲート40は、加工された熱酸化膜23の上に形成されるが、熱酸化膜23は直線的なテーパ形状を有し、高角度のテーパ角を有するため、熱酸化膜23の頂上において、高耐圧ゲート40を形成できる平坦なスペースを十分に確保することができる。加工された熱酸化膜23のテーパ角が低く、またなだらかな形状であると、高耐圧ゲート40を上に形成するような平坦なスペースを確保することができず、高耐圧素子の製造に対応することができない。
【0086】
このように、実施例4に係る半導体装置の製造方法によれば、熱酸化膜23のテーパ形状を直線的にし、かつ高いテーパ角を有する形状に加工することができ、高耐圧素子の製造に対応することができる。
【0087】
なお、実施例1に係る半導体装置の製造方法を実施例4に適用する場合には、図7Bの第2のイオン注入工程を省略し、実施例2に係る半導体装置の製造方法を実施例4に適用する場合には、図7Dの第1のイオン注入工程を省略すればよい。いずれか一方のイオン注入工程で、所望のテーパ角を実現できる場合には、簡素な工程で製造できる方が有利であるので、用途と特性に応じて、いずれか一方のイオン注入工程を省略してよい。
【0088】
実施例4に係る半導体装置の製造方法によれば、高耐圧ゲート40の形成スペースを十分確保して熱酸化膜23を加工することができ、良好な特性を有する高耐圧系素子を製造することができる。
【実施例5】
【0089】
図8A〜図8Iは、本発明の実施例5に係る半導体装置の製造方法の一連の工程の一例を示した図である。実施例5に係る半導体装置の製造方法においては、実施例1〜3に係る半導体装置の製造方法を、MEMS系高段差素子の製造方法に適用した例について説明する。実施例4と同様に、図8A〜図8Iにおいては、代表例として、実施例3に係る半導体装置の製造方法をMEMS系高段差素子の製造方法に適用した例について説明し、実施例1及び実施例2に係る半導体装置の製造方法を適用した例については、後述する。
【0090】
図8Aは、実施例5に係る半導体装置の製造方法の基板段差形成工程の一例を示した図である。MEMS系高段差素子の製造方法においては、半導体基板12に高い段差がまず形成される。なお、半導体基板12の段差形成は、ドライエッチング等の深堀りが可能なエッチング方法により行われてよい。また、半導体基板12は、通常の半導体ウエハの他、必要に応じて、SOI(Silicon on Insulator)基板が用いられてもよい。
【0091】
図8Bは、実施例5に係る半導体装置の製造方法の熱酸化膜形成工程の一例を示した図である。熱酸化膜形成工程においては、半導体基板12が加熱され、半導体基板12の表面に、熱酸化膜26が形成される。半導体基板12の表面に、段差が形成されているので、熱酸化膜26も、段差に応じて表面に凹凸がある形状となる。本工程は、実施例1〜3の絶縁膜形成工程に対応する。
【0092】
図8Cは、実施例5に係る半導体装置の製造方法の第1のイオン注入工程の一例を示した図である。第1のイオン注入工程においては、熱酸化膜26の表面全体に、イオンビームIB5が照射され、イオン注入が行われる。イオン注入により、熱酸化膜26の表面から10nm未満の領域に、損傷領域27が形成され、熱酸化膜27の表面が活性化される。なお、イオン注入自体の具体的な内容は、実施例1及び実施例3において説明したイオン注入工程及び第1のイオン注入工程の内容と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0093】
図8Dは、実施例5に係る半導体装置の製造方法のフォトレジストパターン形成工程の一例を示した図である。フォトレジストパターン形成工程においては、熱酸化膜26の上に、レジストが塗布され、露光及び現像を経てフォトレジストパターン92が形成される。熱酸化膜26の表面に形成された損傷領域27とフォトレジストパターン92との密着性が高いので、フォトレジストパターン92が熱酸化膜26の表面に密着して形成される。本工程は、実施例1〜3のフォトレジストパターン形成工程に対応する。
【0094】
図8Eは、実施例5に係る半導体装置の製造方法の第2のイオン注入工程の一例を示した図である。第2のイオン注入工程においては、熱酸化膜26の露出部分に、イオンビームIB6が照射され、イオン注入が行われる。第2のイオン注入工程により、熱酸化膜26の表面から10nm以上の深さの領域まで、損傷領域28が形成される。これにより、テーパ角を制御することが可能となる。
【0095】
なお、第2のイオン注入工程の具体的な内容は、実施例2のイオン注入工程及び実施例3の第2のイオン注入工程と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0096】
図8Fは、実施例5に係る半導体装置の製造方法のウェットエッチング工程の一例を示した図である。ウェットエッチング工程においては、エッチング液を用いて熱酸化膜26のエッチングが行われ、不要部分が除去される。図8Cで説明した第1のイオン注入工程及び図8Eで説明した第2のイオン注入工程における熱酸化膜26の活性化の効果により、図8Fに示すように、直線的なテーパ形状でテーパ角の大きい熱酸化膜26の形状とすることができる。
【0097】
図8Gは、実施例5に係る半導体装置の製造方法のゲート形成工程の一例を示した図である。ゲート形成工程においては、フォトレジストパターン92が除去された後、熱酸化膜26の頂上の平坦部にゲート41、半導体基板12の表面にゲート46が形成される。熱酸化膜26は、テーパ角が大きく、テーパ形状も直線的であるので、その頂上に十分な広さの平坦部を形成することができ、ゲート41を形成することが可能である。
【0098】
図8Hは、実施例5に係る半導体装置の製造方法の層間膜及びコンタクトホール形成工程の一例を示した図である。層間膜及びコンタクトホール形成工程においては、層間膜51が形成され、次いで、層間膜51の内部のゲート41、46の上に、コンタクトホール61が形成される。これにより、ゲート41、46への通電が可能となる。
【0099】
図8Iは、実施例5に係る半導体装置の製造方法の配線層形成及び保護膜形成工程の一例を示した図である。配線層形成及び保護膜形成工程においては、コンタクトホール61の上に配線層71が形成され、配線層71が保護膜81で覆われる。これにより、MEMS系高段差素子が完成する。
【0100】
MEMS系高段差素子においても、熱酸化膜26上にゲート41を形成するため、熱酸化膜26の形状を、頂上に十分な平坦スペースを確保できる形状とする必要がある。本実施例に係る半導体装置の製造方法によれば、熱酸化膜26のテーパ形状を直線的にするとともに、テーパ角を大きくすることができるので、頂上の平坦部の広さを十分に確保することができる。
【0101】
なお、実施例1に係る半導体装置の製造方法を実施例5に係るMEMS系高段差素子の製造方法に適用するためには、図8Eの第2のイオン注入工程を省略すればよい。また、実施例3に係る半導体装置の製造方法を実施例5に係るMEMS系高段差素子の製造方法に適用するためには、図8Cの第2のイオン注入工程を省略すればよい。第1のイオン注入工程又は第2のイオン注入工程のいずれか一方を行うだけで、所望のテーパ角を有する熱酸化膜26の加工が可能な場合には、いずれか一方のイオン注入工程を省略してよい。これにより、製造工程の簡素化を図ることができる。
【0102】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は、高耐圧系素子やMEMS系高段差素子も含む半導体装置の製造に利用することができる。
【符号の説明】
【0104】
10、11、12 半導体基板
20、23、26 絶縁膜
21、22、24、25、27、28 損傷領域
30 アイソレーション
40、41、45、46 ゲート
50、51 層管膜
60、61 コンタクトホール
70、71 配線層
80、81 保護膜
90、91、92 フォトレジストパターン
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、特に、半導体基板上に形成された絶縁膜上にフォトレジストパターンを形成するフォトレジストパターン形成工程と、絶縁膜の不要部分を除去して絶縁膜を加工するウェットエッチング工程とを含む半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、少なくとも半導体基板上に膜を形成する膜形成工程と、膜表面に不活性イオンを照射するイオン照射工程と、膜状にレジストを形成しウェットエッチングにより膜を所望の形状にパターニングするパターン形成工程とを有する半導体装置の製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
かかる特許文献1に記載の発明においては、レジストと層間膜の密着性強化によるレジストと層間膜界面でのエッチャントの染み込み制御、及び、層間膜同士の界面での密着性強化によるエッチャントの染み込み防止を発明が解決しようとする課題としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−246224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1に記載の構成では、実際には、レジストと層間膜との密着性自体は強化されるものの、層間膜自体も不活性イオンの照射によりダメージを受けてしまい、ウェットエッチングが進行し過ぎて、所望の形状よりもエッチング過多の形状がパターンとして形成されてしまうという問題があった。
【0006】
図9は、従来のウェットエッチングを用いた半導体装置の製造方法の問題点を説明するための図である。図9において、半導体基板110の上に絶縁膜120が形成され、絶縁層120の上には、レジスト190が形成された状態が示されている。酸化膜系の絶縁膜120のウェットエッチングは、等方性であるために、仕上がりのテーパ角は45度が理論値となり、図9においては、破線で示されている。しかしながら、実際は、レジスト界面付近で界面方向(図9においては横方向)にエッチングが延びる傾向があり、テーパ角は40度以下となる場合が多い(図9において絶縁膜120の実線)。これは、パターンの微細化に伴い、レジスト界面で毛管現象と同様な現象が発生し、狭い領域の方にエッチング液の拡散が大きくなったことによるものと推定される。更に、ウェットエッチング液の拡散性を良くするために界面活性剤等が添加されていることも加速要因となっていると考えられる。このように、従来のウェットエッチングを用いた半導体装置の製造方法においては、テーパ角が理論値と異なるために、設計上で必要な絶縁膜120の得られる範囲が狭まり、製品特性に悪影響を与えるという問題があった。また、絶縁膜120とレジスト190との密着性の変動が原因と推定されるウエハ面内でのテーパ角バラツキが発生する場合もあり、洗浄追加等の対策を施しているが、思うように制御ができていないという問題もあった。
【0007】
以上をまとめると、従来のウェットエッチングを用いた半導体装置の製造方法では、ウェットエッチング後のテーパ角が45度未満で安定しない、ウェットエッチング後のテーパ角のウエハ面内でのバラツキが大きいという問題があった。
【0008】
上述の特許文献1においては、絶縁膜120とレジスト190との密着性を強化すべく、不活性イオンが照射されているが、実際には、不活性イオンの照射により、密着性自体は高まるものの、絶縁膜のダメージも大きく残り、結果として図9に示したような問題点を解消できない。
【0009】
一方、半導体プロセスにおいて、従来の低電圧系のLSI(Large Scale Integrated Circuit、大規模集積回路)では、ウェットエッチング後の配線が急峻な配線となると、断線等の問題が発生することから、図9の実線のように、レジスト界面付近でのテーパ形状が緩やかにする加工が主流であった。しかしながら、近年、高耐圧MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタやMEMS(Mechanical Electro Micro Systems)等の製造ニーズが発生し、製品内の高段差確保が優先され、絶縁膜120のテーパ角も45度以上で、直線的なテーパ形状が求められるようになってきた。
【0010】
そこで、本発明は、ウェットエッチング後の絶縁膜のテーパ角が45度以上にできるとともに、直線的なテーパ形状を確保することができ、更にテーパ角の半導体基板面内でのバラツキを抑制できる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、第1の発明に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板(10、11、12)上に形成された絶縁膜(20、23、26)上にフォトレジストを塗布し、フォトレジストパターン(90、91、92)を形成するフォトレジストパターン形成工程と、
ウェットエッチングにより前記絶縁膜(20、23、26)の不要部分を除去して前記絶縁膜(20、23、26)を加工するウェットエッチング工程と、
前記フォトレジストパターン形成工程の前及び/又は後に、前記絶縁膜(20、23、26)にイオン注入を行うイオン注入工程と、を含む半導体装置の製造方法であって、
前記イオン注入工程は、前記フォトレジストパターン(90、91、92)の有無に応じて、前記イオン注入により前記絶縁膜(20、23、26)に形成される損傷領域(21、22、24、25、27、28)の深さを変化させて行うことを特徴とする。
【0012】
これにより、フォトレジストパターンの有無に応じてイオン注入による半導体基板の活性化を変化させることができ、状態に応じた適切な加工を行うことができる。
【0013】
第2の発明は、第1の発明に係る半導体装置の製造方法において、
前記イオン注入工程が、前記フォトレジストパターン形成工程の前に行われるときには、
前記イオン注入工程は、前記損傷領域(21、22、24、25、27、28)を、前記絶縁膜(20、23、26)の表面から10nm未満の範囲に設定して行うことを特徴とする。
【0014】
これにより、後に形成されるフォトレジストパターンとの密着状態のみを向上させることができ、絶縁膜自体にはダメージを与えないので、毛細管現象による横方向へのエッチングの過度の進行を防ぐことができ、所望の形状に絶縁膜を加工することができる。
【0015】
第3の発明は、第1又は第2の発明に係る半導体装置の製造方法において、
前記イオン注入工程が、前記フォトレジストパターン形成工程の後に行われるときには、
前記イオン注入工程は、前記損傷領域(21、22、24、25、27、28)を、前記絶縁膜(20、23、26)の表面から10nm以上で前記絶縁膜(20、23、26)の不要部分の深さ以下の範囲に設定して行うことを特徴とする。
【0016】
これにより、フォトレジストパターンで覆われていない部分を活性化させ、ウェットエッチングによる腐食を促進し、効率よくウェットエッチングを行うことができる。
【0017】
第4の発明は、第1〜3のいずれかの発明に係る半導体装置の製造方法において、
前記損傷領域(21、22、24、25、27、28)の深さは、前記イオン注入工程において用いるイオンビームのドーズ量と加速電圧を制御することにより設定されることを特徴とする。
【0018】
これにより、イオンビームの照射条件の設定で、絶縁膜の損傷領域を制御することができ、比較的容易な制御で、絶縁膜を効率良く高精度に所望の形状に加工することができる。
【0019】
第5の発明は、第4の発明に係る半導体装置の製造方法において、
前記ドーズ量と前記加速電圧は、前記ドーズ量及び前記加速電圧と、前記絶縁膜(20、23、26)が前記ウェットエッチングにより加工される形状のテーパ角度依存性との関係に基づいて設定されることを特徴とする。
【0020】
これにより、絶縁膜を、所望のテーパ角を有する形状に加工することができ、高精度な加工を行うことが可能となる。
【0021】
第6の発明に係る半導体装置の製造方法は、第1〜5のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記ウェットエッチング工程の後に、前記絶縁膜の頂上の平坦部にゲートを形成する工程を更に含むことを特徴とする。
【0022】
なお、上記括弧内の参照符号は、理解を容易にするために付したものであり、一例に過ぎず、図示の態様に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、絶縁膜を所望の形状に加工することができ、高精度な半導体装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1A】実施例1の半導体装置の製造方法の絶縁膜形成工程の一例を示した図である。
【図1B】実施例1の半導体装置の製造方法のイオン注入工程の一例を示した図である。
【図1C】実施例1の半導体装置の製造方法のレジストパターン形成工程の一例を示した図である。
【図1D】実施例1の半導体装置の製造方法のエッチング工程の一例を示した図である。
【図2】イオン注入によるウェットエッチングレート変動分布を説明するための図である。
【図3】レジスト塗布前にイオン注入を行った場合のイオンビームの条件とテーパ角度依存性との関係の一例を示した図である。
【図4A】実施例2の半導体装置の製造方法の絶縁膜形成工程の一例を示した図である。
【図4B】実施例2の半導体装置の製造方法のレジストパターン形成工程の一例を示した図である。
【図4C】実施例2の半導体装置の製造方法のイオン注入工程の一例を示した図である。
【図4D】実施例2の半導体装置の製造方法のイオン注入工程の一例を示した図である。
【図5】レジストパターン形成後にイオン注入を行う場合のイオンビームIB2の条件とテーパ角度依存性との関係の一例を示した図である。
【図6A】実施例3の半導体装置の製造方法の絶縁膜形成工程の一例を示した図である。
【図6B】実施例3の半導体装置の製造方法の第1のイオン注入工程の一例を示した図である。
【図6C】実施例3の半導体装置の製造方法のレジストパターン形成工程の一例を示した図である。
【図6D】実施例3の半導体装置の製造方法の第2のイオン注入工程の一例を示した図である。
【図6E】実施例3に係る半導体装置の製造方法のウェットエッチング工程の一例を示した図である。
【図7A】実施例4の半導体装置の製造方法のアイソレーション及び熱酸化膜形成工程の一例を示した図である。
【図7B】実施例4の半導体装置の製造方法の第1のイオン注入工程の一例を示した図である。
【図7C】実施例4の半導体装置の製造方法のレジストパターン形成工程の一例を示した図である。
【図7D】実施例4の半導体装置の製造方法の第2のイオン注入工程の一例を示した図である。
【図7E】実施例4の半導体装置の製造方法のエッチング工程の一例を示した図である。
【図7F】実施例4の半導体装置の製造方法のゲート形成工程の一例を示した図である。
【図7G】実施例4の半導体装置の製造方法の層間膜形成及びコンタクトホール形成工程の一例を示した図である。
【図7H】実施例4の半導体装置の製造方法の配線層形成及び保護膜形成工程の一例を示した図である。
【図8A】実施例5の半導体装置の製造方法の基板段差形成工程の一例を示した図である。
【図8B】実施例5の半導体装置の製造方法の熱酸化膜形成工程の一例を示した図である。
【図8C】実施例5の半導体装置の製造方法の第1のイオン注入工程の一例を示した図である。
【図8D】実施例5の半導体装置の製造方法のレジストパターン形成工程の一例を示した図である。
【図8E】実施例5の半導体装置の製造方法の第2のイオン注入工程の一例を示した図である。
【図8F】実施例5の半導体装置の製造方法のエッチング工程の一例を示した図である。
【図8G】実施例5の半導体装置の製造方法のゲート形成工程の一例を示した図である。
【図8H】実施例5の半導体装置の製造方法の層間膜及びコンタクトホール形成工程の一例を示した図である。
【図8I】実施例5の半導体装置の製造方法の配線層形成及び保護膜形成工程の一例を示した図である。
【図9】従来のウェットエッチングの問題点を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行う。
【実施例1】
【0026】
図1A〜図1Dは、本発明の実施例1に係る半導体装置の製造方法の一例を示した図である。
【0027】
図1Aは、実施例1に係る半導体装置の製造方法の絶縁膜形成工程の一例を示した図である。絶縁膜形成工程においては、半導体基板10の上に、絶縁膜20が形成される。
【0028】
半導体基板10は、種々の半導体材料から構成された基板が用いられてよいが、例えば、シリコン基板が用いられてもよい。その他、ガリウムヒ素からなる半導体基板10や、SiCからなる半導体基板10が用いられてもよい。なお、本実施例においては、シリコン基板を半導体基板10として用いた例を挙げて説明する。なお、半導体基板10は、ウエハ10と呼んでもよいこととする。
【0029】
絶縁膜20は、種々の材料からなる絶縁膜20が、種々の方法により半導体基板10上に形成されてよいが、例えば、半導体基板10を加熱することにより形成される熱酸化膜が形成されてもよい。熱酸化膜は、例えば、半導体基板10がシリコン基板である場合には、SiO2となる。その他、化学気相成長法等により、種々の絶縁膜20が形成されてもよい。
【0030】
図1Bは、実施例1に係る半導体装置の製造方法のイオン注入工程の一例を示した図である。イオン注入工程においては、絶縁膜20の全面に、イオンビームIB1が照射され、レジストとの密着性を向上させる絶縁膜20の表面のみが活性化され、絶縁膜20の表面に損傷領域21が形成される。
【0031】
図2は、イオン注入によるウェットエッチングレート変動分布を説明するための図である。図2において、横軸はエッチングレート、縦軸は絶縁膜表面からの深さを示している。縦軸は、絶縁膜の表面を原点とし、深くなるにつれて下方に下がるように示してある。
【0032】
図2において、縦軸を基準として考察すると、絶縁膜20の表面からすぐ下の領域は、イオン透過領域Pとなる。イオン透過領域には、イオン衝突により、SiO2格子等の損傷層(損傷領域)21が生成される。損傷層21は、Siの非共有結合や、強い歪みを持ったSi−O結合等で活性な反応がある状態のため、図2に示すように、ウェットエッチングレートが速い。
【0033】
図2において、Bより深いイオン非透過領域NPは、注入されたイオンが透過しない領域である。しかしながら、イオン非透過領域NPのイオン透過領域Pに近い領域は、イオン注入によりストレスが誘起される状態にある。図2において、そのようなストレスが誘起して影響を受けている部分を、ダメージ部分Dとしている。ダメージ部分Dは、急激にエッチングレートが変動する状態である。一方、ダメージ部分よりも深い部分では、通常のエッチングレートとなる。
【0034】
ここで、図2に示した性質から、イオン注入により絶縁膜20が活性化し、表面状態が変化するのは、イオン透過領域Pである。そして、絶縁膜20の表面状態が活性化して変化することにより、未処理時よりもレジスト密着性が向上する。一方、イオン透過領域Pにおいては、ウェットエッチングレートも速くなるため、イオン透過領域Pを深くまで設定すると、横方向へのエッチング自体も進んでしまい、結果として、理論値に近いテーパ角45度が得られなくなってしまう。
【0035】
そこで、実施例1に係る半導体装置の製造方法においては、損傷領域21となるイオン透過領域Pが、絶縁層20の表面のみとなるように、イオン注入を行う。つまり、レジスト塗布前においては、塗布されるレジストと接触する表面のみが活性化し、表面よりも深い領域には、損傷領域21が形成されないようにする。これにより、絶縁層20とレジストとの密着性を高めることができるとともに、ウェットエッチングのレジスト界面における横方向への進行を防ぐことができ、直線的なテーパ形状を有する、理論値の45度に近いテーパ角を得ることができる。
【0036】
なお、絶縁層20の損傷領域となるイオン透過領域Pは、例えば、表面から10nm未満の範囲に設定する。イオン透過領域Pは、用途に応じて適切な範囲を設定することができ、例えば、表面から8nm未満の範囲、表面から6nm未満の範囲に設定してもよい。これらの範囲は、現在のイオン注入の技術で十分に調整可能な範囲であり、実験でも、十分に設定可能なことが確かめられている。また、イオン透過領域Pを、どんなに薄皮のように絶縁膜20の表面近傍にのみ設定しても、1nm程度の損傷部は発生すると考えられるので、上述の範囲は、絶縁膜20の表面から1nm以上10nm未満、表面から1nm以上8nm未満、表面から1nm以上6nm未満と言い換えてもよい。
【0037】
図3は、レジスト塗布前にイオン注入を行った場合のイオンビームの条件とテーパ角度依存性との関係の一例を示した図である。図3において、横軸に照射するイオンビームのドーズ量(atoms/cm2)と加速電圧(KeV)、縦軸に絶縁膜20のテーパ角度が示されている。テーパ角度は、ドーズ量及び加速電圧が低い場合と、ドーズ量及び加速電圧が高い場合に低く、ドーズ量及び加速電圧が、中程度の所定範囲内にある場合に、高くなるテーパ角度依存性を示している。かかるテーパ角度依存性から、例えば、A−Bの範囲となるようにイオンビームのドーズ量と加速電圧を設定すれば、高いテーパ角度を得ることができる。A−Bの範囲自体も大きく、制御するパラメータもドーズ量と加速電圧の2つがあるので、ドーズ量と加速電圧を調整して設定することにより、イオン注入の条件がA−Bの範囲内となるように設定することは容易である。
【0038】
イオン注入は、種々のイオンを用いて行うことができるが、例えば、デバイスへの影響が無いように、He、Ne、Ar、Kr、Xe等の希ガスを用いるようにしてもよい。例えば、イオン種がArの場合には、イオン注入条件は、加速電圧が50KeV以下、ドーズ量が5×1013atoms/cm2以下程度となるように設定し、イオン透過領域Pが絶縁膜20の表層面のみとなるように調整する。この後にフォトレジストを塗布することで、未処理時よりもレジスト密着性が向上し、ウェットエッチング時の毛管現象が抑制される。そして、直線的なテーパ形状が得られるとともに、45度程度の高いテーパ角が確保でき、半導体基板10面内でのテーパ角バラツキも抑制される。
【0039】
但し、イオン注入条件が過多になると、レジスト密着性は向上するものの、絶縁膜20とレジストの界面方向へのウェットエッチングが極度に進行し、テーパ角が40度を下回る状態となるために、絶縁膜20の膜種別にイオン注入条件の調整が必要となる。
【0040】
このように、イオン注入におけるイオンビームの条件を適切に設定し、絶縁膜20の表面近傍の薄皮部分のみに損傷領域を形成して活性化させることにより、レジストとの密着性を高めつつ、絶縁膜20のウェットエッチングレート自体は高くならない状態にすることができ、直線的な45度に近いテーパ角を得ることができる。
【0041】
なお、図3においては、イオンビームのドーズ量と加速電圧を制御パラメータとしてイオン注入の条件を設定する例を挙げて説明したが、その他のパラメータを用いて、イオン注入における損傷領域の深さを制御できれば、そのような他のパラメータを用いて調整するようにしてもよい。
【0042】
図1に戻る。図1Bのイオン注入工程において、図2及び図3で説明したように、絶縁膜20の損傷領域21が絶縁膜の20の表面から10nm未満の範囲となるようにイオンビームIB1の条件が設定され、イオンビームが絶縁膜20の全面に照射されてイオン注入が行われる。これにより、絶縁膜20の表面から10nm以上の深さの領域は損傷を受けず、絶縁膜20の表面のみが活性化される。
【0043】
図1Cは、実施例1に係る半導体装置の製造方法のフォトレジストパターン形成工程の一例を示した図である。フォトレジストパターン形成工程においては、絶縁膜20の表面にフォトレジストが塗布され、露光、現像を経てフォトレジストの不要部分が除去され、開口部91を有するフォトレジストパターン90が形成される。図1Bで説明したように、絶縁膜20の表面には損傷領域21が形成されて活性化されているため、フォトレジストパターン90と絶縁膜20との密着性が極めて高い状態でフォトレジストパターン90が形成されることになる。
【0044】
図1Dは、実施例1に係る半導体装置の製造方法のウェットエッチング工程の一例を示した図である。ウェットエッチング工程においては、エッチング液がレジストパターン90で覆われた絶縁膜20に供給され、フォトレジストパターン90に覆われていない開口部91はエッチング液が絶縁膜20に接触し、絶縁膜20のエッチングが行われる。エッチング液の供給は、種々の方法で行われてよく、例えば、エッチング液を収容したエッチング槽に絶縁膜20が形成された半導体基板10が浸漬されてもよいし、ノズル等でフォトレジストパターン90の上からエッチング液を噴霧して供給してもよい。
【0045】
ウェットエッチング工程により、絶縁膜20の不要部分が除去され、絶縁膜20が所望の形状に加工される。このとき、フォトレジストパターン90と絶縁膜20との密着性が高いので、レジストパターン90と絶縁膜20の界面におけるエッチングは、過度には進行しない。また、絶縁膜20自体は、通常のエッチングレートを有するので、理論値に近いエッチングレートでエッチングが行われる。その結果、図1Dに示すように、直線的なテーパ形状の、テーパ角が略45度の絶縁膜20の形状が得られる。
【0046】
このように、実施例1に係る半導体装置の製造方法によれば、フォトレジストパターン形成工程の前にイオン注入工程を設け、イオン注入工程において、絶縁膜20の表面とフォトレジストパターン90との密着性を高め、絶縁膜20の表面以外は損傷を与えないイオン注入を行うことにより、高いテーパ角の絶縁膜20を得る加工を行うことができる。
【実施例2】
【0047】
図4A〜図4Dは、本発明の実施例2に係る半導体装置の製造方法の一例を示した図である。実施例2において、実施例1で説明した構成要素と同様の構成要素には、同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0048】
図4Aは、実施例2に係る半導体装置の製造方法の絶縁膜形成工程の一例を示した図である。絶縁膜形成工程は、実施例1の図1Aと同様の工程であるので、その説明を省略する。
【0049】
図4Bは、実施例2に係る半導体装置の製造方法のフォトレジストパターン形成工程の一例を示した図である。フォトレジストパターン形成工程においては、半導体基板10上に設けられた絶縁膜20の上に、フォトレジストが塗布され、露光、現像を経てフォトレジストの不要部分が除去され、開口部91を有するフォトレジストパターン90が形成される。
【0050】
ここで、実施例2に係る半導体装置の製造方法においては、フォトレジストパターン形成工程の前には、イオン注入工程は設けられていない。従って、特に表面が活性化されていない、通常の状態の絶縁膜20の表面上にフォトレジストが塗布され、フォトレジストパターン90が形成されることになる。
【0051】
図4Cは、実施例2に係る半導体装置の製造方法のイオン注入工程の一例を示した図である。イオン注入工程においては、フォトレジストパターン90の開口部91に位置する絶縁膜20の露出部に、イオンビームIB2が照射され、イオン注入が行われる。実施例2に係る半導体装置の製造方法においては、レジストパターン形成工程の後にイオン注入工程が行われる。この場合のイオン注入は、絶縁膜20の表面だけではなく、内部も含めて損傷領域22が発生するようにイオンビームIB2の照射が行われる。よって、絶縁膜20の表面から10nm以上の深さであって、絶縁膜20の不要部分の深さ以内の範囲内に損傷領域22が形成される。一般的に、下層に半導体基板10が存在する場合には、絶縁膜20の不要部分は、半導体基板10が露出する範囲、つまり絶縁膜20の厚さそのものであるので、10nm以上の適切な範囲で損傷領域22が形成されるように設定される。図2で説明したように、絶縁膜20の損傷領域22は、イオン透過領域Pであるので、イオン透過領域Pが、絶縁膜20の表面から10nm以上の深さとなるようにイオン注入条件を設定すればよい。
【0052】
図5は、レジストパターン形成後にイオン注入を行う場合のイオンビームIB2の条件とテーパ角度依存性との関係の一例を示した図である。図5において、横軸はイオンビームIB2のドーズ量(atoms/cm2)及び加速電圧(KeV)、縦軸は絶縁膜20の形状のテーパ角度の大きさを示している。
【0053】
図5において、ドーズ量及び加速電圧が低い範囲では、テーパ角度が低く、ドーズ量及び加速電圧が高くなるとテーパ角度も高くなり、ある程度のドーズ量及び加速電圧でテーパ角度が飽和するテーパ角度依存性を示している。よって、例えば、ドーズ量及び加速電圧をCよりも大きくすれば、高いテーパ角度が得られることになる。
【0054】
イオン注入は、実施例1と同様に、種々のイオンを用いて行うことができるが、例えば、デバイスへの影響が無いように、He、Ne、Ar、Kr、Xe等の希ガスを用いるようにしてもよい。例えば、イオン種がArの場合には、イオン注入におけるイオンビームIB2の条件は、加速電圧100KeV以上、ドーズ量1.0×1014atoms/cm2以上程度とし、所望のテーパ角が得られるように、イオンビームの条件を調整することが好ましい。但し、フォトレジストパターン90の膜厚は、イオン種の理論飛程よりも厚い設定としなければ、フォトレジストパターン90を透過する危険性があるので、事前の確認が必要である。また、イオン注入の際は、半導体基板10は常圧ではなく低圧状態で処理されるため、フォトレジスト中の溶剤等が気化し、絶縁膜20との密着性が向上する。
【0055】
また、図5においては、ドーズ量と加速電圧をテーパ角度制御のパラメータとした例を挙げて説明しているが、他のパラメータに調整によりイオン注入の条件を調整することが可能であれば、他のパラメータを用いるようにしてもよい。
【0056】
図4に戻る。図4Cにおいて、図5において説明したようなイオンビームIB2の条件でイオン注入が行われ、絶縁膜20の表面よりも深い位置まで損傷領域32が形成され、活性化が行われる。
【0057】
なお、損傷領域32は、絶縁膜20の底面付近まで形成されなくても、図5で説明したように、ある程度のドーズ量及び加速電圧以上でテーパ角度の高さがほぼ一定となることから、ある程度の深さまで形成されることにより、所定のテーパ角度を有する形状を形成できると考えられる。
【0058】
また、実施例2に係る半導体装置の製造方法においては、被エッチング部分のみにイオン注入が行われるため、注入条件でエッチングレート変動幅を制御することができる。結果として、テーパ角の制御が可能となり、45度〜65度程度の範囲で、絶縁膜20の加工形状のテーパ角の角度を制御することが可能となる。
【0059】
図4Dは、実施例2に係る半導体装置の製造方法のイオン注入工程の一例を示した図である。ウェットエッチング工程の一例を示した図である。ウェットエッチング工程自体は、実施例1の図1Dにおける説明と同様であるので、その詳細な内容は省略する。実施例2に係る半導体装置の製造方法においては、フォトレジストパターン90と絶縁膜20の密着性は特に向上させていないが、損傷領域22を絶縁膜20のフォトレジストパターン90の開口部91に対応する位置(露出部)に形成しているので、縦方向のエッチングが速く進行し、横方向にエッチングが過度に進行する前にウェットエッチング工程を完了させることができる。よって、図4Dに示すように、直線的でテーパ角度の大きい絶縁膜20の形状を得ることができる。
【0060】
実施例2に係る半導体装置の製造方法によれば、フォトレジストパターン形成工程後にイオン注入工程を設け、絶縁膜20の除去部分にのみ表面よりも深い損傷領域を形成することにより、直線的なテーパ形状とともに、45度〜65度の高いテーパ角を確保することができ、半導体基板10面内のテーパ角バラツキも抑制することができる。
【実施例3】
【0061】
図6A〜図6Eは、本発明の実施例3に係る半導体装置の製造方法の一例を示した図である。図6A〜図6Eにおいて、実施例1及び実施例2と同様の構成要素には、同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
【0062】
図6Aは、実施例3に係る半導体装置の製造方法の絶縁膜形成工程の一例を示した図である。絶縁膜形成工程は、実施例1の図1Aと同様の工程であるので、各構成要素に図1Aと同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0063】
図6Bは、実施例3に係る半導体装置の製造方法の第1のイオン注入工程の一例を示した図である。第1のイオン注入工程は、実施例1の図1Bにおいて説明した内容と同様であるので、図1Bと同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0064】
第1のイオン注入工程により、フォトレジストを塗布してフォトレジストパターン90を形成する前に、絶縁膜20の表面を活性化することができ、フォトレジストパターン90との密着性を向上させることができる。
【0065】
図6Cは、実施例3に係る半導体装置の製造方法のレジストパターン形成工程の一例を示した図である。レジストパターン形成工程は、実施例1の図1Cにおいて説明した内容と同様であるので、図1Cと同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
【0066】
図6Dは、実施例3に係る半導体装置の製造方法の第2のイオン注入工程の一例を示した図である。フォトレジストパターン形成工程前の第1のイオン注入工程のみならず、フォトレジストパターン形成工程後の第2のイオン注入工程を設けた点において、実施例3に係る半導体装置の製造方法は、実施例1及び実施例2に係る半導体装置の製造方法と異なっている。
【0067】
第2のイオン注入工程は、絶縁膜20の露出部にイオンビームIB2を照射する工程であり、絶縁膜20の表面よりも深い位置まで損傷領域22を形成する。つまり、実施例2において説明したイオン注入工程と同様の工程である。これにより、絶縁膜20のウェットエッチングレートが大きくなるような状態変化が発生する。
【0068】
このように、実施例3に係る半導体装置の製造方法においては、第1のイオン注入工程で、フォトレジストパターン90と絶縁膜20の表面との密着性を向上させ、第2のイオン注入工程で、絶縁膜20の除去部分のエッチングレートを高める状態変化を起こさせる。
【0069】
なお、第2のイオン注入工程の内容自体は、実施例2の図4Cにおいて説明した内容と同様であるので、図4Cと同様の構成要素に同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0070】
図6Eは、実施例3に係る半導体装置の製造方法のウェットエッチング工程の一例を示した図である。ウェットエッチング工程においては、ウェットエッチングが行われ、絶縁膜20の不要部分が除去されるが、第1のイオン注入工程で絶縁膜20とフォトレジストパターン90との密着力が向上し、第2のイオン注入工程で絶縁膜20自体のエッチングレートが高くなっているので、横方向にエッチングが広がらず、深さ方向にエッチングが進行する。そして、図6Eに示すように、直線的なテーパ形状で、テーパ角が45度〜65度程度の範囲となるようにテーパ角を制御することが可能となる。
【0071】
なお、ウェットエッチング工程の具体的な内容は、実施例1の図1Dにおいて説明した内容と同様であるので、同様の構成要素に同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0072】
実施例3に係る半導体装置の製造方法によれば、フォトレジストパターン90と絶縁膜20の表面の密着性を高めてウエハ面内バラツキを抑制する第1のイオン注入工程と、絶縁膜20のテーパ角の制御を可能にする第2のイオン注入工程とを組み合わせることにより、両者の相乗効果を発生させ、絶縁膜20の加工形状のテーパ角を45度以上確保し、テーパ角の面内バラツキを抑制することができる。
【実施例4】
【0073】
図7A〜図7Hは、本発明の実施例4に係る半導体装置の製造方法の一例を示した図である。実施例4に係る半導体装置の製造方法においては、実施例1〜3に係る半導体装置の製造方法を、具体的な半導体装置である高耐圧系素子の製造方法に適用する例について説明する。なお、図7A〜図7Hにおいては、代表例として、実施例3に係る半導体装置の製造方法を、高耐圧素子の製造方法に適用した例について説明する。実施例1又は実施例2に係る半導体装置の製造方法を適用した例は、第1のイオン注入工程又は第2のイオン注入工程のいずれか一方を省略した製造方法であるので、全体を説明してから後述する。
【0074】
図7Aは、実施例4に係る半導体装置の製造方法のアイソレーション及び熱酸化膜形成工程の一例を示した図である。アイソレーション及び熱酸化膜形成工程においては、半導体基板11上に、アイソレーション30がまず形成され、次いで、半導体基板11及びアイソレーション30の上に熱酸化膜21が形成される。本工程は、実施例1〜3の絶縁膜形成工程に該当する。
【0075】
半導体基板11は、実施例1において説明したように、シリコン基板等、種々の半導体材料からなる基板を用いることができる。
【0076】
アイソレーション30は、半導体素子間の絶縁分離に用いられる絶縁領域である。例えば、LOCOS(LOCal Oxidation of Silicon)等で形成されてもよい。
【0077】
熱酸化膜23は、半導体基板11を加熱して形成される絶縁膜であり、例えば、半導体基板11がシリコン基板の場合には、SiO2となる。
【0078】
図7Bは、実施例4に係る半導体装置の製造方法の第1のイオン注入工程の一例を示した図である。第1のイオン注入工程においては、熱酸化膜23の全面に、イオンビームIB3が照射され、イオン注入が行われる。本工程は、実施例1の図1B及び実施例3の図6Bと同様の工程であり、図1B及び図6Bで説明したイオンビームの条件で、イオン注入が行われる。これにより、熱酸化膜23の表面近傍には、活性化された損傷領域24が形成される。
【0079】
図7Cは、実施例4に係る半導体装置の製造方法のフォトレジストパターン形成工程の一例を示した図である。フォトレジストパターン形成工程においては、熱酸化膜23の上にフォトレジストが塗布され、露光及び現像を経て所望のフォトレジストパターン91が形成される。本工程は、実施例1〜3のフォトレジストパターン形成工程に対応する。
【0080】
図7Dは、実施例4に係る半導体装置の製造方法の第2のイオン注入工程の一例を示した図である。第2のイオン注入工程においては、熱酸化膜23の露出部に、イオンビームIB4が照射され、イオン注入が行われる。本工程は、実施例2の図4C及び実施例3の図6Dに対応する工程であり、実施例2及び実施例3において説明したイオンビームの条件でイオン注入が行われる。これにより、熱酸化膜23の表面から10nm以上深い位置まで到達するように損傷領域25が熱酸化膜23の内部に形成される。本工程により、テーパ角の制御が可能となる。
【0081】
図7Eは、実施例4に係る半導体装置の製造方法のウェットエッチング工程の一例を示した図である。ウェットエッチング工程においては、酸化膜23がエッチング液を用いてエッチング加工され、不要部分が除去される。第1のイオン注入工程でフォトレジストパターン91と熱酸化膜23の密着性が改善され、第2のイオン注入工程で絶縁膜23のテーパ角度が所望の高角度となるように調整されているので、ウェットエッチング工程においては、図7Eに示すような、直線的なテーパ形状で45度以上の高角度のテーパ角を有する絶縁膜23の形状が得られる。
【0082】
図7Fは、実施例4に係る半導体装置の製造方法のゲート形成工程の一例を示した図である。ゲート形成工程においては、フォトレジストパターン91が除去された後、加工された熱酸化膜23の上に高耐圧ゲート、半導体基板11及びアイソレーション30の上には低耐圧ゲートが形成される。
【0083】
図7Gは、実施例4に係る半導体装置の製造方法の層間膜形成及びコンタクトホール形成工程の一例を示した図である。層間膜形成及びコンタクトホール形成工程においては、層間膜50が形成され、層間膜50の内部にコンタクトホール60が形成される。
【0084】
図7Hは、実施例4に係る半導体装置の製造方法の配線層形成及び保護膜形成工程の一例を示した図である。配線層形成及び保護膜形成工程においては、層間膜50に形成されたコンタクトホール60上に配線層70が形成され、次いで、配線層70を覆う保護膜が形成される。これにより、高耐圧系素子が完成する。つまり、半導体基板11には、高耐圧ゲート40に対応する高耐圧MOSトランジスタと、低耐圧ゲートに対応する通常のMOSトランジスタが形成されている。
【0085】
ここで、高耐圧ゲート40は、加工された熱酸化膜23の上に形成されるが、熱酸化膜23は直線的なテーパ形状を有し、高角度のテーパ角を有するため、熱酸化膜23の頂上において、高耐圧ゲート40を形成できる平坦なスペースを十分に確保することができる。加工された熱酸化膜23のテーパ角が低く、またなだらかな形状であると、高耐圧ゲート40を上に形成するような平坦なスペースを確保することができず、高耐圧素子の製造に対応することができない。
【0086】
このように、実施例4に係る半導体装置の製造方法によれば、熱酸化膜23のテーパ形状を直線的にし、かつ高いテーパ角を有する形状に加工することができ、高耐圧素子の製造に対応することができる。
【0087】
なお、実施例1に係る半導体装置の製造方法を実施例4に適用する場合には、図7Bの第2のイオン注入工程を省略し、実施例2に係る半導体装置の製造方法を実施例4に適用する場合には、図7Dの第1のイオン注入工程を省略すればよい。いずれか一方のイオン注入工程で、所望のテーパ角を実現できる場合には、簡素な工程で製造できる方が有利であるので、用途と特性に応じて、いずれか一方のイオン注入工程を省略してよい。
【0088】
実施例4に係る半導体装置の製造方法によれば、高耐圧ゲート40の形成スペースを十分確保して熱酸化膜23を加工することができ、良好な特性を有する高耐圧系素子を製造することができる。
【実施例5】
【0089】
図8A〜図8Iは、本発明の実施例5に係る半導体装置の製造方法の一連の工程の一例を示した図である。実施例5に係る半導体装置の製造方法においては、実施例1〜3に係る半導体装置の製造方法を、MEMS系高段差素子の製造方法に適用した例について説明する。実施例4と同様に、図8A〜図8Iにおいては、代表例として、実施例3に係る半導体装置の製造方法をMEMS系高段差素子の製造方法に適用した例について説明し、実施例1及び実施例2に係る半導体装置の製造方法を適用した例については、後述する。
【0090】
図8Aは、実施例5に係る半導体装置の製造方法の基板段差形成工程の一例を示した図である。MEMS系高段差素子の製造方法においては、半導体基板12に高い段差がまず形成される。なお、半導体基板12の段差形成は、ドライエッチング等の深堀りが可能なエッチング方法により行われてよい。また、半導体基板12は、通常の半導体ウエハの他、必要に応じて、SOI(Silicon on Insulator)基板が用いられてもよい。
【0091】
図8Bは、実施例5に係る半導体装置の製造方法の熱酸化膜形成工程の一例を示した図である。熱酸化膜形成工程においては、半導体基板12が加熱され、半導体基板12の表面に、熱酸化膜26が形成される。半導体基板12の表面に、段差が形成されているので、熱酸化膜26も、段差に応じて表面に凹凸がある形状となる。本工程は、実施例1〜3の絶縁膜形成工程に対応する。
【0092】
図8Cは、実施例5に係る半導体装置の製造方法の第1のイオン注入工程の一例を示した図である。第1のイオン注入工程においては、熱酸化膜26の表面全体に、イオンビームIB5が照射され、イオン注入が行われる。イオン注入により、熱酸化膜26の表面から10nm未満の領域に、損傷領域27が形成され、熱酸化膜27の表面が活性化される。なお、イオン注入自体の具体的な内容は、実施例1及び実施例3において説明したイオン注入工程及び第1のイオン注入工程の内容と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0093】
図8Dは、実施例5に係る半導体装置の製造方法のフォトレジストパターン形成工程の一例を示した図である。フォトレジストパターン形成工程においては、熱酸化膜26の上に、レジストが塗布され、露光及び現像を経てフォトレジストパターン92が形成される。熱酸化膜26の表面に形成された損傷領域27とフォトレジストパターン92との密着性が高いので、フォトレジストパターン92が熱酸化膜26の表面に密着して形成される。本工程は、実施例1〜3のフォトレジストパターン形成工程に対応する。
【0094】
図8Eは、実施例5に係る半導体装置の製造方法の第2のイオン注入工程の一例を示した図である。第2のイオン注入工程においては、熱酸化膜26の露出部分に、イオンビームIB6が照射され、イオン注入が行われる。第2のイオン注入工程により、熱酸化膜26の表面から10nm以上の深さの領域まで、損傷領域28が形成される。これにより、テーパ角を制御することが可能となる。
【0095】
なお、第2のイオン注入工程の具体的な内容は、実施例2のイオン注入工程及び実施例3の第2のイオン注入工程と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0096】
図8Fは、実施例5に係る半導体装置の製造方法のウェットエッチング工程の一例を示した図である。ウェットエッチング工程においては、エッチング液を用いて熱酸化膜26のエッチングが行われ、不要部分が除去される。図8Cで説明した第1のイオン注入工程及び図8Eで説明した第2のイオン注入工程における熱酸化膜26の活性化の効果により、図8Fに示すように、直線的なテーパ形状でテーパ角の大きい熱酸化膜26の形状とすることができる。
【0097】
図8Gは、実施例5に係る半導体装置の製造方法のゲート形成工程の一例を示した図である。ゲート形成工程においては、フォトレジストパターン92が除去された後、熱酸化膜26の頂上の平坦部にゲート41、半導体基板12の表面にゲート46が形成される。熱酸化膜26は、テーパ角が大きく、テーパ形状も直線的であるので、その頂上に十分な広さの平坦部を形成することができ、ゲート41を形成することが可能である。
【0098】
図8Hは、実施例5に係る半導体装置の製造方法の層間膜及びコンタクトホール形成工程の一例を示した図である。層間膜及びコンタクトホール形成工程においては、層間膜51が形成され、次いで、層間膜51の内部のゲート41、46の上に、コンタクトホール61が形成される。これにより、ゲート41、46への通電が可能となる。
【0099】
図8Iは、実施例5に係る半導体装置の製造方法の配線層形成及び保護膜形成工程の一例を示した図である。配線層形成及び保護膜形成工程においては、コンタクトホール61の上に配線層71が形成され、配線層71が保護膜81で覆われる。これにより、MEMS系高段差素子が完成する。
【0100】
MEMS系高段差素子においても、熱酸化膜26上にゲート41を形成するため、熱酸化膜26の形状を、頂上に十分な平坦スペースを確保できる形状とする必要がある。本実施例に係る半導体装置の製造方法によれば、熱酸化膜26のテーパ形状を直線的にするとともに、テーパ角を大きくすることができるので、頂上の平坦部の広さを十分に確保することができる。
【0101】
なお、実施例1に係る半導体装置の製造方法を実施例5に係るMEMS系高段差素子の製造方法に適用するためには、図8Eの第2のイオン注入工程を省略すればよい。また、実施例3に係る半導体装置の製造方法を実施例5に係るMEMS系高段差素子の製造方法に適用するためには、図8Cの第2のイオン注入工程を省略すればよい。第1のイオン注入工程又は第2のイオン注入工程のいずれか一方を行うだけで、所望のテーパ角を有する熱酸化膜26の加工が可能な場合には、いずれか一方のイオン注入工程を省略してよい。これにより、製造工程の簡素化を図ることができる。
【0102】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は、高耐圧系素子やMEMS系高段差素子も含む半導体装置の製造に利用することができる。
【符号の説明】
【0104】
10、11、12 半導体基板
20、23、26 絶縁膜
21、22、24、25、27、28 損傷領域
30 アイソレーション
40、41、45、46 ゲート
50、51 層管膜
60、61 コンタクトホール
70、71 配線層
80、81 保護膜
90、91、92 フォトレジストパターン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に形成された絶縁膜上にフォトレジストを塗布し、フォトレジストパターンを形成するフォトレジストパターン形成工程と、
ウェットエッチングにより前記絶縁膜の不要部分を除去して前記絶縁膜を加工するウェットエッチング工程と、
前記フォトレジストパターン形成工程の前及び/又は後に、前記絶縁膜にイオン注入を行うイオン注入工程と、を含む半導体装置の製造方法であって、
前記イオン注入工程は、前記フォトレジストパターンの有無に応じて、前記イオン注入により前記絶縁膜に形成される損傷領域の深さを変化させて行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記イオン注入工程が、前記フォトレジストパターン形成工程の前に行われるときには、
前記イオン注入工程は、前記損傷領域を、前記絶縁膜の表面から10nm未満の範囲に設定して行うことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記イオン注入工程が、前記フォトレジストパターン形成工程の後に行われるときには、
前記イオン注入工程は、前記損傷領域を、前記絶縁膜の表面から10nm以上で前記絶縁膜の不要部分の深さ以下の範囲に設定して行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記損傷領域の深さは、前記イオン注入工程において用いるイオンビームのドーズ量と加速電圧を制御することにより設定されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記ドーズ量と前記加速電圧は、前記ドーズ量及び前記加速電圧と、前記絶縁膜が前記ウェットエッチングにより加工される形状のテーパ角度依存性との関係に基づいて設定されることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記ウェットエッチング工程の後に、前記絶縁膜の頂上の平坦部にゲートを形成する工程を更に含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項1】
半導体基板上に形成された絶縁膜上にフォトレジストを塗布し、フォトレジストパターンを形成するフォトレジストパターン形成工程と、
ウェットエッチングにより前記絶縁膜の不要部分を除去して前記絶縁膜を加工するウェットエッチング工程と、
前記フォトレジストパターン形成工程の前及び/又は後に、前記絶縁膜にイオン注入を行うイオン注入工程と、を含む半導体装置の製造方法であって、
前記イオン注入工程は、前記フォトレジストパターンの有無に応じて、前記イオン注入により前記絶縁膜に形成される損傷領域の深さを変化させて行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記イオン注入工程が、前記フォトレジストパターン形成工程の前に行われるときには、
前記イオン注入工程は、前記損傷領域を、前記絶縁膜の表面から10nm未満の範囲に設定して行うことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記イオン注入工程が、前記フォトレジストパターン形成工程の後に行われるときには、
前記イオン注入工程は、前記損傷領域を、前記絶縁膜の表面から10nm以上で前記絶縁膜の不要部分の深さ以下の範囲に設定して行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記損傷領域の深さは、前記イオン注入工程において用いるイオンビームのドーズ量と加速電圧を制御することにより設定されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記ドーズ量と前記加速電圧は、前記ドーズ量及び前記加速電圧と、前記絶縁膜が前記ウェットエッチングにより加工される形状のテーパ角度依存性との関係に基づいて設定されることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記ウェットエッチング工程の後に、前記絶縁膜の頂上の平坦部にゲートを形成する工程を更に含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図7G】
【図7H】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図8F】
【図8G】
【図8H】
【図8I】
【図9】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図7G】
【図7H】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図8F】
【図8G】
【図8H】
【図8I】
【図9】
【公開番号】特開2011−243657(P2011−243657A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−112552(P2010−112552)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】
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