説明

半導体装置の製造方法

【課題】電子部品を接続して半導体装置を製造する際に、加熱加圧ツールに接続材料が付着することを防止するツール保護材において不具合を発生させることなく、加熱加圧ツールの汚染を防止し、歩留りを向上させることができる半導体装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】相対向する第1電子部品1及び第2電子部品2の間に接続材料4を介在させ、第1電子部品1を加熱加圧ツール3によって加熱及び加圧し、第1電子部品1及び第2電子部品2を接続して半導体装置を製造する際、加熱加圧ツール3の加熱加圧面31と第1電子部品1の被加熱加圧面である背面13との間に、加熱加圧面31と同等の大きさで、金属箔、シリコンチップ、及びセラミックシートのいずれか一つからなるツール保護材5を介在させて加熱及び加圧を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化、薄型化が進展している。これに伴い、電子機器の製造に用いられる半導体ウェハは、バックグラインドによって例えば50μm以下の薄さまで薄膜化されるようになっている。薄膜化された半導体ウェハをダイシングして得られる半導体チップは、複数個集積され、高集積化した電子部品として利用される。このような半導体チップを基板に接続する際、半導体チップが割れることを抑制するため、半導体チップと基板とを接続するダイボンド材を予め半導体ウェハに貼り付け、この状態で半導体ウェハをダイシングして、ダイボンド材付き半導体チップに個片化する方式が採用されている。
【0003】
また、近年、電子部品の高速化に伴い、接続端子間距離が短いフリップチップ実装が注目されている。フリップチップ実装においても、薄膜化された半導体ウェハから得られる半導体チップを基板に実装することが検討されており、フリップチップ実装に用いられる接続材料であるフィルム状接着剤を予め半導体ウェハに貼り付け、この状態で半導体ウェハをダイシングして接着剤付半導体チップを得て、この接着剤付半導体チップを基板に実装する方式が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2007/148724号パンフレット
【特許文献2】特開平6−333980号公報
【特許文献3】特開平9−162544号公報
【特許文献4】特許第4032481号公報
【特許文献5】特開2005−294652号公報
【特許文献6】特開2009−44001号公報
【特許文献7】特開2001−223295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような方法でフリップチップ実装を行う際、加熱及び加圧時に、接続材料が接続面からはみ出し、このはみ出した接続材料が加熱及び加熱を行う加熱加圧ツールに付着して加熱加圧ツールの表面を汚染するツール汚染が発生する場合がある。特に、半導体チップの薄膜化に伴い、ツール汚染は顕著に発生するようになってきている。ツール汚染を除去しないでフリップチップ実装を継続した場合、半導体チップと加熱加圧ツールとの間の平行度が保てない、半導体チップと加熱加圧ツールとの接触が不完全となり熱が十分に伝わらない等の原因によって接続状態が不完全となるおそれがある。このため、量産工程においては、品質の安定化を図るため、ツール汚染の防止が求められている。
【0006】
ツール汚染を防止する方法として、電気的接続と機械的接続とが同時に行えるACF(Anisotropic Conductive Film)を用いた実装を行う場合には、半導体チップと加熱加圧ツールとの間にテフロン(登録商標)シートなどの付着防止シートを挿入して加熱及び加圧を行う方法が提案されている(特許文献2〜6参照)。これらの方法では、ロールに巻かれた付着防止シートを当該ロールから送り出し、送り出された付着防止シートを加熱加圧ツールと半導体チップとの間に介在させて加熱及び加圧を行い、加熱及び加圧に使用された部分の付着防止シートを別のロールで巻き取る、いわゆるロールtoロール方式の方法が採用されており、これにより量産対応が可能となっている。
【0007】
また、半導体を実装する際、はんだ層を有する接続端子が使用される場合がある。このような接続端子を使用する場合、接続部分の温度は、例えばはんだ溶融温度である250℃前後の高温とする必要がある。そして、加熱加圧ツールによって当該接続部分を250℃前後に加熱するためには、加熱加圧ツールの温度は例えば300℃以上の高温とする必要がある。しかし、テフロン(登録商標)シートなどの付着防止シートの耐熱性は低く、加熱加圧時に付着防止シートのシート基材が分解してしまうおそれがある。従って、加熱温度が高い実装方法では、ツール汚染を防止することが困難になるという問題がある。
【0008】
そこで、耐熱性のあるシート基材として、アルミ箔などの金属箔を利用することが考えられる。なお、基板材料の加熱プレス加工においては、アルミ箔がクッション材として用いられることもある(特許文献7)。しかし、上記のようなロールtoロール方式による実装にアルミ箔からなる付着防止シートを適用しても、アルミ箔は破れやすいため、接続材料がアルミ箔に付着し、この接続材料が付着した箇所からアルミ箔がロールの送りによって破れてアルミ箔を巻き取れなくなるおそれがある。また、ロールtoロール方式のような面積の大きい付着防止シートを使用する方法に、アルミ箔からなる付着防止シートを適用しても、加熱加圧ツールからアルミ箔に伝わった熱が当該アルミ箔において大量に放熱され、実装のための熱が電子部品に十分に伝わらなくなるおそれがある。従って、付着防止シートにアルミ箔を用いて量産対応することは困難であると考えられる。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、電子部品を接続して半導体装置を製造する際に、加熱加圧ツールに接続材料が付着することを防止するツール保護材において不具合を発生させることなく、加熱加圧ツールの汚染を防止し、歩留りを向上させることができる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、相対向する電子部品の間に接続材料を介在させ、相対向する電子部品の少なくともいずれか一方の電子部品を加熱加圧ツールによって加熱及び加圧し、相対向する電子部品を接続して半導体装置を製造する半導体装置の製造方法であって、加熱加圧ツールの加熱加圧面と電子部品の被加熱加圧面との間に、加熱加圧面と同等の大きさで、金属箔、シリコンチップ、及びセラミックシートのいずれか一つからなるツール保護材を介在させて加熱及び加圧を行うことを特徴とする。
【0011】
本発明に係る半導体装置の製造方法では、電子部品を加熱加圧ツールによって加熱及び加圧する際に、加熱加圧面と被加熱加圧面との間に、金属箔、シリコンチップ、及びセラミックシートのいずれか一つからなるツール保護材が介される。これら金属箔、シリコンチップ、及びセラミックシートは、例えば300℃程度の高温でも分解することがないため、ツール保護材が分解することなく、接続材料が加熱加圧面に付着することを防止することができる。よって、本発明に係る半導体装置の製造方法では、電子部品を接続して半導体装置を製造する際に、加熱加圧ツールに接続材料が付着することを防止するツール保護材において不具合を発生させることなく、加熱加圧ツールの汚染を防止し、歩留りを向上させることができる。
【0012】
ここで、加熱加圧面の面積を、被加熱加圧面の面積以上とすることが好ましい。こうすると、被加熱加圧面を均一に加圧できると共に、電子部品を十分加熱することができる。
【0013】
また、ツール保護材を、吸着保持手段を用いて加熱加圧ツールの加熱加圧面と電子部品の被加熱加圧面との間に搬送することが好ましい。こうすると、加熱加圧面と被加熱加圧面との間にツール保護材を介在させた後、すぐ加熱及び加圧を行うことが可能となり、製造サイクルを短縮して量産対応することができる。
【0014】
また、ツール保護材の表面に、離型処理剤を塗布することが好ましい。こうすると、加熱加圧面及び被加熱加圧面から容易にツール保護材を剥がすことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電子部品を接続して半導体装置を製造する際に、加熱加圧ツールに接続材料が付着することを防止するツール保護材において不具合を発生させることなく、加熱加圧ツールの汚染を防止し、歩留りを向上させることができる半導体装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】一方の電子部品に接続材料が貼り付けられた状態を示す模式断面図である。
【図2】相対向する電子部品を仮接続する工程を示す模式断面図である。
【図3】相対向する電子部品が仮接続された状態を示す模式断面図である。
【図4】加熱加圧ツールと電子部品との間にツール保護材が介された状態を示す模式断面図である。
【図5】相対向する電子部品を本接続する工程を示す模式断面図である。
【図6】本接続後、電子部品から加熱加圧ツールが外された状態を示す模式断面図である。
【図7】電子部品からツール保護材が除去された状態を示す模式断面図である。
【図8】ツール保護材をトレーに収納した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を詳細に説明する。
【0018】
図1は、一方の電子部品に接続材料が貼り付けられた状態を示す模式断面図である。図1に示すように、本実施形態に係る半導体装置の製造方法では、まず、第1電子部品1に接続材料4を付着させる。
【0019】
第1電子部品1は、半導体チップや基板等の電子部品である。この第1電子部品1は、直方体状を呈しており、第1接続端子11が複数形成された第1接続面12を有している。第1電子部品1において、第1接続面12と対向する面は、背面13となっている。
【0020】
第1接続端子11は、突起状の電極であり、めっき、印刷、ワイヤーボンディング等によって形成されている。第1接続端子11は、角柱状、円柱状、球状、先鋭状等を呈している。第1接続端子11は、金、ニッケル、銅、及びはんだ等の材料から形成されている。また、第1接続端子11は、銅ピラー上にはんだを付けることで形成されても良い。
【0021】
接続材料4は、電子部品を接続するためのものである。接続材料4は、フィルム状のものでも良く、液状の材料を第1接続面12に塗布、印刷、又はスピンコートして形成されたものでも良い。電子部品が半導体チップである場合、接続材料4は、個片化され半導体チップにされた状態の電子部品に接着されても良いし、個片化され半導体チップにされる前の状態のウェハに接着され、ウェハと共にダイシング等の手段により個片化されても良い。接続材料4は、電子部品を接続した際、これらの間に生じる空隙を十分充填できる程度に、第1接続面12の全面にわたって接着される。
【0022】
図2は、相対向する電子部品を仮接続する工程を示す模式断面図、図3は相対向する電子部品が仮接続された状態を示す模式断面図である。図2に示すように、本実施形態に係る製造方法では、次に、第1電子部品1と第2電子部品2との仮接続を行う。第2電子部品2は、半導体チップや基板等の電子部品であって第1電子部品2と同様な構成をしており、第2接続端子21が複数形成された第2接続面22、及び背面23を有している。
【0023】
第1電子部品1と第2電子部品2との仮接続には、ステージ6及び加熱加圧ツール3を有する接続装置100を使用する。ステージ6は、電子部品を載置するための台であり、例えば第2電子部品2が載置される。
【0024】
加熱加圧ツール3は、相対向する電子部品の間に接続材料を介在させ、これらの電子部品を加熱及び加圧して接続(仮接続、及び本接続)する装置である。加熱加圧ツール3は、本実施形態では、第1電子部品1の背面13を加熱及び加圧する。すなわち、背面13が被加熱加圧面となっている。
【0025】
加熱加圧ツール3は、電子部品を加熱及び加圧する加熱加圧面31を有している。この加熱加圧面31の面積は被加熱加圧面である背面13の面積以上となっている。このため、背面13を加熱及び加圧する際に、当該背面13に負荷される荷重が均一となり、第1電子部品1が薄い場合に当該第1電子部品1が割れることが抑制されると共に、背面13の全体が加熱され、接続材料4が十分加熱される。
【0026】
加熱加圧面31には吸引孔(不図示)が設けられており、この吸引孔にはポンプ等の吸引手段(不図示)が接続されている。この吸引手段によって吸引孔内の空気を吸引することで、加熱加圧面31に当接された部材を吸着して保持することが可能となっている。また、加熱加圧ツール3には、加熱加圧面31で保持した部材を搬送できるように、モータ等の駆動部(不図示)が設けられている。このように、加熱加圧ツール3には、加熱加圧面31に当接した部材を吸着して保持し、保持した部材を搬送する吸着保持手段が設けられている。なお、加熱加圧ツール3はステージ6の周囲を移動するため、加熱加圧ツール3の大きさはステージ6の周囲に設けられている不図示の隣接部品に接触しない程度の大きさであることが好ましい。
【0027】
このような構成の接続装置100を用いて、第1電子部品1及び第2電子部品2の仮接続を行う。まず、加熱加圧ツール3により第1電子部品1の背面13を吸着して第1電子部品1を保持する。次に、保持した第1電子部品1をステージ6に載置された第2電子部品2の上方まで搬送し、第1電子部品1の接続面12と第2電子部品2の接続面22とが接続材料4を介して相対向するように位置決めを行う。そして、加熱加圧ツール3により第1電子部品1を加熱及び加圧する。これにより、図3に示すように、第1電子部品1と第2電子部品2とが仮接続される。
【0028】
仮接続の際の加熱加圧ツール3の温度は、接続材料4が軟化して第1電子部品1及び第2電子部品2に貼りつく一方、接続材料4の硬化反応が進行しない程度の温度であり、例えば、60℃〜100℃である。また、仮接続の際の加熱加圧ツール3の圧力は、接続材料4が第1電子部品1及び第2電子部品2に貼りつき、搬送の際の振動などによって仮接続された第1電子部品1及び第2電子部品2が動いたり剥がれたりしないように固定される程度の圧力であって、さらに、過度に接続材料4が変形したり、接続材料4が第1電子部品1及び第2電子部品2の間からはみ出さない程度の圧力であり、例えば、0.1〜1.5MPa程度である。
【0029】
図4は、加熱加圧ツールと電子部品との間にツール保護材が介された状態を示す模式断面図である。図4に示すように、本実施形態に係る半導体装置の製造方法では、次に、加熱加圧ツール3と第1電子部品1との間にツール保護材5を介在させる。
【0030】
ツール保護材5は、後述する本接続における加熱及び加圧の際、第1電子部品1及び第2電子部品2の間からはみ出した接続材料4が加熱加圧ツール3に付着することを防止するためのものである。ツール保護材5は、板状を呈しており、加熱加圧面31と同等の大きさとなっている。このため、加熱及び加圧の際、第1電子部品1及び第2電子部品2の間からはみ出した接続材料4が加熱加圧ツール3に付着することが抑制されると共に、ツール保護材5における放熱量の増加を抑制でき、電子部品へ十分熱を与えることができる。
【0031】
ツール保護材5は、金属箔、シリコンチップ、及びセラミックシートのいずれか一つから形成されている。ツール保護材5として金属箔を用いる場合、アルミ箔や銅箔等を用いることができる。このうち、市販品を容易に入手できる点で、アルミ箔を用いることが好ましい。ツール保護材5としてアルミ箔を用いる場合、その厚みに特に制限が無いが、一般的に入手できる10μm程度の厚みのものを用いることが好ましい。また、ツール保護材5としてアルミ箔を用いる場合、当該アルミ箔に折れ曲がりやしわがないことが好ましい。折れ曲がりやしわをなくすと、背面13と加熱加圧面31との間の平行度を良好にすることができ、加熱及び加圧の際に傾きが発生することを抑制できる。
【0032】
ツール保護材5としてシリコンチップを用いる場合、鏡面処理したシリコンチップ、酸化膜付のシリコンチップ、及び窒化膜付のシリコンチップのいずれかのシリコンチップを用いることが好ましい。シリコンチップの厚みは、好ましくは150μm〜700μmであり、より好ましくは400μm〜700μmである。シリコンチップが150μm以上であれば、加熱及び加熱の際に、第1電子部品1及び第2電子部品2の間からはみ出した接続材料4によって背面13に付着したツール保護材5を当該背面13から剥がす際、ツール保護材5が割れることが抑制される。
【0033】
ツール保護材5としてセラミックシートを用いる場合、耐熱性、放射性、耐腐食性、及び金属との密着性に優れた完全無機質のシリカアルミナ系のセラミックシートを用いることが好ましい。
【0034】
背面13と当接するツール保護材5の表面には、第1電子部品1の特性を悪化させない程度に、離型処理剤が塗布されている。離型処理材としては、例えば市販のシリコン系離型処理剤が用いられる。
【0035】
ここで、図8は、ツール保護材をトレーに収納した状態を示す斜視図である。図8に示すように、ツール保護材5は、トレー7に収納されており、加熱加圧ツール3に吸着されて搬送される。加熱加圧ツール3は高温に昇温されるため、トレー7は金属性であることが好ましい。
【0036】
このようなツール保護材5を、加熱加圧ツール3により吸着してトレー7から搬送し、図4に示すように、加熱加圧ツール3の加熱加圧面31と第1電子部品1の背面13との間に介在させる。
【0037】
図5は、相対向する電子部品を本接続する工程を示す模式断面図である。図5に示すように、本実施形態に係る半導体装置の製造方法では、次に、第1電子部品1と第2電子部品2との本接続を行う。この本接続は、加熱加圧面31と背面13との間にツール保護材5を介在させた後、すぐに行われる。この際、加熱及び加圧によって接続材料4が第1電子部品1及び第2電子部品2の間から絞りだされてはみ出し、第1接続端子11及び第2接続端子21が接続される。また、第1電子部品1及び第2電子部品2の間からはみ出した接続材料4は、ツール保護材5に付着する。
【0038】
本接続の際の加熱加圧ツール3の温度は、接続材料4の硬化が進行し、第1接続端子11及び第2接続端子21が接続される温度であることが好ましい。例えば、接続材料4がエポキシ樹脂を含む材料であり、第1接続端子11及び第2接続端子21がはんだである場合、接続材料4の温度が240℃〜260℃に達するように加熱加圧ツール3の温度を調整する。また、本接続の際の加熱加圧ツール3の圧力は、第1接続端子11及び第2接続端子21の間に接続材料4が介在したまま残ることなく、第1接続端子11及び第2接続端子21が当接する圧力であり、例えば、0.1〜1.5MPa程度である。
【0039】
図6は、本接続後、電子部品から加熱加圧ツールが外された状態を示す模式断面図である。図6に示すように、本接続後、背面13から加熱加圧ツール3を外すと、はみ出した接続材料4によってツール保護材5が背面13に付着した状態となる。
【0040】
図7は、電子部品からツール保護材が除去された状態を示す模式断面図である。図7に示すように、背面13からツール保護材5を除去すると、第1電子部品1及び第2電子部品2からなる接続体が得られる。ツール保護材5は、接続材料4の冷却後に、例えば、作業者がピンセット等を用いて手動で背面13から剥ぎ取ることや、粘着テープによって背面13から剥ぎ取ることで除去できる。
【0041】
以上、本実施形態に係る半導体装置の製造方法では、第1電子部品1を加熱加圧ツール3によって加熱及び加圧する際に、加熱加圧面31と被加熱加圧面である背面13との間に、金属箔、シリコンチップ、及びセラミックシートのいずれか一つからなるツール保護材5が介される。これら金属箔、シリコンチップ、及びセラミックシートは、はんだ溶融温度よりも高温である300℃程度でも分解することがないため、ツール保護材5が分解することなく、接続材料4が加熱加圧面31に付着することを防止することができる。よって、本実施形態に係る半導体装置の製造方法では、第1電子部品1及び第2電子部品2を接続して半導体装置を製造する際に、加熱加圧ツール3に接続材料4が付着することを防止するツール保護材5において不具合を発生させることなく、加熱加圧ツール3の汚染を防止し、歩留りを向上させることができる。
【0042】
また、本実施形態に係る半導体装置の製造方法では、加熱加圧面31の面積を、被加熱加圧面である背面13の面積以上としているため、背面13を均一に加圧できると共に、第1電子部品1を十分加熱することができる。
【0043】
また、本実施形態に係る半導体装置の製造方法では、ツール保護材5を、吸着保持手段が設けられている加熱加圧ツール3を用いて当該加熱加圧ツール3の加熱加圧面31と被加熱加圧面である第1電子部品1の背面13との間に搬送するため、すぐ加熱及び加圧を行うことが可能であり、製造サイクルを短縮して量産対応することができる。
【0044】
また、本実施形態に係る半導体装置の製造方法では、背面13と当接するツール保護材5の表面に離型処理剤を塗布しているため、背面13から容易にツール保護材5を剥がすことができる。
【実施例】
【0045】
以下、実施例を挙げて本発明に係る半導体装置の製造方法を具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0046】
<接続材料の準備>
トルエンと酢酸エチルとの混合溶媒中に、フェノキシ樹脂(東都化成株式会社製ZX1356−2)10質量部、フェノキシ樹脂(東都化成株式会社製FX−293)20質量部、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製1032H60)30質量部、エポキシ樹脂(東都化成株式会社製YDF−170)20質量部、マイクロカプセル型潜在性硬化剤含有マスターバッチ(旭化成エレクトロニクス株式会社製HX3941HP)20質量部、アジピン酸(関東化学製)5質量部、及び平均粒径0.8μmのムライト粒子75質量部を溶解及び分散し、ワニスを得た。得られたワニスを支持体である厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」という)フィルム(帝人デュポンフィルム社製AH−3)にロールコータを用いて塗布し、70℃のオーブンで10分間乾燥させて、厚み30μmの接続材料を得た。
【0047】
(実施例1)
<半導体チップへの接続材料の貼り付け>
銅ピラー先端に鉛フリーはんだ層(Sn−3.5Ag:融点221℃)を有する構造の接続端子が形成された半導体チップ(日立超LSIシステムズ製JTEG PHASE11_80、サイズ7.3mm×7.3mm、接続端子ピッチ80μm、接続端子数328、厚み0.15mm)を準備した。ステージ温度40℃に設定された熱圧着装置のステージ上に、接続端子が形成された接続面が上を向くように半導体チップを設置した。接続材料を支持体と共に7.5mm×7.5mmに切り出した。切り出した接続材料の接着面が半導体チップの接続面に当接するように、ステージ上に設置された半導体チップに接続材料を積層した。クッション材として厚さ30μmのシリコーンゴムシートを接続材料に積層した。熱圧着装置の温度を110℃に設定し、荷重27N(圧力が0.5MPaとなる荷重)で5秒間プレスした。接続材料から支持体を除去し、接続面に接続材料が接着された状態の半導体チップを得た。
【0048】
<基板及び半導体チップの仮接続>
基板として、プリフラックス処理によって防錆皮膜が形成された銅配線パターンを接続面に有するガラスエポキシ基板を準備した。ステージ温度40℃に設定されたフリップチップボンダー(パナソニックファクトリーソリューションズ製FCB3)のステージ上に基板を吸着して固定した。接続材料が接着された状態の上記半導体チップをフリップチップボンダーのチップトレーに設置した。加熱加圧面のサイズが10mm×10mmである吸引機構付の加熱加圧ツールでチップトレーに設置された半導体チップを吸着して保持し、ステージ上に固定された基板の上方まで搬送して、位置合わせを行った。そして、荷重25N、温度100℃(接続材料の到達温度90℃)で5秒間加熱及び加圧を行い、半導体チップ及び基板を仮接続した。なお、接続材料の到達温度は、K型熱電対を半導体チップ及び基板の間に挟んで測定した(以下同様)。
【0049】
<基板及び半導体チップの本接続>
厚さ12μmのアルミ箔(市販品)を10mm×10mmに切り出し、金属性トレーに収納した。加熱加圧ツールを210℃に設定し、アルミ箔の外形形状を認識して当該アルミ箔が加熱加圧面に収まるように位置合わせした後、アルミ箔を加熱加圧ツールで吸着して保持し、ステージ上の半導体チップの上方まで搬送して位置合わせを行った。そして、荷重25N、温度210℃(接続材料の到達温度180℃)で10秒間加熱及び加圧を行い、さらに温度を290℃(接続材料の到達温度250℃)まで昇温しながら10秒間加熱及び加圧を行った。これにより、接続端子先端のはんだが溶融し、接続端子と銅配線とが接続され、半導体チップと基板とからなる接続体が得られた。接続後、加熱加圧ツールを上昇させて接続体から外し、接続体を室温になるまで冷却させた後、接続体に付着したアルミ箔を除去した。アルミ箔の除去後、接続材料の一部がアルミ箔に付着していたが、加熱加圧ツールには接続材料は付着しておらず、ツール汚染は発生しなかった。接続体の抵抗値を測定した結果、抵抗値は半導体チップが良好に接続されている状態を示す12Ωであり、接続が良好に行われたことが確認された。
【0050】
(実施例2)
半導体チップと当接するアルミ箔の面に、スプレー式離型処理剤(信越シリコーン製KF−965SP)を吹きつけて離型処理を施した点以外は、実施例1と同様である。接続体からのアルミ箔の除去後、接続材料の一部がアルミ箔に付着していたが、加熱加圧ツールには接続材料は付着しておらず、ツール汚染は発生しなかった。接続体の抵抗値を測定した結果、抵抗値は半導体チップが良好に接続されている状態を示す12Ωであり、接続が良好に行われたことが確認された。
【0051】
(実施例3)
アルミ箔に代えて、表面ミラー処理した厚さ550μmのシリコンチップを使用した点以外は、実施例1と同様である。接続体からのシリコンチップの除去後、接続材料の一部がシリコンチップに付着していたが、加熱加圧ツールには接続材料は付着しておらず、ツール汚染は発生しなかった。接続体の抵抗値を測定した結果、抵抗値は半導体チップが良好に接続されている状態を示す12Ωであり、接続が良好に行われたことが確認された。
【0052】
(比較例1)
ツール保護材であるアルミ箔を使用しなかった点以外は、実施例1と同様である。本接続の際、接続材料が半導体チップと基板との間からはみ出し、加熱加圧ツールに付着した。冷却後、加熱加圧ツールを上昇させて、加熱加圧ツールを接続体から剥ぎ取った。剥ぎ取り後、加熱加圧ツールには接続材料が付着しており、製造を継続するためには、カッターを使用して付着した接続材料を加熱加圧ツールから削り落とす必要があった。接続体の抵抗値を測定した結果、接続体の一部に断線が生じており、抵抗値は測定できなかった。このことから、本発明に係る半導体の製造方法では、接続された電子部品から加熱加圧ツールを外す際、はみ出した接続材料によって電子部品が引っ張られて断線が発生するという不具合を防止できるという効果を得られることが確認できた。
【0053】
(比較例2)
アルミ箔に代えて、厚さ50μmのテフロン(登録商標)シート(ニチアス製ナフロンシート)を使用した点以外は、実施例1と同様である。加熱加圧ツールを290℃まで昇温した際、テフロン(登録商標)シートが溶解して異臭がしたため、本接続を中断する必要があった。
【0054】
以上より、本発明に係る半導体装置の製造方法では、電子部品を接続して半導体装置を製造する際に、加熱加圧ツールと電子部品との間にアルミ箔、シリコンチップ、及びセラミックシートのいずれか一つからなるツール保護材を介することで、ツール保護材において不具合を発生させることなく、加熱加圧ツールの汚染を防止し、歩留りを向上できることが確認できた。
【符号の説明】
【0055】
1…第1電子部品、2…第2電子部品、3…加熱加圧ツール、4…接続材料、5…ツール保護材、13…背面(被加熱加圧面)、31…加熱加圧面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対向する電子部品の間に接続材料を介在させ、前記相対向する電子部品の少なくともいずれか一方の電子部品を加熱加圧ツールによって加熱及び加圧し、前記相対向する電子部品を接続して半導体装置を製造する半導体装置の製造方法であって、
前記加熱加圧ツールの加熱加圧面と前記電子部品の被加熱加圧面との間に、前記加熱加圧面と同等の大きさで、金属箔、シリコンチップ、及びセラミックシートのいずれか一つからなるツール保護材を介在させて前記加熱及び前記加圧を行うこと、
を特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記加熱加圧面の面積を、前記被加熱加圧面の面積以上とすることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記ツール保護材を、吸着保持手段を用いて前記加熱加圧ツールの前記加熱加圧面と前記電子部品の前記被加熱加圧面との間に搬送することを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記ツール保護材の表面に、離型処理剤を塗布することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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