半導体装置の製造方法
【課題】レーザ光の照射を利用したエッチング加工による半導体装置の製造方法であって、複雑形状や深くて大きい除去領域等のエッチング加工が必要な広範囲の半導体装置の製造に適用可能で、高いエッチング速度が得られる半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】単結晶シリコンからなる基板10に対して、焦点位置を移動させてレーザ光Lをパルス照射し、前記単結晶シリコンを部分的に多結晶化して、前記単結晶シリコン中に連続した改質層11を形成する改質層形成工程と、前記改質層11をエッチングして除去するエッチング工程と、を備える半導体装置の製造方法とする。
【解決手段】単結晶シリコンからなる基板10に対して、焦点位置を移動させてレーザ光Lをパルス照射し、前記単結晶シリコンを部分的に多結晶化して、前記単結晶シリコン中に連続した改質層11を形成する改質層形成工程と、前記改質層11をエッチングして除去するエッチング工程と、を備える半導体装置の製造方法とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エッチング工程を有する半導体装置の製造方法に関するもので、特に複雑形状や深くて大きい除去領域のエッチング加工を必要とする半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造においては、複雑形状や深くて大きい除去領域のエッチング加工を必要とするものがある。該半導体装置およびその製造方法として、例えば、特開2008−264902号公報(特許文献1)および特開2000−31501号公報(特許文献2)が開示されている。
【0003】
特許文献1は、シリコン基板を加工して固定部と可動部を形成し、加速度センサや角速度センサ等を構成するシリコン構造体の製造方法に関するもので、複雑形状のエッチング加工を必要とする。
【0004】
特許文献1に記載されたシリコン構造体の製造方法では、単結晶シリコンの上層と酸化シリコンの中間層と単結晶シリコンのベース層が積層されている1枚のSOI基板を用いており、次の2つのエッチング工程を必要とする。すなわち、シリコン構造体を形成する固定部と可動部を分離する範囲において、前記上層を異方性エッチングして除去するエッチング工程と、前記上層が除去された範囲から前記中間層を等方性エッチングし、前記上層が除去された範囲の前記中間層と、前記固定部と前記可動部を分離する範囲の前記中間層を完全に除去するエッチング工程である。具体的に説明すると、先のエッチング工程では、上層の単結晶シリコン表面に形成されたパターニングされた酸化膜をマスクとして、上層の単結晶シリコンを中間層までエッチングする。後のエッチング工程では、先のエッチング工程で露出された中間層を、フッ化水素(HF)などの薬液によってウェットエッチングするものである。
【0005】
特許文献2は、半導体圧力センサ等における薄肉部(ダイヤフラム)を形成するためのエッチング方法に関するもので、深くて大きい除去領域のエッチング加工を必要とする。
【0006】
特許文献2に記載されたエッチング方法では、エッチング時間の短縮と薄肉部厚さの均一化を両立するために、次のようにエッチングする。すなわち、PN接合を有するシリコンウエハをKOH水溶液に浸漬した状態でシリコンウエハの一方の面からエッチングを行い、シリコンウエハの一部領域を所定量エッチングするとともに、PN接合面近傍でシリコンの陽極酸化にてエッチングを停止させる。この陽極酸化にてエッチングを停止する際に、シリコンウエハに流れる電流の勾配が大きくなった時、処理槽の中のKOH水溶液よりも低温・低濃度の液を処理槽に注入し、希釈・冷却する。このように、ウエハ面内での全てのエッチング加工面がPN接合部に達する前にエッチング液の低温化と低濃度化を行うことで、ダイヤフラム(薄肉部)における厚さの均一化を図るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−264902号公報
【特許文献2】特開2000−31501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載されたシリコン構造体の製造方法では、可動部及び固定部を形成するために上層の単結晶シリコンを深さ方向にエッチングし、その後、中間層の酸化シリコンを横方向(基板面に沿う方向)にエッチングする必要がある。しかしながら、中間層の酸化シリコンはエッチング速度が遅く、上層の単結晶シリコンもエッチングレートが低くて、エッチング速度を向上させるには限界がある。
【0009】
また、特許文献2に記載されたエッチング方法では、深くて大きい除去領域の全てをエッチングにより除去する必要があり、この場合にもエッチング時間の短縮に限界がある。また、深くて大きい除去領域は単結晶シリコンからなり、前述したようにエッチングレートが低くて、エッチング速度を向上させるには限界がある。
【0010】
以上のように、複雑形状や深くて大きい除去領域のエッチング加工においては、エッチング速度の向上が、重要課題となっている。
【0011】
また、上記した特許文献1のシリコン構造体の製造に関連して、エッチング速度向上のため、レーザ光の照射を利用した新規な半導体装置の製造方法が発明されている。すなわち、単結晶シリコン基板に対してレーザ光を照射して、焦点を移動させることによって、少なくとも一部が表面に露出するように前記単結晶シリコン基板の内部を部分的に多結晶化する改質工程と、前記改質工程にて多結晶化した部位をエッチャントにてエッチングするエッチング工程とを備えた製造方法である。
【0012】
上記製造方法でレーザ光の照射により多結晶化した部位は、多結晶化していない単結晶シリコン基板の他の部位に比べて、エッチャントの浸透速度、吸着速度が速くなる。従って、上記製造方法では、改質工程において予め単結晶シリコン基板を多結晶化しておき、その多結晶化した部位をエッチング工程においてエッチャントにてエッチングすることによって、単結晶シリコン基板を用いた半導体装置を製造する際に、エッチング速度を向上させることができる。尚、この発明については、すでに特許出願済み(出願番号2009−184969)である。
【0013】
上記レーザ光の照射を利用した新規なエッチング加工については、特許文献1の加速度センサ等を構成するシリコン構造体のような複雑形状の半導体装置だけでなく、特許文献2の半導体圧力センサのような薄肉部(ダイヤフラム)を形成する半導体装置の製造にも適用できることが望ましい。しかしながら、レーザ光の照射とそれによって形成される改質部位の関係については、まだ明らかになっていない。従って、どのようなレーザ光の照射によって必要とする改質部位が得られ、良好なエッチング加工が可能になるかまだ明らかではない。また、深くて大きい除去領域のエッチング加工を必要とする後者の半導体装置の製造においては、前者の半導体装置の製造に較べて、さらにエッチング速度を高める必要がある。
【0014】
そこで、本発明は、レーザ光の照射を利用したエッチング加工による半導体装置の製造方法であって、複雑形状や深くて大きい除去領域等のエッチング加工が必要な広範囲の半導体装置の製造に適用可能で、高いエッチング速度が得られる半導体装置の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法は、単結晶シリコンからなる基板に対して、焦点位置を移動させてレーザ光をパルス照射し、前記単結晶シリコンを部分的に多結晶化して、前記単結晶シリコン中に連続した改質層を形成する改質層形成工程と、前記改質層をエッチングして除去するエッチング工程と、を備えることを特徴としている。
【0016】
上記製造方法によれば、改質層形成工程において、単結晶シリコンからなる基板に対して、焦点を絞ってレーザ光をパルス照射するため、基板の表面に影響を与えることなく、基板の内部の小さな領域(パルススポット)にレーザ光のパルスエネルギーを集中させることができる。パルスエネルギーが集中する小さな領域の単結晶シリコンは、一旦溶融した後、多結晶化する。上記製造方法の改質層形成工程においては、レーザ光をパルス照射する時の焦点位置を適当なピッチ(間隔)で移動させることによって、各焦点位置で1パルスのレーザ光によって形成される多結晶化した小さな領域(パルス多結晶化領域)が連結するようにし、連続した改質層を形成するようにしている。
【0017】
単結晶シリコンが多結晶化して形成される上記連続した改質層は、単結晶シリコンからなる周りの部位に較べて、エッチャントの浸透速度や吸着速度が速くなり、エッチング速度が高められる。このため、次のエッチング工程においては、上記連続した改質層を形成しない場合に較べて、高いエッチング速度を得ることができる。
【0018】
上記連続した改質層の形成は、焦点位置の移動(方向)を適宜設定することで任意の形状に形成可能であり、複雑形状や深くて大きい除去領域等のエッチング加工が必要な広範囲の半導体装置の製造に適用可能である。また、上記連続した改質層は、焦点位置を移動させてレーザ光をパルス照射して形成しているため、レーザ光を連続的に照射しながら焦点位置も連続的に移動する方法に較べて、レーザ光のエネルギー利用効率が高められる共に、改質層の形成速度を上げることができる。
【0019】
以上のようにして、上記半導体装置の製造方法は、レーザ光の照射を利用したエッチング加工による半導体装置の製造方法であって、複雑形状や深くて大きい除去領域等のエッチング加工が必要な広範囲の半導体装置の製造に適用可能で、高いエッチング速度が得られる半導体装置の製造方法とすることができる。
【0020】
上記製造方法において、基板の表面に影響を与えることなく、基板の内部にレーザ光のパルスエネルギーを集中させるためには、単結晶シリコンに対して適度な透過性(吸収性)を有したレーザ光が必要である。すなわち、エネルギー密度の小さい基板表面ではレーザ光の吸収が起きずに、パルスエネルギーを集中させる基板内部の焦点位置で、レーザ光が十分に吸収されるようにして、多結晶化が起きるようにする必要がある。
【0021】
このためには、請求項2に記載のように、前記レーザ光の波長が、1000nm以上、1100nm以下であることが好ましい。レーザ光の波長が1000nmより小さい場合には、透過率が低すぎて基板表面でのエネルギー吸収が大きく、基板内部までレーザ光のエネルギーを到達させることが困難となる。また、レーザ光の波長が1100nmより大きい場合には、透過率が高すぎてレーザ光のエネルギー吸収が小さく、基板内部でのパルスエネルギーの集中が困難となる。
【0022】
前記レーザ光の平均パルスエネルギーは、請求項3に記載のように、2.5μJより大きいことが好ましい。また、請求項4に記載のように、前記平均パルスエネルギーは、15μJ以下であることが好ましい。特に、請求項5に記載のように、前記平均パルスエネルギーは、6.25μJ以上、12.5μJ以下が好適である。
【0023】
レーザ光の平均パルスエネルギーが2.5μJ以下の場合には、明確な改質層が識別できず、多結晶化が不十分である。平均パルスエネルギーが4μJ程度で、1パルスのレーザ光によって形成されるパルス多結晶化領域が明確に識別できるようになる。平均パルスエネルギーを6.25μJから12.5μJまで大きくしていくと、それに伴ってパルス多結晶化領域も大きくなる。しかしながら、平均パルスエネルギーを15μJより大きくしても、パルス多結晶化領域の大きさはほとんど変わらずに一定である。
【0024】
上記レーザ光の平均パルスエネルギーの範囲で得られるパルス多結晶化領域の大きさは、基板面内における平均幅が2〜5μm程度であり、基板面に垂直方向の平均高さが、10〜25μm程度である。
【0025】
従って、上記半導体装置の製造方法において、請求項6に記載のように、前記焦点位置の移動方向が、基板面に平行方向である場合には、前記焦点位置の移動の面内ピッチが、5μm以下であることが好ましい。特に、請求項7に記載のように、前記面内ピッチが、2μm以上、4μm以下が好適である。これらの条件によって、パルス照射するレーザ光の焦点位置を基板面に平行方向に移動させた場合において、隣り合う焦点位置で形成されるパルス多結晶化領域を確実に重ね合わせることができ、基板面に平行方向に連続する改質層を、安定的かつ効率的に形成することができる。
【0026】
一方、上記半導体装置の製造方法において、請求項8に記載のように、前記焦点位置の移動方向が、基板面に垂直方向である場合には、前記焦点位置の移動の深さピッチが、27μm以下であることが好ましい。特に、請求項9に記載のように、前記深さピッチが、10μm以上、25μm以下が好適である。これらの条件によって、パルス照射するレーザ光の焦点位置を基板面に垂直方向に移動させた場合において、隣り合う焦点位置で形成されるパルス多結晶化領域を確実に重ね合わせることができ、基板面に垂直方向に連続する改質層を、安定的かつ効率的に形成することができる。
【0027】
上記半導体装置の製造方法は、例えば請求項10に記載のように、前記半導体装置として、ダイヤフラムを有するセンサに適用し、前記改質層形成工程とエッチング工程を、前記ダイヤフラムの形成に適用することができる。
【0028】
この場合、例えばダイヤフラムの下方の除去領域を全て前記改質層としてからエッチングにより除去することで、ダイヤフラムの形成が可能である。これによれば、該改質層を形成しない場合に較べて、前述したようにエッチング時間の短縮が可能であり、除去領域を規定するマスクも不要である。エッチングにより除去される改質層は多結晶化されているため、単結晶シリコンをウェットエッチングする場合の結晶面方位に対するエッチングの異方性もない。このため、高アスペクト比の凹構造を形成することができ、ダイヤフラムの下方の開口面積も小さくすることができる。
【0029】
しかしながら、このダイヤフラムを形成する場合には、請求項11に記載のように、前記改質層形成工程において、前記ダイヤフラムの下方の除去領域に対して、該除去領域の界面に沿って前記改質層を形成し、前記エッチング工程において、前記改質層をエッチングして除去することにより、前記除去領域を刳り貫いて、前記ダイヤフラムを形成することが、より好ましい。
【0030】
これによれば、上記した改質層を形成する幾つかのメリットに加えて、ダイヤフラムの下方の除去領域を全て改質層とする場合に較べて、改質層の形成時間も短縮することができる。
【0031】
また、請求項12に記載のように、この場合の前記エッチングは、エッチングレートの高い、水酸化カリウム水溶液(KOH)あるいは水酸化テトラメチルアンモニア(TMAH)等をエッチャントに用いた、ウェットエッチングであることが好ましい。
【0032】
前述したように、焦点位置を基板面に対して垂直方向に移動して、基板面に対して垂直方向に連続する最小の改質層を形成する場合には、該改質層の基板面内における平均幅が2〜5μm程度になる。また、焦点位置を基板面に対して平行方向に移動して、基板面に対して平行方向に連続する改質層を形成する場合には、該改質層の基板面に対する垂直方向の平均高さが10〜25μm程度になる。
【0033】
従って、ダイヤフラムの下方の基板中に形成される該改質層に対して、エッチャントを回り込ませて十分に供給するためには、請求項13に記載のように、前記ダイヤフラムの基板面における最大幅が、600μm以下とすることが好ましい。特に、請求項14に記載のように、前記最大幅が、350μm以下が好適である。
【0034】
ダイヤフラムの基板面における最大幅が350μmより大きくなると、エッチングレートが1/4程度に低下し、最大幅が600μmより大きくなると、エッチングレートがさらに1/4程度に低下して、エッチング速度が非常に遅くなる。
【0035】
また、このダイヤフラムを形成する場合には、請求項15に記載のように、前記改質層を、最終的に形成する前記ダイヤフラムと10μm以上、30μm以下の間隔をとって、基板面に平行に形成することが好ましい。
【0036】
上記したレーザ光のパルス照射によって形成する改質層の周りの単結晶シリコンにおいては、種々の欠陥が入っている可能性がある。このため、最終的に形成するダイヤフラムと改質層の間隔を10μm以上とすることで、改質層の周りにおけるレーザ光のパルス照射で欠陥を含んだ単結晶シリコンを、エッチングにより確実に除去することができる。また、上記間隔を30μm以下とすることで、上記欠陥除去のためのエッチング代として使用する単結晶シリコンの幅を必要最小限に留め、全体のエッチング時間を抑制することができる。
【0037】
また、上記半導体装置の製造方法は、上記ダイヤフラムを有するセンサのような深くて大きい除去領域のエッチング加工が必要な半導体装置への適用に限らず、複雑形状の除去領域のエッチング加工が必要な半導体装置の製造にも好適である。
【0038】
例えば請求項16に記載のように、前記半導体装置として、印加される力学量に応じて変位する可動部と変位しない固定部を有する半導体力学量センサを適用し、前記改質層形成工程とエッチング工程を、前記可動部と固定部の形成に適用することができる。
【0039】
また、請求項17に記載のように、前記半導体装置として、トレンチゲートを有するトランジスタを適用し、前記改質層形成工程とエッチング工程を、前記トレンチゲートの形成に適用することができる。
【0040】
上記半導体装置の製造方法における前記基板は、例えば請求項18に記載のように、単結晶シリコン基板であってよいし、請求項19に記載のように、単結晶シリコン中に酸化膜が埋め込まれたSOI基板であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】レーザ光照射装置50の全体構成を示した図である。
【図2】レーザ光照射装置50による改質層形成工程の様子を示した図で、(a)は、単結晶シリコンからなる基板10の断面図で、白抜き矢印の方向に焦点位置を移動させてパルス照射される、レーザ光Lの先端周りを拡大して模式的に示した図である。また、(b)は、(a)の焦点位置を移動させてパルス照射されるレーザ光Lによって形成された、改質層11の断面SEM像である。
【図3】レーザ光Lの平均パルスエネルギーとそれによって形成される図2のパルス多結晶化領域MRの平均幅Wおよび平均高さHの関係を調べた結果である。
【図4】レーザ光Lの平均パルスエネルギーを5μJとして、パルス照射するレーザ光Lの焦点位置を基板面に平行方向に移動させた場合の改質層11の形成例を示した図である。尚、(a)は、SEM観察した基板10の断面のトレース図であり、(b)は、改質層11の周りを拡大した断面SEM像である。
【図5】レーザ光Lの平均パルスエネルギーを12.5μJとして、パルス照射するレーザ光Lの焦点位置を基板面に平行方向に移動させた場合の改質層11の形成例を示した図である。
【図6】レーザ光Lの平均パルスエネルギーを15μJとして、パルス照射するレーザ光Lの焦点位置を基板面に平行方向に移動させた場合の改質層11の形成例を示した図である。
【図7】上記した製造方法が適用可能な半導体装置の一例で、ピエゾ抵抗層を用いた半導体圧力センサ20の模式的な断面図である。
【図8】図7と同様のダイヤフラム35を有するセンサ30に対して、図1〜図6で説明した製造方法の適用例を示した図である。尚、(a)〜(d)は、センサ30の製造工程別の模式的な断面図である。
【図9】図7と同様のダイヤフラム35を有するセンサ30に対して、図1〜図6で説明した製造方法の別の適用例を示した図である。
【図10】図9(c)に示した除去領域34の界面に沿って形成する改質層11bのサイズとエッチングの好ましい関係を説明する図である。(a)は、改質層11bの各部のサイズを示した図であり、(b)は、(a)に示すダイヤフラム35の基板面における最大幅WDとエッチングレートの関係を示した図である。
【図11】平坦で均一厚さのダイヤフラムとする方法の例を示した図で、(a)〜(c)は、製造工程別の断面図である。
【図12】平坦で均一厚さのダイヤフラムとする方法の別の例を示した図で、(a)〜(c)は、製造工程別の断面図である。
【図13】複雑形状の除去領域のエッチング加工が必要な力学量の印加に応じて変位可能な可動部を有する半導体力学量センサの一例で、(a)は、容量式加速度センサ40の模式的な上面図であり、(b)は、(a)における一点鎖線A−Aでの断面図である。
【図14】(a)〜(c)は、図13の容量式加速度センサ40の製造方法を示す、製造工程別の模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、単結晶シリコンからなる基板に対して、焦点位置を移動させてレーザ光をパルス照射し、前記単結晶シリコンを部分的に多結晶化して、前記単結晶シリコン中に連続した改質層を形成する改質層形成工程と、前記改質層をエッチングして除去するエッチング工程と、を備える。以下、本発明を実施するための形態を、図に基づいて説明する。
【0043】
図1〜図6は、上記改質層形成工程を説明する図で、図1は、レーザ光照射装置50の全体構成を示した図である。
【0044】
図1に示すレーザ光照射装置50は、レーザ光駆動制御部51とレーザ光源52、可変焦点レンズ53や集光レンズ54等からなる光学系、基板10を搭載するステージ55とステージ駆動部56、および制御部57等で構成されている。
【0045】
レーザ光駆動制御部51は、制御部57の指令に従って、レーザ光源52からレーザ光Lをパルス照射させるための駆動装置である。
【0046】
レーザ光源52は、レーザ光Lをパルス的に発生させることのできる光源である。レーザ光源52として、例えば、発振波長が1064nm、発振周波数が80kHz、出力が0.96WのYAGレーザが用いられる。
【0047】
本発明の半導体装置の製造方法では、後で詳述するように、単結晶シリコンからなる基板10の内部で焦点位置を移動させて、レーザ光Lをパルス照射する。従って、基板10の表面に影響を与えることなく、基板10の内部にレーザ光Lのパルスエネルギーを集中させるためには、単結晶シリコンに対して適度な透過性(吸収性)を有したレーザ光Lの吸収が起きずに、パルスエネルギーを集中させる基板10の内部の焦点位置で、レーザ光Lが十分に吸収されるようにして、多結晶化が起きるようにする必要がある。このためには、レーザ光Lの波長が、1000nm以上、1100nm以下であることが好ましい。レーザ光Lの波長が1000nmより小さい場合には、透過率が低すぎて基板10の表面でのエネルギー吸収が大きく、基板10の内部までレーザ光Lのエネルギーを到達させることが困難となる。また、レーザ光Lの波長が1100nmより大きい場合には、透過率が高すぎてレーザ光Lのエネルギー吸収が小さく、基板10の内部でのパルスエネルギーの集中が困難となる。
【0048】
尚、上記半導体装置の製造方法における基板10は、例えば、単結晶シリコン基板であってよいし、単結晶シリコン中に酸化膜が埋め込まれたSOI基板であってもよい。
【0049】
図1に示すレーザ光照射装置50の可変焦点レンズ53は、ステージ55上に搭載された基板10の上方に配置され、レーザ光Lの焦点をZ方向(基板10の深さ方向)に移動させることができる。集光レンズ54は、レーザ光源52から発せられたレーザ光Lを、可変焦点レンズ53で設定された焦点位置に集光する。集光レンズ54により集光されるレーザ光Lのパルススポット径は、1〜5μm程度である。
【0050】
ステージ55は、基板10が搭載された状態で、基板10をX−Y方向(基板10の基板面に沿う方向)に移動させる台である。ステージ駆動部56は、制御部57の指令に従って、ステージ55をX−Y方向に移動させるための駆動装置である。尚、図1のレーザ光照射装置50では、ステージ55でレーザ光Lの焦点位置を基板10の基板面に沿う方向(X−Y方向)に移動させている。しかしながらこれに限らず、レーザ光Lの焦点位置を、光学的にX−Y方向に変位させるようにしてもよい。また、図1のレーザ光照射装置50では、可変焦点レンズ53でレーザ光Lの焦点を基板10の深さ方向(Z方向)に移動させている。しかしながらこれに限らず、ステージ55をZ方向に移動させて、レーザ光Lの焦点位置をZ方向に移動させるようにしてもよい。
【0051】
制御部57は、中央制御装置で、レーザ光駆動制御部51とステージ駆動部56にそれぞれ指令を出すことにより、レーザ光源52からレーザ光Lをパルス照射させると共にステージ55を移動させる。制御部57は、予め用意されたプログラムに従って、上記指令を実行する。
【0052】
具体的には、制御部57は、まず、レーザ光Lのパルススポットが基板10の所定の深さに位置するように、レーザ光駆動制御部51に指令を出して可変焦点レンズ53を設定する。そして、制御部57は、基板10の面内方向のうちレーザ光Lをパルス照射したい場所にステージ55を移動させ、その位置でレーザ光をパルス照射するように、レーザ光駆動制御部51とステージ駆動部56に指令を出す。基板10の所定範囲の領域にレーザ光Lをパルス照射する場合には、制御部57は、ステージ55の移動もしくは可変焦点レンズ53の焦点位置設定の移動とレーザ光Lのパルス照射のタイミングとが合うように、レーザ光駆動制御部51とステージ駆動部56とを駆動する。
【0053】
図2は、上記したレーザ光照射装置50による改質層形成工程の様子を示した図で、図2(a)は、単結晶シリコンからなる基板10の断面図で、白抜き矢印の方向に焦点位置を移動させてパルス照射される、レーザ光Lの先端周りを拡大して模式的に示した図である。また、図2(b)は、図2(a)の焦点位置を移動させてパルス照射されるレーザ光Lによって形成された、改質層11の断面SEM像である。
【0054】
本発明の半導体装置の製造方法では、図2(a)に示す改質層形成工程において、単結晶シリコンからなる基板10に対して、焦点位置を移動させてレーザ光Lをパルス照射し、単結晶シリコンを部分的に多結晶化して、単結晶シリコン中に連続した改質層11を形成する。そして、次のエッチング工程において、該改質層11をエッチングして除去する。
【0055】
図2(a)に示した符号PSは、集光されるレーザ光Lの焦点位置でのパルススポットで、前述したように1〜5μm程度の径を有している。尚、プログラムに設定されている焦点位置の移動によって、後に順次形成されていくレーザ光Lのパルススポットを、破線で示している。図2(a)では、レーザ光Lの焦点位置が、基板面に平行方向に面内ピッチPLで移動され、基板面に垂直方向に深さピッチPDで移動される。また、図2(a)にある符号MRは、1パルスのレーザ光Lによって形成されるパルス多結晶化領域で、基板10の面内方向で平均幅Wを有しており、基板10の厚さ方向で平均高さHを有している。
【0056】
図3は、レーザ光Lの平均パルスエネルギーとそれによって形成される図2のパルス多結晶化領域MRの平均幅Wおよび平均高さHの関係を調べた結果である。
【0057】
図3に示すように、レーザ光Lの平均パルスエネルギーが2.5μJ以下の場合には、明確な改質層11が識別できず、多結晶化が不十分である。平均パルスエネルギーが4μJ程度で、パルス多結晶化領域MRが明確に識別できるようになる。平均パルスエネルギーを6.25μJから12.5μJまで大きくしていくと、それに伴ってパルス多結晶化領域MRも大きくなる。しかしながら、平均パルスエネルギーを15μJより大きくしても、パルス多結晶化領域MRの大きさはほとんど変わらずに一定である。
【0058】
以上の結果より、レーザ光Lの平均パルスエネルギーは、2.5μJより大きいことが好ましい。また、平均パルスエネルギーは、15μJ以下であることが好ましい。特に、平均パルスエネルギーは、6.25μJ以上、12.5μJ以下が好適である。
【0059】
上記レーザ光Lの平均パルスエネルギーの範囲で得られるパルス多結晶化領域MRの大きさは、基板面内における平均幅Wが2〜5μm程度であり、基板面に垂直方向の平均高さHが、10〜25μm程度である。
【0060】
従って、上記半導体装置の製造方法において、焦点位置の移動方向が基板面に平行方向である場合には、図2(a)に示す焦点位置の移動の面内ピッチPLが、5μm以下であることが好ましい。特に、面内ピッチPLが、2μm以上、4μm以下が好適である。これらの条件によって、パルス照射するレーザ光Lの焦点位置を基板面に平行方向に移動させた場合において、隣り合う焦点位置で形成されるパルス多結晶化領域MRを確実に重ね合わせることができ、基板面に平行方向に連続する改質層11を、安定的かつ効率的に形成することができる。
【0061】
一方、上記半導体装置の製造方法において、焦点位置の移動方向が基板面に垂直方向である場合には、図2(a)に示す焦点位置の移動の深さピッチPDが、27μm以下であることが好ましい。特に、深さピッチPDが、10μm以上、25μm以下が好適である。これらの条件によって、パルス照射するレーザ光Lの焦点位置を基板面に垂直方向に移動させた場合において、隣り合う焦点位置で形成されるパルス多結晶化領域MRを確実に重ね合わせることができ、基板面に垂直方向に連続する改質層11を、安定的かつ効率的に形成することができる。
【0062】
図4〜図6は、レーザ光Lの平均パルスエネルギーをそれぞれ5μJ,12.5μJ,15μJとして、パルス照射するレーザ光Lの焦点位置を基板面に平行方向に移動させた場合の改質層11の形成例を示した図である。尚、図4〜図6において、いずれも、(a)は、SEM観察した基板10の断面のトレース図であり、(b)は、改質層11の周りを拡大した断面SEM像である。
【0063】
図4(a)、(b)に示す例は、平均パルスエネルギーが5μJ(平均出力:0.4W)で、パルス周波数:80kHz、基板面内の送り速度:300mm/sを採用している。図4(a)に示すように、改質層11は、単結晶シリコンからなる基板10の表面から60μm(x2)の位置に、15μm程度(x1)の厚みで形成されている。また、図4(b)に示すように、改質層11の底には、マイクロドームDSが厚み4μm程度(x3)、幅1μm程度(y3)で形成されている。マイクロドームDSは、図2(a)に示したレーザ光Lの焦点位置でのパルススポットPSに対応しており、パルススポットPSで単結晶シリコンが一旦溶融することによって形成されると考えられる。
【0064】
図5(a)、(b)に示す例は、平均パルスエネルギーが12.5μJ(平均出力:1.0W)で、パルス周波数:80kHz、基板面内の送り速度:300mm/sを採用している。図5(a)に示すように、改質層11は、単結晶シリコンからなる基板10の表面から45μm(x5)の位置に、30μm程度(x4)の厚みで形成されている。また、図5(b)に示すように、マイクロドームDSが、改質層11の底に、厚み2μm程度(x6)、幅1μm程度(y6)で形成されている。
【0065】
図6(a)、(b)に示す例は、平均パルスエネルギーが15μJ(平均出力:1.2W)で、パルス周波数:80kHz、基板面内の送り速度:300mm/sを採用している。図6(a)に示すように、改質層11は、単結晶シリコンからなる基板10の表面から45μm(x8)の位置に、30μm程度(x7)の厚みで形成されている。また、図6(b)に示すように、マイクロドームDSが、改質層11の底に、厚み2μm程度(x9)、幅1μm程度(y9)で形成されている。
【0066】
以上説明したように、上記製造方法によれば、改質層形成工程において、単結晶シリコンからなる基板10に対して、焦点を絞ってレーザ光Lをパルス照射するため、基板10の表面に影響を与えることなく、基板10の内部の小さな領域(パルススポットPS)にレーザ光Lのパルスエネルギーを集中させることができる。パルスエネルギーが集中する小さな領域の単結晶シリコンは、一旦溶融した後、多結晶化する。上記製造方法の改質層形成工程においては、レーザ光をパルス照射する時の焦点位置を適当なピッチ(間隔)で移動させることによって、各焦点位置で1パルスのレーザ光Lによって形成される多結晶化した小さな領域(パルス多結晶化領域MR)が連結するようにし、連続した改質層11を形成するようにしている。
【0067】
単結晶シリコンが多結晶化して形成される上記連続した改質層11は、単結晶シリコンからなる周りの部位に較べて、エッチャントの浸透速度や吸着速度が速くなり、エッチング速度が高められる。このため、次のエッチング工程においては、連続した改質層11を形成しない場合に較べて、高いエッチング速度を得ることができる。
【0068】
上記連続した改質層11の形成は、焦点位置の移動(方向)を適宜設定することで任意の形状に形成可能であり、複雑形状や深くて大きい除去領域等のエッチング加工が必要な広範囲の半導体装置の製造に適用可能である。また、上記連続した改質層11は、焦点位置を移動させてレーザ光Lをパルス照射して形成しているため、レーザ光Lを連続的に照射しながら焦点位置も連続的に移動する方法に較べて、レーザ光Lのエネルギー利用効率が高められる共に、改質層11の形成速度を上げることができる。
【0069】
以上のようにして、上記半導体装置の製造方法は、レーザ光Lの照射を利用したエッチング加工による半導体装置の製造方法であって、複雑形状や深くて大きい除去領域等のエッチング加工が必要な広範囲の半導体装置の製造に適用可能で、高いエッチング速度が得られる半導体装置の製造方法となっている。
【0070】
次に、上記した製造方法の具体的な半導体装置への適用について説明する。
【0071】
図7は、上記した製造方法が適用可能な半導体装置の一例で、ピエゾ抵抗層を用いた半導体圧力センサ20の模式的な断面図である。
【0072】
図7に示す半導体圧力センサ20では、結晶方位(100)のP型シリコン基板21の一面に厚さ6μmのN型エピタキシャル層22が形成され、この積層体により単結晶シリコンからなる半導体基板23が構成されている。P型シリコン基板21には、一面に開口する凹部24が形成され、この凹部24の底面24aにて、薄肉部25が構成されている。この薄肉部25が、センサダイヤフラムとなっている。
【0073】
図7において、N型エピタキシャル層22には、P+型不純物拡散層26が形成され、このP+型不純物拡散層26が歪みを感知するためのピエゾ抵抗となる。N型エピタキシャル層22の表面には、シリコン酸化膜27が形成されている。また、P+型不純物拡散層26が、アルミ配線28にて、シリコン酸化膜27の表面側に電気的に引き出されている。
【0074】
以上のように、図7に示す半導体圧力センサ20は、ダイヤフラム(薄肉部25)を有するセンサで、深くて大きい除去領域(凹部24)のエッチング加工が必要な半導体装置である。図7に示す半導体圧力センサ20の凹部24の形成には、従来より、電気化学エッチング等が利用されている。
【0075】
上記した半導体装置の製造方法は、図7に示す半導体圧力センサ20のように、ダイヤフラムを有するセンサに適用し、前記改質層形成工程とエッチング工程を、ダイヤフラムの形成に適用することができる。
【0076】
図8と図9は、それぞれ、図7と同様のダイヤフラム35を有するセンサ30に対して、図1〜図6で説明した製造方法の適用例を示した図である。尚、図8と図9において、(a)〜(d)は、いずれも、センサ30の製造工程別の模式的な断面図である。図8と図9に示す製造途中のセンサ30の各断面図は、図7の半導体圧力センサ20を反転したものに対応している。また、図8と図9に示す製造工程別の各断面図おいて、図2と同様の部分については、同じ符号を付した。
【0077】
図8に示すセンサ30の製造方法では、最初に、図8(a)に示すように、単結晶シリコンからなる基板10を準備し、ダイヤフラム35となる基板10の一方の表層部に、センサ構造39の各構成要素を形成しておく。尚、図8(a)では、ダイヤフラム35を形成するための基板10の除去領域34を、一点鎖線で示した。
【0078】
次に、図8(b)に示すように、図1〜図6で説明した改質層形成工程を実施し、パルス照射するレーザ光Lの焦点位置を除去領域34の全体をカバーするように順次移動させて、多結晶化された改質層11aを形成していく。これによって、図8(c)に示すように、除去領域34の全体を、多結晶化された改質層11aとする。
【0079】
最後に、図8(d)に示すように、エッチング工程を実施して、エッチングにより改質層11aを除去する。これによって、ダイヤフラム35を有するセンサ30が製造される。
【0080】
このように、ダイヤフラム35の下方の除去領域34を全て改質層11aとしてからエッチングにより除去することで、センサ30のダイヤフラム35の形成が可能である。これによれば、該改質層11aを形成しない場合に較べて、前述したようにエッチング時間の短縮が可能であり、除去領域34を規定するマスクも不要である。エッチングにより除去される改質層11aは多結晶化されているため、図7の半導体圧力センサ20のように、単結晶シリコンをウェットエッチングする場合の結晶面方位に対するエッチングの異方性もない。このため、高アスペクト比の凹構造を形成することができ、ダイヤフラム35の下方の開口面積も小さくすることができる。
【0081】
図9は、上記ダイヤフラム35を有するセンサ30の、より好ましい製造方法である。
【0082】
図9に示すセンサ30の製造方法においても、最初に図8(a)と同じ工程を実施し、図9(a)に示すように、単結晶シリコンからなる基板10を準備して、ダイヤフラム35となる基板10の一方の表層部に、センサ構造39の各構成要素を形成しておく。
【0083】
次に、図9(b)に示すように、図1〜図6で説明した改質層形成工程を実施し、ダイヤフラム35の下方の除去領域34に対して、パルス照射するレーザ光Lの焦点位置を該除去領域34の界面に沿って順次移動させて、改質層11bを形成していく。これによって、図9(c)に示すように、多結晶化された改質層11bを、除去領域34の界面に沿って形成する。
【0084】
最後に、図9(d)に示すように、エッチング工程を実施して、エッチングにより改質層11bを除去する。これによって、図9(c)に示す除去領域34の単結晶シリコンからなる残存部10rが刳り貫かれ、ダイヤフラム35を有するセンサ30が製造される。
【0085】
除去領域34の界面に沿って改質層11bを形成し、除去領域34を刳り貫いてダイヤフラム35を形成する、上記した図9の方法は、図8に示したダイヤフラム35の下方の除去領域34を全て改質層11aとする方法に較べて、より好ましい方法である。これによれば、図8で説明した改質層11aを形成する幾つかのメリットに加えて、改質層11bの形成時間も短縮することができる。
【0086】
次に、図9に示した除去領域34を刳り貫いてダイヤフラム35を形成する場合の詳細について、好ましい実施形態を説明する。
【0087】
図9に示した除去領域34を刳り貫いてダイヤフラム35を形成する場合、エッチング工程におけるエッチングは、エッチングレートの高い、水酸化カリウム水溶液(KOH)あるいは水酸化テトラメチルアンモニア(TMAH)等をエッチャントに用いた、ウェットエッチングであることが好ましい。
【0088】
図10は、図9(c)に示した除去領域34の界面に沿って形成する改質層11bのサイズとエッチングの好ましい関係を説明する図である。図10(a)は、改質層11bの各部のサイズを示した図であり、図10(b)は、図10(a)に示すダイヤフラム35の基板面における最大幅WDとエッチングレートの関係を示した図である。
【0089】
図2と図3で説明したように、パルス多結晶化領域MRの平均幅Wは2〜5μm程度であり、パルス多結晶化領域MRの平均高さHは10〜25μm程度である。従って、図10(a)に示す改質層11bを最小の大きさで形成する場合において、レーザ光Lの焦点位置を基板面に対して垂直方向に移動して、基板面に対して垂直方向に連続する最小の改質層11bを形成する場合には、図10(a)に示した該改質層11bの基板面内における平均幅Wも2〜5μm程度になる。また、焦点位置を基板面に対して平行方向に移動して、基板面に対して平行方向に連続する最小の改質層11bを形成する場合には、図10(a)に示した該改質層11bの基板面に対する垂直方向の平均高さも10〜25μm程度になる。従って、エッチングにより改質層11bを完全に除去するためには、このような微小サイズの改質層11bの最奥にまで、エッチャントが十分に回り込んで供給される必要がある。
【0090】
図10(b)に示すダイヤフラム35の最大幅WDとエッチングレートの関係からわかるように、ダイヤフラム35の基板面における最大幅WDが350μmより大きくなると、エッチングレートが1/4程度に低下し、最大幅WDが600μmより大きくなると、エッチングレートがさらに1/4程度に低下して、エッチング速度が非常に遅くなる。
【0091】
従って、ダイヤフラム35の下方の基板中に形成される図10(a)に示した改質層11bに対して、エッチャントを回り込ませて十分に供給するためには、ダイヤフラム35の基板面における最大幅WDが、600μm以下とすることが好ましい。特に、前記最大幅WDが、350μm以下が好適である。
【0092】
次に、図8と図9に示したダイヤフラム35を有するセンサ30の製造方法において、ダイヤフラム35を平坦で均一厚さにするための好ましい方法について説明する。
【0093】
図11と図12は、それぞれ、平坦で均一厚さのダイヤフラムとする方法の例を示した図である。図11と図12は、いずれも図9に示した製造方法の変形例で、(a)〜(c)に示す製造工程別の各断面図おいて、図9と同様の部分については、同じ符号を付した。
【0094】
上記したレーザ光Lのパルス照射によって形成する改質層11,11a,11bの周りの単結晶シリコンには、種々の欠陥が入っている可能性がある。このため、図11と図12に示す製造方法は、エッチング工程を2段階で実施するものである。
【0095】
図11の製造方法では、最初に、図11(a)に示すように、最終的に形成するダイヤフラム35の厚さDTに対して間隔KDをとって、改質層11bを形成する。次に、図11(b)に示すように、第1のエッチングで改質層11bを除去し、単結晶シリコンからなる残存部10rを刳り貫く。最後に、図11(c)に示すように、第2のエッチングでダイヤフラム35の直下に残した図11(b)の単結晶シリコンからなる残存部10sを除去し、平坦な底面34aを有する厚さDTのダイヤフラム35を形成する。
【0096】
図12の製造方法では、単結晶シリコン12,13中に酸化膜14が埋め込まれたSOI基板15を用い、支持基板側の単結晶シリコン12を酸化膜14が露出するまでエッチングしてダイヤフラム35を形成する。最初に、図12(a)に示すように、最終的に形成するダイヤフラム35の厚さDTに対して間隔KDをとって、改質層11bを形成する。次に、図12(b)に示すように、第1のエッチングで改質層11bを除去し、単結晶シリコンからなる残存部12rを刳り貫く。最後に、図12(c)に示すように、第2のエッチングでダイヤフラム35(酸化膜14)の直下に残した図12(b)の単結晶シリコンからなる残存部12sを除去し、平坦な底面34aを有する厚さDTのダイヤフラム35を形成する。
【0097】
上記したように、平坦で均一厚さのダイヤフラムを形成する場合には、改質層11,11a,11bを、最終的に形成するダイヤフラムと10μm以上、30μm以下の間隔(図11と図12に示す間隔KD)をとって、基板面に平行に形成することが好ましい。
【0098】
前述したように、上記レーザ光Lのパルス照射によって形成した改質層11,11a,11bの周りの単結晶シリコンには、種々の欠陥が入っている可能性がある。このため、最終的に形成するダイヤフラム35と改質層11,11a,11bの間隔を10μm以上とすることで、改質層11,11a,11bの周りにおけるレーザ光Lのパルス照射で欠陥を含んだ単結晶シリコンを、エッチングにより確実に除去することができる。また、上記間隔を30μm以下とすることで、上記欠陥除去のためのエッチング代として使用する単結晶シリコンの幅を必要最小限に留め、全体のエッチング時間を抑制することができる。
【0099】
図1〜図6で説明した半導体装置の製造方法は、図7〜図12で説明したダイヤフラム35を有するセンサ30のような深くて大きい除去領域34のエッチング加工が必要な半導体装置への適用に限らず、複雑形状の除去領域のエッチング加工が必要な半導体装置の製造にも好適である。
【0100】
図13は、上記複雑形状の除去領域のエッチング加工が必要な力学量の印加に応じて変位可能な可動部を有する半導体力学量センサの一例で、図13(a)は、容量式加速度センサ40の模式的な上面図であり、図13(b)は、図13(a)における一点鎖線A−Aでの断面図である。尚、半導体力学量センサとしては、力学量の印加に応じて所定方向に変位可能な可動部が構成されたMEMSデバイスであれば採用することができる。具体的には、上記した容量式加速度センサ以外にも、容量式角速度センサ、振動センサ、マイクロフォン、マイクロスキャナなどを採用することができる。
【0101】
図13に示す容量式加速度センサ40において、可動部は、単結晶シリコンからなる基板10の深さ方向にエッチングされたエッチング部41であるトレンチ部41a及び基板10の内部で横方向にエッチングされたエッチング部41であるリリース部41bによって可動化(リリース)され、力学量(加速度)の印加に応じて所定方向(図13においては紙面左右方向)に変位可能な部位である。また、可動部は、基板10をエッチング部41によって区画してなる梁構造体であり、可動電極42、錘部43、バネ部44を含む。なお、基板10の深さ方向とは、基板10の平面(表面)に対して垂直方向を示すものである。一方、基板10の横方向とは、基板10の平面に沿う方向を示すものである。
【0102】
加速度が作用する質量(マス)としての錘部43は、その外周(外枠)が平面長方形とされており、錘部43直下の基板10をエッチングにより除去しやすくするために、エッチング部41の一部である貫通穴が設けられている。この錘部43は、基板10におけるエッチングされた空間(リリース部41b)の底面から浮いた状態で構成されている。従って、錘部43における貫通穴は、基板10の表面からエッチングされた空間(リリース部41b)まで貫通している。なお、必ずしも錘部43に貫通穴を設ける必要はない。
【0103】
可動電極42は、錘部43の変位方向に対して垂直な方向の側面から突出して形成され、図13に示す例では各側面に3本ずつ設けられている。また、錘部43の変位方向側の両端には、四角枠形状の梁構造を有するバネ部44がそれぞれ連結されている。この各バネ部44は、可動部を支持する支持部としてのアンカ45に連結されている。
【0104】
このように可動部は、可動電極42を構成する梁、錘部43を構成する梁、バネ部44を構成する梁が互いに連結されてなる梁構造体となっており、可動部としての梁構造体は、その両端がアンカ45に固定されている。つまり、可動電極42、錘部43、バネ部44は、アンカ45によって支持されて、基板10におけるエッチングされた空間(リリース部41b)の底面から浮いた状態となっている。
【0105】
なお、アンカ45の一方には、アルミニウムなどの金属層をパターニングしてなる可動電極用パッド46が形成されている。
【0106】
一方、複数の固定部47は、それぞれ固定電極48、固定電極用パッド49、及び固定電極48と固定電極用パッド49とを繋ぐ部位を有している。各固定部47における固定電極48と固定電極用パッド49とを繋ぐ部位は、固定電極48と対応する固定電極用パッド49とを電気的に接続する配線として機能するものである。
【0107】
各固定部47は、基板10が深さ方向にエッチングされたエッチング部41であるトレンチ部41aによって区画される。固定部47における配線として機能する部位は、錘部43と平行に配置されており、この部位から延びる固定電極48は、錘部43の両側面から突出する可動電極42に対して、それぞれ所定の検出間隔(隙間)を有しつつ、平行状態で対向配置されている。
【0108】
この固定電極48は、可動電極42と同じ数だけ設けられている。また、固定電極48は、加速度が印加されたとき、可動電極42と固定電極48との間にそれぞれ形成されるコンデンサの各静電容量が、一方で増加し、他方で減少するように設けられている。すなわち、差動増幅する構成となっている。
【0109】
図14(a)〜(c)は、図13の容量式加速度センサ40の製造方法を示す、製造工程別の模式的な断面図である。
【0110】
まず、図14(a)に示すように、単結晶シリコンからなる基板10を用意する。
【0111】
次に、図14(b)に示すように、基板10に対してレーザ光Lを照射して、そのレーザ光Lの焦点を基板10におけるエッチング予定領域内で移動させることによって、基板10の内部を部分的(選択的)に多結晶化し、改質層11(トレンチ用改質層11c、リリース用改質層11d)を形成する(改質層形成工程)。
【0112】
換言すると、基板10における可動部及び固定部を区画する部位を多結晶化する。つまり、可動電極42、錘部43、バネ部44、アンカ45、固定部47の形成予定領域の周辺を多結晶化(トレンチ用改質層11c)すると共に、この周辺の多結晶化された部位に少なくとも一部が連結するように可動電極42、錘部43、バネ部44の形成予定領域の直下を多結晶化(リリース用改質層11d)する。
【0113】
なお、トレンチ部41aを形成するための改質層11をトレンチ用改質層11c、リリース部41bを形成するための改質層11をリリース用改質層11dと称する。つまり、基板10の深さ方向の改質層11をトレンチ用改質層11c、横方向の改質層11をリリース用改質層11dと称する。
【0114】
次に、図14(c)に示すように、エッチング工程を実施して、単結晶シリコンからなる基板10を多結晶化した改質層11を、エッチングにより除去する。なお、エッチング工程としては、ウェットエッチングでもドライエッチング(反応ガス中に材料を晒してエッチングする反応性ガスエッチング、プラズマによりガスをイオン化・ラジカル化してエッチングする反応性イオンエッチング)でも採用することができる。
【0115】
しかしながら、ウェットエッチングの場合、改質層11をエッチング除去したときに、トレンチ部41aやリリース部41bにおいて基板10同士が付着してしまう現象(所謂スティッキング)が生じる可能性がある。そこで、図14(c)のエッチング工程においては、ドライエッチングを採用すると好ましい。ドライエッチングを採用することによって、上述のスティッキングを抑制することができる。また、可動電極42、錘部43、バネ部44の形成予定領域の直下をエッチングする場合は、ウェットエッチングで用いる水溶液に比べて、ドライエッチングで用いるガスのほうがリリース用改質層11dに浸透しやすいので好ましい。
【0116】
なお、このドライエッチングにおけるエッチング条件の一例としては、ガス:XeF2、圧力:1torr、パルスエッチング×5回、反応式:Si+2XeF2→SiF4+2Xeなどを採用することができる。
【0117】
このように、単結晶シリコンからなる基板10における多結晶化した部位(改質層11(トレンチ用改質層11c、リリース用改質層11d)は、多結晶化していない部位(単結晶部位)に比べて、エッチャントの浸透速度、吸着速度が速くなる。従って、予め単結晶シリコンからなる基板10を多結晶化しておき、その多結晶化した部位をエッチャントにて連続的にエッチングすることによって、単結晶シリコンからなる基板10を用いた図13の容量式加速度センサ40を製造する際に、エッチング速度を向上させることができる。
【0118】
また、図1〜図6で説明した半導体装置の製造方法は、半導体力学量センサに限らず、トレンチゲートを有するトランジスタ、複合ICなどの製造にも適用できる。つまり、改質工程においては、単結晶シリコンからなる基板10におけるトレンチゲートの形成予定領域を多結晶化したり、複合ICの素子分離用トレンチの形成予定領域を多結晶化したりする。このようにすることによって、トレンチゲートを有するトランジスタ、複合ICの製造コストを低減することができる。
【0119】
以上説明したように、上記した半導体装置の製造方法は、レーザ光の照射を利用したエッチング加工による半導体装置の製造方法であって、複雑形状や深くて大きい除去領域等のエッチング加工が必要な広範囲の半導体装置の製造に適用可能で、高いエッチング速度が得られる半導体装置の製造方法となっている。
(他の実施形態)
上記した半導体装置の製造方法において、レーザ光の波長は、1000nm以上、1100nm以下が好適である。しかしながらこれに限らず、例えばレーザ光の平均パルスエネルギーを大きく設定すれば、レーザ光の波長は、1100nmより大きくてもよい。尚、レーザ光の波長が1000nmより小さい場合には、基板表面での吸収が支配的となり、基板内部に到達し難くなるので好ましくない。
【0120】
上記した半導体装置の製造方法において、レーザ光の平均パルスエネルギーは、2.5μJより大きいことが好ましい。しかしながらこれに限らず、例えばレーザ光のパルススポット径を小さく設定したりパルス幅を大きく設定したりすれば、レーザ光の平均パルスエネルギーは、2.5μJ以下であってもよい。
【0121】
逆に、レーザ光の平均パルスエネルギーは、15μJ以下であることが好ましい。しかしながらこれに限らず、例えばレーザ光のパルススポット径を大きく設定したりパルス幅を小さく設定したりすれば、レーザ光の平均パルスエネルギーは、15μJより大きくてもよい。
【0122】
上記した半導体装置の製造方法において、レーザ光の焦点位置の移動方向が基板面に平行方向である場合、焦点位置の移動の面内ピッチは、5μm以下であることが好ましい。しかしながらこれに限らず、例えばレーザ光の平均パルスエネルギーを大きく設定すれば、焦点位置の移動の面内ピッチが5μmより大きくてもよい。
【0123】
逆に、焦点位置の移動の面内ピッチは、2μm以上であることが好ましい。しかしながらこれに限らず、例えばレーザ光の平均パルスエネルギーを小さく設定すれば、焦点位置の移動の面内ピッチが2μmより小さくてもよい。
【0124】
レーザ光の焦点位置の移動方向が基板面に垂直方向である場合も同様で、焦点位置の移動の深さピッチは、27μm以下であることが好ましい。しかしながらこれに限らず、例えばレーザ光の平均パルスエネルギーを大きく設定すれば、焦点位置の移動の深さピッチが27μmより大きくてもよい。
【0125】
逆に、焦点位置の移動の深さピッチは、10μm以上であることが好ましい。しかしながらこれに限らず、例えばレーザ光の平均パルスエネルギーを小さく設定すれば、焦点位置の移動の面内ピッチが10μmより小さくてもよい。
【符号の説明】
【0126】
10 単結晶シリコンからなる基板
L レーザ光
PS パルススポット
MR パルス多結晶化領域
PL 焦点位置の移動の面内ピッチ
PD 焦点位置の移動の深さピッチ
11,11a〜11d 改質層
30 センサ
34 除去領域
35 ダイヤフラム
40 容量式加速度センサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、エッチング工程を有する半導体装置の製造方法に関するもので、特に複雑形状や深くて大きい除去領域のエッチング加工を必要とする半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造においては、複雑形状や深くて大きい除去領域のエッチング加工を必要とするものがある。該半導体装置およびその製造方法として、例えば、特開2008−264902号公報(特許文献1)および特開2000−31501号公報(特許文献2)が開示されている。
【0003】
特許文献1は、シリコン基板を加工して固定部と可動部を形成し、加速度センサや角速度センサ等を構成するシリコン構造体の製造方法に関するもので、複雑形状のエッチング加工を必要とする。
【0004】
特許文献1に記載されたシリコン構造体の製造方法では、単結晶シリコンの上層と酸化シリコンの中間層と単結晶シリコンのベース層が積層されている1枚のSOI基板を用いており、次の2つのエッチング工程を必要とする。すなわち、シリコン構造体を形成する固定部と可動部を分離する範囲において、前記上層を異方性エッチングして除去するエッチング工程と、前記上層が除去された範囲から前記中間層を等方性エッチングし、前記上層が除去された範囲の前記中間層と、前記固定部と前記可動部を分離する範囲の前記中間層を完全に除去するエッチング工程である。具体的に説明すると、先のエッチング工程では、上層の単結晶シリコン表面に形成されたパターニングされた酸化膜をマスクとして、上層の単結晶シリコンを中間層までエッチングする。後のエッチング工程では、先のエッチング工程で露出された中間層を、フッ化水素(HF)などの薬液によってウェットエッチングするものである。
【0005】
特許文献2は、半導体圧力センサ等における薄肉部(ダイヤフラム)を形成するためのエッチング方法に関するもので、深くて大きい除去領域のエッチング加工を必要とする。
【0006】
特許文献2に記載されたエッチング方法では、エッチング時間の短縮と薄肉部厚さの均一化を両立するために、次のようにエッチングする。すなわち、PN接合を有するシリコンウエハをKOH水溶液に浸漬した状態でシリコンウエハの一方の面からエッチングを行い、シリコンウエハの一部領域を所定量エッチングするとともに、PN接合面近傍でシリコンの陽極酸化にてエッチングを停止させる。この陽極酸化にてエッチングを停止する際に、シリコンウエハに流れる電流の勾配が大きくなった時、処理槽の中のKOH水溶液よりも低温・低濃度の液を処理槽に注入し、希釈・冷却する。このように、ウエハ面内での全てのエッチング加工面がPN接合部に達する前にエッチング液の低温化と低濃度化を行うことで、ダイヤフラム(薄肉部)における厚さの均一化を図るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−264902号公報
【特許文献2】特開2000−31501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載されたシリコン構造体の製造方法では、可動部及び固定部を形成するために上層の単結晶シリコンを深さ方向にエッチングし、その後、中間層の酸化シリコンを横方向(基板面に沿う方向)にエッチングする必要がある。しかしながら、中間層の酸化シリコンはエッチング速度が遅く、上層の単結晶シリコンもエッチングレートが低くて、エッチング速度を向上させるには限界がある。
【0009】
また、特許文献2に記載されたエッチング方法では、深くて大きい除去領域の全てをエッチングにより除去する必要があり、この場合にもエッチング時間の短縮に限界がある。また、深くて大きい除去領域は単結晶シリコンからなり、前述したようにエッチングレートが低くて、エッチング速度を向上させるには限界がある。
【0010】
以上のように、複雑形状や深くて大きい除去領域のエッチング加工においては、エッチング速度の向上が、重要課題となっている。
【0011】
また、上記した特許文献1のシリコン構造体の製造に関連して、エッチング速度向上のため、レーザ光の照射を利用した新規な半導体装置の製造方法が発明されている。すなわち、単結晶シリコン基板に対してレーザ光を照射して、焦点を移動させることによって、少なくとも一部が表面に露出するように前記単結晶シリコン基板の内部を部分的に多結晶化する改質工程と、前記改質工程にて多結晶化した部位をエッチャントにてエッチングするエッチング工程とを備えた製造方法である。
【0012】
上記製造方法でレーザ光の照射により多結晶化した部位は、多結晶化していない単結晶シリコン基板の他の部位に比べて、エッチャントの浸透速度、吸着速度が速くなる。従って、上記製造方法では、改質工程において予め単結晶シリコン基板を多結晶化しておき、その多結晶化した部位をエッチング工程においてエッチャントにてエッチングすることによって、単結晶シリコン基板を用いた半導体装置を製造する際に、エッチング速度を向上させることができる。尚、この発明については、すでに特許出願済み(出願番号2009−184969)である。
【0013】
上記レーザ光の照射を利用した新規なエッチング加工については、特許文献1の加速度センサ等を構成するシリコン構造体のような複雑形状の半導体装置だけでなく、特許文献2の半導体圧力センサのような薄肉部(ダイヤフラム)を形成する半導体装置の製造にも適用できることが望ましい。しかしながら、レーザ光の照射とそれによって形成される改質部位の関係については、まだ明らかになっていない。従って、どのようなレーザ光の照射によって必要とする改質部位が得られ、良好なエッチング加工が可能になるかまだ明らかではない。また、深くて大きい除去領域のエッチング加工を必要とする後者の半導体装置の製造においては、前者の半導体装置の製造に較べて、さらにエッチング速度を高める必要がある。
【0014】
そこで、本発明は、レーザ光の照射を利用したエッチング加工による半導体装置の製造方法であって、複雑形状や深くて大きい除去領域等のエッチング加工が必要な広範囲の半導体装置の製造に適用可能で、高いエッチング速度が得られる半導体装置の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法は、単結晶シリコンからなる基板に対して、焦点位置を移動させてレーザ光をパルス照射し、前記単結晶シリコンを部分的に多結晶化して、前記単結晶シリコン中に連続した改質層を形成する改質層形成工程と、前記改質層をエッチングして除去するエッチング工程と、を備えることを特徴としている。
【0016】
上記製造方法によれば、改質層形成工程において、単結晶シリコンからなる基板に対して、焦点を絞ってレーザ光をパルス照射するため、基板の表面に影響を与えることなく、基板の内部の小さな領域(パルススポット)にレーザ光のパルスエネルギーを集中させることができる。パルスエネルギーが集中する小さな領域の単結晶シリコンは、一旦溶融した後、多結晶化する。上記製造方法の改質層形成工程においては、レーザ光をパルス照射する時の焦点位置を適当なピッチ(間隔)で移動させることによって、各焦点位置で1パルスのレーザ光によって形成される多結晶化した小さな領域(パルス多結晶化領域)が連結するようにし、連続した改質層を形成するようにしている。
【0017】
単結晶シリコンが多結晶化して形成される上記連続した改質層は、単結晶シリコンからなる周りの部位に較べて、エッチャントの浸透速度や吸着速度が速くなり、エッチング速度が高められる。このため、次のエッチング工程においては、上記連続した改質層を形成しない場合に較べて、高いエッチング速度を得ることができる。
【0018】
上記連続した改質層の形成は、焦点位置の移動(方向)を適宜設定することで任意の形状に形成可能であり、複雑形状や深くて大きい除去領域等のエッチング加工が必要な広範囲の半導体装置の製造に適用可能である。また、上記連続した改質層は、焦点位置を移動させてレーザ光をパルス照射して形成しているため、レーザ光を連続的に照射しながら焦点位置も連続的に移動する方法に較べて、レーザ光のエネルギー利用効率が高められる共に、改質層の形成速度を上げることができる。
【0019】
以上のようにして、上記半導体装置の製造方法は、レーザ光の照射を利用したエッチング加工による半導体装置の製造方法であって、複雑形状や深くて大きい除去領域等のエッチング加工が必要な広範囲の半導体装置の製造に適用可能で、高いエッチング速度が得られる半導体装置の製造方法とすることができる。
【0020】
上記製造方法において、基板の表面に影響を与えることなく、基板の内部にレーザ光のパルスエネルギーを集中させるためには、単結晶シリコンに対して適度な透過性(吸収性)を有したレーザ光が必要である。すなわち、エネルギー密度の小さい基板表面ではレーザ光の吸収が起きずに、パルスエネルギーを集中させる基板内部の焦点位置で、レーザ光が十分に吸収されるようにして、多結晶化が起きるようにする必要がある。
【0021】
このためには、請求項2に記載のように、前記レーザ光の波長が、1000nm以上、1100nm以下であることが好ましい。レーザ光の波長が1000nmより小さい場合には、透過率が低すぎて基板表面でのエネルギー吸収が大きく、基板内部までレーザ光のエネルギーを到達させることが困難となる。また、レーザ光の波長が1100nmより大きい場合には、透過率が高すぎてレーザ光のエネルギー吸収が小さく、基板内部でのパルスエネルギーの集中が困難となる。
【0022】
前記レーザ光の平均パルスエネルギーは、請求項3に記載のように、2.5μJより大きいことが好ましい。また、請求項4に記載のように、前記平均パルスエネルギーは、15μJ以下であることが好ましい。特に、請求項5に記載のように、前記平均パルスエネルギーは、6.25μJ以上、12.5μJ以下が好適である。
【0023】
レーザ光の平均パルスエネルギーが2.5μJ以下の場合には、明確な改質層が識別できず、多結晶化が不十分である。平均パルスエネルギーが4μJ程度で、1パルスのレーザ光によって形成されるパルス多結晶化領域が明確に識別できるようになる。平均パルスエネルギーを6.25μJから12.5μJまで大きくしていくと、それに伴ってパルス多結晶化領域も大きくなる。しかしながら、平均パルスエネルギーを15μJより大きくしても、パルス多結晶化領域の大きさはほとんど変わらずに一定である。
【0024】
上記レーザ光の平均パルスエネルギーの範囲で得られるパルス多結晶化領域の大きさは、基板面内における平均幅が2〜5μm程度であり、基板面に垂直方向の平均高さが、10〜25μm程度である。
【0025】
従って、上記半導体装置の製造方法において、請求項6に記載のように、前記焦点位置の移動方向が、基板面に平行方向である場合には、前記焦点位置の移動の面内ピッチが、5μm以下であることが好ましい。特に、請求項7に記載のように、前記面内ピッチが、2μm以上、4μm以下が好適である。これらの条件によって、パルス照射するレーザ光の焦点位置を基板面に平行方向に移動させた場合において、隣り合う焦点位置で形成されるパルス多結晶化領域を確実に重ね合わせることができ、基板面に平行方向に連続する改質層を、安定的かつ効率的に形成することができる。
【0026】
一方、上記半導体装置の製造方法において、請求項8に記載のように、前記焦点位置の移動方向が、基板面に垂直方向である場合には、前記焦点位置の移動の深さピッチが、27μm以下であることが好ましい。特に、請求項9に記載のように、前記深さピッチが、10μm以上、25μm以下が好適である。これらの条件によって、パルス照射するレーザ光の焦点位置を基板面に垂直方向に移動させた場合において、隣り合う焦点位置で形成されるパルス多結晶化領域を確実に重ね合わせることができ、基板面に垂直方向に連続する改質層を、安定的かつ効率的に形成することができる。
【0027】
上記半導体装置の製造方法は、例えば請求項10に記載のように、前記半導体装置として、ダイヤフラムを有するセンサに適用し、前記改質層形成工程とエッチング工程を、前記ダイヤフラムの形成に適用することができる。
【0028】
この場合、例えばダイヤフラムの下方の除去領域を全て前記改質層としてからエッチングにより除去することで、ダイヤフラムの形成が可能である。これによれば、該改質層を形成しない場合に較べて、前述したようにエッチング時間の短縮が可能であり、除去領域を規定するマスクも不要である。エッチングにより除去される改質層は多結晶化されているため、単結晶シリコンをウェットエッチングする場合の結晶面方位に対するエッチングの異方性もない。このため、高アスペクト比の凹構造を形成することができ、ダイヤフラムの下方の開口面積も小さくすることができる。
【0029】
しかしながら、このダイヤフラムを形成する場合には、請求項11に記載のように、前記改質層形成工程において、前記ダイヤフラムの下方の除去領域に対して、該除去領域の界面に沿って前記改質層を形成し、前記エッチング工程において、前記改質層をエッチングして除去することにより、前記除去領域を刳り貫いて、前記ダイヤフラムを形成することが、より好ましい。
【0030】
これによれば、上記した改質層を形成する幾つかのメリットに加えて、ダイヤフラムの下方の除去領域を全て改質層とする場合に較べて、改質層の形成時間も短縮することができる。
【0031】
また、請求項12に記載のように、この場合の前記エッチングは、エッチングレートの高い、水酸化カリウム水溶液(KOH)あるいは水酸化テトラメチルアンモニア(TMAH)等をエッチャントに用いた、ウェットエッチングであることが好ましい。
【0032】
前述したように、焦点位置を基板面に対して垂直方向に移動して、基板面に対して垂直方向に連続する最小の改質層を形成する場合には、該改質層の基板面内における平均幅が2〜5μm程度になる。また、焦点位置を基板面に対して平行方向に移動して、基板面に対して平行方向に連続する改質層を形成する場合には、該改質層の基板面に対する垂直方向の平均高さが10〜25μm程度になる。
【0033】
従って、ダイヤフラムの下方の基板中に形成される該改質層に対して、エッチャントを回り込ませて十分に供給するためには、請求項13に記載のように、前記ダイヤフラムの基板面における最大幅が、600μm以下とすることが好ましい。特に、請求項14に記載のように、前記最大幅が、350μm以下が好適である。
【0034】
ダイヤフラムの基板面における最大幅が350μmより大きくなると、エッチングレートが1/4程度に低下し、最大幅が600μmより大きくなると、エッチングレートがさらに1/4程度に低下して、エッチング速度が非常に遅くなる。
【0035】
また、このダイヤフラムを形成する場合には、請求項15に記載のように、前記改質層を、最終的に形成する前記ダイヤフラムと10μm以上、30μm以下の間隔をとって、基板面に平行に形成することが好ましい。
【0036】
上記したレーザ光のパルス照射によって形成する改質層の周りの単結晶シリコンにおいては、種々の欠陥が入っている可能性がある。このため、最終的に形成するダイヤフラムと改質層の間隔を10μm以上とすることで、改質層の周りにおけるレーザ光のパルス照射で欠陥を含んだ単結晶シリコンを、エッチングにより確実に除去することができる。また、上記間隔を30μm以下とすることで、上記欠陥除去のためのエッチング代として使用する単結晶シリコンの幅を必要最小限に留め、全体のエッチング時間を抑制することができる。
【0037】
また、上記半導体装置の製造方法は、上記ダイヤフラムを有するセンサのような深くて大きい除去領域のエッチング加工が必要な半導体装置への適用に限らず、複雑形状の除去領域のエッチング加工が必要な半導体装置の製造にも好適である。
【0038】
例えば請求項16に記載のように、前記半導体装置として、印加される力学量に応じて変位する可動部と変位しない固定部を有する半導体力学量センサを適用し、前記改質層形成工程とエッチング工程を、前記可動部と固定部の形成に適用することができる。
【0039】
また、請求項17に記載のように、前記半導体装置として、トレンチゲートを有するトランジスタを適用し、前記改質層形成工程とエッチング工程を、前記トレンチゲートの形成に適用することができる。
【0040】
上記半導体装置の製造方法における前記基板は、例えば請求項18に記載のように、単結晶シリコン基板であってよいし、請求項19に記載のように、単結晶シリコン中に酸化膜が埋め込まれたSOI基板であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】レーザ光照射装置50の全体構成を示した図である。
【図2】レーザ光照射装置50による改質層形成工程の様子を示した図で、(a)は、単結晶シリコンからなる基板10の断面図で、白抜き矢印の方向に焦点位置を移動させてパルス照射される、レーザ光Lの先端周りを拡大して模式的に示した図である。また、(b)は、(a)の焦点位置を移動させてパルス照射されるレーザ光Lによって形成された、改質層11の断面SEM像である。
【図3】レーザ光Lの平均パルスエネルギーとそれによって形成される図2のパルス多結晶化領域MRの平均幅Wおよび平均高さHの関係を調べた結果である。
【図4】レーザ光Lの平均パルスエネルギーを5μJとして、パルス照射するレーザ光Lの焦点位置を基板面に平行方向に移動させた場合の改質層11の形成例を示した図である。尚、(a)は、SEM観察した基板10の断面のトレース図であり、(b)は、改質層11の周りを拡大した断面SEM像である。
【図5】レーザ光Lの平均パルスエネルギーを12.5μJとして、パルス照射するレーザ光Lの焦点位置を基板面に平行方向に移動させた場合の改質層11の形成例を示した図である。
【図6】レーザ光Lの平均パルスエネルギーを15μJとして、パルス照射するレーザ光Lの焦点位置を基板面に平行方向に移動させた場合の改質層11の形成例を示した図である。
【図7】上記した製造方法が適用可能な半導体装置の一例で、ピエゾ抵抗層を用いた半導体圧力センサ20の模式的な断面図である。
【図8】図7と同様のダイヤフラム35を有するセンサ30に対して、図1〜図6で説明した製造方法の適用例を示した図である。尚、(a)〜(d)は、センサ30の製造工程別の模式的な断面図である。
【図9】図7と同様のダイヤフラム35を有するセンサ30に対して、図1〜図6で説明した製造方法の別の適用例を示した図である。
【図10】図9(c)に示した除去領域34の界面に沿って形成する改質層11bのサイズとエッチングの好ましい関係を説明する図である。(a)は、改質層11bの各部のサイズを示した図であり、(b)は、(a)に示すダイヤフラム35の基板面における最大幅WDとエッチングレートの関係を示した図である。
【図11】平坦で均一厚さのダイヤフラムとする方法の例を示した図で、(a)〜(c)は、製造工程別の断面図である。
【図12】平坦で均一厚さのダイヤフラムとする方法の別の例を示した図で、(a)〜(c)は、製造工程別の断面図である。
【図13】複雑形状の除去領域のエッチング加工が必要な力学量の印加に応じて変位可能な可動部を有する半導体力学量センサの一例で、(a)は、容量式加速度センサ40の模式的な上面図であり、(b)は、(a)における一点鎖線A−Aでの断面図である。
【図14】(a)〜(c)は、図13の容量式加速度センサ40の製造方法を示す、製造工程別の模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、単結晶シリコンからなる基板に対して、焦点位置を移動させてレーザ光をパルス照射し、前記単結晶シリコンを部分的に多結晶化して、前記単結晶シリコン中に連続した改質層を形成する改質層形成工程と、前記改質層をエッチングして除去するエッチング工程と、を備える。以下、本発明を実施するための形態を、図に基づいて説明する。
【0043】
図1〜図6は、上記改質層形成工程を説明する図で、図1は、レーザ光照射装置50の全体構成を示した図である。
【0044】
図1に示すレーザ光照射装置50は、レーザ光駆動制御部51とレーザ光源52、可変焦点レンズ53や集光レンズ54等からなる光学系、基板10を搭載するステージ55とステージ駆動部56、および制御部57等で構成されている。
【0045】
レーザ光駆動制御部51は、制御部57の指令に従って、レーザ光源52からレーザ光Lをパルス照射させるための駆動装置である。
【0046】
レーザ光源52は、レーザ光Lをパルス的に発生させることのできる光源である。レーザ光源52として、例えば、発振波長が1064nm、発振周波数が80kHz、出力が0.96WのYAGレーザが用いられる。
【0047】
本発明の半導体装置の製造方法では、後で詳述するように、単結晶シリコンからなる基板10の内部で焦点位置を移動させて、レーザ光Lをパルス照射する。従って、基板10の表面に影響を与えることなく、基板10の内部にレーザ光Lのパルスエネルギーを集中させるためには、単結晶シリコンに対して適度な透過性(吸収性)を有したレーザ光Lの吸収が起きずに、パルスエネルギーを集中させる基板10の内部の焦点位置で、レーザ光Lが十分に吸収されるようにして、多結晶化が起きるようにする必要がある。このためには、レーザ光Lの波長が、1000nm以上、1100nm以下であることが好ましい。レーザ光Lの波長が1000nmより小さい場合には、透過率が低すぎて基板10の表面でのエネルギー吸収が大きく、基板10の内部までレーザ光Lのエネルギーを到達させることが困難となる。また、レーザ光Lの波長が1100nmより大きい場合には、透過率が高すぎてレーザ光Lのエネルギー吸収が小さく、基板10の内部でのパルスエネルギーの集中が困難となる。
【0048】
尚、上記半導体装置の製造方法における基板10は、例えば、単結晶シリコン基板であってよいし、単結晶シリコン中に酸化膜が埋め込まれたSOI基板であってもよい。
【0049】
図1に示すレーザ光照射装置50の可変焦点レンズ53は、ステージ55上に搭載された基板10の上方に配置され、レーザ光Lの焦点をZ方向(基板10の深さ方向)に移動させることができる。集光レンズ54は、レーザ光源52から発せられたレーザ光Lを、可変焦点レンズ53で設定された焦点位置に集光する。集光レンズ54により集光されるレーザ光Lのパルススポット径は、1〜5μm程度である。
【0050】
ステージ55は、基板10が搭載された状態で、基板10をX−Y方向(基板10の基板面に沿う方向)に移動させる台である。ステージ駆動部56は、制御部57の指令に従って、ステージ55をX−Y方向に移動させるための駆動装置である。尚、図1のレーザ光照射装置50では、ステージ55でレーザ光Lの焦点位置を基板10の基板面に沿う方向(X−Y方向)に移動させている。しかしながらこれに限らず、レーザ光Lの焦点位置を、光学的にX−Y方向に変位させるようにしてもよい。また、図1のレーザ光照射装置50では、可変焦点レンズ53でレーザ光Lの焦点を基板10の深さ方向(Z方向)に移動させている。しかしながらこれに限らず、ステージ55をZ方向に移動させて、レーザ光Lの焦点位置をZ方向に移動させるようにしてもよい。
【0051】
制御部57は、中央制御装置で、レーザ光駆動制御部51とステージ駆動部56にそれぞれ指令を出すことにより、レーザ光源52からレーザ光Lをパルス照射させると共にステージ55を移動させる。制御部57は、予め用意されたプログラムに従って、上記指令を実行する。
【0052】
具体的には、制御部57は、まず、レーザ光Lのパルススポットが基板10の所定の深さに位置するように、レーザ光駆動制御部51に指令を出して可変焦点レンズ53を設定する。そして、制御部57は、基板10の面内方向のうちレーザ光Lをパルス照射したい場所にステージ55を移動させ、その位置でレーザ光をパルス照射するように、レーザ光駆動制御部51とステージ駆動部56に指令を出す。基板10の所定範囲の領域にレーザ光Lをパルス照射する場合には、制御部57は、ステージ55の移動もしくは可変焦点レンズ53の焦点位置設定の移動とレーザ光Lのパルス照射のタイミングとが合うように、レーザ光駆動制御部51とステージ駆動部56とを駆動する。
【0053】
図2は、上記したレーザ光照射装置50による改質層形成工程の様子を示した図で、図2(a)は、単結晶シリコンからなる基板10の断面図で、白抜き矢印の方向に焦点位置を移動させてパルス照射される、レーザ光Lの先端周りを拡大して模式的に示した図である。また、図2(b)は、図2(a)の焦点位置を移動させてパルス照射されるレーザ光Lによって形成された、改質層11の断面SEM像である。
【0054】
本発明の半導体装置の製造方法では、図2(a)に示す改質層形成工程において、単結晶シリコンからなる基板10に対して、焦点位置を移動させてレーザ光Lをパルス照射し、単結晶シリコンを部分的に多結晶化して、単結晶シリコン中に連続した改質層11を形成する。そして、次のエッチング工程において、該改質層11をエッチングして除去する。
【0055】
図2(a)に示した符号PSは、集光されるレーザ光Lの焦点位置でのパルススポットで、前述したように1〜5μm程度の径を有している。尚、プログラムに設定されている焦点位置の移動によって、後に順次形成されていくレーザ光Lのパルススポットを、破線で示している。図2(a)では、レーザ光Lの焦点位置が、基板面に平行方向に面内ピッチPLで移動され、基板面に垂直方向に深さピッチPDで移動される。また、図2(a)にある符号MRは、1パルスのレーザ光Lによって形成されるパルス多結晶化領域で、基板10の面内方向で平均幅Wを有しており、基板10の厚さ方向で平均高さHを有している。
【0056】
図3は、レーザ光Lの平均パルスエネルギーとそれによって形成される図2のパルス多結晶化領域MRの平均幅Wおよび平均高さHの関係を調べた結果である。
【0057】
図3に示すように、レーザ光Lの平均パルスエネルギーが2.5μJ以下の場合には、明確な改質層11が識別できず、多結晶化が不十分である。平均パルスエネルギーが4μJ程度で、パルス多結晶化領域MRが明確に識別できるようになる。平均パルスエネルギーを6.25μJから12.5μJまで大きくしていくと、それに伴ってパルス多結晶化領域MRも大きくなる。しかしながら、平均パルスエネルギーを15μJより大きくしても、パルス多結晶化領域MRの大きさはほとんど変わらずに一定である。
【0058】
以上の結果より、レーザ光Lの平均パルスエネルギーは、2.5μJより大きいことが好ましい。また、平均パルスエネルギーは、15μJ以下であることが好ましい。特に、平均パルスエネルギーは、6.25μJ以上、12.5μJ以下が好適である。
【0059】
上記レーザ光Lの平均パルスエネルギーの範囲で得られるパルス多結晶化領域MRの大きさは、基板面内における平均幅Wが2〜5μm程度であり、基板面に垂直方向の平均高さHが、10〜25μm程度である。
【0060】
従って、上記半導体装置の製造方法において、焦点位置の移動方向が基板面に平行方向である場合には、図2(a)に示す焦点位置の移動の面内ピッチPLが、5μm以下であることが好ましい。特に、面内ピッチPLが、2μm以上、4μm以下が好適である。これらの条件によって、パルス照射するレーザ光Lの焦点位置を基板面に平行方向に移動させた場合において、隣り合う焦点位置で形成されるパルス多結晶化領域MRを確実に重ね合わせることができ、基板面に平行方向に連続する改質層11を、安定的かつ効率的に形成することができる。
【0061】
一方、上記半導体装置の製造方法において、焦点位置の移動方向が基板面に垂直方向である場合には、図2(a)に示す焦点位置の移動の深さピッチPDが、27μm以下であることが好ましい。特に、深さピッチPDが、10μm以上、25μm以下が好適である。これらの条件によって、パルス照射するレーザ光Lの焦点位置を基板面に垂直方向に移動させた場合において、隣り合う焦点位置で形成されるパルス多結晶化領域MRを確実に重ね合わせることができ、基板面に垂直方向に連続する改質層11を、安定的かつ効率的に形成することができる。
【0062】
図4〜図6は、レーザ光Lの平均パルスエネルギーをそれぞれ5μJ,12.5μJ,15μJとして、パルス照射するレーザ光Lの焦点位置を基板面に平行方向に移動させた場合の改質層11の形成例を示した図である。尚、図4〜図6において、いずれも、(a)は、SEM観察した基板10の断面のトレース図であり、(b)は、改質層11の周りを拡大した断面SEM像である。
【0063】
図4(a)、(b)に示す例は、平均パルスエネルギーが5μJ(平均出力:0.4W)で、パルス周波数:80kHz、基板面内の送り速度:300mm/sを採用している。図4(a)に示すように、改質層11は、単結晶シリコンからなる基板10の表面から60μm(x2)の位置に、15μm程度(x1)の厚みで形成されている。また、図4(b)に示すように、改質層11の底には、マイクロドームDSが厚み4μm程度(x3)、幅1μm程度(y3)で形成されている。マイクロドームDSは、図2(a)に示したレーザ光Lの焦点位置でのパルススポットPSに対応しており、パルススポットPSで単結晶シリコンが一旦溶融することによって形成されると考えられる。
【0064】
図5(a)、(b)に示す例は、平均パルスエネルギーが12.5μJ(平均出力:1.0W)で、パルス周波数:80kHz、基板面内の送り速度:300mm/sを採用している。図5(a)に示すように、改質層11は、単結晶シリコンからなる基板10の表面から45μm(x5)の位置に、30μm程度(x4)の厚みで形成されている。また、図5(b)に示すように、マイクロドームDSが、改質層11の底に、厚み2μm程度(x6)、幅1μm程度(y6)で形成されている。
【0065】
図6(a)、(b)に示す例は、平均パルスエネルギーが15μJ(平均出力:1.2W)で、パルス周波数:80kHz、基板面内の送り速度:300mm/sを採用している。図6(a)に示すように、改質層11は、単結晶シリコンからなる基板10の表面から45μm(x8)の位置に、30μm程度(x7)の厚みで形成されている。また、図6(b)に示すように、マイクロドームDSが、改質層11の底に、厚み2μm程度(x9)、幅1μm程度(y9)で形成されている。
【0066】
以上説明したように、上記製造方法によれば、改質層形成工程において、単結晶シリコンからなる基板10に対して、焦点を絞ってレーザ光Lをパルス照射するため、基板10の表面に影響を与えることなく、基板10の内部の小さな領域(パルススポットPS)にレーザ光Lのパルスエネルギーを集中させることができる。パルスエネルギーが集中する小さな領域の単結晶シリコンは、一旦溶融した後、多結晶化する。上記製造方法の改質層形成工程においては、レーザ光をパルス照射する時の焦点位置を適当なピッチ(間隔)で移動させることによって、各焦点位置で1パルスのレーザ光Lによって形成される多結晶化した小さな領域(パルス多結晶化領域MR)が連結するようにし、連続した改質層11を形成するようにしている。
【0067】
単結晶シリコンが多結晶化して形成される上記連続した改質層11は、単結晶シリコンからなる周りの部位に較べて、エッチャントの浸透速度や吸着速度が速くなり、エッチング速度が高められる。このため、次のエッチング工程においては、連続した改質層11を形成しない場合に較べて、高いエッチング速度を得ることができる。
【0068】
上記連続した改質層11の形成は、焦点位置の移動(方向)を適宜設定することで任意の形状に形成可能であり、複雑形状や深くて大きい除去領域等のエッチング加工が必要な広範囲の半導体装置の製造に適用可能である。また、上記連続した改質層11は、焦点位置を移動させてレーザ光Lをパルス照射して形成しているため、レーザ光Lを連続的に照射しながら焦点位置も連続的に移動する方法に較べて、レーザ光Lのエネルギー利用効率が高められる共に、改質層11の形成速度を上げることができる。
【0069】
以上のようにして、上記半導体装置の製造方法は、レーザ光Lの照射を利用したエッチング加工による半導体装置の製造方法であって、複雑形状や深くて大きい除去領域等のエッチング加工が必要な広範囲の半導体装置の製造に適用可能で、高いエッチング速度が得られる半導体装置の製造方法となっている。
【0070】
次に、上記した製造方法の具体的な半導体装置への適用について説明する。
【0071】
図7は、上記した製造方法が適用可能な半導体装置の一例で、ピエゾ抵抗層を用いた半導体圧力センサ20の模式的な断面図である。
【0072】
図7に示す半導体圧力センサ20では、結晶方位(100)のP型シリコン基板21の一面に厚さ6μmのN型エピタキシャル層22が形成され、この積層体により単結晶シリコンからなる半導体基板23が構成されている。P型シリコン基板21には、一面に開口する凹部24が形成され、この凹部24の底面24aにて、薄肉部25が構成されている。この薄肉部25が、センサダイヤフラムとなっている。
【0073】
図7において、N型エピタキシャル層22には、P+型不純物拡散層26が形成され、このP+型不純物拡散層26が歪みを感知するためのピエゾ抵抗となる。N型エピタキシャル層22の表面には、シリコン酸化膜27が形成されている。また、P+型不純物拡散層26が、アルミ配線28にて、シリコン酸化膜27の表面側に電気的に引き出されている。
【0074】
以上のように、図7に示す半導体圧力センサ20は、ダイヤフラム(薄肉部25)を有するセンサで、深くて大きい除去領域(凹部24)のエッチング加工が必要な半導体装置である。図7に示す半導体圧力センサ20の凹部24の形成には、従来より、電気化学エッチング等が利用されている。
【0075】
上記した半導体装置の製造方法は、図7に示す半導体圧力センサ20のように、ダイヤフラムを有するセンサに適用し、前記改質層形成工程とエッチング工程を、ダイヤフラムの形成に適用することができる。
【0076】
図8と図9は、それぞれ、図7と同様のダイヤフラム35を有するセンサ30に対して、図1〜図6で説明した製造方法の適用例を示した図である。尚、図8と図9において、(a)〜(d)は、いずれも、センサ30の製造工程別の模式的な断面図である。図8と図9に示す製造途中のセンサ30の各断面図は、図7の半導体圧力センサ20を反転したものに対応している。また、図8と図9に示す製造工程別の各断面図おいて、図2と同様の部分については、同じ符号を付した。
【0077】
図8に示すセンサ30の製造方法では、最初に、図8(a)に示すように、単結晶シリコンからなる基板10を準備し、ダイヤフラム35となる基板10の一方の表層部に、センサ構造39の各構成要素を形成しておく。尚、図8(a)では、ダイヤフラム35を形成するための基板10の除去領域34を、一点鎖線で示した。
【0078】
次に、図8(b)に示すように、図1〜図6で説明した改質層形成工程を実施し、パルス照射するレーザ光Lの焦点位置を除去領域34の全体をカバーするように順次移動させて、多結晶化された改質層11aを形成していく。これによって、図8(c)に示すように、除去領域34の全体を、多結晶化された改質層11aとする。
【0079】
最後に、図8(d)に示すように、エッチング工程を実施して、エッチングにより改質層11aを除去する。これによって、ダイヤフラム35を有するセンサ30が製造される。
【0080】
このように、ダイヤフラム35の下方の除去領域34を全て改質層11aとしてからエッチングにより除去することで、センサ30のダイヤフラム35の形成が可能である。これによれば、該改質層11aを形成しない場合に較べて、前述したようにエッチング時間の短縮が可能であり、除去領域34を規定するマスクも不要である。エッチングにより除去される改質層11aは多結晶化されているため、図7の半導体圧力センサ20のように、単結晶シリコンをウェットエッチングする場合の結晶面方位に対するエッチングの異方性もない。このため、高アスペクト比の凹構造を形成することができ、ダイヤフラム35の下方の開口面積も小さくすることができる。
【0081】
図9は、上記ダイヤフラム35を有するセンサ30の、より好ましい製造方法である。
【0082】
図9に示すセンサ30の製造方法においても、最初に図8(a)と同じ工程を実施し、図9(a)に示すように、単結晶シリコンからなる基板10を準備して、ダイヤフラム35となる基板10の一方の表層部に、センサ構造39の各構成要素を形成しておく。
【0083】
次に、図9(b)に示すように、図1〜図6で説明した改質層形成工程を実施し、ダイヤフラム35の下方の除去領域34に対して、パルス照射するレーザ光Lの焦点位置を該除去領域34の界面に沿って順次移動させて、改質層11bを形成していく。これによって、図9(c)に示すように、多結晶化された改質層11bを、除去領域34の界面に沿って形成する。
【0084】
最後に、図9(d)に示すように、エッチング工程を実施して、エッチングにより改質層11bを除去する。これによって、図9(c)に示す除去領域34の単結晶シリコンからなる残存部10rが刳り貫かれ、ダイヤフラム35を有するセンサ30が製造される。
【0085】
除去領域34の界面に沿って改質層11bを形成し、除去領域34を刳り貫いてダイヤフラム35を形成する、上記した図9の方法は、図8に示したダイヤフラム35の下方の除去領域34を全て改質層11aとする方法に較べて、より好ましい方法である。これによれば、図8で説明した改質層11aを形成する幾つかのメリットに加えて、改質層11bの形成時間も短縮することができる。
【0086】
次に、図9に示した除去領域34を刳り貫いてダイヤフラム35を形成する場合の詳細について、好ましい実施形態を説明する。
【0087】
図9に示した除去領域34を刳り貫いてダイヤフラム35を形成する場合、エッチング工程におけるエッチングは、エッチングレートの高い、水酸化カリウム水溶液(KOH)あるいは水酸化テトラメチルアンモニア(TMAH)等をエッチャントに用いた、ウェットエッチングであることが好ましい。
【0088】
図10は、図9(c)に示した除去領域34の界面に沿って形成する改質層11bのサイズとエッチングの好ましい関係を説明する図である。図10(a)は、改質層11bの各部のサイズを示した図であり、図10(b)は、図10(a)に示すダイヤフラム35の基板面における最大幅WDとエッチングレートの関係を示した図である。
【0089】
図2と図3で説明したように、パルス多結晶化領域MRの平均幅Wは2〜5μm程度であり、パルス多結晶化領域MRの平均高さHは10〜25μm程度である。従って、図10(a)に示す改質層11bを最小の大きさで形成する場合において、レーザ光Lの焦点位置を基板面に対して垂直方向に移動して、基板面に対して垂直方向に連続する最小の改質層11bを形成する場合には、図10(a)に示した該改質層11bの基板面内における平均幅Wも2〜5μm程度になる。また、焦点位置を基板面に対して平行方向に移動して、基板面に対して平行方向に連続する最小の改質層11bを形成する場合には、図10(a)に示した該改質層11bの基板面に対する垂直方向の平均高さも10〜25μm程度になる。従って、エッチングにより改質層11bを完全に除去するためには、このような微小サイズの改質層11bの最奥にまで、エッチャントが十分に回り込んで供給される必要がある。
【0090】
図10(b)に示すダイヤフラム35の最大幅WDとエッチングレートの関係からわかるように、ダイヤフラム35の基板面における最大幅WDが350μmより大きくなると、エッチングレートが1/4程度に低下し、最大幅WDが600μmより大きくなると、エッチングレートがさらに1/4程度に低下して、エッチング速度が非常に遅くなる。
【0091】
従って、ダイヤフラム35の下方の基板中に形成される図10(a)に示した改質層11bに対して、エッチャントを回り込ませて十分に供給するためには、ダイヤフラム35の基板面における最大幅WDが、600μm以下とすることが好ましい。特に、前記最大幅WDが、350μm以下が好適である。
【0092】
次に、図8と図9に示したダイヤフラム35を有するセンサ30の製造方法において、ダイヤフラム35を平坦で均一厚さにするための好ましい方法について説明する。
【0093】
図11と図12は、それぞれ、平坦で均一厚さのダイヤフラムとする方法の例を示した図である。図11と図12は、いずれも図9に示した製造方法の変形例で、(a)〜(c)に示す製造工程別の各断面図おいて、図9と同様の部分については、同じ符号を付した。
【0094】
上記したレーザ光Lのパルス照射によって形成する改質層11,11a,11bの周りの単結晶シリコンには、種々の欠陥が入っている可能性がある。このため、図11と図12に示す製造方法は、エッチング工程を2段階で実施するものである。
【0095】
図11の製造方法では、最初に、図11(a)に示すように、最終的に形成するダイヤフラム35の厚さDTに対して間隔KDをとって、改質層11bを形成する。次に、図11(b)に示すように、第1のエッチングで改質層11bを除去し、単結晶シリコンからなる残存部10rを刳り貫く。最後に、図11(c)に示すように、第2のエッチングでダイヤフラム35の直下に残した図11(b)の単結晶シリコンからなる残存部10sを除去し、平坦な底面34aを有する厚さDTのダイヤフラム35を形成する。
【0096】
図12の製造方法では、単結晶シリコン12,13中に酸化膜14が埋め込まれたSOI基板15を用い、支持基板側の単結晶シリコン12を酸化膜14が露出するまでエッチングしてダイヤフラム35を形成する。最初に、図12(a)に示すように、最終的に形成するダイヤフラム35の厚さDTに対して間隔KDをとって、改質層11bを形成する。次に、図12(b)に示すように、第1のエッチングで改質層11bを除去し、単結晶シリコンからなる残存部12rを刳り貫く。最後に、図12(c)に示すように、第2のエッチングでダイヤフラム35(酸化膜14)の直下に残した図12(b)の単結晶シリコンからなる残存部12sを除去し、平坦な底面34aを有する厚さDTのダイヤフラム35を形成する。
【0097】
上記したように、平坦で均一厚さのダイヤフラムを形成する場合には、改質層11,11a,11bを、最終的に形成するダイヤフラムと10μm以上、30μm以下の間隔(図11と図12に示す間隔KD)をとって、基板面に平行に形成することが好ましい。
【0098】
前述したように、上記レーザ光Lのパルス照射によって形成した改質層11,11a,11bの周りの単結晶シリコンには、種々の欠陥が入っている可能性がある。このため、最終的に形成するダイヤフラム35と改質層11,11a,11bの間隔を10μm以上とすることで、改質層11,11a,11bの周りにおけるレーザ光Lのパルス照射で欠陥を含んだ単結晶シリコンを、エッチングにより確実に除去することができる。また、上記間隔を30μm以下とすることで、上記欠陥除去のためのエッチング代として使用する単結晶シリコンの幅を必要最小限に留め、全体のエッチング時間を抑制することができる。
【0099】
図1〜図6で説明した半導体装置の製造方法は、図7〜図12で説明したダイヤフラム35を有するセンサ30のような深くて大きい除去領域34のエッチング加工が必要な半導体装置への適用に限らず、複雑形状の除去領域のエッチング加工が必要な半導体装置の製造にも好適である。
【0100】
図13は、上記複雑形状の除去領域のエッチング加工が必要な力学量の印加に応じて変位可能な可動部を有する半導体力学量センサの一例で、図13(a)は、容量式加速度センサ40の模式的な上面図であり、図13(b)は、図13(a)における一点鎖線A−Aでの断面図である。尚、半導体力学量センサとしては、力学量の印加に応じて所定方向に変位可能な可動部が構成されたMEMSデバイスであれば採用することができる。具体的には、上記した容量式加速度センサ以外にも、容量式角速度センサ、振動センサ、マイクロフォン、マイクロスキャナなどを採用することができる。
【0101】
図13に示す容量式加速度センサ40において、可動部は、単結晶シリコンからなる基板10の深さ方向にエッチングされたエッチング部41であるトレンチ部41a及び基板10の内部で横方向にエッチングされたエッチング部41であるリリース部41bによって可動化(リリース)され、力学量(加速度)の印加に応じて所定方向(図13においては紙面左右方向)に変位可能な部位である。また、可動部は、基板10をエッチング部41によって区画してなる梁構造体であり、可動電極42、錘部43、バネ部44を含む。なお、基板10の深さ方向とは、基板10の平面(表面)に対して垂直方向を示すものである。一方、基板10の横方向とは、基板10の平面に沿う方向を示すものである。
【0102】
加速度が作用する質量(マス)としての錘部43は、その外周(外枠)が平面長方形とされており、錘部43直下の基板10をエッチングにより除去しやすくするために、エッチング部41の一部である貫通穴が設けられている。この錘部43は、基板10におけるエッチングされた空間(リリース部41b)の底面から浮いた状態で構成されている。従って、錘部43における貫通穴は、基板10の表面からエッチングされた空間(リリース部41b)まで貫通している。なお、必ずしも錘部43に貫通穴を設ける必要はない。
【0103】
可動電極42は、錘部43の変位方向に対して垂直な方向の側面から突出して形成され、図13に示す例では各側面に3本ずつ設けられている。また、錘部43の変位方向側の両端には、四角枠形状の梁構造を有するバネ部44がそれぞれ連結されている。この各バネ部44は、可動部を支持する支持部としてのアンカ45に連結されている。
【0104】
このように可動部は、可動電極42を構成する梁、錘部43を構成する梁、バネ部44を構成する梁が互いに連結されてなる梁構造体となっており、可動部としての梁構造体は、その両端がアンカ45に固定されている。つまり、可動電極42、錘部43、バネ部44は、アンカ45によって支持されて、基板10におけるエッチングされた空間(リリース部41b)の底面から浮いた状態となっている。
【0105】
なお、アンカ45の一方には、アルミニウムなどの金属層をパターニングしてなる可動電極用パッド46が形成されている。
【0106】
一方、複数の固定部47は、それぞれ固定電極48、固定電極用パッド49、及び固定電極48と固定電極用パッド49とを繋ぐ部位を有している。各固定部47における固定電極48と固定電極用パッド49とを繋ぐ部位は、固定電極48と対応する固定電極用パッド49とを電気的に接続する配線として機能するものである。
【0107】
各固定部47は、基板10が深さ方向にエッチングされたエッチング部41であるトレンチ部41aによって区画される。固定部47における配線として機能する部位は、錘部43と平行に配置されており、この部位から延びる固定電極48は、錘部43の両側面から突出する可動電極42に対して、それぞれ所定の検出間隔(隙間)を有しつつ、平行状態で対向配置されている。
【0108】
この固定電極48は、可動電極42と同じ数だけ設けられている。また、固定電極48は、加速度が印加されたとき、可動電極42と固定電極48との間にそれぞれ形成されるコンデンサの各静電容量が、一方で増加し、他方で減少するように設けられている。すなわち、差動増幅する構成となっている。
【0109】
図14(a)〜(c)は、図13の容量式加速度センサ40の製造方法を示す、製造工程別の模式的な断面図である。
【0110】
まず、図14(a)に示すように、単結晶シリコンからなる基板10を用意する。
【0111】
次に、図14(b)に示すように、基板10に対してレーザ光Lを照射して、そのレーザ光Lの焦点を基板10におけるエッチング予定領域内で移動させることによって、基板10の内部を部分的(選択的)に多結晶化し、改質層11(トレンチ用改質層11c、リリース用改質層11d)を形成する(改質層形成工程)。
【0112】
換言すると、基板10における可動部及び固定部を区画する部位を多結晶化する。つまり、可動電極42、錘部43、バネ部44、アンカ45、固定部47の形成予定領域の周辺を多結晶化(トレンチ用改質層11c)すると共に、この周辺の多結晶化された部位に少なくとも一部が連結するように可動電極42、錘部43、バネ部44の形成予定領域の直下を多結晶化(リリース用改質層11d)する。
【0113】
なお、トレンチ部41aを形成するための改質層11をトレンチ用改質層11c、リリース部41bを形成するための改質層11をリリース用改質層11dと称する。つまり、基板10の深さ方向の改質層11をトレンチ用改質層11c、横方向の改質層11をリリース用改質層11dと称する。
【0114】
次に、図14(c)に示すように、エッチング工程を実施して、単結晶シリコンからなる基板10を多結晶化した改質層11を、エッチングにより除去する。なお、エッチング工程としては、ウェットエッチングでもドライエッチング(反応ガス中に材料を晒してエッチングする反応性ガスエッチング、プラズマによりガスをイオン化・ラジカル化してエッチングする反応性イオンエッチング)でも採用することができる。
【0115】
しかしながら、ウェットエッチングの場合、改質層11をエッチング除去したときに、トレンチ部41aやリリース部41bにおいて基板10同士が付着してしまう現象(所謂スティッキング)が生じる可能性がある。そこで、図14(c)のエッチング工程においては、ドライエッチングを採用すると好ましい。ドライエッチングを採用することによって、上述のスティッキングを抑制することができる。また、可動電極42、錘部43、バネ部44の形成予定領域の直下をエッチングする場合は、ウェットエッチングで用いる水溶液に比べて、ドライエッチングで用いるガスのほうがリリース用改質層11dに浸透しやすいので好ましい。
【0116】
なお、このドライエッチングにおけるエッチング条件の一例としては、ガス:XeF2、圧力:1torr、パルスエッチング×5回、反応式:Si+2XeF2→SiF4+2Xeなどを採用することができる。
【0117】
このように、単結晶シリコンからなる基板10における多結晶化した部位(改質層11(トレンチ用改質層11c、リリース用改質層11d)は、多結晶化していない部位(単結晶部位)に比べて、エッチャントの浸透速度、吸着速度が速くなる。従って、予め単結晶シリコンからなる基板10を多結晶化しておき、その多結晶化した部位をエッチャントにて連続的にエッチングすることによって、単結晶シリコンからなる基板10を用いた図13の容量式加速度センサ40を製造する際に、エッチング速度を向上させることができる。
【0118】
また、図1〜図6で説明した半導体装置の製造方法は、半導体力学量センサに限らず、トレンチゲートを有するトランジスタ、複合ICなどの製造にも適用できる。つまり、改質工程においては、単結晶シリコンからなる基板10におけるトレンチゲートの形成予定領域を多結晶化したり、複合ICの素子分離用トレンチの形成予定領域を多結晶化したりする。このようにすることによって、トレンチゲートを有するトランジスタ、複合ICの製造コストを低減することができる。
【0119】
以上説明したように、上記した半導体装置の製造方法は、レーザ光の照射を利用したエッチング加工による半導体装置の製造方法であって、複雑形状や深くて大きい除去領域等のエッチング加工が必要な広範囲の半導体装置の製造に適用可能で、高いエッチング速度が得られる半導体装置の製造方法となっている。
(他の実施形態)
上記した半導体装置の製造方法において、レーザ光の波長は、1000nm以上、1100nm以下が好適である。しかしながらこれに限らず、例えばレーザ光の平均パルスエネルギーを大きく設定すれば、レーザ光の波長は、1100nmより大きくてもよい。尚、レーザ光の波長が1000nmより小さい場合には、基板表面での吸収が支配的となり、基板内部に到達し難くなるので好ましくない。
【0120】
上記した半導体装置の製造方法において、レーザ光の平均パルスエネルギーは、2.5μJより大きいことが好ましい。しかしながらこれに限らず、例えばレーザ光のパルススポット径を小さく設定したりパルス幅を大きく設定したりすれば、レーザ光の平均パルスエネルギーは、2.5μJ以下であってもよい。
【0121】
逆に、レーザ光の平均パルスエネルギーは、15μJ以下であることが好ましい。しかしながらこれに限らず、例えばレーザ光のパルススポット径を大きく設定したりパルス幅を小さく設定したりすれば、レーザ光の平均パルスエネルギーは、15μJより大きくてもよい。
【0122】
上記した半導体装置の製造方法において、レーザ光の焦点位置の移動方向が基板面に平行方向である場合、焦点位置の移動の面内ピッチは、5μm以下であることが好ましい。しかしながらこれに限らず、例えばレーザ光の平均パルスエネルギーを大きく設定すれば、焦点位置の移動の面内ピッチが5μmより大きくてもよい。
【0123】
逆に、焦点位置の移動の面内ピッチは、2μm以上であることが好ましい。しかしながらこれに限らず、例えばレーザ光の平均パルスエネルギーを小さく設定すれば、焦点位置の移動の面内ピッチが2μmより小さくてもよい。
【0124】
レーザ光の焦点位置の移動方向が基板面に垂直方向である場合も同様で、焦点位置の移動の深さピッチは、27μm以下であることが好ましい。しかしながらこれに限らず、例えばレーザ光の平均パルスエネルギーを大きく設定すれば、焦点位置の移動の深さピッチが27μmより大きくてもよい。
【0125】
逆に、焦点位置の移動の深さピッチは、10μm以上であることが好ましい。しかしながらこれに限らず、例えばレーザ光の平均パルスエネルギーを小さく設定すれば、焦点位置の移動の面内ピッチが10μmより小さくてもよい。
【符号の説明】
【0126】
10 単結晶シリコンからなる基板
L レーザ光
PS パルススポット
MR パルス多結晶化領域
PL 焦点位置の移動の面内ピッチ
PD 焦点位置の移動の深さピッチ
11,11a〜11d 改質層
30 センサ
34 除去領域
35 ダイヤフラム
40 容量式加速度センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単結晶シリコンからなる基板に対して、焦点位置を移動させてレーザ光をパルス照射し、前記単結晶シリコンを部分的に多結晶化して、前記単結晶シリコン中に連続した改質層を形成する改質層形成工程と、
前記改質層をエッチングして除去するエッチング工程と、を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記レーザ光の波長が、1000nm以上、1100nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記レーザ光の平均パルスエネルギーが、2.5μJより大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記平均パルスエネルギーが、15μJ以下であることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記平均パルスエネルギーが、6.25μJ以上、12.5μJ以下であることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記焦点位置の移動方向が、基板面に平行方向であり、
前記焦点位置の移動の面内ピッチが、5μm以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記面内ピッチが、2μm以上、4μm以下であることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記焦点位置の移動方向が、基板面に垂直方向であり、
前記焦点位置の移動の深さピッチが、27μm以下であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記深さピッチが、10μm以上、25μm以下であることを特徴とする請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記半導体装置として、ダイヤフラムを有するセンサを適用するものであり、
前記改質層形成工程とエッチング工程を、前記ダイヤフラムの形成に適用することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記改質層形成工程において、前記ダイヤフラムの下方の除去領域に対して、該除去領域の界面に沿って前記改質層を形成し、
前記エッチング工程において、前記改質層をエッチングして除去することにより、前記除去領域を刳り貫いて、前記ダイヤフラムを形成することを特徴とする請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記エッチングが、ウェットエッチングであることを特徴とする請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記ダイヤフラムの基板面における最大幅が、600μm以下であることを特徴とする請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記最大幅が、350μm以下であることを特徴とする請求項13に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記改質層を、最終的に形成する前記ダイヤフラムと10μm以上、30μm以下の間隔をとって、基板面に平行に形成することを特徴とする請求項10乃至14のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記半導体装置として、印加される力学量に応じて変位する可動部と変位しない固定部を有する半導体力学量センサを適用するものであり、
前記改質層形成工程とエッチング工程を、前記可動部と固定部の形成に適用することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記半導体装置として、トレンチゲートを有するトランジスタを適用するものであり、
前記改質層形成工程とエッチング工程を、前記トレンチゲートの形成に適用することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記基板が、単結晶シリコン基板であることを特徴とする請求項1乃至17のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
前記基板が、単結晶シリコン中に酸化膜が埋め込まれたSOI基板であることを特徴とする請求項1乃至17のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項1】
単結晶シリコンからなる基板に対して、焦点位置を移動させてレーザ光をパルス照射し、前記単結晶シリコンを部分的に多結晶化して、前記単結晶シリコン中に連続した改質層を形成する改質層形成工程と、
前記改質層をエッチングして除去するエッチング工程と、を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記レーザ光の波長が、1000nm以上、1100nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記レーザ光の平均パルスエネルギーが、2.5μJより大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記平均パルスエネルギーが、15μJ以下であることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記平均パルスエネルギーが、6.25μJ以上、12.5μJ以下であることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記焦点位置の移動方向が、基板面に平行方向であり、
前記焦点位置の移動の面内ピッチが、5μm以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記面内ピッチが、2μm以上、4μm以下であることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記焦点位置の移動方向が、基板面に垂直方向であり、
前記焦点位置の移動の深さピッチが、27μm以下であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記深さピッチが、10μm以上、25μm以下であることを特徴とする請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記半導体装置として、ダイヤフラムを有するセンサを適用するものであり、
前記改質層形成工程とエッチング工程を、前記ダイヤフラムの形成に適用することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記改質層形成工程において、前記ダイヤフラムの下方の除去領域に対して、該除去領域の界面に沿って前記改質層を形成し、
前記エッチング工程において、前記改質層をエッチングして除去することにより、前記除去領域を刳り貫いて、前記ダイヤフラムを形成することを特徴とする請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記エッチングが、ウェットエッチングであることを特徴とする請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記ダイヤフラムの基板面における最大幅が、600μm以下であることを特徴とする請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記最大幅が、350μm以下であることを特徴とする請求項13に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記改質層を、最終的に形成する前記ダイヤフラムと10μm以上、30μm以下の間隔をとって、基板面に平行に形成することを特徴とする請求項10乃至14のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記半導体装置として、印加される力学量に応じて変位する可動部と変位しない固定部を有する半導体力学量センサを適用するものであり、
前記改質層形成工程とエッチング工程を、前記可動部と固定部の形成に適用することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記半導体装置として、トレンチゲートを有するトランジスタを適用するものであり、
前記改質層形成工程とエッチング工程を、前記トレンチゲートの形成に適用することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記基板が、単結晶シリコン基板であることを特徴とする請求項1乃至17のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
前記基板が、単結晶シリコン中に酸化膜が埋め込まれたSOI基板であることを特徴とする請求項1乃至17のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【図1】
【図3】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図3】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2012−99516(P2012−99516A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−243234(P2010−243234)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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