説明

半導体装置の製造方法

【課題】金属シリサイド層の異常成長を防止する。
【解決手段】半導体基板1にゲート絶縁膜5、ゲート電極6a,6b、ソース・ドレイン用のn型半導体領域7bおよびp型半導体領域8bを形成する。それから、サリサイド技術によりゲート電極6a,6bおよびソース・ドレイン領域上に金属シリサイド層13を形成する。そして、金属シリサイド層13の表面を還元性ガスのプラズマで処理してから、半導体基板1を大気中にさらすことなく、金属シリサイド層13上を含む半導体基板1上に窒化シリコンからなる絶縁膜21をプラズマCVD法で堆積させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、特に、金属シリサイド層上に窒化シリコン膜を形成した半導体素子の製造に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の高集積化が進むにつれて、電界効果トランジスタ(MISFET:Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)はスケーリング則に従い微細化されるが、ゲートやソース・ドレインの抵抗が増大して電界効果トランジスタを微細化しても高速動作が得られないという問題が生ずる。そこで、ゲートを構成する導電膜およびソース・ドレインを構成する半導体領域の表面に自己整合により低抵抗の金属シリサイド層、例えばニッケルシリサイド層またはコバルトシリサイド層などを形成することにより、ゲートやソース・ドレインを低抵抗化するサリサイド技術が検討されている。
【0003】
特開2003−86569号公報(特許文献1)には、CoSi膜表面の自然酸化膜を除去するプラズマ処理方法に関する技術が記載されている。
【0004】
特開平10−112446号公報(特許文献2)には、Tiシリサイド層上のTiO層を除去してからTiN層を形成する技術が記載されている。
【0005】
特開2001−284284号公報(特許文献3)には、CoSi層表面の自然酸化膜を除去してからTiN層を成長させる技術が記載されている。
【0006】
国際公開WO2007/020684号パンフレット(特許文献4)には、ダマシン法を用いて形成したCu配線上にCuの拡散を防止する窒化シリコン膜を形成する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−86569号公報
【特許文献2】特開平10−112446号公報
【特許文献3】特開2001−284284号公報
【特許文献4】国際公開WO2007/020684号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者の検討によれば、次のことが分かった。
【0009】
ゲートを構成する導電膜およびソース・ドレインを構成する半導体領域の表面にサリサイドプロセスにより金属シリサイド層を形成した後、その金属シリサイド層の表面を含む半導体基板上に窒化シリコン膜を形成してから、その窒化シリコン膜上に厚い酸化シリコンの層間絶縁膜を形成し、この層間絶縁膜にコンタクトホールを開口する。コンタクトホールを開口する際には、まず窒化シリコン膜をエッチングストッパとして機能させて層間絶縁膜をドライエッチングしてから、コンタクトホールの底部で窒化シリコン膜をドライエッチングする。コンタクトホール形成後、コンタクトホール内にプラグを埋め込む。
【0010】
しかしながら、金属シリサイド層の表面に自然酸化膜が形成されている状態で窒化シリコン膜を形成すると、金属シリサイド層と窒化シリコン膜の界面に自然酸化膜が残存した状態となる。金属シリサイド層と窒化シリコン膜の界面に自然酸化膜が残存していると、窒化シリコン膜の成膜後の種々の加熱工程(例えば種々の絶縁膜や導体膜の成膜工程のように半導体基板の加熱を伴う工程)において、金属シリサイド層表面にある自然酸化膜の酸素に起因して、金属シリサイド層が部分的に異常成長してしまうことが、本発明者の検討により分かった。そのような金属シリサイド層の異常成長は、金属シリサイド層の抵抗の増加を招き、また、金属シリサイド層がチャネル部に異常成長していると、電界効果トランジスタのソース・ドレイン間のリーク電流の増大を招く可能性がある。これは、半導体装置の性能を低下させる。
【0011】
本発明の目的は、半導体装置の性能を向上させることができる技術を提供することにある。
【0012】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0014】
本発明は、半導体基板に形成された半導体領域の表面に金属シリサイド層を形成し、金属シリサイド層の表面を還元性ガスのプラズマで処理してから、半導体基板を大気中にさらすことなく、金属シリサイド層上を含む半導体基板上に窒化シリコン膜をプラズマCVD法で形成するものである。
【発明の効果】
【0015】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0016】
半導体装置の性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態である半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図2】図1に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図3】図2に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図4】図3に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図5】図4に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図6】図5に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図7】図6に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図8】図7に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図9】図8に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図10】図9に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図11】本発明の一実施の形態である半導体装置の製造工程で用いる窒化シリコン膜の成膜装置を示す概略平面図である。
【図12】図11の成膜装置に備わる成膜用のチャンバの概略断面図である。
【図13】本発明の一実施の形態である半導体装置の製造工程における窒化シリコン膜の形成工程を示す製造プロセスフロー図である。
【図14】窒化シリコン膜の成膜工程における第1の成膜方法のプロセスステップを示す説明図である。
【図15】窒化シリコン膜の成膜工程における第2の成膜方法のプロセスステップを示す説明図である。
【図16】窒化シリコン膜の成膜工程における第3の成膜方法のプロセスステップを示す説明図である。
【図17】窒化シリコン膜の成膜工程における第4の成膜方法のプロセスステップを示す説明図である。
【図18】サリサイドプロセスで金属シリサイド層を形成した後で、金属シリサイド層上に窒化シリコン膜を形成する前の状態を示す要部断面図である。
【図19】比較例の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図20】本発明の一実施の形態である半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図21】本発明の他の実施の形態である半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図22】本発明の他の実施の形態である半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図23】本発明の他の実施の形態である半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図24】本発明の他の実施の形態である半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図25】本発明の他の実施の形態である半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図26】半導体ウエハ上に成膜した窒化シリコン膜をXPS法で測定したスペクトルを示すグラフである。
【図27】本発明の他の実施の形態である半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図28】図27に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図29】図28に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図30】図29に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図31】図30に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図32】図31に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0020】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0021】
(実施の形態1)
本発明の一実施の形態の半導体装置の製造工程を図面を参照して説明する。図1〜図10は、本発明の一実施の形態である半導体装置、例えばCMISFET(Complementary Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)を有する半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【0022】
まず、図1に示されるように、例えば1〜10Ωcm程度の比抵抗を有するp型の単結晶シリコンなどからなる半導体基板(半導体ウエハ)1を準備する。それから、半導体基板1の主面に素子分離領域2を形成する。素子分離領域2は酸化シリコンなどの絶縁体からなり、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法またはLOCOS(Local Oxidization of Silicon )法などにより形成される。例えば、半導体基板1に形成された溝(素子分離溝)2aに埋め込まれた絶縁膜により、素子分離領域2を形成することができる。
【0023】
次に、図2に示されるように、半導体基板1の主面から所定の深さに渡ってp型ウエル3およびn型ウエル4を形成する。p型ウエル3は、pチャネル型MISFET形成予定領域を覆うフォトレジスト膜(図示せず)をイオン注入阻止マスクとして、nチャネル型MISFET形成予定領域の半導体基板1に例えばホウ素(B)などのp型の不純物をイオン注入することなどによって形成することができる。また、n型ウエル4は、nチャネル型MISFET形成予定領域を覆う他のフォトレジスト膜(図示せず)をイオン注入阻止マスクとして、pチャネル型MISFET形成予定領域の半導体基板1に例えばリン(P)またはヒ素(As)などのn型の不純物をイオン注入することなどによって形成することができる。
【0024】
次に、例えばフッ酸(HF)水溶液を用いたウェットエッチングなどにより半導体基板1の表面を清浄化(洗浄)した後、半導体基板1の表面(すなわちp型ウエル3およびn型ウエル4の表面)上にゲート絶縁膜5を形成する。ゲート絶縁膜5は、例えば薄い酸化シリコン膜などからなり、例えば熱酸化法などによって形成することができる。
【0025】
次に、半導体基板1上(すなわちp型ウエル3およびn型ウエル4のゲート絶縁膜5上)に、ゲート電極形成用の導体膜として、多結晶シリコン膜のようなシリコン膜(導体膜)6を形成する。シリコン膜6のうちのnチャネル型MISFET形成予定領域(後述するゲート電極6aとなる領域)は、フォトレジスト膜(図示せず)をマスクとして用いてリン(P)またはヒ素(As)などのn型の不純物をイオン注入することなどにより、低抵抗のn型半導体膜(ドープトポリシリコン膜)とされている。また、シリコン膜6のうちのpチャネル型MISFET形成予定領域(後述するゲート電極6bとなる領域)は、他のフォトレジスト膜(図示せず)をマスクとして用いてホウ素(B)などのp型の不純物をイオン注入することなどにより、低抵抗のp型半導体膜(ドープトポリシリコン膜)とされている。また、シリコン膜6は、成膜時にはアモルファスシリコン膜であったものを、成膜後(イオン注入後)の熱処理により多結晶シリコン膜に変えることもできる。
【0026】
次に、図3に示されるように、シリコン膜6をフォトリソグラフィ法およびドライエッチング法を用いてパターニングすることにより、ゲート電極6a,6bを形成する。
【0027】
nチャネル型MISFETのゲート電極となるゲート電極6aは、n型の不純物を導入した多結晶シリコン(n型半導体膜、ドープトポリシリコン膜)からなり、p型ウエル3上にゲート絶縁膜5を介して形成される。すなわち、ゲート電極6aは、p型ウエル3のゲート絶縁膜5上に形成される。また、pチャネル型MISFETのゲート電極となるゲート電極6bは、p型の不純物を導入した多結晶シリコン(p型半導体膜、ドープトポリシリコン膜)からなり、n型ウエル4上にゲート絶縁膜5を介して形成される。すなわち、ゲート電極6bは、n型ウエル4のゲート絶縁膜5上に形成される。ゲート電極6a,6bのゲート長は、必要に応じて変更できるが、例えば50nm程度とすることができる。
【0028】
次に、図4に示されるように、p型ウエル3のゲート電極6aの両側の領域にリン(P)またはヒ素(As)などのn型の不純物をイオン注入することにより、(一対の)n型半導体領域7aを形成し、n型ウエル4のゲート電極6bの両側の領域にホウ素(B)などのp型の不純物をイオン注入することにより、(一対の)p型半導体領域8aを形成する。n型半導体領域7aおよびp型半導体領域8aの深さ(接合深さ)は、例えば30nm程度とすることができる。
【0029】
次に、ゲート電極6a,6bの側壁上に、絶縁膜として、例えば酸化シリコンまたは窒化シリコンあるいはそれら絶縁膜の積層膜などからなる側壁スペーサまたはサイドウォール(側壁絶縁膜)9を形成する。サイドウォール9は、例えば、半導体基板1上に酸化シリコン膜または窒化シリコン膜あるいはそれらの積層膜を堆積し、この酸化シリコン膜または窒化シリコン膜あるいはそれらの積層膜をRIE(Reactive Ion Etching)法などにより異方性エッチングすることによって形成することができる。
【0030】
サイドウォール9の形成後、(一対の)n型半導体領域7b(ソース、ドレイン)を、例えば、p型ウエル3のゲート電極6aおよびサイドウォール9の両側の領域にリン(P)またはヒ素(As)などのn型の不純物をイオン注入することにより形成する。また、(一対の)p型半導体領域8b(ソース、ドレイン)を、例えば、n型ウエル4のゲート電極6bおよびサイドウォール9の両側の領域にホウ素(B)などのp型の不純物をイオン注入することにより形成する。n型半導体領域7bを先に形成しても、あるいはp型半導体領域8bを先に形成してもよい。イオン注入後、導入した不純物の活性化のためのアニール処理を行うこともできる。n型半導体領域7bおよびp型半導体領域8bの深さ(接合深さ)は、例えば80nm程度とすることができる。
【0031】
型半導体領域7bは、n型半導体領域7aよりも不純物濃度が高く、p型半導体領域8bは、p型半導体領域8aよりも不純物濃度が高い。これにより、nチャネル型MISFETのソースまたはドレインとして機能するn型の半導体領域(不純物拡散層)が、n型半導体領域(不純物拡散層)7bおよびn型半導体領域7aにより形成され、pチャネル型MISFETのソースまたはドレインとして機能するp型の半導体領域(不純物拡散層)が、p型半導体領域(不純物拡散層)8bおよびp型半導体領域8aにより形成される。従って、nチャネル型MISFETおよびpチャネル型MISFETのソース・ドレイン領域は、LDD(Lightly doped Drain)構造を有している。n型半導体領域7aは、ゲート電極6aに対して自己整合的に形成され、n型半導体領域7bは、ゲート電極6aの側壁上に形成されたサイドウォール9に対して自己整合的に形成され、p型半導体領域8aは、ゲート電極6bに対して自己整合的に形成され、p型半導体領域8bは、ゲート電極6bの側壁上に形成されたサイドウォール9に対して自己整合的に形成される。
【0032】
このようにして、p型ウエル3にnチャネル型MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)Qnが形成され、n型ウエル4にpチャネル型MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)Qpが形成され、図4の構造が得られる。なお、n型半導体領域7b(第1半導体領域)は、nチャネル型MISFETQnのソースまたはドレイン用の半導体領域とみなすことができ、p型半導体領域8b(第1半導体領域)は、pチャネル型MISFETQpのソースまたはドレイン用の半導体領域とみなすことができる。
【0033】
次に、サリサイド(Salicide:Self Aligned Silicide)技術により、nチャネル型MISFETQnのゲート電極6aおよびソース・ドレイン領域(ここではn型半導体領域7b)の表面と、pチャネル型MISFETQpのゲート電極6bおよびソース・ドレイン領域(ここではp型半導体領域8b)の表面とに、低抵抗の金属シリサイド層(後述の金属シリサイド層13に対応)を形成する。以下に、この金属シリサイド層の形成工程について説明する。
【0034】
上記のようにして図4の構造が得られた後、図5に示されるように、ゲート電極6a,6b、n型半導体領域7bおよびp型半導体領域8bの表面を露出させてから、ゲート電極6a,6b、n型半導体領域7bおよびp型半導体領域8b上を含む半導体基板1の主面(全面)上に、ゲート電極6a,6bを覆うように、金属膜11を例えばスパッタリング法を用いて形成(堆積)する。それから、金属膜11上にバリア膜12を形成(堆積)する。
【0035】
また、半導体基板1上に金属膜11を堆積する前に、HFガス、NFガス、NHガスまたはHガスのうち少なくともいずれか一つを用いたドライクリーニング処理を行って、ゲート電極6a,6b、n型半導体領域7b及びp型半導体領域8bの表面の自然酸化膜を除去した後、半導体基板1を大気中(酸素含有雰囲気中)にさらすことなく、金属膜11の形成工程およびバリア膜12の形成工程を行えば、より好ましい。
【0036】
金属膜11は、例えばニッケル(Ni)膜からなり、その厚さ(堆積膜厚)は、例えば9nm程度とすることができる。Ni(ニッケル)膜以外にも、例えばNi−Pt合金膜(NiとPtの合金膜)、Ni−V合金膜(NiとVの合金膜)、Ni−Pd合金膜(NiとPdの合金膜)、Ni−Yb合金膜(NiとYbの合金膜)またはNi−Er合金膜(NiとErの合金膜)のようなニッケル合金膜などを金属膜11として用いることができる。バリア膜12は、例えば窒化チタン(TiN)膜またはチタン(Ti)膜からなり、その厚さ(堆積膜厚)は、例えば15nm程度とすることができる。バリア膜12は、金属膜11の酸化防止や半導体基板1に働く応力の制御などのために金属膜11上に設けられる。
【0037】
金属膜11およびバリア膜12を形成した後、半導体基板1に第1の熱処理(アニール処理)を施すことで、ゲート電極6a,6bを構成する多結晶シリコン膜と金属膜11、およびn型半導体領域7bおよびp型半導体領域8bを構成する単結晶シリコンと金属膜11を選択的に反応させて、金属・半導体反応層である金属シリサイド層13を形成する。ゲート電極6a,6b、n型半導体領域7bおよびp型半導体領域8bの各上部(上層部)と金属膜11とが反応することにより金属シリサイド層13が形成されるので、金属シリサイド層13は、ゲート電極6a,6b、n型半導体領域7bおよびp型半導体領域8bの各表面(上層部)に形成される。金属シリサイド層13を形成するための第1の熱処理は、不活性ガス(例えばアルゴン(Ar)ガス、ヘリウム(He)ガスまたは窒素(N)ガス)雰囲気で満たされた常圧下で行うことが好ましい。
【0038】
次に、ウェット洗浄処理を行うことにより、バリア膜12と、未反応の金属膜11(すなわちゲート電極6a,6b、n型半導体領域7bまたはp型半導体領域8bと反応しなかった金属膜11)とを除去する。この際、ゲート電極6a,6b、n型半導体領域7bおよびp型半導体領域8bの表面上に金属シリサイド層13を残存させる。このウェット洗浄処理は、硫酸を用いたウェット洗浄、または硫酸と過酸化水素水とを用いたウェット洗浄などにより行うことができる。このようにして、図6の構造が得られる。
【0039】
次に、半導体基板1に第2の熱処理(アニール処理)を施す。この第2の熱処理は、上記第1の熱処理の熱処理温度よりも高い熱処理温度で行う。第2の熱処理は、不活性ガス(例えばアルゴン(Ar)ガス、ヘリウム(He)ガスまたは窒素(N)ガス)雰囲気で満たされた、常圧下で行うことが好ましい。
【0040】
上記のように、第1の熱処理によってゲート電極6a,6b、n型半導体領域7bおよびp型半導体領域8b(を構成するシリコン)と金属膜11を選択的に反応させて、金属シリサイド層13を形成するが、第1の熱処理を行った段階で金属シリサイド層13をMSi(メタルモノシリサイド)相とし、MSi(ダイメタルシリサイド)相やMSi(メタルダイシリサイド)相とはしないことが好ましい。そして、上記第2の熱処理を行うことで、MSi相の金属シリサイド層13を安定化することができる。
【0041】
すなわち、第1の熱処理でMSi相の金属シリサイド層13が形成され、この金属シリサイド層13は、第2の熱処理を行っても、変わらずMSi相のままであるが、第2の熱処理を行うことで、金属シリサイド層13内の組成がより均一化され、金属シリサイド層13内の金属元素MとSiとの組成比が1:1の化学量論比により近くなり、金属シリサイド層13を安定化できる。また、第1の熱処理でMSi相の部分が金属シリサイド層13中に形成されていた場合は、第2の熱処理によって、MSi相の部分をMSi相にすることができる。なお、MSi相は、MSi相およびMSi相よりも低抵抗率であり、第2の熱処理以降も(半導体装置の製造終了まで)金属シリサイド層13は低抵抗のMSi相のまま維持され、製造された半導体装置では(例えば半導体基板1を個片化して半導体チップとなった状態でも)、金属シリサイド層13は低抵抗のMSi相となっている。
【0042】
なお、本実施の形態では、金属膜11を構成する金属元素を化学式ではM、カタカナ表記では「メタル」と表記している。例えば、金属膜11がニッケル(Ni)膜である場合は、上記M(金属膜11を構成する金属元素M)はNiであり、上記MSi(メタルモノシリサイド)はNiSi(ニッケルモノシリサイド)であり、上記MSi(ダイメタルシリサイド)はNiSi(ダイニッケルシリサイド)であり、上記MSi(メタルダイシリサイド)はNiSi(ニッケルダイシリサイド)である。金属膜11が、Niが98原子%でPtが2原子%のNi−Pt合金膜(Ni0.98Pt0.02合金膜)の場合、上記M(金属膜11を構成する金属元素M)はNi及びPt(但しNiとPtの組成比を勘案すると上記MはNi0.98Pt0.02)であり、上記MSiはNi0.98Pt0.02Siであり、上記MSiは(Ni0.98Pt0.02Siであり、上記MSiはNi0.98Pt0.02Siである。金属膜11が、Niが99原子%でPdが1原子%のNi−Pd合金膜(Ni0.99Pt0.01合金膜)の場合、上記M(金属膜11を構成する金属元素M)はNi及びPd(但しNiとPdの組成比を勘案すると上記MはNi0.99Pd0.01)であり、上記MSiはNi0.99Pd0.01Siであり、上記MSiは(Ni0.99Pd0.01Siであり、上記MSiはNi0.99Pd0.01Siである。金属膜11が他の組成の合金膜の場合も、同様に考えることができる。
【0043】
このようにして、nチャネル型MISFETQnのゲート電極6aおよびソース・ドレイン領域(n型半導体領域7b)の表面(上層部)と、pチャネル型MISFETQpのゲート電極6bおよびソース・ドレイン領域(p型半導体領域8b)の表面(上層部)とに、MSi(メタルモノシリサイド)からなる金属シリサイド層13が形成される。また、金属膜11の膜厚によるが、金属膜11の膜厚が例えば9nm程度の場合、金属シリサイド層13の膜厚は、例えば19nm程度である。
【0044】
次に、図7に示されるように、半導体基板1の主面上に絶縁膜21(第1絶縁膜)を形成する。すなわち、ゲート電極6a,6bを覆うように、金属シリサイド層13上を含む半導体基板1上に絶縁膜21を形成する。絶縁膜21は窒化シリコン膜からなり、プラズマCVD法を用いて形成する。この絶縁膜21の形成工程については、後でより詳細に説明する。
【0045】
次に、図8に示されるように、絶縁膜21上に絶縁膜21よりも厚い絶縁膜22を形成する。絶縁膜22は例えば酸化シリコン膜などからなり、TEOS(Tetraethoxysilane:テトラエトキシシラン、またはTetra Ethyl Ortho Silicateとも言う)を用いてプラズマCVD法などにより形成することができる。これにより、絶縁膜21,22からなる層間絶縁膜が形成される。その後、絶縁膜22の表面をCMP法により研磨するなどして、絶縁膜22の上面を平坦化する。下地段差に起因して絶縁膜21の表面に凹凸形状が形成されていても、絶縁膜22の表面をCMP法により研磨することにより、その表面が平坦化された層間絶縁膜を得ることができる。
【0046】
次に、図9に示されるように、絶縁膜22上に形成したフォトレジストパターン(図示せず)をエッチングマスクとして用いて、絶縁膜22,21をドライエッチングすることにより、絶縁膜21,22にコンタクトホール(貫通孔、孔)23を形成する。
【0047】
この際、まず絶縁膜21に比較して絶縁膜22がエッチングされやすい条件(すなわち絶縁膜22のエッチング速度が絶縁膜21のエッチング速度よりも大きくなるエッチング条件)で絶縁膜22のドライエッチングを行い、絶縁膜21をエッチングストッパ膜として機能させることで、絶縁膜22にコンタクトホール23を形成する。この段階では、コンタクトホール23は、絶縁膜22を貫通するが絶縁膜21は貫通せず、絶縁膜21でエッチングを停止させ、コンタクトホール23の底部で、絶縁膜21の少なくとも一部が残存するようにする。それから、絶縁膜22に比較して絶縁膜21がエッチングされやすい条件(すなわち絶縁膜21のエッチング速度が絶縁膜22のエッチング速度よりも大きくなるエッチング条件)でコンタクトホール23の底部の絶縁膜21をドライエッチングして除去する。これにより、コンタクトホール23の底部で絶縁膜21が完全に除去され、コンタクトホール23は絶縁膜22,21を貫通し、コンタクトホール23の底部で半導体基板1の主面の一部、例えばn型半導体領域7bおよびp型半導体領域8bの表面上の金属シリサイド層13の一部や、ゲート電極6a,6bの表面上の金属シリサイド層13の一部などが露出される。
【0048】
次に、コンタクトホール23内に、タングステン(W)などからなるプラグ(接続用導体部、埋め込みプラグ、埋め込み導体部)24を形成する。プラグ24を形成するには、例えば、コンタクトホール23の内部(底部および側壁上)を含む絶縁膜22上に、プラズマCVD法などによりバリア導体膜24a(例えばチタン膜、窒化チタン膜、あるいはそれらの積層膜)を形成する。それから、タングステン膜などからなる主導体膜24bをCVD法などによってバリア導体膜24a上にコンタクトホール23を埋めるように形成し、絶縁膜22上の不要な主導体膜24bおよびバリア導体膜24aをCMP法またはエッチバック法などによって除去することにより、コンタクトホール23内に残存する主導体膜24bおよびバリア導体膜24aからなるプラグ24を形成することができる。ゲート電極6a,6b、n型半導体領域7bまたはp型半導体領域8b上に形成されたプラグ24は、その底部でゲート電極6a,6b、n型半導体領域7bまたはp型半導体領域8bの表面上の金属シリサイド層13と接して、電気的に接続される。
【0049】
次に、図10に示されるように、プラグ24が埋め込まれた絶縁膜22上に、ストッパ絶縁膜31および配線形成用の絶縁膜32を順次形成する。ストッパ絶縁膜31は絶縁膜32への溝加工の際にエッチングストッパとなる膜であり、絶縁膜32に対してエッチング選択比を有する材料を用いる。ストッパ絶縁膜31は、例えばプラズマCVD法により形成される窒化シリコン膜とし、絶縁膜32は、例えばプラズマCVD法により形成される酸化シリコン膜とすることができる。なお、ストッパ絶縁膜31と絶縁膜32には次に説明する第1層目の配線が形成される。
【0050】
次に、シングルダマシン法により第1層目の配線を形成する。まず、レジストパターン(図示せず)をマスクとしたドライエッチングによって絶縁膜32およびストッパ絶縁膜31の所定の領域に配線溝33を形成した後、半導体基板1の主面上(すなわち配線溝33の底部および側壁上を含む絶縁膜32上)にバリア導体膜(バリアメタル膜)34を形成する。バリア導体膜34は、例えば窒化チタン膜、タンタル膜または窒化タンタル膜などを用いることができる。続いて、CVD法またはスパッタリング法などによりバリア導体膜34上に銅のシード層を形成し、さらに電解めっき法などを用いてシード層上に銅めっき膜を形成して、銅めっき膜により配線溝33の内部を埋め込む。それから、配線溝33以外の領域の銅めっき膜、シード層およびバリアメタル膜34をCMP法により除去して、配線溝33に埋め込まれ銅を主導電材料とする第1層目の配線35を形成する。配線35は、プラグ24を介してnチャネル型MISFETQnおよびpチャネル型MISFETQpのソースまたはドレイン用のn型半導体領域7bおよびp型半導体領域8bやゲート電極6a,6bなどと電気的に接続されている。その後、デュアルダマシン法により2層目の配線を形成するが、ここでは図示およびその説明は省略する。
【0051】
次に、絶縁膜21の形成工程について、より詳細に説明する。
【0052】
図11は絶縁膜21の形成に用いることができる成膜装置41の一例を示す概略平面図である。絶縁膜21の成膜には、図11の成膜装置41を用いることができる。
【0053】
図11に示されるように、成膜装置41は、搬送室42と、搬送室42の周囲に開閉手段であるゲートバルブ43を介して配置されたロードロック室44a,44bおよびチャンバ(処理室、反応室)46a,46b,47a,47b,48a,48bとを有している。また、成膜装置41においては、ロードロック室44a,44bの搬送室42と反対側にはウエハ搬入出室51が設けられており、ウエハ搬入出室51のロードロック室44a,44bと反対側には半導体ウエハSWを収納するフープ(Front Open Unified Pod)52a,52bを取り付けるポート53が設けられている。
【0054】
搬送室42は排気機構等により所定の真空度に保持され、その中央部には半導体ウエハSWを搬送するための搬送用ロボット42aが設けられている。搬送室42に備わるチャンバ46a,46bは、プラズマCVD法により絶縁膜21を成膜する成膜用チャンバとなる。
【0055】
成膜装置41は、複数のチャンバ46a,46b,47a,47b,48a,48bを備えたマルチチャンバタイプの装置であるが、成膜装置41が備えるチャンバの数は種々変更可能であり、一つのチャンバのみを備えたタイプの装置とすることもできるが、チャンバ46a,46bの少なくとも一方は必要である。
【0056】
また、成膜装置41では、チャンバ46aとチャンバ46bとを同じ構成のチャンバとしてツインチャンバとし、チャンバ47aとチャンバ47bとを同じ構成のチャンバとしてツインチャンバとし、チャンバ48aとチャンバ48bとを同じ構成のチャンバとしてツインチャンバとし、一度に2枚の半導体ウエハに対して同じ処理を行えるようにしている。他の形態として、チャンバ46a,46bの一方とチャンバ47a,47bの一方とチャンバ48a,48bの一方を省略することもできる。
【0057】
次に、成膜装置41のチャンバ46a,46bの構成について説明する。なお、チャンバ46aとチャンバ46bとは同様の構成を有しているので、ここではチャンバ46a,46bをチャンバ46として説明する。図12は成膜装置41に備わる成膜用のチャンバ46(すなわちチャンバ46a,46b)の概略断面図である。
【0058】
チャンバ46は、半導体ウエハSW(すなわち半導体基板1)上に絶縁膜21をCVD法によって形成するために使用されるチャンバ(処理室、反応室)であり、例えば平行平板型プラズマCVD装置のチャンバである。
【0059】
図12に示されるように、チャンバ46は、真空気密が可能な処理室であり、チャンバ46内には、互いに対向する下部電極(基板電極)61および上部電極(高周波電極)62が配置されている。下部電極61は、その上に半導体ウエハSW(すなわち半導体基板1)が配置可能に構成され、内部に図示しないヒータなどの加熱機構を内蔵している。また、下部電極61および上部電極62間には、チャンバ46の外部に設けられた高周波電源63などにより高周波電力または高周波電圧を供給(印加)可能に構成されている。
【0060】
また、チャンバ46は、上部電極62に設けられたガス導入口62aから所望のガスが所望の流量でチャンバ46内に導入できるように構成されている。例えば、ガス導入口62aは、後述するステップS2,S3で必要となるガス(ここではSiHガス、NHガス、Hガス、NガスおよびArガス)の導入経路にマスフローコントローラ(ガス流量制御装置)64を介して連結されており、それによって、所望の種類のガス(SiH、NH、H、NおよびArから選択されたガス)が所望の流量でガス導入口62aからチャンバ46内に導入できるようになっている。
【0061】
また、チャンバ46はガス排気口65を介して図示しないガス排気手段(例えば真空ポンプ)に接続され、ガス排気口65からチャンバ46内を所望の排気速度で排気することができるように構成されている。また、図示しない圧力制御部が、圧力センサなどが検出したチャンバ46内の圧力に応じて、ガス排気口65からの排気速度などを調節し、チャンバ46内を所望の圧力に維持することができるように構成されている。
【0062】
図13は、絶縁膜21の形成工程を示す製造プロセスフロー図である。絶縁膜21の形成工程は、成膜装置41を用いて次のように行われる。
【0063】
まず、フープ52aまたはフープ52bから半導体ウエハSWを、ウエハ搬入出室51内に設置された搬送用ロボット51aまたは搬送用ロボット51bによって取り出し、ロードロック室44a,44bへ搬入する。この際、搬送用ロボット51a,51b間の半導体ウエハSWの受け渡しは、ウエハ受け渡しステーション54を介して行われる。この半導体ウエハSWは、上記半導体基板1に対応するものである。フープ52a,52bは半導体ウエハSWのバッチ搬送用の密閉収納容器であり、通常25枚、12枚、6枚等のバッチ単位で半導体ウエハSWを収納する。フープ52a,52bの容器外壁は微細な通気フィルタ部を除いて機密構造になっており、塵埃はほぼ完全に排除される。従って、クラス1000の雰囲気で搬送しても、内部はクラス1の清浄度が保てるようになっている。成膜装置41とのドッキングは、フープ52a,52bの扉をポート53に取り付けて、ウエハ搬入出室51の内部に引き込むことによって清浄さを保持した状態で行われる。続いてロードロック室44a,44b内を真空引きした後、搬送用ロボット42aによって半導体ウエハSWをロードロック室44a,44bから搬送室42を介して成膜用のチャンバ46a,46bへ真空搬送する。このようにして、半導体ウエハSW、すなわち半導体基板1をチャンバ46(すなわちチャンバ46a,46b)へ搬送し、チャンバ46内に配置する(ステップS1)。この際、半導体基板1(半導体ウエハSW)は、絶縁膜21を形成する側の主面(上面、表面)を上部電極62に向けて、チャンバ46内の下部電極61上に配置される。下部電極61上に配置された半導体基板1(半導体ウエハSW)は、下部電極61に内蔵されたヒータで加熱される。既に加熱された下部電極61上に半導体基板1(半導体ウエハSW)を配置することもできる。
【0064】
次に、チャンバ46内に配置された半導体基板1(半導体ウエハSW)を還元性ガスのプラズマで処理する(ステップS2)。半導体基板1には、金属シリサイド層13が形成されているので、ステップS2では、半導体基板1に形成された金属シリサイド層13の表面が還元性ガスのプラズマで処理される。このステップS2の還元性ガスのプラズマ処理により、金属シリサイド層13の表面の自然酸化膜(後述の酸化膜72に対応)が還元されて除去される。
【0065】
ステップS2の還元性ガスのプラズマは、水素ガスのプラズマ(水素プラズマ)、アンモニアガスのプラズマ(アンモニアプラズマ)、あるいは水素ガスとアンモニアガスとの混合ガスのプラズマが好ましい。これにより、金属シリサイド層13の表面の自然酸化膜を的確に除去することができる。
【0066】
すなわち、ステップS2では、ガス導入口62aからチャンバ46内に還元性ガス(好ましくは水素(H)ガスまたはアンモニア(NH)ガスあるいはそれらの混合ガス)を導入し、ガス排気口65からの排気速度を調節してチャンバ46内の圧力を所定の圧力に制御し、高周波電源63により下部電極61および上部電極62間に高周波電力(高周波電圧)を供給(印加)する。これにより、下部電極61と上部電極62との間に高周波グロー放電によりプラズマを発生させる。このようにして、ガス導入口62aから導入した還元性ガス(好ましくは水素(H)ガスまたはアンモニア(NH)ガスあるいはそれらの混合ガス)のプラズマがチャンバ46内(下部電極61および上部電極62間)に発生(生成)し、このプラズマにより、金属シリサイド層13の表面が処理(プラズマ処理)され、金属シリサイド層13の表面の自然酸化膜が除去される。ステップS2で行う還元性ガスのプラズマ処理は、10〜60秒程度行うことが好ましく、これにより、金属シリサイド層13の表面の自然酸化膜を除去できるとともに、製造時間が長くなってスループットが低下するのを防止できる。
【0067】
また、ステップS2では、還元性ガス(好ましくは水素(H)ガスまたはアンモニア(NH)ガスあるいはそれらの混合ガス)以外に、希釈ガスまたはキャリアガスなどとして不活性ガス、例えば窒素(N)ガス、アルゴン(Ar)ガスおよびヘリウム(He)ガスから選択された単一または複数のガス、をガス導入口62aからチャンバ46内に導入することもできる。この場合、ステップS2では、還元性ガス(好ましくは水素(H)ガスまたはアンモニア(NH)ガスあるいはそれらの混合ガス)と不活性ガス(例えば窒素ガス、アルゴンガスおよびヘリウムガスから選択された単一または複数のガス)との混合ガスプラズマで金属シリサイド層13の表面を処理して自然酸化膜が除去されることになる。
【0068】
また、ステップS2は、金属シリサイド層13の表面の還元処理(自然酸化膜の還元処理または除去)が目的であるので、ステップS2では、シラン(SiH)ガスのようなシリコンソースガス(Siを構成元素として含むガス)はチャンバ46内に導入しない。
【0069】
ステップS2の還元性ガスのプラズマ処理の後、半導体基板1(すなわち半導体ウエハSW)上に、窒化シリコンからなる絶縁膜21をプラズマCVD法で堆積させる(ステップS3)。ステップS2の還元性ガスのプラズマ処理の後、半導体基板1(半導体ウエハSW)を大気中(酸素含有雰囲気中)にさらすことなく、ステップS3の絶縁膜21の堆積工程を行うことが重要である。これにより、金属シリサイド層13の表面に自然酸化膜が再形成されることなく、金属シリサイド層13の表面を含む半導体基板1上に絶縁膜21を形成することができる。このため、ステップS2の還元性ガスのプラズマ処理工程とステップS3の絶縁膜21の堆積工程とは、同じチャンバ46内で連続的に行うことが好ましい。また、チャンバ46内でステップS2の還元性ガスのプラズマ処理工程を行ってから、半導体基板1をそのチャンバ46から取り出さず、同じチャンバ46内でステップS3の堆積工程を開始することが好ましいが、ステップS2の還元性ガスのプラズマ処理を行ってからステップS3で絶縁膜21(窒化シリコン膜)を堆積するまでの間、酸素含有ガスをチャンバ46内に導入しないようにする。これにより、ステップS2の還元性ガスのプラズマ処理の後、半導体基板1(半導体ウエハSW)を酸素含有雰囲気中にさらすことなく、ステップS3の絶縁膜21の堆積工程を行うことができ、金属シリサイド層13の表面の再酸化を防止できる。
【0070】
すなわち、ステップS2の後、下部電極61および上部電極62間に供給(印加)される高周波電力(高周波電圧)を一旦停止する。それから、ステップS3で、ガス導入口62aからチャンバ46内に反応ガス(ソースガス、原料ガス、成膜用ガス)、例えばシラン(SiH)ガスとアンモニア(NH)ガスと窒素(N)ガスとを導入し、ガス排気口65からの排気速度を調節してチャンバ46内の圧力を所定の圧力に制御し、高周波電源63により下部電極61および上部電極62間に高周波電力(高周波電圧)を供給(印加)する。これにより、下部電極61と上部電極62との間に高周波グロー放電によりプラズマが発生し、反応ガスが分解され、下部電極61上に配置された半導体基板1(半導体ウエハSW)上に窒化シリコン膜(プラズマ窒化シリコン膜)からなる絶縁膜21が堆積される。以下では、プラズマCVD法で形成された窒化シリコン膜をプラズマ窒化シリコン膜と呼ぶ場合もある。
【0071】
ステップS3では、ガス導入口62aからチャンバ46内に、窒化シリコンのシリコンソースガスとして、シリコン(Si)元素を構成元素として含む第1のガス、好ましくはシラン(SiH)ガスのようなシラン系ガスと、窒化シリコンの窒素ソースガスとして、窒素元素を構成元素として含む第2のガス、好ましくはアンモニア(NH)ガスとを導入し、これらのガスのプラズマを生成して絶縁膜21を堆積させる。ステップS3では、それ以外に、希釈ガスまたはキャリアガスなどとして不活性ガス、例えば窒素(N)ガス、アルゴン(Ar)ガスおよびヘリウム(He)ガスから選択された単一または複数のガス、をガス導入口62aからチャンバ46内に導入することもできる。
【0072】
本実施の形態では、ステップS3の絶縁膜21(窒化シリコン膜)の堆積工程の前に、In−situ処理にて金属シリサイド層13の表面の自然酸化膜(後述の酸化膜72に対応)をステップS2の還元性ガスのプラズマ処理により還元除去して清浄化しているので、表面の酸化膜が除去された金属シリサイド層13上に絶縁膜21が堆積される。
【0073】
ステップS3の絶縁膜21の成膜工程後、半導体基板1(半導体ウエハSW)はチャンバ46から取り出され(ステップS4)、次の工程(絶縁膜22の成膜工程)に送られる。例えば、搬送用ロボット42aによって半導体ウエハSWを成膜用のチャンバ46a,46b(すなわちチャンバ46)から搬送室42を介してロードロック室44a,44bへ真空搬送し、それから、搬送用ロボット51a,51bによって半導体ウエハSWをロードロック室44a,44bからウエハ搬入出室51を介して元のフープ52aまたはフープ52bへ戻す。この際、搬送用ロボット51a,51b間の半導体ウエハSWの受け渡しは、ウエハ受け渡しステーション54を介して行われる。
【0074】
このように、本実施の形態では、ステップS2で金属シリサイド層13の表面を還元性ガス(好ましくはアンモニアガス、水素ガス、あるいはそれらの混合ガス)のプラズマで処理した後、半導体基板1を大気中にさらすことなく、ステップS3で金属シリサイド層13上を含む半導体基板1上に絶縁膜21(窒化シリコン膜)をプラズマCVD法で形成する。より好ましくは、ステップS2で金属シリサイド層13の表面を還元性ガスのプラズマで処理した後、半導体基板1を酸素含有雰囲気にさらすことなく、ステップS3で金属シリサイド層13上を含む半導体基板1上に絶縁膜21を形成する。ステップS2の還元性ガスのプラズマ処理により、金属シリサイド層13の表面の自然酸化膜(後述の酸化膜72に対応)が除去され、その後、半導体基板1を大気中(酸素含有雰囲気中)にさらすことなく、ステップS3で絶縁膜21を堆積するので、形成された絶縁膜21と金属シリサイド層13との間の界面に酸化膜は形成されていない。このため、絶縁膜21の成膜後の種々の加熱工程(例えば種々の絶縁膜や導体膜の成膜工程のように半導体基板1の加熱を伴う工程)が行われても、金属シリサイド層13と絶縁膜21との間の界面の酸化膜の酸素に起因して金属シリサイド層13が部分的に異常成長してしまうのを防止できる。これにより、異常成長による金属シリサイド層13の抵抗の増加を防止できる。また、ソース・ドレイン領域上に形成した金属シリサイド層13がチャネル部に異常成長して電界効果トランジスタのソース・ドレイン間のリーク電流が増大するのを防止できる。従って、半導体装置の性能を向上させることができる。また、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0075】
絶縁膜21は、コンタクトホール23を形成するために絶縁膜22をエッチングする際のエッチングストッパ膜として機能するが、SAC(Self Align Contact)用の絶縁膜とみなすこともできる。半導体基板1の主面上に形成された絶縁膜21を半導体基板1に引張応力を生じさせる膜にすると、nチャネル型MISFETQnは、移動度が向上して駆動電流が増加するので、スイッチング特性が向上する。また、半導体基板1の主面上に形成された絶縁膜21を半導体基板1に圧縮応力を生じさせる膜にすると、pチャネル型MISFETQpは、移動度が向上して駆動電流が増加するので、スイッチング特性が向上する。このため、半導体基板1の主面上に形成する絶縁膜21を、半導体基板1に引張応力を生じさせる膜にする場合と、圧縮応力を生じさせる膜にする場合とがあり、必要に応じて選択される。
【0076】
このため、上記ステップS3で形成した絶縁膜21を半導体基板1に引張応力を生じさせる膜とする場合と、上記ステップS3で形成した絶縁膜21を半導体基板1に圧縮応力を生じさせる膜とする場合とについて、それぞれ上記ステップS2の還元性ガスのプラズマ処理をアンモニアプラズマで行う場合と水素プラズマで行う場合とに分けて、絶縁膜21の好ましい成膜法について更に具体的に説明する。
【0077】
まず、上記ステップS3で形成した絶縁膜21を半導体基板1に引張応力を生じさせる膜とする場合でかつ上記ステップS2の還元性ガスのプラズマ処理をアンモニアプラズマで行う場合について、図14を参照して説明する。
【0078】
図14は、絶縁膜21(窒化シリコン膜)の成膜工程における第1の成膜方法のプロセスステップを示す説明図(表)であり、ステップS1でチャンバ46内に半導体基板1を配置した後、ステップS4でチャンバ46から半導体基板1を取り出すまでの、チャンバ46の状態が示されている。なお、図14の第1の成膜方法は、上記ステップS2の還元性ガスのプラズマ処理をアンモニアプラズマで行い、かつ上記ステップS3で形成した絶縁膜21を半導体基板1に引張応力を生じさせる膜とする場合の好ましい実施例(実施の形態、具体例)に対応する。
【0079】
なお、図14および後述の図15〜図17では、「時間」の欄に、各ステップの所要時間(単位は秒)を記載し、「温度」の欄に、各ステップでの半導体基板1の加熱温度(単位は℃)を記載し、「圧力」の欄に、各ステップでのチャンバ46内の圧力(単位はPa)を記載している。また、図14および後述の図15〜図17では、「SiH流量」の欄に、各ステップでガス導入口62aからチャンバ46内に導入するシラン(SiH)ガスの流量(単位はsccm)を記載し、「NH流量」の欄に、各ステップでガス導入口62aからチャンバ46内に導入するアンモニア(NH)ガスの流量(単位はsccm)を記載している。また、図14および後述の図15〜図17では、「H流量」の欄に、各ステップでガス導入口62aからチャンバ46内に導入する水素(H)ガスの流量(単位はsccm)を記載し、「N流量」の欄に、各ステップでガス導入口62aからチャンバ46内に導入する窒素(N)ガスの流量(単位はsccm)を記載している。また、図14および後述の図15〜図17では、「Ar流量」の欄に、各ステップでガス導入口62aからチャンバ46内に導入するアルゴン(Ar)ガスの流量(単位はsccm)を記載している。また、図14および後述の図15〜図17では、「高周波RFパワー」の欄に、各ステップで下部電極61と上部電極62との間に供給(印加)する高周波電力(単位はW)を記載し、印加する周波数は13.56MHzとしている。また、後述の図16および図17では、「低周波RFパワー」の欄に、各ステップで下部電極61と上部電極62との間に供給(印加)する、「高周波RFパワー」よりも低周波数の高周波電力(単位はW)を記載し、印加する周波数は350kHzとしている。なお、図14および後述の図15〜図17の「圧力」の欄に「フルオープン」と記載されている場合は、ガス排気口65からの排気速度を最大にしてチャンバ46内を排気(真空排気)している場合に対応する。図14および後述の図15〜図17のそれぞれにおいて、示されたステップは連続的に行われる。
【0080】
上記ステップS1で半導体基板1(半導体ウエハSW)をチャンバ46内の下部電極61上に配置して下部電極61に内蔵されたヒータで加熱する。既に加熱された下部電極61上に半導体基板1(半導体ウエハSW)を配置してもよい。図14のステップS11a〜S21aの間、半導体基板1の加熱温度(半導体基板1を配置した下部電極61の温度)は、好ましくは250〜500℃、例えば480℃程度に維持される。
【0081】
それから、図14のステップS11aで、ガス導入口62aからチャンバ46内に窒素(N)ガスを所定の流量(例えば18000sccm)で導入し、チャンバ46内の圧力を所定の圧力(例えば560Pa)に制御する。この圧力は、図14のステップS11a,S12aで維持される。ステップS11aは、チャンバ46内の圧力を安定化させるステップである。
【0082】
次に、図14のステップS12aで、ステップS11aと同様の窒素(N)ガスに加えて、更にアンモニア(NH)ガスを所定の流量(例えば160sccm)でガス導入口62aからチャンバ46内に導入し、下部電極61および上部電極62間に例えば13.56MHzの高周波電力(高周波電圧)を所定の電力(好ましくは30〜1000W、例えば300W)で供給(印加)してプラズマを発生させる。これによりチャンバ46内(下部電極61および上部電極62間)のアンモニア(NH)ガスおよび窒素(N)ガスがプラズマ化し、金属シリサイド層13の表面がアンモニアプラズマで処理される。従って、ステップS12aは、金属シリサイド層13の表面をアンモニアプラズマで処理するステップであり、上記ステップS2(金属シリサイド層13の表面を還元性ガスのプラズマで処理する工程)に対応するものである。ステップS12aのアンモニアプラズマ処理によって、金属シリサイド層13の表面の自然酸化膜が還元されて除去される。ステップS12aは、10〜60秒程度行うことが好ましく、これにより、金属シリサイド層13の表面の自然酸化膜を還元して除去できるとともに、製造時間が長くなってスループットが低下するのを防止できる。また、ステップS12aにおいて、ガス導入口62aからチャンバ46内にアンモニア(NH)ガスだけでなく窒素(N)ガスも導入した理由は、圧力およびプラズマを安定化させるためである。
【0083】
次に、図14のステップS13aで、下部電極61および上部電極62間への高周波電力(高周波電圧)の供給(印加)とガス導入口62aからチャンバ46内へのガスの導入を停止し、ガス排気口65からチャンバ46内を排気(真空排気)する。ステップS13aは、チャンバ46内を排気(真空排気)するステップである。
【0084】
次に、図14のステップS17aで、ガス導入口62aからチャンバ46内に、シラン(SiH)ガス、アンモニア(NH)ガスおよび窒素(N)ガスを所定の流量(例えばそれぞれ25sccm、50sccmおよび20000sccm)で導入し、チャンバ46内の圧力を所定の圧力(例えば800Pa)に制御する。この圧力は、図14のステップS17a〜S20aで維持される。また、チャンバ46内への窒素(N)ガスの導入は、図14のステップS17a〜S20aで維持される。ステップS17aは、チャンバ46内のガス(ガス比や圧力など)を安定化させるステップである。
【0085】
また、ステップS17aでは、シラン(SiH)ガスおよびアンモニア(NH)ガスの一方または両方の流量をゼロ(すなわちチャンバ46内にシランガスおよびアンモニアガスの一方または両方を導入しない状態)にすることもできる。但し、ステップS17aでは、ステップS18aと同様にシラン(SiH)ガスおよびアンモニア(NH)ガスの両方をチャンバ46内に導入することが好ましく、これにより、ステップS18aで堆積する窒化シリコン膜の半導体ウエハSWの主面内での均一性(例えば膜厚分布の均一性)を向上させることができる。
【0086】
次に、窒化シリコン膜の堆積(成膜)ステップである図14のステップS18a(および後述の図15のステップS18b)で、下部電極61および上部電極62間に例えば13.56MHzの高周波電力(高周波電圧)を所定の電力(好ましくは30〜150W、例えば45W)で供給(印加)してプラズマを発生させる。これにより、チャンバ46内(下部電極61および上部電極62間)のシラン(SiH)ガス、アンモニア(NH)ガスおよび窒素(N)ガスがプラズマ化し、下部電極61上に配置された半導体基板1上に窒化シリコン膜(プラズマ窒化シリコン膜)が堆積する。ステップS18a(および後述のステップS18b)は、半導体基板1上に窒化シリコン膜をプラズマCVD法で堆積するステップである。下部電極61および上部電極62間への上記高周波電力(例えば13.56MHz)の供給(印加)は、図14のステップS18a,S19a(および後述の図15のステップS18b,S19b)で維持される。
【0087】
また、図14のステップS18aおよび後述の図15のステップS18bでは、ガス導入口62aからチャンバ46内に導入するアンモニア(NH)ガスとシラン(SiH)ガスの流量比が、「アンモニア(NH)ガスの流量」/「シラン(SiH)ガスの流量」で、2/1以上500/1以下であることが好ましい。また、図14のステップS18aおよび後述の図15のステップS18bでは、シラン(SiH)ガスの流量は10〜150sccmであることが好ましい。これにより、窒化シリコン膜を的確に堆積できる。
【0088】
また、ステップS18a(および後述のステップS18b)において、ガス導入口62aからチャンバ46内に、窒化シリコンのシリコンソースガスであるシラン(SiH)ガスおよび窒化シリコンの窒素ソースガスであるアンモニア(NH)ガスだけでなく、窒素(N)ガスも導入する理由は、圧力およびプラズマを安定化させるためである。
【0089】
次に、図14のステップS18aで得られる引張応力膜(窒化シリコン膜)の応力(引張応力)をさらに大きくするために、ステップS18aの後に図14のステップS19aを追加してもよい。図14のステップS19aでは、ガス導入口62aからチャンバ46内へのシラン(SiH)ガスおよびアンモニア(NH)ガスの導入を停止し、窒素(N)ガスの導入を継続させる。これにより、半導体基板1の表面、すなわちステップS18aで堆積した窒化シリコン膜(プラズマ窒化シリコン膜)の表面が窒素プラズマで処理される。ステップS18aで堆積した窒化シリコン膜(プラズマ窒化シリコン膜)の表面が、ステップS19aで窒素プラズマで処理されることにより、その窒化シリコン膜(プラズマ窒化シリコン膜)中の水素(H)が低減され、未結合手が多くなる。ステップS19aは、ステップS18aで堆積した窒化シリコン膜の表面を窒素プラズマ処理するステップである。
【0090】
その後、ステップS18aで堆積された窒化シリコン膜の合計膜厚が所望の膜厚になるまで、図14のステップS17a,S18a,S19aを1サイクル以上繰り返す。すなわち、ステップS17a、ステップS18aおよびステップS19aを順に行ってから、ステップS17aに戻って再度ステップS17a、ステップS18aおよびステップS19aを順に行い、これを窒化シリコン膜の堆積厚みが所望の厚みになるまで繰り返す。従って、ステップS17a,S18a,S19aを1回以上の所定回数繰り返したものが、上記ステップS3(絶縁膜21の堆積工程)に対応するものとなる。ステップS17a,S18a,S19aを繰り返す際には、ステップS18a,S19aで下部電極61および上部電極62間へ上記高周波電力(例えば13.56MHz)が供給(印加)され、ステップS17aでは、下部電極61および上部電極62間へ高周波電力は供給(印加)されない。
【0091】
図14のステップS17a,S18a,S19aを繰り返して半導体基板1上に所望の膜厚の窒化シリコン膜が成膜された後、図14のステップS20aで、下部電極61および上部電極62間への高周波電力(高周波電圧)の供給(印加)を停止する。ステップS20aでは、ガス導入口62aからチャンバ46内へ窒素(N)ガスだけが導入され、チャンバ46内が窒素(N)ガスでパージされる。
【0092】
次に、図14のステップS21aで、ガス導入口62aからチャンバ46内へのガスの導入を停止し、ガス排気口65からチャンバ46内を排気(真空排気)する。ステップS21aは、チャンバ46内を排気(真空排気)するステップである。
【0093】
その後、上記ステップS4で、半導体基板1(半導体ウエハSW)はチャンバ46から取り出され、次の工程(絶縁膜22の成膜工程)に送られる。
【0094】
半導体基板1の主面上にプラズマCVD法により形成する窒化シリコン膜は、膜中の未結合手が多いと半導体基板1に引張応力を生じさせる膜となり、膜中の未結合手を少なくし膜をより緻密化することで半導体基板1に圧縮応力を生じさせる膜となる。ステップS18aで、成膜用ガスの構成元素として含まれる水素(ここではSiHおよびNHにおける水素元素)が膜中に取り込まれた窒化シリコン膜が堆積するが、その窒化シリコン膜中の水素(H)がステップS19aの窒素プラズマ処理により低減され、窒化シリコン膜中の未結合手をより多くさせることができる。このため、ステップS17a,S18a,S19aを繰り返すことで所望の厚みまで堆積された窒化シリコン膜からなる絶縁膜21(これが後述する絶縁膜21aに対応する)は、膜中の未結合手がより多い膜となり、それによって、半導体基板1にさらに大きな引張応力を生じさせる膜となる。絶縁膜21を半導体基板1に引張応力を生じさせる膜にすることで、nチャネル型MISFETQnは、移動度が向上して駆動電流が増加するので、スイッチング特性を向上することができる。
【0095】
また、ステップS17a,S18a,S19aを複数サイクル繰り返して絶縁膜21を形成すれば、各サイクルのステップS18aで堆積される窒化シリコン膜の厚みを薄くしてそれをステップS19aで窒素プラズマ処理することになるので、最終膜厚の窒化シリコン膜を一度のステップで堆積してそれを窒素プラズマ処理した場合に比べて、窒素プラズマによる水素の低減効果が大きい。このため、最終的に形成された絶縁膜21中の未結合手がより多くなり、絶縁膜21が半導体基板1に生じさせる引張応力をより大きくすることができる。
【0096】
次に、上記ステップS3で形成した絶縁膜21を半導体基板1に引張応力を生じさせる膜とする場合でかつ上記ステップS2の還元性ガスのプラズマ処理を水素プラズマで行う場合について、図15を参照して説明する。
【0097】
図15は、絶縁膜21(窒化シリコン膜)の成膜工程における第2の成膜方法のプロセスステップを示す説明図(表)であり、ステップS1でチャンバ46内に半導体基板1を配置した後、ステップS4でチャンバ46から半導体基板1を取り出すまでの、チャンバ46の状態が示されている。なお、図15の第2の成膜方法は、上記ステップS2の還元性ガスのプラズマ処理を水素プラズマで行い、かつ上記ステップS3で形成した絶縁膜21を半導体基板1に引張応力を生じさせる膜とする場合の好ましい実施例(実施の形態、具体例)に対応する。
【0098】
上記ステップS1で半導体基板1(半導体ウエハSW)をチャンバ46内の下部電極61上に配置して下部電極61に内蔵されたヒータで加熱する。既に加熱された下部電極61上に半導体基板1(半導体ウエハSW)を配置してもよい。図15のステップS11b〜S21bの間、半導体基板1の加熱温度(半導体基板1を配置した下部電極61の温度)は、、好ましくは250〜500℃、例えば480℃程度に維持される。
【0099】
それから、図15のステップS11bで、ガス導入口62aからチャンバ46内に水素(H)ガスおよびアルゴン(Ar)ガスを所定の流量(例えばそれぞれ4000sccmおよび800sccm)で導入し、チャンバ46内の圧力を所定の圧力(例えば560Pa)に制御する。この流量および圧力は、ステップS11b〜S12bで維持される。ステップS11bは、チャンバ46内の圧力を安定化させるステップである。
【0100】
次に、図15のステップS12bで、下部電極61および上部電極62間に例えば13.56MHzの高周波電力(高周波電圧)を所定の電力(好ましくは30〜1000W、例えば300W)で供給(印加)してプラズマを発生させる。これによりチャンバ46内(下部電極61および上部電極62間)の水素(H)ガスおよびアルゴン(Ar)ガスがプラズマ化し、金属シリサイド層13の表面が水素プラズマで処理される。従って、ステップS12bは、金属シリサイド層13の表面を水素プラズマで処理するステップであり、上記ステップS2(金属シリサイド層13の表面を還元性ガスのプラズマで処理する工程)に対応するものである。ステップS12bの水素プラズマ処理によって、金属シリサイド層13の表面の自然酸化膜が還元されて除去される。ステップS12bは、10〜60秒程度行うことが好ましく、これにより、金属シリサイド層13の表面の自然酸化膜を還元して除去できるとともに、製造時間が長くなってスループットが低下するのを防止できる。
【0101】
また、ステップS12bにおいて、ガス導入口62aからチャンバ46内に水素(H)だけでなくアルゴン(Ar)ガスも導入した理由は、不活性ガスとして、プラズマを安定化させるためである。
【0102】
次に、図15のステップS13bで、下部電極61および上部電極62間への高周波電力(高周波電圧)の供給(印加)とガス導入口62aからチャンバ46内へのガスの導入を停止し、ガス排気口65からチャンバ46内を排気(真空排気)する。ステップS13bは、チャンバ46内を排気(真空排気)するステップである。
【0103】
次に、図15のステップS14bで、ガス導入口62aからチャンバ46内にアンモニア(NH)ガスおよび窒素(N)ガスを所定の流量(例えばそれぞれ100sccmおよび20000sccm)導入し、チャンバ46内の圧力を所定の圧力(例えば800Pa)に制御する。この圧力は、図15のステップS14b〜S20bで維持される。また、チャンバ46内への窒素(N)ガスの導入は、図15のステップS14b〜S20bで維持される。ステップS14bは、チャンバ46内の圧力を安定化させるステップであるが、不要であれば省略することもできる。但し、後述するステップS15bでシラン(SiH)ガスの流量よりもアンモニア(NH)ガスの流量を十分に多くする場合には、ステップS14bを設けることがより好ましく、チャンバ46内のガスの安定性を高めることができる。
【0104】
次に、図15のステップS15bで、ステップS14bと同様のアンモニア(NH)ガスおよび窒素(N)ガスに加えて、更にシラン(SiH)ガスを所定の流量(例えば75sccm)でガス導入口62aからチャンバ46内に導入する。このステップS15bは、半導体基板1の金属シリサイド層13上に金属シリサイドの触媒作用により薄い窒化膜(後述の窒化膜73bに対応)を形成するためのステップである。ステップS15bでは、ガス導入口62aからチャンバ46内にシラン(SiH)ガス、アンモニア(NH)ガスおよび窒素(N)ガスを導入する状態を、好ましくは3〜30秒程度継続する。ステップS15bを3〜30秒とすることで、後述の窒化膜73bを形成できるとともに、製造時間が長くなるのを防止できる。
【0105】
次に、図15のステップS16bで、ガス導入口62aからチャンバ46内へのシラン(SiH)ガスおよびアンモニア(NH)ガスの導入を停止し、ガス導入口62aからチャンバ46内への導入ガスを窒素(N)ガスだけにする。ステップS16bは、チャンバ46からシラン(SiH)ガスおよびアンモニア(NH)ガスを排気するステップである。ステップS16bは、不要であれば省略することもできる。但し、上記ステップS15bと後述のステップS17b,S18bとで、チャンバ46内に導入するシラン(SiH)ガスとアンモニア(NH)ガスの流量比が異なる場合には、ステップS16bを設けることがより好ましく、これにより、後述のステップS17b,S18bでチャンバ46内のガスをより安定にすることができる。
【0106】
これ以降は、上記ステップS17a,S18a,S19a,S20a,S21aと同様のステップS17b,S18b,S19b,S20b,S21bを行う。
【0107】
すなわち、図15のステップS17bで、ガス導入口62aからチャンバ46内に、ステップS14bと同様の窒素(N)ガスに加えて、更にシラン(SiH)ガスおよびアンモニア(NH)ガスを所定の流量(例えばそれぞれ25sccmおよび50sccm)で導入する。ステップS17bは、チャンバ46内のガス(ガス比や圧力など)を安定化させるステップである。
【0108】
次に、図15のステップS18bで、下部電極61および上部電極62間に例えば13.56MHzの高周波電力(高周波電圧)を所定の電力(好ましくは30〜150W、例えば45W)で供給(印加)してプラズマを発生させる。これにより、チャンバ46内(下部電極61および上部電極62間)のシラン(SiH)ガス、アンモニア(NH)ガスおよび窒素(N)ガスがプラズマ化し、下部電極61上に配置された半導体基板1上に窒化シリコン膜(プラズマ窒化シリコン膜)が堆積する。ステップS18bは、半導体基板1上に窒化シリコンをプラズマCVD法で堆積するステップである。下部電極61および上部電極62間への上記高周波電力(例えば13.56MHz)の供給(印加)は、ステップS18b〜S19bで維持される。
【0109】
次に、図15のステップS18bで得られる引張応力膜(窒化シリコン膜)の応力(引張応力)をさらに大きくするために、ステップS18bの後に図15のステップS19bを追加してもよい。図15のステップS19bでは、ガス導入口62aからチャンバ46内へのシラン(SiH)ガスおよびアンモニア(NH)ガスの導入を停止し、窒素(N)ガスの導入を継続させる。これにより、半導体基板1の表面、すなわちステップS18bで堆積した窒化シリコン膜(プラズマ窒化シリコン膜)の表面が窒素プラズマで処理される。ステップS18bで堆積した窒化シリコン膜(プラズマ窒化シリコン膜)の表面が、ステップS19bで窒素プラズマで処理されることにより、その窒化シリコン膜(プラズマ窒化シリコン膜)中の水素(H)が低減され、未結合手が多くなる。ステップS19bは、ステップS18bで堆積した窒化シリコン膜の表面を窒素プラズマ処理するステップである。
【0110】
その後、ステップS18bで堆積された窒化シリコン膜の合計膜厚が所望の膜厚になるまで、ステップS17b,S18b,S19bを1サイクル以上繰り返す。すなわち、ステップS17b、ステップS18bおよびステップS19bを順に行ってから、ステップS17bに戻って再度ステップS17b、ステップS18bおよびステップS19bを順に行い、これを窒化シリコン膜の堆積厚みが所望の厚みになるまで繰り返す。従って、ステップS17b,S18b,S19bを1回以上の所定回数繰り返したものが、上記ステップS3(絶縁膜21の堆積工程)に対応するものとなる。ステップS17b,S18b,S19bを繰り返す際には、ステップS18b〜S19bで下部電極61および上部電極62間へ上記高周波電力(例えば13.56MHz)が供給(印加)され、ステップS17bでは、下部電極61および上部電極62間へ高周波電力は供給(印加)されない。
【0111】
ステップS17b,S18b,S19bを繰り返して半導体基板1上に所望の膜厚の窒化シリコン膜が成膜された後、図15のステップS20bで、下部電極61および上部電極62間への高周波電力(高周波電圧)の供給(印加)を停止する。ステップS20bでは、ガス導入口62aからチャンバ46内へ窒素(N)ガスだけが導入され、チャンバ46内が窒素(N)ガスでパージされる。
【0112】
次に、図15のステップS21bで、ガス導入口62aからチャンバ46内へのガスの導入を停止し、ガス排気口65からチャンバ46内を排気(真空排気)する。ステップS21bは、チャンバ46内を排気(真空排気)するステップである。
【0113】
その後、上記ステップS4で、半導体基板1(半導体ウエハSW)はチャンバ46から取り出され、次の工程(絶縁膜22の成膜工程)に送られる。
【0114】
上記ステップS17a,s18a,S19aと同様のステップS17b,S18b,S19bを繰り返すことで所望の厚みまで堆積された窒化シリコン膜からなる絶縁膜21(これが後述する絶縁膜21aに対応する)は、上述したように、膜中の未結合手がより多い膜となり、それによって、半導体基板1にさらに大きな引張応力を生じさせる膜となる。絶縁膜21を半導体基板1に引張応力を生じさせる膜にすることで、nチャネル型MISFETQnは、移動度が向上して駆動電流が増加するので、スイッチング特性を向上することができる。
【0115】
また、ステップS18a,S18bで堆積した窒化シリコン膜(プラズマ窒化シリコン膜)中の未結合手を多くすることを目的として、上記ステップS19a,19b(窒素プラズマ処理)の代わりに、半導体基板1(半導体ウエハSW)にUV(紫外線)照射処理を行うこともできる。この場合、例えば、ステップS18aまたはステップS18bで窒化シリコン膜を堆積した後、チャンバ46から半導体ウエハSW(半導体基板1)を取り出してUV照射処理用チャンバ(例えばチャンバ47a,47bなど)に移動させ、そのチャンバ内で半導体ウエハSWにUV照射処理を行ってから、その半導体ウエハSWをチャンバ46内に戻し、再度ステップS18aまたはステップS18bの窒化シリコン膜の堆積を行う。すなわち、ステップS18aまたはステップS18bのチャンバ46でのプラズマ窒化シリコン膜の堆積と、他のチャンバでのUV照射処理とを、ステップS18aまたはステップS18bで堆積された窒化シリコン膜の合計膜厚が所望の膜厚になるまで繰り返すことで、所望の厚みの絶縁膜21を形成する。ステップS18a,S18bでは水素を含む窒化シリコン膜が堆積するが、その窒化シリコン膜中の水素(H)がUV照射処理によってより低減され、窒化シリコン膜中の未結合手をより多くさせることができる。このため、ステップS18aまたはステップS18bとUV照射処理とを繰り返すことで所望の厚みまで堆積された窒化シリコン膜からなる絶縁膜21は、膜中の未結合手がより多い膜となり、それによって、半導体基板1にさらに大きな引張応力を生じさせる膜とすることができる。
【0116】
次に、上記ステップS3で形成した絶縁膜21を半導体基板1に圧縮応力を生じさせる膜とする場合でかつ上記ステップS2の還元性ガスのプラズマ処理をアンモニアプラズマで行う場合について、図16を参照して説明する。
【0117】
図16は、絶縁膜21(窒化シリコン膜)の成膜工程における第3の成膜方法のプロセスステップを示す説明図(表)であり、ステップS1でチャンバ46内に半導体基板1を配置した後、ステップS4でチャンバ46から半導体基板1を取り出すまでの、チャンバ46の状態が示されている。なお、図16の第3の成膜方法は、上記ステップS2の還元性ガスのプラズマ処理をアンモニアプラズマで行い、かつ上記ステップS3で形成した絶縁膜21を半導体基板1に圧縮応力を生じさせる膜とする場合の好ましい実施例(実施の形態、具体例)に対応する。
【0118】
上記ステップS1で半導体基板1(半導体ウエハSW)をチャンバ46内の下部電極61上に配置して下部電極61に内蔵されたヒータで加熱する。既に加熱された下部電極61上に半導体基板1(半導体ウエハSW)を配置してもよい。図16のステップS31a〜S41aの間、半導体基板1の加熱温度(半導体基板1を配置した下部電極61の温度)は、好ましくは250〜500℃、例えば480℃程度に維持される。
【0119】
次に、図16のステップS31aで上記図14のステップS11aと同様の動作(処理)を行い、それから、図16のステップS32aで上記図14のステップS12aと同様の動作(処理)を行い、それから、図16のステップS33aで上記図14のステップS13aと同様の動作(処理)を行う。すなわち、図16のステップS31a,32a,33aは、それぞれ上記図14のステップS11a,12a,13aと同様の動作および処理であるので、ここではその説明は省略する。
【0120】
次に、図16のステップS35aで、ガス導入口62aからチャンバ46内に、シラン(SiH)ガス、アンモニア(NH)ガスおよび窒素(N)ガスを所定の流量(例えばそれぞれ60sccm、130sccmおよび4000sccm)で導入し、チャンバ46内の圧力を所定の圧力(例えば267Pa)に制御する。この圧力は、図16のステップS35a〜S40aで維持される。また、チャンバ46内へのシラン(SiH)ガスおよびアンモニア(NH)ガスの導入は、図16のステップS35a〜S39aで維持される。また、チャンバ46内への窒素(N)ガスの導入は、ステップS35a,S36aと、ステップS37aと、ステップS38aと、ステップS39a,40aとで、順に流量を低減させる。ステップS35aは、チャンバ46内のガス(ガス比や圧力など)を安定化させるステップである。
【0121】
また、ステップS35aでは、シラン(SiH)ガスおよびアンモニア(NH)ガスの一方または両方の流量をゼロ(すなわちチャンバ46内にシランガスおよびアンモニアガスの一方または両方を導入しない状態)にすることもできる。但し、ステップS35aでも、シラン(SiH)ガスおよびアンモニア(NH)ガスの両方をチャンバ46内に導入することが好ましく、これにより、後で堆積する窒化シリコン膜の半導体ウエハSWの主面内での均一性(例えば膜厚分布の均一性)を向上させることができる。
【0122】
次に、図16のステップS36aで、ステップS35aと同様のシラン(SiH)ガス、アンモニア(NH)ガスおよび窒素(N)ガスに加えて、更にアルゴン(Ar)ガスを所定の流量(例えば1000sccm)でガス導入口62aからチャンバ46内に導入し、下部電極61および上部電極62間に例えば350kHzの高周波電力(高周波電圧)を所定の電力(例えば75W)で供給(印加)する。下部電極61および上部電極62間へのこの350kHzの高周波電力の供給(印加)は、図16のステップS36a〜S39bで維持される。また、チャンバ46内へのアルゴン(Ar)ガスの導入は、ステップS36a,S37aと、ステップS38aと、ステップS39a,40aとで、順に流量を増大させる。
【0123】
次に、図16のステップS37aで、ガス導入口62aからチャンバ46内に導入している窒素(N)ガスの流量を所定の流量(例えば3000sccm)に低減させ、下部電極61および上部電極62間に、上記例えば350kHzの高周波電力に加えて、それよりも高い周波数、例えば13.56MHzの高周波電力(高周波電圧)を所定の電力(好ましくは50〜1000W、例えば100W)で供給(印加)する。下部電極61および上部電極62間へのこの13.56MHzの高周波電力の供給(印加)は、図16のステップS37a〜S39bで維持される。
【0124】
次に、図16のステップS38aで、ガス導入口62aからチャンバ46内に導入している窒素(N)ガスの流量を所定の流量(例えば2000sccm)に低減させるとともに、窒素(N)ガスの流量の低減量(例えば1000sccm)に相当する流量分だけ、ガス導入口62aからチャンバ46内に導入しているアルゴン(Ar)ガスの流量を増大させる。
【0125】
次に、図16のステップS39aで、ガス導入口62aからチャンバ46内に導入している窒素(N)ガスの流量を所定の流量(例えば1000sccm)に低減させるとともに、窒素(N)ガスの流量の低減量(例えば1000sccm)に相当する流量分だけ、ガス導入口62aからチャンバ46内に導入しているアルゴン(Ar)ガスの流量を増大させる。
【0126】
ステップS37a〜S39aでは、下部電極61および上部電極62間に高周波電力を供給(印加)したことにより、チャンバ46内(下部電極61および上部電極62間)のシラン(SiH)ガス、アンモニア(NH)ガス、窒素(N)ガスおよびアルゴン(Ar)ガスがプラズマ化し、下部電極61上に配置された半導体基板1上に窒化シリコン膜(プラズマ窒化シリコン膜)が堆積する。従って、ステップS37a〜S39aは、窒化シリコンを堆積するステップである。但し、ステップS37a,S38aは短時間(例えばそれぞれ1秒程度)であり、それに比べてステップS39aは長時間(例えば230秒)であるため、窒化シリコン膜は主としてステップS39aで堆積する。
【0127】
また、窒化シリコン膜の堆積(成膜)ステップである図16のステップS37a〜S39aおよび後述の図17のステップS37b〜S39bでは、ガス導入口62aからチャンバ46内に導入するアンモニア(NH)ガスとシラン(SiH)ガスの流量比が、「アンモニア(NH)ガスの流量」/「シラン(SiH)ガスの流量」で、2/1以上500/1以下であることが好ましい。また、図16のステップS37a〜S39aおよび後述の図17のステップS37b〜S39bでは、シラン(SiH)ガスの流量は10〜150sccmであることが好ましい。これにより、窒化シリコン膜を的確に堆積できる。
【0128】
また、窒化シリコン膜の堆積(成膜)ステップである図16のステップS37a〜S39aにおいて、ガス導入口62aからチャンバ46内に、窒化シリコンのシリコンソースガスであるシラン(SiH)ガスおよび窒化シリコンの窒素ソースガスであるアンモニア(NH)ガスだけでなく、窒素(N)ガスも導入する理由は、圧力およびプラズマを安定化させるためである。
【0129】
また、窒化シリコン膜の堆積(成膜)ステップである図16のステップS37a〜S39aにおいて、ガス導入口62aからチャンバ46内に窒化シリコンのソースガスではないアルゴン(Ar)ガスも導入した理由は、堆積する窒化シリコン膜を、アルゴン(Ar)イオンのボンバートメント(衝撃)によって、より緻密な膜にするためである。アルゴン(Ar)ガスを導入して窒化シリコン膜中の未結合手を少なくし、より緻密な膜とすることで、窒化シリコン膜(絶縁膜21)が半導体基板1に生じさせる圧縮応力をさらに大きくすることができる。
【0130】
また、窒化シリコン膜の堆積(成膜)ステップである図16のステップS37a〜S39aにおいて、ガス導入口62aからチャンバ46内に水素(H)ガスを更に導入することもできる。水素(H)ガスを導入することで、アンモニア(NH)ガス、シラン(SiH)ガスおよび窒素(N)の分解を促進でき、それによって、堆積した窒化シリコン膜を未結合手の少ないより緻密な膜にすることができる。窒化シリコン膜を未結合手の少ないより緻密な膜とすることで、窒化シリコン膜(絶縁膜21)が半導体基板1に生じさせる圧縮応力をさらに大きくすることができる。
【0131】
また、窒化シリコン膜の堆積(成膜)ステップである図16のステップS37a〜S39aにおいて、下部電極61および上部電極62間に、例えば13.56MHzの高周波電力(高周波電圧)だけでなく、それよりも低周波数の例えば350kHzの高周波電力(高周波電圧)も供給(印加)する理由は、ガスの分解を促進して、堆積した窒化シリコン膜を未結合手の少ないより緻密な膜にするためである。窒化シリコン膜を未結合手の少ないより緻密な膜とすることで、窒化シリコン膜(絶縁膜21)が半導体基板1に生じさせる圧縮応力をさらに大きくすることができる。
【0132】
ステップS39aを所定の時間(例えば230秒)継続して半導体基板1上に所望の膜厚の窒化シリコン膜が成膜された後、図16のステップS40aで、下部電極61および上部電極62間への上記350kHzおよび13.56MHzの高周波電力(高周波電圧)の供給(印加)を停止するとともに、ガス導入口62aからチャンバ46内へのシラン(SiH)ガスおよびアンモニア(NH)ガスの導入を停止する。ステップS40aでは、ガス導入口62aからチャンバ46内へ窒素(N)ガスおよびアルゴン(Ar)ガスだけが導入され、チャンバ46内が窒素(N)ガスおよびアルゴン(Ar)ガスでパージされる。
【0133】
次に、図16のステップS41aで、ガス導入口62aからチャンバ46内へのガスの導入を停止し、ガス排気口65からチャンバ46内を排気(真空排気)する。ステップS41aは、チャンバ46内を排気(真空排気)するステップである。
【0134】
その後、上記ステップS4で、半導体基板1(半導体ウエハSW)はチャンバ46から取り出され、次の工程(絶縁膜22の成膜工程)に送られる。
【0135】
半導体基板1の主面上にプラズマCVD法により形成する窒化シリコン膜は、膜中の未結合手が多いと半導体基板1に引張応力を生じさせる膜となり、膜中の未結合手を少なくし膜をより緻密化することで半導体基板1に圧縮応力を生じさせる膜となる。ステップS37a〜S39aで窒化シリコン膜が堆積されるが、成膜中に供給(印加)される2種類の高周波電力(高周波電圧)や添加導入ガスであるアルゴン(Ar)や水素(H)などにより、ステップS37a〜S39aでは未結合手が少ないより緻密化された窒化シリコン膜が堆積する。このため、ステップS37a〜S39aで所望の厚みまで堆積された窒化シリコン膜からなる絶縁膜21(これが後述する絶縁膜21bに対応する)は、未結合手が少ない緻密な膜となり、それによって、半導体基板1に圧縮応力を生じさせる膜となる。絶縁膜21を半導体基板1に圧縮応力を生じさせる膜にすることで、pチャネル型MISFETQpは、移動度が向上して駆動電流が増加するので、スイッチング特性を向上することができる。
【0136】
次に、上記ステップS3で形成した絶縁膜21を半導体基板1に圧縮応力を生じさせる膜とする場合でかつ上記ステップS2の還元性ガスのプラズマ処理を水素プラズマで行う場合について、図17を参照して説明する。
【0137】
図17は、絶縁膜21(窒化シリコン膜)の成膜工程における第4の成膜方法のプロセスステップを示す説明図(表)であり、ステップS1でチャンバ46内に半導体基板1を配置した後、ステップS4でチャンバ46から半導体基板1を取り出すまでの、チャンバ46の状態が示されている。なお、図17の第4の成膜方法は、上記ステップS2の還元性ガスのプラズマ処理を水素プラズマで行い、かつ上記ステップS3で形成した絶縁膜21を半導体基板1に圧縮応力を生じさせる膜とする場合の好ましい実施例(実施の形態、具体例)に対応する。
【0138】
上記ステップS1で半導体基板1(半導体ウエハSW)をチャンバ46内の下部電極61上に配置して下部電極61に内蔵されたヒータで加熱する。既に加熱された下部電極61上に半導体基板1(半導体ウエハSW)を配置してもよい。図17のステップS31b〜S41bの間、半導体基板1の加熱温度(半導体基板1を配置した下部電極61の温度)は、好ましくは250〜500℃、例えば480℃程度に維持される。
【0139】
次に、図17のステップS31bで上記図15のステップS11bと同様の動作(処理)を行い、それから、図17のステップS32bで上記図15のステップS12bと同様の動作(処理)を行い、それから、図17のステップS33bで上記図15のステップS13bと同様の動作(処理)を行う。すなわち、図17のステップS31b,32b,33bは、それぞれ上記図15のステップS11b,12b,13bと同様の動作および処理であるので、ここではその説明は省略する。
【0140】
次に、図17のステップS34bで、ガス導入口62aからチャンバ46内にシラン(SiH)ガス、アンモニア(NH)ガスおよび窒素(N)ガスを所定の流量(例えばそれぞれ60sccm、130sccmおよび4000sccm)導入し、チャンバ46内の圧力を所定の圧力(例えば267Pa)に制御する。この圧力は、ステップS34b〜S40bで維持される。また、チャンバ46内へのシラン(SiH)ガスおよびアンモニア(NH)ガスの導入は、ステップS34b〜S39bで維持される。また、チャンバ46内への窒素(N)ガスの導入は、ステップS34b,S35b,S36bと、ステップS37bと、ステップS38bと、ステップS39b,40bとで、順に流量を低減させる。
【0141】
また、ステップS34bでシラン(SiH)ガスの流量よりもアンモニア(NH)ガスの流量を十分に多くする場合には、ステップS33bとステップS34bとの間に上記ステップS14bと同様のステップ(チャンバ46内にアンモニアガスと窒素ガスを導入するがシランガスを導入しないステップ)を設けることがより好ましく、これによりチャンバ46内のガスの安定性を高めることができる。
【0142】
このステップS34bは、上記図15のステップS15bと同様に、半導体基板1の金属シリサイド層13上に薄い窒化膜(後述の窒化膜73bに対応)を形成するためのステップである。ステップS34bでは、ガス導入口62aからチャンバ46内にシラン(SiH)ガス、アンモニア(NH)ガスおよび窒素(N)ガスを導入する状態を、好ましくは3〜30秒程度継続する。ステップS34bを3〜30秒とすることで、後述の窒化膜73bを形成できるとともに、製造時間が長くなるのを防止できる。
【0143】
また、ステップS34bと後述のステップS35b,S36b,S37b,S38b,S39bとで、チャンバ46内に導入するシラン(SiH)ガスとアンモニア(NH)ガスの流量比が異なる場合には、上記ステップS16bと同様のステップ(チャンバ46内にガスを導入しない状態でチャンバ46を排気するステップ)をステップS34bと後述のステップS35bとの間に設けることもできる。これにより、後述のステップS35b以降のチャンバ46内のガスをより安定にすることができる。
【0144】
その後、図17のステップS35b,S36b,37b,38b,39b,40b,41bで、それぞれ上記図16のステップS35a,S36a,37b,38b,39b,40b,41bと同様の動作(処理)を行う。すなわち、図17のステップS35b,S36b,37b,38b,39b,40b,41bは、それぞれ上記図16のステップS35a,S36a,37b,38b,39b,40b,41bと同様の動作および処理であるので、ここではその説明は省略する。
【0145】
図17のステップS35b,S36b,37b,38b,39b,40b,41bを行った後、上記ステップS4で、半導体基板1(半導体ウエハSW)はチャンバ46から取り出され、次の工程(絶縁膜22の成膜工程)に送られる。
【0146】
半導体基板1の主面上にプラズマCVD法により形成する窒化シリコン膜は、膜中の未結合手が多いと半導体基板1に引張応力を生じさせる膜となり、膜中の未結合手を少なくし膜をより緻密化することで半導体基板1に圧縮応力を生じさせる膜となる。ステップS37b〜S39bで窒化シリコン膜が堆積されるが、成膜中に供給(印加)される2種類の高周波電力(高周波電圧)や添加導入ガスであるアルゴン(Ar)や水素(H)などにより、ステップS37b〜S39bでは未結合手が少ないより緻密化された窒化シリコン膜が堆積する。このため、ステップS37b〜S39bで所望の厚みまで堆積された窒化シリコン膜からなる絶縁膜21(これが後述する絶縁膜21bに対応する)は、未結合手が少ない緻密な膜となり、それによって、半導体基板1に圧縮応力を生じさせる膜となる。絶縁膜21を半導体基板1に圧縮応力を生じさせる膜にすることで、pチャネル型MISFETQpは、移動度が向上して駆動電流が増加するので、スイッチング特性を向上することができる。
【0147】
次に、本実施の形態の効果について、より詳細に説明する。
【0148】
図18は、上記図6のようにサリサイドプロセスで金属シリサイド層13を形成した後で、上記図7のように絶縁膜21を形成する前の状態を示す要部断面図(部分拡大断面図)であり、シリコン(Si)からなる半導体領域(シリコン領域)71上に金属シリサイド層13が形成された状態が示されている。なお、半導体領域71は、上記ゲート電極6a、上記ゲート電極6b、上記n型半導体領域7bまたは上記p型半導体領域8bに対応するものである。従って、半導体領域71がゲート電極6aまたはゲート電極6bの場合は、半導体領域71は、そのゲート電極を構成する多結晶シリコン膜であり、半導体領域71がn型半導体領域7bまたはp型半導体領域8bの場合は、そのソース・ドレイン領域を構成する単結晶シリコン領域(単結晶シリコン基板領域)である。
【0149】
本発明者の検討によれば、上記図5および図6を参照して説明したようにして金属シリサイド層13を形成した後、絶縁膜21を形成するまでの間に、図18に示されるように、金属シリサイド層13の表面が酸化して、自然酸化膜である酸化膜72が金属シリサイド層13の表面に形成されることが分かった。酸化膜72は、主として酸化シリコンにより形成されている。酸化膜72の形成を完全に防止するには、金属シリサイド層13を形成してから絶縁膜21を形成するまでの管理を厳格にする必要があり、半導体装置の製造設備などを複雑にし、また半導体装置の製造コストを増大させる。このため、金属シリサイド層13を形成してから絶縁膜21を形成するまでの間に金属シリサイド層13の表面に酸化膜72が形成されるのを許容することが望まれる。
【0150】
図19は、比較例の半導体装置の製造工程中の要部断面図であり、上記図18に相当する領域が示されているが、図19には、図18の状態の後、本実施の形態とは異なり、上記ステップS2の還元性ガスのプラズマ処理を行うことなく、絶縁膜21をプラズマCVD法で堆積させた状態が示されている。すなわち、図19の比較例は、図13のステップS1の後、ステップS2を省略してステップS3,S4を行った場合に対応する。
【0151】
金属シリサイド層13を形成した後、本実施の形態とは異なり、上記ステップS2の還元性ガスのプラズマ処理を行わずに、絶縁膜21をプラズマCVD法で堆積させた場合、図19に示されるように、金属シリサイド層13と絶縁膜21との間の界面に、酸化膜72が形成(残存)されている状態になる。
【0152】
図19のように金属シリサイド層13と絶縁膜21の界面に酸化膜72が形成(残存)されていると、絶縁膜21の成膜後の種々の加熱工程(例えば種々の絶縁膜や導体膜の成膜工程のように半導体基板1の加熱を伴う工程)において、金属シリサイド層13表面にある酸化膜72の酸素に起因して、金属シリサイド層13が部分的に異常成長してしまうことが、本発明者の検討により分かった。これは、金属シリサイド層13と絶縁膜21との間の界面に酸化膜72が存在していると、酸化膜72中の酸素(O)が拡散して酸素に起因した欠陥が増え、生じた欠陥を通して金属シリサイド層13の金属元素(例えばNi)が拡散しやすくなり、金属シリサイド層13の異常成長を促進するためであると考えられる。この異常成長は、金属シリサイド層13がMSi(例えばNiSi)相である場合に特に顕著であり、MSi相の金属シリサイド層13の金属元素(例えばNi)が拡散してMSi(例えばNiSi)の部分が異常成長する。
【0153】
このような金属シリサイド層13の異常成長は、金属シリサイド層13の抵抗の増加を招き、また、ソース・ドレイン領域上に形成した金属シリサイド層13がチャネル部に異常成長していると、電界効果トランジスタのソース・ドレイン間のリーク電流の増大を招く可能性がある。これは、半導体装置の性能を低下させる。
【0154】
金属シリサイド層13の形成後、絶縁膜21の形成前にウェットエッチングによって酸化膜72を除去することも考えられるが、この場合、ウェットエッチングの後に、酸化膜72が再形成されてしまう可能性がある。ウェットエッチングによる酸化膜72除去後の酸化膜72の再形成を完全に防止するには、ウェットエッチング後、絶縁膜21を形成するまでの管理を厳格にする必要があり、半導体装置の製造設備などを複雑にし、また半導体装置の製造コストを増大させる。
【0155】
図20〜図23は、本実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図であり、上記図19に相当する領域が示されているが、図20〜図23には、上記図18の状態の後、本実施の形態の製造工程に従って絶縁膜21を形成した状態(上記図7に対応する工程段階)が示されている。すなわち、図20〜図23は、図13のステップS1の後、ステップS2およびステップS3を行った場合に対応する。但し、図20は、上記図14の第1の成膜方法で絶縁膜21を成膜した場合、すなわち、ステップS1〜S4を上記図14(ステップS11a〜S21a)のように行った場合に対応する。また、図21は、上記図15の第2の成膜方法で絶縁膜21を成膜した場合、すなわち、ステップS1〜S4を上記図15(ステップS11b〜S21b)のように行った場合に対応する。また、図22は、上記図16の第3の成膜方法で絶縁膜21を成膜した場合、すなわち、ステップS1〜S4を上記図16(ステップS31a〜S41a)のように行った場合に対応する。また、図23は、上記図17の第4の成膜方法で絶縁膜21を成膜した場合、すなわち、ステップS1〜S4を上記図17(ステップS31b〜S41b)のように行った場合に対応する。なお、絶縁膜21が半導体基板1に引張応力を生じさせる膜である場合を絶縁膜21aとして図20および図21に示し、絶縁膜21が半導体基板1に圧縮応力を生じさせる膜である場合を絶縁膜21bとして図22および図23に示してある。
【0156】
本実施の形態では、金属シリサイド層13を形成した後、上記ステップS2の還元性ガスのプラズマ処理を行ってから、絶縁膜21をプラズマCVD法で堆積させる。このため、ステップS2の還元性ガスのプラズマ処理によって金属シリサイド層13の表面の酸化膜72が還元され除去されてから、絶縁膜21が堆積される。また、ステップS2の還元性ガスのプラズマ処理によって金属シリサイド層13の表面の酸化膜72が還元され除去されてから、金属シリサイド層13上に絶縁膜21が堆積されるまでの間、半導体基板1が酸素含有雰囲気中にさらされることはないため、金属シリサイド層13の表面は再酸化されない。このため、絶縁膜21を形成した段階で、金属シリサイド層13と絶縁膜21との間の界面に、酸化膜72は残存していない状態になる。その代わり、図20〜図23のように、金属シリサイド層13と絶縁膜21との間の界面に、窒化膜73(窒化膜73aまたは窒化膜73b)が形成されている状態になる。その理由は、次の通りである。
【0157】
上記図14および図16のようにステップS2(すなわちステップS12aまたはステップS32a)の還元性ガスのプラズマ処理をアンモニア(NH)ガスのプラズマ、すなわちアンモニアプラズマで行った場合、このアンモニアプラズマにより金属シリサイド層13の表面の酸化膜72は還元され除去されるが、アンモニアの窒素に起因して、金属シリサイド層13の表面には窒化膜73aが形成される。その後、ステップS3(すなわちステップS18aまたはステップS37a〜S39a)で絶縁膜21を堆積するので、図20や図22のように、金属シリサイド層13と絶縁膜21(絶縁膜21aまたは絶縁膜21b)との間の界面に、窒化膜73aが形成されている状態になる。
【0158】
ステップS12aやステップS32aのアンモニア(NH)ガスのプラズマ処理では、主として、
SiO+2(N+3H) → Si+2HO+2N+2H 式(1)
3SiO+4(N+3H) → Si+6HO 式(2)
の反応が生じると考えられる。上記式(1)および式(2)の反応は発熱反応であり、熱力学的に起こりやすい。ステップS12aやステップS32a(アンモニアプラズマ処理)では、上記式(1)の反応(還元反応)によって酸化膜72が還元されるとともに、上記式(2)の反応(窒化シリコンの生成反応)によってSiが生成され、それによって、酸化膜72が除去され窒化膜73aが生成(形成)される。
【0159】
一方、本実施の形態とは異なり、ステップS12aやステップS32aでプラズマを生成しなかった場合には、
SiO+2NH → Si+2HO+N+H 式(3)
3SiO+4NH → Si+6HO 式(4)
の反応が考えられる。しかしながら、上記式(3)および式(4)の反応は吸熱反応であり、熱力学的に起こりにくいため、本実施の形態とは異なり、ステップS12aやステップS32aでプラズマを生成しなかった場合には、酸化膜72の還元処理を行うことはできず、上記図19のように金属シリサイド層13と絶縁膜21との間の界面に酸化膜72が形成(残存)されている状態になってしまう。
【0160】
また、上記図15および図17のようにステップS2(すなわちステップS12b,S32b)の還元性ガスのプラズマ処理を水素(H)ガスのプラズマ、すなわち水素プラズマで行った場合、この水素プラズマにより金属シリサイド層13の表面の酸化膜72は還元され除去される。このステップS12b,S32bの水素プラズマ処理の際には、金属シリサイド層13の表面には窒化膜は形成されない。しかしながら、S12b,S32bの水素プラズマ処理で酸化膜72を還元、除去して金属シリサイド層13の表面を露出させた後、ステップS15b,S34bでシラン(SiH)ガスおよびアンモニア(NH)ガスをチャンバ46内に導入する。これにより、金属シリサイド層13の表面がプラズマ化されていないシラン(SiH)ガスおよびアンモニア(NH)ガスにさらされ、金属シリサイド層13の表面に窒化膜73bが形成される。その後、ステップS18aまたはステップS37a〜S39aで絶縁膜21を堆積するので、図21や図23のように、金属シリサイド層13と絶縁膜21(絶縁膜21aまたは絶縁膜21bとの間の界面に、窒化膜73bが形成されている状態になる。
【0161】
すなわち、ステップS3(ステップS18b,S37b〜S39b)では、チャンバ46内に、窒化シリコンのシリコンソースガスとして、シリコン(Si)元素を構成元素として含む第1のガス(好ましくはシラン(SiH)ガスのようなシラン系ガス)と、窒化シリコンの窒素ソースガスとして、窒素元素を構成元素として含む第2のガス(好ましくはアンモニア(NH)ガス)とを導入し、これらのガスをプラズマ化して窒化シリコンを堆積させる。このステップS3(ステップS18b,S37b〜S39b)の前のステップS15b,S34bで、これら第1のガスと第2のガスとをチャンバ46内に導入し、プラズマ化されていないそれら第1のガスおよび第2のガスに金属シリサイド層13の表面をさらすことで、金属シリサイド層13の表面に窒化膜73bを形成するのである。上記図14〜図17の全ステップにおいて半導体基板1は加熱されているため、ステップS15b,S34bにおいても半導体基板1は加熱されており、これも窒化膜73b形成に寄与する。
【0162】
ステップS12bやステップS32bの水素(H)ガスのプラズマ処理では、主として、
SiO+4H → Si+2HO 式(5)
の反応が生じると考えられる。上記式(5)の反応は発熱反応であり、熱力学的に起こりやすい。ステップS12bやステップS32bでは、上記式(5)の反応(還元反応)によって酸化膜72が還元され除去され、窒化シリコンは生成されない。
【0163】
一方、本実施の形態とは異なり、ステップS12bやステップS32bでプラズマを生成しなかった場合には、
SiO+2H → Si+2HO 式(6)
の反応が考えられる。しかしながら、上記式(6)の反応は吸熱反応であり、熱力学的に起こりにくいため、本実施の形態とは異なり、ステップS12bやステップS32bでプラズマを生成しなかった場合には、酸化膜72の還元処理を行うことはできず、上記図19のように金属シリサイド層13と絶縁膜21との間の界面に酸化膜72が形成(残存)されている状態になってしまう。
【0164】
また、ステップS15bやステップS34bでは、主として、
3SiH+4NH → 3Si+12H 式(7)
の反応が生じると考えられる。上記式(7)の反応は発熱反応であり、熱力学的に起こりやすい。更に、ステップS12b,S32bの水素(H)ガスのプラズマ処理により酸化膜72を除去した状態でステップS15bやステップS34bを行うので、ステップS15bやステップS34bでは、金属シリサイド層13の表面が露出している。このため、金属シリサイド層13の金属の触媒作用によってアンモニア(NH)ガスおよびシラン(SiH)ガスの分解が促進され、上記式(7)の反応が起こりやすくなる。このため、ステップS15bやステップS34bでは、上記式(7)の反応(窒化シリコンの生成反応)によってSiが生成され、それによって窒化膜73bが生成(形成)される。
【0165】
金属シリサイド層13の金属の触媒作用によってアンモニア(NH)ガスおよびシラン(SiH)ガスの分解が十分に行われる場合には、上記図15のステップS15bおよび上記図17のステップS34bでガス導入口62aからチャンバ46内に導入するアンモニア(NH)ガスとシラン(SiH)ガスの流量比は、「アンモニア(NH)ガスの流量」/「シラン(SiH)ガスの流量」で4/3であればよい。また、一般に、高温ではシラン(SiH)ガスよりもアンモニア(NH)ガスの方が分解されにくい傾向にあるため、金属シリサイド層13の金属の触媒作用によるアンモニア(NH)ガスの分解が十分でない場合には、アンモニア(NH)ガスの流量を多くすればよい。このめ、上記図15のステップS15bおよび上記図17のステップS34bでガス導入口62aからチャンバ46内に導入するアンモニア(NH)ガスとシラン(SiH)ガスの流量比は、「アンモニア(NH)ガスの流量」/「シラン(SiH)ガスの流量」で4/3以上500/1以下であることが好ましく、これにより、窒化膜73bを形成しやすくなる。
【0166】
このように、窒化膜73(窒化膜73aまたは窒化膜73b)の形成は、上記のような反応が主因であるため、窒化膜73(窒化膜73aまたは窒化膜73b)は、主として窒化シリコンからなり、シリコン(Si)と窒素(N)の原子比が化学量論比に近い組成(すなわちSiに近い組成の膜)となっている。
【0167】
また、上記図15および図17のようにステップS2(すなわちステップS12b,S32b)の還元性ガスのプラズマ処理を水素(H)ガスのプラズマ、すなわち水素プラズマで行う場合、窒化膜73bが形成されないようにすることもでき、そのためには、図15のステップS15b(またはステップS14b,S15b)および図17のステップ34bを省略する。この場合、ステップS12b,S32bの水素プラズマ処理により金属シリサイド層13の表面の酸化膜72は還元され除去されるが、その後に金属シリサイド層13の表面がシラン(SiH)ガスおよびアンモニア(NH)ガスにさらされる時間が短いので、金属シリサイド層13の表面に窒化膜73bが形成されるのを防止できる。この状態でステップS18aまたはステップS37a〜S39aで絶縁膜21が堆積されるので、図24や図25のように、金属シリサイド層13と絶縁膜21(絶縁膜21aまたは絶縁膜21b)との間の界面に、酸化膜72はもちろん窒化膜73bも形成されておらず、金属シリサイド層13と絶縁膜21とが直接的に接した状態になる。なお、図24は、図21と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図であり、ステップS1〜S4を上記図15(ステップS11b〜S21b)のように行うが、図21の場合とは異なり、図15のステップS15b(またはステップS14b,S15b)を省略した場合に対応する。また、図25は、図23と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図であり、ステップS1〜S4を上記図17(ステップS31b〜S41b)のように行うが、図23の場合とは異なり、図17のステップS34bを省略した場合に対応する。
【0168】
また、図15のステップS12aや図17のステップS32aにおいて、更に水素(H)ガスをガス導入口62aからチャンバ46内に導入することもでき、これは、ステップS2の還元性ガスのプラズマを、アンモニア(NH)ガスおよび水素(H)ガスの混合ガスのプラズマとした場合に対応する。この場合、ステップS12aやステップ32aにおいて、アンモニア(NH)ガスと水素(H)ガスの混合ガスのプラズマにより金属シリサイド層13の表面が処理(プラズマ処理)され、それによって、金属シリサイド層13の表面の酸化膜72が還元され除去されるとともに、アンモニアプラズマにより金属シリサイド層13の表面に窒化膜73aが形成される。従って、絶縁膜21aや絶縁膜21bの成膜後には、上記図20や図22の状態になる。
【0169】
図20〜図25のいずれの場合であっても、金属シリサイド層13と絶縁膜21との間の界面には、酸化膜は形成されていない。このため、絶縁膜21の成膜後の種々の加熱工程(例えば種々の絶縁膜や導体膜の成膜工程のように半導体基板1の加熱を伴う工程)が行われても、金属シリサイド層13と絶縁膜21との間の界面の酸化膜の酸素に起因して金属シリサイド層13が部分的に異常成長してしまうのを防止できる。このため、異常成長による金属シリサイド層13の抵抗の増加を防止できる。また、ソース・ドレイン領域上に形成した金属シリサイド層13がチャネル部に異常成長して電界効果トランジスタのソース・ドレイン間のリーク電流が増大するのを防止できる。従って、半導体装置の性能を向上させることができる。また、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0170】
また、金属シリサイド層13と絶縁膜21との間の界面に酸化膜が形成されていないので、絶縁膜21が半導体基板1に作用させるべき引張応力または圧縮応力(絶縁膜21が絶縁膜21aの場合は引張応力、絶縁膜21が絶縁膜21bの場合は圧縮応力)が、酸化膜によって阻害されることがなく、半導体基板1に十分に伝わるようになる。このため、nチャネル型MISFETQn(引張応力の場合)またはpチャネル型MISFETQp(圧縮応力の場合)の特性を的確に向上させることができる。
【0171】
図26は、半導体ウエハSW上に成膜した窒化シリコン膜をXPS(X-ray Photoelectron spectroscopy:X線光電子分光)法で測定したスペクトルを示すグラフ(説明図)である。図26のグラフの横軸は結合エネルギー(Binding energy)に対応する。また、図26のグラフの縦軸は、スペクトルの強度(arbitrary unit:任意単位)に対応し、397.1〜397.2eV付近のピーク強度を1として規格化(ノーマライズ)してある。また、図26のグラフでは、プラズマCVD法で成膜した窒化シリコン膜(絶縁膜21に相当するもの)のスペクトルである第1スペクトルを点線で示し、後述する第2スペクトルおよび第3スペクトルを実線で示してあるが、第2スペクトルおよび第3スペクトルはほとんど同じスペクトルであるため、図26のグラフでは重なって同じ実線で示されている。なお、上記第2スペクトルは、ニッケルを含む金属シリサイド層(金属シリサイド層13に相当するもの)の表面をアンモニアプラズマで処理することにより形成された窒化シリコン膜(窒化膜73aに相当するもの)のスペクトルである。また、上記第3スペクトルは、ニッケルを含む金属シリサイド層(金属シリサイド層13に相当するもの)の表面を水素プラズマで処理した後に、プラズマ化していないシラン(SiH)ガスおよびアンモニア(NH)ガスにさらすことによって形成された窒化シリコン膜(窒化膜73bに相当するもの)のスペクトルである。
【0172】
図26のグラフで397.1〜397.2eV付近に示されるピークは、窒化シリコンに対応するスペクトルである。図26のグラフで点線で示された第1スペクトルよりも、実線で示された第2スペクトルおよび第3スペクトルの方が、ピークの位置が高エネルギー側にシフトしている。これは、第1スペクトルが測定された窒化シリコン膜(絶縁膜21に相当するもの)よりも、第2スペクトルが測定された窒化シリコン膜(窒化膜73aに相当するもの)および第3スペクトルが測定された窒化シリコン膜(窒化膜73bに相当するもの)の方が、化学量論比(すなわちSi)に近い組成であることを示唆している。従って、窒化膜73a,73bおよび絶縁膜21はいずれも窒化シリコンよりなるが、絶縁膜21よりも窒化膜73a,73bの方が、化学量論比(Si)に近い組成であることが分かる。
【0173】
本実施の形態のように、金属シリサイド層13の表面の自然酸化膜を除去し、直接または窒化膜73(窒化膜73aまたは窒化膜73b)が形成された状態でプラズマ窒化シリコン膜である絶縁膜21を堆積すれば、界面に自然酸化膜(72)が介在しないので、絶縁膜21と金属シリサイド層13との間の密着性を向上させることができる。その理由は、金属シリサイド層13と絶縁膜21との間に自然酸化膜が介在していると、自然酸化膜に絶縁膜21の応力がかかることにより、自然酸化膜と絶縁膜21との界面がはがれの発端となる可能性があるためである。
【0174】
また、窒化膜73aは、プラズマ反応により形成された化学量論比(Si)に近い組成の窒化シリコンからなり、半導体基板1に引張応力を生じさせる膜となる。また、窒化膜73bは、金属シリサイド表面の触媒作用による熱反応により形成された化学量論比(Si)に近い組成の窒化シリコンからなり、半導体基板1に引張応力を生じさせる膜となる。このため、図20や図21のように、金属シリサイド層13の表面に窒化膜73(窒化膜73aまたは窒化膜73b)が形成された状態で、絶縁膜21として半導体基板1に引張応力を生じさせる絶縁膜21aを形成すれば、絶縁膜21aの引張り応力に加えて、更に窒化膜73(窒化膜73aまたは窒化膜73b)の引張り応力が半導体基板1に作用することになる。これにより、半導体基板1に生じる引張応力をより大きくすることができ、nチャネル型MISFETQnは、移動度がより向上して駆動電流が更に増加するので、スイッチング特性をより向上させることができる。
【0175】
また、絶縁膜21として半導体基板1に圧縮応力を生じさせる絶縁膜21bを形成する場合には、半導体基板1に生じる圧縮応力をより向上させる上では、図24や図25のように、金属シリサイド層13の表面の酸化膜72を水素プラズマ処理で除去してから窒化膜73(窒化膜73b)を形成することなく絶縁膜21bを堆積することも有効である。このようにすれば、絶縁膜21bが半導体基板1に圧縮応力を生じさせ、かつ窒化膜73による引張応力が生じないので、半導体基板1に生じる圧縮応力をより大きくすることができる。これにより、pチャネル型MISFETQpは、移動度がより向上して駆動電流が更に増加するので、スイッチング特性をより向上させることができる。
【0176】
また、金属シリサイド層13は低抵抗率であることが好ましいため、金属シリサイド層13は、MSi(ダイメタルシリサイド)相、MSi(メタルモノシリサイド)相およびMSi(メタルダイシリサイド)相のうち、抵抗率が最も低い相にする必要があるが、金属シリサイド層13を構成する金属元素の種類によって、MSi相が最も低抵抗率の場合と、MSi相が最も低抵抗率の場合とがある。一方、上述したように、上記図19のように金属シリサイド層13と絶縁膜21の界面に酸化膜72が形成(残存)されていると、絶縁膜21の成膜後の種々の加熱工程において、酸化膜72の酸素に起因して金属シリサイド層13が部分的に異常成長するが、この異常成長は、金属シリサイド層13がMSi相である場合に特に顕著になる。これは、MSi相はSi(シリコン)とこれ以上反応しづらい相であるのに対して、MSi相およびMSi相は更にSi(シリコン)と反応しやすい相であるためである。金属シリサイド層13がMSi相である場合、酸化膜72中の酸素(O)が拡散して酸素に起因した欠陥が増え、生じた欠陥を通してMSi相の金属シリサイド層13の金属元素が拡散して、
MSi+Si→MSi
の反応が生じ、MSiの部分が異常成長する。
【0177】
このため、MSi相およびMSi相よりもMSi相の方が低抵抗率の場合には、MSiの部分が異常成長しやすいMSi相を金属シリサイド層13に適用するために、金属シリサイド層13と絶縁膜21の界面の酸化膜72に起因した金属シリサイド層13の異常成長を防止することが、極めて重要となる。
【0178】
本実施の形態では、ステップS2で酸化膜72を還元して除去してからステップS3で絶縁膜21を形成しているので、金属シリサイド層13と絶縁膜21の界面に酸化膜が形成されず、絶縁膜21の成膜後の種々の加熱工程において、金属シリサイド層13が部分的に異常成長するのを防止できる。このため、MSiの部分が異常成長しやすいMSi相を金属シリサイド層13に適用しても、MSiの部分が異常成長するのを防止できる。このため、本実施の形態は、第1の条件として、MSi(メタルダイシリサイド)相およびMSi(ダイメタルシリサイド)相よりも、MSi(メタルモノシリサイド)相の方が低抵抗率であるような金属シリサイドにより、金属シリサイド層13を形成する場合に適用すれば、効果が大きい。また、この場合、半導体装置の製造終了(例えば半導体基板1をダイシングなどにより個片化して半導体チップを形成した段階)まで、金属シリサイド層13は、MSi相のままとする。これは、製造された半導体装置において、金属シリサイド層13を、MSi相およびMSi相よりも低抵抗率のMSi相とすることで、金属シリサイド層13を低抵抗とし、コンタクト抵抗や、ソース・ドレインの拡散抵抗を低減でき、MISFETが形成された半導体装置の性能を向上できるためである。
【0179】
また、本実施の形態は、MSi相の金属シリサイド層13を形成しても、MSiの異常成長を防止できるので、第2の条件として、MSi(メタルダイシリサイド)相が存在可能なシリサイドにより、金属シリサイド層13を形成する場合に適用すれば、効果が大きい。
【0180】
また、本実施の形態は、絶縁膜21の成膜後の種々の加熱工程で、金属シリサイド層13と絶縁膜21の界面の酸化膜72に起因して金属シリサイド層13の金属元素Mが拡散してMSiの部分が異常成長するのを防止できるので、第3の条件として、Si(シリコン)ではなく金属元素Mが拡散種となる場合に、本実施の形態を適用すれば、効果が大きい。
【0181】
これら第1〜第3の条件を勘案すると、上記金属膜11が、Ni(ニッケル)膜またはNi(ニッケル)合金膜である場合に本実施の形態を適用すれば、効果が大きい。すなわち、金属シリサイド層13が、ニッケルのシリサイド層(ニッケルシリサイド層)またはニッケル合金のシリサイド層(ニッケル合金シリサイド層)である場合に本実施の形態を適用すれば、効果が大きい。金属膜11に用いることができるNi(ニッケル)合金膜には、Ni−Pt(ニッケル−白金)合金膜、Ni−V(ニッケル−バナジウム)合金膜、Ni−Pd(ニッケル−パラジウム)合金膜、Ni−Yb(ニッケル−イッテルビウム)合金膜、またはNi−Er(ニッケル−エルビウム)合金膜がある。金属膜11が、Ni膜、Ni−Pt合金膜、Ni−V合金膜、Ni−Pd合金膜、Ni−Yb合金膜、またはNi−Er合金膜であれば、Si(シリコン)ではなく金属元素Mが拡散種となり、MSi相が存在し、MSi相およびMSi相よりもMSi相の方が低抵抗率となる。但し、金属シリサイド層13からチャネル部へのMSiの異常成長の問題や、金属シリサイド層中のMSi部分の形成による抵抗ばらつき増大の問題は、金属膜11がNi膜、Ni−Pt合金膜、Ni−V合金膜、Ni−Pd合金膜、Ni−Yb合金膜またはNi−Er合金膜のいずれの場合にも生じるが、特に金属膜11がNi(ニッケル)膜の場合に最も顕著に現れる。このため、金属膜11がNi(ニッケル)膜である場合に本実施の形態を適用すれば、最も効果が大きい。
【0182】
また、本実施の形態では、ソースまたはドレイン用の半導体領域(7b,8b)上とゲート電極(6a,6b)上とに金属シリサイド層13を形成する場合について説明したが、他の形態として、ゲート電極6a,6b上には金属シリサイド層13を形成せずに、ソースまたはドレイン用の半導体領域(ここではn型半導体領域7b、p型半導体領域8b)上に金属シリサイド層13を形成することもできる。
【0183】
また、本実施の形態では、最良の形態として、半導体基板1に形成したソースまたはドレイン用の半導体領域(ここではn型半導体領域7b、p型半導体領域8b)上に金属シリサイド層13を形成する場合について説明したが、他の形態として、半導体基板1に形成したソースまたはドレイン用以外の半導体領域上に、金属シリサイド層13を形成することもできる。その場合にも、本実施の形態のような絶縁膜21形成法を用いたことにより、金属シリサイド層13の異常成長を防止して、金属シリサイド層13の抵抗のばらつきを低減できる。但し、本実施の形態のように、半導体基板1に形成したソースまたはドレイン用の半導体領域(n型半導体領域7b、p型半導体領域8b)上に金属シリサイド層13を形成する場合であれば、金属シリサイド層13の抵抗のばらつきを低減する効果に加えて、金属シリサイド層13がチャネル部に異常成長して電界効果トランジスタのソース・ドレイン間のリーク電流が増大するのを防止できる効果を得られるので、効果が極めて大きい。
【0184】
(実施の形態2)
図27〜図32は、本発明の他の実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【0185】
上記実施の形態1では、nチャネル型MISFETQnが形成された領域とpチャネル型MISFETQpが形成されて領域とに、共通の絶縁膜21が形成されていた。そして、その共通の絶縁膜21を、半導体基板1に引張応力を生じさせる絶縁膜21aまたは半導体基板1に圧縮応力を生じさせる絶縁膜21bのいずれかにしていた。
【0186】
それに対して、本実施の形態では、nチャネル型MISFETQnが形成された領域では、半導体基板1に引張応力を生じさせる絶縁膜21aが形成され、pチャネル型MISFETQpが形成された領域では、半導体基板1に圧縮応力を生じさせる絶縁膜21bが形成される。
【0187】
本実施の形態の半導体装置の製造工程は、上記図7の工程(絶縁膜21の形成工程)までは、上記実施の形態1と同様である。但し、本実施の形態では、絶縁膜21が、半導体基板1に引張応力を生じさせる膜、すなわち絶縁膜21aとなるようにする。すなわち、上記図14の第1の成膜方法または図15の第2の成膜方法により絶縁膜21を形成することで、図7において絶縁膜21を絶縁膜21aとした構造に対応する図27の構造が得られる。
【0188】
図7に対応する図27の構造が得られた後、nチャネル型MISFETQnが形成された領域を覆いかつpチャネル型MISFETQpが形成された領域を露出するようなフォトレジスト膜(図示せず)を絶縁膜21a上に形成し、このフォトレジスト膜をエッチングマスクとして絶縁膜21aをドライエッチングする。これにより、pチャネル型MISFETQpが形成された領域の絶縁膜21aを除去し、nチャネル型MISFETQnが形成された領域の絶縁膜21aを残す。その後、フォトレジスト膜を除去する。このようにして、図28の構造が得られる。この段階では、pチャネル型MISFETQpが形成された領域の金属シリサイド層13の表面が露出される。
【0189】
次に、図29に示されるように、pチャネル型MISFETQpが形成された領域の金属シリサイド層13上を含む半導体基板1の主面の全面上に、絶縁膜21aおよびゲート電極6bを覆うように絶縁膜21bを形成する。
【0190】
この絶縁膜21bの形成工程は、上記実施の形態1における絶縁膜21の形成工程と同様に行うが、絶縁膜21bが半導体基板1に圧縮応力を生じさせる膜となるようにする。このため、絶縁膜21bは、上記図16の第3の成膜方法または上記図17の第4の成膜方法により形成する。従って、本実施の形態で絶縁膜21bを形成する際にも、上記実施の形態1で説明したように、ステップS2(ステップS32aまたはステップS32b)で金属シリサイド層13の表面を還元性ガス(好ましくはアンモニアガス、水素ガス、あるいはそれらの混合ガス)のプラズマで処理してから、ステップS3(ステップS37a〜S39aまたはステップS37b〜S39b)で絶縁膜21bがプラズマCVD法で堆積される。
【0191】
次に、pチャネル型MISFETQpが形成された領域を覆いかつnチャネル型MISFETQnが形成された領域を露出するようなフォトレジスト膜(図示せず)を絶縁膜21b上に形成し、このフォトレジスト膜をエッチングマスクとして絶縁膜21bをドライエッチングする。これにより、nチャネル型MISFETQnが形成された領域の絶縁膜21bを除去し、pチャネル型MISFETQpが形成された領域の絶縁膜21bを残す。また、このドライエッチング工程では、nチャネル型MISFETQnが形成された領域の絶縁膜21aを除去せずに残存させる。その後、フォトレジスト膜を除去する。このようにして、図30の構造が得られる。
【0192】
その後の工程は、上記実施の形態1とほぼ同様である。すなわち、上記実施の形態1と同様にして、上記図31に示されるように、絶縁膜21a,21b上に絶縁膜22を形成する。それから、上記実施の形態1と同様にして、図32に示されるように、絶縁膜21a,21b,22にコンタクトホール23を形成し、コンタクトホール23内にプラグ24を形成する。その後、上記実施の形態1と同様にして、ストッパ絶縁膜31、絶縁膜32、配線溝33および配線35が形成されるが、ここではその図示は省略する。
【0193】
上記実施の形態1で説明したように、絶縁膜21aは、プラズマCVD法により形成した窒化シリコン膜であり、半導体基板1に対して圧縮応力を与える膜である。また、絶縁膜21bは、プラズマCVD法により形成した窒化シリコン膜であり、半導体基板1に対して圧縮応力を与える膜である。
【0194】
上記のようにして形成された本実施の形態の半導体装置では、nチャネル型MISFETQnが形成された領域では、半導体基板1に引張応力を生じさせる膜である絶縁膜21aが半導体基板1上にnチャネル型MISFETQn(すなわちゲート電極6aおよびn型半導体領域7b)を覆うように形成されている。そして、pチャネル型MISFETQpが形成された領域では、半導体基板1に圧縮応力を生じさせる膜である絶縁膜21bが半導体基板1上にpチャネル型MISFETQp(すなわちゲート電極6bおよびp型半導体領域8b)を覆うように形成されている。
【0195】
このため、nチャネル型MISFETQnが形成された領域では、半導体基板1に引張応力を生じさせる膜である絶縁膜21aが形成されているので、絶縁膜21aによる引張応力によってnチャネル型MISFETQnは、移動度が向上して駆動電流が増加し、スイッチング特性を向上させることができる。一方、pチャネル型MISFETQpが形成された領域では、半導体基板1に圧縮応力を生じさせる膜である絶縁膜21bが形成されているので、絶縁膜21bによる圧縮応力によってpチャネル型MISFETQpは、移動度が向上して駆動電流が増加し、スイッチング特性を向上させることができる。これにより、nチャネル型MISFETQnとpチャネル型MISFETQpを備えた半導体装置、すなわちCMISFETを備えた半導体装置において、nチャネル型MISFETQnとpチャネル型MISFETQpの両方で移動度を向上して駆動電流を増加させることができ、全体としての特性をより向上させることができる。
【0196】
また、本実施の形態においても、上記実施の形態1と同様にして絶縁膜21a,21bを形成する。このため、金属シリサイド層13の表面を還元性ガス(好ましくはアンモニアガス、水素ガス、あるいはそれらの混合ガス)のプラズマで処理してから、大気中(酸素含有雰囲気中)にさらすことなく、金属シリサイド層13上を含む半導体基板1上に絶縁膜21a(窒化シリコン膜)をプラズマCVD法で形成している。また、図28の工程でpチャネル型MISFETQpが形成された領域で金属シリサイド層13が露出したことによりその表面に酸化膜(上記酸化膜72に相当するもの)が生成されるが、その酸化膜をステップS2(ステップS32aまたはステップS32b)の還元性ガスのプラズマ処理で還元して除去してから、大気中(酸素含有雰囲気中)にさらすことなく、絶縁膜21b(窒化シリコン膜)をプラズマCVD法で堆積している。このため、nチャネル型MISFETQnが形成された領域では、上記図20、図21または図24の状態となり、pチャネル型MISFETQpが形成された領域では、上記図22、図23または図25の状態となる。これにより、上記実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0197】
すなわち、本実施の形態においても、金属シリサイド層13と絶縁膜21a,21bとの間の界面には、酸化膜は形成されていない。このため、絶縁膜21a,21bの成膜後の種々の加熱工程(例えば種々の絶縁膜や導体膜の成膜工程のように半導体基板1の加熱を伴う工程)が行われても、金属シリサイド層13と絶縁膜21a,21bとの間の界面の酸化膜の酸素に起因して金属シリサイド層13が部分的に異常成長してしまうのを防止できる。従って、異常成長による金属シリサイド層13の抵抗の増加を防止できる。また、ソース・ドレイン領域上に形成した金属シリサイド層13がチャネル部に異常成長して電界効果トランジスタのソース・ドレイン間のリーク電流が増大するのを防止できる。このため、半導体装置の性能を向上させることができる。また、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0198】
また、本実施の形態では、絶縁膜21aと絶縁膜21bとのうち、絶縁膜21aを先に形成する場合について説明したが、絶縁膜21bを先に形成することもできる。この場合、図27において絶縁膜21aの代わりに絶縁膜21bを形成し、その絶縁膜21bを、図28の段階でnチャネル型MISFETQnが形成された領域で除去しかつpチャネル型MISFETQpが形成された領域で残す。それから、図29の段階で絶縁膜21bの代わりに絶縁膜21aを形成し、その絶縁膜21aを、図30の段階でpチャネル型MISFETQpが形成された領域で除去しかつnチャネル型MISFETQnが形成された領域で残せばよい。
【0199】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0200】
本発明は、金属シリサイド層上に窒化シリコン膜を形成した半導体素子を備えた半導体装置の製造技術に適用して有効である。
【符号の説明】
【0201】
1 半導体基板
2 素子分離領域
3 p型ウエル
4 n型ウエル
5 ゲート絶縁膜
6 シリコン膜
6a,6b ゲート電極
7a n型半導体領域
7b n型半導体領域
8a p型半導体領域
8b p型半導体領域
9 サイドウォール
11 金属膜
12 バリア膜
13 金属シリサイド層
21,21a,21b 絶縁膜
22 絶縁膜
23 コンタクトホール
24 プラグ
24a バリア導体膜
24b 主導体膜
31 ストッパ絶縁膜
32 絶縁膜
33 配線溝
34 バリアメタル膜
35 配線
41 成膜装置
42 搬送室
42a 搬送用ロボット
43 ゲートバルブ
44a,44b ロードロック室
46,46a,46b,47a,47b,48a,48b チャンバ
51 ウエハ搬入出室
51a,51b 搬送用ロボット
52a,52b フープ
53 ポート
54 ウエハ受け渡しステーション
61 下部電極
62 上部電極
62a ガス導入口
63 高周波電源
64 マスフローコントローラ
65 ガス排気口
Qn nチャネル型MISFET
Qp pチャネル型MISFET
SW 半導体ウエハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)半導体基板を準備する工程、
(b)前記半導体基板に第1導電型の第1半導体領域を形成する工程、
(c)前記第1半導体領域の表面に金属シリサイド層を形成する工程、
(d)前記金属シリサイド層の表面を還元性ガスのプラズマで処理する工程、
(e)前記金属シリサイド層上を含む前記半導体基板上に、窒化シリコンからなる第1絶縁膜をプラズマCVD法で形成する工程、
を有し、
前記(d)工程の後、前記半導体基板を大気中にさらすことなく前記(e)工程が行われ、
前記還元性ガスのプラズマはアンモニアガスのプラズマであり、
前記(d)工程の前記アンモニアガスのプラズマ処理により、前記金属シリサイド層の表面の自然酸化膜が除去され、第1窒化膜が前記金属シリサイド層の表面に形成される、半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1窒化膜は、前記(e)工程で形成される前記第1絶縁膜よりも化学量論比に近い窒化シリコン膜である、半導体装置の製造方法。
【請求項3】
(a)半導体基板を準備する工程、
(b)前記半導体基板に第1導電型の第1半導体領域を形成する工程、
(c)前記第1半導体領域の表面に金属シリサイド層を形成する工程、
(d)前記金属シリサイド層の表面を還元性ガスのプラズマで処理する工程、
(e)前記金属シリサイド層上を含む前記半導体基板上に、窒化シリコンからなる第1絶縁膜をプラズマCVD法で形成する工程、
を有し、
前記(d)工程の後、前記半導体基板を大気中にさらすことなく前記(e)工程が行われ、
前記(d)工程は、
(d1)第1のチャンバ内に前記半導体基板を配置する工程、
(d2)前記第1のチャンバ内に前記還元性ガスのプラズマを生成して前記金属シリサイド層の表面を前記還元性ガスのプラズマで処理する工程、
を有し、
前記(e)工程では、前記第1のチャンバ内にシリコン元素を構成元素として含む第1のガスと窒素元素を構成元素として含む第2のガスのプラズマを生成して、前記金属シリサイド層上を含む前記半導体基板上に前記第1絶縁膜を堆積し、
前記還元性ガスのプラズマは水素ガスのプラズマであり、
前記(d2)工程の前記水素ガスのプラズマ処理により、前記金属シリサイド層の表面の自然酸化膜が除去され、
前記(d2)工程の後で前記(e)工程の前に、
(d3)前記第1のチャンバ内に前記第1のガスと前記第2のガスとを導入し、プラズマ化されていない前記第1のガスおよび前記第2のガスに前記金属シリサイド層の表面をさらすことで、前記金属シリサイド層の表面に第2窒化膜を形成する工程、
を更に有する、半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項3記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2窒化膜は、前記(e)工程で形成される前記第1絶縁膜よりも化学量論比に近い窒化シリコン膜である、半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(e)工程で形成された前記第1絶縁膜は、前記半導体基板に引張応力を生じさせる膜である、半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項5記載の半導体装置の製造方法において、
前記(e)工程は、
(e1)前記半導体基板上に窒化シリコン膜をプラズマCVD法で堆積する工程、
(e2)前記(e1)工程で堆積した前記窒化シリコン膜の表面を窒素プラズマで処理する工程、
を有し、
前記(e1)および(e2)工程を1回以上繰り返して、前記第1絶縁膜を形成する、半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(e)工程で形成された前記第1絶縁膜は、前記半導体基板に圧縮応力を生じさせる膜である、半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2013−77828(P2013−77828A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−266175(P2012−266175)
【出願日】平成24年12月5日(2012.12.5)
【分割の表示】特願2007−259355(P2007−259355)の分割
【原出願日】平成19年10月3日(2007.10.3)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】