説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】半導体装置のコストの低減化を図る。
【解決手段】半導体チップ3の電極パッド3cとこれに対応するインナリード2aとが複数のボンディングワイヤ6によって電気的に接続された半導体パッケージにおいて、センシングワイヤA,B(第2ボンディングワイヤ6b,第4ボンディングワイヤ6d)を、同一のインナリード2aに接続された他のボンディングワイヤ6(第1ボンディングワイヤ6a,第3ボンディングワイヤ6c)より細くすることで、金ワイヤに掛かるコストを減らして前記半導体パッケージの原価低減を図る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造技術に関し、特に、複数のワイヤが同一のリードに電気的に接続された半導体装置のコストの低減化に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のボンディングワイヤが同一のリードに電気的に接続された半導体装置として、例えば、特開2007−165368号公報(特許文献1)に、半導体チップの3つの電極パッドと1個のインナーリードとが3本のボンディングワイヤによって電気的に接続された構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−165368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パワー系の半導体装置の一例として、光ディスク用のモータドライバーに搭載される半導体装置が知られている。この半導体装置では、モータの回転速度を上げる倍速化競争の中、スピンドルモータの出力オン抵抗を低減化することが重要である。
【0005】
そこで、金線(金ワイヤ)を太くして抵抗値の低減化を図れればよいが、太い金線が必要な部分以外はコスト削減のため小径化のままにしておくことが好ましい。この半導体装置の場合、太い金線を必要とするのは、少なくともモータドライバー中のパワートランジスタ部分であり、それ以外の制御部分の箇所は、太い金線を使う必要はない。
【0006】
また、このような半導体装置では、大きな電流が流れることを想定した電源・GND用リードには分割して電流を流すように複数の金線を接続しているが、そこに過電流保護のためのセンシングワイヤも接続しており、このセンシングワイヤが電源・GND用の金線と隣り合ってワイヤリングされている。つまり、電源・GND用の同一リードに、複数の金線が接続されており、そのうちの1本がセンシングワイヤとなっている。
【0007】
センシングワイヤでは、そのワイヤ自体の電圧降下をセンシングしているため、同一リード内の別の金線と接触すると、電圧降下量が変化してしまうため、センシング機能を失ってしまう。そのため、ワイヤショートが起こらないように樹脂モールディング工程における封止用樹脂の注入時の金線流れにおいても電源・GND用の金線と同程度のワイヤ流れになるように同一リードに接続する金線は同じ太さの金線を使用している。
【0008】
したがって、センシングワイヤも電源・GND用の金線と同じ太さの金線を用いているため、コストが高くなることが課題である。
【0009】
なお、前記特許文献1(特開2007−165368号公報)に記載された技術においても、同一のインナーリードに複数のボンディングワイヤが電気的に接続された構造が開示されているが、複数のボンディングワイヤの太さは同じであり、したがって、半導体装置のコストの低減化を図ることはできない。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、半導体装置のコストの低減化を図ることができる技術を提供することにある。
【0011】
また、本発明の他の目的は、半導体装置の信頼性の向上を図ることができる技術を提供することにある。
【0012】
さらに、本発明の他の目的は、異なった複数種類のワイヤを有する半導体装置の製造方法において、タクトダウン率を抑えたワイヤボンディング条件を導き出すことができる技術を提供することにある。
【0013】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0015】
代表的な実施の形態による半導体装置は、複数の電極パッドを有する半導体チップと、前記半導体チップの周囲に配置された複数のリードと、前記複数の電極パッドと前記複数のリードとを電気的に接続する複数のボンディングワイヤと、前記半導体チップ、前記複数のボンディングワイヤ及び前記複数のリードの一部を封止する樹脂封止体と、を有し、前記複数のリードは、前記半導体チップに第1動作電位を供給するための第1電源リードを有し、前記複数の電極パッドは、前記第1電源リードと第1ボンディングワイヤを介して電気的に接続された第1電源用電極パッドと、前記第1電源リードと第2ボンディングワイヤを介して電気的に接続され、かつ、前記第1電源リードの電位をモニタするための第1モニタ用電極パッドとを有し、前記第2ボンディングワイヤは、前記第1ボンディングワイヤより細いものである。
【0016】
また、代表的な実施の形態による半導体装置の製造方法は、チップ搭載部と前記チップ搭載部の周囲に配置された複数のリードを有するリードフレームを準備する工程と、前記リードフレームの前記チップ搭載部上に、複数の電極パッドを有する半導体チップを搭載する工程と、前記複数のリードと前記半導体チップの前記複数の電極パッドとを複数のボンディングワイヤにより電気的に接続する工程と、前記半導体チップ、前記複数のボンディングワイヤ及び前記複数のリードの一部を封止する樹脂封止体を形成する工程と、を有し、前記複数のボンディングワイヤは、一端部が前記複数の電極パッドの中の第1電極パッドに接続され、他端部が前記複数のリードの中の第1リードに接続された第1ボンディングワイヤと、一端部が前記複数の電極パッドの中の第2電極パッドに接続され、他端部が前記第1リードに接続され、かつ、前記第1ボンディングワイヤより細い第2ボンディングワイヤを有し、前記第2ボンディングワイヤは、前記第1ボンディングワイヤより後に、形成されるものである。
【0017】
さらに、代表的な他の実施の形態による半導体装置の製造方法は、異なった種類のボンディングワイヤがボンディングされて組み立てられる半導体装置の製造方法であり、(a)チップ搭載部及び前記チップ搭載部の周囲に複数のリードが設けられたリードフレームを準備する工程と、(b)前記リードフレームの前記チップ搭載部に半導体チップを搭載する工程と、(c)前記異なった種類のボンディングワイヤを介して前記半導体チップの複数の電極パッドと前記複数のリードとを電気的に接続する工程と、を有し、前記(c)工程において、前記ボンディングワイヤの種類に応じた各ボンディングワイヤの本数の配分及び前記ボンディングワイヤの種類に応じたワイヤボンダの必要台数を算出するボンディング条件算出手段を用いて、各種類ごとの最適なボンディングワイヤの本数の割合と、各種類ごとの最適なワイヤボンダの台数を導き出し、前記導き出された条件でワイヤボンディングを行うものである。
【発明の効果】
【0018】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0019】
同一のリードに異なった太さのボンディングワイヤを接続することで、半導体装置のコストの低減化を図ることができる。
【0020】
同一のリードに接続された異なった太さのボンディングワイヤのショートや変形を低減して、半導体装置の信頼性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態1の半導体装置の構造の一例を封止体を透過して示す部分平面図である。
【図2】図1のA−A線に沿って切断した構造の一例を示す部分断面図である。
【図3】図1に示す半導体装置における特徴部分の概略構造の一例を示す部分平面図である。
【図4】図1に示す半導体装置の構造の一例を封止体を透過して示す平面図である。
【図5】図4に示すB部の構造の一例を示す拡大部分平面図である。
【図6】図4に示す半導体装置に組み込まれた過電流保護回路の一例を示す回路ブロック図である。
【図7】図1に示す半導体装置の組み立て手順の一例を示す製造フロー図である。
【図8】図1に示す半導体装置の組み立てで用いられるリードフレームの構造の一例を示す部分平面図である。
【図9】図1に示す半導体装置の組み立てにおけるダイボンディング後の構造の一例を示す部分平面図である。
【図10】図1に示す半導体装置の組み立てのワイヤボンディング工程におけるボールボンディング方法の一例を示す部分断面図である。
【図11】図1に示す半導体装置の組み立てにおける第1ワイヤボンディング後の構造の一例を示す部分平面図である。
【図12】図1に示す半導体装置の組み立てにおける第2ワイヤボンディング後の構造の一例を示す部分平面図である。
【図13】図1に示す半導体装置の組み立ての樹脂モールディング工程における樹脂注入時のレジン流動方向の一例を示す平面図である。
【図14】図13に示す樹脂注入時のモールド金型のキャビティ内の構造の一例を示す部分断面図である。
【図15】図13に示す樹脂注入時のモールド金型の樹脂注入ゲートとセンシングワイヤとの位置関係の一例を示す部分平面図である。
【図16】本発明の実施の形態1の半導体装置の第1変形例の構造を示す部分断面図である。
【図17】本発明の実施の形態1の半導体装置の第2変形例の構造を示す部分断面図である。
【図18】本発明の実施の形態1の半導体装置の第3変形例の樹脂モールディング工程における樹脂注入時のレジン流動方向の一例を示す平面図である。
【図19】本発明の実施の形態2の半導体装置の組み立てのワイヤボンディング工程で用いられるワイヤボンダの構造の一例を示す正面図である。
【図20】本発明の実施の形態2の半導体装置の組み立てのワイヤボンディング工程で用いられるワイヤボンディング条件を導き出すための基準タクトの各時間の一例を示す実測値データ図である。
【図21】本発明の実施の形態2の半導体装置の組み立てのワイヤボンディング工程で用いられるワイヤボンディング条件を導き出すためのタクト計算の一例を示す計算値データ図である。
【図22】本発明の実施の形態2の半導体装置の組み立てのワイヤボンディング工程で用いられるワイヤボンディング条件を導き出すためのタクトダウン率抑制を考慮したタクト計算の一例を示す計算値データ図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の実施の形態では特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0023】
さらに、以下の実施の形態では便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明などの関係にある。
【0024】
また、以下の実施の形態において、要素の数など(個数、数値、量、範囲などを含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良いものとする。
【0025】
また、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0026】
また、以下の実施の形態において、構成要素等について、「Aからなる」、「Aよりなる」、「Aを有する」、「Aを含む」と言うときは、特にその要素のみである旨明示した場合等を除き、それ以外の要素を排除するものでないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0028】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1の半導体装置の構造の一例を封止体を透過して示す部分平面図、図2は図1のA−A線に沿って切断した構造の一例を示す部分断面図、図3は図1に示す半導体装置における特徴部分の概略構造の一例を示す部分平面図である。また、図4は図1に示す半導体装置の構造の一例を封止体を透過して示す平面図、図5は図4に示すB部の構造の一例を示す拡大部分平面図、図6は図4に示す半導体装置に組み込まれた過電流保護回路の一例を示す回路ブロック図である。
【0029】
本実施の形態1の半導体装置は、リードフレームを用いて組み立てられ、かつ半導体チップとリードとの電気的な接続としてワイヤボンディングが行われる樹脂封止型の半導体パッケージ1である。
【0030】
本実施の形態1の前記半導体装置は、例えば、SOP(Small Outline Package)等であるが、SOPに限定されるものではない。また、本実施の形態1では、半導体パッケージ1の一例として、光ディスク用のモータドライバーに搭載されるパワー系の半導体パッケージ1を取り上げて説明する。ただし、半導体パッケージ1は、光ディスク用のモータドライバー以外のパワー系の装置に搭載される半導体装置であってもよいし、また、パワー系以外の装置に搭載される半導体装置であってもよい。
【0031】
光ディスク用のモータでは、その回転速度を上げる倍速化競争が激しい。そこで、半導体チップ3の電極パッド3cとインナリード2aとを電気的に接続するワイヤにおいて、大きな電流が流れることを想定し、前記電流を分割して流すように同一のインナリード2aに複数のワイヤを接続する技術を採用する場合がある。本実施の形態1の半導体パッケージ1においても、大きな電流が流れることを想定して電源・GND用リードに複数のボンディングワイヤを接続する技術を用いている。その際、複数のボンディングワイヤが接続されたリードの一部には、過電流保護のためのセンシングワイヤも接続しており、このセンシングワイヤが電源・GND用のボンディングワイヤと隣り合ってワイヤリングされている。つまり、電源・GND用の同一リードに、複数のボンディングワイヤが接続されており、そのうちの1本がセンシングワイヤであり、前記センシングワイヤは、そのワイヤ自体の電圧降下をセンシングする機能を有している。
【0032】
次に、図1〜図6を用いて本実施の形態1の半導体パッケージ1の構造について説明すると、主面3aに複数の電極パッド3cを有する半導体チップ3と、半導体チップ3の周囲に配置された複数のインナリード(リード)2aと、複数の電極パッド3cと複数のインナリード2aとを電気的に接続する複数のボンディングワイヤ6と、半導体チップ3、複数のボンディングワイヤ6及び複数のリードの一部(インナリード2a)を封止する樹脂封止体5と、インナリード2aと一体で形成され、かつ樹脂封止体5から外方に突出した複数のアウタリード2bとを有している。
【0033】
また、図1及び図2に示すように、半導体チップ3はダイボンド材4を介してチップ搭載部であるダイパッド2c上に搭載されている。その際、半導体チップ3は、その主面3aを上方に向けてダイパッド2c上にフェイスアップ実装されている。したがって、半導体チップ3の裏面3bとダイパッド2cとがダイボンド材4を介して接合されている。ダイボンド材4は、例えば、銀フィラー入りペースト樹脂等である。半導体チップ3は、内部に半導体集積回路が形成されているとともに、その主面3aの周縁部には、複数の電極パッド3cが並んで形成されている。
【0034】
ダイパッド2cは、半導体チップ3と同様に略四角形を成し、樹脂封止体5の内部に埋め込まれている。さらに、ダイパッド2cは、図1に示すようにその対向する一方の2辺それぞれの中央部において一体で繋がった吊りリード2gによって支持されている。すなわち、本実施の形態1の半導体パッケージ1では、ダイパッド2cは、対向して配置された2本の吊りリード2gによって支持されている。
【0035】
また、それぞれの吊りリード2gは、図1に示すように、ダイパッド2cと樹脂封止体5の外周部との間の位置で二股に分岐しており、2本に分岐した状態で樹脂封止体5の外周部に終端している。
【0036】
本実施の形態1の図1に示す半導体パッケージ1は、SOPをイメージしたものであるため、樹脂封止体5の長手方向の対向する2辺から複数のアウタリード2bが突出している。その際、複数のインナリード2aは、2本の吊りリード2gのうちの一方の吊りリード2gと他方の吊りリード2gとダイパッド2cとによって仕切られた対向する両側のそれぞれの領域において、半導体チップ3及びダイパッド2cの周囲に放射状に配置されている。
【0037】
なお、半導体パッケージ1は、消費電力が大きなパワー系であるため、電源(またはGND)の安定化を図るためにダイパッド2cを電源(またはGND)電位としている。その際、複数のインナリード2aのうちの4本がダイパッド2cと同一の材料で、かつダイパッド2cと連続して一体に形成されており、これら4本のインナリード2aそれぞれがさらにアウタリード2bに一体で繋がって外部端子として樹脂封止体5の外部に突出されている。
【0038】
例えば、ダイパッド2cを電源電位とする場合、半導体チップ3の電源用の電極パッド3cとこれら4本のインナリード2a(電源リード)とが複数の電源用のボンディングワイヤ6によって電気的に接続されており(このようなワイヤボンディングをダウンボンディングとも言う)、したがって、ダイパッド2cと一体で繋がる4本のインナリード2a及びアウタリード2bも電源電位となり、電源リードとして樹脂封止体5から外部に露出している。
【0039】
これにより、ダイパッド2cが広い面積で電源電位となって、電源の安定化を図ることができる(ダイパッド2cがGND電位の場合には、GNDの安定化を図ることができる)。
【0040】
なお、インナリード2a、アウタリード2b、ダイパッド2c及び吊りリード2gは、例えば、銅合金等の薄板状の部材によって形成され、さらに樹脂封止体5は、例えば、熱硬化性のエポキシ系樹脂等から成り、後述する図14に示す樹脂注入ゲート8dを有するモールド金型8を用いたトランスファモールド法の樹脂モールディングによって形成された樹脂体である。
【0041】
本実施の形態1の半導体パッケージ1では、図1及び図3に示すように、一部のインナリード2aにおいて、複数本のボンディングワイヤ6が同一のインナリード2aにワイヤボンディングされている。ボンディングワイヤ6(後述する第1ボンディングワイヤ6a、第2ボンディングワイヤ6b、第3ボンディングワイヤ6c、第4ボンディングワイヤ6d及び第5ボンディングワイヤ6e,6fを含む半導体パッケージ1内の全てのボンディングワイヤ6)は、例えば、金ワイヤ(金線)である。
【0042】
図4及び図5に示すように、ダイパッド2cに一体に繋がる4本のインナリード2aには、それぞれに対して、例えば、3本のボンディングワイヤ6が電気的に接続され、これに電気的に対応する(電源−GNDの関係で対応)インナリード2aに対して、例えば、2本のボンディングワイヤ6が電気的に接続されている。
【0043】
なお、図5は、半導体パッケージ1において、ダイパッド2cをGND電位(接地電位)とした場合のワイヤリング状態の詳細を示すものである。
【0044】
したがって、ダイパッド2cと一体で繋がった4本のインナリード2aであるGND用リード(第1電源リード)2dは、半導体チップ3のGND用電極パッド(第1電源用電極パッド)3dと電気的に接続されている。
【0045】
一方、ダイパッド2cと分離した個別の複数のインナリード2aのうち、電源用リード(第2電源リード)2eは、半導体チップ3の電源用電極パッド(第2電源用電極パッド)3eと電気的に接続されている。
【0046】
ここで、GND用リード2dは、半導体チップ3に第1動作電位であるGND電位(接地電位)を供給するためのリードであり、このGND用リード2dが第1ボンディングワイヤ6aを介して半導体チップ3のGND用電極パッド3dと電気的に接続されている。なお、半導体チップ3の電極パッド3cには、GND用電極パッド3dに隣接してGND用リード2dの電位をモニタするためのGNDモニタ用電極パッド(第1モニタ用電極パッド)3fが設けられており、このGNDモニタ用電極パッド3fとGND用リード2dとが、第1ボンディングワイヤ6aより細い第2ボンディングワイヤ6bを介して電気的に接続されている。この細い第2ボンディングワイヤ6bが、センシングワイヤAであり、GND用リード2dの電位をモニタしている。具体的には、センシングワイヤAは、GND用リード2d−GNDモニタ用電極パッド3f間の電圧降下をモニタしている。
【0047】
図5に示す例では、半導体チップ3の3つの電極パッド3c(3d,3f)と1つのGND用リード2dとが3本のボンディングワイヤ6(2本の第1ボンディングワイヤ6aと1本の第2ボンディングワイヤ6b)によって電気的に接続されている。すなわち、1本の同一のGND用リード2dに2本の太い第1ボンディングワイヤ6aと1本の細い第2ボンディングワイヤ6b(センシングワイヤA)が電気的に接続されている。
【0048】
ここで、太い第1ボンディングワイヤ6aの直径は、例えば、30μm程度であり、細い第2ボンディングワイヤ6bの直径は、例えば、23μm程度である。
【0049】
一方、電源用リード2eは、半導体チップ3に第1動作電位(接地電位)より高い第2動作電位である電源電位を供給するためのリードであり、この電源用リード2eが第3ボンディングワイヤ6cを介して半導体チップ3の電源用電極パッド3eと電気的に接続されている。なお、半導体チップ3の電極パッド3cには、電源用電極パッド3eに隣接して電源用リード2eの電位をモニタするための電源モニタ用電極パッド(第2モニタ用電極パッド)3gが設けられており、この電源モニタ用電極パッド3gと電源用リード2eとが、第3ボンディングワイヤ6cより細い第4ボンディングワイヤ6dを介して電気的に接続されている。この細い第4ボンディングワイヤ6dが、センシングワイヤBであり、電源用リード2eの電位をモニタしている。具体的には、センシングワイヤBは、電源用リード2e−電源モニタ用電極パッド3g間の電圧降下をモニタしている。
【0050】
図5に示す例では、半導体チップ3の2つの電極パッド3c(3e,3g)と1つの電源用リード2eとが2本のボンディングワイヤ6(1本の第3ボンディングワイヤ6cと1本の第4ボンディングワイヤ6d)によって電気的に接続されている。すなわち、1本の同一の電源用リード2eに1本の太い第3ボンディングワイヤ6cと1本の細い第4ボンディングワイヤ6d(センシングワイヤB)が電気的に接続されている。
【0051】
ここで、前記同様に、太い第3ボンディングワイヤ6cの直径は、例えば、30μm程度であり、細い第4ボンディングワイヤ6dの直径は、例えば、23μm程度である。
【0052】
また、半導体チップ3の電極パッド3cには、出力用の第1出力信号パッド3hや第2出力信号パッド3iが設けられており、GND用の第1出力信号パッド3hは、第5ボンディングワイヤ6eを介してGND用の第1出力リード2fと電気的に接続されている。一方、電源用の第2出力信号パッド3iは、第5ボンディングワイヤ6fを介して電源用の第2出力リード2hと電気的に接続されている。ここで、第5ボンディングワイヤ6e,6fは、第2ボンディングワイヤ6b及び第4ボンディングワイヤ6dと同様の直径23μm程度の細いワイヤである。
【0053】
なお、半導体パッケージ1においては、第1出力リード2fや第2出力リード2hのように1本の金ワイヤのみが電気的に接続されているインナリード2aは多数存在しており、その際、1本の金ワイヤのみが接続された複数のインナリード2aそれぞれに接続されたボンディングワイヤ6は、細い金ワイヤであり、その直径は、例えば、23μm程度である。すなわち、図4に示す本実施の形態1の半導体パッケージ1においては、例えば、直径30μm程度の太い金ワイヤが電気的に接続されているのは、同一のインナリード2aに2本もしくは3本のボンディングワイヤ6が接続されている場合のいずれか1本もしくは2本がこれに該当している。
【0054】
つまり、図5に示すように、同一のインナリード2aに2本のボンディングワイヤ6が接続されている場合のどちらか1本、あるいは同一のインナリード2aに3本のボンディングワイヤ6が接続されている場合のいずれか2本がGND用もしくは電源用として直径30μm程度の太い金ワイヤとなっており、センシングワイヤA,Bを含むそれ以外の全てのワイヤは、直径23μm程度の細い金ワイヤである。したがって、同一リードに2本もしくは3本の金ワイヤが接続されるインナリード2aにおいては、太いGND用もしくは電源用の金ワイヤと細いセンシング用の金ワイヤとが混在して接続されている。
【0055】
次に、半導体チップ3に組み込まれた図6に示す過電流保護回路について説明する。
【0056】
前記過電流保護回路は、負荷となる外部デバイスを駆動する電流を出力するための出力回路3jと、この出力回路3jから出力される前記電流を制御するための制御回路である出力制御回路3kとを備えている。
【0057】
出力回路3jは、GND用電極パッド(第1電源用電極パッド)3d及び電源用電極パッド(第2電源用電極パッド)3eからそれぞれ供給される接地電位(第1動作電位)及び電源電位(第2動作電位)により動作するものである。
【0058】
また、出力制御回路3kは、GNDモニタ用電極パッド3f及び電源モニタ用電極パッド3gからそれぞれ供給される所定の信号に基づいて、出力回路3jの前記出力を制御するものである。
【0059】
なお、前記過電流保護回路において、GND用電極パッド3d及びGNDモニタ用電極パッド3fは、第1比較器3pに電気的に接続され、さらにGND用リード2dと2本の太い第1ボンディングワイヤ6aを介して電気的に接続されたGND用電極パッド3dは、出力回路3jの第1出力トランジスタ3mと電気的に接続されている。また、GNDモニタ用電極パッド3fは、GND用リード2dと細い第2ボンディングワイヤ(センシングワイヤA)6bを介して電気的に接続されている。
【0060】
これにより、センシングワイヤAである第2ボンディングワイヤ6bは、太い第1ボンディングワイヤ6aに流れる電流をモニタしており、第1比較器3pによって過電流を検知した際には第1出力トランジスタ3mをOFFにする。つまり、第1比較器3pによって検出した結果を、出力制御回路3kを介して第1出力トランジスタ3mにフィードバックする(第1出力トランジスタ3mをON/OFFする)。なお、第1比較器3pでは、電流値を直接モニタすることはできないため、変換された電圧値をモニタしている。
【0061】
一方、電源用電極パッド3e及び電源モニタ用電極パッド3gは、第2比較器3qに電気的に接続され、さらに電源用リード2eと1本の太い第3ボンディングワイヤ6cを介して電気的に接続された電源用電極パッド3eは、出力回路3jの第2出力トランジスタ3nと電気的に接続されている。また、電源モニタ用電極パッド3gは、電源用リード2eと細い第4ボンディングワイヤ(センシングワイヤB)6dを介して電気的に接続されている。
【0062】
これにより、センシングワイヤBである第4ボンディングワイヤ6dは、太い第3ボンディングワイヤ6cに流れる電流をモニタしており、第2比較器3qによって過電流を検知した際には第2出力トランジスタ3nをOFFにする。つまり、第2比較器3qによって検出した結果を、出力制御回路3kを介して第2出力トランジスタ3nにフィードバックする(第2出力トランジスタ3nをON/OFFする)。なお、第2比較器3qにおいても、電流値を直接モニタすることはできないため、変換された電圧値をモニタしている。
【0063】
また、半導体チップ3が有する複数の電極パッド3cには、出力回路3jの出力端子として用いられる出力信号パッドである図5に示す第1出力信号パッド3h及び第2出力信号パッド3iが含まれており、GND用の第1出力信号パッド3hは、第5ボンディングワイヤ6eを介してGND用の第1出力リード2fと電気的に接続され、電源用の第2出力信号パッド3iは、第5ボンディングワイヤ6fを介して電源用の第2出力リード2hと電気的に接続されている。
【0064】
以上により、GND用の第1ボンディングワイヤ6aもしくは電源用の第3ボンディングワイヤ6cにおける過電流を検出した際には、直ちに保護回路を動作させて出力を止めることができる。
【0065】
このように本実施の形態1の半導体パッケージ1では、センシングワイヤA,B(第2ボンディングワイヤ6b,第4ボンディングワイヤ6d)を、同一のインナリード2aに接続された他のボンディングワイヤ6(第1ボンディングワイヤ6a,第3ボンディングワイヤ6c)より細くすることで、金ワイヤに掛かるコストを減らして半導体パッケージ1の原価低減を図ることができる。すなわち、半導体パッケージ1のコストの低減化を図ることができる。
【0066】
本実施の形態1の半導体パッケージ1では、ボンディングワイヤ6として金ワイヤを用いているため、ボンディングワイヤ6を細くすることは半導体パッケージ1のコスト低減化に非常に有効である。
【0067】
次に、本実施の形態1の半導体パッケージ1の製造方法を、図7に示す製造フロー図に沿って説明する。
【0068】
図7は図1に示す半導体装置の組み立て手順の一例を示す製造フロー図、図8は図1に示す半導体装置の組み立てで用いられるリードフレームの構造の一例を示す部分平面図、図9は図1に示す半導体装置の組み立てのダイボンディング後の構造の一例を示す部分平面図である。また、図10は図1に示す半導体装置の組み立てのワイヤボンディング工程におけるボールボンディング方法の一例を示す部分断面図、図11は図1に示す半導体装置の組み立てにおける第1ワイヤボンディング後の構造の一例を示す部分平面図、図12は図1に示す半導体装置の組み立てにおける第2ワイヤボンディング後の構造の一例を示す部分平面図である。さらに、図13は図1に示す半導体装置の組み立ての樹脂モールディング工程における樹脂注入時のレジン流動方向の一例を示す平面図、図14は図13に示す樹脂注入時のモールド金型のキャビティ内の構造の一例を示す部分断面図、図15は図13に示す樹脂注入時のモールド金型の樹脂注入ゲートとセンシングワイヤとの位置関係の一例を示す部分平面図である。
【0069】
まず、図7のステップS1に示すリードフレーム準備を行う。ここでは、チップ搭載部であるダイパッド2cと、ダイパッド2cの周囲に配置された複数のインナリード2aとを有する図8に示すリードフレーム2を準備する。リードフレーム2は、例えば、銅合金等から成る薄板状の部材である。
【0070】
なお、ダイパッド2cは、長方形を成し、その対向する短辺それぞれの中央部において吊りリード2gによって支持されているとともに、対向する長辺それぞれの2箇所においてインナリード2aによっても支持されている。すなわち、ダイパッド2cと一体で繋がって形成されたインナリード2aも4本有している。
【0071】
その後、図7のステップS2に示すダイボンディングを行う。ここでは、図9に示すように、リードフレーム2のダイパッド2c上に、図2に示す主面3aの周縁部に複数の電極パッド3cを有する半導体チップ3を搭載する。その際、銀フィラー入りペースト樹脂等のダイボンド材4を介してダイパッド2c上に半導体チップ3をフェイスアップ実装で搭載する。
【0072】
その後、図7のステップS3に示すワイヤボンディングを行う。前記ワイヤボンディングは、図10に示すようにボンディングツールであるキャピラリ7の先端にボール状電極6gを形成してボンディングを行うボールボンディング法であり、半導体チップ3の複数の電極パッド3cとこれらの電極パッド3cに対応する複数のリード(インナリード2a)とを複数のボンディングワイヤ6により電気的に接続する。ボンディングワイヤ6は、例えば金ワイヤである。
【0073】
まず、図7のステップS3−1の第1ワイヤボンディングを行う。ここでは、前記第1ワイヤボンディングとして、まず、図11に示すように太い第1ボンディングワイヤ6a及び第3ボンディングワイヤ6cのワイヤボンディングから先に行う。そして、前記第1ワイヤボンディング終了後に、ステップS3−2の第2ワイヤボンディングとして、図12に示すように第1ボンディングワイヤ6aより細い第2ボンディングワイヤ(センシングワイヤA)6b、第4ボンディングワイヤ(センシングワイヤB)6d及び第5ボンディングワイヤ6e,6fのワイヤボンディングを行う。
【0074】
前記第1ワイヤボンディングでは、図3に示すように第1ボンディングワイヤ6aにおける一端部6hを複数の電極パッド3cの中のGND用電極パッド(第1電極パッド、第1電源用電極パッド)3dに電気的に接続し、他端部6iを複数のインナリード2aの中のGND用リード(第1リード、第1電源リード)2dに電気的に接続する。なお、第1ボンディングワイヤ6aにおける一端部6hは、図10に示すボール状電極6g側の部分であり、一方、他端部6iは、ボール状電極6gの反対側の部分である。すなわち、第1ボンディングワイヤ6aの一端部6hは半導体チップ3の電極パッド3cに接続する側であり、他端部6iは、インナリード2aに接続する側である。第3ボンディングワイヤ6cについても、第1ボンディングワイヤ6aと同様にワイヤボンディングを行う。
【0075】
前記第1ワイヤボンディング終了後、ワイヤボンディング装置からリードフレーム2を取り出して(ハンドリングして)搬送し、他のワイヤボンディング装置にリードフレーム2をセットする。そして、前記他のワイヤボンディング装置上で前記第2ワイヤボンディングを行う。
【0076】
前記第2ワイヤボンディングでは、図3に示すように第1ボンディングワイヤ6aより細い第2ボンディングワイヤ(センシングワイヤA)6bにおける一端部6jを複数の電極パッド3cの中のGNDモニタ用電極パッド(第2電極パッド、第1モニタ用電極パッド)3fに電気的に接続し、他端部6kをGND用リード(第1リード、第1電源リード)2dに電気的に接続する。なお、第2ボンディングワイヤ6bにおける一端部6jも第1ボンディングワイヤ6aと同様にボール状電極6g側の部分であり、一方、他端部6kも、ボール状電極6gの反対側の部分である。すなわち、第2ボンディングワイヤ6bの一端部6jも第1ボンディングワイヤ6aと同様に半導体チップ3の電極パッド3cに接続する側であり、他端部6kも第1ボンディングワイヤ6aと同様にインナリード2aに接続する側である。第4ボンディングワイヤ6dについても、第2ボンディングワイヤ6bと同様にワイヤボンディングを行う。
【0077】
なお、第2ボンディングワイヤ6bのワイヤボンディングの際には、図3に示すように第2ボンディングワイヤ6bの他端部6kを、第1ボンディングワイヤ6aの他端部6iより半導体チップ3から離れた位置においてGND用リード2dに電気的に接続する。
【0078】
つまり、同一のインナリード2aに複数本のボンディングワイヤ6を接続する際には、後(第2ワイヤボンディング工程)からワイヤボンディングするボンディングワイヤ6のステッチ位置(リードへの接続位置)を最初(第1ワイヤボンディング工程)に接続したボンディングワイヤ6のステッチ位置より、インナリード先端を基準としてそのインナリード先端から離れる(遠ざかる)位置に接続する。
【0079】
例えば、図3に示すように同一のインナリード2aに対して、最初(第1ワイヤボンディング工程)に太い第1ボンディングワイヤ6aをワイヤボンディングして、その後(第2ワイヤボンディング工程で)、細い第2ボンディングワイヤ6bをワイヤボンディングする場合、第2ボンディングワイヤ6bのステッチ位置を第1ボンディングワイヤ6aのステッチ位置よりインナリード先端を基準として離れる位置(インナリード先端から遠ざかる位置、またはインナリード先端を基準として外側方向の位置)に接続する。
【0080】
これにより、最初(第1ワイヤボンディング工程)にワイヤボンディングして形成された第1ボンディングワイヤ6aが、後(第2ワイヤボンディング工程)からの第2ボンディングワイヤ6bのワイヤボンディングの際のキャピラリ7の動作と干渉することで、ズレたり変形したりすることを防止または低減できる。
【0081】
なお、本実施の形態1の半導体パッケージ1の場合、詳細には、図5に示すように、GND用リード(第1電源リード)2dにおける細い第2ボンディングワイヤ6b(センシングワイヤA)との接続位置(ステッチ位置)は、GND用リード2dにおける太い第1ボンディングワイヤ6aとの接続位置(ステッチ位置)に比べて半導体チップ3の外周部から遠い位置(外側方向の位置)となっている。
【0082】
さらに、電源用リード(第2電源リード)2eにおける細い第4ボンディングワイヤ6d(センシングワイヤB)との接続位置(ステッチ位置)は、電源用リード2eにおける太い第3ボンディングワイヤ6cとの接続位置(ステッチ位置)に比べて電源用リード2eのチップ側の先端部から遠い位置(外側方向の位置)となっている。
【0083】
このようにすることで、後(第2ワイヤボンディング工程)からワイヤボンディングする細い第2ボンディングワイヤ6bや第4ボンディングワイヤ6dのズレや変形を低減または防止できる。
【0084】
また、本実施の形態1の半導体パッケージ1の組み立てのように1つの半導体装置内で異なった太さのボンディングワイヤ6をワイヤボンディングする場合には、最初に太いボンディングワイヤ6(第1ボンディングワイヤ6aや第3ボンディングワイヤ6c)をワイヤボンディングして、その後、細いボンディングワイヤ6(第2ボンディングワイヤ6bや第4ボンディングワイヤ6d)をワイヤボンディングすることで、ボンディングワイヤ6の変形を起こりにくくすることができる。
【0085】
すなわち、ワイヤボンディング工程において、ボンディングワイヤ6の太さが変わる際には使用されるワイヤボンディング装置が変わるため、そのワイヤボンディング装置の変更の際に、リードフレーム2の搬送やオペレータによるハンドリングがあり、その結果、最初(第1ワイヤボンディング工程)のワイヤボンディング装置でワイヤボンディングしたボンディングワイヤ6の方が、ワイヤボンディング後に第2ワイヤボンディング工程に移動するためのリードフレーム2の搬送やハンドリングが行われて、より変形し易い。
【0086】
したがって、最初(第1ワイヤボンディング工程)に太いボンディングワイヤ6を接続して、後(第2ワイヤボンディング工程)から細いボンディングワイヤ6を接続することで、ボンディングワイヤ6全体の変形を起こりにくくすることができる。
【0087】
以上のように、本実施の形態1の半導体パッケージ1の組み立てによれば、同一のインナリード2aに接続される異なった太さのボンディングワイヤ6の変形を低減して、半導体パッケージ1の信頼性の向上を図ることができる。
【0088】
ワイヤボンディング終了後、図7のステップS4に示す樹脂モールディングを行う。ここでは、半導体チップ3、複数のボンディングワイヤ6及び複数のリードの一部(インナリード2a)を樹脂モールディングによって樹脂封止して図2に示す樹脂封止体5を形成する。
【0089】
なお、樹脂モールディング時には、まず、図14に示すように、モールド金型8の上型8aと下型8bとによって形成されるキャビティ8c内にワークであるワイヤボンディング済みのリードフレーム2を配置し、この状態でキャビティ8c内への封止用樹脂9の充填を行う。
【0090】
樹脂充填時には、図15に示すように、細い第2ボンディングワイヤ6bの位置が、太い第1ボンディングワイヤ6aの位置より、モールド金型8の樹脂注入ゲート8dから離れた位置に配置された状態で封止用樹脂9の充填を行う。すなわち、同一のインナリード2aに接続された太い第1ボンディングワイヤ6aと細い第2ボンディングワイヤ6bとで、第2ボンディングワイヤ6bが第1ボンディングワイヤ6aより樹脂注入ゲート8dから遠い位置に配置された状態で封止用樹脂9の充填を行う。
【0091】
これにより、樹脂充填時には、同一のインナリード2aに接続された第1ボンディングワイヤ6aから離れる方向に細い第2ボンディングワイヤ6bが流れる。つまり、太いボンディングワイヤ6と細いボンディングワイヤ6とでは細いボンディングワイヤ6の方が樹脂充填時の封止用樹脂9の抵抗によって流れ易いため、樹脂注入ゲート8dから遠い側に細いボンディングワイヤ6(第2ボンディングワイヤ6b)を配置することで、ワイヤ流れによる電気的ショートの発生を低減できる。
【0092】
なお、図13は、半導体パッケージ1のモールド工程における樹脂充填時のレジン流動方向9aを示したものであり、同一のインナリード2aに接続された細い第2ボンディングワイヤ6bと太い第1ボンディングワイヤ6aとで、細い第2ボンディングワイヤ6bを太い第1ボンディングワイヤ6aよりもレジン流動方向9aの進行方向側に配置する。これにより、樹脂充填時に細い第2ボンディングワイヤ6bが封止用樹脂9の流動の抵抗によって、太い第1ボンディングワイヤ6aから離れる方向に流れる(撓む)ため、樹脂充填時のワイヤ流れによる電気的ショートの発生を低減することができる。
【0093】
以上のように、半導体パッケージ1の組み立てにおいてボンディングワイヤ6の電気的ショートの発生を低減することができるため、半導体パッケージ1の信頼性の向上を図ることができる。
【0094】
なお、図13は、パッケージ本体のー辺の中央部付近に樹脂注入ゲート8dが設けられて、パッケージ本体のー辺の中央部付近から封止用樹脂9が注入された場合のレジン流動方向9aを示したものである。
【0095】
封止用樹脂9の注入完了後、封止用樹脂9を硬化させて樹脂封止体5を形成する。
【0096】
樹脂モールディング完了後、図7のステップS5の切断・成形を行う。ここでは、樹脂封止体5が形成されたリードフレーム2において、複数のアウタリード2bそれぞれの端部で切断を行い、さらにアウタリード2bを所望の形状に成形して半導体パッケージ1の組み立て完了となる。
【0097】
次に、本実施の形態1の変形例について説明する。
【0098】
図16は本発明の実施の形態1の半導体装置の第1変形例の構造を示す部分断面図、図17は本発明の実施の形態1の半導体装置の第2変形例の構造を示す部分断面図、図18は本発明の実施の形態1の半導体装置の第3変形例の樹脂モールディング工程における樹脂注入時のレジン流動方向の一例を示す平面図である。
【0099】
図16に示す第1変形例は、ダイパッド2cのチップ搭載側と反対側の面(裏面)を樹脂封止体5の下面から露出させた構造であり、これにより、半導体パッケージ1の放熱性を高めることができ、したがって、半導体パッケージ1に組み込まれた半導体チップ3からの発熱量が大きい場合には、半導体パッケージ1の信頼性の向上をさらに図ることができる。
【0100】
次に、図17に示す第2変形例は、同一のインナリード2aに接続された太い第1ボンディングワイヤ6aと細い第2ボンディングワイヤ(センシングワイヤA)6bとにおいて、第2ボンディングワイヤ6bのループ高さを第1ボンディングワイヤ6aのループ高さより高く形成するものである。
【0101】
すなわち、細いボンディングワイヤ6のループ高さを太いボンディングワイヤ6のループ高さより高くするものであり、これにより、樹脂モールディング工程でのレジン流れに対してループの低いボンディングワイヤ6よりループの高いボンディングワイヤ6を流れ易くすることができる。その結果、細い第2ボンディングワイヤ(センシングワイヤA)6bが太い第1ボンディングワイヤ6aから離れる方向に流れる(撓む)ため、樹脂充填時のワイヤ流れによる電気的ショートの発生の低減化を図ることができる。
【0102】
なお、細いボンディングワイヤ6と太いボンディングワイヤ6とでループ高さを変えるのは、図5に示す細い第4ボンディングワイヤ(センシングワイヤB)6dと太い第3ボンディングワイヤ6cについても同様であり、第4ボンディングワイヤ6dのループ高さを第3ボンディングワイヤ6cのループ高さより高くすることにより、樹脂充填時のワイヤ流れによる電気的ショートの発生の低減化を図ることができる。
【0103】
次に、図18に示す第3変形例は、半導体装置がQFP(Quad Flat Package)10の場合の樹脂モールディング工程におけるレジン流動方向9aを示すものであり、QFP10であるため、パッケージ本体の対角線上に樹脂充填時の樹脂注入ゲート8dが配置されている。この場合にも同一のインナリード2aに接続された細い第2ボンディングワイヤ6bと太い第1ボンディングワイヤ6aとにおいて、細い第2ボンディングワイヤ6bを太い第1ボンディングワイヤ6aよりもレジン流動方向9aの進行方向側に配置する。これにより、樹脂充填時に細い第2ボンディングワイヤ6bが封止用樹脂9の流動の抵抗によって、太い第1ボンディングワイヤ6aから離れる方向に流れる(撓む)ため、樹脂充填時のワイヤ流れによる電気的ショートの発生の低減化を図ることができる。
【0104】
(実施の形態2)
図19は本発明の実施の形態2の半導体装置の組み立てのワイヤボンディング工程で用いられるワイヤボンダの構造の一例を示す正面図、図20は本発明の実施の形態2の半導体装置の組み立てのワイヤボンディング工程で用いられるワイヤボンディング条件を導き出すための基準タクトの各時間の一例を示す実測値データ図である。さらに、図21は本発明の実施の形態2の半導体装置の組み立てのワイヤボンディング工程で用いられるワイヤボンディング条件を導き出すためのタクト計算の一例を示す計算値データ図、図22は本発明の実施の形態2の半導体装置の組み立てのワイヤボンディング工程で用いられるワイヤボンディング条件を導き出すためのタクトダウン率抑制を考慮したタクト計算の一例を示す計算値データ図である。
【0105】
本実施の形態2は、実施の形態1で説明した半導体パッケージ1のように異なった複数種類(実施の形態1では太さが異なる2種類)のワイヤを有する(以降、マルチワイヤ化とも言う)半導体装置の組み立てのワイヤボンディング工程に関するものである。
【0106】
例えば、生産しようとしているマルチワイヤ化の品種について、マルチワイヤ化パッケージ(パッケージ内のワイヤ選別、太線ワイヤと細線ワイヤの選別)として、パターン設計上は考慮されているが、マルチワイヤ化の品種をワイヤボンダ群のラインとして運用する際、単一ワイヤの品種より、組み立てにおけるタクトが確実に落ちる。
【0107】
そこで、本実施の形態2では、マルチワイヤ化の半導体装置のワイヤボンディングを行うに当たり、タクトダウン率を抑えるタクト算出式(ボンディング条件算出手段)を導き出すとともに、このタクト算出式を用いて導き出されたワイヤボンディング条件でワイヤボンディングを行うものである。
【0108】
図19は、本実施の形態2で用いられるワイヤボンダ(ワイヤボンディング装置)11であり、その構造について説明すると、図10に示すキャピラリ7等のボンディングツールを備えたボンディングヘッド11aと、ワークであるダイボンディング済みのリードフレーム2(図8参照)の取り込みと送り出しを行う主搬送レール11cと、装置内でリードフレーム2の案内を行うフィーダ11bとから構成されている。
【0109】
なお、本実施の形態2では、実施の形態1で説明した半導体パッケージ1のような太線ワイヤ(第1ボンディングワイヤ6a)と細線ワイヤ(第2ボンディングワイヤ6b)をワイヤボンディングする場合を例に取り上げてそのワイヤボンディングについて説明する。
【0110】
まず、図20は、マルチワイヤ化パッケージに対応するタクト算出式(ボンディング条件算出手段)を見出すための基準値(単一品種にて処理時間を実測)を示すものである。図20において、フィード時間は、リードフレーム2をフィーダ11b内に取り込み、かつボンディング点まで搬送を行うまでの時間であり、認識時間は、ボンディングをする前に位置補正を行うための時間である。さらにボンディング時間は、ワイヤボンディングの処理時間である。
【0111】
また、タクトダウン率抑制を考慮しないで現状指定されている1群(太線群)、2群(細線群)のワイヤ本数で、本実施の形態2で導いた算出式を利用して、タクト及びタクトダウン率を算出した結果を図21に示す。さらに、最適なワイヤ台数及び1、2群のワイヤ本数を導いた結果を図22に示す。
【0112】
なお、図20において、aは1ワイヤのボンディング時間(秒)、bは1フレームのヒートアップ待ち時間(秒)、cは1フレームのフィード時間(秒)、dは1フレーム内に処理する認識時間(秒)、Nは1サイクルの処理フレーム数(ここではワイヤ台数の最小公倍数である60フレームとした)、Tは1サイクルのフレーム数(ここでは60フレーム)の処理時間をそれぞれ示しており、a〜dの時間は、それぞれ実測値である。
【0113】
また、図21及び図22において、Aは1群(太線群)のワイヤ本数、Bは2群(細線群)のワイヤ本数、Xは1群(太線群)のワイヤボンダ台数、Yは2群(細線群)のワイヤボンダ台数、Cは1フレーム内のチップ数、T1は今回導いたタクト算出式によるタクト(秒)、Dは基準タクトTとT1のタクトを比較して導いたタクトダウン率(%)である。
【0114】
次に、マルチワイヤ化において、1ラインのワイヤボンダ総台数はX+Yである。また、ワイヤボンダ台数の比は、ワイヤ本数の比と等しくなる時、バランスのよい流し方(タクトダウン率を抑える流し方)となる。
【0115】
つまり、A/B=X/Y(A、B、X、Yは整数)の関連式(第1計算式)が成り立つ。
【0116】
なお、1群(太線群)、2群(細線群)のワイヤボンダ台数及びワイヤ本数の割合によっては、1群もしくは2群のボンディング完了待ち時間が発生するため、共通のタクト算出式は不可である。よって、ここでは、2群のワイヤボンダ台数によりタクト算出式を導いた。
【0117】
以下に、本実施の形態2で導き出したタクト算出式及びタクトダウン率を記載する。
【0118】
まず、1群ワイヤ処理時間をt1とすると、t1=b+c+d+(a×A×C)、2群ワイヤ処理時間をt2とすると、t2=b+c+d+(a×B×C)である。
【0119】
ここで、タクト算出式に関しては、基本的にタクトは、1群または2群のワイヤ処理時間が長い方で決まるため、2群台数3、4台時のタクトは、T1=t2×(N/Y)(第2計算式)となり、2群ワイヤ処理時間で決まる。
【0120】
また、2群ワイヤボンダ台数が5台の時のタクトは、T1=t1×N(第3計算式)となり、1群ワイヤ処理時間できまる。
【0121】
これにより、タクトダウン率については、基準タクトとなるTと上記タクト算出式で導いたタクトから、以下の算出式でタクトダウン率を求めると、タクトダウン率は、D=100−(T/T1)×100(%)(第4計算式)で算出される。
【0122】
なお、図21は前記第2、第3及び第4計算式を用いてタクト及びタクトダウン率を求めた具体例であり、また、図22は前記第1、第2、第3及び第4計算式を用いてタクト及びタクトダウン率を求めた具体例である。
【0123】
まず、図21は、タクトダウン率抑制を考慮しないで現状指定されている1、2群ワイヤ本数(1群:16本、2群:47本)で、1サイクルのフレーム数を60枚として、1、2群のワイヤボンダ台数を基にタクトT1(秒)とタクトダウン率D(%)を求めたものである。
【0124】
本タクトでは、1群または2群のボンディング待ち時間が発生し、バランスのよい流し方となっていないため、タクトダウン率が悪くなる。
【0125】
この問題を解決すべく図22に示すように、前記第1計算式を用いて1、2群ワイヤボンダ台数に対するワイヤ本数を求め、このワイヤ本数によりタクト算出を行って、タクトダウン率を求めた。
【0126】
図21、図22から、A/B=X/Yに近づくようA、Bを組み合わせることにより、タクトダウン率を抑えることが可能になる。
【0127】
本実施の形態2によれば、マルチワイヤ化パッケージの組み立てにおいて、1群(太線)、2群(細線)のワイヤ数を入力するのみで、タクト算出及びタクトダウン率を自動計算することができる。さらに、複数台のワイヤボンダ11に対してタクト時間を計算式で求めることができる。
【0128】
また、タクト算出式によってタクト時間を算出することにより、太線ワイヤ群及び細線ワイヤ群の最適なワイヤ本数の割合を導き出すことができる。
【0129】
さらに、タクト算出式によってタクト時間を算出することにより、最適なワイヤボンダ11の台数を導き出すことができる。
【0130】
以上により、ワイヤボンディングにおいてタクトダウン率を抑制することができる。
【0131】
すなわち、異なった直径(複数種類の太さ)のボンディングワイヤ6を有する半導体パッケージ1(半導体装置)の組み立てにおいて、タクトダウン率を抑えたワイヤボンディング条件を導き出すことができる。
【0132】
つまり、異なった太さのワイヤを有する半導体装置の組み立てにおいて、ボンディングワイヤ6の太さ(種類)に応じた各ボンディングワイヤの本数の配分及びボンディングワイヤ6の太さ(種類)に応じたワイヤボンダ11の必要台数を算出するタクト算出式(ボンディング条件算出手段)を用いて、各種類(太さ)ごとの最適なボンディングワイヤ6の本数の割合と、各種類(太さ)ごとの最適なワイヤボンダ11の台数を導き出すことができる。
【0133】
さらに、前記タクト算出式によって導き出された条件でワイヤボンディングを行うことで、実施の形態1の半導体パッケージ1のように、複数のインナリード2aのうちの同一のインナリード2aに異なった直径(太さ)の複数のボンディングワイヤ6を接続する際にも、タクトダウン率を抑えてワイヤボンディングを行うことができる。
【0134】
以上、本発明者によってなされた発明を発明の実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記発明の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0135】
例えば、前記実施の形態1、2では、ボンディングワイヤ(第1、第2、第3、第4及び第5ボンディングワイヤ)6が金ワイヤ(金線)の場合を取り上げて説明したが、ボンディングワイヤ6は、銅ワイヤであってもよい。
【0136】
銅ワイヤを使用することで、銅ワイヤは、金ワイヤに比べて硬いため、前記実施の形態1の半導体パッケージ1の組み立てのように太ワイヤと細ワイヤとで2回(2つの工程)に分けてワイヤボンディングを行う場合、後の工程でボンディングする際のボンディング時の振動が最初の工程で接続したワイヤに悪影響を及ぼして変形や位置ズレを引き起こすのを低減することができる。
【0137】
さらに、銅ワイヤは金ワイヤに比べて安価であるため、半導体パッケージ1のコストの更なる低減化を図ることができる。
【0138】
また、前記実施の形態では、一例として半導体装置がSOP型の場合を取り上げて説明したが、前記半導体装置は、SOP型に限定されるものではなく、リードフレーム2を用いて組み立てられ、かつ異なった複数種類(太さ)のワイヤが同一のインナリード2aにワイヤボンディングされるものであれば、例えば、SOJ(Small Outline J-leaded Package) 、QFP及びQFN(Quad Flat Non-leaded Package) 等の他の半導体装置であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0139】
本発明は、同一のリードに異なった太さのワイヤが電気的に接続された電子装置に好適である。
【符号の説明】
【0140】
1 半導体パッケージ(半導体装置)
2 リードフレーム
2a インナリード(リード)
2b アウタリード
2c ダイパッド(チップ搭載部)
2d GND用リード(第1電源リード、第1リード)
2e 電源用リード(第2電源リード)
2f 第1出力リード
2g 吊りリード
2h 第2出力リード
3 半導体チップ
3a 主面
3b 裏面
3c 電極パッド
3d GND用電極パッド(第1電源用電極パッド、第1電極パッド)
3e 電源用電極パッド(第2電源用電極パッド)
3f GNDモニタ用電極パッド(第1モニタ用電極パッド、第2電極パッド)
3g 電源モニタ用電極パッド(第2モニタ用電極パッド)
3h 第1出力信号パッド
3i 第2出力信号パッド
3j 出力回路
3k 出力制御回路(制御回路)
3m 第1出力トランジスタ
3n 第2出力トランジスタ
3p 第1比較器
3q 第2比較器
4 ダイボンド材
5 樹脂封止体
6 ボンディングワイヤ
6a 第1ボンディングワイヤ
6b 第2ボンディングワイヤ
6c 第3ボンディングワイヤ
6d 第4ボンディングワイヤ
6e,6f 第5ボンディングワイヤ
6g ボール状電極
6h,6j 一端部
6i,6k 他端部
7 キャピラリ
8 モールド金型
8a 上型
8b 下型
8c キャビティ
8d 樹脂注入ゲート
9 封止用樹脂
9a レジン流動方向
10 QFP(半導体装置)
11 ワイヤボンダ
11a ボンディングヘッド
11b フィーダ
11c 主搬送レール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電極パッドを有する半導体チップと、
前記半導体チップの周囲に配置された複数のリードと、
前記複数の電極パッドと前記複数のリードとを電気的に接続する複数のボンディングワイヤと、
前記半導体チップ、前記複数のボンディングワイヤ及び前記複数のリードの一部を封止する樹脂封止体と、
を有し、
前記複数のリードは、前記半導体チップに第1動作電位を供給するための第1電源リードを有し、
前記複数の電極パッドは、前記第1電源リードと第1ボンディングワイヤを介して電気的に接続された第1電源用電極パッドと、前記第1電源リードと第2ボンディングワイヤを介して電気的に接続され、かつ、前記第1電源リードの電位をモニタするための第1モニタ用電極パッドとを有し、
前記第2ボンディングワイヤは、前記第1ボンディングワイヤより細いことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、前記第1及び第2ボンディングワイヤは、金ワイヤであることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1において、前記第1及び第2ボンディングワイヤは、銅ワイヤであることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1において、前記複数のリードは、前記半導体チップに前記第1動作電位より高い第2動作電位を供給するための第2電源リードを有し、
前記複数の電極パッドは、前記第2電源リードと第3ボンディングワイヤを介して電気的に接続された第2電源用電極パッドと、前記第2電源リードと第4ボンディングワイヤを介して電気的に接続され、かつ、前記第2電源リードの電位をモニタするための第2モニタ用電極パッドとを有し、
前記第4ボンディングワイヤは、前記第3ボンディングワイヤより細いことを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項4において、前記第1動作電位は、接地電位であり、前記第2動作電位は、電源電位であることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項4において、前記半導体チップは、負荷となる外部デバイスを駆動する電流を出力するための出力回路と、前記出力回路から出力される前記電流を制御するための制御回路とを有し、
前記複数の電極パッドは、前記出力回路の出力端子として用いられる出力信号パッドを有し、
前記出力回路は、前記第1電源用電極パッド及び前記第2電源用電極パッドから供給される前記第1及び第2動作電位により動作することを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項6において、前記制御回路は、前記第1モニタ用電極パッド及び前記第2モニタ用電極パッドから供給される所定の信号に基づいて、前記出力回路の前記出力を制御することを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項7において、前記複数のリードは、前記出力信号パッドに第5ボンディングワイヤを介して電気的に接続された出力リードを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項1において、前記半導体チップは、前記複数のリードと同一の材料で形成されたチップ搭載部上に搭載され、前記第1電源リードは、前記チップ搭載部と連続して一体に形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項1において、前記樹脂封止体は、樹脂注入ゲートを有するモールド金型を用いたトランスファモールド法で形成された樹脂体であり、
前記第2ボンディングワイヤの位置は、前記第1ボンディングワイヤの位置より、前記樹脂注入ゲートから離れた位置に配置されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項1において、前記第1電源リードにおける前記第2ボンディングワイヤとの接続位置は、前記第1電源リードにおける前記第1ボンディングワイヤとの接続位置に比べて前記第1電源リードのチップ側の先端部もしくは前記半導体チップの外周部から遠い位置であることを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項11において、前記第2ボンディングワイヤのループ高さは、前記第1ボンディングワイヤのループ高さより高いことを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
請求項4において、前記第2電源リードにおける前記第4ボンディングワイヤとの接続位置は、前記第2電源リードにおける前記第3ボンディングワイヤとの接続位置に比べて前記第2電源リードのチップ側の先端部もしくは前記半導体チップの外周部から遠い位置であることを特徴とする半導体装置。
【請求項14】
請求項13において、前記第4ボンディングワイヤのループ高さは、前記第3ボンディングワイヤのループ高さより高いことを特徴とする半導体装置。
【請求項15】
チップ搭載部と前記チップ搭載部の周囲に配置された複数のリードを有するリードフレームを準備する工程と、
前記リードフレームの前記チップ搭載部上に、複数の電極パッドを有する半導体チップを搭載する工程と、
前記複数のリードと前記半導体チップの前記複数の電極パッドとを複数のボンディングワイヤにより電気的に接続する工程と、
前記半導体チップ、前記複数のボンディングワイヤ及び前記複数のリードの一部を封止する樹脂封止体を形成する工程と、
を有し、
前記複数のボンディングワイヤは、
一端部が前記複数の電極パッドの中の第1電極パッドに接続され、他端部が前記複数のリードの中の第1リードに接続された第1ボンディングワイヤと、
一端部が前記複数の電極パッドの中の第2電極パッドに接続され、他端部が前記第1リードに接続され、かつ、前記第1ボンディングワイヤより細い第2ボンディングワイヤを有し、
前記第2ボンディングワイヤは、前記第1ボンディングワイヤより後に、形成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項15において、前記第1及び第2ボンディングワイヤを含む前記複数のボンディングワイヤは、キャピラリの先端にボール状電極を形成するボールボンディング法により形成され、前記第1及び第2ボンディングワイヤの各々の他端部は、前記ボール状電極の反対側の部分であり、
前記第2ボンディングワイヤの前記他端部は、前記第1ボンディングワイヤの他端部より前記半導体チップから離れた位置において前記第1リードに接続されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項17】
請求項16において、前記第1及び第2ボンディングワイヤは、金ワイヤであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項16において、前記第1及び第2ボンディングワイヤは、銅ワイヤであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項19】
請求項15において、前記樹脂封止体は、樹脂注入ゲートを有するモールド金型を用いたトランスファモールド法で形成され、
前記第2ボンディングワイヤの位置は、前記第1ボンディングワイヤの位置より、前記樹脂注入ゲートから離れた位置に配置されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項20】
請求項19において、前記第1リードは、前記半導体チップに動作電位を供給するための電源リードであり、前記第1電極パッドは、電源用電極パッドであり、前記第2電極パッドは、前記電源リードの電位をモニタするためのモニタ用電極パッドであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項21】
異なった種類のボンディングワイヤがボンディングされて組み立てられる半導体装置の製造方法であって、
(a)チップ搭載部及び前記チップ搭載部の周囲に複数のリードが設けられたリードフレームを準備する工程と、
(b)前記リードフレームの前記チップ搭載部に半導体チップを搭載する工程と、
(c)前記異なった種類のボンディングワイヤを介して前記半導体チップの複数の電極パッドと前記複数のリードとを電気的に接続する工程と、
を有し、
前記(c)工程において、前記ボンディングワイヤの種類に応じた各ボンディングワイヤの本数の配分及び前記ボンディングワイヤの種類に応じたワイヤボンダの必要台数を算出するボンディング条件算出手段を用いて、各種類ごとの最適なボンディングワイヤの本数の割合と、各種類ごとの最適なワイヤボンダの台数を導き出し、前記導き出された条件でワイヤボンディングを行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項22】
請求項21において、前記ボンディング条件算出手段は、ワイヤボンディングにおけるタクト時間を導き出すタクト算出式であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項23】
請求項22において、前記異なった種類のボンディングワイヤは、異なった直径のボンディングワイヤであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項24】
請求項23において、前記タクト算出式によって前記導き出された条件で、前記異なった直径の複数のボンディングワイヤを前記複数のリードのうちの同一のリードにワイヤボンディングすることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−100828(P2011−100828A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−253999(P2009−253999)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】