半導体装置及びその製造方法
【課題】動作信頼性を向上出来る半導体装置及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】リードフレーム12が封止され、且つ前記リードフレーム12が外部に引き出されると共に、内部において前記リードフレーム12に線幅が狭くなっている領域12Cを有するパッケージを、第1の金型30に載置し、前記第1の金型30から第1の距離Aだけ離れた位置で、前記リードフレーム12の前記外部に引き出されている部分12Bに、角部に第1の湾曲部を有するポンチ31を押し当て、前記ポンチ31を押し当てることで、前記第1の湾曲部に沿って前記リードフレーム12を曲げることで、前記リードフレーム12を、前記線幅が狭くなっている領域12Cで切断すること、を具備する。
【解決手段】リードフレーム12が封止され、且つ前記リードフレーム12が外部に引き出されると共に、内部において前記リードフレーム12に線幅が狭くなっている領域12Cを有するパッケージを、第1の金型30に載置し、前記第1の金型30から第1の距離Aだけ離れた位置で、前記リードフレーム12の前記外部に引き出されている部分12Bに、角部に第1の湾曲部を有するポンチ31を押し当て、前記ポンチ31を押し当てることで、前記第1の湾曲部に沿って前記リードフレーム12を曲げることで、前記リードフレーム12を、前記線幅が狭くなっている領域12Cで切断すること、を具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、メモリカードが広く用いられており、その大容量化が進んでいる。この状況において、製品の信頼性を損なうことなく製造コストを削減することが重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−75196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態は、動作信頼性を向上出来る半導体装置及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体装置の製造方法は、リードフレームが封止され、且つ前記リードフレームが外部に引き出されると共に、内部において前記リードフレームに線幅が狭くなっている領域を有するパッケージを、第1の金型に載置し、前記第1の金型から第1の距離だけ離れた位置で、前記リードフレームの前記外部に引き出されている部分に、角部に第1の湾曲部を有するポンチを押し当て、前記ポンチを押し当てることにより、前記第1の湾曲部に沿って前記リードフレームを曲げることで、前記リードフレームを、前記線幅が狭くなっている領域で切断することを具備する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】一実施形態に係る半導体装置の平面図。
【図2】一実施形態に係る半導体装置の一部領域の拡大図。
【図3】一実施形態に係るリードフレームの平面図。
【図4】一実施形態に係るリードフレームの一部領域の拡大図。
【図5】一実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す平面図。
【図6】一実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図。
【図7】一実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図。
【図8】一実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図。
【図9】一実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図。
【図10】一実施形態の変形例に係る半導体装置の製造工程を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態につき図面を参照して説明する。この説明に際し、全図にわたり、共通する部分には共通する参照符号を付す。
【0008】
一実施形態に係る半導体装置及びその製造方法について説明する。以下では半導体装置としてmicroSD(登録商標)カードを例に挙げて説明する。
【0009】
1.microSDカードの構成について
まず、本実施形態に係るmicroSDカード(以下、単にメモリカードと呼ぶ)の構成について、図1を用いて説明する。図1は、メモリカード1の内部構成を示す平面図である。
【0010】
図示するようにメモリカード1は、大まかには回路基板11、リードフレーム12の一部分、コントローラチップ13、及びメモリチップ14を備える。
【0011】
メモリチップ14は、データを保持可能な半導体メモリを備え、それは例えばNAND型フラッシュメモリである。
【0012】
コントローラチップ13は、外部(ホスト機器)からの命令に従ってメモリチップ14を制御する。より具体的には、コントローラチップ13は、ホスト機器から与えられたデータをメモリチップ14に書き込み、またメモリチップ14から読み出したデータをホスト機器へ出力する。コントローラチップ13は、その他、メモリカード1全体の動作を制御する。
【0013】
リードフレーム12は、図1の例であると4つの部分12−1〜12−4に分離されている。そして、リードフレーム12−1及び12−2にまたがるようにして、メモリチップ14が搭載されている。
【0014】
回路基板11は、その表面(及び裏面)に図示せぬ配線パターンが形成された絶縁性の基板である。そして回路基板11はリードフレーム12−1〜12−4にまたがるように配置されている。回路基板上にはコントローラチップ13が搭載され、コントローラチップ13は、回路基板11上の配線にワイヤボンディングされると共に、メモリカード1の外部接続端子に電気的に接続されている。同様に、リードフレーム12−1、12−2上のメモリチップも、回路基板11上の配線にワイヤボンディングされている。そして、回路基板11上の配線によって、コントローラチップ13とメモリチップ14とが電気的に接続されている。
【0015】
そして、上記回路基板11、リードフレーム12、コントローラチップ13、及びメモリチップ14はモールド樹脂15によって封止されており、このモールド樹脂15が適切な形状に整形されることで、メモリカード1が形成されている。
【0016】
上記構成において、図1に示す領域A1では、リードフレーム12がリードフレーム12の各部分12−1〜12−4からメモリカード1の外側に向かって突出する形状を有する共に、モールド樹脂15の側面に空洞が形成されている。図2は、領域A1の拡大図である。
【0017】
図示するようにリードフレーム12は、複数の箇所でメモリカード1の外側に向かって突出する部分(凸部)12Aを有する。これは、後述する製造工程で必要となる吊りピン部の一部である。この凸部12Aは、先に行くに従って細くなるような形状を有し、その端部に引っ張り切断面を有する。また、この凸部12Aの先には、モールド樹脂15の空洞20が設けられている。この空洞20は、メモリカード1の外部に向かってその幅が広がるように形成されている。
【0018】
つまり、メモリカード1の側面には内側に向かうにつれて直径の小さくなる穴20が設けられ、この穴20の先にはリードフレーム12の吊りピン部の引っ張り切断面が露出されている。
【0019】
2.microSDカードの製造方法について
次に、上記構成のメモリカード1の製造方法について説明する。
【0020】
まず、図1で説明したリードフレーム12が金属材料を用いて形成される。図3はリードフレーム12の平面図であり、一例として3つのメモリカード1を形成するためのリードフレーム12を示している。なお図中の破線は、パッケージングされた後の最終形状を参考のために示している。
【0021】
図示するように、リードフレーム12の各部分12−1〜12−4は、吊りピン部12Bによって外枠12−5に支持されている。吊りピン部12Bは、図3の平面内において、くびれた形状部分12Cを有している。図4は、吊りピン部12Bの拡大図であり、リードフレーム12を上から見た図である。図示するように、本例に係る吊りピン部12Bは、先に行くに従って幅が細くなり、そこから幅が広がっていくような形状を有している。
【0022】
次に、メモリチップ14及びコントローラチップ13がパッケージングされる。図5は本工程について示しており、特に1つのメモリカード1についてのみ示す。図示するように、コントローラチップ13の搭載された回路基板11が、リードフレーム12−1〜12−4上に搭載される。また、リードフレーム12−1及び12−2上にメモリチップ14が搭載される。また、回路基板11上にコントローラチップ13が搭載される。その後、必要なワイヤボンディングが行われた後、モールド樹脂15によって封止される。本工程の結果、吊りピン部12Bは、その一部がモールド樹脂15内部に被覆され、残りがモールド樹脂の外側に露出する。以下、モールド樹脂15によって封止された構造を、以下パッケージと呼ぶ。
【0023】
次に、図5の工程で得られたパッケージを、リードフレームの外枠12−5から切り出す工程(Trim and forming process、以下TF工程と呼ぶ)が行われる。本工程を、図6〜図9を用いて説明する。図6〜図9は、TF工程の様子を示す断面図である。
【0024】
図6に示すようにTF工程は、第1の金型(バックアップ:backup)30、第2の金型(ストリッパ:stripper)32、ポンチ31、及び真空パッド33を用いて行う。
【0025】
まず図7に示すように、パッケージが第1の金型30上に戴置される。そして、真空パッド33によって、パッケージが第1の金型30上に固定される。このとき、第1の金型30は、その一部領域(パッケージ支持部)30−1においてパッケージを支持すると共に、別の領域(リードフレーム(吊りピン部)支持部)30−2において、パッケージの外側に出ている吊りピン部12Bを支持する。また、パッケージの外側に出ている吊りピン部12Bは、第2の金型32とポンチ31によって挟まれる。この際、吊りピン部12Bは、第1の金型30の領域30−2、及び第2の金型32とポンチ31によって水平に保たれる。つまり、吊りピン部12Bに垂直方向の応力が可能な限り小さくなるようにパッケージが固定される。
【0026】
また、ポンチ31の先端角部(吊りピン部12Bと接する角部)には、曲率r1の湾曲部が設けられている。同様に、第1の金型30の、吊りピン部12に沿った面と、第2の金型32と対向する面との角部には、曲率r2の湾曲部が設けられている。そして、第1の金型30とポンチ31とは、水平方向において距離Aで離隔している。吊りピン部12Bの厚さをd1とすれば、A>d1であることが望ましい。
【0027】
次に図8に示すように、モータや油圧ポンプによって、ポンチ31及び第2の金型32が押し下げられる。すると、吊りピン部12Bは図示するように、第1の金型30の湾曲部に沿って曲げられ、またポンチ31の湾曲部に沿って曲げられる。そして、この第1の金型30及びポンチ31の湾曲部に沿って曲げられることにより、吊りピン部12Bには外側に向かう応力F1がかかる。
【0028】
引き続き、ポンチ31及び第2の金型32が押し下げられる。その結果、引っ張り応力F1によって、吊りピン部12Bは領域12Cで切断される。前述の通り、領域12Cはパッケージ内部に存在する。従って、切断の結果、パッケージのモールド樹脂15には空洞20が生じ、その奥には領域12Cの引っ張り切断面が露出する。
【0029】
以上によってパッケージが外枠12−5から切り出され、メモリカード1が完成する。
【0030】
3.本実施形態に係る効果
以上のように、本実施形態に係る半導体装置の製造方法は、リードフレームが封止され、且つ前記リードフレームが外部に引き出されると共に、内部において前記リードフレームに線幅が狭くなっている領域を有するパッケージを、第1の金型(30)に載置すること(図7)と、前記第1の金型から第1の距離(A)だけ離れた位置で、前記リードフレームの前記外部に引き出されている部分に、角部に第1の湾曲部を有するポンチ(31)を押し当てること(図8)と、前記ポンチを押し当てることで、前記第1の湾曲部に沿って前記リードフレームを曲げることで、前記リードフレームを、前記線幅が狭くなっている領域(12C@図4)で切断すること(図9)とを備える。
【0031】
これにより、半導体装置の動作信頼性を向上出来る。本効果につき、以下説明する。本実施形態に係るメモリカードであると、TF工程の結果、吊りピン部12Bの先端がパッケージ外部に突出して残存することを防止出来る。換言すれば、吊りピン部12Bの先端を、パッケージ内部に位置させることが出来る。
【0032】
これにより、メモリカードを静電破壊から効果的に防止出来る。メモリカード、その中でも特にmicroSDカードのような小型のメモリカードであると、ユーザはメモリカードの側面を手に持つことが多いと考えられる。このような場合であっても、リードフレーム12が人間の手に触れることを防止出来るため、静電破壊耐性を向上出来る。
【0033】
また、メモリカードと、それが挿入されるソケットとの位置合わせ精度を向上出来る。位置合わせは、メモリカードの側面とソケットの側面との間で行われる。この点、本実施形態に係る構成であると、メモリカードの側面にリードフレームによる突起が無いため、確実な位置合わせが容易になる。
【0034】
更に、リードフレームの先端がメモリカードの側面から飛び出していないため、ユーザの使い勝手も向上出来る(使用する上でのユーザの安全性を向上出来る)。
【0035】
そして、以上のような効果を、製造コストの削減と同時に得ることが出来る。これは、メモリカードの基板材料としてリードフレームを用いることに起因する。すなわち、一般的なカードデバイスは樹脂基板を用いるのが通常である。これは、比較的加工が容易なためであるが、製造コストが高くなる。リードフレームは金属であるため、固く、加工し難い。そのため、一般的な方法でTF工程を行ったとすれば、吊りピン部がパッケージから露出する原因となり得る。しかし、本実施形態では、リードフレームを用いつつ、上記の通りこの問題を解決出来る。
【0036】
4.変形例等
なお、上記実施形態は唯一の実施形態では無く、種々の変形が可能である。図10は一変形例であり、図7に示す断面図に対応する。図示するように、第1の金型30には湾曲部が設けられなくても良い。この場合であっても、ポンチ31の湾曲部によって吊りピン部12に引っ張り応力を印加することが可能である。
【0037】
また、図7〜図10において、第2の金型32を設けない場合であっても良い。この場合でも、ポンチ31及び/または第1の金型30の湾曲部により引っ張り応力を印加することが出来る。但し、パッケージ及び/または吊りピン部12Bを安定させるという観点では、第2の金型32を設けることが好ましい。
【0038】
更に、湾曲部の曲率r1、r2については、r1=r2でも良いし、r1>r2でも良いし、またはr1<r2であっても良い。なお、A>d1とすることで、吊りピン部12Bが、領域12C以外の箇所で切断することが防止される。
【0039】
更に、第1の金型30の湾曲箇所についても変形可能である。図7の例では、領域30−2がある幅(B≠0)を有している。つまり領域30−2は、ある幅を持ってリードフレームを支持している。しかしながら、B=0であっても良い。つまり、第1の金型30は、リードフレームと接する点から湾曲していても良い。
【0040】
更に、吊りピン部12Bの領域12Cでは、図4で説明したように、リードフレーム12の平面内において(図3のように上から見た形状において)、その幅が狭まっていれば良い。しかし、図6〜図10に示すように、リードフレーム12の断面において、その幅を狭めても良い(リードフレームの厚さを小さくする、つまり薄くしても良い)。これによれば、より容易に吊りピン部12Bを切断できる。
【0041】
また図4の例であると、吊りピン部12Bの領域12Cは両側から徐々に狭まっている。言い換えれば、吊りピン部12Bの長手方向を軸とするとほぼ左右対称の形状となっている。しかしながら、領域12Cの形状はこれに限定されず、例えばリードフレームの一方の側面のみが凹んでおり、他方の側面が凹んでいない(直線形状)形状となっていても良い。また、形状としてくびれていなくても、その他の領域に比べて引っ張り応力により切断されやすい構造となっていれば良い。
【0042】
また、上記実施形態ではメモリカード1の例としてNAND型フラッシュメモリを備えたmicroSDカードを例に挙げて説明したが、NAND型フラッシュメモリ以外の半導体メモリを備えていても良いし、またmicroSDカードに限らず、その他のカードデバイス等の携帯型デバイスに広く適用可能である。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0044】
1…メモリカード、11…回路基板、12…リードフレーム、12B…吊りピン部、13…コントローラチップ、14…メモリチップ、15…モールド樹脂、20…空洞、30、32…金型、31…ポンチ、33…真空パッド
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、メモリカードが広く用いられており、その大容量化が進んでいる。この状況において、製品の信頼性を損なうことなく製造コストを削減することが重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−75196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態は、動作信頼性を向上出来る半導体装置及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体装置の製造方法は、リードフレームが封止され、且つ前記リードフレームが外部に引き出されると共に、内部において前記リードフレームに線幅が狭くなっている領域を有するパッケージを、第1の金型に載置し、前記第1の金型から第1の距離だけ離れた位置で、前記リードフレームの前記外部に引き出されている部分に、角部に第1の湾曲部を有するポンチを押し当て、前記ポンチを押し当てることにより、前記第1の湾曲部に沿って前記リードフレームを曲げることで、前記リードフレームを、前記線幅が狭くなっている領域で切断することを具備する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】一実施形態に係る半導体装置の平面図。
【図2】一実施形態に係る半導体装置の一部領域の拡大図。
【図3】一実施形態に係るリードフレームの平面図。
【図4】一実施形態に係るリードフレームの一部領域の拡大図。
【図5】一実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す平面図。
【図6】一実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図。
【図7】一実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図。
【図8】一実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図。
【図9】一実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図。
【図10】一実施形態の変形例に係る半導体装置の製造工程を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態につき図面を参照して説明する。この説明に際し、全図にわたり、共通する部分には共通する参照符号を付す。
【0008】
一実施形態に係る半導体装置及びその製造方法について説明する。以下では半導体装置としてmicroSD(登録商標)カードを例に挙げて説明する。
【0009】
1.microSDカードの構成について
まず、本実施形態に係るmicroSDカード(以下、単にメモリカードと呼ぶ)の構成について、図1を用いて説明する。図1は、メモリカード1の内部構成を示す平面図である。
【0010】
図示するようにメモリカード1は、大まかには回路基板11、リードフレーム12の一部分、コントローラチップ13、及びメモリチップ14を備える。
【0011】
メモリチップ14は、データを保持可能な半導体メモリを備え、それは例えばNAND型フラッシュメモリである。
【0012】
コントローラチップ13は、外部(ホスト機器)からの命令に従ってメモリチップ14を制御する。より具体的には、コントローラチップ13は、ホスト機器から与えられたデータをメモリチップ14に書き込み、またメモリチップ14から読み出したデータをホスト機器へ出力する。コントローラチップ13は、その他、メモリカード1全体の動作を制御する。
【0013】
リードフレーム12は、図1の例であると4つの部分12−1〜12−4に分離されている。そして、リードフレーム12−1及び12−2にまたがるようにして、メモリチップ14が搭載されている。
【0014】
回路基板11は、その表面(及び裏面)に図示せぬ配線パターンが形成された絶縁性の基板である。そして回路基板11はリードフレーム12−1〜12−4にまたがるように配置されている。回路基板上にはコントローラチップ13が搭載され、コントローラチップ13は、回路基板11上の配線にワイヤボンディングされると共に、メモリカード1の外部接続端子に電気的に接続されている。同様に、リードフレーム12−1、12−2上のメモリチップも、回路基板11上の配線にワイヤボンディングされている。そして、回路基板11上の配線によって、コントローラチップ13とメモリチップ14とが電気的に接続されている。
【0015】
そして、上記回路基板11、リードフレーム12、コントローラチップ13、及びメモリチップ14はモールド樹脂15によって封止されており、このモールド樹脂15が適切な形状に整形されることで、メモリカード1が形成されている。
【0016】
上記構成において、図1に示す領域A1では、リードフレーム12がリードフレーム12の各部分12−1〜12−4からメモリカード1の外側に向かって突出する形状を有する共に、モールド樹脂15の側面に空洞が形成されている。図2は、領域A1の拡大図である。
【0017】
図示するようにリードフレーム12は、複数の箇所でメモリカード1の外側に向かって突出する部分(凸部)12Aを有する。これは、後述する製造工程で必要となる吊りピン部の一部である。この凸部12Aは、先に行くに従って細くなるような形状を有し、その端部に引っ張り切断面を有する。また、この凸部12Aの先には、モールド樹脂15の空洞20が設けられている。この空洞20は、メモリカード1の外部に向かってその幅が広がるように形成されている。
【0018】
つまり、メモリカード1の側面には内側に向かうにつれて直径の小さくなる穴20が設けられ、この穴20の先にはリードフレーム12の吊りピン部の引っ張り切断面が露出されている。
【0019】
2.microSDカードの製造方法について
次に、上記構成のメモリカード1の製造方法について説明する。
【0020】
まず、図1で説明したリードフレーム12が金属材料を用いて形成される。図3はリードフレーム12の平面図であり、一例として3つのメモリカード1を形成するためのリードフレーム12を示している。なお図中の破線は、パッケージングされた後の最終形状を参考のために示している。
【0021】
図示するように、リードフレーム12の各部分12−1〜12−4は、吊りピン部12Bによって外枠12−5に支持されている。吊りピン部12Bは、図3の平面内において、くびれた形状部分12Cを有している。図4は、吊りピン部12Bの拡大図であり、リードフレーム12を上から見た図である。図示するように、本例に係る吊りピン部12Bは、先に行くに従って幅が細くなり、そこから幅が広がっていくような形状を有している。
【0022】
次に、メモリチップ14及びコントローラチップ13がパッケージングされる。図5は本工程について示しており、特に1つのメモリカード1についてのみ示す。図示するように、コントローラチップ13の搭載された回路基板11が、リードフレーム12−1〜12−4上に搭載される。また、リードフレーム12−1及び12−2上にメモリチップ14が搭載される。また、回路基板11上にコントローラチップ13が搭載される。その後、必要なワイヤボンディングが行われた後、モールド樹脂15によって封止される。本工程の結果、吊りピン部12Bは、その一部がモールド樹脂15内部に被覆され、残りがモールド樹脂の外側に露出する。以下、モールド樹脂15によって封止された構造を、以下パッケージと呼ぶ。
【0023】
次に、図5の工程で得られたパッケージを、リードフレームの外枠12−5から切り出す工程(Trim and forming process、以下TF工程と呼ぶ)が行われる。本工程を、図6〜図9を用いて説明する。図6〜図9は、TF工程の様子を示す断面図である。
【0024】
図6に示すようにTF工程は、第1の金型(バックアップ:backup)30、第2の金型(ストリッパ:stripper)32、ポンチ31、及び真空パッド33を用いて行う。
【0025】
まず図7に示すように、パッケージが第1の金型30上に戴置される。そして、真空パッド33によって、パッケージが第1の金型30上に固定される。このとき、第1の金型30は、その一部領域(パッケージ支持部)30−1においてパッケージを支持すると共に、別の領域(リードフレーム(吊りピン部)支持部)30−2において、パッケージの外側に出ている吊りピン部12Bを支持する。また、パッケージの外側に出ている吊りピン部12Bは、第2の金型32とポンチ31によって挟まれる。この際、吊りピン部12Bは、第1の金型30の領域30−2、及び第2の金型32とポンチ31によって水平に保たれる。つまり、吊りピン部12Bに垂直方向の応力が可能な限り小さくなるようにパッケージが固定される。
【0026】
また、ポンチ31の先端角部(吊りピン部12Bと接する角部)には、曲率r1の湾曲部が設けられている。同様に、第1の金型30の、吊りピン部12に沿った面と、第2の金型32と対向する面との角部には、曲率r2の湾曲部が設けられている。そして、第1の金型30とポンチ31とは、水平方向において距離Aで離隔している。吊りピン部12Bの厚さをd1とすれば、A>d1であることが望ましい。
【0027】
次に図8に示すように、モータや油圧ポンプによって、ポンチ31及び第2の金型32が押し下げられる。すると、吊りピン部12Bは図示するように、第1の金型30の湾曲部に沿って曲げられ、またポンチ31の湾曲部に沿って曲げられる。そして、この第1の金型30及びポンチ31の湾曲部に沿って曲げられることにより、吊りピン部12Bには外側に向かう応力F1がかかる。
【0028】
引き続き、ポンチ31及び第2の金型32が押し下げられる。その結果、引っ張り応力F1によって、吊りピン部12Bは領域12Cで切断される。前述の通り、領域12Cはパッケージ内部に存在する。従って、切断の結果、パッケージのモールド樹脂15には空洞20が生じ、その奥には領域12Cの引っ張り切断面が露出する。
【0029】
以上によってパッケージが外枠12−5から切り出され、メモリカード1が完成する。
【0030】
3.本実施形態に係る効果
以上のように、本実施形態に係る半導体装置の製造方法は、リードフレームが封止され、且つ前記リードフレームが外部に引き出されると共に、内部において前記リードフレームに線幅が狭くなっている領域を有するパッケージを、第1の金型(30)に載置すること(図7)と、前記第1の金型から第1の距離(A)だけ離れた位置で、前記リードフレームの前記外部に引き出されている部分に、角部に第1の湾曲部を有するポンチ(31)を押し当てること(図8)と、前記ポンチを押し当てることで、前記第1の湾曲部に沿って前記リードフレームを曲げることで、前記リードフレームを、前記線幅が狭くなっている領域(12C@図4)で切断すること(図9)とを備える。
【0031】
これにより、半導体装置の動作信頼性を向上出来る。本効果につき、以下説明する。本実施形態に係るメモリカードであると、TF工程の結果、吊りピン部12Bの先端がパッケージ外部に突出して残存することを防止出来る。換言すれば、吊りピン部12Bの先端を、パッケージ内部に位置させることが出来る。
【0032】
これにより、メモリカードを静電破壊から効果的に防止出来る。メモリカード、その中でも特にmicroSDカードのような小型のメモリカードであると、ユーザはメモリカードの側面を手に持つことが多いと考えられる。このような場合であっても、リードフレーム12が人間の手に触れることを防止出来るため、静電破壊耐性を向上出来る。
【0033】
また、メモリカードと、それが挿入されるソケットとの位置合わせ精度を向上出来る。位置合わせは、メモリカードの側面とソケットの側面との間で行われる。この点、本実施形態に係る構成であると、メモリカードの側面にリードフレームによる突起が無いため、確実な位置合わせが容易になる。
【0034】
更に、リードフレームの先端がメモリカードの側面から飛び出していないため、ユーザの使い勝手も向上出来る(使用する上でのユーザの安全性を向上出来る)。
【0035】
そして、以上のような効果を、製造コストの削減と同時に得ることが出来る。これは、メモリカードの基板材料としてリードフレームを用いることに起因する。すなわち、一般的なカードデバイスは樹脂基板を用いるのが通常である。これは、比較的加工が容易なためであるが、製造コストが高くなる。リードフレームは金属であるため、固く、加工し難い。そのため、一般的な方法でTF工程を行ったとすれば、吊りピン部がパッケージから露出する原因となり得る。しかし、本実施形態では、リードフレームを用いつつ、上記の通りこの問題を解決出来る。
【0036】
4.変形例等
なお、上記実施形態は唯一の実施形態では無く、種々の変形が可能である。図10は一変形例であり、図7に示す断面図に対応する。図示するように、第1の金型30には湾曲部が設けられなくても良い。この場合であっても、ポンチ31の湾曲部によって吊りピン部12に引っ張り応力を印加することが可能である。
【0037】
また、図7〜図10において、第2の金型32を設けない場合であっても良い。この場合でも、ポンチ31及び/または第1の金型30の湾曲部により引っ張り応力を印加することが出来る。但し、パッケージ及び/または吊りピン部12Bを安定させるという観点では、第2の金型32を設けることが好ましい。
【0038】
更に、湾曲部の曲率r1、r2については、r1=r2でも良いし、r1>r2でも良いし、またはr1<r2であっても良い。なお、A>d1とすることで、吊りピン部12Bが、領域12C以外の箇所で切断することが防止される。
【0039】
更に、第1の金型30の湾曲箇所についても変形可能である。図7の例では、領域30−2がある幅(B≠0)を有している。つまり領域30−2は、ある幅を持ってリードフレームを支持している。しかしながら、B=0であっても良い。つまり、第1の金型30は、リードフレームと接する点から湾曲していても良い。
【0040】
更に、吊りピン部12Bの領域12Cでは、図4で説明したように、リードフレーム12の平面内において(図3のように上から見た形状において)、その幅が狭まっていれば良い。しかし、図6〜図10に示すように、リードフレーム12の断面において、その幅を狭めても良い(リードフレームの厚さを小さくする、つまり薄くしても良い)。これによれば、より容易に吊りピン部12Bを切断できる。
【0041】
また図4の例であると、吊りピン部12Bの領域12Cは両側から徐々に狭まっている。言い換えれば、吊りピン部12Bの長手方向を軸とするとほぼ左右対称の形状となっている。しかしながら、領域12Cの形状はこれに限定されず、例えばリードフレームの一方の側面のみが凹んでおり、他方の側面が凹んでいない(直線形状)形状となっていても良い。また、形状としてくびれていなくても、その他の領域に比べて引っ張り応力により切断されやすい構造となっていれば良い。
【0042】
また、上記実施形態ではメモリカード1の例としてNAND型フラッシュメモリを備えたmicroSDカードを例に挙げて説明したが、NAND型フラッシュメモリ以外の半導体メモリを備えていても良いし、またmicroSDカードに限らず、その他のカードデバイス等の携帯型デバイスに広く適用可能である。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0044】
1…メモリカード、11…回路基板、12…リードフレーム、12B…吊りピン部、13…コントローラチップ、14…メモリチップ、15…モールド樹脂、20…空洞、30、32…金型、31…ポンチ、33…真空パッド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リードフレームが封止され、且つ前記リードフレームが外部に引き出されると共に、内部において前記リードフレームに線幅が狭くなっている領域を有するパッケージを、第1の金型に載置し、
前記第1の金型から第1の距離だけ離れた位置で、前記リードフレームの前記外部に引き出されている部分に、角部に第1の湾曲部を有するポンチを押し当て、
前記ポンチを押し当てることにより、前記第1の湾曲部に沿って前記リードフレームを曲げることで、該リードフレームを、前記線幅が狭くなっている領域で切断すること
を具備することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1の金型は、角部に第2の湾曲部を有し、前記リードフレームは、前記ポンチを押し当てることで、前記第2の湾曲部に沿っても曲げられる
ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記ポンチと共に前記リードフレームを挟む第2の金型を更に備える
ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1の距離は、前記リードフレームの厚さよりも大きい
ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記リードフレームの前記線幅が狭くなっている領域は、更にその厚さも小さくされる
ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
リードフレームと、
前記リードフレーム上に搭載された半導体チップと、
前記リードフレーム及び前記半導体チップを被覆すると共に、その側面に空洞を有する封止樹脂と
を具備し、前記リードフレームは、先端に向かって幅が狭くなると共に先端において切断面を有する凸部を有し、
前記切断面は、前記封止樹脂の前記空洞に露出され、
前記空洞の幅は、前記切断面が露出される部分から外側に向かって、拡がっている
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
前記切断面は、引っ張り切断面である
ことを特徴とする請求項6記載の半導体装置。
【請求項1】
リードフレームが封止され、且つ前記リードフレームが外部に引き出されると共に、内部において前記リードフレームに線幅が狭くなっている領域を有するパッケージを、第1の金型に載置し、
前記第1の金型から第1の距離だけ離れた位置で、前記リードフレームの前記外部に引き出されている部分に、角部に第1の湾曲部を有するポンチを押し当て、
前記ポンチを押し当てることにより、前記第1の湾曲部に沿って前記リードフレームを曲げることで、該リードフレームを、前記線幅が狭くなっている領域で切断すること
を具備することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1の金型は、角部に第2の湾曲部を有し、前記リードフレームは、前記ポンチを押し当てることで、前記第2の湾曲部に沿っても曲げられる
ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記ポンチと共に前記リードフレームを挟む第2の金型を更に備える
ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1の距離は、前記リードフレームの厚さよりも大きい
ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記リードフレームの前記線幅が狭くなっている領域は、更にその厚さも小さくされる
ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
リードフレームと、
前記リードフレーム上に搭載された半導体チップと、
前記リードフレーム及び前記半導体チップを被覆すると共に、その側面に空洞を有する封止樹脂と
を具備し、前記リードフレームは、先端に向かって幅が狭くなると共に先端において切断面を有する凸部を有し、
前記切断面は、前記封止樹脂の前記空洞に露出され、
前記空洞の幅は、前記切断面が露出される部分から外側に向かって、拡がっている
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
前記切断面は、引っ張り切断面である
ことを特徴とする請求項6記載の半導体装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2013−25542(P2013−25542A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159298(P2011−159298)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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