説明

半導体装置及び半導体装置の製造方法

【課題】バリアメタルの被覆性を向上させる。
【解決手段】本発明の半導体装置は、キャップ絶縁膜1d上に形成された絶縁膜と、絶縁膜に形成された配線溝と、配線溝の底面に形成されたビア孔と、少なくともビア孔の側壁を覆うバリアメタル膜と、を有する。ビア孔は、径が異なる複数の孔から構成されており、複数の孔は、下に向けて径が小さくなるように深さ方向に接続し、複数の孔の接続部にキャップ絶縁膜に対してほぼ平行な面を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの微細化と集積化の進展にともない、シリコン基板に形成されたトランジスタの上層に形成される多層配線の微細化が急速に進展している。該多層配線では、水平方向にトランジスタ素子を接続する配線とともに、垂直方向に該配線を接続する貫通ビアから構成されている。65nmノード以降、配線材料として銅(Cu)を用い、また配線間絶縁膜の材料として低誘電率のシリコン(Si)、炭素(C)と酸素(O)を主成分とするSiOCH膜を用いることが一般的となっている。銅による配線パターンを形成する際には、該配線と該ビアとを同時に作りこむ、デュアルダマシン構造が最も普及している。
【0003】
デュアルダマシン構造を貫通ビアから先に形成する、ビアファースト・デュアルダマシン加工法では、図14(a)に示すように、下部配線140上にビア用エッチングストッパ膜401、ビア間絶縁膜402、配線用エッチングストッパ膜403及び配線間絶縁膜404を順に成膜し、配線溝141及びビア142をそれぞれのエッチングストッパ膜まで順に加工する。その後、ビア用エッチングストッパ膜401と配線用エッチングストッパ膜403とを同時に除去することでデュアルダマシン構造を形成する。ビア用エッチングストッパ膜401はCuバリア性を有したキャップ絶縁膜である。ビアファースト・デュアルダマシン加工法ではビア用エッチングストッパ膜401と配線用エッチングストッパ膜403とを同時に除去することから、配線用エッチングストッパ膜403にもキャップ絶縁膜を用いることが多い。
【0004】
一般に、キャップ絶縁膜とは、シリコン(Si)、炭素(C)を主成分とするシリコン炭化膜(SiC)、SiCに窒素を添加したシリコン炭窒化膜(SiCN膜)、酸素を添加したシリカカーボン複合膜(SCC(Silica−carbon−composite)膜)等が用いられている。また、配線間絶縁膜が高C濃度のLow−k膜である場合はエッチングストップ性を高めるため、シリコン酸化膜(SiO膜)やシリコン窒化膜(SiN膜)をキャップ絶縁膜上に積層することもある。逆に、Cu界面の酸化の防止を目的とし、5nm〜10nm厚程度の極薄のSiN膜上に該キャップ絶縁膜を成長する場合もある。
【0005】
配線用エッチングストッパ膜は、ビアの開口部の周縁を保護することもできる。これにより、ビアは配線溝の加工中に変形することなく垂直形状を維持できる。そのため、垂直形状のビアを有するデュアルダマシン形状がこれまで一般的であった。
【0006】
近年、デバイスの微細化ともない、寄生容量低減のため配線層間膜へのLow−k膜の適用が検討されている。しかしながら、Low−k膜は膜強度が低く熱膨張率が高いため、エレクトロマイグレーション(EM)や応力起因ボイド(SiV)といった応力の影響を受けるビア配線の信頼性劣化への影響が懸念される。一般的に、応力はCu配線中に存在するマイクロボイドの移動や成長に影響するとされており、Low−k材料を用いた場合、前記の理由によりボイドの成長が加速すると考えられている。そのため、Low−k材料の適用によるビア配線信頼性劣化の抑制には、Cu埋設性の改善などによりCu配線中におけるマイクロボイドを減少させることが有効である。つまり、Low−k膜の適用にはマイクロボイドのない高いCu埋設性が強く要求される。しかし、実際には、デバイスの微細化により垂直形状のビアへのCuの埋設の難易度が高くなってきている。
【0007】
また、寄生容量低減の一環として配線用エッチストッパ膜をなくすこと(ストッパレス化)が要求されている。しかしながら、図14(b)のようにストッパレス化によってビア142の開口部の肩落ちおよびビア142の側壁のテーパー形状化が発生し易くなる。特許文献1では、配線用エッチングストッパ膜をなくし、Cu埋設性を向上させるためにビアの開口部付近のみを部分的にテーパー化した、部分テーパー形状ビア配線が提案されている。部分テーパー形状ビアは垂直形状ビアに比べ見かけのアスペクト比が小さくなるため、垂直形状ビアに比べCu埋設性の向上が期待できる。
【0008】
特許文献2では、ビア側壁角が負の角度にならないようにする。これにより、応力の集中を発生させる原因となる形状がビア側壁になく、ストレスマイグレーションを低減し、配線の信頼性がより高くなることが記載されている。また、特許文献2では、ビア側壁角に少なくとも2つの極大値を持ち、これらの極大値間に極小値を有する構成を採用する。これにより、ビア側壁の中間部でビア開孔径が急激に大きくなり、単純なテーパー形状よりもビア開孔の実質的なアスペクト比が小さくなる。そのため、金属の埋め込み性が改善することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−47582号公報
【特許文献2】特開2004−356521号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】C.Hashimoto et al,"New taper−etching technology using oxygen ion plasma", J.Vac.Scl.Technol.B 8 (3),1990,529−532
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記文献記載の技術には、バリアメタルの被覆性を向上させるリスパッタプロセスに適さないという課題がある。リスパッタプロセスはアルゴン(Ar)イオン等を用いたイオンボンバードメントにより、配線溝の底面及びビアの底面に成膜したバリアメタル膜をリスパッタさせることで、配線溝の側壁やビアの側壁にバリアメタルを再付着させてバリアメタルの被覆性を向上させるプロセスである。バリアメタルのリスパッタ速度はイオンの入射角に依存するため、側壁のテーパー角によってリスパッタ量が変動する。そのため、テーパーを有するビアの側壁では、バリアメタルがスパッタされてしまい、バリアメタルを再付着させることができない部位が生じていた。したがって、上記従来の技術では、リスパッタプロセスによりバリアメタル膜の被覆性を向上させることができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、
下地上に形成された絶縁膜と、
前記絶縁膜に形成された配線溝と、
前記配線溝の底面に形成された接続孔と、
少なくとも前記接続孔の側壁を覆うバリアメタル膜と、
を有し、
前記接続孔は、径が異なる複数の孔から構成されており、
前記複数の孔は、下に向けて径が小さくなるように深さ方向に接続され、
前記複数の孔の接続部に前記下地に対してほぼ平行な面を有する、半導体装置
が提供される。
【0013】
また、本発明によれば、
絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜を貫通する接続孔を形成する工程と、
前記接続孔に充填材を充填する工程と、
前記接続孔の開口を覆うマスクを前記絶縁膜上に形成する工程と、
前記マスク及び前記充填材の一部を除去するとともに前記接続孔の側壁の一部を露出させる第一のエッチング工程と、
露出した前記接続孔の側壁から前記絶縁膜を除去して、配線溝及び接続孔を形成する第二のエッチング工程と、
少なくとも前記接続孔の側壁をバリアメタル膜で覆う工程と、
を含み、
前記第二のエッチング工程において、
前記配線溝の底面から径が異なる複数の孔を下に向けて径が小さくなるように深さ方向に接続させて前記接続孔を形成し、前記複数の孔の接続部に前記接続孔の底面に対してほぼ平行な面を形成させる、半導体装置の製造方法が提供される。
【0014】
この発明によれば、径が異なる複数の孔を下に向けて径が小さくなるように深さ方向に接続させ、接続部に下地に対してほぼ平行な面を有する接続孔を備える。これにより、接続孔の水平な面でバリアメタルをリスパッタさせることができ、接続孔の側壁にバリアメタルを再付着させることができる。したがって、接続孔の側壁におけるバリアメタルの被覆性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、接続孔の側壁におけるバリアメタルの被覆性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施の形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【図2】実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
【図3】実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
【図4】実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
【図5】実施の形態に係る半導体装置の製造方法で用いる製造装置を示す図である。
【図6】実施例に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
【図7】実施例に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
【図8】実施例に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
【図9】実施例に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
【図10】実施例のビア配線形状の断面をTEM(透過型電子顕微鏡)で観察した結果を示す図である。
【図11】実施例のビア配線のビア抵抗の確率累積分布を示す図である。
【図12】実施例のビア配線における大規模ビアチェーンの不良数の結果を示す図である。
【図13】実施例のビア配線の応力起因ボイド(Stress−Induced Voiding、SIV)に対する信頼性評価の結果を示す図である。
【図14】従来のビア配線を示す図である。
【図15】酸素イオンによるエッチング速度とイオン入射角との相関図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0018】
図1は、本実施形態の半導体装置を示す断面図である。この半導体装置は、下地となるキャップ絶縁膜1d上に形成された絶縁膜2aと、絶縁膜2aに形成された配線溝6と、配線溝6の底面に形成されたビア孔(接続孔)7と、配線溝6およびビア孔7の側壁を覆うバリアメタル膜2bと、を有する。ビア孔7は、径が異なる上部ビア孔5及び下部ビア孔3から構成されている。上部ビア孔5及び下部ビア孔3は、この順で下に向けて深さ方向に接続している。下部ビア孔3の径は(d)、上部ビア孔5の径(開口径d2a>底面径d2b)よりも小さい。下部ビア孔3と上部ビア孔5との接続部には、キャップ絶縁膜1dに対してほぼ平行な面4が形成されている。
【0019】
より具体的には、本実施形態の半導体装置は、ダマシン法によって形成された下層Cu配線構造1および上層Cu配線構造2がこの順でシリコン基板(図示せず)上に形成されている。半導体基板とは、半導体装置が構成された基板であり、単結晶シリコン基板、SOI(Silicon on Insulator)基板、TFT(Thin film transistor)、液晶製造用基板などの基板が挙げられる。
【0020】
下層Cu配線構造1は、絶縁膜1aと絶縁膜1aに埋め込まれた下部Cu配線1cと、下部Cu配線1cの側壁及び底面を覆うバリアメタル膜1bと、下部Cu配線1cを覆うキャップ絶縁膜1dとからなる。また、上層Cu配線構造2は、絶縁膜2aと、絶縁膜2aに埋め込まれた上部Cu配線2cと、上部Cu配線2cの側壁及び底面を覆うバリアメタル膜2bと、上部Cu配線2cを覆うキャップ絶縁膜2dとからなる。
【0021】
下部ビア孔3と上部ビア孔5との接続部には、キャップ絶縁膜1dに対してほぼ平行な面4が設けられていればよいが、キャップ絶縁膜1dに対して0°〜10°の傾きからなる水平面を有するとより好ましい。この水平面4の幅は、5nm以上とすることができる。換言すれば、上部ビア孔5の底面の径d2bと下部ビア孔3の径dとの差をΔd(d2b−d)としたとき、Δdは、5nm以上とすることができる。Δdの上限は、100nm以下とすることができる。
【0022】
図1で図示するように、上部ビア孔5の側壁は、テーパー状に形成させてもよい。この場合、上部ビア孔5の側壁の傾斜角が60°〜90°とする。なお、本実施形態でいう側壁の傾斜角とは、下地であるキャップ絶縁膜1dに対して平行な方向を0°とする。また、上部ビア孔5の深さをDとしたとき、Dはビア孔7全体の深さの20%以下とすることができる。たとえば、20nm≦D≦40nmとすることができ、0.8≦D/Δd≦8を満たすようにすると好ましい。
【0023】
また、上部ビア孔5の側壁は階段形状に形成されていてもよい。この場合、上部ビア孔5の側壁の傾斜角が0°〜10°の水平面及び傾斜角が60°〜90°の傾斜面の組合せによる多段構造を採用することができる。
【0024】
配線溝6および下部ビア孔3の側壁は、垂直形状にすると好ましく、傾斜角が60°〜90°の範囲であれば許容されるが、80°〜90°とするとより好ましい。
【0025】
下部ビア孔3の底面はリスパッタプロセスにより下部Cu配線1cに埋め込まれている。換言すれば、アンカーが打ち込まれる形で下層Cu配線1cに掘り込まれている。
【0026】
本実施形態では、下部Cu配線1cをキャップ絶縁膜1dで覆っている。また、上部Cu配線2cをキャップ絶縁膜2dで覆っている。キャップ絶縁膜とは、Cu配線の上面に形成され、Cuの酸化や絶縁膜中へのCuの拡散を防ぐ機能、および、加工時にエッチングストップ層としての役割を有する。キャップ絶縁膜1d、2dは、シリコン(Si)と炭素(C)とを主成分とすることができ、たとえば、SiN膜、SiCN膜、SiC膜などが用いることができる。低誘電率なキャップ絶縁膜を用いることで、配線信号の伝達遅延を改善することができる。キャップ絶縁膜は、バリア絶縁膜とも呼ばれる。
【0027】
絶縁膜2aは、上部Cu配線2cを絶縁分離する膜(層間絶縁膜)であり、絶縁膜1aは、下部Cu配線1cを絶縁分離する膜である。絶縁膜1a、2aは、低誘電率絶縁膜とすると、半導体素子を接続する多層配線間の容量を低減させることができる。たとえば、絶縁膜1a、2aは、SiとCと酸素(O)とを主成分とする膜とすることができ、シリコン酸化膜(比誘電率3.9〜4.5)よりも比誘電率の低い材料を用いることができる。このような低誘電率絶縁膜として、シリコン酸化膜を多孔質化して、比誘電率を小さくした多孔質絶縁膜が挙げられ、具体的には、膜中の炭素/シリコン比(C/Si)が1より大きいSiOCH膜、HSQ(ハイドロゲンシルセスキオキサン(Hydrogen Silsesquioxane))膜、SiOC(例えば、Black DiamondTM、CORALTM、AuroraTM)膜が例示される。多孔質絶縁膜は、互いに独立した複数の空孔を有するとより好ましく、空孔の平均空孔径0.8nm以下とするとさらに好ましい。より具体的には、絶縁膜1a、2aとして、三量体の環状シロキサン構造を有し、環状シロキサン構造を構成しているシリコンに不飽和または飽和炭素鎖が結合している構成を採用することができる。
【0028】
下部Cu配線1c及び上部Cu配線2cは、Cuを主成分とするが、配線の信頼性を向上させるため、Cu以外の金属元素がCuからなる部材に含まれていても良い。また、Cu以外の金属元素がCu配線の上面や側面などに形成されていても良い。
【0029】
バリアメタル膜1b、2bは、配線を構成する金属元素に対するバリア性を有する導電性膜である。バリアメタル膜2bは、上部Cu配線2cの側面および底面を被覆し、配線を構成する金属元素(Cu)が絶縁膜2aや下層Cu配線構造1へ拡散することを防止する。バリアメタル膜1b、2bとして、たとえば、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、窒化チタン(TiN)、炭窒化タングステン(WCN)のような高融点金属やその窒化物等、またはそれらの積層膜が使用される。
【0030】
つづいて、本実施形態の半導体装置の製造方法の一例について図2〜4を用いて説明する。図2〜4は断面図を示す。
【0031】
まず、図2(a)で示すように、一般的なダマシンプロセスを用いて下層Cu配線構造201を形成する。すなわち、あらかじめ絶縁膜201aに形成させた溝に、下部Cu配線201cを埋め込み、溝内以外の余剰な金属を、例えばCMP法(Chemical Mechanical Polishing)などにより除去する。ついで、下部Cu配線201cの側面および外周をバリアメタル膜201bで覆い、下部Cu配線201cの上面をキャップ絶縁膜201dで覆う。なお、CMP法とは、多層配線形成プロセス中に生じるウェハ表面の凹凸を、研磨液をウェハ表面に流しながら回転させた研磨パッドに接触させて研磨することによって平坦化する方法である。ダマシン法による配線形成においては、特に、配線溝あるいはビア孔に対し金属を埋設した後に、余剰の金属部分を除去し、平坦な配線表面を得るために用いる。
【0032】
ついで、下部Cu配線201c上に絶縁膜202を形成する。ここでは、絶縁膜202としてSiOCH膜を成膜するプロセスを例にあげて説明する。SiOCH膜としては、例えば、組成比がSi:O:C=1:0.9:2.7の膜が挙げられる。C含有量の多いSiOCH膜はリスパッタ耐性が高く、配線構造の変形やLow−k膜の比誘電率上昇などを抑制することが出来る。SiOCH膜は、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法により成膜することができる。プラズマCVD法とは、例えば、気体状の原料を減圧下の反応室に連続的に供給し、プラズマエネルギーによって、分子を励起状態にし、気相反応、あるいは基板表面反応などによって基板上に連続膜を形成する手法である。
【0033】
高C濃度SiOCH膜の成膜に用いられる装置の概要を図5に示す。リザーバー301は絶縁膜202となるモノマー原料を充填する容器である。原料圧送部302はリザーバー301内の原料を送り出すため加圧する部位であり、圧送ガスには、ヘリウム(He)などの不活性ガスが用いられる。キャリアガス供給部303はモノマー原料を輸送するHeなどの不活性ガスをキャリアガスとして供給する部分である。液体マスフロー304は供給する原料の流量を制御する装置である。ガスマスフロー305はキャリアガスの流量を制御する装置である。気化器306はモノマー原料を気化する装置である。リアクター307は気体となった原料をプラズマ重合より成膜を行う処理室である。RF電源309は気体となったモノマー原料とキャリアガスをプラズマ化する電力を供給する装置である。基板308は半導体基板である。排気ポンプ310はリアクター307に導入された原料ガスとキャリアガスなどを排気する装置である。
【0034】
原料圧送部302からの圧送ガスによりリザーバー301からモノマー原料が送り出され、液体マスフロー304によりその流量を制御される。一方キャリアガス供給部303からはキャリアガスが供給され、その流量はガスマスフロー305によって制御される。原料及びキャリアガスは気化器306の直前で混合され、気化器306内に導入される。気化器306内には加熱されたヒータブロック(図示せず)が存在し、ここで液体のモノマー原料は気化され、リアクター307に導入される。リアクター307内では13.56MHzの高周波電力の印加により、気化したモノマー原料及びキャリアガスはプラズマ化し、プラズマ重合により基板308上に高C濃度SiOCH膜が成膜される。原料モノマーは0.1g/分以上10g/分以下であることが好ましく、さらに好ましくは2g/分以下であることが好ましい。キャリアガスの流量は0.05×10sccm以上5×10sccm以下であることが好ましく、さらに好ましくは2×10sccm以下であることが好ましい。リアクター307内の圧力は0.13〜1.3kPaであることが好ましい。RF電源の出力は2kW以下であることが好ましく、さらに好ましくは1kW以下であることが好ましい。
【0035】
高C濃度SiOCH膜は、たとえば、環状有機シリカ構造を有する、下記一般式(1)で示される原料から成膜することができる。中でも、環状有機シリカ構造を有する原料が下記式(2)または式(3)に示す構造を有するものが特に好ましい。
【0036】
【化1】

【0037】
式(1)中、R、Rは不飽和炭素化合物または飽和炭素化合物(アルキル基)であり、不飽和基はビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、メチルプロペニル基、ジメチルプロペニル基のいずれかであり、アルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基のいずれかである。また、R1、R2は同じでも異なるものでも良い。
【0038】
【化2】

【0039】
【化3】

【0040】
図2(a)に戻り、絶縁膜202上にハードマスク203としてSiO膜をプラズマCVD法により形成する。ハードマスクとは、層間絶縁膜の低誘電率化による強度低下により、直接CMPを行うのが困難な場合に、層間絶縁膜上に積層し、保護する役割の絶縁膜をさす。ついで、ハードマスク203を残した状態で絶縁膜202を貫通するビア孔(スルーホールビア)204を形成する。
【0041】
ついで、図2(b)で示すように、ビア孔204にレジスト(充填材)205を充填した後、ビア孔204の開口を覆う多層マスク(低温酸化膜206、反射防止膜207、レジスト208)を絶縁膜202上に形成する。該多層マスクを用いたリソグラフィ工程によりトレンチ溝パターン209を形成する(図2(b))。
【0042】
ついで、図2(c)(d)で示すように、該多層マスク及びレジスト205の一部を除去するとともに、ビア孔204の側壁の一部204aを露出させる(第一のエッチング工程)。具体的には、多層マスクを上層から順に目的の配線溝の幅に除去し、さらにビア孔204の上部に至るまで過剰にレジスト205を除去することでビア孔204内にレジスト非充填部210を形成する(図2(c))。そして、SiO膜(ハードマスク203)とSiOCH膜(絶縁膜202)との加工選択性が高いことを利用して、絶縁膜202を露出させて肩落ちの無い形状に加工し、ビア孔204の開口に水平面を形成する(図2(d))。エッチャントには、炭素(C)と水素(H)とフッ素(F)の3元素からなるCHF系ガスを含む混合ガス(第一のエッチングガス)を用いることができ、CHF系ガスに、Ar、窒素(N)、テトラフルオロカーボン(CF)、ジフルオロメタン(CH)及び酸素(O)からなる群から選択されるガスを混合させるとよい。
【0043】
ついで、図3(e)(f)(g)で示すように、露出したビア孔の側壁204aから絶縁膜202を除去して、配線溝6及びビア孔を形成する(第二のエッチング工程)。具体的には、配線溝6の加工の初期段階にてレジスト非充填部210をテーパー化させる(図3(e))。レジスト205に保護されないレジスト非充填部210は、ビア孔204の側壁方向からもエッチングされるため、配線溝6の加工を進めることでテーパー化が進む。テーパー化がレジスト205まで到達したところで、レジスト205によりビア孔204の側壁方向からのエッチャントの供給が阻止され(ビア孔204の側壁方向からのエッチングがされなくなり)、テーパー化が止まる(図2(f))。そこから、さらに配線溝6の加工を進めることで、レジスト非充填部210のみビア孔204の側壁方向にエッチングが進み、レジスト非充填部210の径が拡大する(図2(g))。エッチャントとしては、酸素ガスを含む混合ガス(第二のエッチングガス)を用いることができる。具体的には、酸素ガスにAr、N、CF、CHF及びCHからなる群から選択されるガスを混合させるとよい。こうすることで、まず、上部ビア孔5が形成される。上部ビア孔5は、配線溝6と接続しかつ配線溝6の径dよりも径(開口径d2a>底面径d2b)が小さい。また、上部ビア孔5の底面4は、ビア孔204の底面に対してほぼ平行に形成されている。上部ビア孔5の底面は、ビア孔204の底面に対して0°〜10°の傾きに形成させると好ましい。また、ビア孔の204の開口部の周縁を水平面に保ちつつエッチングを行い、さらに途中でテーパー化を止めることにより、上部ビア孔5の側壁の傾斜角を60°以上にすることも可能である。
【0044】
ついで、図3(h)で示すように、上部ビア孔5の底面4からレジスト205を、たとえばアッシングにより除去し、さらに酸素原子(O)を含む酸化ガスとフッ化物ガスの混合ガスから発生させたプラズマによりビア孔底のキャップ膜201dを除去する。アッシングおよび酸化ガスにはOガスもしくは二酸化炭素ガス(CO)などを用いることができ、特にOプラズマを用いることが望ましい。
【0045】
ついで、図4(i)で示すように、第1のバリアメタル膜212をPVD(物理気相蒸着)法によって成膜する。Arイオンスパッタにより、下部ビア孔3の底部の第1のバリアメタル膜212をリスパッタ処理し、下部Cu配線201cのCuを掘り込み、パンチスルー部213を形成する(図4(j))。ついで、第2のバリアメタル膜214をPVD法により成膜する(図4(k))。たとえば電界メッキ法により、配線溝6およびビア孔7をCuまたはCu合金で埋め込んで上部Cu配線215を作製し、キャップ絶縁膜216で上部Cu配線215を覆う(図4(l))。なお、PVD法とは、通常のスパッタリング法でもよいが、埋め込み特性の向上や、膜質の向上や、膜厚のウェハ面内均一性を図る上では、例えばロングスロースパッタリング法やコリメートスパッタリング法、イオナイズドスパッタリング法、などの指向性の高いスパッタリング法を用いることもできる。合金をスパッタする場合には、あらかじめ金属ターゲット内に主成分以外の金属を固溶限以下で含有させることで、成膜された金属膜を合金膜とすることができる。その後、任意のプロセスを経て半導体装置を完成させる。
【0046】
つづいて、本実施形態の作用効果について図1を用いつつ説明する。本実施形態によれば、径が異なる複数の孔(上部ビア孔5および下部ビア孔3)を下に向けて径が小さくなるように深さ方向に接続させ、接続部に下地に対してほぼ平行な面4を有するビア孔7を備える。これにより、ビア孔7内の水平面4でバリアメタルをリスパッタさせることができ、ビア孔7の側壁にバリアメタルを再付着させることができる。したがって、ビア孔7の側壁におけるバリアメタルの被覆性を向上させることができる。
【0047】
また、このようなビア孔7を設けることで、ビア孔7の側壁の傾斜角を容易に大きくすることができる。したがって、リスパッタプロセスの併用が可能となり、Cu埋設が容易となる。また、ビア孔7の水平面4の幅Δdを5nm以上とし、下地となるキャップ絶縁膜1dに対して0°〜10°の傾きとすることで、適量リスパッタされたバリアメタルがビア孔7の側壁に再付着する。そのため、仮にビア孔7の側壁のテーパー角が30°〜60°である場合でも、ビア孔7の側壁には水平面4からバリアメタルが供給されるため、ビア孔7の側壁におけるバリアメタルの過剰リスパッタを抑制することができる。したがって、バリアメタル被覆性を向上させることができる。
【0048】
非特許文献1には、酸素イオンによるエッチング速度とイオン入射角との相関例が示されている。この例を図15に示す。この相関例は、テーパー角とリスパッタ速度の相関と同等に考えることができる。すなわち、ビアの側壁(図15中c)を90°とし、配線溝の底面0°(図15中a)としたとき、テーパー角30〜60°の範囲(図15中b)では配線溝の底面よりもリスパッタの速度が2倍以上となる。従ってテーパー角によってはリスパッタが過剰となり、テーパー部分でのバリアメタル膜の膜厚不足を引き起こす。さらに、それがCuシードの被覆性の劣化やそれにともなうマイクロボイドの増加などの原因となり、最終的にはビア配線の信頼性を劣化させることになる。
【0049】
特許文献1に記載された製造方法を用いる場合、リスパッタプロセスとの併用を考慮するとテーパー角が60°以上のテーパー形状が要求される。しかしエッチング速度は45°付近で最大になるため、テーパー角は通常45〜50°で安定する。特許文献1に記載の実施例においてもテーパー角は53°とあり、テーパー面におけるリスパッタ速度の上昇を考慮すると、十分なリスパッタを行なえない。
【0050】
本実施形態の半導体装置では、ビア孔7の側壁におけるバリアメタルの被覆性を向上させて、Cu埋設性を向上させることができる。したがって、スルーホールビアの製造歩留まりと信頼性を向上させることができる。
【0051】
以下に本発明の具体的な材料構成を含めた実施例について図面を用いて説明する。
【0052】
(実施例)
図6〜9は、本発明の実施例における半導体装置の製造方法を示す断面図である。シリコン基板(図示せず)上に第1配線層601をシングルダマシン法によって形成した(図6(a))。すなわち、あらかじめ絶縁膜601aに形成させた溝に、下部Cu配線601cを埋め込み、溝内以外の余剰な金属をCMP法により除去する。ついで、下部Cu配線601cの側面および外周をバリアメタル膜601bで覆い、下部Cu配線601cの上面をキャップ絶縁膜601dで覆う。なお、この上部にデュアルダマシン法またはシングルダマシン法によって形成される第2以降の配線層についても第1配線層601と同様な方法で形成することが可能である。第1配線層601を形成する配線層間絶縁膜601aと第2配線層以降を形成する配線層間絶縁膜602は異なる膜であってもよい。たとえば、第1配線層601を形成する配線層間絶縁膜601aは、比誘電率が3.1のSiOCH膜、第2配線層以降を形成する配線層間絶縁膜602は、比誘電率が2.5のSiOCH膜でもよい。
【0053】
第1配線層601上に、配線層間絶縁膜602となる、厚さ210nmで比誘電率が2.5のSiOCH膜を、上記式(2)に示す環状有機シリカ構造を有する原料から、上述したプラズマCVD法により成膜した。
【0054】
その後、処理時間15〜30秒のHeプラズマ処理による表面改質層の形成を行い、同一チャンバーにて、ハードマスク603として厚さ80nmのSiO膜を、SiHをソースガスに用いたプラズマCVD法により成膜した。ハードマスク603のSiO膜としてはTEOS(テトラエトキシシラン)をソースガスに用いたSiO膜を用いてもよい。また、前記Heプラズマ処理と、SiOハードマスク成膜は別チャンバーで行ってもよい。その後、既存のスルーホールエッチング工程によりスルーホールビア604を形成する(図6(b))。
【0055】
次に、厚さ250nmのレジスト605を塗布しスルーホールビア604を充填する(図6(c))。
【0056】
次に、スルーホールビア604への充填部分がレジスト605の表面に凹凸を形成するため、酸素プラズマを用いたレジスト605の全面エッチバックを行う。(図6(d))。このときレジスト605のエッチバック条件は、例えば、O流量0.1×10〜0.3×10sccm、圧力:1.3〜4Pa(10〜30mtorr)、RFパワー:0.5〜1.5kW、時間:10〜60秒に設定することが好ましい。
【0057】
その後、ハードマスク603上に再度、厚さ250nmのレジスト606を塗布し、低温酸化膜607、反射防止膜608及びレジスト609からなる多層レジストマスクを形成する。該多層レジストマスクを用いた露光プロセスを経て、トレンチパターン610を形成する(図7(e))。
【0058】
次に、既存のレジスト加工プロセスによりトレンチパターン610部分のハードマスク603を露出させる(図7(f))。ハードマスク603とレジスト606との加工選択性を利用し、レジスト606のみをスルーホールビア604の上部を部分的に除去し非充填部611を形成する(図7(g))。非充填部611の深さ(ΔD)は20〜40nmであることが望ましい。非充填部611を形成後、ハードマスク603のエッチングを行う際に、SiO膜(ハードマスク603)とSiOCH膜(配線層間絶縁膜602)との加工選択性がある等方性エッチングを用いることにより、配線層間絶縁膜602を肩落ちさせずに露出させる(図7(h))。このときハードマスク603のエッチング条件は、例えば、Ar:0.4×10〜1×10sccm、CF:0〜0.35×10sccm、CHF:20〜40sccm、圧力:4〜6.7Pa(30〜50mtorr)、RFパワー:0.5〜1.5kW、時間:40〜60秒に設定することが好ましい。
【0059】
次に、酸素流量含有エッチング条件にて配線層間絶縁膜602をドライエッチングし、共に充填材レジスト605も同程度のレートでドライエッチングする。ドライエッチングが進むにつれ非充填部611の配線層間絶縁膜602は肩落ちをし始める(図8(i))。そのままトレンチエッチングを進めることで非充填部611の径が拡大していき(図8(j))、2段形状となる(図8(k))。このときトレンチエッチングの条件は、例えばAr:0.2×10〜0.6×10sccm、CF:0.3×10〜0.5×10sccm、O:5〜10sccm、圧力:4〜6.7Pa(30〜50mtorr)、RFパワー:0.2〜1kW、時間:5〜20秒に設定することが好ましい。
【0060】
スルーホールビア604を2段形状化して配線溝及び上部ビア孔を形成した後、充填材レジスト605、レジスト606をOを用いたアッシングにより除去し、引き続きCF、Ar及びOの混合ガスを用いたドライエッチングによりビア底部キャップ絶縁膜601dを開口させて開口部(下部ビア孔)612を形成する(図8(l))。
【0061】
次に、薬液処理にて開口部612のCu配線表面のCu酸化物やエッチング生成物などを除去し、開口部612を清浄する。このとき、前記薬液はフッ素を含むことが望ましい。さらに、厚さ3〜5nmの第1のバリアメタル膜613をイオン化スパッタ法によって成膜する(図9(m))。Arイオンスパッタにより、ビア底部の第1のバリアメタル膜613をリスパッタ処理し、第1配線層のCuを5〜20nm掘り込み、パンチスルー部614を形成し(図9(n))、厚さ5〜10nmの第2のバリアメタル膜615をスパッタ成膜する(図9(o))。このとき、バリアメタル膜613、615の成膜にALD(Atomic Layer Deposition)を使用しても良い。また、第1のバリアメタル膜613には窒化タンタルまたは窒素含有タンタル膜が好ましい。
【0062】
その後、バリアメタル膜615上に電界めっき法によりCuまたはCu合金を埋設して上部Cu配線616を形成し、その後、Cu粒成長のために窒素雰囲気中で350℃、2分間の熱処理をした後、余剰なCuおよびハードマスク603をCMPにより除去する。CMP処理により第2の配線層を形成した後、キャップ絶縁膜617をCVD法により成膜することで、SiOCH膜を用いた2層配線を形成する(図9(p))。このときCuまたはCu合金はCuAlやその他のCu合金であってもよい。
【0063】
本実施例で示した方法のうち、図7(g)で示す工程において、レジスト非充填部611の深さ(ΔD)を0〜20nm、20〜40nm、40nm以上としたビア配線を3種作製し以下のように評価した。
【0064】
1.TEM(透過型電子顕微鏡)による観察
図10はビア配線形状の断面をTEM(透過型電子顕微鏡)で観察した結果を示す図である。レジスト非充填部611の深さ(ΔD)を0〜10nmと小さくすると、図10(a)のようにビア配線形状は肩落ちの無い垂直形状となる(これを以下垂直ビアという。)。それに対して、レジスト非充填部611の深さ(ΔD)を20〜40nmとした場合、図10(b)のように非充填部深さに対応して2段形状となることが分かる(これを以下2段ビアという。)。さらに、レジスト非充填部611の深さ(ΔD)を40〜100nmで加工した場合、図10(c)のように、テーパー角45°のテーパー形状となった(これを以下テーパビアという。)。このように、スルーホールビア604のレジスト充填量によってビア配線の形状を制御が可能となることがわかった。2段ビアは、図1に対応する構造を有し、上部ビア孔5および下部ビア孔3が連結しているビア孔7が配線溝6の底面に形成されている。上部ビア孔5および下部ビア孔3の接続部にはほぼ水平な面4が形成されている。上部ビア孔5および下部ビア孔3の接続部の底面4は下地のキャップ絶縁膜に対して対し5°の傾きを有していた。また、Δdは50nmであり、D/Δdは0.66であった。
【0065】
2.ビア抵抗の評価
図11は、上述した3種類のビア配線形状におけるそれぞれのビア抵抗の確率累積分布を示す。テーパビアは低抵抗側に大きくバラツキがあったのに対し、垂直ビア及び2段ビアではバラツキを小さくできた。テーパビアはビア底がエッチャント供給方向に露出しているため、図8(l)で示したキャップ絶縁膜601dの開口処理の際に、ビア径が拡大しやすい。そのため、テーパビアは低抵抗側に大きくばらついたと考えられた。一方、垂直ビア及び2段ビアではキャップ絶縁膜601dの開口時に寸法変動が起こりにくいためバラツキを小さくできたと考えられた。
【0066】
3.大規模ビアチェーンの不良数の評価
図12は、上述した3種のビア配線形状における大規模ビアチェーンの不良数について比較した結果を示している。垂直ビアやテーパビアに比べ、2段ビアでは不良数が大きく低減し、垂直ビアの1/2となった。
【0067】
4.応力起因ボイド(Stress−Induced Voiding、SIV)に対する信頼性評価
図13は、上述した3種のビア配線形状におけるSiV信頼性試験の結果を示している。SiV信頼性の不良判定としては、SiV評価チェーンの単位ビア当りの抵抗値が10%上昇した場合をSiV不良と定義した。貫通孔で接続された下層配線と上層配線をそれぞれM1、M2としたとき、M2/M1=0.14/3.0μmのパターンにおいて高温保管1000時間まで行なった結果、テーパビアの不良率が20%近くまで上昇するのに対し、垂直ビアでは不良率0%であり、2段ビアでも1%程度(測定TEG中1個)と高信頼性を示した。
【0068】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。たとえば、本実施形態では、下地がキャップ絶縁膜である例について説明したが、下地が基板であってもよい。本発明の他の態様について以下に説明する。
【0069】
本発明の他の態様としては、Cu配線上に形成されたシリコン(Si)と炭素(C)とを主成分とするキャップ絶縁膜とSiとCと酸素(O)を主成分とする配線層間絶縁膜からなる積層構造であり、かつ該配線層間絶縁膜中にスルーホールビアを介して、下層の該Cu配線に接続されたCuデュアルダマシン配線が形成され、該スルーホールビアが少なくとも2つの異なる直径を持つ多段構造であって、該多段構造スルーホールビアの異なる直径の接続部が0°〜10°の水平面を有していることを特徴とする半導体装置がある。
他の態様の半導体装置は、前記多段構造スルーホールビアの異なる直径の差が少なくとも5nm以上あることを特徴とする。
さらには、前記段構造スルーホールビアのビア底が下地Cu配線中まで埋め込まれていることを特徴とする。
さらには、前記配線絶縁膜が膜中の炭素/シリコン比(C/Si)が1より大きい炭素リッチSiOCH膜であることを特徴とする。
さらには、前記炭素リッチSiOCH膜が平均空孔径0.8nm未満で、かつそれぞれの空孔が独立空孔であることを特徴とする膜であることを特徴とする。
さらには、前記キャップ絶縁膜が、SiCN、SiC、SiNのいずれか、またはこれらの積層膜であることを特徴とする。あるいは、前記キャップ絶縁膜は、不飽和炭化水素とアモルファスカーボンを有する複合膜、もしくは前記SiCNあるいはSiCと膜と該複合膜との積層膜であることを特徴とする。
さらには、前記炭素リッチSiOCH膜は、上記一般式(1)に示す環状有機シリカ構造を有することを特徴とする。
さらには、前記環状有機シリカ構造が上記一般式(2)、式(3)に示す構造を有することを特徴とする。
【0070】
また、本発明の他の態様の半導体装置の製造方法としては、Cu配線上に形成されたSiとCとを主成分とするキャップ絶縁膜と、SiとCを酸素(O)を主成分とする配線層間絶縁膜からなる積層構造であり、かつ該配線層間絶縁膜中にスルーホールビアを介して下層の該Cu配線に接続されたCuデュアルダマシン配線を形成する半導体装置の製造方法であって、かかる積層構造に該デュアルダマシン配線を形成する工程において、公知のドライエッチング工程により形成したスルーホールビアに充填物を埋設する工程と、該スルーホールビア上に公知の多層マスクおよびリソグラフィ工程によりトレンチ溝パターンを形成する工程と、該多層マスクを炭素(C)と水素(H)とフッ素(F)の3元素からなるCHF系ガスを含有する混合ガスを用いたドライエッチングにて除去し、さらに過剰にエッチングを進めることによりスルーホールビア内充填物を一部除去することにより、スルーホールビア内に非充填部を形成する工程と、Oを含有する混合ガスを用いたドライエッチングにて該充填物と該配線絶縁膜をドライエッチングすることによってトレンチ溝を形成すると同時に、該スルーホールビア開口部を多段形状に加工する工程と、O又は酸素(O)を含む酸化ガスを用いて該充填物を除去する工程とを有することを特徴とする、半導体装置の製造方法がある。
さらには、前記CHF系ガスを含有する混合ガスが、Ar、N、CF、CH、Oのいずれか、またはこれらのうち複数のガスを含むことを特徴とする。
さらには、前記Oを含有する混合ガスがAr、N、CF、CH、CHFのいずれか、またはこれらのうち複数のガスを含むことを特徴とする。
さらには、前記配線絶縁膜が組成比C/Siが1以上のSiOCH膜であることを特徴とする。
【0071】
上記の態様によれば、Cu配線上に形成された配線層間絶縁膜のビアファースト・デュアルダマシン加工方法において、トレンチ溝加工と同時にスルーホールビアを少なくとも2つの異なる直径を持つ多段構造に加工することにより、スルーホールビアのアスペクト比を低減し、Cu埋設性の向上を実現する。その結果、スルーホールビアの製造歩留まりと信頼性を向上させる。
【符号の説明】
【0072】
1 下層Cu配線構造
1a 絶縁膜
1b バリアメタル膜
1c 下部Cu配線
1d キャップ絶縁膜
2 上層Cu配線構造
2a 絶縁膜
2b バリアメタル膜
2c 上部Cu配線
2d キャップ絶縁膜
3 下部ビア孔
4 接続部の底面
5 上部ビア孔
6 配線溝
7 ビア孔
140 下部配線
141 配線溝
142 ビア
201 下層Cu配線構造
201a 絶縁膜
201b バリアメタル膜
201c 下部Cu配線
201d キャップ絶縁膜
202 絶縁膜
203 ハードマスク
204 ビア孔
204a ビア孔の側壁の一部
205 レジスト
206 低温酸化膜
207 反射防止膜
208 レジスト
209 トレンチ溝パターン
210 非充填部
212 第1のバリアメタル膜
213 パンチスルー部
214 第2のバリアメタル膜
215 上部Cu配線
216 キャップ絶縁膜
301 リザーバー
302 原料圧送部
303 キャリアガス供給部
304 液体マスフロー
305 ガスマスフロー
306 気化器
307 リアクター
308 基板
309 RF電源
310 排気ポンプ
401 ビア用エッチングストッパ膜
402 ビア間絶縁膜
403 配線用エッチングストッパ膜
404 配線間絶縁膜
601 第1配線層
601a 絶縁膜
601b バリアメタル膜
601c 下部Cu配線
601d キャップ絶縁膜
602 配線層間絶縁膜
603 ハードマスク
604 スルーホールビア
605 レジスト
606 レジスト
607 低温酸化膜
608 反射防止膜
609 レジスト
610 トレンチパターン
611 非充填部
612 開口部
613 第1のバリアメタル膜
614 パンチスルー部
615 第2のバリアメタル膜
616 上部Cu配線
617 キャップ絶縁膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下地上に形成された絶縁膜と、
前記絶縁膜に形成された配線溝と、
前記配線溝の底面に形成された接続孔と、
少なくとも前記接続孔の側壁を覆うバリアメタル膜と、
を有し、
前記接続孔は、径が異なる複数の孔から構成されており、
前記複数の孔は、下に向けて径が小さくなるように深さ方向に接続し、
前記複数の孔の接続部に前記下地に対してほぼ平行な面を有する、半導体装置。
【請求項2】
前記複数の孔の接続部に、前記下地に対して0°〜10°の傾きからなる面を有する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記接続孔の側壁がテーパー状に形成されている、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記上部孔の底面の径と前記下部孔の開口径との差をΔdとしたとき、Δd≧5nmである、請求項1乃至3いずれかに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記下地がシリコン(Si)と炭素(C)とを主成分とするキャップ絶縁膜である、請求項1乃至4いずれかに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記キャップ絶縁膜で上面が覆われた金属配線をさらに有し、
前記接続孔の底面が前記金属配線に入り込んでいる、請求項1乃至5いずれかに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記絶縁膜がSiとCと酸素(O)とを主成分とする、請求項1乃至6いずれかに記載の半導体装置。
【請求項8】
前記絶縁膜中の炭素/シリコン比(C/Si)が1より大きいSiOCH膜である、請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記絶縁膜が互いに独立した複数の空孔を有し、前記空孔の平均空孔径0.8nm以下である、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記絶縁膜が、三量体の環状シロキサン構造を有し、前記環状シロキサン構造を構成しているシリコンに不飽和または飽和炭素鎖が結合している、請求項8または9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記接続孔の側壁の傾斜角が60°〜90°である、請求項1乃至10いずれかに記載の半導体装置。
【請求項12】
絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜を貫通する接続孔を形成する工程と、
前記接続孔に充填材を充填する工程と、
前記接続孔の開口を覆うマスクを前記絶縁膜上に形成する工程と、
前記マスク及び前記充填材の一部を除去するとともに前記接続孔の側壁の一部を露出させる第一のエッチング工程と、
露出した前記接続孔の側壁から前記絶縁膜を除去して、配線溝及び接続孔を形成する第二のエッチング工程と、
少なくとも前記接続孔の側壁をバリアメタル膜で覆う工程と、
を含み、
前記第二のエッチング工程において、
前記配線溝の底面から径が異なる複数の孔を下に向けて径が小さくなるように深さ方向に接続させて前記接続孔を形成し、前記複数の孔の接続部に前記接続孔の底面に対してほぼ平行な面を形成させる、半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記第二のエッチング工程において、前記接続部に前記接続孔の底面に対して0°〜10°の傾きを有する面を形成する、請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記第二のエッチング工程は、前記充填材を除去する工程をさらに含み、
前記第一のエッチング工程において、炭素(C)と水素(H)とフッ素(F)の3元素からなるCHF系ガスを含む第一のエッチングガスを用いて前記マスク及び前記充填材を除去し、
前記第二のエッチング工程において、
酸素ガスを含む第二のエッチングガスを用いて前記絶縁膜を除去し、
酸素原子(O)を含む酸化ガスを用いて前記充填材を除去する、請求項12または13に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記第一のエッチングガスが、Ar、N、CF、CH及びOからなる群から選択されるガスを含むことを特徴とする請求項14に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記第二のエッチングガスがAr、N、CF、CHF及びCHからなる群から選択されるガスを含むことを特徴とする請求項14または15に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
下部配線を形成する前記工程と前記絶縁膜を形成する前記工程との間に、前記下部配線を覆う、シリコン(Si)と炭素(C)とを主成分とするキャップ絶縁膜を形成する工程をさらに含む、請求項12乃至16いずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記絶縁膜を形成する前記工程において、環状有機シリカ構造を有する、下記一般式(1)で示される原料から前記絶縁膜を形成する、請求項12乃至17いずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【化1】

式(1)中、R、Rは不飽和炭素化合物または飽和炭素化合物(アルキル基)であり、不飽和基はビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、メチルプロペニル基、ジメチルプロペニル基のいずれかであり、アルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基のいずれかである。また、R1、R2は同じでも異なるものでも良い。
【請求項19】
前記環状有機シリカ構造を有する原料が下記式(2)または式(3)に示す構造を有する、請求項18に記載の半導体装置の製造方法。
【化2】

【化3】


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−278330(P2010−278330A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−130906(P2009−130906)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】