説明

半導体装置及び半導体装置の製造方法

【課題】基板の反射率に依存せず、アライメントマークの識別性を確保することができる半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置1は、シリコン基板24と、シリコン基板24上に少なくともNiCoパターン31とアルミ電極30とを含んで形成される回路部3と、シリコン基板24上に回路部3のNiCoパターン31と同工程において形成される低反射パターンとしてのNiCoパターン22と、NiCoパターン22上に形成され、回路部3のアルミ電極30と同工程において形成される高反射パターンとしてのアルミパターン20とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、アライメントマークを有する半導体装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この半導体装置は、半導体基板上に形成される任意の回路と、回路上にその保護膜として形成されるSiO等の酸化膜と、酸化膜上に形成されるアルミニウム層による高反射率パターンとを有し、高反射率パターンと下地の酸化膜層を露出させた低反射率パターンとでX方向、Y方向に略十字形状にアライメントマークを形成する。
【0004】
この半導体装置によれば、反射率の異なる高反射パターンと低反射パターンとをアライメントマークに用いたため、高反射パターンのみでアライメントマークを形成した場合に比べてコントラストが向上し、位置合わせを確実にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−221166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に示す半導体装置は、低反射率パターンとして酸化膜層を用いることで照射される光が基板に達するために低反射パターンの反射率が基板の反射率にも依存し、さらにはウエハ上において基板の反射率のばらつきがある場合には、高反射率パターンと低反射率パターンのコントラストが十分でないものが製造され、識別性が確保できない場合があった。
【0007】
従って、本発明の目的は、基板の反射率に依存せず、アライメントマークの識別性を確保することができる半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、半導体基板と、前記半導体基板上に少なくとも第1の層と第2の層とを含んで形成される回路部と、前記半導体基板上に前記回路部の前記第1の層と同工程において形成される低反射パターンと、前記低反射パターン上に形成され、前記回路部の前記第2の層と同工程において形成される高反射パターンとを有する半導体装置を提供する。
【0009】
上記半導体装置の前記第1の層は、磁気抵抗膜であってもよく、前記第2の層は、磁気抵抗膜と電気的に接続される電極であってもよい。
【0010】
また、本発明の一態様は、半導体基板上に回路部用のパターンと低反射パターンとを含む第1の層を形成する工程と、前記第1の層上に前記回路部用のパターンと高反射パターンとを含む第2の層を形成する工程とを有する半導体装置の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、基板の反射率に依存せず、アライメントマークの識別性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】図1Aは、実施の形態に係る半導体装置の構成の一例を示す概略平面図である。
【図1B】図1Bは、実施の形態に係る半導体装置の構成の一例を示す概略断面図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態に係る半導体装置の構成の一例を示す概略平面図である。
【図3】図3(a)は、本実施の形態に係る半導体装置のアライメントマーク付近を拡大した断面図であり、図3(b)は、従来用いられてきた半導体装置のアライメントマーク付近を拡大した断面図である。
【図4】図4(a)及び(b)は、本実施の形態に係る半導体装置及び従来の半導体装置のアライメントマーク全体を走査した場合(測定L)の反射強度を示すグラフ図である。
【図5】図5(a)及び(b)は、本実施の形態に係る半導体装置及び従来の半導体装置のアルミパターンを走査した場合(測定M)の反射強度を示すグラフ図である。
【図6】図6(a)及び(b)は、本実施の形態に係る半導体装置及び従来の半導体装置のアルミパターン以外を走査した場合(測定N)の反射強度を示すグラフ図である。
【図7】図7(a)〜(e)は、本実施の形態に係る半導体装置の製造工程の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(半導体装置の構成)
図1Aは、実施の形態に係る半導体装置の構成の一例を示す概略平面図である。また、図1Bは、実施の形態に係る半導体装置の構成の一例を示す概略断面図である。
【0014】
この半導体装置1は、半導体プロセスによって作製された、位置合わせ用のアライメントマーク2と、磁気抵抗素子3A及びバイポーラトランジスタ3Bを含む回路部3とを有する。
【0015】
アライメントマーク2は、シリコン基板24上に形成された酸化膜23と、酸化膜23上に形成された低反射パターンとしてのNiCoパターン22と、NiCoパターン22上に形成された窒化膜21と、窒化膜21上に形成された高反射パターンとしてのアルミパターン20とを有する。
【0016】
磁気抵抗素子3Aは、シリコン基板24上に形成された酸化膜23と、酸化膜23上に形成された磁気抵抗膜としてのNiCoパターン31と、NiCoパターン31上に形成された窒化膜21と、窒化膜21に開口部を設けてNiCoパターン31上に形成されたアルミ電極30とを有する。
【0017】
バイポーラトランジスタ3Bは、シリコン基板24に形成されたコレクタ35、エミッタ36及びベース37と、シリコン基板24上に形成された酸化膜23と、酸化膜23上に形成された窒化膜21と、酸化膜23及び窒化膜21に開口を設けてコレクタ35上に形成されたアルミ電極32と、エミッタ36上に形成されたアルミ電極33と、ベース37上に形成されたアルミ電極34とを有する。
【0018】
図2は、本発明の実施の形態に係る半導体装置の構成の一例を示す概略平面図である。
【0019】
半導体装置1は、直径4インチのシリコンウエハ10上に複数作製される。ここで、シリコンウエハ10は、裏面の荒さが各領域で均一ではないため、アライメントマーク2が作製される前は、裏面の荒さが影響してシリコンウエハ10自体の反射率が各領域において異なる値となる。
【0020】
一例として、シリコンウエハ10の領域を「CENTER」、「LEFT」、「RIGHT」、「TOP」、「BOTTOM」と分けたとき、後述する図6(b)に示すように各領域の半導体装置1Center、1Left、1Right、1Top、1Bottomの反射率がばらつく。
【0021】
(反射率の測定)
アライメントマークの反射率を測定するため、図3(a)及び(b)に示す2つの例を比較した。
【0022】
図3(a)は、本実施の形態に係る半導体装置のアライメントマーク付近を拡大した断面図であり、図3(b)は、従来用いられてきた半導体装置のアライメントマーク付近を拡大した断面図である。
【0023】
図3(a)に示すように、半導体装置1の上方からアライメントマーク2全体を走査する場合を測定L、アルミパターン20を走査する場合を測定M、NiCoパターン22を走査する場合を測定Nとする。なお、各測定は、波長1300nmのレーザー光を照射して、その反射光の強度を測定し、照射光と反射光の強度比から反射率を算出することで行う。
【0024】
また、図3(b)に示すように、従来のアライメントマーク4全体を走査する場合を測定L、アルミパターン20を走査する場合を測定M、アルミパターン20以外の低反射パターンを走査する場合を測定Nとする。
【0025】
図4(a)及び(b)は、本実施の形態に係る半導体装置及び従来の半導体装置のアライメントマーク全体を走査した場合(測定L)の反射強度を示すグラフ図である。また、図5(a)及び(b)は、本実施の形態に係る半導体装置及び従来の半導体装置のアルミパターンを走査した場合(測定M)の反射強度を示すグラフ図である。また、図6(a)及び(b)は、本実施の形態に係る半導体装置及び従来の半導体装置のアルミパターン以外を走査した場合(測定N)の反射強度を示すグラフ図である。
【0026】
シリコンウエハ10の各領域における半導体装置1Center、1Left、1Right、1Top、1Bottomのいずれにおいても、図5(a)に示すように、アルミパターン20の反射率のばらつきが少ない。また、図6(a)に示すように、NiCoパターン22の反射率のばらつきが少ない。さらに、図4(a)に示すように、アルミパターン20の反射率とNiCoパターン22の反射率との差が25%程度である。
【0027】
一方、シリコンウエハ10の各領域における従来の半導体装置1Center、1Left、1Right、1Top、1Bottomにおいて、図5(b)に示すように、アルミパターン20の反射率が多少ばらつき、かつ図5(a)の場合に比べて反射率が劣る。また、図6(b)に示すように、アルミパターン20以外の領域の反射率がばらつき、最大10%程度の差がある。さらに、図4(b)に示すように、アルミパターン20の反射率とアルミパターン20以外の領域の反射率との差が最大でも10%程度、最小では数%であり、本実施の形態の半導体装置1に比べてコントラストが低い。
【0028】
(製造工程)
図7(a)〜(e)は、本実施の形態に係る半導体装置の製造工程の一例を示す断面図である。
【0029】
まず、図7(a)に示すように、シリコン基板24にバイポーラトランジスタ3Bのコレクタ35、エミッタ36及びベース37を形成する。
【0030】
次に、図7(b)に示すように、シリコン基板24上にSiO等の酸化膜23をプラズマCVD法又は熱酸化法等により形成する。なお、適宜マスクの形成やエッチング等により酸化膜23に開口を設ける。
【0031】
次に、図7(c)に示すように、酸化膜23上にNiCoパターン22及びNiCoパターン31を同時にプラズマCVD法又はスパッタリング等により形成する。
【0032】
次に、図7(d)に示すように、NiCoパターン22、31、酸化膜23上にSiN等のプラズマCVD法により窒化膜21を形成する。
【0033】
次に、図7(e)に示すように、アルミパターン20、アルミ電極30、32、33を同時にスパッタリング等により形成する。
【0034】
(実施の形態の効果)
上記した実施の形態によると、アライメントマーク2の低反射パターンにNiCoパターン22を用いたため、低反射パターンの反射率がシリコン基板24の裏面の荒さの影響を受けず、シリコンウエハ10のいずれの領域から半導体装置1を作製したとしても低反射パターンの反射率のばらつきが少なくなる。これにより、高反射パターンであるアルミパターン20と低反射パターンであるNiCoパターン22との反射率の差のばらつきも少なくなり、アライメントマーク2の識別性を確保できる。
【0035】
また、NiCoパターン22は、磁気抵抗素子3AのNiCoパターン31の作製工程において同時に作製し、アルミパターン20は、アルミ電極30、32、33、34の作製工程において同時に作製するため、半導体装置1の製造工程を増加させることがない。
【0036】
なお、本発明は、上記した実施の形態に限定されず、本発明の技術思想を逸脱あるいは調整しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば、低反射パターン及び高反射パターンの材料は、NiCo及びAlに限らず低反射パターンと高反射パターンの反射率の差がアライメントマークを識別する装置又は利用者の識別能力内にあれば他の材料を用いることができる。
【符号の説明】
【0037】
1 半導体装置
2 アライメントマーク
3 回路部
3A 磁気抵抗素子
3B バイポーラトランジスタ
4 アライメントマーク
10 シリコンウエハ
20 アルミパターン
21 窒化膜
22 NiCoパターン
23 酸化膜
24 シリコン基板
30、32、33、34 アルミ電極
31 NiCoパターン
35 コレクタ
36 エミッタ
37 ベース



【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板上に少なくとも第1の層と第2の層とを含んで形成される回路部と、
前記半導体基板上に前記回路部の前記第1の層と同工程において形成される低反射パターンと、
前記低反射パターン上に形成され、前記回路部の前記第2の層と同工程において形成される高反射パターンとを有する半導体装置。
【請求項2】
前記第1の層は、磁気抵抗膜であり、
前記第2の層は、磁気抵抗膜と電気的に接続される電極である請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
半導体基板上に回路部用のパターンと低反射パターンとを含む第1の層を形成する工程と、
前記第1の層上に前記回路部用のパターンと高反射パターンとを含む第2の層を形成する工程とを有する半導体装置の製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−12634(P2013−12634A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145276(P2011−145276)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】