説明

半導体装置実装用ペ−スト

【課題】粒子径が均一で樹脂への分散性に優れた半導体装置実装用ペ−ストを提供する。
【解決手段】平均粒子径が0.5〜30μmの範囲にあり、粒子径変動係数(CV値)が3%以下であり、含有量が30〜90重量%の範囲にあるポリオルガノシロキサン粒子と、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、ビスマレイミド系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、シリコ−ン系樹脂、BTレジン、シアネ−ト系樹脂から選ばれた1種または2種以上からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子径が均一なポリオルガノシロキサン粒子と樹脂とからなる半導体装置実装用ペ−ストに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置では、基板と半導体素子(チップ)を接着するために接着剤(ダイアタッチということがある)が用いられている。このとき、接着剤としては樹脂にシリカ、アルミナ等の絶縁性の無機フィラ−を配合したり、銀粉、銅粉等の導電性無機フィラ−を配合した半導体用樹脂ペ−ストが用いられている。(特許文献1:特開平11−61086号公報)
【0003】
また、半導体装置では、基板上に半導体チップが載置されているが基板と半導体チップは、一般に線膨張率が異なる。基板は有機樹脂を含む材料により構成されており、半導体チップよりも大きな線膨張率を有する。このため、基板上に半導体チップを実装した構造の半導体装置が熱履歴を受けると両者の線膨張率の相違に起因して基板の反りが生じる。 従来の半導体装置では、この反りの発生により、半導体チップや、半導体チップとバンプの界面、バンプと基板との界面等に、クラック等の損傷が発生することがあった。
これに加え、基板上に半導体チップが実装されたパッケ−ジが反ると、前述したような損傷の発生のみならず、パッケ−ジを基板に実装することが困難となる。従って、パッケ−ジの反りを抑制することが求められている。
【0004】
また、基板上に半導体チップをフェイスダウン実装する場合、基板とチップとの間に空隙部が生じるため、その空隙にアンダ−フィルと呼ばれる絶縁材料を充填することが必要となる。アンダ−フィルの材料としては、従来、エポキシ樹脂をはじめとする熱硬化性樹脂が広く用いられてきた。(特許文献2:特開平11−233571号公報)
【0005】
この時、アンダ−フィルの線膨張率を低減し、前記した損傷を効果的に低減するために、アンダ−フィルの樹脂組成物にあらかじめカップリング剤処理したシリカ粒子等の無機フィラ−を含有させることが提案されている。(WO2006/098219号公報:特許文献3)
【0006】
また、WO2002/026626号公報(特許文献4)には、アンダ−フィル用フィラ−として非孔性球状シリカ粒子を用い、樹脂混合時の流動性に優れ、低粘度、低チキソトロピ−のアンダ−フィル材を用いること、および非孔性球状シリカ粒子の製造方法が提案されている。
この時の非孔性球状シリカ粒子は、平均粒子径が0.1〜20μmで、最大粒子径が平均粒子径の4倍以下、例えば、平均粒子径が1.3μm、最大粒子径が3μmのシリカ粒子が開示されている。しかしながら、粒子径分布を均一にするためにスクリ−ンを用いて解砕したり、分級をし、さらに粗粒を除去する必要があった。
【0007】
しかしながら、近年、半導体基板の高集積化に伴い、高純度化、粒子径が均一で製造再現性があり、加えて経済性に優れ、アンダ−フィル材、ダイアタッチ封止材等に用いた場合に、樹脂への分散性、流動性に優れ、低粘度化できたり、ダイラタンシ−性を有し、且つ前記損傷等の発生を抑制することのできる無機フィラ−が求められている。
【0008】
シリカ粒子の製造方法としては種々知られており、高純度のシリカ粒子としては加水分解性有機ケイ素化合物を用いる方法が知られている。
例えば、特開平7−140472号公報(特許文献5)には、
1mSi(OR2)4-m
(式中のR1、R2は、それぞれ特定の有機基を表す。mは0〜3の整数である。)
で表される有機珪素化合物を加水分解、縮重合して得られた粒子を100〜1000℃の範囲で温度を変えて熱処理することにより、特定の圧縮弾性率を有する液晶セル用スペ−サ−粒子が得られることが開示されている。
【0009】
また、本発明者らは、特開平9−59384号公報(特許文献6)において、特定の有機珪素化合物を用いたオルガノポリシロキサン微粒子の製造方法を開示している。
しかしながら、上記方法では、有機珪素化合物の種類によっては完全に加水分解・縮重合しなかったり、あるいは加水分解・重縮合が遅いために、得られる粒子の収率が低く、しかも収率がバッチによって変動することがあり、粒子径の再現性が不十分であった。
【0010】
また、従来の粒子の製造方法では、粒子径の高精度の調整が困難で、物性値の均一な粒子を得るためには、製造規模を小さくしたり、製造条件を厳しく管理したりする必要があった。
さらに、製造規模を小さくした場合でも、製造バッチ毎のばらつきが問題となることがあった。
【0011】
また、本願出願人は核粒子として均一な平均粒子径を有するシリカ粒子を調製し、これを疎水化し、ついで界面活性剤存在下に有機珪素化合物に由来する弾性を有する被覆層を形成するポリオルガノシロキサン被覆弾性微粒子の製造方法を提案している。(特開2000−204168号公報、特開2000−212422号公報:特許文献7,8)
しかしながら、核粒子として粒子径が大きなシリカの核粒子を得るには長時間を要し、さらに弾性被覆層を形成することから、生産性、経済性に難点があった。さらにゲル状物質が生成し、これを除去する必要があった。
【0012】
長尾らは、テトラオルソシリケ−トを加水分解してシリカ粒子を調製するに際して、Kcl、Licl等の電解質の存在下で加水分解すると、粒子成長速度が速く、新たな粒子の生成を抑制し、粒子径が1μm程度の単分散した粒子が得られ、粒子径分布を調節できることを報告している。(非特許文献1:D.Nagao et al.,J.Chem Eng.,Japan 33,468(2000))
しかしながら、製造毎の粒子径が変動する問題があった。
【0013】
このような状況に鑑み、鋭意検討した結果、加水分解性有機ケイ素化合物相を上層に配置し、加水分解用触媒の水/炭素数5〜10の一価アルコ−ル混合溶媒相を下層に配置して調製すると極めて短時間に均一な粒子径を有し、粗粒のないポリオルガノシロキサン粒子が得られ、前記アルコ−ルに炭素数1〜4の一価アルコ−ルを混合して調製すると所望の粒子径のポリオルガノシロキサン粒子が再現性よく得られ、このようにして得られたポリオルガノシロキサン粒子を樹脂と配合すると粒子は樹脂への分散性に優れ、得られるペ−ストは低粘度であることを見出して本発明を完成するに至った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平11−61086号公報
【特許文献2】特開平11−233571号公報
【特許文献3】WO2006/098219号公報
【特許文献4】WO2002/026626号公報
【特許文献5】特開平7−140472号公報
【特許文献6】特開平9−59384号公報
【特許文献7】特開2000−204168号公報
【特許文献8】特開2000−212422号公報
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】D.Nagao et al.,J.Chem Eng.,Japan 33,468(2000)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、粒子径が均一で樹脂への分散性に優れたポリオルガノシロキサン粒子と樹脂とからなる半導体装置実装用ペ−ストを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係る半導体装置実装用ペ−ストは、平均粒子径が0.5〜30μmの範囲にあり、粒子径変動係数(CV値)が3%以下であるポリオルガノシロキサン粒子と樹脂とからなることを特徴としている。
前記ポリオルガノシロキサン粒子の含有量が30〜90重量%の範囲にあることが好ましい。
前記樹脂が、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、ビスマレイミド系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、シリコ−ン系樹脂、BTレジン、シアネ−ト系樹脂から選ばれる1種または2種以上であることが好ましい。
前記半導体装置実装用ペ−ストは、E型粘度計の回転数0.5rpmの時の粘度(η1)が1〜800Pa・sの範囲にあることが好ましく、また、E型粘度計の回転数2.5rpmの時の粘度(η2)が1〜800Pa・sの範囲にあることが好ましい。
前記粘度(η1)と前記粘度(η2)との粘度比(η1)/(η2)が0.001〜8の範囲にあることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、粒子径が均一なポリオルガノシロキサン粒子と樹脂とからなる半導体装置実装用ペ−ストおよび該半導体装置実装用ペ−ストを用いた半導体装置を提供することができる。
さらに、粒子径が均一で、樹脂への分散性に優れるとともに低粘度で流動性、リフロ−性に優れ、基板とチップとの間の充填性に優れたアンダ−フィル用樹脂ペ−ストを提供することができる。
【0019】
また、粒子径が均一で、樹脂への分散性に優れるとともに低粘度で塗工性に優れ、且つチキソトロピ−性(リフロ−性が小さい)を有し、基板と半導体素子(チップ)を効果的に接着できるダイアタッチ用樹脂ペ−ストを提供することができる。
ここで、キソトロピ−性とは、せん断応力を受け続けると粘度が次第に低下し液状になり、静止すると粘度が次第に上昇し最終的に固体状になる現象を意味している。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】半導体装置の概要を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[半導体装置実装用ペ−スト]
先ず、本発明に係る半導体装置実装用ペ−ストについて説明する。
本発明に係る半導体装置実装用ペ−ストは、平均粒子径が0.5〜30μmの範囲にあり、粒子径変動係数(CV値)が3%以下であるポリオルガノシロキサン粒子と樹脂とからなることを特徴としている。
【0022】
ポリオルガノシロキサン粒子
本発明に用いるポリオルガノシロキサン粒子は平均粒子径が0.5〜30μm、さらには1〜20μmの範囲にあることが好ましい。
ポリオルガノシロキサン粒子の平均粒子径が0.5μm未満の場合は、ポリオルガノシロキサン粒子のペ−スト中の含有量が高い場合に高粘度となることがある。また、分散性が不充分となることがあり、本発明の目的、特にアンダ−フィル用のフィラ−として用いた場合、浸透性が不充分となる場合がある。
ポリオルガノシロキサン粒子の平均粒子径が30μmを越えると、バンプ等によって形成される空隙を埋めることが出来ない場合や、できたとしても浸透性が不充分になる場合がある。
【0023】
ポリオルガノシロキサン粒子の平均粒子径が前記範囲にあれば、低粘度で、低チキソトロピ−性で浸透性に優れた半導体装置実装用ペ−ストを得ることができる。なお、平均粒子径の選択は、隙間の大きさ等によって適宜選択するが、後述する本発明に用いるポリオルガノシロキサン粒子の製造方法は所望の粒子径の粒子を製造することができる。
【0024】
ポリオルガノシロキサン粒子の平均粒子径(Dn)は走査型電子顕微鏡(日本電子(株)製:JSM−5300型)により写真を撮影し、この画像の250個の粒子について画像解析装置(旭化成(株)製:IP−1000)を用いて測定される。
【0025】
また、粒子径変動係数(CV値)が3%以下、さらには2%以下であることが好ましい。
粒子径変動係数(CV値)が3%以下であると、低粘度で、低チキソトロピ−性で浸透性に優れた半導体装置実装用ペ−ストを得ることができる。
粒子径変動係数(CV値)が3%を越えると、ポリオルガノシロキサン粒子の粒子径にもよるが、隙間が小さい場合に浸透性が不充分となる場合がある。
【0026】
CV値は下記式(1)によって算出される。
CV値=(粒子径標準偏差(σ1)/平均粒子径(Dn))x100・・・・(1)
粒子径標準偏差(σ1)=Σn|Di−Dn|/(n−1)xDn
i:個々の粒子の粒子径、n:250
【0027】
半導体装置実装用ペ−スト中のポリオルガノシロキサン粒子の含有量は30〜90重量%、さらには40〜80重量%の範囲にあることが好ましい。
ポリオルガノシロキサン粒子の含有量が30重量%未満の場合は、粒子が少ないので膨張率が樹脂のみの場合と大きく変わらず、バンプ周辺にクラックが発生する場合があり、また、基板に反りが生じたり、半導体素子が損傷する場合がある。
ポリオルガノシロキサン粒子の含有量が90重量%を越えると、樹脂が少なくなるので、高粘度となることがある。また、分散性が不充分となり、本発明の目的、特にアンダ−フィル用のフィラ−として用いた場合、浸透性が不充分となる場合がある。
【0028】
本発明で用いるポリオルガノシロキサン粒子の製造方法は、前記平均粒子径、粒子径変動係数を有するポリオルガノシロキサン粒子が得られれば特に制限はないが、以下の方法は精度良く所望の平均粒子径および粒子径変動係数を有するポリオルガノシロキサン粒子が得られるとともに、短時間で、再現性よく製造することができるので推奨される。
以下、本発明に好適に用いるポリオルガノシロキサン粒子の製造方法について説明する。
【0029】
[ポリオルガノシロキサン粒子の製造方法]
本発明に用いるポリオルガノシロキサン粒子の製造方法は、下記式(2)で表される加水分解性有機ケイ素化合物相を上層に配置し、加水分解用触媒の水/アルコ−ル混合溶媒相を下層に配置し、加水分解性有機ケイ素化合物と加水分解用触媒とを接触させるポリオルガノシロキサン粒子の製造方法において、アルコ−ルが炭素数5〜10の一価アルコ−ル(ROH1)および/または炭素数1〜4の一価アルコ−ル(ROH2)を含むことを特徴としている。
1nSi(OR24-n・・・・・(2)
(式中、R1は置換または非置換の炭化水素基から選ばれる炭素数1〜10の炭化水素基を示し、R2は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアシル基を示し、nは0〜3の正数である)
【0030】
加水分解性有機ケイ素化合物
本発明に用いる加水分解性有機ケイ素化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシメチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシメチルトリエキシシラン、γ−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(β−グリシドキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシメチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシメチルトリエキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシエチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシエチルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシプロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、3−ウレイドイソプロピルプロピルトリエトキシシラン、パ−フルオロオクチルエチルトリメトキシシラン、パ−フルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、パ−フルオロオクチルエチルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチルシラノ−ル、メチルトリクロロシラン、ジメトキシジメチルシラン、ジエトキシ−3−グリシドキシプロピルメチルシラン、ジメトキシジフェニルシラン、ジアセトキシジメチルシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルシラノ−ル等が挙げられる。
【0031】
前記加水分解性有機ケイ素化合物が式(2)におけるnが1の加水分解性有機ケイ素化合物を用いることが好ましい。nが1の加水分解性有機ケイ素化合物を用いると、加水分解速度も速く、短時間で粒子径が大きく均一な粒子径を有する大きなポリオルガノシロキサン粒子を得ることができる。
得られるポリオルガノシロキサン粒子は、溶融球状シリカのように表面に微粉が無く、加えて、シランカップリング剤で改めて表面処理する必要が無く、樹脂への分散性に優れ、低粘度の半導体装置実装用ペ−ストを得ることができる。
【0032】
また、加水分解性有機ケイ素化合物が式(2)におけるnが0と1の加水分解性有機ケイ素化合物の混合物を用いることもできる。混合物を用いると比較的圧縮弾性率の高いポリオルガノシロキサン粒子を得ることができる。
【0033】
この時の加水分解性有機ケイ素化合物(n=0)のモル数(M0)と加水分解性有機ケイ素化合物(n=1)のモル数(M1)とのモル比(M0)/(M1)は0.01〜0.5、さらには0.02〜0.4の範囲にあることが好ましい。
モル比(M0)/(M1)が0.01未満の場合は、前記加水分解性有機ケイ素化合物(n=0)を混合して使用する効果、例えば粒子強度の高い粒子が得られない場合がある。
モル比(M0)/(M1)が0.5を越えると、反応性の高い加水分解性有機ケイ素化合物(n=0)が加水分解し、加水分解性有機ケイ素化合物(n=1)とのミセルが形成されないためか真球粒子の粒子が得られず、粒子径の制御が困難となる場合がある。
【0034】
加水分解用触媒
加水分解用触媒としては、前記加水分解性有機ケイ素化合物を加水分解することができれば特に制限はないがアルカリ金属の水溶液、アミン水溶液、アンモニア水溶液、アンモニアガス等が挙げられる。なかでもアンモニア水溶液、アンモニアガスは後述する乾燥後、粒子中に残存せず、安価であるので好ましい。
【0035】
アルコ−ル
アルコ−ルとしては炭素数5〜10の一価アルコ−ル(ROH1)と炭素数1〜4の一価アルコ−ル(ROH2)が単独または混合して用いられる。
具体的には、炭素数5〜10の一価アルコ−ル(ROH1)としては、1−ペンタノ−ル、3−メチル−1−ブタノ−ル、2−メチル−1−ブタノ−ル、2,2ジメチル−1−プロパノ−ル、2−ペンタノ−ル、3−メチル−2−ブタノ−ル、3−ペンタノ−ル、2−メチル−2−ブタノ−ル、ヘキサノ−ル、ヘプタノ−ル、オクタノ−ル、ノナノ−ル、デカノ−ル等が挙げられる。これらアルコ−ルは必要に応じて混合して用いることができる。
炭素数1〜4の一価アルコ−ル(ROH2)としては、メタノ−ル、エタノ−ル、1−プロパノ−ル、イソプロパノ−ル、1−ブタノ−ル、2−メチル−1−プロパノ−ル、2−ブタノ−ル、2−メチル−2−プロパノ−ル等およびこれらの混合物が挙げられる。
【0036】
アルコ−ルの炭素数が11以上であると、水への溶解度が低く、ミセルの形成が起きないためかゲル化等を生じ、所望の粒子が得られない場合がある。
炭素数5〜10の一価アルコ−ル(ROH1)を用いると平均粒子径が大きく粒子径変動係数(CV値)の小さなポリオルガノシロキサン粒子を得ることができる。
この時の平均粒子径はアルコ−ルの種類によっても異なるが概ね5μm以上であり、CV値は3%以下であり、所要時間は概ね2時間以内である。
【0037】
炭素数1〜4の一価アルコ−ル(ROH2)は加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解速度が速いためか、平均粒子径は概ね3μm以下となるが、平均粒子径が0.5μm以上、CV値が3%以下であれば本願用途に好適である。また、所要時間は概ね1時間程度である。
なお、本発明では一価アルコ−ルを用いるが、必要に応じて多価アルコ−ルを混合して用いることもできる。
【0038】
前記において、アルコ−ル(ROH1)とアルコ−ル(ROH2)とを混合して用い、混合比を調節することによって得られるポリオルガノシロキサン粒子の平均粒子径を容易に調節することができる。一方、いずれか一方のアルコ−ルのみを用いた場合に粒子径を調節するには、後述する加水分解時の固形分濃度、温度、撹拌速度、pH等の条件のいずれか一条件だけで平均粒子径を調節することは困難であり、このため、正確に所望の平均粒子径のポリオルガノシロキサン粒子を得ることが困難であり、加えて、製造毎の平均粒子径のばらつきが大きくなる問題がある。
【0039】
つぎに、製造方法について具体的に説明する。
先ず、アルコ−ルと水の混合溶媒を調製する。混合溶媒中のアルコ−ルの濃度は0.1〜20重量%、さらには0.2〜10重量%の範囲にあることが好ましい。
混合溶媒中のアルコ−ル濃度が0.1重量%未満の場合は、均一で大きなミセルの形成が起きないためか得られる粒子が小さくなる傾向があり、且つ、加水分解反応時間が長くなる傾向がある。
混合溶媒中のアルコ−ル濃度が20重量%を越えると、加水分解反応時間は短くなるが制御が困難で、粒子径の均一性、再現性が不充分となる場合があり、またアルコ−ルの種類によっては加水分解性有機ケイ素化合物の上層とアルコ−ル/水の下層の分離が不完全になり、この場合も粒子径の均一性、再現性が不充分となる場合がある
なお、この時、所望の粒子径によってアルコ−ル(ROH1)とアルコ−ル(ROH2)とを混合して用いることができる。
【0040】
ついで、前記した有機ケイ素化合物を添加する。この時、有機ケイ素化合物が上層に、混合溶媒が下層に分離した状態になるように、無撹拌下、あるいは緩やかな撹拌下で添加する。
有機ケイ素化合物の添加量は、混合溶媒と有機ケイ素化合物の合計中の有機ケイ素化合物の濃度が固形分(R1nSiO2/4-nまたはSiO2+R1nSiO2/4-n)として0.5〜15重量%、さらには1〜10重量%の範囲にあることが好ましい。
【0041】
有機ケイ素化合物の濃度が固形分として0.5重量%未満の場合は、得られるポリオルガノシロキサン粒子の粒子径が小さくなり過ぎる場合があり、加えて生産性が低下する問題がある。
有機ケイ素化合物の濃度が固形分として15重量%を越えると、反応が速く、制御が困難となり、粒子径変動が大きくなる傾向にあり、また、有機ケイ素化合物の種類によっては合着した粒子が非常に多くなる。
【0042】
ついで、下層のアルコ−ルと水の混合溶媒相を緩やかに撹拌しながら、下層に前記した加水分解用触媒を連続的にあるいは断続的に添加する。
加水分解用触媒の添加量は、有機ケイ素化合物を全て加水分解できれば特に制限はなく、有機ケイ素化合物の種類によっても異なるが、分散液のpHが好ましくは7〜13、さらに好ましくは8〜12の範囲となるように添加することが好ましい。
分散液のpHが7未満の場合は有機ケイ素化合物の加水分解がなかなか起こらず、また球状ミセルが形成不充分となるためか、粒子径変動が大きくなる傾向にある。
分散液のpHが13越えると反応が速く、また球状ミセルが形成されず、粒子径変動が大きくなる傾向にあり、また、不定形(非球状)となったり、ゲル物が多く生成する場合がある。
【0043】
加水分解する際の温度は使用するアルコ−ルの種類、沸点、濃度等によっても異なるが、−10〜60℃、さらには5〜50℃の範囲にあることが好ましい。
加水分解温度が−10℃未満の場合は、有機ケイ素化合物の加水分解がなかなか起こらず、また球状ミセルが形成不充分となるためか、粒子径変動が大きくなる傾向にある。
加水分解温度が60℃を越えると、有機ケイ素化合物の加水分解が速く、粒子径変動が大きくなる傾向にある。
【0044】
加水分解用触媒を添加終了後、必要に応じて熟成することができる。熟成することによって、未反応有機ケイ素化合物が無くなり、得られるポリオルガノシロキサン粒子がさらに均一となり(CV値が低下し)、製造再現性も向上する。熟成温度は加水分解時と同じであってもよいが、高くてもよく、通常約20〜95℃、好ましくは30〜90℃の温度で約0.5〜2時間維持することが好ましい。
【0045】
加水分解用触媒を添加終了後、あるいは熟成した後、分散液から粒子を分離し、必要に応じてアルコ−ル等の有機溶媒で洗浄し、ついで、乾燥および/または加熱処理する。
乾燥条件、加熱処理条件は、粒子の大きさ、粒子の用法、配合する樹脂の種類、配合量等によって適宜選択することができる。
50〜200℃程度で乾燥あるいは、200〜500℃程度の比較的低温で加熱処理乾燥した粒子は、樹脂への分散性に優れるが、樹脂と配合して形成した基板の線膨張率を小さくする効果が不充分となる場合があり、500〜1200℃程度の比較的高温で加熱処理した場合は線膨張率を小さく抑制することができる。
このようにして得られるポリオルガノシロキサン粒子の平均粒子径は0.5〜30μm、さらには1〜20μmの範囲にあることが好ましい。
【0046】
樹脂
本発明の半導体装置実装用ペ−ストに用いる樹脂は、半導体装置実装用ペ−ストの粘度が低く、基板と半導体チップの間の空隙に迅速かつ緻密に充填でき、クラックが生じたり、樹脂の膨張によって基板のそりが生じることが無ければ特に制限はない。また、半導体装置実装用ペ−ストの粘度が低く、塗工性に優れ、且つチキソトロピ−性(リフロ−性が小さい)を有し、基板と半導体素子(チップ)効果的に接着できれば特に制限はない。これらの樹脂としては、従来公知のエポキシ系樹脂、ポロイミド系樹脂、ビスマレイミド系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、シリコン系樹脂、BTレジン、シアネ−ト系樹脂等は好適に用いることができる。
なお、上記において、ペーストの粘度を低下するには分子量の低い樹脂、例えば樹脂モノマー、樹脂オリゴマー等を混合して用いることもできる。さらに、従来公知の溶剤を混合して用いることもできる。
【0047】
半導体装置実装用ペ−スト中の樹脂の含有量は10〜70重量%、さらには20〜60重量%の範囲にあることが好ましい。
半導体装置実装用ペ−スト中の樹脂の含有量が10重量%未満の場合は、樹脂が少なくなるので、基板との密着性が不充分となったり、ペ−ストが高粘度となることがあり、また、分散性が不充分となり、本発明の目的、特にアンダ−フィル用のフィラ−として用いた場合、浸透性が不充分となる場合がある。
半導体装置実装用ペ−スト中の樹脂の含有量が70重量%を越えると、粒子が少ないので膨張率が樹脂のみの場合と変わらず大きく、バンプ周辺にクラックが発生する場合があり、また、基板に反りが生じたり、半導体素子が損傷する場合がある。また、浸透性が不充分となり、狭い隙間に迅速に、緻密に充填できない場合がある。
【0048】
硬化触媒
本発明の半導体装置実装用ペ−ストには、必要に応じて硬化触媒を用いることができる。硬化触媒としては樹脂によっても異なるが、酸無水物、ナフテン酸亜鉛、オクチル酸錫等の有機金属、トリエチルアミン等の有機アミン、イミダゾ−ル類、フェノ−ル化合物等が挙げられる。酸無水物としては、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
【0049】
本発明の半導体装置実装用ペ−ストは、用途、用法によって2種のペ−ストに分類される。1つは、粘度が低く、リフロ−性、間隙浸透性、高密着性、耐クラック性等を有するペ−ストであり、アンダ−フィル用として好適に用いることができる。
他の1つは、比較的粘度が低く、かつチキソトロピ−性、具体的には基板上にペ−ストを滴下した場合にリフロ−することなく形状を維持できる性質を有するペ−ストであり、ダイアタッチ用として好適に用いることができる。
【0050】
半導体実装用ペ−ストは、E型粘度計の回転数0.5rpmの時の粘度(η1)が1〜800Pa・s、さらには1〜600Pa・sの範囲にあることが好ましい。
前記粘度(η1)が1Pa・s未満のものは得ることが困難であり、得られたとしてもダイアタッチ用としては不向きな場合があり、800Pa・sを越えると、ダイアタッチ用としてもアンダ−フィル用としても不向きな場合がある。ここで、アンダ−フィル用としては50Pa・s以下であることが好ましい。
【0051】
また、E型粘度計の回転数2.5rpmの時の粘度(η2)が1〜800Pa・s、さらには1〜600Pa・sの範囲にあることが好ましい。
前記粘度(η2)が1Pa・s未満のものは得ることが困難であり、得られたとしてもダイアタッチ用としては不向きな場合があり、800Pa・sを越えると、ダイアタッチ用としてもアンダ−フィル用としても不向きな場合がある。この場合もアンダ−フィル用としては50Pa・s以下であることが好ましい
【0052】
また、上記において、粘度(η1)と粘度(η2)との粘度比(η1)/(η2)は0.001〜8の範囲にあることが好ましい。
ここで、アンダ−フィル用としては粘度比(η1)/(η2)が0.001〜1の範囲にあることが好ましく、ダイアタッチ用としては粘度比(η1)/(η2)が2〜8の範囲にあることが好ましい。
本発明での粘度の測定は、E型粘度計(東機産業(株)製:TVE25H)により、測定温度:30±5℃で行う。
このような半導体装置実装用ペ−ストは前記ポリオルガノシロキサン粒子と前記樹脂と、必要に応じて硬化触媒とを配合し、混練し、必要に応じて減圧下で脱泡する等して調製することができる。
【0053】
半導体装置への適用例
つぎに、上記した半導体装置実装用ペ−ストをアンダ−フィル材、ダイアタッチ材として半導体装置に用いる場合について例示する。
本発明の半導体装置実装用ペ−ストは、例えば図1に示すような半導体装置に用いる。
半導体装置(1)は、BGA基板(2)と、その上に実装された半導体チップ(3)と、これらの間に設けられた、BGA基板(2)および半導体チップ(3)を接着するダイアタッチ材(4)を備えている。
また、図1に示すように、半導体装置(1)は、はんだボール(5)を介してプリント配線基板(6)に実装された後、アンダーフィル材(7)が充填されている。
【実施例】
【0054】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0055】
[実施例1]
ポリオルガノシロキサン粒子(1)の調製
水16760gに1−ペンタノ−ル168gとメタノ−ル252gとを混合し、温度20℃に調整した水−アルコ−ル混合溶媒を調製した。
水−アルコ−ル混合溶媒に有機ケイ素化合物としてメチルトリメトキシシラン(信越化学(株)製:KBM−13)1362gを滴下した。
ついで、下層の水−アルコ−ル混合溶媒を緩やかに撹拌しながら、濃度2.8重量%のアンモニア水96.4gを約1分間で添加した。添加終了後の混合溶媒相のpHは10.4であった。混合溶媒相に、有機ケイ素化合物相が無くなるまで30分間を要した。引き続き、80℃で15時間熟成した。
ついで、遠心分離器にて分離、洗浄し、ついで、110℃で15時間乾燥後、1000℃にて3時間焼成してポリオルガノシロキサン粒子(1)を調製した。
得られたポリオルガノシロキサン粒子(1)について平均粒子径、粒子径変動係数を測定し、結果を表に示す。
【0056】
半導体実装用ペ−スト(1)の調製
グリシジルエ−テル入りビスフェノ−ルA型のエポキシ系樹脂(三菱化学(株)製:jER 801)100gとポリオルガノシロキサン粒子(1)455g、硬化剤として酸無水物(メチルテトラヒドロ無水フタル酸)(三菱化学(株)製:jERキュア YH−307)95gとを充分に混合して半導体実装用ペ−スト(1)を調製した。
得られた半導体実装用ペ−スト(1)について、分散性、粘度、間隙浸透性、滴下テストを以下の方法で測定し、結果を表に示す。
【0057】
分散性
ガラス基板上にペ−ストを滴下し、カバ−ガラスを被せ、100gの荷重を30秒保持した後、広がったペ−ストを光学顕微鏡にて50倍の倍率で観察し、粒子の分散状態を確認し、下記の判定基準で評価した。
固着粒子が殆ど認められなかった :◎
固着粒子が僅かに認められた :○
固着粒子が多数認められた :△
非固着粒子が殆ど認められなかった :×
【0058】
粘度
E型粘度計(東機産業(株)製:TVE25H)を用いて、30℃における回転数0.5rpmにおける粘度(η1)、2.5rpmにおける粘度(η2)を測定し、粘度比(η1)/(η2)を求めた。
【0059】
滴下テスト(リフロ−性)
表面を銀メッキ処理した銅フレ−ム上にペ−ストを滴下し、直後にカバ−ガラスを被せ、20gの荷重を10秒保持した後、広がったペ−ストの直径を測定し、下記の判定基準で評価した。
A:10mm以上 (アンダ−フィル剤として好適)
B:5mm以上〜10mm未満
C:5mm未満 (ダイアタッチ剤として好適)
【0060】
隙間浸透性
ガラス基板と耐熱性のあるテ−プ(カプトンテ−プ)でガラススペ−ス構造(隙間幅約20μm、長さ20mm)をつくり、100℃の温度に加熱した後、半導体実装用ペ−スト(1)をガラス基板の片側に垂らし、毛細管現象によりガラス隙間に浸透させ、反対側に到達する時間を計測し、以下の判定基準で評価した
A:10秒以下 (アンダ−フィル剤として好適)
B:11以上〜20秒未満
C:20秒以上
【0061】
[実施例2]
ポリオルガノシロキサン粒子(2)の調製
水16760gに1−ペンタノ−ル42gとメタノ−ル378gとを混合し、温度20℃に調整した水−アルコ−ル混合溶媒を調製した。
水−アルコ−ル混合溶媒に有機ケイ素化合物としてメチルトリメトキシシラン(信越化学(株)製:KBM−13)1362gを滴下した。
ついで、下層の水−アルコ−ル混合溶媒を緩やかに撹拌しながら、濃度2.8重量%のアンモニア水96.4gを約1分間で添加した。添加終了後の混合溶媒相のpHは10.5であった。混合溶媒相に、有機ケイ素化合物相が無くなるまで15分間を要した。引き続き、80℃で15時間熟成した。
ついで、遠心分離器にて分離、洗浄し、ついで、110℃で15時間乾燥後、1000℃にて3時間焼成してポリオルガノシロキサン粒子(2)を調製した。
得られたポリオルガノシロキサン粒子(2)について平均粒子径、粒子径変動係数を測定し、結果を表に示す。
【0062】
半導体実装用ペ−スト(2)の調製
実施例1において、ポリオルガノシロキサン粒子(2)を用いた以外は同様にして半導体実装用ペ−スト(2)を調製した。
得られた半導体実装用ペ−スト(2)について、分散性、粘度、間隙浸透性、滴下テストを行い、結果を表に示す。
【0063】
[実施例3]
ポリオルガノシロキサン粒子(3)の調製
水16760gに1−ペンタノ−ル42gとメタノ−ル378gとを混合し、温度20℃に調整した水−アルコ−ル混合溶媒を調製した。
水−アルコ−ル混合溶媒に有機ケイ素化合物としてメチルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製:KBM−13)681gを滴下した。
ついで、下層の水−アルコ−ル混合溶媒を緩やかに撹拌しながら、濃度2.8重量%のアンモニア水96.4gを約1分間で添加した。添加終了後の混合溶媒相のpHは10.5であった。混合溶媒相に、有機ケイ素化合物相が無くなるまで15分間を要した。引き続き、80℃で15時間熟成した。
ついで、遠心分離器にて分離、洗浄し、ついで、110℃で15時間乾燥後、1000℃にて3時間焼成してポリオルガノシロキサン粒子(3)を調製した。
得られたポリオルガノシロキサン粒子(3)について平均粒子径、粒子径変動係数を測定し、結果を表に示す。
【0064】
半導体実装用ペ−スト(3)の調製
実施例1において、ポリオルガノシロキサン粒子(3)を用いた以外は同様にして半導体実装用ペ−スト(3)を調製した。
得られた半導体実装用ペ−スト(3)について、分散性、粘度、間隙浸透性、滴下テストを行い、結果を表に示す。
【0065】
[実施例4]
半導体実装用ペ−スト(4)の調製
グリシジルエ−テル入りビスフェノ−ルA型のエポキシ系樹脂(三菱化学(株)製:jER 801)100gと実施例2と同様にして調製したポリオルガノシロキサン粒子 (2)293g、硬化剤として酸無水物(メチルテトラヒドロ無水フタル酸)(三菱化学(株)製:jERキュア YH−307)95gとを充分に混合して半導体実装用ペ−スト(4)を調製した。
得られた半導体実装用ペ−スト(4)について、分散性、粘度、間隙浸透性、滴下テストを行い、結果を表に示す。
【0066】
[実施例5]
【0067】
半導体実装用ペ−スト(5)の調製
グリシジルエ−テル入りビスフェノ−ルA型のエポキシ系樹脂(三菱化学(株)製:jER 801)100gと実施例2と同様にして調製したポリオルガノシロキサン粒子 (2)780g、硬化剤として酸無水物(メチルテトラヒドロ無水フタル酸)(三菱化学(株)製:jERキュア YH−307)95gとを充分に混合して半導体実装用ペ−スト(5)を調製した。
得られた半導体実装用ペ−スト(5)について、分散性、粘度、間隙浸透性、滴下テストを行い、結果を表に示す。
【0068】
[実施例6]
半導体実装用ペ−スト(6)の調製
シリコ−ン変性ポリイミド系樹脂(信越化学工業工業(株)製:X−22−8904)100gと実施例2と同様にして調製したポリオルガノシロキサン粒子(2)233gとを充分に混合して半導体実装用ペ−スト(6)を調製した。
得られた半導体実装用ペ−スト(6)について、分散性、粘度、間隙浸透性、滴下テストを行い、結果を表に示す。
【0069】
[比較例1]
ポリオルガノシロキサン粒子(R1)の調製
水16760gに1−ペンタノ−ル42gとメタノ−ル378gとを混合し、温度5℃に調整した水−アルコ−ル混合溶媒を調製した。
水−アルコ−ル混合溶媒に有機ケイ素化合物としてメチルトリメトキシシラン(信越化学工業工業(株)製:KBM−13)1362gを滴下した。
ついで、下層の水−アルコ−ル混合溶媒を、実施例2の2倍の速度で充分に撹拌しながら、濃度2.8重量%のアンモニア水96.4gを約1分間で添加した。添加終了後の混合溶媒相のpHは10.5であった。混合溶媒相に、有機ケイ素化合物相が無くなるまで15分間を要した。引き続き、80℃で15時間熟成した。
ついで、遠心分離器にて分離、洗浄し、ついで、110℃で15時間乾燥後、1000℃にて3時間焼成してポリオルガノシロキサン粒子(R1)を調製した。
得られたポリオルガノシロキサン粒子(R1)について平均粒子径、粒子径変動係数を測定し、結果を表に示す。
【0070】
半導体実装用ペ−スト(R1)の調製
実施例1において、ポリオルガノシロキサン粒子(R1)を用いた以外は同様にして半導体実装用ペ−スト(R1)を調製した。
得られた半導体実装用ペ−スト(R1)について、分散性、粘度、間隙浸透性、滴下テストを行い、結果を表に示す。
【0071】
[比較例2]
半導体実装用ペ−スト(R2)の調製
グリシジルエ−テル入りビスフェノ−ルA型のエポキシ系樹脂(三菱化学(株)製:jER 801)100gと、シリカ微粒子(日揮触媒化成(株)製:真絲球SW、平均粒子径:3.3μm、CV値:1.5%)455g、硬化剤として酸無水物(メチルテトラヒドロ無水フタル酸)(三菱化学(株)製:jERキュア YH−307)95gとを充分に混合して半導体実装用ペ−スト(R2)を調製した。
得られた半導体実装用ペ−スト(R2)について、分散性、粘度、間隙浸透性、滴下テストを行い、結果を表に示す。
【0072】
[比較例3]
半導体実装用ペ−スト(R3)の調製
グリシジルエ−テル入りビスフェノ−ルA型のエポキシ系樹脂(三菱化学(株)製:jER 801)100gと、シリカ微粒子(日揮触媒化成(株)製:真絲球SW、平均粒子径:1.4μm、CV値:2.0%)455g、硬化剤として酸無水物(メチルテトラヒドロ無水フタル酸)(三菱化学(株)製:jERキュア YH−307)95gとを充分に混合して半導体実装用ペ−スト(R3)を調製した。
得られた半導体実装用ペ−スト(R3)について、分散性、粘度、間隙浸透性、滴下テストを行い、結果を表に示す。
【0073】
[実施例7]
半導体実装用ペ−スト(7)の調製
ビスフェノ−ルA型のエポキシ系樹脂(三菱化学(株)製:jER 828)100gと、実施例1と同様にして調製したポリオルガノシロキサン粒子(1)140g、硬化剤として酸無水物(メチルテトラヒドロ無水フタル酸)(三菱化学(株)製:jERキュア YH−307)110gとを充分に混合して半導体実装用ペ−スト(7)を調製した。
得られた半導体実装用ペ−スト(7)について、分散性、粘度、間隙浸透性、滴下テストを行い、結果を表に示す。
【0074】
[実施例8]
半導体実装用ペ−スト(8)の調製
ビスフェノ−ルA型のエポキシ系樹脂(三菱化学(株)製:jER 828)100gと、実施例2と同様にして調製したポリオルガノシロキサン粒子(2)140g、硬化剤として酸無水物(メチルテトラヒドロ無水フタル酸)(三菱化学(株)製:jERキュア YH−307)110gとを充分に混合して半導体実装用ペ−スト(8)を調製した。
得られた半導体実装用ペ−スト(8)について、分散性、粘度、間隙浸透性、滴下テストを行い、結果を表に示す。
【0075】
[実施例9]
半導体実装用ペ−スト(9)の調製
ビスフェノ−ルA型のエポキシ系樹脂(三菱化学(株)製:jER 828)100gと、実施例3と同様にして調製したポリオルガノシロキサン粒子(3)140g、硬化剤として酸無水物(メチルテトラヒドロ無水フタル酸)(三菱化学(株)製:jERキュア YH−307)110gとを充分に混合して半導体実装用ペ−スト(9)を調製した。
得られた半導体実装用ペ−スト(9)について、分散性、粘度、間隙浸透性、滴下テストを行い、結果を表に示す。
【0076】
[実施例10]
半導体実装用ペ−スト(10)の調製
ビスフェノ−ルA型のエポキシ系樹脂(三菱化学(株)製:jER 828)110gと、実施例2と同様にして調製したポリオルガノシロキサン粒子(2)90g、硬化剤として酸無水物(メチルテトラヒドロ無水フタル酸)(三菱化学(株)製:jERキュア YH−307)110gとを充分に混合して半導体実装用ペ−スト(10)を調製した。
得られた半導体実装用ペ−スト(10)について、分散性、粘度、間隙浸透性、滴下テストを行い、結果を表に示す。
【0077】
[実施例11]
半導体実装用ペ−スト(11)の調製
ビスフェノ−ルA型のエポキシ系樹脂(三菱化学(株)製:jER 828)100gと、実施例2と同様にして調製したポリオルガノシロキサン粒子(2)210g、硬化剤として酸無水物(メチルテトラヒドロ無水フタル酸)(三菱化学(株)製:jERキュア YH−307)110gとを充分に混合して半導体実装用ペ−スト(11)を調製した。
得られた半導体実装用ペ−スト(11)について、分散性、粘度、間隙浸透性、滴下テストを行い、結果を表に示す。
【0078】
[実施例12]
半導体実装用ペ−スト(12)の調製
ポリイミド系樹脂(東レ(株)製:セミコファイン SP−811)100gと、実施例2と同様にして調製したポリオルガノシロキサン粒子(2)67gとを充分に混合して半導体実装用ペ−スト(12)を調製した。
得られた半導体実装用ペ−スト(12)について、分散性、粘度、間隙浸透性、滴下テストを行い、結果を表に示す。
【0079】
[比較例4]
半導体実装用ペ−スト(R4)の調製
ビスフェノ−ルA型のエポキシ系樹脂(三菱化学(株)製:jER 828)140gと、比較例1と同様にして調製したポリオルガノシロキサン粒子(R1)140g、硬化剤として酸無水物(メチルテトラヒドロ無水フタル酸)(三菱化学(株)製:jERキュア YH−307)110gとを充分に混合して半導体実装用ペ−スト(R4)を調製した。
得られた半導体実装用ペ−スト(R4)について、分散性、粘度、間隙浸透性、滴下テストを行い、結果を表に示す。
【0080】
[比較例5]
半導体実装用ペ−スト(R5)の調製
ビスフェノ−ルA型のエポキシ系樹脂(三菱化学(株)製:jER 828)100gと、シリカ微粒子(日揮触媒化成(株)製:真絲球SW、平均粒子径:3.3μm、CV値:1.5%)140g、硬化剤として酸無水物(メチルテトラヒドロ無水フタル酸)(三菱化学(株)製:jERキュア YH−307)110gとを充分に混合して半導体実装用ペ−スト(R5)を調製した。
得られた半導体実装用ペ−スト(R5)について、分散性、粘度、間隙浸透性、滴下テストを行い、結果を表に示す。
【0081】
[比較例6]
半導体実装用ペ−スト(R6)の調製
ビスフェノ−ルA型のエポキシ系樹脂(三菱化学(株)製:jER 828)100gと、シリカ微粒子(日揮触媒化成(株)製:真絲球SW、平均粒子径:1.4μm、CV値:2.0%)140g、硬化剤として酸無水物(メチルテトラヒドロ無水フタル酸)(三菱化学(株)製:jERキュア YH−307)110gとを充分に混合して半導体実装用ペ−スト(R6)を調製した。
得られた半導体実装用ペ−スト(R6)について、分散性を評価した結果、顕著な凝集状態が観察されたため粘度測定、間隙浸透性、滴下テストは実施しなかった。
【0082】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒子径が0.5〜30μmの範囲にあり、粒子径変動係数(CV値)が3%以下であるポリオルガノシロキサン粒子と樹脂とからなる半導体装置実装用ペ−スト。
【請求項2】
前記ポリオルガノシロキサン粒子の含有量が30〜90重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置実装用ペ−スト。
【請求項3】
前記樹脂が、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、ビスマレイミド系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、シリコ−ン系樹脂、BTレジン、シアネ−ト系樹脂から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置実装用ペ−スト。
【請求項4】
E型粘度計の回転数0.5rpmの時の粘度(η1)が1〜800Pa・sの範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の半導体装置実装用ペ−スト。
【請求項5】
E型粘度計の回転数2.5rpmの時の粘度(η2)が1〜800Pa・sの範囲にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の半導体装置実装用ペ−スト。
【請求項6】
前記粘度(η1)と前記粘度(η2)との粘度比(η1)/(η2)が0.001〜8の範囲にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の半導体装置実装用ペ−スト。

【図1】
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【公開番号】特開2012−142438(P2012−142438A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−294093(P2010−294093)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000190024)日揮触媒化成株式会社 (458)
【Fターム(参考)】