説明

半導体装置用テープキャリア

【課題】半導体装置接合用バンプ同士や半導体装置接合用バンプと配線との短絡を抑制し、ファインピッチ化を容易とする。
【解決手段】配線21が形成された第1主面S1および複数の半導体装置接合用バンプ31が形成された第2主面S2を有する絶縁性基板10を備え、半導体装置接合用バンプ31は、第2主面S2上でそれぞれが独立して分散状に配置され、絶縁性基板10を貫通するビア12を介して第1主面S1の配線21と導通している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置接合用バンプを備える半導体装置用テープキャリアに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置用テープキャリアには、柔軟性を有する絶縁性基板に銅箔等により配線パターンを形成した、TAB(Tape Automated Bonding)方式やTCP(Tape Carrier Package)方式等の半導体装置用テープキャリア(以降、これらを代表してTABテープと記す)がある。現在、TABテープはICパッケージ等の一部用途で活用され、量産されている。
【0003】
上述のTABテープは、図5(a1)に示す断面図のように、例えば絶縁性基板510の配線521が形成された面と同一面側に半導体装置接合用バンプ531を備えており、半導体装置接合用バンプ531は半導体装置610が備える接合用パッド620等と物理的に接合されていた。図5(a2)には、図5(a1)の断面に対して垂直方向からみたTABテープの断面図を示す。この半導体装置接合用バンプ531は、例えば絶縁性基板510上に配線521を形成した後、配線521上に金属メッキ等により形成されていた。金(Au)や金と銅(Cu)との合金をメッキして形成されたバンプが、例えば特許文献1及び特許文献2に開示されている。
【0004】
近年では、半導体装置の特性向上に応じた高周波化への対応に伴い、伝導速度の高いTABテープの必要性が高まっている。このため、例えばTABテープが備える絶縁性基板の両面に配線が形成された2メタルTABテープ(両面配線テープ)が用いられるようになってきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−324635号公報
【特許文献2】特開2008−288327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のような配線と半導体装置接合用バンプとが絶縁性基板の同一面に形成される従来のTABテープには、いくつかの課題があった。例えば、従来のTABテープでは、半導体装置接合用バンプ間に充分なクリアランスが取れず、例えば配線に対して半導体装置接合用バンプが位置ずれを起こすと、図5(b)に示すように、隣接する半導体装置接合用バンプ531a,531b同士や、半導体装置接合用バンプ531dと配線521cとが接触し、短絡してしまう場合があった。
【0007】
特に、上述のように金属メッキにより半導体装置接合用バンプを形成すると、メッキに用いる導体材は配線表面から放射状に、したがって、配線側面から横方向へも成長する。このため、TABテープの配線設計の際には、半導体装置接合用バンプの横方向の成長も考慮に入れたクリアランスとしなければならなかった。こうした課題は、TABテープのファインピッチ化が進むとより顕著になり、ファインピッチ化の妨げとなっていた。
【0008】
本発明の目的は、半導体装置接合用バンプ同士や半導体装置接合用バンプと配線との短絡を抑制し、ファインピッチ化が容易となる半導体装置用テープキャリアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、配線が形成された第1主面および複数の半導体装置接合用バンプが形成された第2主面を有する絶縁性基板を備え、前記半導体装置接合用バンプは、前記第2主面上でそれぞれが独立して分散状に配置され、前記絶縁性基板を貫通するビアを介して前記第1主面の前記配線と導通している半導体装置用テープキャリアが提供される。
【0010】
本発明の第2の態様によれば、前記配線及び前記半導体装置接合用バンプは、前記第1主面上及び前記第2主面上に形成された金属薄膜をそれぞれパターニングして形成されている第1の態様に記載の半導体装置用テープキャリアが提供される。
【0011】
本発明の第3の態様によれば、前記半導体装置接合用バンプは、それぞれの高さ及び幅が略均一である第1又は第2の態様に記載の半導体装置用テープキャリアが提供される。
【0012】
本発明の第4の態様によれば、前記半導体装置接合用バンプは、略平坦な接合面を有する第1〜第3の態様のいずれかに記載の半導体装置用テープキャリアが提供される。
【0013】
本発明の第5の態様によれば、前記半導体装置接合用バンプと前記第1主面の前記配線とは、同一の導体材から成る第1〜第4の態様のいずれかに記載の半導体装置用テープキャリアが提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、半導体装置接合用バンプ同士や半導体装置接合用バンプと配線との短絡を抑制し、ファインピッチ化が容易となる半導体装置用テープキャリアが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る半導体装置用テープキャリアの一部を示す図であって、(a1)は絶縁性基板の第1主面側からみた斜視図であり、(a2)は絶縁性基板の第2主面側からみた斜視図であり、(b)は(a1)のA−A断面の一部を表した断面図であり、(c)は(a1)のB−B断面の一部を表した断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る半導体装置用テープキャリアに半導体装置を実装する様子を示す図であり、(a1)は絶縁性基板の第2主面側からみた斜視図であり、(a2)は絶縁性基板の第1主面側からみた斜視図であり、(b)は(a2)のA−A断面の一部を表した断面図であり、(c)は(a2)のB−B断面の一部を表した断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る半導体装置用テープキャリアの製造方法の各工程を、図1(a1)のA−A断面と同方向側の断面図で示す工程図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る半導体装置用テープキャリアの製造方法の各工程を、図1(a1)のB−B断面と同方向側の断面図で示す工程図である。
【図5】(a1)は従来例に係る半導体装置用テープキャリアを示す断面図であり、(a2)は(a1)の断面に対して垂直方向からみた半導体装置用テープキャリアの断面図であり、(b)は従来例に係る半導体装置用テープキャリアの課題を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<本発明の一実施形態>
以下に、本発明の一実施形態に係る半導体装置用テープキャリアについて説明する。
【0017】
(1)半導体装置用テープキャリアの構造
まずは、本発明の一実施形態に係る半導体装置用テープキャリアとしてのTABテープの構造について、図1を用いて説明する。図1は、本実施形態に係るTABテープの一部を示す図であって、(a1)は絶縁性基板の第1主面側からみた斜視図であり、(a2)は絶縁性基板の第2主面側からみた斜視図であり、(b)は(a1)のA−A断面の一部を表した断面図であり、(c)は(a1)のB−B断面の一部を表した断面図である。本実施形態に係るTABテープは可撓性を有する長尺状のフィルムであり、図1(a1)のB−B断面の水平方向に、長尺状に延びている(一部のみを図示)。
【0018】
図1に示すように、TABテープは、例えば配線21が形成された第1主面S1および複数の半導体装置接合用バンプ31が形成された第2主面S2を有する絶縁性基板10を備えている。絶縁性基板10は、可撓性を有する樹脂、例えば厚さ20μm〜50μmのポリイミド(PI)等から構成される。絶縁性基板10には、絶縁性基板10を貫通するビアホールに例えば銅(Cu)が充填されたビア12が形成されている。第1主面S1側では、ビア12は絶縁性基板10上に形成された配線21の上面と略同一の高さまで充填され、絶縁性基板10の表面から突出したビア12の側面と配線21の側面とが密着した状態となっている。また、第2主面S2側では、ビア12は絶縁性基板10の表面と略同一の高さまで充填され、絶縁性基板10上に形成された半導体装置接合用バンプ31の裏面とビア12の下端部とが密着した状態となっている。このように、ビア12を介して、第1主面S1側の配線21と第2主面S2側の半導体装置接合用バンプ31とが導通している。
【0019】
絶縁性基板10の第1主面S1に形成された配線21は、例えば配線21の幅(ライン幅)と配線21間の幅(スペース幅)とがそれぞれ30μm(L/S=30μm/30μm)となるよう配置されている。配線21は、例えば導体材としての銅等から構成される。配線21の厚さは、例えば12μm〜18μmである。配線21は、その一部を除く主要部分が絶縁性保護膜60により覆われている。絶縁性保護膜60には、例えばウレタン系樹脂やエポキシ系樹脂等で構成される、厚さ20μm〜50μmのソルダーレジスト等が用いられる。絶縁性保護膜60により、例えば金属異物等の付着による短絡等から配線21を保護することができる。なお、図1(a1)においては、配線21等の構造を明示するため、配線21上に浮かせた状態で絶縁性保護膜60を図示した。
【0020】
絶縁性基板10の第2主面S2に形成された半導体装置接合用バンプ31は、第2主面S2上でそれぞれが独立して分散状に配置されている。半導体装置接合用バンプ31は、例えば導体材としての銅等から構成される。半導体装置接合用バンプ31は、例えば高さが10μm以上で、寸法が40μm×40μmの矩形に形成されている。上述のとおり、半導体装置接合用バンプ31は、ビア12を介して第1主面S1の配線21と導通している。
【0021】
絶縁性保護膜60に覆われていない配線21の露出した表面と、半導体装置接合用バンプ31の表面とは、メッキ薄膜72,73にそれぞれ覆われている。メッキ薄膜72,73は、例えばスズ(Sn)系金属や金(Au)等から構成される。金製のメッキ薄膜72,73であれば、例えば厚さを1.0μm以下、好ましくは0.2μm〜0.5μmとすることができる。これによって、配線21の露出部分と半導体装置接合用バンプ31とが保護される。
【0022】
上述のように、本実施形態に係るTABテープは、配線21と半導体装置接合用バンプ31とが、絶縁性基板10のそれぞれ異なる面に形成されている。このように、半導体装置接合用バンプ31と配線21とを物理的に隔てて形成したので、半導体装置接合用バンプ31と配線21とが接触して短絡してしまうことがない。
【0023】
また、本実施形態に係るTABテープは、絶縁性基板10の片面(第1主面S1)に配線21を有する1メタルTABテープとして構成され、かつ、絶縁性基板10のもう一方の面(第2主面S2)に半導体装置接合用バンプ31を配置して、2メタル化された構成となっている。これにより、配線と半導体装置接合用バンプとが絶縁性基板の同一面に形成された従来の1メタルTABテープに比べ、配線21や半導体装置接合用バンプ31の配置に余裕ができ、半導体装置接合用バンプ31同士や配線21同士の接触・短絡をいっそう抑制することができる。
【0024】
また、配線21や半導体装置接合用バンプ31の配置に余裕があるため、半導体装置接合用バンプ31同士や配線21同士の接触・短絡を抑制しつつ、ファインピッチ化を図ることが容易となる。
【0025】
以上により、例えば配線21部分ではL/S=30μm/30μm以下であり、半導体装置接合用バンプ31間及び半導体装置接合用バンプ31と配線21との間が20μm以下であるような、ファインピッチのTABテープを容易に得ることができる。
【0026】
(2)半導体装置の実装方法
次に、本発明の一実施形態に係るTABテープへの半導体装置の実装方法について、図2を用いて説明する。図2は本発明の一実施形態に係るTABテープ上に半導体装置を実装する様子を示す図であり、(a1)は絶縁性基板の第2主面側からみた斜視図であり、(a2)は絶縁性基板の第1主面側からみた斜視図であり、(b)は(a2)のA−A断面の一部を表した断面図であり、(c)は(a2)のB−B断面の一部を表した断面図である。
【0027】
図2(a1)に示すように、TABテープに半導体装置110を実装する際には、TABテープの第2主面S2、すなわち半導体装置接合用バンプ31が形成された側の面を上に向けて、半導体装置実装装置(図示せず)のステージ200上にTABテープを載置する。
【0028】
一方、図2(a2)に示すように、TABテープがステージ200上に載置される際、第1主面S1側がステージ200と接触することとなる。しかし、第1主面S1側には半導体装置接合用バンプ31は形成されておらず、半導体装置接合用バンプ31がステージ200と接触して変形等してしまうのを抑制することができる。
【0029】
ステージ200上にTABテープが載置されたら、半導体装置実装装置内のTABテープ上方に、例えばアルミニウム製の接合用パッド120を有する面を下に向けて半導体装置110を保持し、互いに対向させた半導体装置接合用バンプ31と接合用パッド120との位置合わせを行った後、半導体装置接合用バンプ31と接合用パッド120とを接触させる。この状態で、TABテープの第1主面S1側或いは半導体装置110の接合用パッド120とは反対の面側のいずれか一方若しくは両側から加圧しつつ、超音波振動を加える。これにより、図2(b)、(c)に示すように、半導体装置接合用バンプ31と接合用パッド120とが接合され、TABテープ上に半導体装置110が実装される。
【0030】
(3)半導体装置用テープキャリアの製造方法
次に、本発明の一実施形態に係る半導体装置用テープキャリアとしてのTABテープの製造方法について、図3及び図4を用いて説明する。図3は、本実施形態に係るTABテープの製造方法の各工程を、図1(a1)のA−A断面と同方向側の断面図で示す工程図である。図4は、本実施形態に係るTABテープの製造方法の各工程を、図1(a1)のB−B断面と同方向側の断面図で示す工程図である。なお、図3の(a)〜(m)で示す各工程は、図4の(a)〜(m)で示す各工程と対応している。
【0031】
本実施形態に係る製造方法は、図3(a)、図4(a)に示すように、例えば、第1主面S1上に金属薄膜としての銅箔20が形成され、第2主面S2上に金属薄膜としての銅箔30が形成された絶縁性基板10に対して実施される。銅箔20,30の厚さは、例えばそれぞれ12μm〜18μmとすることができるが、銅箔30については、後述する半導体装置接合用バンプ31を10μm以上の高さに形成可能な厚さであればよい。
【0032】
(ビア形成工程)
まずは、図3(b)、図4(b)に示すように、上述の絶縁性基板10にビアホール11を形成する。すなわち、例えば絶縁性基板10の第1主面S1の側からレーザを照射し、銅箔20及び絶縁性基板10を貫通させ、銅箔30の裏面(絶縁性基板10側の面)を露出させてビアホール11を形成する。後述するように、主にビアホール11の位置に対応して半導体装置接合用バンプ31が形成される。
【0033】
次に、図3(c)、図4(c)に示すように、例えば銅メッキにより、ビアホール11内に銅箔30の裏面側から第1主面S1側へ向かって銅を充填してビア12を形成する。これによって、銅箔30の裏面とビア12の下端部とが密着した状態となる。そして、第1主面S1側では、ビア12を銅箔20の上面と略同一の高さまで充填し、絶縁性基板10の表面から突出したビア12の側面と、上記レーザにより貫通させた銅箔20の側面とが密着した状態となるまで銅を充填する。
【0034】
(配線形成工程)
続いて、第1主面S1上に配線21を形成する。すなわち、図3(d)、図4(d)に示すように、第1主面S1側の銅箔20及びビア12の上に、例えば感光性ドライフィルム40をラミネートする。次に、図3(e)、図4(e)に示すように、感光性ドライフィルム40を露光・現像して開口し、ライン部(未開口部)とスペース部(開口部)からなる感光性ドライフィルムパターン41を形成する。このとき、ライン部のいくつかはビア12上を通って配置される。この感光性ドライフィルムパターン41をマスクとして、例えばエッチング液を用いて銅箔20をパターニングし、図3(f)、図4(f)に示すように、例えばL/S=30μm/30μmの配線21を形成する。このとき、配線21のいくつかは、ビア12の突出部を一部に含んで形成される。配線21の形成後、図3(g)、図4(g)に示すように、感光性ドライフィルムパターン41を除去する。
【0035】
(半導体装置接合用バンプ形成工程)
引き続き、第2主面S2上に半導体装置接合用バンプ31を形成する。すなわち、図3(h)、図4(h)に示すように、第2主面S2側の銅箔30上に、例えば感光性ドライフィルム50をラミネートする。次に、図3(i)、図4(i)に示すように、感光性ドライフィルム50を露光・現像して開口し、感光性ドライフィルムパターン51を形成する。この感光性ドライフィルムパターン51をマスクとして、例えばエッチング液を用いて銅箔30をパターニングし、図3(j)、図4(j)に示すように、例えば高さが10μm以上で、寸法が40μm×40μmの矩形を有する半導体装置接合用バンプ31を形成する。このとき、主に、第1主面S1の配線21と導通している箇所、つまり、先に形成したビア12上に、半導体装置接合用バンプ31を形成することで、半導体装置接合用バンプ31は、第2主面S2上でそれぞれが独立して分散状に配置される。半導体装置接合用バンプ31の形成後、図3(k)、図4(k)に示すように、感光性ドライフィルムパターン51を除去する。
【0036】
(絶縁性保護膜・メッキ薄膜形成工程)
次に、図3(l)、図4(l)に示すように、配線21の主要部分に、例えばソルダーレジスト等を塗布して絶縁性保護膜60を形成する。そして、図3(m)、図4(m)に
示すように、配線21の露出した表面及び半導体装置接合用バンプ31の表面に金メッキを施し、例えば厚さが1.0μm以下、好ましくは0.2μm〜0.5μmのメッキ薄膜72,73をそれぞれ形成する。このように、例えばメッキ薄膜72,73同士が接触して半導体装置接合用バンプ31間あるいは半導体装置接合用バンプ31と配線21との間で接触・短絡が起きたりしないよう、メッキ薄膜72,73は上述のようなごく薄い膜とする。以上により、本実施形態に係るTABテープが製造される。
【0037】
上述のように、本実施形態では、半導体装置接合用バンプ31を、例えば配線21と同様のプロセス、すなわち、銅箔30をパターニングすることで形成している。このように、半導体装置接合用バンプ31と配線21とを、共に微細加工性に優れるパターニングによる手法で形成することで、配線21に対する半導体装置接合用バンプ31の位置精度が向上して半導体装置接合用バンプ31の位置ずれを抑制することができ、また、ファインピッチ化も容易となる。
【0038】
従来技術では、配線と半導体装置接合用バンプとが、それぞれパターニング、金属メッキの異なるプロセスで形成されていた。このため、配線を形成する際には半導体装置接合用バンプの形成時の位置公差も考慮しなければならず、高度な位置精度を出し難かった。特に、金属メッキの加工精度の問題から、形成される半導体装置接合用バンプの径や高さにばらつきが生じてしまうことがあった。半導体装置接合用バンプの径がばらつくと、半導体装置接合用バンプ間等の間隔が不ぞろいとなってしまう。また、半導体装置接合用バンプの接合面(トップ面)の高さがばらつくと、半導体装置との接合不良が生じてしまう。
【0039】
また、従来の金属メッキ等で半導体装置接合用バンプを形成すると、メッキ材は配線表面から放射状に広がり、球状の半導体装置接合用バンプが形成される。このため、たとえ配線の形成時に微細加工性の高いパターニング手法を用いたとしても、半導体装置接合用バンプをメッキする際の配線側面から横方向へのメッキ材の成長を考慮に入れた配線ピッチとしなければならなかった。
【0040】
また、金属メッキにより球状に形成された半導体装置接合用バンプを半導体装置の接合用パッドに接合すると、半導体装置接合用バンプのトップ面が曲面となっているために接合用パッドとの接合が曲面の頂点での接合となり、接合面積が広く取れずに接合不良が生じてしまう場合があった。
【0041】
しかしながら、本実施形態によれば、半導体装置接合用バンプ31を、配線21の形成時と同様、銅箔30のパターニングにより形成することで微細加工性が向上し、半導体装置接合用バンプ31のそれぞれの幅が略均一となる。これによって、半導体装置接合用バンプ31間や配線21間を所定間隔に保つことができ、各部材間の接触等による短絡を抑制することができる。同様に、半導体装置接合用バンプ31のそれぞれの高さも略均一となり、より確実に半導体装置110の接合用パッド120と接合することができる。
【0042】
また、金属メッキを用いる場合と異なり、横方向への成長を考慮に入れることなく配線ピッチを設定することができ、TABテープのファインピッチ化が容易となる。
【0043】
また、半導体装置110との接合面にあたる半導体装置接合用バンプ31のトップ面(接合面)が略平坦となって、接合面積を広く取ることができる。よって、より確実に半導体装置110の接合用パッド120と接合することができる。
【0044】
(4)一実施形態にかかる効果
本実施形態によれば、以下に示す少なくともひとつまたは複数の効果が得られる。
【0045】
本実施形態によれば、配線21が形成された第1主面S1および複数の半導体装置接合用バンプ31が形成された第2主面S2を有する絶縁性基板10を備え、半導体装置接合用バンプ31は、第2主面S2上でそれぞれが独立して分散状に配置され、絶縁性基板10を貫通するビア12を介して第1主面S1の配線21と導通している。これにより、半導体装置接合用バンプ31同士や半導体装置接合用バンプ31と配線21との短絡を抑制することができる。よって、TABテープのファインピッチ化が容易となる。
【0046】
また、本実施形態によれば、絶縁性基板10の片面ずつに配線21と半導体装置接合用バンプ31とをそれぞれ配置し、2メタル化したTABテープとしている。これにより、配線21や半導体装置接合用バンプ31の配置に余裕ができ、半導体装置接合用バンプ31同士や配線21同士の短絡をいっそう抑制することができる。また、ファインピッチ化が容易となる。
【0047】
また、本実施形態によれば、TABテープに半導体装置110を実装する際、半導体装置実装装置のステージ200に接触するのは、専ら半導体装置接合用バンプ31が形成されていない第2主面S2である。よって、半導体装置接合用バンプ31の変形等を抑制することができる。
【0048】
また、本実施形態によれば、配線21及び半導体装置接合用バンプ31は、第1主面S1上及び第2主面S2上に形成された銅箔20,30をそれぞれパターニングして形成されている。これにより、配線21に対する半導体装置接合用バンプ31の位置精度が向上し、半導体装置接合用バンプ31の位置ずれを抑制することができる。
【0049】
また、本実施形態によれば、半導体装置接合用バンプ31を銅箔30のパターニングにより形成することで、半導体装置接合用バンプ31のそれぞれの幅が略均一となり、半導体装置接合用バンプ31同士や配線21同士の短絡を抑制することができる。
【0050】
また、本実施形態によれば、半導体装置接合用バンプ31を銅箔30のパターニングにより形成することで、半導体装置接合用バンプ31のそれぞれの高さが略均一となり、より確実に半導体装置110の接合用パッド120と接合することができる。
【0051】
また、本実施形態によれば、半導体装置接合用バンプ31を銅箔30のパターニングにより形成することで、半導体装置110との接合面にあたる半導体装置接合用バンプ31の接合面(トップ面)が略平坦となり、より確実に半導体装置110の接合用パッド120と接合することができる。したがって、半導体装置110の実装の精度や安定性、信頼性を向上させることができる。
【0052】
また、本実施形態によれば、半導体装置接合用バンプ31と配線21とは同一の導体材から成り、同一のプロセスにより形成される。これにより、TABテープの材料や製造工程を共通化することができ、TABテープの構成を簡素化し、また、製造工程を簡便にすることができる。よって、TABテープの材料費や製造コストを削減することができる。
【0053】
<他の実施形態>
以上、本発明の実施の形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0054】
例えば、上述の実施形態においては、半導体装置接合用バンプ31と配線21とは銅により構成されるとしたが、これに限られず、上述のようなエッチング液等を用いたパターニングによる手法で形成可能な材料であれば、他の導体材により構成されていてもかまわ
ない。ビア12の充填においても、銅以外の材料やメッキ以外の手法を用いてもよい。
【0055】
また、上述の実施形態においては、絶縁性基板10はポリイミド(PI)等から構成されるとしたが、これに限られず、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアミドイミド(PAI)、液晶ポリマ(LCP)、アラミド、ガラスエポキシ樹脂等の有機樹脂により構成されていてもかまわない。
【0056】
また、上述の実施形態においては、レーザ照射によりビアホール11を形成することとしたが、薬液を用いたエッチング加工や、プレス加工によるパンチング、ピナクル刃(トムソン刃、彫刻刃を含む)による押し切り法等により、ビアホール11を形成することも可能である。または、これらいくつかの方法を組み合わせてもよい。パンチングによりビアホール11を形成する場合、まずは銅箔の一方のみ、例えば銅箔20のみが形成された絶縁性基板10に、パンチングでビアホール11を設けた後に、銅箔30を形成してもよい。
【0057】
また、上述の実施形態においては、半導体装置接合用バンプ31及び配線21の形成時、感光性ドライフィルム40,50のパターンをマスクとすることとしたが、例えば液体状のフォトレジスト等を塗布してマスクを形成してもよい。また、例えばレーザ光等によって直接描画を行ってもよい。
【0058】
また、異なるプロセスや異なる材料を用いて、絶縁性基板の同一面に、配線・半導体装置接合用バンプの組合せに限らず、所定の組合せの複数種の導体部を形成した場合に、位置精度等の課題が生じているようであれば、本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0059】
10 絶縁性基板
12 ビア
21 配線
31 半導体装置接合用バンプ
S1 第1主面
S2 第2主面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線が形成された第1主面および複数の半導体装置接合用バンプが形成された第2主面を有する絶縁性基板を備え、
前記半導体装置接合用バンプは、前記第2主面上でそれぞれが独立して分散状に配置され、前記絶縁性基板を貫通するビアを介して前記第1主面の前記配線と導通している
ことを特徴とする半導体装置用テープキャリア。
【請求項2】
前記配線及び前記半導体装置接合用バンプは、
前記第1主面上及び前記第2主面上に形成された金属薄膜をそれぞれパターニングして形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置用テープキャリア。
【請求項3】
前記半導体装置接合用バンプは、それぞれの高さ及び幅が略均一である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置用テープキャリア。
【請求項4】
前記半導体装置接合用バンプは、略平坦な接合面を有する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の半導体装置用テープキャリア。
【請求項5】
前記半導体装置接合用バンプと前記第1主面の前記配線とは、同一の導体材から成る
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の半導体装置用テープキャリア。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−114312(P2012−114312A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−263153(P2010−263153)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ピナクル
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】