説明

半導体装置

【課題】ワイヤループ高さの低い半導体装置を提供する。
【解決手段】イニシャルボールをパッド13に接合させて圧着ボール23とボールネック25とを形成した後、キャピラリ41を上昇させ、続いてリードと反対の方向に向かって移動させた後、降下させてリード側のフェイス部43でボールネック25を踏み付ける。その後キャピラリ41を上昇させ、キャピラリ41のフェイス部43がボールネック25の上に来るまでキャピラリ41をリードに向かって移動させてリード17に向かってワイヤ21を折り返し、その後キャピラリ41を降下させて踏み付けられたボールネック25の上に折り返されたワイヤ側面をキャピラリ41で押し付け、キャピラリ41をリードに向かって斜め上方に移動させた後ルーピングしてワイヤ21をリードに圧着させて接合する半導体装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1ボンド点と第2ボンド点とをワイヤで接続するワイヤループ形状を有する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の組立には、リードフレームに取り付けられた半導体チップのパッドとリードフレームのリードとの間を金属の細線で接続するワイヤボンディングが用いられている。ワイヤボンディングはワイヤボンディング装置を用い、最初にワイヤ先端にイニシャルボールを形成し、キャピラリによってそのイニシャルボールを半導体チップのパッドに圧着させて圧着ボールを形成する。そして、キャピラリを上昇させて第2ボンド点と反対側に向かってリバース動作させた後、更にキャピラリを所定の高さまで上昇させてからキャピラリを第2ボンド点の方向に移動させて第2ボンド点にワイヤを接続する方法が用いられている(例えば、特許文献1の図4から図6参照)。
【0003】
このように、キャピラリを動作させてワイヤをボンディングし、ワイヤループの形状を半導体チップのパッドに圧着した圧着ボールから上に伸びるワイヤネックと、ワイヤネックから第2ボンド点に向かって折り曲げられた傾斜部分とを含む三角形状或いは、ワイヤネックから第2ボンド点に向かって略水平に伸びる水平部分と水平部分から第2ボンド点に向かって伸びる傾斜部分とを含む台形形状とすることが多かった。これは、圧着ボールに近い部分を第2ボンド点に向かってキャピラリの水平方向に移動させると、移動中に発生するキャピラリと金属細線との間で発生する摩擦によりネック部分にダメージを与えてしまう場合があるためである。
【0004】
しかし、このワイヤループ形状は、圧着ボールから上方に立ち上がったワイヤネックを含むため、ワイヤループの高さが高くなってしまい、ワイヤボンディングによって組み立てられた半導体装置全体の高さ或いは厚さを小さく出来ないという問題があった。
【0005】
そこで、第1ボンド点にボンディングした後、キャピラリを若干上昇させて第2ボンド点と反対側に動かすリバース動作を行い、更にキャピラリを若干上昇させて第2ボンド点側に動かすフォワード動作させた後、キャピラリを降下させてワイヤネック部分を圧着ボールの上に折り返して押し付け、ワイヤの伸びる方向を水平或いは水平よりも若干上方向に向いた位置とした後、キャピラリの先端からワイヤを繰り出しながらキャピラリを上昇させ、続いてキャピラリを第2ボンド点に移動させてワイヤを第2ボンド点に接続する方法が提案されている。(例えば、特許文献1の図1から図3または特許文献2の図1から図3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−172477号公報
【特許文献2】特開平9−51011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1または2に記載された従来技術によるボンディング方法では、圧着ボールの上にワイヤを折り返してからワイヤを押し付けてヘッド部分を形成するため、ヘッド部分の高さがさほど低くならず、全体のワイヤループ高さをより低くするという要求に対応することが出来ない場合があった。
【0008】
そこで、本発明は、第1ボンド点と第2ボンド点との接続において、ワイヤループの高さをより低くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の半導体装置は、第1ボンド点と第2ボンド点との間をワイヤで接続するワイヤループ形状を有する半導体装置であって、前記ワイヤの先端に形成したイニシャルボールをキャピラリによって前記第1ボンド点に接合させて形成された圧着ボールとボールネックと、前記ボールネックの上に折り返され、前記圧着ボールの直径よりも直径方向にはみ出さない押し付け部と、前記第2ボンド点と前記ワイヤとの接合部とを含み、前記ボールネックは、前記イニシャルボールを前記キャピラリによって前記第1ボンド点に接合させた後、前記キャピラリを上昇させ、続いて前記キャピラリを前記第2ボンド点と反対の方向に向かって移動させた後、前記キャピラリを降下させて前記キャピラリの前記第2ボンド点側の第1のフェイス部で前記第2ボンド点側の前記ボールネックの一部が踏み付けられて形成された平面を有し、前記押し付け部は、前記キャピラリを降下させて前記第2ボンド点側の前記ボールネックの前記一部をその表面が平面状になるまで踏み付けた後、前記キャピラリを上昇させ、続いて前記キャピラリの前記第2ボンド点と反対側の第2のフェイス部が前記ボールネックの上に来るまで前記キャピラリを前記第2ボンド点に向かって移動させて前記第2ボンド点に向かって前記ワイヤを折り返し、その後前記キャピラリを降下させて踏み付けられて平面状となった前記ボールネックの前記一部の上に前記ワイヤを折り返し、前記ワイヤの側面を前記キャピラリの前記第2ボンド点と反対側の前記第2のフェイス部で押し付けて形成され、前記第2ボンド点と前記ワイヤとの接合部は、前記ワイヤの前記側面を前記キャピラリの前記第2ボンド点と反対側の前記第2のフェイス部で押し付けた後、前記キャピラリを前記第2ボンド点に向かって斜め上方に移動させ、その後更に前記キャピラリを上昇させ、続いて前記キャピラリを前記第2ボンド点の方向に移動させて前記ワイヤを前記第2ボンド点に圧着させて接合することにより形成されること、を特徴とする。
【0010】
また、本発明の半導体装置において、前記ボールネックの前記平面は、その面積が増加するように、前記イニシャルボールを前記キャピラリによって前記第1ボンド点に接合させた後、前記キャピラリを上昇させ、続いて前記キャピラリを前記第2ボンド点と反対の方向に向かって移動させた後、前記キャピラリを降下させて前記キャピラリの前記第2ボンド点側の前記第1のフェイス部で前記第2ボンド点側の前記ボールネックの前記一部の第2ボンド点と反対側の他の一部をその表面が平面状になるまで踏み付ける連続動作を複数回繰り返して形成されていること、としても好適である。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、第1ボンド点と第2ボンド点との接続において、ワイヤループの高さをより低くすることが出来るという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態における半導体装置を組み立てるワイヤボンディングの踏み付け工程と押し付け工程とを示す説明図である。
【図2】本発明の実施形態における半導体装置を組み立てるワイヤボンディングのキンク形成工程と第2ボンディング工程と本発明の実施形態のワイヤループとを示す説明図である。
【図3】本発明の実施形態における半導体装置を組み立てるワイヤボンディングのキャピラリ先端の移動を示す説明図である。
【図4】本発明の他の実施形態における半導体装置を組み立てるワイヤボンディングの踏み付け工程を示す説明図である。
【図5】本発明の他の実施形態における半導体装置を組み立てるワイヤボンディングのキャピラリ先端の移動を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1から図3を参照しながら本発明の半導体装置の好適な実施形態について説明する。図1、2に示すように、本実施形態の半導体装置は、リードフレーム12の上に取り付けられた半導体チップ11のパッド13とリードフレーム12の上に形成されたリード17とをワイヤループ20によって接続する半導体装置である。半導体装置には複数のパッド13とリード17とを接続するワイヤループ20が形成されるが、以下の説明では、1つのパッド13と1つのリード17との接続について説明する。半導体チップ11のパッド13は第1ボンド点であり、リードフレーム12のリード17は第2ボンド点である。なお、図1においては、リード17の図示は省略してあるが、図中の右側がリード17側である。また、図3はキャピラリ41の先端の移動を示す線図である。
【0014】
まず、キャピラリ41によってワイヤ21の先端部に形成された図示しないイニシャルボールをパッド13の上に超音波加振すると共に押し付けて接合し、パッド13の上に圧着ボール23とボールネック25とを形成する第1ボンディング工程を行う。圧着ボール23は球形のイニシャルボールがキャピラリ41のフェイス部43によって潰されて円板状になったもので、ボールネック25はイニシャルボールの一部がキャピラリ41のインナチャンファ部45とストレート孔47とに入り込むことによって形成されたもので、圧着ボール23からワイヤ21に向かって伸び、ワイヤ21の直径よりも大きいキャピラリ41のストレート孔47と略と同様の直径を有する円柱形状となっている。キャピラリ41をパッド13に押し付けた際には、キャピラリ41の先端は、図3に示す圧着ボール23の上の点aに位置している。
【0015】
第1ボンディング工程の後、図1(a)から図1(c)に示すような踏み付け工程が行われる。踏み付け工程では、図1(a)に示すように、ワイヤ21を繰り出すと共にキャピラリ41を上昇させて、キャピラリ41の先端を図3に示す点aから点bに移動させる。次に、図1(b)に示すようにキャピラリ41のリード17側のフェイス部43がボールネック25の上部に来るまでリード17と反対方向にキャピラリ41を移動させて、キャピラリ41の先端を図3の点bから点cに移動させる。この際ワイヤ21はボールネック25からリード17と反対の方向に傾斜した状態となっている。そして、キャピラリ41の先端を図3に示す点cから点dまで下降させ、図1(c)に示すように、キャピラリ41のリード17側のフェイス部43でボールネック25のリード17側を踏み付ける。踏み付けによって、円柱状のボールネック25は圧着ボール23よりも若干直径が小さい円板状の踏み付け部25aとなる。踏み付け部25aのリード17側の上面は、キャピラリ41のフェイス部43によって押し潰されているのでフェイス部43の形状に沿った平面状となっている。また、ワイヤ21は踏み付け部25aのリード17と反対側に折れ曲がると共に、キャピラリ41のストレート孔47のリード17と反対側の内面に沿ってパッド13の垂直方向に向かって伸びた状態となっている。
【0016】
次に、図1(d)から図1(f)に示すような押し付け工程が行われる。図1(d)に示すように、キャピラリ41の先端からワイヤ21を繰り出すと共にキャピラリ41の先端を図3に示す点dから点eまで上昇させる。すると、ワイヤ21はキャピラリ41のストレート孔47に沿って直線上に繰り出される。そして、キャピラリ41の先端を図3に示す点eから点fまでリード17側に向かって移動させる。すると、図1(e)に示すように、キャピラリ41のインナチャンファ部45によってワイヤ21はリード17の方向に向かって押され、踏み付け部25aに続く折れ曲がり部25bで折り曲げられる。そして、キャピラリ41のリード17と反対側にあるフェイス部43が圧着ボール23の上に来る位置まで、キャピラリ41をリード17の方向に移動させる。そして、キャピラリ41の先端を図3の点fから点gまで降下させる。すると、図1(f)に示すように、キャピラリ41の下降によってボールネック25を踏み付けて形成された踏み付け部25aの上にワイヤ21の側面が押し付けられる。このワイヤ21の押し付けによって、ワイヤ21の折れ曲がり部25bは踏み付け部25aの方向に向かって折り返され、折り返し部26aが形成される。ワイヤ21の押し付け部26のパッド13側は、押し付けによって踏み付け部25aの上面に押し付けられ、押し付け部26の上面はキャピラリ41のフェイス部43によって平面が形成される。押し付け工程が終了した状態では、キャピラリ41はパッド13のボンディング中心線28よりもリード17の側に寄った位置となっている。
【0017】
キャピラリ41のフェイス部43によってワイヤ21を踏み付け部25aの上に押し付ける際には、押し付けと同時にキャピラリ41をリード17の方向とリード17と反対側の方向とに往復動作させて、ワイヤ21を踏み付け部25aになじませるようにしても良いし、超音波加振によってキャピラリ41の先端を振動させながらワイヤ21の押し付けを行うようにしてもよい。
【0018】
図2(a)に示すように、押し付け工程の後、キャピラリ41の先端からワイヤ21を繰り出してキャピラリ41を上昇させながらリード17の方向に向かって図3に示す点gから点hまで斜め上方に移動させる斜め上昇工程を行う。この斜め上昇工程によって、ワイヤ21には、リード17に向かって凸と成るような癖がつく。
【0019】
図2(b)に示すように、斜め上昇工程の後、キンク形成工程を行う。キンク形成工程は、ワイヤ21をキャピラリ41の先端から繰り出しながらキャピラリ41の先端を図3に示す点hから点iまで上昇させた後、リード17と反対方向に向かってリバース動作を行いキャピラリ41の先端を図3の点iから点jまで移動させる。この移動により、先の押し付け工程の終了の際にパッド13のボンディング中心線28よりもリード17側に寄っていたキャピラリ41はリード17と反対の方向の位置となる。このリバース動作によって、パッド13のリード17側から立ち上がっているワイヤ21はリード17と反対方向に向かって曲がりながら傾斜した形状となる。一方、キャピラリ41内のワイヤ21はパッド13の面に略垂直な方向に保持されていることから、リバース動作が終了した状態のキャピラリ41の先端付近のワイヤ21には、リード17と反対の方向に凸となるようなキンク34が形成されている。
【0020】
図2(c)から図2(e)に示すように、リバース動作に続いて、第2ボンディング工程が行われる。図3に示す点jから点kまでワイヤ21を繰り出しながらキャピラリ41の先端を上昇させると、図2(c)に示すように、キンク34の先にワイヤ21が繰り出されていく。キャピラリ41の上昇により繰り出されるワイヤ21の長さは先のリバース動作の際のワイヤ繰り出し長さよりも長くなっている。そして、図3の点kから図3の点mまでキャピラリ41の先端を移動させ、図2(d)、図2(e)に示すように、キャピラリ41をリード17に向けてルーピングする。このルーピングによって、キンク34はより大きく折れ曲がり、屈曲部27となっていく。また、斜め上昇工程によってワイヤ21に付いたリード17に向かって凸の癖は、ルーピングによって押し付け部26からリード17に伸びるワイヤ21を下に凸に湾曲させる形状となる。そして、キャピラリ41の先端をリード17に押し付けてリード17にワイヤ21を圧着させることによって接合する。ワイヤ21がリード17に接合されると第1ボンド点であるパッド13と第2ボンド点であるリード17とを接続するワイヤループ20が形成される。半導体チップ11の全てのパッド13とリードフレーム12の全てのリード17との間がワイヤループ20によって接続されると半導体装置の組立が終了する。
【0021】
本実施形態の半導体装置を組み立てるワイヤボンディングでは、踏み付け工程において、キャピラリ41のフェイス部43でボールネック25を踏み潰してその高さを低くした後、ワイヤ21を折り返して高さが低くなった踏み付け部25aの上にワイヤ21の側面を押し付けてからワイヤ21をリード17に向かってルーピングするので、図2(e)に示すようにパッド13の上に形成される半導体装置のワイヤループ20のヘッド高さHを従来技術で開示されたループ高さより低くすることができるので、ワイヤループ20の半導体チップ11からの立ち上がり高さをより低くすることができる。また、押し付け工程において、ワイヤ21の側面を踏み付け部25aの略平らな上面に押し付けるので、ルーピングの際に押し付け部26からリード17の方向に向かって伸びるワイヤ21が上方向に向かって湾曲して、押し付け部26とリード17との間のワイヤループ20の高さHが高くなってしまうことを抑制することができ、ワイヤループ20の半導体チップ11からの立ち上がり高さをより低くすることができる。更に、斜め上昇工程でワイヤ21に付けたリード17に向かって凸の癖はルーピングによって押し付け部26とリード17との間のワイヤ21に下に凸の湾曲形状を形成し、押し付け部26からリード17に向かうワイヤ21が上方向に向かって湾曲し、ワイヤループ20の高さHが高くなってしまい、ワイヤループ20全体の高さが高くなってしまうことを抑制することが出来ると共に、ワイヤループ20の全体高さを均一に低くすることができる。なお、本実施形態の半導体装置では、押し付け部26が圧着ボール23の直径方向にはみ出すことはない。
【0022】
以上説明した本実施形態の半導体装置を組み立てるワイヤボンディングでは、押し付け工程の後、斜め上昇工程、キンク形成工程を行って、ワイヤループ20に屈曲部27を形成することとして説明したが、パッド13とリード17との高さに差がないような場合には、キンク形成工程を行わず、斜め上昇工程の後に第2ボンディング工程を行ってパッド13とリード17とを接続することとしてもよい。
【0023】
図4、図5を参照しながら本発明の他の実施形態について説明する。先に図1から図3を参照して説明した実施形態と同様の部分については同様の符号を付して説明は省略する。本実施形態の半導体装置は、キャピラリ41の先端が細くなった場合、或いは先端の細いキャピラリ41を用いたワイヤボンディングによって形成されたワイヤループ20を有している。
【0024】
図4に示すようにキャピラリ41の先端が細い場合には、キャピラリ41のフェイス部43の面積が小さくなる。このため、1回の踏み付けではボールネック25を十分に踏み付けることができず、ワイヤ21の折り返し部26の高さが高くなってしまう場合がある。そこで、図4、図5に示すように第1ボンディングの後、キャピラリ41の上昇、リード17と反対側への移動、キャピラリ41の降下、ボールネックの踏み付けという一連の連続動作を2回繰り返して十分にボールネック25の踏み付けを行うことが出来るようにしたものである。
【0025】
図4(a)から図4(c)に示すように、第1ボンディングの後、キャピラリ41を上昇させてからリード17と反対方向にキャピラリ41を移動させ、その後キャピラリ41を降下させ、キャピラリ41のリード17側のフェイス部43によってボールネック25のリード17の側を踏み付ける。この動作においては、キャピラリの先端は、図5に示す点a、点b、点c、点dと移動していくが、点bから点cへの水平方向の移動距離はキャピラリ41のフェイス部43のリード17側の側面が圧着ボール23のリード17側の側面よりも少しリード17と反対側によった位置となるだけの移動量となる。このようにキャピラリ41を水平移動させた後、キャピラリ41を降下させてボールネック25を踏み付けると、ちょうどキャピラリ41のリード17側のフェイス部43によってボールネック25のリード17側の上面を水平な踏み付け部25aとすることが出来る。
【0026】
そして、図4(d)から図4(f)に示すように、再度キャピラリ41を上昇させ、その後キャピラリをリード17と反対側に水平に移動させ、再度キャピラリ41を降下させ、キャピラリ41のリード17側のフェイス部43によって先の踏み付けによって形成された踏み付け部25aのリード17と反対側に位置しているボールネック25を踏みつけて、水平な踏み付け部25aの面積を多くする。この動作においては、キャピラリの先端は、図5に示す点d、点b´、点c´、点d´と移動していく。点b´から点c´への水平方向の移動距離は水平な踏み付け部25aの面積を多くするために必要な移動量である。
【0027】
そして、踏み付け工程の2回の連続動作が終了したら、先の実施形態と同様、図1(d)から図1(f)に示すようにキャピラリ41を上昇させてからリード17側に移動し、その後キャピラリ41を降下させてワイヤ21を踏み付け部25aの上に押し付けて押し付け部26を形成し、ワイヤ21をリード17に向かって斜め上方に向かって上昇させて斜め上昇工程を行い、キンクを形成工程を行った後、リード17へのルーピングを行ってワイヤ21をリード17にボンディングする。なお、本実施形態の半導体装置では、押し付け部26が圧着ボール23の直径方向にはみ出すことはない。
【0028】
以上説明した実施形態は、先に説明した実施形態と同様の効果を奏するとともに、先端が細くなったキャピラリ41或いは先端が細いキャピラリ41でも確実に低いワイヤループ20を形成することができる。また、本実施形態の半導体装置を組み立てるワイヤボンディングでは、踏み付け工程のキャピラリ41の上昇、リード17と反対方向への水平移動、降下、踏み付けの一連の連続動作を2回繰り返して行うこととして説明したが、連続動作の繰り返しは2回に限らず、キャピラリ41の先端の大きさに応じて何回繰り返すこととしてもよい。
【符号の説明】
【0029】
11 半導体チップ、12 リードフレーム、13 パッド、17 リード、20 ワイヤループ、21 ワイヤ、23 圧着ボール、25 ボールネック、25a 踏み付け部、25b 折れ曲がり部、26 押し付け部、26a 折り返し部、27 屈曲部、28 ボンディング中心線、34 キンク、41 キャピラリ、43 フェイス部、45 インナチャンファ部、47 ストレート孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ボンド点と第2ボンド点との間をワイヤで接続するワイヤループ形状を有する半導体装置であって、
前記ワイヤの先端に形成したイニシャルボールをキャピラリによって前記第1ボンド点に接合させて形成された圧着ボールとボールネックと、前記ボールネックの上に折り返され、前記圧着ボールの直径よりも直径方向にはみ出さない押し付け部と、前記第2ボンド点と前記ワイヤとの接合部とを含み、
前記ボールネックは、前記イニシャルボールを前記キャピラリによって前記第1ボンド点に接合させた後、前記キャピラリを上昇させ、続いて前記キャピラリを前記第2ボンド点と反対の方向に向かって移動させた後、前記キャピラリを降下させて前記キャピラリの前記第2ボンド点側の第1のフェイス部で前記第2ボンド点側の前記ボールネックの一部が踏み付けられて形成された平面を有し、
前記押し付け部は、前記キャピラリを降下させて前記第2ボンド点側の前記ボールネックの前記一部をその表面が平面状になるまで踏み付けた後、前記キャピラリを上昇させ、続いて前記キャピラリの前記第2ボンド点と反対側の第2のフェイス部が前記ボールネックの上に来るまで前記キャピラリを前記第2ボンド点に向かって移動させて前記第2ボンド点に向かって前記ワイヤを折り返し、その後前記キャピラリを降下させて踏み付けられて平面状となった前記ボールネックの前記一部の上に前記ワイヤを折り返し、前記ワイヤの側面を前記キャピラリの前記第2ボンド点と反対側の前記第2のフェイス部で押し付けて形成され、
前記第2ボンド点と前記ワイヤとの接合部は、前記ワイヤの前記側面を前記キャピラリの前記第2ボンド点と反対側の前記第2のフェイス部で押し付けた後、前記キャピラリを前記第2ボンド点に向かって斜め上方に移動させ、その後更に前記キャピラリを上昇させ、続いて前記キャピラリを前記第2ボンド点の方向に移動させて前記ワイヤを前記第2ボンド点に圧着させて接合することにより形成されること、
を特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置であって、
前記ボールネックの前記平面は、その面積が増加するように、前記イニシャルボールを前記キャピラリによって前記第1ボンド点に接合させた後、前記キャピラリを上昇させ、続いて前記キャピラリを前記第2ボンド点と反対の方向に向かって移動させた後、前記キャピラリを降下させて前記キャピラリの前記第2ボンド点側の前記第1のフェイス部で前記第2ボンド点側の前記ボールネックの前記一部の第2ボンド点と反対側の他の一部をその表面が平面状になるまで踏み付ける連続動作を複数回繰り返して形成されていること、
を特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−103477(P2010−103477A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−136125(P2009−136125)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【分割の表示】特願2008−275346(P2008−275346)の分割
【原出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【出願人】(000146722)株式会社新川 (128)
【Fターム(参考)】