説明

半導体装置

【課題】高密度実装化および小型化を妨げることなく、半導体チップから発生する電磁波の減衰量の増大を図ることが可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】凹形状の孔部として凹状孔部3bを備えた支持基板3を有している。この支持基板3に対してフェイスダウン実装された半導体チップ5は、電磁波発生回路13を有しており、この電磁波発生回路13を支持基板3の凹状孔部3bに対向させた状態で実装されている。また、支持基板3と半導体チップ5との間には、支持基板3の凹状孔部3b内を埋め込む状態で、電磁波吸収材料を含有する樹脂層9が充填されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置に関し、特には電磁波発生回路を有する半導体チップをフェイスダウン実装してなる半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の動作速度の高速化および高密度実装化に伴い、半導体装置から発生する電磁波が、周波数ノイズ(不要輻射)として他の半導体装置に大きな影響を与えるようになってきている。このため、半導体装置に対しては、他の装置に対する電磁波妨害(Electro-Magnetic Interference:EMI)が十分に規制され、かつ電磁環境に対する耐性を有する、と言った電磁適合成(Electro-Magnetic Compatibility:EMC)が要求されている。
【0003】
そこで、フェイスダウン実装された半導体チップと支持基板との間に充填されるアンダーフィル材料に、電磁波を吸収する磁性材料を含有させる構成が提案されている(下記特許文献1参照)。また、アンダーフィル材料の比誘電率または比透磁性率を調整して、基板の有する接続端子と金属導体パターンに発生するノイズの周波数帯域の利得を減衰する構成が提案されている(下記特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−73677号公報
【特許文献2】特開2007−5477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、半導体チップから発生した電磁波の減衰量は、磁性材料を含有するアンダーフィル材の厚みに比例する。このため、支持基板と半導体チップとの間隔を広げてアンダーフィル材を厚膜化することにより、電磁波の減衰効果を高めることができる。しかしながら、支持基板と半導体チップとの間隔を広げるには、これらの間に挟持される突起電極の径やパッドサイズを大きくする必要があり、高密度実装化および小型化には不向きである。
【0006】
したがって、上述した構成では、半導体装置の外部への不要輻射としての電磁波の放出を抑制する効果に限界があり、今後の更なる動作速度の高速化によって増大する電磁波を十分に吸収することが困難になっている。
【0007】
そこで本発明は、高密度実装化および小型化を妨げることなく、半導体チップから発生する電磁波の減衰量の増大を図ることが可能な半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的を達成するための本発明の半導体装置は、凹形状または貫通形状の孔部を備えた支持基板を有している。この支持基板に対してフェイスダウン実装された半導体チップは、電磁波発生回路を有しており、この電磁波発生回路を支持基板の孔部に対向させた状態で実装されている。また、支持基板と半導体チップとの間には、支持基板の孔部内を埋め込む状態で、電磁波吸収材料を含有する樹脂層が充填されている。
【0009】
このような構成の半導体装置においては、電磁波発生回路に対向する部分の樹脂層が部分的に厚膜化される。これにより、支持基板−半導体チップ間の間隔を広げることなく、電磁波発生回路から発生した電磁波を樹脂層において吸収する効果を高めることができる。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように本発明によれば、支持基板−半導体チップ間の間隔を広げることなく、電磁波発生回路から発生した電磁波を樹脂層において吸収する効果を高めることができる。この結果、半導体チップをフェイスダウン実装してなる半導体装置において、高密度実装化および小型化を妨げることなく、半導体チップから発生する電磁波の減衰量の増大を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態の半導体装置の概略断面図である。
【図2】第1実施形態の半導体装置において支持基板の作製手順の一例を示す図である。
【図3】第1実施形態の半導体装置の他の例を示す概略断面図である。
【図4】第2実施形態の半導体装置の概略断面図である。
【図5】第3実施形態の半導体装置の概略断面図である。
【図6】第4実施形態の半導体装置の概略断面図である。
【図7】第5実施形態の半導体装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の各実施の形態を以下の順序で説明する。
1.第1実施形態(支持基板に凹形状の孔部を設けた例)
2.第2実施形態(凹形状の孔部内壁にグランドを設けた例)
3.第3実施形態(樹脂層を2層にした例)
4.第4実施形態(孔部の側壁をテーパ形状にした例)
5.第5実施形態(貫通形状の孔部を設けた例)
【0013】
<1.第1実施形態>
[半導体装置の構成]
図1は第1実施形態の半導体装置の概略断面図である。この図に示す半導体装置1-1は、支持基板3上に半導体チップ5がフェイスダウン実装されたものである。支持基板3と半導体チップ5との間には、突起電極7が挟持されていると共に、樹脂層9が充填されたいわゆるフリップチップ実装構成となっている。以下、これらの各部材で構成される半導体装置1-1の詳細な構成について説明する。
【0014】
支持基板3は、半導体チップ7が実装された実装面3aに、実装面3a側に配線や電極パッドを設けた回路基板であって良く、リジット基板やフレキシブル基板、積層基板であって良い。またこの支持基板3は、システムインパッケージ(system in package:SIP)を構成するインターポーザ基板であっても良く、さらにはこの支持基板3自体が半導体チップであっても良い。またこの支持基板3がインターポーザ基板である場合であれば、支持基板3における実装面3aの裏面側に、実装面側から電極11が引き出されていることとする。
【0015】
この支持基板3は、実装面3a側に、凹形状の孔部(凹状孔部)3bを設けたものである。この凹状孔部3bは、半導体チップ5に設けられた電磁波発生回路13に対向する位置に設けられており、この電磁波発生回路13と同程度か、電磁波発生回路13をカバーする一回り大きい開口形状を有している。またこの凹状孔部3bの深さd1は、支持基板3に必要とされる強度が保たれる程度の深さであることとする。また凹状孔部3bは、半導体チップ5に複数の電磁波発生回路13が設けられている場合には、各電磁波発生回路13に対応させた複数個所に独立して複数個所設けられていても良いし、複数の電磁波発生回路13に対応させた1ヶ所に設けられても良い。
【0016】
尚、凹状孔部3bは、実装面3aにおいて配線や突起電極7を接続するための電極パッドの配置部を避けた位置に設けられていることとする。このため、配線や電極パッドのレイアウトの自由度を確保するためには、凹状孔部3bは出来るだけ小さい開口形状に抑えられていることが好ましい。一方、電磁波発生回路13で発生する電磁波を十分に吸収するためには、凹状孔部3bは電磁波発生回路13に対して十分に大きな開口形状であることが好ましい。
【0017】
半導体チップ5は、支持基板3側に向けられた実装面5aがアクティブ面として用いられており、この実装面5aに半導体素子、配線、および電極パッドと共に、電源回路、発振回路や変換回路等の電磁波発生回路13が設けられている。
【0018】
特に本第1実施形態においては、半導体チップ5における電磁波発生回路13が、支持基板3に設けた凹状孔部3bに対向配置されているところが特徴的である。
【0019】
突起電極7は、支持基板3における実装面3a上の電極パッドと、半導体チップ5における実装面5a上の電極パッドとの間に挟持され、これらの電極パッドを介して半導体チップ5上の回路と支持基板3上の回路とを電気的に接続するものである。またこの突起電極7により、支持基板3−半導体チップ5間の間隔d2が規制されている。
【0020】
樹脂層9は、一般的にアンダーフィルと呼ばれるものであって、突起電極7間のショートを防止するため、および支持基板3−半導体チップ5間の接着性を強固にして半導体装置1-1の機械的強度を確保するためのものである。特に本第1実施形態においては、このような樹脂層9に電磁波吸収材料を含有させているところが特徴的である。このような電磁波吸収材料としては、磁性材料が例示される。この場合、樹脂層9は、例えば樹脂材料中に磁性材料が分散された状態で含有されていることとする。
【0021】
このような樹脂層9は、支持基板3の凹状孔部3b内と共に、突起電極7を挟持させたことによって生じた支持基板3−半導体チップ5間の間隔d2に充填された状態で設けられている。
【0022】
[半導体装置の製造方法]
以上のような半導体装置1-1を製造する場合には、支持基板3の実装面3a側に、配線および電極パッドを形成する前または形成した後に、マスクパターン上から支持基板3の実装面3a側をエッチングすることにより凹状孔部3bを形成する。
【0023】
また、支持基板3が積層基板であれば、次のように支持基板3を形成することができる。すなわち、図2(1)に示すように、最下部の有機プリント配線板(コア材)3-0上に、貫通孔h1を設けた接着シート3-1と、貫通孔h2を設けたコア材3-2とを、貫通孔h1,h2の位置を一致させるように交互に積層する。この際、接着シート3-1の貫通孔h1は、コア材3-2の貫通孔h2よりも一回り大きく形成しておく。この状態で、積層体の全体をプレスする。これにより、図2(2)に示すように、貫通孔h1,h2の底部が最下部のコア材3-0によって塞がれた凹状孔部3bを有する支持基板3が形成される。
【0024】
以上のような何れかの手順によって、実装面3a側に凹状孔部3bを設けた支持基板3を作製した後、支持基板3の凹状孔部3b内に、電磁波吸収材料を含有させた樹脂層9を充填しても良い。
【0025】
その後、この支持基板3の実装面3a上に、突起電極7を介して半導体チップ5をフェイスダウン実装する。この際、突起電極7は、支持基板3の電極パッド上または半導体チップ5の電極パッド上の何れかに予め設けられていることとする。そして、支持基板3の凹状孔部3bに半導体チップ5の電磁波発生回路13を対向させた状態で、支持基板3の電極パッドと半導体チップ5の電極パッドとの間に突起電極7を挟持させて実装を行なう。
【0026】
次に、ノズル31の先端から支持基板3上に樹脂9を供給し、毛細管現象によって支持基板3と半導体チップ5との間の間隔d2に樹脂を吸い込ませることにより、支持基板3−半導体チップ5間に樹脂層9を充填する。尚、樹脂層9は、半導体チップ5を実装する前の支持基板3上に、予め塗布供給しておいても良い。
【0027】
以上のようにして得られた図1の半導体装置1-1では、支持基板3の実装面3aに凹状孔部3bを設けた構成となっている。これにより、突起電極7の高さで規制される支持基板3−半導体チップ5間の間隔d2を広げることなく、凹状孔部3bの配置部のみにおいて樹脂層9の膜厚を厚膜化することができる。例えば、支持基板3の材質や板厚にもよるが、支持基板3−半導体チップ5間の間隔d2に対して、凹状孔部3bの深さd1を3倍(0.1mm)〜30倍(1mm)とすることができ、その分だけ樹脂層9を厚膜化することが可能である。このような樹脂層9の厚膜化により、電磁波発生回路13から発生した電磁波を樹脂層9で吸収して減衰させる効果を高めることができる。
【0028】
この結果、半導体チップ5をフェイスダウン実装してなる半導体装置1-1において、突起電極7の径を小さく保って高密度実装化および小型化を維持しつつも、半導体チップ5から発生する不要輻射としての電磁波の減衰量の増大を図ることが可能になる。またこれにより、小型化した半導体装置1-1において、EMIを効果的に規制して動作速度のさらなる高速化を進展させることが可能になる。
【0029】
また、半導体チップ5を覆うシールドケース、シール等を設けることなく不要輻射としての電磁波を減衰できるため、部品点数を増加させる必要がなく、低コスト化が期待される。さらに部分的ではあるが、凹状孔部3bの配置部に対応する半導体チップ5の部分が、外部からの電磁波に影響を及ぼされることを防止できる。
【0030】
また特に支持基板3がインタータポーザー基板である場合、インターポーザ基板(支持基板3)に半導体チップ5を実装したパッケージ(SIP)側で、不要輻射である電磁波を十分に減衰させることができる。このため、パッケージ(SIP)を搭載する配線基板側においての不要輻射(電磁波)の減衰に対する配慮の要求が低減され、配線基板のパターン設計の自由度の向上を図ることができる。しかもパッケージ(SIP)の外形サイズは薄型小型を維持することが可能である。
【0031】
また上記構成では、電磁波発生回路13に対向する部分においてのみ、電磁波吸収材料を含有する樹脂層9を厚膜化させた構成である。このため、例えば磁性材などの電磁波吸収材料によって電気的特性に影響が及ぼされる回路部は、樹脂層9の厚膜化した部分で覆われることのない領域に配置することにより、樹脂層9に含有された電磁波吸収材料からの影響を抑えて電気的特性を維持することができる。
【0032】
尚、図3に示すように、支持基板3’としてリジット配線基板やシリコン基板のような硬質基板を用いた場合には、支持基板3’自体の強度が高い。このため、凹状孔部3bは、開口径Wに対する深さd1を深く設計することが可能である。このため、電磁波発生回路13に対向する部分においての樹脂層9の膜厚をさらに厚膜化することが可能になり、さらに電磁波の減衰量を効果的の増大させることが可能である。たこれにより、支持基板3’側においての不要輻射配慮が低減され、裏面側での部品配置、パターン設計も容易になる。
【0033】
<2.第2実施形態>
[半導体装置の構成]
図4に示す第2実施形態の半導体装置1-2が、図1および図3に示した第1実施形態の半導体装置と異なるところは、支持基板3の凹状孔部3bの内壁にグランド層21を設けたところにあり、他の構成は同様であることとする。尚、第1実施形態と同様の構成に付いての重複する説明は省略する。
【0034】
すなわちグランド層21は、凹状孔部3bの内壁をベタ膜状に覆うベタグランドとして設けられており、支持基板3の実装面3aにおいてグランドに配線されているか、または実装面3aの裏面側に引き出されてグランドに配線されている。
【0035】
[半導体装置の製造方法]
以上のような半導体装置1-2を製造する場合には、第1実施形態で説明した手順において、支持基板3の実装面3a上に、突起電極7を介して半導体チップ5をフェイスダウン実装する前に、支持基板3の凹状孔部3bの内壁にグランド層21を形成すれば良い。
【0036】
このような構成の第2実施形態の半導体装置1-2においては、グランド層21を設けたことにより、このグランド層21が電磁波発生回路13で発生した電磁波のシールド層となり、半導体装置1-2の外部への電磁波の放出を防止することができる。したがって、上述した第1実施形態と比較して、さらに半導体チップ5から発生する不要輻射としての電磁波が半導体装置1-2の外部に放出されることを確実に防止でき、EMIを効果的に規制することが可能なる。さらに部分的ではあるが、凹状孔部3bの配置部に対応する半導体チップ5の部分が、外部からの電磁波に影響を及ぼされることを防止できる効果も高められる。
【0037】
<3.第3実施形態>
[半導体装置の構成]
図5に示す第3実施形態の半導体装置1-3が、図1および図3に示した第1実施形態の半導体装置と異なるところは樹脂層9’の構成にあり、他の構成は同様であることとする。尚、第1実施形態と同様の構成に付いての重複する説明は省略する。
【0038】
すなわち樹脂層9’は、凹状孔部3b内における電磁波吸収材料の濃度が、支持基板3と半導体チップ5との間における電磁波吸収材料の濃度よりも高く調整されている。ここでは特に樹脂層9’が、凹状孔部3b内の第1樹脂層9aと、支持基板3と半導体チップ5との間の第2樹脂層9bとの2層構造であることとする。
【0039】
このうち、凹状孔部3b内の第1樹脂層9aには、高濃度で電磁波吸収材料が含有されていることとする。一方、支持基板3と半導体チップ5との間の第2樹脂層9bには、第1樹脂層9aよりも低濃度で電磁波吸収材料が含有されているか、または電磁波吸収材料が含有されていなくても良い。
【0040】
[半導体装置の製造方法]
以上のような半導体装置1-3を製造する場合には、第1実施形態で説明した手順において、支持基板3の実装面3a上に、突起電極7を介して半導体チップ5をフェイスダウン実装する前に、支持基板3の凹状孔部3b内に第1樹脂層9aを充填すれば良い。また第2樹脂層9bは、第1樹脂層9aを凹状孔部3b内に供給した後に支持基板3上に供給しても良いし、半導体チップ5を実装した後に支持基板3−半導体チップ5間に毛細管現象で吸い込ませても良い。
【0041】
このような構成の第3実施形態の半導体装置1-3においては、支持基板3の凹状孔部3b内に、高濃度で電磁波吸収材料を含有する第1樹脂層9aが充填されている。このため、この第1樹脂層9aにおいて、電磁波発生回路13から発生した電磁波を効果的に吸収して減衰させることが可能であり、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0042】
またこれに加えて、電磁波発生回路13と対向する部分以外は、電磁波吸収材料の含有量が低いかこれを含まない第2樹脂層9bのみが対向配置される。このため、第1実施形態と比較して、磁性材などの電磁波吸収材料によって電気的特性に影響が及ぼされる回路部に対して、樹脂層9’に含有され電磁波吸収材料からの影響を抑えて電気的特性を維持する効果を高めることができる。しかも、支持基板3−半導体チップ5間に充填される第2樹脂層9bの絶縁性を高められるため、装置内の絶縁性の向上を図ることが可能になる。
【0043】
尚、本第3実施形態は、第2実施形態と組み合わせても良く、組み合わせることにより両実施形態の効果を合わせた効果を得ることができる。
【0044】
<4.第4実施形態>
[半導体装置の構成]
図6に示す第4実施形態の半導体装置1-4が、図1および図3に示した第1実施形態の半導体装置と異なるところは、支持基板3の凹状孔部3b’の側壁をテーパ形状にしたところにあり、他の構成は同様であることとする。尚、第1実施形態と同様の構成に付いての重複する説明は省略する。
【0045】
すなわち凹状孔部3b’は、半導体チップ5側に向かって開口幅が広がる側壁テーパ形状に形成されている。この凹状孔部3b’においては、開口上端部の形状が、半導体チップ5に設けられた電磁波発生回路13と同程度か一回り大きい開口形状であることとする。
【0046】
[半導体装置の製造方法]
以上のような半導体装置1-4を製造する場合には、第1実施形態で説明した手順において、支持基板3の実装面3a側をエッチングして凹状孔部3b’を形成する際、ウェットエッチングのような等方性エッチングを適用すれば良い。また支持基板3が積層基板であれば、次のように支持基板3を形成することができる。すなわち、図2(1)に示すように、最下部の有機プリント配線板(コア材)3-0上に、接着シート3-1とコア材3-2とを交互に積層する際、下層から上層に向かって接着シート3-1の貫通孔h1およびコア材3-2の貫通孔h2を徐々に大きいものとすれば良い。
【0047】
このような構成の第4実施形態の半導体装置1-4では、支持基板3に設けた凹状孔部3b’がテーパ形状であるため、この凹状孔部3b’内にボイドの発生なく樹脂層9が充填される構成となっている。したがって、支持基板3に凹状孔部3b’を設けた構成でありながらも、ボイドの発生による不具合を防止することが可能である。
【0048】
しかも、半導体チップ5の電磁波発生回路13に対して凹状孔部3b’を対向配置させたことで、電磁波発生回路13から発生した電磁波を凹状孔部3b’において厚膜化した樹脂層9で効果的に吸収させることができる。この際、凹状孔部3b’の側壁は、電磁波発生回路13から発生した電磁波の波形に沿うようにテーパ形状となっているため、第1実施形態と同程度に、電磁波を吸収して減衰させる効果を得ることが可能である。
【0049】
尚、本第4実施形態は、第2実施形態および第3実施形態と組み合わせても良く、組み合わせることによりこれらの実施形態の効果を合わせた効果を得ることができる。
【0050】
<5.第5実施形態>
[半導体装置の構成]
図7に示す第5実施形態の半導体装置1-5が、図1および図3に示した第1実施形態の半導体装置と異なるところは、支持基板3に貫通形状の孔部(貫通孔部)3cを設けたところにあり、他の構成は同様であることとする。尚、第1実施形態と同様の構成に付いての重複する説明は省略する。
【0051】
すなわち貫通孔部3cは、支持基板3の実装面3a側からその裏面側に貫通する状態で設けられている。この貫通孔部3cは、半導体チップ5に設けられた電磁波発生回路13に対向する位置に設けられており、この電磁波発生回路13と同程度か一回り大きい開口形状を有している。またこの貫通孔部3cは、半導体チップ5に複数の電磁波発生回路13が設けられている場合には、各電磁波発生回路13に対応させた複数個所に個別に設けられていても良いし、複数の電磁波発生回路13に対応させた1ヶ所に設けられても良い。
【0052】
尚、貫通孔部3cは、実装面3aにおいて配線や電極パッドの配置部を避けた位置に設けられていることとする。このため、配線や電極パッドのレイアウトの自由度を確保するためには、貫通孔部3cは出来るだけ小さい開口形状に抑えられていることが好ましい。一方、電磁波発生回路13で発生する電磁波を効果的に吸収するためには、貫通孔部3cは電磁波発生回路13に対して十分に大きな開口形状であることが好ましい。
【0053】
[半導体装置の製造方法]
以上のような半導体装置1-5を製造する場合には、第1実施形態で説明した手順において、支持基板3の実装面3a側をエッチングして凹状孔部を形成する際に、さらに支持基板3を貫通するまでエッチングを行うことで、貫通孔部3cを形成すれば良い。また支持基板3が積層基板であれば、図2(1)に示した最下部の有機プリント配線板(コア材)3-0として、貫通孔を備えたものを用いれば良い。
【0054】
以上のような何れかの手順によって、貫通孔部3cを設けた支持基板3を作製した後、貫通孔部3cを板状材で一方側から塞いだ状態として、当該貫通孔部3c内に電磁波吸収材料を含有させた樹脂層9を充填しても良い。
【0055】
また、支持基板3上に半導体チップ5を実装した後に、貫通孔部3cからの樹脂注入によって、支持基板3と半導体チップ5との間および貫通孔部3c内に樹脂層9を形成しても良い。
【0056】
このような構成の第5実施形態の半導体装置1-5では、半導体チップ5の電磁波発生回路13に対向配置させる孔部を貫通孔部3cとしたことにより、電磁波発生回路13に対向する部分の樹脂層9を最大限に厚膜化することができる。したがって、第1実施形態と比較して、電磁波発生回路13から発生した電磁波を樹脂層9で吸収して減衰させる効果をさらに高めることができる。
【0057】
尚、本第5実施形態は、第2実施形態〜第4実施形態と組み合わせても良く、組み合わせることによりこれらの実施形態の効果を合わせた効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0058】
1-1,1-1’,1-2,1-3,1-4,1-5…半導体装置、3…支持基板、3b,3b’…凹状孔部、3c…貫通孔部、5…半導体チップ、9,9’…樹脂層、9a…第1樹脂層、9b…第2樹脂層、13…電磁波発生回路、21…グランド層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹形状または貫通形状の孔部を備えた支持基板と、
電磁波発生回路を有し前記孔部に当該電磁波発生回路を対向させた状態で前記支持基板上にフェイスダウン実装された半導体チップと、
前記孔部内を埋め込むと共に前記支持基板と前記半導体チップとの間に充填された電磁波吸収材料を含有する樹脂層とを有する
半導体装置。
【請求項2】
前記孔部の内壁面を覆うグランド層を備えた
請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記樹脂層は、前記孔部内における前記電磁波吸収材料の濃度が、前記支持基板と前記半導体チップとの間における当該電磁波吸収材料の濃度よりも高い
請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記支持基板は、積層基板である
請求項1〜3の何れかに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記孔部は、前記半導体チップ側に向かって開口幅が広がる側壁テーパ形状に形成されている
請求項1〜4の何れかに記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−165976(P2010−165976A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−8707(P2009−8707)
【出願日】平成21年1月19日(2009.1.19)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】