説明

半導体装置

【課題】 ソース領域とコンタクトプラグとの接触面積を増大させることのできる半導体装置を提供すること。
【解決手段】 エピタキシャル層3にゲートトレンチ6を形成し、その側方にボディ領域5を形成する。また、エピタキシャル層3において、ゲートトレンチ6と間隔を空けた位置にコンタクトトレンチ11を形成する。エピタキシャル層3において、その表面31およびコンタクトトレンチ11の側面12に沿うソース領域9を形成する。また、表面がコンタクトトレンチ11の底面13の一部を提供するようにボディコンタクト領域10を形成する。ゲートトレンチ6には、ゲート絶縁膜7を介してゲート電極8を埋設する。そして、コンタクトトレンチ11の内面とエピタキシャル層3の表面31とに跨るように、コンタクトプラグ17を形成し、上記各面におけるソース領域9にコンタクトさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、低オン抵抗を有する半導体装置の構造として、トレンチゲート構造が一般に知られている。具体的な装置として、たとえば、トレンチゲート型VDMOSFET(Vertical Double diffused Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、トレンチゲート型IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などが知られている。
図6は、従来のトレンチゲート型VDMOSFETの模式的な断面図である。
【0003】
半導体装置101は、N+型の基板102を備えている。基板102上には、エピタキシャル層103が積層されている。エピタキシャル層103は、基層部がN-型のドレイン領域104をなしている。エピタキシャル層103には、P型のボディ領域105が表面側からドレイン領域104に接して形成されている。
エピタキシャル層103には、複数のゲートトレンチ106がその表面から掘り下がって形成されている。複数のゲートトレンチ106は、一定の間隔を空けて、互いに平行をなして同一方向に延びている。ゲートトレンチ106は、ボディ領域105を貫通し、その最深部がドレイン領域104に達している。ゲートトレンチ106内には、ゲート絶縁膜107を介して、N型不純物が高濃度にドープされたポリシリコンからなるゲート電極108が埋設されている。
【0004】
エピタキシャル層103の表層部には、N+型のソース領域109が形成されている。また、エピタキシャル層103には、ゲートトレンチ106に対して間隔を空けた位置に、P+型のボディコンタクト領域110がソース領域109を層厚方向に貫通して形成されている。
エピタキシャル層103上には、層間絶縁膜111が積層されている。層間絶縁膜111には、ボディコンタクト領域110およびその周囲のソース領域109の一部と対向する位置に、コンタクトホール112が形成されている。そして、層間絶縁膜111上には、ソース配線113が形成されている。ソース配線113は、その一部がコンタクトホール112に入り込んでいる。これにより、コンタクトホール112内には、コンタクトプラグ114が形成されている。コンタクトプラグ114は、エピタキシャル層103の表面におけるソース領域109およびボディコンタクト領域110に跨ってコンタクト(バッティングコンタクト)している。
【0005】
ゲート電極108には、層間絶縁膜111に形成されたコンタクトホール(図示せず)を介して、ゲート配線116が電気的に接続されている。基板102の裏面には、ドレイン電極115が形成されている。
ソース配線113が接地され、ドレイン電極115に適当な大きさの正電圧が印加されつつ、ゲート電極108の電位(ゲート電圧)が制御されることにより、ボディ領域105におけるゲート絶縁膜107との界面近傍にチャネルが形成される。これにより、チャネルを介して、ドレイン電極115からソース配線113へ電流(ドレイン電流)が流れる。
【特許文献1】特開2006−120894号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
トレンチゲート型のVDMOSFETでは、微細化に伴うセルシュリンクにより、さらなる低オン抵抗化を図ることができる。
しかしながら、セルシュリンクが進むにつれて、ゲートトレンチ106とボディコンタクト領域110との間の間隔が小さくなる。これに伴い、ソース領域109におけるコンタクトホール112に臨む部分の面積が小さくなるので、ソース領域109とコンタクトプラグ114との接触面積が小さくなる。その結果、ソース領域109とコンタクトプラグ114との接触抵抗が高くなる。この接触抵抗の高抵抗化は、オン抵抗の低減の妨げになる。
【0007】
また、接触抵抗の高抵抗化(接触面積の縮小)の問題は、トレンチゲート型VDMOSFETに限らず、他の種類の半導体装置においても、そのセルシュリンクに伴って生じる問題である。
本発明の目的は、ソース領域とコンタクトプラグとの接触面積を増大させることのできる半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための請求項1記載の発明は、半導体層と、前記半導体層の表面から掘り下がったゲートトレンチと、前記半導体層において、前記ゲートトレンチの側方に形成された第1導電型のボディ領域と、前記半導体層に前記ゲートトレンチと間隔を空けて形成されたコンタクトトレンチと、前記半導体層の表層部において、前記半導体層の表面および前記コンタクトトレンチの側面に沿って形成され、前記ボディ領域に接し、一定の厚さを有する第2導電型のソース領域と、前記半導体層に形成され、表面が前記コンタクトトレンチの底面の少なくとも一部を提供し、前記ボディ領域に接続される第1導電型のボディコンタクト領域と、前記ゲートトレンチに絶縁膜を介在させて埋設されたゲート電極と、前記コンタクトトレンチの内面と前記半導体層の表面とに跨って形成され、前記ソース領域および前記ボディコンタクト領域とのコンタクトのためのコンタクトプラグとを備える、半導体装置である。
【0009】
この構成によれば、半導体層には、その表面から掘り下がったゲートトレンチが形成されている。半導体層において、ゲートトレンチの側方には、第1導電型のボディ領域が形成されている。また、半導体層には、ゲートトレンチと間隔を空けて、コンタクトトレンチが形成されている。また、半導体層の表層部には、半導体層の表面およびコンタクトトレンチの側面に沿う第2導電型のソース領域が形成されている。ソース領域は、一定の厚さを有し、ボディ領域に接している。そして、半導体層には、コンタクトトレンチの下方に、第1導電型のボディコンタクト領域が形成されている。ボディコンタクト領域は、コンタクトトレンチの底面の少なくとも一部(つまり、底面の全部または底面の一部分)を提供し、また、ボディ領域に接続されている。ゲート電極は、絶縁膜を介してゲートトレンチに埋設されている。一方、ソース領域およびボディコンタクト領域とのコンタクトのためのコンタクトプラグは、コンタクトトレンチの内面と半導体層の表面とに跨ってこれらにコンタクト(接触)している。
【0010】
すなわち、コンタクトプラグは、半導体層の表面におけるソース領域だけでなく、コンタクトトレンチの内面におけるソース領域と接触している。そのため、コンタクトプラグが半導体層の表面におけるソース領域のみに接触する構成と比較して、ソース領域とコンタクトプラグとの接触面積を増大させることができる。その結果、ソース領域とコンタクトプラグとの接触抵抗を低減することができる。それゆえ、半導体装置のオン抵抗を低減することができる。
【0011】
また、ソース領域の厚さが一定であるので、第2導電型のイオンの一段注入によりソース領域を形成することができる。そのため、半導体装置の製造工程を簡易にすることができる。
また、請求項2に記載の発明は、前記ソース領域が、前記半導体層の表面ならびに前記コンタクトトレンチの側面および底面に沿って形成されている、請求項1に記載の半導体装置である。
【0012】
この構成によれば、ソース領域が、半導体層の表面ならびにコンタクトトレンチの側面および底面に沿って形成されている。したがって、コンタクトプラグは、半導体層の表面におけるソース領域だけでなく、コンタクトトレンチの側面および底面におけるソース領域と接触している。これにより、ソース領域とコンタクトプラグとの接触面積を増大させることができるので、ソース領域とコンタクトプラグとの接触抵抗をさらに低減することができる。その結果、半導体装置のオン抵抗をさらに低減することができる。
【0013】
また、半導体装置の性能を示す基準として、たとえば、ゲート・ソース間容量がある。トレンチゲート構造を有する半導体装置において、ゲート・ソース間容量は、ゲート絶縁膜を介して対向するゲート電極とソース領域とにより形成される静電容量のことである。このゲート・ソース間容量は、半導体装置(トランジスタ)のスイッチング性能を示す基準として考えられ、ゲート・ソース間容量が小さくなるほど、半導体装置のスイッチング速度が速くなり、スイッチング性能が向上する。したがって、ゲート・ソース間容量は、小さい方が好ましい。
【0014】
平行平板導体の静電容量Cの大きさは、C=εS/dで表される(ε:誘電率、S:誘電体を介して対向する平板導体の面積、d:平板導体間の距離)。上記式から、平板導体の面積Sを小さくすることにより、静電容量Cが小さくなることが理解される。したがってゲート・ソース間では、ゲート絶縁膜を介してゲート電極に対向するソース領域の面積を小さくすることにより、ゲート・ソース間容量を小さくすることができる。
【0015】
そして、請求項2に記載の半導体装置では、上記各面(半導体層の表面ならびにコンタクトトレンチの側面および底面)に沿って形成されるソース領域は、一定の厚さを有している。ソース領域が上記各面に沿っており、かつ、一定の厚さを有するので、ソース領域の厚さを適当に設計することにより、ゲート電極に対向するソース領域の面積を小さくすることができる。その結果、ゲート・ソース間容量を低減できるので、半導体装置のスイッチング性能を向上させることができる。
【0016】
また、ソース領域の厚さを薄くするに伴って、絶縁膜との界面近傍におけるボディ領域の長さ(チャネル長)が長くなる。したがって、ボディ領域の厚さを薄くすることにより、チャネル長を維持したまま半導体装置をコンパクト(薄型)にすることができる。
よって、請求項2に記載の半導体装置によれば、半導体装置のオン抵抗を低減できながら、スイッチング性能を向上させることができ、さらには、装置をコンパクト(薄型)にすることができる。
【0017】
また、請求項3に記載の発明は、前記半導体層の基層部に形成され、前記ボディ領域に接する第2導電型のドレイン領域を備え、前記ボディ領域と前記ドレイン領域との界面は、前記コンタクトトレンチの底面に対向する部分が前記ドレイン領域側に一段低くされている、請求項1または2に記載の半導体装置である。
ボディ領域とドレイン領域との界面が半導体層の表面に対して平行をなす平面である場合、ボディ領域におけるコンタクトトレンチの底面と対向する部分は、その周囲の部分よりも半導体層の層厚方向の厚さが薄くなる。そのため、当該部分の耐圧は、その周囲の部分よりも低くなる。そこで、ボディ領域の耐圧を維持するために、ボディ領域とドレイン領域との界面を一様にドレイン領域側に低くすることが考えられる。ところが、上記界面を一様に低くすると、絶縁膜との界面近傍におけるボディ領域の長さ(チャネル長)が長くなり、チャネル抵抗が増加する場合がある。
【0018】
これに対し、請求項3の構成によれば、ボディ領域とドレイン領域との界面において、コンタクトトレンチの底面に対向する部分がドレイン領域側に一段低くされている。たとえば、コンタクトトレンチの深さと、ボディ領域とドレイン領域との界面に形成される段差とが、同じに設計することにより、ボディ領域のコンタクトトレンチの底面に対向する部分の厚さを、その周囲の部分の厚さ(すなわち、チャネル長)と同じ厚さにすることができる。その結果、チャネル長を長くせずに、コンタクトトレンチの底面に対向するボディ領域の耐圧を維持することができる。
【0019】
また、請求項4に記載の発明は、半導体層と、前記半導体層の表面から掘り下がったゲートトレンチと、前記半導体層において、前記ゲートトレンチの側方に形成された第1導電型のボディ領域と、前記半導体層に前記ゲートトレンチと間隔を空けて形成されたコンタクトトレンチと、前記半導体層の表層部において、前記半導体層の表面および前記コンタクトトレンチの側面に沿って形成され、前記ボディ領域に接する第2導電型のソース領域と、前記半導体層に形成され、表面が前記コンタクトトレンチの底面の少なくとも一部を提供し、前記ボディ領域に接続される第1導電型のボディコンタクト領域と、前記半導体層の基層部に形成され、前記ボディ領域に接する第2導電型のドレイン領域と、前記ゲートトレンチに絶縁膜を介在させて埋設されたゲート電極と、前記コンタクトトレンチの内面と前記半導体層の表面とに跨って形成され、前記ソース領域および前記ボディコンタクト領域とのコンタクトのためのコンタクトプラグとを備え、前記ボディ領域と前記ドレイン領域との界面は、前記コンタクトトレンチの底面に対向する部分が前記ドレイン領域側に一段低くされている、半導体装置である。
【0020】
この構成によれば、半導体層には、その表面から掘り下がったゲートトレンチが形成されている。半導体層において、ゲートトレンチの側方には、第1導電型のボディ領域が形成されている。また、半導体層には、ゲートトレンチと間隔を空けて、コンタクトトレンチが形成されている。また、半導体層の表層部には、半導体層の表面およびコンタクトトレンチの側面に沿う第2導電型のソース領域が形成されている。ソース領域は、ボディ領域に接している。そして、半導体層には、コンタクトトレンチの下方に、第1導電型のボディコンタクト領域が形成されている。ボディコンタクト領域は、コンタクトトレンチの底面の少なくとも一部(つまり、底面の全部または底面の一部分)を提供し、また、ボディ領域に接続されている。ゲート電極は、絶縁膜を介してゲートトレンチに埋設されている。一方、ソース領域およびボディコンタクト領域とのコンタクトのためのコンタクトプラグは、コンタクトトレンチの内面と半導体層の表面とに跨ってこれらにコンタクト(接触)している。
【0021】
すなわち、コンタクトプラグは、半導体層の表面におけるソース領域だけでなく、コンタクトトレンチの内面におけるソース領域と接触している。そのため、コンタクトプラグが半導体層の表面におけるソース領域のみに接触する構成と比較して、ソース領域とコンタクトプラグとの接触面積を増大させることができる。その結果、ソース領域とコンタクトプラグとの接触抵抗を低減することができる。それゆえ、半導体装置のオン抵抗を低減することができる。
【0022】
また、ボディ領域とドレイン領域との界面において、コンタクトトレンチの底面に対向する部分がドレイン領域側に一段低くされている。たとえば、コンタクトトレンチの深さと、ボディ領域とドレイン領域との界面に形成される段差とが、同じに設計することにより、ボディ領域のコンタクトトレンチの底面に対向する部分の厚さを、その周囲の部分の厚さ(すなわち、チャネル長)と同じ厚さにすることができる。その結果、チャネル長を長くせずに、コンタクトトレンチの底面に対向するボディ領域の耐圧を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の模式的な断面図である。
半導体装置1は、トレンチゲート型VDMOSFETの単位セルがマトリクス状に配置された構造を有している。なお、図1では、複数の単位セルのうちの一部が示されている。
【0024】
半導体装置1は、半導体装置1の基体をなすN+型のシリコンからなる基板2を備えている。基板2上には、基板2よりもN型不純物が低濃度にドーピングされたシリコンからなる、N-型のエピタキシャル層3が積層されている。
半導体層としてのエピタキシャル層3の基層部は、エピタキシャル成長後のままの状態が維持された、N-型のドレイン領域4をなしている。また、エピタキシャル層3には、ドレイン領域4上に、P-型のボディ領域5がドレイン領域4に接して形成されている。ドレイン領域4とボディ領域5との界面40とエピタキシャル層3の表面31とは、互いに平行をなしている。
【0025】
エピタキシャル層3には、ゲートトレンチ6がその表面31から掘り下がって形成されている。ゲートトレンチ6は、図1では図示しないが、一定の間隔を空けて複数形成され、それらが互いに平行をなして同一方向(図1の紙面に垂直な方向、以下、この方向を「ゲート幅に沿う方向」ということがある。)に延びている。ゲートトレンチ6は、断面視において、互いに対向する平面状の側面61と、側面61の下端において、これらを連設する平面状の底面62とが一体的に形成されている。ゲートトレンチ6は、ボディ領域5を層厚方向に貫通し、その最深部(底面62)がドレイン領域4に達している。
【0026】
ゲートトレンチ6内には、ゲートトレンチ6の内面全域を覆うように、SiO2からなるゲート絶縁膜7が形成されている。
そして、ゲート絶縁膜7の内側をN型不純物が高濃度にドーピングされたポリシリコンで埋め尽くすことにより、ゲートトレンチ6内にゲート電極8が埋設されている。
エピタキシャル層3の表層部には、ゲートトレンチ6に対してゲート幅と直交する方向(図1における左右方向)の両側に、コンタクトトレンチ11が表面31から掘り下がって形成されている。各コンタクトトレンチ11は、互いに隣接するゲートトレンチ6の各間の中央部において、ゲートトレンチ6よりも浅く(たとえば、0.2〜0.5μm)形成されている。
【0027】
そして、エピタキシャル層3には、ゲートトレンチ6に対してゲート幅と直交する方向(図1における左右方向)の両側に、ソース領域9が形成されている。ソース領域9は、コンタクトトレンチ11の深さよりも薄い一定の厚さ(たとえば、0.1〜0.4μm)を有し、エピタキシャル層3の表面31ならびにコンタクトトレンチ11の側面12および底面13に沿う断面視略クランク形状に形成されている。これにより、ソース領域9は、エピタキシャル層3の表面31ならびにコンタクトトレンチ11の側面12および底面13から露出している。ソース領域9は、ドレイン領域4のN型不純物濃度よりも高いN型不純物濃度(たとえば、1019cm-3)を一様に有している。また、ソース領域9は、その底部がエピタキシャル層3の表面側からボディ領域5に接している。
【0028】
また、エピタキシャル層3には、表面がコンタクトトレンチ11の底面13の一部を提供する、P+型のボディコンタクト領域10が形成されている。ボディコンタクト領域10は、コンタクトトレンチ11の底面13において、ゲート幅と直交する方向におけるソース領域9の中央部を貫通し、ボディ領域5に接続されている。
すなわち、ゲートトレンチ6およびソース領域9は、ゲート幅と直交する方向に交互に設けられ、それぞれゲート幅に沿う方向に延びている。そして、ソース領域9上に、そのソース領域9に沿って、ゲート幅と直交する方向に隣接するユニットセル間の境界が設定されている。ボディコンタクト領域10は、ゲート幅と直交する方向に隣接する2つのユニットセル間に跨って少なくとも1つ以上設けられている。また、ゲート幅に沿う方向に隣接するユニットセル間の境界は、ゲート電極8における各ユニットセルに含まれる部分が一定のゲート幅を有するように設定されている。
【0029】
エピタキシャル層3上には、SiO2からなる層間絶縁膜14が積層されている。層間絶縁膜14には、コンタクトトレンチ11に対向する位置にコンタクトホール15が形成されている。コンタクトホール15は、ゲート幅に直交する方向(図1における左右方向)において、コンタクトトレンチ11を隔てて対向するエピタキシャル層3の両縁部に跨っている。これにより、エピタキシャル層3の表面31ならびにコンタクトトレンチ11の側面12および底面13は、コンタクトホール15内に臨んでいる。
【0030】
層間絶縁膜14上には、ソース配線16が形成されている。ソース配線16は、その一部がコンタクトホール15に入り込み、その入り込む部分が、層間絶縁膜14上のソース配線16とソース領域9およびボディコンタクト領域10とを接続するためのコンタクトプラグ17をなしている。コンタクトプラグ17は、コンタクトホール15内において、エピタキシャル層3の表面31ならびにコンタクトトレンチ11の側面12および底面13にコンタクト(接触)している。これにより、コンタクトプラグ17は、ソース領域9およびコンタクトプラグ17と電気的に接続されている。
【0031】
ゲート電極8には、層間絶縁膜14に形成されたコンタクトホール(図示せず)を介して、ゲート配線18が電気的に接続されている。
基板2の裏面には、ドレイン電極19が形成されている。
ソース配線16を接地し、ドレイン電極19に適当な大きさの正電圧を印加しつつ、ゲート電極8の電位を制御すると、ゲート電極8からの電界によりボディ領域5におけるゲート絶縁膜7との界面近傍にチャネルを形成することができる。したがって、ソース配線16とドレイン電極19との間に電流を流すことができる。
【0032】
図2A〜図2Oは、図1の半導体装置の製造方法を工程順に説明する模式的な断面図である。
まず、図2Aに示すように、エピタキシャル成長法により、基板2上に、エピタキシャル層3が形成される。
次いで、図2Bに示すように、熱酸化処理により、エピタキシャル層3の表面31にSiO2からなる犠牲酸化膜20が形成される。次いで、図2Bに示すように、LP−CVD(Low Pressure Chemical Vapor Deposition)法により、犠牲酸化膜20上に、SiNからなる犠牲窒化膜21が形成される。これにより、犠牲酸化膜20および犠牲窒化膜21からなるハードマスク22が、エピタキシャル層3上に形成される。
【0033】
ハードマスク22の形成後、ハードマスク22上に、ゲートトレンチ6を形成すべき部分と対向する部分に開口を有するフォトレジスト23が形成される。そして、このフォトレジスト23を用いてハードマスク22がパターニングされる。これにより、図2Cに示すように、ハードマスク22に開口24が形成される。その後、フォトレジスト23は、除去される。
【0034】
次いで、ハードマスク22上から、開口24を介してエピタキシャル層3の表面31に対してエッチングガスが供給される。これにより、図2Dに示すように、エピタキシャル層3が、開口24から露出する部分からエッチングされて、底面62および側面61を有するゲートトレンチ6が形成される。ゲートトレンチ6の形成後、ハードマスク22は、除去される。
【0035】
次いで、熱酸化処理により、図2Eに示すように、ゲートトレンチ6の内面およびエピタキシャル層3の表面31に酸化膜25が形成される。
次いで、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により、図2Fに示すように、エピタキシャル層3上に、ゲート電極の材料としてのポリシリコンの堆積層26が形成される。ゲートトレンチ6は、堆積層26により埋め尽くされ、エピタキシャル層3は、酸化膜25を介して堆積層26により覆われる。
【0036】
その後、エッチバックにより、堆積層26のゲートトレンチ6外に存在する部分が除去される。堆積層26は、図2Gに示すように、そのエッチバック面が、エピタキシャル層3の表面31に対して面一になるまでエッチバックされる。これにより、ゲートトレンチ6内に残存する堆積層26が、ゲート電極8として形成される。
次いで、イオン注入法により、P型不純物(たとえば、ホウ素イオン)が、酸化膜25の表面からエピタキシャル層3の内部に向けて注入される。そして、P型不純物を拡散させるための熱処理(ドライブイン拡散)が行なわれることにより、図2Hに示すように、ゲートトレンチ6の側方に、ゲートトレンチ6の上端から底部に至るボディ領域5が形成される。また、ゲートトレンチ6の底部から基板2に至るエピタキシャル層3の基層部には、ボディ領域5と分離され、エピタキシャル成長後のままの状態を維持するドレイン領域4が形成される。
【0037】
その後、酸化膜25のゲートトレンチ6外に存在する部分がHFガスを用いたエッチングにより除去され、ゲートトレンチ6の内面上のみに酸化膜25が残されることにより、図2Iに示すように、ゲート絶縁膜7が得られる。
次いで、エピタキシャル層3の表面31に、コンタクトトレンチ11と対向する部分に開口28を有するフォトレジスト27が形成される。そして、フォトレジスト27上から、開口28を介してエピタキシャル層3の表面31に対してSF6(六フッ化硫黄)からなるエッチングガスが供給される。これにより、図2Jに示すように、エピタキシャル層3が、開口28から露出する部分からエッチングされて、コンタクトトレンチ11が形成される。コンタクトトレンチ11の形成後、フォトレジスト27は、除去される。
【0038】
続いて、エピタキシャル層3上から、N型不純物(たとえば、ヒ素イオン)が供給される。N型不純物は、たとえば、5k〜50keVの低加速エネルギーおよび1E15〜5E15cm-2のドーズ量で供給される。これにより、エピタキシャル層3の表層部にN型不純物が注入される。なお、このイオン注入は、エピタキシャル層3の表面31に酸化膜(図示せず)を形成した後に行なってもよい。その後、たとえば、800〜1050℃でアニール処理が行われる。これにより、注入されたN型不純物が活性化して、図2Kに示すように、ソース領域9が形成される。
【0039】
次いで、エピタキシャル層3上に、コンタクトトレンチ11の底面13におけるソース領域9の中央部と対向する部分に開口29を有するマスク30が形成される。そして、開口29を介して、エピタキシャル層3に、P型不純物(たとえば、ホウ素イオン)のイオンが供給される。P型不純物は、たとえば、1k〜30keVの加速エネルギーおよび1E15〜5E15cm-2の高ドーズ量で供給される。
【0040】
なお、このイオン注入は、エピタキシャル層3の表面31に酸化膜(図示せず)を形成した後に行なってもよい。その後、たとえば、800〜1050℃でアニール処理が行われる。これにより、注入されたP型不純物が活性化して、図2Lに示すように、ボディコンタクト領域10が形成される。なお、アニール処理による不純物イオンの活性化処理は、N型およびP型不純物を注入した後、一括して行なってもよい。また、P型不純物およびN型不純物の形成順序を入れ替えてもよい。
【0041】
以上の工程を経た後、図2Mに示すように、CVD法により、エピタキシャル層3上に層間絶縁膜14が積層される。
次いで、図2Nに示すように、層間絶縁膜14上に、コンタクトホール15を形成すべき部分と対向する部分に開口32を有するフォトレジスト33が形成される。そして、層間絶縁膜14が、開口32から露出する部分からエッチングされて、図2Nに示すように、コンタクトホール15が形成される。
【0042】
次いで、スパッタ法により、エピタキシャル層3上に、導電材料が成膜される。導電材料は、コンタクトホール15を埋め尽くし、層間絶縁膜14上に薄膜を形成するように付着(堆積)される。そして、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、層間絶縁膜14上の導電材料がパターニングされる。これにより、図2Oに示すように、ソース配線16およびコンタクトプラグ17が一体的に形成される。また、ゲート電極8と電気的に接続されるゲート配線18が形成される。さらに、基板2の裏面にドレイン電極19が形成される。
【0043】
以上の工程を経て、図1に示す半導体装置1が得られる。
半導体装置1では、ソース領域9は、エピタキシャル層3の表面31ならびにコンタクトトレンチ11の側面12および底面13に沿って形成され、上記各面(表面31、側面12および底面13)から露出している。これら各面は、層間絶縁膜14のコンタクトホール15内に臨んでいる。そして、コンタクトホール15に入り込むソース配線16は、コンタクトホール15内において、コンタクトプラグ17として、エピタキシャル層3の表面31ならびにコンタクトトレンチ11の側面12および底面13にコンタクト(接触)している。
【0044】
すなわち、コンタクトプラグ17は、エピタキシャル層3の表面31におけるソース領域9だけでなく、コンタクトトレンチ11の内面(側面12および底面13)におけるソース領域9と接触している。そのため、コンタクトプラグ17がエピタキシャル層3の表面31におけるソース領域9のみに接触する構成と比較して、ソース領域9とコンタクトプラグ17との接触面積を増大させることができる。その結果、ソース領域9とコンタクトプラグ17との接触抵抗を低減することができる。それゆえ、トレンチゲート構造を有する半導体装置1のオン抵抗を低減することができる。
【0045】
また、半導体装置の性能を示す基準として、たとえば、ゲート・ソース間容量がある。トレンチゲート構造を有する半導体装置において、ゲート・ソース間容量は、ゲート絶縁膜を介して対向するゲート電極とソース領域とにより形成される静電容量のことである。このゲート・ソース間容量は、半導体装置(トランジスタ)のスイッチング性能を示す基準として考えられ、ゲート・ソース間容量が小さくなるほど、半導体装置のスイッチング速度が速くなり、スイッチング性能が向上する。したがって、ゲート・ソース間容量は、小さい方が好ましい。
【0046】
平行平板導体の静電容量Cの大きさは、C=εS/dで表される(ε:誘電率、S:誘電体を介して対向する平板導体の面積、d:平板導体間の距離)。上記式から、平板導体の面積Sを小さくすることにより、静電容量Cが小さくなることが理解される。したがってゲート・ソース間では、ゲート絶縁膜を介してゲート電極に対向するソース領域の面積を小さくすることにより、ゲート・ソース間容量を小さくすることができる。
【0047】
そして、半導体装置1では、ソース領域9は、コンタクトトレンチ11の深さよりも薄い一定の厚さ(たとえば、0.2〜0.5μm)を有し、エピタキシャル層3の表面31ならびにコンタクトトレンチ11の側面12および底面13に沿う断面視略クランク形状に形成されている。そのため、ソース領域9の厚さを適当に設計することにより、ゲート電極8に対向するソース領域9の面積を小さくすることができる。その結果、ゲート・ソース間容量を低減できるので、半導体装置1のスイッチング性能を向上させることができる。
【0048】
さらに、ソース領域9の厚さが一定であるので、N型不純物の一段注入により、ソース領域9を形成することができる。そのため、半導体装置1の製造工程を簡易にすることができる。
また、ソース領域9の厚さを薄くするに伴って、ゲート絶縁膜7との界面近傍におけるボディ領域5の長さ(チャネル長L1)が長くなる。したがって、エピタキシャル層3の表面31から界面40までの長さL2を短く設計することにより、チャネル長L1を維持したまま、ボディ領域5を薄くすることができる。その結果、半導体装置1をコンパクト(薄型)にすることができる。
【0049】
図3は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の模式的な断面図である。図3において、図1に示す各部に対応する部分には、それらの各部と同一の参照符号を付している。また、以下では、同一の参照符号を付した部分についての詳細な説明を省略する。
図3に示す半導体装置41では、ドレイン領域4とボディ領域5との界面40は、平面視でコンタクトトレンチ11の底面13に重なる部分(界面40の中央部42)が、その周囲の部分よりもドレイン領域4側に一段低くされている。
【0050】
その他の構成は、前述の第1の実施形態の場合と同様であり、また、動作および作用・効果も同様である。
図4A〜図4Nは、図3の半導体装置の製造方法を工程順に説明する模式的な断面図である。
まず、図4Aに示すように、エピタキシャル成長法により、基板2上に、エピタキシャル層3が形成される。
【0051】
次いで、図4Bに示すように、熱酸化処理により、エピタキシャル層3の表面31にSiO2からなる犠牲酸化膜20が形成される。次いで、図4Bに示すように、LP−CVD(Low Pressure Chemical Vapor Deposition)法により、犠牲酸化膜20上に、SiNからなる犠牲窒化膜21が形成される。これにより、犠牲酸化膜20および犠牲窒化膜21からなるハードマスク22が、エピタキシャル層3上に形成される。
【0052】
ハードマスク22の形成後、ハードマスク22上に、ゲートトレンチ6を形成すべき部分と対向する部分に開口を有するフォトレジスト23が形成される。そして、このフォトレジスト23を用いてハードマスク22がパターニングされる。これにより、図4Cに示すように、ハードマスク22に開口24が形成される。その後、フォトレジスト23は、除去される。
【0053】
次いで、ハードマスク22上から、開口24を介してエピタキシャル層3の表面31に対してエッチングガスが供給される。これにより、図4Dに示すように、エピタキシャル層3が、開口24から露出する部分からエッチングされて、底面62および側面61を有するゲートトレンチ6が形成される。ゲートトレンチ6の形成後、ハードマスク22は、除去される。
【0054】
次いで、熱酸化処理により、図4Eに示すように、ゲートトレンチ6の内面およびエピタキシャル層3の表面31に酸化膜25が形成される。
次いで、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により、図4Fに示すように、エピタキシャル層3上に、ゲート電極の材料としてのポリシリコンの堆積層26が形成される。ゲートトレンチ6は、堆積層26により埋め尽くされ、エピタキシャル層3は、酸化膜25を介して堆積層26により覆われる。
【0055】
その後、エッチバックにより、堆積層26のゲートトレンチ6外に存在する部分が除去される。堆積層26は、図4Gに示すように、そのエッチバック面が、エピタキシャル層3の表面31に対して面一になるまでエッチバックされる。これにより、ゲートトレンチ6内に残存する堆積層26が、ゲート電極8として形成される。
その後、酸化膜25のゲートトレンチ6外に存在する部分がHFガスを用いたエッチングにより除去され、ゲートトレンチ6の内面上のみに酸化膜25が残されることにより、図4Hに示すように、ゲート絶縁膜7が得られる。
【0056】
次いで、エピタキシャル層3の表面31に、コンタクトトレンチ11と対向する部分に開口28を有するフォトレジスト27が形成される。そして、フォトレジスト27上から、開口28を介してエピタキシャル層3の表面31に対してSF6(六フッ化硫黄)からなるエッチングガスが供給される。これにより、図4Hに示すように、エピタキシャル層3が、開口28から露出する部分からエッチングされて、コンタクトトレンチ11が形成される。コンタクトトレンチ11の形成後、フォトレジスト27は、除去される。
【0057】
次いで、イオン注入法により、P型不純物(たとえば、ホウ素イオン)が、酸化膜25の表面からエピタキシャル層3の内部に向けて注入される。そして、P型不純物を拡散させるための熱処理(ドライブイン拡散)が行なわれる。これにより、P型不純物が、エピタキシャル層3の表面31およびコンタクトトレンチ11の底面13からエピタキシャル層3の層厚方向に一様に拡散し、図4Iに示すように、ゲートトレンチ6の側方にボディ領域5が形成される。また、ゲートトレンチ6の底部から基板2に至るエピタキシャル層3の基層部には、ボディ領域5と分離され、エピタキシャル成長後のままの状態を維持するドレイン領域4が形成される。エピタキシャル層3の層厚方向において段差を有する表面31および底面13からP型不純物が一様に拡散するので、ドレイン領域4とボディ領域5との界面40は、底面13に対向する中央部42が、その周囲の部分よりもドレイン領域4側に一段低くされる。
【0058】
続いて、エピタキシャル層3上から、N型不純物(たとえば、ヒ素イオン)が供給される。N型不純物は、たとえば、5k〜50keVの低加速エネルギーおよび1E15〜5E15cm-2のドーズ量で供給される。これにより、エピタキシャル層3の表層部にN型不純物が注入される。なお、このイオン注入は、エピタキシャル層3の表面31に酸化膜(図示せず)を形成した後に行なってもよい。その後、たとえば、800〜1050℃でアニール処理が行われる。これにより、注入されたN型不純物が活性化して、図4Jに示すように、ソース領域9が形成される。
【0059】
次いで、エピタキシャル層3上に、コンタクトトレンチ11の底面13におけるソース領域9の中央部と対向する部分に開口29を有するマスク30が形成される。そして、開口29を介して、エピタキシャル層3に、P型不純物(たとえば、ホウ素イオン)のイオンが供給される。P型不純物は、たとえば、1k〜30keVの加速エネルギーおよび1E15〜5E15cm-2の高ドーズ量で供給される。
【0060】
なお、このイオン注入は、エピタキシャル層3の表面31に酸化膜(図示せず)を形成した後に行なってもよい。その後、たとえば、800〜1050℃でアニール処理が行われる。これにより、注入されたP型不純物が活性化して、図4Kに示すように、ボディコンタクト領域10が形成される。
以上の工程を経た後、図4Lに示すように、CVD法により、エピタキシャル層3上に層間絶縁膜14が積層される。
【0061】
次いで、図4Mに示すように、層間絶縁膜14上に、コンタクトホール15を形成すべき部分と対向する部分に開口32を有するフォトレジスト33が形成される。そして、層間絶縁膜14が、開口32から露出する部分からエッチングされて、図4Mに示すように、コンタクトホール15が形成される。
次いで、スパッタ法により、エピタキシャル層3上に、導電材料が成膜される。導電材料は、コンタクトホール15を埋め尽くし、層間絶縁膜14上に薄膜を形成するように付着(堆積)される。そして、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、層間絶縁膜14上の導電材料がパターニングされる。これにより、図4Nに示すように、ソース配線16およびコンタクトプラグ17が一体的に形成される。また、ゲート電極8と電気的に接続されるゲート配線18が形成される。さらに、基板2の裏面にドレイン電極19が形成される。
【0062】
以上の工程を経て、図3に示す半導体装置41が得られる。
半導体装置41では、ドレイン領域4とボディ領域5との界面40の中央部42が、その周囲の部分よりもドレイン領域4側に一段低くされている。
ドレイン領域4とボディ領域5との界面40がエピタキシャル層3の表面31に対して平行をなす平面である場合、ボディ領域5におけるコンタクトトレンチ11の底面13と対向する部分は、その周囲の部分よりもエピタキシャル層3の層厚方向の厚さが薄くなる。そのため、当該部分の耐圧は、その周囲の部分よりも低くなる。そこで、ボディ領域5の耐圧を維持するために、ドレイン領域4とボディ領域5との界面40を一様にドレイン領域4側に低くすることが考えられる。ところが、界面40を一様に低くすると、チャネル長L1が長くなり、チャネル抵抗が増加する場合がある。
【0063】
上記のように、ドレイン領域4とボディ領域5との界面40の中央部42が、その周囲の部分よりもドレイン領域4側に一段低くされていれば、たとえば、コンタクトトレンチ11の深さと中央部42の段差とが同じに設計することにより、ボディ領域5のコンタクトトレンチ11の底面13に対向する部分の厚さL3を、その周囲の部分の厚さ(すなわち、チャネル長L1)と同じ厚さにすることができる。その結果、チャネル長L1を長くせずに、コンタクトトレンチ11の底面13に対向するボディ領域5の耐圧を維持することができる。
【0064】
以上、本発明の複数の実施形態を説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
たとえば、半導体装置1および41の各半導体部分の導電型を反転した構成が採用されてもよい。すなわち、半導体装置1および41において、P型の部分がN型であり、N型の部分がP型であってもよい。
【0065】
また、図5に示す半導体装置51のように、ソース領域9は、コンタクトトレンチ11の深さと略同じ一定の厚さを有し、エピタキシャル層3の表面31およびコンタクトトレンチ11の側面12に沿う断面視略直線形状に形成されていてもよい。この場合、ボディコンタクト領域10は、その表面がコンタクトトレンチ11の底面13の全部を提供していてもよい。
【0066】
また、本発明は、トレンチゲート型VDMOSFETを備える構成に限らず、DMOSFET以外の他の種類の電界効果トランジスタ(たとえば、IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)を備える構成に適用することもできる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の模式的な断面図である。
【図2A】図1に示す半導体装置の製造方法を説明するための模式的な断面図である。
【図2B】図2Aの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図2C】図2Bの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図2D】図2Cの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図2E】図2Dの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図2F】図2Eの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図2G】図2Fの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図2H】図2Gの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図2I】図2Hの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図2J】図2Iの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図2K】図2Jの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図2L】図2Kの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図2M】図2Lの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図2N】図2Mの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図2O】図2Nの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の模式的な断面図である。
【図4A】図3に示す半導体装置の製造方法を説明するための模式的な断面図である。
【図4B】図4Aの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図4C】図4Bの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図4D】図4Cの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図4E】図4Dの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図4F】図4Eの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図4G】図4Fの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図4H】図4Gの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図4I】図4Hの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図4J】図4Iの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図4K】図4Jの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図4L】図4Kの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図4M】図4Lの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図4N】図4Mの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図5】図1に示す半導体装置の変形例を示す模式的な断面図である。
【図6】従来のトレンチゲート型VDMOSFETの模式的な断面図である。
【符号の説明】
【0068】
1 半導体装置
3 エピタキシャル層(半導体層)
4 ドレイン領域
5 ボディ領域
6 ゲートトレンチ
7 ゲート絶縁膜
8 ゲート電極
9 ソース領域
10 ボディコンタクト領域
11 コンタクトトレンチ
12 側面(コンタクトトレンチの側面)
13 底面(コンタクトトレンチの底面)
17 コンタクトプラグ
31 表面(半導体層の表面)
40 界面(ボディ領域とドレイン領域との界面)
41 半導体装置
51 半導体装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体層と、
前記半導体層の表面から掘り下がったゲートトレンチと、
前記半導体層において、前記ゲートトレンチの側方に形成された第1導電型のボディ領域と、
前記半導体層に前記ゲートトレンチと間隔を空けて形成されたコンタクトトレンチと、
前記半導体層の表層部において、前記半導体層の表面および前記コンタクトトレンチの側面に沿って形成され、前記ボディ領域に接し、一定の厚さを有する第2導電型のソース領域と、
前記半導体層に形成され、表面が前記コンタクトトレンチの底面の少なくとも一部を提供し、前記ボディ領域に接続される第1導電型のボディコンタクト領域と、
前記ゲートトレンチに絶縁膜を介在させて埋設されたゲート電極と、
前記コンタクトトレンチの内面と前記半導体層の表面とに跨って形成され、前記ソース領域および前記ボディコンタクト領域とのコンタクトのためのコンタクトプラグとを備える、半導体装置。
【請求項2】
前記ソース領域が、前記半導体層の表面ならびに前記コンタクトトレンチの側面および底面に沿って形成されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記半導体層の基層部に形成され、前記ボディ領域に接する第2導電型のドレイン領域を備え、
前記ボディ領域と前記ドレイン領域との界面は、前記コンタクトトレンチの底面に対向する部分が前記ドレイン領域側に一段低くされている、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
半導体層と、
前記半導体層の表面から掘り下がったゲートトレンチと、
前記半導体層において、前記ゲートトレンチの側方に形成された第1導電型のボディ領域と、
前記半導体層に前記ゲートトレンチと間隔を空けて形成されたコンタクトトレンチと、
前記半導体層の表層部において、前記半導体層の表面および前記コンタクトトレンチの側面に沿って形成され、前記ボディ領域に接する第2導電型のソース領域と、
前記半導体層に形成され、表面が前記コンタクトトレンチの底面の少なくとも一部を提供し、前記ボディ領域に接続される第1導電型のボディコンタクト領域と、
前記半導体層の基層部に形成され、前記ボディ領域に接する第2導電型のドレイン領域と、
前記ゲートトレンチに絶縁膜を介在させて埋設されたゲート電極と、
前記コンタクトトレンチの内面と前記半導体層の表面とに跨って形成され、前記ソース領域および前記ボディコンタクト領域とのコンタクトのためのコンタクトプラグとを備え、
前記ボディ領域と前記ドレイン領域との界面は、前記コンタクトトレンチの底面に対向する部分が前記ドレイン領域側に一段低くされている、半導体装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図2H】
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【図2I】
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【図2J】
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【図2K】
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【図2L】
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【図2M】
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【図2N】
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【図2O】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図4G】
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【図4H】
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【図4I】
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【図4J】
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【図4K】
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【図4L】
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【図4M】
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【図4N】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−27796(P2010−27796A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−186306(P2008−186306)
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】