説明

半導体装置

【課題】本発明は、金属膜の端部の応力により金属膜の端部直下の表面電極がダメージを受けることを防止できる半導体装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る半導体装置は、基板24と、該基板24の上に、アルミを含む材料で形成された表面電極26と、該表面電極26の上に、はんだ付け可能な材料で形成された金属膜28と、該表面電極26の上の部分と、該金属膜28の端部に重なる重畳部分30aとが一体的に形成されて該金属膜28の端部を固定する端部固定膜30と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば大電力のスイッチングなどに用いられる半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、半導体基板表面にアルミで形成された表面電極を有する半導体装置が開示されている。表面電極上には金属膜が形成されている。金属膜にはワイヤがはんだ付けされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−076703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
表面電極と金属膜の密着性が高いため、半導体装置に熱ストレスが加わると金属膜の端部に応力が集中する。金属膜の端部の応力により、金属膜の端部直下の表面電極がダメージを受けることがある。表面電極がダメージを受けると半導体装置の信頼性を確保できない。
【0005】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、表面電極のダメージを防止できる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る半導体装置は、基板と、該基板の上に、アルミを含む材料で形成された表面電極と、該表面電極の上に、はんだ付け可能な材料で形成された金属膜と、該表面電極の上の部分と、該金属膜の端部に重なる重畳部分とが一体的に形成されて該金属膜の端部を固定する端部固定膜と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明に係る他の半導体装置は、基板と、該基板の上に、アルミを含む材料で形成された表面電極と、該表面電極の上に形成された保護膜と、該表面電極の上の部分と、該保護膜の端部の上に乗り上げて形成された乗り上げ部分とが一体的にはんだ付け可能な材料で形成された金属膜と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、金属膜の端部の応力を低減できるので、半導体装置の信頼性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1に係る半導体装置の断面図である。
【図2】本発明の実施の形態2に係る半導体装置の断面図である。
【図3】本発明の実施の形態2に係る半導体装置の変形例を示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態3に係る半導体装置の平面図である。
【図5】図5Aは本発明の実施の形態4に係る半導体装置の平面図である。図5Bは本発明の実施の形態4に係る半導体装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る半導体装置の断面図である。半導体装置10は、エピタキシャル層12を備えている。エピタキシャル層12の表面側にはベース層14が形成されている。ベース層14を貫くようにポリシリコンゲート16が形成されている。ポリシリコンゲート16はゲート酸化膜18に覆われている。ポリシリコンゲート16はゲート20に接続されている。エピタキシャル層12の裏面側にはコレクタ層22が形成されている。上述の構造全体を基板24と称する。
【0011】
基板24の上には、アルミを95%以上含む材料で表面電極26が形成されている。表面電極26の上には、はんだ付け可能な材料で金属膜28が形成されている。金属膜28はアルミ以外の複数の金属から形成されている。表面電極26の上にはポリイミドを材料とする端部固定膜30も形成されている。端部固定膜30は、表面電極26の上の部分と、金属膜28の端部に重なる重畳部分30aとが一体的に形成されたものである。端部固定膜30は、金属膜28の端部を固定するために形成されている。
【0012】
本発明の実施の形態1に係る半導体装置10によれば、金属膜28の端部が端部固定膜30の重畳部分30aに覆われている。従って、金属膜28の端部を重畳部分30aで固定し、熱ストレスにより金属膜28の端部に発生する応力を低減できる。金属膜28の端部の応力を低減できると、金属膜28の端部直下における表面電極26のダメージを防止し半導体装置10の信頼性を高めることができる。
【0013】
本発明の実施の形態1に係る半導体装置は、様々な変形が可能である。例えば、端部固定膜30はポリイミドで形成したが、窒化膜などで形成してもよい。表面電極26は、アルミを含む材料で形成されればよく、アルミを95%以上含む材料に限定されない。
【0014】
実施の形態2.
図2は、本発明の実施の形態2に係る半導体装置の断面図である。実施の形態1の半導体装置と同じ部分は同一符号を付して説明を省略する。
【0015】
本発明の実施の形態2に係る半導体装置は、表面電極26の上に形成された保護膜40を備えている。保護膜40は窒化膜で形成されている。表面電極26の上には、金属膜42も形成されている。金属膜42は、表面電極26の上の部分と、保護膜40の端部の上に乗り上げて形成された乗り上げ部分42aとが一体的にはんだ付け可能な材料で形成されたものである。
【0016】
ところで、表面電極26と金属膜42の密着性に比べると、金属膜42と保護膜40の密着性は低い。そのため、熱ストレスにより生じた金属膜42の応力を金属膜42と保護膜40の接合部に集中させることができる。具体的には、図2の矢印方向(基板24から乗り上げ部分42aに向かう方向)に金属膜42の応力を逃がすことができる。そのため、金属膜42の端部直下における表面電極26のダメージを防止し半導体装置の信頼性を高めることができる。
【0017】
なお、本発明の実施の形態2に係る半導体装置では、保護膜40を窒化膜で形成したが、例えばポリイミド膜で形成してもよい。
【0018】
図3は、本発明の実施の形態2に係る半導体装置の変形例を示す断面図である。変形例の半導体装置は、ポリイミドで形成された端部固定膜44を備えたことが特徴である。端部固定膜44は、保護膜40の上の部分と、乗り上げ部分42aの上に重なる重畳部分44aとが一体的に形成されたものである。端部固定膜44は、金属膜42の端部を固定するために形成されている。
【0019】
変形例の半導体装置によれば、金属膜42の応力を金属膜42と保護膜40の接合部に集中させ、かつ重畳部分44aにより金属膜42の乗り上げ部分42aを固定することができる。よって、表面電極26のダメージ防止効果を高めることができる。
【0020】
なお、保護膜40をポリイミドで形成し、端部固定膜44を窒化膜で形成してもよい。また、保護膜40と端部固定膜44を窒化膜で形成してもよいし、これらをポリイミドで形成してもよい。
【0021】
実施の形態3.
図4は、本発明の実施の形態3に係る半導体装置の平面図である。本発明の実施の形態3に係る半導体装置は、基本的には実施の形態1に係る半導体装置と同一であるが、金属膜の形状と、端部固定膜の重畳部分に特徴がある。
【0022】
金属膜28は基板24の上に角部を有する形状で形成されている。図4において金属膜28の形成された部分は太線で表されている。端部固定膜30の重畳部分30aは、金属膜28の角部の上だけに形成されている。
【0023】
金属膜が角部を有する形状で形成されている場合、当該角部において熱ストレスによる応力が集中しやすい。そこで、本発明の実施の形態3に係る半導体装置では、端部固定膜30の重畳部分30aを金属膜28の角部上に形成することで、金属膜28の角部を固定する。よって、金属膜28の角部における応力の集中を抑制できる。また、重畳部分30aは金属膜28の角部にのみ形成されているので、はんだ付けのために金属膜28の広い領域を外部に露出させることができる。
【0024】
本発明の実施の形態3に係る半導体装置は、金属膜28の角部を端部固定膜30で覆うことが特徴である。従って、金属膜の形状は角部を有する形状であれば特に限定されない。
【0025】
上述の構成に加えて、本発明の実施の形態2に係る保護膜を金属膜28と接するように端部固定膜30と表面電極26の間に形成すると、表面電極26のダメージ低減効果をさらに高めることができる。なお、本発明の実施の形態3に係る半導体装置は少なくとも本発明の実施の形態1及び2に係る半導体装置と同程度の変形が可能である。
【0026】
実施の形態4.
図5Aは、本発明の実施の形態4に係る半導体装置の平面図である。図5Bは、本発明の実施の形態4に係る半導体装置の断面図である。本発明の実施の形態4に係る半導体装置は、基本的には図3を参照して説明した半導体装置と同一であるが、金属膜の形状に特徴がある。
【0027】
金属膜42は基板24の上に円弧状に形成された部分を有している。金属膜42が円弧状に形成されることにより、乗り上げ部分42aも円弧状に形成されている。乗り上げ部分42aの上に形成される重畳部分44aも円弧状に形成されている。
【0028】
本発明の実施の形態4に係る半導体装置によれば、金属膜42が円弧状に形成されているため、熱ストレスにより金属膜42に発生する応力を、保護膜40や端部固定膜44へ分散させることができる。よって、金属膜42の端部直下の表面電極26におけるダメージを防止し、半導体装置の信頼性を高めることができる。
【0029】
金属膜の形状は、円弧状の部分を含む形状であれば特に限定されない。また、図1、2、又は4に係る半導体装置の金属膜を、円弧状の部分を含む形状で形成しても金属膜の応力を分散する効果が得られる。なお、本発明の実施の形態4に係る半導体装置は少なくとも本発明の実施の形態1及び2に係る半導体装置と同程度の変形が可能である。
【符号の説明】
【0030】
10 半導体装置、 24 基板、 26 表面電極、 28 金属膜、 30 端部固定膜、 30a 重畳部分、 40 保護膜、 42 金属膜、 42a 乗り上げ部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の上に、アルミを含む材料で形成された表面電極と、
前記表面電極の上に、はんだ付け可能な材料で形成された金属膜と、
前記表面電極の上の部分と、前記金属膜の端部に重なる重畳部分とが一体的に形成されて前記金属膜の端部を固定する端部固定膜と、
を備えたことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
基板と、
前記基板の上に、アルミを含む材料で形成された表面電極と、
前記表面電極の上に形成された保護膜と、
前記表面電極の上の部分と、前記保護膜の端部の上に乗り上げて形成された乗り上げ部分とが一体的にはんだ付け可能な材料で形成された金属膜と、
を備えたことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
前記保護膜の上の部分と、前記乗り上げ部分の上に重なる重畳部分とが一体的に形成されて前記金属膜の端部を固定する端部固定膜を備えたことを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記保護膜は、ポリイミド膜又は窒化膜で形成されたことを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記金属膜は前記基板上に角部を有する形状で形成され、
前記重畳部分は前記金属膜の角部の上に形成されたことを特徴とする請求項1又は3に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記金属膜は前記基板上に円弧状に形成された部分を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−253058(P2012−253058A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122135(P2011−122135)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】