説明

半導体装置

【課題】電力が供給されない状況でも記憶内容の保持が可能で、かつ、書き込み回数にも制限が無い、新たな構造の半導体装置を提供する。
【解決手段】ワイドギャップ半導体、例えば酸化物半導体を含むメモリセルを用いて構成された半導体装置であって、メモリセルからの読み出しのために基準電位より低い電位を出力する機能を有する電位切り替え回路を備えた半導体装置とする。ワイドギャップ半導体を用いることで、メモリセルを構成するトランジスタのオフ電流を十分に小さくすることができ、長期間にわたって情報を保持することが可能な半導体装置を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子を利用した半導体装置およびその駆動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体素子を利用した記憶装置は、電力の供給がなくなると記憶内容が失われる揮発性のものと、電力の供給がなくなっても記憶内容は保持される不揮発性のものとに大別される。
【0003】
揮発性記憶装置の代表的な例としては、DRAM(Dynamic Random Access Memory)がある。DRAMは、記憶素子を構成するトランジスタを選択してキャパシタに電荷を蓄積することで、情報を記憶する。
【0004】
上述の原理から、DRAMでは、情報を読み出すとキャパシタの電荷は失われるため、情報の読み出しの度に、再度の書き込み動作が必要となる。また、記憶素子を構成するトランジスタにおいてはオフ状態でのソースとドレイン間のリーク電流(オフ電流)等によって、トランジスタが選択されていない状況でも電荷が流出、または流入するため、データの保持期間が短い。このため、所定の周期で再度の書き込み動作(リフレッシュ動作)が必要であり、消費電力を十分に低減することは困難である。また、電力の供給がなくなると記憶内容が失われるため、長期間の記憶の保持には、磁性材料や光学材料を利用した別の記憶装置が必要となる。
【0005】
揮発性記憶装置の別の例としてはSRAM(Static Random Access Memory)がある。SRAMは、フリップフロップなどの回路を用いて記憶内容を保持するため、リフレッシュ動作が不要であり、この点においてはDRAMより有利である。しかし、フリップフロップなどの回路を用いているため、記憶容量あたりの単価が高くなるという問題がある。また、電力の供給がなくなると記憶内容が失われるという点については、DRAMと変わるところはない。
【0006】
不揮発性記憶装置の代表例としては、フラッシュメモリがある。フラッシュメモリは、トランジスタのゲート電極とチャネル形成領域との間にフローティングゲートを有し、当該フローティングゲートに電荷を保持させることで記憶を行うため、データの保持期間は極めて長く(半永久的)、揮発性記憶装置で必要なリフレッシュ動作が不要であるという利点を有している(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
しかし、書き込みの際に生じるトンネル電流によって記憶素子を構成するゲート絶縁層が劣化するため、所定回数の書き込みによって記憶素子が機能しなくなるという問題が生じる。この問題の影響を緩和するために、例えば、各記憶素子の書き込み回数を均一化する手法が採られるが、これを実現するためには、複雑な周辺回路が必要になってしまう。そして、このような手法を採用しても、根本的な寿命の問題が解消するわけではない。つまり、フラッシュメモリは、情報の書き換え頻度が高い用途には不向きである。
【0008】
また、フローティングゲートに電荷を注入させるため、または、その電荷を除去するためには、高い電圧が必要であり、また、そのための回路も必要である。さらに、電荷の注入、または除去のためには比較的長い時間を要し、書き込み、消去の高速化が容易ではないという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭57−105889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述の問題に鑑み、本発明の一態様では、電力が供給されない状況でも記憶内容の保持が可能で、かつ、書き込み回数にも制限が無い、新たな構造の半導体装置を提供することを目的の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様では、トランジスタのオフ電流を十分に小さくすることができる材料、例えば、ワイドギャップ半導体である酸化物半導体材料を用いて半導体装置を構成する。トランジスタのオフ電流を十分に小さくすることができる半導体材料を用いることで、長期間にわたって情報を保持することが可能である。
【0012】
また、本発明の一態様では、例えば、ワイドギャップ半導体を用いて構成されたメモリセルを含む半導体装置であって、メモリセルからの読み出しのために基準電位より低い電位を出力する機能を有する電位切り替え回路を備えた半導体装置とする。
【0013】
より具体的には、例えば次のような構成を採用することができる。
【0014】
本発明の一態様は、m×n個のメモリセルでなるメモリセルアレイと、読み出し回路を有する第1の駆動回路と、第2の駆動回路と、を有し、メモリセルの一は、第1のゲート電極、第1のソース電極、第1のドレイン電極、及び第1のチャネル形成領域を含む第1のトランジスタと、第2のゲート電極、第2のソース電極、第2のドレイン電極、及び第2のチャネル形成領域を含む第2のトランジスタと、を有し、第1のチャネル形成領域は、第2のチャネル形成領域とは異なる半導体材料を含んで構成され、読み出し回路は、負荷と、クロックドインバータと、第3のゲート電極、第3のソース電極、第3のドレイン電極、及び第3のチャネル形成領域を含む第3のトランジスタと、を有し、クロックドインバータの出力端子は、第3のトランジスタの第3のソース電極または第3のドレイン電極と接続される、半導体装置である。
【0015】
上記において、第1のソース電極は、ソース線と接続され、クロックドインバータの入力端子は、ビット線を介して、第1のドレイン電極と、第2のドレイン電極と接続され、第2のゲート電極は、ゲート線を介して、第1のゲート電極と、第2のソース電極と接続される半導体装置である。
【0016】
また、本発明の一態様は、m×n個のメモリセルでなるメモリセルアレイと、読み出し回路を有する第1の駆動回路と、第2の駆動回路と、を有し、メモリセルの一は、第1のゲート電極、第1のソース電極、第1のドレイン電極、及び第1のチャネル形成領域を含む第1のトランジスタと、第2のゲート電極、第2のソース電極、第2のドレイン電極、及び第2のチャネル形成領域を含む第2のトランジスタと、容量素子と、を有し、第1のチャネル形成領域は、第2のチャネル形成領域とは異なる半導体材料を含んで構成され、読み出し回路は、負荷と、クロックドインバータと、第3のゲート電極、第3のソース電極、第3のドレイン電極、及び第3のチャネル形成領域を含む第3のトランジスタと、を有し、クロックドインバータの出力端子は、第3のトランジスタの第3のソース電極または第3のドレイン電極と接続される、半導体装置である。
【0017】
第1のソース電極は、ソース線と接続され、クロックドインバータの入力端子は、ビット線を介して、第1のドレイン電極と、第2のドレイン電極と接続され、第2のゲート電極は、ゲート線と接続され、容量素子の電極の一方は、容量線と接続され、容量素子の電極の他方は、第1のゲート電極と、第2のソース電極と接続される半導体装置である。
【0018】
上記において、第1のトランジスタは、pチャネル型トランジスタであり、第2のトランジスタは、nチャネル型トランジスタである半導体装置である。
【0019】
上記において、第2のトランジスタの第2のチャネル形成領域は、酸化物半導体を含んで構成される半導体装置である。
【0020】
なお、上記において、酸化物半導体を用いてトランジスタを構成することがあるが、本発明はこれに限定されない。酸化物半導体と同等のオフ電流特性が実現できる材料、例えば、炭化シリコンをはじめとするワイドギャップ材料(より具体的には、例えば、エネルギーギャップEgが3eVより大きい半導体材料)などを適用しても良い。
【0021】
なお、本明細書等において「上」や「下」の用語は、構成要素の位置関係が「直上」または「直下」であることを限定するものではない。例えば、「ゲート絶縁層上のゲート電極」の表現であれば、ゲート絶縁層とゲート電極との間に他の構成要素を含むものを除外しない。また、「上」「下」の用語は説明の便宜のために用いる表現に過ぎない。
【0022】
また、本明細書等において「電極」や「配線」の用語は、これらの構成要素を機能的に限定するものではない。例えば、「電極」は「配線」の一部として用いられることがあり、その逆もまた同様である。さらに、「電極」や「配線」の用語は、複数の「電極」や「配線」が一体となって形成されている場合なども含む。
【0023】
また、「ソース」や「ドレイン」の機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書等においては、「ソース」や「ドレイン」の用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
【0024】
なお、本明細書等において、「電気的に接続」には、「何らかの電気的作用を有するもの」を介して接続されている場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するもの」は、接続対象間での電気信号の授受を可能とするものであれば、特に制限を受けない。
【0025】
例えば、「何らかの電気的作用を有するもの」には、電極や配線をはじめ、トランジスタなどのスイッチング素子、抵抗素子、インダクタ、キャパシタ、その他の各種機能を有する素子などが含まれる。
【発明の効果】
【0026】
酸化物半導体を用いたトランジスタはオフ電流が極めて小さいため、これを用いることにより極めて長期にわたり記憶内容を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動作が不要となるか、または、リフレッシュ動作の頻度を極めて低くすることが可能となるため、消費電力を十分に低減することができる。また、電力の供給がない場合(ただし、電位は固定されていることが望ましい)であっても、長期にわたって記憶内容を保持することが可能である。
【0027】
また、本発明に係る半導体装置では、情報の書き込みに高い電圧を必要とせず、素子の劣化の問題もない。例えば、従来の不揮発性メモリのように、フローティングゲートへの電子の注入や、フローティングゲートからの電子の引き抜きを行う必要がないため、ゲート絶縁層の劣化といった問題が全く生じない。すなわち、本発明に係る半導体装置では、従来の不揮発性メモリで問題となっている書き換え可能回数に制限はなく、信頼性が飛躍的に向上する。さらに、トランジスタのオン状態、オフ状態によって、情報の書き込みが行われるため、高速な動作も容易に実現しうる。また、情報を消去するための動作が不要であるというメリットもある。
【0028】
また、酸化物半導体以外の材料を用いたトランジスタは、十分な高速動作が可能であるため、これを、酸化物半導体を用いたトランジスタと組み合わせて用いることにより、半導体装置の動作(例えば、情報の読み出し動作)の高速性を十分に確保することができる。また、酸化物半導体以外の材料を用いたトランジスタにより、高速動作が要求される各種回路(論理回路、駆動回路など)を好適に実現することが可能である。
【0029】
このように、酸化物半導体以外の材料を用いたトランジスタ(換言すると、十分な高速動作が可能なトランジスタ)と、酸化物半導体を用いたトランジスタ(より広義には、十分にオフ電流が小さいトランジスタ)とを一体に備えることで、これまでにない特徴を有する半導体装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】半導体装置の回路図。
【図2】半導体装置のブロック図。
【図3】半導体装置の回路図。
【図4】半導体装置の回路図。
【図5】タイミングチャート図。
【図6】半導体装置の回路図。
【図7】タイミングチャート図。
【図8】半導体装置の回路図。
【図9】タイミングチャート図。
【図10】半導体装置の回路図。
【図11】タイミングチャート図。
【図12】半導体装置の回路図。
【図13】タイミングチャート図。
【図14】半導体装置のブロック図。
【図15】半導体装置の回路図。
【図16】半導体装置の回路図。
【図17】半導体装置の断面図および平面図。
【図18】SOI基板の作製工程に係る断面図。
【図19】半導体装置の作製工程に係る断面図。
【図20】半導体装置の作製工程に係る断面図。
【図21】半導体装置の作製工程に係る断面図。
【図22】半導体装置の作製工程に係る断面図。
【図23】電子機器の図。
【図24】半導体装置の断面図。
【図25】半導体装置の作製工程に係る断面図。
【図26】半導体装置の断面図。
【図27】酸化物材料の構造を説明する図。
【図28】酸化物材料の構造を説明する図。
【図29】酸化物材料の構造を説明する図。
【図30】計算によって得られた移動度のゲート電圧依存性を説明する図である。
【図31】計算によって得られたドレイン電流と移動度のゲート電圧依存性を説明する図。
【図32】計算によって得られたドレイン電流と移動度のゲート電圧依存性を説明する図。
【図33】計算によって得られたドレイン電流と移動度のゲート電圧依存性を説明する図。
【図34】計算に用いたトランジスタの断面構造を説明する図。
【図35】トランジスタの特性を示す図。
【図36】トランジスタの特性を示す図。
【図37】トランジスタの特性を示す図。
【図38】トランジスタの特性を示す図。
【図39】トランジスタの特性を示す図。
【図40】酸化物材料のXRDスペクトルを示す図。
【図41】トランジスタの特性を示す図。
【図42】半導体装置の平面図および断面図。
【図43】半導体装置の平面図および断面図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の実施の形態の一例について、図面を用いて以下に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0032】
なお、図面等において示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、理解の簡単のため、実際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。
【0033】
なお、本明細書等における「第1」、「第2」、「第3」などの序数は、構成要素の混同を避けるために付すものであり、数的に限定するものではないことを付記する。
【0034】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る半導体装置の基本的な回路構成およびその動作について、図1を参照して説明する。なお、回路図においては、酸化物半導体を用いたトランジスタであることを示すために、OSの符号を併せて付す場合がある。
【0035】
〈基本回路〉
はじめに、最も基本的な回路構成およびその動作について、図1を参照して説明する。図1(A−1)に示す半導体装置において、ビット線BLとトランジスタ160のソース電極(またはドレイン電極)と、トランジスタ162のソース電極(またはドレイン電極)と、は、電気的に接続され、ソース線SLとトランジスタ160のドレイン電極(またはソース電極)とは、電気的に接続されている。また、ゲート線GLと、トランジスタ162のゲート電極とは、電気的に接続されている。そして、トランジスタ160のゲート電極と、トランジスタ162のドレイン電極(またはソース電極)は、容量素子164の電極の一方と電気的に接続され、容量線CLと、容量素子164の電極の他方は電気的に接続されている。なお、トランジスタ160のソース電極(またはドレイン電極)と、トランジスタ162のソース電極(またはドレイン電極)と、を電気的に接続させずに、それぞれが別の配線と電気的に接続する構成としてもよい。
【0036】
ここで、トランジスタ162には、例えば、酸化物半導体を用いたトランジスタが適用される。酸化物半導体を用いたトランジスタは、オフ電流が極めて小さいという特徴を有している。このため、トランジスタ162をオフ状態とすることで、トランジスタ160のゲート電極の電位を極めて長時間にわたって保持することが可能である。そして、容量素子164を有することにより、トランジスタ160のゲート電極に与えられた電荷の保持が容易になり、また、保持された情報の読み出しが容易になる。
【0037】
なお、トランジスタ160の半導体材料については特に限定されない。情報の読み出し速度を向上させるという観点からは、例えば、単結晶シリコンを用いたトランジスタなど、スイッチング速度の高いトランジスタを適用するのが好適である。図1(A−1)、(A−2)および図1(B)に、トランジスタ160として、pチャネル型のトランジスタを用いる場合について示す。また、図1(C)に、トランジスタ160として、nチャネル型のトランジスタを用いる場合について示す。
【0038】
また、図1(B)に示すように、容量素子164を設けない構成とすることも可能である。
【0039】
図1(A−1)に示す半導体装置では、トランジスタ160のゲート電極の電位が保持可能という特徴を生かすことで、次のように、情報の書き込み、保持、読み出しが可能である。
【0040】
はじめに、情報の書き込みおよび保持について説明する。まず、ゲート線GLの電位を、トランジスタ162がオン状態となる電位にして、トランジスタ162をオン状態とする。これにより、ビット線BLの電位が、トランジスタ162のドレイン電極(またはソース電極)と、トランジスタ160のゲート電極と、容量素子164の一方の電極が電気的に接続されたノード(フローティングゲート部FGとも表記する)に与えられる。すなわち、フローティングゲート部FGには、所定の電荷が与えられる(書き込み)。ここでは、異なる二つの電位を与える電荷(以下、低電位を与える電荷を電荷Q、高電位を与える電荷を電荷Qという)のいずれかが与えられるものとする。なお、異なる三つまたはそれ以上の電位を与える電荷を適用して、記憶容量を向上させても良い。その後、ゲート線GLの電位を、トランジスタ162がオフ状態となる電位にして、トランジスタ162をオフ状態とすることにより、フローティングゲート部FGに与えられた電荷が保持される(保持)。
【0041】
トランジスタ162のオフ電流は極めて小さいため、トランジスタ160のゲート電極の電荷は長時間にわたって保持される。
【0042】
次に、情報の読み出しについて説明する。ソース線SLに所定の電位(定電位)を与えた状態で、容量線CLに適切な電位(読み出し電位)を与えると、フローティングゲート部FGに保持された電荷量に応じて、ビット線BLは異なる電位をとる。すなわち、トランジスタ160のコンダクタンスは、トランジスタ160のゲート電極(フローティングゲート部FGともいえる)に保持される電荷によって制御される。
【0043】
一般に、トランジスタ160をpチャネル型とすると、トランジスタ160のゲート電極にQが与えられている場合の見かけのしきい値Vth_Hは、トランジスタ160のゲート電極にQが与えられている場合の見かけのしきい値Vth_Lより低くなる。例えば、書き込みにおいてQが与えられた場合には、容量線CLの電位がV(Vth_HとVth_Lの中間の電位)となれば、トランジスタ160は「オン状態」となる。Qが与えられた場合には、容量線CLの電位がVとなっても、トランジスタ160は「オフ状態」のままである。このため、ビット線BLの電位を検出することで、保持されている情報を読み出すことができる。
【0044】
次に、情報の書き換えについて説明する。情報の書き換えは、上記情報の書き込みおよび保持と同様に行われる。つまり、ゲート線GLの電位を、トランジスタ162がオン状態となる電位にして、トランジスタ162をオン状態とする。これにより、ビット線BLの電位(新たな情報に係る電位)が、フローティングゲート部FGに与えられる。その後、ゲート線GLを、トランジスタ162がオフ状態となる電位にして、トランジスタ162をオフ状態とすることにより、フローティングゲート部FGは、新たな情報に係る電荷が与えられた状態となる。
【0045】
このように、本発明の一態様に係る半導体装置は、再度の情報の書き込みによって直接的に情報を書き換えることが可能である。このためフラッシュメモリなどにおいて必要とされる高電圧を用いてのフローティングゲートからの電荷の引き抜きが不要であり、消去動作に起因する動作速度の低下を抑制することができる。つまり、半導体装置の高速動作が実現される。
【0046】
以下に、一例として、フローティングゲート部FGに電位VDDまたは接地電位GNDのいずれかを与えた場合の書き込み、保持、読み出しの方法について具体的に説明する。以下では、フローティングゲート部FGに電位VDDを与えた場合に保持されるデータをデータ”1”、フローティングゲート部FGに接地電位GNDを与えた場合に保持されるデータをデータ”0”とする。なお、フローティングゲート部FGに与える電位の関係はこれに限られるものではない。
【0047】
情報を書き込む場合には、ソース線SLをGNDとし、容量線CLをGNDとし、ゲート線GLをVDDとして、トランジスタ162をオン状態とする。そして、フローティングゲート部FGにデータ”0”を書き込む場合には、ビット線BLにはGNDを与える。また、フローティングゲート部FGにデータ”1”を書き込む場合には、フローティングゲート部FGの電位がトランジスタ162のしきい値電圧(Vth_OS)分電圧降下しないように、ビット線BLの電位をVDDとし、ゲート線GLの電位をVDD+Vth_OSとしてもよい。
【0048】
情報を保持する場合には、ゲート線GLをGNDとしてトランジスタ162をオフ状態にする。また、pチャネル型トランジスタであるトランジスタ160を介して、ビット線BLとソース線SLに電流が生じて電力が消費されることを抑制するために、ビット線BLとソース線SLは同電位とする。なお、ビット線BLとソース線SLとが同電位であれば、容量線CLは、VDDでもGNDでも構わない。
【0049】
なお、上記において、「同電位」には、「略同電位」も含まれるものとする。すなわち、上記においては、ビット線BLとソース線SLの電位差を十分に低減して、ビット線BLとソース線SLに生じる電流を抑制することを目的としているため、ソース線SLの電位をGNDなどに固定した場合と比較して消費電力を十分に(百分の一以下に)低減できる電位など、「略同電位」とした電位が「同電位」の範疇に含まれるのである。また、例えば、配線抵抗などに起因する電位ずれ程度の差は十分に許容される。
【0050】
情報を読み出す場合には、ゲート線GLの電位をGNDとし、容量線CLの電位をGNDとし、ソース線SLの電位をVDDもしくはVDDよりいくらか低い電位(以下VRと表記する)とする。ここで、フローティングゲート部FGにデータ”1”が書き込まれている場合は、pチャネル型トランジスタであるトランジスタ160はオフ状態となり、ビット線BLの電位は、読み出し開始時の電位が維持されるか、または上昇する。なお、ビット線BLの電位の維持または上昇は、ビット線BLに接続される読み出し回路に依存する。また、フローティングゲート部FGにデータ”0”が書き込まれている場合は、トランジスタ160がオン状態となり、ビット線BLの電位はソース線SLの電位と同電位のVDDもしくはVRとなる。したがって、ビット線BLの電位を判別することで、フローティングゲート部FGに保持されたデータ”1”またはデータ”0”を読み出すことができる。
【0051】
なお、フローティングゲート部FGに電位VDDが保持されている(すなわち、データ”1”が書き込まれている)場合、読み出しの際にソース線SLの電位をVDDとすると、トランジスタ160のゲートとソース間の電圧(以下、Vgspと表記する)は、Vgsp=VDD−VDD=0Vとなり、Vgspがトランジスタ160のしきい値電圧(以下、Vthpと表記する)よりも大きくなるため、pチャネル型トランジスタであるトランジスタ160はオフ状態となる。ここで、フローティングゲート部FGに書き込まれた電位がVDDに満たなかった等で、フローティングゲート部FGに保持された電位がVDDよりも小さい場合であっても、フローティングゲート部FGの電位がVDD−|Vthp|以上であれば、Vgsp=(VDD−|Vthp|)−VDD=−|Vthp|=Vthpとなりトランジスタ160がオフ状態となるため、正常にデータ”1”が読み出せる。しかしながら、フローティングゲート部FGの電位がVDD−|Vthp|より小さい場合には、VgspがVthpより小さくなるため、トランジスタ160はオン状態となり、データ”1”ではなくデータ”0”が読み出され、誤読み出しとなる。つまり、データ”1”を書き込んだ場合、読み出しが可能である電位の下限値は、ソース線SLの電位VDDより|Vthp|分低い、VDD−|Vthp|となる。一方で、読み出しの際にソース線SLの電位をVRとすると、上述した通り、データ”1”の読み出しが可能である電位の下限値は、ソース線SLの電位VRよりも|Vthp|分低い、VR−|Vthp|となる。ここで、VRはVDDよりも低い電位であるので、VR−|Vthp|はVDD−|Vthp|より小さくなる。すなわち、ソース線SLの電位をVRとした方が、読み出しが可能である電位の下限値は低くなる。よって、ソース線SLの電位はVDDとするよりもVRとした方がデータ”1”の読み出しが可能である電位の幅を広くすることができるため好ましい。なお上限値については、ソース線SLの電位をVRとした場合、フローティングゲート部FGにVDDが書き込まれている場合のVgspはVDD−VR>Vthp(∵VDD>VR)となり問題無くオフ状態とすることができる。
【0052】
ここで、トランジスタ162のドレイン電極(またはソース電極)と、トランジスタ160のゲート電極と、容量素子164の一方の電極が電気的に接続されたノード(フローティングゲート部FG)は、不揮発性メモリ素子として用いられるフローティングゲート型トランジスタのフローティングゲートと同等の作用を奏する。トランジスタ162がオフの場合、当該フローティングゲート部FGは絶縁体中に埋設されたと見ることができ、フローティングゲート部FGには電荷が保持される。酸化物半導体を用いたトランジスタ162のオフ電流は、シリコン半導体などで形成されるトランジスタの10万分の1以下であるため、トランジスタ162のリークによる、フローティングゲート部FGに蓄積された電荷の消失を無視することが可能である。つまり、酸化物半導体を用いたトランジスタ162により、電力の供給が無くても情報の保持が可能な不揮発性の記憶装置を実現することが可能である。
【0053】
例えば、トランジスタ162の室温(25℃)でのオフ電流が10zA(1zA(ゼプトアンペア)は1×10−21A)以下であり、容量素子164の容量値が10fF程度である場合には、少なくとも10秒以上のデータ保持が可能である。なお、当該保持時間が、トランジスタ特性や容量値によって変動することはいうまでもない。
【0054】
また、本発明の一態様に係る半導体装置においては、従来のフローティングゲート型トランジスタにおいて指摘されているゲート絶縁膜(トンネル絶縁膜)の劣化という問題が存在しない。つまり、従来問題とされていた、電子をフローティングゲートに注入する際のゲート絶縁膜の劣化という問題を解消することができる。これは、原理的な書き込み回数の制限が存在しないことを意味するものである。また、従来のフローティングゲート型トランジスタにおいて書き込みや消去の際に必要であった高電圧も不要である。
【0055】
図1(A−1)に示す半導体装置は、当該半導体装置を構成するトランジスタなどの要素が抵抗および容量を含むものとして、図1(A−2)のように考えることが可能である。つまり、図1(A−2)では、トランジスタ160および容量素子164が、それぞれ、抵抗および容量を含んで構成されると考えていることになる。R1およびC1は、それぞれ、容量素子164の抵抗値および容量値であり、抵抗値R1は、容量素子164を構成する絶縁層による抵抗値に相当する。また、R2およびC2は、それぞれ、トランジスタ160の抵抗値および容量値であり、抵抗値R2はトランジスタ160がオン状態の時のゲート絶縁層による抵抗値に相当し、容量値C2はいわゆるゲート容量(ゲート電極と、ソース電極またはドレイン電極との間に形成される容量、及び、ゲート電極とチャネル形成領域との間に形成される容量)の容量値に相当する。
【0056】
トランジスタ162がオフ状態にある場合のソース電極とドレイン電極の間の抵抗値(実効抵抗とも呼ぶ)をROSとすると、トランジスタ162のゲートリーク電流が十分に小さい条件において、R1およびR2が、R1≧ROS、R2≧ROSを満たす場合には、電荷の保持期間(情報の保持期間ということもできる)は、主としてトランジスタ162のオフ電流によって決定されることになる。
【0057】
逆に、当該条件を満たさない場合には、トランジスタ162のオフ電流が十分に小さくとも、保持期間を十分に確保することが困難になる。トランジスタ162のオフ電流以外のリーク電流(例えば、ソース電極とゲート電極の間において生じるリーク電流等)が大きいためである。このことから、本発明の一態様に係る半導体装置は、R1≧ROS、およびR2≧ROSの関係を満たすものであることが望ましいといえる。
【0058】
一方で、C1とC2は、C1≧C2の関係を満たすことが望ましい。C1を大きくすることで、容量線CLによってフローティングゲート部FGの電位を制御する際に、容量線CLの電位を効率よくフローティングゲート部FGに与えることができるようになり、容量線CLに与える電位間(例えば、読み出しの電位と、非読み出しの電位)の電位差を低く抑えることができるためである。
【0059】
このように、上述の関係を満たすことで、より好適な半導体装置を実現することが可能である。なお、R1およびR2は、トランジスタ160のゲート絶縁層や容量素子164の絶縁層によって制御される。C1およびC2についても同様である。よって、ゲート絶縁層の材料や厚さなどを適宜設定し、上述の関係を満たすようにすることが望ましい。
【0060】
本実施の形態で示す半導体装置においては、フローティングゲート部FGが、フラッシュメモリ等のフローティングゲート型トランジスタのフローティングゲートと同等の作用をするが、本実施の形態のフローティングゲート部FGは、フラッシュメモリ等のフローティングゲートと本質的に異なる特徴を有している。
【0061】
フラッシュメモリでは、コントロールゲートに印加される電位が高いため、その電位が、隣接するセルのフローティングゲートに影響を与えないように、セルとセルとの間隔をある程度保つ必要が生じる。このことは、半導体装置の高集積化を阻害する要因の一つである。そして、当該要因は、高電界をかけてトンネル電流を発生させるというフラッシュメモリの根本的な原理に起因するものである。
【0062】
一方、本実施の形態に係る半導体装置は、酸化物半導体を用いたトランジスタのスイッチングによって動作し、上述のようなトンネル電流による電荷注入の原理を用いない。すなわち、フラッシュメモリのような、電荷を注入するための高電界が不要である。これにより、隣接セルに対する、コントロールゲートによる高電界の影響を考慮する必要がないため、高集積化が容易になる。
【0063】
また、高電界が不要であり、大型の周辺回路(昇圧回路など)が不要である点も、フラッシュメモリに対する優位点である。例えば、本実施の形態に係るメモリセルに印加される電圧(メモリセルの各端子に同時に印加される電位の最大のものと最小のものの差)の最大値は、2段階(1ビット)の情報を書き込む場合、一つのメモリセルにおいて、5V以下、好ましくは3V以下とすることができる。
【0064】
さらに、容量素子164を構成する絶縁層の比誘電率εr1と、トランジスタ160を構成する絶縁層の比誘電率εr2とを異ならせる場合には、容量素子164を構成する絶縁層の面積S1と、トランジスタ160においてゲート容量を構成する絶縁層の面積S2とが、2・S2≧S1(望ましくはS2≧S1)を満たしつつ、C1≧C2を実現することが容易である。すなわち、容量素子164を構成する絶縁層の面積を小さくしつつ、C1≧C2を実現することが容易である。具体的には、例えば、容量素子164を構成する絶縁層においては、酸化ハフニウムなどのhigh−k材料でなる膜、または酸化ハフニウムなどのhigh−k材料でなる膜と酸化物半導体でなる膜との積層構造を採用してεr1を10以上、好ましくは15以上とし、ゲート容量を構成する絶縁層においては、酸化シリコンを採用して、εr2=3〜4とすることができる。
【0065】
このような構成を併せて用いることで、本発明の一態様に係る半導体装置の、より一層の高集積化が可能である。
【0066】
〈応用例〉
次に、図1に示す回路を応用したより具体的な回路構成および動作について、図2乃至図16を参照して説明する。本実施の形態では、複数の状態を一のメモリセルに保持させる、いわゆる多値メモリについて説明する。
【0067】
図2は、半導体装置のブロック図の一例である。図2に示す半導体装置のブロック図は、駆動回路の読み出し動作に関わる部分に特徴を有する。図2に示す半導体装置は、2値(kは1以上の整数)の状態を一つのメモリセルに保持する多値メモリであり、複数のメモリセルを有するメモリセルアレイ201と、列駆動回路202と、行駆動回路203と、を有する。
【0068】
メモリセルアレイ201は、m本のゲート線GLおよび容量線CLと、n本のビット線BLと、ソース線SL(図2では、図示せず)と、マトリクス状に配置された複数のメモリセル170(1,1)〜170(m,n)を有する。
【0069】
図2に示すメモリセル170(1,1)〜170(m,n)は、図1(A−1)に示すメモリセルを適用することができる。また、メモリセル170(1,1)〜170(m,n)として、図1(B)に示すメモリセルを適用することもできる。その場合には、容量線CLを省略することができる。また、メモリセル170(1,1)〜170(m,n)として、図1(C)に示すメモリセルを適用することもできる。
【0070】
メモリセルアレイ201の構成として、図15及び図16に示す構成を適用することができる。
【0071】
図15に、メモリセルアレイの一例を示す。図15に示すメモリセルアレイは、NOR型のメモリセルアレイであり、m本のゲート線GLおよび容量線CLと、n本のビット線BLと、(n/8)本のソース線SLと、複数のメモリセル170(1,1)〜170(m,n)と、を有する。ここで、メモリセル170は、縦m個(行)×横n個(列)のマトリクス状に配置されている。ここでは、ソース線SLは、メモリセル170が8列に1本設けられている。これにより、1列毎にソース線SLを設ける場合に比べて配線の数を低減することができる。また、メモリセルアレイ201の省スペース化を図ることができる。もちろん、図15に示すメモリセルアレイ201には、n本のソース線SLが設けられていてもよい。また、ソース線SL(1)〜SL(n/8)には、バッファ208を介してプリチャージ電位PREが入力される。
【0072】
n本のビット線BLおよび(n/8)本のソース線SLは、図2に示す列駆動回路202が有するビット線/ソース線駆動回路221に接続されている。また、m本のゲート線GLおよび容量線CLは、図2に示す行駆動回路203が有するゲート線/容量線駆動回路231に接続されている。
【0073】
図16に、メモリセルアレイの他の一例を示す。図16に示すメモリセルアレイは、NAND型のメモリセルアレイであり、1本の選択線G(1)と、m本のゲート線GLおよび容量線CLと、n本のビット線BLと、1本のソース線SLと、複数のメモリセル170を有する。ここで、メモリセル170は、縦m個(行)×横n個(列)のマトリクス状に配置されている。
【0074】
n本のビット線BLおよび1本のソース線SLは、図2に示す列駆動回路202が有するビット線/ソース線駆動回路221に接続されている。また、1本の選択線G(1)、m本のゲート線GL、容量線CLは、図2に示す行駆動回路203が有するゲート線/容量線駆動回路231に接続されている。
【0075】
図2に示す列駆動回路202は、カラムアドレス信号線CA、入力データ信号線DIN、出力データ信号線DOUT、制御信号線CE等が接続されている。また、列駆動回路202には、メモリセル170の列毎に、読み出し回路225(1)〜225(n)が設けられており、読み出し回路225(1)〜225(n)は、それぞれビット線BL(1)〜BL(n)を介してメモリセル170と接続されている。列駆動回路202は、ビット線BL(1)〜BL(n)およびソース線SLを制御する。
【0076】
行駆動回路203は、ロウアドレス信号線RA、制御信号線CE等が接続されている。また、行駆動回路203は、ゲート線GLおよび容量線CLを介してメモリセル170と接続されている。行駆動回路203は、選択線G、ゲート線GLおよび容量線CLを制御する。
【0077】
〈読み出し回路〉
次に、図2に適用することができる読み出し回路と、その駆動方法について説明する。
【0078】
図3(A)に、読み出し回路の一例を示す。図3(A)に示す読み出し回路は、負荷323と、センスアンプ324と、を有する。センスアンプ324の入力には、負荷323と、ビット線BLとが接続されており、センスアンプ324の出力は、出力信号線SA_OUTが接続されている。また、ビット線BLには、メモリセル170が接続される。
【0079】
負荷323としては、図3(B−1)〜図3(B−5)を用いることができる。図3(B−1)に示すように負荷323は、nチャネル型のトランジスタのゲート端子に、定電源線Vreadが接続されていてもよい。図3(B−2)に示すように、負荷323は抵抗であっても良い。また、図3(B−3)に示すように、pチャネル型のトランジスタのゲート端子に、定電源線Vreadが接続されていてもよい。また、図3(B−4)に示すように、負荷323はnチャネル型のトランジスタのゲート端子と、ソース端子またはドレイン端子の一方とが接続された構成であっても良いし、図3(B−5)に示すように、負荷323はpチャネル型のトランジスタのゲート端子と、ソース端子またはドレイン端子の一方とが接続された構成であっても良い。
【0080】
ビット線BLの電位は、負荷323と、メモリセル内の読み出しトランジスタの抵抗分割によって決まる。そして、ビット線BLの電位に応じてセンスアンプ324の出力が変動する。
【0081】
センスアンプ324の具体的な回路例の一つとしてインバータが挙げられる。インバータは、入力信号の電位が電源電位VDDの半分の電位を境に出力信号が変動するように設計される。また、インバータは回路構成が少なくなるため、省スペースの読み出し回路を実現することができる。
【0082】
図4(A)に、インバータ325の回路図を示す。図4(A)に示すインバータは、pチャネル型のトランジスタ341と、nチャネル型のトランジスタ342とを有する。トランジスタ341と、トランジスタ342とは、直列に接続されている。具体的には、トランジスタ341のゲート端子と、トランジスタ342のゲート端子と、入力端子とが、接続されている。また、トランジスタ341のドレイン端子(またはソース端子)と、トランジスタ342のソース端子(またはドレイン端子)と、出力端子OUTとが、接続されている。また、トランジスタ341のソース端子(またはドレイン端子)は、VDDに接続されており、トランジスタ342のドレイン端子(またはソース端子)は、GNDに接地されている。
【0083】
図4(B)に、図3(A)に示すセンスアンプ324として、インバータ325を採用した読み出し回路と、アナログスイッチ223aと、メモリセル170と、を示す。メモリセル170のビット線BLは、アナログスイッチ223aを介して、読み出し回路の負荷323の一方の端子と、インバータ325の入力端子と、に接続される。読み出し回路の負荷323の他方の端子は、接地電位GNDに接地または電源電位VDDに接続される。また、インバータ325の出力端子は、出力信号線SA_OUTに接続される。また、メモリセル170のビット線BLは、トランジスタ160のドレイン端子と、トランジスタ162のドレイン端子またはソース端子の一方に接続されている。トランジスタ160のソース端子は、電源電圧VDDに接続または接地電位GNDに接地される。
【0084】
ここでは、メモリセル170のトランジスタ160は、pチャネル型トランジスタとし、pチャネル型トランジスタと接続されるソース線SLの電位は電源電位VDDとする。また、読み出し回路の負荷323の他方の端子の電位は、接地電位GNDとする。
【0085】
次に、図5に、図4(B)の読み出し動作におけるタイミングチャートを示す。
【0086】
読み出し動作時は、メモリセル170の容量線CLの電位を変動させ、容量結合によって、フローティングゲート部FGの電位を変動させる。フローティングゲート部FGの電位が変動することで、メモリセル170のトランジスタ160の抵抗値が変動する。
【0087】
メモリセル170のトランジスタ160の抵抗値と、読み出し回路の負荷323との抵抗分割によってビット線BLの電位が決定する。ビット線BLの電位をインバータ325でセンシングすることにより、多値データの読み出しを実現することができる。
【0088】
具体的には、図5(A)に示すように、容量線CLの電位をHigh電位(以下、H電位と記す)からLow電位(以下、L電位と記す)へと徐々に下降させる場合、フローティングゲート部FGの電位は容量結合により、容量線CLと同様に高電位側から低電位側へと徐々に下降する。フローティングゲート部FGの電位が高電位側から低電位側へと徐々に下降すると、読み出しトランジスタ(図4(B)においては、トランジスタ160)の抵抗値が高抵抗側から低抵抗側へと変化する。ビット線BLの電位は、読み出し回路の負荷323と、トランジスタ160の抵抗分割により決定するため、トランジスタ160の抵抗値が下降するにつれ、ビット線BLの電位は上昇する。
【0089】
ビット線BLが一定の電位(例えば、(VDD/2))を超えると、読み出し回路のインバータ325は、出力信号線SA_OUTに出力する電位が、H電位からL電位へと変化する。電位が変化する位置により、メモリセル170のデータを決定することができる。
【0090】
ここで、インバータ325は、ビット線BLの電位が(VDD/2)に近いほど、貫通電流が流れてしまう。具体的には、ビット線BLの電位が(VDD/2)の場合、pチャネル型のトランジスタ341のゲート端子とドレイン端子には(VDD/2)の電位差が発生し、トランジスタ341のソース端子とドレイン端子が導通する。同様に、nチャネル型のトランジスタ342のゲート端子とソース端子には(VDD/2)の電位差が発生し、nチャネル型のトランジスタ342のソース端子とドレイン端子が導通する。すると、インバータ325を介して、電源電位VDDと接地電位GNDが導通してしまい、貫通電流が発生する。ビット線BLの電位が(VDD/2)からずれると、pチャネル型のトランジスタ341またはnチャネル型のトランジスタ342の抵抗値が上昇し、貫通電流は徐々に抑制される。なお、図5(A)の電流I_INVは、インバータ325の貫通電流の電流量を表す。
【0091】
同様に、図5(B)において、容量線CLの電位をL電位からH電位へと徐々に上昇させる場合フローティングゲート部FGの電位は容量結合により、容量線CLと同様に低電位側から高電位側へと徐々に上昇する。フローティングゲート部FGの電位が低電位側から高電位側へ徐々に上昇すると、トランジスタ160の抵抗値が低抵抗側から高抵抗側へと変化する。ビット線BLの電位は、読み出し回路の負荷323と、トランジスタ160の抵抗分割により決定するため、トランジスタ160の抵抗値が上がるにつれ、ビット線BLの電位は下降する。
【0092】
ビット線BLが一定の電位(例えば、(VDD/2))を超えると、読み出し回路のインバータ325は出力信号線SA_OUTに出力する電位が、L電位からH電位へと変化する。電位が変化する位置により、メモリセル170のデータを読み出すことができる。なお、図5(B)の電流I_INVは、インバータ325の貫通電流の電流量を表す。
【0093】
センスアンプ324の具体的な回路例としてインバータ325を適用することにより、メモリ読み出し回路の小型化を実現することができる。これにより、メモリ周辺回路の省スペース化を図ることができる。
【0094】
次に、図6および図8を用いて、図4と異なる読み出し回路の例を示す。図6および図8において、センスアンプとしてクロックで制御可能なクロックドインバータ326を用いる。また、クロックドインバータ326の出力がハイインピーダンスになることを防止するため、VDDまたはGNDに接続したpチャネル型のトランジスタ327またはnチャネル型のトランジスタ328を、クロックドインバータ326の出力端子に接続する。
【0095】
図6(A)に、クロックドインバータ326の回路図を示す。クロックドインバータ326は、2つのpチャネル型トランジスタと、2つのnチャネル型トランジスタとを有し、これらが順に直列接続されている。pチャネル型のトランジスタ341と、nチャネル型のトランジスタ342とは、直列に接続されている。具体的には、トランジスタ341のゲート端子と、トランジスタ342のゲート端子と、入力端子INとが、接続されている。また、トランジスタ341のドレイン端子(またはソース端子)と、トランジスタ342のソース端子(またはドレイン端子)と、出力端子OUTとは、接続されている。また、pチャネル型のトランジスタ341のソース端子(またはドレイン端子)と、pチャネル型のトランジスタ343のドレイン端子(またはソース端子)とは接続されており、トランジスタ343はVDDに接続されている。また、nチャネル型のトランジスタ342のドレイン端子(またはソース端子)と、nチャネル型のトランジスタ344のソース端子(またはドレイン端子)とは接続されており、トランジスタ344のドレイン端子(またはソース端子)は、GNDに接地されている。また、トランジスタ343のゲート端子には、反転制御信号線CLKB(CLKB信号線ともいう)が接続され、トランジスタ344のゲート端子には、制御信号線CLK(CLK信号線とも言う)が接続される。なお、反転制御信号線CLKBは、制御信号線CLKの反転信号である。
【0096】
クロックドインバータ326は、制御信号線CLKの電位がH電位、反転制御信号線CLKBの電位がL電位の際、入力信号線の電位が(VDD/2)以上で出力信号線にL電位を出力し、入力信号線の電位が(VDD/2)未満で出力信号線にH電位を出力する。また、制御信号線CLKの電位がL電位、反転制御信号線CLKBの電位がH電位の際は、ビット線BLの電位に関係なく、出力信号線はハイインピーダンスとなる。
【0097】
図6(B)に、クロックドインバータ326の入力には負荷323が接続され、クロックドインバータ326の出力に、VDDに接続したpチャネル型のトランジスタ327が接続された読み出し回路を示す。また、読み出し回路は、アナログスイッチ223aを介してメモリセル170が接続されている。
【0098】
次に、図7に、図6の読み出し動作におけるタイミングチャートを示す。図6において、容量線CLの電位をH電位からL電位へと徐々に下降させる場合のタイミングチャートを図7(A)に示し、容量線CLの電位をL電位からH電位へと徐々に上げていく場合のタイミングチャートを図7(B)に示す。
【0099】
図7(A)において、容量線CLの電位をH電位からL電位へと徐々に下降させる場合、フローティングゲート部FGの電位は、容量結合により容量線CLと同様に高電位側から低電位側へと徐々に下降する。フローティングゲート部FGの電位が高電位側から低電位側へ下降すると、トランジスタ160の抵抗値が高抵抗側から低抵抗側へと変化する。ビット線BLの電位は読み出し回路の負荷323とトランジスタ160の抵抗分割により決定するため、トランジスタ160の抵抗値が下降するにつれ、ビット線BLの電位は上昇する。
【0100】
ここで、容量線CLの電位が変動する毎に、CLK信号線にH電位のパルスを発生させる。これにより、ビット線BLの電位が変動する毎に読み出し回路のクロックドインバータ326がビット線BLの電位に応じた出力信号を出力信号線SA_OUTに発生させることができる。
【0101】
具体的には、CLK信号の電位がH電位の際は、電源電位VDDに接続されたトランジスタ327のゲート端子にH電位が入力されるため、電源電位VDDは出力信号線SA_OUTと導通しなくなり、ビット線BLの電位に対するクロックドインバータ326の出力が出力信号線SA_OUTに反映される。ビット線BLの電位が一定の電位(例えば、(VDD/2))を超えると、読み出し回路のクロックドインバータ326は、出力信号線SA_OUTに出力する電位が、H電位からL電位へと変化する。CLK信号の電位がL電位の際は、クロックドインバータ326は、出力信号線SA_OUTに対してハイインピーダンスとなり、電源電位VDDに接続されたpチャネル型のトランジスタ327により電源電位VDDと出力信号線SA_OUTが導通するため、ビット線BLの電位によらず、出力信号線SA_OUTはH電位となる。
【0102】
ここで、クロックドインバータ326は、CLK信号の電位がH電位の際に、ビット線BLの電位が(VDD/2)に近いほど、貫通電流が流れてしまう。具体的には、ビット線BLの電位が(VDD/2)であり、クロックドインバータのトランジスタ343のゲート端子にL電位が入力された場合、電源電位VDDがトランジスタ341のドレイン端子に導通する。このとき、クロックドインバータのトランジスタ341のゲート端子とドレイン端子には(VDD/2)の電位差が発生し、トランジスタ341のソース端子とドレイン端子が導通する。同様に、クロックドインバータのトランジスタ344のゲート端子にH電位が入力され、接地電位GNDがトランジスタ342のソース端子に導通する。このとき、トランジスタ342のゲート端子とソース端子には(VDD/2)の電位差が発生し、トランジスタ342のソース端子とドレイン端子が導通する。すると、クロックドインバータ326を介して、電源電位VDDと接地電位GNDは導通してしまい、貫通電流が発生する。ビット線BLの電位が(VDD/2)からずれると、トランジスタ341もしくはトランジスタ342の抵抗値が上昇し、貫通電流は徐々に抑制される。
【0103】
しかし、CLK信号の電位がL電位の際は、トランジスタ343のゲート端子にH電位が入力され、電源電位VDDがトランジスタ341のドレイン端子に導通しなくなる。また、トランジスタ344のゲート端子にL電位が入力され、接地電位GNDがトランジスタ342のソース端子に導通しなくなる。これにより、クロックドインバータ326を介して、電源電位VDDと接地電位GNDが導通することは無いため、ビット線BLの電位によらず、クロックドインバータ326を介しての貫通電流は抑制される。なお、図7(A)の電流I_INVは、クロックドインバータ326の貫通電流の電流量を表す。図7(A)に示すように、センスアンプとしてクロックドインバータ326を適用した場合は、図5(A)に示すセンスアンプとしてインバータ325を用いた場合よりも、さらに貫通電流を抑制することができる。
【0104】
CLK信号の電位がH電位の際のクロックドインバータ326の出力によって、メモリセル170のデータを確定することができる。さらに、CLK信号の電位がH電位になる時間を制御することによって、読み出し動作で消費されるクロックドインバータ326の貫通電流を低減させることができる。
【0105】
ここで、CLK信号の電位がH電位またはL電位となる時間の比は、1:1である必要は無い。むしろ、前記で示されるようにCLK信号の電位はH電位の時間が短いほうがクロックドインバータ326の貫通電流が発生する時間を短くすることができるため、読み出し回路の消費電流の削減により効果がある。
【0106】
次に、図7(B)において、容量線CLの電位をL電位からH電位へと徐々に上昇させる場合、フローティングゲート部FGの電位は容量結合により容量線CLと同様に低電位側から高電位側へと徐々に上昇する。フローティングゲート部FGの電位が低電位側から高電位側へ上昇すると、トランジスタ160の抵抗値が高抵抗側から低抵抗側へと変化する。ビット線BLの電位は読み出し回路の負荷323とトランジスタ160の抵抗分割により決定するため、トランジスタ160の抵抗値が上昇するにつれ、ビット線BLの電位は下降する。
【0107】
ここで、容量線CLの電位が変動する毎に、CLK信号線にH電位のパルスを発生させる。これにより、ビット線BLの電位が変動する毎に読み出し回路のクロックドインバータ326がビット線BLの電位に応じた出力信号を出力信号線SA_OUTに発生させることができる。
【0108】
具体的には、CLK信号の電位がH電位の際は、電源電位VDDに接続されたトランジスタ327のゲート端子にH電位が入力されるため、電源電位VDDは出力信号線SA_OUTと導通しなくなり、ビット線BLの電位に対するクロックドインバータ326の出力が出力信号線SA_OUTに反映される。ビット線BLの電位が一定の電位(例えば、(VDD/2))未満の場合、読み出し回路のクロックドインバータ326は、出力信号線SA_OUTに出力する電位が、H電位からL電位へと変化する。CLK信号の電位がL電位の際は、クロックドインバータ326は、出力信号線SA_OUTに対してハイインピーダンスとなり、VDDに接続されたpチャネル型のトランジスタ327によりVDDと出力信号線SA_OUTが導通するため、ビット線BLの電位によらず、出力信号線SA_OUTはH電位となる。
【0109】
図7(A)において説明したのと同様に、図7(B)に示すように、センスアンプとしてクロックドインバータ326を適用した場合は、図5(B)に示すセンスアンプとしてインバータ325を用いた場合よりも、さらに貫通電流を抑制することができる。
【0110】
CLK信号の電位がH電位の際のクロックドインバータ326の出力によって、メモリセル170のデータを確定することができる。さらに、CLK信号で読み出しの時間が制御されることによって、読み出し動作で消費される電流を低減させることができる。
【0111】
ここで、CLK信号の電位がH電位またはL電位となる時間の比は、1:1である必要は無い。むしろ、図7(B)に示すようにCLK信号の電位はH電位の時間が短いほうが消費電流の削減に効果がある。ただし、読み出し動作に支障が起きないことを前提とする。
【0112】
以上のように、センスアンプの具体的な回路例としてクロックドインバータ326を適用することにより、少ない回路構成で、貫通電流を抑制したメモリ読み出し回路を実現することができる。これらにより、メモリセルアレイの周辺回路の省スペース化と、消費電流の削減と、を図ることができる。
【0113】
図8に、クロックドインバータ326の入力に負荷323が接続され、クロックドインバータ326の出力に、GNDに接地したnチャネル型のトランジスタ328が接続された読み出し回路を示す。読み出し回路には、アナログスイッチ223aを介してメモリセル170が接続されている。
【0114】
図9に、図8の読み出し動作におけるタイミングチャートを示す。図8において、容量線CLの電位をH電位からL電位へと徐々に下降させる場合のタイミングチャートを図9(A)に、容量線CLの電位をL電位からH電位へと徐々に上げていく場合のタイミングチャートを図9(B)に示す。
【0115】
図9(A)において、容量線CLの電位をH電位からL電位へと徐々に下降させる場合、フローティングゲート部FGの電位は容量結合により容量線CLと同様に高電位側から低電位側へと徐々に下降する。フローティングゲート部FGの電位が高電位側から低電位側へ下がっていくと、トランジスタ160の抵抗値が高抵抗側から低抵抗側へと変化する。ビット線BLの電位は、読み出し回路の負荷323とトランジスタ160の抵抗分割により決定するため、トランジスタ160の抵抗値が下降するにつれ、ビット線BLの電位が上昇する。
【0116】
ここで、容量線CLの電位が変動する毎に、CLK信号線にH電位のパルスを発生させる。これにより、ビット線BLの電位が変動する毎に読み出し回路のクロックドインバータ326がビット線BLの電位に応じた出力信号を出力信号線SA_OUTに発生させることができる。
【0117】
具体的には、CLKB信号の電位がL電位の際は、接地電位GNDに接地されたトランジスタ328はゲート端子にL電位が入力されるため、接地電位GNDは出力信号線SA_OUTと導通しなくなり、ビット線BLの電位に対するクロックドインバータ326の出力が出力信号線SA_OUTに反映される。ビット線BLの電位が一定の電位(例えば、(VDD/2))未満の場合、読み出し回路のクロックドインバータ326は、出力信号線SA_OUTに出力する電位が、L電位からH電位へと変化する。CLKB信号の電位がH電位の際は、クロックドインバータ326は、出力信号線SA_OUTに対してハイインピーダンスとなり、接地電位GNDに接地されたnチャネル型のトランジスタ328により、接地電位GNDと出力信号線SA_OUTが導通するため、ビット線BLの電位によらず、出力信号線SA_OUTはL電位となる。
【0118】
図7(A)において説明したのと同様に、図9(A)に示すように、センスアンプとしてクロックドインバータ326を適用した場合は、図5(A)に示すセンスアンプとしてインバータ325を用いた場合よりも、さらに貫通電流を抑制することができる。
【0119】
CLK信号の電位がH電位の際のクロックドインバータ326の出力によって、メモリセル170のデータを確定することができる。さらに、CLK信号で読み出しの時間が制御されることによって、読み出し動作で消費される電流を低減させることができる。
【0120】
ここで、CLK信号の電位がH電位またはL電位となる時間の比は、1:1である必要は無い。むしろ、図9(A)に示すようにCLK信号の電位はH電位の時間が短いほうが消費電流の削減に効果がある。ただし、読み出し動作に支障が起きないことを前提とする。
【0121】
次に、図9(B)において、容量線CLの電位をL電位からH電位へと徐々に上昇させる場合、フローティングゲート部FGの電位は容量結合により容量線CLと同様に低電位側から高電位側へと徐々に上昇する。フローティングゲート部FGの電位が低電位側から高電位側へ上昇すると、トランジスタ160の抵抗値が高抵抗側から低抵抗側へと変化する。ビット線BLの電位は読み出し回路の負荷323とトランジスタ160の抵抗分割により決定するため、トランジスタ160の抵抗値が上昇するにつれ、ビット線BLの電位は下降する。
【0122】
ここで、容量線CLの電位が変動する毎に、CLK信号線にH電位のパルスを発生させる。これにより、ビット線BLの電位が変動する毎に読み出し回路のクロックドインバータ326がビット線BLの電位に応じた出力信号を出力信号線SA_OUTに発生させることができる。
【0123】
具体的には、CLKB信号の電位がL電位の際は、接地電位GNDに接地されたトランジスタ328はゲート端子にL電位が入力されるため、接地電位GNDは出力信号線SA_OUTと導通しなくなり、ビット線BLの電位に対するクロックドインバータ326の出力が出力信号線SA_OUTに反映される。ビット線BLの電位が一定の電位(例えば、(VDD/2))を超えると、読み出し回路のクロックドインバータ326は、出力信号線SA_OUTに出力する電位が、H電位からL電位へと変化する。CLKB信号の電位がH電位の際は、クロックドインバータ326は、出力信号線SA_OUTに対してハイインピーダンスとなり、接地電位GNDに接地されたnチャネル型のトランジスタ328により、接地電位GNDと出力信号線SA_OUTが導通するため、ビット線BLの電位によらず、出力信号線SA_OUTはL電位となる。
【0124】
図7(A)において説明したのと同様に、図9(B)に示すように、センスアンプとしてクロックドインバータ326を適用した場合は、図5(B)に示すセンスアンプとしてインバータ325を用いた場合よりも、さらに貫通電流を抑制することができる。
【0125】
CLK信号の電位がH電位の際のクロックドインバータ326の出力によって、メモリセル170のデータを確定することができる。さらに、CLK信号で読み出しの時間が制御されることによって、読み出し動作で消費される電流を低減させることができる。
【0126】
ここで、CLK信号の電位がH電位またはL電位となる時間の比は、1:1である必要は無い。むしろ、図9(B)に示すようにCLK信号の電位はH電位の時間が短いほうが消費電流の削減に効果がある。ただし、読み出し動作に支障が起きないことを前提とする。
【0127】
メモリセル170が多値化することにより、メモリセル170内のトランジスタ160の抵抗値の変化は細かくなり、読み出し回路内の負荷323とトランジスタ160の抵抗分割によって、ビット線BLの電位が中間電位になりやすくなる。
【0128】
この場合、図3に示すセンスアンプとして適用する素子によっては、図5に示すように入力信号の電位が(VDD/2)に近づくにつれ、貫通電流が流れてしまうおそれがある。また、メモリセル170の読み出し動作では、複数のビットを同時に読み出すことができるため、大量の消費電流を招くおそれがある。貫通電流を防止するために、センスアンプの代わりにコンパレータなどの回路構成を適用することができるが、回路面積が大きくなってしまう問題がある。
【0129】
そこで、図6および図8に示すように、センスアンプの代わりにクロックドインバータ326を適用することにより、貫通電流の低減を図ることができる。これにより、メモリセル170の読み出し動作において、読み出し回路に貫通電流が流れることを抑制することができる。また、複数のビットを同時に読み出す場合であっても、消費電力の低減を図ることができる。さらに、少ない回路構成で、メモリ読み出し回路を実現することができる。読み出し回路の小型化を図ることができる。これらにより、メモリ周辺回路の省スペース化と、消費電流の削減と、を図ることができる。
【0130】
次に、図10及び図12に、図6および図8に示す読み出し回路とは異なる読み出し回路の例を示す。図10及び図12において、センスアンプとしてクロックで制御可能なクロックドインバータ326を用いる。また、クロックドインバータ326の出力がハイインピーダンスになることを防止するため、VDDまたはGNDに接続したpチャネル型もしくはnチャネル型トランジスタをクロックドインバータ326の出力端子に接続する。さらに、クロックドインバータ326の出力にラッチ回路329を接続し、制御信号REを追加することで、より制御性に富んだ読み出し回路を実現することができる。
【0131】
図10に、クロックドインバータ326の入力には負荷323が接続され、クロックドインバータ326の出力に、VDDに接続したpチャネル型のトランジスタ327と、制御信号REによって制御されたラッチ回路329と、を接続した読み出し回路を示す。また、読み出し回路は、アナログスイッチ223aを介してメモリセル170が接続されている。
【0132】
次に、図11に、図10の読み出し動作におけるタイミングチャートを示す。
【0133】
図11において、容量線CLの電位をH電位からL電位へと徐々に下降させる場合、フローティングゲート部FGの電位は容量結合により容量線CLと同様に高電位側から低電位側へと徐々に下降する。フローティングゲート部FGの電位が高電位側から低電位側へ下降すると、トランジスタ160の抵抗値が高抵抗側から低抵抗側へと変化する。ビット線BLの電位は読み出し回路の負荷323とトランジスタ160の抵抗分割により決定するため、トランジスタ160の抵抗値が下降するにつれ、ビット線BLの電位は上昇する。
【0134】
ここで、容量線CLの電位が変動する毎に、CLK信号線にH電位のパルスを発生させる。これにより、ビット線BLの電位が変動する毎に読み出し回路のクロックドインバータ326がビット線BLの電位に応じた出力信号をインバータ出力信号線INV_OUTに発生させることができる。
【0135】
具体的には、CLK信号の電位がH電位の際は、電源電位VDDに接続されたトランジスタ327はゲート端子にH電位が入力されるため、電源電位VDDはインバータ出力信号線INV_OUTと導通しなくなり、ビット線BLの電位に対するクロックドインバータ326の出力がインバータ出力信号線INV_OUTに反映される。ビット線BLの電位が一定の電位(例えば、(VDD/2))を超えると、読み出し回路のクロックドインバータ326は、インバータ出力信号線INV_OUTに出力する電位が、H電位からL電位へと変化する。CLK信号の電位がL電位の際は、クロックドインバータ326は、インバータ出力信号線INV_OUTに対してハイインピーダンスとなり、VDDに接続されたpチャネル型のトランジスタ327によりVDDとインバータ出力信号線INV_OUTが導通するため、ビット線BLの電位によらず、インバータ出力信号線INV_OUTはH電位となる。
【0136】
ここで、ラッチ回路329は、制御信号REとインバータ出力信号線INV_OUTによって出力信号線SA_OUTに出力する電位を生成する。
【0137】
具体的には、ラッチ回路329は、制御信号REがL電位からH電位に変化すると出力信号線SA_OUTにH電位を出力する。ここで、インバータ出力信号線INV_OUTがH電位からL電位になると、出力信号線SA_OUTにL電位を出力する。その後、制御信号REがH電位の状態で出力信号線SA_OUTがL電位になった場合、INV_OUTが再びH電位になっても出力信号線SA_OUTはL電位を維持する。
【0138】
図7(A)において説明したのと同様に、図11に示すように、センスアンプとしてクロックドインバータ326を適用した場合は、図5(B)に示すセンスアンプとしてインバータ325を用いた場合よりも、さらに貫通電流を抑制することができる。
【0139】
また、クロックドインバータ326の出力に、VDDに接続したpチャネル型のトランジスタ327と、制御信号REによって制御されたラッチ回路329と、を接続することにより、出力信号線SA_OUTの波形を整形することができる。
【0140】
ラッチ回路329の動作及びタイミングについては、これに限定するものではなく、同様の機能を持つ回路であればよい。
【0141】
CLK信号の電位がH電位の際のクロックドインバータ326の出力によって、メモリセル170のデータを確定することができる。さらに、CLK信号で読み出しの時間が制御されることによって、読み出し動作で消費される電流を低減することができる。
【0142】
ここで、CLK信号の電位がH電位またはL電位となる時間の比は、1:1である必要は無い。むしろ、図11に示すようにCLK信号の電位はH電位の時間が短いほうが消費電流の削減に効果がある。ただし、読み出し動作に支障が起きないことを前提とする。
【0143】
図12に、クロックドインバータ326の入力には負荷323が接続され、クロックドインバータ326の出力に、GNDに接地したnチャネル型のトランジスタ328と、制御信号REによって制御されたラッチ回路329と、を接続した読み出し回路を示す。また、読み出し回路は、アナログスイッチ223aを介してメモリセル170が接続されている。
【0144】
次に、図13に、図12の読み出し動作におけるタイミングチャートを示す。図13において、容量線CLの電位をL電位からH電位へと徐々に上昇させる場合のタイミングチャートを示す。
【0145】
図13において、容量線CLの電位をL電位からH電位へと徐々に上昇させる場合、フローティングゲート部FGの電位は容量結合により容量線CLの電位と同様に低電位側から高電位側へと徐々に上昇する。フローティングゲート部FGの電位が低電位側から高電位側へ上昇すると、トランジスタ160の抵抗値が低抵抗側から高抵抗側へと変化する。ビット線BLの電位は読み出し回路の負荷323とトランジスタ160の抵抗分割により決定するため、トランジスタ160の抵抗値が上昇するにつれ、ビット線BLの電位は下降する。
【0146】
ここで、容量線CLの電位が変動する毎に、CLK信号線にH電位のパルスを発生させる。これにより、ビット線BLの電位が変動する毎に読み出し回路のクロックドインバータ326がビット線BLの電位に応じた出力信号をインバータ出力信号線INV_OUTに発生させることができる。
【0147】
具体的には、CLKB信号の電位がL電位の際は接地電位GNDに接地されたトランジスタ328はゲート端子にL電位が入力されるため、接地電位GNDはインバータ出力信号線INV_OUTと導通しなくなり、ビット線BLの電位に対するクロックドインバータ326の出力がインバータ出力信号線INV_OUTに反映される。ビット線BLの電位が一定の電位(例えば、(VDD/2))未満の場合、読み出し回路のクロックドインバータ326は、インバータ出力信号線INV_OUTに出力する電位が、L電位からH電位へと変化する。CLKB信号の電位がH電位の際は、クロックドインバータ326は、インバータ出力信号線INV_OUTに対してハイインピーダンスとなり、VDDに接続されたnチャネル型のトランジスタ328によりGNDとインバータ出力信号線INV_OUTが導通するため、ビット線BLの電位によらず、インバータ出力信号線INV_OUTはL電位となる。
【0148】
ここで、ラッチ回路329は、制御信号REとインバータ出力信号線INV_OUTによって出力信号線SA_OUTに出力する電位を生成する。
【0149】
具体的には、ラッチ回路329は、制御信号REがL電位からH電位に変化すると出力信号線SA_OUTにH電位を出力する。ここで、インバータ出力信号線INV_OUTがL電位からH電位になると、出力信号線SA_OUTにL電位を出力する。その後制御信号REがH電位の状態で出力信号線SA_OUTがL電位になった場合、INV_OUTが再びL電位になっても出力信号線SA_OUTはL電位を維持する。
【0150】
図7(A)において説明したのと同様に、図13に示すように、センスアンプとしてクロックドインバータ326を適用した場合は、図5(B)に示すセンスアンプとしてインバータ325を用いた場合よりも、さらに貫通電流を抑制することができる。
【0151】
また、クロックドインバータ326の出力に、VDDに接続されたpチャネル型のトランジスタ327と、制御信号REによって制御されたラッチ回路329と、を接続することにより、出力信号線SA_OUTの波形を整形することができる。
【0152】
ラッチ回路329の動作及びタイミングについては、これに限定するものではなく、同様の機能を持つ回路であればよい。
【0153】
このように、CLK信号の電位がH電位の際のクロックドインバータ326の出力によって、メモリセルのデータを確定することができる。さらに、CLK信号で読み出しの時間が制御されることによって、読み出し動作で消費される電流を低減することができる。
【0154】
ここで、CLK信号の電位がH電位又はL電位となる時間の比は、1:1である必要は無い。むしろ、図13に示すようにCLK信号の電位はH電位の時間が短いほうが消費電流の削減に効果がある。ただし、読み出し動作に支障が起きないことを前提とする。
【0155】
以上のように、センスアンプの具体的な回路例としてクロックドインバータを適用することにより、少ない回路構成で、貫通電流を抑制したメモリ読み出し回路を実現することができる。これらにより、メモリ周辺回路の省スペース化と、消費電流の削減と、を図ることができる。さらに、半導体装置の省スペース化と、消費電流の削減と、を図ることができる。
【0156】
次に、図3乃至図13を適用することができる半導体装置の一例を示す。
【0157】
具体的には、入出力データ信号線I/Oを8本有し、1つのメモリセルに対して4ビット(16値(2値))のデータを書き込み又は読み出しする回路構成を例として、説明する。また、特に断りのない限り、H電位はVDD、L電位はGNDを示す。
【0158】
図14は、半導体装置のブロック図の一例である。図14に示す半導体装置は、複数のメモリセル170を有するメモリセルアレイ201と、列駆動回路202と、行駆動回路203と、コントローラ204と、カウンタ206と、I/O制御回路205と、電位生成回路207と、を有する。
【0159】
メモリセルアレイ201は、ビット線BLおよびソース線SLを制御する列駆動回路202と、ゲート線GLおよび容量線CLを制御する行駆動回路203と、に接続されている。列駆動回路202は、電位生成回路207と、カウンタ206と、I/O制御回路205と、に接続されている。行駆動回路203は、電位生成回路207に接続されている。また、電位生成回路207はカウンタ206に接続されている。メモリセルアレイ201を除くこれらの回路は、コントローラ204に接続されている。
【0160】
I/O制御回路205は、8本の入出力データ信号線I/O1〜I/O8が接続され、入力データ信号線DIN1〜DIN8および出力データ信号線DOUT1〜DOUT8を介して列駆動回路202に接続されている。また、I/O制御回路205は、コントローラ204によって制御される。例えば、I/O制御回路205にコントローラ204と接続される制御線からH電位が入力された場合、8本の入出力データ信号線I/O1〜I/O8の信号がI/O制御回路205に入力され、それぞれ8本の入力データ信号線DIN1〜DIN8と導通し、列駆動回路202に出力する。または、I/O制御回路205にコントローラ204と接続される制御線からL電位が入力された場合、列駆動回路202から8本の出力データ信号線DOUT1〜DOUT8の信号がI/O制御回路205に入力され、それぞれ8本の入出力データ信号線I/O1〜I/O8と導通し、入出力データ信号線I/O1〜I/O8に出力する。
【0161】
カウンタ206は、カウンタ信号線COUNT1〜COUNT4を介して列駆動回路202および電位生成回路207とそれぞれ接続されている。また、カウンタ206は、コントローラ204によって制御され、4ビットのカウンタ信号線COUNT1〜COUNT4のデータを、列駆動回路202および電位生成回路207にそれぞれ出力する。
【0162】
電位生成回路207は、アナログ電源電圧線V1〜V16および定電源線Vreadを介して列駆動回路202に接続され、可変電源線VRを介して行駆動回路203に接続されている。また、電位生成回路207は、コントローラ204によって制御され、高電源電圧VHと、アナログ電源電圧線V1〜V16の電圧と、定電源線Vreadの電圧を、列駆動回路202に出力し、カウンタ信号線COUNT1〜COUNT4のデータによって電圧が変動する可変電源線VRの電圧と、高電源電圧VHを行駆動回路203に出力する。本実施の形態では、アナログ電源電圧線V1〜V16の電圧の関係は、V1<V2<V3<V4<V5<V6<V7<V8<V9<V10<V11<V12<V13<V14<V15<V16<VHとする。また、アナログ電源電圧線V1の電圧は、GNDとする。可変電源線VRの電圧は、カウンタ信号線COUNT1〜COUNT4のデータが小さいほど大きくなるものとする。但し、可変電源線VRは、コントローラ204によって制御されており、読み出し動作時は、カウンタ信号線COUNT1〜COUNT4のデータに応じた電圧を出力するが、それ以外の場合は、L電位を出力する。
【0163】
図14に示すビット線/ソース線駆動回路221には、上述の読み出し回路が設けられている。読み出し回路に、クロックドインバータ326を適用することにより、少ない回路構成で、貫通電流を抑制したメモリ読み出し回路を実現することができる。これらにより、メモリ周辺回路の省スペース化と、消費電流の削減と、を図ることができる。さらに、半導体装置の省スペース化と、消費電流の削減と、を図ることができる。
【0164】
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【0165】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る半導体装置の構成およびその作製方法について図17乃至図22を参照して説明する。
【0166】
〈半導体装置の断面構成および平面構成〉
図17は、半導体装置の構成の一例である。図17(A)には、半導体装置の断面を、図17(B)には、半導体装置の平面を、それぞれ示す。ここで、図17(A)は、図17(B)のA1−A2およびB1−B2における断面に相当する。図17(A)および図17(B)に示す半導体装置は、下部に第1の半導体材料を用いたトランジスタ160を有し、上部に第2の半導体材料を用いたトランジスタ162を有する。ここで、第1の半導体材料と第2の半導体材料とは異なる材料とすることが望ましい。例えば、第1の半導体材料を酸化物半導体以外の半導体材料とし、第2の半導体材料を酸化物半導体とすることができる。酸化物半導体以外の半導体材料としては、例えば、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、またはガリウムヒ素等を用いることができ、単結晶半導体を用いることが好ましい。他に、有機半導体材料などを用いてもよい。このような半導体材料を用いたトランジスタは、高速動作が容易である。一方で、酸化物半導体を用いたトランジスタは、その特性により長時間の電荷保持を可能とする。図17に示す半導体装置は、メモリセルとして用いることができる。
【0167】
なお、本発明の技術的な本質は、情報を保持するために酸化物半導体のようなオフ電流を十分に低減することが可能な半導体材料をトランジスタ162に用いる点にあるから、半導体装置に用いられる材料や半導体装置の構造など、半導体装置の具体的な構成をここで示すものに限定する必要はない。
【0168】
図17におけるトランジスタ160は、半導体基板500上の半導体層中に設けられたチャネル形成領域134と、チャネル形成領域134を挟むように設けられた不純物領域132(ソース領域およびドレイン領域とも記す)と、チャネル形成領域134上に設けられたゲート絶縁層122aと、ゲート絶縁層122a上にチャネル形成領域134と重畳するように設けられたゲート電極128aと、を有する。なお、図において、明示的にはソース電極やドレイン電極を有しない場合があるが、便宜上、このような状態を含めてトランジスタと呼ぶ場合がある。また、この場合、トランジスタの接続関係を説明するために、ソース領域やドレイン領域を含めてソース電極やドレイン電極と表現することがある。つまり、本明細書において、ソース電極との記載には、ソース領域が含まれうる。
【0169】
また、半導体基板500上の半導体層中に設けられた不純物領域126には、導電層128bが接続されている。ここで、導電層128bは、トランジスタ160のソース電極やドレイン電極としても機能する。また、不純物領域132と不純物領域126との間には、不純物領域130が設けられている。また、トランジスタ160を覆うように絶縁層136、絶縁層138、および絶縁層140が設けられている。なお、高集積化を実現するためには、図17に示すようにトランジスタ160がサイドウォール絶縁層を有しない構成とすることが望ましい。一方で、トランジスタ160の特性を重視する場合には、ゲート電極128aの側面にサイドウォール絶縁層を設け、不純物濃度が異なる領域を含む不純物領域132を設けても良い。
【0170】
図17におけるトランジスタ162は、絶縁層140などの上に設けられた酸化物半導体層144と、酸化物半導体層144と電気的に接続されているソース電極(またはドレイン電極)142a、およびドレイン電極(またはソース電極)142bと、酸化物半導体層144、ソース電極142aおよびドレイン電極142bを覆うゲート絶縁層146と、ゲート絶縁層146上に酸化物半導体層144と重畳するように設けられたゲート電極148aと、を有する。
【0171】
ここで、酸化物半導体層144は水素などの不純物が十分に除去されることにより、また十分な酸素が供給されることにより、高純度化されたものであることが望ましい。具体的には、例えば、酸化物半導体層144の水素濃度は5×1019atoms/cm以下、望ましくは5×1018atoms/cm以下、より望ましくは5×1017atoms/cm以下とする。なお、上述の酸化物半導体層144中の水素濃度は、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectroscopy)で測定されるものである。このように、水素濃度が十分に低減されて高純度化され、十分な酸素の供給により酸素欠損に起因するエネルギーギャップ中の欠陥準位が低減された酸化物半導体層144では、キャリア濃度が1×1012/cm未満、望ましくは、1×1011/cm未満、より望ましくは1.45×1010/cm未満となる。例えば、室温(25℃)でのオフ電流(ここでは、単位チャネル幅(1μm)あたりの値)は100zA(1zA(ゼプトアンペア)は1×10−21A)以下、望ましくは10zA以下となる。このように、i型化(真性化)または実質的にi型化された酸化物半導体を用いることで、極めて優れたオフ電流特性のトランジスタ162を得ることができる。
【0172】
なお、図17のトランジスタ162では、微細化に起因して素子間に生じるリークを抑制するために、島状に加工された酸化物半導体層144を用いているが、島状に加工されていない構成を採用しても良い。酸化物半導体層を島状に加工しない場合には、加工の際のエッチングによる酸化物半導体層144の汚染を防止できる。
【0173】
図17における容量素子164は、ドレイン電極142b、ゲート絶縁層146、および導電層148b、とで構成される。すなわち、ドレイン電極142bは、容量素子164の一方の電極として機能し、導電層148bは、容量素子164の他方の電極として機能することになる。このような構成とすることにより、十分な容量を確保することができる。また、酸化物半導体層144とゲート絶縁層146とを積層させる場合には、ドレイン電極142bと、導電層148bとの絶縁性を十分に確保することができる。さらに、容量が不要の場合は、容量素子164を設けない構成とすることもできる。
【0174】
本実施の形態では、トランジスタ162および容量素子164が、トランジスタ160と少なくとも一部が重畳するように設けられている。このような平面レイアウトを採用することにより、高集積化を図ることができる。例えば、最小加工寸法をFとして、メモリセルの占める面積を15F〜25Fとすることが可能である。
【0175】
トランジスタ162および容量素子164の上には、絶縁層150が設けられている。そして、ゲート絶縁層146および絶縁層150に形成された開口には、配線154が設けられている。配線154は、メモリセルの一と他のメモリセルとを接続する配線であり、図2の回路図におけるビット線BLに相当する。配線154は、ソース電極142aと、導電層128bとを介して、不純物領域126に接続されている。これにより、トランジスタ160におけるソース領域またはドレイン領域と、トランジスタ162におけるソース電極142aと、をそれぞれ異なる配線に接続する場合と比較して、配線の数を削減することができるため、半導体装置の集積度を向上させることができる。
【0176】
また、導電層128bを設けることにより、不純物領域126とソース電極142aの接続する位置と、ソース電極142aと配線154との接続する位置を、重畳して設けることができる。このような平面レイアウトを採用することにより、コンタクト領域に起因する素子面積の増大を抑制することができる。つまり、半導体装置の集積度を高めることができる。
【0177】
〈SOI基板の作製方法〉
次に、上記半導体装置の作製に用いられるSOI基板の作製方法の一例について、図18を参照して説明する。
【0178】
まず、ベース基板として半導体基板500を準備する(図18(A)参照)。半導体基板500としては、単結晶シリコン基板、単結晶ゲルマニウム基板などの半導体基板を用いることができる。また、半導体基板として、太陽電池級シリコン(SOG−Si:Solar Grade Silicon)基板などを用いても良い。また、多結晶半導体基板を用いても良い。太陽電池級シリコンや、多結晶半導体基板などを用いる場合には、単結晶シリコン基板などを用いる場合と比較して、製造コストを抑制することができる。
【0179】
なお、半導体基板500に変えて、アルミノシリケートガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスのような電子工業用に使われる各種ガラス基板、石英基板、セラミック基板、サファイア基板が挙げられる。また、窒化シリコンと酸化アルミニウムを主成分とした熱膨張係数がシリコンに近いセラミック基板を用いてもよい。
【0180】
半導体基板500は、その表面をあらかじめ洗浄しておくことが好ましい。具体的には、半導体基板500に対して、塩酸過酸化水素水混合溶液(HPM)、硫酸過酸化水素水混合溶液(SPM)、アンモニア過酸化水素水混合溶液(APM)、希フッ酸(DHF)等を用いて洗浄を行うのが好ましい。
【0181】
次に、ボンド基板を準備する。ここでは、ボンド基板として単結晶半導体基板510を用いる(図18(B)参照)。なお、ここでは、ボンド基板として単結晶のものを用いるが、ボンド基板の結晶性を単結晶に限る必要はない。
【0182】
単結晶半導体基板510としては、例えば、単結晶シリコン基板、単結晶ゲルマニウム基板、単結晶シリコンゲルマニウム基板など、第14族元素でなる単結晶半導体基板を用いることができる。また、ガリウムヒ素やインジウムリン等の化合物半導体基板を用いることもできる。市販のシリコン基板としては、直径5インチ(125mm)、直径6インチ(150mm)、直径8インチ(200mm)、直径12インチ(300mm)、直径16インチ(400mm)サイズの円形のものが代表的である。なお、単結晶半導体基板510の形状は円形に限らず、例えば、矩形等に加工したものであっても良い。また、単結晶半導体基板510は、CZ(チョクラルスキー)法やFZ(フローティングゾーン)法を用いて作製することができる。
【0183】
単結晶半導体基板510の表面には酸化膜512を形成する(図18(C)参照)。なお、汚染物除去の観点から、酸化膜512の形成前に、塩酸過酸化水素水混合溶液(HPM)、硫酸過酸化水素水混合溶液(SPM)、アンモニア過酸化水素水混合溶液(APM)、希フッ酸(DHF)、FPM(フッ酸、過酸化水素水、純水の混合液)等を用いて単結晶半導体基板510の表面を洗浄しておくことが好ましい。希フッ酸とオゾン水を交互に吐出して洗浄してもよい。
【0184】
酸化膜512は、例えば、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜等を単層で、または積層させて形成することができる。上記酸化膜512の作製方法としては、熱酸化法、CVD法、スパッタリング法などがある。また、CVD法を用いて酸化膜512を形成する場合、良好な貼り合わせを実現するためには、テトラエトキシシラン(略称;TEOS:化学式Si(OC)等の有機シランを用いて酸化シリコン膜を形成することが好ましい。
【0185】
本実施の形態では、単結晶半導体基板510に熱酸化処理を行うことにより酸化膜512(ここでは、SiO膜)を形成する。熱酸化処理は、酸化性雰囲気中にハロゲンを添加して行うことが好ましい。
【0186】
例えば、塩素(Cl)が添加された酸化性雰囲気中で単結晶半導体基板510に熱酸化処理を行うことにより、塩素酸化された酸化膜512を形成することができる。この場合、酸化膜512は、塩素原子を含有する膜となる。このような塩素酸化により、外因性の不純物である重金属(例えば、Fe、Cr、Ni、Mo等)を捕集して金属の塩化物を形成し、これを外方に除去して単結晶半導体基板510の汚染を低減させることができる。
【0187】
なお、酸化膜512に含有させるハロゲン原子は塩素原子に限られない。酸化膜512にはフッ素原子を含有させてもよい。単結晶半導体基板510表面をフッ素酸化する方法としては、HF溶液に浸漬させた後に酸化性雰囲気中で熱酸化処理を行う方法や、NFを酸化性雰囲気に添加して熱酸化処理を行う方法などがある。
【0188】
次に、イオンを電界で加速して単結晶半導体基板510に照射し、添加することで、単結晶半導体基板510の所定の深さに結晶構造が損傷した脆化領域514を形成する(図18(D)参照)。
【0189】
脆化領域514が形成される領域の深さは、イオンの運動エネルギー、イオンの質量と電荷、イオンの入射角などによって調節することができる。また、脆化領域514は、イオンの平均侵入深さとほぼ同じ深さの領域に形成される。このため、イオンを添加する深さで、単結晶半導体基板510から分離される単結晶半導体層の厚さを調節することができる。例えば、単結晶半導体層の厚さが、10nm以上500nm以下、好ましくは50nm以上200nm以下程度となるように平均侵入深さを調節すれば良い。
【0190】
当該イオンの照射処理は、イオンドーピング装置やイオン注入装置を用いて行うことができる。イオンドーピング装置の代表例としては、プロセスガスをプラズマ励起して生成された全てのイオン種を被処理体に照射する非質量分離型の装置がある。当該装置では、プラズマ中のイオン種を質量分離しないで被処理体に照射することになる。これに対して、イオン注入装置は質量分離型の装置である。イオン注入装置では、プラズマ中のイオン種を質量分離し、ある特定の質量のイオン種を被処理体に照射する。
【0191】
本実施の形態では、イオンドーピング装置を用いて、水素を単結晶半導体基板510に添加する例について説明する。ソースガスとしては水素を含むガスを用いる。照射するイオンについては、Hの比率を高くすると良い。具体的には、H、H、Hの総量に対してHの割合が50%以上(より好ましくは80%以上)となるようにする。Hの割合を高めることで、イオン照射の効率を向上させることができる。
【0192】
なお、添加するイオンは水素に限定されない。ヘリウムなどのイオンを添加しても良い。また、添加するイオンは一種類に限定されず、複数種類のイオンを添加しても良い。例えば、イオンドーピング装置を用いて水素とヘリウムとを同時に照射する場合には、異なる工程で照射する場合と比較して工程数を低減することができると共に、後の単結晶半導体層の表面荒れを抑えることが可能である。
【0193】
なお、イオンドーピング装置を用いて脆化領域514を形成する場合には、重金属も同時に添加されるおそれがあるが、ハロゲン原子を含有する酸化膜512を介してイオンの照射を行うことによって、これら重金属による単結晶半導体基板510の汚染を防ぐことができる。
【0194】
次に、半導体基板500と、単結晶半導体基板510とを対向させ、酸化膜512を介して密着させる。これにより、半導体基板500と、単結晶半導体基板510とが貼り合わされる(図18(E)参照)。なお、単結晶半導体基板510と貼り合わせる半導体基板500の表面に酸化膜または窒化膜を成膜してもよい。
【0195】
貼り合わせの際には、半導体基板500または単結晶半導体基板510の一箇所に、0.001N/cm以上100N/cm以下、例えば、1N/cm以上20N/cm以下の圧力を加えることが望ましい。圧力を加えて、貼り合わせ面を接近、密着させると、密着させた部分において半導体基板500と酸化膜512の接合が生じ、当該部分を始点として自発的な接合がほぼ全面におよぶ。この接合には、ファンデルワールス力や水素結合が作用しており、常温で行うことができる。
【0196】
なお、単結晶半導体基板510と半導体基板500とを貼り合わせる前には、貼り合わせに係る表面につき、表面処理を行うことが好ましい。表面処理を行うことで、単結晶半導体基板510と半導体基板500との界面での接合強度を向上させることができる。
【0197】
表面処理としては、ウェット処理、ドライ処理、またはウェット処理とドライ処理の組み合わせ、を用いることができる。また、異なるウェット処理どうしを組み合わせて用いても良いし、異なるドライ処理どうしを組み合わせて用いても良い。
【0198】
なお、貼り合わせの後には、接合強度を増加させるための熱処理を行ってもよい。この熱処理の温度は、脆化領域514における分離が生じない温度(例えば、室温以上400℃未満)とする。また、この温度範囲で加熱しながら、半導体基板500と酸化膜512とを接合させてもよい。上記熱処理には、拡散炉、抵抗加熱炉などの加熱炉、RTA(瞬間熱アニール、Rapid Thermal Anneal)装置、マイクロ波加熱装置などを用いることができる。なお、上記温度条件はあくまで一例に過ぎず、本発明の一態様がこれに限定して解釈されるものではない。
【0199】
次に、熱処理を行うことにより、単結晶半導体基板510を脆化領域において分離して、半導体基板500上に、酸化膜512を介して単結晶半導体層516を形成する(図18(F)参照)。
【0200】
なお、上記分離の際の熱処理温度は、できる限り低いものであることが望ましい。分離の際の温度が低いほど、単結晶半導体層516の表面荒れを抑制できるためである。具体的には、例えば、上記分離の際の熱処理温度は、300℃以上600℃以下とすればよく、500℃以下(400℃以上)とすると、より効果的である。
【0201】
なお、単結晶半導体基板510を分離した後には、単結晶半導体層516に対して、500℃以上の温度で熱処理を行い、単結晶半導体層516中に残存する水素の濃度を低減させてもよい。
【0202】
次に、単結晶半導体層516の表面にレーザー光を照射することによって、表面の平坦性を向上させ、かつ欠陥を低減させた単結晶半導体層518を形成する(図18(G)参照)。なお、レーザー光の照射処理に代えて、熱処理を行っても良い。
【0203】
なお、本実施の形態においては、単結晶半導体層516の分離に係る熱処理の直後に、レーザー光の照射処理を行っているが、本発明の一態様はこれに限定して解釈されない。単結晶半導体層516の分離に係る熱処理の後にエッチング処理を施して、単結晶半導体層516表面の欠陥が多い領域を除去してから、レーザー光の照射処理を行っても良いし、単結晶半導体層516表面の平坦性を向上させてからレーザー光の照射処理を行ってもよい。なお、上記エッチング処理としては、ウェットエッチング、ドライエッチングのいずれを用いてもよい。また、本実施の形態においては、上述のようにレーザー光を照射した後、単結晶半導体層516の膜厚を小さくする薄膜化工程を行ってもよい。単結晶半導体層516の薄膜化には、ドライエッチングまたはウェットエッチングの一方、または双方を用いればよい。
【0204】
以上の工程により、良好な特性の単結晶半導体層518を有するSOI基板を得ることができる(図18(G)参照)。
【0205】
〈半導体装置の作製方法〉
次に、上記のSOI基板を用いた半導体装置の作製方法について、図19乃至図22を参照して説明する。
【0206】
〈下部のトランジスタの作製方法〉
はじめに下部のトランジスタ160の作製方法について、図19および図20を参照して説明する。なお、図19および図20は、図18に示す方法で作製したSOI基板の一部であって、図17(A)に示す下部のトランジスタに相当する断面工程図である。
【0207】
まず、単結晶半導体層518を島状に加工して、半導体層120を形成する(図19(A)参照)。なお、この工程の前後において、トランジスタのしきい値電圧を制御するために、n型の導電性を付与する不純物元素や、p型の導電性を付与する不純物元素を半導体層に添加してもよい。半導体がシリコンの場合、n型の導電性を付与する不純物元素としては、例えば、リンや砒素などを用いることができる。また、p型の導電性を付与する不純物元素としては、例えば、硼素、アルミニウム、ガリウムなどを用いることができる。
【0208】
次に、半導体層120を覆うように絶縁層122を形成する(図19(B)参照)。絶縁層122は、後にゲート絶縁層となるものである。絶縁層122は、例えば、半導体層120表面の熱処理(熱酸化処理や熱窒化処理など)によって形成することができる。熱処理に代えて、高密度プラズマ処理を適用しても良い。高密度プラズマ処理は、例えば、He、Ar、Kr、Xeなどの希ガス、酸素、酸化窒素、アンモニア、窒素、水素などのうちいずれかの混合ガスを用いて行うことができる。もちろん、CVD法やスパッタリング法等を用いて絶縁層を形成しても良い。当該絶縁層122は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化シリコン、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化イットリウム、ハフニウムシリケート(HfSixOy(x>0、y>0))、窒素が添加されたハフニウムシリケート(HfSixOy(x>0、y>0))、窒素が添加されたハフニウムアルミネート(HfAlxOy(x>0、y>0))等を含む単層構造または積層構造とすることが望ましい。また、絶縁層122の厚さは、例えば、1nm以上100nm以下、好ましくは10nm以上50nm以下とすることができる。ここでは、プラズマCVD法を用いて、酸化シリコンを含む絶縁層を単層で形成することとする。
【0209】
次に、絶縁層122上にマスク124を形成し、一導電性を付与する不純物元素を半導体層120に添加して、不純物領域126を形成する(図19(C)参照)。なお、ここでは、不純物元素を添加した後、マスク124は除去する。
【0210】
次に、絶縁層122上にマスクを形成し、絶縁層122が不純物領域126と重畳する領域の一部を除去することにより、ゲート絶縁層122aを形成する(図19(D)参照)。絶縁層122の除去方法として、ウェットエッチングまたはドライエッチングなどのエッチング処理を用いることができる。
【0211】
次に、ゲート絶縁層122a上にゲート電極(これと同じ層で形成される配線を含む)を形成するための導電層を形成し、当該導電層を加工して、ゲート電極128aおよび導電層128bを形成する(図19(E)参照)。
【0212】
ゲート電極128aおよび導電層128bに用いる導電層としては、アルミニウムや銅、チタン、タンタル、タングステン等の金属材料を用いて形成することができる。また、多結晶シリコンなどの半導体材料を用いて、導電材料を含む層を形成しても良い。形成方法も特に限定されず、蒸着法、CVD法、スパッタリング法、スピンコート法などの各種成膜方法を用いることができる。また、導電層の加工は、レジストマスクを用いたエッチングによって行うことができる。
【0213】
次に、ゲート電極128aおよび導電層128bをマスクとして、一導電型を付与する不純物元素を半導体層に添加して、チャネル形成領域134、不純物領域132、および不純物領域130を形成する(図20(A)参照)。ここでは、p型トランジスタを形成するために、ボロン(B)などの不純物元素を添加する。または、n型トランジスタを形成する場合には、リン(P)やヒ素(As)などの不純物元素を添加する。ここで、添加される不純物元素の濃度は適宜設定することができる。また、不純物元素を添加した後には、活性化のための熱処理を行う。ここで、不純物領域の濃度は、不純物領域126、不純物領域132、不純物領域130の順に高くなる。
【0214】
次に、ゲート絶縁層122a、ゲート電極128a、導電層128bを覆うように、絶縁層136、絶縁層138および絶縁層140を形成する(図20(B)参照)。
【0215】
絶縁層136、絶縁層138、絶縁層140は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム等の無機絶縁材料を含む材料を用いて形成することができる。特に、絶縁層136、絶縁層138、絶縁層140に誘電率の低い(low−k)材料を用いることで、各種電極や配線の重なりに起因する容量を十分に低減することが可能になるため好ましい。なお、絶縁層136、絶縁層138、絶縁層140には、これらの材料を用いた多孔性の絶縁層を適用しても良い。多孔性の絶縁層では、密度の高い絶縁層と比較して誘電率が低下するため、電極や配線に起因する容量をさらに低減することが可能である。また、絶縁層136や絶縁層138、絶縁層140は、ポリイミド、アクリル等の有機絶縁材料を用いて形成することも可能である。本実施の形態では、絶縁層136として酸化窒化シリコン、絶縁層138として窒化酸化シリコン、絶縁層140として酸化シリコンを用いる場合について説明する。なお、ここでは、絶縁層136、絶縁層138および絶縁層140の積層構造としているが、本発明の一態様はこれに限定されない。1層または2層としても良いし、4層以上の積層構造としても良い。
【0216】
次に、絶縁層138および絶縁層140にCMP(化学的機械研磨)処理やエッチング処理を行うことにより、絶縁層138および絶縁層140を平坦化する(図20(C)参照)。ここでは、絶縁層138が一部露出されるまで、CMP処理を行う。絶縁層138に窒化酸化シリコンを用い、絶縁層140に酸化シリコンを用いた場合、絶縁層138はエッチングストッパとして機能する。
【0217】
次に、絶縁層138および絶縁層140にCMP処理やエッチング処理を行うことにより、ゲート電極128aおよび導電層128bの上面を露出させる(図20(D)参照)。ここでは、ゲート電極128aおよび導電層128bが一部露出されるまで、エッチング処理を行う。当該エッチング処理は、ドライエッチングを用いることが好適であるが、ウェットエッチングを用いてもよい。ゲート電極128aおよび導電層128bの一部を露出させる工程において、後に形成されるトランジスタ162の特性を向上させるために、絶縁層136、絶縁層138、絶縁層140の表面は可能な限り平坦にしておくことが好ましい。
【0218】
以上の工程により、下部のトランジスタ160を形成することができる(図20(D)参照)。
【0219】
なお、上記の各工程の前後には、さらに電極や配線、半導体層、絶縁層などを形成する工程を含んでいても良い。例えば、配線の構造として、絶縁層および導電層の積層構造でなる多層配線構造を採用して、高度に集積化した半導体装置を実現することも可能である。
【0220】
〈上部のトランジスタの作製方法〉
次に、上部のトランジスタ162の作製方法について、図21および図22を参照して説明する。
【0221】
まず、ゲート電極128a、導電層128b、絶縁層136、絶縁層138、絶縁層140などの上に酸化物半導体層を形成し、当該酸化物半導体層を加工して、酸化物半導体層144を形成する(図21(A)参照)。なお、酸化物半導体層を形成する前に、絶縁層136、絶縁層138、絶縁層140の上に、下地として機能する絶縁層を設けても良い。当該絶縁層は、スパッタリング法をはじめとするPVD法やプラズマCVD法などのCVD法などを用いて形成することができる。
【0222】
用いる酸化物半導体としては、少なくともインジウム(In)あるいは亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。特にInとZnを含むことが好ましい。また、該酸化物半導体を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすためのスタビライザーとして、それらに加えてガリウム(Ga)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてスズ(Sn)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてハフニウム(Hf)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてアルミニウム(Al)を有することが好ましい。
【0223】
また、他のスタビライザーとして、ランタノイドである、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)のいずれか一種あるいは複数種を有してもよい。
【0224】
酸化物半導体層に用いる材料としては、四元系金属酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn−O系の材料、In−Hf−Ga−Zn−O系の材料、In−Al−Ga−Zn−O系の材料、In−Sn−Al−Zn−O系の材料、In−Sn−Hf−Zn−O系の材料、In−Hf−Al−Zn−O系の材料や、三元系金属酸化物であるIn−Ga−Zn−O系の材料、In−Sn−Zn−O系の材料、In−Al−Zn−O系の材料、Sn−Ga−Zn−O系の材料、Al−Ga−Zn−O系の材料、Sn−Al−Zn−O系の材料や、In−Hf−Zn−O系の材料、In−La−Zn−O系の材料、In−Ce−Zn−O系の材料、In−Pr−Zn−O系の材料、In−Nd−Zn−O系の材料、In−Sm−Zn−O系の材料、In−Eu−Zn−O系の材料、In−Gd−Zn−O系の材料、In−Tb−Zn−O系の材料、In−Dy−Zn−O系の材料、In−Ho−Zn−O系の材料、In−Er−Zn−O系の材料、In−Tm−Zn−O系の材料、In−Yb−Zn−O系の材料、In−Lu−Zn−O系の材料や、二元系金属酸化物であるIn−Zn−O系の材料、Sn−Zn−O系の材料、Al−Zn−O系の材料、Zn−Mg−O系の材料、Sn−Mg−O系の材料、In−Mg−O系の材料、In−Ga−O系の材料や、In−O系の材料、Sn−O系の材料、Zn−O系の材料などを用いることができる。また、上記の材料にSiOを含ませてもよい。ここで、例えば、In−Ga−Zn−O系の材料とは、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)を有する酸化物膜、という意味であり、その組成比は特に問わない。また、InとGaとZn以外の元素を含んでいてもよい。
【0225】
また、酸化物半導体として、化学式InMO(ZnO)(m>0)で表記される材料を用いてもよい。ここで、Mは、Ga、Fe、Al、MnおよびCoから選ばれた一または複数の金属元素を示す。例えば、Mとして、Ga、GaおよびAl、GaおよびMn、またはGaおよびCoなどを用いることができる。また、酸化物半導体として、InSnO(ZnO)(n>0、且つ、nは整数)で表記される材料を用いてもよい。
【0226】
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1(=1/3:1/3:1/3)あるいはIn:Ga:Zn=2:2:1(=2/5:2/5:1/5)の原子数比のIn−Ga−Zn−O系の材料やその組成の近傍の酸化物を用いることができる。あるいは、In:Sn:Zn=1:1:1(=1/3:1/3:1/3)、In:Sn:Zn=2:1:3(=1/3:1/6:1/2)あるいはIn:Sn:Zn=2:1:5(=1/4:1/8:5/8)の原子数比のIn−Sn−Zn−O系の材料やその組成の近傍の酸化物を用いるとよい。
【0227】
しかし、これらに限られず、必要とする半導体特性(移動度、しきい値、ばらつき等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とする半導体特性を得るために、キャリア濃度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間結合距離、密度等を適切なものとすることが好ましい。
【0228】
例えば、In−Sn−Zn−O系の材料では比較的容易に高い移動度が得られる。しかしながら、In−Ga−Zn−O系の材料でも、バルク内欠陥密度を低減することにより移動度を上げることができる。
【0229】
なお、例えば、In、Ga、Znの原子数比がIn:Ga:Zn=a:b:c(a+b+c=1)である酸化物の組成が、原子数比がIn:Ga:Zn=A:B:C(A+B+C=1)の酸化物の組成の近傍であるとは、a、b、cが、
(a―A)+(b―B)+(c―C)≦r
を満たすことをいい、rとしては、例えば、0.05とすればよい。他の酸化物でも同様である。
【0230】
酸化物半導体は単結晶でも、非単結晶でもよい。後者の場合、アモルファスでも、多結晶でもよい。また、アモルファス中に結晶性を有する部分を含む構造でも、非アモルファスでもよい。
【0231】
アモルファス状態の酸化物半導体は、比較的容易に平坦な表面を得ることができるため、これを用いてトランジスタを作製した際の界面散乱を低減でき、比較的容易に、比較的高い移動度を得ることができる。
【0232】
また、結晶性を有する酸化物半導体では、よりバルク内欠陥を低減することができ、表面の平坦性を高めればアモルファス状態の酸化物半導体以上の移動度を得ることができる。表面の平坦性を高めるためには、平坦な表面上に酸化物半導体を形成することが好ましく、具体的には、平均面粗さ(Ra)が1nm以下、好ましくは0.3nm以下、より好ましくは0.1nm以下の表面上に形成するとよい。
【0233】
なお、Raは、JIS B0601で定義されている中心線平均粗さを面に対して適用できるよう三次元に拡張したものであり、「基準面から指定面までの偏差の絶対値を平均した値」と表現でき、以下の式にて定義される。
【0234】
【数1】

【0235】
なお、上記において、Sは、測定面(座標(x,y)(x,y)(x,y)(x,y)で表される4点によって囲まれる長方形の領域)の面積を指し、Zは測定面の平均高さを指す。Raは原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)にて評価可能である。
【0236】
また、酸化物半導体層の厚さは、3nm以上30nm以下とするのが望ましい。酸化物半導体層を厚くしすぎると(例えば、膜厚を50nm以上)、トランジスタがノーマリーオンとなってしまう恐れがあるためである。
【0237】
酸化物半導体層は、水素、水、水酸基又は水素化物などの不純物が混入しにくい方法で作製するのが望ましい。例えば、スパッタリング法などを用いて作製することができる。
【0238】
In−Ga−Zn−O系のターゲットとしては、例えば、組成比として、In:Ga:ZnO=1:1:1[mol数比]のターゲットを用いることができる。なお、ターゲットの材料および組成を上述に限定する必要はない。例えば、In:Ga:ZnO=1:1:2[mol数比]の組成比のターゲットを用いることもできる。
【0239】
また、In−Zn−O系の材料のターゲットとしては、組成比として、原子数比で、In:Zn=50:1〜1:2(モル数比に換算するとIn:ZnO=25:1〜1:4)、好ましくはIn:Zn=20:1〜1:1(モル数比に換算するとIn:ZnO=10:1〜1:2)、さらに好ましくはIn:Zn=15:1〜1.5:1(モル数比に換算するとIn:ZnO=15:2〜3:4)とする。例えば、In−Zn−O系の酸化物半導体の形成に用いるターゲットは、原子数比がIn:Zn:O=X:Y:Zのとき、Z>1.5X+Yとする。
【0240】
また、In−Sn−Zn−O系の材料は、ITZOと呼ぶことができ、用いるターゲットの組成比は、原子数比で、In:Sn:Zn=1:2:2、In:Sn:Zn=2:1:3、In:Sn:Zn=1:1:1、またはIn:Sn:Zn=20:45:35などとなる酸化物ターゲットを用いる。
【0241】
酸化物ターゲットの相対密度は、90%以上100%以下、好ましくは95%以上99.9%以下とする。相対密度の高い金属酸化物ターゲットを用いることにより、成膜した酸化物半導体層を緻密な膜とすることができるためである。
【0242】
本実施の形態では、酸化物半導体層を、In−Ga−Zn−O系のターゲットを用いたスパッタリング法により形成する。
【0243】
成膜の雰囲気は、希ガス(代表的にはアルゴン)雰囲気下、酸素雰囲気下、または、希ガスと酸素の混合雰囲気下などとすればよい。また、酸化物半導体層への水素、水、水酸基、水素化物などの混入を防ぐために、水素、水、水酸基、水素化物などの不純物が十分に除去された高純度ガスを用いた雰囲気とすることが望ましい。
【0244】
例えば、酸化物半導体層は、次のように形成することができる。
【0245】
まず、減圧状態に保持された成膜室内に基板を保持し、基板温度が、200℃を超えて500℃以下、好ましくは300℃を超えて500℃以下、より好ましくは350℃以上450℃以下となるように加熱する。
【0246】
次に、成膜室内の残留水分を除去しつつ、水素、水、水酸基、水素化物などの不純物が十分に除去された高純度ガスを導入し、上記ターゲットを用いて基板上に酸化物半導体層を成膜する。成膜室内の残留水分を除去するためには、排気手段として、クライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプなどの吸着型の真空ポンプを用いることが望ましい。また、排気手段は、ターボポンプにコールドトラップを加えたものであってもよい。クライオポンプを用いて排気した成膜室は、例えば、水素、水、水酸基または水素化物などの不純物(より好ましくは炭素原子を含む化合物も)などが除去されているため、当該成膜室で成膜した酸化物半導体層に含まれる水素、水、水酸基または水素化物などの不純物の濃度を低減することができる。
【0247】
成膜中の基板温度が低温(例えば、100℃以下)の場合、酸化物半導体に水素原子を含む物質が混入するおそれがあるため、基板を上述の温度で加熱することが好ましい。基板を上述の温度で加熱して、酸化物半導体層の成膜を行うことにより、基板温度は高温となるため、水素結合は熱により切断され、水素原子を含む物質が酸化物半導体層に取り込まれにくい。したがって、基板が上述の温度で加熱された状態で、酸化物半導体層の成膜を行うことにより、酸化物半導体層に含まれる水素、水、水酸基または水素化物などの不純物の濃度を十分に低減することができる。また、スパッタリングによる損傷を軽減することができる。
【0248】
成膜条件の一例として、基板とターゲットの間との距離を60mm、圧力を0.4Pa、直流(DC)電源を0.5kW、基板温度を400℃、成膜雰囲気を酸素(酸素流量比率100%)雰囲気とする。なお、パルス直流電源を用いると、成膜時に発生する粉状物質(パーティクル、ごみともいう)が軽減でき、膜厚分布も均一となるため好ましい。
【0249】
なお、酸化物半導体層をスパッタリング法により形成する前に、アルゴンガスを導入してプラズマを発生させる逆スパッタを行い、酸化物半導体層の被形成表面に付着している粉状物質(パーティクル、ごみともいう)を除去することが好ましい。逆スパッタとは、基板に電圧を印加し、基板近傍にプラズマを形成して、基板側の表面を改質する方法である。なお、アルゴンに代えて、窒素、ヘリウム、酸素などのガスを用いてもよい。
【0250】
酸化物半導体層の加工は、所望の形状のマスクを酸化物半導体層上に形成した後、当該酸化物半導体層をエッチングすることによって行うことができる。上述のマスクは、フォトリソグラフィなどの方法を用いて形成することができる。または、インクジェット法などの方法を用いてマスクを形成しても良い。なお、酸化物半導体層のエッチングは、ドライエッチングでもウェットエッチングでもよい。もちろん、これらを組み合わせて用いてもよい。
【0251】
その後、酸化物半導体層144に対して、熱処理(第1の熱処理)を行ってもよい。熱処理を行うことによって、酸化物半導体層144中に含まれる水素原子を含む物質をさらに除去し、酸化物半導体層144の構造を整え、エネルギーギャップ中の欠陥準位を低減することができる。熱処理の温度は、不活性ガス雰囲気下、250℃以上700℃以下、好ましくは450℃以上600℃以下、または基板の歪み点未満とする。不活性ガス雰囲気としては、窒素、または希ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴン等)を主成分とする雰囲気であって、水、水素などが含まれない雰囲気を適用するのが望ましい。例えば、熱処理装置に導入する窒素や、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上、好ましくは7N(99.99999%)以上(すなわち、不純物濃度が1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とする。
【0252】
熱処理は、例えば、抵抗発熱体などを用いた電気炉に被処理物を導入し、窒素雰囲気下、450℃、1時間の条件で行うことができる。この間、酸化物半導体層144は大気に触れさせず、水や水素の混入が生じないようにする。
【0253】
ところで、上述の熱処理には水素や水などを除去する効果があるため、当該熱処理を、脱水化処理や、脱水素化処理などと呼ぶこともできる。当該熱処理は、例えば、酸化物半導体層を島状に加工する前、ゲート絶縁膜の形成後などのタイミングにおいて行うことも可能である。また、このような脱水化処理、脱水素化処理は、一回に限らず複数回行っても良い。
【0254】
次に、酸化物半導体層144などの上に、ソース電極およびドレイン電極(これと同じ層で形成される配線を含む)を形成するための導電層を形成し、当該導電層を加工して、ソース電極142a、ドレイン電極142bを形成する(図21(B)参照)。
【0255】
導電層は、PVD法や、CVD法を用いて形成することができる。また、導電層の材料としては、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、タングステンから選ばれた元素や、上述した元素を成分とする合金等を用いることができる。マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、ネオジム、スカンジウムのいずれか、またはこれらを複数組み合わせた材料を用いてもよい。
【0256】
導電層は、単層構造であっても良いし、2層以上の積層構造としてもよい。例えば、チタン膜や窒化チタン膜の単層構造、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、アルミニウム膜上にチタン膜が積層された2層構造、窒化チタン膜上にチタン膜が積層された2層構造、チタン膜とアルミニウム膜とチタン膜とが積層された3層構造などが挙げられる。なお、導電層を、チタン膜や窒化チタン膜の単層構造とする場合には、テーパー形状を有するソース電極142aおよびドレイン電極142bへの加工が容易であるというメリットがある。
【0257】
また、導電層は、導電性の金属酸化物を用いて形成しても良い。導電性の金属酸化物としては酸化インジウム(In)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム酸化スズ合金(In―SnO、ITOと略記する場合がある)、酸化インジウム酸化亜鉛合金(In―ZnO)、または、これらの金属酸化物材料にシリコン若しくは酸化シリコンを含有させたものを用いることができる。
【0258】
導電層のエッチングは、形成されるソース電極142aおよびドレイン電極142bの端部が、テーパー形状となるように行うことが好ましい。ここで、テーパー角は、例えば、30°以上60°以下であることが好ましい。ソース電極142a、ドレイン電極142bの端部をテーパー形状となるようにエッチングすることにより、後に形成されるゲート絶縁層146の被覆性を向上し、段切れを防止することができる。
【0259】
上部のトランジスタのチャネル長(L)は、ソース電極142a、およびドレイン電極142bの下端部の間隔によって決定される。なお、チャネル長(L)が25nm未満のトランジスタを形成する場合に用いるマスク形成の露光を行う際には、数nm〜数10nmと波長の短い超紫外線(Extreme Ultraviolet)を用いるのが望ましい。超紫外線による露光は、解像度が高く焦点深度も大きい。従って、後に形成されるトランジスタのチャネル長(L)を、10nm以上1000nm(1μm)以下とすることも可能であり、回路の動作速度を高めることが可能である。また、微細化によって、半導体装置の消費電力を低減することも可能である。
【0260】
また、図21(B)とは別の一例として、酸化物半導体層144とソース電極およびドレイン電極との間に、ソース領域およびドレイン領域として酸化物導電層を設けることができる。
【0261】
例えば、酸化物半導体層144上に酸化物導電膜を形成し、その上に導電層を形成し、酸化物導電膜および導電層を同じフォトリソグラフィ工程によって加工して、ソース領域およびドレイン領域となる酸化物導電層、ソース電極142a、ドレイン電極142bを形成することができる。
【0262】
また、酸化物半導体膜と酸化物導電膜の積層を形成し、酸化物半導体膜と酸化物導電膜との積層を同じフォトリソグラフィ工程によって形状を加工して島状の酸化物半導体層144と酸化物導電膜を形成する。ソース電極142a、ドレイン電極142bを形成した後、ソース電極142a、ドレイン電極142bをマスクとして、さらに島状の酸化物導電膜をエッチングし、ソース領域およびドレイン領域となる酸化物導電層を形成することもできる。
【0263】
なお、酸化物導電層の形状を加工するためのエッチング処理の際、酸化物半導体層が過剰にエッチングされないように、エッチング条件(エッチング材の種類、濃度、エッチング時間等)を適宜調整する。
【0264】
酸化物導電層の材料としては、酸化亜鉛を成分として含むものが好ましく、酸化インジウムを含まないものであることが好ましい。そのような酸化物導電層として、酸化亜鉛、酸化亜鉛アルミニウム、酸窒化亜鉛アルミニウム、酸化亜鉛ガリウムなどを適用することができる。
【0265】
酸化物導電層を酸化物半導体層とソース電極及びドレイン電極との間に設けることで、ソース領域及びドレイン領域の低抵抗化を図ることができ、トランジスタの高速動作をすることができる。
【0266】
酸化物半導体層144、酸化物導電層、金属材料からなるソース電極及びドレイン電極の構成とすることによって、よりトランジスタの耐圧を向上させることができる。
【0267】
ソース領域及びドレイン領域として酸化物導電層を用いることは、周辺回路(駆動回路)の周波数特性を向上させるために有効である。金属電極(モリブデン、タングステン等)と酸化物半導体層との接触に比べ、金属電極(モリブデン、タングステン等)と酸化物導電層との接触は、接触抵抗を下げることができるからである。酸化物半導体層とソース電極及びドレイン電極との間に酸化物導電層を介在させることで接触抵抗を低減でき、周辺回路(駆動回路)の周波数特性を向上させることができる。
【0268】
次に、ソース電極142a、ドレイン電極142bを覆い、かつ、酸化物半導体層144の一部と接するように、ゲート絶縁層146を形成する(図21(C)参照)。
【0269】
ゲート絶縁層146は、CVD法やスパッタリング法等を用いて形成することができる。また、ゲート絶縁層146は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、ハフニウムシリケート(HfSixOy(x>0、y>0))、窒素が添加されたハフニウムシリケート(HfSixOy(x>0、y>0))、窒素が添加されたハフニウムアルミネート(HfAlxOy(x>0、y>0))、などを含むように形成するのが好適である。ゲート絶縁層146は、単層構造としても良いし、上記の材料を組み合わせて積層構造としても良い。また、その厚さは特に限定されないが、半導体装置を微細化する場合には、トランジスタの動作を確保するために薄くするのが望ましい。例えば、酸化シリコンを用いる場合には、1nm以上100nm以下、好ましくは10nm以上50nm以下とすることができる。
【0270】
上述のように、ゲート絶縁層を薄くすると、トンネル効果などに起因するゲートリークが問題となる。ゲートリークの問題を解消するには、ゲート絶縁層146に、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化イットリウム、ハフニウムシリケート(HfSixOy(x>0、y>0))、窒素が添加されたハフニウムシリケート(HfSixOy(x>0、y>0))、窒素が添加されたハフニウムアルミネート(HfAlxOy(x>0、y>0))、などの高誘電率(high−k)材料を用いると良い。high−k材料をゲート絶縁層146に用いることで、電気的特性を確保しつつ、ゲートリークを抑制するために膜厚を大きくすることが可能になる。なお、high−k材料を含む膜と、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウムなどのいずれかを含む膜との積層構造としてもよい。
【0271】
また、酸化物半導体層144に接する絶縁層(本実施の形態においては、ゲート絶縁層146)は、第13族元素および酸素を含む絶縁材料としてもよい。酸化物半導体材料には第13族元素を含むものが多く、第13族元素を含む絶縁材料は酸化物半導体との相性が良く、これを酸化物半導体層に接する絶縁層に用いることで、酸化物半導体層との界面の状態を良好に保つことができる。
【0272】
ここで、第13族元素を含む絶縁材料とは、絶縁材料に一または複数の第13族元素を含むことを意味する。第13族元素を含む絶縁材料としては、例えば、酸化ガリウム、酸化アルミニウム、酸化アルミニウムガリウム、酸化ガリウムアルミニウムなどがある。ここで、酸化アルミニウムガリウムとは、ガリウムの含有量(原子%)よりアルミニウムの含有量(原子%)が多いものを示し、酸化ガリウムアルミニウムとは、ガリウムの含有量(原子%)がアルミニウムの含有量(原子%)以上のものを示す。
【0273】
例えば、ガリウムを含有する酸化物半導体層に接してゲート絶縁層を形成する場合に、ゲート絶縁層に酸化ガリウムを含む材料を用いることで酸化物半導体層とゲート絶縁層の界面特性を良好に保つことができる。また、酸化物半導体層と酸化ガリウムを含む絶縁層とを接して設けることにより、酸化物半導体層と絶縁層の界面における水素のパイルアップを低減することができる。なお、絶縁層に酸化物半導体の成分元素と同じ族の元素を用いる場合には、同様の効果を得ることが可能である。例えば、酸化アルミニウムを含む材料を用いて絶縁層を形成することも有効である。なお、酸化アルミニウムは、水を透過させにくいという特性を有しているため、当該材料を用いることは、酸化物半導体層への水の侵入防止という点においても好ましい。
【0274】
また、酸化物半導体層144に接する絶縁層は、酸素雰囲気下による熱処理や、酸素ドープなどにより、絶縁材料を化学量論的組成比より酸素が多い状態とすることが好ましい。酸素ドープとは、酸素をバルクに添加することをいう。なお、当該バルクの用語は、酸素を薄膜表面のみでなく薄膜内部に添加することを明確にする趣旨で用いている。また、酸素ドープには、プラズマ化した酸素をバルクに添加する酸素プラズマドープが含まれる。また、酸素ドープは、イオン注入法またはイオンドーピング法を用いて行ってもよい。
【0275】
例えば、酸化物半導体層144に接する絶縁層として酸化ガリウムを用いた場合、酸素雰囲気下による熱処理や、酸素ドープを行うことにより、酸化ガリウムの組成をGa(X=3+α、0<α<1)とすることができる。また、酸化物半導体層144に接する絶縁層として酸化アルミニウムを用いた場合、酸素雰囲気下による熱処理や、酸素ドープを行うことにより、酸化アルミニウムの組成をAl(X=3+α、0<α<1)とすることができる。または、酸化物半導体層144に接する絶縁層として酸化ガリウムアルミニウム(酸化アルミニウムガリウム)を用いた場合、酸素雰囲気下による熱処理や、酸素ドープを行うことにより、酸化ガリウムアルミニウム(酸化アルミニウムガリウム)の組成をGaAl2−X3+α(0<X<2、0<α<1)とすることができる。
【0276】
酸素ドープ処理等を行うことにより、化学量論的組成比より酸素が多い領域を有する絶縁層を形成することができる。このような領域を備える絶縁層と酸化物半導体層が接することにより、絶縁層中の過剰な酸素が酸化物半導体層に供給され、酸化物半導体層中、または酸化物半導体層と絶縁層の界面における酸素欠損を低減することができる。
【0277】
なお、化学量論的組成比より酸素が多い領域を有する絶縁層は、ゲート絶縁層146に代えて、酸化物半導体層144の下地膜として形成する絶縁層に適用しても良く、ゲート絶縁層146および下地絶縁層の双方に適用しても良い。
【0278】
ゲート絶縁層146の形成後には、不活性ガス雰囲気下、または酸素雰囲気下で第2の熱処理を行うのが望ましい。熱処理の温度は、200℃以上450℃以下、望ましくは250℃以上350℃以下である。例えば、窒素雰囲気下で250℃、1時間の熱処理を行えばよい。第2の熱処理を行うことによって、トランジスタの電気的特性のばらつきを軽減することができる。また、ゲート絶縁層146が酸素を含む場合、酸化物半導体層144に酸素を供給し、該酸化物半導体層144の酸素欠損を補填することができる。
【0279】
なお、本実施の形態では、ゲート絶縁層146の形成後に第2の熱処理を行っているが、第2の熱処理のタイミングはこれに限定されない。例えば、ゲート電極の形成後に第2の熱処理を行っても良い。また、第1の熱処理に続けて第2の熱処理を行っても良いし、第1の熱処理に第2の熱処理を兼ねさせても良いし、第2の熱処理に第1の熱処理を兼ねさせても良い。
【0280】
上述のように、第1の熱処理と第2の熱処理の少なくとも一方を適用することで、酸化物半導体層144を、その水素原子を含む物質が極力含まれないように高純度化することができる。
【0281】
次に、ゲート電極(これと同じ層で形成される配線を含む)を形成するための導電層を形成し、当該導電層を加工して、ゲート電極148aおよび導電層148bを形成する(図21(D)参照)。
【0282】
ゲート電極148aおよび導電層148bは、モリブデン、チタン、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、ネオジム、スカンジウム等の金属材料またはこれらを主成分とする合金材料を用いて形成することができる。なお、ゲート電極148aおよび導電層148bは、単層構造としても良いし、積層構造としても良い。
【0283】
次に、ゲート絶縁層146、ゲート電極148a、および導電層148b上に、絶縁層150を形成する(図22(A)参照)。絶縁層150は、PVD法やCVD法などを用いて形成することができる。また、酸化シリコン、酸窒化シリコン、窒化シリコン、酸化ハフニウム、酸化ガリウム、酸化アルミニウム等の無機絶縁材料を含む材料を用いて形成することができる。なお、絶縁層150には、誘電率の低い材料や、誘電率の低い構造(多孔性の構造など)を用いることが望ましい。絶縁層150の誘電率を低くすることにより、配線や電極などの間に生じる容量を低減し、動作の高速化を図ることができるためである。なお、本実施の形態では、絶縁層150の単層構造としているが、本発明の一態様はこれに限定されず、2層以上の積層構造としても良い。
【0284】
次に、ゲート絶縁層146、絶縁層150に、ソース電極142aにまで達する開口を形成する。その後、絶縁層150上にソース電極142aと接する配線154を形成する(図22(B)参照)。なお、当該開口の形成は、マスクなどを用いた選択的なエッチングにより行われる。
【0285】
配線154は、PVD法や、CVD法を用いて導電層を形成した後、当該導電層をパターニングすることによって形成される。また、導電層の材料としては、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、タングステンから選ばれた元素や、上述した元素を成分とする合金等を用いることができる。マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、ネオジム、スカンジウムのいずれか、またはこれらを複数組み合わせた材料を用いてもよい。
【0286】
より具体的には、例えば、絶縁層150の開口を含む領域にPVD法によりチタン膜を薄く形成し、PVD法によりチタン膜を薄く(5nm程度)形成した後に、開口に埋め込むようにアルミニウム膜を形成する方法を適用することができる。ここで、PVD法により形成されるチタン膜は、被形成面の酸化膜(自然酸化膜など)を還元し、下部電極など(ここではソース電極142a)との接触抵抗を低減させる機能を有する。また、アルミニウム膜のヒロックを防止することができる。また、チタンや窒化チタンなどによるバリア膜を形成した後に、メッキ法により銅膜を形成してもよい。
【0287】
絶縁層150に形成する開口は、導電層128bと重畳する領域に形成することが望ましい。このような領域に開口を形成することで、コンタクト領域に起因する素子面積の増大を抑制することができる。
【0288】
ここで、導電層128bを用いずに、不純物領域126とソース電極142aとの接続と、ソース電極142aと配線154との接続とを重畳させる場合について説明する。この場合、不純物領域126上に形成された絶縁層136、絶縁層138および絶縁層140に開口(下部のコンタクトと呼ぶ)を形成し、下部のコンタクトにソース電極142aを形成した後、ゲート絶縁層146および絶縁層150において、下部のコンタクトと重畳する領域に開口(上部のコンタクトと呼ぶ)を形成し、配線154を形成することになる。下部のコンタクトと重畳する領域に上部のコンタクトを形成する際に、エッチングにより下部のコンタクトに形成されたソース電極142aが断線してしまうおそれがある。これを避けるために、下部のコンタクトと上部のコンタクトが重畳しないように形成することにより、素子面積が増大するという問題がおこる。
【0289】
本実施の形態に示すように、導電層128bを用いることにより、ソース電極142aを断線させることなく、上部のコンタクトの形成が可能となる。これにより、下部のコンタクトと上部のコンタクトを重畳させて設けることができるため、コンタクト領域に起因する素子面積の増大を抑制することができる。つまり、半導体装置の集積度を高めることができる。
【0290】
次に、配線154を覆うように絶縁層156を形成する(図22(C)参照)。
【0291】
以上により、高純度化された酸化物半導体層144を用いたトランジスタ162、および容量素子164が完成する(図22(C)参照)。
【0292】
次に、図17に示すトランジスタ162として適用することができる、トランジスタの例を示す。
【0293】
また、酸化物半導体層144とソース電極142a、ドレイン電極142bとの間に、ソース領域及びドレイン領域として機能する酸化物導電層をバッファ層として設けてもよい。図17に示すトランジスタ162に酸化物導電層を設けたトランジスタ441、442を図24(A)(B)に示す。なお、絶縁層400は、絶縁層136、絶縁層138、絶縁層140などに相当する。
【0294】
図24(A)(B)のトランジスタ441、442は、酸化物半導体層144とソース電極142a、ドレイン電極142bとの間に、ソース領域及びドレイン領域として機能する酸化物導電層404a、404bが形成されている。図24(A)(B)のトランジスタ441、442は作製工程により酸化物導電層404a、404bの形状が異なる例である。
【0295】
図24(A)のトランジスタ441では、酸化物半導体膜と酸化物導電膜の積層を形成し、酸化物半導体膜と酸化物導電膜との積層を同じフォトリソグラフィ工程によって形状を加工して島状の酸化物半導体層144と酸化物導電膜を形成する。酸化物半導体層及び酸化物導電膜上にソース電極142a、ドレイン電極142bを形成した後、ソース電極142a、ドレイン電極142bをマスクとして、島状の酸化物導電膜をエッチングし、ソース領域およびドレイン領域となる酸化物導電層404a、404bを形成する。
【0296】
図24(B)のトランジスタ442では、酸化物半導体層144上に酸化物導電膜を形成し、その上に金属導電膜を形成し、酸化物導電膜および金属導電膜を同じフォトリソグラフィ工程によって加工して、ソース領域およびドレイン領域となる酸化物導電層404a、404b、ソース電極142a、ドレイン電極142bを形成する。
【0297】
なお、酸化物導電層の形状を加工するためのエッチング処理の際、酸化物半導体層が過剰にエッチングされないように、エッチング条件(エッチング材の種類、濃度、エッチング時間等)を適宜調整する。
【0298】
酸化物導電層404a、404bの成膜方法は、スパッタリング法や真空蒸着法(電子ビーム蒸着法など)や、アーク放電イオンプレーティング法や、スプレー法を用いる。酸化物導電層の材料としては、酸化亜鉛、酸化亜鉛アルミニウム、酸窒化亜鉛アルミニウム、酸化亜鉛ガリウム、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物などを適用することができる。また、上記材料に酸化珪素を含ませてもよい。
【0299】
ソース領域及びドレイン領域として、酸化物導電層を酸化物半導体層144とソース電極142a、ドレイン電極142bとの間に設けることで、ソース領域及びドレイン領域の低抵抗化を図ることができ、トランジスタ441、442が高速動作をすることができる。
【0300】
また、酸化物半導体層144、酸化物導電層404a、404b、ソース電極142a、ドレイン電極142bの構成とすることによって、トランジスタ441、442の耐圧を向上させることができる。
【0301】
次に、図17に示すトランジスタ162の構造として、トップゲート構造を示したが、本発明の一態様は、これに限定されず、ボトムゲート構造とすることができる。図26にボトムゲート構造の例について示す。
【0302】
図26(A)に示すトランジスタ410は、ゲート電極401上に、ゲート絶縁層402が設けられ、ゲート絶縁層402上に酸化物半導体層403が設けられ、酸化物半導体層403と接続されるソース電極405a、ドレイン電極405bが設けられている。なお、ゲート電極401と、酸化物半導体層403と、ゲート絶縁層402と、ソース電極405aと、ドレイン電極405bは、図17に示すゲート電極148aと、酸化物半導体層144と、ゲート絶縁層146と、ソース電極142aと、ドレイン電極142bに相当する。
【0303】
図26(B)に示すトランジスタ420は、ゲート電極401と、ゲート絶縁層402と、酸化物半導体層403と、ソース電極405aと、ドレイン電極405bとが設けられている点において図26(A)と同様である。図26(A)と異なる点は、酸化物半導体層403に接して絶縁層427が設けられている点にある。
【0304】
図26(C)に示すトランジスタ430は、ゲート電極401と、ゲート絶縁層402と、酸化物半導体層403と、ソース電極405aと、ドレイン電極405bとが設けられている点において図26(A)と同様である。図26(A)と異なる点は、酸化物半導体層403に接するソース電極405aとドレイン電極405bの位置である。つまり、図26(A)に示すトランジスタ410は、酸化物半導体層403の上でソース電極405aとドレイン電極405bが接するのに対し、図26(C)に示すトランジスタ430は、酸化物半導体層403の下でソース電極405aとドレイン電極405bが接している。
【0305】
本実施の形態において示すトランジスタ162では、酸化物半導体層144が高純度化されているため、その水素濃度は、5×1019atoms/cm以下、望ましくは5×1018atoms/cm以下、より望ましくは5×1017atoms/cm以下である。また、酸化物半導体層144は水素や水等が低減され、酸素欠損が低減されることにより、キャリア密度が、一般的なシリコンウェハにおけるキャリア密度(1×1014/cm程度)と比較して、十分に小さい値(例えば、1×1012/cm未満、より好ましくは、1.45×1010/cm未満)をとる。そして、トランジスタ162のオフ電流も十分に小さくなる。例えば、トランジスタ162の室温(25℃)でのオフ電流(ここでは、単位チャネル幅(1μm)あたりの値)は100zA(1zA(ゼプトアンペア)は1×10−21A)以下、望ましくは10zA以下となる。
【0306】
このように高純度化された酸化物半導体層144を用いることで、トランジスタのオフ電流を十分に低減することが容易になる。そして、このようなトランジスタを用いることで、極めて長期にわたり記憶内容を保持することが可能な半導体装置が得られる。
【0307】
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【0308】
(実施の形態3)
上記実施の形態において、トランジスタの半導体層に用いることのできる酸化物半導体層の一形態を、図25を用いて説明する。
【0309】
本実施の形態の酸化物半導体層は、第1の結晶性酸化物半導体層上に第1の結晶性酸化物半導体層よりも厚い第2の結晶性酸化物半導体層を有する積層構造である。
【0310】
絶縁層400上に絶縁層437を形成する。本実施の形態では、絶縁層437として、PCVD法またはスパッタリング法を用いて、50nm以上600nm以下の膜厚の酸化物絶縁層を形成する。例えば、酸化シリコン膜、酸化ガリウム膜、酸化アルミニウム膜、酸化窒化シリコン膜、酸化窒化アルミニウム膜、または窒化酸化シリコン膜から選ばれた一層またはこれらの積層を用いることができる。なお、絶縁層400は、絶縁層136、絶縁層138、絶縁層140などに相当する。
【0311】
次に、絶縁層437上に膜厚1nm以上10nm以下の第1の酸化物半導体膜を形成する。第1の酸化物半導体膜の形成は、スパッタリング法を用い、そのスパッタリング法による成膜時における基板温度は200℃以上400℃以下とする。
【0312】
本実施の形態では、酸化物半導体用ターゲット(In−Ga−Zn−O系酸化物半導体用ターゲット(In:Ga:ZnO=1:1:2[mol数比])を用いて、基板とターゲットの間との距離を170mm、基板温度250℃、圧力0.4Pa、直流(DC)電源0.5kW、酸素のみ、アルゴンのみ、又はアルゴン及び酸素雰囲気下で膜厚5nmの第1の酸化物半導体膜を成膜する。
【0313】
次いで、基板を配置するチャンバー雰囲気を窒素、または乾燥空気とし、第1の加熱処理を行う。第1の加熱処理の温度は、400℃以上750℃以下とする。第1の加熱処理によって第1の結晶性酸化物半導体層450aを形成する(図25(A)参照)。
【0314】
第1の加熱処理の温度にもよるが、成膜時における基板温度や第1の加熱処理によって、膜表面から結晶化が起こり、膜の表面から内部に向かって結晶成長し、c軸配向した結晶が得られる。第1の加熱処理によって、亜鉛と酸素が膜表面に多く集まり、上平面が六角形をなす亜鉛と酸素からなるグラフェンタイプの二次元結晶が最表面に1層または複数層形成され、これが膜厚方向に成長して重なり積層となる。加熱処理の温度を上げると表面から内部、そして内部から底部と結晶成長が進行する。
【0315】
第1の加熱処理によって、酸化物絶縁層である絶縁層437中の酸素を第1の結晶性酸化物半導体層450aとの界面またはその近傍(界面からプラスマイナス5nm)に拡散させて、第1の結晶性酸化物半導体層の酸素欠損を低減する。従って、下地絶縁層として用いられる絶縁層437は、膜中(バルク中)、第1の結晶性酸化物半導体層450aと絶縁層437の界面、のいずれかには少なくとも化学量論比を超える量の酸素が存在することが好ましい。
【0316】
次いで、第1の結晶性酸化物半導体層450a上に10nmよりも厚い第2の酸化物半導体膜を形成する。第2の酸化物半導体膜の形成は、スパッタリング法を用い、その成膜時における基板温度は200℃以上400℃以下とする。成膜時における基板温度を200℃以上400℃以下とすることにより、第1の結晶性酸化物半導体層の表面上に接して成膜する酸化物半導体層にプリカーサの整列が起き、所謂、秩序性を持たせることができる。
【0317】
本実施の形態では、酸化物半導体用ターゲット(In−Ga−Zn−O系酸化物半導体用ターゲット(In:Ga:ZnO=1:1:2[mol数比])を用いて、基板とターゲットの間との距離を170mm、基板温度400℃、圧力0.4Pa、直流(DC)電源0.5kW、酸素のみ、アルゴンのみ、又はアルゴン及び酸素雰囲気下で膜厚25nmの第2の酸化物半導体膜を成膜する。
【0318】
次いで、基板を配置するチャンバー雰囲気を窒素雰囲気下、酸素雰囲気下、或いは窒素と酸素の混合雰囲気とし、第2の加熱処理を行う。第2の加熱処理の温度は、400℃以上750℃以下とする。第2の加熱処理によって第2の結晶性酸化物半導体層450bを形成する(図25(B)参照)。第2の加熱処理は、窒素雰囲気下、酸素雰囲気下、或いは窒素と酸素の混合雰囲気下で行うことにより、第2の結晶性酸化物半導体層の高密度化及び欠陥数の減少を図る。第2の加熱処理によって、第1の結晶性酸化物半導体層450aを核として膜厚方向、即ち底部から内部に結晶成長が進行して第2の結晶性酸化物半導体層450bが形成される。
【0319】
また、絶縁層437の形成から第2の加熱処理までの工程を大気に触れることなく連続的に行うことが好ましい。絶縁層437の形成から第2の加熱処理までの工程は、水素及び水分をほとんど含まない雰囲気(不活性雰囲気、減圧雰囲気、乾燥空気雰囲気など)下に制御することが好ましく、例えば、水分については露点−40℃以下、好ましくは露点−50℃以下の乾燥窒素雰囲気とする。
【0320】
次いで、第1の結晶性酸化物半導体層450aと第2の結晶性酸化物半導体層450bからなる酸化物半導体積層を加工して島状の酸化物半導体積層からなる酸化物半導体層453を形成する(図25(C)参照)。図では、第1の結晶性酸化物半導体層450aと第2の結晶性酸化物半導体層450bの界面を点線で示し、酸化物半導体積層と説明しているが、明確な界面が存在しているのではなく、あくまで分かりやすく説明するために図示している。
【0321】
酸化物半導体積層の加工は、所望の形状のマスクを酸化物半導体積層上に形成した後、当該酸化物半導体積層をエッチングすることによって行うことができる。上述のマスクは、フォトリソグラフィなどの方法を用いて形成することができる。または、インクジェット法などの方法を用いてマスクを形成しても良い。
【0322】
なお、酸化物半導体積層のエッチングは、ドライエッチングでもウェットエッチングでもよい。もちろん、これらを組み合わせて用いてもよい。
【0323】
また、上記作製方法により、得られる第1の結晶性酸化物半導体層及び第2の結晶性酸化物半導体層は、c軸配向を有していることを特徴の一つとしている。ただし、第1の結晶性酸化物半導体層及び第2の結晶性酸化物半導体層は、単結晶構造ではなく、非晶質構造でもない構造であり、c軸配向を有した結晶(CAAC:C Axis Aligned Crystalともいう)を含む酸化物を有する。なお、第1の結晶性酸化物半導体層及び第2の結晶性酸化物半導体層は、一部に結晶粒界を有している。
【0324】
なお、第1の結晶性酸化物半導体層および第2の結晶性酸化物半導体層は、四元系金属の酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn−O系の材料や、三元系金属の酸化物であるIn−Ga−Zn−O系の材料(IGZOとも表記する。)、In−Sn−Zn−O系の材料(ITZOとも表記する。)、In−Al−Zn−O系の材料、Sn−Ga−Zn−O系の材料、Al−Ga−Zn−O系の材料、Sn−Al−Zn−O系の材料や、In−Hf−Zn−O系の材料、In−La−Zn−O系の材料、In−Ce−Zn−O系の材料、In−Pr−Zn−O系の材料、In−Nd−Zn−O系の材料、In−Sm−Zn−O系の材料、In−Eu−Zn−O系の材料、In−Gd−Zn−O系の材料、In−Tb−Zn−O系の材料、In−Dy−Zn−O系の材料、In−Ho−Zn−O系の材料、In−Er−Zn−O系の材料、In−Tm−Zn−O系の材料、In−Yb−Zn−O系の材料、In−Lu−Zn−O系の材料や、二元系金属の酸化物であるIn−Zn−O系の材料、Sn−Zn−O系の材料、Al−Zn−O系の材料、Zn−Mg−O系の材料、Sn−Mg−O系の材料、In−Mg−O系の材料や、In−Ga−O系の材料、一元系金属の酸化物であるIn−O系の材料、Sn−O系の材料、Zn−O系の材料などがある。また、上記の材料にSiOを含ませてもよい。ここで、例えば、In−Ga−Zn−O系の材料とは、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)を有する酸化物膜、という意味であり、その組成比は特に問わない。また、InとGaとZn以外の元素を含んでいてもよい。
【0325】
また、第1の結晶性酸化物半導体層上に第2の結晶性酸化物半導体層を形成する2層構造に限定されず、第2の結晶性酸化物半導体層の形成後に第3の結晶性酸化物半導体層を形成するための成膜と加熱処理のプロセスを繰り返し行って、3層以上の積層構造としてもよい。
【0326】
上記作製方法で形成された酸化物半導体積層からなる酸化物半導体層453を、本明細書に開示する半導体装置に適用できるトランジスタ(例えば、実施の形態1、及び実施の形態2におけるトランジスタ162、トランジスタ410、トランジスタ420、トランジスタ430、トランジスタ441、トランジスタ442)に、適宜用いることができる。
【0327】
また、酸化物半導体層403として本実施の形態の酸化物半導体積層を用いた実施の形態2におけるトランジスタ162においては、酸化物半導体層の一方の面から他方の面に電界が印加されることはなく、また、電流が酸化物半導体積層の厚さ方向(一方の面から他方の面に流れる方向、具体的に図17に示すトランジスタ162)では上下方向)に流れる構造ではない。電流は、主として、酸化物半導体積層の界面を流れるトランジスタ構造であるため、トランジスタに光照射が行われ、またはBTストレスが与えられても、トランジスタ特性の劣化は抑制される、または低減される。
【0328】
酸化物半導体層453のような第1の結晶性酸化物半導体層と第2の結晶性酸化物半導体層の積層をトランジスタに用いることで、安定した電気的特性を有し、且つ、信頼性の高いトランジスタを実現できる。
【0329】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0330】
(実施の形態4)
本実施の形態では、c軸配向し、かつab面、表面または界面の方向から見て三角形状または六角形状の原子配列を有し、c軸においては金属原子が層状または金属原子と酸素原子とが層状に配列しており、ab面においてはa軸またはb軸の向きが異なる(c軸を中心に回転した)結晶(CAAC:C Axis Aligned Crystalともいう。)を含む酸化物について説明する。
【0331】
CAACを含む酸化物とは、広義に、非単結晶であって、そのab面に垂直な方向から見て、三角形、六角形、正三角形または正六角形の原子配列を有し、かつc軸方向に垂直な方向から見て、金属原子が層状、または金属原子と酸素原子が層状に配列した相を含む酸化物をいう。
【0332】
CAACは単結晶ではないが、非晶質のみから形成されているものでもない。また、CAACは結晶化した部分(結晶部分)を含むが、1つの結晶部分と他の結晶部分の境界を明確に判別できないこともある。
【0333】
CAACに酸素が含まれる場合、酸素の一部は窒素で置換されてもよい。また、CAACを構成する個々の結晶部分のc軸は一定の方向(例えば、CAACを支持する基板面、CAACの表面などに垂直な方向)に揃っていてもよい。または、CAACを構成する個々の結晶部分のab面の法線は一定の方向(例えば、CAACを支持する基板面、CAACの表面などに垂直な方向)を向いていてもよい。
【0334】
CAACは、その組成などに応じて、導体であったり、半導体であったり、絶縁体であったりする。また、その組成などに応じて、可視光に対して透明であったり不透明であったりする。
【0335】
このようなCAACの例として、膜状に形成され、膜表面または支持する基板面に垂直な方向から観察すると三角形または六角形の原子配列が認められ、かつその膜断面を観察すると金属原子または金属原子および酸素原子(または窒素原子)の層状配列が認められる結晶を挙げることもできる。
【0336】
CAACに含まれる結晶構造の一例について図27乃至図29を用いて詳細に説明する。なお、特に断りがない限り、図27乃至図29は上方向をc軸方向とし、c軸方向と直交する面をab面とする。また、単に上半分、下半分という場合、ab面を境にした場合の上半分、下半分をいう。また、図27において、丸で囲まれたOは4配位のOを示し、二重丸で囲まれたOは3配位のOを示す。
【0337】
図27(A)に、1個の6配位のInと、Inに近接の6個の4配位の酸素原子(以下4配位のO)と、を有する構造を示す。ここでは、金属原子が1個に対して、近接の酸素原子のみ示した構造を小グループと呼ぶ。図27(A)の構造は、八面体構造をとるが、簡単のため平面構造で示している。なお、図27(A)の上半分および下半分にはそれぞれ3個ずつ4配位のOがある。図27(A)に示す小グループは電荷が0である。
【0338】
図27(B)に、1個の5配位のGaと、Gaに近接の3個の3配位の酸素原子(以下3配位のO)と、Gaに近接の2個の4配位のOと、を有する構造を示す。3配位のOは、いずれもab面に存在する。図27(B)の上半分および下半分にはそれぞれ1個ずつ4配位のOがある。また、Inも5配位をとるため、図27(B)に示す構造をとりうる。図27(B)に示す小グループは電荷が0である。
【0339】
図27(C)に、1個の4配位のZnと、Znに近接の4個の4配位のOと、を有する構造を示す。図27(C)の上半分には1個の4配位のOがあり、下半分には3個の4配位のOがある。または、図27(C)の上半分に3個の4配位のOがあり、下半分に1個の4配位のOがあってもよい。図27(C)に示す小グループは電荷が0である。
【0340】
図27(D)に、1個の6配位のSnと、Snに近接の6個の4配位のOと、を有する構造を示す。図27(D)の上半分には3個の4配位のOがあり、下半分には3個の4配位のOがある。図27(D)に示す小グループは電荷が+1となる。
【0341】
図27(E)に、2個のZnを含む小グループを示す。図27(E)の上半分には1個の4配位のOがあり、下半分には1個の4配位のOがある。図27(E)に示す小グループは電荷が−1となる。
【0342】
ここでは、複数の小グループの集合体を中グループと呼び、複数の中グループの集合体を大グループ(ユニットセルともいう。)と呼ぶ。
【0343】
ここで、これらの小グループ同士が結合する規則について説明する。図27(A)に示す6配位のInの上半分の3個のOは、下方向にそれぞれ3個の近接Inを有し、下半分の3個のOは、上方向にそれぞれ3個の近接Inを有する。5配位のGaの上半分の1個のOは、下方向に1個の近接Gaを有し、下半分の1個のOは、上方向に1個の近接Gaを有する。4配位のZnの上半分の1個のOは、下方向に1個の近接Znを有し、下半分の3個のOは、上方向にそれぞれ3個の近接Znを有する。このように、金属原子の上方向にて近接する4配位のOの数と、そのOの下方向にある近接金属原子の数は等しく、同様に金属原子の下方向にて近接する4配位のOの数と、そのOの上方向にある近接金属原子の数は等しい。小グループ同士の結合に寄与するOは4配位なので、Oの下方向にある近接金属原子の数と、Oの上方向にある近接金属原子の数の和は4になる。したがって、金属原子の上方向にある4配位のOの数と、別の金属原子の下方向にある4配位のOの数との和が4個のとき、金属原子を有する二種の小グループ同士は結合することができる。例えば、6配位の金属原子(InまたはSn)が下半分の4配位のOを介して結合する場合、4配位のOが3個であるため、5配位の金属原子(GaまたはIn)、または4配位の金属原子(Zn)のいずれかと結合することになる。
【0344】
これらの配位数を有する金属原子は、c軸方向において、4配位のOを介して結合する。また、このほかにも、層構造の合計の電荷が0となるように複数の小グループが結合して中グループを構成する。
【0345】
図28(A)に、In−Sn−Zn−O系の層構造を構成する中グループのモデル図を示す。図28(B)に、3つの中グループで構成される大グループを示す。なお、図28(C)は、図28(B)の層構造をc軸方向から観察した場合の原子配列を示す。
【0346】
図28(A)においては、簡単のため、3配位のOは省略し、4配位のOは個数のみ示し、例えば、Snの上半分および下半分にはそれぞれ3個ずつ4配位のOがあることを丸枠の3として示している。同様に、図28(A)において、Inの上半分および下半分にはそれぞれ1個ずつ4配位のOがあり、丸枠の1として示している。また、同様に、図28(A)において、下半分には1個の4配位のOがあり、上半分には3個の4配位のOがあるZnと、上半分には1個の4配位のOがあり、下半分には3個の4配位のOがあるZnとを示している。
【0347】
図28(A)において、In−Sn−Zn−O系の層構造を構成する中グループは、上から順に4配位のOが3個ずつ上半分および下半分にあるSnが、4配位のOが1個ずつ上半分および下半分にあるInと結合し、そのInが、上半分に3個の4配位のOがあるZnと結合し、そのZnの下半分の1個の4配位のOを介して4配位のOが3個ずつ上半分および下半分にあるInと結合し、そのInが、上半分に1個の4配位のOがあるZn2個からなる小グループと結合し、この小グループの下半分の1個の4配位のOを介して4配位のOが3個ずつ上半分および下半分にあるSnと結合している構成である。この中グループが複数結合して大グループを構成する。
【0348】
ここで、3配位のOおよび4配位のOの場合、結合1本当たりの電荷はそれぞれ−0.667、−0.5と考えることができる。例えば、In(6配位または5配位)、Zn(4配位)、Sn(5配位または6配位)の電荷は、それぞれ+3、+2、+4である。従って、Snを含む小グループは電荷が+1となる。そのため、Snを含む層構造を形成するためには、電荷+1を打ち消す電荷−1が必要となる。電荷−1をとる構造として、図27(E)に示すように、2個のZnを含む小グループが挙げられる。例えば、Snを含む小グループが1個に対し、2個のZnを含む小グループが1個あれば、電荷が打ち消されるため、層構造の合計の電荷を0とすることができる。
【0349】
具体的には、図28(B)に示した大グループが繰り返されることで、In−Sn−Zn−O系の結晶(InSnZn)を得ることができる。なお、得られるIn−Sn−Zn−O系の層構造は、InSnZn(ZnO)(mは0または自然数。)とする組成式で表すことができる。
【0350】
また、このほかにも、四元系金属の酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn−O系の材料や、三元系金属の酸化物であるIn−Ga−Zn−O系の材料(IGZOとも表記する。)、In−Al−Zn−O系の材料、Sn−Ga−Zn−O系の材料、Al−Ga−Zn−O系の材料、Sn−Al−Zn−O系の材料や、In−Hf−Zn−O系の材料、In−La−Zn−O系の材料、In−Ce−Zn−O系の材料、In−Pr−Zn−O系の材料、In−Nd−Zn−O系の材料、In−Sm−Zn−O系の材料、In−Eu−Zn−O系の材料、In−Gd−Zn−O系の材料、In−Tb−Zn−O系の材料、In−Dy−Zn−O系の材料、In−Ho−Zn−O系の材料、In−Er−Zn−O系の材料、In−Tm−Zn−O系の材料、In−Yb−Zn−O系の材料、In−Lu−Zn−O系の材料や、二元系金属の酸化物であるIn−Zn−O系の材料、Sn−Zn−O系の材料、Al−Zn−O系の材料、Zn−Mg−O系の材料、Sn−Mg−O系の材料、In−Mg−O系の材料や、In−Ga−O系の材料、などを用いた場合も同様である。
【0351】
例えば、図29(A)に、In−Ga−Zn−O系の層構造を構成する中グループのモデル図を示す。
【0352】
図29(A)において、In−Ga−Zn−O系の層構造を構成する中グループは、上から順に4配位のOが3個ずつ上半分および下半分にあるInが、4配位のOが1個上半分にあるZnと結合し、そのZnの下半分の3個の4配位のOを介して、4配位のOが1個ずつ上半分および下半分にあるGaと結合し、そのGaの下半分の1個の4配位のOを介して、4配位のOが3個ずつ上半分および下半分にあるInと結合している構成である。この中グループが複数結合して大グループを構成する。
【0353】
図29(B)に3つの中グループで構成される大グループを示す。なお、図29(C)は、図29(B)の層構造をc軸方向から観察した場合の原子配列を示している。
【0354】
ここで、In(6配位または5配位)、Zn(4配位)、Ga(5配位)の電荷は、それぞれ+3、+2、+3であるため、In、ZnおよびGaのいずれかを含む小グループは、電荷が0となる。そのため、これらの小グループの組み合わせであれば中グループの合計の電荷は常に0となる。
【0355】
また、In−Ga−Zn−O系の層構造を構成する中グループは、図29(A)に示した中グループに限定されず、In、Ga、Znの配列が異なる中グループを組み合わせた大グループも取りうる。
【0356】
(実施の形態5)
本実施の形態では、トランジスタの電界効果移動度に関して説明する。
【0357】
酸化物半導体に限らず、実際に測定される絶縁ゲート型トランジスタの電界効果移動度は、さまざまな理由によって本来の移動度よりも低くなる。移動度を低下させる要因としては半導体内部の欠陥や半導体と絶縁膜との界面の欠陥があるが、Levinsonモデルを用いると、半導体内部に欠陥がないと仮定した場合の電界効果移動度を理論的に導き出せる。
【0358】
半導体本来の移動度をμ、測定される電界効果移動度をμとし、半導体中に何らかのポテンシャル障壁(粒界等)が存在すると仮定すると、
【0359】
【数2】

【0360】
と表現できる。ここで、Eはポテンシャル障壁の高さであり、kがボルツマン定数、Tは絶対温度である。また、ポテンシャル障壁が欠陥に由来すると仮定すると、Levinsonモデルでは、
【0361】
【数3】

【0362】
と表される。ここで、eは電気素量、Nはチャネル内の単位面積当たりの平均欠陥密度、εは半導体の誘電率、nは単位面積当たりのチャネルに含まれるキャリア数、Coxは単位面積当たりの容量、Vはゲート電圧、tはチャネルの厚さである。なお、厚さ30nm以下の半導体層であれば、チャネルの厚さは半導体層の厚さと同一として差し支えない。
線形領域におけるドレイン電流Iは、
【0363】
【数4】

【0364】
である。ここで、Lはチャネル長、Wはチャネル幅であり、ここでは、L=W=10μmである。また、Vはドレイン電圧である。
上式の両辺をVで割り、更に両辺の対数を取ると、
【0365】
【数5】


となる。式(5)の右辺はVの関数である。この式からわかるように、縦軸をln(I/V)、横軸を1/Vとして実測値をプロットして得られるグラフの直線の傾きから欠陥密度Nが求められる。すなわち、トランジスタのI―V特性から、欠陥密度を評価できる。酸化物半導体としては、インジウム(In)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)の比率が、In:Sn:Zn=1:1:1のものでは欠陥密度Nは1×1012/cm程度である。
【0366】
このようにして求めた欠陥密度等をもとに式(2)および式(3)よりμ=120cm/Vsが導出される。欠陥のあるIn−Sn−Zn酸化物で測定される移動度は40cm/Vs程度である。しかし、半導体内部および半導体と絶縁膜との界面の欠陥が無い酸化物半導体の移動度μは120cm/Vsとなると予想できる。
【0367】
ただし、半導体内部に欠陥がなくても、チャネルとゲート絶縁層との界面での散乱によってトランジスタの輸送特性は影響を受ける。すなわち、ゲート絶縁層界面からxだけ離れた場所における移動度μは、
【0368】
【数6】


で表される。ここで、Dはゲート方向の電界、B、lは定数である。Bおよびlは、実際の測定結果より求めることができ、上記の測定結果からは、B=4.75×10cm/s、l=10nm(界面散乱が及ぶ深さ)である。Dが増加する(すなわち、ゲート電圧が高くなる)と式(6)の第2項が増加するため、移動度μは低下することがわかる。
【0369】
半導体内部の欠陥が無い理想的な酸化物半導体をチャネルに用いたトランジスタの移動度μを計算した結果を図30に示す。なお、計算にはシノプシス社製デバイスシミュレーションソフト、Sentaurus Deviceを使用し、酸化物半導体のバンドギャップ、電子親和力、比誘電率、厚さをそれぞれ、2.8電子ボルト、4.7電子ボルト、15、15nmとした。これらの値は、スパッタリング法により形成された薄膜を測定して得られたものである。
【0370】
さらに、ゲート、ソース、ドレインの仕事関数をそれぞれ、5.5電子ボルト、4.6電子ボルト、4.6電子ボルトとした。また、ゲート絶縁層の厚さは100nm、比誘電率は4.1とした。チャネル長およびチャネル幅はともに10μm、ドレイン電圧Vは0.1Vである。
【0371】
図30で示されるように、ゲート電圧1V強で移動度100cm/Vs以上のピークをつけるが、ゲート電圧がさらに高くなると、界面散乱が大きくなり、移動度が低下する。なお、界面散乱を低減するためには、半導体層表面を原子レベルで平坦にすること(Atomic Layer Flatness)が望ましい。
【0372】
このような移動度を有する酸化物半導体を用いて微細なトランジスタを作製した場合の特性を計算した結果を図31乃至図33に示す。なお、計算に用いたトランジスタの断面構造を図34に示す。図34に示すトランジスタは酸化物半導体層にnの導電型を呈する半導体領域1103aおよび半導体領域1103cを有する。半導体領域1103aおよび半導体領域1103cの抵抗率は2×10−3Ωcmとする。
【0373】
図34(A)に示すトランジスタは、下地絶縁層1101と、下地絶縁層1101に埋め込まれるように形成された酸化アルミニウムよりなる埋め込み絶縁物1102の上に形成される。トランジスタは半導体領域1103a、半導体領域1103cと、それらに挟まれ、チャネル形成領域となる真性の半導体領域1103bと、ゲート電極1105を有する。ゲート電極1105の幅を33nmとする。
【0374】
ゲート電極1105と半導体領域1103bの間には、ゲート絶縁層1104を有し、また、ゲート電極1105の両側面には側壁絶縁層1106aおよび側壁絶縁層1106b、ゲート電極1105の上部には、ゲート電極1105と他の配線との短絡を防止するための絶縁層1107を有する。側壁絶縁層の幅は5nmとする。また、半導体領域1103aおよび半導体領域1103cに接して、ソース電極1108aおよびドレイン電極1108bを有する。なお、このトランジスタにおけるチャネル幅を40nmとする。
【0375】
図34(B)に示すトランジスタは、下地絶縁層1101と、酸化アルミニウムよりなる埋め込み絶縁物1102の上に形成され、半導体領域1103a、半導体領域1103cと、それらに挟まれた真性の半導体領域1103bと、幅33nmのゲート電極1105とゲート絶縁層1104と側壁絶縁層1106aおよび側壁絶縁層1106bと絶縁層1107とソース電極1108aおよびドレイン電極1108bを有する点で図34(A)に示すトランジスタと同じである。
【0376】
図34(A)に示すトランジスタと図34(B)に示すトランジスタの相違点は、側壁絶縁層1106aおよび側壁絶縁層1106bの下の半導体領域の導電型である。図34(A)に示すトランジスタでは、側壁絶縁層1106aおよび側壁絶縁層1106bの下の半導体領域はnの導電型を呈する半導体領域1103aおよび半導体領域1103cであるが、図34(B)に示すトランジスタでは、真性の半導体領域1103bである。すなわち、図34(B)に示す半導体層において、半導体領域1103a(半導体領域1103c)とゲート電極1105がLoffだけ重ならない領域ができている。この領域をオフセット領域といい、その幅Loffをオフセット長という。図から明らかなように、オフセット長は、側壁絶縁層1106a(側壁絶縁層1106b)の幅と同じである。
【0377】
その他の計算に使用するパラメータは上述の通りである。計算にはシノプシス社製デバイスシミュレーションソフト、Sentaurus Deviceを使用した。図31は、図34(A)に示される構造のトランジスタのドレイン電流(I、実線)および移動度(μ、点線)のゲート電圧(V、ゲートとソースの電位差)依存性を示す。ドレイン電流Iは、ドレイン電圧(ドレインとソースの電位差)を+1Vとし、移動度μはドレイン電圧を+0.1Vとして計算したものである。
【0378】
図31(A)はゲート絶縁膜の厚さを15nmとしたものであり、図31(B)は10nmとしたものであり、図31(C)は5nmとしたものである。ゲート絶縁膜が薄くなるほど、特にオフ状態でのドレイン電流I(オフ電流)が顕著に低下する。一方、移動度μのピーク値やオン状態でのドレイン電流I(オン電流)には目立った変化が無い。ゲート電圧1V前後で、ドレイン電流はメモリ素子等で必要とされる10μAを超えることが示された。
【0379】
図32は、図34(B)に示される構造のトランジスタで、オフセット長Loffを5nmとしたもののドレイン電流I(実線)および移動度μ(点線)のゲート電圧V依存性を示す。ドレイン電流Iは、ドレイン電圧を+1Vとし、移動度μはドレイン電圧を+0.1Vとして計算したものである。図32(A)はゲート絶縁膜の厚さを15nmとしたものであり、図32(B)は10nmとしたものであり、図32(C)は5nmとしたものである。
【0380】
また、図33は、図34(B)に示される構造のトランジスタで、オフセット長Loffを15nmとしたもののドレイン電流Id(実線)および移動度μ(点線)のゲート電圧依存性を示す。ドレイン電流Iは、ドレイン電圧を+1Vとし、移動度μはドレイン電圧を+0.1Vとして計算したものである。図33(A)はゲート絶縁膜の厚さを15nmとしたものであり、図33(B)は10nmとしたものであり、図33(C)は5nmとしたものである。
【0381】
いずれもゲート絶縁膜が薄くなるほど、オフ電流が顕著に低下する一方、移動度μのピーク値やオン電流には目立った変化が無い。
【0382】
なお、移動度μのピークは、図31では80cm/Vs程度であるが、図32では60cm/Vs程度、図33では40cm/Vs程度と、オフセット長Loffが増加するほど低下する。また、オフ電流も同様な傾向がある。一方、オン電流もオフセット長Loffの増加にともなって減少するが、オフ電流の低下に比べるとはるかに緩やかである。また、いずれもゲート電圧1V前後で、ドレイン電流はメモリ素子等で必要とされる10μAを超えることが示された。
【0383】
(実施の形態6)
本実施の形態では、酸化物半導体としてIn、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体を用いたトランジスタについて説明する。
【0384】
In、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体をチャネル形成領域とするトランジスタは、該酸化物半導体を形成する際に基板を加熱して成膜すること、或いは酸化物半導体膜を形成した後に熱処理を行うことで良好な特性を得ることができる。なお、主成分とは組成比で5atomic%以上含まれる元素をいう。
【0385】
In、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体膜の成膜後に基板を意図的に加熱することで、トランジスタの電界効果移動度を向上させることが可能となる。また、トランジスタのしきい値電圧をプラスシフトさせ、ノーマリ・オフ化させることが可能となる。
【0386】
例えば、図35(A)乃至図35(C)は、In、Sn、Znを主成分とし、チャネル長Lが3μm、チャネル幅Wが10μmである酸化物半導体膜と、厚さ100nmのゲート絶縁膜を用いたトランジスタの特性である。なお、Vは10Vとした。
【0387】
図35(A)は基板を意図的に加熱せずにスパッタリング法でIn、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体膜を形成したときのトランジスタ特性である。このとき電界効果移動度のピークは18.8cm/Vsecが得られている。一方、基板を意図的に加熱してIn、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体膜を形成すると電界効果移動度を向上させることが可能となる。図35(B)は基板を200℃に加熱してIn、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体膜を形成したときのトランジスタ特性を示すが、電界効果移動度のピークは32.2cm/Vsecが得られている。
【0388】
電界効果移動度は、In、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体膜を形成した後に熱処理をすることによって、さらに高めることができる。図35(C)は、In、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体膜を200℃でスパッタリング成膜した後、650℃で熱処理をしたときのトランジスタ特性を示す。このとき電界効果移動度のピークは34.5cm/Vsecが得られている。
【0389】
基板を意図的に加熱することでスパッタリング成膜中の水分が酸化物半導体膜中に取り込まれるのを低減する効果が期待できる。また、成膜後に熱処理をすることによっても、酸化物半導体膜から水素や水酸基若しくは水分を放出させ除去することができ、上記のように電界効果移動度を向上させることができる。このような電界効果移動度の向上は、脱水化・脱水素化による不純物の除去のみならず、高密度化により原子間距離が短くなるためとも推定される。また、酸化物半導体から不純物を除去して高純度化することで結晶化を図ることができる。このように高純度化された非単結晶酸化物半導体は、理想的には100cm/Vsecを超える電界効果移動度を実現することも可能になると推定される。
【0390】
In、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体に酸素イオンを注入し、熱処理により該酸化物半導体に含まれる水素や水酸基若しくは水分を放出させ、その熱処理と同時に又はその後の熱処理により酸化物半導体を結晶化させても良い。このような結晶化若しくは再結晶化の処理により結晶性の良い非単結晶酸化物半導体を得ることができる。
【0391】
基板を意図的に加熱して成膜すること及び/又は成膜後に熱処理することの効果は、電界効果移動度の向上のみならず、トランジスタのノーマリ・オフ化を図ることにも寄与している。基板を意図的に加熱しないで形成されたIn、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体膜をチャネル形成領域としたトランジスタは、しきい値電圧がマイナスシフトしてしまう傾向がある。しかし、基板を意図的に加熱して形成された酸化物半導体膜を用いた場合、このしきい値電圧のマイナスシフト化は解消される。つまり、しきい値電圧はトランジスタがノーマリ・オフとなる方向に動き、このような傾向は図35(A)と図35(B)の対比からも確認することができる。
【0392】
なお、しきい値電圧はIn、Sn及びZnの比率を変えることによっても制御することが可能であり、組成比としてIn:Sn:Zn=2:1:3とすることでトランジスタのノーマリ・オフ化を期待することができる。また、ターゲットの組成比をIn:Sn:Zn=2:1:3とすることで結晶性の高い酸化物半導体膜を得ることができる。
【0393】
意図的な基板加熱温度若しくは熱処理温度は、150℃以上、好ましくは200℃以上、より好ましくは400℃以上であり、より高温で成膜し或いは熱処理することでトランジスタのノーマリ・オフ化を図ることが可能となる。
【0394】
また、意図的に基板を加熱した成膜及び/又は成膜後に熱処理をすることで、ゲートバイアス・ストレスに対する安定性を高めることができる。例えば、2MV/cm、150℃、1時間印加の条件において、ドリフトがそれぞれ±1.5V未満、好ましくは1.0V未満を得ることができる。
【0395】
実際に、酸化物半導体膜成膜後に加熱処理を行っていない試料1と、650℃の加熱処理を行った試料2のトランジスタに対してBT試験を行った。
【0396】
まず基板温度を25℃とし、Vdsを10Vとし、トランジスタのV−I特性の測定を行った。なお、Vdsはドレイン電圧(ドレインとソースの電位差)を示す。次に、基板温度を150℃とし、Vdsを0.1Vとした。次に、ゲート絶縁膜に印加される電界強度が2MV/cmとなるようにVに20Vを印加し、そのまま1時間保持した。次に、Vを0Vとした。次に、基板温度25℃とし、Vdsを10Vとし、トランジスタのV−I測定を行った。これをプラスBT試験と呼ぶ。
【0397】
同様に、まず基板温度を25℃とし、Vdsを10Vとし、トランジスタのV−I特性の測定を行った。次に、基板温度を150℃とし、Vdsを0.1Vとした。次に、ゲート絶縁膜に印加される電界強度が−2MV/cmとなるようにVに−20Vを印加し、そのまま1時間保持した。次に、Vを0Vとした。次に、基板温度25℃とし、Vdsを10Vとし、トランジスタのV−I測定を行った。これをマイナスBT試験と呼ぶ。
【0398】
試料1のプラスBT試験の結果を図36(A)に、マイナスBT試験の結果を図36(B)に示す。また、試料2のプラスBT試験の結果を図37(A)に、マイナスBT試験の結果を図37(B)に示す。
【0399】
試料1のプラスBT試験およびマイナスBT試験によるしきい値電圧の変動は、それぞれ1.80Vおよび−0.42Vであった。また、試料2のプラスBT試験およびマイナスBT試験によるしきい値電圧の変動は、それぞれ0.79Vおよび0.76Vであった。
試料1および試料2のいずれも、BT試験前後におけるしきい値電圧の変動が小さく、信頼性が高いことがわかる。
【0400】
熱処理は酸素雰囲気中で行うことができるが、まず窒素若しくは不活性ガス、または減圧下で熱処理を行ってから酸素を含む雰囲気中で熱処理を行っても良い。このような雰囲気中で熱処理を行うことにより、酸化物半導体膜中に酸素を過剰に含ませることができる。最初に脱水化・脱水素化を行ってから酸素を酸化物半導体膜に加えることで、熱処理の効果をより高めることができる。また、後から酸素を加えるには、酸素イオンを電界で加速して酸化物半導体膜に注入する方法を適用しても良い。これによっても、酸化物半導体膜中に酸素を過剰に含ませることができる。
【0401】
酸化物半導体中及び該酸化物半導体と接する膜との界面には、酸素欠損による欠陥が生成されやすいが、かかる熱処理により酸化物半導体中に酸素を過剰に含ませることにより、後に生成される酸素欠損を過剰な酸素によって補償することが可能となる。過剰酸素は主に格子間に存在する酸素であり、その酸素濃度は1×1016/cm以上2×1020/cm以下のとすれば、結晶に歪み等を与えることなく酸化物半導体中に含ませることができる。
【0402】
また、熱処理によって酸化物半導体に結晶が少なくとも一部に含まれるようにすることで、より安定な酸化物半導体膜を得ることができる。例えば、組成比In:Sn:Zn=1:1:1のターゲットを用いて、基板を意図的に加熱せずにスパッタリング成膜した酸化物半導体膜は、X線回折(XRD:X−Ray Diffraction)でハローパターンが観測される。この成膜された酸化物半導体膜を熱処理することによって結晶化させることができる。熱処理温度は任意であるが、例えば650℃の熱処理を行うことで、X線回折により明確な回折ピークを観測することができる。
【0403】
実際に、In−Sn−Zn−O膜のXRD分析を行った。XRD分析には、Bruker AXS社製X線回折装置D8 ADVANCEを用い、Out−of−Plane法で測定した。
【0404】
XRD分析を行った試料として、試料Aおよび試料Bを用意した。以下に試料Aおよび試料Bの作製方法を説明する。
【0405】
脱水素化処理済みの石英基板上にIn−Sn−Zn−O膜を100nmの厚さで成膜した。
【0406】
In−Sn−Zn−O膜は、スパッタリング装置を用い、酸素雰囲気で電力を100W(DC)として成膜した。ターゲットは、原子数比で、In:Sn:Zn=1:1:1のIn−Sn−Zn−Oターゲットを用いた。なお、成膜時の基板加熱温度は200℃とした。このようにして作製した試料を試料Aとした。
【0407】
次に、試料Aと同様の方法で作製した試料に対し加熱処理を650℃の温度で行った。加熱処理は、はじめに窒素雰囲気で1時間の加熱処理を行い、温度を下げずに酸素雰囲気でさらに1時間の加熱処理を行っている。このようにして作製した試料を試料Bとした。
【0408】
図40に試料Aおよび試料BのXRDスペクトルを示す。試料Aでは、結晶由来のピークが観測されなかったが、試料Bでは、2θが35deg近傍および37deg〜38degに結晶由来のピークが観測された。
【0409】
このように、In、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体は成膜時に意図的に加熱すること及び/又は成膜後に熱処理することによりトランジスタの特性を向上させることができる。
【0410】
この基板加熱や熱処理は、酸化物半導体にとって悪性の不純物である水素や水酸基を膜中に含ませないようにすること、或いは膜中から除去する作用がある。すなわち、酸化物半導体中でドナー不純物となる水素を除去することで高純度化を図ることができ、それによってトランジスタのノーマリ・オフ化を図ることができ、酸化物半導体が高純度化されることによりオフ電流を1aA/μm以下にすることができる。ここで、上記オフ電流値の単位は、チャネル幅1μmあたりの電流値を示す。
【0411】
図41に、トランジスタのオフ電流と測定時の基板温度(絶対温度)の逆数との関係を示す。ここでは、簡単のため測定時の基板温度の逆数に1000を掛けた数値(1000/T)を横軸としている。
【0412】
具体的には、図41に示すように、基板温度が125℃の場合には1aA/μm(1×10−18A/μm)以下、85℃の場合には100zA/μm(1×10−19A/μm)以下、室温(27℃)の場合には1zA/μm(1×10−21A/μm)以下にすることができる。好ましくは、125℃において0.1aA/μm(1×10−19A/μm)以下に、85℃において10zA/μm(1×10−20A/μm)以下に、室温において0.1zA/μm(1×10−22A/μm)以下にすることができる。
【0413】
もっとも、酸化物半導体膜の成膜時に水素や水分が膜中に混入しないように、成膜室外部からのリークや成膜室内の内壁からの脱ガスを十分抑え、スパッタガスの高純度化を図ることが好ましい。例えば、スパッタガスは水分が膜中に含まれないように露点−70℃以下であるガスを用いることが好ましい。また、ターゲットそのものに水素や水分などの不純物が含まれていていないように、高純度化されたターゲットを用いることが好ましい。In、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体は熱処理によって膜中の水分を除去することができるが、In、Ga、Znを主成分とする酸化物半導体と比べて水分の放出温度が高いため、好ましくは最初から水分の含まれない膜を形成しておくことが好ましい。
【0414】
また、酸化物半導体膜成膜後に650℃の加熱処理を行った試料Bを用いたトランジスタにおいて、基板温度と電気的特性の関係について評価した。
【0415】
測定に用いたトランジスタは、チャネル長Lが3μm、チャネル幅Wが10μm、Lovが0μm、dWが0μmである。なお、Vdsは10Vとした。なお、基板温度は−40℃、−25℃、25℃、75℃、125℃および150℃で行った。ここで、トランジスタにおいて、ゲート電極と一対の電極との重畳する幅をLovと呼び、酸化物半導体膜に対する一対の電極のはみ出しをdWと呼ぶ。
【0416】
図38に、I(実線)および電界効果移動度(点線)のV依存性を示す。また、図39(A)に基板温度としきい値電圧の関係を、図39(B)に基板温度と電界効果移動度の関係を示す。
【0417】
図39(A)より、基板温度が高いほどしきい値電圧は低くなることがわかる。なお、その範囲は−40℃〜150℃で1.09V〜−0.23Vであった。
【0418】
また、図39(B)より、基板温度が高いほど電界効果移動度が低くなることがわかる。なお、その範囲は−40℃〜150℃で36cm/Vs〜32cm/Vsであった。従って、上述の温度範囲において電気的特性の変動が小さいことがわかる。
【0419】
上記のようなIn、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体をチャネル形成領域とするトランジスタによれば、オフ電流を1aA/μm以下に保ちつつ、電界効果移動度を30cm/Vsec以上、好ましくは40cm/Vsec以上、より好ましくは60cm/Vsec以上とし、LSIで要求されるオン電流の値を満たすことができる。例えば、L/W=33nm/40nmのFETで、ゲート電圧2.7V、ドレイン電圧1.0Vのとき12μA以上のオン電流を流すことができる。またトランジスタの動作に求められる温度範囲においても、十分な電気的特性を確保することができる。このような特性であれば、Si半導体で作られる集積回路の中に酸化物半導体で形成されるトランジスタを混載しても、動作速度を犠牲にすることなく新たな機能を有する集積回路を実現することができる。
【0420】
<トランジスタの例1>
In−Sn−Zn−O膜を酸化物半導体膜に用いたトランジスタの一例について、図42などを用いて説明する。
【0421】
図42は、コプラナー型であるトップゲート・トップコンタクト構造のトランジスタの上面図および断面図である。図42(A)にトランジスタの上面図を示す。また、図42(B)に図42(A)の一点鎖線A−Bに対応する断面A−Bを示す。
【0422】
図42(B)に示すトランジスタは、基板1200と、基板1200上に設けられた下地絶縁膜1202と、下地絶縁膜1202の周辺に設けられた保護絶縁膜1204と、下地絶縁膜1202および保護絶縁膜1204上に設けられた高抵抗領域1206aおよび低抵抗領域1206bを有する酸化物半導体膜1206と、酸化物半導体膜1206上に設けられたゲート絶縁膜1208と、ゲート絶縁膜1208を介して酸化物半導体膜1206と重畳して設けられたゲート電極1210と、ゲート電極1210の側面と接して設けられた側壁絶縁膜1212と、少なくとも低抵抗領域1206bと接して設けられた一対の電極1214と、少なくとも酸化物半導体膜1206、ゲート電極1210および一対の電極1214を覆って設けられた層間絶縁膜1216と、層間絶縁膜1216に設けられた開口部を介して少なくとも一対の電極1214の一方と接続して設けられた配線1218と、を有する。
【0423】
なお、図示しないが、層間絶縁膜1216および配線1218を覆って設けられた保護膜を有していても構わない。該保護膜を設けることで、層間絶縁膜1216の表面伝導に起因して生じる微小リーク電流を低減することができ、トランジスタのオフ電流を低減することができる。
【0424】
<トランジスタの例2>
上記とは異なるIn−Sn−Zn−O膜を酸化物半導体膜に用いたトランジスタの他の一例について示す。
【0425】
図43は、トランジスタの構造を示す上面図および断面図である。図43(A)はトランジスタの上面図である。また、図43(B)は図43(A)の一点鎖線A−Bに対応する断面図である。
【0426】
図43(B)に示すトランジスタは、基板1600と、基板1600上に設けられた下地絶縁膜1602と、下地絶縁膜1602上に設けられた酸化物半導体膜1606と、酸化物半導体膜1606と接する一対の電極1614と、酸化物半導体膜1606および一対の電極1614上に設けられたゲート絶縁膜1608と、ゲート絶縁膜1608を介して酸化物半導体膜1606と重畳して設けられたゲート電極1610と、ゲート絶縁膜1608およびゲート電極1610を覆って設けられた層間絶縁膜1616と、層間絶縁膜1616に設けられた開口部を介して一対の電極1614と接続する配線1618と、層間絶縁膜1616および配線1618を覆って設けられた保護膜1620と、を有する。
【0427】
基板1600としてはガラス基板を、下地絶縁膜1602としては酸化シリコン膜を、酸化物半導体膜1606としてはIn−Sn−Zn−O膜を、一対の電極1614としてはタングステン膜を、ゲート絶縁膜1608としては酸化シリコン膜を、ゲート電極1610としては窒化タンタル膜とタングステン膜との積層構造を、層間絶縁膜1616としては酸化窒化シリコン膜とポリイミド膜との積層構造を、配線1618としてはチタン膜、アルミニウム膜、チタン膜がこの順で形成された積層構造を、保護膜1620としてはポリイミド膜を、それぞれ用いた。
【0428】
なお、図43(A)に示す構造のトランジスタにおいて、ゲート電極1610と一対の電極1614との重畳する幅をLovと呼ぶ。同様に、酸化物半導体膜1606に対する一対の電極1614のはみ出しをdWと呼ぶ。
【0429】
(実施の形態7)
本実施の形態では、上述の実施の形態で説明した半導体装置を電子機器に適用する場合について、図23を用いて説明する。本実施の形態では、コンピュータ、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯情報端末(携帯型ゲーム機、音響再生装置なども含む)、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、電子ペーパー、テレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョン受信機ともいう)などの電子機器に、上述の半導体装置を適用する場合について説明する。
【0430】
図23(A)は、ノート型のパーソナルコンピュータであり、筐体701、筐体702、表示部703、キーボード704などによって構成されている。筐体701と筐体702の少なくとも一には、先の実施の形態に示す半導体装置が設けられている。そのため、情報の書き込みおよび読み出しが高速で、長期間の記憶保持が可能で、且つ消費電力が十分に低減されたノート型のパーソナルコンピュータが実現される。
【0431】
図23(B)は、携帯情報端末(PDA)であり、本体711には、表示部713と、外部インターフェイス715と、操作ボタン714等が設けられている。また、携帯情報端末を操作するスタイラス712などを備えている。本体711内には、先の実施の形態に示す半導体装置が設けられている。そのため、情報の書き込みおよび読み出しが高速で、長期間の記憶保持が可能で、且つ消費電力が十分に低減された携帯情報端末が実現される。
【0432】
図23(C)は、電子ペーパーを実装した電子書籍720であり、筐体721と筐体723の2つの筐体で構成されている。筐体721および筐体723には、それぞれ表示部725および表示部727が設けられている。筐体721と筐体723は、軸部737により接続されており、該軸部737を軸として開閉動作を行うことができる。また、筐体721は、電源731、操作キー733、スピーカー735などを備えている。筐体721、筐体723の少なくとも一には、先の実施の形態に示す半導体装置が設けられている。そのため、情報の書き込みおよび読み出しが高速で、長期間の記憶保持が可能で、且つ消費電力が十分に低減された電子書籍が実現される。
【0433】
図23(D)は、携帯電話機であり、筐体740と筐体741の2つの筐体で構成されている。さらに、筐体740と筐体741は、スライドし、図23(D)のように展開している状態から重なり合った状態とすることができ、携帯に適した小型化が可能である。また、筐体741は、表示パネル742、スピーカー743、マイクロフォン744、操作キー745、ポインティングデバイス746、カメラ用レンズ747、外部接続端子748などを備えている。また、筐体740は、携帯電話機の充電を行う太陽電池セル749、外部メモリスロット750などを備えている。また、アンテナは、筐体741に内蔵されている。筐体740と筐体741の少なくとも一には、先の実施の形態に示す半導体装置が設けられている。そのため、情報の書き込みおよび読み出しが高速で、長期間の記憶保持が可能で、且つ消費電力が十分に低減された携帯電話機が実現される。
【0434】
図23(E)は、デジタルカメラであり、本体761、表示部767、接眼部763、操作スイッチ764、表示部765、バッテリー766などによって構成されている。本体761内には、先の実施の形態に示す半導体装置が設けられている。そのため、情報の書き込みおよび読み出しが高速で、長期間の記憶保持が可能で、且つ消費電力が十分に低減されたデジタルカメラが実現される。
【0435】
図23(F)は、テレビジョン装置770であり、筐体771、表示部773、スタンド775などで構成されている。テレビジョン装置770の操作は、筐体771が備えるスイッチや、リモコン操作機780により行うことができる。筐体771およびリモコン操作機780には、先の実施の形態に示す半導体装置が搭載されている。そのため、情報の書き込みおよび読み出しが高速で、長期間の記憶保持が可能で、且つ消費電力が十分に低減されたテレビジョン装置が実現される。
【0436】
以上のように、本実施の形態に示す電子機器には、先の実施の形態に係る半導体装置が搭載されている。このため、消費電力を低減した電子機器が実現される。
【符号の説明】
【0437】
120 半導体層
122 絶縁層
122a ゲート絶縁層
124 マスク
126 不純物領域
128a ゲート電極
128b 導電層
130 不純物領域
132 不純物領域
134 チャネル形成領域
136 絶縁層
138 絶縁層
140 絶縁層
142a ソース電極
142b ドレイン電極
144 酸化物半導体層
146 ゲート絶縁層
148a ゲート電極
148b 導電層
150 絶縁層
154 配線
156 絶縁層
160 トランジスタ
162 トランジスタ
164 容量素子
170 メモリセル
201 メモリセルアレイ
202 列駆動回路
203 行駆動回路
204 コントローラ
205 I/O制御回路
206 カウンタ
207 電位生成回路
208 バッファ
221 ビット線/ソース線駆動回路
223a アナログスイッチ
225 回路
231 ゲート線/容量線駆動回路
250 基板温度
314 トランジスタ
323 負荷
324 センスアンプ
325 インバータ
326 クロックドインバータ
327 トランジスタ
328 トランジスタ
329 ラッチ回路
341 トランジスタ
342 トランジスタ
343 トランジスタ
344 トランジスタ
400 絶縁層
401 ゲート電極
402 ゲート絶縁層
403 酸化物半導体層
404a 酸化物導電層
404b 酸化物導電層
405a ソース電極
405b ドレイン電極
410 トランジスタ
420 トランジスタ
427 絶縁層
430 トランジスタ
437 絶縁層
441 トランジスタ
442 トランジスタ
450a 結晶性酸化物半導体層
450b 結晶性酸化物半導体層
453 酸化物半導体層
500 半導体基板
510 単結晶半導体基板
512 酸化膜
514 脆化領域
516 単結晶半導体層
518 単結晶半導体層
701 筐体
702 筐体
703 表示部
704 キーボード
711 本体
712 スタイラス
713 表示部
714 操作ボタン
715 外部インターフェイス
720 電子書籍
721 筐体
723 筐体
725 表示部
727 表示部
731 電源
733 操作キー
735 スピーカー
737 軸部
740 筐体
741 筐体
742 表示パネル
743 スピーカー
744 マイクロフォン
745 操作キー
746 ポインティングデバイス
747 カメラ用レンズ
748 外部接続端子
749 太陽電池セル
750 外部メモリスロット
761 本体
763 接眼部
764 操作スイッチ
765 表示部
766 バッテリー
767 表示部
770 テレビジョン装置
771 筐体
773 表示部
775 スタンド
780 リモコン操作機
1101 下地絶縁層
1102 埋め込み絶縁物
1103a 半導体領域
1103b 半導体領域
1103c 半導体領域
1104 ゲート絶縁層
1105 ゲート電極
1106a 側壁絶縁層
1106b 側壁絶縁層
1107 絶縁層
1108a ソース電極
1108b ドレイン電極
1200 基板
1202 下地絶縁膜
1204 保護絶縁膜
1206 酸化物半導体膜
1208 ゲート絶縁膜
1210 ゲート電極
1212 側壁絶縁膜
1214 電極
1216 層間絶縁膜
1218 配線
1600 基板
1602 下地絶縁膜
1606 酸化物半導体膜
1608 ゲート絶縁膜
1610 ゲート電極
1614 電極
1616 層間絶縁膜
1618 配線
1620 保護膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
m×n個のメモリセルでなるメモリセルアレイと、読み出し回路を有する第1の駆動回路と、第2の駆動回路と、を有し、
前記メモリセルの一は、
第1のゲート電極、第1のソース電極、第1のドレイン電極、及び第1のチャネル形成領域を含む第1のトランジスタと、
第2のゲート電極、第2のソース電極、第2のドレイン電極、及び第2のチャネル形成領域を含む第2のトランジスタと、
を有し、
前記第1のチャネル形成領域は、前記第2のチャネル形成領域とは異なる半導体材料を含んで構成され、
前記読み出し回路は、負荷と、クロックドインバータと、第3のゲート電極、第3のソース電極、第3のドレイン電極、及び第3のチャネル形成領域を含む第3のトランジスタと、を有し、
前記クロックドインバータの出力端子は、前記第3のトランジスタの前記第3のソース電極または前記第3のドレイン電極と接続される、半導体装置。
【請求項2】
前記第1のソース電極は、ソース線と接続され、
前記クロックドインバータの入力端子は、ビット線を介して、前記第1のドレイン電極と、前記第2のドレイン電極と接続され、
前記第2のゲート電極は、ゲート線を介して、前記第1のゲート電極と、前記第2のソース電極と接続される、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
m×n個のメモリセルでなるメモリセルアレイと、読み出し回路を有する第1の駆動回路と、第2の駆動回路と、を有し、
前記メモリセルの一は、
第1のゲート電極、第1のソース電極、第1のドレイン電極、及び第1のチャネル形成領域を含む第1のトランジスタと、
第2のゲート電極、第2のソース電極、第2のドレイン電極、及び第2のチャネル形成領域を含む第2のトランジスタと、
容量素子と、
を有し、
前記第1のチャネル形成領域は、前記第2のチャネル形成領域とは異なる半導体材料を含んで構成され、
前記読み出し回路は、負荷と、クロックドインバータと、第3のゲート電極、第3のソース電極、第3のドレイン電極、及び第3のチャネル形成領域を含む第3のトランジスタと、を有し、
前記クロックドインバータの出力端子は、前記第3のトランジスタの前記第3のソース電極または前記第3のドレイン電極と接続される、半導体装置。
【請求項4】
前記第1のソース電極は、ソース線と接続され、
前記クロックドインバータの入力端子は、ビット線を介して、前記第1のドレイン電極と、前記第2のドレイン電極と接続され、
前記第2のゲート電極は、ゲート線と接続され、
前記容量素子の電極の一方は、容量線と接続され、
前記容量素子の電極の他方は、前記第1のゲート電極と、前記第2のソース電極と接続される、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1のトランジスタは、pチャネル型トランジスタであり、前記第2のトランジスタは、nチャネル型トランジスタである、請求項1乃至4のいずれか一に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2のトランジスタの前記第2のチャネル形成領域は、酸化物半導体を含んで構成される、請求項1乃至5のいずれか一に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2012−256400(P2012−256400A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170161(P2011−170161)
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】