説明

半導体装置

【課題】パワーデバイスの誤動作を防ぐ。
【解決手段】直列に接続された2つのパワーデバイスのうち高電位側のパワーデバイスを駆動制御する半導体装置であって、高電位側のパワーデバイスの導通を示す第1状態及び高電位側のパワーデバイスの非導通を示す第2状態を有する入力信号の第1,第2状態へのレベル遷移に対応して、それぞれ第1,第2のパルス信号を発生させるパルス発生回路と、第1,第2のパルス信号を高電位側へレベルシフトして、それぞれ第1,第2のレベルシフト済みパルス信号を得るレベルシフト回路と、第1,第2のレベルシフト済みパルス信号を少なくとも第1,第2のパルス信号のパルス幅分遅延させて、それぞれ第1,第2の遅延済みパルス信号を得る遅延回路と、第1の遅延済みパルス信号をセット入力から入力し、第2の遅延済みパルス信号をリセット入力から入力するSR型フリップフロップとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高電位の主電源電位と低電位の主電源電位との間に直列に接続された2つのパワーデバイスのうち高電位側のパワーデバイスを駆動制御する半導体装置に関し、特にパワーデバイスの誤動作を防ぐことができる半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図14は、ハーフブリッジ回路を示す回路図である。電源PSの正極と負極(接地電位GND)との間に、IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)などのパワーデバイス101,102がトーテムポール接続されている。また、パワーデバイス101,102には、それぞれフリーホイールダイオードD1,D2が逆並列接続されている。そして、パワーデバイス101とパワーデバイス102との接続点N1には負荷(モータなどの誘導性負荷)103が接続されている。
【0003】
パワーデバイス101は、パワーデバイス102との接続点N1の電位を基準電位として、この基準電位と電源PSが供給する電源電位との間でスイッチング動作するデバイスであり、高電位側パワーデバイスと呼ばれる。一方、パワーデバイス102は、接地電位を基準電位として、この基準電位と接続点N1の電位との間でスイッチング動作するデバイスであり、低電位側パワーデバイスと呼ばれる。
【0004】
パワーデバイス101は高電位側パワーデバイス駆動回路HDにより駆動され、パワーデバイス102は低電位側パワーデバイス駆動回路LDにより駆動される。高電位側パワーデバイス駆動回路HDには、高電位側電源104の正極の電圧VB(高電位側浮遊電源絶対電圧)と、高電位側電源104の負極の電圧VS(高電位側浮遊電源オフセット電圧)とが印加される。そして、高電位側パワーデバイス駆動回路HDは、出力信号HOをパワーデバイス102のゲート電極に出力する。なお、低電位側パワーデバイス駆動回路LDについては、本願発明と関係が薄いので説明を省略する。
【0005】
図15は、従来の半導体装置を示す回路図である。この半導体装置は、高電位の主電源電位と低電位の主電源電位との間に直列に接続された2つのパワーデバイスのうち高電位側のパワーデバイスを駆動制御する高電位側パワーデバイス駆動回路である。
【0006】
外部に設けられたマイクロコンピュータなどから入力信号HINが与えられる。入力信号HINは、高電位側のパワーデバイスの導通を示す“H(高電位)”(第1状態)及び高電位側のパワーデバイスの非導通を示す“L(低電位)”(第2状態)を有する。
【0007】
パルス発生回路11は、入力信号HINの“H”,“L”へのレベル遷移に対応して、それぞれパルス状のON信号(第1のパルス信号),OFF信号(第2のパルス信号)を発生させる。
【0008】
パルス発生回路11の2つの出力は、レベルシフトトランジスタである高耐圧Nチャネル型電界効果トランジスタ(以下、HNMOSトランジスタと呼ぶ)12,13のゲート電極にそれぞれ接続されている。そして、ON信号はHNMOSトランジスタ12のゲート電極に、OFF信号はHNMOSトランジスタ13のゲート電極に与えられる。HNMOSトランジスタ12,13のドレイン電極はそれぞれ抵抗14,15の一端に接続されるとともに、インバータ16,17の入力にも接続されている。
【0009】
このHNMOSトランジスタ12,13、抵抗14,15及びインバータ16,17によりレベルシフト回路が構成される。このレベルシフト回路は、ON信号,OFF信号を高電位側へレベルシフトして、それぞれ第1,第2のレベルシフト済みパルス信号を得る。
【0010】
SR型フリップフロップ19は、保護回路18を介して、インバータ16,17の出力信号(第1,第2のレベルシフト済みパルス信号)をそれぞれセット入力S及びリセット入力Rから入力する。ここで、保護回路18はSR型フリップフロップ19の誤動作を防止するためのフィルタ回路であり、論理ゲートによって構成されている。
【0011】
SR型フリップフロップ19の出力Qは、NMOSトランジスタ20のゲート電極に接続されるとともに、インバータ21の入力にも接続され、インバータ21の出力はNMOSトランジスタ22のゲート電極に接続されている。NMOSトランジスタ20,22の接続点の電圧を高電位側の出力信号HOとして出力する。このようにNMOSトランジスタ20,22を相補的にON、OFFさせることでパワーデバイス101をスイッチングする。
【0012】
抵抗14,15の他端はNMOSトランジスタ20のドレイン電極側に接続され、電圧VBが印加されている。また、NMOSトランジスタ22のソース電極は、ダイオード23,24のアノード及び図14の接続点N1に接続され、電圧VSが印加されている。ダイオード23,24のカソードは、それぞれHNMOSトランジスタ12,13のドレイン電極に接続されている。
【0013】
次に、図16に示すタイミングチャートを用いて、従来の高電位側パワーデバイス駆動回路の動作について説明する。
【0014】
まず、パルス発生回路11は、入力信号HINの立ち上がりに応答して、“H(高電位)”に遷移するパルス状のON信号を発生させる。このON信号によって、HNMOSトランジスタ12がONする。このときOFF信号は“L(低電位)”であり、HNMOSトランジスタ13はOFF状態である。
【0015】
これによってHNMOSトランジスタ12に接続された抵抗14に電圧降下が発生し、インバータ16に“L”信号が入力される。一方、HNMOSトランジスタ13に接続された抵抗15には電圧降下が発生しないので、インバータ17には“H”信号が入力され続ける。よって、インバータ16の出力信号は“H”に遷移するパルス信号となり、インバータ17の出力信号は“L”状態を維持する。
【0016】
そして、インバータ16,17の出力信号を受けた保護回路18は、SR型フリップフロップ19のセット入力Sに対して、インバータ16の出力信号に対応して“L”に遷移するパルス信号を出力する。一方、保護回路18は、SR型フリップフロップ19のリセット入力Rに対して、インバータ17の出力信号に対応して“H”信号を出力する。
【0017】
また、パルス発生回路11は、入力信号HINの立ち下がりに応答して、“H(高電位)”に遷移するパルス状のOFF信号を発生させる。この場合も、上記と同様の動作を行い、保護回路18は、SR型フリップフロップ19のセット入力Sに対して、インバータ16の出力信号に対応して“H”信号を出力する。一方、保護回路18は、SR型フリップフロップ19のリセット入力Rに対して、インバータ17の出力信号に対応して “L”に遷移するパルス信号を出力する。
【0018】
この結果、SR型フリップフロップ19の出力Qは、ON信号が与えられるタイミングで“H”に遷移し、OFF信号が与えられるタイミングで“L”に遷移する。また、NMOSトランジスタ20,22を相補的にON、OFFさせることで得られる出力信号HOも同様の信号となる。
【0019】
ここで問題となるのは、パワーデバイス101,102で構成されるハーフブリッジ型パワーデバイスのスイッチング状態によって、接続点N1からダイオード23,24のアノードに至るラインで発生するdv/dt過渡信号である。
【0020】
dv/dt過渡信号が発生すると、HNMOSトランジスタ12,13のドレイン−ソース間の寄生静電容量とdv/dt過渡信号との積算で得られるdv/dt電流がHNMOSトランジスタ12,13に同時に流れる。これにより、ON信号及びOFF信号の代わりに、dv/dt過渡信号による誤りパルスが同時に与えられることになる。このような場合に、保護回路18は、SR型フリップフロップ19に同時に信号入力が行われることを防止するように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開平9−200017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
高電位側パワーデバイス駆動回路HDの出力信号HOが“H”の時、パワーデバイス101はONとなり、図14に示すように電流I1が流れる。その後、高電位側パワーデバイス駆動回路HDの出力信号HOが“H”から“L”に遷移し、パワーデバイス101がONからOFFに切り替ると、フリーホイールダイオードD2に電流I2が流れる還流モードになる。この時、電圧VSは、dv/dt過渡信号と配線のインダクタンスにより、GNDよりも一時的に低くなり負電圧となる。
【0023】
従来の半導体装置では、パワーデバイス101を切り替えるのと同時に、ON信号又はOFF信号が出力されていた。しかし、パワーデバイス101の切り替えにより電圧VSが負電圧になった際に、ON信号,OFF信号によりHNMOSトランジスタ12はOFF、HNMOSトランジスタ13はONとアンバランスになっている。このため、HNMOSトランジスタ12,13の寄生ダイオード25,26に流れるリカバリー電流に差が生じる。これにより間違った出力信号HOが出力され、パワーデバイスの誤動作を引き起こすという問題があった。
【0024】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、パワーデバイスの誤動作を防ぐことができる半導体装置を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明に係る半導体装置は、高電位の主電源電位と低電位の主電源電位との間に直列に接続された2つのパワーデバイスのうち高電位側のパワーデバイスを駆動制御する半導体装置であって、前記高電位側のパワーデバイスの導通を示す第1状態及び前記高電位側のパワーデバイスの非導通を示す第2状態を有する入力信号の前記第1,第2状態へのレベル遷移に対応して、それぞれ第1,第2のパルス信号を発生させるパルス発生回路と、前記第1,第2のパルス信号を高電位側へレベルシフトして、それぞれ第1,第2のレベルシフト済みパルス信号を得るレベルシフト回路と、前記第1,第2のレベルシフト済みパルス信号を少なくとも前記第1,第2のパルス信号のパルス幅分遅延させて、それぞれ第1,第2の遅延済みパルス信号を得る遅延回路と、前記第1の遅延済みパルス信号をセット入力から入力し、前記第2の遅延済みパルス信号をリセット入力から入力するSR型フリップフロップとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明により、パワーデバイスの誤動作を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態1に係る半導体装置を示す回路図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る半導体装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図3】本発明の実施の形態2に係る半導体装置を示す回路図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係る半導体装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図5】本発明の実施の形態3に係る半導体装置を示す回路図である。
【図6】本発明の実施の形態3に係る半導体装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図7】本発明の実施の形態4に係る半導体装置を示す回路図である。
【図8】本発明の実施の形態4に係る半導体装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図9】本発明の実施の形態5に係る半導体装置を示す回路図である。
【図10】本発明の実施の形態5に係る半導体装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図11】本発明の実施の形態6に係る半導体装置を示す回路図である。
【図12】本発明の実施の形態7に係る半導体装置を示す回路図である。
【図13】本発明の実施の形態8に係る半導体装置を示す回路図である。
【図14】ハーフブリッジ回路を示す回路図である。
【図15】従来の半導体装置を示す回路図である。
【図16】従来の半導体装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る半導体装置を示す回路図である。この半導体装置は、高電位の主電源電位と低電位の主電源電位との間に直列に接続された2つのパワーデバイスのうち高電位側のパワーデバイスを駆動制御する高電位側パワーデバイス駆動回路である。
【0029】
外部に設けられたマイクロコンピュータなどから入力信号HINが与えられる。入力信号HINは、高電位側のパワーデバイスの導通を示す“H(高電位)”(第1状態)及び高電位側のパワーデバイスの非導通を示す“L(低電位)”(第2状態)を有する。
【0030】
パルス発生回路11は、入力信号HINの“H”,“L”へのレベル遷移に対応して、それぞれパルス状のON信号(第1のパルス信号),OFF信号(第2のパルス信号)を発生させる。
【0031】
パルス発生回路11の2つの出力は、レベルシフトトランジスタである高耐圧Nチャネル型電界効果トランジスタ(以下、HNMOSトランジスタと呼ぶ)12,13のゲート電極にそれぞれ接続されている。そして、ON信号はHNMOSトランジスタ12のゲート電極に、OFF信号はHNMOSトランジスタ13のゲート電極に与えられる。HNMOSトランジスタ12,13のドレイン電極はそれぞれ抵抗14,15の一端に接続されるとともに、インバータ16,17の入力にも接続されている。
【0032】
このHNMOSトランジスタ12,13、抵抗14,15及びインバータ16,17によりレベルシフト回路が構成される。このレベルシフト回路は、ON信号,OFF信号を高電位側へレベルシフトして、それぞれ第1,第2のレベルシフト済みパルス信号を得る。
【0033】
SR型フリップフロップ19は、保護回路18を介して、インバータ16,17の出力信号(第1,第2のレベルシフト済みパルス信号)をそれぞれセット入力S及びリセット入力Rから入力する。ここで、保護回路18は、SR型フリップフロップ19の誤動作を防止するためのフィルタ回路であり、NAND回路31〜33,インバータ34〜38及びNOR回路39,40によって構成されている。
【0034】
また、NOR回路41は、第1、第2のレベルシフト済みパルス信号を入力してNOR演算を行う。D型フリップフロップ42は、NOR回路41の出力をクロック入力Tから入力し、SR型フリップフロップ19の出力をデータ入力Dから入力する。このNOR回路41とD型フリップフロップ42から遅延回路が構成される。この遅延回路は、SR型フリップフロップ19の出力を少なくともON信号,OFF信号のパルス幅分遅延させる。
【0035】
D型フリップフロップ42の出力Q´は、NMOSトランジスタ20のゲート電極に接続されるとともに、インバータ21の入力にも接続され、インバータ21の出力はNMOSトランジスタ22のゲート電極に接続されている。NMOSトランジスタ20,22の接続点の電圧を高電位側の出力信号HOとして出力する。このようにNMOSトランジスタ20,22を相補的にON、OFFさせることで高電位側のパワーデバイスをスイッチングする。
【0036】
抵抗14,15の他端はNMOSトランジスタ20のドレイン電極側に接続され、電圧VBが印加されている。また、NMOSトランジスタ22のソース電極は、ダイオード23,24のアノード及び図14の接続点N1に接続され、電圧VSが印加されている。ダイオード23,24のカソードは、それぞれHNMOSトランジスタ12,13のドレイン電極に接続されている。
【0037】
図2は、本発明の実施の形態1に係る半導体装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。図示のように、出力信号HOは、ON信号,OFF信号が出力された後に切り替る。これにより、パワーデバイスの切り替えにより電圧VSが負電圧になっている時には、ON信号,OFF信号は出力されない。従って、パワーデバイスの誤動作を防ぐことができる。また、SR型フリップフロップ19の出力をロジック的に遅延させるため、素子ばらつきが少ない。
【0038】
実施の形態2.
図3は、本発明の実施の形態2に係る半導体装置を示す回路図であり、図4は、その動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0039】
本実施の形態2では、遅延回路として、第1のインバータ43と、NAND回路44と、第2のインバータ45と、OR回路46とを有する。その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0040】
第1のインバータ43は、第1のレベルシフト済みパルス信号を反転させる。NAND回路44は、第1のインバータ43の出力とSR型フリップフロップ19の出力を入力して、NAND演算を行う。第2のインバータ45は、NAND回路44の出力を反転させる。OR回路46は、第2のインバータ45の出力と第2のレベルシフト済みパルス信号を入力して、OR演算を行う。
【0041】
この構成により、実施の形態1と同様の効果を奏する。また、実施の形態1よりも回路規模を小さくすることができる。
【0042】
実施の形態3.
図5は、本発明の実施の形態3に係る半導体装置を示す回路図であり、図6は、その動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0043】
本実施の形態3では、遅延回路として、複数のインバータ47,48を有する。その他の構成は実施の形態1と同様である。この構成により、実施の形態1と同様にパワーデバイスの誤動作を防ぐことができる。また、インバータの段数によって遅延量を容易に制御することができる。
【0044】
実施の形態4.
図7は、本発明の実施の形態4に係る半導体装置を示す回路図であり、図8は、その動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0045】
本実施の形態4では、遅延回路として、定電流源51と、コンデンサ52と、インバータ53と、NMOSトランジスタ54〜56と、PMOSトランジスタ57〜59とを有する。その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0046】
定電流源51はコンデンサ52を充電する。スイッチング素子であるNMOSトランジスタ54〜56及びPMOSトランジスタ57〜59は、SR型フリップフロップ19の出力に応じてコンデンサ52を充放電させる。インバータ53は、コンデンサ52に充電された電圧を反転して出力する。
【0047】
この構成により、実施の形態1と同様にパワーデバイスの誤動作を防ぐことができる。また、定電流源51の電流値又はコンデンサ52の容量値によって遅延を容易に制御することができる。
【0048】
実施の形態5.
図9は、本発明の実施の形態5に係る半導体装置を示す回路図である。上記の実施の形態1〜4では、SR型フリップフロップ19の後段に遅延回路が設けられていた。これに対し、本実施の形態5では、保護回路18とSR型フリップフロップ19との間に遅延回路が設けられている。その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0049】
遅延回路として、インバータ61〜64と第1,第2のコンデンサ65,66が設けられている。インバータ61,62は、保護回路18の出力LFSとSR型フリップフロップ19のセット入力Sとの間に直列接続されている。インバータ63,64は、保護回路18の出力LFRとSR型フリップフロップ19のリセット入力Rとの間に直列接続されている。第1のコンデンサ65の一端は、インバータ61とインバータ62の接続点に接続され、第1のレベルシフト済みパルス信号が印加される。第2のコンデンサ66の一端は、インバータ63とインバータ64の接続点に接続され、第2のレベルシフト済みパルス信号が印加される。第1,第2のコンデンサ65,66の他端には電圧VSが印加されている。
【0050】
この遅延回路は、第1,第2のレベルシフト済みパルス信号を少なくともON信号,OFF信号のパルス幅分遅延させて、それぞれ第1,第2の遅延済みパルス信号を得る。即ち、第1,第2のコンデンサ65,66に充電された電圧をそれぞれ第1,第2の遅延済みパルス信号として出力する。そして、SR型フリップフロップ19は、第1の遅延済みパルス信号をセット入力Sから入力し、第2の遅延済みパルス信号をリセット入力Rから入力する。
【0051】
SR型フリップフロップ19の出力Qは、NMOSトランジスタ20のゲート電極に接続されるとともに、インバータ21の入力にも接続され、インバータ21の出力はNMOSトランジスタ22のゲート電極に接続されている。NMOSトランジスタ20,22の接続点の電圧を高電位側の出力信号HOとして出力する。このようにNMOSトランジスタ20,22を相補的にON、OFFさせることで高電位側のパワーデバイスをスイッチングする。
【0052】
図10は、本発明の実施の形態5に係る半導体装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。図示のように、出力信号HOは、ON信号,OFF信号が出力された後に切り替る。これにより、パワーデバイスの切り替えにより電圧VSが負電圧になっている時には、ON信号,OFF信号は出力されない。従って、パワーデバイスの誤動作を防ぐことができる。また、ON信号とOFF信号の遅延量をそれぞれ制御することができる。そして、第1,第2のコンデンサ65,66の容量値によって遅延量を容易に制御することができる。
【0053】
実施の形態6.
図11は、本発明の実施の形態6に係る半導体装置を示す回路図である。この半導体装置のタイミングチャートは実施の形態5と同様である。
【0054】
本実施の形態6では、遅延回路として、保護回路18の出力LFSとSR型フリップフロップ19のセット入力Sとの間に直列接続された複数の第1のインバータ71,72と、保護回路18の出力LFRとSR型フリップフロップ19のリセット入力Rとの間に直列接続された複数の第2のインバータ73,74とが設けられている。その他の構成は実施の形態5と同様である。
【0055】
この構成により、実施の形態5と同様にパワーデバイスの誤動作を防ぐことができ、ON信号とOFF信号の遅延量をそれぞれ制御することができる。また、第1,第2のインバータの段数によって遅延量を容易に制御することができる。
【0056】
実施の形態7.
図12は、本発明の実施の形態7に係る半導体装置を示す回路図である。この半導体装置のタイミングチャートは実施の形態5と同様である。
【0057】
本実施の形態7では、遅延回路として、第1,第2の定電流源80,81と、第1,第2のコンデンサ82,83と、インバータ84〜87と、NMOSトランジスタ88,89(第1,第2のスイッチング素子)とを有する。その他の構成は実施の形態5と同様である。
【0058】
第1,第2の定電流源80,81は第1,第2のコンデンサ82,83をそれぞれ充電する。NMOSトランジスタ88,89は、第1,第2のレベルシフト済みパルス信号に応じて、それぞれ第1,第2のコンデンサ82,83を充放電させる。インバータ86,87は、第1,第2のコンデンサ82,83に充電された電圧をそれぞれ反転して第1,第2の遅延済みパルス信号として出力する。
【0059】
この構成により、実施の形態5と同様にパワーデバイスの誤動作を防ぐことができ、ON信号とOFF信号の遅延量をそれぞれ制御することができる。また、第1,第2の定電流源80,81の電流値又は第1,第2のコンデンサ82,83の容量値によって遅延量を容易に制御することができる。
【0060】
実施の形態8.
図13は、本発明の実施の形態8に係る半導体装置を示す回路図である。この半導体装置のタイミングチャートは実施の形態5と同様である。
【0061】
本実施の形態7では、遅延回路として、第1,第2の定電流源90,91と、第1,第2のコンデンサ92,93と、インバータ94〜97と、NMOSトランジスタ98,99(第1,第2のスイッチング素子)とを有する。その他の構成は実施の形態5と同様である。
【0062】
第1,第2の定電流源90,91は第1,第2のコンデンサ92,93をそれぞれ充電する。NMOSトランジスタ98,99は、第1,第2のレベルシフト済みパルス信号に応じて、それぞれ第1,第2のコンデンサ92,93を充放電させる。インバータ96,97は、第1,第2のコンデンサ92,93に充電された電圧をそれぞれ反転して第1,第2の遅延済みパルス信号として出力する。
【0063】
この構成により、実施の形態5と同様にパワーデバイスの誤動作を防ぐことができ、ON信号とOFF信号の遅延量をそれぞれ制御することができる。また、第1,第2の定電流源90,91の電流値又は第1,第2のコンデンサ92,93の容量値によって遅延量を容易に制御することができる。
【符号の説明】
【0064】
11 パルス発生回路
12,13 HNMOSトランジスタ(レベルシフト回路)
14,15 抵抗(レベルシフト回路)
16,17 インバータ(レベルシフト回路)
19 SR型フリップフロップ
41 NOR回路(遅延回路)
42 D型フリップフロップ(遅延回路)
43 第1のインバータ(遅延回路)
44 NAND回路(遅延回路)
45 第2のインバータ(遅延回路)
46 OR回路(遅延回路)
47,48 インバータ(遅延回路)
51 定電流源(遅延回路)
52 コンデンサ(遅延回路)
54〜59 スイッチング素子(遅延回路)
71,72 第1のインバータ(遅延回路)
73,74 第2のインバータ(遅延回路)
80,90 第1の定電流源(遅延回路)
81,91 第2の定電流源(遅延回路)
65,82,92 第1のコンデンサ(遅延回路)
66,83,93 第2のコンデンサ(遅延回路)
88,98 NMOSトランジスタ(第1のスイッチング素子)(遅延回路)
89,99 NMOSトランジスタ(第2のスイッチング素子)(遅延回路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電位の主電源電位と低電位の主電源電位との間に直列に接続された2つのパワーデバイスのうち高電位側のパワーデバイスを駆動制御する半導体装置であって、
前記高電位側のパワーデバイスの導通を示す第1状態及び前記高電位側のパワーデバイスの非導通を示す第2状態を有する入力信号の前記第1,第2状態へのレベル遷移に対応して、それぞれ第1,第2のパルス信号を発生させるパルス発生回路と、
前記第1,第2のパルス信号を高電位側へレベルシフトして、それぞれ第1,第2のレベルシフト済みパルス信号を得るレベルシフト回路と、
前記第1,第2のレベルシフト済みパルス信号を少なくとも前記第1,第2のパルス信号のパルス幅分遅延させて、それぞれ第1,第2の遅延済みパルス信号を得る遅延回路と、
前記第1の遅延済みパルス信号をセット入力から入力し、前記第2の遅延済みパルス信号をリセット入力から入力するSR型フリップフロップとを備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記遅延回路は、一端に前記第1,第2のレベルシフト済みパルス信号がそれぞれ印加され、他端に基準電圧が印加された第1,第2のコンデンサを有し、
前記第1,第2のコンデンサに充電された電圧をそれぞれ前記第1,第2の遅延済みパルス信号として出力することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記遅延回路は、
前記第1のレベルシフト済みパルス信号を遅延させる複数の第1のインバータと、
前記第2のレベルシフト済みパルス信号を遅延させる複数の第2のインバータとを有することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記遅延回路は、
第1,第2のコンデンサと、
前記第1,第2のコンデンサをそれぞれ充電する第1,第2の定電流源と、
前記第1,第2のレベルシフト済みパルス信号に応じて、それぞれ前記第1,第2のコンデンサを充放電させる第1,第2のスイッチング素子とを有し、
前記第1,第2のコンデンサに充電された電圧をそれぞれ前記第1,第2の遅延済みパルス信号として出力することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−39031(P2013−39031A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−195928(P2012−195928)
【出願日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【分割の表示】特願2007−122767(P2007−122767)の分割
【原出願日】平成19年5月7日(2007.5.7)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】