説明

半導体装置

【課題】ヒューズ開口部からの水分侵入による電特異常及び配線腐食を防止する半導体装置を提供する。
【解決手段】シリコン基板1上に絶縁膜2とゲート酸化膜3を設け、ゲート酸化膜2上の一部にヒューズ配線4の両端にヒューズ端子15を有するヒューズを設ける。ヒューズを構成するヒューズ配線4の上方には酸化膜5を介して窒化膜14が形成された凸領域があり、ヒューズ端子15は第1金属配線7と電気的に接続している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SOG膜による平坦化を利用したヒューズを有する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高精度な仕様を要求されるアナログICでは、製造バラツキ起因によるトランジスタや抵抗素子の特性バラツキを吸収するため、たとえば多結晶シリコン等からなる薄膜抵抗に接続された溶断できる薄膜で構成されたレーザートリミング用のヒューズをレーザー照射によって切断することで抵抗体の組み合わせパターンを調節し、回路の狙い値に落とし込む施策が一般的にとられている。
【0003】
こうしたヒューズを作成する場合において、そのヒューズとなるアルミあるいは多結晶シリコン等の薄膜にレーザーが効率よく照射できるよう、通常はこのような薄膜を覆っている保護膜である窒化膜や多層配線間における層間膜をエッチングによりおおかた除去している。このときSOG膜による平坦化を使用した半導体装置においては、上記エッチング開口部の断面にSOG膜が剥き出しになる。SOG膜は水分を通しやすいため、エッチング開口部から侵入した水分はSOG膜を通って内部素子領域へ移動し、PMOSトランジスタのNBTIや配線腐蝕の原因となる。
【0004】
これまで、SOG膜を介したヒューズ開口部からの内部素子への水分の侵入を抑制する方法としてヒューズ開口部の周囲にAl配線のシールリングと呼ばれる凸段差を設けることが提案されている。SOG膜による平坦化工程において、ヒューズ上のシールリングは周囲の凹凸よりも高い凸段差となることから、SOG塗布後のシールリング上のSOG膜厚は周囲より薄くなり、エッチバックの際に前記ヒューズ上のシールリング上のSOG膜は完全に除去されてしまう。よって、ヒューズ開口部からの内部素子へ繋がるSOG膜の層は、前記シールリング上で分断され、ヒューズ開口部からヒューズ上のSOG膜を介した水分の侵入を遮断することができる。(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平05−21605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この方法ではヒューズとヒューズの間のシールリングの上の凸段差は周囲に比べ必ずしも高い段差とはならず、条件によってはSOG膜が残る場合がある。ヒューズとヒューズの間のシールリングの上にSOG膜が残ってしまうと、ヒューズ開口部の側面で露出したSOG膜とヒューズとヒューズの間のシールリングの上に残ったSOG膜が繋がってしまうので、SOG膜を介してヒューズ開口部から内部素子へ直接水分が侵入し、内部素子の特性変動及び腐蝕の原因となってしまう。本発明は、上記のようなSOG膜の水分浸入経路も遮断して、より信頼性の高いヒューズの構造を持つ半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明では以下のような半導体装置とした。
【0008】
まず、ヒューズを有する半導体装置であって、ヒューズ配線上に設けられた凸領域と、ヒューズ配線の両端に設けられたヒューズ端子と、ヒューズ端子に接続された第1金属配線と、凸領域内に前記凸領域よりも小さく設けられたヒューズ開口部とからなる半導体装置とした。
【0009】
また、上記半導体装置の凸領域の膜厚は、第1金属配線の膜厚よりも厚くなるようにした。
また、凸領域は、絶縁性の膜からなる半導体装置とした。
そして、ヒューズ開口部の底面には凸領域が露出している半導体装置とした。
【発明の効果】
【0010】
以上の構成とすることにより、ヒューズ上にSOG膜が残存することが無いため、ヒューズトリミングしてもヒューズ開口部から内部素子に水分が浸入する懸念がなく、長期に渡って特性の安定した半導体装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係るヒューズの平面図である。
【図2】本発明の実施形態を示すヒューズの断面模式図(図1のA−A’断面)である。
【図3】本発明の実施形態を示すヒューズの断面模式図(図1のB−B’断面)である。
【図4】(a)本発明の実施形態を示すヒューズの製造フローを示す図1のA−A’断面に対応する図である。(b)本発明の実施形態を示すヒューズの製造フローを示す図1のB−B’断面に対応する図である。
【図5】(a)図4に続く、本発明の実施形態を示すヒューズの製造フローを示す図1のA−A’断面に対応する図である。(b)図4に続く、本発明の実施形態を示すヒューズの製造フローを示す図1のB−B’断面に対応する図である。
【図6】(a)図5に続く、本発明の実施形態を示すヒューズの製造フローを示す図1のA−A’断面に対応する図である。(b)図5に続く、本発明の実施形態を示すヒューズの製造フローを示す図1のB−B’断面に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は本発明の実施形態に係る半導体装置の平面図である。
ヒューズ配線とヒューズ端子からなるヒューズを有する半導体装置であって、ヒューズ端子15の間の図示されていない複数のヒューズ配線4の上方には複数のヒューズ配線4を覆う窒化膜からなる凸領域14が設けられている。すなわち、窒化膜による一つの領域14が複数のヒューズ配線4を跨いで覆うように設けられている。また、平面視的に窒化膜14内にヒューズ開口部13が窒化膜からなる凸領域14の上には設けられている。さらに、ヒューズ配線4の両端に設けられたヒューズ端子15には第1金属配線7が電気的に接続されている。ここで、窒化膜からなる凸領域14は第1金属配線7よりも膜厚が厚くなるように形成されている。
【0013】
図2は図1のA−A’での断面模式図である。
シリコン基板1上に絶縁膜2とゲート酸化膜3を設け、ゲート酸化膜2上の一部にヒューズ配線4の両端にヒューズ端子15を有するヒューズを設ける。ヒューズおよびゲート酸化膜3の上には酸化膜5が設けられている。ヒューズを構成するヒューズ配線4の上方には酸化膜5を介して窒化膜からなる凸領域14が形成されている。窒化膜からなる凸領域14と酸化膜5の上には第1層間絶縁膜6があり、第1層間絶縁膜6と酸化膜5を貫通して設けられたコンタクトホールを介してヒューズ端子15と第1金属配線7が電気的に接続している。第1金属配線7の上には第2層間層間絶縁膜8とSOG膜9と第3層間絶縁膜10が順に積層している。ここで、SOG膜9は凹部のみに形成され、ヒューズ開口部13およびその近傍には存在しない。従って、ヒューズ開口部13の領域にSOG膜9が露出するということは無い。
【0014】
図示してはいないが、第2層間絶縁膜8と第3層間絶縁膜10と酸化膜5を貫通したビアホールを介して第1金属配線7と電気的に接続する第2金属配線を第3層間絶縁膜10の上に設けられている。第2金属配線および第3層間絶縁膜10の上にはパッシベーション膜11とポリイミド膜12が設けられ、ヒューズ開口部13ではパッシベーション膜11とポリイミド膜12、そして下地の第3層間絶縁膜10と第1層間絶縁膜6が除去され、ヒューズ開口部底面には窒化膜からなる凸領域14が一部露出している。ヒューズ開口部13の下方には窒化膜からなる凸領域14や酸化膜5を介してヒューズ配線4が設けられる。後のヒューズトリミング工程においてヒューズ開口部13から入射したレーザー光にてヒューズ配線4を切断して所望の抵抗を得ることになるが、本発明においては、上述のような形状のヒューズを有する半導体装置としたため、ヒューズトリミング工程にて窒化膜からなる凸領域14や酸化膜5やヒューズ配線の一部を除去したとしてもSOG膜9が露出することはない。このためSOG膜を介してヒューズ開口部から内部素子へ水分が侵入し、内部素子の特性変動及び腐蝕の原因となってしまう懸念はなく、長期に渡って特性の安定した半導体装置とすることができる。
【0015】
図3は図1のB−B’での断面模式図である。
ヒューズ開口部13の下方にはヒューズ開口部13を含んでオーバーラップするように窒化膜からなる凸領域14が下敷きされている。窒化膜からなる凸領域14は複数のヒューズ配線4を跨いで覆うように形成されている。図からも明らかなようにヒューズ開口部13にSOG膜9が露出することはなく、ヒューズ開口部とSOG膜9は第1層間絶縁膜6および第2層間絶縁膜8によって隔てられている。よってヒューズトリミング工程にて窒化膜からなる凸領域14や酸化膜5やヒューズ配線の一部を除去させたとしてもSOG膜9が露出することはない。このためSOG膜を介してヒューズ開口部から内部素子へ水分が侵入し、内部素子の特性変動及び腐蝕の原因となってしまう懸念はなく、長期に渡って特性の安定した半導体装置とすることができる。
【0016】
次に、本発明の実施形態を示す半導体装置の製造フローを示す図4乃至図6を用いて製造方法について説明する。
例えば抵抗が20〜30ΩcmのP型のシリコン基板1の表面上に、絶縁膜2として例えば酸化膜を膜厚6000Åとして熱酸化法を用いて成膜させる。次にゲート酸化膜3として例えば酸化膜を膜厚200Åとして熱酸化法を用いて成膜させる。次にヒューズ配線4として例えば多結晶シリコンを膜厚4000ÅとしてCVD法により堆積させ、フォトリソグラフィーとドライエッチングを用いて所望の形状に形成する。次に酸化膜5として例えばTEOS膜を膜厚1000ÅとしてCVD法により堆積させる。次に窒化膜14として例えば膜厚6000ÅとしてCVD法により堆積させ、ヒューズ開口部13の領域を含んでオーバーラップする領域だけに窒化膜14が存在するようにフォトリソグラフィーとドライエッチングを用いて形成する。次に第1層間絶縁膜6として例えばBPSG膜を膜厚5000ÅとしてCVD法で堆積させる。次に第1金属配線7とヒューズ配線4両端のヒューズ端子15を接合するためのコンタクトエッチングをフォトリソグラフィーとドライエッチングを用いて行う(図4参照)。
【0017】
次に第1金属配線7を例えばAl−Si−Cu膜を膜厚5000Åとしてスパッタ法を用いて堆積させ、所望の形状にフォトリソグラフィーとドライエッチングを用いて形成する。次に第2層間絶縁膜8を例えばTEOS膜として膜厚7000ÅとしてCVD法で堆積させる。次にSOG膜9を例えば3000Åとしてスピン塗布で成膜する(図5参照)。
【0018】
次にSOG膜9を例えば前記第1金属配線の表面までドライエッチングを用いてエッチバックさせる。次にCVD法を用いて、第3層間絶縁膜10として例えばTEOS膜を4000Å堆積させる。次にパッシベーション膜11として、例えば膜厚9500Åの窒化膜を、CVD法を用いて堆積させる。次にポリイミド膜12を例えば膜厚12umとしてスピン塗布で成膜し、フォトリソグラフィーを用いてヒューズ開口部13の領域だけ除去する(図6参照)。
【0019】
次にポリイミド膜12をマスクとして、パッシベーション膜11と第3層間絶縁膜10と第1層間絶縁膜6をドライエッチングで除去することにより図1に示す半導体装置を得ることができる。
【符号の説明】
【0020】
1 シリコン基板
2 絶縁膜
3 ゲート酸化膜
4 ヒューズ配線
5 酸化膜
6 第1層間絶縁膜
7 第1金属配線
8 第2層間絶縁膜
9 SOG膜
10 第3層間絶縁膜
11 パッシベーション膜
12 ポリイミド膜
13 ヒューズ開口部
14 窒化膜
15 ヒューズ端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板の上に設けられた絶縁膜と、
前記絶縁膜上に設けられたヒューズ配線と、
前記ヒューズ配線を跨いでヒューズ開口部となる領域を含んで重畳するように設けられた凸領域と、
前記ヒューズ配線と前記凸領域の上を覆う第1層間絶縁膜と、
前記第1層間絶縁膜に形成したコンタクトホールを介して、前記ヒューズ配線の両端に設けられたヒューズ端子と電気的に接続している第1金属配線と、
前記第1金属配線と前記第1層間絶縁膜の上に設けられた第2層間絶縁膜および前記第2層間絶縁膜の凹部に設けられたSOG膜と、
平坦化された前記SOG膜および前記第2層間絶縁膜の上に設けられた第3層間絶縁膜と、
前記第3層間絶縁膜の上に設けられたパッシベーション膜と、
前記パッシベーション膜を除去して、平面視的に前記凸領域内に前記凸領域よりも小さく設けられたヒューズ開口部と、
からなることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記凸領域の膜厚は、前記第1金属配線の膜厚よりも厚いことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記凸領域は、絶縁性の膜からなることを特徴とする請求項1または請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ヒューズ開口部の底面には前記凸領域が露出していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−77771(P2013−77771A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217963(P2011−217963)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】