半導体装置
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、半導体装置に係る。より詳細には、金属等の低抵抗配線間などに配設された層間絶縁物に、スルーホール(TH)乃至ダミーホール(DH)を設けて配線温度の上昇を阻止することにより、超高密度集積回路(ULSI)に適合した半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、ICやLSIなどと呼ばれる半導体装置では、その中の各種素子の集積化が進むにつれて配線の長さ及び面積が増加するため、2層以上の多層配線が行われている。最も一般的な多層配線としては、Alからなる各層の配線を、SiO2膜、又は、ポリイミド膜で絶縁する構造が挙げられる。このように配線構造が複雑化した場合、多層構造をなす配線が、各種素子の上を横切るため、断面構造的には半導体装置の大部分は配線で構成されているといっても過言ではない。
【0003】
以下では、上記多層配線を有する半導体装置が解決すべき問題点と、従来の解決法について説明する。
【0004】
(1)エレクトロ・マイグレーション
上述した半導体装置では、各種素子の高集積化と同時に高速動作が要求される。その結果、配線に流れる電流は増大する傾向にある。従来、配線の単位断面積当たりに流れる電流密度は、105(A/cm2)台であった。
【0005】
このような電流密度領域では、配線中を流れる電流によって、配線材料(例えば、Al)の金属原子が移動する現象、すなわちエレクトロ・マイグレーションの発生が問題となる。この金属原子の移動により、それが滞積される場所では、ヒロック(hillock)と呼ばれる隆起と、ボイド(void)と呼ばれる空孔が発生する。その結果、ヒロックによる他の配線との短絡やボイド発生による配線抵抗の増大および局所過電流による断線などが起こる。
【0006】
この問題の解決法としては、例えば、▲1▼Alに数%のCu,Ti,Ta,Mgなどを添加する、▲2▼配線パターンの工夫、▲3▼Al結晶粒径の粗大化、▲4▼配線表面の絶縁膜による被覆、▲5▼エレクトロ・マイグレーションを起こしにくい金属(W,Mo,Agなど)の使用、▲6▼配線の上面又は/及び下面に例えばTiN,Wなどからなる薄膜を積層して設ける、などが挙げられ、実際に利用されてきた。
【0007】
(2)ストレス・マイグレーション
しかし、最近では、さらなる各種素子の高集積化と同時に高速動作が要求されつつあり、配線に流れる電流はさらに大きな数値が望まれている。すなわち、配線の単位断面積当たりに流れる電流密度は、従来の105(A/cm2)台から、106(A/cm2)台以上へと増大しつつある。従来と比べて、配線パターンの微細化により配線断面積が小さくなる。一方、配線を流れる電流は、デバイスの駆動能力を維持するため、電流値はほとんど同じレベルを維持する必要がある。そのため、電流密度が、LSIの世代ごとに増大することになる。しかしながら、低抵抗配線の中を、このように大きな電流密度の電流が流れた場合、ジュール発熱により配線が加熱される。
【0008】
また、半導体装置の配線には、例えばクロック等の高周波パルス信号(電流)が流れる。しかるに、このパルスは、各種素子のさらなる高速動作を実現するために、より一層の高周波化が望まれている。このような半導体装置の高周波パルス化にともない、低抵抗配線ではジュール発熱の変動に起因した熱サイクルが発生する。この熱サイクルは、配線の膨張及び収縮による機械的な周期的ストレス(熱ストレス)をもたらす。以上のような熱ストレスが加わったとき、配線材料原子のマイグレーションに伴う電気抵抗値増大や断線、すなわちストレス・マイグレーション、あるいは金属の加工硬化による機械的強度低下という問題が発生するようになる。このため配線が劣化し、配線の信頼性、強いてはLSI全体の信頼性を大きく損なう結果になる。したがって、配線の信頼性を向上するためには、配線から発せられる熱を効率よく取り除くことが重要になる。
【0009】
(3)RC時定数
一方、上述した半導体装置の動作速度は、配線自身の抵抗値Rと配線の有する容量Cとの積、すなわちRC時定数によって大きく制限される。この理由から、半導体装置の動作速度を高くするためには、配線の抵抗値を下げるとともに、層間絶縁膜として、誘電率の小さな絶縁体を使用することが必要である。
【0010】
以下では、上記の3つの問題点への現状の対策例を述べる。
【0011】
(イ)層間絶縁膜として、ボロンリンドープドシリコン酸化膜(BPSG;Boron PhosphoSilicate Glass)、ノンドープドシリコン酸化膜(NSG;Non-doped Silicate Glass)等のシリコン酸化膜が用いられてきた。しかし、この材料の比誘電率は3.9、熱伝導率は0.013W/cm・Kである。これらの値は、LSIの動作速度を制限し、配線で発生した熱をすばやく伝達するには十分ではない。
【0012】
(ロ)RC時定数を下げるために、比誘電率の小さな高分子材料が提案されている。この高分子材料の具体例としては、ポリイミド(polyimide)系、パリレン(parylene)系、テフロン(teflon)系が挙げられる。しかしながら、一般に有機物である高分子材料は熱伝導率が低い。例えば、ポリイミドの熱伝導率は、0.0017〜0.0038W/cm・Kであり、テフロンの熱伝導率は、PFAの場合0.0026、PTFEの場合0.0027である。これらの数値は、シリコン酸化膜(0.013W/cm・K)より約一桁小さい。したがって、高分子材料を用いた場合には、シリコン酸化膜に比べて、配線で発生した熱の伝達を高速化することができない。
【0013】
以上説明したとおり、従来、半導体材料として比誘電率が小さく、かつ、熱伝導率が大きいという両方の特性を満たす適当な材料は実用化されていなかった。そのため、配線で発生した熱をすばやく伝達することができ、かつ、配線の有する容量が小さな層間絶縁膜は実用化レベルにはなかった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
以上の現状を鑑み、本発明は、配線で発生した熱をすばやく伝達することができ、かつ、配線の有する容量が小さな層間絶縁膜を形成することにより、高速で、かつ、信頼性の高い半導体装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の要旨は、導電性基体の表面及び/又は裏面上に、第1の絶縁物を介して積層された少なくとも2層の金属等の低抵抗配線を有する半導体装置において、前記低抵抗配線間にある前記第1の絶縁物に貫通孔が設けられ、かつ、前記貫通孔が、少なくとも導電物で充填された孔(スルーホール:TH)と、前記第1の絶縁物よりも大きな熱伝導率を有する第2の絶縁物で充填された孔(ダミーホール:DH)とからなることを特徴とする半導体装置に存在する。
【0016】
また、本発明の第2の要旨は、導電性基体の表面及び/又は裏面上に、第1の絶縁物を介して積層された少なくとも1層の金属等の低抵抗配線を有する半導体装置において、前記低抵抗配線と前記導電性基体との間にある前記第1の絶縁物に貫通孔が設けられ、かつ、前記貫通孔が、少なくとも導電物で充填された孔(スルーホール:TH)と、前記第1の絶縁物よりも大きな熱伝導率を有する第2の絶縁物で充填された孔(ダミーホール:DH)とからなることを特徴とする半導体装置に存在する。
【0017】
さらに、本発明の第3の要旨は、導電性基体の表面及び/又は裏面上に、第1の絶縁物を介して積層された少なくとも1層の金属等の低抵抗配線を有する半導体装置において、前記低抵抗配線のうち最上層に位置する低抵抗配線の表面上には、放熱装置が前記第1の絶縁物を介して配設され、前記低抵抗配線のうち最上層に位置する低抵抗配線と前記放熱装置との間にある前記第1の絶縁物に貫通孔が設けられ、かつ、前記貫通孔が、少なくとも導電物で充填された孔(スルーホール:TH)と、前記第1の絶縁物よりも大きな熱伝導率を有する第2の絶縁物で充填された孔(ダミーホール:DH)とからなる、又は、導電物で充填された孔(スルーホール:TH)だけからなることを特徴とする半導体装置に存在する。
【0018】
【作用】
(請求項1)
請求項1に係る発明によれば、低抵抗配線間にある第1の絶縁物に貫通孔が設けられ、かつ、前記貫通孔が、少なくとも導電物で充填された孔(スルーホール:TH)と、前記第1の絶縁物よりも大きな熱伝導率を有する第2の絶縁物で充填された孔(ダミーホール:DH)とからなるため、任意の低抵抗配線aで発生したジュール熱を、その低抵抗配線aの上下に位置する他の低抵抗配線bとcに伝熱させて効率よく取り除くことができる。その結果、低抵抗配線aにおけるエレクトロ・マイグレーション及びストレス・マイグレーションの発生が回避できる。
【0019】
また、低抵抗配線間にある第1の絶縁物としては、熱伝導率は低いが、誘電率の小さな材料も使用できる。その結果、低抵抗配線の有する容量は小さくなり、RC時定数を下げることができる。
【0020】
(請求項2)
請求項2に係る発明によれば、低抵抗配線と導電性基体との間にある第1の絶縁物に貫通孔が設けられ、かつ、前記貫通孔が、少なくとも導電物で充填された孔(スルーホール:TH)と、前記第1の絶縁物よりも大きな熱伝導率を有する第2の絶縁物で充填された孔(ダミーホール:DH)とからなるため、低抵抗配線で発生したジュール熱を、その低抵抗配線の下に位置する導電性基体に逃がすことにより効率よく取り除くことができる。その結果、低抵抗配線におけるエレクトロ・マイグレーション及びストレス・マイグレーションの発生が回避できる。
【0021】
また、低抵抗配線と導電性基体との間にある第1の絶縁物としては、熱伝導率は低いが、誘電率の小さな材料も使用できる。その結果、低抵抗配線と導電性基体との間の寄生容量は小さくなり、RC時定数を下げることができる。
【0022】
(請求項3)
請求項3に係る発明によれば、低抵抗配線のうち最上層に位置する低抵抗配線の表面上には、放熱装置が前記第1の絶縁物を介して配設され、前記低抵抗配線のうち最上層に位置する低抵抗配線と前記放熱装置との間にある前記第1の絶縁物に貫通孔が設けられ、かつ、前記貫通孔が、少なくとも導電物で充填された孔(スルーホール:TH)と、前記第1の絶縁物よりも大きな熱伝導率を有する第2の絶縁物で充填された孔(ダミーホール:DH)とからなる、又は、導電物で充填された孔(スルーホール:TH)だけからなるため、低抵抗配線で発生したジュール熱を、その低抵抗配線の上に位置する放熱装置に逃がすことにより効率よく取り除くことができる。その結果、低抵抗配線におけるエレクトロ・マイグレーション及びストレス・マイグレーションの発生が回避できる。
【0023】
また、低抵抗配線と放熱装置との間にある第1の絶縁物としては、熱伝導率は低いが、誘電率の小さな材料も使用できる。その結果、低抵抗配線と放熱装置との間の寄生容量は小さくなり、RC時定数を下げることができる。
【0024】
【実施態様例】
(導電性基体)
本発明の導電性基体としては、例えば、金属、半導体、絶縁体膜で被覆された後さらに半導体膜で被覆された金属、又は、半導体膜で被覆された絶縁体、が挙げられる。
【0025】
導電性基体として利用するため、少なくとも導電性基体の表面及び/又は裏面を構成する材料の電気伝導度は、10-8(Ω cm)-1以上が望ましい。また、導電性基体の表面及び/又は裏面は、その上に各種素子などを作製することから、可能なかぎり平坦な面であることが好ましい。金属としては、Ta,Ti,W,Co,Mo,Hf,Ni,Zr,Cr,V,Pd,Au,Pt,Mn,Nb,Cu,Ag,又はAlが好ましい。半導体としては、Si,Ge,GaAs,又はC(ダイヤモンド)が好ましい。半導体膜で被覆された絶縁体としては、SiO2(酸化シリコン),SiN(窒化シリコン),AlN(窒化アルミニウム),Al2O3(酸化アルミニウム),又はSiOxNyからなる混合膜が好ましい。絶縁体膜で被覆された後さらに半導体膜で被覆された金属としては、Ta,Ti,W,Co,Mo,Hf,Ni,Zr,Cr,V,Pd,Au,Pt,Mn,Nb,Cu,Ag,又はAlが好ましい。
【0026】
(第1の絶縁物)
本発明の第1の絶縁物としては、例えば、SiO2,NSG,BPSG, PSG,シリコン窒化膜,又は、高分子材料(ポリイミド系,テフロン系,パリレン系)が挙げられる。第1の絶縁物を設ける目的は、その上下に位置する低抵抗配線を電気的に分離するためである。したがって、第1の絶縁物を構成する材料の電気伝導度は、10-18(Ωcm)-1以下が望ましい。また、この第1の絶縁物は、一般的には薄膜形状として配設される。その膜厚は、例えば、50nm〜10μmの範囲である。
【0027】
第1の絶縁物の形成方法としては、例えば、エネルギーとして、熱、プラズマ、光などを用いる各種CVD(Chemical Vapor Deposition)法、又は、各種スパッタ法などが用いられる。
【0028】
(第1の絶縁物を介して積層された多層の金属等の低抵抗配線)
本発明の「第1の絶縁物を介して積層された多層の金属等の低抵抗配線」は、半導体装置、特にICやLSIにおいて各素子間を結び、電気信号を伝達する役割を有する。
【0029】
このような低抵抗配線に使用される金属薄膜の形成には、金属膜と半導体表面との間に酸化物のような中間層をつくらないように、高真空での金属の蒸着やスパッタ、あるいは金属の塩化物などを用いた高温中でのCVD法による作製が行われる。
【0030】
その金属薄膜の材料としては、例えば、次に示すものが挙げられる。Si半導体装置では、Al,Cr,W,Mo,Cu,Ag,Au,Ti WSi2,MoSi2,TiSi2、又は、これらを主成分とする合金(例えば、Cu−Mg合金、Cu−Nb合金、Cu−Al合金)、若しくは、これらの材料が層状に積層された配線(例えば、Al−Ti−Al、TiN−Al合金−TiN、W−Al合金−W)などが、GaAs半導体装置では、Au,Al,Ni,Pt、又は、これらを主成分とする合金が用いられる。特に、以下の理由から、Si半導体装置では、Al,Cu,Ag,Au、又は、これらを主成分とする合金が重用されている。
(A)電極材料とオーミック接触になること
(B)絶縁膜(SiO2,Si3N4,Al2O3など)との密着性が良いこと
(C)導電率が大きいこと
(D)加工が容易で加工精度が高いこと
(E)化学的・物理的、さらに電気的にも安定であること
【0031】
また、半導体装置内では、各素子の集積化が進むにつれて多層配線が行われる。多層配線としては、例えば、Alからなる各層の配線を、SiO2 膜、又は、高分子膜で絶縁する構造が挙げられる。多層配線における課題としては、以下のものが挙げられる。
(a)下層配線と上層配線との交差部での凹凸段差による上層配線の断線および上層・下層配線間の短絡を回避すること
(b)上述したエレクトロ・マイグレーションに関する対策
(c)上述したサーマル・ストレス・マイグレーションに関する対策
(d)RC時定数に関する対策
本発明では、後述する「第1の絶縁物よりも大きな熱伝導率を有する第2の絶縁物で充填された孔(ダミーホール:DH)」を設けることによって、上記課題の(b)〜(d)を同時に解決することが可能となった。
【0032】
(半導体装置)
本発明における半導体装置とは、一般的に、電気回路や電気素子を一つの基板上に高密度に構成したもの、すなわち、トランジスタ、抵抗体、コンデンサ等を使って集積化したものを意味し、その集積度を上げたものをLSI(Large Scale Integrated Circuit)と呼ぶ。この半導体装置に用いる基体は、Siに限定されるものではなく、GaAs等でも構わない。
【0033】
(第1の絶縁物に設けられた貫通孔)
本発明の「第1の絶縁物に設けられた貫通孔」は、第1の絶縁物の上下に位置する低抵抗配線を結ぶために用いる。この貫通孔は、一般的に、フォトエッチングと呼ばれる手法で作製される。また、孔径は、通常上下に位置する低抵抗配線の幅で決まる。さらに後述するとおり、この貫通孔は、スルーホール又はダミーホールとして利用される。
【0034】
(導電物で充填された孔(スルーホール:TH))
本発明のスルーホールとは、前述した「第1の絶縁物に設けられた貫通孔」の中に、導電物が充填された孔である。スルーホールは、第1の絶縁物に電気的に分離された上下に位置する低抵抗配線間の導通をとることが役目である。一方の低抵抗配線から他方の低抵抗配線へ、電気信号とともに熱も伝達することができる。すなわち、スルーホールは、熱のみを伝達することはできず、同時に電気信号も伝達してしまう。したがって、低抵抗配線の発熱を回避する目的から、任意の場所に配設することはできない。
【0035】
(第1の絶縁物よりも大きな熱伝導率を有する第2の絶縁物で充填された孔(ダミーホール:DH))本発明のダミーホールとは、前述した「第1の絶縁物に設けられた貫通孔」の中に、第1の絶縁物よりも大きな熱伝導率を有する第2の絶縁物が充填された孔である。ダミーホールは、例えば、第1の絶縁物に電気的に分離された上下に位置する低抵抗配線間において、一方の低抵抗配線から他方の低抵抗配線へ、第1の絶縁物よりも早く熱を伝達することができる。すなわち、迅速に熱を伝達することによって配線の温度上昇を抑えることができる。また、ダミーホールは絶縁物であるため、電気信号を伝達しない。したがって、低抵抗配線の発熱を回避する目的から、半導体装置において任意の場所に配設することが可能である。
第2の絶縁物は、アルミニウムを含むガス状化合物と、窒素を含むガス状化合物とを原料
として用いたCVD法によって形成されることが好ましい。
アルミニウムを含むガス状化合物は、水素化アルミニウム(AlH3)、ジメチルアルミニウムハイドライド(Al(CH3)2H)、トリメチルアルミニウム(Al(CH3)3)、トリエチルアルミニウム(Al(C2H5)3)、トリイソブチルアルミニウム(Al(i−C4H9)3)、メチルアルミニウムジハイドライド(Al(CH3)H2)、トリメチルアミンアラン(AlH3N(CH3)3)のうちのいずれか1つであることが好ましい。
窒素を含むガス状化合物は、三塩化窒素(NCl3)、三弗化窒素(NF3)、一酸化二窒素(N2O)、一酸化窒素(NO)、三酸化二窒素(N2O3)、アンモニア(NH3)のうちのいずれか1つであることが好ましい。
【0036】
(放熱装置)
本発明の放熱装置としては、熱伝導率が大きな材料(例えば、Ag,Cu,Au,Al,Ta Mo)で作製された導電性のものが挙げられる。その中でも、熱伝導率が高く、かつ、安価であるという理由から、Cuが好適に用いられる。また、放熱効率を高くするため、フィン構造を有するものが多用されている。
【0037】
(エレクトロ及びストレス・マイグレーション寿命τ)
エレクトロ及びストレス・マイグレーション寿命τに関しては、Black により提案された経験式である Black の式(以下の(I)、文献1)J.R.Black : IEEE Tracs. on Electron Devices, ED-16, 338 (1969))がある。
【0038】
τ=(A/Jn)exp(Ea/kT) ・・・(I)
すなわち、エレクトロ及びストレス・マイグレーション寿命τは、配線に流れる電流密度Jのn乗に反比例し、活性化エネルギーEaを持つ。ここで、kはボルツマン定数、Tは配線の温度である。 Black の式におけるnの値については、これまで多くの実験と議論がなされている。一般にn=1〜3の値が得られているが、特殊な条件下での評価を除けば、最近はn=1.9〜2.2すなわちn2となっている(例えば、文献2)M.J.Attardo, and R.Rosemberg : J.Appl.Phys. 41, 2381 (1970))。また、ボイドの密度は電流密度にほぼ比例し、かつボイドの成長速度も電流密度に比例する。したがって、寿命τはボイド密度とボイド成長速度との積、すなわち電流密度の2乗に反比例する実験結果がAl合金で得られている(例えば、文献3)K.Hinode, T.Furusawa, and Y.Homma : J.Appl.Phys. 74, 201-206 (1993))。
【0039】
一般的に、配線に高密度の電流が流れることによって配線温度が上昇し、高密度電子流との衝突により金属原子がマイグレートしてボイドとヒロックを形成する。したがって、エレクトロ及びストレス・マイグレーション寿命τは、配線単位体積当たりに加えられた電力ρJ2に反比例すると考えるのが妥当である。
【0040】
本発明者は、配線の寿命を予測するため、エレクトロ及びストレス・マイグレーション加速評価テストを次のような条件で行った。テスト条件としては、配線温度Ts=390〜530K、電流密度Js=1.4〜2.2×107A/cm2、N2雰囲気中とした。
【0041】
図8は、その実験結果を示したグラフである。図8から、配線寿命τと、配線単位体積あたりに加えられた電力ρJ2との積のアレニウスプロットは、直線となることが分かった。すなわち、配線寿命τは、ρJ2に反比例することが実験的に確認された。
【0042】
したがって、Black の式は、むしろ次のような Modified Black の式(II)として表されるべきと判断した。
【0043】
τ=(Eo/ρJ2)exp(Ea/kT) ・・・(II)
よって、本発明におけるLSIのエレクトロ及びストレス・マイグレーション寿命τの予測は、上記(II)式を用いて行った。
【0044】
図9は、図8に示した結果を、Jとτの関係として纏めたグラフである。ところで、LSIの寿命を10年保証するためには、配線の加速評価結果に基づいて配線寿命を30年保証する必要がある。また、0.18μmプロセスのC−MOSのマイクロプロセッサーは、設計的要求から電流活性化率が最も高いクロック線部の電流密度Jは、2×106 A/cm2 である。
【0045】
ゆえに、図9から、Junction温度(LSIの消費電力で決まるLSIチップの温度、通常最大で85℃)を除いた温度上昇分、すなわち、配線温度は、5℃以内にする必要があると判断した。
【0046】
【実施例】
(実施例1)
本例では、ガス状化合物であるジメチルアルミニウムハイドライド(DMAH)の熱分解特性を、シリコン(Si)の表面、シリコン酸化膜(SiO2)の表面、銅(Cu)の表面、又は、高分子の一例としてポリイミドの表面に対して調べた。図1は、熱分解温度を0〜800℃の範囲で変化させて、熱分解後のガス濃度を測定した結果である。但し、ポリイミドのみ、500℃まで調べた。ガスの濃度の測定には、ガスクロマトグラフィーを用いた。
【0047】
図1から、ジメチルアルミニウムハイドライド(DMAH)が分解し始める温度T1と、ほぼ完全に分解した温度T2を読みとり纏めたものが表1である。
【0048】
【表1】
上記分解によって、ポリイミド以外の各表面上にはAl膜が形成された。また、DMAHと同時に、ガス状化合物である3弗化窒素(NF3)を流した場合も、表1の傾向は変わらなかった。だだし、分解によって各表面上に得られた膜は、AlNであった。
【0049】
さらに、本例では、原料ガスとしてDMAHとNF3を用い、熱CVD法により、銅表面にAlN膜を形成した状態を調べた。銅の表面上には、予め第1の絶縁物としてポリイミド膜が設けられ、フォトリソによって貫通孔が作られたものを用い、その上にAlN膜の形成を試みた。
【0050】
図2は、作製した試料の断面SEM(scanning electron microscope)写真である。図3は、作製した試料の表面を、EPMA(electron probe microanalysis)により組成分析した結果である。AlN膜を形成する際の基板の温度は、200℃とした。図2及び図3から、AlN膜は銅表面上にのみ堆積し、ポリイミド膜の表面上には存在しないことが分かった。なお、形成したものがAlNであることは、XPS(X-ray photo spectroscopy)による、アルミ及び窒素のピークにより確認した。
【0051】
以上の結果から、ポリイミドからなる第1の絶縁物の貫通孔に、AlNからなる第2の絶縁物を充填することが可能と判断した。
【0052】
ここでは、金属表面として銅の場合を説明したが、基板の表面が導電性であれば同様の結果が得られることが別途確認された。すなわち、導電性基体にAlNを成長させる場合には、導電性基体として、金属、半導体、絶縁体膜で被覆された後さらに半導体膜で被覆された金属、又は、半導体膜で被覆された絶縁体、の使用が可能であることが分かった。
【0053】
また、第1の絶縁物としては、ポリイミド膜の代わりにSiO2膜を用いても可能であることが分かった。
【0054】
さらに、ここでは、導電性基体上における第1の絶縁物に対する貫通孔の作製について説明したが、同様に、金属配線間における第1の絶縁物や、あるいは、金属配線と放熱装置との間における第1の絶縁物に対しても適用できることが別途確認された。
【0055】
(実施例2)
本例では、半導体装置の各配線層の間、配線層と導電性基体との間、及び、配線層と放熱装置との間に、スルーホール(TH)のみを設けた場合について、第1の絶縁物を構成する材料を変更して検討した。第1の絶縁物を構成する材料、すなわち、層間絶縁材料としては、酸化シリコン、ポリイミド樹脂、及び、窒化アルミニウムを用いた。TH材料としては、配線材料と同じCuを用いた。
【0056】
図4は、本例で用いた半導体装置の断面を示す概略図である。半導体装置は、導電性基体(Si:厚さ500μm)の表面上に、第1の絶縁物を介して形成された低抵抗配線として金属配線(Cu)を、7層配設した。各層の金属配線は、導電性基体に近い側から順に、M1,M2,M3,M4,M5,M6,M7と命名した。表2は、これら金属配線のサイズ等を纏めたものである。
【0057】
【表2】
表3は、各配線層に流した電流密度と、各配線層に流れる電流の活性化率(パルス電流の実際に電流が流れている時間比率)、及び、各第1の絶縁物に設けられたスルーホール(TH)比率を纏めたものである。
【0058】
TH比率とは、低抵抗配線の配線長さLを配線ピッチPで割った数をα、前記配線長さLにおいて前記貫通孔が導電物で充填された孔(スルーホール:TH)の数をβとしたとき、αに占めるβの割合(%)である。すなわち、TH比率=100×(β/α)という関係式で表すことができる。
【0059】
また、TH比率としては、a,bの2種類の条件を検討した。条件aは、表3に示した割合で各第1の絶縁物(I1〜I8)にTHを設けた場合である。一方、条件bは、いずれの第1の絶縁物(I1〜I8)にもTHを設けなかった場合である。
【0060】
【表3】
表4は、各層間絶縁材料と配線温度との関係を調べた結果である。配線温度とは、Junction温度(LSIの消費電力で決まるLSIチップの温度、通常最大で85℃)を除いた温度上昇分である。[ ]内の数値は、Junction温度を加えた値である。
【0061】
【表4】
表3および表4から、ポリイミド樹脂では、配線温度がTH比率に大きく左右されるのに対して、AlNではほとんど影響されないことが分かった。この結果は、熱伝導率の大きいAlNを層間絶縁膜とした場合には、THだけでなく、層間絶縁膜であるAlN自身が他の絶縁膜に比べてより高い熱の伝達能力を示したと判断した。
【0062】
(実施例3)
本例では、配線層と導電性基体との間、及び、配線層と放熱装置との間には、スルーホール(TH)のみを設け、各配線層の間には、スルーホール(TH)とダミーホール(DH)を両方設けた場合について、(TH+DH)比率を変更して検討した。但し、TH又はDHからなる孔は、配線上の配線ピッチ間隔のところに面積比率で均一に配設した。換言すれば、各配線ピッチの点に、(TH+DH)比率で、TH又はDHからなる孔を配分して設置した。配線層と導電性基体との間、及び、配線層と放熱装置との間に設けたTH比率は、15%に固定した。(TH+DH)比率としては、1%(条件c)、5%(条件d)、10%(条件e)の3種類検討した。第1の絶縁物すなわち層間絶縁材料としては、ポリイミド、又は、シリコン酸化膜を、TH材料としてはCuを、DH材料としては熱伝導率の高いAlNを用いた。
【0063】
他の点は、実施例2と同様とした。
【0064】
表5は、条件a〜eのTH比率、又は、(TH+DH)比率について纏めたものである。条件a,bは、実施例2に記載したものである。すなわち、条件aは、THのみ設けた場合であり、条件bは、TH、DHとも設けない場合である。
【0065】
【表5】
表6は、各層間絶縁材料に対する配線温度と(TH+DH)比率の関係を調べた結果である。配線温度とは、Junction温度(LSIの消費電力で決まるLSIチップの温度、通常最大で85℃)を除いた温度上昇分である。( )内の数値は、条件bで規格化した値である。
【0066】
【表6】
表5および表6から、ポリイミドでは、(TH+DH)比率が大きくなるにつれて配線温度は著しく低下した。特に、(TH+DH)比が10%の時、配線温度は1・9℃であり、Junction温度を考慮しても86.9℃までしか上昇しないことが分かった。また、この結果は、別途シミュレーションにおいても確認された。
【0067】
図5および図6は、表6の結果をグラフ化したものである。0.18μmプロセスを用いた半導体装置を実用化するためには、配線温度を5℃以下に抑える必要がある。この条件を満たすためには、(TH+DH)比率が、以下の関係式の範囲にあれば良いことが分かった。
【0068】
層間絶縁膜がSiO2の場合
(TH+DH)比率:100×(β+γ)/α≧2
層間絶縁膜が、SiO2 の熱膨張係数の1/5であるポリイミド系樹脂又はテフロン系樹脂の場合
(TH+DH)比率:100×(β+γ)/α≧3
但し、α、β及びγは、以下のとおり定義した数を表すものとする。
α:低抵抗配線の配線長さLを配線ピッチPで割った数
β:前記配線長さLにおいて前記貫通孔が導電物で充填された孔(スルーホール:TH)の数
γ:前記配線長さLにおいて前記貫通孔が前記第1の絶縁物よりも大きな熱伝導率を有する第2の絶縁物で充填された孔(ダミーホール:DH)の数
図7は、(TH+DH)比率と、単位長さ(1mm)当たりの配線の寄生容量との関係を纏めた結果である。寄生容量は、AlNのみの場合、0.2pF/mmと最も高く、ポリイミドのみの場合、0.118pF/mmと最も低いことが分かった。また、(TH+DH)比率が10%の場合、0.125pF/mmの寄生容量となった。したがって、(TH+DH)比率が10%の場合は、ポリイミドのみの場合と比べて、ほぼ同じ数値であると判断した。
【0069】
表7は、Cu配線のエレクトロ及びストレス・マイグレーション寿命τと、(TH+DH)比率との関係を示したものである。電流密度としては、表3の中における最大値=2×106A/cm2を用いた場合である。
【0070】
【表7】
表7から、THのみの場合(条件a)は配線寿命が13.4年であるのに対し、(TH+DH)比率が増加するにつれて、配線寿命を延ばすことが可能であることが分かった。特に、(TH+DH)比率が10%の場合(条件e)、配線寿命は36.6年であり、THのみの場合(条件a)に比べて約3倍も長い配線寿命が実現できた。
【0071】
また、層間絶縁膜が、ポリイミド系樹脂又はテフロン系樹脂より比誘電率の小さな材料を用いる場合、熱伝導率も小さくなるので、図5から、
(TH+DH)比率:100×(β+γ)/α>3
という関係式も見いだすことができた。
【0072】
本例では、半導体装置が0.18μmプロセスを用いた場合を説明したが、プロセス条件によっては必ずしもTHとDHを両方設けることなく、THのみでも十分な配線寿命を得られる場合もあることが別途確認された。
【0073】
さらに、本例では、第1の絶縁物すなわち層間絶縁膜として、ポリイミド、又は、シリコン酸化膜を用いたが、これらの代わりに、Si3N4、又は、SiO2とSi3N4の積層膜若しくは混合膜、又は、これら複数の組み合わせを用いても構わない。
【0074】
(実施例4)
本例では、配線層と放熱装置との間には、スルーホール(TH)のみを設け、各配線層の間、及び、配線層と導電性基体との間には、スルーホール(TH)とダミーホール(DH)を両方設けた場合について、(TH+DH)比率を変更して検討した。配線層と放熱装置との間に設けたTH比率は、15%に固定した。
各配線層の間に設けた(TH+DH)比率としては、1%(条件c’)、5%(条件d’)、10%(条件e’)の3種類検討した。これに対応して、配線層と導電性基体との間に設けた(TH+DH)比率は、20%(条件c’)、25%(条件d’)、30%(条件e’)とした。
【0075】
層間絶縁材料としては、ポリイミド、又は、シリコン酸化膜を、TH材料としてはCuを、DH材料としては熱伝導率の高いAlNを用いた。
【0076】
他の点は、実施例2と同様とした。
【0077】
表8は、条件a、bと条件c’〜e’のTH比率、又は、(TH+DH)比率について纏めたものである。条件a,bは、実施例2に記載したものである。すなわち、条件aは、THのみ設けた場合であり、条件bは、TH、DHとも設けない場合である。
【0078】
【表8】
表9は、各層間絶縁材料に対する配線温度と(TH+DH)比率の関係を調べた結果である。配線温度とは、Junction温度(LSIの消費電力で決まるLSIチップの温度、通常最大で85℃)を除いた温度上昇分である。( )内の数値は、条件bで規格化した値である。
【0079】
【表9】
実施例3の表6と、本例の表9を比較すると、各条件とも本例の方がより配線温度を低く抑えられることが分かる。したがって、配線層と導電性基体との間に、スルーホール(TH)とダミーホール(DH)を両方設けることによっても、配線温度の上昇を回避できると判断した。
【0080】
(実施例5)
本例では、半導体装置の各配線層の間、配線層と導電性基体との間、及び、配線層と放熱装置との間に、スルーホール(TH)とダミーホール(DH)を両方設けた場合について、(TH+DH)比率を変更して検討した。
【0081】
各配線層の間に設けた(TH+DH)比率としては、1%(条件c”)、5%(条件d”)、10%(条件e”)の3種類検討した。これに対応して、配線層と導電性基体との間に設けた(TH+DH)比率、及び、配線層と放熱装置との間に設けた(TH+DH)比率は、20%(条件c”)、25%(条件d”)、30%(条件e”)とした。
【0082】
層間絶縁材料としては、ポリイミド、又は、シリコン酸化膜を、TH材料としてはCuを、DH材料としては熱伝導率の高いAlNを用いた。
【0083】
他の点は、実施例2と同様とした。
【0084】
表10は、条件a、bと条件c”〜e”のTH比率、又は、(TH+DH)比率について纏めたものである。条件a,bは、実施例2に記載したものである。すなわち、条件aは、THのみ設けた場合であり、条件bは、TH、DHとも設けない場合である。
【0085】
【表10】
表11は、各層間絶縁材料に対する配線温度と(TH+DH)比率の関係を調べた結果である。配線温度とは、Junction温度(LSIの消費電力で決まるLSIチップの温度、通常最大で85℃)を除いた温度上昇分である。( )内の数値は、条件bで規格化した値である。
【0086】
【表11】
実施例3の表6、及び、実施例4の表9と、本例の表11を比較すると、各条件とも本例の方がさらに配線温度を低く抑えられることが分かる。したがって、配線層と放熱装置との間に、スルーホール(TH)とダミーホール(DH)を両方設けることによっても、配線温度の上昇を回避できると判断した。
【0087】
以上に示した実施例1〜5では、層間絶縁膜として、SiO2、ポリイミド樹脂について述べたが、本技術はどんな絶縁物が使われる時にも有効であると判断した。すなわち、実質的な層間絶縁物の誘電率を小さくして高速動作を保証し、かつ、窒化アルミニウムのような熱伝導率の高い絶縁物で配線間の要所要所にDHを導入することにより、配線の温度上昇を抑えて配線の信頼性を向上させることが可能なためである。また、実施例1〜5では配線材料としては、実用的な配線材料である最も抵抗率の小さいCuについて述べたが、本技術がアルミニウム合金配線やポリシリコン及びポリサイド配線に適用できることは自明である。
【0088】
また、本技術は、Cuからなる金属配線表面が、機械的強度の強い第3の絶縁物で被覆されている場合(図10、図11)や、Cuからなる金属配線表面が、金属配線を構成する金属又は合金成分のケイ化物又は酸化物で被覆され、さらにこのケイ化物又は酸化物の表面が、機械的強度の強い第3の絶縁物で被覆されている場合(図12、図13)にも適用可能である。
【0089】
さらに、本技術は、Cuからなる金属配線が、窒化アルミニウムのような熱伝導性の良い絶縁物(第4の絶縁物)で被覆されている場合(図14)や、Cuからなる金属配線上に窒化アルミニウム(第4の絶縁物)が堆積され、かつ、窒化アルミニウム(第4の絶縁物)の表面が平坦加工された層構成の場合(図15)にも適用可能である。
【0090】
またさらに、本技術は、Cuからなる金属配線表面が、機械的強度の強い第3の絶縁物で被覆され、かつ、窒化アルミニウムのような熱伝導性の良い絶縁物(第4の絶縁物)で被覆されている場合(図16、図17)でも構わない。
【0091】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、配線で発生した熱をすばやく伝達することができ、かつ、配線の有する容量が小さな構造を有する層間絶縁膜を作製することにより、高速で、かつ、信頼性の高い半導体装置がえられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱分解温度を変えて、熱分解後のガス濃度を測定した結果を示すグラフである。
【図2】作製した試料の断面SEM(scanning electron microscope)写真である。
【図3】作製した試料の表面を、EPMA(electron probe microanalysis)により組成分析した結果を示すグラフである。
【図4】本例で用いた半導体装置の断面を示す概略図である。
【図5】各層間絶縁材料に対する配線温度と(TH+DH)比率との関係をグラフ化したものである。
【図6】各層間絶縁材料に対する配線温度低減比と(TH+DH)比率との関係をグラフ化したものである。
【図7】(TH+DH)比率と、単位長さ(1mm)当たりの配線の寄生容量との関係を示すグラフである。
【図8】配線寿命τと、配線単位体積あたりに加えられた電力ρJ2 との積のアレニウスプロットである。
【図9】図8に示した結果を、Jとτの関係として纏めたグラフである。
【図10】Cuからなる金属配線表面が、機械的強度の強い第3の絶縁物で被覆された構造を有する半導体装置の断面部分を示す概略図である。
【図11】図10の構造体におけるJとτの関係を纏めたグラフである。
【図12】Cuからなる金属配線表面が、金属配線を構成する金属又は合金成分のケイ化物又は酸化物で被覆され、さらにこのケイ化物又は酸化物の表面が、機械的強度の強い第3の絶縁物で被覆された構造を有する半導体装置の断面部分を示す概略図である。
【図13】図12の構造体におけるJとτの関係を纏めたグラフである。
【図14】Cuからなる金属配線が、第4の絶縁物で被覆された構造を有する半導体装置の断面部分を示す概略図である。
【図15】Cuからなる金属配線上に、金属配線の厚さよりも厚く、熱伝導性の良い第4の絶縁物が堆積され、かつ、第4の絶縁物の表面が平坦加工された構造を有する半導体装置の断面部分を示す概略図である。
【図16】Cuからなる金属配線表面が、機械的強度の強い第3の絶縁物で被覆され、かつ、窒化アルミニウムのような熱伝導性の良い絶縁物(第4の絶縁物)で被覆された構造を有する半導体装置の断面部分を示す概略図である。
【図17】図16における第3の絶縁物が、Cuからなる金属配線表面に加えてこれ以外の部分も被覆し、かつ、窒化アルミニウムのような熱伝導性の良い絶縁物(第4の絶縁物)で被覆された構造を有する半導体装置の断面部分を示す概略図である。
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、半導体装置に係る。より詳細には、金属等の低抵抗配線間などに配設された層間絶縁物に、スルーホール(TH)乃至ダミーホール(DH)を設けて配線温度の上昇を阻止することにより、超高密度集積回路(ULSI)に適合した半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、ICやLSIなどと呼ばれる半導体装置では、その中の各種素子の集積化が進むにつれて配線の長さ及び面積が増加するため、2層以上の多層配線が行われている。最も一般的な多層配線としては、Alからなる各層の配線を、SiO2膜、又は、ポリイミド膜で絶縁する構造が挙げられる。このように配線構造が複雑化した場合、多層構造をなす配線が、各種素子の上を横切るため、断面構造的には半導体装置の大部分は配線で構成されているといっても過言ではない。
【0003】
以下では、上記多層配線を有する半導体装置が解決すべき問題点と、従来の解決法について説明する。
【0004】
(1)エレクトロ・マイグレーション
上述した半導体装置では、各種素子の高集積化と同時に高速動作が要求される。その結果、配線に流れる電流は増大する傾向にある。従来、配線の単位断面積当たりに流れる電流密度は、105(A/cm2)台であった。
【0005】
このような電流密度領域では、配線中を流れる電流によって、配線材料(例えば、Al)の金属原子が移動する現象、すなわちエレクトロ・マイグレーションの発生が問題となる。この金属原子の移動により、それが滞積される場所では、ヒロック(hillock)と呼ばれる隆起と、ボイド(void)と呼ばれる空孔が発生する。その結果、ヒロックによる他の配線との短絡やボイド発生による配線抵抗の増大および局所過電流による断線などが起こる。
【0006】
この問題の解決法としては、例えば、▲1▼Alに数%のCu,Ti,Ta,Mgなどを添加する、▲2▼配線パターンの工夫、▲3▼Al結晶粒径の粗大化、▲4▼配線表面の絶縁膜による被覆、▲5▼エレクトロ・マイグレーションを起こしにくい金属(W,Mo,Agなど)の使用、▲6▼配線の上面又は/及び下面に例えばTiN,Wなどからなる薄膜を積層して設ける、などが挙げられ、実際に利用されてきた。
【0007】
(2)ストレス・マイグレーション
しかし、最近では、さらなる各種素子の高集積化と同時に高速動作が要求されつつあり、配線に流れる電流はさらに大きな数値が望まれている。すなわち、配線の単位断面積当たりに流れる電流密度は、従来の105(A/cm2)台から、106(A/cm2)台以上へと増大しつつある。従来と比べて、配線パターンの微細化により配線断面積が小さくなる。一方、配線を流れる電流は、デバイスの駆動能力を維持するため、電流値はほとんど同じレベルを維持する必要がある。そのため、電流密度が、LSIの世代ごとに増大することになる。しかしながら、低抵抗配線の中を、このように大きな電流密度の電流が流れた場合、ジュール発熱により配線が加熱される。
【0008】
また、半導体装置の配線には、例えばクロック等の高周波パルス信号(電流)が流れる。しかるに、このパルスは、各種素子のさらなる高速動作を実現するために、より一層の高周波化が望まれている。このような半導体装置の高周波パルス化にともない、低抵抗配線ではジュール発熱の変動に起因した熱サイクルが発生する。この熱サイクルは、配線の膨張及び収縮による機械的な周期的ストレス(熱ストレス)をもたらす。以上のような熱ストレスが加わったとき、配線材料原子のマイグレーションに伴う電気抵抗値増大や断線、すなわちストレス・マイグレーション、あるいは金属の加工硬化による機械的強度低下という問題が発生するようになる。このため配線が劣化し、配線の信頼性、強いてはLSI全体の信頼性を大きく損なう結果になる。したがって、配線の信頼性を向上するためには、配線から発せられる熱を効率よく取り除くことが重要になる。
【0009】
(3)RC時定数
一方、上述した半導体装置の動作速度は、配線自身の抵抗値Rと配線の有する容量Cとの積、すなわちRC時定数によって大きく制限される。この理由から、半導体装置の動作速度を高くするためには、配線の抵抗値を下げるとともに、層間絶縁膜として、誘電率の小さな絶縁体を使用することが必要である。
【0010】
以下では、上記の3つの問題点への現状の対策例を述べる。
【0011】
(イ)層間絶縁膜として、ボロンリンドープドシリコン酸化膜(BPSG;Boron PhosphoSilicate Glass)、ノンドープドシリコン酸化膜(NSG;Non-doped Silicate Glass)等のシリコン酸化膜が用いられてきた。しかし、この材料の比誘電率は3.9、熱伝導率は0.013W/cm・Kである。これらの値は、LSIの動作速度を制限し、配線で発生した熱をすばやく伝達するには十分ではない。
【0012】
(ロ)RC時定数を下げるために、比誘電率の小さな高分子材料が提案されている。この高分子材料の具体例としては、ポリイミド(polyimide)系、パリレン(parylene)系、テフロン(teflon)系が挙げられる。しかしながら、一般に有機物である高分子材料は熱伝導率が低い。例えば、ポリイミドの熱伝導率は、0.0017〜0.0038W/cm・Kであり、テフロンの熱伝導率は、PFAの場合0.0026、PTFEの場合0.0027である。これらの数値は、シリコン酸化膜(0.013W/cm・K)より約一桁小さい。したがって、高分子材料を用いた場合には、シリコン酸化膜に比べて、配線で発生した熱の伝達を高速化することができない。
【0013】
以上説明したとおり、従来、半導体材料として比誘電率が小さく、かつ、熱伝導率が大きいという両方の特性を満たす適当な材料は実用化されていなかった。そのため、配線で発生した熱をすばやく伝達することができ、かつ、配線の有する容量が小さな層間絶縁膜は実用化レベルにはなかった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
以上の現状を鑑み、本発明は、配線で発生した熱をすばやく伝達することができ、かつ、配線の有する容量が小さな層間絶縁膜を形成することにより、高速で、かつ、信頼性の高い半導体装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の要旨は、導電性基体の表面及び/又は裏面上に、第1の絶縁物を介して積層された少なくとも2層の金属等の低抵抗配線を有する半導体装置において、前記低抵抗配線間にある前記第1の絶縁物に貫通孔が設けられ、かつ、前記貫通孔が、少なくとも導電物で充填された孔(スルーホール:TH)と、前記第1の絶縁物よりも大きな熱伝導率を有する第2の絶縁物で充填された孔(ダミーホール:DH)とからなることを特徴とする半導体装置に存在する。
【0016】
また、本発明の第2の要旨は、導電性基体の表面及び/又は裏面上に、第1の絶縁物を介して積層された少なくとも1層の金属等の低抵抗配線を有する半導体装置において、前記低抵抗配線と前記導電性基体との間にある前記第1の絶縁物に貫通孔が設けられ、かつ、前記貫通孔が、少なくとも導電物で充填された孔(スルーホール:TH)と、前記第1の絶縁物よりも大きな熱伝導率を有する第2の絶縁物で充填された孔(ダミーホール:DH)とからなることを特徴とする半導体装置に存在する。
【0017】
さらに、本発明の第3の要旨は、導電性基体の表面及び/又は裏面上に、第1の絶縁物を介して積層された少なくとも1層の金属等の低抵抗配線を有する半導体装置において、前記低抵抗配線のうち最上層に位置する低抵抗配線の表面上には、放熱装置が前記第1の絶縁物を介して配設され、前記低抵抗配線のうち最上層に位置する低抵抗配線と前記放熱装置との間にある前記第1の絶縁物に貫通孔が設けられ、かつ、前記貫通孔が、少なくとも導電物で充填された孔(スルーホール:TH)と、前記第1の絶縁物よりも大きな熱伝導率を有する第2の絶縁物で充填された孔(ダミーホール:DH)とからなる、又は、導電物で充填された孔(スルーホール:TH)だけからなることを特徴とする半導体装置に存在する。
【0018】
【作用】
(請求項1)
請求項1に係る発明によれば、低抵抗配線間にある第1の絶縁物に貫通孔が設けられ、かつ、前記貫通孔が、少なくとも導電物で充填された孔(スルーホール:TH)と、前記第1の絶縁物よりも大きな熱伝導率を有する第2の絶縁物で充填された孔(ダミーホール:DH)とからなるため、任意の低抵抗配線aで発生したジュール熱を、その低抵抗配線aの上下に位置する他の低抵抗配線bとcに伝熱させて効率よく取り除くことができる。その結果、低抵抗配線aにおけるエレクトロ・マイグレーション及びストレス・マイグレーションの発生が回避できる。
【0019】
また、低抵抗配線間にある第1の絶縁物としては、熱伝導率は低いが、誘電率の小さな材料も使用できる。その結果、低抵抗配線の有する容量は小さくなり、RC時定数を下げることができる。
【0020】
(請求項2)
請求項2に係る発明によれば、低抵抗配線と導電性基体との間にある第1の絶縁物に貫通孔が設けられ、かつ、前記貫通孔が、少なくとも導電物で充填された孔(スルーホール:TH)と、前記第1の絶縁物よりも大きな熱伝導率を有する第2の絶縁物で充填された孔(ダミーホール:DH)とからなるため、低抵抗配線で発生したジュール熱を、その低抵抗配線の下に位置する導電性基体に逃がすことにより効率よく取り除くことができる。その結果、低抵抗配線におけるエレクトロ・マイグレーション及びストレス・マイグレーションの発生が回避できる。
【0021】
また、低抵抗配線と導電性基体との間にある第1の絶縁物としては、熱伝導率は低いが、誘電率の小さな材料も使用できる。その結果、低抵抗配線と導電性基体との間の寄生容量は小さくなり、RC時定数を下げることができる。
【0022】
(請求項3)
請求項3に係る発明によれば、低抵抗配線のうち最上層に位置する低抵抗配線の表面上には、放熱装置が前記第1の絶縁物を介して配設され、前記低抵抗配線のうち最上層に位置する低抵抗配線と前記放熱装置との間にある前記第1の絶縁物に貫通孔が設けられ、かつ、前記貫通孔が、少なくとも導電物で充填された孔(スルーホール:TH)と、前記第1の絶縁物よりも大きな熱伝導率を有する第2の絶縁物で充填された孔(ダミーホール:DH)とからなる、又は、導電物で充填された孔(スルーホール:TH)だけからなるため、低抵抗配線で発生したジュール熱を、その低抵抗配線の上に位置する放熱装置に逃がすことにより効率よく取り除くことができる。その結果、低抵抗配線におけるエレクトロ・マイグレーション及びストレス・マイグレーションの発生が回避できる。
【0023】
また、低抵抗配線と放熱装置との間にある第1の絶縁物としては、熱伝導率は低いが、誘電率の小さな材料も使用できる。その結果、低抵抗配線と放熱装置との間の寄生容量は小さくなり、RC時定数を下げることができる。
【0024】
【実施態様例】
(導電性基体)
本発明の導電性基体としては、例えば、金属、半導体、絶縁体膜で被覆された後さらに半導体膜で被覆された金属、又は、半導体膜で被覆された絶縁体、が挙げられる。
【0025】
導電性基体として利用するため、少なくとも導電性基体の表面及び/又は裏面を構成する材料の電気伝導度は、10-8(Ω cm)-1以上が望ましい。また、導電性基体の表面及び/又は裏面は、その上に各種素子などを作製することから、可能なかぎり平坦な面であることが好ましい。金属としては、Ta,Ti,W,Co,Mo,Hf,Ni,Zr,Cr,V,Pd,Au,Pt,Mn,Nb,Cu,Ag,又はAlが好ましい。半導体としては、Si,Ge,GaAs,又はC(ダイヤモンド)が好ましい。半導体膜で被覆された絶縁体としては、SiO2(酸化シリコン),SiN(窒化シリコン),AlN(窒化アルミニウム),Al2O3(酸化アルミニウム),又はSiOxNyからなる混合膜が好ましい。絶縁体膜で被覆された後さらに半導体膜で被覆された金属としては、Ta,Ti,W,Co,Mo,Hf,Ni,Zr,Cr,V,Pd,Au,Pt,Mn,Nb,Cu,Ag,又はAlが好ましい。
【0026】
(第1の絶縁物)
本発明の第1の絶縁物としては、例えば、SiO2,NSG,BPSG, PSG,シリコン窒化膜,又は、高分子材料(ポリイミド系,テフロン系,パリレン系)が挙げられる。第1の絶縁物を設ける目的は、その上下に位置する低抵抗配線を電気的に分離するためである。したがって、第1の絶縁物を構成する材料の電気伝導度は、10-18(Ωcm)-1以下が望ましい。また、この第1の絶縁物は、一般的には薄膜形状として配設される。その膜厚は、例えば、50nm〜10μmの範囲である。
【0027】
第1の絶縁物の形成方法としては、例えば、エネルギーとして、熱、プラズマ、光などを用いる各種CVD(Chemical Vapor Deposition)法、又は、各種スパッタ法などが用いられる。
【0028】
(第1の絶縁物を介して積層された多層の金属等の低抵抗配線)
本発明の「第1の絶縁物を介して積層された多層の金属等の低抵抗配線」は、半導体装置、特にICやLSIにおいて各素子間を結び、電気信号を伝達する役割を有する。
【0029】
このような低抵抗配線に使用される金属薄膜の形成には、金属膜と半導体表面との間に酸化物のような中間層をつくらないように、高真空での金属の蒸着やスパッタ、あるいは金属の塩化物などを用いた高温中でのCVD法による作製が行われる。
【0030】
その金属薄膜の材料としては、例えば、次に示すものが挙げられる。Si半導体装置では、Al,Cr,W,Mo,Cu,Ag,Au,Ti WSi2,MoSi2,TiSi2、又は、これらを主成分とする合金(例えば、Cu−Mg合金、Cu−Nb合金、Cu−Al合金)、若しくは、これらの材料が層状に積層された配線(例えば、Al−Ti−Al、TiN−Al合金−TiN、W−Al合金−W)などが、GaAs半導体装置では、Au,Al,Ni,Pt、又は、これらを主成分とする合金が用いられる。特に、以下の理由から、Si半導体装置では、Al,Cu,Ag,Au、又は、これらを主成分とする合金が重用されている。
(A)電極材料とオーミック接触になること
(B)絶縁膜(SiO2,Si3N4,Al2O3など)との密着性が良いこと
(C)導電率が大きいこと
(D)加工が容易で加工精度が高いこと
(E)化学的・物理的、さらに電気的にも安定であること
【0031】
また、半導体装置内では、各素子の集積化が進むにつれて多層配線が行われる。多層配線としては、例えば、Alからなる各層の配線を、SiO2 膜、又は、高分子膜で絶縁する構造が挙げられる。多層配線における課題としては、以下のものが挙げられる。
(a)下層配線と上層配線との交差部での凹凸段差による上層配線の断線および上層・下層配線間の短絡を回避すること
(b)上述したエレクトロ・マイグレーションに関する対策
(c)上述したサーマル・ストレス・マイグレーションに関する対策
(d)RC時定数に関する対策
本発明では、後述する「第1の絶縁物よりも大きな熱伝導率を有する第2の絶縁物で充填された孔(ダミーホール:DH)」を設けることによって、上記課題の(b)〜(d)を同時に解決することが可能となった。
【0032】
(半導体装置)
本発明における半導体装置とは、一般的に、電気回路や電気素子を一つの基板上に高密度に構成したもの、すなわち、トランジスタ、抵抗体、コンデンサ等を使って集積化したものを意味し、その集積度を上げたものをLSI(Large Scale Integrated Circuit)と呼ぶ。この半導体装置に用いる基体は、Siに限定されるものではなく、GaAs等でも構わない。
【0033】
(第1の絶縁物に設けられた貫通孔)
本発明の「第1の絶縁物に設けられた貫通孔」は、第1の絶縁物の上下に位置する低抵抗配線を結ぶために用いる。この貫通孔は、一般的に、フォトエッチングと呼ばれる手法で作製される。また、孔径は、通常上下に位置する低抵抗配線の幅で決まる。さらに後述するとおり、この貫通孔は、スルーホール又はダミーホールとして利用される。
【0034】
(導電物で充填された孔(スルーホール:TH))
本発明のスルーホールとは、前述した「第1の絶縁物に設けられた貫通孔」の中に、導電物が充填された孔である。スルーホールは、第1の絶縁物に電気的に分離された上下に位置する低抵抗配線間の導通をとることが役目である。一方の低抵抗配線から他方の低抵抗配線へ、電気信号とともに熱も伝達することができる。すなわち、スルーホールは、熱のみを伝達することはできず、同時に電気信号も伝達してしまう。したがって、低抵抗配線の発熱を回避する目的から、任意の場所に配設することはできない。
【0035】
(第1の絶縁物よりも大きな熱伝導率を有する第2の絶縁物で充填された孔(ダミーホール:DH))本発明のダミーホールとは、前述した「第1の絶縁物に設けられた貫通孔」の中に、第1の絶縁物よりも大きな熱伝導率を有する第2の絶縁物が充填された孔である。ダミーホールは、例えば、第1の絶縁物に電気的に分離された上下に位置する低抵抗配線間において、一方の低抵抗配線から他方の低抵抗配線へ、第1の絶縁物よりも早く熱を伝達することができる。すなわち、迅速に熱を伝達することによって配線の温度上昇を抑えることができる。また、ダミーホールは絶縁物であるため、電気信号を伝達しない。したがって、低抵抗配線の発熱を回避する目的から、半導体装置において任意の場所に配設することが可能である。
第2の絶縁物は、アルミニウムを含むガス状化合物と、窒素を含むガス状化合物とを原料
として用いたCVD法によって形成されることが好ましい。
アルミニウムを含むガス状化合物は、水素化アルミニウム(AlH3)、ジメチルアルミニウムハイドライド(Al(CH3)2H)、トリメチルアルミニウム(Al(CH3)3)、トリエチルアルミニウム(Al(C2H5)3)、トリイソブチルアルミニウム(Al(i−C4H9)3)、メチルアルミニウムジハイドライド(Al(CH3)H2)、トリメチルアミンアラン(AlH3N(CH3)3)のうちのいずれか1つであることが好ましい。
窒素を含むガス状化合物は、三塩化窒素(NCl3)、三弗化窒素(NF3)、一酸化二窒素(N2O)、一酸化窒素(NO)、三酸化二窒素(N2O3)、アンモニア(NH3)のうちのいずれか1つであることが好ましい。
【0036】
(放熱装置)
本発明の放熱装置としては、熱伝導率が大きな材料(例えば、Ag,Cu,Au,Al,Ta Mo)で作製された導電性のものが挙げられる。その中でも、熱伝導率が高く、かつ、安価であるという理由から、Cuが好適に用いられる。また、放熱効率を高くするため、フィン構造を有するものが多用されている。
【0037】
(エレクトロ及びストレス・マイグレーション寿命τ)
エレクトロ及びストレス・マイグレーション寿命τに関しては、Black により提案された経験式である Black の式(以下の(I)、文献1)J.R.Black : IEEE Tracs. on Electron Devices, ED-16, 338 (1969))がある。
【0038】
τ=(A/Jn)exp(Ea/kT) ・・・(I)
すなわち、エレクトロ及びストレス・マイグレーション寿命τは、配線に流れる電流密度Jのn乗に反比例し、活性化エネルギーEaを持つ。ここで、kはボルツマン定数、Tは配線の温度である。 Black の式におけるnの値については、これまで多くの実験と議論がなされている。一般にn=1〜3の値が得られているが、特殊な条件下での評価を除けば、最近はn=1.9〜2.2すなわちn2となっている(例えば、文献2)M.J.Attardo, and R.Rosemberg : J.Appl.Phys. 41, 2381 (1970))。また、ボイドの密度は電流密度にほぼ比例し、かつボイドの成長速度も電流密度に比例する。したがって、寿命τはボイド密度とボイド成長速度との積、すなわち電流密度の2乗に反比例する実験結果がAl合金で得られている(例えば、文献3)K.Hinode, T.Furusawa, and Y.Homma : J.Appl.Phys. 74, 201-206 (1993))。
【0039】
一般的に、配線に高密度の電流が流れることによって配線温度が上昇し、高密度電子流との衝突により金属原子がマイグレートしてボイドとヒロックを形成する。したがって、エレクトロ及びストレス・マイグレーション寿命τは、配線単位体積当たりに加えられた電力ρJ2に反比例すると考えるのが妥当である。
【0040】
本発明者は、配線の寿命を予測するため、エレクトロ及びストレス・マイグレーション加速評価テストを次のような条件で行った。テスト条件としては、配線温度Ts=390〜530K、電流密度Js=1.4〜2.2×107A/cm2、N2雰囲気中とした。
【0041】
図8は、その実験結果を示したグラフである。図8から、配線寿命τと、配線単位体積あたりに加えられた電力ρJ2との積のアレニウスプロットは、直線となることが分かった。すなわち、配線寿命τは、ρJ2に反比例することが実験的に確認された。
【0042】
したがって、Black の式は、むしろ次のような Modified Black の式(II)として表されるべきと判断した。
【0043】
τ=(Eo/ρJ2)exp(Ea/kT) ・・・(II)
よって、本発明におけるLSIのエレクトロ及びストレス・マイグレーション寿命τの予測は、上記(II)式を用いて行った。
【0044】
図9は、図8に示した結果を、Jとτの関係として纏めたグラフである。ところで、LSIの寿命を10年保証するためには、配線の加速評価結果に基づいて配線寿命を30年保証する必要がある。また、0.18μmプロセスのC−MOSのマイクロプロセッサーは、設計的要求から電流活性化率が最も高いクロック線部の電流密度Jは、2×106 A/cm2 である。
【0045】
ゆえに、図9から、Junction温度(LSIの消費電力で決まるLSIチップの温度、通常最大で85℃)を除いた温度上昇分、すなわち、配線温度は、5℃以内にする必要があると判断した。
【0046】
【実施例】
(実施例1)
本例では、ガス状化合物であるジメチルアルミニウムハイドライド(DMAH)の熱分解特性を、シリコン(Si)の表面、シリコン酸化膜(SiO2)の表面、銅(Cu)の表面、又は、高分子の一例としてポリイミドの表面に対して調べた。図1は、熱分解温度を0〜800℃の範囲で変化させて、熱分解後のガス濃度を測定した結果である。但し、ポリイミドのみ、500℃まで調べた。ガスの濃度の測定には、ガスクロマトグラフィーを用いた。
【0047】
図1から、ジメチルアルミニウムハイドライド(DMAH)が分解し始める温度T1と、ほぼ完全に分解した温度T2を読みとり纏めたものが表1である。
【0048】
【表1】
上記分解によって、ポリイミド以外の各表面上にはAl膜が形成された。また、DMAHと同時に、ガス状化合物である3弗化窒素(NF3)を流した場合も、表1の傾向は変わらなかった。だだし、分解によって各表面上に得られた膜は、AlNであった。
【0049】
さらに、本例では、原料ガスとしてDMAHとNF3を用い、熱CVD法により、銅表面にAlN膜を形成した状態を調べた。銅の表面上には、予め第1の絶縁物としてポリイミド膜が設けられ、フォトリソによって貫通孔が作られたものを用い、その上にAlN膜の形成を試みた。
【0050】
図2は、作製した試料の断面SEM(scanning electron microscope)写真である。図3は、作製した試料の表面を、EPMA(electron probe microanalysis)により組成分析した結果である。AlN膜を形成する際の基板の温度は、200℃とした。図2及び図3から、AlN膜は銅表面上にのみ堆積し、ポリイミド膜の表面上には存在しないことが分かった。なお、形成したものがAlNであることは、XPS(X-ray photo spectroscopy)による、アルミ及び窒素のピークにより確認した。
【0051】
以上の結果から、ポリイミドからなる第1の絶縁物の貫通孔に、AlNからなる第2の絶縁物を充填することが可能と判断した。
【0052】
ここでは、金属表面として銅の場合を説明したが、基板の表面が導電性であれば同様の結果が得られることが別途確認された。すなわち、導電性基体にAlNを成長させる場合には、導電性基体として、金属、半導体、絶縁体膜で被覆された後さらに半導体膜で被覆された金属、又は、半導体膜で被覆された絶縁体、の使用が可能であることが分かった。
【0053】
また、第1の絶縁物としては、ポリイミド膜の代わりにSiO2膜を用いても可能であることが分かった。
【0054】
さらに、ここでは、導電性基体上における第1の絶縁物に対する貫通孔の作製について説明したが、同様に、金属配線間における第1の絶縁物や、あるいは、金属配線と放熱装置との間における第1の絶縁物に対しても適用できることが別途確認された。
【0055】
(実施例2)
本例では、半導体装置の各配線層の間、配線層と導電性基体との間、及び、配線層と放熱装置との間に、スルーホール(TH)のみを設けた場合について、第1の絶縁物を構成する材料を変更して検討した。第1の絶縁物を構成する材料、すなわち、層間絶縁材料としては、酸化シリコン、ポリイミド樹脂、及び、窒化アルミニウムを用いた。TH材料としては、配線材料と同じCuを用いた。
【0056】
図4は、本例で用いた半導体装置の断面を示す概略図である。半導体装置は、導電性基体(Si:厚さ500μm)の表面上に、第1の絶縁物を介して形成された低抵抗配線として金属配線(Cu)を、7層配設した。各層の金属配線は、導電性基体に近い側から順に、M1,M2,M3,M4,M5,M6,M7と命名した。表2は、これら金属配線のサイズ等を纏めたものである。
【0057】
【表2】
表3は、各配線層に流した電流密度と、各配線層に流れる電流の活性化率(パルス電流の実際に電流が流れている時間比率)、及び、各第1の絶縁物に設けられたスルーホール(TH)比率を纏めたものである。
【0058】
TH比率とは、低抵抗配線の配線長さLを配線ピッチPで割った数をα、前記配線長さLにおいて前記貫通孔が導電物で充填された孔(スルーホール:TH)の数をβとしたとき、αに占めるβの割合(%)である。すなわち、TH比率=100×(β/α)という関係式で表すことができる。
【0059】
また、TH比率としては、a,bの2種類の条件を検討した。条件aは、表3に示した割合で各第1の絶縁物(I1〜I8)にTHを設けた場合である。一方、条件bは、いずれの第1の絶縁物(I1〜I8)にもTHを設けなかった場合である。
【0060】
【表3】
表4は、各層間絶縁材料と配線温度との関係を調べた結果である。配線温度とは、Junction温度(LSIの消費電力で決まるLSIチップの温度、通常最大で85℃)を除いた温度上昇分である。[ ]内の数値は、Junction温度を加えた値である。
【0061】
【表4】
表3および表4から、ポリイミド樹脂では、配線温度がTH比率に大きく左右されるのに対して、AlNではほとんど影響されないことが分かった。この結果は、熱伝導率の大きいAlNを層間絶縁膜とした場合には、THだけでなく、層間絶縁膜であるAlN自身が他の絶縁膜に比べてより高い熱の伝達能力を示したと判断した。
【0062】
(実施例3)
本例では、配線層と導電性基体との間、及び、配線層と放熱装置との間には、スルーホール(TH)のみを設け、各配線層の間には、スルーホール(TH)とダミーホール(DH)を両方設けた場合について、(TH+DH)比率を変更して検討した。但し、TH又はDHからなる孔は、配線上の配線ピッチ間隔のところに面積比率で均一に配設した。換言すれば、各配線ピッチの点に、(TH+DH)比率で、TH又はDHからなる孔を配分して設置した。配線層と導電性基体との間、及び、配線層と放熱装置との間に設けたTH比率は、15%に固定した。(TH+DH)比率としては、1%(条件c)、5%(条件d)、10%(条件e)の3種類検討した。第1の絶縁物すなわち層間絶縁材料としては、ポリイミド、又は、シリコン酸化膜を、TH材料としてはCuを、DH材料としては熱伝導率の高いAlNを用いた。
【0063】
他の点は、実施例2と同様とした。
【0064】
表5は、条件a〜eのTH比率、又は、(TH+DH)比率について纏めたものである。条件a,bは、実施例2に記載したものである。すなわち、条件aは、THのみ設けた場合であり、条件bは、TH、DHとも設けない場合である。
【0065】
【表5】
表6は、各層間絶縁材料に対する配線温度と(TH+DH)比率の関係を調べた結果である。配線温度とは、Junction温度(LSIの消費電力で決まるLSIチップの温度、通常最大で85℃)を除いた温度上昇分である。( )内の数値は、条件bで規格化した値である。
【0066】
【表6】
表5および表6から、ポリイミドでは、(TH+DH)比率が大きくなるにつれて配線温度は著しく低下した。特に、(TH+DH)比が10%の時、配線温度は1・9℃であり、Junction温度を考慮しても86.9℃までしか上昇しないことが分かった。また、この結果は、別途シミュレーションにおいても確認された。
【0067】
図5および図6は、表6の結果をグラフ化したものである。0.18μmプロセスを用いた半導体装置を実用化するためには、配線温度を5℃以下に抑える必要がある。この条件を満たすためには、(TH+DH)比率が、以下の関係式の範囲にあれば良いことが分かった。
【0068】
層間絶縁膜がSiO2の場合
(TH+DH)比率:100×(β+γ)/α≧2
層間絶縁膜が、SiO2 の熱膨張係数の1/5であるポリイミド系樹脂又はテフロン系樹脂の場合
(TH+DH)比率:100×(β+γ)/α≧3
但し、α、β及びγは、以下のとおり定義した数を表すものとする。
α:低抵抗配線の配線長さLを配線ピッチPで割った数
β:前記配線長さLにおいて前記貫通孔が導電物で充填された孔(スルーホール:TH)の数
γ:前記配線長さLにおいて前記貫通孔が前記第1の絶縁物よりも大きな熱伝導率を有する第2の絶縁物で充填された孔(ダミーホール:DH)の数
図7は、(TH+DH)比率と、単位長さ(1mm)当たりの配線の寄生容量との関係を纏めた結果である。寄生容量は、AlNのみの場合、0.2pF/mmと最も高く、ポリイミドのみの場合、0.118pF/mmと最も低いことが分かった。また、(TH+DH)比率が10%の場合、0.125pF/mmの寄生容量となった。したがって、(TH+DH)比率が10%の場合は、ポリイミドのみの場合と比べて、ほぼ同じ数値であると判断した。
【0069】
表7は、Cu配線のエレクトロ及びストレス・マイグレーション寿命τと、(TH+DH)比率との関係を示したものである。電流密度としては、表3の中における最大値=2×106A/cm2を用いた場合である。
【0070】
【表7】
表7から、THのみの場合(条件a)は配線寿命が13.4年であるのに対し、(TH+DH)比率が増加するにつれて、配線寿命を延ばすことが可能であることが分かった。特に、(TH+DH)比率が10%の場合(条件e)、配線寿命は36.6年であり、THのみの場合(条件a)に比べて約3倍も長い配線寿命が実現できた。
【0071】
また、層間絶縁膜が、ポリイミド系樹脂又はテフロン系樹脂より比誘電率の小さな材料を用いる場合、熱伝導率も小さくなるので、図5から、
(TH+DH)比率:100×(β+γ)/α>3
という関係式も見いだすことができた。
【0072】
本例では、半導体装置が0.18μmプロセスを用いた場合を説明したが、プロセス条件によっては必ずしもTHとDHを両方設けることなく、THのみでも十分な配線寿命を得られる場合もあることが別途確認された。
【0073】
さらに、本例では、第1の絶縁物すなわち層間絶縁膜として、ポリイミド、又は、シリコン酸化膜を用いたが、これらの代わりに、Si3N4、又は、SiO2とSi3N4の積層膜若しくは混合膜、又は、これら複数の組み合わせを用いても構わない。
【0074】
(実施例4)
本例では、配線層と放熱装置との間には、スルーホール(TH)のみを設け、各配線層の間、及び、配線層と導電性基体との間には、スルーホール(TH)とダミーホール(DH)を両方設けた場合について、(TH+DH)比率を変更して検討した。配線層と放熱装置との間に設けたTH比率は、15%に固定した。
各配線層の間に設けた(TH+DH)比率としては、1%(条件c’)、5%(条件d’)、10%(条件e’)の3種類検討した。これに対応して、配線層と導電性基体との間に設けた(TH+DH)比率は、20%(条件c’)、25%(条件d’)、30%(条件e’)とした。
【0075】
層間絶縁材料としては、ポリイミド、又は、シリコン酸化膜を、TH材料としてはCuを、DH材料としては熱伝導率の高いAlNを用いた。
【0076】
他の点は、実施例2と同様とした。
【0077】
表8は、条件a、bと条件c’〜e’のTH比率、又は、(TH+DH)比率について纏めたものである。条件a,bは、実施例2に記載したものである。すなわち、条件aは、THのみ設けた場合であり、条件bは、TH、DHとも設けない場合である。
【0078】
【表8】
表9は、各層間絶縁材料に対する配線温度と(TH+DH)比率の関係を調べた結果である。配線温度とは、Junction温度(LSIの消費電力で決まるLSIチップの温度、通常最大で85℃)を除いた温度上昇分である。( )内の数値は、条件bで規格化した値である。
【0079】
【表9】
実施例3の表6と、本例の表9を比較すると、各条件とも本例の方がより配線温度を低く抑えられることが分かる。したがって、配線層と導電性基体との間に、スルーホール(TH)とダミーホール(DH)を両方設けることによっても、配線温度の上昇を回避できると判断した。
【0080】
(実施例5)
本例では、半導体装置の各配線層の間、配線層と導電性基体との間、及び、配線層と放熱装置との間に、スルーホール(TH)とダミーホール(DH)を両方設けた場合について、(TH+DH)比率を変更して検討した。
【0081】
各配線層の間に設けた(TH+DH)比率としては、1%(条件c”)、5%(条件d”)、10%(条件e”)の3種類検討した。これに対応して、配線層と導電性基体との間に設けた(TH+DH)比率、及び、配線層と放熱装置との間に設けた(TH+DH)比率は、20%(条件c”)、25%(条件d”)、30%(条件e”)とした。
【0082】
層間絶縁材料としては、ポリイミド、又は、シリコン酸化膜を、TH材料としてはCuを、DH材料としては熱伝導率の高いAlNを用いた。
【0083】
他の点は、実施例2と同様とした。
【0084】
表10は、条件a、bと条件c”〜e”のTH比率、又は、(TH+DH)比率について纏めたものである。条件a,bは、実施例2に記載したものである。すなわち、条件aは、THのみ設けた場合であり、条件bは、TH、DHとも設けない場合である。
【0085】
【表10】
表11は、各層間絶縁材料に対する配線温度と(TH+DH)比率の関係を調べた結果である。配線温度とは、Junction温度(LSIの消費電力で決まるLSIチップの温度、通常最大で85℃)を除いた温度上昇分である。( )内の数値は、条件bで規格化した値である。
【0086】
【表11】
実施例3の表6、及び、実施例4の表9と、本例の表11を比較すると、各条件とも本例の方がさらに配線温度を低く抑えられることが分かる。したがって、配線層と放熱装置との間に、スルーホール(TH)とダミーホール(DH)を両方設けることによっても、配線温度の上昇を回避できると判断した。
【0087】
以上に示した実施例1〜5では、層間絶縁膜として、SiO2、ポリイミド樹脂について述べたが、本技術はどんな絶縁物が使われる時にも有効であると判断した。すなわち、実質的な層間絶縁物の誘電率を小さくして高速動作を保証し、かつ、窒化アルミニウムのような熱伝導率の高い絶縁物で配線間の要所要所にDHを導入することにより、配線の温度上昇を抑えて配線の信頼性を向上させることが可能なためである。また、実施例1〜5では配線材料としては、実用的な配線材料である最も抵抗率の小さいCuについて述べたが、本技術がアルミニウム合金配線やポリシリコン及びポリサイド配線に適用できることは自明である。
【0088】
また、本技術は、Cuからなる金属配線表面が、機械的強度の強い第3の絶縁物で被覆されている場合(図10、図11)や、Cuからなる金属配線表面が、金属配線を構成する金属又は合金成分のケイ化物又は酸化物で被覆され、さらにこのケイ化物又は酸化物の表面が、機械的強度の強い第3の絶縁物で被覆されている場合(図12、図13)にも適用可能である。
【0089】
さらに、本技術は、Cuからなる金属配線が、窒化アルミニウムのような熱伝導性の良い絶縁物(第4の絶縁物)で被覆されている場合(図14)や、Cuからなる金属配線上に窒化アルミニウム(第4の絶縁物)が堆積され、かつ、窒化アルミニウム(第4の絶縁物)の表面が平坦加工された層構成の場合(図15)にも適用可能である。
【0090】
またさらに、本技術は、Cuからなる金属配線表面が、機械的強度の強い第3の絶縁物で被覆され、かつ、窒化アルミニウムのような熱伝導性の良い絶縁物(第4の絶縁物)で被覆されている場合(図16、図17)でも構わない。
【0091】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、配線で発生した熱をすばやく伝達することができ、かつ、配線の有する容量が小さな構造を有する層間絶縁膜を作製することにより、高速で、かつ、信頼性の高い半導体装置がえられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱分解温度を変えて、熱分解後のガス濃度を測定した結果を示すグラフである。
【図2】作製した試料の断面SEM(scanning electron microscope)写真である。
【図3】作製した試料の表面を、EPMA(electron probe microanalysis)により組成分析した結果を示すグラフである。
【図4】本例で用いた半導体装置の断面を示す概略図である。
【図5】各層間絶縁材料に対する配線温度と(TH+DH)比率との関係をグラフ化したものである。
【図6】各層間絶縁材料に対する配線温度低減比と(TH+DH)比率との関係をグラフ化したものである。
【図7】(TH+DH)比率と、単位長さ(1mm)当たりの配線の寄生容量との関係を示すグラフである。
【図8】配線寿命τと、配線単位体積あたりに加えられた電力ρJ2 との積のアレニウスプロットである。
【図9】図8に示した結果を、Jとτの関係として纏めたグラフである。
【図10】Cuからなる金属配線表面が、機械的強度の強い第3の絶縁物で被覆された構造を有する半導体装置の断面部分を示す概略図である。
【図11】図10の構造体におけるJとτの関係を纏めたグラフである。
【図12】Cuからなる金属配線表面が、金属配線を構成する金属又は合金成分のケイ化物又は酸化物で被覆され、さらにこのケイ化物又は酸化物の表面が、機械的強度の強い第3の絶縁物で被覆された構造を有する半導体装置の断面部分を示す概略図である。
【図13】図12の構造体におけるJとτの関係を纏めたグラフである。
【図14】Cuからなる金属配線が、第4の絶縁物で被覆された構造を有する半導体装置の断面部分を示す概略図である。
【図15】Cuからなる金属配線上に、金属配線の厚さよりも厚く、熱伝導性の良い第4の絶縁物が堆積され、かつ、第4の絶縁物の表面が平坦加工された構造を有する半導体装置の断面部分を示す概略図である。
【図16】Cuからなる金属配線表面が、機械的強度の強い第3の絶縁物で被覆され、かつ、窒化アルミニウムのような熱伝導性の良い絶縁物(第4の絶縁物)で被覆された構造を有する半導体装置の断面部分を示す概略図である。
【図17】図16における第3の絶縁物が、Cuからなる金属配線表面に加えてこれ以外の部分も被覆し、かつ、窒化アルミニウムのような熱伝導性の良い絶縁物(第4の絶縁物)で被覆された構造を有する半導体装置の断面部分を示す概略図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性基体の表面及び/又は裏面上に、第1の絶縁物を介して積層された少なくとも2層の金属等の低抵抗配線を有する半導体装置において、前記低抵抗配線間にある前記第1の絶縁物に貫通孔が設けられ、かつ、前記貫通孔が、少なくとも導電物で充填された孔(スルーホール:TH)と、前記第1の絶縁物よりも大きな熱伝導率を有する第2の絶縁物で充填された孔(ダミーホール:DH)とからなることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
導電性基体の表面及び/又は裏面上に、第1の絶縁物を介して積層された少なくとも1層の金属等の低抵抗配線を有する半導体装置において、前記低抵抗配線と前記導電性基体との間にある前記第1の絶縁物に貫通孔が設けられ、かつ、前記貫通孔が、少なくとも導電物で充填された孔(スルーホール:TH)と、前記第1の絶縁物よりも大きな熱伝導率を有する第2の絶縁物で充填された孔(ダミーホール:DH)とからなることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
導電性基体の表面及び/又は裏面上に、第1の絶縁物を介して積層された少なくとも1層の金属等の低抵抗配線を有する半導体装置において、前記低抵抗配線のうち最上層に位置する低抵抗配線の表面上には、放熱装置が前記第1の絶縁物を介して配設され、前記低抵抗配線のうち最上層に位置する低抵抗配線と前記放熱装置との間にある前記第1の絶縁物に貫通孔が設けられ、かつ、前記貫通孔が、少なくとも導電物で充填された孔(スルーホール:TH)と、前記第1の絶縁物よりも大きな熱伝導率を有する第2の絶縁物で充填された孔(ダミーホール:DH)とからなる、又は、導電物で充填された孔(スルーホール:TH)だけからなることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
前記請求項1〜3のうち、少なくとも2項以上を満たすことを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
前記導電性基体が、金属であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記導電性基体が、半導体であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記導電性基体が、半導体膜で被覆された絶縁体であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記導電性基体が、絶縁体膜で被覆された後、さらに半導体膜で被覆された金属であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1の絶縁物が、SiO2、Si3N4、又は、SiO2とSi3N4の積層膜若しくは混合膜、又は、これら複数の組み合わせであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1の絶縁物が、SiO2より比誘電率の小さな高分子材料であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1の絶縁物が、NSG、BPSG、PSG、シリコン窒化膜、ポリイミド系高分子材料、テフロン系高分子材料、又はパリレン系高分子材料であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第1の絶縁物が、高分子材料又はシリコン酸化物である半導体装置において、金属配線表面が第3の絶縁物で被覆されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第1の絶縁物が、高分子材料又はシリコン酸化物である半導体装置において、金属配線表面が、前記金属配線を構成する金属又は合金成分のケイ化物又は酸化物で被覆され、さらに前記ケイ化物又は酸化物の表面が第3の絶縁物で被覆されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第1の絶縁物が、高分子材料又はシリコン酸化物である半導体装置において、金属配線表面が熱伝導性の第4の絶縁物で被覆されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記第1の絶縁物が、高分子材料又はシリコン酸化物である半導体装置において、金属配線表面が、前記金属配線の厚さよりも厚く、熱伝導性の第4の絶縁物で被覆され、かつ、前記第4の絶縁物の表面が平坦に近い形に加工されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記低抵抗配線の配線長さLを配線ピッチPで割った数をα、前記配線長さLにおいて前記貫通孔が導電物で充填された孔(スルーホール:TH)の数をβ、前記配線長さLにおいて前記貫通孔が前記第1の絶縁物よりも大きな熱伝導率を有する第2の絶縁物で充填された孔(ダミーホール:DH)の数をγとした時、前記第1の絶縁物がSiO2である場合の(TH+DH)比率が、(TH+DH)比率:100×(β+γ)/α≧2であることを特徴とする請求項1〜9及び12〜15のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記低抵抗配線の配線長さLを配線ピッチPで割った数をα、前記配線長さLにおいて前記貫通孔が導電物で充填された孔(スルーホール:TH)の数をβ、前記配線長さLにおいて前記貫通孔が前記第1の絶縁物よりも大きな熱伝導率を有する第2の絶縁物で充填された孔(ダミーホール:DH)の数をγとした時、前記第1の絶縁物がポリイミド系樹脂又はテフロン系樹脂である場合の(TH+DH)比率が、(TH+DH)比率:100×(β+γ)/α≧3であることを特徴とする請求項1〜8及び10〜15のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記低抵抗配線の配線長さLを配線ピッチPで割った数をα、前記配線長さLにおいて前記貫通孔が導電物で充填された孔(スルーホール:TH)の数をβ、前記配線長さLにおいて前記貫通孔が前記第1の絶縁物よりも大きな熱伝導率を有する第2の絶縁物で充填された孔(ダミーホール:DH)の数をγとした時、前記第1の絶縁物としてポリイミド系樹脂又はテフロン系樹脂より比誘電率の小さな材料を用いる場合、(TH
+DH)比率が、(TH+DH)比率:100×(β+γ)/α>3であることを特徴とする請求項1〜8及び10〜15のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項19】
前記第2の絶縁物が、窒化アルミニウムであることを特徴とする請求項1乃至18のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項1】
導電性基体の表面及び/又は裏面上に、第1の絶縁物を介して積層された少なくとも2層の金属等の低抵抗配線を有する半導体装置において、前記低抵抗配線間にある前記第1の絶縁物に貫通孔が設けられ、かつ、前記貫通孔が、少なくとも導電物で充填された孔(スルーホール:TH)と、前記第1の絶縁物よりも大きな熱伝導率を有する第2の絶縁物で充填された孔(ダミーホール:DH)とからなることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
導電性基体の表面及び/又は裏面上に、第1の絶縁物を介して積層された少なくとも1層の金属等の低抵抗配線を有する半導体装置において、前記低抵抗配線と前記導電性基体との間にある前記第1の絶縁物に貫通孔が設けられ、かつ、前記貫通孔が、少なくとも導電物で充填された孔(スルーホール:TH)と、前記第1の絶縁物よりも大きな熱伝導率を有する第2の絶縁物で充填された孔(ダミーホール:DH)とからなることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
導電性基体の表面及び/又は裏面上に、第1の絶縁物を介して積層された少なくとも1層の金属等の低抵抗配線を有する半導体装置において、前記低抵抗配線のうち最上層に位置する低抵抗配線の表面上には、放熱装置が前記第1の絶縁物を介して配設され、前記低抵抗配線のうち最上層に位置する低抵抗配線と前記放熱装置との間にある前記第1の絶縁物に貫通孔が設けられ、かつ、前記貫通孔が、少なくとも導電物で充填された孔(スルーホール:TH)と、前記第1の絶縁物よりも大きな熱伝導率を有する第2の絶縁物で充填された孔(ダミーホール:DH)とからなる、又は、導電物で充填された孔(スルーホール:TH)だけからなることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
前記請求項1〜3のうち、少なくとも2項以上を満たすことを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
前記導電性基体が、金属であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記導電性基体が、半導体であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記導電性基体が、半導体膜で被覆された絶縁体であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記導電性基体が、絶縁体膜で被覆された後、さらに半導体膜で被覆された金属であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1の絶縁物が、SiO2、Si3N4、又は、SiO2とSi3N4の積層膜若しくは混合膜、又は、これら複数の組み合わせであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1の絶縁物が、SiO2より比誘電率の小さな高分子材料であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1の絶縁物が、NSG、BPSG、PSG、シリコン窒化膜、ポリイミド系高分子材料、テフロン系高分子材料、又はパリレン系高分子材料であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第1の絶縁物が、高分子材料又はシリコン酸化物である半導体装置において、金属配線表面が第3の絶縁物で被覆されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第1の絶縁物が、高分子材料又はシリコン酸化物である半導体装置において、金属配線表面が、前記金属配線を構成する金属又は合金成分のケイ化物又は酸化物で被覆され、さらに前記ケイ化物又は酸化物の表面が第3の絶縁物で被覆されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第1の絶縁物が、高分子材料又はシリコン酸化物である半導体装置において、金属配線表面が熱伝導性の第4の絶縁物で被覆されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記第1の絶縁物が、高分子材料又はシリコン酸化物である半導体装置において、金属配線表面が、前記金属配線の厚さよりも厚く、熱伝導性の第4の絶縁物で被覆され、かつ、前記第4の絶縁物の表面が平坦に近い形に加工されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記低抵抗配線の配線長さLを配線ピッチPで割った数をα、前記配線長さLにおいて前記貫通孔が導電物で充填された孔(スルーホール:TH)の数をβ、前記配線長さLにおいて前記貫通孔が前記第1の絶縁物よりも大きな熱伝導率を有する第2の絶縁物で充填された孔(ダミーホール:DH)の数をγとした時、前記第1の絶縁物がSiO2である場合の(TH+DH)比率が、(TH+DH)比率:100×(β+γ)/α≧2であることを特徴とする請求項1〜9及び12〜15のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記低抵抗配線の配線長さLを配線ピッチPで割った数をα、前記配線長さLにおいて前記貫通孔が導電物で充填された孔(スルーホール:TH)の数をβ、前記配線長さLにおいて前記貫通孔が前記第1の絶縁物よりも大きな熱伝導率を有する第2の絶縁物で充填された孔(ダミーホール:DH)の数をγとした時、前記第1の絶縁物がポリイミド系樹脂又はテフロン系樹脂である場合の(TH+DH)比率が、(TH+DH)比率:100×(β+γ)/α≧3であることを特徴とする請求項1〜8及び10〜15のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記低抵抗配線の配線長さLを配線ピッチPで割った数をα、前記配線長さLにおいて前記貫通孔が導電物で充填された孔(スルーホール:TH)の数をβ、前記配線長さLにおいて前記貫通孔が前記第1の絶縁物よりも大きな熱伝導率を有する第2の絶縁物で充填された孔(ダミーホール:DH)の数をγとした時、前記第1の絶縁物としてポリイミド系樹脂又はテフロン系樹脂より比誘電率の小さな材料を用いる場合、(TH
+DH)比率が、(TH+DH)比率:100×(β+γ)/α>3であることを特徴とする請求項1〜8及び10〜15のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項19】
前記第2の絶縁物が、窒化アルミニウムであることを特徴とする請求項1乃至18のいずれか1項に記載の半導体装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【特許番号】特許第3847807号(P3847807)
【登録日】平成18年9月1日(2006.9.1)
【発行日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−33116
【出願日】平成7年1月30日(1995.1.30)
【公開番号】特開平9−129725
【公開日】平成9年5月16日(1997.5.16)
【審査請求日】平成14年1月30日(2002.1.30)
【出願人】(000173658)財団法人国際科学振興財団 (31)
【登録日】平成18年9月1日(2006.9.1)
【発行日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成7年1月30日(1995.1.30)
【公開番号】特開平9−129725
【公開日】平成9年5月16日(1997.5.16)
【審査請求日】平成14年1月30日(2002.1.30)
【出願人】(000173658)財団法人国際科学振興財団 (31)
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