説明

半導体製造工程用テープの基材フィルム

【課題】半導体製造工程用テープの基材フィルムの提供。
【解決手段】
中層とその両側の外層とからなる三層の積層フィルムを電子線照射により架橋させてなる半導体製造工程用テープの基材フィルムにおいて、前記両外層は、曲げ弾性率が160MPa以下で、ビカット軟化点が70℃以上であり、メタクリル酸(MAA)含有率が12wt%以下であるエチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)樹脂からなる層であり、かつ、前記中層が100KGY以上の電子線照射によりゲル分率80%以上となるように加工されたことを特徴とする、半導体製造工程用テープの基材フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造工程用テープの基材フィルムに関し、より詳細には、とりわけパターンを形成したウエハを一つ一つのパターン毎に切断し半導体素子として分割する(ダイシング)際に使用するテープの基材フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造において、ダイシングフィルムは、ダイシング工程において切削屑が発生しないこと(ダイシング特性)、また、エキスパンド工程において当該フィルムが全方向均一に延伸されること(エキスパンド性)、さらには高温にさらされる可能性があるため耐熱性を有することが求められている。また、半導体製造において、ダイシング工程及びエキスパンド工程後の裁断された半導体ウエハを持ち上げる際に、ダイシングフィルムは引き裂かれやすい(引き裂き性)という問題があるため、耐引き裂き性を有することも求められている。
【0003】
そこで、従来より、多くのダイシングフィルムが提案されており、例えば、中心層にアクリル酸エステル若しくはメタクリル酸エステル系共重合体フィルム層を有する構成を採用した半導体ウエハ固定用粘着テープ(特許文献1)、また、メルトフローレート(MFR)が0.1〜3で、かつ重合体の構成成分としてカルボキシル基を有する構成成分を含む樹脂層と粘着剤層とが積層されてなる構成を採用する半導体ウエハ固定用粘着テープ(特許文献2)、融点が95℃以下のエチレン系樹脂を含有する層を有する多層構造であり、前記層の厚さが基材の総厚みの1/2以上であることを特徴とするダイシング用粘着シート(特許文献3)等である。
【0004】
しかしながら、上記従来文献に記載の固定用粘着テープ及びダイシング用粘着シートは、ダイシング特性又はエキスパンド性のいずれかの特性は満たすが、ダイシングフィルムに求められるダイシング特性、エキスパンド性、耐熱性、及び耐引き裂き性の諸特性の全てを満足させるものではない。
【0005】
また、特許文献2には、樹脂層としてエチレン−メタクリル酸共重合体を用いている実施例が開示されている。しかし、当該実施例に記載された半導体ウエハ固定用粘着テープは、エチレン−メタクリル酸共重合体樹脂層の表面に粘着剤層を積層した構造に過ぎず、特許文献2には中層とその両側の外層がエチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)樹脂からなる積層フィルムの構成の適用について具体的な手段及び効果は示唆されていない。
【0006】
したがって、これまでに種々のダイシングフィルムが開示されているものの、ダイシング特性、エキスパンド性、耐熱性、及び耐引き裂き性の諸特性について全てを満足させる性能を有する半導体製造工程用テープの基材フィルムについては報告されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−98220号公報
【特許文献2】特開2006−148096号公報
【特許文献3】特開2006−342330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、上記の事情に基づいてなされたものであり、その解決しようとする課題は、ダイシング特性、エキスパンド性、耐熱性、及び耐引き裂き性の諸特性について全てを満足させる性能を有する半導体製造工程用テープの基材フィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、中層とその両側の外層とからなる三層の積層フィルムにおいて、前記両外層に特定の性質及び性能を有するエチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)樹脂からなる層を採用し、かつ、前記積層フィルムが所定のゲル分率になるように加工されることで、半導体製造工程用テープの基材フィルムのダイシング特性、エキスパンド性、及び耐熱性の諸特性の全てが著しく改善されることを見出し、本発明を完成するに至った。また、前記中層としてエチレン−酢酸ビニル共重合体を含む樹脂層を用いると、半導体製造工程用テープの基材フィルムの耐引き裂き性が改善されることも見出した。
【0010】
即ち、本発明は、
1.中層とその両側の外層とからなる三層の積層フィルムを電子線照射により架橋させてなる半導体製造工程用テープの基材フィルムにおいて、前記両外層は、曲げ弾性率が160MPa以下で、ビカット軟化点が70℃以上であり、メタクリル酸(MAA)含有率が12wt%以下であるエチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)樹脂からなる層であり、かつ、前記積層フィルムが100KGY以上の電子線照射によりゲル分率80%以上となるように加工されたことを特徴とする、半導体製造工程用テープの基材フィルム、
2.前記両外層は、曲げ弾性率が145乃至160MPaで、ビカット軟化点が75乃至90℃であり、メタクリル酸(MAA)含有率が5乃至12wt%であるエチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)樹脂からなる層であることを特徴とする、前記1.に記載の半導体製造工程用テープの基材フィルム、
3.前記外層:前記中層:前記外層の層厚の比率が1:4:1〜1:20:1であることを特徴とする、前記1.又は前記2.記載の半導体製造工程用テープの基材フィルム、
4.前記中層が曲げ弾性率が100MPa以下のエチレン系共重合体を含む樹脂層であることを特徴とする、前記1.乃至前記3.記載の半導体製造工程用テープの基材フィルム、
5.前記エチレン系共重合体が、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、及びエチレン−メタクリル酸メチル共重合体からなる群から選ばれる少なくとも一種である、前記4.記載の半導体製造工程用テープの基材フィルム、
6.前記エチレン系共重合体が、エチレン−酢酸ビニル共重合体である、前記5.記載の半導体製造工程用テープの基材フィルム、
7.ダイシング用粘着テープの基材フィルムである、前記1.乃至前記6.記載の半導体製造工程用テープの基材フィルム、
に関するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の半導体製造工程用テープの基材フィルムは、電子線照射によりゲル分率80%以上に加工されており、ダイシング時に切削屑(ダイシング時に繊維状の異物が残ること)の発生を著しく減少させることが可能であるため、ダイシング特性に優れている。
また、本発明の半導体製造工程用テープの基材フィルムは、中層とその両側の外層とからなる三層の積層フィルム構造を採用し、前記両外層が特定の性質及び性能を有するエチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)樹脂からなる層で構成されていることから、エキスパンド工程において、フィルムを全方向均一に延伸させることが可能であるため、エキスパンド性に優れ、さらに耐熱性にも優れている。
さらに、本発明の半導体製造工程用テープの基材フィルムは、前記中層としてエチレン
−酢酸ビニル共重合体を含む樹脂層を用いた場合、当該フィルムは引き裂かれにくくさせることが可能であるため、耐引き裂き性に優れる。
すなわち、本発明の半導体製造工程用テープの基材フィルムは、ダイシング特性、エキスパンド性、及び耐熱性の諸特性について全てを満足にする性能を有する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の半導体製造工程用テープの基材フィルムは、中層とその両側の外層とからなる三層の積層フィルムを電子線照射により架橋させてなる半導体製造工程用テープの基材フィルムにおいて、前記両外層は、曲げ弾性率が160MPa以下で、ビカット軟化点が70℃以上であり、メタクリル酸(MAA)含有率が12wt%以下であるエチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)樹脂からなる層であり、かつ、前記積層フィルムが100KGY以上の電子線照射によりゲル分率80%以上となるように加工されたことを特徴とする、半導体製造工程用テープの基材フィルムである。
【0013】
本発明の半導体製造工程用テープの基材フィルムは、中層とその両側の外層とからなる三層の積層フィルム構造を有する半導体製造工程用テープの基材フィルムであり、両外層として特定の性質及び性能を有するエチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)樹脂からなる層を採用する。
前記エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)は耐熱性を有し且つ縦と横の伸びが均一なため、本発明では、両外層にエチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)樹脂を採用することで、半導体製造工程用テープの基材フィルムとして要求される耐熱性及びエキスパンド性の性能を確保したものである。
【0014】
本発明では、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)樹脂に求められる特定の性質及び性能としては、外層として採用するエチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)樹脂からなる層の曲げ弾性率が160MPa以下である必要がある。これは、曲げ弾性率が160MPaを超えると、例え粘着テープ用基材フィルムを2種3層構造にしても十分な柔軟性を発現することができないからである。
【0015】
また、他の前記特定の性質及び性能としては、ビカット軟化点が70℃以上である必要がある。これはビカット軟化点が70℃未満であると十分な耐熱性を発現し難いからである。また、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)樹脂がべたつき易く、粘着剤の塗工に不具合が生じる可能性があるからである。
【0016】
さらに、他の前記特定の性質及び性能としては、メタクリル酸(MAA)含有率が12wt%以下である必要がある。これは、MAA含有率が12wt%を超えるとビカット軟化点が低下する傾向にあり、MFRが大きくなる傾向がある。その結果、曲げ弾性率は柔軟化の方向に向かうが、製膜歪の影響が大きくなり、エキスパンド性が悪くなる傾向があるからである。
【0017】
上述より、本発明では、耐熱性及びエキスパンド性の性能を確保する観点から、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)樹脂に求められる特定の性質及び性能としては、曲げ弾性率が145〜160MPaで、ビカット軟化点が75〜90℃であり、メタクリル酸(MAA)含有率が5〜12wt%であることが好ましい。
【0018】
また、前記積層フィルムは100KGY以上の電子線照射によりゲル分率80%以上となるように加工されている必要がある。これは、ゲル分率80%未満であるとダイシング工程において切削屑が発生してしまう傾向があるからである。
【0019】
本発明の半導体製造工程用テープの基材フィルムは、中層とその両側の外層とからなる
三層の積層構造で構成されるが、外層:中層:外層の層厚の比率は1:4:1〜1:20:1であり、好ましくは1:8:1〜1:16:1である。あまりに外層が薄いとエキスパンド性が悪くなる傾向があり、一方、外層が厚いと柔軟性を失う傾向があるからである。
【0020】
また、前記中層は曲げ弾性率が100MPa以下のエチレン系共重合体を含む樹脂層であることが好ましく、そのようなエチレン系共重合体としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、及びエチレン−メタクリル酸メチル共重合体等が挙げられる。
【0021】
前記エチレン系共重合体の中でも、特にエチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましい。半導体製造において、ダイシング工程及びエキスパンド工程の後に、裁断された半導体ウエハを持ち上げる必要がある。このとき半導体製造工程用テープの基材フィルムが引き裂かれやすい(引き裂き性)という問題があるが、半導体製造工程用テープの基材フィルムの中層にエチレン−酢酸ビニル共重合体を含む樹脂層を用いると、半導体製造工程用テープの基材フィルムの耐引き裂き性を向上させることができる。
【0022】
なお、本発明の半導体製造工程用テープの基材フィルムでは、当該フィルムを構成する中層は、一層、複数層のいずれであっても良い。
【0023】
また、本発明の半導体製造工程用テープの基材フィルムは、外層の少なくとも一方の層の表面の粗さが、0.5ミクロン以上であっても良い。表面が荒れているとリングフレームとの密着を阻害することができ、耐熱性向上と同等の性能を付与することができるからである。
【0024】
本発明の半導体製造工程用テープの基材フィルムをダイシング用粘着テープの基材フィルムとして使用する場合、本発明の半導体製造工程用テープの基材フィルムは半導体ウエハをダイシングする際に、ウエハに粘着固定するテープの基材フィルムの基体となるフィルムであり、その積層フィルムの厚さについては特に限定されるものではないが、一般的には、0.05〜0.5mm程度、または0.08〜0.3mm程度を有するものであれば良い。フィルムの厚さが厚すぎると、引っ張り応力が大きくなり、フィルムを伸ばすのに、大きな力が必要となる傾向があり、薄すぎると、引っ張り強度が小さくなり、破れやすくなる傾向がある。
【0025】
本発明の半導体製造工程用テープの基材フィルムの成形方法としては、公知の方法を用いることができるが、好ましくは、製造工程が簡略である共押出法や、共押出インフレーション法を使用して成形するのが良い。もちろん、中層と両外層とを、カレンダー法、押出法、インフレーション法等の手段によって別々に成形し、それらを熱ラミネートもしくは適宜接着剤による接着等の手段で積層する等によっても本発明の半導体製造工程用テープの基材フィルムを得ることができる。
【実施例】
【0026】
以下に実施例及び比較例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでない。
【0027】
<実施例1〜6及び比較例1〜8>
下記の表1に示した配合からなる、外層としてエチレン−メタクリル酸共重合体樹脂、中層としてエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体樹脂、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体樹脂、及びポリエチレン樹脂を用い、三層Tダイ押出機で共押出して、半導体製造工程用テープの基材フィルムを得た。なお、比較例
6及び7以外の半導体製造工程用テープの基材フィルムには、200KGYの電子線を照射した。
各半導体製造工程用テープの基材フィルムについて、柔軟性、耐熱性、ダイシング特性、エキスパンド性及び耐引き裂き性を評価した。その結果を表1に示す。なお、表2〜5は用いた樹脂の特性値を示す。
なお、各特性は次のように試験し、評価した。
【0028】
[柔軟性の評価]
JIS K 6732に準じて試験を行い(CHS 200mm/分、1号ダンベルでの引張試験)、以下の基準で評価した。
○:25%延伸時の応力が7MPa以下。
△:25%延伸時の応力が7MPaより大きく、20MPa以下。
×:25%延伸時の応力が20MPaより大きい。
【0029】
[耐熱性の評価]
幅15mm×標線10mm×5g荷重で、120℃のオーブンに15分間吊るして、サンプルの変形量を確認し、以下の基準で評価した。
○:120℃で10分間オーブン内に吊るしても溶けて伸びきらない。
×:120℃で10分間オーブン内に吊るすと溶けて伸びきる。
【0030】
[ダイシング特性の評価]
ダイシングブレードを使用し、回転数45000rpm、カットスピード100m/秒でフィルムに切り込みを入れて、以下の基準で評価した。
○:切削屑が発生しない。
×:切削屑が発生する。
【0031】
[エキスパンド性の評価]
同時二軸延伸装置にて、延伸速度4m/分でタテ×ヨコ=2×2倍に延伸した時のタテヨコのバランスを、以下の基準で評価した。
○:25℃において同時二軸延伸をした時にタテヨコ共に十分均等に伸びる。
△:25℃において同時二軸延伸をした時にタテヨコ共にほぼ均等に伸びるが、その伸
びは十分に均等なものとはいえない。
×:25℃において同時二軸延伸をした時にタテヨコ共に伸びるが、その伸びは均等な
ものでない。
【0032】
[耐引き裂き性]
6インチの塩化ビニル樹脂管に半導体製造工程用テープの基材フィルムを固定し、上から直径5mmのニードルで1500gfの荷重で突き刺した際の、半導体製造工程用テープの基材フィルムの引き裂きを、以下の基準で評価した。
○:引き裂かれない。
△:一部に破れが生じる。
×:引き裂かれる。
【0033】
[ゲル分率の測定]
120℃の熱キシレン中でフィルムを溶解させたときの不溶分量をゲル分率とした。
○:ゲル分率80%以上。
×:ゲル分率80%未満。
【0034】
【表1】

【0035】
【表2】

【0036】
【表3】

【0037】
【表4】

【0038】
【表5】

【0039】
【表6】

【0040】
表1の結果より、本発明の半導体製造工程用テープの基材フィルムは、ダイシング特性、エキスパンド性、及び耐熱性等の諸特性について全てを満足させる良好な結果を示した(実施例1〜6)。さらに、本発明の半導体製造工程用テープの基材フィルムは、中層としてエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂を含む層を用いた場合には、上記諸特性のみならず、耐引き裂き性についても良好な結果を示した(実施例1及び4)。
【0041】
これに対し、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)樹脂のみの単層であるフィルムは、柔軟性を満足させるものではなかった(比較例1及び2)。また、曲げ弾性率が160MPaを超えるエチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)樹脂を外層に用いた半導体製造工程用テープの基材フィルムについても、同様に柔軟性を満足させるものではなかった(比較例3)。ビカット軟化点が70℃未満又はMAA含有率が12wt%を超えるエチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)樹脂を外層に用いた半導体製造工程用テープの基材フィルムは、耐熱性に劣る結果となった(比較例4及び5)。また、電子線を照射していない半導体製造工程用テープの基材フィルムについては、耐熱性及びダイシング特性を満足させるものではなかった(比較例6及び7)。さらに、中層の樹脂の曲げ弾性率が100MPaを超える半導体製造工程用テープの基材フィルムについては、柔軟性及びエキスパンド性が、実施例1〜6と比較すると、若干劣るものであった(実施例7)。また、中層としてエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂以外の共重合体樹脂を含む層又はポリエチレン樹脂を含む層を用いた半導体製造工程用テープの基材フィルムについては、耐引き裂き性が、実施例1及び4と比較すると、若干劣るものであった(実施例2、3及び5乃至6)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中層とその両側の外層とからなる三層の積層フィルムを電子線照射により架橋させてなる半導体製造工程用テープの基材フィルムにおいて、前記両外層は、曲げ弾性率が160MPa以下で、ビカット軟化点が70℃以上であり、メタクリル酸(MAA)含有率が12wt%以下であるエチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)樹脂からなる層であり、かつ、前記積層フィルムが100KGY以上の電子線照射によりゲル分率80%以上となるように加工されたことを特徴とする、半導体製造工程用テープの基材フィルム。
【請求項2】
前記両外層は、曲げ弾性率が145〜160MPaで、ビカット軟化点が75〜90℃であり、メタクリル酸(MAA)含有率が5〜12wt%であるエチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)樹脂からなる層であることを特徴とする、請求項1に記載の半導体製造工程用テープの基材フィルム。
【請求項3】
前記外層:前記中層:前記外層の層厚の比率が1:4:1〜1:20:1であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の半導体製造工程用テープの基材フィルム。
【請求項4】
前記中層が曲げ弾性率が100MPa以下のエチレン系共重合体を含む樹脂層であることを特徴とする、請求項1乃至請求項3に記載の半導体製造工程用テープの基材フィルム。
【請求項5】
前記エチレン系共重合体が、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、及びエチレン−メタクリル酸メチル共重合体からなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項4に記載の半導体製造工程用テープの基材フィルム。
【請求項6】
前記エチレン系共重合体が、エチレン−酢酸ビニル共重合体である、請求項5に記載の半導体製造工程用テープの基材フィルム。
【請求項7】
ダイシング用粘着テープの基材フィルムである、請求項1乃至請求項6に記載の半導体製造工程用テープの基材フィルム。

【公開番号】特開2011−103449(P2011−103449A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221118(P2010−221118)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000000077)アキレス株式会社 (402)
【Fターム(参考)】