説明

半導体製造装置および半導体製造方法

【課題】本発明は、スループット、成膜均一性を低下させることなく、電極の接続面へのプロセスガスの回り込みを抑制し、半導体装置の高性能化や信頼性の向上、低コスト化を図ることが可能な半導体製造装置及び半導体製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の半導体製造装置は、ウェーハwが導入される反応室11と、反応室11にプロセスガスを供給するガス供給機構12と、反応室11よりガスを排出するガス排出機構13と、ウェーハwを載置するウェーハ支持部材15と、ウェーハ支持部材15を載置するリング16と、リング16と接続され、ウェーハwを回転させるための回転駆動制御機構17と、リング16内に設置され、ウェーハwを所定の温度に加熱するために設けられるヒータ18と、ヒータ18と接続され、ねじ込み用凹部19aを有する電極部品19と、ねじ込み用凹部19aで電極部品19と接続されるねじ込み部21aを有する電極21と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体ウェーハの裏面よりヒータにより加熱しながら表面に反応ガスを供給して成膜を行うために用いられる半導体製造装置および半導体製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の低価格化、高性能化の要求に伴い、ウェーハの成膜工程におけるスループット向上とともに、膜厚均一性の向上など高品質化が要求されている。
【0003】
このような要求を満たすために、枚葉式のエピタキシャル成膜装置を用い、例えば反応炉内において、ウェーハを900rpm以上で高速回転しながら、プロセスガスを供給し、ヒータを用いて裏面より加熱する裏面加熱方式が用いられている。
【0004】
このとき、ヒータは、例えばSiC被覆されたカーボンなどからなる電極部品と接続される。そして電極部品は、さらに、ヒータに電力を供給する外部電源と接続された電極と面接触することにより接続され、ボルトなどにより固定される(例えば特許文献1など参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−288163号公報([図1]、[図2]など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、ヒータと接続された電極部品は、外部電源と接続された電極に接続されるが、電極部品と電極の接続面にプロセスガスが回り込んで反応し、接続面が荒れるという問題が生じている。さらに、接続面の一部が膨れることにより、通電面積が減少して抵抗が高くなるとともに、離間部分における放電により、接続面がさらに荒れてしまう。そして、部材の交換が必要になることから、スループットが低下するという問題がある。
【0007】
このような現象は、ウェーハを高速回転させることにより、ウェーハの下部でのプロセスガスの回り込みが起こりやすくなるため、顕著となる。また、プロセスガス中の成膜ガス濃度を高くすることによっても、より発生しやすくなると考えられる。しかしながら、ウェーハの回転や、成膜ガス濃度を抑えると、スループット、成膜均一性が低下してしまう。
【0008】
そこで、本発明は、スループット、成膜均一性を低下させることなく、電極の接続面へのプロセスガスの回り込みを抑制し、半導体装置の高性能化や信頼性の向上、低コスト化を図ることが可能な半導体製造装置および半導体製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様の半導体製造装置は、ウェーハが導入される反応室と、反応室にプロセスガスを供給するガス供給機構と、反応室よりガスを排出するガス排出機構と、ウェーハを載置するウェーハ支持部材と、ウェーハ支持部材を載置するリングと、リングと接続され、ウェーハを回転させるための回転駆動制御機構と、リング内に設置され、ウェーハを所定の温度に加熱するために設けられるヒータと、ヒータと接続され、ねじ込み用凹部を有する電極部品と、ねじ込み用凹部で電極部品と接続されるねじ込み部を有する電極と、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の一態様の半導体製造装置において、電極部品と電極の接続部分を被覆するカバー部材を有することが好ましい。
【0011】
また、本発明の一態様の半導体製造装置において、電極は、ねじ込み部の下部に突起を有することが好ましい。
【0012】
また、本発明の一態様の半導体製造方法は、反応室内にウェーハを導入し、電極より、電極に設けられるねじ込み部と接続されるねじ込み用凹部を有する電極部品を介して、ヒータに電力を供給して発熱させることにより、ウェーハを所定温度で加熱し、ウェーハを回転させ、ウェーハ上にプロセスガスを供給することにより、ウェーハ上に成膜することを特徴とする。
【0013】
本発明の一態様の半導体製造方法において、ウェーハは、500〜1500rpmで回転されることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様によれば、半導体製造工程におけるスループット、成膜均一性を低下させることなく、電極の接触面へのプロセスガスの回り込みを抑制し、半導体装置の高性能化や信頼性の向上、低コスト化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一態様のエピタキシャル成膜装置の構造を示す断面図である。
【図2A】図1のブースバーの電極との接続部分の断面拡大図である。
【図2B】図1の電極のブースバーとの接続部分の断面拡大図である。
【図3】本発明の一態様のエピタキシャル成膜装置の構造を示す断面図である。
【図4】本発明の一態様のブースバーと電極の接続部分の構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図を参照して説明する。
【0017】
(実施形態1)
図1に本実施形態の半導体製造装置であるエピタキシャル成膜装置の断面図を示す。図に示すように、例えばφ200mmのウェーハwが成膜処理される反応室11には、反応室11上方より、トリクロロシラン、ジクロロシランなどのソースガスを含むプロセスガスなどを、所定の流量でウェーハw上に供給するためのガス供給機構12と接続されたガス供給口12aが設置されている。反応室11下方には、例えば2箇所にガスを排出し、反応室11内の圧力を一定(常圧)に制御するためのガス排出機構13と接続されたガス排出口13aが設置されている。
【0018】
反応室11上部には、ガス供給口12aから供給されたプロセスガスを、ウェーハw上に整流状態で供給するための整流板14が設置されている。そして、その下方には、ウェーハwを保持するための保持部材である環状のホルダ15が、回転部材であるリング16上に設置されている。リング16は、ウェーハwを所定の回転速度で回転させる回転軸(図示せず)、モータ(図示せず)などから構成される回転駆動制御機構17と接続されている。
【0019】
リング16内部には、ウェーハwを加熱するためのヒータ18が設置されている。ヒータ18は、所定パターンを有し、SiCからなる円板状のヒータエレメント18aと、これと一体成型されたヒータ電極部18bから構成されている。ヒータ電極部18bは、不純物が添加されて導電性を有するSiCからなり、さらにSiC膜がコーティングされている。なお、ヒータとしては、さらに環状のヒータを用いてもよく、効率的に加熱するためのリフレクタを有していてもよい。
【0020】
リング16内部下方には、ヒータ電極部18bと接続される電極部品であり、例えばSiCで被覆されたカーボンからなるブースバー19が設置されている。ブースバー19は、例えばMoからなる電極21と接続されている。
【0021】
図2Aにブースバー19の、図2Bに電極21の、接続部分の拡大図を示す。図に示すように、ブースバー19の端部には、ねじ込み用凹部19aが設けられている。一方、電極21の端部には、ねじ込み部21aが設けられており、ブースバー19のねじ込み用凹部19aに、電極21のねじ込み部21aをねじ込むことにより、ブースバー19と電極21が接続される。
【0022】
このようにしてブースバー19と接続される電極21は、ヒータシャフト20に固定され、ヒータに電力を供給する外部電源(図示せず)に接続される。
【0023】
このように構成されるエピタキシャル成膜装置を用いて、例えば、φ200mmのSiウェーハw上に、Siエピタキシャル膜が形成される。
【0024】
先ず、反応室11にウェーハwを搬入し、ウェーハwが載置されたホルダ15を、リング16上に載置する。そして、外部電源(図示せず)と接続された電極21より、ブースバー19を介してヒータ電極部18b、ヒータエレメント18aに電力を供給する。このとき、ブースバー19のねじ込み用凹部19aと、電極21のねじ込み部21aにおいて、ブースバー19と電極21が電気的に接続されている。
【0025】
このようにしてヒータエレメント18aに電力を供給し、ウェーハwの面内温度が均一に例えば1100℃となるように、ヒータエレメント18aの温度を1500〜1600℃に制御する。
【0026】
そして、回転駆動制御機構17により、ウェーハwを、例えば900rpmで回転させるとともに、プロセスガスを、ガス供給機構12よりガス供給口12aを介して、整流板14を介して整流状態でウェーハw上に供給する。プロセスガスは、例えばジクロロシラン濃度が2.5%となるように、Hなどの希釈ガスにより希釈され、例えば50SLMで供給される。このとき、プロセスガスは、リング内において、破線矢印のように回り込むが、接続面がねじ込み用凹部19a内に設けられているため、接続面への回り込みを抑えることができる。
【0027】
一方、余剰となったジクロロシラン、希釈ガスを含むプロセスガス、反応副生成物であるHClなどのガスは、ホルダ15外周より下方に排出される。さらに、これらのガスは、ガス排出口13aを介してガス排出機構13より排出され、反応炉11内の圧力が一定(例えば常圧)に制御される。このようにして、ウェーハw上にSiエピタキシャル膜を成長させる。
【0028】
本実施形態によれば、電極をブースバーに直接ねじ込み、電気的に接続するため、接続面へのプロセスガスの回り込みを抑えることができる。そして、接続面の荒れを抑制することができるため、部材の交換頻度を低減させることができる。従って、スループット、成膜均一性を低下させることなく、半導体装置の高性能化や信頼性の向上、低コスト化を図ることが可能となる。
【0029】
(実施形態2)
本実施形態において、実施形態1とエピタキシャル成膜装置の構成は同様であるが、ブースバーと電極の接続部分を被覆するカバー部材が設けられている点で実施形態1と異なっている。
【0030】
すなわち、図3に示すように、ブースバー19と電極21の接続部分、すなわち、ブースバー19のねじ込み用凹部19aに電極21のねじ込み部21aがねじ込まれた部分を被覆する、例えば石英からなるカバー部材31が設けられている。そして、カバー部材31により、ブースバー19と電極21との接続面へのプロセスガスの回り込みを、より確実に抑制することができる。
【0031】
本実施形態によれば、プロセスガスの回り込みを、より確実に抑制することができるため、実施形態1より高い効果を得ることが可能となる。
【0032】
(実施形態3)
本実施形態において、実施形態1とエピタキシャル成膜装置の構成は同様であるが、電極のねじ込み部の下部に突起を有している点で実施形態1と異なっている。
【0033】
すなわち、図4に接続部分の拡大図を示すように、ブースバー19と電極21の接続部分、電極21のねじ込み部21aの下部に、突起41が設けられている。そして、突起41により、ブースバー19と電極21との接続面へのプロセスガスの回り込みを、より確実に抑制することができる。
【0034】
本実施形態によれば、プロセスガスの回り込みを、より確実に抑制することができるため、実施形態1より高い効果を得ることが可能となる。なお、実施形態2のカバー部材と、本実施形態の突起を併せて備えてもよい。プロセスガスの回り込みの抑制効果をより向上させることができる。
【0035】
本実施形態によれば、半導体ウェーハwにエピタキシャル膜などの高品質の膜を高い生産性で安定して形成することが可能となる。そして、ウェーハの歩留り向上と共に、素子形成工程及び素子分離工程を経て形成される半導体装置の歩留りの向上、素子特性の安定を図ることが可能となる。特にN型ベース領域、P型ベース領域や、絶縁分離領域などに40μm以上の厚膜成長が必要な、パワーMOSFETやIGBTなどのパワー半導体装置のエピタキシャル形成工程に適用されることにより、良好な素子特性を得ることが可能となる。
【0036】
また、本実施形態においては、Si単結晶層(エピタキシャル膜)形成の場合を説明したが、本実施形態は、ポリSi層形成時にも適用することも可能である。また、例えばSiO膜やSi膜などSi膜以外の成膜や、例えばGaAs層、GaAlAsやInGaAsなど化合物半導体などにおいても適用することも可能である。その他要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0037】
11…反応室
12…ガス供給機構
12a…ガス供給口
13…ガス排出機構
13a…ガス排出口
14…整流板
15…ホルダ
16…リング
17…回転駆動制御機構
18…ヒータ
18a…ヒータエレメント
18b…ヒータ電極部
19…ブースバー
19a…ねじ込み用凹部
20…ヒータシャフト
21…電極
21a…ねじ込み部
31…カバー部材
41…突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハが導入される反応室と、
前記反応室にプロセスガスを供給するガス供給機構と、
前記反応室よりガスを排出するガス排出機構と、
前記ウェーハを載置するウェーハ支持部材と、
前記ウェーハ支持部材を載置するリングと、
前記リングと接続され、前記ウェーハを回転させるための回転駆動制御機構と、
前記リング内に設置され、前記ウェーハを所定の温度に加熱するために設けられるヒータと、
前記ヒータと接続され、ねじ込み用凹部を有する電極部品と、
前記ねじ込み用凹部で前記電極部品と接続されるねじ込み部を有する電極と、
を備えることを特徴とする半導体製造装置。
【請求項2】
前記電極部品と前記電極の接続部分を被覆するカバー部材を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項3】
前記電極は、前記ねじ込み部の下部に突起を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体製造装置。
【請求項4】
反応室内にウェーハを導入し、
電極より、前記電極に設けられるねじ込み部と接続されるねじ込み用凹部を有する電極部品を介して、ヒータに電力を供給して発熱させることにより、前記ウェーハを所定温度で加熱し、
前記ウェーハを回転させ、前記ウェーハ上にプロセスガスを供給することにより、前記ウェーハ上に成膜することを特徴とする半導体製造方法。
【請求項5】
前記ウェーハは、500〜1500rpmで回転されることを特徴とする請求項4に記載の半導体製造方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−69623(P2012−69623A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211720(P2010−211720)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(504162958)株式会社ニューフレアテクノロジー (669)
【Fターム(参考)】