説明

半導体製造装置のトレーニングシステム

【課題】 ユーザに対する半導体製造装置のトレーニングの実施を効率的に行う半導体製造装置のトレーニングシステムを提供する。
【解決手段】 装置トレーニングサーバ1とユーザ端末3とを回線5を介して接続し、装置トレーニングサーバ1ではプログラム記憶手段が半導体製造装置に関するシミュレーションを行うプログラムを記憶し、条件データ受信手段がユーザ端末3によりユーザから受け付けられて回線5を介して送信される半導体製造装置に関するシミュレーションの条件データを受信し、プログラム実行手段が受信した条件データに基づいてプログラム記憶手段に記憶されたプログラムを実行し、結果データ送信手段が実行したプログラムにより行われるシミュレーションの結果データを回線5を介してユーザ端末3に対して送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信回線を介してユーザに遠隔操作により半導体製造装置のトレーニングをさせる技術に関し、特に、装置トレーニングサーバが回線を介して接続されたユーザ端末を介してユーザに半導体製造装置のトレーニングをさせる半導体製造装置のトレーニングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置では半導体デバイス用の半導体ウエハやLCD用のガラス基板などを製造することが行われ、一例として、CVD装置では、加熱炉にシリコンウエハ等の基板を収容し、当該加熱炉内を所定の温度に加熱しつつ当該加熱炉内へ反応ガスを供給して、当該基板上に酸化膜や窒化膜等の薄膜を形成することが行われる。なお、このような薄膜は、例えば層間絶縁膜や、LSI(Large Scale Integrated circuit)チップの表面保護等に用いられる。
【0003】
上記のような半導体製造装置は一般に数千もの機能部が組み合わされて構成されており、また、半導体製造装置を動作させるためのコントローラの扱いに習熟することが(半導体製造装置を購入等した企業等の)ユーザにとって必要であることから、メーカにより半導体製造装置の取り扱いトレーニングが実施されている。このような取り扱いトレーニングの内容としては、例えば半導体製造装置に関する知識や半導体製造装置の取り扱い方法等をペーパーを中心として学習する学科教習と、例えば実際に半導体製造装置を動作させてみてその動作の仕方やその取り扱いの仕方を学習する実施教習とに大別される。
【0004】
なお、図11には、従来例に係る半導体製造装置のトレーニングの手順の一例を示してある。
すなわち、この手順では、まず、半導体製造装置を顧客(ユーザ)に販売した後に、当該顧客からトレーニングの申し込みを受け付けると、当該顧客を確認する。次に、顧客が確認されると、メーカは顧客のトレーニング要員をトレーニングセンタなどに受け入れてレーニングを実施する。なお、このような教科や実施のトレーニングは、例えば半導体製造装置の購入後の所定の期間内においては無料であるが、当該期間が経過すると有料となる。また、トレーニングにおいては、例えばトレーニングによる習熟度を検査するためのテストが顧客に対して行われ、このようなテストが行われた後にトレーニングが終了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−134028号公報
【特許文献2】特開平11−249540号公報
【特許文献3】特開平11−282826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、半導体製造装置を必要とする顧客は全世界にわたって存在しており、また、最新の技術情報の提供や最新のトレーニング等をユーザに対して実施するためには顧客のトレーニング要員がメーカ側に行く必要があったため、例えば渡航等にかかる費用や時間が大きくなってしまうといった不具合があった。また、限られた時間内でトレーニング等を実施することから、トレーニング等の内容が不十分になってしまう場合もあるといった不具合があった。
【0007】
本発明は、このような従来の事情に鑑みなされたもので、装置トレーニングサーバが回線を介して接続されたユーザ端末によりユーザに半導体製造装置のトレーニングをさせることができる半導体製造装置のトレーニングシステムを提供することを目的とする。そして、このような半導体製造装置のトレーニングシステムにより、例えば全世界にわたって存在する半導体製造装置の顧客に対してタイムリーに最新技術をトレーニングすることを実現し、また、例えばトレーニング実施のために従来必要であった渡航等の費用を軽減することや、トレーニングにかかる所要時間を軽減すること等を実現する。
【0008】
なお、半導体製造装置に関するものではないが、従来の技術例として、インターネットを活用して学科教育を行う教育方法に関する技術を紹介しておく。
例えば特開平10−134028号公報に記載されたインターネットを用いた遠隔教育方法及び装置では、インターネットを介して学習データや評価データをユーザに対して提供すること等が行われている。
【0009】
また、例えば特開平11−249540号公報に記載された学習機能付き遠隔教育システムでは、教育サーバと受講者のクライアントPCとをインターネットを介して接続し、教育サーバが受講者の教育受講歴等を把握して次の教育カリキュラムの編成を当該受講者に最適なものに組み替えること等が行われている。
【0010】
また、特開平11−282826号公報に記載されたインターネットを利用した電子教育システムでは、教育事業者端末と受講者端末とをインターネットを介して電子教育サーバに接続し、電子教育サーバが教育事業者端末からの学習コンテンツを受信等するサービス及び当該受信データを利用して各受講者端末へマルチメディア教材の画面を送信するサービスを提供すること等が行われている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係る半導体製造装置のトレーニングシステムでは、装置トレーニングサーバとユーザの端末とを回線を介して接続し、次のようにして、装置トレーニングサーバがユーザ端末を通じてユーザに半導体製造装置のトレーニングをさせる。
【0012】
すなわち、装置トレーニングサーバでは、プログラム記憶手段が半導体製造装置に関するシミュレーションを行うプログラムを記憶し、条件データ受信手段がユーザ端末によりユーザから受け付けられて当該ユーザ端末から回線を介して送信される半導体製造装置に関するシミュレーションの条件データを受信し、プログラム実行手段が受信した条件データに基づいてプログラム記憶手段に記憶されたプログラムを実行し、結果データ送信手段が実行したプログラムにより行われるシミュレーションの結果データを回線を介してユーザ端末に対して送信する。
このようにして、本発明に係る半導体製造装置のトレーニングシステムでは、上記のようなシミュレーションの結果データをユーザ端末を通じてユーザに対して提供して、当該ユーザに半導体製造装置のトレーニングをさせることができる。
【0013】
従って、例えば全世界にわたって存在する半導体製造装置の顧客に対してタイムリーに最新技術をトレーニングすることを実現することができ、また、例えばトレーニング実施のために従来必要であった渡航等の費用を軽減することや、トレーニングにかかる所要時間を軽減することを実現することができる。また、ユーザ端末によりユーザから受け付けられた条件データに基づいて装置トレーニングサーバがシミュレーションを行い、当該シミュレーションの結果データがユーザ端末を通じてユーザに提供されるというインタラクティブな通信を用いてユーザにトレーニングをさせることができ、単に装置トレーニングサーバからユーザ端末へ(例えばマニュアル等の)データを送信する場合以上の効果をもってユーザに対するトレーニングを実施することができる。
【0014】
また、ユーザによるトレーニング結果に関する情報を装置トレーニングサーバ側で把握することが可能であるため、装置トレーニングサーバにこのような情報をユーザ毎に蓄積管理する機能を設け、或いは、このような情報を蓄積管理する機能を有した管理サーバをネットワーク上に設けて、このような蓄積管理された情報に基づいてユーザのニーズを知ることや、このような情報を今後の製品(半導体製造装置や、トレーニングシステム等)の開発や品質の管理等に役立てることが可能となる。また、シミュレーションを行うプログラムが大量となる場合も多いが、このようなプログラムを装置トレーニングサーバ側で記憶して実行する構成であることから、ユーザ端末側の装置への負担を小さくすることができる。このようなことから、ユーザ端末と回線を介して接続された装置トレーニングサーバ側でシミュレーションを行う本発明の構成は、トレーニングを実施するメーカやトレーニングを受けるユーザにとって非常に有効なものとなる。
【0015】
ここで、装置トレーニングサーバとしては、種々な装置が用いられてもよく、例えばコンピュータ等を用いることができる。
同様に、ユーザの端末(ユーザ端末)としては、種々な装置が用いられてもよく、例えばコンピュータ等を用いることができる。
また、回線としては、種々なものが用いられてもよく、例えばインターネット等を用いることができる。
【0016】
また、ユーザとしては、例えば半導体製造装置を購入した企業等において当該半導体製造装置を操作する者などが該当する。
また、半導体製造装置のトレーニングとしては、種々なトレーニングが実施されてもよい。
また、半導体製造装置に関するシミュレーションとしては、例えば実施される種々なトレーニングに応じて、種々なシミュレーションが行われてもよい。
【0017】
また、プログラムとしては、半導体製造装置に関するシミュレーションを行うものであれば、特に限定はなく、例えば種々なプログラミング言語で作成されたものを用いることが可能である。
また、プログラム記憶手段としては、例えばメモリから構成することができる。
また、プログラム実行手段としては、例えばCPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processor
Unit)等のプロセッサから構成することができる。
【0018】
また、半導体製造装置に関するシミュレーションの条件データとしては、種々な条件に関するデータが用いられてもよく、例えば半導体製造装置の種類を示すデータや、温度や圧力等の条件値を示すデータや、下記のユーザ識別データなどを含めることができる。ここで、このような条件データには、例えば1つの事項(例えば「温度」や、「圧力」等)に関する条件を示すデータのみが含まれてもよく、或いは、複数の事項に関する条件を示すデータが含まれてもよい。
【0019】
なお、ユーザ端末では、例えばユーザが当該ユーザ端末の入力手段(例えばキーボードやマウス等)を操作することで、上記した条件データや後述する教科データ要求データや後述するユーザ識別データ等を当該ユーザ端末に入力や指示することができる。そして、ユーザ端末は、例えばユーザから入力されて受け付けたデータを回線を介して装置トレーニングサーバに対して送信する送信手段を備えている。
【0020】
また、条件データに基づいてプログラムを実行する態様としては、例えば条件データがプログラムを選択する条件を有している場合には当該条件に適合したプログラムを選択して実行するような態様が用いられ、また、例えば条件データがプログラムの実行に際して用いられる条件(例えば当該プログラムにより用いられるデータや、当該プログラム中の変数に代入すべき値)を有している場合には当該条件を用いて当該プログラムを実行するような態様が用いられる。
【0021】
また、実行したプログラムにより行われるシミュレーションの結果データとしては、種々なデータが用いられてもよく、例えば当該プログラムの実行により得られた結果のデータがそのままユーザ端末に対して送信される態様ばかりでなく、例えば当該プログラムの実行により得られた結果のデータが装置トレーニングサーバにより処理(加工等)された後に当該処理後のデータが結果データとしてユーザ端末に対して送信されるような態様を用いることもできる。
【0022】
また、本発明に係る半導体製造装置のトレーニングシステムでは、プログラム記憶手段は半導体製造装置に関するシミュレーションを行うプログラムを複数種類の半導体製造装置について記憶し、条件データ受信手段により受信する条件データには半導体製造装置の種類のデータが含まれ、プログラム実行手段は当該種類データに対応するプログラムを実行する。
【0023】
従って、例えばそれぞれ装置構成の異なる複数種類の半導体製造装置が(1又は複数の)ユーザにより利用されるような場合においても、これら複数種類の半導体製造装置の中で条件データにより指定される種類に対応するプログラムを実行してシミュレーションが行われるため、それぞれの種類の半導体製造装置のトレーニングをユーザにさせることができる。
【0024】
ここで、複数種類の半導体製造装置としては、それぞれどのようなものが用いられてもよい。
また、半導体製造装置の種類のデータとしては、例えば当該種類を識別することができるようなものであればよく、種々なデータが用いられてもよい。
また、種類データに対応するプログラムとしては、例えば当該種類データにより指定される種類の半導体製造装置に関するシミュレーションを行うプログラムが設定される。
【0025】
また、本発明に係る半導体製造装置のトレーニングシステムの装置トレーニングサーバでは、教科データ記憶手段が半導体製造装置に関する教科データを記憶し、教科データ要求データ受信手段がユーザ端末によりユーザから受け付けられて当該ユーザ端末から回線を介して送信される教科データ要求データを受信し、教科データ送信手段が受信した教科データ要求データにより要求される教科データを教科データ記憶手段から抽出して回線を介してユーザ端末に対して送信する。
【0026】
従って、上記した半導体製造装置に関するシミュレーションを行うことによりユーザに半導体製造装置の実施教習に係るトレーニングをさせることができるとともに、半導体製造装置に関する教科データをユーザに対して提供することによりユーザに半導体製造装置の学科教習に係るトレーニングをさせることができる。
【0027】
ここで、半導体製造装置に関する教科データとしては、例えば教科書に載せる知識内容に関するような種々なデータが用いられてもよく、具体的には、半導体製造装置の取り扱い説明書の内容データや、半導体製造装置の動作説明の内容データや、半導体製造装置に関する一般的な事項の説明の内容データなどを含めることができる。
【0028】
また、教科データ記憶手段としては、例えばメモリから構成することができる。
また、教科データ要求データとしては、教科データを要求するものであれば種々なデータが用いられてもよい。具体的には、例えば教科データ記憶手段に記憶された教科データの中の特定のデータ(例えば或る事項に関するデータや、或るページのデータや、或る見出しのデータなど)を教科データ要求データにより要求することもでき、また、このような特定のデータではなく、例えば教科データ記憶手段に記憶された教科データの全体(例えばページ順等にユーザに対して提供される)を教科データ要求データにより要求することもできる。
【0029】
また、本発明に係る半導体製造装置のトレーニングシステムの装置トレーニングサーバでは、ユーザ識別データ受信手段がユーザ端末によりユーザから受け付けられて当該ユーザ端末から回線を介して送信されるユーザ識別データを受信し、ユーザ認証手段が受信したユーザ識別データに基づいてユーザを認証し、アクセス制限手段が当該認証結果に基づいてユーザによるアクセスを制限する。
【0030】
従って、例えば正規に登録されたユーザであることが認証された場合にのみ、当該ユーザに対して上記したシミュレーションによるトレーニングや上記した教科データによるトレーニングが実施されることを確保することができるため、第三者により不正にアクセスされてしまうことを防止して秘密保持を保証することができる。また、例えば各ユーザ毎にアクセスすることが可能なプログラムやデータを設定することで、各ユーザがアクセスして利用することが可能なプログラムやデータを制限することもできる。
【0031】
ここで、ユーザ識別データとしては、ユーザを識別することができるようなものであれば種々なデータが用いられてもよく、例えばユーザ名のデータや、パスワードのデータや、ユーザ名データとパスワードデータとの組合せなどを用いることができる。
【0032】
また、ユーザ識別データに基づいてユーザを認証する仕方としては、例えば正規に登録されたユーザに設定されたユーザ識別データと同一のデータを予め記憶しておき、当該データとユーザから受け付けたユーザ識別データとが一致するか否かを判定することで当該ユーザを認証することができ、通常、一致することが判定された場合に当該ユーザが正規のユーザであるとみなされる。
【0033】
また、本発明に係る半導体製造装置のトレーニングシステムの装置トレーニングサーバでは、有効期限データ記憶手段がユーザによるアクセスに関する有効期限データを記憶し、アクセス制限手段はユーザ認証手段による認証結果及び有効期限データ記憶手段に記憶された有効期限データに基づいてユーザによるアクセスを制限する。
【0034】
従って、例えばユーザに対して上記した半導体製造装置に関するプログラムや教科データにアクセスすることを許可する有効期限を設定して、当該有効期限内には当該ユーザによるアクセスを許可する一方、当該有効期限後には当該ユーザによるアクセスを不許可とすることができる。一例として、各ユーザに設定された有効期限内には無料のトレーニングへのアクセスを当該各ユーザに許可する一方、当該有効期限後には当該無料トレーニングへのアクセスを不許可として有料のトレーニングへのアクセスを当該各ユーザに許可して課金するようなことができる。
【0035】
ここで、有効期限データとしては、例えばユーザによるアクセスを許可する期限を定めるデータが用いられ、また、例えばこのような期限を定めるデータと共に当該期限で制限されるアクセス対象を定めるデータが含まれてもよい。
また、有効期限データ記憶手段としては、例えばメモリから構成することができる。
【0036】
また、本発明に係る半導体製造装置のトレーニングシステムでは、装置トレーニングサーバとユーザ端末との間で通信されるデータを送信側で暗号化するとともに受信側で復号化する。
従って、装置トレーニングサーバとユーザ端末との間で通信されるデータが第三者により不正に利用されてしまうようなことを防止して秘密保持を保証することができる。
【0037】
ここで、暗号化及び復号化は、例えば通信されるデータの全てに対して行われてもよく、或いは、通信されるデータの一部に対して行われてもよい。
また、暗号化の仕方としては、種々な仕方が用いられてもよい。また、受信側での復号化は、送信側での暗号化に対応して行われる。
【発明の効果】
【0038】
以上説明したように、本発明に係る半導体製造装置のトレーニングシステムによると、装置トレーニングサーバとユーザの端末とを回線を介して接続した構成において、装置トレーニングサーバが半導体製造装置に関するシミュレーションを行うプログラムを記憶し、ユーザ端末によりユーザから受け付けられて当該ユーザ端末から回線を介して送信される半導体製造装置に関するシミュレーションの条件データを受信し、受信した条件データに基づいて記憶されたプログラムを実行し、実行したプログラムにより行われるシミュレーションの結果データを回線を介してユーザ端末に対して送信することで、当該結果データをユーザ端末を通じてユーザに対して提供して当該ユーザに半導体製造装置のトレーニングをさせるようにしたため、上述したような種々な効果を得ることができ、効率的なトレーニングの実施を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係る半導体製造装置のトレーニングシステムの一例を示す図である。
【図2】本発明に係る半導体製造装置のトレーニングシステムの他の例を示す図である。
【図3】装置トレーニングサーバの構成例を示す図である。
【図4】半導体製造装置のトレーニングシステムの概略的な運用例を示す図である。
【図5】トレーニングの申し込みの手順の一例を示す図である。
【図6】トレーニング申し込み画面の一例を示す図である。
【図7】トレーニングコーナーへの入り口画面の一例を示す図である。
【図8】トレーニングコーナーの画面の一例を示す図である。
【図9】基本教科コースのトレーニングコーナーの画面の一例を示す図である。
【図10】基本シミュレーションコースのトレーニングコーナーの画面の一例を示す図である。
【図11】従来例に係る半導体製造装置のトレーニングの手順の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明に係る半導体製造装置のトレーニングシステムの一実施例を図面を参照して説明する。
図1には、本例の半導体製造装置のトレーニングシステムの一例を示してあり、このシステムには、装置トレーニングサーバ1や、ルータ2や、ユーザPC(ユーザのパーソナルコンピュータ)3や、アクセスルータ4や、インターネット5が備えられている。なお、本例では、ユーザPC3と装置トレーニングサーバ1とは例えば遠隔に設置されている。
【0041】
装置トレーニングサーバ1は、例えば半導体製造装置をユーザに対して提供(製造や販売等)するメーカ側(例えばメーカ自体、或いは、当該メーカから依頼された者)により管理されており、顧客(ユーザ)のトレーニングを実施するサーバである。装置トレーニングサーバ1は、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)サーバを実装していて、ルータ2を介してインターネット5と接続される。
【0042】
また、ユーザPC3は、例えば上記したメーカから半導体製造装置を購入した企業等のユーザにより利用され、当該ユーザがトレーニングを受けるために用いられる端末である。ユーザPC3は、WWW(World Wide Web)ブラウザや暗号復号化機能を搭載していて、アクセスルータ4を介してインターネット5と接続される。そして、ユーザPC3は、インターネット5を介して装置トレーニングサーバ1にアクセスすることができ、インターネット5を介して装置トレーニングサーバ1に対してデータを送信することや、装置トレーニングサーバ1から送信されるデータをインターネット5を介して受信することができる。
【0043】
なお、本例では、説明の便宜上から、1つのユーザPC3のみを示して説明を行うが、例えば異なるユーザにより利用される複数のユーザPCがインターネット5に接続されて、これら複数のユーザPCにより装置トレーニングサーバ1が利用されてもよい。
また、アクセスルータ4には、例えば公衆電話回線が使用される場合にはモデムの機能が搭載され、例えばISDN(Integrated Services Digital Network)が使用される場合にはターミナルアダプタの機能が搭載される。
【0044】
なお、本例では、上記図1に示した構成の半導体製造装置のトレーニングシステムを用いて説明を行うが、他の構成例として、図2に示されるようなLAN12とインターネットアクセスとが共存する半導体製造装置のトレーニングシステムの構成を用いることも可能である。
【0045】
同図に示したシステム構成では、装置トレーニングサーバ11が(メーカ側の社内の)LAN(Local Area Network)12を介してファイアウォール(Fire Wall)13と接続されており、当該ファイアウォール13がルータ14を介してインターネット17と接続される。また、ユーザPC15はアクセスルータ16を介してインターネット17と接続される。
【0046】
なお、同図に示したシステム構成では、例えばアクセス制御機能や暗号化機能が部分的にファイアウォール13に実装されて制御される。ここで、ファイアウォール13には、例えばアクセスコントロール専用のゲートウエイ機能や、IP(Internet Protocol)制限機能及びHTTP等のサービスポートの制限機能や、VPN(Virtual Private Network)接続のための暗号化機能や、アクセスロギング機能が備えられる。
【0047】
次に、図3には、上記した装置トレーニングサーバ1の構成例を示してあり、本例の装置トレーニングサーバ1には、装置シミュレーションデータベース21や、教科データベース22や、顧客管理データベース23や、プログラム用のメモリ24や、ワーク用のメモリ25や、CPU26や、暗号ユニット27や、通信制御ユニット28が備えられている。また、通信制御ユニット28は例えばルータ2を介して通信回線(本例では、インターネット5)と接続されている。
【0048】
装置シミュレーションデータベース21は、半導体製造装置に関するシミュレーションを行うために用いられるプログラム等のデータ(例えば実際に半導体製造装置を動作させてみてその動作等を学習する実施教習を補完する装置シミュレーション用のデータ)を記憶するデータベースであり、例えばHTML(HyperText Mark-Up Language)や、JAVA(登録商標)スクリプトや、JAVAや、ActiveX(登録商標)等の各種のブラウザ対応言語を用いて作成されている。
【0049】
なお、半導体製造装置に関するシミュレーションの内容(コンテンツ)としては、例えば、「レシピの作製と、実行シミュレーション」や、「メカ操作シミュレーション」や、「ガス流入、排気シミュレーション」や、「圧力調整シミュレーション」や、「温度調整シミュレーション」や、「成膜シミュレーション」や、「トラブルの擬似発生と、トラブルシューティングシミュレーション」などがある。
【0050】
また、一般に、半導体製造装置の構成(種類)は、例えば顧客となる企業毎に異なったものとなり、それぞれの顧客毎に機密事項に関する要素を含んでいる。
このような装置構成の違いとしては、例えばプロセス上の違いとして、酸化拡散装置及びCVD装置に関して「ウエハサイズ」や「ウエハの数」や「膜種」や「デバイス上の用途」や「装置タイプ」や「必要バッチ数」や「ウエハセット位置」や「ロード温度」や「アンロード温度」や「昇温速度」や「降温速度」や「昇降温時温度制御」などがあり、酸化拡散装置(固有)に関して「ステップ毎の酸化(アニール)温度や酸化時ガス流量(比)やその他必要条件」などがあり、CVD装置(固有)に関して「ターゲット膜厚」や「デポ温度」や「デポ圧力」や「デポ時ガス流量(比)」や「その他必要条件」などがある。
【0051】
また、上記のような装置構成の違いとしては、例えば装置部品上の違いとして、機械部品に関して「エレベータ」や「カセットローダ」や「カセットステージ(オリフラ、ノッチ)」や「カセットハンド」や「移載機」や「ボート回転機構」などがあり、電気部品に関して「分散コントローラ」や「温度制御ユニット」や「過温度保護ユニット」や「熱電対」や「圧力制御ユニット(真空計)」や「MFC(MFM)」などがあり、ソフト部品に関して「ブロックコントロール」や「チューブコントロール」や「メカコントロール」や「ガス圧力コントロール」や「温度コントロール」などがある。
【0052】
本例では、上記のような顧客毎(或いは、必要に応じて、例えば顧客の工場毎や、顧客の工場の製造ライン毎)の半導体製造装置の構成の違いに対処するために、例えば各顧客毎(或いは、必要に応じて、例えば顧客の工場毎や、顧客の工場の製造ライン毎)に申し込みを受け付けるトレーニング内容(教科内容や実施内容)を管理することや、各顧客毎(或いは、必要に応じて、例えば顧客の工場毎や、顧客の工場の製造ライン毎)に付与したパスワードに基づいて当該各顧客により受けることが可能なトレーニング内容を制限することを行っている。
【0053】
教科データベース22は、半導体製造装置に関する教科データ(例えば半導体製造装置に関する知識や取り扱い方法など、ペーパーを中心とした学科教習に係るデータ)を記憶するデータベースであり、例えば、当該教科データを主としてHTML言語で作成することにより、ユーザにより必要な情報をリンクして行くことを可能としてユーザの学習効果を向上させている。また、例えば音声データや画像データや文字データを組合せたマルチメディアデータを教科データとして用いることで、ユーザの学習効果を向上させている。
【0054】
なお、半導体製造装置に関する教科データの内容(コンテンツ)としては、例えば、「機構部の構造と駆動」や、「インターロックの仕組み」や、「電力供給回路」や、「制御システム」や、「温度制御の基礎」や、「燃焼BOXの構造とH2燃焼方法」や、「4%アニールによる安全性」などがある。
【0055】
また、半導体製造装置毎に特殊な仕様が用いられている事項については、各半導体製造装置毎に教科データベース22内にサブデータベースが備えられており、当該サブデータベースに記憶される教科データの内容としては、例えば、「装置の構造」や、「メカ駆動部、各軸の調整」や、「ハンディターミナルによる操作」や、「ムーブメントパラメータの設定」や、「カセットローダパネルの操作」や、「外部燃焼装置の構造」などがある。
【0056】
また、ユーザの学習効果を確認するために、教科データベース22には、例えば、半導体製造装置に関する「共通理解度テスト(初級)」や、半導体製造装置に関する「専門理解度テスト(上級)」などのデータが記憶されている。
本例では、上記した装置シミュレーションデータベース21や上記した教科データベース22から必要なデータが取り出されて、ユーザに対するトレーニングが行われる。
【0057】
顧客管理データベース23は、顧客(例えば半導体製造装置を購入した企業や、そのユーザ等)に関するデータを記憶するデータベースであり、例えば、「顧客アドレスの管理」や、「顧客トレーニング期間の管理」や、「顧客課金情報の管理」や、「顧客アクセス状況の管理」などを行う。なお、本例では、ユーザが無料のトレーニングを受けることができる期間を管理して、ユーザに対して無料のトレーニングを提供するか或いは有料のトレーニングを提供するかを管理している。
また、本例では、ユーザのトレーニング結果に関するデータも顧客管理データベース23に蓄積管理され、メーカはこれら蓄積かれたデータを図外の画面に表示出力する、図外のプリンタから印刷出力するなどして、各ユーザが半導体製造装置をどのような使い方をしようとしているのか、半導体製造装置にどのような性能を要求しているのかなどのニーズを把握して、ユーザに対するサービス向上や今後の製品開発に役立てることができる。
【0058】
プログラム用のメモリ24は、当該装置トレーニングサーバ1における各種の処理を行うためのプログラムを記憶する。なお、本例では、半導体製造装置に関するシミュレーションを行うプログラムのデータを装置シミュレーションデータベース21に記憶させたが、当該データ(の全部又は一部)をメモリ24に記憶させることも可能である。
ワーク用のメモリ25は、後述するCPU26がプログラムを実行するときにワーク用として用いられる記憶領域を提供する。
【0059】
CPU(中央演算装置)26は、当該装置トレーニングサーバ1における各種の処理を実行することや各種の制御を行い、具体的には、ワーク用のメモリ25を用いてプログラム用のメモリ24や装置シミュレーションデータベース21に記憶されたプログラムを展開して実行することにより、当該プログラムにより実現される各種の処理や制御を行う。また、このような処理や制御では、例えば必要に応じて、上記した装置シミュレーションデータベース21や上記した教科データベース22や上記した顧客管理データベース23に記憶された(例えばプログラム以外の)データが用いられる。
【0060】
暗号ユニット(アクセス制御ユニット)27は、不正なアクセスを防止するために公開鍵や秘密鍵などの暗号化システムを搭載しており、本例では、ユーザPC3側にも同一の機能を有した暗号システムが搭載されている。暗号ユニット27は、例えばユーザID及びパスワードのデータを用いてアクセスのためのユーザ認証を実施することや、トレーニングを行うユーザが使用するIPアドレスによるアクセス制限を実施することや、トレーニングを行うユーザからのアクセスをHTTPなどの特定のサービスを受けるための通信のみに限定することや、ユーザのトレーニング期間を監視して有効期限後には当該ユーザのアクセス権を抹消することや、搭載されたアクセスロギング機能を用いて不正アクセスや異常アクセスを監視することなどを行う。
【0061】
通信制御ユニット28は、例えば通信データの授受を専用的に行う機能を有している。具体的には、例えばイーサネット(登録商標)(Ethernet(登録商標))の制御に関しては、MACアドレスの制御や、キャリア信号の検出と送信待ちや、コリジョン検出及びコリジョン発生後の再送などを行う。また、例えばIPの各種設定の制御に関しては、IPアドレスの制御や、サブネットワークアドレスの制御や、デフォルトルータの制御や、ルーティングの制御や、ネームサービスの制御や、IPとMACアドレステーブルの管理などを行う。また、例えばTCP(Transmission Control Protocol)/IPの制御に関しては、TCPポートのコネクションや、送受信のタイムアウトの制御や、再送の制御や、輻輳の制御や、送受信のシーケンスの制御や、ウィンドウサイズの制御などを行う。
【0062】
ここで、本例の半導体製造装置のトレーニングシステムには、本発明に係る機能として、以下に示すような機能が備えられており、上述したものも含めて説明する。
なお、本例では、装置トレーニングサーバ1が本発明に言う装置トレーニングサーバに相当するとともに、ユーザPC3が本発明に言うユーザ端末に相当する。そして、装置トレーニングサーバ1とユーザPC3とを回線(本例では、インターネット5)を介して接続し、装置トレーニングサーバ1がユーザPC3を通じてユーザに半導体製造装置のトレーニングをさせる。
【0063】
すなわち、装置トレーニングサーバ1には、半導体製造装置に関するシミュレーションを行うプログラムを記憶するプログラム記憶機能や、ユーザPC3によりユーザから受け付けられて当該ユーザPC3からインターネット5を介して送信される半導体製造装置に関するシミュレーションの条件データを受信する条件データ受信機能や、受信した条件データに基づいてプログラム記憶機能に記憶されたプログラムを実行するプログラム実行機能や、実行したプログラムにより行われるシミュレーションの結果データをインターネット5を介してユーザPC3に対して送信する結果データ送信機能が備えられている。そして、本例では、このような結果データをユーザPC3を通じてユーザに対して提供することで、当該ユーザに半導体製造装置のトレーニングをさせることを実現する。
【0064】
なお、本例では、上記したプログラム記憶機能は、本発明に言うプログラム記憶手段に相当する機能であり、装置シミュレーションデータベース21から構成されている。
また、本例では、上記した条件データ受信機能は、本発明に言う条件データ受信手段に相当する機能であり、通信制御ユニット28等から構成されている。
また、本例では、上記したプログラム実行機能は、本発明に言うプログラム実行手段に相当する機能であり、CPU26やメモリ25から構成されている。
また、本例では、上記した結果データ送信機能は、本発明に言う結果データ送信手段に相当する機能であり、通信制御ユニット28等から構成されている。
【0065】
また、本例の装置トレーニングサーバ1では、上記したプログラム記憶機能は半導体製造装置に関するシミュレーションを行うプログラムを複数種類の半導体製造装置について記憶し、上記した条件データ受信機能により受信する条件データには半導体製造装置の種類のデータが含まれ、上記したプログラム実行機能は当該種類データに対応するプログラムを実行する。
【0066】
また、本例の装置トレーニングサーバ1には、半導体製造装置に関する教科データを記憶する教科データ記憶機能や、ユーザPC3によりユーザから受け付けられて当該ユーザPC3からインターネット5を介して送信される教科データ要求データを受信する教科データ要求データ受信機能や、受信した教科データ要求データにより要求される教科データを教科データ記憶機能から抽出してインターネット5を介してユーザPC3に対して送信する教科データ送信機能が備えられている。
【0067】
なお、本例では、上記した教科データ記憶機能は、本発明に言う教科データ記憶手段に相当する機能であり、教科データベース22から構成されている。
また、本例では、上記した教科データ要求データ受信機能は、本発明に言う教科データ要求データ受信手段に相当する機能であり、通信制御ユニット28等から構成されている。
また、本例では、上記した教科データ送信機能は、本発明に言う教科データ送信手段に相当する機能であり、通信制御ユニット28等から構成されている。
【0068】
また、本例の装置トレーニングサーバ1には、ユーザPC3によりユーザから受け付けられて当該ユーザPC3からインターネット5を介して送信されるユーザ識別データ(本例では、ユーザIDやパスワードのデータ)を受信するユーザ識別データ受信機能や、受信したユーザ識別データに基づいてユーザを認証するユーザ認証機能や、当該認証結果に基づいてユーザによるアクセスを制限するアクセス制限機能が備えられている。
【0069】
なお、本例では、上記したユーザ識別データ受信機能は、本発明に言うユーザ識別データ受信手段に相当する機能であり、通信制御ユニット28等から構成されている。
また、本例では、上記したユーザ認証機能は、本発明に言うユーザ認証手段に相当する機能であり、CPU26や2つのメモリ24、25や顧客管理データベース23(に記憶されたデータ)から構成されている。
また、本例では、上記したアクセス制限機能は、本発明に言うアクセス制限手段に相当する機能であり、CPU26や2つのメモリ24、25から構成されている。
【0070】
また、本例の装置トレーニングサーバ1では、ユーザによるアクセスに関する有効期限データを記憶する有効期限データ記憶機能を備えており、上記したアクセス制限機能は上記したユーザ認証機能による認証結果及び有効期限データ記憶機能に記憶された有効期限データに基づいてユーザによるアクセスを制限する。
なお、本例では、上記した有効期限データ記憶機能は、本発明に言う有効期限データ記憶手段に相当する機能であり、顧客管理データベース23から構成されている。
【0071】
また、本例の半導体製造装置のトレーニングシステムでは、装置トレーニングサーバ1とユーザPC3との間で通信されるデータ(本例では、トレーニングを実施するためのトレーニングデータなど)を送信側で暗号化するとともに受信側で復号化することを行っている。
なお、一例として、金融機関やオンライン証券取引においては、一般に、パスワード管理と暗号SSL(64ビット、128ビット)が用いられている。
【0072】
また、本例のユーザPC3には、例えばユーザから各種のデータや指示を受け付ける入力機能(例えばキーボードやマウス等)や、ユーザに対して各種のデータを表示出力する表示機能(例えばディスプレイ画面等)や、インターネット5を介して装置トレーニングサーバ1との間でデータを通信する通信機能などが備えられている。
【0073】
次に、図4〜図10を参照して、本例の半導体製造装置のトレーニングシステムの運用の一例を示す。
図4には、本例の半導体製造装置のトレーニングシステムの概略的な運用例を示してある。
すなわち、本例では、まず、メーカが顧客に対して半導体製造装置を販売し、顧客が例えばユーザPC3からインターネット5を介して装置トレーニングサーバ1へアクセスすることでトレーニングの申し込みを行う。
【0074】
次に、顧客からのトレーニングの申し込みに対してメーカの装置トレーニングサーバ1が当該顧客を確認すると、装置トレーニングサーバ1は確認通知やパスワードを発行してこれらのデータをインターネット5を介してユーザPC3へ送信する。
このようにパスワードが発行されると、顧客は、当該パスワードを用いてユーザPC3からインターネット5を介して装置トレーニングサーバ1へアクセスすることにより、半導体製造装置のトレーニングを受けることができる。
【0075】
なお、上述のように、本例では、顧客に設定された有効期限内では当該顧客は無料トレーニングを受けるためのアクセスを許可される一方、当該有効期限が切れた後にはこのようなアクセスが不許可となる。そして、有効期限が切れた後には、顧客は例えばメーカに料金を支払うことで有料トレーニングを受けることができる。
【0076】
また、メーカは、例えばメーカ協力会社から最新情報の供給を受けるとともに広告料金を受けており、当該広告料金や上記した有料トレーニングに対する顧客からの入金が主な収入となって、半導体製造装置のトレーニングシステムが運営される。
【0077】
また、図5には、例えば半導体製造装置を購入した顧客が当該半導体製造装置のトレーニングの申し込みを行う場合の手順の一例を示してある。なお、このような申し込みは例えば顧客のユーザPC3と装置トレーニングサーバ1との通信によって行われ、顧客はユーザPC3の画面を見ながら申し込みに関するデータや指示を当該ユーザPC2に入力する。
【0078】
すなわち、まず、顧客はメーカの装置トレーニングサーバ1からトレーニングに関するパンフレットの送付を受けるとともに、仮のお客様ID(仮のユーザID)を受ける。そして、顧客が仮のお客様IDを用いて希望パスワードなどを装置トレーニングサーバ1へ送信すると、装置トレーニングサーバ1が当該申し込みを受け付けるとともに顧客から入力された情報を確認した後に、当該顧客に対してお客様IDや正式なパスワードを発行する。
【0079】
図6には、顧客がメーカに対して半導体製造装置のトレーニングを申し込むためのトレーニング申し込み画面の一例を示してあり、この表示内容は例えば装置トレーニングサーバ1からインターネット5を介して送信されてユーザPC3の画面上に表示される。
【0080】
同図に示されるように、トレーニング申し込み画面では、「(仮の)お客様ID」や「希望パスワード」や「トレーニングコース選択」などの設定や、「メールアドレス」の入力や、「会社名」や「工場名」や「ライン名」等の(お客様)個人情報の入力などを行うことができる。なお、予め用意された複数の情報の中から該当するものを選択することが可能な項目については選択ボタンB1〜B6が設けられている。
【0081】
図7には、顧客がメーカから半導体製造装置のトレーニングを受けるためのトレーニングコーナーへの入り口画面の一例を示してあり、この表示内容は例えば装置トレーニングサーバ1からインターネット5を介して送信されてユーザPC3の画面上に表示される。
同図に示されるように、トレーニングコーナーへの入り口画面では、「お客様ID」や「パスワード」や「メールアドレス」の設定などを行うことができる。
【0082】
図8には、顧客がメーカから半導体製造装置のトレーニングを受けるためのトレーニングコーナーの画面の一例を示してあり、この表示内容は例えば装置トレーニングサーバ1からインターネット5を介して送信されてユーザPC3の画面上に表示される。
【0083】
同図に示されるように、トレーニングコーナーの画面では、例えば「基本教科コース」や「オプション教科コース」や「基本シミュレーションコース」や「オプションシミュレーションコース」に関する様々なメニュー項目が表示される。そして、顧客は各コースに関して並べられた多数のメニュー項目の中から所望のメニュー項目(例えば“温度制御の基礎”P1や“温度制御”P2などの下線が引かれた部分)をマウスでクリックすることにより、当該クリックしたメニュー項目に関するトレーニング(教科データの取得や、シミュレーションの実施)を受けることができる。また、トレーニングコーナーの画面の端には、例えば各メーカ協力会社の広告情報が表示され、当該各メーカ協力会社の広告が行われる。
【0084】
図9には、例えば上記図8に示した画面中の“温度制御の基礎”P1がクリックされた場合に顧客に提供される基本教科コースのトレーニングコーナーの画面の一例を示してあり、この表示内容は例えば装置トレーニングサーバ1からインターネット5を介して送信されてユーザPC3の画面上に表示される。
【0085】
同図に示されるように、基本教科コース(オプション教科コースについても同様)のトレーニングコーナーの画面では、顧客により選択(クリック)されたメニュー項目に関する説明などのデータが表示される。また、顧客は、例えば画面中の専門用語(例えば“偏差”P11などの下線が引かれた部分)等をマウスでクリックすることにより、当該クリックした事項に関する更に詳しい説明などを受けることができる。
【0086】
図10には、例えば上記図8に示した画面中の“温度制御”P2がクリックされた場合に顧客に提供される基本シミュレーションコースのトレーニングコーナーの画面の一例を示してあり、この表示内容は例えば装置トレーニングサーバ1からインターネット5を介して送信されてユーザPC3の画面上に表示される。
【0087】
同図に示されるように、基本シミュレーションコース(オプションシミュレーションコースについても同様)のトレーニングコーナーの画面では、例えば画面の上側にシミュレーション対象となる半導体製造装置の全部又は一部の構成が表示されるとともに、シミュレーションを行うに当たって用いる条件のデータを顧客から受け付けるための枠(同図の例では、“電気炉”や“制御方式”や“PID定数”P21や“設定温度”を指定するための枠)が表示される。
【0088】
なお、特定の条件データの項目(同図の例では、“PID定数”P21のように下線が引かれた部分)については、例えば顧客は当該項目をマウスでクリックすることにより、当該クリックした事項に関する定数等の設定画面へ移行することができる。また、予め用意された複数の情報の中から該当するものを選択することが可能な項目については選択バーB11〜B13が設けられている。
【0089】
そして、顧客は、シミュレーション対象となる半導体製造装置に関して所望のシミュレーション条件のデータを入力することにより、当該条件データを用いて行われたシミュレーションの結果のデータを当該トレーニングコーナーの画面上で見ることができる。具体的には、顧客により入力される条件データはユーザPC3からインターネット5を介して装置トレーニングサーバ1へ送信され、装置トレーニングサーバ1では受信した当該条件データに基づいてシミュレーションを行うとともに当該シミュレーションの結果のデータをインターネット5を介してユーザPC3へ送信し、ユーザPC3では受信した当該結果データを画面に表示出力する。
【0090】
なお、同図の例では、画面の下側に、装置トレーニングサーバ1から送信されたシミュレーション結果のデータが表示されている。このシミュレーション結果では、横軸が時間(TIME)を示して縦軸が温度(°C)を示すグラフ(シミュレーションの結果)が示されており、この結果は、当該画面の上側で顧客により入力された条件データに基づいて得られたものとなっている。
【0091】
ここで、上記のようなシミュレーションを利用して顧客がトレーニングを行う場合の具体例を、温度や圧力のトレーニングと、メカニカル部分のトレーニングとについて示す。
まず、温度トレーニングや圧力トレーニングの具体例を示す。
これらのトレーニングでは、まず、顧客がシミュレーションの条件データを入力してシミュレーションを行うことをユーザPC3の操作を通じて装置トレーニングサーバ1に対して命令する。ここで、条件データとしては、顧客は、例えば制御パラメータであるPID定数を任意に設定することや、装置タイプ(縦型拡散や、縦型CVDや、枚葉拡散や、枚葉CVDなど)を選択することや、温度(或いは、圧力)の設定値を入力することなどを行う。
【0092】
このように顧客から条件データの入力等があると、装置トレーニングサーバ1では、例えば予め記憶されている電気炉の特性に基づいて、シミュレーション対象となる半導体製造装置と同様なシミュレーション動作を行い、当該シミュレーション動作の結果(例えば温度グラフや圧力グラフなど)をユーザPC3へ送信して当該ユーザPC3の画面上に表示出力させる。
【0093】
そして、顧客は、ユーザPC3の画面上に表示された条件データに対する結果データ(応答波形等)を見ることで、当該結果が希望するものであるか否かを判定することなどを行い、当該結果が希望しないものであれば、上記したPID定数等の条件データを調整して再びシミュレーション動作を装置トレーニングサーバ1に行わせてその結果データを検討することができる。このようなシミュレーションを用いた反復的な学習の繰り返しにより、顧客は、半導体製造装置における温度制御や圧力制御を習得することができる。
【0094】
次に、メカトレーニングの具体例を示す。
なお、このトレーニングでは、装置トレーニングサーバ1によって顧客のユーザPC3の画面上に半導体製造装置(例えば縦型装置等)を三次元的に表示することが行われ、顧客は、実際の装置で使用しているコントローラやハンディターミナルなどと同じものを擬似的に操作することで、機構部動作を学習することができる。
【0095】
このトレーニングでは、まず、顧客がシミュレーションの条件データを入力してシミュレーションを行うことをユーザPC3の操作を通じて装置トレーニングサーバ1に対して命令する。ここで、条件データとしては、顧客は、例えば搬送パラメータを設定或いは変更することや、レシピを設定することや、実行設定(搬送系動作)をすることや、カセット投入/払出の操作をすることや、スイッチ押下の操作をすることなどを行う。
【0096】
このように顧客から条件データの入力等があると、装置トレーニングサーバ1では、例えば予め設定されているメカニカル特性(搬送動作)に基づいて、シミュレーション対象となる半導体製造装置と同様なシミュレーション動作を行い、当該シミュレーション動作の結果(例えばウエハカセットの移動や、ウエハの搬送や、ポジションの調整や、LEDの点灯などの結果)をユーザPC3へ送信して当該ユーザPC3の画面上に表示出力させる。
【0097】
そして、顧客は、ユーザPC3の画面上に表示された条件データに対する結果データ(半導体製造装置の動作)を見ることで、当該結果が希望するものであるか否かを判定することなどを行い、当該結果が希望しないものであれば、上記した条件データを調整して再びシミュレーション動作を装置トレーニングサーバ1に行わせてその結果データを検討することができる。このようなシミュレーションを用いた反復的な学習の繰り返しにより、顧客は、半導体製造装置におけるメカ的な操作を習得することができる。
【0098】
以上のように、本例の半導体製造装置のトレーニングシステムでは、装置トレーニングサーバ1とユーザPC3とをインターネット5を介して接続した構成において、装置トレーニングサーバ1がユーザPC3を通じてユーザに半導体製造装置のトレーニングをさせることができ、これにより、効率的なトレーニングを実施することができる。
【0099】
そして、本例の半導体製造装置のトレーニングシステムでは、現物の半導体製造装置を用いずに当該半導体製造装置に関するシミュレーションを用いてユーザに対するトレーニングが実施されるため、ユーザは実際の装置と同じ感覚でトレーニングを受けることができ、また、半導体製造装置を破壊してしまうことがないことからユーザは様々な操作等を装置の破壊の心配なく大胆に試みることができる。また、ユーザは、トラブルの擬似発生やトラブルシューティングなどの実習をオンライン上で受けることもできる。また、ユーザは、各半導体製造装置(様々なタイプ等の装置)毎の細部まで正確に表現(シミュレート)されたきめこまかいジャストフィットトレーニングを受けることができる。
【0100】
また、本例の半導体製造装置のトレーニングシステムでは、回線5を介した通信を用いて顧客に対するトレーニングが実施されるため、例えば従来のようにトレーニング要員がトレーニングに出向くのにかかる渡航費用等の経済的な負担を軽減することや、当該渡航等にかかる時間をなくして時間の節約をすることや、トレーニング要員の人件費を削減することなどができる。また、本例の半導体製造装置のトレーニングシステムでは、同様な理由から、例えばタイムリーな最新技術を提供することや、大勢の顧客をいつでもトレーニングすることなどができる。
【0101】
また、本例の半導体製造装置のトレーニングシステムでは、ユーザによるトレーニングの状況に関する情報を装置トレーニングサーバ1側(メーカ等)で把握することが可能であるため、例えばこのような情報に基づいてユーザのニーズを知ることや、このような情報を今後の製品の開発や品質の管理等に役立てることが可能となる。また、シミュレーションを行うプログラムが大量の(プログラムの)データとなる場合も多いが、このようなプログラムを装置トレーニングサーバ1側で記憶して実行する構成であることから、ユーザPC3側の装置への負担を小さくすることができる。このように、ユーザPC3と回線(本例ではインターネット5)を介して接続された装置トレーニングサーバ1側でシミュレーションを行う本例の構成は、例えばトレーニングを実施するメーカやトレーニングを受けるユーザにとって非常に有効なものとなる。
【0102】
ここで、本発明に係る半導体製造装置のトレーニングシステムや装置トレーニングサーバやユーザ端末の構成としては、必ずしも以上に示したものに限られず、種々な構成が用いられてもよい。
また、本発明の適用分野としては、必ずしも以上に示したものに限られず、本発明は、種々な分野に適用することが可能なものである。
【0103】
また、本例では、本発明に係る半導体製造装置のトレーニングシステム(に設けられる装置トレーニングサーバやユーザ端末)において行われる各種の処理が、例えばプロセッサやメモリ等を備えたハードウエア資源においてプロセッサがROMに格納された制御プログラムを実行することにより制御される構成としたが、例えば当該処理を実行するための各機能手段を独立したハードウエア回路として構成することも可能である。
また、本発明は上記の制御プログラムを格納したフロッピー(登録商標)ディスクやCD−ROM等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体や当該プログラム(自体)として把握することもでき、当該制御プログラムを記録媒体からコンピュータに入力してプロセッサに実行させることにより、本発明に係る処理を遂行させることができる。
【符号の説明】
【0104】
1、11・・装置トレーニングサーバ、 2、14・・ルータ、
3、15・・ユーザPC、 4、16・・アクセスルータ、
5、17・・インターネット、 12・・LAN、
13・・ファイアウォール、 21・・装置シミュレーションデータベース、
22・・教科データベース、 23・・顧客管理データベース、
24、25・・メモリ、 26・・CPU、 27・・暗号ユニット、
28・・通信制御ユニット、 B1〜B6・・選択ボタン、
B11〜B13・・選択バー、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置トレーニングサーバとユーザ端末とを回線を介して接続し、前記装置トレーニングサーバが前記ユーザ端末を通じて半導体製造装置のユーザに半導体製造装置を操作させるためのトレーニングシステムであって、
前記装置トレーニングサーバは、半導体製造装置に関するシミュレーションを行うプログラムを記憶するプログラム記憶手段と、
前記ユーザ端末から回線を介して送信される半導体製造装置に関するシミュレーションの条件データを受信する条件データ受信手段と、
受信した条件データに基づいてプログラム記憶手段に記憶されたプログラムを実行するプログラム実行手段と、
実行したプログラムにより行われるシミュレーションの結果データを回線を介して前記ユーザ端末に対して送信する結果データ送信手段と、を備え、
当該結果データを前記ユーザ端末を通じて半導体製造装置のユーザに対して提供して当該ユーザに半導体製造装置に関する知識や半導体製造装置の取り扱い方法を学習させる、
ことを特徴とする半導体製造装置のトレーニングシステム。
【請求項2】
ユーザ端末と回線を介して接続されて、当該ユーザ端末を通じてユーザに半導体製造装置を操作させるためのトレーニングサーバであって、
半導体製造装置に関するシミュレーションを行うプログラムを記憶するプログラム記憶手段と、
前記ユーザ端末から回線を介して送信される半導体製造装置に関するシミュレーションの条件データを受信する条件データ受信手段と、
受信した条件データに基づいてプログラム記憶手段に記憶されたプログラムを実行するプログラム実行手段と、
実行したプログラムにより行われるシミュレーションの結果データを回線を介して前記ユーザ端末に対して送信する結果データ送信手段と、を備え、
当該結果データを前記ユーザ端末を通じて半導体製造装置のユーザに対して提供して当該ユーザに半導体製造装置に関する知識や半導体製造装置の取り扱い方法を学習させる、
ことを特徴とする半導体製造装置のトレーニングサーバ。
【請求項3】
装置トレーニングサーバと回線を介して接続されて、前記装置トレーニングサーバに保持された半導体製造装置に関するシミュレーションプログラムを実行させる端末装置であって、
半導体製造装置のユーザから受け付けたシミュレーションの条件データを回線を介して前記装置トレーニングサーバへ送信する条件データ送信手段と、
送信した条件データに基づいて前記装置トレーニングサーバで実行されたプログラムのシミュレーション結果データを回線を介して受信する結果データ受信手段と、
当該結果データをユーザに対して提供する結果出力手段と、を備え、
シミュレーション結果データをユーザに対して提供して当該ユーザに半導体製造装置に関する知識や半導体製造装置の取り扱い方法を学習させる、
ことを特徴とする端末装置。
【請求項4】
半導体製造装置のシミュレーションを実行してユーザに半導体製造装置を操作させるためのトレーニング方法において、
半導体製造装置に関するシミュレーションプログラムを実行するシミュレーション実行装置へシミュレーションの条件データを回線を介して入力し、
プログラムの実行によるシミュレーション結果データを回線を介して受信してユーザに対して提示することにより、前記ユーザに半導体製造装置に関する知識や半導体製造装置の取り扱い方法を学習させる、
ことを特徴とする半導体製造装置のトレーニング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−226761(P2012−226761A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−133597(P2012−133597)
【出願日】平成24年6月13日(2012.6.13)
【分割の表示】特願2010−102096(P2010−102096)の分割
【原出願日】平成13年1月24日(2001.1.24)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】