説明

半導体製造装置及び半導体製造方法

【課題】エッチング工程を行う際の窒化膜のエッチング選択比を向上できる半導体製造装置及び方法が提供される。
【解決手段】本発明による半導体製造装置は工程チャンバーの外部で供給されるジフルオロメタンCH、窒素N、及び酸素Oガスからプラズマを発生させ、発生されたプラズマを工程チャンバー内へ供給する。プラズマが工程チャンバーへ供給される途中に三フッ化窒素NFが供給される。このような装置構造及びソースガスを利用してシリコン窒化膜をエッチングすると、他の種類の膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比を大きく増加させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体製造装置及び半導体製造方法に関し、より詳細には基板をエッチングする装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子を製造するためには蒸着、写真、エッチング、アッシング、及び洗浄等の多様な工程が要求される。これらの中でエッチング工程はウエハーのような半導体基板の上に形成された薄膜中の望む領域を除去する工程であり、最近ではプラズマを利用して薄膜をエッチングする方法が使用されている。このようなエッチング工程で特に考慮されている要素うちの1つはエッチング選択比である。エッチング選択比は他の薄膜をエッチングすることなく、エッチングしようとする薄膜のみをエッチングできる程度を示す。
【0003】
薄膜の中でシリコン窒化膜(Silicon Nitride、SiN)のエッチングは一般的に次のように行われる。先ず、工程チャンバー内のチャック(Chuck)の上に基板を位置させ、工程チャンバー内へソースガスを供給し、これらガスから工程チャンバー内でプラズマを発生させる。プラズマは薄膜と化学的に反応して基板上で薄膜を除去する。シリコン窒化膜をエッチングするためのソースガスとしては四フッ化炭素(CF、Tetrafluoromethane)、トリフルオロメタン(CHF、Trifluoromethane)、及び酸素Oが使用される。しかし、上述した装置構造及び上述したガスを使用してシリコン窒化膜をエッチングする場合、チャックの温度や工程チャンバー内の圧力等のような工程条件を多様に変化させてもシリコン酸化膜やポリシリコン膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比は約30:1〜50:1程度と低い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−172584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、基板に対してエッチング工程を行う際に、他の薄膜に対する窒化膜のエッチング選択比を向上させることができる半導体製造装置及び方法を提供することにある。
【0006】
本発明が解決しようとする課題はこれに制限されず、言及されていないその他の課題は以下の記載から当業者に明確に理解される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は基板の上に形成された窒化膜をエッチングする半導体製造方法を提供する。一実施形態によれば、半導体製造方法は工程チャンバー内に基板を位置させ、前記工程チャンバーの外部で第1ソースガスからプラズマを発生させ、前記プラズマを前記工程チャンバーへ供給し、前記第1ソースガスはジフルオロメタンCH、窒素N、及び酸素Oを含む。
【0008】
一例によれば、前記ジフルオロメタンCHの供給量は10〜500SCCMであり、前記窒素の供給量は100〜2500SCCMであり、前記酸素の供給量は100〜2500SCCMでありうる。また、工程進行の際、前記基板が置かれるサセプタの温度は0〜70℃であり、前記工程チャンバー内の圧力は300〜1000mTorrでありうる。また、工程進行の際、前記プラズマを発生させるために供給される電力は1000〜3000Wでありうる。
【0009】
一例によれば、前記プラズマが前記工程チャンバーへ供給される通路へ第2ソースガスが供給され、前記第2ソースガスは三フッ化窒素NFを含みうる。工程進行の際、前記三フッ化窒素の供給量は0より大きくて1000SCCM以下でありうる。
【0010】
一例によれば、前記窒化膜はシリコン窒化膜でありうる。
【0011】
他の実施形態によれば、基板の上で他の種類の膜に対する窒化膜のエッチング選択比を向上させる半導体製造方法が提供される。前記半導体製造方法によれば、第1ソースガスからプラズマを発生させ、発生したプラズマによって基板に対してエッチング工程を行い、前記第1ソースガスはジフルオロメタンCH、窒素N、及び酸素Oを含む。
【0012】
一例によれば、前記他の種類の膜はシリコン酸化膜又はポリシリコン膜であり、エッチング工程を行う際、前記ジフルオロメタンは前記シリコン酸化膜又は前記ポリシリコン膜の上にポリマー膜を形成し、前記窒素と前記酸素は前記ポリマー膜を除去することによって前記シリコン酸化膜又は前記ポリシリコン膜に対する前記シリコン窒化膜のエッチング選択比を増加させる。
【0013】
一例によれば、前記ジフルオロメタンCHの供給量は10〜500SCCMであり、前記窒素の供給量は100〜2500SCCMであり、前記酸素の供給量は100〜2500SCCMでありうる。また、工程進行の際、前記基板が置かれるサセプタの温度は0〜70℃であり、前記工程チャンバー内の圧力は300〜1000mTorrでありうる。また、工程進行の際、前記プラズマを発生させるために供給される電力は1000〜3000Wでありうる。
【0014】
一例によれば、前記ポリシリコン膜に対する前記シリコン窒化膜のエッチング選択比の増加は前記サセプタの温度を低くすることによって行うことができる。
【0015】
一例によれば、前記シリコン酸化膜に対する前記シリコン窒化膜のエッチング選択比の増加は前記ジフルオロメタンと前記酸素との供給量を増加させることによって行うことができる。
【0016】
一例によれば、前記プラズマは前記基板が位置する工程チャンバーの外部で発生させた後、前記工程チャンバーへ供給してもよい。前記プラズマが前記工程チャンバーへ供給される通路へ第2ソースガスを供給し、前記第2ソースガスは三フッ化窒素NFを含んでもよい。
【0017】
また、本発明は半導体製造装置を提供する。前記半導体製造装置はエッチング工程が行われる工程ユニットと、前記工程ユニットの外部へ提供され、前記工程ユニットへプラズマを供給するプラズマ供給ユニットと、を含む。前記工程ユニットは工程チャンバーと、前記工程チャンバー内に位置し、基板を支持し、加熱部材を有するサセプタと、を含む。前記プラズマ供給ユニットは前記工程ユニットの外部へ提供され、内部に放電空間を有するプラズマチャンバー、前記放電空間へ第1ソースガスを供給する第1ソースガス供給部、前記放電空間の内で第1ソースガスからプラズマが発生するように電力を提供する電力印加部、及び前記放電空間で発生させたプラズマが前記工程チャンバーへ供給される通路へ提供される流入ダクトを含む。前記第1ソースガスはジフルオロメタンCH、窒素N、及び酸素Oを含む。
【0018】
一例によれば、前記プラズマチャンバーは前記工程チャンバーの上部で前記工程チャンバーに結合されてもよい。
【0019】
一例によれば、前記工程ユニットは前記サセプタの上部に位置され、上下方向に多数のホールが形成されたバッフルをさらに含んでもよい。
【0020】
一例によれば、前記プラズマ供給ユニットは前記放電空間で発生させた前記プラズマが前記工程チャンバーに流れる通路へ第2ソースガスを供給する第2ソースガス供給部をさらに含んでもよく、前記第2ソースガスは三フッ化窒素NFを含んでもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、基板に対してエッチング工程を行う際に、窒化膜のエッチング選択比を向上させることができる。
【0022】
また、本発明によれば、基板に対してプラズマを利用してエッチング工程を行う際、シリコン酸化膜やポリシリコン膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比を大きく高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明の一実施形態による半導体製造装置を概略的に示す図である。
【図2】図2は、図1の装置を利用してエッチング工程を行う際の、シリコン酸化膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比を示す実験例を示す図である。
【図3】図3は、図1の装置を利用してエッチング工程を行う際の、ポリシリコン膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比を示す実験例である。
【図4】図4は、図1の装置を利用してエッチング工程を行う際の遂行の時、シリコン酸化膜及びポリシリコン膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比を示す実験例である。
【図5】図1と異なる構造の装置を利用してエッチング工程を行う際の、シリコン酸化膜及びポリシリコン膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比を示す実験例である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付された図面を参照して本発明の一実施形態による半導体製造装置及び半導体製造方法を詳細に説明する。
【0025】
本実施形態で基板は半導体ウエハーでありうる。しかし、これに限定されず、基板はガラス基板等のように他の種類の基板であってもよい。
【0026】
図1は本発明の一実施形態による半導体製造装置を示す図面である。
【0027】
図1を参照すれば、半導体製造装置1はプラズマを利用して基板Wの上の薄膜をエッチングする。エッチングしようとする薄膜は窒化膜であってもよい。一例によれば、窒化膜はシリコン窒化膜(Silicon Nitride)でありうる。
【0028】
半導体製造装置1は工程ユニット(Processing Unit、100)、排気ユニット(Exhausting Unit、200)、及びプラズマ供給ユニット(Plasma Supplying Unit、300)を有する。工程ユニット100は基板が置かれ、エッチング工程が遂行される空間を提供する。排気ユニット200は工程チャンバー100の内部に留まる工程ガス及び基板処理過程で発生した反応産物を外部へ排出し、工程チャンバー100の内の圧力を設定圧力に維持する。プラズマ供給ユニット300は工程ユニット100の外部で工程ガスからプラズマ(Plasma)を生成させ、これを工程ユニット100へ供給する。
【0029】
工程ユニット100は工程チャンバー110、基板支持部120、及びバッフル130を有する。工程チャンバー110の内部には基板処理工程を遂行する処理空間111が形成される。工程チャンバー110は上部壁が開放され、側壁には開口(図示せず)が形成されてもよい。基板は開口を通じて工程チャンバー110の内部へ出入する。開口はドア(図示せず)のような開閉部材によって開閉されてもよい。工程チャンバー110の底面には排気ホール112が形成される。排気ホール112は排気ユニット200に連結され、工程チャンバー110の内部に留まるガスと反応産物とが外部へ排出される通路を提供する。
【0030】
基板支持部120は基板Wを支持する。基板支持部120はサセプタ121と支持軸122とを含む。サセプタ121は処理空間111の内に位置し、円板形状に提供される。サセプタ121は支持軸122によって支持される。基板Wはサセプタ121の上面に置かれる。サセプタ121の内部には電極(図示せず)が提供されてもよい。電極は外部電源に連結され、印加された電力によって静電気を発生させる。発生した静電気は基板Wをサセプタ121に固定させうる。サセプタ121の内部には加熱部材125が提供されうる。一例によれば、加熱部材125はヒーティングコイルでありうる。また、サセプタ121の内部には冷却部材126が提供されうる。冷却部材は冷却水が流れる冷却ラインで提供されうる。加熱部材125は基板Wを既設定された温度に加熱する。冷却部材126は基板Wを強制冷却させる。工程処理が完了した基板Wは常温状態又は次の工程で要求される温度に冷却されてもよい。
【0031】
バッフル130はサセプタ121の上部に位置する。バッフル130にはホール131が形成される。ホール131はバッフル130の上面から下面まで提供される貫通ホールで提供され、バッフル130の各領域に均一に形成される。
【0032】
再び図1を参照すれば、プラズマ供給ユニット300は工程チャンバー110の上部に位置する。プラズマ供給ユニット300はソースガスを放電させてプラズマを生成し、生成されたプラズマを処理空間111へ供給する。プラズマ供給ユニット300はプラズマチャンバー310、第1ソースガス供給部320、第2ソースガス供給部322、電力印加部330、及び流入ダクト340を含む。
【0033】
プラズマチャンバー310は工程チャンバー110の外部に位置する。一例によれば、プラズマチャンバー310は工程チャンバー110の上部に位置し工程チャンバー110に結合される。プラズマチャンバー310には上面及び下面が開放された放電空間311が内部に形成される。プラズマチャンバー310の上端はガス供給ポート315によって密閉される。ガス供給ポート315は第1ソースガス供給部320に連結される。第1ソースガスはガス供給ポート315を通じて放電空間311へ供給される。第1ソースガスはジフルオロメタン(CH、Difluoromethane)、窒素N、及び酸素Oを含む。選択的に第1ソースガスは四フッ化炭素(CF、Tetrafluoromethane)等他の種類のガスをさらに含んでもよい。
【0034】
電力印加部330は放電空間311へ高周波電力を印加する。電力印加部330はアンテナ331と電源332とを含む。
【0035】
アンテナ331は誘導結合形プラズマICPアンテナであって、コイル形状に提供される。アンテナ331はプラズマチャンバー310の外部でプラズマチャンバー310に複数回巻かれる。アンテナ331は放電空間311に対応する領域でプラズマチャンバー310に巻かれる。アンテナ331の一端は電源332に連結され、他端は接地される。
【0036】
電源332はアンテナ331へ高周波電流を供給する。アンテナ331へ供給された高周波電力は放電空間311へ印加される。高周波電流によって放電空間311には誘導電場が形成され、放電空間311の内の第1ソースガスは誘導電場からイオン化するのに必要であるエネルギーを得てプラズマ状態に変換される。
【0037】
電力印加部の構造は上述した例に限定されず、ソースガスからプラズマを発生させるための多様な構造が使用できる。
【0038】
流入ダクト340はプラズマチャンバー310と工程チャンバー110との間に位置する。流入ダクト340は工程チャンバー110の開放された上面を密閉し、下端にバッフル130が結合する。流入ダクト340の内部には流入空間341が形成される。流入空間341は放電空間311と処理空間111とを連結し、放電空間311で生成されたプラズマが処理空間111へ供給される通路へ提供する。
【0039】
流入空間341は流入口341aと拡散空間341bとを含むことができる。流入口341aは放電空間311の下部に位置し、放電空間311に連結される。放電空間311で生成されたプラズマは流入口341aを通じて流入される。拡散空間341bは流入口341aの下部に位置し、流入口341aと処理空間111とを連結する。拡散空間341bは下に行くほど、断面積がだんだん広くなる。拡散空間341bは逆漏斗形状を有してもよい。流入口341aから供給されたプラズマは拡散空間341bを通過する間に拡散される。
【0040】
放電空間311で発生させたプラズマが工程チャンバー110へ供給される通路には第2ソースガス供給部322が連結されてもよい。例えば、第2ソースガス供給部322はアンテナ331の下端が提供される位置と拡散空間341bの上端が提供される位置との間でプラズマが流れる通路へ第2ソースガスを供給する。一例によれば、第2ソースガスは三フッ化窒素(NF、Nitrogen Trifluoride)を含む。選択的に第2ソースガスの供給無しで第1ソースガスのみでエッチング工程を行うこともできる。
【0041】
次に、図1の半導体製造装置を利用して基板をエッチングする方法を説明する。図1の半導体製造装置は、工程処理ユニットの外部でプラズマを発生させ、これをダウンストリーム(Downstream)方式によって工程チャンバー110へ供給するリモートプラズマ装置の1種である。本実施形態によれば、ソースガスとしてはジフルオロメタンCH、三フッ化窒素NF、窒素N、及び酸素Oが使用される。ジフルオロメタンCH、窒素N、及び酸素Oは放電空間311へ直接供給され、三フッ化窒素NFは放電空間311で発生されたプラズマが工程チャンバー110へ供給される通路へ供給される。第1ソースガスとしてさらに四フッ化炭素CFを加えて使用してもよい。
【0042】
エッチング工程を行う際、ソースガスとして四フッ化炭素CFやトリフルオロメタンCHFガスを使用する場合に比べてジフルオロメタンCHと窒素N、及び酸素Oを共に使用する場合、ジフルオロメタンCHがポリシリコン膜(Polysilicon)とシリコン酸化膜(Silicon Oxide)との上にCのポリマー膜を形成するメカニズムと、酸素Oと窒素Nとによって前記ポリマー膜を除去するメカニズムが同時に進行することによって、シリコン窒化膜の高選択比の達成が可能である。
【0043】
シリコン酸化膜とポリシリコン膜とに対するシリコン窒化膜の高選択比を実現するために以下の工程条件のもとエッチング工程を行うことができる。この場合、シリコン酸化膜に対するシリコン窒化膜の選択比として約100:1〜3000:1を達成でき、ポリシリコン膜に対するシリコン窒化膜の選択比として約100:1〜1000:1の高選択比を実現することができる。
【0044】
(工程条件)
サセプタの温度:0〜70℃
ジフルオロメタンCHガスの供給量:10〜500SCCM
三フッ化窒素NFガスの供給量:0〜1000SCCM
窒素Nガスの供給量:100〜2500SCCM
酸素Oガスの供給量:100〜2500SCCM
電力:1000〜3000W
工程チャンバー内の圧力:300〜1000mTorr。
【0045】
図2〜4は各々図1のように工程チャンバー110の外部でプラズマを生成してダウンストリーム方式で工程チャンバーへプラズマを供給する装置でジフルオロメタン、三フッ化窒素、窒素、及び酸素をソースガスに使用してエッチング工程を行う際の、シリコン窒化膜のエッチング選択比を示す実験例である。
【0046】
図2に図示された実験例はシリコン酸化膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比が顕著に向上した場合を示す。サセプタの温度、工程チャンバー内の圧力、ジフルオロメタンCH、三フッ化窒素NF、酸素O、及び窒素Nの供給量、及び電力を図2のように提供すると、シリコン酸化膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比が約2984:1で非常に高いことが分かる。
【0047】
図3に図示された実験例はポリシリコン膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比が顕著に向上した場合を示す。サセプタの温度、工程チャンバー内の圧力、ジフルオロメタンCH、三フッ化窒素NF、酸素O、及び窒素Nの供給量、及び電力を図3のように提供すると、ポリシリコン膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比が約1000:1で非常に高いことが分かる。
【0048】
図4に図示された実験例はシリコン酸化膜及びポリシリコン膜の全てに対してシリコン窒化膜のエッチング選択比が大きく向上した場合を示す。サセプタの温度、工程チャンバー内の圧力、ジフルオロメタンCH、三フッ化窒素NF、酸素O、及び窒素Nの供給量、及び電力を図4のように提供すると、シリコン酸化膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比は約180:1であり、ポリシリコン膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比は450:1でシリコン酸化膜及びポリシリコン膜の全てに対してシリコン窒化膜のエッチング選択比が非常に高いことが分かる。
【0049】
図5は図1の装置構造と異なりに工程チャンバー内部で直接プラズマを発生させる構造の装置でソースガスにジフルオロメタンCH、酸素O、窒素N、及びアルゴンArガスを使用してエッチング工程を行う際の、シリコン酸化膜とポリシリコン膜とに対するシリコン窒化膜のエッチング選択比を示す実験例である。
【0050】
図5に図示された実験例によれば、サセプタの温度、工程チャンバー内の圧力、ジフルオロメタンCH、アルゴンAr、酸素O、及び窒素Nの供給量、及び電力を図5のように提供すると、シリコン酸化膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比は約36:1であり、ポリシリコン膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比は約48:1で、図1のような装置構造を使用してエッチング工程を遂行する時に比べてエッチング選択比が相対的に非常に低いことが分かる。
【0051】
また、本発明の実施形態によれば、図1の装置構造にジフルオロメタンCH、三フッ化窒素NF、酸素O、及び窒素Nを含むソースガスを使用する場合には従来のトリフルオロメタンCHF、四フッ化炭素CF、及び酸素Oガスをソースガスに使用し、これらソースガスからプラズマを工程チャンバー内で直接発生させる場合に比べてポリシリコン膜やシリコン酸化膜等他の膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比が著しく高いことが分かる。
【0052】
また、本発明の実施形態と類似にソースガスにジフルオロメタンCH、アルゴンAr、窒素N、及び酸素Oを使用する場合にも、工程チャンバー外部でプラズマを発生させて工程チャンバーに供給すれば、工程チャンバー内でソースガスからプラズマを直接発生させる場合に比べてシリコン窒化膜のエッチング選択比が相対的に非常に高い。
【0053】
また、図2〜図4の実験例のように、図1の装置で同一のソースガスを使用する場合にもガスの供給量又は温度を調節することによって、シリコン酸化膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比を顕著に高くできるか(図2)、或いはポリシリコン膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比を顕著に高くできるか(図3)、或いはポリシリコン膜とシリコン酸化膜の全てに対してシリコン窒化膜のエッチング選択比を高くすることができる。
【0054】
例えば、図2のように酸素Oガスの使用比率を増加させてシリコン酸化膜のエッチング量を減少させることと同時に、ジフルオロメタンCHを増加させてCのポリマー量を増加させることによってシリコン酸化膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比を向上させることができる。
【0055】
また、図3のように温度による反応性の差によってポリシリコン膜の化学反応が不活性化され、エッチング量が減少するメカニズムを利用してポリシリコン膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比を向上させることができる。
【0056】
上述した例ではエッチング対象膜がシリコン窒化膜であり、シリコン窒化膜と共にエッチングされる他の種類の膜としてポリシリコン膜とシリコン酸化膜を例として説明した。しかし、本発明の技術的思想はエッチング対象膜がシリコン窒化膜以外の種類の窒化膜である場合にも適用し得るため、ポリシリコン膜及びシリコン酸化膜以外の種類の膜に対する窒化膜のエッチング選択比を高くするためにも適用してもよい。
【0057】
以上の説明は本発明の技術的思想を例示的に説明したものにすぎず、本発明が属する技術分野における通常の知識を有するものであれば、本発明の本質的な特性を逸脱しない範囲で多様な修正及び変形が可能である。したがって、本発明に開示された実施形態は本発明の技術的思想を限定するものではなく、単に説明するためのものであり、このような実施形態によって本発明の技術的思想の範囲を限定するものではない。本発明の保護範囲は以下の特許請求の範囲によって解釈されなければならず、それと同等な範囲の内にある全ての技術的思想は本発明の権利範囲に含まれるものと解釈しなければならない。
【符号の説明】
【0058】
100・・・工程チャンバー
200・・・排気ユニット
300・・・プラズマ供給部材
310・・・プラズマチャンバー
320・・・ソースガス供給部
330・・・電力印加部
340・・・流入ダクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上に形成された窒化膜をエッチングする半導体製造方法において、
工程チャンバー内に基板を位置させ、前記工程チャンバーの外部で第1ソースガスからプラズマを発生させ、前記プラズマを前記工程チャンバーへ供給し、
前記第1ソースガスはジフルオロメタンCH、窒素N、及び酸素Oを含む半導体製造方法。
【請求項2】
前記ジフルオロメタンCHの供給量は10〜500SCCMであり、前記窒素の供給量は100〜2500SCCMであり、前記酸素の供給量は100〜2500SCCMである請求項1に記載の半導体製造方法。
【請求項3】
工程進行の際、前記基板が置かれるサセプタの温度は0〜70℃であり、前記工程チャンバー内の圧力は300〜1000mTorrである請求項2に記載の半導体製造方法。
【請求項4】
工程進行の際、前記プラズマを発生させるために供給される電力は1000〜3000Wである請求項3に記載の半導体製造方法。
【請求項5】
前記プラズマが前記工程チャンバーへ供給される通路へ第2ソースガスが供給され、
前記第2ソースガスは三フッ化窒素NFを含む請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の半導体製造方法。
【請求項6】
工程進行の時、前記三フッ化窒素の供給量は0より大きくて1000SCCM以下である請求項5に記載の半導体製造方法。
【請求項7】
前記窒化膜はシリコン窒化膜である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の半導体製造方法。
【請求項8】
基板の上で他の種類の膜に対する窒化膜のエッチング選択比を向上させる半導体製造方法において、
第1ソースガスからプラズマを発生させ、発生されたプラズマで基板に対してエッチング工程を遂行し、前記第1ソースガスはジフルオロメタンCH、窒素N、及び酸素Oを含む半導体製造方法。
【請求項9】
前記他の種類の膜はシリコン酸化膜又はポリシリコン膜であり、
エッチング工程を行う際、前記ジフルオロメタンは前記シリコン酸化膜又は前記ポリシリコン膜の上にポリマー膜を形成し、前記窒素と前記酸素は前記ポリマー膜を除去することによって前記シリコン酸化膜又は前記ポリシリコン膜に対する前記シリコン窒化膜のエッチング選択比を増加させる請求項8に記載の半導体製造方法。
【請求項10】
前記ジフルオロメタンCHの供給量は10〜500SCCMであり、前記窒素の供給量は100〜2500SCCMであり、前記酸素の供給量は100〜2500SCCMである請求項8に記載の半導体製造方法。
【請求項11】
工程を行う際、前記基板が置かれるサセプタの温度は0〜70℃であり、前記工程チャンバー内の圧力は300〜1000mTorrである請求項10に記載の半導体製造方法。
【請求項12】
工程を行う際、前記プラズマを発生させるために供給される電力が1000〜3000Wである請求項11に記載の半導体製造方法。
【請求項13】
前記ポリシリコン膜に対する前記シリコン窒化膜のエッチング選択比の向上が前記サセプタの温度を低くすることによって成される請求項8に記載の半導体製造方法。
【請求項14】
前記シリコン酸化膜に対する前記シリコン窒化膜のエッチング選択比の向上が前記ジフルオロメタンと前記酸素の供給量を増加させることによって成される請求項8に記載の半導体製造方法。
【請求項15】
前記プラズマは、前記基板が位置する工程チャンバーの外部で発生した後に前記工程チャンバーへ供給される請求項8〜請求項14のいずれか1項に記載の半導体製造方法。
【請求項16】
前記プラズマが前記工程チャンバーへ供給される通路へ第2ソースガスを供給し、前記第2ソースガスが三フッ化窒素NFを含む請求項15に記載の半導体製造方法。
【請求項17】
半導体製造装置において、
エッチング工程が行われる工程ユニットと、
前記工程ユニットの外部に提供され、前記工程ユニットへプラズマを供給するプラズマ供給ユニットと、を含み、
前記工程ユニットが、
工程チャンバーと、
前記工程チャンバー内に位置し、基板を支持し、加熱部材を有するサセプタと、を含み、
前記プラズマ供給ユニットが、
前記工程ユニットの外部に提供され、内部に放電空間を有するプラズマチャンバーと、
前記放電空間へ第1ソースガスを供給する第1ソースガス供給部と、
前記放電空間で第1ソースガスからプラズマが発生するように電力を提供する電力印加部と、
前記放電空間で発生したプラズマが前記工程チャンバーへ供給される通路へ提供される流入ダクトと、を含み、
前記第1ソースガスがジフルオロメタンCH、窒素N、及び酸素Oを含む半導体製造装置。
【請求項18】
前記プラズマチャンバーが前記工程チャンバーの上部で前記工程チャンバーに結合される請求項17に記載の半導体製造装置。
【請求項19】
前記工程ユニットが、
前記サセプタの上部に位置され、上下方向に多数のホールが形成されたバッフルを含む請求項18に記載の半導体製造装置。
【請求項20】
前記プラズマ供給ユニットが、前記放電空間で発生した前記プラズマが前記工程チャンバーへ流れる通路へ第2ソースガスを供給する第2ソースガス供給部をさらに含み、
前記第2ソースガスが三フッ化窒素NFを含む請求項17に記載の半導体製造装置。
【請求項21】
請求項17〜20のいずれかに記載の半導体製造装置を利用して窒化膜をエッチングする半導体製造方法において、
前記放電空間へ前記第1ソースガスを供給する段階と、
前記放電空間で前記第1ソースガスからプラズマを発生させる段階と、
前記放電空間で発生された前記プラズマを前記工程チャンバーへ供給する段階と、
前記プラズマによって前記基板の上の窒化膜をエッチングする段階と、を含む半導体製造方法。
【請求項22】
前記ジフルオロメタンCHの供給量は10〜500SCCMであり、前記窒素の供給量は100〜2500SCCMであり、前記酸素の供給量は100〜2500SCCMである請求項21に記載の半導体製造方法。
【請求項23】
前記サセプタの温度は0〜70℃であり、前記工程チャンバー内の圧力は300〜1000mTorrである請求項22に記載の半導体製造方法。
【請求項24】
工程を行う際、前記電力は1000〜3000Wである請求項23に記載の半導体製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−110414(P2013−110414A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−255624(P2012−255624)
【出願日】平成24年11月21日(2012.11.21)
【出願人】(504388695)ピーエスケー・インコーポレーテッド (16)
【Fターム(参考)】