説明

半導体記憶装置

【課題】半導体記憶装置において誤動作が生じる蓋然性を低減する。
【解決手段】積層配置されるメモリセルアレイ(例えば、酸化物半導体材料を用いて構成されているトランジスタを含むメモリセルアレイ)と周辺回路(例えば、半導体基板を用いて構成されているトランジスタを含む周辺回路)の間に遮蔽層を配置する。これにより、当該メモリセルアレイと当該周辺回路の間に生じる放射ノイズを遮蔽することが可能となる。よって、半導体記憶装置において誤動作が生じる蓋然性を低減することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、トランジスタの活性層の材料として、半導体特性を示す金属酸化物(以下、酸化物半導体材料ともいう)に注目が集まっている。活性層の材料として酸化物半導体材料を適用したトランジスタは、活性層の材料としてアモルファスシリコンを適用したトランジスタと同様のプロセスで製造でき、且つそれよりも移動度が高い。そのため、活性層の材料として酸化物半導体材料を適用したトランジスタは、活性層の材料としてアモルファスシリコンを適用したトランジスタを代替又は凌駕するトランジスタとして期待されている。例えば、アクティブマトリクス型の表示装置の各画素に配設されるトランジスタとして適用することが期待されている。
【0003】
さらに、酸化物半導体材料によって活性層が構成されているトランジスタは、オフ電流値が低いという特性を有する。これにより、当該トランジスタがオフ状態となることによって浮遊状態となるノードの電位(当該ノードに保持される電荷量)を長期間に渡って保持することが可能である。そのため、当該トランジスタを活用して半導体記憶装置を構成することが期待されている。例えば、特許文献1では、Dynamic Random Access Memory(DRAM)のメモリセルを構成するトランジスタとして当該トランジスタを適用したDRAMが開示されている。
【0004】
また、酸化物半導体材料によって活性層が構成されているトランジスタは、各種薄膜の成膜及び加工を組み合わせて行うことによって形成される。よって、当該トランジスタは、他の半導体素子が存在する領域と重畳する領域に形成することができる。例えば、特許文献2では、積層配置されている2種のトランジスタ(半導体基板によって活性層が構成されているトランジスタ(下部のトランジスタ)と酸化物半導体材料によって活性層が構成されているトランジスタ(上部のトランジスタ))を有する半導体装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−109084号公報
【特許文献2】特開2011−119672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
DRAMは、それぞれにおいてデータに応じた電荷量を保持する複数のメモリセルが配設されているメモリセルアレイと、メモリセルに対するデータの書き込み、読み出し、及びリフレッシュなどを行う周辺回路とを有する。
【0007】
具体的には、メモリセルは、トランジスタと、キャパシタとを有する。そして、当該トランジスタがオフ状態となることによってキャパシタの一方の電極が電気的に接続するノードの電位を浮遊状態とする。これにより、当該ノード(キャパシタの一方の電極)において所望のデータ(電荷量)を保持する。
【0008】
また、周辺回路は、当該トランジスタによって当該キャパシタの一方の電極との電気的な接続が制御される信号線(ビット線)の電位を制御する。そして、当該トランジスタをオン状態とすることで当該メモリセルに所望のデータを書き込む。また、周辺回路は、当該ビット線の電位の値を予め所定の値とした後に当該トランジスタをオン状態とする。これにより、当該ビット線の電位が当該データに応じて変動する。そして、当該ビット線の電位を検出することで当該メモリセルに保持されていたデータを読み出す。また、周辺回路は、所望のリフレッシュレートで当該メモリセルに電荷を補充する(リフレッシュ)。
【0009】
ここで、当該メモリセルを構成するトランジスタとして酸化物半導体材料によって活性層が構成されているトランジスタを適用する場合、リフレッシュレートの低減を図ることが可能である。さらには、メモリセルアレイと周辺回路を積層配置することでDRAMの高集積化を図ることが可能である。具体的には、単結晶シリコン基板を用いて周辺回路を構成し、さらに、当該単結晶シリコン基板上に成膜される酸化物半導体材料を用いてメモリセルアレイを構成する。これにより、メモリセルアレイと周辺回路が同一平面上に配置される場合と比較して、DRAMの高集積化を図ることが可能となる。
【0010】
ただし、メモリセルアレイと周辺回路を積層配置する場合、メモリセルアレイと周辺回路の間に放射ノイズが生じる蓋然性が高くなる。これにより、DRAMにおけるデータの読み出し動作時に放射ノイズによって誤動作を起こす蓋然性が高くなる。上述したように当該動作は、ビット線の電位の変動を検出することによって行われるからである。
【0011】
上述の点に鑑み、本発明の一態様は、半導体記憶装置において誤動作が生じる蓋然性を低減することを目的の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した目的は、メモリセルアレイと周辺回路の間に遮蔽層を配置することによって達成することが可能である。
【0013】
例えば、本発明の一態様は、複数のメモリセルを含むメモリセルアレイと、メモリセルに保持されているデータの判別を行う読み出し回路を含む周辺回路と、メモリセルアレイと周辺回路の間に配置され、且つ電位が一定に保持されている遮蔽層と、を有し、メモリセルは、データに応じた電荷量を保持し、読み出し回路は、メモリセルに保持されている電荷量に応じて電位が変動する信号線の電位を検出することでデータを判別する半導体記憶装置である。
【0014】
また、半導体基板を用いて構成されている半導体素子を含む周辺回路と、周辺回路上に配置され、且つ導電性材料を用いて構成されている遮蔽層と、遮蔽層上に配置され、且つ酸化物半導体材料を用いて構成されている半導体素子を含むメモリセルアレイと、を有し、メモリセルアレイは、データに応じた電荷量を保持するメモリセルを有し、周辺回路は、メモリセルに保持されている電荷量に応じて電位が変動する信号線の電位を検出することでデータを判別する読み出し回路を有する半導体記憶装置も本発明の一態様である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様の半導体記憶装置は、メモリセルアレイと周辺回路の間に遮蔽層を有する。これにより、当該メモリセルアレイと当該周辺回路の間に生じる放射ノイズを遮蔽することが可能となる。よって、半導体記憶装置において誤動作が生じる蓋然性を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】半導体記憶装置の構成例を示す図。
【図2】(A)周辺回路の構成例を示す図、(B)周辺回路とメモリセルアレイの接続の一態様を示す模式図。
【図3】(A)〜(D)半導体記憶装置の構造例及びその作製工程を説明するための断面模式図。
【図4】(A)〜(C)半導体記憶装置の構造例及びその作製工程を説明するための断面模式図。
【図5】(A)、(B)半導体記憶装置の構造例及びその作製工程を説明するための断面模式図。
【図6】(A)、(B)半導体記憶装置の構造例及びその作製工程を説明するための断面模式図。
【図7】(A)、(B)半導体記憶装置の構造例及びその作製工程を説明するための断面模式図。
【図8】半導体記憶装置の構成例を示す図。
【図9】半導体記憶装置の構成例を示す図。
【図10】(A)、(B)半導体記憶装置の構造例を説明するための断面模式図。
【図11】(A)、(B)半導体記憶装置の構造例を説明するための断面模式図。
【図12】(A)、(B)半導体記憶装置の構造例を説明するための断面模式図。
【図13】半導体記憶装置の構造例を説明するための断面模式図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、本発明の一態様について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態を様々に変更し得る。したがって、本発明は以下に示す記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0018】
<半導体記憶装置の構成例>
図1は、本発明の一態様の半導体記憶装置の構成例を示す図である。図1に示す半導体記憶装置は、半導体基板10を用いて構成されている半導体素子を含む周辺回路100と、周辺回路100上に配置され、且つ導電性材料を用いて構成されている遮蔽層20と、遮蔽層20上に配置され、且つ酸化物半導体材料を用いて構成されている半導体素子を含むメモリセルアレイ30とを有する。そして、図1に示すメモリセルアレイ30は、それぞれにおいてデータに応じた電荷を保持する複数のメモリセル300を有する。具体的には、メモリセル300は、活性層が酸化物半導体材料によって構成されているトランジスタ301と、一方の電極が、トランジスタ301がオフ状態となることによって浮遊状態となるノードに電気的に接続されているキャパシタ302とを有する。なお、キャパシタ302の他方の電極は、一定の電位を保持する配線に電気的に接続されている。ここで、当該電位としては、接地電位又は0V等を適用することが可能である。
【0019】
なお、遮蔽層20は、周辺回路100とメモリセルアレイ30の間に生じる放射ノイズを遮蔽することを目的として設けられている。よって、遮蔽層20が配置されている領域が、周辺回路100が配置されている領域及びメモリセルアレイ30が配置されている領域の少なくとも一方と重畳する構成とすることが好ましい。周辺回路100とメモリセルアレイ30の間に遮蔽層20が配置されていない領域が存在する場合、当該領域における放射ノイズの遮蔽ができないからである。
【0020】
<周辺回路100の構成例>
図2(A)は、図1に示す半導体記憶装置の周辺回路100の構成を示すブロック図である。図2(A)に示す周辺回路100は、制御回路110と、ワード線駆動回路120と、ビット線駆動回路130とを有する。なお、ワード線駆動回路120は、それぞれがメモリセルアレイ30に配設されている複数のワード線320の電位を制御する回路である。そして、ワード線320は、複数のトランジスタ301のゲートに電気的に接続されている。すなわち、ワード線駆動回路120は、メモリセルアレイ30に配設されているトランジスタ301のスイッチングを制御する回路である。また、ビット線駆動回路130は、それぞれがメモリセルアレイ30に配設されている複数のビット線330の電位を制御、検出する回路である。そして、ビット線330は、複数のトランジスタ301のソース及びドレインの一方に電気的に接続されている。すなわち、ビット線駆動回路130は、メモリセルアレイ30に配設されているメモリセル300に対するデータの書き込み及び読み出しを行う回路である。また、制御回路110は、ワード線駆動回路120及びビット線駆動回路130の動作を制御する回路である。
【0021】
なお、ワード線駆動回路120は、デコーダ1201、レベルシフタ1202、及びバッファ1203等を有する。また、ビット線駆動回路130は、デコーダ1301、レベルシフタ1302、セレクタ1303、書き込み回路131及び読み出し回路132等を有する。また、周辺回路100とメモリセルアレイ30の間には接地電位が供給されている遮蔽層20が配置されている。なお、遮蔽層20に供給される電位は、接地電位に限定されない。遮蔽層20に接地電位と異なる一定値の電位が供給される構成とすることも可能である。
【0022】
図2(A)に示す周辺回路100の動作例について以下に述べる。
【0023】
周辺回路100にアドレス信号(AD)及びリードイネーブル信号(RE)又はライトイネーブル信号(WE)が入力されると、制御回路110がワード線駆動回路120及びビット線駆動回路130を制御する。そして、当該メモリセル300において、データの書き込み又は読み出しが行われる。
【0024】
例えば、所望のメモリセル300に対するデータの書き込みが行われる場合には、ワード線駆動回路120において、デコーダ1201による複数のワード線320のいずれか一を選択する信号が生成される。当該信号は、レベルシフタ1202による電位の調整及びバッファ1203による波形の処理の後に選択されたワード線320に供給される。これにより、当該ワード線320にゲートが電気的に接続されているトランジスタ301がオン状態となる。そして、ビット線駆動回路130において、デコーダ1301による複数のビット線330のいずれか一を選択する信号が生成される。当該信号は、レベルシフタ1302による当該信号の電位の調整の後にセレクタ1303に入力される。セレクタ1303は、入力された信号に従ってデータ信号(DATA)をサンプリングする。当該サンプリングされたデータは、書き込み回路131によって選択されたビット線330に供給される。これにより、選択されたメモリセル300に対して所望のデータを書き込むことができる。
【0025】
また、所望のメモリセル300からデータの読み出しが行われる場合には、ビット線駆動回路130が、読みだす対象となるメモリセル300に電気的に接続されているビット線330に所望の電位を与える。そして、当該ビット線330を浮遊状態とする。その後、ワード線駆動回路120が書き込みを行う際と同様に動作する。すなわち、当該メモリセル300が有するトランジスタ301をオン状態とする。これにより、当該ビット線330の電位が当該メモリセル300に保持されていたデータに応じて変動する。そして、ビット線駆動回路130が有する読み出し回路132において、当該ビット線330の電位の変動を検出させる。これにより、当該メモリセル300に保持されていたデータを判別することができる。
【0026】
<周辺回路100とメモリセルアレイ30の接続の一態様>
図2(B)は、図1に示す半導体記憶装置の周辺回路100とメモリセルアレイ30の接続の一態様を示す模式図である。図2(B)に示す半導体記憶装置は、図1に示す構成と、当該構成に近接して設けられる接続配線部40とを有する。ここで、接続配線部40は、メモリセルアレイ30から延設されている複数の配線41Aのそれぞれの一部と、複数の配線41Bと、周辺回路100から延設されている複数の配線41Cのそれぞれの一部とを含む。なお、配線41Bは、周辺回路100、遮蔽層20、及びメモリセルアレイ30が積層する方向と平行又は略平行に延伸して設けられている。
【0027】
そして、図2(B)に示す接続配線部40において、配線41A、配線41B、及び配線41Cが接続されている。すなわち、図2(B)に示す半導体記憶装置においては、周辺回路100とメモリセルアレイ30を電気的に接続させる配線(例えば、図2(A)に示すワード線320、ビット線330)のそれぞれが、配線41A、配線41B、及び配線41Cを含んで構成されている。
【0028】
接続配線部40を有する半導体記憶装置においては、周辺回路100とメモリセルアレイ30を電気的に接続させるために遮蔽層20に開口を設ける必要がない。これにより、周辺回路100とメモリセルアレイ30の間に、開口が存在しない単一物によって構成される遮蔽層20を配置することが可能となる。よって、当該半導体記憶装置においては、周辺回路100とメモリセルアレイ30の間に生じる放射ノイズの遮蔽効果を高めることが可能である。
【0029】
<半導体記憶装置の構造例>
図3乃至図7は、本明細書で開示される半導体記憶装置の構造例及びその作製工程を説明するための断面模式図である。具体的には、図3乃至図7におけるA−B断面は、図1に示す周辺回路100に含まれるトランジスタ(半導体基板を用いて構成されているトランジスタ)、図1に示す遮蔽層20、及び図1に示すメモリセルアレイ30に含まれるトランジスタ(酸化物半導体材料を用いて構成されているトランジスタ)の構造例及びその作製工程を説明するための断面模式図であり、図3乃至図7におけるC−D断面は、図1に示す周辺回路100とメモリセルアレイ30を電気的に接続させる配線(図2(B)に示す接続配線部40)の構造例及びその作製工程を説明するための断面模式図である。
【0030】
まず、図3(A)に示すように、p型の半導体基板201に素子分離領域203を形成する。
【0031】
p型の半導体基板201としては、p型の導電型を有する単結晶シリコン基板(シリコンウェハー)、化合物半導体基板(SiC基板、サファイア基板、GaN基板等)を用いることができる。
【0032】
また、p型の半導体基板201の代わりに、SOI(Silicon On Insulator)基板として、鏡面研磨ウェハーに酸素イオンを注入した後、高温加熱することにより、表面から一定の深さに酸化層を形成させるとともに、表面層に生じた欠陥を消滅させて作られた所謂SIMOX(Separation by IMplanted OXygen)基板や、水素イオン注入により形成された微小ボイドの熱処理による成長を利用して半導体基板を劈開するスマートカット法や、ELTRAN法(Epitaxial Layer Transfer:キヤノン社の登録商標)等を用いて形成したSOI基板を用いてもよい。
【0033】
素子分離領域203は、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)法又はSTI(Shallow Trench Isolation)法等を用いて形成する。
【0034】
また、同一基板上にpチャネル型のトランジスタを形成する場合、p型の半導体基板201の一部にnウェル領域を形成してもよい。nウェル領域は、リン、ヒ素等のn型を付与する不純物元素を添加して形成される。
【0035】
なお、ここでは、p型の半導体基板を用いているが、n型の半導体基板を用いて、pチャネル型のトランジスタを形成してもよい。その場合、n型の半導体基板にp型を付与するホウ素等の不純物元素が添加されたpウェル領域を形成して、同一基板上にnチャネル型のトランジスタを形成してもよい。
【0036】
次に、図3(B)に示すように、半導体基板201上にゲート絶縁膜207aおよび絶縁膜207bならびにゲート電極209aおよび配線209bを形成する。
【0037】
例えば、熱処理を行い半導体基板201の表面を酸化する、又は、当該酸化後に窒化処理を行う。これにより、酸化シリコン膜、又は、酸化シリコン膜と、酸素と窒素を有するシリコン膜(酸化窒化シリコン膜)との積層を形成する。次に、酸化シリコン膜又は酸窒化シリコン膜の一部を選択的にエッチングして、ゲート絶縁膜207aおよび絶縁膜207bを形成する。また、厚さ5〜50nmの酸化シリコン、酸化窒化シリコン、高誘電率物質(high−k材料ともいう)であるタンタル酸化物、酸化ハフニウム、酸化ハフニウムシリケート、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化チタンなどの金属酸化物、又は酸化ランタンなどの希土類酸化物等を、CVD法、スパッタリング法等を用いて形成した後、選択的に一部をエッチングして、ゲート絶縁膜207aおよび絶縁膜207bを形成してもよい。
【0038】
ゲート電極209aおよび配線209bは、タンタル、タングステン、チタン、モリブデン、クロム、ニオブ等から選択された金属、又はこれらの金属を主成分とする合金材料若しくは化合物材料を用いることが好ましい。また、リン等の不純物を添加した多結晶シリコンを用いることができる。また、金属窒化物膜と上記の金属膜の積層構造でゲート電極209aおよび配線209bを形成してもよい。金属窒化物としては、窒化タングステン、窒化モリブデン、窒化チタンを用いることができる。金属窒化物膜を設けることにより、金属膜の密着性を向上させることができ、剥離を防止することができる。
【0039】
ゲート電極209aおよび配線209bは、導電膜をスパッタリング法、CVD法等により形成した後、該導電膜の一部を選択的にエッチングして形成される。
【0040】
なお、高集積化を実現するためには、ゲート電極209aの側面にサイドウォール絶縁層を有しない構成とすることが望ましい。一方で、トランジスタの特性を重視する場合には、ゲート電極209aの側面にサイドウォール絶縁層を設けることもできる。
【0041】
次に、図3(C)に示すように、半導体基板201にn型を付与する不純物元素を添加して、n型の不純物領域211a、n型の不純物領域211bを形成する。また、同一基板上にnウェル領域を形成している場合、当該領域にp型を付与する不純物元素を添加してp型の不純物領域を形成する。n型の不純物領域211a、n型の不純物領域211bおよびp型の不純物領域におけるn型を付与する不純物元素及びp型を付与する不純物元素の濃度は、1×1019/cm以上1×1021/cm以下である。n型を付与する不純物元素及びp型を付与する不純物元素は、イオンドーピング法、イオン注入法等を適宜用いて、半導体基板201及びnウェル領域に添加する。
【0042】
また、ゲート電極209aの側面にサイドウォール絶縁層を設ける場合、当該サイドウォール絶縁層と重畳する領域に、n型の不純物領域211a、n型の不純物領域211bおよびp型の不純物領域とは異なる不純物濃度の不純物領域を形成することができる。
【0043】
次に、図3(D)に示すように、半導体基板201、素子分離領域203、ゲート絶縁膜207a、絶縁膜207b、ゲート電極209a、および配線209b上に、スパッタリング法、CVD法等により、絶縁膜215および絶縁膜217を形成する。
【0044】
絶縁膜215および絶縁膜217は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、窒化アルミニウムなどを用いればよく、積層又は単層で設ける。なお、絶縁膜215をCVD法により形成することで、絶縁膜215の水素含有量が高まる。このような絶縁膜215を用いて熱処理を行うことにより、半導体基板を水素化し、水素によりダングリングボンドを終端させ、当該半導体基板中の欠陥を低減することができる。
【0045】
また、絶縁膜217として、BPSG(Boron Phosphorus Silicate Glass)などの無機材料、又は、ポリイミド、アクリルなどの有機材料を用いて形成することで、絶縁膜217の平坦性を高めることができる。
【0046】
絶縁膜215又は絶縁膜217を形成した後、n型の不純物領域211a、n型の不純物領域211bおよびp型の不純物領域に添加された不純物元素を活性化するための熱処理を行う。
【0047】
以上の工程により、図3(D)に示すように、nチャネル型のトランジスタ200Aを作製することができる。
【0048】
次に、絶縁膜215および絶縁膜217の一部を選択的にエッチングして、開口部を形成する。次に、開口部にコンタクトプラグ219a、コンタクトプラグ219b、およびコンタクトプラグ219cを形成する。代表的には、スパッタリング法、CVD法等により導電膜を形成した後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法やエッチングなどにより平坦化処理を行い、導電膜の不要な部分を除去して、コンタクトプラグ219a、コンタクトプラグ219b、およびコンタクトプラグ219cを形成する(図4(A)参照)。
【0049】
コンタクトプラグ219a、コンタクトプラグ219b、およびコンタクトプラグ219cとなる導電膜は、WFガスとSiHガスからCVD法でタングステンシリサイドを形成し、開口部に導電膜を埋め込むことで形成される。
【0050】
次に、絶縁膜217並びにコンタクトプラグ219a、コンタクトプラグ219b、およびコンタクトプラグ219c上に、スパッタリング法、CVD法等により絶縁膜を形成した後、該絶縁膜の一部を選択的にエッチングし、溝部を有する絶縁膜221を形成する。次に、スパッタリング法、CVD法等により導電膜を形成した後、CMP法やエッチングなどにより平坦化処理を行い、該導電膜の不要な部分を除去して、配線223a、配線223b、および配線223cを形成する(図4(A)参照)。
【0051】
ここで、配線223aおよび配線223bは、それぞれトランジスタのソース電極又はドレイン電極として機能する。
【0052】
絶縁膜221は、絶縁膜215と同様の材料を用いて形成することができる。
【0053】
配線223a、配線223b、および配線223cとして、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、又はタングステンからなる単体金属、又はこれを主成分とする合金を単層構造又は積層構造として用いる。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する二層構造、タングステン膜上にチタン膜を積層する二層構造、銅−マグネシウム−アルミニウム合金膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜と、そのチタン膜上に重ねてアルミニウム膜を積層し、さらにその上にチタン膜を形成する三層構造などがある。なお、酸化インジウム、酸化錫又は酸化亜鉛を含む透明導電材料を用いてもよい。
【0054】
次に、絶縁膜221、配線223a、配線223b、および配線223c上に、スパッタリング法、CVD法等により、絶縁膜225を形成する(図4(B)参照)。絶縁膜225としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウムを単層又は積層して形成する。
【0055】
次に、絶縁膜225の一部を選択的にエッチングして、開口部を形成する。次に、開口部にコンタクトプラグ227を形成する。なお、コンタクトプラグ227の製法および材料として、コンタクトプラグ219aおよびコンタクトプラグ219bと同様の製法および材料を適宜用いることができる(図4(C)参照)。
【0056】
次に、絶縁膜225およびコンタクトプラグ227上に、スパッタリング法、CVD法等により絶縁膜を形成した後、該絶縁膜の一部を選択的にエッチングし、絶縁膜231を形成する。次に、スパッタリング法、CVD法等により導電膜を形成した後、CMP法やエッチングなどにより平坦化処理を行い、該導電膜の不要な部分を除去して、導電膜229aおよび配線229bを形成する(図4(C)参照)。
【0057】
なお、導電膜229aは、図1、2に示す半導体記憶装置における遮蔽層20となる導電膜である。
【0058】
また、導電膜229aおよび配線229bは、配線223a、配線223b、および配線223cと同様の材料を用いて形成することができ、絶縁膜231は、絶縁膜215、絶縁膜221と同様の材料を用いて形成することができる。
【0059】
次に、導電膜229a、配線229b、絶縁膜231上に、スパッタリング法、CVD法等により、絶縁膜233を形成する。絶縁膜233は、絶縁膜225と同様の材料を用いて形成することができる。また、絶縁膜233として、加熱により酸素の一部が脱離する酸化絶縁膜を用いて形成することが好ましい。加熱により酸素の一部が脱離する酸化絶縁膜としては、化学量論比を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化絶縁膜を用いる。加熱により酸素の一部が脱離する酸化絶縁膜は、加熱により酸素が脱離するため、後の工程で行う加熱により酸化物半導体膜に酸素を拡散させることができる(図5(A)参照)。
【0060】
また、絶縁膜233は、CMP処理などを行って平坦化を図ることが望ましい。絶縁膜233の表面の平均面粗さ(Ra)は、1nm以下、好ましくは0.3nm以下、より好ましくは0.1nm以下とする。
【0061】
CMP処理は、1回行ってもよいし、複数回行ってもよい。複数回に分けてCMP処理を行う場合は、高い研磨レートの一次研磨を行った後、低い研磨レートの仕上げ研磨を行うのが好ましい。このように研磨レートの異なる研磨を組み合わせることによって、絶縁膜233の表面の平坦性をさらに向上させることができる。
【0062】
また、絶縁膜233を平坦化させる処理としては、プラズマ処理を用いることもできる。プラズマ処理は、真空のチャンバーに不活性ガス、例えばアルゴンガスなどの希ガスを導入し、被処理面を陰極とする電界をかけて行う。その原理としてはプラズマドライエッチ法と同等であるが、不活性ガスを用いて行う。すなわち、このプラズマ処理は、被処理面に不活性ガスのイオンを照射して、スパッタリング効果により表面の微細な凹凸を平坦化する処理である。このことから、当該プラズマ処理を「逆スパッタ処理」と呼ぶこともできる。
【0063】
このプラズマ処理時、プラズマ中には電子とアルゴンの陽イオンが存在し、陰極方向にアルゴンの陽イオンが加速される。加速されたアルゴンの陽イオンは被処理面をスパッタする。このとき、該被処理面の凸部から優先的にスパッタされる。被処理面からスパッタされた粒子は、被処理面の別の場所に付着する。このとき、該被処理面の凹部に優先的に付着する。このように凸部を削り、凹部を埋めることで被処理面の平坦性が向上する。なお、プラズマ処理とCMP処理と併用することにより絶縁膜233のさらなる平坦化を図ることができる。
【0064】
なお、当該プラズマ処理によって、絶縁膜233表面に付着した酸素、水分、有機物などの不純物をスパッタリングの効果で除去することも可能である。
【0065】
なお、酸化物半導体の成膜を行う前に、成膜室の加熱および排気を行って、成膜室中の水素、水、水酸基、水素化物などの不純物を除去しておくことが好ましい。特に成膜室の内壁に吸着して存在するこれらの不純物を除去することが重要である。ここで、熱処理は、例えば、100℃以上450℃以下で行えばよい。また、処理室の排気は、ドライポンプなどの粗引きポンプと、スパッタイオンポンプ、ターボ分子ポンプ及びクライオポンプなどの高真空ポンプとを適宜組み合わせて行うとよい。ターボ分子ポンプは大きいサイズの分子の排気が優れる一方、水素や水の排気能力が低い。さらに、水の排気能力の高いクライオポンプ又は水素の排気能力の高いスパッタイオンポンプを組み合わせることが有効となる。またこのとき、不活性ガスを導入しながら不純物の除去を行うと、排気するだけでは脱離しにくい水などの脱離速度をさらに大きくすることができる。このような処理を行って酸化物半導体の成膜前に成膜室の不純物を除去することにより、酸化物半導体への水素、水、水酸基、水素化物などの混入を低減することができる。
【0066】
また、酸化物半導体膜をスパッタリング装置で成膜する前に、スパッタリング装置にダミー基板を搬入し、ダミー基板上に酸化物半導体膜を成膜して、ターゲット表面、又は防着板に付着した水素、水分を取り除く工程を行ってもよい。
【0067】
次に、絶縁膜233上に、スパッタリング法、塗布法、印刷法、蒸着法、PCVD法、PLD法、ALD法又はMBE法等を用いて酸化物半導体膜235を形成する(図5(A)参照)。ここでは、酸化物半導体膜235として、スパッタリング法により、1nm以上50nm以下、好ましくは3nm以上20nm以下の厚さで酸化物半導体膜を形成する。酸化物半導体膜235の厚さを上記厚さとすることで、トランジスタの微細化に伴って発生するおそれのある短チャネル効果を抑制することができる。
【0068】
酸化物半導体膜235に用いる酸化物半導体としては、少なくともインジウム(In)あるいは亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。特にInとZnを含むことが好ましい。また、該酸化物半導体を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすためのスタビライザーとして、それらに加えてガリウム(Ga)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてスズ(Sn)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてハフニウム(Hf)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてアルミニウム(Al)を有することが好ましい。
【0069】
また、他のスタビライザーとして、ランタノイドである、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)のいずれか一種あるいは複数種を有してもよい。
【0070】
例えば、酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、二元系金属の酸化物であるIn−Zn系酸化物、Sn−Zn系酸化物、Al−Zn系酸化物、Zn−Mg系酸化物、Sn−Mg系酸化物、In−Mg系酸化物、In−Ga系酸化物、三元系金属の酸化物であるIn−Ga−Zn系酸化物(IGZOとも表記する)、In−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物、Sn−Ga−Zn系酸化物、Al−Ga−Zn系酸化物、Sn−Al−Zn系酸化物、In−Hf−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物、四元系金属の酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn系酸化物、In−Hf−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Hf−Zn系酸化物、In−Hf−Al−Zn系酸化物を用いることができる。また、上記酸化物半導体に酸化シリコンを含んでもよい。ここで、例えば、In−Ga−Zn系酸化物とは、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)を主成分として有する酸化物という意味であり、その原子比は問わない。また、InとGaとZn以外の金属元素が入っていてもよい。このとき、上記酸化物半導体においては、化学量論比に対し、酸素を過剰にすると好ましい。酸素を過剰にすることで酸化物半導体膜の酸素欠損に起因するキャリアの生成を抑制することができる。
【0071】
また、酸化物半導体として、InMO(ZnO)(m>0、且つ、mは整数でない)で表記される材料を用いてもよい。なお、Mは、Ga、Fe、Mn及びCoから選ばれた一の金属元素又は複数の金属元素を示す。また、酸化物半導体として、InSnO(ZnO)(n>0、且つ、nは整数)で表記される材料を用いてもよい。
【0072】
なお、酸化物半導体膜235において、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の濃度は、1×1018atoms/cm以下、さらに好ましくは2×1016atoms/cm以下であることが望ましい。アルカリ金属及びアルカリ土類金属は、酸化物半導体と結合するとキャリアが生成されることがあり、トランジスタのオフ電流値の上昇の原因となるためである。
【0073】
また、酸化物半導体膜235には、5×1018atoms/cm以下の窒素が含まれてもよい。
【0074】
なお、酸化物半導体膜235に用いることが可能な酸化物半導体は、シリコン半導体よりもバンドギャップが広く、真性キャリア密度がシリコンよりも低い、ワイドバンドギャップ半導体とする。このように、エネルギーギャップの広い酸化物半導体を用いることで、トランジスタのオフ電流値を低減することができる。
【0075】
酸化物半導体膜235は、単結晶構造であってもよいし、非単結晶構造であってもよい。後者の場合、アモルファス構造でも、多結晶構造でもよい。また、アモルファス中に結晶性を有する部分を含む構造でも、非アモルファス構造でもよい。
【0076】
アモルファス状態の酸化物半導体は、比較的容易に平坦な表面を得ることができるため、これを用いてトランジスタを作製した際の界面散乱を低減でき、比較的容易に、比較的高い移動度を得ることができる。
【0077】
また、結晶性を有する酸化物半導体では、よりバルク内欠陥を低減することができ、表面の平坦性を高めればアモルファス状態の酸化物半導体以上の移動度を得ることができる。表面の平坦性を高めるためには、平坦な表面上に酸化物半導体を形成することが好ましく、上述のように、絶縁膜233の表面の平均面粗さ(Ra)を、1nm以下、好ましくは0.3nm以下、より好ましくは0.1nm以下とし、その上に酸化物半導体膜235を形成することが好ましい。
【0078】
ここでは、酸化物半導体膜235をスパッタリング法により形成する。
【0079】
スパッタリング法に用いるターゲットとしては、例えば、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、二元系金属の酸化物であるIn−Zn系酸化物、Sn−Zn系酸化物、Al−Zn系酸化物、Zn−Mg系酸化物、Sn−Mg系酸化物、In−Mg系酸化物、In−Ga系酸化物、三元系金属の酸化物であるIn−Ga−Zn系酸化物(IGZOとも表記する)、In−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物、Sn−Ga−Zn系酸化物、Al−Ga−Zn系酸化物、Sn−Al−Zn系酸化物、In−Hf−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物、四元系金属の酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn系酸化物、In−Hf−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Hf−Zn系酸化物、In−Hf−Al−Zn系酸化物を用いることができる。
【0080】
酸化物半導体としてIn−Ga−Zn−O系の材料を用いる場合、用いるターゲット中の金属元素の原子数比は、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1、4:2:3、3:1:2、1:1:2、2:1:3、又は3:1:4などとすればよい。このような原子数比のIn−Ga−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物をターゲットとして用いることができる。また、ターゲットの原子数比を上記のようにすることにより、多結晶膜又は後述するCAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)膜が形成されやすくなる。
【0081】
また、酸化物半導体としてIn−Sn−Zn−O系の材料を用いる場合、用いるターゲット中の金属元素の原子数比は、例えば、In:Sn:Zn=1:1:1、2:1:3、1:2:2、又は20:45:35などとすればよい。このような原子数比のIn−Sn−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物をターゲットとして用いることができる。また、ターゲットの原子数比を上記のようにすることにより、多結晶膜又は後述するCAAC−OS膜が形成されやすくなる。
【0082】
酸化物半導体としてIn−Zn−O系の材料を用いる場合、用いるターゲット中の金属元素の原子数比は、原子数比で、In:Zn=50:1〜1:2(モル数比に換算するとIn:ZnO=25:1〜1:4)、好ましくはIn:Zn=20:1〜1:1(モル数比に換算するとIn:ZnO=10:1〜1:2)、さらに好ましくはIn:Zn=15:1〜1.5:1(モル数比に換算するとIn:ZnO=15:2〜3:4)とする。例えば、In−Zn−O系酸化物半導体の形成に用いるターゲットは、原子数比がIn:Zn:O=X:Y:Zのとき、Z>1.5X+Yとする。このような原子数比のIn−Zn−O系酸化物やその組成の近傍の酸化物をターゲットとして用いることができる。
【0083】
しかし、これらに限られず、必要とする半導体特性(移動度、しきい値、ばらつき等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とする半導体特性を得るために、キャリア密度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間距離、密度等を適切なものとすることが好ましい。
【0084】
例えば、In−Sn−Zn系酸化物では比較的容易に高い移動度が得られる。しかしながら、In−Ga−Zn系酸化物でも、バルク内欠陥密度を低減することにより移動度を上げることができる。
【0085】
なお、スパッタリングガスは、希ガス(代表的にはアルゴン)雰囲気、酸素雰囲気、希ガス及び酸素の混合ガスを適宜用いる。なお、希ガス及び酸素の混合ガスの場合、希ガスに対して酸素のガス比を高めることが好ましい。また、スパッタリングガスは、酸化物半導体膜への水素、水、水酸基、水素化物などの混入を防ぐために、水素、水、水酸基、水素化物などの不純物が十分に除去された高純度ガスを用いた雰囲気とすることが望ましい。
【0086】
スパッタリング法において、プラズマを発生させるための電源装置は、RF電源装置、AC電源装置、DC電源装置等を適宜用いることができる。
【0087】
なお、酸化物半導体膜を成膜する処理室は、リークレートを1×10−10Pa・m/秒以下とすることが好ましく、それによりスパッタリング法により成膜する際、膜中への不純物の混入を低減することができる。このように、酸化物半導体膜の成膜工程において、更に好ましくは酸化絶縁膜の成膜工程において、処理室の圧力、処理室のリークレートなどにおいて、不純物の混入を極力抑えることによって、酸化物半導体膜に含まれる水素を含む不純物の混入を低減することができる。また、酸化絶縁膜から酸化物半導体膜への水素などの不純物の拡散を低減することができる。
【0088】
また、酸化物半導体膜235として、CAAC−OS膜を適用してもよい。
【0089】
CAAC−OS膜は、完全な単結晶ではなく、完全な非晶質でもない。CAAC−OS膜は、非晶質相に結晶部を有する結晶−非晶質混相構造の酸化物半導体膜である。なお、当該結晶部は、一辺が100nm未満の3次元領域内に存在することが多い。また、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)による観察像では、CAAC−OS膜に含まれる非晶質部と結晶部との境界は明確ではない。また、TEMによってCAAC−OS膜には粒界(グレインバウンダリーともいう)は確認できない。そのため、CAAC−OS膜は、粒界に起因する電子移動度の低下が抑制される。
【0090】
CAAC−OS膜に含まれる結晶部は、c軸がCAAC−OS膜の被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向に揃い、かつab面に垂直な方向から見て三角形状または六角形状の原子配列を有している。なお、異なる結晶部間で、それぞれa軸およびb軸の向きが異なっていてもよい。本明細書において、単に垂直と記載する場合、85°以上95°以下の範囲も含まれることとする。また、単に平行と記載する場合、−5°以上5°以下の範囲も含まれることとする。
【0091】
なお、CAAC−OS膜において、結晶部の分布が一様でなくてもよい。例えば、CAAC−OS膜の形成過程において、酸化物半導体膜の表面側から結晶成長させる場合、被形成面の近傍に対し表面の近傍では結晶部の占める割合が高くなることがある。
【0092】
CAAC−OS膜に含まれる結晶部のc軸は、CAAC−OS膜の被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向に揃うため、CAAC−OS膜の形状(被形成面の断面形状または表面の断面形状)によっては互いに異なる方向を向くことがある。なお、結晶部のc軸の方向は、CAAC−OS膜が形成されたときの被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向となる。結晶部は、成膜することにより、または成膜後に加熱処理などの結晶化処理を行うことにより形成される。
【0093】
CAAC−OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動が小さい。よって、当該トランジスタは、信頼性が高い。特に、上述のように、絶縁膜223の表面の平均面粗さ(Ra)を、1nm以下、好ましくは0.3nm以下、より好ましくは0.1nm以下とし、その上にCAAC−OS膜を形成することが好ましい。これにより、CAAC−OS膜の結晶性を向上させ、当該CAAC−OS膜を用いたトランジスタの移動度の向上を図ることができる。
【0094】
CAAC−OS膜は、例えば、多結晶である酸化物半導体スパッタリング用ターゲットを用い、スパッタリング法によって成膜する。当該スパッタリング用ターゲットにイオンが衝突すると、スパッタリング用ターゲットに含まれる結晶領域がa−b面から劈開し、a−b面に平行な面を有する平板状またはペレット状のスパッタリング粒子として剥離することがある。この場合、当該平板状のスパッタリング粒子が、結晶状態を維持したまま基板に到達することで、CAAC−OS膜を成膜することができる。
【0095】
また、CAAC−OS膜を成膜するために、以下の条件を適用することが好ましい。
【0096】
成膜時の不純物混入を低減することで、不純物によって結晶状態が崩れることを抑制できる。例えば、成膜室内に存在する不純物濃度(水素、水、二酸化炭素および窒素など)を低減すればよい。また、成膜ガス中の不純物濃度を低減すればよい。具体的には、露点が−80℃以下、好ましくは−100℃以下である成膜ガスを用いる。
【0097】
また、成膜時の基板加熱温度を高めることで、基板付着後にスパッタリング粒子のマイグレーションが起こる。具体的には、基板加熱温度を100℃以上740℃以下、好ましくは200℃以上500℃以下として成膜する。成膜時の基板加熱温度を高めることで、平板状のスパッタリング粒子が基板に到達した場合、基板上でマイグレーションが起こり、平らな面が基板に付着する。
【0098】
また、成膜ガス中の酸素割合を高め、電力を最適化することで成膜時のプラズマダメージを軽減すると好ましい。成膜ガス中の酸素割合は、30体積%以上、好ましくは100体積%とする。
【0099】
スパッタリング用ターゲットの一例として、In−Ga−Zn−O化合物ターゲットについて以下に示す。
【0100】
InO粉末、GaO粉末およびZnO粉末を所定のmol数比で混合し、加圧処理後、1000℃以上1500℃以下の温度で加熱処理をすることで多結晶であるIn−Ga−Zn−O化合物ターゲットとする。なお、X、YおよびZは任意の正数である。ここで、所定のmol数比は、例えば、InO粉末、GaO粉末およびZnO粉末が、2:2:1、8:4:3、3:1:1、1:1:1、4:2:3または3:1:2である。なお、粉末の種類、およびその混合するmol数比は、作製するスパッタリング用ターゲットによって適宜変更すればよい。
【0101】
酸化物半導体膜235をCAAC−OS膜とする場合は、酸化物半導体膜235を成膜する際に、基板温度が200℃を超えて700℃以下、好ましくは300℃を超えて500℃以下、より好ましくは400℃以上450℃以下となるように、基板を加熱する。このように、基板を加熱しながら酸化物半導体膜235を成膜することにより、酸化物半導体膜235をCAAC−OS膜とすることができる。
【0102】
また、上記の温度範囲で加熱しながら、一原子層以上10nm以下、好ましくは2nm以上5nm以下の薄い膜厚の第1の酸化物半導体膜を成膜したのち、同様の方法で加熱しながらさらに厚い膜厚の第2の酸化物半導体膜を成膜し、第1の酸化物半導体膜と第2の酸化物半導体膜を積層して、CAAC−OS膜の酸化物半導体膜235を形成しても良い。
【0103】
また、酸化物半導体膜235を非晶質構造とする場合は、酸化物半導体膜235を成膜する際に、基板の加熱を行わない、又は基板温度を200℃未満、より好ましくは180℃未満として基板を加熱する。このように、酸化物半導体膜235を成膜することにより、酸化物半導体膜235を非晶質構造とすることができる。
【0104】
また、上記の方法で酸化物半導体膜を非晶質構造として成膜した後、250℃以上700℃以下、好ましくは400℃以上、より好ましくは500℃、さらに好ましくは550℃以上の温度で熱処理を行って、当該非晶質構造の酸化物半導体膜の少なくとも一部を結晶化し、CAAC−OS膜の酸化物半導体膜235を形成しても良い。なお、当該熱処理は不活性ガス雰囲気下で行うことができる。不活性ガス雰囲気としては、窒素、又は希ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴン等)を主成分とする雰囲気であって、水、水素などが含まれない雰囲気を適用するのが望ましい。例えば、熱処理装置に導入する窒素や、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上、好ましくは7N(99.99999%)以上(すなわち、不純物濃度が1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とする。また、当該熱処理は、後述する脱水化又は脱水素化の熱処理などで兼ねることも可能である。
【0105】
以上の方法において、成膜時の基板加熱温度が高いほど、得られる酸化物半導体膜235の不純物濃度は低くなる。また、酸化物半導体膜235中の原子配列が整い、高密度化され、多結晶膜又はCAAC−OS膜が形成されやすくなる。さらに、酸素ガス雰囲気で成膜することでも、希ガスなどの余分な原子が含まれないため、多結晶膜又はCAAC−OS膜が形成されやすくなる。ただし、酸素ガスと希ガスの混合雰囲気としてもよく、その場合は酸素ガスの割合は30体積%以上、好ましくは50体積%以上、さらに好ましくは80体積%以上とする。
【0106】
酸化物半導体膜235形成後、酸化物半導体膜235に対して、熱処理を行ってもよい。熱処理を行うことによって、酸化物半導体膜235中に含まれる水素原子を含む物質をさらに除去することができる。当該熱処理は不活性ガス雰囲気下で行い、熱処理の温度は、300℃以上700℃以下、好ましくは450℃以上600℃以下、また、基板が歪み点を有する場合は基板の歪み点未満とする。不活性ガス雰囲気としては、窒素、又は希ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴン等)を主成分とする雰囲気であって、水、水素などが含まれない雰囲気を適用するのが望ましい。例えば、熱処理装置に導入する窒素や、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上、好ましくは7N(99.99999%)以上(すなわち、不純物濃度が1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とする。
【0107】
当該熱処理は、例えば、抵抗発熱体などを用いた電気炉に半導体基板201を導入し、窒素雰囲気下、450℃、1時間の条件で行うことができる。
【0108】
また、熱処理装置は電気炉に限られず、加熱されたガスなどの媒体からの熱伝導、又は熱輻射によって、被処理物を加熱する装置を用いても良い。例えば、LRTA(Lamp Rapid Thermal Anneal)装置、GRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)装置等のRTA(Rapid Thermal Anneal)装置を用いることができる。LRTA装置は、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧水銀ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する装置である。GRTA装置は、高温のガスを用いて熱処理を行う装置である。ガスとしては、アルゴンなどの希ガス、又は窒素のような、熱処理によって被処理物と反応しない不活性気体が用いられる。なお、加熱処理装置としてGRTA装置を用いる場合には、その熱処理時間が短いため、650℃〜700℃の高温に加熱した不活性ガス中で基板を加熱してもよい。
【0109】
また、上記熱処理で酸化物半導体膜235を加熱した後、同じ炉に高純度の酸素ガス、高純度のNOガス、又は超乾燥エア(CRDS(キャビティリングダウンレーザー分光法)方式の露点計を用いて測定した場合の水分量が20ppm(露点換算で−55℃)以下、好ましくは1ppm以下、より好ましくは10ppb以下の空気)とすることが好ましい。特にこれらのガスには、水、水素などが含まれないことが好ましい。また、同じ炉に導入する酸素ガス又はNOガスの純度を、6N以上好ましくは7N以上(即ち不純物濃度を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。酸素ガス又はNOガスの作用によって、脱水化又は脱水素化処理による不純物の排除工程で低減してしまった酸化物半導体を構成する主成分材料の一つである酸素を供給することができる。
【0110】
なお、上述の熱処理には水素や水などを除去する効果があるため、当該熱処理を、脱水化又は脱水素化などと呼ぶこともできる。当該熱処理は、例えば、酸化物半導体層を島状に加工する前、ゲート絶縁膜の形成後などのタイミングにおいて行うことも可能である。また、このような脱水化又は脱水素化の熱処理は、一回に限らず複数回行っても良い。
【0111】
次に、酸化物半導体膜235の一部を選択的にエッチングして、島状の酸化物半導体膜237を形成する。その後、酸化物半導体膜237上に、スパッタリング法、CVD法等により絶縁膜239を形成する。そして、絶縁膜239上にゲート電極241を形成する(図5(B)参照)。
【0112】
絶縁膜239は、例えば酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ガリウム又はGa−Zn−O系金属酸化物膜などを用いればよく、積層又は単層で設ける。また、絶縁膜239は、絶縁膜233と同様に、加熱により酸素が脱離する酸化絶縁膜を用いてもよい。絶縁膜239に加熱により酸素が脱離する膜を用いることで、後の加熱処理により酸化物半導体膜237に生じる酸素欠損を修復することができ、トランジスタの電気特性の劣化を抑制できる。
【0113】
また、絶縁膜239として、ハフニウムシリケート(HfSiO)、窒素が添加されたハフニウムシリケート(HfSi)、窒素が添加されたハフニウムアルミネート(HfAl)、酸化ハフニウム、酸化イットリウムなどのhigh−k材料を用いることでゲート絶縁膜の厚さを薄くしてもゲートリークを低減できる。
【0114】
絶縁膜239の厚さは、10nm以上300nm以下、好ましくは5nm以上50nm以下、より好ましくは10nm以上30nm以下とするとよい。
【0115】
ゲート電極241は、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、タングステンから選ばれた金属元素、又は上述した金属元素を成分とする合金か、上述した金属元素を組み合わせた合金などを用いて形成することができる。また、マンガン、ジルコニウムのいずれか一又は複数から選択された金属元素を用いてもよい。また、ゲート電極241は、単層構造でも、二層以上の積層構造としてもよい。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、窒化タンタル膜上にタングステン膜を積層する二層構造、チタン膜と、そのチタン膜上にアルミニウム膜を積層し、さらにその上にチタン膜を形成する三層構造などがある。また、アルミニウムに、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、クロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた元素の膜、又は複数組み合わせた合金膜、もしくは窒化膜を用いてもよい。
【0116】
また、ゲート電極241は、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電性材料を適用することもできる。また、上記透光性を有する導電性材料と、上記金属元素の積層構造とすることもできる。
【0117】
ゲート電極241は、印刷法又はインクジェット法により形成される。若しくは、スパッタリング法、CVD法、蒸着法等で導電膜を形成した後、該導電膜の一部を選択的にエッチングして形成される。
【0118】
なお、ゲート電極241と絶縁膜239との間に、絶縁膜239に接する材料層として、窒素を含むIn−Ga−Zn−O膜や、窒素を含むIn−Sn−O膜や、窒素を含むIn−Ga−O膜や、窒素を含むIn−Zn−O膜や、窒素を含むSn−O膜や、窒素を含むIn−O膜や、金属窒化膜(InN、ZnNなど)を設けることが好ましい。これらの膜は5eV、好ましくは5.5eV以上の仕事関数を有し、トランジスタの電気特性のしきい値電圧をプラスにすることができ、所謂ノーマリーオフのスイッチング素子を実現できる。例えば、窒素を含むIn−Ga−Zn−O膜を用いる場合、少なくとも酸化物半導体膜237より高い窒素濃度、具体的には7原子%以上の窒素を含むIn−Ga−Zn−O膜を用いる。
【0119】
なお、絶縁膜239の成膜後に、不活性ガス雰囲気下、又は酸素雰囲気下で熱処理(第2の熱処理)を行ってもよい。熱処理の温度は、200℃以上450℃以下とするのが好ましく、250℃以上350℃以下とするのがより好ましい。このような熱処理を行うことによって、トランジスタの電気的特性のばらつきを軽減することができる。また、酸化物半導体膜237と接する絶縁膜233又は絶縁膜239が酸素を含む場合、酸化物半導体膜237に酸素を供給し、該酸化物半導体膜237の酸素欠損を補填することもできる。このように、上述の熱処理には酸素を供給する効果があるため、当該熱処理を、加酸化(加酸素化)などと呼ぶこともできる。
【0120】
なお、ここでは、絶縁膜239の形成後に加酸化の熱処理を行っているが、加酸化の熱処理のタイミングはこれに限定されるものではない。
【0121】
上述のように、脱水化又は脱水素化の熱処理と加酸化の熱処理を適用し、酸化物半導体膜237中の不純物を低減し、酸素欠損を補填することで、酸化物半導体膜237をその主成分以外の不純物が極力含まれないように高純度化することができる。
【0122】
次に、ゲート電極241をマスクとして、酸化物半導体膜237にドーパントを添加する処理を行ってもよい。この結果、図6(A)に示すように、ゲート電極241に覆われ、ドーパントが添加されない第1の領域243aと、ドーパントを含む一対の第2の領域243b、第2の領域243cを形成する。ゲート電極241をマスクにしてドーパントを添加するため、セルフアラインで、ドーパントが添加されない第1の領域243a、及びドーパントを含む一対の第2の領域243b、第2の領域243cを形成することができる。なお、ゲート電極241と重畳する第1の領域243aはチャネル領域として機能する。また、ドーパントを含む一対の第2の領域243b、第2の領域243cは、電界緩和領域として機能する。また、第1の領域243a、及びドーパントを含む一対の第2の領域243b、第2の領域243cを有する酸化物半導体膜を酸化物半導体膜243と呼ぶこととする。
【0123】
酸化物半導体膜243の第1の領域243aは、水素濃度を5×1018atoms/cm未満、好ましくは1×1018atoms/cm以下、より好ましくは5×1017atoms/cm以下、さらに好ましくは1×1016atoms/cm以下とすることが好ましい。酸化物半導体及び水素の結合により、水素の一部がドナーとなり、キャリアである電子が生じてしまう。これらのため、酸化物半導体膜243の第1の領域243a中の水素濃度を低減することで、しきい値電圧のマイナスシフトを抑制することができる。
【0124】
ドーパントを含む一対の第2の領域243b、第2の領域243cに含まれるドーパントの濃度は、5×1018atoms/cm以上1×1022atoms/cm以下、好ましくは5×1018atoms/cm以上5×1019atoms/cm未満とする。
【0125】
ドーパントを含む一対の第2の領域243b、第2の領域243cはドーパントを含むため、キャリア密度又は欠陥を増加させることができる。このため、ドーパントを含まない第1の領域243aと比較して導電性を高めることができる。なお、ドーパント濃度を増加させすぎると、ドーパントがキャリアの移動を阻害することになり、ドーパントを含む一対の第2の領域243b、第2の領域243cの導電性を低下させることになる。
【0126】
ドーパントを含む一対の第2の領域243b、第2の領域243cは、導電率が0.1S/cm以上1000S/cm以下、好ましくは10S/cm以上1000S/cm以下とすることが好ましい。
【0127】
酸化物半導体膜243において、ドーパントを含む一対の第2の領域243b、第2の領域243cが存在することで、チャネル領域として機能する第1の領域243aの端部に加わる電界を緩和させることができる。このため、トランジスタの短チャネル効果を抑制することができる。
【0128】
酸化物半導体膜237にドーパントを添加する方法として、イオンドーピング法又はイオンインプランテーション法を用いることができる。また、添加するドーパントとしては、ホウ素、窒素、リン、及びヒ素の少なくとも一以上がある。又は、ドーパントとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、及びキセノンの少なくとも一以上がある。又は、ドーパントとしては、水素がある。なお、ドーパントとして、ホウ素、窒素、リン、及びヒ素の一以上と、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、及びキセノンの一以上と、水素とを適宜組み合わしてもよい。
【0129】
また、図6(A)においては、絶縁膜239を介して酸化物半導体膜237にドーパントを添加することで酸化物半導体膜243を形成する工程について示したが、絶縁膜239がない状態(酸化物半導体膜237が露出している状態)の酸化物半導体膜237にドーパントを添加することで酸化物半導体膜243を形成する工程としてもよい。
【0130】
さらに、上記ドーパントの添加はイオンドーピング法又はイオンインプランテーション法などによる注入する以外の方法でも行うことができる。例えば、添加する元素を含むガス雰囲気にてプラズマを発生させて、被添加物に対してプラズマ処理を行うことによって、ドーパントを添加することができる。上記プラズマを発生させる装置としては、ドライエッチング装置やCVD装置、高密度CVD装置などを用いることができる。
【0131】
この後、熱処理を行ってもよい。当該熱処理の温度は、代表的には、150℃以上450℃以下、好ましくは250℃以上325℃以下とする。又は、250℃から325℃まで徐々に温度上昇させながら加熱してもよい。
【0132】
当該熱処理により、ドーパントを含む一対の第2の領域243b、第2の領域243cの抵抗値を低減することができる。なお、当該熱処理において、ドーパントを含む一対の第2の領域243b、第2の領域243cは、結晶状態でも非晶質状態でもよい。
【0133】
次に、図6(B)に示すように、ゲート電極241の側面にサイドウォール絶縁膜245、及びゲート絶縁膜247、並びに電極249a、電極249bを形成する。
【0134】
サイドウォール絶縁膜245は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、窒化アルミニウムなどを用いればよく、積層又は単層で設ける。なお、サイドウォール絶縁膜245として、絶縁膜233と同様に、加熱により酸素の一部が脱離する酸化絶縁膜を用いて形成してもよい。
【0135】
ここで、サイドウォール絶縁膜245の形成方法について説明する。
【0136】
まず、絶縁膜239およびゲート電極241上に、後にサイドウォール絶縁膜245となる絶縁膜を形成する。絶縁膜は、スパッタリング法、CVD法等により形成する。また、当該絶縁膜の厚さは特に限定はないが、ゲート電極241の形状に応じる被覆性を考慮して、適宜選択すればよい。
【0137】
次に、絶縁膜をエッチングすることによりサイドウォール絶縁膜245を形成する。該エッチングは、異方性の高いエッチングであり、サイドウォール絶縁膜245は、絶縁膜に異方性の高いエッチング工程を行うことでセルフアラインに形成することができる。
【0138】
また、ドーパントを含む一対の第2の領域243b、第2の領域243cにおいて、電界緩和領域として機能する幅は、サイドウォール絶縁膜245の幅に対応し、またサイドウォール絶縁膜245の幅は、ゲート電極241の厚さにも対応することから、電界緩和領域の範囲が、所望の範囲となるように、ゲート電極241の厚さを決めればよい。
【0139】
また、サイドウォール絶縁膜245の形成工程と共に、異方性の高いエッチングを用いて絶縁膜239をエッチングし、酸化物半導体膜243を露出させることで、ゲート絶縁膜247を形成することができる。
【0140】
一対の電極249a、電極249bは、配線223a、配線223b、配線223c、導電膜229a、および配線229bと同様の材料を適宜用いて形成することができる。なお、一対の電極249a、電極249bは配線としても機能させてもよい。
【0141】
一対の電極249a、電極249bは、印刷法又はインクジェット法を用いて形成される。また、スパッタリング法、CVD法、蒸着法等で導電膜を形成した後、該導電膜の一部を選択的にエッチングして、一対の電極249a、電極249bを形成してもよい。
【0142】
一対の電極249a、電極249bは、サイドウォール絶縁膜245及びゲート絶縁膜247の側面と接するように、形成されることが好ましい。即ち、トランジスタの一対の電極249a、電極249bの端部がサイドウォール絶縁膜245上に位置し、酸化物半導体膜243において、ドーパントを含む一対の第2の領域243b、第2の領域243cの露出部を全て覆っていることが好ましい。この結果、ドーパントが含まれる一対の第2の領域243b、第2の領域243cにおいて、一対の電極249a、電極249bと接する領域がソース領域及びドレイン領域として機能すると共に、サイドウォール絶縁膜245及びゲート絶縁膜247と重なる領域が電界緩和領域として機能する。また、サイドウォール絶縁膜245の長さにより電界緩和領域の幅が制御できるため、一対の電極249a、電極249bを形成するためのマスク合わせの精度を緩和することができる。よって、複数のトランジスタにおけるばらつきを低減することができる。
【0143】
なお、ここでは、ゲート電極241の側面に接してサイドウォール絶縁膜245を設けたが、本発明はこれに限られるものではなく、サイドウォール絶縁膜245を設けない構成とすることもできる。また、ここでは、一対の第2の領域243b、第2の領域243cを形成した後でサイドウォール絶縁膜245を設けたが、本発明はこれに限られるものではなく、サイドウォール絶縁膜245を設けた後で一対の第2の領域243b、第2の領域243cを形成しても良い。このような構成とすることにより、第1の領域243aをサイドウォール絶縁膜245と重畳する領域まで広げることができる。
【0144】
次に、図7(A)に示すように、スパッタリング法、CVD法、塗布法、印刷法等により、絶縁膜251及び絶縁膜253を形成する。
【0145】
絶縁膜251、絶縁膜253は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、窒化アルミニウムなどを用いればよく、積層又は単層で設ける。なお、絶縁膜253として、外部への酸素の拡散を防ぐ絶縁膜を用いることで、絶縁膜251から脱離する酸素を酸化物半導体膜に供給することができる。外部への酸素の拡散を防ぐ絶縁膜の代表例としては、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム等がある。また、絶縁膜253として、外部からの水素の拡散を防ぐ絶縁膜を用いることで、外部から酸化物半導体膜への水素の拡散を低減することが可能であり、酸化物半導体膜の欠損を低減することができる。外部からの水素の拡散を防ぐ絶縁膜の代表例としては、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム等がある。また、絶縁膜251を、加熱により酸素の一部が脱離する酸化絶縁膜、外部への酸素の拡散を防ぐ絶縁膜と、酸化絶縁膜との3層構造とすることで、効率よく酸化物半導体膜へ酸素を拡散すると共に、外部への酸素の脱離を抑制することが可能であり、温度及び湿度の高い状態でも、トランジスタの特性の変動を低減することができる。
【0146】
以上の工程により、図7(A)に示すように、酸化物半導体を含んで構成されるトランジスタ200Bを作製することができる。なお、上記トランジスタ200Bは、i型(真性半導体)又はi型に限りなく近い第1の領域243aを含む酸化物半導体膜243を有するため、極めて優れた特性を示す。
【0147】
なお、ここでは、トランジスタ200Bをトップゲート構造としたが、本発明はこれに限られるものではなく、例えばボトムゲート構造としても良い。また、ここでは、トランジスタ200Bは、一対の電極249aおよび電極249bが、一対の第2の領域243bおよび第2の領域243cの上面の少なくとも一部と接する構成としているが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、一対の第2の領域243bおよび第2の領域243cが、一対の電極249aおよび電極249bの少なくとも一部と接する構成としても良い。また、酸化物半導体膜237に不純物領域を設けなくてもよい。
【0148】
次に、絶縁膜233、絶縁膜251、絶縁膜253のそれぞれ一部を選択的にエッチングし、開口部を形成して、配線223c、電極249a、および電極249bのそれぞれ一部を露出する。次に、コンタクトプラグ255a、コンタクトプラグ255b、およびコンタクトプラグ255cを形成する。なお、コンタクトプラグ255a、コンタクトプラグ255b、およびコンタクトプラグ255cの製法および材料として、コンタクトプラグ219a、コンタクトプラグ219b、コンタクトプラグ219c、コンタクトプラグ227と同様の製法および材料を適宜用いることができる。
【0149】
次に、絶縁膜253、コンタクトプラグ255a、コンタクトプラグ255b、およびコンタクトプラグ255c上に、スパッタリング法、CVD法等により導電膜を形成した後、エッチングにより該導電膜の不要な部分を除去して、配線257a、配線257b、および配線257cを形成する(図7(B)参照)。
【0150】
なお、配線257a、配線257b、および配線257cは、配線223a、配線223b、配線223c、導電膜229a、および配線229bと同様の材料を用いて形成することができる。
【0151】
以上の工程により、図1に示す周辺回路100に含まれるトランジスタ200A(半導体基板を用いて構成されているトランジスタ)、図1に示す遮蔽層20として機能する導電膜229a、及び図1に示すメモリセルアレイ30に含まれるトランジスタ200B(酸化物半導体材料を用いて構成されているトランジスタ)並びに図1に示す周辺回路100とメモリセルアレイ30を電気的に接続させる配線(配線209b、コンタクトプラグ219c、配線223c、コンタクトプラグ227、配線229b、コンタクトプラグ255c、及び配線257c)を作製することができる。
【0152】
<本明細書で開示される半導体記憶装置について>
本明細書で開示される半導体記憶装置では、メモリセルアレイ30と周辺回路100を積層配置することによって高集積化を図ることが可能である。また、本明細書で開示される半導体記憶装置は、メモリセルアレイ30と周辺回路100の間に遮蔽層20を有する。これにより、メモリセルアレイ30と周辺回路100の間に生じる放射ノイズを遮蔽することが可能となる。よって、半導体記憶装置において誤動作が生じる蓋然性を低減することが可能である。なお、本明細書で開示される半導体記憶装置がDRAMである場合、メモリセルアレイ30と周辺回路100の間に遮蔽層20を有する構成は特に好ましい。上述のように、メモリセルアレイと周辺回路が積層配置されているDRAMにおいては、データの読み出し動作時に放射ノイズによって誤動作が生じる蓋然性が高くなるからである。
【0153】
<変形例>
上述した半導体記憶装置は本発明の一態様であり、本発明には上述した半導体記憶装置と異なる構成を有する半導体記憶装置も含まれる。
【0154】
例えば、図1においては、1層からなるメモリセルアレイ30について例示したが、メモリセルアレイ30が複数の分割メモリセルアレイからなる構成とすることも可能である。具体的には、図8に示すように、メモリセルアレイ30が、各層に複数のメモリセルが配置され、且つ積層されている分割メモリセルアレイ層30a、分割メモリセルアレイ層30b、及び分割メモリセルアレイ層30cを有する構成とすることが可能である。これにより、半導体記憶装置のさらなる高集積化を図ることが可能である。
【0155】
また、図8に示す半導体記憶装置において、複数の分割メモリセルアレイ層の間のそれぞれに遮蔽層を配置する構成とすることも可能である。具体的には、図9に示すように、周辺回路100と分割メモリセルアレイ層30aの間に遮蔽層20aを、分割メモリセルアレイ層30aと分割メモリセルアレイ層30bの間に遮蔽層20bを、分割メモリセルアレイ層30bと分割メモリセルアレイ層30cの間に遮蔽層20cを配置する構成とすることも可能である。これにより、半導体記憶装置の高集積化と共に誤動作の抑制を図ることが可能となる。
【0156】
また、本明細書で開示される半導体記憶装置において、周辺回路100とメモリセルアレイ30を電気的に接続させる配線の構成は、図3乃至図7に示す構成に限定されない。
【0157】
例えば、図10(A)に示すように、配線209b及び配線257cの間に存在する絶縁膜の全てを貫通するコンタクトプラグ259を設けて、周辺回路100とメモリセルアレイ30を電気的に接続させることも可能である。
【0158】
また、図10(B)に示すように半導体基板を用いて構成されているトランジスタのソース電極及びドレイン電極と同一層に存在する配線223cと、配線257cとの間に存在する絶縁膜の全てを貫通するコンタクトプラグ261を設けて、周辺回路100とメモリセルアレイ30を電気的に接続させることも可能である。
【0159】
このように、周辺回路100とメモリセルアレイ30の接続の態様は多種存在するため、設計条件又は製造条件などに応じて適宜選択することが可能である。なお、図3乃至図7に示すように、遮蔽層20として機能する導電膜229aと同一層に存在する配線229bが、周辺回路100とメモリセルアレイ30を電気的に接続させる配線の一部をなしている構成は、好ましい構成である。仮に、製造工程中においてマスクずれなどに起因してプロセスパターンがずれた場合に当該構成は、図10(A)、(B)に示す構成と比較して、コンタクト不良が発生する蓋然性を低減することが可能であるからである。
【0160】
また、本明細書で開示される半導体記憶装置において、周辺回路100と遮蔽層20の間又は遮蔽層20とメモリセルアレイ30の間に存在する絶縁膜の構成は、図3乃至図7に示す構成に限定されない。
【0161】
例えば、図11(A)に示すように、遮蔽層20として機能する導電膜229aと、周辺回路100とメモリセルアレイ30を電気的に接続させる配線の一部として機能する配線229bとの間、及び導電膜229aとメモリセルアレイ30の間に存在する絶縁膜を単一の絶縁膜とすることも可能である。具体的には、絶縁膜225およびコンタクトプラグ227上に、スパッタリング法、CVD法等により導電膜を形成した後、該導電膜の一部を選択的にエッチングし、導電膜229a及び配線229bを形成する。次に、導電膜229a、配線229b、及び絶縁膜225上に、スパッタリング法、CVD法等により、絶縁膜263を形成する。
【0162】
また、図11(B)に示すように、周辺回路100と導電膜229aの間、周辺回路100を構成する配線(配線223a、配線223b)の間、及び周辺回路100を構成する配線と、周辺回路100とメモリセルアレイ30を電気的に接続させる配線の一部として機能する配線223cとの間に存在する絶縁膜を単一の絶縁膜265とすることも可能である。
【0163】
また、周辺回路100と遮蔽層20の間に絶縁膜265が存在し、遮蔽層20とメモリセルアレイ30の間に絶縁膜263が存在する構成(図示しない)とすることも可能である。
【0164】
また、本明細書で開示される半導体記憶装置において、遮蔽層20が周辺回路100とメモリセルアレイ30の間に生じる放射ノイズを遮蔽する機能以外の機能を有する構成とすることもできる。例えば、メモリセルアレイ30が図1に示すメモリセル300を有する場合であれば、遮蔽層20の一部がキャパシタ302を構成する一対の電極の一方(一定電位が供給される電極)として機能する構成とすることも可能である。
【0165】
具体的には、図12(A)に示すように、トランジスタのソース又はドレインとして機能する電極249aと、絶縁膜233と、遮蔽層20として機能する導電膜229aとによってキャパシタ302を構成することも可能である。さらに、キャパシタ302が形成される領域の絶縁膜233は、その他の領域よりも膜厚が薄いことが好ましい。すなわち、電極249aと導電膜229a間の距離が、メモリセルアレイ30に存在する他の電極又は配線(例えば、ゲート電極241、電極249bなど)と配線229b間の距離よりも短くなるように構成することが好ましい。例えば、図12(B)に示すように、絶縁膜233に凹部を形成し、当該凹部においてキャパシタ302を形成すればよい。これにより、キャパシタ302の単位面積当たりの保持容量を高めること及びメモリセルアレイ30を高集積化することが可能となる。
【0166】
また、図13に示すようにキャパシタ302をトレンチ型キャパシタとすることも可能である。具体的には、凹部又は開口部が存在する絶縁膜269において、キャパシタ302を、電極249aと、絶縁膜267と、導電膜229aによって構成することも可能である。図13に示す構成においては、キャパシタ302の単位面積当たりの保持容量を高めること及びメモリセルアレイ30を高集積化することが可能となる。なお、絶縁膜267は、絶縁膜231と同様に形成することができる。また、図13に示す半導体記憶装置の作製に際しては、導電膜229aの形成前に凹部又は開口部が存在する絶縁膜269を形成しておくこと、及び電極249aの形成前に絶縁膜233に開口部を形成しておくこと等が必要である。また、絶縁膜269は、絶縁膜225と同様の材料を用いて形成することができる。
【0167】
なお、変形例として説明した構成の複数を図1乃至図7を参照して説明した半導体記憶装置に対して適用することも可能である。
【符号の説明】
【0168】
10 半導体基板
20 遮蔽層
20a 遮蔽層
20b 遮蔽層
20c 遮蔽層
30 メモリセルアレイ
30a 分割メモリセルアレイ層
30b 分割メモリセルアレイ層
30c 分割メモリセルアレイ層
40 接続配線部
41A 配線
41B 配線
41C 配線
100 周辺回路
110 制御回路
120 ワード線駆動回路
130 ビット線駆動回路
131 書き込み回路
132 読み出し回路
200A トランジスタ
200B トランジスタ
201 半導体基板
203 素子分離領域
207a ゲート絶縁膜
207b 絶縁膜
209a ゲート電極
209b 配線
211a 不純物領域
211b 不純物領域
215 絶縁膜
217 絶縁膜
219a コンタクトプラグ
219b コンタクトプラグ
219c コンタクトプラグ
221 絶縁膜
223a 配線
223b 配線
223c 配線
225 絶縁膜
227 コンタクトプラグ
229a 導電膜
229b 配線
231 絶縁膜
233 絶縁膜
235 酸化物半導体膜
237 酸化物半導体膜
239 絶縁膜
241 ゲート電極
243 酸化物半導体膜
243a 第1の領域
243b 第2の領域
243c 第2の領域
245 サイドウォール絶縁膜
247 ゲート絶縁膜
249a 電極
249b 電極
251 絶縁膜
253 絶縁膜
255a コンタクトプラグ
255b コンタクトプラグ
255c コンタクトプラグ
257a 配線
257b 配線
257c 配線
259 コンタクトプラグ
261 コンタクトプラグ
263 絶縁膜
265 絶縁膜
267 絶縁膜
269 絶縁膜
300 メモリセル
301 トランジスタ
302 キャパシタ
320 ワード線
330 ビット線
1201 デコーダ
1202 レベルシフタ
1203 バッファ
1301 デコーダ
1302 レベルシフタ
1303 セレクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のメモリセルを含むメモリセルアレイと、
前記メモリセルに保持されているデータの判別を行う読み出し回路を含む周辺回路と、
前記メモリセルアレイと前記周辺回路の間に配置され、且つ電位が一定に保持されている遮蔽層と、を有し、
前記メモリセルは、前記データに応じた電荷量を保持し、
前記読み出し回路は、前記メモリセルに保持されている電荷量に応じて電位が変動する信号線の電位を検出することで前記データを判別する半導体記憶装置。
【請求項2】
半導体基板を用いて構成されている半導体素子を含む周辺回路と、
前記周辺回路上に配置され、且つ導電性材料を用いて構成されている遮蔽層と、
前記遮蔽層上に配置され、且つ酸化物半導体材料を用いて構成されている半導体素子を含むメモリセルアレイと、を有し、
前記メモリセルアレイは、データに応じた電荷量を保持する複数のメモリセルを有し、
前記周辺回路は、前記メモリセルに保持されている電荷量に応じて電位が変動する信号線の電位を検出することで前記データを判別する読み出し回路を有する半導体記憶装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、
前記遮蔽層に接地電位が供給される半導体記憶装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、
前記信号線が、複数の前記メモリセルに電気的に接続されている半導体記憶装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、
前記メモリセルアレイから延設されている第1の接続配線の一部と、前記周辺回路から延設されている第2の接続配線の一部と、前記メモリセルアレイ、前記遮蔽層、及び前記周辺回路が積層する方向と平行又は略平行に延伸して設けられている第3の接続配線と、を含む接続配線部を有し、
前記遮蔽層が、開口が存在しない単一物によって構成され、
前記信号線が、前記第1の接続配線、前記第2の接続配線、及び前記第3の接続配線を含んで構成されている半導体記憶装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記接続配線部が、前記遮蔽層が配置される平面と同一平面上に配置される第4の接続配線を含み、
前記信号線が、前記第4の接続配線を含んで構成されている半導体記憶装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、
前記遮蔽層が配置されている領域が、前記メモリセルアレイが配置されている領域及び前記周辺回路が配置されている領域の少なくとも一方を含んで重畳する半導体記憶装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一項において、
前記メモリセルアレイが、各層に複数の前記メモリセルが配置され、且つ積層されている複数の分割メモリセルアレイ層を有する半導体記憶装置。
【請求項9】
請求項8において、
隣接する2つの前記分割メモリセルアレイ層の間にメモリセルアレイ層間遮蔽層が配置されている半導体記憶装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか一項において、
前記メモリセルが、トランジスタ及びキャパシタを有し、
前記トランジスタのソース及びドレインの一方は、前記信号線に電気的に接続され、
前記トランジスタのソース及びドレインの他方は、前記キャパシタの一方の電極に電気的に接続され、
前記キャパシタの他方の電極は、一定の電位を保持する配線に電気的に接続されている半導体記憶装置。
【請求項11】
請求項10において、
前記トランジスタの活性層が、酸化物半導体材料によって構成されている半導体記憶装置。
【請求項12】
請求項10又は請求項11において、
前記キャパシタの他方の電極が、前記遮蔽層に供給される電位と等電位を保持する配線に電気的に接続されている半導体記憶装置。
【請求項13】
請求項10又は請求項11において、
前記キャパシタの他方の電極が、前記遮蔽層の一部によって構成されている半導体記憶装置。
【請求項14】
請求項13において、
前記キャパシタの一方の電極と前記遮蔽層間の距離が、前記トランジスタのソース及びドレインの一方と前記遮蔽層間の距離よりも短い半導体記憶装置。
【請求項15】
請求項13において、
前記キャパシタが、トレンチ型キャパシタである半導体記憶装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2013−102133(P2013−102133A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−205656(P2012−205656)
【出願日】平成24年9月19日(2012.9.19)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】