説明

半導体記憶装置

【課題】消費電力を抑えつつ無線通信による情報の送受信を行うことができる半導体記憶装置を提供すること。
【解決手段】半導体記憶装置50は、無線通信を行うための無線アンテナと、無線アンテナを介して送受信される情報を記憶する不揮発性半導体記憶素子と、半導体記憶装置が搭載されるとともに半導体記憶装置に接続される配線パターンが形成された基板と、無線通信が許可される状態と拒否される状態とに切り替える切替部2と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
NANDフラッシュメモリなどの不揮発性半導体記憶素子を備えた半導体記憶装置が用いられている。半導体記憶装置は、例えばデジタルカメラなどのホスト装置に装着されて、撮影データなどの情報を記憶する外部メモリとして用いられる。近年では、半導体記憶装置をデジタルカメラなどから取り外さずに、パーソナルコンピュータなどの他のホスト装置との間で無線通信によって情報の送受信を行うことができるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−188325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施の形態は、消費電力を抑えつつ無線通信による情報の送受信を行うことができる半導体記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明の一態様によれば、無線通信による情報の送受信が可能とされた半導体記憶装置である。半導体記憶装置は、無線通信を行うための無線アンテナと、無線アンテナを介して送受信される情報を記憶する不揮発性半導体記憶素子と、半導体記憶装置が搭載されるとともに半導体記憶装置に接続される配線パターンが形成された基板と、無線通信が許可される状態と拒否される状態とに切り替える切替部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、第1の実施の形態にかかる半導体記憶装置の概略構成を示す平面図である。
【図2】図2は、上ケースを外した状態の半導体記憶装置を示す平面図である。
【図3】図3は、上ケースを内面側から見た図である。
【図4】図4は、半導体記憶装置の概略構成を示す平面図であって、無線通信が許可された状態を示す図である。
【図5】図5は、半導体記憶装置による無線通信の手順を示すフローチャートである。
【図6】図6は、第1の実施の形態の変形例1にかかる半導体記憶装置を、上ケースを外した状態で示す図である。
【図7】図7は、図6に示す半導体記憶装置の上ケースを内面側から見た図である。
【図8】図8は、第1の実施の形態の変形例2にかかる半導体記憶装置を、上ケースを外した状態で示す図である。
【図9】図9は、図8に示す半導体記憶装置の上ケースを内面側から見た図である。
【図10】図10は、第1の実施の形態の変形例3にかかる半導体記憶装置を、上ケースを外した状態で示す図である。
【図11】図11は、図10に示す半導体記憶装置の上ケースを内面側から見た図である。
【図12】図12は、第1の実施の形態の変形例4にかかる半導体記憶装置を、上ケースを外した状態で示す図である。
【図13】図13は、図12に示す半導体記憶装置の上ケースを外面側から見た図である。
【図14】図14は、第2の実施の形態にかかる半導体記憶装置の切替スイッチ部分を拡大した部分拡大図であって、無線通信が禁止された状態を示す図である。
【図15】図15は、図14に示す半導体記憶装置の切替スイッチ部分を拡大した部分拡大図であって、無線通信が許可された状態を示す図である。
【図16】図16は、第2の実施の形態の変形例1にかかる半導体記憶装置の概略構成を示す平面図である。
【図17】図17は、図16に示す半導体記憶装置の平面図であって、無線通信が許可された状態を示す図である。
【図18】図18は、第3の実施の形態にかかる半導体記憶装置の概略構成を示す平面図である。
【図19】図19は、図18に示す半導体記憶装置をデジタルカメラの外部記憶装置として用いた例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に添付図面を参照して、本発明の実施の形態にかかる半導体記憶装置を詳細に説明する。なお、これらの実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0008】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかる半導体記憶装置の概略構成を示す平面図である。図2は、上ケースを外した状態の半導体記憶装置を示す平面図である。図3は、上ケースを内面側から見た図である。図4は、半導体記憶装置の概略構成を示す平面図であって、無線通信が許可された状態を示す図である。
【0009】
半導体記憶装置50は、デジタルカメラなどホスト装置(図示せず)の外部メモリとして用いられる。半導体記憶装置50は、ケース1、基板20、不揮発性半導体記憶素子としてのNAND型フラッシュメモリ(以下、NANDメモリと略す)3、電子部品4、無線アンテナ6、切替スイッチ(切替部)2を備える。
【0010】
ケース1は、半導体記憶装置50の外郭を構成し、内部に設けられるNANDメモリ3等を保護する。ケース1は、例えば合成樹脂などを用いて構成される。ケース1は、図2および図3に示すように、下ケース1aと上ケース1bとを有して構成される。内部にNANDメモリ3等を収容させつつ下ケース1aと上ケース1bとを重ね合わせて、融着などにより接着することで、半導体記憶装置50が構成される。
【0011】
基板20の一面側には、NANDメモリ3や電子部品4が搭載される。電子部品4としては、例えばコンデンサや抵抗が挙げられる。基板20は、合成樹脂を重ねて形成された多層構造になっており、例えば8層構造となっている。なお、基板20の層数は8層に限られない。基板20には、合成樹脂で構成された各層の表面あるいは内層に様々な形状で配線パターンが形成されている。基板20に形成された配線パターンを介して、基板20上に搭載されたNANDメモリ3や電子部品4などの各要素が電気的に接続される。なお、図示を省略するが、基板20には、ホスト装置側の端子に接触させる入出力端子も形成されている。この入出力端子も配線パターンを介してNANDメモリ3等と電気的に接続される。
【0012】
図3に示すように、上ケース1bの内面側には無線アンテナ6が設けられる。半導体記憶装置50は、自身が装着されたホスト装置(例えばデジタルカメラ)と異なる他のホスト装置(例えば、パーソナルコンピュータ(以下PCと略す))との間で、無線アンテナ6を介して無線通信を行って情報を送受信する。
【0013】
無線アンテナ6は、銅製の薄膜基板を上ケース1bの内面側に貼り付けて構成される。図3では、無線アンテナ6の形状を単純な平面形状で示しているが、これに限られず、様々な形状を採用することができる。また、無線アンテナ6としては、薄膜基板のようにシート状に形成されたものを用いてもよいし、ロッドアンテナのように棒状のものを用いてもよい。また、無線アンテナ6は、ケース1に埋め込まれていても構わない。
【0014】
半導体記憶装置50による無線通信によって、例えばNANDメモリ3に記憶された情報が他のホスト装置に向けて送信される。このような無線通信を行うためには、NANDメモリ3と無線アンテナ6との間が電気的に接続されている必要がある。そこで、半導体記憶装置50には、NANDメモリ3と無線アンテナ6との間を電気的に接続するために、アンテナ用接続端子5が設けられている。
【0015】
アンテナ用接続端子5は、基板20に設けられた基板側アンテナ用接続端子5aと、上ケース1b側に設けられたケース側アンテナ用接続端子5bとを有して構成される。基板側アンテナ用接続端子5aは、基板20の配線パターンを介してNANDメモリ3と電気的に接続されている。また、ケース側アンテナ用接続端子5bは無線アンテナ6上に直接形成されている。そして、下ケース1aと上ケース1bとを重ね合わせることで、基板側アンテナ用接続端子5aとケース側アンテナ用接続端子5bとが接触し、無線アンテナ6とNANDメモリ3とが電気的に接続され、NANDメモリ3に記憶された情報を無線通信によって他のホスト装置に向けて送信することが可能となる。なお、アンテナ用接続端子5は、基板20側と上ケース1b側の両方に設ける場合に限られない。例えば、基板20側にのみアンテナ用接続端子5を設け、下ケース1aと上ケース1bとを重ね合わせることで、そのアンテナ用接続端子5が無線アンテナ6に直接接触するように構成してもよい。
【0016】
切替スイッチ2は、上述した入出力端子を介したNANDメモリ3への情報の書き込みを禁止するいわゆるライトプロテクトスイッチである。図1に示すように、切替スイッチ2を矢印Xに示す方向にスライド移動させておくと、NANDメモリ3への情報の書き込みが許可された状態となる。また、図4に示すように、切替スイッチ2を矢印Yに示す方向にスライド移動させておくと、NANDメモリ3への情報の書き込みが禁止された状態となる。なお、ライトプロテクトスイッチによってNANDメモリ3への情報の書き込みを禁止・許可する構成は、公知の構成を採用すればよいので、詳細な説明については省略する。
【0017】
本実施の形態では、半導体記憶装置50による無線通信を禁止・許可する機能も切替スイッチ2に持たせている。具体的には、半導体記憶装置50は、切替スイッチ2の位置を判別して、ソフトウェア的に無線通信の禁止・許可を行う制御部21を備える。
【0018】
図5は、半導体記憶装置50による無線通信の手順を示すフローチャートである。まず、切替スイッチ2の位置判別が行われ、NANDメモリ3への情報の書き込みが許可される位置にある場合には(ステップS1,No)、無線通信は禁止される(再度ステップS1に戻る)。
【0019】
切替スイッチ2が、NANDメモリ3への情報の書き込みが禁止される位置にある場合には(ステップS1,Yes)、Pollingを開始して(ステップS2)、無線通信の相手先であるアクセスポイント(他のホスト装置,以下、単にAPともいう)を検索する。そして、APを検出すると(ステップS3)、半導体記憶装置50が装着されたホスト装置からのトリガー信号を受信した際に(ステップS4)、無線通信による情報の送受信を実行し(ステップS5)、完了させる(ステップS6)。これらの処理が、制御部21によって行われる。
【0020】
なお、ホスト装置からのトリガー信号は、ユーザーによるホスト装置の操作によって発信される。例えば、無線通信機能を備える半導体記憶装置の使用が予め想定されたホスト装置であれば、無線通信による情報の送受信を行うための操作を行った場合にトリガー信号が発信される。また、無線通信機能を備える半導体記憶装置の使用が予め想定されていないホスト装置であれば、例えば、NANDメモリ3に記憶された情報を削除するための操作がなされた際に発信される信号を、トリガー信号として認識するように構成してもよい。このように構成すれば、無線通信機能を備える半導体記憶装置の使用が予め想定されていないホスト装置、例えば比較的旧型のホスト装置であっても半導体記憶装置による無線通信が可能となる。
【0021】
以上説明したように、本実施の形態の半導体記憶装置50では、切替スイッチ2の位置によって、無線通信が許可されていない場合には、APの検索等が行われないため、無駄なAPの検索による消費電力を抑えることができる。これにより、無線通信を行わない場合のホスト装置の消費電力を抑えることができる。ホスト装置がバッテリー駆動のものであれば、消費電力を抑えることで、駆動時間の長時間化を図ることができる。
【0022】
また、NANDメモリ3への情報の書き込みが禁止されている位置に切替スイッチ2があるときに、無線通信が許可されているので、NANDメモリ3の情報を送信中に、NANDメモリ3の情報が書き換えられてしまうのを防ぐことができる。したがって、情報の送信中にNANDメモリ3内の情報が書き換えられてしまうことで、FATテーブルが書き換えられてデータが破壊されてしまうことを防ぐことができる。これにより、半導体記憶装置50の信頼性の向上を図ることができる。例えば、ホスト装置としてのデジタルカメラに半導体記憶装置50を装着した場合には、情報の送信中であれば、デジタルカメラの撮像ボタンが操作された場合であっても、NANDメモリ3への新たな撮像データの書き込みが禁止されるため、NANDメモリ3内の情報が書き換えられずに済む。
【0023】
また、無線アンテナ6をケース1(上ケース1b)に設けているので、基板20の配線パターンの一部として無線アンテナ6を設ける場合に比べて、形状や大きさの設計自由度を向上させることができる。すなわち、より大きく、より好適な形状を無線アンテナ6に採用しやすくなり、無線通信機能の向上を図りやすくなる。また、無線アンテナ6をケース1に設けることで、配線パターンが縮小されて基板20の小型化が可能となる場合もあり、使用材料の削減によるコスト抑制や、装置の小型化を図ることができる。
【0024】
図6は、第1の実施の形態の変形例1にかかる半導体記憶装置50を、上ケース1bを外した状態で示す図である。図7は、図6に示す半導体記憶装置50の上ケース1bを内面側から見た図である。
【0025】
本変形例1では、図7に示すように、上ケース1bの内面側に無線通信用のアンテナグランド8が設けられている。アンテナグランド8は、銅製の薄膜基板を上ケース1bの内面側に貼り付けて構成される。図7では、アンテナグランドの形状を単純な平面形状で示しているが、これに限られず、様々な形状を採用することができる。なお、本変形例では、無線アンテナ6も上ケース1bの内面側に設けられている。
【0026】
また、基板20の配線パターンとアンテナグランド8とを電気的に接続させるためにグランド用接続端子9が設けられている。グランド用接続端子9は、基板20に設けられた基板側グランド用接続端子9aと、上ケース1bに設けられたケース側グランド用接続端子9bとを有して構成される。基板側グランド用接続端子9aは、基板20の配線パターンと電気的に接続される。ケース側グランド用接続端子9bは、アンテナグランド8に直接設けられる。下ケース1aと上ケース1bとを重ね合わせて融着などにより接着することで、基板側グランド用接続端子9aとケース側グランド用接続端子9bとが接触する。
【0027】
アンテナグランド8をケース1(上ケース1b)に設けることで、基板20の配線パターンの一部としてアンテナグランド8を設ける場合に比べて、形状や大きさの設計自由度を向上させることができる。すなわち、より大きく、より好適な形状をアンテナグランド8に採用しやすくなり、無線通信機能の向上を図りやすくなる。
【0028】
また、無線アンテナ6に加えてアンテナグランド8をケース1に設けることで、基板20の配線パターンがより一層縮小されて基板20のより一層の小型化が可能となる場合もある。そのため、使用材料の削減によるより一層のコスト抑制や、装置のより一層の小型化を図ることができる。
【0029】
図8は、第1の実施の形態の変形例2にかかる半導体記憶装置を、上ケースを外した状態で示す図である。図9は、図8に示す半導体記憶装置の上ケースを内面側から見た図である。
【0030】
本変形例2では、アンテナグランド8を上ケース1bの内面側に設け、無線アンテナ6を基板20の配線パターンとして設けている。このように、ケース1(上ケース1b)に、無線アンテナ6を設けずにアンテナグランド8を設けることで、変形例1に示す例よりも、より大きく、より好適な形状をアンテナグランド8に採用しやすくなり、アンテナグランド8の面から無線通信機能の向上を図りやすくなる。
【0031】
図10は、第1の実施の形態の変形例3にかかる半導体記憶装置50を、上ケース1bを外した状態で示す図である。図11は、図10に示す半導体記憶装置の上ケース1bを内面側から見た図である。
【0032】
本変形例3では、少なくとも上ケース1bの一部を基板20よりも導電性の高い材料で構成することで、上ケース1b自体を無線アンテナとして機能させている。例えば、上ケース1bを金属で構成したり、上ケース1bの表面を金属でメッキ処理したり、上ケース1bの表面に金属を蒸着させたりすればよい。そして、上ケース1bのうち導電性の高い材料で構成された部分、例えばメッキ処理された部分にアンテナ用接続端子10を設けて、基板20の配線パターンと電気的に接続させればよい。
【0033】
このように構成することで、上ケース1bのより大きな領域を利用して無線アンテナを形成することができる。したがって、より大きな形状を無線アンテナに採用しやすくなり、無線通信機能の向上を図りやすくなる。なお、上ケース1bだけでなく、下ケース1aも導電性の高い材料で構成して、より大きな無線アンテナとしてもよい。また、導電性の高い材料で構成された部分をアンテナグランドとして利用してもよい。また、下ケース1aおよび上ケース1bのいずれか一方のケースを無線アンテナとして利用し、他方のケースをアンテナグランドとして利用してもよい。
【0034】
図12は、第1の実施の形態の変形例4にかかる半導体記憶装置50を、上ケース1bを外した状態で示す図である。図13は、図12に示す半導体記憶装置50の上ケース1bを外面側から見た図である。
【0035】
半導体記憶装置50では、半導体記憶装置50の記憶容量や製造元を示すために、ケース1の外側面にシール22が貼り付けられる場合がある。本変形例4では、このシール22を基板20よりも導電性の高い材料で構成することで、シール22を無線アンテナ6として利用している。そして、無線アンテナ6に接触するケース側アンテナ用接続端子11bを、上ケース1bを貫通させるように設け、基板側アンテナ用接続端子11aと接触させている。このように、シール22を無線アンテナ6として利用することで、別途無線アンテナを設ける場合に比べて、コストの抑制を図ることができる。
【0036】
(第2の実施の形態)
図14は、第2の実施の形態にかかる半導体記憶装置の切替スイッチ部分を拡大した部分拡大図であって、無線通信が禁止された状態を示す図である。図15は、図14に示す半導体記憶装置の切替スイッチ部分を拡大した部分拡大図であって、無線通信が許可された状態を示す図である。なお、上記実施の形態と同様の構成については、同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0037】
上述した第1の実施の形態では、無線通信の許可・禁止についてソフトウェア的に処理されていたが、第2の実施の形態の半導体記憶装置100では物理的に無線通信の許可・禁止について処理する。
【0038】
第2の実施の形態では、切替スイッチ2を用いて、無線アンテナ6と基板の配線パターンとの接続を物理的に遮断する。図15に示すように、無線アンテナ6には、基板の配線パターンと無線アンテナ6とを接続させるアンテナ用接触部7が形成されている。アンテナ用接触部7は、バネ形状の金属端子や金属プローブ等のコネクタで構成されており、アンテナ用接触部7と基板の配線パターンとの間に遮蔽物がない場合には、基板の配線パターンに接触して無線アンテナ6と基板の配線パターンとを接続させる。
【0039】
図15では、NANDメモリへの情報の書き込みが禁止される位置に切替スイッチ2が位置している。この位置では、アンテナ用接触部7と基板の配線パターンとの間が切替スイッチ2で遮られていないため、無線アンテナ6と基板の配線パターンにアンテナ用接触部7が接触して、アンテナ用接触部7を介して無線アンテナ6と基板の配線パターンとが接続される。そのため、無線通信が許可された状態となる。
【0040】
一方、図14では、NANDメモリへの情報の書き込みが許可される位置に切替スイッチ2が位置している。この位置では、アンテナ用接触部7と基板の配線パターンとの間が切替スイッチ2で遮られるとともに、切替スイッチ2によってアンテナ用接触部7が圧縮される。切替スイッチ2は、一般的に合成樹脂などの絶縁体で構成されるため、無線アンテナ6と基板の配線パターンとが電気的に遮断され、無線通信が禁止された状態となる。
【0041】
このように、第2の実施の形態では、切替スイッチ2を移動させることで、無線アンテナ6と基板の配線パターンとを切断して、無線通信が禁止された状態とすることができる。これにより、APの無駄な検索等を抑えて、消費電力の抑制を図ることができる。
【0042】
また、NANDメモリへの情報の書き込みが許可されている状態のときに、無線アンテナ6と基板の配線パターンとが切断されて無線通信が禁止されるように構成されている。これにより、無線通信中のデータ書き換えによるデータの破損を防ぐことができる。なお、アンテナ用接触部7を基板側に設けてもよい。また、切替スイッチ2の一部を導体で構成することで、図14に示す位置にあるときに無線アンテナ6と基板の配線パターンとが切替スイッチを介して接続され、図15に示す位置にあるときに無線アンテナ6と基板の配線パターンとが接続されないように構成しても構わない。この場合、アンテナ用接触部7は、基板の配線パターンとの間に遮蔽物がない場合に、基板の配線パターンと接触しないコネクタを用いればよい。
【0043】
図16は、第2の実施の形態の変形例1にかかる半導体記憶装置100の概略構成を示す平面図である。図17は、図16に示す半導体記憶装置100の平面図であって、無線通信が許可された状態を示す図である。
【0044】
本変形例1では、NANDメモリへの情報の書き込みの許可・禁止を切替える切替スイッチ2とは別個に、無線通信の許可・禁止を切替える通信切替スイッチ(切替部)12を半導体記憶装置100に設けている。図16に示すように、通信切替スイッチ12を矢印Pに示す方向にスライド移動させることで、無線通信が禁止される状態にすることができる。また、図17に示すように、通信切替スイッチ12を矢印Qに示す方向にスライド移動させることで、無線通信が許可される状態にすることができる。なお、実施の形態1で説明したように、通信切替スイッチ12の位置に応じてソフトウェア的に無線通信の許可・禁止を切替えてもよいし、実施の形態2で説明したように、物理的に無線通信の許可・禁止を切替えてもよい。
【0045】
このように、切替スイッチ2とは別個に通信切替スイッチ12を設けることで、NANDメモリ3への情報の書き込みが許可・禁止された状態と、無線通信が許可・禁止された状態とを任意に組み合わせることができるようになり、ユーザーの要望に合わせて細かく状態を設定することができるようになる。
【0046】
なお、図16および図17では、NANDメモリ3への情報の書き込みが許可される位置に切替スイッチ2が位置する状態を示しているものとする。そうすると、図17に示すように無線通信が許可された場合であっても、無線通信中にNANDメモリ3内の情報が書き換えられるのを防いで、データの破壊を防ぐことができている。
【0047】
一方、無線通信が許可された状態で、NANDメモリ3への情報の書き込みが許可される位置に切替スイッチ2が移動されると、無線通信中のデータ書き換えによるデータの破壊のおそれが生じてしまう。そこで、通信切替スイッチ12を矢印Qに示す方向に移動させた場合に、切替スイッチ2の矢印Pに示す方向への移動を規制する規制部23が突出するように構成して、データ破損のおそれがある状態となる無線通信許可、情報の書き込み許可という状態が回避される構成としてもよい。これにより、ユーザーの誤操作や誤設定によるデータの破損を防いで、半導体記憶装置100の信頼性の向上を図ることができる。
【0048】
(第3の実施の形態)
図18は、第3の実施の形態にかかる半導体記憶装置の概略構成を示す平面図である。図19は、図18に示す半導体記憶装置をデジタルカメラの外部記憶装置として用いた例を示す図である。なお、上記実施の形態と同様の構成については、同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0049】
第3の実施の形態では、半導体記憶装置150には、無線アンテナが備えられていない。半導体記憶装置150は、ホスト装置であるデジタルカメラ200に備えられている無線アンテナ13を用いて無線通信を行う。図19では、無線アンテナ13をロッドアンテナで示しているが、その形状や構成はこれに限られず、薄膜基板など様々なものを用いることができる。
【0050】
半導体記憶装置150には、ホスト装置の端子に接触させる複数の入出力端子14が設けられている。複数の入出力端子14の一部には、普通に入出力端子として機能する入出力部14aと、デジタルカメラ200に備えられた無線アンテナ13に接続されるアンテナ接続部14bとに分割されたものがある。
【0051】
このように、一部の入出力端子14を分割して入出力部14aとすることで、全体として入出力端子14の数を減らさずに、無線通信を可能とするアンテナ接続部14bを設けることができる。また、半導体記憶装置150自体に無線アンテナを設けずに無線通信が可能となるので、コストの抑制を図ることができる。
【符号の説明】
【0052】
1 ケース、1a 下ケース、1b 上ケース、2 切替スイッチ(切替部)、3 NANDメモリ(不揮発性半導体記憶素子)、4 電子部品、5 アンテナ用接続端子、5a 基板側アンテナ用接続端子、5b ケース側アンテナ用接続端子、6 無線アンテナ、7 アンテナ用接触部、8 アンテナグランド、9 グランド用接続端子、9a 基板側グランド用接続端子、9b ケース側グランド用接続端子、10 アンテナ用接続端子、11a 基板側アンテナ用接続端子、11b ケース側アンテナ用接続端子、12 通信切替スイッチ、13 無線アンテナ、14 入出力端子、14a 入出力部、14b アンテナ接続部、20 基板、21 制御部、22 シール、23 規制部、50,100,150 半導体記憶装置、200 デジタルカメラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信による情報の送受信が可能とされた半導体記憶装置であって、
前記無線通信を行うための無線アンテナと、
前記無線アンテナを介して送受信される情報を記憶する不揮発性半導体記憶素子と、
前記半導体記憶装置が搭載されるとともに前記半導体記憶装置に接続される配線パターンが形成された基板と、
前記無線通信が許可される状態と拒否される状態とに切り替える切替部と、を備える半導体記憶装置。
【請求項2】
前記切替部は、前記配線パターンと前記無線アンテナとの接続および切断を切り替えるスイッチである請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記切替部によって、情報の送受信が許可される状態に切替えられると、前記不揮発性半導体記憶素子への情報の書き込みが禁止される状態となる請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記基板を収容するケースをさらに備え、
前記無線アンテナは、前記ケースに設けられる請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記基板を収容するケースをさらに備え、
前記ケースの少なくとも一部は前記基板よりも導電性の高い材料で構成されて、前記ケース自体が無線アンテナとして機能する請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記基板を収容するケースと、
前記ケースに設けられて前記配線パターンと電気的に接続されるグランドと、をさらに備える請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−25485(P2013−25485A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158276(P2011−158276)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】