半導体集積回路、通信装置、通信システム、及び通信方法
【課題】複数の通信路を介して通信可能な通信装置間における通信の秘匿性を向上することが可能な半導体集積回路を得る。
【解決手段】半導体集積回路10は、無線通信路を介して通信装置2と通信する無線通信部13と、有線通信路4を介して通信装置2と通信する有線通信部14と、通信装置3から通信装置2に送信すべき送信データD0を制御するデータ制御部12と、を備え、データ制御部12は、送信データD0を処理することにより、データD1と、データD1に関連するデータD2とを生成するデータ処理部21と、データD1が無線通信部13から通信装置2に送信され、データD2が有線通信部14から通信装置2に送信されるよう、データD1,D2を振り分けるデータ振分部22と、を有する。
【解決手段】半導体集積回路10は、無線通信路を介して通信装置2と通信する無線通信部13と、有線通信路4を介して通信装置2と通信する有線通信部14と、通信装置3から通信装置2に送信すべき送信データD0を制御するデータ制御部12と、を備え、データ制御部12は、送信データD0を処理することにより、データD1と、データD1に関連するデータD2とを生成するデータ処理部21と、データD1が無線通信部13から通信装置2に送信され、データD2が有線通信部14から通信装置2に送信されるよう、データD1,D2を振り分けるデータ振分部22と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路、通信装置、通信システム、及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、複数の通信装置を備える通信システムが開示されている。当該通信システムにおいて、各通信装置は、電力線通信等の有線通信部と、無線LAN等の無線通信部とをそれぞれ有している。各通信装置は、有線通信及び無線通信の双方によって、他の通信装置と通信が可能である。第1の通信装置から第2の通信装置にデータを送信する場合には、第1の通信装置は、有線通信及び無線通信の双方によって、同一のデータを第2の通信装置に向けて送信する。このように、同一のデータを複数の通信路を用いて通信することにより、通信の信頼性を向上することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−28572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記特許文献1に開示された通信システムによると、第1の通信装置は、有線通信及び無線通信の双方によって、同一のデータを第2の通信装置に向けて送信する。つまり、有線通信及び無線通信の各々によって、完全なデータが通信装置間でそれぞれ通信される。従って、有線通信及び無線通信のいずれか一方において第三者によって通信内容が不正に傍受された場合には、完全なデータが取得されてしまうため、通信の秘匿性が十分でないという問題がある。
【0005】
本発明はかかる問題を解決するために成されたものであり、複数の通信路を介して通信可能な通信装置間における通信の秘匿性を向上することが可能な、半導体集積回路、通信装置、通信システム、及び通信方法を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る半導体集積回路は、通信装置と他の通信装置とが複数の通信路を介して通信する通信システムにおいて、前記通信装置に実装される半導体集積回路であって、第1の通信路を介して前記他の通信装置と通信する第1の通信部と、第2の通信路を介して前記他の通信装置と通信する第2の通信部と、前記通信装置から前記他の通信装置に送信すべき送信データを制御するデータ制御部と、を備え、前記データ制御部は、前記送信データを処理することにより、第1のデータと、当該第1のデータに関連する第2のデータとを生成するデータ処理部と、前記第1のデータが前記第1の通信部から前記他の通信装置に送信され、前記第2のデータが前記第2の通信部から前記他の通信装置に送信されるよう、データを振り分けるデータ振分部と、を有することを特徴とするものである。
【0007】
第1の態様に係る半導体集積回路によれば、データ処理部は、送信データを処理することにより、第1のデータと、当該第1のデータに関連する第2のデータとを生成する。また、データ振分部は、第1のデータが第1の通信部から第1の通信路を介して他の通信装置に送信され、第2のデータが第2の通信部から第2の通信路を介して他の通信装置に送信されるよう、データを振り分ける。このように、第1の通信路及び第2の通信路の一方又は双方に完全な送信データを送信するのではなく、送信データを第1のデータと第2のデータとに振り分けて、第1の通信路を介して第1のデータを送信し、第2の通信路を介して第2のデータを送信する。その結果、第1のデータ及び第2のデータの一方のみを取得しても完全な送信データを復元できないため、通信の秘匿性を向上することが可能となる。
【0008】
本発明の第2の態様に係る半導体集積回路は、通信装置と他の通信装置とが複数の通信路を介して通信する通信システムにおいて、前記他の通信装置に実装される半導体集積回路であって、第1の通信路を介して前記通信装置と通信する第1の通信部と、第2の通信路を介して前記通信装置と通信する第2の通信部と、前記通信装置から受信した受信データを制御するデータ制御部と、を備え、前記第1の通信部は、第1のデータを前記通信装置から受信し、前記第2の通信部は、第2のデータを前記通信装置から受信し、前記データ制御部は、互いに関連する前記第1のデータと前記第2のデータとを対応付けるデータ対応付け部と、前記データ対応付け部によって対応付けられた前記第1のデータと前記第2のデータとに基づいて、前記通信装置から前記他の通信装置に送信された送信データを復元するデータ処理部と、を有することを特徴とするものである。
【0009】
第2の態様に係る半導体集積回路によれば、第1の通信部は第1のデータを通信装置から受信し、第2の通信部は第2のデータを通信装置から受信する。また、データ対応付け部は、互いに関連する第1のデータと第2のデータとを対応付ける。そして、データ処理部は、データ対応付け部によって対応付けられた第1のデータと第2のデータとに基づいて、通信装置から他の通信装置に送信された送信データを復元する。このように、第1の通信路及び第2の通信路の一方又は双方に完全な送信データを送信するのではなく、送信データを第1のデータと第2のデータとに振り分けて、第1の通信路を介して第1のデータを送信し、第2の通信路を介して第2のデータを送信する。その結果、第1のデータ及び第2のデータの一方のみを取得しても完全な送信データを復元できないため、通信の秘匿性を向上することが可能となる。
【0010】
本発明の第3の態様に係る半導体集積回路は、第1又は第2の態様に係る半導体集積回路において特に、前記第1のデータは、前記送信データを暗号化することによって生成された暗号化データを含み、前記第2のデータは、前記暗号化データの復号に用いる暗号鍵を含むことを特徴とするものである。
【0011】
第3の態様に係る半導体集積回路によれば、第1のデータは、送信データを暗号化することによって生成された暗号化データを含み、第2のデータは、暗号化データの復号に用いる暗号鍵を含む。このように、暗号化データと暗号鍵とを異なる通信路を介して送信することにより、通信の秘匿性を向上することが可能となる。
【0012】
本発明の第4の態様に係る半導体集積回路は、第1又は第2の態様に係る半導体集積回路において特に、前記第1のデータは、前記送信データに対して所定の分割処理及び並び替え処理が行われた複数の分割データを含み、前記第2のデータは、前記分割処理及び前記並び替え処理の手順に関する情報を含むことを特徴とするものである。
【0013】
第4の態様に係る半導体集積回路によれば、第1のデータは、送信データに対して所定の分割処理及び並び替え処理が行われた複数の分割データを含み、第2のデータは、分割処理及び並び替え処理の手順に関する情報を含む。このように、複数の分割データと、分割処理及び並び替え処理の手順に関する情報とを異なる通信路を介して送信することにより、通信の秘匿性を向上することが可能となる。
【0014】
本発明の第5の態様に係る半導体集積回路は、第1又は第2の態様に係る半導体集積回路において特に、前記第1のデータは、前記送信データに対して所定の分割処理及び並び替え処理が行われた複数の分割データのうちの第1群の分割データを含み、前記第2のデータは、前記複数の分割データのうちの第2群の分割データを含むことを特徴とするものである。
【0015】
第5の態様に係る半導体集積回路によれば、第1のデータは、送信データに対して所定の分割処理及び並び替え処理が行われた複数の分割データのうちの第1群の分割データを含み、第2のデータは、複数の分割データのうちの第2群の分割データを含む。このように、第1群の分割データと第2群の分割データとを異なる通信路を介して送信することにより、通信の秘匿性を向上することが可能となる。
【0016】
本発明の第6の態様に係る半導体集積回路は、第1又は第2の態様に係る半導体集積回路において特に、前記第1のデータは、前記送信データに対して所定の分割処理及び並び替え処理が行われた複数の分割データのうちの第1群の分割データと、前記分割処理及び前記並び替え処理の手順に関する情報とを含み、前記第2のデータは、前記複数の分割データのうちの第2群の分割データを含むことを特徴とするものである。
【0017】
第6の態様に係る半導体集積回路によれば、第1のデータは、送信データに対して所定の分割処理及び並び替え処理が行われた複数の分割データのうちの第1群の分割データと、分割処理及び並び替え処理の手順に関する情報とを含み、第2のデータは、複数の分割データのうちの第2群の分割データを含む。このように、第1群の分割データ並びに分割処理及び並び替え処理の手順に関する情報と、第2群の分割データとを異なる通信路を介して送信することにより、通信の秘匿性を向上することが可能となる。
【0018】
本発明の第7の態様に係る半導体集積回路は、第1又は第2の態様に係る半導体集積回路において特に、前記第1のデータは、前記送信データのうちの特定のビットのデータを抽出した第1群のビットデータを含み、前記第2のデータは、前記送信データのうちの他の特定のビットのデータを抽出した第2群のビットデータを含むことを特徴とするものである。
【0019】
第7の態様に係る半導体集積回路によれば、第1のデータは、送信データのうちの特定のビットのデータを抽出した第1群のビットデータを含み、第2のデータは、送信データのうちの他の特定のビットのデータを抽出した第2群のビットデータを含む。このように、第1群のビットデータと第2群のビットデータとを異なる通信路を介して送信することにより、通信の秘匿性を向上することが可能となる。
【0020】
本発明の第8の態様に係る半導体集積回路は、第1又は第2の態様に係る半導体集積回路において特に、前記第1のデータは、前記送信データのうちの特定のビットのデータを抽出した第1群のビットデータと、ビット抽出の手順に関する情報とを含み、前記第2のデータは、前記送信データのうちの他の特定のビットのデータを抽出した第2群のビットデータを含むことを特徴とするものである。
【0021】
第8の態様に係る半導体集積回路によれば、第1のデータは、送信データのうちの特定のビットのデータを抽出した第1群のビットデータと、ビット抽出の手順に関する情報とを含み、第2のデータは、送信データのうちの他の特定のビットのデータを抽出した第2群のビットデータを含む。このように、第1群のビットデータ及びビット抽出の手順に関する情報と、第2群のビットデータとを異なる通信路を介して送信することにより、通信の秘匿性を向上することが可能となる。
【0022】
本発明の第9の態様に係る半導体集積回路は、第1〜第8のいずれか一つの態様に係る半導体集積回路において特に、前記送信データは、前記第1の通信路及び前記第2の通信路の実効通信量に基づいて、前記第1のデータと前記第2のデータとに振り分けられることを特徴とするものである。
【0023】
第9の態様に係る半導体集積回路によれば、送信データは、第1の通信路及び第2の通信路の実効通信量に基づいて、第1のデータと第2のデータとに振り分けられる。その結果、実効通信量の高い通信路に多くのデータを振り分けることにより、通信の信頼性を向上することが可能となる。
【0024】
本発明の第10の態様に係る半導体集積回路は、第1〜第8のいずれか一つの態様に係る半導体集積回路において特に、前記第1のデータは、前記第2のデータのエラー訂正コードを含み、前記第2のデータは、前記第1のデータのエラー訂正コードを含むことを特徴とするものである。
【0025】
第10の態様に係る半導体集積回路によれば、第1のデータは第2のデータのエラー訂正コードを含み、第2のデータは第1のデータのエラー訂正コードを含む。このように、エラー訂正コードを送信することにより、通信の信頼性を向上することが可能となる。また、第1のデータのエラー訂正コードを第2のデータに含め、第2のデータのエラー訂正コードを第1のデータに含めることにより、通信の秘匿性を向上することが可能となる。
【0026】
本発明の第11の態様に係る半導体集積回路は、第1〜第8のいずれか一つの態様に係る半導体集積回路において特に、前記第1の通信路の通信成功率が前記第2の通信路の通信成功率より高い場合、前記第2のデータには、前記第1のデータに付加されるエラー訂正コードよりもエラー訂正能力の高いエラー訂正コードが付加されることを特徴とするものである。
【0027】
第11の態様に係る半導体集積回路によれば、第1の通信路の通信成功率が第2の通信路の通信成功率より高い場合、第2のデータには、第1のデータに付加されるエラー訂正コードよりもエラー訂正能力の高いエラー訂正コードが付加される。このように、通信成功率の低い第2の通信路を介して送信される第2のデータには、エラー訂正能力の高い訂正コードを付加することにより、通信の信頼性を向上することが可能となる。
【0028】
本発明の第12の態様に係る半導体集積回路は、第1〜第8のいずれか一つの態様に係る半導体集積回路において特に、前記第1のデータは、前記送信データを含み、前記第2のデータは、前記送信データのエラー訂正コードを含むことを特徴とするものである。
【0029】
第12の態様に係る半導体集積回路によれば、第1のデータは送信データを含み、第2のデータは送信データのエラー訂正コードを含む。このように、エラー訂正コードを送信することにより、通信の信頼性を向上することが可能となる。また、送信データとエラー訂正コードとを異なる通信路を介して送信することにより、通信の秘匿性を向上することが可能となる。
【0030】
本発明の第13の態様に係る通信装置は、第1の態様に係る半導体集積回路を備えることを特徴とするものである。
【0031】
第13の態様に係る通信装置によれば、第1の態様に係る半導体集積回路を備えることにより、通信の秘匿性を向上することが可能となる。
【0032】
本発明の第14の態様に係る通信装置は、第2の態様に係る半導体集積回路を備えることを特徴とするものである。
【0033】
第14の態様に係る通信装置によれば、第2の態様に係る半導体集積回路を備えることにより、通信の秘匿性を向上することが可能となる。
【0034】
本発明の第15の態様に係る通信システムは、第13の態様に係る通信装置と、第14の態様に係る通信装置とを備えることを特徴とするものである。
【0035】
第15の態様に係る通信システムによれば、第13の態様に係る通信装置と、第14の態様に係る通信装置とを備えることにより、通信の秘匿性を向上することが可能となる。
【0036】
本発明の第16の態様に係る通信方法は、第1の通信装置と第2の通信装置とが複数の通信路を介して通信する通信システムにおける通信方法であって、(A)前記第1の通信装置において、前記第1の通信装置から前記第2の通信装置に送信すべき送信データを処理することにより、第1のデータと、当該第1のデータに関連する第2のデータとを生成するステップと、(B)前記第1の通信装置において、前記第1のデータが第1の通信路を介して前記他の通信装置に送信され、前記第2のデータが第2の通信路を介して前記第2の通信装置に送信されるよう、データを振り分けるステップと、(C)前記第2の通信装置において、前記第1の通信路を介して前記第1のデータを受信し、前記第2の通信路を介して前記第2のデータを受信するステップと、(D)前記第2の通信装置において、互いに関連する前記第1のデータと前記第2のデータとを対応付けるステップと、(E)前記ステップ(D)によって対応付けられた前記第1のデータと前記第2のデータとに基づいて、前記送信データを復元するステップと、を備えることを特徴とするものである。
【0037】
第16の態様に係る通信方法によれば、第1の通信装置は、送信データを処理することにより、第1のデータと、当該第1のデータに関連する第2のデータとを生成する。また、第1の通信装置は、第1のデータが第1の通信路を介して第2の通信装置に送信され、第2のデータが第2の通信路を介して第2の通信装置に送信されるよう、データを振り分ける。第2の通信装置は、第1のデータを第1の通信路を介して受信し、第2のデータを第2の通信路を介して受信する。また、第2の通信装置は、互いに関連する第1のデータと第2のデータとを対応付け、対応付けられた第1のデータと第2のデータとに基づいて送信データを復元する。このように、第1の通信路及び第2の通信路の一方又は双方に完全な送信データを送信するのではなく、送信データを第1のデータと第2のデータとに振り分けて、第1の通信路を介して第1のデータを送信し、第2の通信路を介して第2のデータを送信する。その結果、第1のデータ及び第2のデータの一方のみを取得しても完全な送信データを復元できないため、通信の秘匿性を向上することが可能となる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、複数の通信路を介して通信可能な通信装置間における通信の秘匿性を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施の形態に係る通信システムの全体構成を簡略化して示す図である。
【図2】通信装置に実装されている半導体集積回路の構成を簡略化して示す図である。
【図3】通信装置に実装されている半導体集積回路の構成を簡略化して示す図である。
【図4】データ処理部によるデータの生成処理の第1の例を示す図である。
【図5】データ処理部によるデータの生成処理の第2の例を示す図である。
【図6】データ処理部によるデータの生成処理の第3の例を示す図である。
【図7】データ処理部によるデータの生成処理の第4の例を示す図である。
【図8】データ処理部によるデータの生成処理の第5の例を示す図である。
【図9】データ処理部によるデータの生成処理の第6の例を示す図である。
【図10】データ処理部によるデータの生成処理の第7の例を示す図である。
【図11】データ処理部によるデータの生成処理の第8の例を示す図である。
【図12】データ処理部によるデータの生成処理の第9の例を示す図である。
【図13】データ処理部によるデータの生成処理の第10の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0041】
図1は、本発明の実施の形態に係る通信システム1の全体構成を簡略化して示す図である。通信システム1は、例えばユーザの住宅内に構築されたシステムであり、複数の通信装置を備えて構成されている。図1に示した例では、説明の簡略化のため、代表的に4つの通信装置2,3A〜3Cのみを示している。通信装置3A〜3Cは、電力線、有線LAN、又は同軸線等の任意の有線通信路4を介して、通信装置2に接続されている。これにより通信装置3A〜3Cは、有線通信路4を介して通信装置2と有線通信を行うことが可能である。また、通信装置2,3A〜3Cは、無線LAN又は短距離無線通信等の任意の無線通信機能を備えている。これにより通信装置3A〜3Cは、図1中に破線で示すように、無線通信路を介して通信装置2と無線通信を行うことが可能である。なお、本実施の形態の例において、無線通信路の通信速度は有線通信路4の通信速度よりも大きい。
【0042】
通信装置3A〜3Cは、例えば家電機器の消費電力量をそれぞれ測定し、その測定結果を含むデータを通信装置2に送信する。以下の説明において通信装置3A〜3Cを特に区別しない場合は、「通信装置3」と総称する。通信装置2は、複数の通信装置3から送信されたデータを受信する。そして、受信したデータに基づいて統計処理を行うことにより、ユーザの住宅における電力使用状況を分析し、その分析結果をモニタに表示すること等によってユーザに提供する。
【0043】
図2は、通信装置3に実装されている半導体集積回路10の構成を簡略化して示す図である。図2に示すように半導体集積回路10は、CPU11、データ制御部12、無線通信部13、及び有線通信部14を備えて構成されている。データ制御部12は、データ処理部21及びデータ振分部22を有している。
【0044】
CPU11は、通信装置3から通信装置2に送信すべき送信データD0を生成する。データ処理部21は、CPU11から入力された送信データD0を処理することにより、データD1と、データD1に関連するデータD2とを生成し、互いに関連するデータD1,D2に対して固有の識別情報を付与する。データD1,D2の詳細については後述する。データ振分部22は、データD1が無線通信部13から送信され、データD2が有線通信部14から送信されるよう、データD1,D2を振り分ける。無線通信部13は、データ振分部22から入力されたデータD1を、無線通信路を介して通信装置2に送信する。有線通信部14は、データ振分部22から入力されたデータD2を、有線通信路4を介して通信装置2に送信する。
【0045】
図3は、通信装置2に実装されている半導体集積回路30の構成を簡略化して示す図である。図3に示すように半導体集積回路30は、CPU31、データ制御部32、無線通信部33、及び有線通信部34を備えて構成されている。データ制御部32は、データ処理部41及びデータ対応付け部42を有している。
【0046】
無線通信部33は、通信装置3から送信されたデータD1を受信する。有線通信部34は、通信装置3から送信されたデータD2を受信する。データ対応付け部42は、各データに付与されている識別情報に基づいて、無線通信部33及び有線通信部34から入力された複数のデータのうち、互いに関連するデータD1とデータD2とを対応付ける。データ処理部41は、データ対応付け部42から入力されたデータD1,D2に基づいて送信データD0を復元し、その復元した送信データD0をCPU31に入力する。
【0047】
図4は、データ処理部21によるデータD1,D2の生成処理の第1の例を示す図である。まずデータ処理部21は、送信データD0をCPU11から入力する。次にデータ処理部21は、所定の暗号鍵DXを用いて送信データD0を暗号化することにより、暗号化データを生成する。次にデータ処理部21は、暗号化データを含むデータD1を生成し、暗号鍵DXを含むデータD2を生成する。ある送信データD0に関するデータD1とデータD2とは、同じ送信タイミングで通信装置3から通信装置2に送信してもよいし、送信タイミングを異ならせてもよい。送信タイミングを異ならせる場合には、例えば、あるデータD0に関するデータD1と次のデータD0に関するデータD2とを同じ送信タイミングで送信する。また、暗号鍵DXは、所定数(一又は複数)の送信データD0毎に異ならせてもよいし、所定期間毎に異ならせてもよい。
【0048】
図3を参照して、データ対応付け部42は、互いに関連するデータD1,D2(つまり同一の送信データD0に関して生成されたデータD1,D2)を対応付ける。また、データ処理部41は、データD2に含まれる暗号鍵DXを用いて、データD1に含まれる暗号化データを復号することにより、暗号化される前の送信データD0を復元する。
【0049】
図5は、データ処理部21によるデータD1,D2の生成処理の第2の例を示す図である。まずデータ処理部21は、送信データD0をCPU11から入力する。次にデータ処理部21は、送信データD0を任意のバイト長毎に分割することにより、複数の分割データD1A〜D1Hを生成する。次に、データ処理部21は、分割データD1A〜D1Hを任意に並び替えることにより、並び替え後の分割データD1A〜D1Hを含むデータD1を生成する。また、データ処理部21は、各分割データD1A〜D1Hのバイト長と並び替え後の配列順序とを示す処理手順情報DYを作成し、その処理手順情報DYを含むデータD2を生成する。第1の例と同様に、ある送信データD0に関するデータD1とデータD2とは、同じ送信タイミングで通信装置3から通信装置2に送信してもよいし、送信タイミングを異ならせてもよい。また、分割処理及び並び替え処理の処理手順は、所定数(一又は複数)の送信データD0毎に異ならせてもよいし、所定期間毎に異ならせてもよい。
【0050】
図3を参照して、データ対応付け部42は、互いに関連するデータD1,D2(つまり同一の送信データD0に関して生成されたデータD1,D2)を対応付ける。また、データ処理部41は、データD2に含まれる処理手順情報DYに基づいて、データD1に含まれる分割データD1A〜D1Hを元の配列順序に並び替えることにより、元の送信データD0を復元する。
【0051】
図6は、データ処理部21によるデータD1,D2の生成処理の第3の例を示す図である。まずデータ処理部21は、送信データD0をCPU11から入力する。次にデータ処理部21は、予め規定された所定のバイト長毎に送信データD0を分割することにより、複数の分割データD1A〜D1Hを生成する。次に、データ処理部21は、分割データD1A〜D1Hのうち、予め規定された所定の分割データを、予め規定された所定の順序に並び替えて配列することにより、複数の分割データ(図6の例では分割データD1E,D1G,D1B,D1H)を含むデータD1を生成する。また、データ処理部21は、分割データD1A〜D1Hのうち、予め規定された所定の分割データを、予め規定された所定の順序に並び替えて配列することにより、複数の分割データ(図6の例では分割データD1A,D1F,D1D,D1C)を含むデータD2を生成する。第1の例と同様に、ある送信データD0に関するデータD1とデータD2とは、同じ送信タイミングで通信装置3から通信装置2に送信してもよいし、送信タイミングを異ならせてもよい。また、分割処理及び並び替え処理の処理手順は、予め規定された規則に従って、所定数(一又は複数)の送信データD0毎に異ならせてもよいし、所定期間毎に異ならせてもよい。
【0052】
図3を参照して、データ対応付け部42は、互いに関連するデータD1,D2(つまり同一の送信データD0に関して生成されたデータD1,D2)を対応付ける。また、データ処理部41は、予め規定された所定の処理手順に従って、データD1,D2に含まれる分割データD1A〜D1Hを元の配列順序に並び替えることにより、元の送信データD0を復元する。
【0053】
図7は、データ処理部21によるデータD1,D2の生成処理の第4の例を示す図である。まずデータ処理部21は、送信データD0をCPU11から入力する。次にデータ処理部21は、送信データD0を任意のバイト長毎に分割することにより、複数の分割データD1A〜D1Hを生成する。次に、データ処理部21は、分割データD1A〜D1Hのうち、任意の分割データを任意の順序に並び替えて配列することにより、複数の分割データ(図7の例では分割データD1E,D1G,D1B,D1H)を含むデータD1を生成する。また、データ処理部21は、分割データD1A〜D1Hのうち、任意の分割データを任意の順序に並び替えて配列することにより、複数の分割データ(図7の例では分割データD1A,D1F,D1D,D1C)を含むデータD2を生成する。また、データ処理部21は、各分割データD1A〜D1Hのバイト長と、データD1,D2における並び替え後の分割データの配列順序とを示す処理手順情報DYを作成し、その処理手順情報DYをデータD1内に含める。第1の例と同様に、ある送信データD0に関するデータD1とデータD2とは、同じ送信タイミングで通信装置3から通信装置2に送信してもよいし、送信タイミングを異ならせてもよい。また、分割処理及び並び替え処理の処理手順は、所定数(一又は複数)の送信データD0毎に異ならせてもよいし、所定期間毎に異ならせてもよい。
【0054】
図3を参照して、データ対応付け部42は、互いに関連するデータD1,D2(つまり同一の送信データD0に関して生成されたデータD1,D2)を対応付ける。また、データ処理部41は、データD1に含まれる処理手順情報DYに基づいて、データD1,D2に含まれる分割データD1A〜D1Hを元の配列順序に並び替えることにより、元の送信データD0を復元する。
【0055】
図8は、データ処理部21によるデータD1,D2の生成処理の第5の例を示す図である。まずデータ処理部21は、送信データD0をCPU11から入力する。次にデータ処理部21は、送信データD0のうち、予め規定された特定のビットデータD1P(例えば奇数ビットのデータ)を抽出することにより、当該特定のビットデータD1Pを含むデータD1を生成する。また、データ処理部21は、送信データD0のうち、予め規定された特定のビットデータD1Q(例えば偶数ビットのデータ)を抽出することにより、当該特定のビットデータD1Qを含むデータD2を生成する。第1の例と同様に、ある送信データD0に関するデータD1とデータD2とは、同じ送信タイミングで通信装置3から通信装置2に送信してもよいし、送信タイミングを異ならせてもよい。また、ビットデータの抽出処理の処理手順は、予め規定された規則に従って、所定数(一又は複数)の送信データD0毎に異ならせてもよいし、所定期間毎に異ならせてもよい。
【0056】
図3を参照して、データ対応付け部42は、互いに関連するデータD1,D2(つまり同一の送信データD0に関して生成されたデータD1,D2)を対応付ける。また、データ処理部41は、予め規定された所定の処理手順に従って、データD1,D2に含まれるビットデータD1P,D1Qを結合することにより、元の送信データD0を復元する。
【0057】
図9は、データ処理部21によるデータD1,D2の生成処理の第6の例を示す図である。まずデータ処理部21は、送信データD0をCPU11から入力する。次にデータ処理部21は、送信データD0のうち、任意のビットに関するビットデータD1Pを抽出することにより、当該ビットデータD1Pを含むデータD1を生成する。また、データ処理部21は、送信データD0のうち、残余のビットに関するビットデータD1Qを抽出することにより、当該ビットデータD1Qを含むデータD2を生成する。また、データ処理部21は、データD1,D2におけるビットデータの抽出手順を示す処理手順情報DZを作成し、その処理手順情報DZをデータD1内に含める。第1の例と同様に、ある送信データD0に関するデータD1とデータD2とは、同じ送信タイミングで通信装置3から通信装置2に送信してもよいし、送信タイミングを異ならせてもよい。また、ビットデータの抽出処理の処理手順は、所定数(一又は複数)の送信データD0毎に異ならせてもよいし、所定期間毎に異ならせてもよい。
【0058】
図3を参照して、データ対応付け部42は、互いに関連するデータD1,D2(つまり同一の送信データD0に関して生成されたデータD1,D2)を対応付ける。また、データ処理部41は、データD1に含まれる処理手順情報DZに基づいて、データD1,D2に含まれるビットデータD1P,D1Qを結合することにより、元の送信データD0を復元する。
【0059】
なお、上記第1〜第6の例は、任意に組み合わせて適用することが可能である。例えば、送信データ毎に、あるいは所定期間毎に、あるいは通信装置2からコマンドが入力される毎に、あるいはランダムに、第1〜第6の例を変更して適用することにより、通信の秘匿性をさらに向上することができる。
【0060】
上記第1〜第6の例では、主に通信の秘匿性を向上する観点から送信データD0をデータD1,D2に分割する例について述べたが、以下、第1〜第6の例において通信の信頼性を向上するための手法について説明する。
【0061】
図10は、データ処理部21によるデータD1,D2の生成処理の第7の例を示す図である。まずデータ処理部21は、送信データD0をCPU11から入力する。次にデータ処理部21は、予め規定された所定のバイト長毎に送信データD0を分割することにより、複数の分割データD1A〜D1Fを生成する。次に、データ処理部21は、無線通信部13からの無線通信に関する直近所定期間内の実効通信量(例えば通信成功率及び通信速度に基づいて決定される指標)と、有線通信部14からの有線通信に関する直近所定期間内の実効通信量とに基づいて、分割データD1A〜D1FのうちデータD1,D2に振り分ける分割データの割合を決定する。例えば、無線通信の実効通信量が有線通信の実効通信量の2倍である場合には、データD1に振り分ける分割データの割合をデータD2に振り分ける分割データの割合の2倍に設定する。図10の例では、分割データD1A,D1C,D1D,D1FがデータD1に振り分けられ、分割データD1B,D1EがデータD2に振り分けられている。また、実効通信量が低い側の通信路を介した通信においては、各通信路に関する実効通信量の差に応じて、同一の分割データが複数回繰り返して送信される。図10の例では、通信成功率の低い有線通信によって送信されるデータD2には、分割データD1B,D1Eがそれぞれ2個ずつ含まれている。
【0062】
図11は、データ処理部21によるデータD1,D2の生成処理の第8の例を示す図である。まずデータ処理部21は、送信データD0をCPU11から入力する。次にデータ処理部21は、予め規定された所定のバイト長毎に送信データD0を分割することにより、複数の分割データD1A〜D1Fを生成する。また、データ処理部21は、各分割データD1A〜D1Fに関する通信エラーの検出及び訂正を行うためのエラー訂正コードEA〜EFを生成する。次に、データ処理部21は、分割データD1A,D1C,D1EをデータD1に含めるとともに、エラー訂正コードEA,EC,EEをデータD2に含める。また、データ処理部21は、分割データD1B,D1D,D1FをデータD2に含めるとともに、エラー訂正コードEB,ED,EFをデータD1に含める。図11の例では、データD1においては分割データD1A→エラー訂正コードEB→分割データD1C→エラー訂正コードED→分割データD1E→エラー訂正コードEFの順に配列され、データD2においてはエラー訂正コードEA→分割データD1B→エラー訂正コードEC→分割データD1D→エラー訂正コードEE→分割データD1Fの順に配列されている。
【0063】
図12は、データ処理部21によるデータD1,D2の生成処理の第9の例を示す図である。まずデータ処理部21は、送信データD0をCPU11から入力する。次にデータ処理部21は、予め規定された所定のバイト長毎に送信データD0を分割することにより、複数の分割データD1A〜D1Fを生成する。データ処理部21は、分割データD1A,D1C,D1EをデータD1に含めるとともに、分割データD1B,D1D,D1FをデータD2に含める。また、データ処理部21は、通信成功率の高い無線通信によって送信される分割データD1A,D1C,D1Eに関しては、エラー訂正能力の低いエラー訂正コードEAn,ECn,EEn(例えば1ビット訂正用のエラー訂正コード)を生成し、これらのエラー訂正コードEAn,ECn,EEnをデータD1に含める。一方、通信成功率の低い有線通信によって送信される分割データD1B,D1D,D1Fに関しては、エラー訂正能力の高いエラー訂正コードEBh,EDh,EFh(例えば8ビット訂正用のエラー訂正コード)を生成し、これらのエラー訂正コードEBh,EDh,EFhをデータD2に含める。図12の例では、データD1においては分割データD1A→エラー訂正コードEAn→分割データD1C→エラー訂正コードECn→分割データD1E→エラー訂正コードEEnの順に配列され、データD2においては分割データD1B→エラー訂正コードEBh→分割データD1D→エラー訂正コードEDh→分割データD1F→エラー訂正コードEFhの順に配列されている。
【0064】
図13は、データ処理部21によるデータD1,D2の生成処理の第10の例を示す図である。まずデータ処理部21は、送信データD0をCPU11から入力する。次にデータ処理部21は、予め規定された所定のバイト長毎に送信データD0を分割することにより、複数の分割データD1A〜D1Fを生成する。また、データ処理部21は、各分割データD1A〜D1Fに関する通信エラーの検出及び訂正を行うためのエラー訂正コードEA〜EFを生成する。次に、データ処理部21は、分割データD1A〜D1FをデータD1に含めるとともに、エラー訂正コードEA〜EFをデータD2に含める。エラー訂正コードのデータ量は分割データのデータ量よりも十分に小さいため、第10の例は有線通信の実効通信量が無線通信の実効通信量より極端に低い場合等に有効である。なお、無線通信及び有線通信の各実効通信量に応じて、データの振り分けを調整することもできる。例えば、実効通信量の差が大きい場合には、エラー訂正コードEA〜EFの一部をデータD1に含めてもよい。あるいは、実効通信量の差が小さい場合には、分割データD1A〜D1Fの一部をデータD2に含めてもよい。
【0065】
なお、上記第7〜第10の例は、任意に組み合わせて適用することが可能であり、複数の例を組み合わせることによって、通信の信頼性をさらに向上することができる。
【0066】
本実施の形態に係る半導体集積回路10によれば、データ処理部21は、送信データD0を処理することにより、データD1(第1のデータ)と、データD1に関連するデータD2(第2のデータ)とを生成する。また、データ振分部22は、データD1が無線通信部13(第1の通信部)から無線通信路を介して通信装置2に送信され、データD2が有線通信部14(第2の通信部)から有線通信路4を介して通信装置2に送信されるよう、データD1,D2を振り分ける。このように、無線通信路及び有線通信路4の一方又は双方に完全な送信データD0を送信するのではなく、送信データD0をデータD1とデータD2とに振り分けて、無線通信路を介してデータD1を送信し、有線通信路4を介してデータD2を送信する。その結果、データD1及びデータD2の一方のみを取得しても完全な送信データD0を復元できないため、通信の秘匿性を向上することが可能となる。
【0067】
また、本実施の形態に係る半導体集積回路30によれば、無線通信部33(第1の通信部)はデータD1を通信装置3から受信し、有線通信部34(第2の通信部)はデータD2を通信装置3から受信する。また、データ対応付け部42は、互いに関連するデータD1とデータD2とを対応付ける。そして、データ処理部41は、データ対応付け部42によって対応付けられたデータD1とデータD2とに基づいて、通信装置3から通信装置2に送信された送信データD0を復元する。このように、無線通信路及び有線通信路4の一方又は双方に完全な送信データD0を送信するのではなく、送信データD0をデータD1とデータD2とに振り分けて、無線通信路を介してデータD1を送信し、有線通信路4を介してデータD2を送信する。その結果、データD1及びデータD2の一方のみを取得しても完全な送信データD0を復元できないため、通信の秘匿性を向上することが可能となる。
【0068】
また、図4に示した第1の例によれば、データD1は、送信データD0を暗号化することによって生成された暗号化データを含み、データD2は、暗号化データの復号に用いる暗号鍵DXを含む。このように、暗号化データと暗号鍵DXとを異なる通信路を介して送信することにより、通信の秘匿性を向上することが可能となる。
【0069】
また、図5に示した第2の例によれば、データD1は、送信データD0に対して所定の分割処理及び並び替え処理が行われた複数の分割データD1A〜D1Hを含み、データD2は、分割処理及び並び替え処理の手順に関する処理手順情報DYを含む。このように、分割データD1A〜D1Hと処理手順情報DYとを異なる通信路を介して送信することにより、通信の秘匿性を向上することが可能となる。
【0070】
また、図6に示した第3の例によれば、データD1は、送信データD0に対して所定の分割処理及び並び替え処理が行われた複数の分割データD1A〜D1Hのうちの第1群の分割データを含み、データD2は、複数の分割データD1A〜D1Hのうちの第2群の分割データを含む。このように、第1群の分割データと第2群の分割データとを異なる通信路を介して送信することにより、通信の秘匿性を向上することが可能となる。
【0071】
また、図7に示した第4の例によれば、データD1は、送信データD0に対して所定の分割処理及び並び替え処理が行われた複数の分割データD1A〜D1Hのうちの第1群の分割データと、処理手順情報DYとを含み、データD2は、複数の分割データD1A〜D1Hのうちの第2群の分割データを含む。このように、第1群の分割データ及び処理手順情報DYと、第2群の分割データとを異なる通信路を介して送信することにより、通信の秘匿性を向上することが可能となる。
【0072】
また、図8に示した第5の例によれば、データD1は、送信データD0のうちの特定のビットのデータを抽出した第1群のビットデータを含み、データD2は、送信データD0のうちの他の特定のビットのデータを抽出した第2群のビットデータを含む。このように、第1群のビットデータと第2群のビットデータとを異なる通信路を介して送信することにより、通信の秘匿性を向上することが可能となる。
【0073】
また、図9に示した第6の例によれば、データD1は、送信データD0のうちの特定のビットのデータを抽出した第1群のビットデータと、処理手順情報DZとを含み、データD2は、送信データD0のうちの他の特定のビットのデータを抽出した第2群のビットデータを含む。このように、第1群のビットデータ及び処理手順情報DZと、第2群のビットデータとを異なる通信路を介して送信することにより、通信の秘匿性を向上することが可能となる。
【0074】
また、図10に示した第7の例によれば、送信データD0は、無線通信路及び有線通信路4の実効通信量に基づいて、データD1とデータD2とに振り分けられる。その結果、実効通信量の高い通信路に多くのデータを振り分けることにより、通信の信頼性を向上することが可能となる。
【0075】
また、図11に示した第8の例によれば、データD1はデータD2のエラー訂正コードを含み、データD2はデータD1のエラー訂正コードを含む。このように、エラー訂正コードを送信することにより、通信の信頼性を向上することが可能となる。また、データD1のエラー訂正コードをデータD2に含め、データD2のエラー訂正コードをデータD1に含めることにより、通信の秘匿性を向上することが可能となる。
【0076】
また、図12に示した第9の例によれば、無線通信路の通信成功率が有線通信路4の通信成功率より高い場合、データD2には、データD1に付加されるエラー訂正コードよりもエラー訂正能力の高いエラー訂正コードが付加される。このように、通信成功率の低い有線通信路4を介して送信されるデータD2には、エラー訂正能力の高い訂正コードを付加することにより、通信の信頼性を向上することが可能となる。
【0077】
また、図13に示した第10の例によれば、データD1は送信データを含み、データD2は送信データのエラー訂正コードを含む。このように、エラー訂正コードを送信することにより、通信の信頼性を向上することが可能となる。また、送信データとエラー訂正コードとを異なる通信路を介して送信することにより、通信の秘匿性を向上することが可能となる。
【符号の説明】
【0078】
1 通信システム
2,3A〜3C 通信装置
10,30 半導体集積回路
12,32 データ制御部
13,33 無線通信部
14,34 有線通信部
21,41 データ処理部
22 データ振分部
42 データ対応付け部
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路、通信装置、通信システム、及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、複数の通信装置を備える通信システムが開示されている。当該通信システムにおいて、各通信装置は、電力線通信等の有線通信部と、無線LAN等の無線通信部とをそれぞれ有している。各通信装置は、有線通信及び無線通信の双方によって、他の通信装置と通信が可能である。第1の通信装置から第2の通信装置にデータを送信する場合には、第1の通信装置は、有線通信及び無線通信の双方によって、同一のデータを第2の通信装置に向けて送信する。このように、同一のデータを複数の通信路を用いて通信することにより、通信の信頼性を向上することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−28572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記特許文献1に開示された通信システムによると、第1の通信装置は、有線通信及び無線通信の双方によって、同一のデータを第2の通信装置に向けて送信する。つまり、有線通信及び無線通信の各々によって、完全なデータが通信装置間でそれぞれ通信される。従って、有線通信及び無線通信のいずれか一方において第三者によって通信内容が不正に傍受された場合には、完全なデータが取得されてしまうため、通信の秘匿性が十分でないという問題がある。
【0005】
本発明はかかる問題を解決するために成されたものであり、複数の通信路を介して通信可能な通信装置間における通信の秘匿性を向上することが可能な、半導体集積回路、通信装置、通信システム、及び通信方法を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る半導体集積回路は、通信装置と他の通信装置とが複数の通信路を介して通信する通信システムにおいて、前記通信装置に実装される半導体集積回路であって、第1の通信路を介して前記他の通信装置と通信する第1の通信部と、第2の通信路を介して前記他の通信装置と通信する第2の通信部と、前記通信装置から前記他の通信装置に送信すべき送信データを制御するデータ制御部と、を備え、前記データ制御部は、前記送信データを処理することにより、第1のデータと、当該第1のデータに関連する第2のデータとを生成するデータ処理部と、前記第1のデータが前記第1の通信部から前記他の通信装置に送信され、前記第2のデータが前記第2の通信部から前記他の通信装置に送信されるよう、データを振り分けるデータ振分部と、を有することを特徴とするものである。
【0007】
第1の態様に係る半導体集積回路によれば、データ処理部は、送信データを処理することにより、第1のデータと、当該第1のデータに関連する第2のデータとを生成する。また、データ振分部は、第1のデータが第1の通信部から第1の通信路を介して他の通信装置に送信され、第2のデータが第2の通信部から第2の通信路を介して他の通信装置に送信されるよう、データを振り分ける。このように、第1の通信路及び第2の通信路の一方又は双方に完全な送信データを送信するのではなく、送信データを第1のデータと第2のデータとに振り分けて、第1の通信路を介して第1のデータを送信し、第2の通信路を介して第2のデータを送信する。その結果、第1のデータ及び第2のデータの一方のみを取得しても完全な送信データを復元できないため、通信の秘匿性を向上することが可能となる。
【0008】
本発明の第2の態様に係る半導体集積回路は、通信装置と他の通信装置とが複数の通信路を介して通信する通信システムにおいて、前記他の通信装置に実装される半導体集積回路であって、第1の通信路を介して前記通信装置と通信する第1の通信部と、第2の通信路を介して前記通信装置と通信する第2の通信部と、前記通信装置から受信した受信データを制御するデータ制御部と、を備え、前記第1の通信部は、第1のデータを前記通信装置から受信し、前記第2の通信部は、第2のデータを前記通信装置から受信し、前記データ制御部は、互いに関連する前記第1のデータと前記第2のデータとを対応付けるデータ対応付け部と、前記データ対応付け部によって対応付けられた前記第1のデータと前記第2のデータとに基づいて、前記通信装置から前記他の通信装置に送信された送信データを復元するデータ処理部と、を有することを特徴とするものである。
【0009】
第2の態様に係る半導体集積回路によれば、第1の通信部は第1のデータを通信装置から受信し、第2の通信部は第2のデータを通信装置から受信する。また、データ対応付け部は、互いに関連する第1のデータと第2のデータとを対応付ける。そして、データ処理部は、データ対応付け部によって対応付けられた第1のデータと第2のデータとに基づいて、通信装置から他の通信装置に送信された送信データを復元する。このように、第1の通信路及び第2の通信路の一方又は双方に完全な送信データを送信するのではなく、送信データを第1のデータと第2のデータとに振り分けて、第1の通信路を介して第1のデータを送信し、第2の通信路を介して第2のデータを送信する。その結果、第1のデータ及び第2のデータの一方のみを取得しても完全な送信データを復元できないため、通信の秘匿性を向上することが可能となる。
【0010】
本発明の第3の態様に係る半導体集積回路は、第1又は第2の態様に係る半導体集積回路において特に、前記第1のデータは、前記送信データを暗号化することによって生成された暗号化データを含み、前記第2のデータは、前記暗号化データの復号に用いる暗号鍵を含むことを特徴とするものである。
【0011】
第3の態様に係る半導体集積回路によれば、第1のデータは、送信データを暗号化することによって生成された暗号化データを含み、第2のデータは、暗号化データの復号に用いる暗号鍵を含む。このように、暗号化データと暗号鍵とを異なる通信路を介して送信することにより、通信の秘匿性を向上することが可能となる。
【0012】
本発明の第4の態様に係る半導体集積回路は、第1又は第2の態様に係る半導体集積回路において特に、前記第1のデータは、前記送信データに対して所定の分割処理及び並び替え処理が行われた複数の分割データを含み、前記第2のデータは、前記分割処理及び前記並び替え処理の手順に関する情報を含むことを特徴とするものである。
【0013】
第4の態様に係る半導体集積回路によれば、第1のデータは、送信データに対して所定の分割処理及び並び替え処理が行われた複数の分割データを含み、第2のデータは、分割処理及び並び替え処理の手順に関する情報を含む。このように、複数の分割データと、分割処理及び並び替え処理の手順に関する情報とを異なる通信路を介して送信することにより、通信の秘匿性を向上することが可能となる。
【0014】
本発明の第5の態様に係る半導体集積回路は、第1又は第2の態様に係る半導体集積回路において特に、前記第1のデータは、前記送信データに対して所定の分割処理及び並び替え処理が行われた複数の分割データのうちの第1群の分割データを含み、前記第2のデータは、前記複数の分割データのうちの第2群の分割データを含むことを特徴とするものである。
【0015】
第5の態様に係る半導体集積回路によれば、第1のデータは、送信データに対して所定の分割処理及び並び替え処理が行われた複数の分割データのうちの第1群の分割データを含み、第2のデータは、複数の分割データのうちの第2群の分割データを含む。このように、第1群の分割データと第2群の分割データとを異なる通信路を介して送信することにより、通信の秘匿性を向上することが可能となる。
【0016】
本発明の第6の態様に係る半導体集積回路は、第1又は第2の態様に係る半導体集積回路において特に、前記第1のデータは、前記送信データに対して所定の分割処理及び並び替え処理が行われた複数の分割データのうちの第1群の分割データと、前記分割処理及び前記並び替え処理の手順に関する情報とを含み、前記第2のデータは、前記複数の分割データのうちの第2群の分割データを含むことを特徴とするものである。
【0017】
第6の態様に係る半導体集積回路によれば、第1のデータは、送信データに対して所定の分割処理及び並び替え処理が行われた複数の分割データのうちの第1群の分割データと、分割処理及び並び替え処理の手順に関する情報とを含み、第2のデータは、複数の分割データのうちの第2群の分割データを含む。このように、第1群の分割データ並びに分割処理及び並び替え処理の手順に関する情報と、第2群の分割データとを異なる通信路を介して送信することにより、通信の秘匿性を向上することが可能となる。
【0018】
本発明の第7の態様に係る半導体集積回路は、第1又は第2の態様に係る半導体集積回路において特に、前記第1のデータは、前記送信データのうちの特定のビットのデータを抽出した第1群のビットデータを含み、前記第2のデータは、前記送信データのうちの他の特定のビットのデータを抽出した第2群のビットデータを含むことを特徴とするものである。
【0019】
第7の態様に係る半導体集積回路によれば、第1のデータは、送信データのうちの特定のビットのデータを抽出した第1群のビットデータを含み、第2のデータは、送信データのうちの他の特定のビットのデータを抽出した第2群のビットデータを含む。このように、第1群のビットデータと第2群のビットデータとを異なる通信路を介して送信することにより、通信の秘匿性を向上することが可能となる。
【0020】
本発明の第8の態様に係る半導体集積回路は、第1又は第2の態様に係る半導体集積回路において特に、前記第1のデータは、前記送信データのうちの特定のビットのデータを抽出した第1群のビットデータと、ビット抽出の手順に関する情報とを含み、前記第2のデータは、前記送信データのうちの他の特定のビットのデータを抽出した第2群のビットデータを含むことを特徴とするものである。
【0021】
第8の態様に係る半導体集積回路によれば、第1のデータは、送信データのうちの特定のビットのデータを抽出した第1群のビットデータと、ビット抽出の手順に関する情報とを含み、第2のデータは、送信データのうちの他の特定のビットのデータを抽出した第2群のビットデータを含む。このように、第1群のビットデータ及びビット抽出の手順に関する情報と、第2群のビットデータとを異なる通信路を介して送信することにより、通信の秘匿性を向上することが可能となる。
【0022】
本発明の第9の態様に係る半導体集積回路は、第1〜第8のいずれか一つの態様に係る半導体集積回路において特に、前記送信データは、前記第1の通信路及び前記第2の通信路の実効通信量に基づいて、前記第1のデータと前記第2のデータとに振り分けられることを特徴とするものである。
【0023】
第9の態様に係る半導体集積回路によれば、送信データは、第1の通信路及び第2の通信路の実効通信量に基づいて、第1のデータと第2のデータとに振り分けられる。その結果、実効通信量の高い通信路に多くのデータを振り分けることにより、通信の信頼性を向上することが可能となる。
【0024】
本発明の第10の態様に係る半導体集積回路は、第1〜第8のいずれか一つの態様に係る半導体集積回路において特に、前記第1のデータは、前記第2のデータのエラー訂正コードを含み、前記第2のデータは、前記第1のデータのエラー訂正コードを含むことを特徴とするものである。
【0025】
第10の態様に係る半導体集積回路によれば、第1のデータは第2のデータのエラー訂正コードを含み、第2のデータは第1のデータのエラー訂正コードを含む。このように、エラー訂正コードを送信することにより、通信の信頼性を向上することが可能となる。また、第1のデータのエラー訂正コードを第2のデータに含め、第2のデータのエラー訂正コードを第1のデータに含めることにより、通信の秘匿性を向上することが可能となる。
【0026】
本発明の第11の態様に係る半導体集積回路は、第1〜第8のいずれか一つの態様に係る半導体集積回路において特に、前記第1の通信路の通信成功率が前記第2の通信路の通信成功率より高い場合、前記第2のデータには、前記第1のデータに付加されるエラー訂正コードよりもエラー訂正能力の高いエラー訂正コードが付加されることを特徴とするものである。
【0027】
第11の態様に係る半導体集積回路によれば、第1の通信路の通信成功率が第2の通信路の通信成功率より高い場合、第2のデータには、第1のデータに付加されるエラー訂正コードよりもエラー訂正能力の高いエラー訂正コードが付加される。このように、通信成功率の低い第2の通信路を介して送信される第2のデータには、エラー訂正能力の高い訂正コードを付加することにより、通信の信頼性を向上することが可能となる。
【0028】
本発明の第12の態様に係る半導体集積回路は、第1〜第8のいずれか一つの態様に係る半導体集積回路において特に、前記第1のデータは、前記送信データを含み、前記第2のデータは、前記送信データのエラー訂正コードを含むことを特徴とするものである。
【0029】
第12の態様に係る半導体集積回路によれば、第1のデータは送信データを含み、第2のデータは送信データのエラー訂正コードを含む。このように、エラー訂正コードを送信することにより、通信の信頼性を向上することが可能となる。また、送信データとエラー訂正コードとを異なる通信路を介して送信することにより、通信の秘匿性を向上することが可能となる。
【0030】
本発明の第13の態様に係る通信装置は、第1の態様に係る半導体集積回路を備えることを特徴とするものである。
【0031】
第13の態様に係る通信装置によれば、第1の態様に係る半導体集積回路を備えることにより、通信の秘匿性を向上することが可能となる。
【0032】
本発明の第14の態様に係る通信装置は、第2の態様に係る半導体集積回路を備えることを特徴とするものである。
【0033】
第14の態様に係る通信装置によれば、第2の態様に係る半導体集積回路を備えることにより、通信の秘匿性を向上することが可能となる。
【0034】
本発明の第15の態様に係る通信システムは、第13の態様に係る通信装置と、第14の態様に係る通信装置とを備えることを特徴とするものである。
【0035】
第15の態様に係る通信システムによれば、第13の態様に係る通信装置と、第14の態様に係る通信装置とを備えることにより、通信の秘匿性を向上することが可能となる。
【0036】
本発明の第16の態様に係る通信方法は、第1の通信装置と第2の通信装置とが複数の通信路を介して通信する通信システムにおける通信方法であって、(A)前記第1の通信装置において、前記第1の通信装置から前記第2の通信装置に送信すべき送信データを処理することにより、第1のデータと、当該第1のデータに関連する第2のデータとを生成するステップと、(B)前記第1の通信装置において、前記第1のデータが第1の通信路を介して前記他の通信装置に送信され、前記第2のデータが第2の通信路を介して前記第2の通信装置に送信されるよう、データを振り分けるステップと、(C)前記第2の通信装置において、前記第1の通信路を介して前記第1のデータを受信し、前記第2の通信路を介して前記第2のデータを受信するステップと、(D)前記第2の通信装置において、互いに関連する前記第1のデータと前記第2のデータとを対応付けるステップと、(E)前記ステップ(D)によって対応付けられた前記第1のデータと前記第2のデータとに基づいて、前記送信データを復元するステップと、を備えることを特徴とするものである。
【0037】
第16の態様に係る通信方法によれば、第1の通信装置は、送信データを処理することにより、第1のデータと、当該第1のデータに関連する第2のデータとを生成する。また、第1の通信装置は、第1のデータが第1の通信路を介して第2の通信装置に送信され、第2のデータが第2の通信路を介して第2の通信装置に送信されるよう、データを振り分ける。第2の通信装置は、第1のデータを第1の通信路を介して受信し、第2のデータを第2の通信路を介して受信する。また、第2の通信装置は、互いに関連する第1のデータと第2のデータとを対応付け、対応付けられた第1のデータと第2のデータとに基づいて送信データを復元する。このように、第1の通信路及び第2の通信路の一方又は双方に完全な送信データを送信するのではなく、送信データを第1のデータと第2のデータとに振り分けて、第1の通信路を介して第1のデータを送信し、第2の通信路を介して第2のデータを送信する。その結果、第1のデータ及び第2のデータの一方のみを取得しても完全な送信データを復元できないため、通信の秘匿性を向上することが可能となる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、複数の通信路を介して通信可能な通信装置間における通信の秘匿性を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施の形態に係る通信システムの全体構成を簡略化して示す図である。
【図2】通信装置に実装されている半導体集積回路の構成を簡略化して示す図である。
【図3】通信装置に実装されている半導体集積回路の構成を簡略化して示す図である。
【図4】データ処理部によるデータの生成処理の第1の例を示す図である。
【図5】データ処理部によるデータの生成処理の第2の例を示す図である。
【図6】データ処理部によるデータの生成処理の第3の例を示す図である。
【図7】データ処理部によるデータの生成処理の第4の例を示す図である。
【図8】データ処理部によるデータの生成処理の第5の例を示す図である。
【図9】データ処理部によるデータの生成処理の第6の例を示す図である。
【図10】データ処理部によるデータの生成処理の第7の例を示す図である。
【図11】データ処理部によるデータの生成処理の第8の例を示す図である。
【図12】データ処理部によるデータの生成処理の第9の例を示す図である。
【図13】データ処理部によるデータの生成処理の第10の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0041】
図1は、本発明の実施の形態に係る通信システム1の全体構成を簡略化して示す図である。通信システム1は、例えばユーザの住宅内に構築されたシステムであり、複数の通信装置を備えて構成されている。図1に示した例では、説明の簡略化のため、代表的に4つの通信装置2,3A〜3Cのみを示している。通信装置3A〜3Cは、電力線、有線LAN、又は同軸線等の任意の有線通信路4を介して、通信装置2に接続されている。これにより通信装置3A〜3Cは、有線通信路4を介して通信装置2と有線通信を行うことが可能である。また、通信装置2,3A〜3Cは、無線LAN又は短距離無線通信等の任意の無線通信機能を備えている。これにより通信装置3A〜3Cは、図1中に破線で示すように、無線通信路を介して通信装置2と無線通信を行うことが可能である。なお、本実施の形態の例において、無線通信路の通信速度は有線通信路4の通信速度よりも大きい。
【0042】
通信装置3A〜3Cは、例えば家電機器の消費電力量をそれぞれ測定し、その測定結果を含むデータを通信装置2に送信する。以下の説明において通信装置3A〜3Cを特に区別しない場合は、「通信装置3」と総称する。通信装置2は、複数の通信装置3から送信されたデータを受信する。そして、受信したデータに基づいて統計処理を行うことにより、ユーザの住宅における電力使用状況を分析し、その分析結果をモニタに表示すること等によってユーザに提供する。
【0043】
図2は、通信装置3に実装されている半導体集積回路10の構成を簡略化して示す図である。図2に示すように半導体集積回路10は、CPU11、データ制御部12、無線通信部13、及び有線通信部14を備えて構成されている。データ制御部12は、データ処理部21及びデータ振分部22を有している。
【0044】
CPU11は、通信装置3から通信装置2に送信すべき送信データD0を生成する。データ処理部21は、CPU11から入力された送信データD0を処理することにより、データD1と、データD1に関連するデータD2とを生成し、互いに関連するデータD1,D2に対して固有の識別情報を付与する。データD1,D2の詳細については後述する。データ振分部22は、データD1が無線通信部13から送信され、データD2が有線通信部14から送信されるよう、データD1,D2を振り分ける。無線通信部13は、データ振分部22から入力されたデータD1を、無線通信路を介して通信装置2に送信する。有線通信部14は、データ振分部22から入力されたデータD2を、有線通信路4を介して通信装置2に送信する。
【0045】
図3は、通信装置2に実装されている半導体集積回路30の構成を簡略化して示す図である。図3に示すように半導体集積回路30は、CPU31、データ制御部32、無線通信部33、及び有線通信部34を備えて構成されている。データ制御部32は、データ処理部41及びデータ対応付け部42を有している。
【0046】
無線通信部33は、通信装置3から送信されたデータD1を受信する。有線通信部34は、通信装置3から送信されたデータD2を受信する。データ対応付け部42は、各データに付与されている識別情報に基づいて、無線通信部33及び有線通信部34から入力された複数のデータのうち、互いに関連するデータD1とデータD2とを対応付ける。データ処理部41は、データ対応付け部42から入力されたデータD1,D2に基づいて送信データD0を復元し、その復元した送信データD0をCPU31に入力する。
【0047】
図4は、データ処理部21によるデータD1,D2の生成処理の第1の例を示す図である。まずデータ処理部21は、送信データD0をCPU11から入力する。次にデータ処理部21は、所定の暗号鍵DXを用いて送信データD0を暗号化することにより、暗号化データを生成する。次にデータ処理部21は、暗号化データを含むデータD1を生成し、暗号鍵DXを含むデータD2を生成する。ある送信データD0に関するデータD1とデータD2とは、同じ送信タイミングで通信装置3から通信装置2に送信してもよいし、送信タイミングを異ならせてもよい。送信タイミングを異ならせる場合には、例えば、あるデータD0に関するデータD1と次のデータD0に関するデータD2とを同じ送信タイミングで送信する。また、暗号鍵DXは、所定数(一又は複数)の送信データD0毎に異ならせてもよいし、所定期間毎に異ならせてもよい。
【0048】
図3を参照して、データ対応付け部42は、互いに関連するデータD1,D2(つまり同一の送信データD0に関して生成されたデータD1,D2)を対応付ける。また、データ処理部41は、データD2に含まれる暗号鍵DXを用いて、データD1に含まれる暗号化データを復号することにより、暗号化される前の送信データD0を復元する。
【0049】
図5は、データ処理部21によるデータD1,D2の生成処理の第2の例を示す図である。まずデータ処理部21は、送信データD0をCPU11から入力する。次にデータ処理部21は、送信データD0を任意のバイト長毎に分割することにより、複数の分割データD1A〜D1Hを生成する。次に、データ処理部21は、分割データD1A〜D1Hを任意に並び替えることにより、並び替え後の分割データD1A〜D1Hを含むデータD1を生成する。また、データ処理部21は、各分割データD1A〜D1Hのバイト長と並び替え後の配列順序とを示す処理手順情報DYを作成し、その処理手順情報DYを含むデータD2を生成する。第1の例と同様に、ある送信データD0に関するデータD1とデータD2とは、同じ送信タイミングで通信装置3から通信装置2に送信してもよいし、送信タイミングを異ならせてもよい。また、分割処理及び並び替え処理の処理手順は、所定数(一又は複数)の送信データD0毎に異ならせてもよいし、所定期間毎に異ならせてもよい。
【0050】
図3を参照して、データ対応付け部42は、互いに関連するデータD1,D2(つまり同一の送信データD0に関して生成されたデータD1,D2)を対応付ける。また、データ処理部41は、データD2に含まれる処理手順情報DYに基づいて、データD1に含まれる分割データD1A〜D1Hを元の配列順序に並び替えることにより、元の送信データD0を復元する。
【0051】
図6は、データ処理部21によるデータD1,D2の生成処理の第3の例を示す図である。まずデータ処理部21は、送信データD0をCPU11から入力する。次にデータ処理部21は、予め規定された所定のバイト長毎に送信データD0を分割することにより、複数の分割データD1A〜D1Hを生成する。次に、データ処理部21は、分割データD1A〜D1Hのうち、予め規定された所定の分割データを、予め規定された所定の順序に並び替えて配列することにより、複数の分割データ(図6の例では分割データD1E,D1G,D1B,D1H)を含むデータD1を生成する。また、データ処理部21は、分割データD1A〜D1Hのうち、予め規定された所定の分割データを、予め規定された所定の順序に並び替えて配列することにより、複数の分割データ(図6の例では分割データD1A,D1F,D1D,D1C)を含むデータD2を生成する。第1の例と同様に、ある送信データD0に関するデータD1とデータD2とは、同じ送信タイミングで通信装置3から通信装置2に送信してもよいし、送信タイミングを異ならせてもよい。また、分割処理及び並び替え処理の処理手順は、予め規定された規則に従って、所定数(一又は複数)の送信データD0毎に異ならせてもよいし、所定期間毎に異ならせてもよい。
【0052】
図3を参照して、データ対応付け部42は、互いに関連するデータD1,D2(つまり同一の送信データD0に関して生成されたデータD1,D2)を対応付ける。また、データ処理部41は、予め規定された所定の処理手順に従って、データD1,D2に含まれる分割データD1A〜D1Hを元の配列順序に並び替えることにより、元の送信データD0を復元する。
【0053】
図7は、データ処理部21によるデータD1,D2の生成処理の第4の例を示す図である。まずデータ処理部21は、送信データD0をCPU11から入力する。次にデータ処理部21は、送信データD0を任意のバイト長毎に分割することにより、複数の分割データD1A〜D1Hを生成する。次に、データ処理部21は、分割データD1A〜D1Hのうち、任意の分割データを任意の順序に並び替えて配列することにより、複数の分割データ(図7の例では分割データD1E,D1G,D1B,D1H)を含むデータD1を生成する。また、データ処理部21は、分割データD1A〜D1Hのうち、任意の分割データを任意の順序に並び替えて配列することにより、複数の分割データ(図7の例では分割データD1A,D1F,D1D,D1C)を含むデータD2を生成する。また、データ処理部21は、各分割データD1A〜D1Hのバイト長と、データD1,D2における並び替え後の分割データの配列順序とを示す処理手順情報DYを作成し、その処理手順情報DYをデータD1内に含める。第1の例と同様に、ある送信データD0に関するデータD1とデータD2とは、同じ送信タイミングで通信装置3から通信装置2に送信してもよいし、送信タイミングを異ならせてもよい。また、分割処理及び並び替え処理の処理手順は、所定数(一又は複数)の送信データD0毎に異ならせてもよいし、所定期間毎に異ならせてもよい。
【0054】
図3を参照して、データ対応付け部42は、互いに関連するデータD1,D2(つまり同一の送信データD0に関して生成されたデータD1,D2)を対応付ける。また、データ処理部41は、データD1に含まれる処理手順情報DYに基づいて、データD1,D2に含まれる分割データD1A〜D1Hを元の配列順序に並び替えることにより、元の送信データD0を復元する。
【0055】
図8は、データ処理部21によるデータD1,D2の生成処理の第5の例を示す図である。まずデータ処理部21は、送信データD0をCPU11から入力する。次にデータ処理部21は、送信データD0のうち、予め規定された特定のビットデータD1P(例えば奇数ビットのデータ)を抽出することにより、当該特定のビットデータD1Pを含むデータD1を生成する。また、データ処理部21は、送信データD0のうち、予め規定された特定のビットデータD1Q(例えば偶数ビットのデータ)を抽出することにより、当該特定のビットデータD1Qを含むデータD2を生成する。第1の例と同様に、ある送信データD0に関するデータD1とデータD2とは、同じ送信タイミングで通信装置3から通信装置2に送信してもよいし、送信タイミングを異ならせてもよい。また、ビットデータの抽出処理の処理手順は、予め規定された規則に従って、所定数(一又は複数)の送信データD0毎に異ならせてもよいし、所定期間毎に異ならせてもよい。
【0056】
図3を参照して、データ対応付け部42は、互いに関連するデータD1,D2(つまり同一の送信データD0に関して生成されたデータD1,D2)を対応付ける。また、データ処理部41は、予め規定された所定の処理手順に従って、データD1,D2に含まれるビットデータD1P,D1Qを結合することにより、元の送信データD0を復元する。
【0057】
図9は、データ処理部21によるデータD1,D2の生成処理の第6の例を示す図である。まずデータ処理部21は、送信データD0をCPU11から入力する。次にデータ処理部21は、送信データD0のうち、任意のビットに関するビットデータD1Pを抽出することにより、当該ビットデータD1Pを含むデータD1を生成する。また、データ処理部21は、送信データD0のうち、残余のビットに関するビットデータD1Qを抽出することにより、当該ビットデータD1Qを含むデータD2を生成する。また、データ処理部21は、データD1,D2におけるビットデータの抽出手順を示す処理手順情報DZを作成し、その処理手順情報DZをデータD1内に含める。第1の例と同様に、ある送信データD0に関するデータD1とデータD2とは、同じ送信タイミングで通信装置3から通信装置2に送信してもよいし、送信タイミングを異ならせてもよい。また、ビットデータの抽出処理の処理手順は、所定数(一又は複数)の送信データD0毎に異ならせてもよいし、所定期間毎に異ならせてもよい。
【0058】
図3を参照して、データ対応付け部42は、互いに関連するデータD1,D2(つまり同一の送信データD0に関して生成されたデータD1,D2)を対応付ける。また、データ処理部41は、データD1に含まれる処理手順情報DZに基づいて、データD1,D2に含まれるビットデータD1P,D1Qを結合することにより、元の送信データD0を復元する。
【0059】
なお、上記第1〜第6の例は、任意に組み合わせて適用することが可能である。例えば、送信データ毎に、あるいは所定期間毎に、あるいは通信装置2からコマンドが入力される毎に、あるいはランダムに、第1〜第6の例を変更して適用することにより、通信の秘匿性をさらに向上することができる。
【0060】
上記第1〜第6の例では、主に通信の秘匿性を向上する観点から送信データD0をデータD1,D2に分割する例について述べたが、以下、第1〜第6の例において通信の信頼性を向上するための手法について説明する。
【0061】
図10は、データ処理部21によるデータD1,D2の生成処理の第7の例を示す図である。まずデータ処理部21は、送信データD0をCPU11から入力する。次にデータ処理部21は、予め規定された所定のバイト長毎に送信データD0を分割することにより、複数の分割データD1A〜D1Fを生成する。次に、データ処理部21は、無線通信部13からの無線通信に関する直近所定期間内の実効通信量(例えば通信成功率及び通信速度に基づいて決定される指標)と、有線通信部14からの有線通信に関する直近所定期間内の実効通信量とに基づいて、分割データD1A〜D1FのうちデータD1,D2に振り分ける分割データの割合を決定する。例えば、無線通信の実効通信量が有線通信の実効通信量の2倍である場合には、データD1に振り分ける分割データの割合をデータD2に振り分ける分割データの割合の2倍に設定する。図10の例では、分割データD1A,D1C,D1D,D1FがデータD1に振り分けられ、分割データD1B,D1EがデータD2に振り分けられている。また、実効通信量が低い側の通信路を介した通信においては、各通信路に関する実効通信量の差に応じて、同一の分割データが複数回繰り返して送信される。図10の例では、通信成功率の低い有線通信によって送信されるデータD2には、分割データD1B,D1Eがそれぞれ2個ずつ含まれている。
【0062】
図11は、データ処理部21によるデータD1,D2の生成処理の第8の例を示す図である。まずデータ処理部21は、送信データD0をCPU11から入力する。次にデータ処理部21は、予め規定された所定のバイト長毎に送信データD0を分割することにより、複数の分割データD1A〜D1Fを生成する。また、データ処理部21は、各分割データD1A〜D1Fに関する通信エラーの検出及び訂正を行うためのエラー訂正コードEA〜EFを生成する。次に、データ処理部21は、分割データD1A,D1C,D1EをデータD1に含めるとともに、エラー訂正コードEA,EC,EEをデータD2に含める。また、データ処理部21は、分割データD1B,D1D,D1FをデータD2に含めるとともに、エラー訂正コードEB,ED,EFをデータD1に含める。図11の例では、データD1においては分割データD1A→エラー訂正コードEB→分割データD1C→エラー訂正コードED→分割データD1E→エラー訂正コードEFの順に配列され、データD2においてはエラー訂正コードEA→分割データD1B→エラー訂正コードEC→分割データD1D→エラー訂正コードEE→分割データD1Fの順に配列されている。
【0063】
図12は、データ処理部21によるデータD1,D2の生成処理の第9の例を示す図である。まずデータ処理部21は、送信データD0をCPU11から入力する。次にデータ処理部21は、予め規定された所定のバイト長毎に送信データD0を分割することにより、複数の分割データD1A〜D1Fを生成する。データ処理部21は、分割データD1A,D1C,D1EをデータD1に含めるとともに、分割データD1B,D1D,D1FをデータD2に含める。また、データ処理部21は、通信成功率の高い無線通信によって送信される分割データD1A,D1C,D1Eに関しては、エラー訂正能力の低いエラー訂正コードEAn,ECn,EEn(例えば1ビット訂正用のエラー訂正コード)を生成し、これらのエラー訂正コードEAn,ECn,EEnをデータD1に含める。一方、通信成功率の低い有線通信によって送信される分割データD1B,D1D,D1Fに関しては、エラー訂正能力の高いエラー訂正コードEBh,EDh,EFh(例えば8ビット訂正用のエラー訂正コード)を生成し、これらのエラー訂正コードEBh,EDh,EFhをデータD2に含める。図12の例では、データD1においては分割データD1A→エラー訂正コードEAn→分割データD1C→エラー訂正コードECn→分割データD1E→エラー訂正コードEEnの順に配列され、データD2においては分割データD1B→エラー訂正コードEBh→分割データD1D→エラー訂正コードEDh→分割データD1F→エラー訂正コードEFhの順に配列されている。
【0064】
図13は、データ処理部21によるデータD1,D2の生成処理の第10の例を示す図である。まずデータ処理部21は、送信データD0をCPU11から入力する。次にデータ処理部21は、予め規定された所定のバイト長毎に送信データD0を分割することにより、複数の分割データD1A〜D1Fを生成する。また、データ処理部21は、各分割データD1A〜D1Fに関する通信エラーの検出及び訂正を行うためのエラー訂正コードEA〜EFを生成する。次に、データ処理部21は、分割データD1A〜D1FをデータD1に含めるとともに、エラー訂正コードEA〜EFをデータD2に含める。エラー訂正コードのデータ量は分割データのデータ量よりも十分に小さいため、第10の例は有線通信の実効通信量が無線通信の実効通信量より極端に低い場合等に有効である。なお、無線通信及び有線通信の各実効通信量に応じて、データの振り分けを調整することもできる。例えば、実効通信量の差が大きい場合には、エラー訂正コードEA〜EFの一部をデータD1に含めてもよい。あるいは、実効通信量の差が小さい場合には、分割データD1A〜D1Fの一部をデータD2に含めてもよい。
【0065】
なお、上記第7〜第10の例は、任意に組み合わせて適用することが可能であり、複数の例を組み合わせることによって、通信の信頼性をさらに向上することができる。
【0066】
本実施の形態に係る半導体集積回路10によれば、データ処理部21は、送信データD0を処理することにより、データD1(第1のデータ)と、データD1に関連するデータD2(第2のデータ)とを生成する。また、データ振分部22は、データD1が無線通信部13(第1の通信部)から無線通信路を介して通信装置2に送信され、データD2が有線通信部14(第2の通信部)から有線通信路4を介して通信装置2に送信されるよう、データD1,D2を振り分ける。このように、無線通信路及び有線通信路4の一方又は双方に完全な送信データD0を送信するのではなく、送信データD0をデータD1とデータD2とに振り分けて、無線通信路を介してデータD1を送信し、有線通信路4を介してデータD2を送信する。その結果、データD1及びデータD2の一方のみを取得しても完全な送信データD0を復元できないため、通信の秘匿性を向上することが可能となる。
【0067】
また、本実施の形態に係る半導体集積回路30によれば、無線通信部33(第1の通信部)はデータD1を通信装置3から受信し、有線通信部34(第2の通信部)はデータD2を通信装置3から受信する。また、データ対応付け部42は、互いに関連するデータD1とデータD2とを対応付ける。そして、データ処理部41は、データ対応付け部42によって対応付けられたデータD1とデータD2とに基づいて、通信装置3から通信装置2に送信された送信データD0を復元する。このように、無線通信路及び有線通信路4の一方又は双方に完全な送信データD0を送信するのではなく、送信データD0をデータD1とデータD2とに振り分けて、無線通信路を介してデータD1を送信し、有線通信路4を介してデータD2を送信する。その結果、データD1及びデータD2の一方のみを取得しても完全な送信データD0を復元できないため、通信の秘匿性を向上することが可能となる。
【0068】
また、図4に示した第1の例によれば、データD1は、送信データD0を暗号化することによって生成された暗号化データを含み、データD2は、暗号化データの復号に用いる暗号鍵DXを含む。このように、暗号化データと暗号鍵DXとを異なる通信路を介して送信することにより、通信の秘匿性を向上することが可能となる。
【0069】
また、図5に示した第2の例によれば、データD1は、送信データD0に対して所定の分割処理及び並び替え処理が行われた複数の分割データD1A〜D1Hを含み、データD2は、分割処理及び並び替え処理の手順に関する処理手順情報DYを含む。このように、分割データD1A〜D1Hと処理手順情報DYとを異なる通信路を介して送信することにより、通信の秘匿性を向上することが可能となる。
【0070】
また、図6に示した第3の例によれば、データD1は、送信データD0に対して所定の分割処理及び並び替え処理が行われた複数の分割データD1A〜D1Hのうちの第1群の分割データを含み、データD2は、複数の分割データD1A〜D1Hのうちの第2群の分割データを含む。このように、第1群の分割データと第2群の分割データとを異なる通信路を介して送信することにより、通信の秘匿性を向上することが可能となる。
【0071】
また、図7に示した第4の例によれば、データD1は、送信データD0に対して所定の分割処理及び並び替え処理が行われた複数の分割データD1A〜D1Hのうちの第1群の分割データと、処理手順情報DYとを含み、データD2は、複数の分割データD1A〜D1Hのうちの第2群の分割データを含む。このように、第1群の分割データ及び処理手順情報DYと、第2群の分割データとを異なる通信路を介して送信することにより、通信の秘匿性を向上することが可能となる。
【0072】
また、図8に示した第5の例によれば、データD1は、送信データD0のうちの特定のビットのデータを抽出した第1群のビットデータを含み、データD2は、送信データD0のうちの他の特定のビットのデータを抽出した第2群のビットデータを含む。このように、第1群のビットデータと第2群のビットデータとを異なる通信路を介して送信することにより、通信の秘匿性を向上することが可能となる。
【0073】
また、図9に示した第6の例によれば、データD1は、送信データD0のうちの特定のビットのデータを抽出した第1群のビットデータと、処理手順情報DZとを含み、データD2は、送信データD0のうちの他の特定のビットのデータを抽出した第2群のビットデータを含む。このように、第1群のビットデータ及び処理手順情報DZと、第2群のビットデータとを異なる通信路を介して送信することにより、通信の秘匿性を向上することが可能となる。
【0074】
また、図10に示した第7の例によれば、送信データD0は、無線通信路及び有線通信路4の実効通信量に基づいて、データD1とデータD2とに振り分けられる。その結果、実効通信量の高い通信路に多くのデータを振り分けることにより、通信の信頼性を向上することが可能となる。
【0075】
また、図11に示した第8の例によれば、データD1はデータD2のエラー訂正コードを含み、データD2はデータD1のエラー訂正コードを含む。このように、エラー訂正コードを送信することにより、通信の信頼性を向上することが可能となる。また、データD1のエラー訂正コードをデータD2に含め、データD2のエラー訂正コードをデータD1に含めることにより、通信の秘匿性を向上することが可能となる。
【0076】
また、図12に示した第9の例によれば、無線通信路の通信成功率が有線通信路4の通信成功率より高い場合、データD2には、データD1に付加されるエラー訂正コードよりもエラー訂正能力の高いエラー訂正コードが付加される。このように、通信成功率の低い有線通信路4を介して送信されるデータD2には、エラー訂正能力の高い訂正コードを付加することにより、通信の信頼性を向上することが可能となる。
【0077】
また、図13に示した第10の例によれば、データD1は送信データを含み、データD2は送信データのエラー訂正コードを含む。このように、エラー訂正コードを送信することにより、通信の信頼性を向上することが可能となる。また、送信データとエラー訂正コードとを異なる通信路を介して送信することにより、通信の秘匿性を向上することが可能となる。
【符号の説明】
【0078】
1 通信システム
2,3A〜3C 通信装置
10,30 半導体集積回路
12,32 データ制御部
13,33 無線通信部
14,34 有線通信部
21,41 データ処理部
22 データ振分部
42 データ対応付け部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置と他の通信装置とが複数の通信路を介して通信する通信システムにおいて、前記通信装置に実装される半導体集積回路であって、
第1の通信路を介して前記他の通信装置と通信する第1の通信部と、
第2の通信路を介して前記他の通信装置と通信する第2の通信部と、
前記通信装置から前記他の通信装置に送信すべき送信データを制御するデータ制御部と、
を備え、
前記データ制御部は、
前記送信データを処理することにより、第1のデータと、当該第1のデータに関連する第2のデータとを生成するデータ処理部と、
前記第1のデータが前記第1の通信部から前記他の通信装置に送信され、前記第2のデータが前記第2の通信部から前記他の通信装置に送信されるよう、データを振り分けるデータ振分部と、
を有する、半導体集積回路。
【請求項2】
通信装置と他の通信装置とが複数の通信路を介して通信する通信システムにおいて、前記他の通信装置に実装される半導体集積回路であって、
第1の通信路を介して前記通信装置と通信する第1の通信部と、
第2の通信路を介して前記通信装置と通信する第2の通信部と、
前記通信装置から受信した受信データを制御するデータ制御部と、
を備え、
前記第1の通信部は、第1のデータを前記通信装置から受信し、
前記第2の通信部は、第2のデータを前記通信装置から受信し、
前記データ制御部は、
互いに関連する前記第1のデータと前記第2のデータとを対応付けるデータ対応付け部と、
前記データ対応付け部によって対応付けられた前記第1のデータと前記第2のデータとに基づいて、前記通信装置から前記他の通信装置に送信された送信データを復元するデータ処理部と、
を有する、半導体集積回路。
【請求項3】
前記第1のデータは、前記送信データを暗号化することによって生成された暗号化データを含み、
前記第2のデータは、前記暗号化データの復号に用いる暗号鍵を含む、請求項1又は2に記載の半導体集積回路。
【請求項4】
前記第1のデータは、前記送信データに対して所定の分割処理及び並び替え処理が行われた複数の分割データを含み、
前記第2のデータは、前記分割処理及び前記並び替え処理の手順に関する情報を含む、請求項1又は2に記載の半導体集積回路。
【請求項5】
前記第1のデータは、前記送信データに対して所定の分割処理及び並び替え処理が行われた複数の分割データのうちの第1群の分割データを含み、
前記第2のデータは、前記複数の分割データのうちの第2群の分割データを含む、請求項1又は2に記載の半導体集積回路。
【請求項6】
前記第1のデータは、前記送信データに対して所定の分割処理及び並び替え処理が行われた複数の分割データのうちの第1群の分割データと、前記分割処理及び前記並び替え処理の手順に関する情報とを含み、
前記第2のデータは、前記複数の分割データのうちの第2群の分割データを含む、請求項1又は2に記載の半導体集積回路。
【請求項7】
前記第1のデータは、前記送信データのうちの特定のビットのデータを抽出した第1群のビットデータを含み、
前記第2のデータは、前記送信データのうちの他の特定のビットのデータを抽出した第2群のビットデータを含む、請求項1又は2に記載の半導体集積回路。
【請求項8】
前記第1のデータは、前記送信データのうちの特定のビットのデータを抽出した第1群のビットデータと、ビット抽出の手順に関する情報とを含み、
前記第2のデータは、前記送信データのうちの他の特定のビットのデータを抽出した第2群のビットデータを含む、請求項1又は2に記載の半導体集積回路。
【請求項9】
前記送信データは、前記第1の通信路及び前記第2の通信路の実効通信量に基づいて、前記第1のデータと前記第2のデータとに振り分けられる、請求項1〜8のいずれか一つに記載の半導体集積回路。
【請求項10】
前記第1のデータは、前記第2のデータのエラー訂正コードを含み、
前記第2のデータは、前記第1のデータのエラー訂正コードを含む、請求項1〜8のいずれか一つに記載の半導体集積回路。
【請求項11】
前記第1の通信路の通信成功率が前記第2の通信路の通信成功率より高い場合、前記第2のデータには、前記第1のデータに付加されるエラー訂正コードよりもエラー訂正能力の高いエラー訂正コードが付加される、請求項1〜8のいずれか一つに記載の半導体集積回路。
【請求項12】
前記第1のデータは、前記送信データを含み、
前記第2のデータは、前記送信データのエラー訂正コードを含む、請求項1〜8のいずれか一つに記載の半導体集積回路。
【請求項13】
請求項1に記載の半導体集積回路を備える、通信装置。
【請求項14】
請求項2に記載の半導体集積回路を備える、通信装置。
【請求項15】
請求項13に記載の通信装置と、請求項14に記載の通信装置とを備える、通信システム。
【請求項16】
第1の通信装置と第2の通信装置とが複数の通信路を介して通信する通信システムにおける通信方法であって、
(A)前記第1の通信装置において、前記第1の通信装置から前記第2の通信装置に送信すべき送信データを処理することにより、第1のデータと、当該第1のデータに関連する第2のデータとを生成するステップと、
(B)前記第1の通信装置において、前記第1のデータが第1の通信路を介して前記他の通信装置に送信され、前記第2のデータが第2の通信路を介して前記第2の通信装置に送信されるよう、データを振り分けるステップと、
(C)前記第2の通信装置において、前記第1の通信路を介して前記第1のデータを受信し、前記第2の通信路を介して前記第2のデータを受信するステップと、
(D)前記第2の通信装置において、互いに関連する前記第1のデータと前記第2のデータとを対応付けるステップと、
(E)前記ステップ(D)によって対応付けられた前記第1のデータと前記第2のデータとに基づいて、前記送信データを復元するステップと、
を備える、通信方法。
【請求項1】
通信装置と他の通信装置とが複数の通信路を介して通信する通信システムにおいて、前記通信装置に実装される半導体集積回路であって、
第1の通信路を介して前記他の通信装置と通信する第1の通信部と、
第2の通信路を介して前記他の通信装置と通信する第2の通信部と、
前記通信装置から前記他の通信装置に送信すべき送信データを制御するデータ制御部と、
を備え、
前記データ制御部は、
前記送信データを処理することにより、第1のデータと、当該第1のデータに関連する第2のデータとを生成するデータ処理部と、
前記第1のデータが前記第1の通信部から前記他の通信装置に送信され、前記第2のデータが前記第2の通信部から前記他の通信装置に送信されるよう、データを振り分けるデータ振分部と、
を有する、半導体集積回路。
【請求項2】
通信装置と他の通信装置とが複数の通信路を介して通信する通信システムにおいて、前記他の通信装置に実装される半導体集積回路であって、
第1の通信路を介して前記通信装置と通信する第1の通信部と、
第2の通信路を介して前記通信装置と通信する第2の通信部と、
前記通信装置から受信した受信データを制御するデータ制御部と、
を備え、
前記第1の通信部は、第1のデータを前記通信装置から受信し、
前記第2の通信部は、第2のデータを前記通信装置から受信し、
前記データ制御部は、
互いに関連する前記第1のデータと前記第2のデータとを対応付けるデータ対応付け部と、
前記データ対応付け部によって対応付けられた前記第1のデータと前記第2のデータとに基づいて、前記通信装置から前記他の通信装置に送信された送信データを復元するデータ処理部と、
を有する、半導体集積回路。
【請求項3】
前記第1のデータは、前記送信データを暗号化することによって生成された暗号化データを含み、
前記第2のデータは、前記暗号化データの復号に用いる暗号鍵を含む、請求項1又は2に記載の半導体集積回路。
【請求項4】
前記第1のデータは、前記送信データに対して所定の分割処理及び並び替え処理が行われた複数の分割データを含み、
前記第2のデータは、前記分割処理及び前記並び替え処理の手順に関する情報を含む、請求項1又は2に記載の半導体集積回路。
【請求項5】
前記第1のデータは、前記送信データに対して所定の分割処理及び並び替え処理が行われた複数の分割データのうちの第1群の分割データを含み、
前記第2のデータは、前記複数の分割データのうちの第2群の分割データを含む、請求項1又は2に記載の半導体集積回路。
【請求項6】
前記第1のデータは、前記送信データに対して所定の分割処理及び並び替え処理が行われた複数の分割データのうちの第1群の分割データと、前記分割処理及び前記並び替え処理の手順に関する情報とを含み、
前記第2のデータは、前記複数の分割データのうちの第2群の分割データを含む、請求項1又は2に記載の半導体集積回路。
【請求項7】
前記第1のデータは、前記送信データのうちの特定のビットのデータを抽出した第1群のビットデータを含み、
前記第2のデータは、前記送信データのうちの他の特定のビットのデータを抽出した第2群のビットデータを含む、請求項1又は2に記載の半導体集積回路。
【請求項8】
前記第1のデータは、前記送信データのうちの特定のビットのデータを抽出した第1群のビットデータと、ビット抽出の手順に関する情報とを含み、
前記第2のデータは、前記送信データのうちの他の特定のビットのデータを抽出した第2群のビットデータを含む、請求項1又は2に記載の半導体集積回路。
【請求項9】
前記送信データは、前記第1の通信路及び前記第2の通信路の実効通信量に基づいて、前記第1のデータと前記第2のデータとに振り分けられる、請求項1〜8のいずれか一つに記載の半導体集積回路。
【請求項10】
前記第1のデータは、前記第2のデータのエラー訂正コードを含み、
前記第2のデータは、前記第1のデータのエラー訂正コードを含む、請求項1〜8のいずれか一つに記載の半導体集積回路。
【請求項11】
前記第1の通信路の通信成功率が前記第2の通信路の通信成功率より高い場合、前記第2のデータには、前記第1のデータに付加されるエラー訂正コードよりもエラー訂正能力の高いエラー訂正コードが付加される、請求項1〜8のいずれか一つに記載の半導体集積回路。
【請求項12】
前記第1のデータは、前記送信データを含み、
前記第2のデータは、前記送信データのエラー訂正コードを含む、請求項1〜8のいずれか一つに記載の半導体集積回路。
【請求項13】
請求項1に記載の半導体集積回路を備える、通信装置。
【請求項14】
請求項2に記載の半導体集積回路を備える、通信装置。
【請求項15】
請求項13に記載の通信装置と、請求項14に記載の通信装置とを備える、通信システム。
【請求項16】
第1の通信装置と第2の通信装置とが複数の通信路を介して通信する通信システムにおける通信方法であって、
(A)前記第1の通信装置において、前記第1の通信装置から前記第2の通信装置に送信すべき送信データを処理することにより、第1のデータと、当該第1のデータに関連する第2のデータとを生成するステップと、
(B)前記第1の通信装置において、前記第1のデータが第1の通信路を介して前記他の通信装置に送信され、前記第2のデータが第2の通信路を介して前記第2の通信装置に送信されるよう、データを振り分けるステップと、
(C)前記第2の通信装置において、前記第1の通信路を介して前記第1のデータを受信し、前記第2の通信路を介して前記第2のデータを受信するステップと、
(D)前記第2の通信装置において、互いに関連する前記第1のデータと前記第2のデータとを対応付けるステップと、
(E)前記ステップ(D)によって対応付けられた前記第1のデータと前記第2のデータとに基づいて、前記送信データを復元するステップと、
を備える、通信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−38719(P2013−38719A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175326(P2011−175326)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(591128453)株式会社メガチップス (322)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(591128453)株式会社メガチップス (322)
【Fターム(参考)】
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