説明

半導体集積回路および電子機器

【課題】負荷に供給する電流をアナログ信号の変化に応じて迅速かつリニアに調整することが可能な半導体集積回路および電子機器を提供する。
【解決手段】半導体集積回路101は、外部から受けたアナログ信号に基づいて基準電流を生成する基準電流源回路1と、外部から受けたデータに基づいて増幅率を決定し、基準電流源回路1から受けた基準電流を決定した増幅率で増幅し、増幅後の電流を負荷3へ出力する可変増幅回路2とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路および電子機器に関し、特に、アナログ信号に基づいて負荷に電流を供給する半導体集積回路および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビジョン装置等のディスプレイに表示される画像の明るさは、画像の種類、たとえば室内の画像および屋外の画像で異なる。ここで、視聴者の目の疲労を防ぎ、かつ消費電力を低減するために、画像自体の明るさに応じてディスプレイのバックライトの照度を変更する照明装置が開発されている。このような照明装置は、ディスプレイに光を照射するLED(Light Emitting Diode)に電流を供給する駆動IC(Integrated Circuit)を備える(たとえば、特許文献1および2参照)。
【特許文献1】特開2002−319707号公報
【特許文献2】特開平9−232635号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、このような照明装置において、画像の明るさの解析はたとえばCPU(Central Processing Unit)で行なわれ、解析結果はデジタル信号として得られることが一般的である。
【0004】
ここで、一般的に動画像の明るさは単位時間当たりの変化量が大きいことから、デジタル信号に基づいてバックライトの照度を変更する方式では、駆動ICがデジタル信号をデコードしてLEDへの供給電流の電流値を変更するまでにタイムラグが生じ、画像の明るさの変化に追随することは困難である。また、駆動ICの供給電流の変化がデジタル的すなわち階段状になるため、画面のちらつきが大きくなり、見にくい画面となってしまう。
【0005】
それゆえに、本発明の目的は、負荷に供給する電流をアナログ信号の変化に応じて迅速かつリニアに調整することが可能な半導体集積回路および電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある局面に係わる半導体集積回路は、外部から受けたアナログ信号に基づいて基準電流を生成する基準電流源回路と、外部から受けたデータに基づいて増幅率を決定し、基準電流源回路から受けた基準電流を決定した増幅率で増幅し、増幅後の電流を負荷へ出力する可変増幅回路とを備える。
【0007】
好ましくは、半導体集積回路の外部には画像を表示する表示部が配置され、負荷は表示部に光を照射する発光素子であり、アナログ信号は、画像の明るさに応じて振幅が変化するアナログ信号であり、データは、周囲光の光量に応じて値が変化するデータである。
【0008】
好ましくは、可変増幅回路は、カレントミラー回路であり、外部から受けたデータに基づいてミラー比を変更する。
【0009】
好ましくは、負荷はLEDである。
上記課題を解決するために、本発明のある局面に係わる電子機器は、画像を表示する表示部と、表示部に光を照射する発光素子と、アナログ信号を生成し、画像の明るさに応じてアナログ信号の振幅を変化させる画像解析回路と、外部から光を受光し、受光量を表わすデータを生成する光検出回路と、アナログ信号に基づいて基準電流を生成する基準電流源回路と、データに基づいて増幅率を決定し、基準電流源回路から受けた基準電流を決定した増幅率で増幅し、増幅後の電流を発光素子へ出力する可変増幅回路とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、負荷に供給する電流をアナログ信号の変化に応じて迅速かつリニアに調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0012】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体集積回路の構成を示す図である。
【0013】
図1を参照して、半導体集積回路101は、基準電流源回路1と、可変増幅回路2と、端子T1〜T3とを備える。基準電流源回路1は、オペアンプ11および12と、抵抗R1〜R5と、NチャネルMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタTR1とを含む。
【0014】
基準電流源回路1は、コンデンサC1および端子T1を介して受けた外部からのアナログ信号SXに基づいて基準電流IREFを生成する。外部からのアナログ信号SXは、コンデンサC1によって直流成分が除去される。
【0015】
オペアンプ11の出力電圧をVINとし、抵抗R3〜R5の抵抗値をそれぞれR3〜R5とし、オペアンプ11および12の非反転入力端子に供給されるバイアス電圧VBの電圧値をVBとすると、基準電流IREFは以下の式で表わされる。
【0016】
IREF=VB/R4−(R5×R3×VB+R4×R5×VIN)/(R4×(R4×R5+R4×R3+R5×R3))
可変増幅回路2は、端子T2を介して外部から受けたデータDXに基づいて増幅率を決定し、基準電流源回路1から受けた基準電流IREFを決定した増幅率で増幅し、増幅後の電流を供給電流IDとして負荷であるLED3へ出力する。なお、負荷はLEDに限らず、他の発光素子であってもよい。
【0017】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体集積回路における可変増幅回路2の構成を示す図である。
【0018】
図2を参照して、可変増幅回路2は、NチャネルMOSトランジスタTR11と、n(nは2以上の自然数)個のNチャネルMOSトランジスタと、(n−1)個のスイッチとを含む。図2では、n個のNチャネルMOSトランジスタのうち、NチャネルMOSトランジスタTR21〜TR23を代表的に示す。また、図2では、(n−1)個のスイッチのうち、スイッチSW1およびSW2を代表的に示す。
【0019】
可変増幅回路2はカレントミラー回路であり、外部から受けたデータDXに基づいてミラー比を変更する。
【0020】
NチャネルMOSトランジスタTR11は、ドレインが基準電流源回路1の出力に接続される。すなわち、基準電流源回路1から受けた基準電流IREFがNチャネルMOSトランジスタTR11のドレイン電流となる。
【0021】
NチャネルMOSトランジスタTR21〜TR23を含むn個のNチャネルMOSトランジスタは、NチャネルMOSトランジスタTR11とカレントミラー回路を構成する。すなわち、n個の各NチャネルMOSトランジスタは、基準電流源回路1から受けた基準電流IREFとほぼ同じ電流値の電流をそれぞれ出力する。
【0022】
スイッチSW1およびSW2を含む(n−1)個のスイッチは、データDXに基づいて、n個のNチャネルMOSトランジスタのうち、NチャネルMOSトランジスタTR21以外のNチャネルMOSトランジスタのベースと基準電流源回路1の出力との接続および非接続をそれぞれ切り替える。データDXは、たとえば、(n−1)ビットのデータ幅を有し、(n−1)ビットのデータと(n−1)個のスイッチとが1対1で対応している。
【0023】
すなわち、可変増幅回路2は、外部から受けたデータDXに基づいて基準電流IREFの1倍〜n倍の供給電流IDをLED3へ出力する。
【0024】
ところで、デジタル信号に基づいてバックライトの照度を変更する方式では、駆動ICがデジタル信号をデコードしてLEDへの供給電流の電流値を変更するまでにタイムラグが生じ、画像の明るさの変化に追随することは困難である。また、駆動ICの供給電流の変化がデジタル的すなわち階段状になるため、画面のちらつきが大きくなり、見にくい画面となってしまう。しかしながら、本発明の第1の実施の形態に係る半導体集積回路では、基準電流源回路1が、外部から受けたアナログ信号SXに基づいて基準電流IREFの電流値を変更する。そして、可変増幅回路2が、基準電流源回路から受けた基準電流を増幅して負荷へ出力する。したがって、本発明の第1の実施の形態に係る半導体集積回路では、たとえば画像の明るさに応じて変化するアナログ信号に応じて、負荷に供給する電流を迅速かつリニアに調整することができる。
【0025】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0026】
<第2の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る半導体集積回路を備える電子機器に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る半導体集積回路と同様である。
【0027】
図3は、本発明の第2の実施の形態に係る電子機器の構成を示す図である。
図3を参照して、電子機器201は、たとえば携帯電話であり、半導体集積回路101と、画像解析回路51と、フィルタ52と、DA(Digital to Analog)コンバータ53と、光検出回路54と、ディスプレイ(表示部)55と、コンデンサC1と、LED3とを備える。
【0028】
ディスプレイ55は、たとえばLCD(Liquid Crystal Display)であり、静止画像および動画像を表示する。
【0029】
画像解析回路51は、ディスプレイ55に表示された画像の明るさに応じた値を有するデジタル信号を生成し、生成したデジタル信号をフィルタ52へ出力する。たとえば、画像解析回路51は、画像における複数個の画素の明るさの最大値、画像における複数個の画素の明るさの平均値、画像における各々が重み付けされた複数個の画素の明るさの平均値、および画像における複数個の画素の明るさの度数分布において最も度数の大きい画素の明るさ等を画像の明るさとして算出する。
【0030】
フィルタ52は、画像解析回路51から受けたデジタル信号に所定のフィルタ処理を行ない、フィルタ処理後のデジタル信号をDAコンバータ53へ出力する。
【0031】
DAコンバータ53は、フィルタ52から受けたデジタル信号をアナログ信号SXに変換し、コンデンサC1を介して半導体集積回路101へ出力する。
【0032】
したがって、半導体集積回路101が受けるアナログ信号SXは、画像の明るさに応じて振幅が変化するアナログ信号となる。
【0033】
光検出回路54は、外部から光を受光し、受光量を表わすデータDXを生成して半導体集積回路101における可変増幅回路2へ出力する。
【0034】
ここで、動画像の明るさは周囲光と比べて単位時間当たりの変化量が大きい。そこで、本発明の第2の実施の形態に係る電子機器では、可変増幅回路2が、電子機器の周囲光に対応するデータDXに基づいてミラー比を変更し、かつ、基準電流源回路1が、ディスプレイ55の表示する画像の明るさに対応するアナログ信号SXに基づいて基準電流IREFの電流値を迅速かつリニアに変更する。このような構成により、ディスプレイ55への照射光の光量を周囲光の光量および画像の明るさに応じて適切に調整することができ、従来技術と比べてさらに、電子機器を使用するユーザの目の疲労を防ぎ、かつ消費電力を低減することができる。
【0035】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る半導体集積回路の構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る半導体集積回路における可変増幅回路2の構成を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る電子機器の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0037】
1 基準電流源回路、2 可変増幅回路、3 LED、11,12 オペアンプ、51 画像解析回路、52 フィルタ、53 DAコンバータ、54 光検出回路、55 ディスプレイ(表示部)、101 半導体集積回路、201 電子機器、C1 コンデンサ、R1〜R5 抵抗、TR1,TR11 NチャネルMOSトランジスタ、T1〜T3 端子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から受けたアナログ信号に基づいて基準電流を生成する基準電流源回路と、
外部から受けたデータに基づいて増幅率を決定し、前記基準電流源回路から受けた基準電流を前記決定した増幅率で増幅し、前記増幅後の電流を負荷へ出力する可変増幅回路とを備える半導体集積回路。
【請求項2】
前記半導体集積回路の外部には画像を表示する表示部が配置され、
前記負荷は前記表示部に光を照射する発光素子であり、
前記アナログ信号は、前記画像の明るさに応じて振幅が変化するアナログ信号であり、
前記データは、周囲光の光量に応じて値が変化するデータである請求項1記載の半導体集積回路。
【請求項3】
前記可変増幅回路は、カレントミラー回路であり、前記外部から受けたデータに基づいてミラー比を変更する請求項1記載の半導体集積回路。
【請求項4】
前記負荷はLEDである請求項1記載の半導体集積回路。
【請求項5】
画像を表示する表示部と、
前記表示部に光を照射する発光素子と、
アナログ信号を生成し、前記画像の明るさに応じて前記アナログ信号の振幅を変化させる画像解析回路と、
外部から光を受光し、前記受光量を表わすデータを生成する光検出回路と、
前記アナログ信号に基づいて基準電流を生成する基準電流源回路と、
前記データに基づいて増幅率を決定し、前記基準電流源回路から受けた基準電流を前記決定した増幅率で増幅し、前記増幅後の電流を前記発光素子へ出力する可変増幅回路とを備える電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−147025(P2008−147025A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−333071(P2006−333071)
【出願日】平成18年12月11日(2006.12.11)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】