説明

半導体集積回路装置及びこれを用いた無電池方式のRFID

【課題】 外部から供給される交流信号を用いてつくり出される内部電源電圧が不足することによって内蔵ICが誤動作を起こしてしまうという不都合をなくす。
【解決手段】 内蔵ICを駆動するための電源電圧をつくり出す内部駆動用電圧整流回路1と、上記内蔵ICに接続される外部負荷を駆動するための電源電圧をつくり出す外部駆動用電圧整流回路2とを別個に設け、内蔵IC駆動用電源電圧と外部負荷駆動用電源電圧とをそれぞれ別々に生成するようにすることにより、外部負荷を駆動するために電力を消費しても、内蔵ICを駆動するための電源電圧が低下しないようにすることができるようにして、外部負荷を駆動したことによる電力不足によって内蔵ICが誤動作を起こさないようにする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体集積回路装置およびこれに用いた無電池方式のRFID(Radio Frequency Indentification )に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、IC(集積回路)を内蔵したICカードが様々な分野で利用されつつある。従来のICカードは、EEPROM(電気的に消去可能なプログラマブルROM)を内蔵しており、上記EEPROMにデータを記憶したり、このEEPROMに記憶されているデータを用いて所定の命令を実行したりするようになされていた。
【0003】しかし、このようなICカードを使用する場合は、カードリーダなどの専用の読み取り装置にICカードを挿入しなくてはならないため、非常に面倒であった。そこで、最近では、無線周波数帯の電波を使ってホスト側とデータをやり取りすることにより、カードを一々挿入することなく簡便に操作できるようにした非接触方式のICカード、すなわち、RFID(Radio Frequency Indentification )あるいはデータキャリアが提案されるに至っている。
【0004】ところで、上記RFIDを動作させるためには、その内蔵ICに電力を供給することが必要である。そのため、従来は、IC駆動用の電池を内蔵したRFIDが多く提案されていた。一方、近年ではホスト側から送られてくる電波を利用して内部で電力をつくり出すことができるようにした無電池方式のRFIDも提案されている。
【0005】すなわち、このような無電池方式のRFIDでは、ホスト側から送られてくる電波から電磁誘導により交流電圧を発生させ、それを直流電圧に整流することにより、IC駆動に必要な電力を内部でつくり出すことができるようになされていた。
【0006】従来、このような無電池方式のRFIDは、種々のデータを記憶するためのEEPROMと、上記EEPROMに記憶されているデータに従って動作するロジック回路と、電波を使ってホスト側とデータのやり取りを行うためのRF部と、ホスト側から送られてくる電波を用いて電力をつくり出すパワー部とを備えるのが一般的であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の無電池方式のRFIDでは、上記パワー部で生成された直流の内部電源電圧によって内蔵ICの各部の全てが駆動されるようになっていた。また、上記内蔵ICの外部に入出力端子を介して種々の負荷を接続することが可能であるが、この外部負荷を駆動する際にも上記パワー部で生成された内部電源電圧が利用されるようになっていた。
【0008】このため、IC外部の負荷を駆動するための負荷電流によって、内蔵ICに供給するための内部電源が多く消費されてしまい、十分な駆動電圧が得られないということがあった。そして、十分な駆動電圧が得られないと、内蔵ICが正常に動作できなくなり、誤動作を起こしてしまうことがあるという問題があった。
【0009】本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、外部から供給される交流信号を用いてつくり出される内部発生の電源電圧が不足することによって内蔵ICが誤動作を起こしてしまうという不都合をなくすことができるようにすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の半導体集積回路装置は、外部より送信される電波から電磁誘導により発生されて供給された交流信号を整流することによって内部電源電圧をつくり出す内部駆動用電圧整流手段を有する半導体集積回路装置であって、上記外部より送信される電波から電磁誘導により発生されて供給された交流信号を整流することによって上記半導体集積回路装置に接続される外部負荷を駆動するための電源電圧をつくり出す外部駆動用電圧整流手段を上記内部駆動用電圧整流手段とは別個に設けたことを特徴としている。
【0011】本発明の他の特徴とするところは、上記内部駆動用電圧整流手段は全波整流を行い、上記外部駆動用電圧整流手段は半波整流を行うことを特徴としている。
【0012】本発明の無電池方式のRFIDは、電波を使って外部との間でデータを送受信するとともに、受信した電波から電源電圧をつくり出すようになされた半導体集積回路装置を内蔵する無電池方式のRFIDであって、上記RFIDの外部より送信される電波から電磁誘導により交流電圧を発生する電圧発生手段と、上記電圧発生手段により発生される交流電圧を整流することによって上記半導体集積回路装置の内部を駆動するための電源電圧を生成する内部駆動用電圧整流手段と、上記電圧発生手段により発生される交流電圧を整流することによって上記半導体集積回路装置に接続される外部負荷を駆動するための電源電圧を生成する外部駆動用電圧整流手段とを備えることを特徴としている。
【0013】本発明の他の特徴とするところは、上記外部負荷は、上記RFIDと上記RFIDの外部との間でデータの送受信を行うことが可能かどうかを知らせるための報知手段であることを特徴としている。
【0014】本発明のその他の特徴とするところは、上記報知手段はLEDであることを特徴としている。
【0015】本発明のその他の特徴とするところは、上記報知手段はブザーであることを特徴としている。
【0016】本発明は上記技術手段より成るので、半導体集積回路装置の内部を駆動するための電源電圧と、上記半導体集積回路装置に接続される外部負荷を駆動するための電源電圧とがそれぞれ別個に確保されるようになり、外部負荷を駆動するために電力を消費しても、半導体集積回路装置内部を駆動するための電源電圧が直接的に低下しないようにすることが可能となる。
【0017】また、本発明の他の特徴によれば、内部駆動用電圧整流手段で全波整流を行うのに対して、外部駆動用電圧整流手段では半波整流を行うようにしたので、半導体集積回路装置や外部負荷の用途に応じて異なる種類の電源電圧を効率よく生成することが可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態による無電池方式のRFIDの特徴を最もよく表すパワー/RF部の構成を示すブロック図であり、図2は、図1に示すパワー/RF部を利用した無電池方式のRFIDの構成を示すブロック図である。
【0019】まず、図2を用いて本実施形態による無電池方式のRFIDの全体構成および動作について説明する。図2において、21はCPU、22はROM、23はEEPROMであり、ROM22やEEPROM23には、CPU21の実行プログラムや種々のデータが記憶されるようになっている。
【0020】上記ROM22の記憶容量は、例えば1024ワード×12ビットであり、上記EEPROM23の記憶容量は、例えば2048ワード×12ビットである。これらのROM22およびEEPROM23は、同一のメモリ空間に位置している。そのうち、EEPROM23のメモリ空間においては、上記CPU21の実行プログラムや種々のデータの書き換えが可能である。
【0021】すなわち、CPU21は、ROM22やEEPROM23の記憶内容に従って種々の命令を実行するが、その命令そのものをEEPROM23を使って自由に書き換えることが可能である。つまり、CPU21の実行プログラムをRFIDの外部から自由に書き換えることが可能である。
【0022】このように、本実施形態では、従来の無電池方式のRFIDにおいてロジック回路を用いていた代わりに、CPU21を用いている。CPU21を内蔵することにより、命令実行のプロトコルを自由に組むことができるようになるだけでなく、多数のRFIDで送受信される電波の同時認識もできるようになる。
【0023】また、ロジック回路では1つの動作が終わるまで次の動作を行うことができないのに対して、CPU21では複数の動作を同時に行うことができる。例えば、EEPROM23へのデータの書き込み中に、ROM22に記憶されているデータを読み出して処理することができる。このため、全体としての処理時間を短くすることもできるようになる。
【0024】上記CPU21と上記ROM22、および上記CPU21と上記EEPROM23との間のデータのやり取りは、それぞれアドレスバス25およびデータバス26を介して行われる。上記アドレスバス25およびデータバス26のバス幅は、共に12ビットである。また、CPU21内に備えられている図示しないALU(算術論理演算ユニット)やレジスタの1ワードも12ビットである。
【0025】このように、バス幅、およびALUやレジスタの1ワードを12ビットとすることにより、CPU21の1つの命令を構成するオペコードおよびオペランドを1ワードで記述することが可能となる。また、イミティエートアドレスも1ワードで記述することが可能となる。
【0026】24はパワー/RF部である。このパワー/RF部24は、電波(例えば、無線周波数帯などの高周波の電波)を使って、図示しないホスト側の装置との間で種々のデータを送受信するRF部と、上記ホスト側から送られてくる電波を用いて内部電源電力をつくり出すパワー部とを兼ね備えている。
【0027】すなわち、上記パワー/RF部24に備えられているいくつかの端子のうち、S1,S2は電波の送受信用端子であり、これら2つの電波送受信用端子S1,S2を介して本実施形態のRFIDと図示しないホスト側とで電波によりデータを送受信するようになっている。
【0028】また、上記電波送受信用端子S1,S2には、同調用コイル30とコンデンサ31とから成る共振回路が接続されている。そして、この共振回路に外部のホストから送信される電波によって発生する磁界の変化に応じて同調用コイル30に交流電圧が誘導される。パワー/RF部24は、このようにして誘導された交流電圧を上記電波送受信用端子S1,S2を介して入力し、それを直流電圧に整流することにより内部電源電力を得るようにしている。
【0029】上記パワー/RF部24で生成された直流電圧は、内部電圧端子CVddおよび内部グランド端子CGNDを介して出力される。上記内部電圧端子CVddおよび内部グランド端子CGNDには、平滑化コンデンサ32が接続されており、出力される直流電圧の安定化が図られている。
【0030】上記パワー/RF部24は、I/Oバス27を介してCPU1、タイマー28およびシリアルI/Oポート29に接続されている。本実施形態では、このようにタイマー28を内蔵することにより、ソフトウェアによるリセット動作を実現することが可能となる。このタイマー28は、例えば、24ビットタイマーで構成される。
【0031】また、上記シリアルI/Oポート29には3つの入出力端子I/O0 ,I/O1 ,I/O2 が接続されており、これらの入出力端子I/O0 ,I/O1 ,I/O2 を介して外部負荷を接続することが可能である。外部負荷としては、例えばLED(図示せず)を用いることができる。
【0032】このようにLEDを接続した場合は、本実施形態のRFIDとホストとが近づいて通信可能な範囲内に入ったときにLEDが点灯するようにすることができ、通信が可能かどうかをユーザが一目で分かるようにすることができる。この外部負荷であるLEDを駆動するための電源をつくり出すのも上記パワー/RF部24である。なお、LEDの代わりにブザーなどを用いても良い。
【0033】本実施形態の半導体集積回路装置は、上述したCPU21、ROM22、EEPROM23、パワー/RF部24、アドレスバス25、データバス26、I/Oバス27、タイマー28およびシリアルI/Oポート29が1チップ化されて構成される。
【0034】次に、図1を用いて上記したパワー/RF部24の詳細な構成および動作について説明する。図1に示すように、本実施形態のパワー/RF部24は、内部駆動用電圧整流回路1と、電圧レギュレータ2と、リセット回路3と、FSK(周波数偏移変調)回路4と、PSK(位相偏移変調)回路5と、クロック回路6と、外部駆動用電圧整流回路7とを備えている。
【0035】これらの構成のうち、内部駆動用電圧整流回路1、電圧レギュレータ2、リセット回路3および外部駆動用電圧整流回路7により、上述した本実施形態のパワー部が構成される。また、FSK回路4、PSK回路5およびクロック回路6により、上述した本実施形態のRF部が構成される。
【0036】まず最初に、パワー部について説明する。上記内部駆動用電圧整流回路1は、その入力側に2つの電波送受信用端子S1,S2が接続されるとともに、出力側に内部電圧端子CVddおよび内部グランド端子CGNDが接続されている。
【0037】この内部駆動用電圧整流回路1は、2つの電波送受信用端子S1,S2より入力される単相の交流電圧を直流電圧に整流することにより、出力電圧がほぼ一定になるように制御するものである。この内部駆動用電圧整流回路1には、交流の両方向成分(1サイクル分の全て)を直流電圧に変換する全波整流回路を用いるのが好ましい。
【0038】図3(a)は、この内部駆動用電圧整流回路1の具体的な構成例を示す図である。図3(a)に示すように、本実施形態の内部駆動用電圧整流回路1は、2つの電波送受信用端子S1,S2の間に4つの整流素子D1〜D4がブリッジ型に接続されて構成されている。この内部駆動用電圧整流回路1により生成された直流電圧は、内部電圧端子CVddおよび内部グランド端子CGNDを介して出力される。
【0039】電圧レギュレータ2は、上記内部駆動用電圧整流回路1の出力側に並列に接続されている。すなわち、上記電圧レギュレータ2の一方の入力端子は上記内部電圧端子CVddに接続され、他方の入力端子は上記内部グランド端子CGNDに接続されている。これにより、上記内部駆動用電圧整流回路1で生成された直流電圧がこの電圧レギュレータ2に供給される。
【0040】この電圧レギュレータ2は、上記内部駆動用電圧整流回路1で生成される直流電圧を一定レベル以下に抑えるように制御するものである。すなわち、上記内部駆動用電圧整流回路1より供給される直流電圧が所定のしきい値(例えば3V)を越えるかどうかを判断し、そのしきい値を越える場合はリミット動作をかけることにより、外部からの電波を使って生成する内部電源電圧の大きさが上記所定のしきい値よりも大きくならないように制御する。
【0041】このような電圧レギュレータ2を設けることにより、本実施形態のRFIDと図示しないホストとの通信距離が短くなり、図2の同調用コイル30に誘導される交流電圧が非常に大きくなっても、内部電源電圧として使用する直流電圧の大きさが必要以上に大きくならないようにすることができる。これにより、RFIDとホストとが近づいたときに内蔵ICに過大な電力が供給されることを防ぎ、ICにかかる負担を少なくすることができる。
【0042】また、リセット回路3は、上記電圧レギュレータ2と同様に、内部駆動用電圧整流回路1の出力側に並列に接続されている。すなわち、リセット回路3の一方の入力端子は上記内部電圧端子CVddに接続され、他方の入力端子は上記内部グランド端子CGNDに接続されている。これにより、上記内部駆動用電圧整流回路1で生成された直流電圧(電圧レギュレータ2でリミット動作がかけられているときはその電圧)がこのリセット回路3に供給される。
【0043】このリセット回路3は、内部駆動用電圧整流回路1より供給される直流電圧のレベルが所定のしきい値より小さいときに、CPU21およびEEPROM23の動作をリセットするように制御するものである。このような制御は、2つのリセット信号RST1 ,RST2 のレベル(“H”レベルまたは“L”レベル)を制御することによって行う。また、このリセット回路3に用いられる上記所定のしきい値は、CPU21およびEEPROM23が正常に動作するのに十分な電圧レベルに設定される。
【0044】このようなリセット回路3を設けることにより、本実施形態のRFIDと図示しないホストとの通信距離が長くなって、内部駆動用電圧整流回路1で生成される直流電圧の大きさが非常に小さくなったときに、CPU21およびEEPROM23が動作し続けることによって誤動作を起こしてしまうことを防ぐことができる。
【0045】ところで、リセット回路3によりリセットがかけられた時点でRFIDがホストと通信途中であることも考えられる。この場合に内蔵ICの全てを同時にリセットすると、リセット時における誤動作によってEEPROM23の内容が書き換えられてしまうことが考えられる。
【0046】周知のように、EEPROM23は不揮発性のメモリであり、電源が切られてもその記憶内容は失われない。したがって、EEPROM23の内容が誤動作によって書き換えられると、その誤った内容がそのまま残されてしまうことになり、著しく不都合である。
【0047】そこで、本実施形態では、リセット回路3を以下のように動作させることにより、上記の不都合を防止している。すなわち、本実施形態では、図4に示すように、3種類のリセット電圧Vrst1、Vrst2、Vrst3を利用してCPU21およびEEPROM23のリセット動作を制御している。
【0048】図4に示すグラフにおいて、縦軸は電圧レベルを示し、横軸は時間を示している。このグラフは、本実施形態のRFIDと図示しないホストとの通信距離が徐々に短くなることによって内部で生成される電源電圧が大きくなっていき、その後、通信距離が徐々に長くなることによって内部で生成される電源電圧が小さくなっていく様子を表している。
【0049】この図4において、内部電源電圧VDD(図1の内部電圧端子CVddに現れる電圧)が徐々に大きくなっていく過程で、その電圧レベルが第1のリセット電圧Vrst1に達するまでの期間は、第1、第2のリセット信号RST1 ,RST2は共に“H”レベル(内部電源電圧VDDと同じ電圧)であり、CPU21およびEEPROM23は両方ともリセット状態にある。
【0050】そして、内部電源電圧VDDの電圧レベルが第1のリセット電圧Vrst1に達すると、第1、第2のリセット信号RST1 ,RST2 は共に“L”レベル(内部グランド電圧VGNDと同じ電圧)となり、CPU21およびEEPROM23は両方ともリセット状態が解除される。この第1のリセット電圧Vrst1は、例えば2.7Vである。
【0051】次いで、内部電源電圧VDDのレベルが更に上がっていって3Vに達すると、電圧レギュレータ2の制御により、それ以上電圧が上がらないように抑えられる。その後、内部電源電圧VDDが徐々に小さくなっていき、第2のリセット電圧Vrst2まで電圧レベルが小さくなると、まず最初に第2のリセット信号RST2が“H”レベルになり、EEPROM23がリセットされる。これにより、EEPROM23へのデータの書き込みが禁止される。
【0052】この第2のリセット電圧Vrst2は、上記第1のリセット電圧Vrst1の値よりもわずかに小さな値、例えば2.3Vに設定される。このように、第2のリセット電圧Vrst2を第1のリセット電圧Vrst1の値よりも小さな値に設定することにより、以下のようなメリットが得られる。
【0053】すなわち、図4においては、図の簡略化のために、本実施形態のRFIDと図示しないホストとの通信距離が十分に近い場合に内部で生成される内部電源電圧VDDのレベルが常に3Vに保たれているように示されているが、実際には電圧レベルは多少変動している。そして、その変動している電圧レベルが、第1のリセット電圧Vrst1である2.7Vを下回ることがある。
【0054】この場合に、第2のリセット電圧Vrst2を第1のリセット電圧Vrst1と同じ値の2.7Vとしておくと、変動している電圧レベルが2.7Vを下回ったときにEEPROM23が意図していないのにリセットされてしまう。そこで、本実施形態のように、第2のリセット電圧Vrst2を第1のリセット電圧Vrst1よりも小さい値の2.3Vとしておけば、変動している電圧レベルによってEEPROM23が簡単にリセットされないようにすることができる。
【0055】次いで、内部電源電圧VDDが更に小さくなって第3のリセット電圧Vrst3まで電圧レベルが小さくなると、次に第1のリセット信号RST1 が“H”レベルになり、CPU21がリセットされる。この第3のリセット電圧Vrst3は、例えば2.0Vに設定される。
【0056】このように、本実施形態においては、Vrst1>Vrst2>Vrst3の関係が保たれており、CPU21がリセットされるときにはEEPROM23は既にリセットされ、データの書き込みが禁止されている。これにより、リセット時におけるCPU21の誤動作によって誤ったデータがEEPROM23に書き込まれてしまうという不都合をなくすことができ、CPU21およびEEPROM23が常に正常に動作するようにすることができる。
【0057】上記内部駆動用電圧整流回路1によって生成される内部電源電圧VDDは、本実施形態の半導体集積回路装置内の各部を駆動するために利用される。一方、外部駆動用電圧整流回路7では、シリアルI/Oポート29の各入出力端子I/O0 ,I/O1 ,I/O2 に接続される外部負荷、例えばLEDを駆動するための電源電圧をつくり出す。
【0058】すなわち、外部駆動用電圧整流回路7は、その入力側に2つの電波送受信用端子S1,S2が接続されるとともに、出力側に負荷駆動用電圧端子VFORCEが接続されており、上記2つの電波送受信用端子S1,S2より入力される単相の交流電圧を整流することにより、外部負荷を駆動するための電源電圧を生成する。
【0059】図3(b)は、この外部駆動用電圧整流回路7の具体的な構成例を示す図である。図3(b)に示すように、本実施形態の外部駆動用電圧整流回路7は、2つの電波送受信用端子S1,S2と負荷駆動用電圧端子VFORCEとの間に、2つのNチャンネルエンハンスメント型トランジスタMN01,MN02が並列に接続されて構成されている。
【0060】このように、本実施形態では、内蔵ICを駆動するための電源電圧をつくり出す内部駆動用電圧整流回路1と、シリアルI/Oポート29を介して接続される外部負荷を駆動するための電源電圧をつくり出す外部駆動用電圧整流回路7とを別個に設け、内部IC駆動用の電源電圧と外部負荷駆動用の電源電圧とを別にとるようにしている。
【0061】これにより、外部負荷を駆動するために電力を消費しても、内蔵ICを駆動するための電源電圧が直接的に低下しないようにすることができ、外部負荷駆動時の負荷電流によって内蔵IC駆動用の電源電圧に影響を与えないようにすることができる。
【0062】特に、外部負荷としてLEDを用いた場合には、LEDで消費する電流は内蔵ICで消費する電流に比べて大きなものとなる。よって、1つの電源電圧をLED駆動用と内蔵IC駆動用とで併用するとすれば、内蔵ICを駆動するための電力が不足してしまう恐れが多くなる。
【0063】これに対し、LED駆動用と内蔵IC駆動用とで電源電圧を別にとれば、LEDでいくら電力を消費しようとも、内蔵ICに供給される電力が不足することはなくなり、電力不足によって内蔵ICが誤動作を起こしてしまう不都合を少なくすることができる。
【0064】ところで、LEDは、これに供給される電圧があるレベルを越えれば光るようになっている。つまり、あるレベル以上の電圧を定常的に供給する必要はなく、あるレベルを越えるピーク的な電圧を間欠的に供給すれば十分である。したがって、外部駆動用電圧整流回路7でつくり出す電源電圧は、内部駆動用電圧整流回路1でつくり出す直流電圧と異なり、脈流電圧でも良い。例えば、内部駆動用電圧整流回路1では全波整流を行うのに対して、外部駆動用電圧整流回路7では半波整流を行うようにすることが可能である。
【0065】このように、外部駆動用電圧整流回路7では、内部駆動用電圧整流回路1で内部電源電力を生成するよりも効率良く負荷駆動用電源電力を生成することができる。つまり、本実施形態では、用途に応じて異なる種類の電源電圧を生成することができ、電源電圧をつくり出すための回路を内部駆動用と外部駆動用とで2つに分けて、このようなメリットが得られるようにしている。
【0066】なお、ここでは、外部負荷としてLEDを用いる場合について説明したが、本実施形態のRFIDと図示しないホストとが通信可能な距離にあるかどうかをユーザに知らせるために、LEDの代わりにブザーを用いるようにしても良い。
【0067】次に、図1に示したRF部について説明する。RF部を構成するFSK回路4およびPSK回路5は、それぞれ上記した2つの電波送受信用端子S1,S2に接続されている。ここで、上記FSK回路4はデータ受信用に用いられ、上記PSK回路5はデータ送信用に用いられる。
【0068】すなわち、FSK回路4は、周波数のシフトにより情報を伝送する。例えば、電波送受信用端子S1,S2で受信したデータ値が“1”であるときには125KHzの正弦波を伝送路に送り出し、受信したデータ値が“0”であるときには117.65KHzの正弦波を伝送路に送り出すようにする。
【0069】また、PSK回路5は、位相のシフトにより情報を伝送する。例えば、搬送周波数が62.5KHzの4相位相変調を用いることができる。この場合は、信号の種類が位相で0°、90°、180°270°と4種類あるので、1つの信号あたり2ビットの伝送が行われる。
【0070】また、クロック回路6は、上記FSK回路4で異なる周波数の信号を検出するための基準となるクロックパルスを発生するものである。例えば、上記FSK回路4は、クロック回路6より供給されるクロックパルスをデータ値“1”、“0”に応じて異なる分周比で分周することにより上記した125KHzの信号および117.65KHzの信号を検出する。
【0071】このように、本実施形態では、電波の送受信をFSK方式(受信)とPSK方式(送信)とに分けて行うようにしている。また、本実施形態では、従来のロジック回路と異なり、CPU21を内蔵している。したがって、送信用の電波と受信用の電波とをCPU21が認識することができ、データの送受信を同時に行うことができるようになる。
【0072】
【発明の効果】本発明は上述したように、半導体集積回路装置内部を駆動するための電源電圧をつくり出す内部駆動用電圧整流手段と、上記半導体集積回路装置に接続される外部負荷を駆動するための電源電圧をつくり出す外部駆動用電圧整流手段とを別個に設けたので、半導体集積回路装置の内部を駆動するための電源電圧と上記半導体集積回路装置に接続される外部負荷を駆動するための電源電圧とをそれぞれ別個に確保することでき、外部負荷を駆動するために多くの電力を消費しても、半導体集積回路装置内部を駆動するための電源電圧が低下しないようにすることができる。したがって、外部負荷を駆動したことによる電力不足によって半導体集積回路装置が誤動作を起こしてしまう不都合を防止することができ、動作の安定化を図ることができる。
【0073】また、本発明の他の特徴によれば、内部駆動用電圧整流手段で全波整流を行うのに対して、外部駆動用電圧整流手段で半波整流を行うようにしたので、半導体集積回路装置や外部負荷の用途に応じて異なる種類の電源電圧を効率よく生成することができ、外部駆動用電圧整流手段では、内部駆動用電圧整流手段で生成される内部駆動用電源電圧より効率の良い負荷駆動用電源電圧を得ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であり、本発明による無電池方式のRFIDの特徴を最もよく表すパワー/RF部の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示したパワー/RF部を利用した本実施形態による無電池方式のRFIDの全体的な構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示した内部駆動用電圧整流回路および外部駆動用電圧整流回路の具体的な構成例を示す図である。
【図4】図1に示したリセット回路の動作を説明するための図である。
【符号の説明】
1 内部駆動用電圧整流回路
2 電圧レギュレータ
3 リセット回路
4 FSK回路
5 PSK回路
6 クロック回路
7 外部駆動用電圧整流回路
21 CPU
22 ROM
23 EEPROM
24 パワー/RF部
28 タイマー
29 シリアルI/Oポート
30 同調用コイル
31 コンデンサ
32 平滑化コンデンサ
S1,S2 電波送受信用端子
CVdd 内部電圧端子
CGND 内部グランド端子
VDD 内部電源電圧
VGND 内部グランド電圧
VFORCE 負荷駆動用電圧端子
I/O0 ,I/O1 ,I/O2 入出力端子
RST1 ,RST2 リセット信号
rst1,Vrst2,Vrst3 リセット電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】 外部より送信される電波から電磁誘導により発生されて供給された交流信号を整流することによって内部電源電圧をつくり出す内部駆動用電圧整流手段を有する半導体集積回路装置であって、上記外部より送信される電波から電磁誘導により発生されて供給された交流信号を整流することによって上記半導体集積回路装置に接続される外部負荷を駆動するための電源電圧をつくり出す外部駆動用電圧整流手段を上記内部駆動用電圧整流手段とは別個に設けたことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項2】 上記内部駆動用電圧整流手段は全波整流を行い、上記外部駆動用電圧整流手段は半波整流を行うことを特徴とする請求項1に記載の半導体集積回路装置。
【請求項3】 電波を使って外部との間でデータを送受信するとともに、受信した電波から電源電圧をつくり出すようになされた半導体集積回路装置を内蔵する無電池方式のRFIDであって、上記RFIDの外部より送信される電波から電磁誘導により交流電圧を発生する電圧発生手段と、上記電圧発生手段により発生される交流電圧を整流することによって上記半導体集積回路装置の内部を駆動するための電源電圧を生成する内部駆動用電圧整流手段と、上記電圧発生手段により発生される交流電圧を整流することによって上記半導体集積回路装置に接続される外部負荷を駆動するための電源電圧を生成する外部駆動用電圧整流手段とを備えることを特徴とする無電池方式のRFID。
【請求項4】 上記外部負荷は、上記RFIDと上記RFIDの外部との間でデータの送受信を行うことが可能かどうかを知らせるための報知手段であることを特徴とする請求項3に記載の無電池方式のRFID。
【請求項5】 上記報知手段はLEDであることを特徴とする請求項4に記載の無電池方式のRFID。
【請求項6】 上記報知手段はブザーであることを特徴とする請求項4に記載の無電池方式のRFID。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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