説明

半導電性ベルトの製造方法

【課題】半導電性ベルトを歩留まりよく製造する製造方法を提供する。
【解決手段】導電性付与剤含有樹脂組成物から半導電性ベルトを形成する方法であって、半導電性ベルトが有する体積抵抗値の常用対数値Yと前記導電性付与剤含有樹脂組成物が有する電気抵抗値の常用対数値Xとの間に以下の関係式を満たす半導電性ベルトの製造方法であり、 Y=aX+b(ただし、Yは、半導電性ベルトに要求される最小の体積抵抗値の常用対数値から半導電性ベルトに要求される最大の体積抵抗値の常用対数値までの数値範囲を示し、Xは、導電性付与剤含有樹脂組成物が有する最小の電気抵抗値の常用対数値から導電性付与剤含有樹脂組成物が有する最大の電気抵抗値の常用対数値までの数値範囲を示し、aは6.7〜6.8であり、bは−23.5〜−19.0である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は半導電性ベルトの製造方法に関し、詳しくは例えば電子写真方式の画像形成装置等に使用するに際して要求される体積抵抗値を有する半導電性ベルトの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザプリンタ、複写機、ビデオプリンタ、ファクシミリ、これらの複合機などには、電子写真方式を利用した各種の画像形成装置が採用されている。電子写真方式を利用した画像形成装置は、感光ドラムに形成された潜像を現像ローラから供給されるトナーで現像し、形成されたトナー現像を感光ドラムに接する無端の半導電性ベルト(転写ベルトともいう。)に転写(一次転写)し、それを印刷シート及び印刷用紙等の記録体に転写(二次転写)し、転写されたトナーを有する記録体は加圧ローラ及び定着ローラによって圧着又は加熱圧着され、転写されたトナーが記録体上に画像や文字として完全に定着する中間転写方式を採用する。また、画像形成装置の中には、転写ベルトに記録体の搬送を兼ねさせた転写搬送ベルトを使用する方式を採用するものもある。
【0003】
このような半導電性ベルトは駆動ローラ等により高速で無限軌道上を走行する構造になっている。そして、通常のプリンタ等では、10万枚近い印刷用紙等の記録体に印刷する期間中、前記半導電性ベルトは、弛みやずれがないように応力が加わった状態になっている。そのため、半導電性ベルトは引張り強度、ヤング率、可撓性、耐折強さ、導電特性などをバランスよく備えている必要性があり、特に、トナー転写時に転写ローラからの印加電圧を受けて常に所定の電位を保つことが重要である。そこで、半導電性ベルトは、その素材及び製造工程などにつき各種の検討がなされている。特許文献1では、カーボンブラックの性状を特定することにより、電気抵抗値の均一性及び環境安定性等を改善した半導電性ベルトが開示され、特許文献2には、表面抵抗率、体積抵抗率のばらつき及び経時変化を抑えるための工夫として、ベルト成形時の加熱処理工程の工夫によって半導電性ベルトの電気抵抗値を調整する方法が報告されている。
【0004】
【特許文献1】特開2000−355432号公報
【特許文献2】特開2001−96550号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導電性ベルトは、熱可塑性樹脂等の樹脂を含有する樹脂組成物を成形加工することにより製造される。そして、製造された半導電性ベルトの一つ一つについてその体積抵抗値等を測定することにより、画像形成装置の半導電性ベルトに要求される体積抵抗値を満たしている半導電性ベルトを選別していた。したがって、今までのところ、前記樹脂組成物を成形加工すると前記体積抵抗値等が要求値を満たす半導電性ベルトが常に得られるわけではなくて、半導電性ベルトの製造歩留まりは必ずしも高くはなかった。
【0006】
この発明は、製造後の半導電性ベルトの体積抵抗値等を測定してから良品及び不良品の選別をするといった無駄な作業を廃して、要求される特性を有する半導電性ベルトを歩留まりよく製造することのできる半導電性ベルトの製造方法を提供することを、課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段として、
請求項1は、導電性付与剤含有樹脂組成物から半導電性ベルトを形成する方法であって、半導電性ベルトが有する体積抵抗値の常用対数値Yと前記導電性付与剤含有樹脂組成物が有する電気抵抗値の常用対数値Xとの間に以下の関係式を満たす導電性付与剤含有樹脂組成物を用いることを特徴とする半導電性ベルトの製造方法であり、
Y=aX+b
(ただし、Yは、半導電性ベルトに要求される最小の体積抵抗値の常用対数値から半導電性ベルトに要求される最大の体積抵抗値の常用対数値までの数値範囲を示し、Xは、導電性付与剤含有樹脂組成物が有する最小の電気抵抗値の常用対数値から導電性付与剤含有樹脂組成物が有する最大の電気抵抗値の常用対数値までの数値範囲を示し、aは6.7〜6.8であり、bは−23.5〜−19.0である。)
請求項2は、前記Yは8〜14であり、前記Xは4〜5.5である前記請求項1に記載の半導電性ベルトの製造方法であり、
請求項3は、導電性付与剤含有樹脂組成物中の導電性付与剤の含有量を調整することにより該導電性付与剤含有樹脂組成物の電気抵抗値を調整する前記請求項1又は2に記載の半導電性ベルトの製造方法であり、
請求項4は、導電性付与剤含有樹脂組成物中の導電性付与剤がカーボンブラックである請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導電性ベルトの製造方法であり、
請求項5は、導電性付与剤含有樹脂組成物に含まれる樹脂が熱可塑性樹脂である前記請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導電性ベルトの製造方法であり、
請求項6は、前記熱可塑性樹脂がポリアミドイミド樹脂である請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導電性ベルトの製造方法であり、
請求項7は、半導電性ベルトを形成する方法が、導電性付与剤含有樹脂組成物を遠心成形する方法である請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導電性ベルトの製造方法である。
【発明の効果】
【0008】
この発明によると、画像形成装置に適用する半導電性ベルトに要求される体積抵抗値を有する半導電性ベルトを、それを製造するための成形材料である導電性付与剤含有樹脂組成物の電気抵抗値を測定し、所定の関係式を満たすとして選択された導電性付与剤含有樹脂組成物の成形加工により、製造することができる。したがって、製造された半導電性ベルトには実質的に不良品がなく、半導電性ベルトの製造に際しての歩留まりが向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
この発明の製造方法により製造される半導電性ベルトは、樹脂と導電性付与剤とを含有する導電性付与剤含有樹脂組成物を成形加工することにより、得られる。
【0010】
前記樹脂としては、半導電性ベルトとしての強度があり、繰返し変形に耐える可撓性に富んだ樹脂単体又は複数種類の樹脂を混合して成る樹脂混合物を使用することができ、好適例として熱可塑性樹脂を挙げることができる。前記熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、アクリル・スチレン共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS樹脂)、アセチルセルロース、ポリアミドイミド樹脂(PAI)、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、アラミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、架橋型ポリエステル樹脂等のポリエステル系樹脂、フッ素樹脂、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン(PESF)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリフェニレンオキシド・ポリスチレン共重合体、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、四フッ化樹脂(PTFE)、ポリメチルペンテン(TPX)、ポリアリレート(PAR)、ポリアセタール(POM),ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等が挙げられる。その中でも、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂が好ましく、特にポリアミドイミド樹脂、さらには芳香族ポリアミドイミド樹脂が最も好ましい。ポリアミドイミド樹脂は強度、可撓性、寸法安定性、耐熱性などの機械的特性のバランスがよくこの発明の方法により製造される半導電性ベルトの素材として好適である。
【0011】
前記芳香族ポリアミドイミド樹脂の製造法としては、トリカルボン酸無水物とジイソシアネート化合物とを反応させるジイソシアネート法が、原料の入手、反応性、副生成物の少なさ等の面から優れている。このジイソシアネート法で製造される芳香族ポリアミドイミド樹脂の外にも、重縮合反応を好適に進めることができるのであれば、ジイソシアネート化合物に替えてジアミン化合物を用いて製造される芳香族ポリアミドイミド樹脂も、好ましい。ジアミン化合物を用いて得られる芳香族ポリアミドイミド樹脂は、ヤング率が高いので好適な無端ベルト材料となる。また、トリカルボン酸無水物の一部をテトラカルボン酸二無水物に替えてイミド結合を増加させた芳香族ポリアミドイミド樹脂は、耐湿性に優れている。これらの芳香族ポリアミドイミド系樹脂を合成する反応は、適宜の溶媒中で、常圧下、及び常温下又は加熱下で、容易に進行する。
【0012】
前記トリカルボン酸無水物としては、芳香族トリカルボン酸無水物が好ましく、トリメリット酸無水物及びその誘導体、3,4,4’−ジフェニルエーテルトリカルボン酸無水物、3,4,4’−ベンゾフェノントリカルボン酸無水物、2,3,5−ピリジントリカルボン酸無水物、ナフタレントリカルボン酸無水物類などが挙げられる。これらの酸無水物は単独でも混合してでも用いることができる。
【0013】
テトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン酸二無水物、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
【0014】
ジイソシアネート化合物としては、芳香族ジイソシアネート化合物を好適例として挙げることができる。また、ジイソシアネート化合物として、前記芳香族ジイソシアネート化合物とともに、又は前記芳香族ジイソシアネート化合物に替えて、脂肪族ジイソシアネート化合物及び/又は脂環式ジイソシアネート化合物を、又はこられの誘導体であるアミン類を使用することもできる。
【0015】
芳香族ジイソシアネート化合物として、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアネートジフェニルエーテル、4,4’−ジイソシアネートジフェニルスルホン、4,4’−ジイソシアネートビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアネートビフェニル、2,4−トルエンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。また、これら芳香族ジイソシアネート化合物の誘導体であるジアミン類も原料として利用できる。脂肪族ジイソシアネートとしては、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。脂環式ジイソシアネート化合物としては、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。これらのジイソシアネート化合物の中でも、半導電性ベルトの耐熱性、機械的特性、溶解性などを考慮すると、全ジイソシアネート成分中の60質量%以上、好ましくは70質量%以上を、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアネートビフェニル、イソホロンジイソシアネート、又はこれらのアミン誘導体とすることが好ましい。さらに、半導電性ベルトの寸法安定性を考慮すると、全ジイソシアネート成分中の70質量%以上をジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートとすることが好ましい。
【0016】
ジアミン化合物としては、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、2,2−ビス(4’−(4''−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニル等を挙げることができる。
【0017】
これらの重縮合反応に際して使用される溶媒としては、溶解性の点からは極性溶媒が好ましく、重縮合反応性の点からは非プロトン性極性溶媒が好ましい。溶媒として、例えばN,N−ジアルキルアミド類、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミドなどが挙げられる。また、N−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、ジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン等も好ましい。これらの溶媒は単独でも混合してでも使用できる。
【0018】
前記導電性付与剤として、導電性粉末及びイオン導電性物質等を挙げることができる。導電性粉末として、ケッチェンブラック,アセチレンブラック等の導電性カーボンの他に、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボン類、また酸化チタン、酸化亜鉛、ニッケル、銅、銀、ゲルマニウム等の金属、更には金属酸化物、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等の導電性ポリマー、ナノ粒子等を挙げることができる。イオン導電性物質としては、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸カルシウム、塩化リチウム等の無機イオン性導電物質等を挙げることができる。導電性粉末は、前記各種の物質をその一種を単独で使用することができ、また二種以上を併用することもできる。
【0019】
前記各種の導電性付与剤の中でも、導電性カーボン及びゴム用カーボン等が好ましく、特にはカーボンブラックが好ましい。このカーボンブラックとしては、例えばファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等の市販の各種カーボンブラックを挙げることができる。
【0020】
また、カーボンブラックは、硫酸基及び/又は硝酸基を結合した酸性カーボンブラック、並びに酸化処理することによりカルボキシル基及び/又はヒドロキシル基等を付加した酸化処理カーボンブラックを用いることも好ましい。酸性カーボンブラック及び酸化処理カーボンブラックは、樹脂との親和性が大きいので、導電性付与剤含有樹脂組成物又は半導電性ベルトの表面にブリードアウトすることがない。なお、市販のpH5以下の酸化処理カーボンブラックは好適な導電性付与剤である。
【0021】
この導電性付与剤の好ましい形状は球状又は不定形である。球状又は不定形をなす導電性付与剤の粒子のサイズは、一次粒子径として0.01〜10μm程度が好ましい。導電性付与剤がカーボンブラックの場合、そのBET比表面積は、一次粒子径との相関性が強く、50〜300m/gであることが好ましく、100〜200m/gがより好ましい。導電性付与剤含有樹脂組成物における導電性付与剤の含有量は、導電性付与剤の導電性及び粒径、並びに半導電性ベルトの要求する導電性の程度により適宜に調整され、一般には、導電性付与剤含有樹脂組成物における樹脂と導電性付与剤との合計に対し1〜25質量%、好ましくは5〜20質量%の範囲が望ましい。含有量が上記範囲より少ない場合には、導電性物質同士の距離が離れすぎて半導電性ベルトにおける導電性の発現が悪くなることがある。逆に、導電性付与剤の含有量が上記範囲より多い場合には、半導電性ベルトの機械的強度等が低下するおそれがある。
【0022】
前記導電性付与剤含有樹脂組成物は、この発明の目的を阻害しない限り、他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、シリコーン系化合物、フッ素系有機化合物、カップリング剤、滑剤、酸化防止剤、可塑剤、着色剤、帯電防止剤、老化防止剤、補強性フィラー、反応助剤、反応抑制剤等の各種添加剤を添加してもよい。また、この導電性付与剤含有樹脂組成物は、この発明の目的を阻害しない限り、他のポリマーが含有されていてもよい。これら他の成分の前記導電性付与剤含有樹脂組成物における含有量は、これら他の成分の添加により前記導電性付与剤含有樹脂組成物に発現させる特性に応じて適宜に決定されることが、できる。
【0023】
この発明においては、前記樹脂、導電性付与剤、並びに必要に応じて含有される添加剤及び溶媒を含有する前記導電性付与剤含有樹脂組成物における電気抵抗値の決定が重要である。
【0024】
つまり、この発明における前記導電性付与剤含有樹脂組成物における電気抵抗値と半導電性ベルトにおける体積抵抗値とが以下の関係式を満たすように、この導電性付与剤含有樹脂組成物の電気抵抗値を決定することが、重要である。
【0025】
Y=aX+b
(ただし、Yは、半導電性ベルトに要求される最小の体積抵抗値の常用対数値から半導電性ベルトに要求される最大の体積抵抗値の常用対数値までの数値範囲を示し、8〜14である。また、Xは、導電性付与剤含有樹脂組成物が有する最小の電気抵抗値の常用対数値から導電性付与剤含有樹脂組成物が有する最大の電気抵抗値の常用対数値までの数値範囲を示し、4〜5.5である。aは6.7〜6.8であり、bは−23.5〜−19.0である。)
【0026】
画像形成装置に使用される半導電性ベルトに要求されるところの、好適な最小の体積抵抗値は、通常、10Ω・cmであり、また前記半導電性ベルトに要求される好適な最大の体積抵抗値は、通常、1014Ω・cmである。
【0027】
上記関係式は、種々の電気抵抗値を有する導電性付与剤含有樹脂組成物を成形加工して得られた種々の半導電性ベルトにおける体積抵抗値を測定することにより得られた多数の実験結果から得られた経験則として、意義付けることができ、後述する実施例により支持される。
【0028】
この発明の製造方法においては、上記経験則である前記関係式に基づいて、以下のようにして半導電性ベルトを製造することができる。
【0029】
先ず、導電性付与剤含有樹脂組成物を調製する。
【0030】
導電性付与剤含有樹脂組成物を調製する方法として、例えば、溶媒中で芳香族ポリアミドイミド樹脂とカーボンブラックとを撹拌混合して分散する方法、及び、先ずボールミル及び超音波分散装置等の適宜な分散装置乃至混合機等によりカーボンブラックを溶媒中に分散させて分散液を調製し、次いでその分散液と芳香族ポリアミドイミド樹脂の原料となるテトラカルボン酸二無水物及び/又はその誘導体等とイソシアネート及び/又はジアミン等とを混合し、その混合物系で重縮合する方法を挙げることができる。このようにカーボンブラックの存在下に重縮合する方法を採用すると、カーボンブラックが均一に分散していることにより電気特性のバラツキのない半導電性ベルトを製造するのに好適な導電性付与剤含有樹脂組成物が得られる。その際、カーボンブラックと溶媒との親和性を高めるために、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、ポリ(N,N’−ジエチルアクリルアジド)等の分散剤を使用するのがよい。
【0031】
前記溶媒としては、特に制限はないが、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)、ホルムアミド、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)、アセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラメチレングリコールジメチルエーテル(テトラグライム)等のグリコール類、DMSO(ジメチルスルホキシド)等の溶媒が挙げられる。
【0032】
また、予め合成した芳香族ポリアミドイミド樹脂とカーボンブラックと必要に応じて添加される溶媒及び前記各種の添加剤とが均一に分散してなる導電性付与剤含有樹脂組成物を調製する装置としては、特に制限がなく、カーボンブラックを粉状物、液状物又はペースト状物に分散させる公知の分散装置を採用することができ、例えば、ミキシングロール、加圧式ニーダ、押出機、三本ロール、ホモジナイザー、ボールミル、ビーズミル等を一例として挙げることができる。
【0033】
前記導電性付与剤含有樹脂組成物を均一な分散状態にするために、必要に応じて分散剤を使用することができる。
【0034】
前記分散剤は使用する溶媒の極性に合わせて選択するのが好ましく、好適に選択される分散剤として、例えば、極性溶媒用の高分子分散剤(分子量約2000以上)等が挙げられる。分散剤の添加量は特に制限はないが、前記芳香族ポリアミドイミド樹脂100質量部に対しては、0.1〜15質量部、好ましくは1〜8質量部程度が好ましい。また、必要に応じ、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンモノ脂肪酸エステル、ソルビタンモノ脂肪酸エステル等のノニオン性界面活性剤等を分散剤と併用することも可能である。なお、分散剤は上記例示に限定されない。
【0035】
かくして得られた導電性付与剤含有樹脂組成物の電気抵抗値を測定する。電気抵抗値の測定は次のようにして行われる。
【0036】
図3に示す電気抵抗値測定装置を使用する。図3に示すように、この電気抵抗値測定装置10は、容器11に収容した導電性付与剤含有樹脂組成物16に、その上表面から50mm(図中のD)の深さに浸漬され、しかも互いに30mmの間隔(図中のW2)を設けて平行に並べられた、垂直に立てた一対の電極12,13と、それら一対の電極12,13に電圧を印加する10Vの直流電源14と、この電極12,13間に流通する電流の抵抗値を測定する抵抗測定器15とを備えてなる。一対の電極12,13それぞれは、直径10mm(図中のW1)の円柱体であり、その表面に金メッキが施されている。直流電源14は、(株)ケンウッド製のREGULATEDE DC POWER SUPPLY PD S20-18を使用する。抵抗測定器15は、(株)フルーク製の45 DUAL DISPLAY MUTIMETERを使用する。
【0037】
得られた導電性付与剤含有樹脂組成物の電気抵抗値を測定した結果、例えば電気抵抗値の常用対数値がX1である場合に、前記関係式(1)に前記X1を代入して得られる計算値YがYminより下回るときには、その導電性付与剤含有樹脂組成物を用いて成形加工して得られる半導電性ベルトは不良品になると判断し、前記関係式(1)に前記X1を代入して得られる計算値YがYminとYmaxとの間にある値であるときには、その導電性付与剤含有樹脂組成物を用いると合格品である半導電性ベルトが得られると判断する。
【0038】
得られた導電性付与剤含有樹脂組成物の電気抵抗値を測定した結果、例えば電気抵抗値の常用対数値がX4である場合に、前記関係式(1)にX4を代入して得られる計算値YがYminとYmaxとの間にある値であるときには、その導電性付与剤含有樹脂組成物を用いると合格品であると判断し、前記関係式(1)にX4を代入して得られる計算値YがYmaxを越えるときには、その導電性付与剤含有樹脂組成物を用いると不合格品の半導電性ベルトが得られると判断する。
【0039】
得られた導電性付与剤含有樹脂組成物の電気抵抗値を測定した結果、例えば電気抵抗値がX2及びX3のいずれかである場合にも、同様に判断することができる。
【0040】
このようにして導電性付与剤含有樹脂組成物の電気抵抗値を測定した結果、合格品と判断された導電性付与剤含有樹脂組成物を、半導電性ベルトを製造する材料として、選定する。
【0041】
なお、不良品と判定された導電性付与剤含有樹脂組成物は、これに更に導電性付与剤を添加し、又は樹脂を添加する等をして導電性付与剤含有樹脂組成物の電気抵抗値を調整して再利用することが、できる。
【0042】
かくして良品と選定された導電性付与剤含有樹脂組成物は、半導電性ベルトを製造するための成形加工に供される。その成形加工としては、導電性付与剤含有樹脂組成物に含まれる樹脂が熱可塑性樹脂である場合には、遠心成形法、押出成形法、射出成形法等を採用することができる。また、導電性付与剤含有樹脂組成物に含まれる樹脂が熱硬化性樹脂である場合には、遠心成形法やRIM成形法等を採用することができる。これらの方法の中でも、厚さ精度に優れていること等から遠心成形法が好適である。
【0043】
遠心成形法で半導電性ベルトを成形する場合、溶媒を含有する導電性付与剤含有樹脂組成物は、その成形時の粘度を50,000mPa・s以下に調整するのが好ましい。粘度が50,000mPa・sを超えると、厚さの均一な半導電性ベルトを製造するのが困難になることがある。導電性付与剤含有樹脂組成物の粘度の下限については、特に限定されるものではないが、10mPa・s以上が好ましい。導電性付与剤含有樹脂組成物の粘度が上記範囲を外れる場合は、導電性付与剤含有樹脂組成物に加える溶媒の種類及び/又は溶媒の添加量を調節することにより、導電性付与剤含有樹脂組成物の粘度を前記範囲内に調整することができる。溶媒としては、上述したポリアミドイミド樹脂を重縮合させる際の重合溶媒がそのまま好適に用いられる。重合溶媒として、又は導電性付与剤含有樹脂組成物の粘度調整用の溶媒として、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどが挙げられる。
【0044】
遠心成形法によると、円筒形の金型に、溶媒を含有することにより流動性となった導電性付与剤含有樹脂組成物を、注入し、金型を回転させて遠心力で金型内周面に導電性付与剤含有樹脂組成物の層を均一に成形し、溶媒を乾燥除去することにより、無端の半導電性ベルトが製造される。金型は各種金属管を用いることができる。好適な金型としては、金型の内周面は鏡面研磨されており、鏡面となった内周面はフッ素樹脂やシリコーン樹脂等の離型剤により離型処理され、形成した半導電性ベルトが内周面から容易に脱型できるようにされた金属管を挙げることができる。
【0045】
なお、半導電性ベルトの厚さは、通常の場合、0.03〜1.0mm、好ましくは0.05〜0.2mm、さらに好ましくは0.07〜0.14mm程度が望ましい。半導電性ベルトの厚さが薄すぎれば機械的強度が損なわれ、厚すぎれば可撓性が損なわれる。この発明に係る半導電性ベルトは、導電性付与剤含有樹脂組成物で形成された単層構造に限らず、導電性付与剤含有樹脂組成物で形成された層と他の樹脂又は樹脂組成物で形成された層とを含む積層構造乃至多層構造であっても良い。
【0046】
遠心成形法により半導電性ベルトを製造する場合には、導電性付与剤含有樹脂組成物は溶媒を含むので、金型内周面に成形された円筒状のフィルム成形体から溶媒を除去して乾燥フィルム成形体を金型から脱型する。
【0047】
金型内周面に成形されたフィルム成形体から溶媒を除去する処理として、以下の一次溶媒除去工程及び二次溶媒除去工程からなる溶媒除去処理を挙げることができる。一次溶媒除去工程では、金型を回転して遠心成形された導電性付与剤含有樹脂組成物のフィルム状物から、金型を回転したまま5〜60分間、40〜150℃の熱風を金型内に通過させることにより、溶媒が除去される。一次溶媒除去工程に続く二次溶媒除去工程では、フィルム状物を金型ごと遠心成形機から取り出し、取り出した前記フィルム状物を過熱水蒸気炉で110〜350℃の過熱水蒸気で10〜120分間加熱し、これによってフィルム状物中の溶媒を完全に除去する。その後、金型ごと前記フィルム状物を取り出し放冷する。金型とフィルム状物との熱膨張率の差を利用してフィルム成形体を脱型し、脱型した円筒状のフィルム成形体の両側端部を除去し、所定幅に裁断すればこの発明における半導電性ベルトができ上がる。
【0048】
なお、ポリアミドイミド樹脂製の半導電性ベルトは、上述した方法による他に、ポリアミドイミド樹脂の原料であるトリカルボン酸無水物とジイソシアネート化合物とが一部重合したポリアミド酸の溶液を、金型の内周面や外周面に、浸漬方式、遠心方式、塗布方式等によってコートし、又は前記ポリアミド酸の溶液を注型金型に充填する等の適宜な方式で筒状に展開し、その展開層を乾燥製膜してベルト形に成形し、その成形物を加熱処理してポリアミド酸をイミドに転化して型より回収する周知の方法(特開昭61−95361号公報、特開昭64−22514号公報、特開平3−180309号公報等)等により得ることもできる。
【0049】
上述のこの発明における半導電性ベルトは、各種画像形成装置の感光体基体用、現像用、搬送用、定着用等の用途で使用可能である。
【0050】
半導電性ベルトの端部には作動中の横ぶれ防止用のガイドとして紐状、或いは帯状の細長いガイド部材を配置する場合もある。ガイド部材の材料は、適度なゴム弾性と耐摩耗性とを有する弾性材料、例えばウレタン系エラストマー、シリコーン系エラストマー、フッ素系樹脂エラストマー、スチレン系エラストマー等があげられる。これらの中でも、耐摩耗性に優れる、JIS K 6253−1997によるA硬度が30以上95以下のウレタン系エラストマーが好適である。
【0051】
また、この発明における半導電性ベルトの体積抵抗値は、転写ベルト又は搬送ベルトとして使用される場合は、10〜1014Ω・cmであることが好ましく、1010〜1013Ω・cmであることがより好ましい。体積抵抗値が高すぎると、この半導電性ベルトを画像形成装置内の転写ベルトとして使用した際、転写ベルトのトナー像形成表面に、裏面の転写ローラから適度な電位を与えられなくて転写ベルトに正常なトナー像が形成できないことがある。逆に、体積抵抗値が低すぎると、転写ベルト表面の電位を制御できなくなり、トナーの付着、転写の制御が難くなる。このため、転写ベルトを介してトナーが記録体に正常に形成されなくなり、印刷不良が発生するおそれがある。また、半導電性ベルトの体積抵抗値が前記範囲を外れると、この半導電性ベルトを画像形成装置内の搬送ベルトとして使用した際、搬送される記録体例えば記録紙が搬送面からずれたりすることがあり、正確な画像が記録体表面に形成されないことがある。
【実施例】
【0052】
(実施例1)
反応器中で、当量のトリメリット酸無水物及びジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートと溶媒のN−メチル−2−ピロリドンとを混合し、得られた混合物を30分間かけて20℃から150℃に昇温した後に、150℃にてトリメリット酸無水物及びジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートとの反応を5時間継続し、固形分濃度(溶液中に存在する実質的に全閉環のポリアミドイミド樹脂の濃度、以下同じ)28質量%の濃度で芳香族ポリアミドイミドを含有する芳香族ポリアミドイミド溶液を得た。これにN−メチル−2−ピロリドンを加え、固形分濃度15質量%の芳香族ポリアミドイミド溶液を調製した。これに導電性付与剤として酸化処理カーボンブラック(表1においては「ロットA」と表示された。商品名:プリンテックス150T,Degussa社製,pH5.8、揮発分10.0%)を芳香族ポリアミドイミド樹脂固形分と導電性付与剤との合計に対して15質量%となるように配合し、ポットミルで24時間混合分散して導電性付与剤含有樹脂組成物を得た。
【0053】
導電性付与剤含有樹脂組成物を図3に示される構造の電気抵抗値測定装置により、電気抵抗値を測定後、得られた電気抵抗値の常用対数値を求めたところ、4.2であった。
【0054】
その導電性付与剤含有樹脂組成物190gを、遠心成形機内に装填されたところの、軸線を中心にして1000rpmの速度で回転するとともに125℃に加熱された金型の内周面に、注入した。使用した金型は、内径226mm、外径246mm、及び軸線長さ400mmの円筒体であり、金型の内周面はポリッシングにより研磨された鏡面であった。そして金型の両端の開口部にはリング状の蓋(内径170mm、外径250mm)をそれぞれ嵌合することにより、材料漏れが防止されていた。導電性付与剤含有樹脂組成物を金型の内周面にフィルム状に展延した。その後、前記金型を30分間回転したまま80℃の熱風を金型内を通過させることにより熱風をフィルムに吹き付けることにより溶媒を除去した。溶媒除去が終了したら、金型の内周面に形成されたフィルムを金型ごと遠心成形機から取り出し、フィルム付きの金型を過熱水蒸気炉内に装填した。金型内のフィルムを290℃の過熱水蒸気炉で50分間過熱水蒸気処理した後、前記フィルムを室温で放冷した。金型と前記フィルムとの熱膨張率の差によりフィルムを金型から脱型した。取り出された円筒形のフィルムの両端部をそれぞれカットして、周長約710mm、幅240mm、厚さ100μmの半導電性ベルト(無端ベルトとも称する。)を得た。
【0055】
その無端ベルトの体積抵抗値の測定は、体積抵抗測定装置(三菱化学株式会社製、商品名:Hiresta−UP、使用プローブUR−100)を用い、印加電圧500V、印加時間10秒で実施した。測定した体積抵抗値の常用対数値は8.8であった。導電性付与剤含有樹脂組成物の電気抵抗値の常用対数値は上記した様に「4.2」であり、一次式「Y=aX+b(但し、6.7≦a≦6.8、−23.5≦b≦−19.0)」を満たす範囲の結果となり合格と判定した。
【0056】
(実施例2〜9)
表1に示されるロットの酸化処理カーボンブラックを使用し、酸化処理カーボンブラックの配合量を、芳香族ポリアミドイミド樹脂固形分と導電性付与剤との合計に対して表1に示される量に代えた他は、前記実施例1と同様に実施し、得られた無端ベルトの体積抵抗値を実施例1と同様にして測定した。測定した体積抵抗値から得られる常用対数値は表1に示される値となり、導電性付与剤含有樹脂組成物の電気抵抗値から得られる常用対数値が一次式「Y=aX+b(但し、6.7≦a≦6.8、−23.5≦b≦−19.0)」を満たす範囲の結果となり合格と判定した。
【0057】
なお、ロットB及びロットCは、ロットAと同様のpH値及び揮発分を有するDegussa社製品であった。
【0058】
(比較例1,2)
前記実施例1および2において使用された酸化処理カーボンブラック(ロットA、ロットC)の配合量を、芳香族ポリアミドイミド樹脂固形分と導電性付与剤との合計に対して表1に示される量に代えた他は、前記実施例1と同様に実施し、得られた無端ベルトの体積抵抗値を実施例1と同様にして測定した。測定した体積抵抗値から得られる常用対数値は表1に示される値となり、導電性付与剤含有樹脂組成物の電気抵抗値から得られる常用対数値が一次式「Y=aX+b(但し、6.7≦a≦6.8、−23.5≦b≦−19.0)」を満たさない範囲の結果となり、不合格と判定された。
【0059】
【表1】

【0060】
注:
X:導電性付与剤含有樹脂組成物の電気抵抗値から得られる常用対数値
Y:無端ベルトの体積抵抗値から得られる常用対数値
以上の実施例及び比較例から明らかなようにこの発明に係る方法は、半導電性ベルトの合否判定に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図1は、半導電性ベルトの斜視図である。
【図2】図2は、導電性付与剤含有樹脂組成物が有する電気抵抗値の常用対数値と半導電性ベルトが有する体積抵抗値の常用対数値との関係を示すグラフである。
【図3】図3は、導電性付与剤含有樹脂組成物の電気抵抗値を測定する装置を示す原理的説明図である。
【符号の説明】
【0062】
1 半導電性ベルト
10 電気抵抗値測定装置
11 容器
12 電極
13 電極
14 直流電源
15 抵抗測定器
16 導電性付与剤含有樹脂組成物




【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性付与剤含有樹脂組成物から半導電性ベルトを形成する方法であって、半導電性ベルトが有する体積抵抗値の常用対数値Yと前記導電性付与剤含有樹脂組成物が有する電気抵抗値の常用対数値Xとの間に以下の関係式を満たす導電性付与剤含有樹脂組成物を用いることを特徴とする半導電性ベルトの製造方法。
Y=aX+b
(ただし、Yは、半導電性ベルトに要求される最小の体積抵抗値の常用対数値から半導電性ベルトに要求される最大の体積抵抗値の常用対数値までの数値範囲を示し、Xは、導電性付与剤含有樹脂組成物が有する最小の電気抵抗値の常用対数値から導電性付与剤含有樹脂組成物が有する最大の電気抵抗値の常用対数値までの数値範囲を示し、aは6.7〜6.8であり、bは−23.5〜−19.0である。
【請求項2】
前記Yは8〜14であり、前記Xは4〜5.5である前記請求項1に記載の半導電性ベルトの製造方法。
【請求項3】
導電性付与剤含有樹脂組成物中の導電性付与剤の含有量を調整することにより該導電性付与剤含有樹脂組成物の電気抵抗値を調整する前記請求項1又は2に記載の半導電性ベルトの製造方法。
【請求項4】
導電性付与剤含有樹脂組成物中の導電性付与剤がカーボンブラックである請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導電性ベルトの製造方法。
【請求項5】
導電性付与剤含有樹脂組成物に含まれる樹脂が熱可塑性樹脂である前記請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導電性ベルトの製造方法。
【請求項6】
前記熱可塑性樹脂がポリアミドイミド樹脂である請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導電性ベルトの製造方法。
【請求項7】
半導電性ベルトを形成する方法が、導電性付与剤含有樹脂組成物を遠心成形する方法である請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導電性ベルトの製造方法。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−272152(P2007−272152A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−101019(P2006−101019)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】