説明

半導電性ローラ及び画像形成装置

【課題】高品質の画像を形成することのできる半導電性ローラを提供すること、及び、この半導電性ローラを利用して高品質の画像を形成することのできる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】軸体2の外周面に形成された半導電性弾性層3と、前記半導電性弾性層3の外周面に形成された、測定面積4mmにおける表面光沢度が2〜13であるコート層4とを有する半導電性ローラ1、及び、この半導電性ローラ1を備えた画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導電性ローラ及び画像形成装置に関し、さらに詳しくは、高品質の画像を形成することのできる半導電性ローラ及びこの半導電性ローラを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザプリンタ、複写機、ビデオプリンタ、ファクシミリ、これらの複合機等には、電子写真方式を利用した各種の画像形成装置が採用されている。電子写真方式を利用した画像形成装置は、軸体の外周面に形成された半導電性の弾性層を有する、例えば、クリーニングローラ、帯電ローラ、現像ローラ及び転写ローラ等の半導電性ローラを備えている。これらの半導電性ローラは、現像剤を所望のように担持し、又は記録体例えば記録紙等を所望のように搬送等することにより、高品質の画像を形成することに貢献する。これらの半導電性ローラは、現像剤又は記録体等への帯電特性を向上させること、半導電性ローラが接する被当接体への汚れを防止すること、特に、印字濃度低下及びかぶり等が生じない高品質の画像を形成すること等の要求に応じて、弾性層の外周面にコート層等が設けられることがある。
【0003】
コート層が設けられた半導電性ローラとして、例えば、「表面にトナーを担持して該トナーの薄層を形成し、この状態で画像形成体に接触して、該画像形成体表面に該トナーを供給することにより、該画像形成体表面に可視画像を形成するトナー担持ローラにおいて、良導電性シャフトの外周に、硬度がJIS−Aスケール25〜55で抵抗値が10〜1010Ω・cmの導電層が形成され、かつこの導電層の表面部分に該導電層を形成する樹脂以外の樹脂成分を有するトナー担持ローラであり、DIN67530による黒色ガラス標準板の反射指数1.567を表面光沢度100とした場合の表面光沢度が10〜120であることを特徴とするトナー担持ローラ」が挙げられる(特許文献1参照。)。特許文献1によれば、表面光沢度は、「長さ10cmのローラを調製し、このローラの最上面を測定面として、測定面積8×60mmで、測定」される(特許文献1の[0053]欄参照。)。
【0004】
また、「電子写真に用いられる現像装置のうち、画像形成体に接触して表面に現像剤を供給することにより該画像形成体上に可視画像を形成することを目的とするトナー担持ローラ(以下、現像ローラと称する)において、該現像ローラが中心に良導電性芯金を有する導電性弾性層を含んだ単層もしくは多層構成のローラであって、屈折率が可視波長全域にわたって一定値1.567であるガラス表面における入射角75°での表面光沢度を100%としたとき、該現像ローラの表面光沢度が5〜100であるとともに芯金外周がアスカーC硬度20〜60°の弾性層であることを特徴とする現像ローラ」が挙げられる(特許文献2参照。)。特許文献2によれば、表面光沢度は、「ローラ表面は円筒状でありそのままでは正確な測定値は期待できないため、ローラから表面部を切り出し、平滑な板に固定して充分な平面性を確保した上で測定」される(特許文献2の[0038]欄参照。)。
【0005】
ところで、半導電性ローラは、画像形成装置に配設したときに、現像剤を担持し、又は記録体等を搬送等するから、半導電性ローラにおけるコート層の表面状態は、形成される画像の品質に大きな影響を与える。したがって、高品質の画像を形成するには、コート層の表面状態を高精度で代表する指標を用いて、コート層の表面状態を評価する必要がある。
【0006】
【特許文献1】特許第3204191号明細書
【特許文献2】特開2004−109212号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、高品質の画像を形成することのできる半導電性ローラを提供すること、及び、この半導電性ローラを利用して高品質の画像を形成することのできる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための手段として、
請求項1は、軸体の外周面に形成された半導電性弾性層と、前記半導電性弾性層の外周面に形成された、測定面積4mmにおける表面光沢度が2〜13であるコート層とを有する半導電性ローラであり、
請求項2は、前記コート層は、ウレタン樹脂、ウレア樹脂及びフッ素樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂を含有する樹脂組成物を硬化して成る請求項1に記載の半導電性ローラであり、
請求項3は、前記コート層は、前記樹脂のゲル分率が60%以上である請求項2に記載の半導電性ローラであり、
請求項4は、前記コート層は、十点平均表面粗さRzが1〜13μmである請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導電性ローラであり、
請求項5は、10〜10Ωの電気抵抗値を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導電性ローラであり、
請求項6は、前記コート層は、層厚が5〜25μmである請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導電性ローラであり、
請求項7は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導電性ローラを備えた画像形成装置である。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、コート層全表面の表面光沢度を高精度で代表することができる、4mmの極小面積における表面光沢度を指標とし、この表面光沢度が2〜13であるから、印字濃度低下、画像のかすれ及びかぶり等の発生を防止するコート層の機能を所望のように発揮させることができ、その結果、高品質の画像を形成することのできる半導電性ローラを提供することができる。また、この発明によれば、この発明に係る半導電性ローラを利用して、高品質の画像を形成することのできる画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
この発明に係る半導電性ローラは、図1に示されるように、軸体2と、半導電性弾性層(以下、単に、弾性層と称することがある。)3と、コート層4とを備え、例えば、図2及び図3に示される画像形成装置等に配設される。
【0011】
この半導電性ローラ1は、10〜10Ωの電気抵抗値を有していることが好ましい。半導電性ローラ1が10〜10Ωの電気抵抗値を有していると、帯電特性に優れる。例えば、半導電性ローラ1を現像ローラとして使用すると、現像剤を所望のように帯電させることができるから現像剤を所望のように担持することができ、担持した現像剤を像担持体に所望のように供給することができるから高品質の画像を形成することができる。より一層高品質の画像を形成することができる点で、半導電性ローラ1の電気抵抗値は、10〜10Ωであるのがより好ましく、10〜10Ωであるのが特に好ましい。
【0012】
半導電性ローラ1の電気抵抗値は、後述するコート層4を形成する樹脂組成物に含まれる導電性付与剤の含有量等を調整することによって、前記範囲内に調整することができ、その測定方法は、電気抵抗計(商品名:ULTRA HIGH RESISTANCE METER R8340A、株式会社アドバンテスト製)を用い、半導電性ローラ1を水平に置き、5mmの厚さ、30mmの幅、及び、半導電性ローラ1のコート層4全体を載せることのできる長さを有する金メッキ製板を電極とし、500gの荷重を半導電性ローラ1における軸体2の両端で支持させた状態にして、軸体2と電極との間にDC100Vを印加し、1秒後の電気抵抗計の値を読みとり、この値を電気抵抗値とする方法により、測定することができる。
【0013】
前記コート層4は、前記弾性層3の外周面に後述する樹脂組成物を硬化して成る。このコート層4は、測定面積4mmにおける表面光沢度が2〜13である。ここで、表面光沢度は、DIN 67530による黒色ガラス標準板の反射指数1.567を光沢度100としたときに、この光沢度100に対する割合である。表面光沢度は、コート層4の表面における4mm、すなわち、2×2mmを測定面積として、測定される。表面光沢度の測定面積をこのように極小面積とすることによって、コート層4全表面の表面光沢度を代表する表面光沢度を高精度で測定することができる。この発明において、表面光沢度は極小面積を測定するから、表面光沢度の測定に当っては、コート層4の表面をそのまま測定してもよく、また、コート層4を半導電性ローラ1から切り出して、平面状態にして測定してもよい。表面光沢度は、コート層4における表面の複数個所、例えば、コート層4の周方向に等間隔で4箇所及びコート層4の長手方向に等間隔で5箇所、合計20箇所をそれぞれ測定し、これらの算術平均値とする。表面光沢度を測定する際の入射角はコート層4の表面に対して60°である。表面光沢度の測定には、例えば、商品名「極小面積測定用光沢計 155−SO」(Sheen Instruments Ltd製)等を用いることができる。
【0014】
コート層4は、このようにして測定される測定面積4mmにおける表面光沢度が2〜13である。コート層4が2〜13の表面光沢度を有すると、印字濃度の低下、画像のかすれ及びかぶり等を防止する機能を十分に発揮し、半導電性ローラ1を画像形成装置に配設したときに、高品質の画像を形成することができる。コート層4の機能を高い水準でバランスよく発揮させることができる点で、表面光沢度は、2.5〜12.5であるのが好ましく、3〜12であるのが特に好ましい。
【0015】
コート層4の表面光沢度は、例えば、後述する樹脂組成物に含有される各成分の種類及び配合量、コート層4の形成方法、及び、後述する導電性弾性層3の表面粗さ等を適宜選択することにより、容易に所望の値に調整することができる。
【0016】
コート層4は、0.1〜0.8(N/mm)の超微小硬度を有しているのが好ましい。コート層4が0.1〜0.8(N/mm)の超微小硬度を有していると、コート層の耐摩耗性及び圧縮永久ひずみが優れ、現像剤に与えるダメージが少なく、フィルミングの発生を抑制することができる。耐摩耗性及び圧縮永久ひずみにより一層優れると共に、フィルミングの発生をより一層抑制することができる点で、コート層4の超微小硬度は、0.15〜0.75(N/mm)であるのがより好ましく、0.2〜0.7(N/mm)であるのが特に好ましい。超微小硬度は、コート層4における複数箇所の表面に正四角錐を成したダイヤモンド製の圧子を接触させ、この圧子をコート層に1mgの荷重で押し込んだときに形成される凹部におけるコート層表面上の表面積を求め、これらの算術平均値を、超微小硬度とする。
【0017】
コート層4は、1〜13(μm)の表面粗さRzを有しているのが好ましい。コート層4が1〜13(μm)の表面粗さRzを有している場合には、例えば、半導電性ローラ1を現像ローラとして使用すると、現像剤を所望のように担持し、像担持体に所望のように供給することができるから、高品質の画像を形成することができる。より一層高品質の画像を形成することができる点で、コート層4の表面粗さRzは、2〜12(μm)であるのがより好ましく、3〜11(μm)であるのが特に好ましい。
【0018】
コート層4の表面粗さRzは、JIS B 0601―1984(十点平均粗さ)に準じ、先端半径2μmの測定プローブを備えた表面粗さ計(商品名「590A」、株式会社東京精密製)に、コート層4を備えた半導電性ローラ1をセットし、測定長2.4mm、カットオフ波長0.8mm、カットオフ種別ガウシアンにより、少なくとも3点における表面粗さ測定し、これらの平均値を表面粗さRzとする。
【0019】
コート層4は、後述する樹脂組成物に含有される樹脂のゲル分率が60%以上であるのが好ましい。コート層4が60%以上のゲル分率を有していると、耐摩耗性及び帯電安定性に優れる。この効果をより一層高い水準で発揮する点で、コート層4のゲル分率は、80%以上であるのが好ましく、90%以上であるのが特に好ましい。ゲル分率の上限は、特に限定されないが、樹脂組成物に含有される成分の分散性を考慮すると、例えば、95%程度である。ゲル分率は次にようにして測定する。まず、コート層4を半導電性ローラ1から複数の試験片に切り出し、これらの試験片の質量を測定する。次いで、試験片に対して100倍の質量のトルエンにこの試験片を、23℃、4時間浸漬する。浸漬された試験片をトルエンから取り出し、150℃、1時間の条件で乾燥し、十分冷却した後、浸漬後の試験片の質量を測定する。浸漬前の試験片の質量に対する浸漬後の試験片の質量を求めて、100分率で表し、算術平均値をコート層4のゲル分率(%)とする。
【0020】
コート層4は、20〜90のJIS A硬度を有しているのが好ましい。コート層4が20〜90のJIS A硬度を有していると、半導電性ローラ1と後述する像担持体との接触面積を大きくすることができ、また、コート層4の反発弾性及び圧縮永久ひずみが優れる。弾性層3と像担持体との接触面積が向上し、弾性層3の反発弾性及び圧縮永久ひずみを所望のように向上させることができる点で、JIS A硬度は、20〜80であるのがより好ましく、30〜70であるのが特に好ましい。JIS A硬度は、JIS K6301に準拠して測定することができる。
【0021】
また、コート層4は、約0.4〜1.0mg/cmの現像剤付着量を有していることが好ましい。画像形成装置において、十分な印字濃度を実現するには、一般に、記録体に、約0.4〜1.0mg/cmの現像剤を転写することが要求されるが、コート層4が約0.4〜1.0mg/cmの現像剤付着量を有している場合には、半導電性ローラ1を現像ローラとして使用したときに、像担持体に所定量の現像剤を供給することができ、十分な印字濃度で画像を形成することができる。ここで、現像剤付着量は、20℃、相対湿度50%の環境下において、半導電性ローラ1を画像形成装置に装着して、黒ベタ印字を5枚行った後、黒べた印字を強制的に停止させて、半導電性ローラ1を画像形成装置から取り出し、半導電性ローラの表面に付着した現像剤を、断面積0.25cmの吸引口を有する吸引式小型帯電量測定装置で吸引し、吸引回収した現像剤の質量を測定し、単位面積当りの質量に換算することによって、測定することができる。
【0022】
コート層4は、現像剤に、約10〜60μc/gの帯電量又は約−60〜−10μc/gの帯電量を付与することができることが好ましい。画像形成装置において、高品質の画像を形成するには、一般に、約10〜60μc/gの帯電量又は約−60〜−10μc/gの帯電量を現像剤に付与することが要求されるが、コート層4が約10〜60μc/gの帯電量又は約−60〜−10μc/gの帯電量、好ましくは、約15〜50μc/gの帯電量又は約−50〜−15μc/gの帯電量を現像剤に付与することができる場合には、半導電性ローラ1を現像ローラとして使用したときに、所望の帯電量に帯電された現像剤を像担持体に供給することができ、高品質な画像を形成することができる。ここで、現像剤の帯電量は、20℃、相対湿度50%の環境下において、吸引式小型帯電量測定装置、例えば、商品名「210HS q/M METER」(トレックジャパン株式会社製)によって、測定することができる。
【0023】
コート層4は、通常、1〜25μmの層厚さを有しているのが、耐摩耗性に優れ、製造が容易である点で好ましく、2〜20μmの層厚を有しているのがより好ましく、3〜15μmの層厚を有しているのが特に好ましい。
【0024】
コート層4は、後述する弾性層3の外周面に樹脂組成物を硬化して、形成される。樹脂組成物は、樹脂と、所望により導電性付与剤と、所望によりシリカ系充填材を含有する。
【0025】
前記樹脂は、特に制限されないが、永久変形しにくい材料であるのが好ましく、例えば、アルキッド樹脂、フェノール変性・シリコーン変性等のアルキッド樹脂変性物、オイルフリーアルキッド樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、ポリアミドイミド系樹脂及びこれらの混合物等が挙げられる。これらの中でも、ウレタン樹脂、ウレア樹脂及びフッ素樹脂であるのが、耐摩耗性、耐熱性及び帯電特性に優れる点で好ましい。
【0026】
コート層4に導電性を付与する場合には、樹脂組成物は、所望により導電性付与剤を含有する。導電性付与剤は、導電性を有していれば特に限定されず、例えば、導電性粉末、イオン導電性物質等が挙げられる。導電性粉末としては、より具体的には、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等の導電性カーボンの他に、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボン類、また、酸化チタン、酸化亜鉛、ニッケル、銅、銀、ゲルマニウム等の金属、さらには、金属酸化物、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等の導電性ポリマー等が挙げられ、イオン導電性物質としては、より具体的には、例えば、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸カルシウム、塩化リチウム等の無機イオン性導電物質等が挙げられる。導電性付与剤は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて、コート層4としたときに所望の電気抵抗値を示すように、適宜の含有量で添加される。例えば、樹脂組成物における導電性付与剤の含有量は、前記樹脂100質量部に対して、1〜50質量部とすることができる。
【0027】
樹脂組成物は、所望によりシリカ系充填材を含有する。シリカ系充填材は、特に限定されないが、煙霧質シリカ又は沈降性シリカ等が挙げられ、一般式がRSi(OR’)で示されるシランカップリング剤で表面処理された、補強効果の高い表面処理シリカ系充填材が好ましい。ここで、前記一般式におけるRは、グリシジル基、ビニル基、アミノプロピル基、メタクリロキシ基、N−フェニルアミノプロピル基又はメルカプト基等であり、前記一般式におけるR’はメチル基又はエチル基である。前記一般式で示されるシランカップリング剤は、例えば、信越化学工業株式会社製の商品名「KBM1003」及び「KBE402」等として、容易に入手することができる。このようなシランカップリング剤で表面処理されたシリカ系充填材は、定法に従って、シリカ系充填材の表面を処理することにより、得られる。なお、シランカップリング剤で表面処理されたシリカ系充填材は、市販品を用いてもよく、例えば、J.M.HUBER株式会社製の商品名「Zeothix 95」等が入手可能である。シリカ系充填材の配合量は、前記樹脂100質量部に対して、11〜39質量部であるのが好ましく、15〜35質量部であるのが特に好ましい。
【0028】
樹脂組成物は、前記樹脂、所望により導電性付与剤及びシリカ系充填材に加えて、通常、樹脂組成物に含有される各種添加剤を含有してもよく、各種添加剤としては、例えば、鎖延長剤及び架橋剤等の助剤、触媒、分散剤、発泡剤、老化防止剤、酸化防止剤、充填材、顔料、着色剤、加工助剤、軟化剤、可塑剤、乳化剤、耐熱性向上剤、難燃性向上剤、受酸剤、熱伝導性向上剤、離型剤、溶剤等が挙げられる。これらの各種添加剤は、通常用いられる添加剤であってもよく、用途に応じて特別に用いられる添加剤であってもよい。
【0029】
樹脂組成物は、二本ローラ、三本ローラ、ローラミル、バンバリーミキサ、ドウミキサ(ニーダー)等のゴム混練り機等を用いて、前記樹脂、所望により導電性付与剤、シリカ系充填材及び各種添加剤等が均一に混合されるまで、例えば、数分から数時間、好ましくは5分〜1時間、常温又は加熱下で混練して、得られる。
【0030】
前記半導電性弾性層3は、後述する軸体2の外周面に後述する導電性ゴム組成物を硬化してなる。この弾性層3は、10〜10Ωの電気抵抗値を有しているのが好ましい。弾性層3が10〜10Ωの電気抵抗値を有していると、弾性層3の外周面にコート層4が形成されて半導電性ローラ1としたときに、帯電特性に優れる。例えば、画像形成装置の現像ローラとして半導電性ローラ1を使用する場合には、現像剤を所望のように帯電させることができるから、現像剤を確実に担持することができ、担持した現像剤を像担持体に所望のように確実に供給することができる。この効果をより一層高い水準で達成することができる点で、電気抵抗値は、10〜10Ωの電気抵抗値であるのがより好ましく、10〜10Ωの電気抵抗値であるのが特に好ましい。弾性層3の電気抵抗値は、前記コート層4の電気抵抗値と同様にして測定することができる。
【0031】
弾性層3は、20〜80のJIS A硬度を有しているのが好ましい。弾性層3が20〜80のJIS A硬度を有していると、半導電性ローラ1と後述する像担持体との接触面積を大きくすることができ、また、弾性層3の反発弾性及び圧縮永久ひずみが優れる。半導電性ローラ1と像担持体との接触面積が向上し、弾性層3の反発弾性及び圧縮永久ひずみを所望のように向上させることができる点で、JIS A硬度は、20〜70であるのがより好ましく、30〜60であるのが特に好ましい。JIS A硬度は、コート層4のJIS A硬度と同様にして測定することができる。
【0032】
弾性層3は、1〜9(μm)の表面粗さRzを有しているのが好ましい。弾性層3の表面粗さRzが1〜9(μm)であると、コート層4の表面を容易に平滑にすることができると共に、コート層4の表面光沢度を前記範囲に容易に調整することができる。弾性層3の表面粗さRzは、1〜7(μm)であるのが好ましい。弾性層3の表面粗さRzは、コート層4の表面粗さRzと同様にして測定することができる。
【0033】
弾性層3は、通常、0.1〜20mmの層厚を有しているのが好ましく、2〜15mmの層厚を有しているのがより好ましい。
【0034】
弾性層3を形成する導電性ゴム組成物は、ゴムと、導電性付与剤と、所望により各種添加剤とを含有する。
【0035】
前記ゴムは、特に限定されず、例えば、シリコーン若しくはシリコーン変性ゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム(エチレンプロピレンジエンゴムを含む。)、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、天然ゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エピクロールヒドリンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム等のゴムが挙げられるが、シリコーン若しくはシリコーン変性ゴムが、耐熱性及び帯電特性等に優れる点で、好ましい。これらのゴムは、液状タイプであっても、ミラブルタイプであってもよく、弾性層3の成形方法、弾性層3に要求される特性等に応じて、適宜選択することができる。
【0036】
前記導電性付与剤は、コート層4を形成する樹脂組成物に含有される導電性付与剤と同様の導電性付与剤を用いることができる。導電性付与剤は、弾性層3としたときに所望の電気抵抗値を示すように、適宜の含有量で添加され、例えば、前記ゴム100質量部に対して、2〜80質量部とすることができる。
【0037】
前記各種添加剤は、コート層4を形成する樹脂組成物に含有される各種添加剤と同様の添加剤を用いることができる。
【0038】
導電性ゴム組成物は、二本ローラ、三本ローラ、ローラミル、バンバリーミキサ、ドウミキサ(ニーダー)等のゴム混練り機等を用いて、前記ゴム、導電性付与剤及び所望により各種添加剤が均一に混合されるまで、例えば、数分から数時間、好ましくは5分〜1時間、常温又は加熱下で混練して、得られる。
【0039】
好ましく使用される導電性ゴム組成物として、例えば、ミラブル型導電性シリコーンゴム組成物及び付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物が挙げられる。
【0040】
前記ミラブル型導電性シリコーンゴム組成物は、(A)下記平均組成式(1)で示されるオルガノポリシロキサン、(B)充填材、及び、(C)上記(B)成分に属するもの以外の導電性材料を含有する。
【0041】
SiO(4−n)/2 (1)
ここで、Rは、同一又は異なっていてもよい、置換又は非置換の1価炭化水素基、好ましくは炭素原子数1〜12、より好ましくは炭素原子数1〜8の1価炭化水素基であり、nは1.95〜2.05の正数である。
【0042】
前記Rは、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基及びドデシル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基及びヘキセニル基等のアルケニル基、フェニル基及びトリル基等のアリール基、β−フェニルプロピル基等のアラルキル基、並びに、これらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子又はシアノ基等で置換したクロロメチル基、トリフルオロプロピル基及びシアノエチル基等が挙げられる。
【0043】
前記(A)オルガノポリシロキサンは、分子鎖末端がトリメチルシリル基、ジメチルビニル基、ジメチルヒドロキシシリル基、トリビニルシリル基等で封鎖されていることが好ましい。このオルガノポリシロキサンは分子中に少なくとも2個の前記アルケニル基を有することが好ましく、具体的には、Rのうち0.001〜5モル%、特に0.01〜0.5モル%のアルケニル基を有することが好ましく、特にビニル基を有することが好ましい。特に、後述する硬化剤として白金系触媒とオルガノハイドロジェンポリシロキサンとを組み合わせて使用する場合には、このようなアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンが通常使用される。
【0044】
また、このオルガノポリシロキサンは、通常選択されたオルガノハロシランの1種若しくは2種以上を共加水分解縮合することによって、又は、シロキサンの3量体若しくは4量体等の環状ポリシロキサンをアルカリ性又は酸性の触媒を用いて開環重合することによって得ることができる。このオルガノポリシロキサンは基本的には直鎖状のジオルガノポリシロキサンであるが、一部分岐していてもよい。また、分子構造の異なる2種又はそれ以上の混合物であってもよい。このオルガノポリシロキサンは、通常、25℃におけるその粘度が100cSt以上であり、好ましくは100,000〜10,000,000cStである。また、このオルガノポリシロキサンは、通常、その重合度は100以上であり、好ましくは3,000以上であり、その上限は、好ましくは100,000であり、さらに10,000が好ましい。
【0045】
前記(B)充填材は、特に限定されないが、コート層4を形成する樹脂組成物に含有されるシリカ系充填材と同様のシリカ系充填材を用いることができ、(B)充填材の配合量も前記コート層4を形成する樹脂組成物におけるシリカ系充填材の配合量と同様である。
【0046】
前記(C)導電性材料は、前記充填材(B)に属さない導電性材料であり、物理的化学的に同一材料からなるものであっても、充填材(B)として規定されシリカ系充填材と形態及び状態等が異なる導電性材料は、(C)導電性材料に属する。このような導電性材料は、導電性付与成分であり、例えば、コート層4を形成する樹脂組成物に含有される前記導電性付与剤が挙げられ、これらの中でも、カーボンブラックが好ましい。導電性材料は単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0047】
ミラブル型導電性シリコーンゴム組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲内で、また、必要に応じて種々の化合物を含有させることができる。例えば、種々の化合物又は添加剤として、硬化剤及びシリカ微粉末等が挙げられる。
【0048】
前記硬化剤としては、公知の白金系触媒とオルガノハイドロジェンポリシロキサンとを組み合わせた硬化剤、及び、有機過酸化物が挙げられる。前記白金系触媒としては、公知の触媒を使用することができ、具体的には、白金元素単体、白金化合物、白金複合体、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール化合物、アルデヒド化合物、エーテル化合物、各種オレフィン類とのコンプレックス等が挙げられる。白金系触媒の含有量は、有効量、いわゆる触媒量であればよく、例えば、(A)オルガノポリシロキサンに対して、白金族金属換算で1〜2,000ppmとするのが好ましい。
【0049】
前記オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、その重合度は300以下が好ましく、ジメチルハイドロジエンシリル基で末端が封鎖されたジオルガノポリシロキサン、末端がトリメチルシロキシ基でジメチルシロキサン単位とメチルハイドロジエンシロキサン単位からなる共重合体、ジメチルハイドロジエンシロキサン単位(H(CHSiO1/2とSiO単位とからなる低粘度流体、1,3,5,7−テトラハイドロジエン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリハイドロジエン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジハイドロジエン−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン等が例示される。オルガノハイドロジエンポリシロキサンの含有量は、(A)オルガノポリシロキサンのアルケニル基に対して、ケイ素原子に直結した水素原子が50〜500モル%となる割合で用いられるのが好ましい。
【0050】
前記有機過酸化物としては、例えば、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等のアルキル過酸化物、ジクミルパーオキサイド等のアラルキル過酸化物等の有機過酸化物が挙げられる。有機過酸化物の含有量は有効量であればよく、例えば、(A)オルガノポリシロキサン100質量部に対して、0.1〜10質量部であるのが好ましい。
【0051】
前記シリカ微粉末は、機械的強度の優れた弾性層3を得るために好適であり、この目的のためにはBET比表面積が10m/g以上、好ましくは50〜400m/gのシリカ微粉末を用いるのが好ましい。このようなシリカ微粉末としては、煙霧質シリカ(乾式シリカ)、沈降性シリカ(湿式シリカ)等が挙げられ、煙霧質シリカが好ましい。ミラブル型導電性シリコーンゴム組成物にシリカ微粉末を添加する場合には、シリカ微粉末の含有量は、(A)オルガノポリシロキサン100質量部に対して、5〜100質量部であるのが好ましく、5〜90質量部であるのがより好ましく、10〜50質量部であるのが特に好ましい。含有量が5質量部未満では所望の補強効果が得られないことがあり、100質量部を超えると加工性が悪くなることがある。
【0052】
ミラブル型導電性シリコーンゴム組成物は、また、他の添加剤を含有してもよい。他の添加剤として、例えば、着色剤、オクチル酸鉄、酸化鉄、酸化セリウム等の耐熱向上剤、受酸剤、熱伝導向上剤、離型剤、アルコキシシラン、重合度がオルガノポリシロキサン(A)よりも低いジメチルシロキサンオイル、シラノール、例えば、ジフェニルシランジオール、α,ω−ジメチルシロキサンジオール等の両末端シラノール基封鎖低分子シロキサンやシラン等の分散剤、接着性や成形加工性を向上させるための各種カーボンファンクショナルシラン、架橋反応等を阻害しない硬化又は未硬化の各種オレフィン系エラストマー等が挙げられる。
【0053】
前記付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物は、(D)一分子中にケイ素原子と結合するアルケニル基を少なくとも2個含有するオルガノポリシロキサンと、(E)一分子中にケイ素原子と結合する水素原子を少なくとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、(F)平均粒径が1〜30μmで、嵩密度が0.1〜0.5g/cmである無機質充填材と、(G)導電性付与剤と、(H)付加反応触媒とを含有する付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物が挙げられる。
【0054】
前記(D)オルガノポリシロキサンとしては、下記平均組成式(2)で示される化合物が好適である。
【0055】
SiO(4−a)/2 (2)
ここで、前記平均組成式(2)におけるRは互いに同一又は異種の炭素原子数1〜10、好ましくは炭素原子数1〜8の非置換又は置換一価炭化水素基であり、aは1.5〜2.8、好ましくは1.8〜2.5、より好ましくは1.95〜2.02の範囲の正数である。
【0056】
前記Rは、前記ミラブル型導電性シリコーンゴム組成物に含有されるオルガノポリシロキサン(A)のRで例示した、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基及びこれらの水素原子の一部又は全部をハロゲン原子又はシアノ基等で置換した炭化水素基等が挙げられる。Rの少なくとも2個はアルケニル基、特にビニル基であり、90%以上がメチル基であるのが好ましい。具体的には、アルケニル基の含有量は、オルガノポリシロキサン中1.0×10−6〜5.0×10−3mol/g、特に5.0×10−6〜1.0×10−3mol/gであることが好ましい。
【0057】
オルガノポリシロキサンの重合度については、室温(25℃)で液状(例えば、25℃での粘度が100〜1,000,000mPa・s、好ましくは200〜100,000mPa・s程度)であればよく、平均重合度が100〜800であるのが好ましく、150〜600であるのが特に好ましい。
【0058】
前記(E)オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、下記平均組成式(3)で示され、一分子中に少なくとも2個、好ましくは3個以上(通常、3〜200個)、より好ましくは3〜100個の、ケイ素原子に結合した水素原子を有するものが好適に用いられる。
【0059】
SiO(4−b−c)/2 (3)
ここで、前記平均組成式(3)におけるRは炭素原子数1〜10の置換又は非置換の一価炭化水素基である。また、bは0.7〜2.1、cは0.001〜1.0で、かつb+cは0.8〜3.0を満足する正数である。
【0060】
前記ケイ素原子に結合した水素原子(Si−H)の含有量は、オルガノハイドロジェンポリシロキサン中0.001〜0.017mol/g、特に0.002〜0.015mol/gとすることが好ましい。
【0061】
このオルガノハイドロジェンポリシロキサン(E)としては、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、(CHHSiO1/2単位とSiO4/2単位とから成る共重合体、及び、(CHHSiO1/2単位とSiO4/2単位と(C)SiO3/2単位とから成る共重合体等が挙げられる。
【0062】
オルガノハイドロジェンポリシロキサン(E)の配合量は、(D)オルガノポリシロキサン100質量部に対して0.1〜30質量部であるのが好ましく、0.3〜20質量部であるのが特に好ましい。また、(D)オルガノポリシロキサンのアルケニル基に対するケイ素原子に結合した水素原子のモル比は、0.3〜5.0であるのが好ましく、0.5〜2.5であるのが特に好ましい。
【0063】
前記(F)無機質充填材は、低圧縮永久ひずみで体積抵抗率が経時で安定し、かつ十分なローラ耐久性を得るのに重要な成分である。無機質充填材は、平均粒径が1〜30μm、好ましくは2〜20μm、嵩密度が0.1〜0.5g/cm、好ましくは0.15〜0.45g/cmである。平均粒径が1μmより小さいと経時で電気抵抗が変化することがあり、30μmより大きいと弾性層3の耐久性が低下することがある。また、嵩密度が0.1g/cmより小さいと圧縮永久ひずみが悪化すると共に経時での電気抵抗率が変化することがあり、0.5μmより大きいと弾性層3の強度が不十分で耐久性が低下することがある。なお、平均粒径は、例えば、レーザー光回折法等による粒度分布測定装置を用いて、重量平均値(又はメジアン径)等として求めることができ、嵩密度は、JIS K 6223の見かけ比重の測定方法に基づいて求めることができる。
【0064】
このような無機質充填材としては、珪藻土、パーライト、マイカ、炭酸カルシウム、ガラスフレーク、及び、中空フィラー等が挙げられるが、中でも珪藻土、パーライト及び発泡パーライトの粉砕物が好ましい。
【0065】
無機質充填材の配合量は、(D)オルガノポリシロキサン100質量部に対して5〜100質量部であるのが好ましく、10〜80質量部であるのが特に好ましい。
【0066】
前記(G)導電性材料については既に説明した通りである。
【0067】
前記(H)付加反応触媒としては、白金黒、塩化第二白金、塩化白金酸、塩化白金酸と1価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセトアセテート、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒等が挙げられる。なお、この付加反応触媒の配合量は触媒量とすることができ、例えば、白金族金属量として、(D)オルガノポリシロキサン及び(E)オルガノハイドロジェンポリシロキサンの合計質量に対して、0.5〜1,000ppmであるのが好ましく、1〜500ppm程度であるのが特に好ましい。
【0068】
この付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物は、前記成分に加えて、低分子シロキサンエステル、シラノール、例えば、ジフェニルシランジオール等の分散剤、酸化鉄、酸化セリウム、オクチル酸鉄等の耐熱性向上剤、接着性や成形加工性を向上させる各種カーボンファンクショナルシラン、難燃性を付与させるハロゲン化合物等を本発明の目的を損なわない範囲で含有してもよい。
【0069】
付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物は、25℃において、5〜500Pa・sの粘度を有するのが好ましく、特に10〜200Pa・sの粘度を有するのが好ましい。
【0070】
前記軸体2は、良好な導電特性を有していればよく、通常、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼、真鍮等で構成された所謂「芯金」と称される軸体とされる。また、軸体2は、熱可塑性樹脂若しくは熱硬化性樹脂等の絶縁性芯体にメッキを施して導電化した軸体であってもよく、さらには、熱可塑性樹脂若しくは熱硬化性樹脂等に導電性付与剤としてカーボンブラック又は金属粉体等を配合した導電性樹脂で形成された軸体であってもよい。図2及び図3に示される画像形成装置等に配設された場合に、軸体2は、その一端を接地し、又は、バイアス電圧を印加することにより、例えば、像担持体の電圧、現像剤への電荷の注入、像担持体からの現像剤の搬送による潜像の現像等の機能を発揮する。
【0071】
この発明に係る半導電性ローラ1は、弾性層3とコート層4との間に、他の層を有してもよい。他の層としては、例えば、弾性層3とコート層4とを接着又は密着させるプライマー層等が挙げられる。プライマー層を形成する材料としては、例えば、アルキッド樹脂、フェノール変性・シリコーン変性等のアルキッド樹脂変性物、オイルフリーアルキッド樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂及びこれらの混合物等が挙げられる。また、これらの樹脂を硬化及び/又は架橋する架橋剤としては、例えば、イソシアネート化合物、メラミン化合物、エポキシ化合物、過酸化物、フェノール化合物、ハイドロジェンシロキサン化合物等が挙げられる。プライマー層は、例えば、0.1〜10μmの厚さに形成される。
【0072】
この発明に係る半導電性ローラ1は、前記軸体2の外周面に弾性層3を形成し、さらに、弾性層3の外周面にコート層4を形成して、製造される。まず、軸体2が準備される。例えば、軸体2は公知の方法により所望の形状に調製される。この軸体2は、弾性層3が形成される前に、プライマーを塗布してもよい。軸体2に塗布されるプライマーとしては、特に制限はないが、アミノ基及び/又は水酸基を有するプライマーが好ましく、例えば、弾性層3とコート層4との間に形成されるプライマー層を形成する材料と同様の樹脂及び架橋剤が挙げられる。プライマーは、所望により溶剤等に溶解され、定法、例えば、ディップ法、スプレー法等に従って、軸体の外周面に塗布される。
【0073】
弾性層3は、前記導電性ゴム組成物を、軸体2の外周面に加熱硬化して形成される。例えば、弾性層3は、公知の成形方法によって、加熱硬化と成形とを同時に又は連続して行い、軸体2の外周面に形成される。導電性ゴム組成物の硬化方法は導電性ゴム組成物の硬化に必要な熱を加えられる方法であればよく、また弾性層3の成形方法も押出成形による連続加硫、プレス、インジェクションによる型成形等、特に制限されるものではない。例えば、導電性ゴム組成物がミラブル型ゴム組成物である場合には、例えば、押出成形等を選択することができ、導電性ゴム組成物が付加硬化型液状ゴム組成物である場合には、例えば、金型を用いる成形法を選択することができる。導電性ゴム組成物を硬化させる際の加熱温度は、ミラブル型ゴム組成物の場合は、100〜500℃、特に120〜300℃、時間は数秒以上1時間以下、特に10秒以上〜35分以下であるのが好ましく、付加硬化型液状ゴム組成物の場合は、100〜300℃、特に110〜200℃、時間は30分〜5時間、特に1〜3時間であるのが好ましい。また、必要に応じ、ミラブル型ゴム組成物の場合は、100〜200℃で1〜20時間程度の硬化条件で、また、付加硬化型液状ゴム組成物の場合は、120〜250℃で30〜70時間程度の硬化条件で、二次加硫してもよい。また、この導電性ゴム組成物は既知の方法で発泡硬化させることにより、気泡を有するスポンジ状弾性層を容易に得ることもできる。
【0074】
このようにして形成された弾性層3は、所望により、その表面が研磨、研削されて、外径及び表面状態等が調整される。特に、ミラブル型ゴム組成物によって弾性層3を形成した場合には、ミラブル型ゴム組成物を加熱硬化した後に、その表面が研磨、研削されるのがよい。
【0075】
このようにして形成された弾性層3は、コート層4が形成される前に、前記プライマー層が形成されてもよい。プライマー層は、必要により前記材料を溶剤等に溶解し、定法、例えば、ディップ法、スプレー法等に従って、弾性層3の外周面に前記材料を塗布し、前記材料に応じた加熱条件によって、前記材料を加熱硬化させる。
【0076】
コート層4は、このようにして形成された弾性層3、又は所望により形成されたプライマー層の表面に、前記樹脂組成物を塗工し、次いで、塗工された樹脂組成物を加熱硬化させて、形成されることができる。樹脂組成物の塗工は、例えば、樹脂組成物の塗工液を塗工する塗布法、前記塗工液に弾性層3を浸漬するディッピング法、前記塗工液を弾性層3に吹き付けるスプレーコーティング法等の公知の塗工方法によって、行われる。樹脂組成物は、そのまま塗工してもよいし、樹脂組成物に、例えば、メタノール及びエタノール等のアルコール、キシレン及びトルエン等の芳香族系溶媒、酢酸エチル及び酢酸ブチル等のエステル系溶媒等の揮発性溶媒を加えた塗工液を塗工してもよい。この塗工液は、例えば、揮発性溶媒を80質量%含有する。樹脂組成物を加熱硬化させる際の加熱温度は、樹脂組成物に応じて適宜設定され、例えば、100〜200℃、特に110〜170℃、加熱時間は10分〜2時間、特に20〜70分であるのが好ましい。
【0077】
半導電性ローラ1は、コート層4全表面の表面光沢度を高精度で代表するところの、4mmの極小面積における表面光沢度を指標とし、この表面光沢度が2〜13にあるから、印字濃度低下、画像のかすれ及びかぶり等の発生を防止するコート層4の機能を所望のように発揮させることができ、その結果、高品質の画像を形成することができる。
【0078】
次に、この発明に係る半導電性ローラ1を備えた画像形成装置(以下、この発明に係る画像形成装置と称することがある。)の一例を、図2を参照して、説明する。
【0079】
図2に示されるように、画像形成装置10は、静電潜像が形成される回転可能な像担持体11例えば感光体(感光ドラムとも称される。)と、像担持体11に当接して又は所定の間隔を置いて設けられ、像担持体11を帯電させる帯電手段12例えば帯電ローラと、像担持体11の上方に設けられ、像担持体11に静電潜像を形成する露光手段13と、像担持体11に当接して又は所定の間隔を置いて設けられ、像担持体11に一定の層厚で現像剤22を供給し、静電潜像を現像する現像手段20と、像担持体11の下方に圧接するように設けられ、現像された静電潜像を像担持体11から記録体16例えば記録紙上に転写する転写手段14例えば転写ローラと、記録体16の搬送方向の下流に設けられ、記録体16に転写された現像剤22を定着させる定着手段15例えば定着器と、記録体16に転写されず像担持体11に残留した現像剤22及び/又は像担持体11に付着したゴミ等を除去するクリーニング手段17とを備えている。定着手段15は、搬送されてくる記録体16を挟持するように対向配置された定着ローラ15aと加圧ローラ15bとを有する。
【0080】
前記現像手段20は、一成分非磁性の現像剤22を収容する筐体21と、前記像担持体11に近接して配置されると共に、筐体21に収容された現像剤22を像担持体11に供給する現像剤担持体24例えば現像ローラと、この現像剤担持体24の表面に一定の厚さで現像剤22が保持されるように現像剤22の厚みを調整する弾性材製の現像剤量調節手段25例えばブレードと、この現像剤量調節手段25を筐体21に取り付ける取り付け手段26とを備えて成る。図2において、23で示すのは現像剤22を撹拌する撹拌手段である。画像形成装置10において、半導電性ローラ1は、現像剤担持体24、すなわち、現像ローラとして装着されている。
【0081】
この画像形成装置10によると、以下のようにして記録体16に画像が形成される。すなわち、露光手段13により、回転する像担持体11の表面に静電潜像が形成される。現像剤担持体24により現像剤22が現像手段20から像担持体11に供給されることにより、像担持体11の表面に形成された静電潜像に現像剤22が静電付着して静電潜像が現像される。搬送手段(図示しない。)により搬送される記録体16が転写手段14と像担持体11とに挟まれてこれらの間を通過すると、像担持体11の表面に形成されている現像された静電潜像が記録体16の表面に転写される。現像された静電潜像が転写された記録体16は、搬送手段により搬送されて定着手段15に到る。定着手段15では、搬送されてきた記録体16が定着ローラ15aと加圧ローラ15bとの間を通過する。定着ローラ15aにより記録体16の表面に存在する現像された静電潜像を形成する現像剤22が溶融し、記録体16に定着する。かくして記録体16の表面に、現像剤22による画像が形成される。
【0082】
このような画像形成装置10においては、現像剤担持体24は現像剤22を常に均一に像担持体11に供給することができなければならない。像担持体11の表面に均一に現像剤22が供給されるならば、像担持体11上に形成された静電潜像が現像剤22により精細に現像され、記録体16上に転写される。図2を参照にして現像過程における現像剤22の移動をさらに詳しく説明すると、現像剤担持体24により帯電した現像剤22は、現像剤担持体24上に静電気力及び物理的付着力により付着し、回転する現像剤担持体24の表面に付着した現像剤22は、現像剤担持体24と現像剤量調節手段25とにより、所望のように帯電され、かつ一定の厚さに形成された現像剤の層となって、現像剤担持体24とほぼ接して回転している像担持体11上に到達する。像担持体11は帯電手段12によって帯電され、その上に静電潜像が描かれている。帯電した像担持体11上の静電潜像部分に接した現像剤22は静電気力により像担持体11側に付着して静電潜像を現像する。像担持体11上に現像された静電潜像は像担持体11の回転とともに記録体16に接触し転写手段14により記録体16上に転写される。この際、前述したように、現像剤担持体24により供給される現像剤22が常に均一な状態で像担持体11に接し、制御された静電力により像担持体11側に付着していくことが重要である。このように、現像剤担持体24は高品質の画像を形成するための重要な部品である。
【0083】
そして、現像剤担持体24として、この発明に係る半導電性ローラ1を用いると、半導電性ローラ1のコート層4は特定範囲の前記表面光沢度を有しているから、高い印字濃度を確保することができると共に、画像のかすれ、かぶり及び汚れを防止することができ、その結果、半導電性ローラ1のコート層4は、印字濃度低下、画像のかすれ及びかぶり等の発生を防止する機能を所望のように発揮することができる。したがって、現像剤担持体24としてこの発明に係る半導電性ローラ1を用いた画像形成装置10においては、高品質の画像を形成することができる。
【0084】
次に、この発明に係る画像形成装置の別の一例を、図3を参照して、説明する。画像形成装置30は、図3に示されるように、各色の現像ユニットB、C、M及びYに装備された複数の像担持体11B、11C、11M及び11Yを転写搬送ベルト32上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置であり、したがって、現像ユニットB、C、M及びYが転写搬送ベルト32上に直列に配置されている。これらの現像ユニットB、C、M及びYはそれぞれ、図2に示される画像形成装置10における現像装置と同様に構成されている。なお、図3において、撹拌手段23は省略されている。
【0085】
画像形成装置30に使用される現像剤22B、22C、22M及び22Yはそれぞれ、摩擦により帯電可能で、記録体16に定着可能な現像剤であれば、乾式現像剤でも湿式現像剤でもよく、また、非磁性現像剤でも磁性現像剤でもよい。現像ユニットB、C、M及びYはそれぞれ、筐体21B、21C、21M及び21Y内には、一成分非磁性の、黒色現像剤22B、シアン現像剤22C、マゼンタ現像剤22M及び黄色現像剤22Yが収納されている。画像形成装置30において、半導電性ローラ1は、現像剤担持体24B、24C、24M及び24Y、すなわち、現像ローラとして装着されている。
【0086】
図3に示されるように、現像ユニットB、C、M及びYにおける像担持体11と転写手段14とは、二本の支持ローラ33に張架された転写搬送ベルト32を介して、当接している。そして、記録体16は、転写搬送ベルト32により、像担持体11と転写手段14との当接部を通過するように、搬送される。
【0087】
図3に示されるように、画像形成装置30の底部には、記録体16として複数枚の記録体を積層収容してなるカセット31が設置されており、カセット31内の記録体は給紙ローラ等によって1枚ずつ送り出されて、転写搬送ベルト32上に搬送される。
【0088】
図3に示されるように、画像形成装置30における記録体16の搬送方向下流には、記録体16に転写された現像剤22(静電潜像)を定着させる定着手段15が配置されている。前記定着手段15は、図2に示される画像形成装置10における転写手段15と同様に構成されている。
【0089】
画像形成装置30は、以下のようにして記録体16にカラー画像が形成される。まず、現像ユニットBにおいて、画像形成装置10と同様にして、黒色に現像された静電潜像が記録体16上に顕像化される。次いで、現像ユニットBと同様にして、現像ユニットC、M及びYによって、静電潜像が黒像に顕像化された記録体16に、それぞれシアン像、マゼンタ像及び黄色像が重畳され、カラー像が顕像化される。次いで、カラー像が顕像化された記録体16は、定着手段15に搬送され、定着手段15によりカラー像が永久画像として記録体16に定着される。このようにして、記録体16にカラー画像を形成することができる。
【0090】
そして、タンデム型画像形成装置30は、現像剤の移動過程が画像形成装置10と同様であるから、画像形成装置30における現像剤担持体24として、この発明に係る半導電性ローラ1を用いると、半導電性ローラ1のコート層4は、特定範囲の前記表面光沢度を有しているから、印字濃度低下、画像のかすれ及びかぶり等の発生を防止する機能を所望のように発揮することができる。したがって、現像剤担持体24としてこの発明に係る半導電性ローラ1を用いた画像形成装置30においては、高品質の画像を形成することができる。
【0091】
前記画像形成装置10及び30は、例えば、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置とされる。なお、画像形成装置10及び30においてはいずれも、この発明に係る半導電性ローラ1を現像剤担持体24の一例である現像ローラとして用いた例を参照して、説明したが、画像形成装置に配設され、かつ、現像剤又は記録体等と接触しうるローラ、例えば、クリーニングローラ、帯電ローラ及び転写ローラ等として、この発明に係る半導電性ローラ1を用いても、現像剤を所望のように帯電させることができ、また、記録体を所定の位置に保持して搬送すること等ができるから、高品質の画像を形成することができる。
【0092】
画像形成装置10及び30は、電子写真方式の画像形成装置とされているが、この発明において、画像形成装置は、電子写真方式には限定されず、例えば、静電方式の画像形成装置であってもよい。また、この発明に係る半導電性ローラ1が配設される画像形成装置は、単一の現像ユニットを備えたモノクロ画像形成装置10、及び、各色の現像ユニットを備えた複数の像担持体を転写搬送ベルト上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置30に限られず、例えば、像担持体上に担持された現像剤像を無端ベルトに順次一次転写を繰り返す4サイクル型カラー画像形成装置等であってもよい。
【0093】
また、画像形成装置10及び30に用いられる現像剤22は、一成分非磁性現像剤とされているが、この発明においては、一成分磁性現像剤であってもよく、二成分非磁性現像剤であっても、また、二成分磁性現像剤であってもよい。
【実施例】
【0094】
(実施例1)
無電解ニッケルメッキ処理が施された軸体(SUM22製、直径10mm、長さ275mm)をトルエンで洗浄し、その表面にシリコーン系プライマー(商品名「プライマーNo.16」、信越化学工業株式会社製)を塗布した。プライマー処理した軸体を、ギヤオーブンを用いて、150℃の温度にて10分焼成処理した後、常温にて30分以上冷却し、軸体の表面にプライマー層を形成した。
【0095】
一方、メチルビニルシリコーン生ゴム(商品名「KE−78VBS」、信越化学工業株式会社製)100質量部と、ジメチルシリコーン生ゴム(商品名「KE−76VBS」、信越化学工業株式会社製)20質量部と、カーボンブラック(商品名「アサヒサーマル」、旭カーボン株式会社製)10質量部と、煙霧質シリカ系充填材(商品名「AEROSIL 20」、日本アエロジル株式会社製)15質量部と、白金触媒(商品名「C−19A」、信越化学工業株式会社製)0.5質量部と、ハイドロジェンポリシロキサン(商品名「C−19B」、信越化学工業株式会社製)2質量部とを混合し、加圧ニーダーで混練して、付加硬化型導電性シリコーンゴム組成物を調製した。
【0096】
次いで、プライマー層を形成した軸体と付加硬化型導電性シリコーンゴム組成物とを、クロスヘッド型押出成形機にて一体分出し、ギヤオーブンを用いて、250℃、30分間加熱した。その後、さらに、ギヤオーブンを用いて、200℃で4時間にわたって、二次加熱し、常温にて24時間放置した。次いで、円筒研削盤にて、形成した弾性層の直径が18mmとなるように、弾性層の表面を研磨した。
【0097】
このようにして形成した弾性層の電気抵抗値、表面粗さRz及びJIS A硬度を前記方法により、測定したところ、電気抵抗値は2×10Ωであり、表面粗さRzは3.5(μm)であり、JIS A硬度は40であった。
【0098】
次いで、弾性層の表面に、シリコーン系プライマー(商品名「プライマーNo.19」、信越化学工業株式会社製)を塗布した。プライマーが塗布された弾性層の表面に、ウレタン系塗料(商品名「ニッポラン5196」、日本ポリウレタン株式会社製)100質量部と、煙霧質シリカ系充填材(商品名「AEROSIL 200」、日本エアロジル株式会社製)25質量部と、カーボンブラック(商品名「アサヒサーマル」、旭カーボン株式会社製)15質量部と、イソシアネート系架橋剤14質量部とを含有する樹脂組成物の塗布液を、スプレーコーティング法によって、一回塗布し、150℃で30分間加熱し、プライマーとウレタン系塗料とを架橋及び/又は硬化させて、層厚10μmのコート層を形成した。このようにして、半導電性ローラを作製した。
【0099】
このようにして形成したコート層表面の前記20箇所を、前記「極小面積測定用光沢計 155−SO(商品名)」(Sheen Instruments Ltd製)等を用いて、前記方法により測定し、これらを算術平均して、コート層の表面光沢度を算出した。一方、前記特許文献1に記載の測定方法と同様の方法で、前記コート層の20個所を、商品名「GM−20」(株式会社製村上色彩技術研究所製)を用いて、測定し、これらを算術平均して、コート層における従来法の表面光沢度を算出した。
【0100】
また、半導電性ローラの電気抵抗値、コート層の表面光沢度、超微小硬度、ゲル分率、表面粗さRz、JIS A硬度、現像剤付着量及び現像剤への帯電量(以下、現像剤帯電量と称する。)を前記方法により、測定した。これらの結果を表1に示す。
【0101】
(実施例2)
前記樹脂組成物の塗布液における煙霧質シリカ系充填材の含有量を12質量部に代えた以外は、実施例1と同様にして、半導電性ローラを作製した。半導電性ローラの電気抵抗値、コート層の表面光沢度、超微小硬度、ゲル分率、表面粗さRz、JIS A硬度、現像剤付着量及び現像剤帯電量を実施例1と同様にして測定した。これらの結果を表1に示す。
(実施例3)
前記樹脂組成物の塗布液における煙霧質シリカ系充填材の含有量を36質量部に代えた以外は、実施例1と同様にして、半導電性ローラを作製した。半導電性ローラの電気抵抗値、コート層の表面光沢度、超微小硬度、ゲル分率、表面粗さRz、JIS A硬度、現像剤付着量及び現像剤帯電量を実施例1と同様にして測定した。これらの結果を表1に示す。
(実施例4)
前記樹脂組成物の塗布液を硬化させる加熱条件を150℃で5分間に代えた以外は、実施例1と同様にして、半導電性ローラを作製した。半導電性ローラの電気抵抗値、コート層の表面光沢度、超微小硬度、ゲル分率、表面粗さRz、JIS A硬度、現像剤付着量及び現像剤帯電量を実施例1と同様にして測定した。これらの結果を表1に示す。
【0102】
(比較例1)
前記樹脂組成物の塗布液における煙霧質シリカ系充填材の含有量を10質量部に代えた以外は、実施例1と同様にして、半導電性ローラを作製した。半導電性ローラの電気抵抗値、コート層の表面光沢度、超微小硬度、ゲル分率、表面粗さRz、JIS A硬度、現像剤付着量及び現像剤帯電量を実施例1と同様にして測定した。これらの結果を表1に示す。
(比較例2)
前記樹脂組成物の塗布液における煙霧質シリカ系充填材の含有量を40質量部に代えた以外は、実施例1と同様にして、半導電性ローラを作製した。半導電性ローラの電気抵抗値、コート層の表面光沢度、超微小硬度、ゲル分率、表面粗さRz、JIS A硬度、現像剤付着量及び現像剤帯電量を実施例1と同様にして測定した。これらの結果を表1に示す。
(比較例3)
前記樹脂組成物の塗布液における煙霧質シリカ系充填材の含有量を60質量部に代えた以外は、実施例1と同様にして、半導電性ローラを作製した。半導電性ローラの電気抵抗値、コート層の表面光沢度、超微小硬度、ゲル分率、表面粗さRz、JIS A硬度、現像剤付着量及び現像剤帯電量を実施例1と同様にして測定した。これらの結果を表1に示す。
【0103】
次いで、実施例1〜4及び比較例1〜3の半導電性ローラそれぞれを4本準備し、図3に示される電子写真式プリンタ(沖データ株式会社製、商品名:「MICROLINE 1032PS」、解像度1200dpi相当)において、現像ローラ24B、24C、24M及び24Yとして、配設した。なお、現像剤及び現像剤規制部材は、電子写真式プリンタに付属の現像剤及び現像剤規制部材を用いた。
【0104】
(印字濃度評価)
この電子写真式プリンタを、温度20℃、相対湿度50%の環境下で、稼動させて、黒ベタ印字部を6,000枚印字した。その後、黒ベタ−網点−5%デューティー−白地印字を2回繰り返し行い、その2回目に印字した黒ベタ印字部のマクベス濃度を、マクベス濃度計を用いて測定した。黒ベタ印字部のマクベス濃度が1.3以上であった場合を「◎」とし、マクベス濃度が1.2以上1.3未満であった場合を「○」とし、マクベス濃度が1.2未満であった場合を印字不良と判断し、「×」とした。その結果を表1に示す。
【0105】
(かぶり評価)
前記印字濃度評価と同様に、6,000枚の黒ベタ印字後に2回繰り返して行った黒ベタ−網点−5%デューティー−白地印字の中から、2回目に印字した5%デューティー画像における白地部のマクベス濃度を、マクベス濃度計を用いて測定した。5%デューティー画像における白地部のマクベス濃度が0.01未満であった場合を「◎」とし、マクベス濃度が0.01以上0.02未満であった場合を「○」とし、0.02以上であった場合をかぶりが発生したと判断して「×」とした。その結果を表1に示す。
【0106】
(かすれ評価)
印字濃度評価及びかぶり評価をするための黒ベタ−網点−5%デューティー−白地印字を2回繰り返して行った後、引き続いて黒ベタ印字部の印字を継続して行った。通算で10,000枚印刷しても黒ベタ印字部に表面白筋が出現しなかった場合を「◎」とし、7,000枚以上10,000枚未満印刷したときに黒ベタ印字部に表面白筋が出現した場合を「○」とし、7,000枚印刷するまでに、黒ベタ印字部に表面白筋が出現した場合を「×」とした。その結果を表1に示す。
【0107】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】図1は、半導電性ローラの一例を示す斜視図である。
【図2】図2は、この発明に係る画像形成装置の一例を示す概略図である。
【図3】図3は、この発明に係る画像形成装置の別の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0109】
1 半導電性ローラ
2 軸体
3 半導電性弾性層
4 コート層
10、30 画像形成装置
11、11B、11C、11M、11Y 像担持体
12、12B、12C、12M、12Y 帯電手段
13、13B、13C、13M、13Y 露光手段
14、14B、14C、14M、14Y 転写手段
15 定着手段
15a 定着ローラ
15b 加圧ローラ
16 記録体
17、17B、17C、17M、17Y クリーニング手段
20、20B、20C、20M、20Y 現像手段
21、21B、21C、21M、21Y 筐体
22、22B、22C、22M、22Y 現像剤
23 撹拌手段
24、24B、24C、24M、24Y 現像剤担持体
25、25B、25C、25M、25Y 現像剤量調節手段
26 取り付け手段
31 カセット
32 転写搬送ベルト
33 支持ローラ
B、C、M、Y 現像ユニット



【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸体の外周面に形成された半導電性弾性層と、
前記半導電性弾性層の外周面に形成された、測定面積4mmにおける表面光沢度が2〜13であるコート層とを有する半導電性ローラ。
【請求項2】
前記コート層は、ウレタン樹脂、ウレア樹脂及びフッ素樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂を含有する樹脂組成物を硬化して成る請求項1に記載の半導電性ローラ。
【請求項3】
前記コート層は、前記樹脂のゲル分率が60%以上である請求項2に記載の半導電性ローラ。
【請求項4】
前記コート層は、十点平均表面粗さRzが1〜13μmである請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導電性ローラ。
【請求項5】
10〜10Ωの電気抵抗値を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導電性ローラ。
【請求項6】
前記コート層は、層厚が5〜25μmである請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導電性ローラ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導電性ローラを備えた画像形成装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−3458(P2008−3458A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−174964(P2006−174964)
【出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】