説明

半導電性架橋性コンパウンド、及びその架橋ゴム

【課題】塵埃の付着や、接触する電気・電子部品の静電気による放電破壊のリスクを低減した、淡色系架橋ゴムを提供する。
【解決手段】硬化して得られる架橋ゴムの表面抵抗値が109Ω/□以下、あるいは体積固有抵抗値が109Ω・cm以下である、(A)(a−1)1分子中に平均1個を超えるアルケニル基を有する数平均分子量が3,000〜50,000のポリオキシアルキレン系重合体、(a−2)1分子中に平均1個を超えるアルケニル基を有する、主鎖が(メタ)アクリル系モノマーを主として重合して製造される数平均分子量が3,000〜50,000のポリ(メタ)アクリル系重合体から選ばれる少なくとも1種から選ばれる少なくとも1種の重合体、(B)1分子中に少なくとも平均2個のヒドロシリル基を有する化合物、(C)ヒドロシリル化触媒、(D)淡色系導電性金属酸化物を必須成分とした架橋性コンパウンド。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱により半導電性架橋ゴムを形成する架橋性コンパウンド、及び該組成物から得られる半導電性架橋ゴムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体素子や電子・電気部品の精密化が進む中では、塵埃の付着や、静電気による放電破壊等が大きな問題とされており、電気機器の組み立てラインの帯電防止や、パーツコンテナ等の移送・搬送ラインでの静電気除去などの製造工程では、その対策管理に大きな負担が強いられている。
【0003】
一方で、ゴム部品はシール機能、振動・衝撃吸収機能、接着や粘着などの機能などを生かして、電子・電気製品の部品として、またその製造工程や半導体などの製造工程などに幅広く使用されている。
【0004】
従い、そのようなゴム部品にも、前記した塵埃の付着や、静電気による放電破壊等に対する対策が求められるケースが増えている。その一般的な対策としては、ゴム自体に導電性を付与する方法が採られる。その具体的手立てとしては、ゴムに導電性物質を配合する、あるいはゴム表面に導電性を有するコーティングを施すなどの方法が採られる。
【0005】
但し、後者では表面をコーティングするための新たな工程を設ける必要があること、またコーティング層が薄い場合には、その耐久性が問題になるほか、表面コーティング後の切断など後加工は困難であるなど、課題や制約が多い。
【0006】
また、前者のゴム自体に導電性を付与する方法としては、一般的にカーボンブラックが用いられることが多いが、帯電防止としてよく使用される104〜109Ω・cm程度の半導電領域の制御が難しいこと、カーボンブラックが飛散し易く周囲を汚染し易い、着色が困難であるなどの問題が挙げられる。特にゴム部品では、外観、あるいは製品の識別の観点から着色を求められる場合が多く、淡色系の半導電性を有するゴムの要望は強い。
【0007】
そこでこのような場合には、淡色系の導電性付与剤として金属酸化物が使用される。その具体例とそしては、湿分硬化型のシリコーンゴムに金属酸化物明色系導電性充填剤を添加した導電性ポリオルガノシロキサン組成物(特許文献1)、透明導電性積層体の硬化性樹脂層として合成ゴム成分に金属酸化物または金属フッ化物からなる超微粒子を含有した例(特許文献2)、さらに、ゴム、架橋ポリエーテル樹脂等に導電性金属酸化物を含有したプラスチゾルシール材組成物(特許文献3)などが知られている。
【0008】
一方、従来より、アルケニル基を有する重合体とヒドロシリル基を有する架橋剤のヒドロシリル化反応により得られる架橋ゴムが知られており、加熱硬化型のゴムとしては比較的低温で硬化させることが可能であるほか、硬化速度が速く、硬化時の収縮が小さいこと、さらに硬化前は流動性を有する性状の設計も可能なことから、幅広い成形方法に適用できる特徴ある架橋ゴム材料として認知されている。前記重合体としては、低温ゴム弾性に優れるオキシプロピレン系重合体(特許文献4)、耐油性に優れるアクリレート系重合体(特許文献5)などが知られている。しかし、架橋反応にあたるヒドロシリル化反応は、窒素原子、硫黄原子、リン原子などにより反応阻害を受け易く、実用的に使用できる充填剤や添加剤は限られており、淡色系の半導電、及び導電性ゴムはこれまで知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平5−239357号公報
【特許文献2】特開2007−42284号公報
【特許文献3】特開2009−185249号公報
【特許文献4】特許第3472340号
【特許文献5】特許第2927892号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、塵埃の付着や、接触する電気・電子部品の静電気による放電破壊のリスクを低減した、ヒドロシリル化反応を架橋反応に利用した、ポリオキシプロピレン系重合体、ポリアクリレート系重合体をベースとしたそれぞれに特徴を有する架橋ゴムを提供することを目的とする。さらに、これらの架橋性コンパウンドは淡色系であり、該組成物への顔料等の添加により、最終得られる架橋ゴムへの着色が可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した技術的課題を解決するために、本発明の請求項1による半導電性架橋性コンパウンドは、下記(A)〜(D)成分を必須成分とし、硬化して得られる架橋ゴムのSRIS 2304の方法により測定した表面抵抗値が109Ω/□以下、あるいは体積固有抵抗値が109Ω・cm以下であることを特徴とするものである。
(A)(a−1)1分子中に平均1個を超えるアルケニル基を有する数平均分子量が3,000〜50,000のポリオキシアルキレン系重合体、(a−2)1分子中に平均1個を超えるアルケニル基を有する、主鎖が(メタ)アクリル系モノマーを主として重合して製造される数平均分子量が3,000〜50,000のポリ(メタ)アクリル系重合体から選ばれる少なくとも1種からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体
(B)1分子中に少なくとも平均2個のヒドロシリル基を有する化合物
(C)ヒドロシリル化触媒
(D)淡色系導電性金属酸化物
また、本発明の請求項2による半導電性架橋性コンパウンドは、前記(D)成分である淡色系導電性金属酸化物が、導電性材料で表面処理された金属酸化物であることを特徴とする。
また、本発明の請求項3による半導電性架橋性コンパウンドは、前記(D)成分である淡色系導電性金属酸化物が、アンチモンをドープした酸化スズで表面処理された酸化チタン、アンチモンをドープした酸化スズで表面処理されたチタン酸カリウム、あるいはアルミで表面処理された酸化亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする。
また、本発明の請求項4による半導電性架橋性コンパウンドは、前記(A)成分が(a−1)であり、(D)成分である導電性フィラーの、(A)成分〜(D)成分を必須成分とする半導電性架橋性コンパウンドに占める体積分率5%以上であることを特徴とする。
また、本発明の請求項5による半導電性架橋性コンパウンドは、前記(A)成分が(a−2)であり、(D)成分である導電性フィラーの、(A)成分〜(D)成分を必須成分とする半導電性架橋性コンパウンドに占める体積分率が10%以上であることを特徴とする。
また、本発明の請求項6による半導電性架橋性コンパウンドは、前記(E)成分として、淡色系フィラーを必須成分とすることを特徴とする。
また、本発明の請求項7による半導電性架橋性コンパウンドは、前記(E)成分である淡色系フィラーが微粉末シリカであることを特徴とする。
また、本発明の請求項8による半導電性架橋性コンパウンドは、前記(C)成分であるヒドロシリル化触媒が白金錯体化合物であり、白金濃度が全体の10ppm以上であることを特徴とする。
また、本発明の請求項9による半導電性架橋性コンパウンドは、前記(a−2)成分であるポリ(メタ)アクリル系重合体が、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸2−メトキシブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリルからなる群から選ばれる少なくとも1種を単量体単位として含有することを特徴とする。
また、本発明の請求項10による半導電性架橋性コンパウンドは、前記(a−2)成分であるポリ(メタ)アクリル系重合体の主鎖がリビングラジカル重合法により製造されるものであることを特徴とする。
また、本発明の請求項11による半導電性架橋性コンパウンドは、前記(B)成分が、1分子中に少なくとも平均2個のヒドロシリル基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであることを特徴とする。
また、本発明の請求項12は、前記請求項1〜11のいずれか1項に記載の半導電性架橋性コンパウンドから得られる半導電性架橋ゴムである。
また、本発明の請求項13は、前記請求項1〜11のいずれか1項に記載の半導電性架橋性コンパウンドから得られる、振動・衝撃吸収を目的に使用される半導電性架橋ゴムである。
また、本発明の請求項14は、前記請求項1〜11のいずれか1項に記載の半導電性架橋性コンパウンドから得られる、固定および/または仮固定を目的に使用される半導電性架橋ゴムである。
また、本発明の請求項15は、前記請求項1〜11のいずれか1項に記載の半導電性架橋性コンパウンドから得られる、シールを目的に使用される半導電性架橋ゴムである。
【発明の効果】
【0012】
すなわち、本発明は、帯電性防止に有効とされる109Ω以下の電気抵抗を有する淡色系の半導電性ゴム組成物、及びその架橋ゴムを提供するものである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る半導電性ゴム組成物、及びその架橋ゴムの実施形態を詳細に説明する。
【0014】
本発明の(a−1)成分である、1分子中に1個を超えるアルケニル基を有する数平均分子量が3,000 〜50,000ポリオキシアルキレン系重合体としては、特に制限はなく、公知のものがあげられる。具体的には、重合体の主鎖骨格が、一般式(1)で示される繰り返し単位を有するものがあげられる。
一般式(1):−R1−O− (1)
(式中、R1は2価のアルキレン基)
一般式(1)中に記載のR1としては、2価のアルキレン基ならば特に限定されず、このなかでも炭素数1〜14のアルキレン基が好ましく、2〜4の、直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基がより好ましい。一般式(1)記載の繰り返し単位としては、特に限定されず、たとえば、−CH2O−、−CH2CH2O−、−CH2CH(CH3)O−、−CH2CH(C25)O−、−CH2C(CH32O−、−CH2CH2CH2CH2O−等が挙げられる。
【0015】
ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格は、1種類だけの繰り返し単位からなるものでも、複数の繰り返し単位を組み合わせたものでもよい。このなかでも、入手が容易なこと、作業性に優れることなどから、主な繰り返し単位として−CH2CH(CH3)O−からなる重合体が好ましい。また、重合体の主鎖骨格中にはオキシアルキレン単位以外の繰り返し単位が含まれていてもよい。この場合、重合体中に含まれるオキシアルキレン単位の総和の割合は、80重量%以上、特には90重量%以上が好ましい。
【0016】
(a−1)成分の重合体の主鎖骨格は、直鎖状の重合体でも分岐を有する重合体でもよく、また、その混合物でもよい。この中でも良好な弾性を得るため、直鎖状の重合体を50重量%以上含有することが好ましい。
【0017】
(a−1)成分の重合体の数平均分子量は3,000 〜50,000であるが、より好ましくは、5,000〜30,000である。数平均分子量が3,000未満のものでは、得られる架橋ゴムの弾性率が高くなり、逆に数平均分子量が50,000を超えると高粘度となり組成物の取り扱いが著しく低下する傾向にある。数平均分子量は、各種の方法で測定可能であるが、通常、ポリオキシアルキレン系重合体の末端基分析からの換算や、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法で測定される。ポリオキシアルキレン系重合体の分子量は、末端基分析から換算した分子量を記すこととする。
【0018】
(a−1)成分中のアルケニル基としては、特に限定されず、公知のものがあげられる。このなかでも、下記の一般式(2)で示されるアルケニル基が好ましい。一般式(2):
2C =C(R2 )− (2)
(式中、R2は水素又はメチル基である。)
【0019】
アルケニル基のポリオキシアルキレン系重合体への結合様式としては特に限定されず、たとえば、アルケニル基の直接結合、エーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、ウレア結合等が挙げられる。
【0020】
(a−1)成分の重合体としては、一般式(3):
{H2C =C(R3)−R4−O}a−R5 (3)
(式中、R3は水素又はメチル基である。R4は炭素数1 〜20の2価の炭化水素基であり、その中には、1個以上のエーテル基が含まれていてもよい。R5はポリオキシアルキレン系重合体の開始剤残基である。aは正の整数である。)で示される重合体が挙げられる。一般式(3)中に記載のR4は、特に限定されず、たとえば、−CH2−、−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2−、−CH2CH2CH2CH2−,−CH2CH2OCH2CH2−、または−CH2CH2OCH2CH2CH2−などがあげられる。このなかでも、合成が容易なことなどから、−CH2−が好ましい。
【0021】
前記以外の、(a−1)成分の重合体としては一般式(4):
{H2C=C(R3)−R4−OC(=O)}a−R5 (4)
(式中、R3 ,R4 ,R5 及びa は一般式(3)の表記と同じ)で示されるエステル結合を有する重合体が挙げられる。
【0022】
また、一般式(5):
{H2C =C(R3)}a−R5 (5)
(式中、R3、R5 及びa は、一般式(3)、(4)の表記と同じ)で示される重合体も挙げられる。さらに、次の一般式(6):
{H2C =C(R3)−R4−OC(=O)O }a−R5 (6)
(式中、R3、R4、R5及びaは一般式(3)、(4)、(5)の表記と同じ)で示されるカーボネート結合を有する重合体も挙げられる。
【0023】
ポリオキシアルキレン系重合体(a−1)の重合方法としては、特に限定されず、たとえば、特開昭50−13496号等に開示されているオキシアルキレンの通常の重合法(苛性アルカリを用いるアニオン重合法)、特開昭50−149797号等に開示されている前記アニオン重合法によって得られた重合体を原料とした鎖延長反応方法による重合法、特開平7−179597号等に開示されているセシウム金属触媒を用いる重合法、特開昭61−197631号、特開昭61−215622号、特開昭61−215623号、特開昭61−218632号に開示されているポルフィリン/アルミ錯体触媒を用いる重合法、特公昭46−27250号及び特公昭59−15336号等に開示されている複合金属シアン化物錯体触媒を用いる重合法、特開平10−273512号等に開示されているポリフォスファゼン塩からなる触媒を用いる重合法等があげられる。
【0024】
このなかでも、実用性が高いこと、触媒の入手が容易であること、重合体が安定して得られることなどから、複合金属シアン化物錯体触媒を用いる重合方法が好ましい。複合金属シアン化物錯体触媒の製造方法としては、特に限定されず公知の方法があげられ、たとえば、米国特許第3,278,457号、同3,278,459号、同5,891,818号、同5,767,323号、同5,767,323号、同5,536,883号、同5,482,908号、同5,158,922号、同4,472,560号、同6,063,897号、同5,891,818号、同5,627,122号、同5,482,908号、同5,470,813号、同5,158,922号等に開示されている製造方法が好ましい。
【0025】
1分子中に1個を超えるアルケニル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(a−1)の合成方法としては、特に限定されず、たとえば、ポリオキシアルキレン系重合体を製造するための通常の重合法(苛性アルカリを用いるアニオン重合法)や、この重合体を原料とした鎖延長反応方法のほか、特開昭61−197631号、特開昭61−215622号、特開昭61−215623号、特開昭61−218632号、特公昭46−27250号及び特公昭59−15336号などに開示されている方法により得ることができる。
【0026】
ポリオキシアルキレン系重合体にアルケニル基を導入する方法としては、特に限定されず公知の方法があげられ、たとえば、アリルグリシジルエーテルのようなアルケニル基を有する化合物とオキシアルキレン化合物との共重合による方法があげられる。また、アルケニル基を主鎖あるいは側鎖に導入する方法としては、特に限定されず、たとえば、主鎖あるいは側鎖に水酸基、アルコキシド基等の官能基を有するオキシアルキレン重合体に、これらの官能基に対して反応性を有する官能基及びアルケニル基を有する有機化合物を反応させる方法があげられる。なお、アルケニル基が重合体の主鎖末端に存在する重合体を含む架橋性コンパウンドは、得られる硬化物が、大きな有効網目鎖長を有し、機械的特性に優れることから好ましい。
【0027】
水酸基、アルコキシド基等の官能基に対して反応性を有する官能基及びアルケニル基を有する有機化合物としては、特に限定されず、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル、アクリル酸クロライド若しくはアクリル酸ブロマイド等の炭素数3〜20の不飽和脂肪酸の酸ハライド、酸無水物、アリルクロロホルメート、アリルクロライド、アリルブロマイド、ビニル(クロロメチル)ベンゼン、アリル(クロロメチル)ベンゼン、アリル(ブロモメチル)ベンゼン、アリル(クロロメチル)エーテル、アリル(クロロメトキシ)ベンゼン、1−ブテニル(クロロメチル)エーテル,1−ヘキセニル(クロロメトキシ)ベンゼン、アリルオキシ(クロロメチル)ベンゼン等が挙げられる。
【0028】
(a−1)成分である重合体の1分子中に存在するアルケニル基の数としては、1個を超え5個以下が好ましい。重合体(A)1分子中に存在するアルケニル基の数が1個以下になると、架橋性コンパウンドの硬化が不充分になる傾向があり、得られる硬化物は、網目構造が不完全なものとなり、良好な成形体が得られない傾向がある。また、重合体(a−1)1分子中に存在するアルケニル基が多くなると、得られる硬化物の網目構造があまりに密となるため、成形体は硬く脆くなる傾向がある。特に、5個以上になるとその傾向は顕著となる。
【0029】
本発明の(a−2)成分である、1分子中に1個を超えるアルケニル基を有する、主鎖が(メタ)アクリル系モノマーを主として重合して製造される数平均分子量が3,000〜50,000のポリ(メタ)アクリル系重合体としては、その主鎖が、(メタ)アクリル系モノマーを主として重合して製造されるものである。ここで「主として」とは、主鎖を構成するモノマー単位のうち、50モル%以上が上記モノマーであることを意味し、好ましくは70モル%以上である。
【0030】
なかでも、生成物の物性等から、(メタ)アクリル酸系モノマーが好ましく、アクリル酸エステルモノマー及び/又はメタクリル酸エステルモノマーがより好ましく、アクリル酸エステルモノマーがさらに好ましい。特に好ましいアクリル酸エステルモノマーとしては、アクリル酸アルキルエステルモノマーが挙げられ、具体的には、アクリル酸エチル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−メトキシブチルである。
【0031】
本発明においては、これらの好ましいモノマーを他のモノマーと共重合、更にはブロック共重合させても構わなく、その際は、これらの好ましいモノマーが重量比で40重量%以上含まれていることが好ましい。
【0032】
本発明におけるポリ(メタ)アクリル系重合体(a−2)の分子量分布、即ち、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は、特に限定されないが、好ましくは1.8未満であり、より好ましくは1.7以下であり、さらに好ましくは1.6以下であり、よりさらに好ましくは1.5以下であり、特に好ましくは1.4以下であり、最も好ましくは1.3以下である。分子量分布が大きすぎると同一架橋点間分子量における粘度が増大し、取り扱いが困難になる傾向にある。本発明でのGPC測定は、移動相としてクロロホルムを用い、測定はポリスチレンゲルカラムにて行い、数平均分子量等はポリスチレン換算で求めることができる。
【0033】
本発明におけるポリ(メタ)アクリル系重合体(a−2)の数平均分子量は3,000〜50,000のであり、より好ましくは5,000〜30,000である。数平均分子量が3,000未満のものでは、得られる架橋ゴムの弾性率が高くなり、逆に数平均分子量が50,000を超えると高粘度となり組成物の取り扱いが著しく低下する傾向にある。
【0034】
本発明におけるポリ(メタ)アクリル系重合体(a−2)は、種々の重合法により得ることができ、特に限定されないが、モノマーの汎用性、制御の容易性等の点からラジカル重合法が好ましく、ラジカル重合の中でも制御ラジカル重合がより好ましい。この制御ラジカル重合法は「連鎖移動剤法」と「リビングラジカル重合法」とに分類することができる。得られるポリ(メタ)アクリル系重合体(a−2)の分子量、分子量分布の制御が容易であるリビングラジカル重合がさらに好ましく、原料の入手性、重合体末端への官能基導入の容易さから原子移動ラジカル重合が特に好ましい。上記ラジカル重合、制御ラジカル重合、連鎖移動剤法、リビングラジカル重合法、原子移動ラジカル重合は公知の重合法ではあるが、これら各重合法については、たとえば、特開2005−232419公報や、特開2006−291073公報などの記載を参照できる。
【0035】
本発明におけるポリ(メタ)アクリル系重合体(a−2)の好ましい合成法の一つである、原子移動ラジカル重合について以下に簡単に説明する。
【0036】
原子移動ラジカル重合では、有機ハロゲン化物、特に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物(例えば、α位にハロゲンを有するカルボニル化合物や、ベンジル位にハロゲンを有する化合物)、あるいはハロゲン化スルホニル化合物等が開始剤として用いられることが好ましい。具体的には特開2005−232419公報 段落[0040]〜[0064]記載の化合物が挙げられる。
【0037】
1分子内に1個を超えるアルケニル基を有するビニル系重合体を得るためには、2つ以上の開始点を持つ有機ハロゲン化物、又はハロゲン化スルホニル化合物を開始剤として用いるのが好ましい。具体的に例示するならば、
【0038】
【化1】

【0039】
【化2】

【0040】
等が挙げられる。
【0041】
原子移動ラジカル重合において用いられる(メタ)アクリル酸系モノマーとしては特に制約はなく、上述した例示した(メタ)アクリル酸系モノマーをすべて好適に用いることができる。
【0042】
重合触媒として用いられる遷移金属錯体としては特に限定されないが、好ましくは周期律表第7族、8族、9族、10族、又は11族元素を中心金属とする金属錯体であり、より好ましくは0価の銅、1価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄又は2価のニッケルを中心金属とする遷移金属錯体、特に好ましくは銅の錯体が挙げられる。銅の錯体を形成するために使用される1価の銅化合物を具体的に例示するならば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅等である。銅化合物を用いる場合、触媒活性を高めるために2,2′−ビピリジル若しくはその誘導体、1,10−フェナントロリン若しくはその誘導体、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン若しくはヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン等のポリアミン等が配位子として添加される。
【0043】
重合反応は、無溶媒でも可能であるが、各種の溶媒中で行うこともできる。溶媒の種類としては特に限定されず、特開2005−232419公報 段落[0067]]記載の溶剤が挙げられる。これらは、単独でもよく、2種以上を併用してもよい。また、エマルジョン系もしくは超臨界流体CO2を媒体とする系においても重合を行うことができる。
【0044】
重合温度は、限定はされないが、0〜200℃の範囲で行うことができ、好ましくは、室温〜150℃の範囲である。
【0045】
(a−2)成分中のアルケニル基としては、特に限定はされないが、一般式(7)で表されるものであることが好ましい。
2C=C(R6)− (7)
(式中、R6は水素又は炭素数1〜20の有機基を示す。)
【0046】
上記R6の炭素数1〜20の有機基としては、特に限定されないが、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基が好ましく挙げられ、具体的には以下のような基が例示される。
−(CH2n−CH3、−CH(CH3)−(CH2n−CH3、−CH(CH2CH3)−(CH2n−CH3、−CH(CH2CH32、−C(CH32−(CH2n−CH3、−C(CH3)(CH2CH3)−(CH2n−CH3、−C65、−C64(CH3)、−C63(CH32、−(CH2n−C65、−(CH2n−C64(CH3)、−(CH2n−C63(CH32
(nは0以上の整数で、各基の合計炭素数は20以下)
本発明の架橋反応となるヒドロシリル化反応の活性の点から、R6としては水素又はメチル基がより好ましい。
【0047】
ポリ(メタ)アクリル系重合体(a−2)のアルケニル基は、特に限定はされないが、その炭素−炭素二重結合と共役するカルボニル基、アルケニル基、芳香族環により活性化されていないことが好ましい。
【0048】
アルケニル基とポリ(メタ)アクリル系重合体の主鎖との結合形式は、特に限定されないが、炭素−炭素結合、エステル結合、エーテル結合、カーボネート結合、アミド結合、ウレタン結合等を介して結合されていることが好ましい。
【0049】
ポリ(メタ)アクリル系重合体(a−2)は、1分子中に1個を超えるアルケニル基を有するものであり、硬化物の機械物性の点から、ポリ(メタ)アクリル系重合体1分子当たり平均して1.2個〜3.0個有するものが好ましい。特に限定するわけではないが、具体的には、ポリ(メタ)アクリル系重合体1分子当たりに導入されたアルケニル基の数を1H−NMR分析により求めた平均値が1.2個〜3.0個であることが好ましく、1.5個〜2.5個であることがより好ましい。
【0050】
本発明の架橋性コンパウンドから得られる硬化物にゴム的な性質が特に要求される場合には、ゴム弾性に大きな影響を与える架橋点間分子量が大きくとれるため、アルケニル基の少なくとも1個は分子鎖(主鎖)の末端にあることが好ましい。より好ましくは、全てのアルケニル基を分子鎖末端に有するものである。
【0051】
上記1個を超えるアルケニル基を分子末端に有するポリ(メタ)アクリル系重合は、特公平3−14068号公報、特公平4−55444号公報、特開平6−211922号公報等に開示されている方法により製造できる。しかしながら、これらの方法は上記「連鎖移動剤法」を用いたフリーラジカル重合法であるので、得られる重合体は、アルケニル基を比較的高い割合で分子鎖末端に有する一方で、分子量分布(Mw/Mn)の値が一般に2以上と大きく、粘度が高くなるという問題を有している。従って、分子量分布が狭く、粘度の低いポリ(メタ)アクリル系重合であって、高い割合で分子鎖末端にアルケニル基を有するポリ(メタ)アクリル系重合を得るためには、上記「リビングラジカル重合法」を用いることが好ましい。
【0052】
得られたポリ(メタ)アクリル系重合へのアルケニル基の導入方法としては、公知の方法を利用することができる。例えば、特開2005−232419公報 段落[0074]〜[0099]記載の方法が挙げられる。これらの方法の中でも制御がより容易である点から、ジエン化合物添加法が好ましい。水酸基を分子中に少なくとも1個含有するポリ(メタ)アクリル系重合から得る場合は、制御がより容易である点から重合の終期にアルケニルアルコールを反応させる方法(B−b)、重合体の反応末端に安定化カルバニオンを反応させる方法(B−i)により得られる、水酸基を分子中に少なくとも1個含有するビニル系重合体を用いることが好ましい。
【0053】
ここでは、好ましい導入方法の一つである、ジエン化合物添加法について以下に簡単に説明する。ジエン化合物添加法は、(メタ)アクリル系モノマーのリビングラジカル重合により得られるポリ(メタ)アクリル系重合に、重合性の低いアルケニル基を少なくとも2個有する化合物(以下、「ジエン化合物」という。)を反応させる。
【0054】
ジエン化合物が有するアルケニル基としては、末端アルケニル基[CH2=C(R)−R';Rは水素又は炭素数1〜20の有機基、R'は炭素数1〜20の一価または二価の有機基であり、RとR'は互いに結合して環状構造を有していてもよい。]又は内部アルケニル基[R'−C(R)=C(R)−R';Rは水素又は炭素数1〜20の有機基、R'は炭素数1〜20の一価または二価の有機基であり、二つのR若しくは二つのR'は互いに同一であってもよく異なっていてもよい。二つのRと二つのR'のうちいずれか二つが互いに結合して環状構造を有していてもよい。]のいずれでもよいが、末端アルケニル基がより好ましい。Rは水素又は炭素数1〜20の有機基であるが、炭素数1〜20の有機基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基が好ましい。これらの中でもRとしては水素又はメチル基が特に好ましい。R'の炭素数1〜20の一価または二価の有機基としては、炭素数1〜20の一価または二価のアルキル基、炭素数6〜20の一価または二価のアリール基、炭素数7〜20の一価または二価のアラルキル基が好ましい。これらの中でもR'としてはメチレン基、エチレン基、イソプロピレン基が特に好ましい。ジエン化合物の少なくとも2つのアルケニル基は互いに同一又は異なっていてもよく、ジエン化合物のアルケニル基のうち、少なくとも2つのアルケニル基は共役していてもよい。
【0055】
ジエン化合物の具体例としては例えば、イソプレン、ピペリレン、ブタジエン、ミルセン、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン、4−ビニル−1−シクロヘキセン等が挙げられるが、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエンが好ましい。
【0056】
(メタ)アクリル系モノマーのリビングラジカル重合を行い、得られた重合体を重合系より単離した後、単離した重合体とジエン化合物をラジカル反応させることにより、目的とする末端にアルケニル基を有するポリ(メタ)アクリル系重合を得ることも可能であるが、重合反応の終期あるいは所定の(メタ)アクリル系モノマーの反応終了後にジエン化合物を重合反応系中に添加する方法が簡便であるのでより好ましい。
【0057】
ジエン化合物の添加量は、2つのアルケニル基の反応性に大きな差があるジエン化合物を使用する場合、重合体成長末端に対して当量又は小過剰量程度であればよく、2つのアルケニル基の反応性が等しい又はあまり差がないジエン化合物を使用する場合、重合体生長末端に対して過剰量であることが好ましく、具体的には1.5倍以上が好ましく、さらに好ましくは3倍以上、特に好ましくは5倍以上である。
【0058】
本発明の架橋性コンパウンドに使用されるポリ(メタ)アクリル系重合体(a−2)としては、上述した製法の中でも、下記方法により得られるものが特に好適である。
【0059】
第1の方法としては、(1a)(メタ)アクリル系モノマーを原子移動ラジカル重合法により重合することにより、下記一般式(8):
−C(R7)(R8)(X) (8)
(式中、R7及びR8は(メタ)アクリル系モノマーのエチレン性不飽和基に結合した基を示す。Xは塩素、臭素又はヨウ素を示す。)で示す末端構造を有するポリ(メタ)アクリル系重合体を製造し、(2a)前記重合体の末端ハロゲンを、アルケニル基を有する置換基に変換する、方法が挙げられる。
【0060】
第2の方法としては、(1b)(メタ)アクリル系モノマーをリビングラジカル重合法により重合することにより、ポリ(メタ)アクリル系重合体を製造し、(2b)前記重合体を、重合性の低いアルケニル基を少なくとも2個有する化合物と反応させる、方法が挙げられる。
【0061】
本発明における(A)成分としては、これら(a−1)1分子中に1個を超えるアルケニル基を有する数平均分子量が3,000〜50,000のポリオキシアルキレン系重合体、(a−2)1分子中に1個を超えるアルケニル基を有する、主鎖が(メタ)アクリル系モノマーを主として重合して製造される数平均分子量が3,000〜50,000のポリ(メタ)アクリル系重合体を、それぞれ単独で使用してもよいが、両者を混合して使用してもよい。但し、その場合には、(a−1)成分と(a−2)成分とが均一に混ざるように、両者の成分を選択するか、相溶化剤などを使用する必要がある。
【0062】
本発明における(B)成分である1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する化合物としては、ヒドロシリル基を有するものであれば特に限定されず、このなかでも原材料の入手が容易なこと、(A)成分への相溶性が良好なことなどから、有機基で変性されたオルガノハイドロジェンポリシロキサンが好ましい。
【0063】
オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、公知の鎖状または環状オルガノハイドロジェンポリシロキサンを使用することができ、(A)成分との相溶性の観点からは、芳香族環含有鎖状または環状オルガノハイドロジェンシロキサンが好適である。具体的には、特開2006−291073号公報 段落[0088]〜[0093]記載のヒドロシリル基含有化合物が挙げられる。
【0064】
また、分子中に2個以上のアルケニル基を有する低分子化合物でヒドロシリル基の一部が置換された鎖状または環状オルガノハイドロジェンポリシロキサンを使用することもできる。具体的には、過剰量の上記ヒドロシリル基含有化合物に対し、後述するヒドロシリル化触媒の存在下、分子中に2個以上のアルケニル基を有する低分子化合物をゆっくり滴下することにより得られる変性ヒドロシリル基含有化合物をヒドロシリル基含有化合物(II)として使用できる。分子中に2個以上のアルケニル基を有する低分子化合物としては、脂肪族炭化水素系化合物、エーテル系化合物、エステル系化合物、カーボネート系化合物、イソシアヌレート系化合物や芳香族炭化水素系化合物等が挙げられ、具体的には特開2006−291073号公報 段落[0094]記載の化合物を使用できる。このような変性ヒドロシリル基含有化合物のうち、原料の入手容易性、過剰に用いたヒドロシリル基含有化合物の除去のしやすさ、さらには(A)への相溶性を考慮して、下記のものが好ましく挙げられる。
【0065】
【化3】

【0066】
本発明における(B)成分であるヒドロシリル基を有する化合物の使用量は、(A)成分の重合体中に存在するアルケニル基の量と、(B)成分中の化合物中に存在するヒドロシリル基の量の関係において、適宜選択され、このなかでも、 [(B)成分中のヒドロシリル基の総量]/[(A)成分中のアルケニル基の総量]が0.5以上であることが好ましく、0.7以上がより好ましい。[(B)成分中のヒドロシリル基の総量]/[(A)成分中のアルケニル基の総量]が0.5を下回る架橋性コンパウンドは、得られる架橋ゴムの強度や復元性が低い上、粘着性が高くなり、取り扱いが困難となる。また、 [(B)成分中のヒドロシリル基の総量]が[(A)成分中のアルケニル基の総量]に比較し、過剰になりすぎると、得られる架橋ゴム中に活性なヒドロシリル基が多量に残存し、ボイド等、欠陥の発生につながる。このように(B)成分の使用量については、下限、上限の両方に注意する必要がある。
【0067】
また、本発明の架橋性コンパウンドにおいては、上記ヒドロシリル基を有する化合物を1種類のみで使用しても良いし、2種類以上混合使用しても良い。
【0068】
本発明の(C)成分であるヒドロシリル化触媒としては、特に限定されず、公知のものがあげられ、たとえば塩化白金酸、白金の単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの;白金−ビニルシロキサン錯体{例えば、PtX(ViMe2SiOSiMe2Vi)y 、Pt〔(MeViSiO)4z};白金−ホスフィン錯体{例えば、Pt(PPh34、Pt(PBu34};白金−ホスファイト錯体{例えば、Pt〔P(OPh)34、Pt〔P(OBu)34(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、x、y、zは整数を表す)、Pt(acac)2(ただし、acacは、アセチルアセトナトを表す)、また、Ashbyらの米国特許第3159601及び3159662号に開示されている白金−炭化水素複合体、並びにLamoreauxらの米国特許第3220972号に開示されている白金アルコラート触媒等も挙げられる。
【0069】
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh33 、RhCl3、Rh/Al23、RuCl3、IrCl3、FeCl3、AlCl3、PdCl2・2H2O、NiCl2、TiCl4等が挙げられる。
【0070】
これらの触媒は単独で使用してもよく、複数を組み合わせて使用してもよい。前記の触媒のなかでも、触媒活性が高いことなどから塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体、Pt(acac)2等が好ましい。
【0071】
触媒(C)の使用量としては、特に制限はないが、本発明の(D)である淡色系導電性金属酸化物がヒドロシリル化反応に対し阻害因子として作用し得ることから、実用的な硬化性を確保する上で、本発明の架橋性コンパウンド中における、(C)成分中の金属原子の濃度は10ppm以上であることが好ましい。一方、1000ppmを越える量を使用した架橋性コンパウンドは、ポットライフの確保が困難となる傾向がある。
【0072】
本発明の(D)成分である淡色系導電性金属酸化物は、本発明の架橋性コンパウンドに導電性を付与するものである。また、該金属酸化物は淡色系であることから、本発明の架橋性コンパウンドへの顔料等の添加により、最終得られる架橋ゴムへの着色を可能とする。このような淡色系導電性金属酸化物の代表的なものとしては、導電性材料で表面処理された金属酸化物が挙げられ、さらに具体的には、アンチモンをドープした酸化スズで表面処理された酸化チタン、アンチモンをドープした酸化スズで表面処理されたチタン酸カリウム、あるいはアルミで表面処理された酸化亜鉛などが挙げられる。
ここで淡色系とは白色、灰色、水色、藤色、桃色、肌色などの淡い色を指す。
【0073】
これら(D)成分は、得られる架橋ゴムの表面抵抗値が109Ω/□以下、あるいは体積固有抵抗値が109Ω・cm以下となるよう使用される。
【0074】
これら(D)成分の使用量としては、本発明の架橋性コンパウンドに占める(D)成分の体積分率が5%以上となるよう使用される。体積分率が5%未満では、本発明の架橋性コンパウンドから得られる架橋ゴムの表面抵抗値、および体積固有抵抗は十分に下がらない。また、体積分率が50%を超えると、本発明の架橋性コンパウンドの粘度が高く作業性が悪くなる。
【0075】
本発明の(E)成分である淡色系フィラーは、本発明の架橋性コンパウンドから得られる架橋ゴムの機械強度を高める、難燃性を付与する、コストを下げるなど、種々の目的で使用する。
【0076】
このような淡色系フィラーとしては、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化マグネシウムなどの無機フィラーが挙げられる。
【0077】
また、本発明の(D)成分である淡色系導電性金属酸化物の粒径は比較的大きいため、補強効果はあまり期待できない。このような場合は、少量に添加による補強効果が期待できる微粉末シリカの使用が好ましい。
このような(E)成分の使用量としては、本発明の(A)成分100重量部に対し、1〜300重量部、好ましくは5〜200重量部である。これら成分の使用量が少な過ぎる場合、(E)成分を付与することによる期待効果が十分に発現しない。一方、これら成分の使用量が多過ぎる場合、得られる架橋性コンパウンドの粘度が高く、取り扱いが難しくなる。
【0078】
また、本発明の(A)〜(D)成分、あるいは(A)〜(E)成分を含む架橋性コンパウンドには、必要に応じて保存安定性改良剤を添加することができる。保存安定性改良剤とは、架橋性コンパウンドの貯蔵中の硬化、劣化等物性の低下を防止する働きを担う。保存安定性改良剤としては、本発明の(B)成分の保存安定剤として知られている公知の安定剤であって所期の目的を達成するものであれば特に限定されず、たとえば、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機硫黄化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等があげられる。具体的には、2−ベンゾチアゾリルサルファイド、ベンゾチアゾール、チアゾール、ジメチルアセチレンダイカルボキシレート、ジエチルアセチレンダイカルボキシレート、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、ビタミンE、2−(4−モルフォジニルジチオ)ベンゾチアゾール、3−メチル−1−ブテン−3−オール、アセチレン性不飽和基含有オルガノシロキサン、アセチレンアルコール、3−メチル−1−ブチル−3−オール、ジアリルフマレート、ジアリルマレエート、ジエチルフマレート、ジエチルマレエート、ジメチルマレエート、2−ペンテンニトリル、2,3−ジクロロプロペン等が挙げられる。
【0079】
また、本発明の(A)〜(D)成分、あるいは(A)〜(E)成分を含む架橋性コンパウンドには、必要に応じて、各種充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、界面活性剤、可塑剤、溶剤、シリコン化合物を適宜添加してもよい。
【0080】
本発明の架橋性コンパウンドを得る方法としては、特に限定されず、たとえば、(A)〜(D)成分、あるいは(A)〜(E)成分、さらに必要に応じて使用する各種添加剤や充填剤をプラネタリーミキサーや2軸ディスパなどの回転式ミキサーや、ニーダー、バンパリーミキサー、ロールなどの装置を使用し、混合する方法が挙げられる。ここで、(A)成分中に(B)成分を均一に分散、安定化させること、及び架橋性コンパウンド中に含まれる水分をなるべく除去することが望ましい。(A)成分中への(B)成分の分散が不均一、不安定であれば、貯蔵中に架橋性コンパウンドの性状が経時で大きく変化する傾向がある。また、架橋性コンパウンド中に水分が多い場合には、硬化反応時に(B)成分と水分が反応することにより発泡し、架橋ゴム中にボイドを生じる傾向がある。
【0081】
また、本発明の架橋性コンパウンドからポリオキシアルキレン系、ポリ(メタ)アクリル系、あるいはポリオキシアルキレン−ポリ(メタ)アクリル系架橋ゴムを得る方法としては、特に限定されず、一般的に使用されている加熱硬化型の液状ゴムと同様の方法をとることができる。塗布や注入、スクリーン印刷などのような接着剤やポッティング剤などと同様の取り扱いや、プレス成形、射出成形、トランスファー成形、押出成形など、ゴム成形体を得る方法を適用できる。
【0082】
また、常温で流動性を有する加熱硬化タイプの架橋性コンパウンドから、生産性高くゴム成形体を得る方法として、液状シリコーンゴムなどで知られている液状射出成形が知られているが、本発明の架橋性コンパウンドはこの液状射出成形にも適用可能である。
【0083】
また、これら各種の取り扱い方法において、本発明の架橋性コンパウンドは、全ての成分を含む1液形態として扱うことも、(B)成分と(C)成分とが混合しないように全成分を2液に配分した2液形態として扱うことも可能である。前者の場合、室温下でも徐々に反応は進行し得るため、低温下での保管が必要となるが、成形に際して2液を混合するなどの手間が省略できる。また、後者の場合には、成形する際に2液を混合し、泡を含まない状態で塗布、充填、射出できるように工夫が必要となるが、架橋性コンパウンドの長期保管には有利である。このような2液形態の液状架橋性コンパウンドの取り扱いには、液状シリコーン向けに開発された液状射出成形システムに使用されている2液混合吐出装置や、2液形態のウレタン樹脂、エポキシ樹脂に使用されている2液混合吐出装置が使用できる。
【0084】
本発明の半導電性架橋性コンパウンドから、このようにして得られる半導電性架橋ゴムは、塵埃の付着や、静電気による放電破壊等のリスクが少なく、各種の電子・電気製品の部品やその製造工程、半導体などの製造工程などに、幅広く使用することができる。
【0085】
より具体的には、振動・衝撃吸収機能、接着や粘着などの固定あるいは仮固定機能、防水、防塵、気密などのシール機能を目的に使用される各種ゴム部品である。
【実施例】
【0086】
次に実施例により本発明の半導電性架橋性コンパウンドを具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0087】
(製造例1)
数平均分子量2,000のポリオキシプロピレンジオールを開始剤として、複合金属シアン化物錯体触媒を用いて、プロピレンオキシドを重合することにより数平均分子量が約10,000(末端の水酸基とアリル基の分析による計算)のポリオキシプロピレンジオールを得た。該ポリオキシプロピレンジオールの水酸基に対して1.2当量のナトリウムメチラートの28%メタノール溶液を加えた後、130℃でメタノールが回収されなくなるまで減圧脱揮を行った。ついで、アリルクロライドを加え反応させた後、未反応のアリルクロライドを減圧脱揮により除去した。その後、ヘキサンと水により精製し、1分子中に概ね2個のアリル末端を有するポリオキシアルキレン系重合体(A−1)を得た。この重合体(A−1)は、粘度が7Pa・sの淡黄色液体であり、ヨウ素価数より求めたアリル含有量は、0.22mmol/gであった。
【0088】
(製造例2)
各原料の使用量を表1に示す。
(1)重合工程
攪拌機付ステンレス製反応容器の内部を脱酸素し、臭化第一銅、全アクリル酸エステルの一部を仕込み、加熱攪拌した。重合反応溶媒としてアセトニトリル(表1では重合用アセトニトリルと記載)、開始剤としてジエチル2,5−ジブロモアジペートを添加、混合し、混合液の温度を約80℃に調節した段階でペンタメチルジエチレントリアミン(以下、トリアミンと略す)を添加し、重合反応を開始した。残りのアクリル酸エステルを逐次添加し、重合反応を進めた。重合途中、適宜トリアミンを追加し、重合速度を調整した。重合時に使用したトリアミンの総量を重合用トリアミンとして表1に示す。重合が進行すると重合熱により内温が上昇するので内温を約80℃〜約90℃に調整した。単量体転化率(重合反応率)が約95%以上の時点で未反応の単量体及び重合用アセトニトリルを減圧脱揮して除去し、重合体濃縮物を得た。
(2)ジエン反応工程
上記濃縮物に1,7−オクタジエン(以下ジエン若しくはオクタジエンと略す)、ジエン反応溶媒としてアセトニトリル(表1ではジエン反応用アセトニトリルと記載)を添加し、トリアミン(表1ではジエン反応用トリアミンと記載)を追加することでジエン反応を開始した。内温を約80℃〜約90℃に調節しながら数時間加熱攪拌させて、重合体末端にオクタジエンを反応させた。反応液は使用した重合触媒により著しく着色していた。
(3)酸素処理工程
ジエン反応が終了した時点で反応容器気相部に酸素‐窒素混合ガスを導入した。内温を約80℃〜約90℃に保ちながらしながら反応液を数時間加熱攪拌して反応液中の重合触媒と酸素を接触させた。アセトニトリル及び未反応のオクタジエンを減圧脱揮して除去し、重合体を含有する濃縮物を得た。濃縮物は著しく着色していた。
(4)第一粗精製工程
酢酸ブチルを重合体の希釈溶媒として使用した。重合体に対して100〜150重量部程度の酢酸ブチルで濃縮物を希釈し、ろ過助剤を添加して攪拌した後、不溶な触媒成分をろ過除去した。ろ液は重合触媒残渣によって着色し、濁っていた。
(5)第二粗精製工程
ろ液を攪拌機付ステンレス製反応容器に仕込み、吸着剤としてアルミニウムシリケート(キョーワード700SEN:協和化学製)、ハイドロタルサイト(キョーワード500SH:協和化学製)を添加した。気相部に酸素−窒素混合ガスを導入して約100℃で1時間加熱攪拌した後、吸着剤等の不溶成分をろ過除去した。着色は有するものの清澄なろ液を得た。ろ液を濃縮し、重合体粗精製物を得た。
(6)脱ハロゲン化工程(高温加熱処理工程)・吸着精製工程
重合体粗精製物、熱安定剤(スミライザーGS:住友化学(株)製)、吸着剤の一部(キョーワード700SEN、キョーワード500SH)を添加し、減圧脱揮、加熱攪拌しながら昇温し、約170℃〜約200℃の高温状態で数時間程度加熱攪拌、減圧脱揮を行ない、重合体中のハロゲン基の脱離、吸着精製を実施した。残りの吸着剤(キョーワード700SEN、キョーワード500SH)を追加し、希釈溶媒として重合体に対して約10重量部の酢酸ブチル(新品:酸価2.3mmolKOH/kg)を添加し、気相部を酸素−窒素混合ガス雰囲気にし、約170℃〜約200℃の高温状態で更に数時間程度加熱攪拌し、吸着精製を継続した。処理液を更に重合体に対して90重量部の酢酸ブチルで希釈し、ろ過して吸着剤を除去した。ろ液を濃縮し、希釈溶媒である酢酸ブチルを回収するとともに、両末端にアルケニル基を有する重合体を得た。
得られた重合体の1分子あたりに導入されたアルケニル基数、数平均分子量、分子量分布を表1に示す。
【0089】
「数平均分子量」および「分子量分布(重量平均分子量と数平均分子量の比)」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出した。ただし、GPCカラムとしてポリスチレン架橋ゲルを充填したもの(shodex GPC K−804、shodex GPC K−802.5;昭和電工(株)製)、GPC溶媒としてクロロホルムを用いた。重合体1分子当たりに導入された官能基は、1H−NMR(400MHz)による官能基濃度分析(溶媒:重クロロホルム、測定温度:23℃)を行い、GPCにより求まる数平均分子量により算出した。
【0090】
【表1】

【0091】
(製造例3)
(−Si−O−)で示される繰り返し単位を平均して7.5個もつメチルハイドロジェンシリコーンに白金触媒存在下全ヒドロシリル基量の0.2当量のα−メチルスチレンを添加し、1分子中に平均6個のヒドロシリル基を有する化合物(B−1)を得た。得られた化合物(B−1)中のSiH基を、アルカリ水溶液で処理することにより発生する水素量から求めたこの化合物のSi−H基含有量は8.1mmol/gであった。
【0092】
(製造例4)
(−Si−O−)で示される繰り返し単位を平均して10個もつメチルハイドロジェンシリコーンに白金触媒存在下全ヒドロシリル基量の0.5当量のα−メチルスチレンを添加し、1分子中に平均5個のヒドロシリル基を有する化合物(B−2)を得た。得られた化合物(B−2)中のSiH基を、アルカリ水溶液で処理することにより発生する水素量から求めたこの化合物のSi−H基含有量は3.8mmol/gであった。
【0093】
(実施例1〜6および比較例1〜3)
表2に示す配合量に従い、製造例1で得たアリル基末端ポリオキシアルキレン系重合体(A−1)、あるいは製造例2で得たアリル基末端ポリアクリル系重合体と、(D)成分としてアンチモンをドープした酸化スズで被覆された酸化チタン(チタン工業社製、EC−210)、アルミをドープした酸化亜鉛(ハクスイテック社製、23−K)、さらにヒンダードフェノール系酸化防止剤(チバ・スペシャルティ・ケミカル社製 イルガノックス245)、実施例によっては(E)成分として微粉末シリカ(嵩比重70g/l)をロールにて混練した。続いて、得られた混合物に(B)成分としてヒドロシリル化合物(B−1、2)、及び白金ビニルシロキサン(3%白金キシレン溶液)、アセチレンアルコール(日信化学工業社製 サーフィノール61)を混合した。尚、比較例1および3では(D)成分を使用しなかった。
【0094】
このようにして得られた組成物を脱泡した後、厚さ2mmのスペーサーと2枚のプレス板を使用し、150℃、3分間の加熱プレス成形することにより2mm厚の硬化物シートを得た。得られたシートをさらに150℃熱風乾燥機にて1時間加熱処理した。
【0095】
得られた硬化物シートを日本ゴム協会標準規格SRIS 2304の方法に従い、体積固有抵抗と表面抵抗値を測定した。これらの結果を表2に示す。
【0096】
また、JIS 2(2/3)号型ダンベル試験片を打ち抜き、JIS K 6251記載の引張試験に基づき、破断強度および破断伸びを測定した。得られた結果を表2に示す。
尚、実施例1〜6により得られた硬化物シートは、いずれも白色、あるいは淡灰色であった。
【0097】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)〜(D)成分を必須成分とし、硬化して得られる架橋ゴムのSRIS 2304の方法により測定した表面抵抗値が109Ω/□以下、あるいは体積固有抵抗値が109Ω・cm以下であることを特徴とする半導電性架橋性コンパウンド。
(A)(a−1)1分子中に平均1個を超えるアルケニル基を有する数平均分子量が3,000〜50,000のポリオキシアルキレン系重合体、(a−2)1分子中に平均1個を超えるアルケニル基を有する、数平均分子量が3,000〜50,000のポリ(メタ)アクリル系重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体
(B)1分子中に少なくとも平均2個のヒドロシリル基を有する化合物
(C)ヒドロシリル化触媒
(D)淡色系導電性金属酸化物
【請求項2】
(D)成分である淡色系導電性金属酸化物が、導電性材料で表面処理された金属酸化物である請求項1に記載の半導電性架橋性コンパウンド。
【請求項3】
(D)成分である淡色系導電性金属酸化物が、アンチモンをドープした酸化スズで表面処理された酸化チタン、アンチモンをドープした酸化スズで表面処理されたチタン酸カリウム、およびアルミで表面処理された酸化亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の半導電性架橋性コンパウンド。
【請求項4】
(A)成分が(a−1)であり、(D)成分である導電性フィラーの、(A)成分〜(D)成分を必須成分とする半導電性架橋性コンパウンドに占める体積分率が5%以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の半導電性架橋性コンパウンド。
【請求項5】
(A)成分が(a−2)であり、(D)成分である導電性フィラーの、(A)成分〜(D)成分を必須成分とする半導電性架橋性コンパウンドに占める体積分率が10%以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の半導電性架橋性コンパウンド。
【請求項6】
(E)成分として、淡色系フィラーを必須成分とすることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の半導電性架橋性コンパウンド。
【請求項7】
(E)成分である淡色系フィラーが微粉末シリカであることを特徴とする請求項6に記載の半導電性架橋性コンパウンド。
【請求項8】
(C)成分であるヒドロシリル化触媒が白金錯体化合物であり、白金濃度が全体の10ppm以上であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の半導電性架橋性コンパウンド。
【請求項9】
(a−2)成分であるポリ(メタ)アクリル系重合体が、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸2−メトキシブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリルからなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体単位を含有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の半導電性架橋性コンパウンド。
【請求項10】
(a−2)成分であるポリ(メタ)アクリル系重合体の主鎖がリビングラジカル重合法により製造されるものである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の半導電性架橋性コンパウンド。
【請求項11】
(B)成分が、1分子中に少なくとも平均2個のヒドロシリル基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の半導電性架橋性コンパウンド。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の半導電性架橋性コンパウンドから得られる半導電性架橋ゴム。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の半導電性架橋性コンパウンドから得られる、振動・衝撃吸収を目的に使用される半導電性架橋ゴム。
【請求項14】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の半導電性架橋性コンパウンドから得られる、固定および/または仮固定を目的に使用される半導電性架橋ゴム。
【請求項15】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の半導電性架橋性コンパウンドから得られる、シールを目的に使用される半導電性架橋ゴム。

【公開番号】特開2011−94067(P2011−94067A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−250980(P2009−250980)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】