卑金属錯体及び二酸化チタンからなる光還元触媒
【課題】化学還元剤を併用しない金属錯体触媒を用いたオレフィンの還元方法の提供、詳細には、光増感作用を示す固体光触媒である酸化チタンと、触媒部位となる卑金属錯体化合物とを組み合わせた、酸化チタン−卑金属錯体光還元触媒を提供する。
【解決手段】光増感作用を示す固体光触媒である酸化チタンと、触媒部位となる卑金属から構成させる錯体化合物とを組み合わせることにより、紫外線照射によってオレフィンが還元される。
【解決手段】光増感作用を示す固体光触媒である酸化チタンと、触媒部位となる卑金属から構成させる錯体化合物とを組み合わせることにより、紫外線照射によってオレフィンが還元される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、卑金属錯体と二酸化チタンとを含みて構成される光還元触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境への負荷の少ないクリーンな反応の開発が積極的に進められている。中でも反応に用いるエネルギー源として、地球上に無尽蔵に存在する太陽光エネルギーを利用することが注目されている。
こうした光反応の例として、酸化チタンとビタミンB12化合物を用いる反応が知られている。例えば、ビタミンB12化合物をシロキサン結合により酸化チタンに固定化した化合物を用いた有機ハロゲン化合物の脱ハロゲン化触媒が提案されている(特許文献1)。
一方、コバルト錯体を用いたオレフィン化合物の還元触媒として、コバルトフタロシアニン錯体(非特許文献1)、シッフ塩基コバルト錯体(非特許文献2)、コバルトポルフィリン錯体(非特許文献3)等が提案されている。
また、触媒としてコバラミン(I)を用いたα,β―不飽和カルボニル誘導体のエナンチオ選択的還元反応も報告されている(非特許文献4)。しかし、このエナンチオ選択的還元反応は亜鉛及び酢酸水溶液の存在下で行われており、この文献では、亜鉛以外の金属及び金属化合物への適用の可能性が何ら示唆されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−222654号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Chem.Commun.,2009,6397−6399
【非特許文献2】Chem.Asian J.2006,1,656−663
【非特許文献3】J.Porphyrins Phthalocyanines,1997,1,251−258
【非特許文献4】Helvetica Chimica Acta,1979,62,2361−2373
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これまで提案されたコバルト錯体を触媒として用いたオレフィンの還元方法の多くは、基質(オレフィン)と当量以上の化学還元剤(金属水素化物、金属亜鉛等)を必要とし、試剤費の上昇や、廃金属量の増大が課題とされている。
本発明は、化学還元剤を使用しないオレフィンの還元方法に用いられる光還元触媒の提供を課題とし、詳細には、光増感作用を示す固体光触媒である酸化チタンと、触媒部位となる卑金属錯体化合物とを組み合わせた、光還元触媒の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、光増感作用を示す固体光触媒である酸化チタンと、触媒部位となる卑金属錯体化合物とを組み合わせることにより、紫外線照射によってオレフィンが還元されることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、第1観点として、卑金属の錯体と二酸化チタンとを含むことを特徴とする光還元触媒に関する。
第2観点として、前記卑金属の錯体が、窒素原子及び/又は酸素原子を配位元素とする
四座配位子を有する錯体である、第1観点に記載の光還元触媒に関する。
第3観点として、前記卑金属の錯体が、コバルト錯体又はニッケル錯体である、第1観点又は第2観点に記載の光還元触媒に関する。
第4観点として、前記コバルト錯体がビタミンB12化合物である、第3観点に記載の光還元触媒に関する。
第5観点として、少なくとも一つのビタミンB12化合物が結合部を介して二酸化チタンに固定化されている、第4観点に記載の光還元触媒に関する。
第6観点として、前記固定化が配位結合又は共有結合である、第5観点に記載の光還元触媒に関する。
第7観点として、前記四座配位子が式[1]で表される配位子である、第2観点又は第3観点に記載の光還元触媒に関する。
【化1】
(式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1乃至4のアルキル基又はフェニル基を表す。)
第8観点として、前記四座配位子が式[2]で表される配位子である、第2観点又は第3観点に記載の光還元触媒に関する。
【化2】
(式中、R5及びR8は、それぞれ独立して、炭素原子数1乃至4のアルキル基を表し、R6及びR7は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1乃至4のアルキル基を表すか、又はR6及びR7が一緒になってカルボキシル基、スルホ基又はホスホン酸基で置換されていても良いベンゼン環を表し、m及びnは0乃至4の整数を表し、m又はnが2以上を表す場合には、同一ベンゼン環内のR5又はR8は各々同一であっても異なっていても良い。)
【発明の効果】
【0008】
本発明の光還元触媒は、化学還元剤を併用しないため、低コストで地球環境負荷の少ないクリーンなオレフィンの還元反応を実現可能にする。
中でも、ビタミンB12化合物は天然物由来の化合物であるため、それより得られる本発明の光還元触媒は、より環境負荷の少ない触媒である。
さらに、本発明の光還元触媒は、酸化チタンとコバルトやニッケルなどの金属錯体とを、常温、空気下で撹拌することで調製できるため、製造が極めて容易であり、また該触媒の取扱いも容易である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1で得られた生成物のGC−MSスペクトルを示す図である。
【図2】実施例2で得られた生成物のGC−MSスペクトルを示す図である。
【図3】実施例3で得られた生成物のGC−MSスペクトルを示す図である。
【図4】実施例4で得られた生成物のGC−MSスペクトルを示す図である。
【図5】実施例5で得られた生成物のGC−MSスペクトルを示す図である。
【図6】実施例6で得られた生成物のGC−MSスペクトルを示す図である。
【図7】実施例7で得られた生成物のGC−MSスペクトルを示す図である。
【図8】実施例8で得られた生成物のGC−MSスペクトルを示す図である。
【図9】実施例9で得られた生成物のGC−MSスペクトルを示す図である。
【図10】実施例10で得られた生成物のGC−MSスペクトルを示す図である。
【図11】実施例11で得られた生成物のGC−MSスペクトルを示す図である。
【図12】実施例12で得られた生成物のGC−MSスペクトルを示す図である。
【図13】実施例13で得られた生成物のGC−MSスペクトルを示す図である。
【図14】実施例14で得られた生成物のGC−MSスペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の光還元触媒は、卑金属の錯体と二酸化チタンとを含みて構成される。
【0011】
[卑金属の錯体]
ここで‘‘卑金属’’とは、貴金属の対義語であり、イオン化傾向が水素より大きい金属を意味する。具体的には、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Ta、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Cd、Al、Sn、Pb等の金属が挙げられる。
これら卑金属の錯体の中でも、鉄錯体、コバルト錯体又はニッケル錯体が好ましく、コバルト錯体又はニッケル錯体がより好ましい。
【0012】
前記卑金属の錯体として好ましいものは、窒素原子及び/又は酸素原子を配位元素とする四座配位子を有する錯体である。
上記四座配位子を有する好ましい錯体としては、ビタミンB12化合物、イミン/オキシム型錯体、シッフ塩基型錯体が挙げられる。
なお、これらの錯体は、単座配位子や二座配位子といった他の配位子がさらに配位していても良い。
【0013】
(1)ビタミンB12化合物
‘‘ビタミンB12化合物’’とは、ビタミンB12骨格を有する化合物であり、例えばアルコキシシリル基を有するビタミンB12(シアノコバラミン)が挙げられる。
【0014】
具体的には、ビタミンB12化合物は下記式[3]で表される構造を有するものが挙げられる。
【化3】
{式中、R9、R10、R11、R12、R13、R14及びR15は、それぞれ独立して、水素原子
、炭素原子数1乃至20のアルコキシ基又は−NR16−(CH2)n−Si(OR17)3(
式中、nは1乃至20の整数を表し、R16は水素原子又は炭素原子数1乃至10のアルキル基を表し、R17は同一又は異なって、炭素原子数1乃至10のアルキル基を表す。)を表し、Xはシアノ基、ヒドロキシ基又はメチル基を表し、YはCo原子に配位している水分子を表す。}
【0015】
前記R9乃至R15におけるアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プ
ロポキシ基、ブトキシ基などの炭素原子数1乃至20のアルコキシ基が挙げられ、好ましくはメトキシ基である。
前記R16は、水素原子又は炭素原子数1乃至10のアルキル基を表し、炭素原子数1乃至10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、好ましいR16は水素原子である。
また前記R17の炭素原子数1乃至10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、好ましくはメチル基である。
【0016】
(2)イミン/オキシム型錯体
イミン/オキシム型錯体としては、下記式[1]で表される配位子を有する錯体が挙げられる。
【化4】
(式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1乃至4のアルキル基又はフェニル基を表す。)
【0017】
前記R1乃至R4におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基等が挙げられ、好ましくはメチル基である。
【0018】
上記イミン/オキシム型錯体の具体例としては、下記式[1−1]及び[1−2]に示すコバルト錯体及びニッケル錯体を挙げることができる。
これら錯体は、例えばR. G. Finke, B. L. Smith, W. A. Mckenna, P. A. Christian, Inorg. Chem., 1981, 20, 687-693.、或いは、P.-A. Jacques, V. Artero, J. Pecaut, M. Fontecave, Proc. Nat. Acad. Sci., 2009, 106, 20627-20632.に記載の方法により製
造することができる。
【化5】
【0019】
(3)シッフ塩基型錯体
シッフ塩基型錯体としては、下記式[2]で表される配位子を有する錯体が挙げられる。
【化6】
(式中、R5及びR8は、それぞれ独立して、炭素原子数1乃至4のアルキル基を表し、R6及びR7は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1乃至4のアルキル基を表すか、又はR6及びR7が一緒になってカルボキシル基、スルホ基又はホスホン酸基で置換されていても良いベンゼン環を表し、m及びnは0乃至4の整数を表し、m又はnが2以上を表す場合には、同一ベンゼン環内のR5又はR8は各々同一であっても異なっていても良い。)
【0020】
前記R5乃びR8におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基等が挙げられ、好ましくはtert−ブチル基である。
また、前記R6乃びR7におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基等が挙げられ、好ましくはR6及びR7が一緒になってベンゼン環を表す。
【0021】
上記シッフ塩基型錯体の具体例としては、下記式[2−1]及び[2−2]に示すコバルト錯体及びニッケル錯体を挙げることができる。
これら錯体は、例えばH. Shimakoshi, S. Hirose, M. Ohba, T. Shiga, H. Okawa, Y. Hisaeda, Bull. Chem. Soc. Jpn., 2005, 78, 1040-1046.、或いは、O. Rotthaus, O. Jarjayes, F. Thomas, C. Philouze, C. P. D. Valle, E. S.aint, J.-L. Pierre, Chem. Eur. J., 2006, 12, 2293-2302.に記載の方法により製造することができる。
【化7】
【0022】
[二酸化チタン]
二酸化チタンとしては、結晶系の異なる、アナターゼ型、ルチル型、アナターゼ・ルチル混合型、ブルッカイト型の酸化チタンなどが用いられるが、これらの中でも還元力の強いアナターゼ型を含むものが望ましい。
このような二酸化チタンとして市販品の粉末状酸化チタンを用いることができ、例えば、「P25」(日本アエロジル(株)製)、「ST−01」(石原産業(株)製)、「ST−21」(石原産業(株)製)、「TKP−101」(テイカ(株)製)、「AMT−600」(テイカ(株)製)、「MT−150A」(テイカ(株)製)、「TP−S201」(住友化学(株)製)などが挙げられるが、これら市販品に限らず通常の酸化チタンのほとんどを使用可能である。
【0023】
[光還元触媒]
本発明の光還元触媒は、上述の卑金属の錯体と二酸化チタンとを含みて構成され、単に混合することによって得られる。
また、卑金属の錯体がビタミンB12化合物の場合、単に混合して用いる形態よりも、二酸化チタンを配位結合させた配位結合型ビタミンB12−チタニアハイブリッド化合物の形態、或いは、二酸化チタンをシロキサン結合を介してビタミンB12化合物に固定化した共有結合型ビタミンB12−チタニアハイブリッド化合物の形態として用いることが好ましい。これらビタミンB12−チタニアハイブリッド化合物は、安定性が高く、高い触媒回転数を示すことができる。
【0024】
上記配位結合型ビタミンB12−チタニアハイブリッド化合物は、下記2文献:H. Shima
koshi, E. Sakumori, K. Kaneko, Y. Hisaeda, Chem. Lett., 2009, 38, 468-469.、或いは、S. Izumi, H. Shimakoshi, M. Abe, Y. Hisaeda, Dalton Trans., 2010, 39, 3302-3307.に記載の方法にて合成可能である。
また、上記共有結合型ビタミンB12−チタニアハイブリッド化合物は、特開2008−222654号公報に記載の方法により合成可能である。
【0025】
本発明の光還元触媒の使用方法は以下の通りである。例えば、本発明の光還元触媒、すなわち、卑金属錯体と酸化チタンと、犠牲還元剤(電子供与体:メタノールなどのアルコール、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)、硫化物イオンなど)と、オレフィンとを水性溶液に溶解或いは分散させ、紫外線等の光照射をすることにより、オレフィンの還元反応が進行する。
上記光還元触媒が前述の配位結合型ビタミンB12−チタニアハイブリッド化合物或いは共有結合型ビタミンB12−チタニアハイブリッド化合物の場合には、そのまま犠牲還元剤と共に水性溶液に溶解或いは分散させる。
また、本発明の光還元触媒をガラス基板又はガラスビーズ等の担体に固定化することで、より取扱いが容易となる。固定化の方法としては、例えば、H. Shimakoshi, M. Abiru,K. Kuroiwa, N. Kimizuka, M. Watanabe, Y. Hisaeda., Bull. Chem. Soc. Jpn., 2010,
83, 170-172.に記載の方法等が挙げられる。
なお、本発明の光還元触媒のメカニズムは、触媒中の酸化チタンが紫外線等の光照射により励起され、励起された電子が卑金属錯体に移動し、低原子価の卑金属錯体がプロトンと反応する。そして、卑金属−ヒドリド錯体が形成され、この卑金属−ヒドリド錯体が基質となるオレフィンに求核攻撃することでオレフィンの還元反応が進行するものと推測される。
【実施例】
【0026】
以下、本発明について実施例を挙げて詳述するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、各装置等はそれぞれ以下の機器を使用した。
【0027】
[1]ブラックライト
UV Bench Lamp XX−15BLB[UVP社製]
[2]質量スペクトル(GC−MS)
GCMS−QP5050AH[(株)島津製作所製]
Agilent J&W GCカラム DB−1[アジレント・テクノロジー(株)製、内径:0.25mm、長さ:25m、膜厚:0.25μm]
[3]質量スペクトル(MALDI−TOF−MS)
autoflex[ブルカー・ダルトニクス(株)製]
[4]電子スペクトル(UV−Vis)
日立分光光度計U−3000[(株)日立ハイテクノロジーズ製]
【0028】
[合成例1]配位結合型ビタミンB12−アナターゼ型チタニアハイブリッド化合物の合成
式[A]で表される配位結合型ビタミンB12−アナターゼ型チタニアハイブリッド化合物を、アナターゼ型酸化チタン[テイカ(株)製、AMT−600]を使用して、文献(S. Izumi, H. Shimakoshi, M. Abe, Y. Hisaeda, Dalton Trans., 2010, 39, 3302-3307.)に記載の方法で合成した。得られた化合物のMALDI−TOF−MSスペクトル及びUV−Visスペクトルより、目的化合物であることを確認した。
【化8】
【0029】
[実施例1]EDTAを犠牲還元剤とする配位結合型ビタミンB12−アナターゼ型チタニアハイブリッド化合物による2−フェニルプロペン酸の光還元反応
【化9】
合成例1で得られた配位結合型ビタミンB12−アナターゼ型チタニアハイブリッド化合物の粉末10mgを水6mLに懸濁させたところへ、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)223mg(0.60mmol)、及び2−フェニルプロペン酸5.2mg(0.036mmol)を加えた。この混合物へ窒素ガスを10分間吹き込み、溶存酸素を除いた。次に、この混合物を撹拌しながら、ブラックライトを用い反応セル外表面における紫外光強度1.76mW/cm2で紫外光を1.5時間照射した。照射後、反応混
合物をディスクフィルター[関東化学(株)製、HLS−DISK 13、孔径0.45μm]でろ過し、触媒を除去した。得られた溶液をクロロホルム10mLで3回抽出し、クロロホルム層を併せて無水硫酸ナトリウムで乾燥した。抽出液をGC−MSにより解析したところ、2−フェニルプロピオン酸の生成を確認した(収率99%)。GC−MSスペクトルを図1に示す。
【0030】
[比較例1]EDTAを犠牲還元剤とする配位結合型ビタミンB12−アナターゼ型チタニアハイブリッド化合物による遮光下での2−フェニルプロペン酸の還元反応
ブラックライトによる紫外光照射を行わなかった以外は実施例1と同様に操作したところ、2−フェニルプロピオン酸は全く生成しなかった。
【0031】
[比較例2]EDTAを犠牲還元剤とするアナターゼ型酸化チタンによる2−フェニルプロペン酸の光還元反応
配位結合型ビタミンB12−アナターゼ型チタニアハイブリッド化合物に替えて、アナターゼ型酸化チタン[テイカ(株)製、AMT−600]を使用した以外は、実施例1と同様に操作したところ、2−フェニルプロピオン酸はほとんど生成しなかった(収率1%)。
【0032】
[実施例2]メタノールを犠牲還元剤とする配位結合型ビタミンB12−アナターゼ型チタニアハイブリッド化合物によるスチレンの光還元反応
合成例1で得られた配位結合型ビタミンB12−アナターゼ型チタニアハイブリッド化合物の粉末10mgをメタノール6mLに懸濁させたところへ、スチレン5.1mg(0.049mmol)を加えた。この混合物へ窒素ガスを10分間吹き込み、溶存酸素を除いた。次に、この混合物を撹拌しながら、ブラックライトを用い反応セル外表面における紫外光強度1.76mW/cm2で紫外光を5時間照射した。照射後、反応混合物をディス
クフィルター[関東化学(株)製、HLS−DISK 13、孔径0.45μm]でろ過し、触媒を除去した。得られた溶液をGC−MSにより解析し、生成物を確認した。結果を表1に示す。GC−MSスペクトルを図2に示す。
【0033】
[実施例3]メタノールを犠牲還元剤とする配位結合型ビタミンB12−アナターゼ型チタニアハイブリッド化合物によるα−メチルスチレンの光還元反応
スチレンに替えてα−メチルスチレン6.0mg(0.051mmol)を使用した以外は実施例2と同様に操作した。結果を表1に併せて示す。反応液のGC−MSスペクトルを図3に示す。
【0034】
[実施例4]メタノールを犠牲還元剤とする配位結合型ビタミンB12−アナターゼ型チタニアハイブリッド化合物による1,1−ジフェニルエチレンの光還元反応
スチレンに替えて1,1−ジフェニルエチレン6.5mg(0.036mmol)を使用した以外は実施例2と同様に操作した。得られた溶液をGC−MS及びMALDI−TOF−MSにより解析し、生成物を確認した。結果を表1に併せて示す。反応液のGC−MSスペクトルを図4に示す。
【0035】
[実施例5]メタノールを犠牲還元剤とする配位結合型ビタミンB12−アナターゼ型チタニアハイブリッド化合物による2−フェニルプロペン酸の光還元反応
スチレンに替えて2−フェニルプロペン酸5.2mg(0.036mmol)を使用した以外は実施例2と同様に操作した。結果を表1に併せて示す。反応液のGC−MSスペクトルを図5に示す。
【0036】
[実施例6]メタノールを犠牲還元剤とする配位結合型ビタミンB12−アナターゼ型チタニアハイブリッド化合物によるp−アミノスチレンの光還元反応
スチレンに替えてp−アミノスチレン4.1mg(0.034mmol)を使用した以外は実施例2と同様に操作した。結果を表1に併せて示す。反応液のGC−MSスペクトルを図6に示す。
【0037】
[実施例7]メタノールを犠牲還元剤とする配位結合型ビタミンB12−アナターゼ型チタニアハイブリッド化合物によるp−トリフルオロメチルスチレンの光還元反応
スチレンに替えてp−トリフルオロメチルスチレン6.3mg(0.037mmol)を使用した以外は実施例2と同様に操作した。結果を表1に併せて示す。反応液のGC−MSスペクトルを図7に示す。
【0038】
[比較例3]メタノールを犠牲還元剤とする配位結合型ビタミンB12−アナターゼ型チタニアハイブリッド化合物による遮光下でのスチレンの還元反応
ブラックライトによる紫外光照射を行わなかった以外は実施例2と同様に操作したところ、スチレンは全く反応しなかった。
【0039】
[比較例4]メタノールを犠牲還元剤とするアナターゼ型酸化チタンによるスチレンの光還元反応
配位結合型ビタミンB12−アナターゼ型チタニアハイブリッド化合物に替えて、アナターゼ型酸化チタン[テイカ(株)製、AMT−600]を使用した以外は、実施例2と同様に操作したところ、スチレンは全く反応しなかった。
【0040】
[比較例5]メタノールを犠牲還元剤とする白金−ルチル型チタニアハイブリッド化合物によるスチレンの光還元反応
配位結合型ビタミンB12−アナターゼ型チタニアハイブリッド化合物に替えて、白金−ルチル型チタニアハイブリッド化合物[テイカ(株)製、TK−750]を使用した以外は、実施例2と同様に操作したところ、スチレンは全く反応しなかった。
【0041】
【化10】
【0042】
【表1】
【0043】
[実施例8]メタノールを犠牲還元剤とする配位結合型ビタミンB12−アナターゼ型チタニアハイブリッド化合物によるα−ブロモスチレンの光還元反応
スチレンに替えてα−ブロモスチレン12.2mg(0.067mmol)を使用した以外は実施例2と同様に操作した。GC−MSによる解析の結果、基質の転換率は99%であった。還元生成物とその収率を以下に、反応液のGC−MSスペクトルを図8にそれぞれ示す。
【化11】
【0044】
[実施例9]メタノールを犠牲還元剤とする配位結合型ビタミンB12−アナターゼ型チタニアハイブリッド化合物によるα−トリフルオロメチルスチレンの光還元反応
スチレンに替えてα−トリフルオロメチルスチレン4.8mg(0.028mmol)を使用した以外は実施例2と同様に操作した。GC−MSによる解析の結果、基質の転換率は80%であった。還元生成物とその収率を以下に、反応液のGC−MSスペクトルを図9にそれぞれ示す。
【化12】
【0045】
[実施例10]メタノールを犠牲還元剤とする配位結合型ビタミンB12−アナターゼ型チタニアハイブリッド化合物によるβ−ブロモスチレンの光還元反応
スチレンに替えてβ−ブロモスチレン8.0mg(0.044mmol)を使用し、紫外光を24時間照射した以外は実施例2と同様に操作した。GC−MSによる解析の結果、基質の転換率は40%であった。還元生成物とその収率を以下に、反応液のGC−MSスペクトルを図10にそれぞれ示す。
【化13】
【0046】
[実施例11]メタノールを犠牲還元剤とする配位結合型ビタミンB12−アナターゼ型チタニアハイブリッド化合物によるtrans−β−メチルスチレンの光還元反応
スチレンに替えてtrans−β−メチルスチレン4.0mg(0.034mmol)を使用した以外は実施例2と同様に操作した。GC−MSによる解析の結果、基質の転換率は33%であった。還元生成物とその収率を以下に、反応液のGC−MSスペクトルを図11にそれぞれ示す。
【化14】
【0047】
[実施例12]メタノールを犠牲還元剤とする配位結合型ビタミンB12−アナターゼ型チタニアハイブリッド化合物によるcis−β−メチルスチレンの光還元反応
スチレンに替えてcis−β−メチルスチレン4.0mg(0.034mmol)を使用し、紫外光を24時間照射した以外は実施例2と同様に操作した。GC−MSによる解析の結果、基質の転換率は38%であった。還元生成物とその収率を以下に、反応液のGC−MSスペクトルを図12にそれぞれ示す。
【化15】
【0048】
[実施例13]メタノールを犠牲還元剤とする配位結合型ビタミンB12−アナターゼ型チタニアハイブリッド化合物によるフェニルアセチレンの光還元反応
スチレンに替えてフェニルアセチレン4.3mg(0.042mmol)を使用した以外は実施例2と同様に操作した。GC−MSによる解析の結果、基質の転換率は47%であった。還元生成物とその収率を以下に、反応液のGC−MSスペクトルを図13にそれぞれ示す。
【化16】
【0049】
[実施例14]メタノールを犠牲還元剤とする配位結合型ビタミンB12−アナターゼ型チタニアハイブリッド化合物によるアクリル酸ヘキシルの光還元反応
スチレンに替えてアクリル酸ヘキシル6.7mg(0.043mmol)を使用し、紫外光を24時間照射した以外は実施例2と同様に操作した。GC−MSによる解析の結果、基質の転換率は69%であった。還元生成物とその収率を以下に、反応液のGC−MSスペクトルを図14にそれぞれ示す。
【化17】
【技術分野】
【0001】
本発明は、卑金属錯体と二酸化チタンとを含みて構成される光還元触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境への負荷の少ないクリーンな反応の開発が積極的に進められている。中でも反応に用いるエネルギー源として、地球上に無尽蔵に存在する太陽光エネルギーを利用することが注目されている。
こうした光反応の例として、酸化チタンとビタミンB12化合物を用いる反応が知られている。例えば、ビタミンB12化合物をシロキサン結合により酸化チタンに固定化した化合物を用いた有機ハロゲン化合物の脱ハロゲン化触媒が提案されている(特許文献1)。
一方、コバルト錯体を用いたオレフィン化合物の還元触媒として、コバルトフタロシアニン錯体(非特許文献1)、シッフ塩基コバルト錯体(非特許文献2)、コバルトポルフィリン錯体(非特許文献3)等が提案されている。
また、触媒としてコバラミン(I)を用いたα,β―不飽和カルボニル誘導体のエナンチオ選択的還元反応も報告されている(非特許文献4)。しかし、このエナンチオ選択的還元反応は亜鉛及び酢酸水溶液の存在下で行われており、この文献では、亜鉛以外の金属及び金属化合物への適用の可能性が何ら示唆されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−222654号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Chem.Commun.,2009,6397−6399
【非特許文献2】Chem.Asian J.2006,1,656−663
【非特許文献3】J.Porphyrins Phthalocyanines,1997,1,251−258
【非特許文献4】Helvetica Chimica Acta,1979,62,2361−2373
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これまで提案されたコバルト錯体を触媒として用いたオレフィンの還元方法の多くは、基質(オレフィン)と当量以上の化学還元剤(金属水素化物、金属亜鉛等)を必要とし、試剤費の上昇や、廃金属量の増大が課題とされている。
本発明は、化学還元剤を使用しないオレフィンの還元方法に用いられる光還元触媒の提供を課題とし、詳細には、光増感作用を示す固体光触媒である酸化チタンと、触媒部位となる卑金属錯体化合物とを組み合わせた、光還元触媒の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、光増感作用を示す固体光触媒である酸化チタンと、触媒部位となる卑金属錯体化合物とを組み合わせることにより、紫外線照射によってオレフィンが還元されることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、第1観点として、卑金属の錯体と二酸化チタンとを含むことを特徴とする光還元触媒に関する。
第2観点として、前記卑金属の錯体が、窒素原子及び/又は酸素原子を配位元素とする
四座配位子を有する錯体である、第1観点に記載の光還元触媒に関する。
第3観点として、前記卑金属の錯体が、コバルト錯体又はニッケル錯体である、第1観点又は第2観点に記載の光還元触媒に関する。
第4観点として、前記コバルト錯体がビタミンB12化合物である、第3観点に記載の光還元触媒に関する。
第5観点として、少なくとも一つのビタミンB12化合物が結合部を介して二酸化チタンに固定化されている、第4観点に記載の光還元触媒に関する。
第6観点として、前記固定化が配位結合又は共有結合である、第5観点に記載の光還元触媒に関する。
第7観点として、前記四座配位子が式[1]で表される配位子である、第2観点又は第3観点に記載の光還元触媒に関する。
【化1】
(式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1乃至4のアルキル基又はフェニル基を表す。)
第8観点として、前記四座配位子が式[2]で表される配位子である、第2観点又は第3観点に記載の光還元触媒に関する。
【化2】
(式中、R5及びR8は、それぞれ独立して、炭素原子数1乃至4のアルキル基を表し、R6及びR7は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1乃至4のアルキル基を表すか、又はR6及びR7が一緒になってカルボキシル基、スルホ基又はホスホン酸基で置換されていても良いベンゼン環を表し、m及びnは0乃至4の整数を表し、m又はnが2以上を表す場合には、同一ベンゼン環内のR5又はR8は各々同一であっても異なっていても良い。)
【発明の効果】
【0008】
本発明の光還元触媒は、化学還元剤を併用しないため、低コストで地球環境負荷の少ないクリーンなオレフィンの還元反応を実現可能にする。
中でも、ビタミンB12化合物は天然物由来の化合物であるため、それより得られる本発明の光還元触媒は、より環境負荷の少ない触媒である。
さらに、本発明の光還元触媒は、酸化チタンとコバルトやニッケルなどの金属錯体とを、常温、空気下で撹拌することで調製できるため、製造が極めて容易であり、また該触媒の取扱いも容易である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1で得られた生成物のGC−MSスペクトルを示す図である。
【図2】実施例2で得られた生成物のGC−MSスペクトルを示す図である。
【図3】実施例3で得られた生成物のGC−MSスペクトルを示す図である。
【図4】実施例4で得られた生成物のGC−MSスペクトルを示す図である。
【図5】実施例5で得られた生成物のGC−MSスペクトルを示す図である。
【図6】実施例6で得られた生成物のGC−MSスペクトルを示す図である。
【図7】実施例7で得られた生成物のGC−MSスペクトルを示す図である。
【図8】実施例8で得られた生成物のGC−MSスペクトルを示す図である。
【図9】実施例9で得られた生成物のGC−MSスペクトルを示す図である。
【図10】実施例10で得られた生成物のGC−MSスペクトルを示す図である。
【図11】実施例11で得られた生成物のGC−MSスペクトルを示す図である。
【図12】実施例12で得られた生成物のGC−MSスペクトルを示す図である。
【図13】実施例13で得られた生成物のGC−MSスペクトルを示す図である。
【図14】実施例14で得られた生成物のGC−MSスペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の光還元触媒は、卑金属の錯体と二酸化チタンとを含みて構成される。
【0011】
[卑金属の錯体]
ここで‘‘卑金属’’とは、貴金属の対義語であり、イオン化傾向が水素より大きい金属を意味する。具体的には、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Ta、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Cd、Al、Sn、Pb等の金属が挙げられる。
これら卑金属の錯体の中でも、鉄錯体、コバルト錯体又はニッケル錯体が好ましく、コバルト錯体又はニッケル錯体がより好ましい。
【0012】
前記卑金属の錯体として好ましいものは、窒素原子及び/又は酸素原子を配位元素とする四座配位子を有する錯体である。
上記四座配位子を有する好ましい錯体としては、ビタミンB12化合物、イミン/オキシム型錯体、シッフ塩基型錯体が挙げられる。
なお、これらの錯体は、単座配位子や二座配位子といった他の配位子がさらに配位していても良い。
【0013】
(1)ビタミンB12化合物
‘‘ビタミンB12化合物’’とは、ビタミンB12骨格を有する化合物であり、例えばアルコキシシリル基を有するビタミンB12(シアノコバラミン)が挙げられる。
【0014】
具体的には、ビタミンB12化合物は下記式[3]で表される構造を有するものが挙げられる。
【化3】
{式中、R9、R10、R11、R12、R13、R14及びR15は、それぞれ独立して、水素原子
、炭素原子数1乃至20のアルコキシ基又は−NR16−(CH2)n−Si(OR17)3(
式中、nは1乃至20の整数を表し、R16は水素原子又は炭素原子数1乃至10のアルキル基を表し、R17は同一又は異なって、炭素原子数1乃至10のアルキル基を表す。)を表し、Xはシアノ基、ヒドロキシ基又はメチル基を表し、YはCo原子に配位している水分子を表す。}
【0015】
前記R9乃至R15におけるアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プ
ロポキシ基、ブトキシ基などの炭素原子数1乃至20のアルコキシ基が挙げられ、好ましくはメトキシ基である。
前記R16は、水素原子又は炭素原子数1乃至10のアルキル基を表し、炭素原子数1乃至10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、好ましいR16は水素原子である。
また前記R17の炭素原子数1乃至10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、好ましくはメチル基である。
【0016】
(2)イミン/オキシム型錯体
イミン/オキシム型錯体としては、下記式[1]で表される配位子を有する錯体が挙げられる。
【化4】
(式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1乃至4のアルキル基又はフェニル基を表す。)
【0017】
前記R1乃至R4におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基等が挙げられ、好ましくはメチル基である。
【0018】
上記イミン/オキシム型錯体の具体例としては、下記式[1−1]及び[1−2]に示すコバルト錯体及びニッケル錯体を挙げることができる。
これら錯体は、例えばR. G. Finke, B. L. Smith, W. A. Mckenna, P. A. Christian, Inorg. Chem., 1981, 20, 687-693.、或いは、P.-A. Jacques, V. Artero, J. Pecaut, M. Fontecave, Proc. Nat. Acad. Sci., 2009, 106, 20627-20632.に記載の方法により製
造することができる。
【化5】
【0019】
(3)シッフ塩基型錯体
シッフ塩基型錯体としては、下記式[2]で表される配位子を有する錯体が挙げられる。
【化6】
(式中、R5及びR8は、それぞれ独立して、炭素原子数1乃至4のアルキル基を表し、R6及びR7は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1乃至4のアルキル基を表すか、又はR6及びR7が一緒になってカルボキシル基、スルホ基又はホスホン酸基で置換されていても良いベンゼン環を表し、m及びnは0乃至4の整数を表し、m又はnが2以上を表す場合には、同一ベンゼン環内のR5又はR8は各々同一であっても異なっていても良い。)
【0020】
前記R5乃びR8におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基等が挙げられ、好ましくはtert−ブチル基である。
また、前記R6乃びR7におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基等が挙げられ、好ましくはR6及びR7が一緒になってベンゼン環を表す。
【0021】
上記シッフ塩基型錯体の具体例としては、下記式[2−1]及び[2−2]に示すコバルト錯体及びニッケル錯体を挙げることができる。
これら錯体は、例えばH. Shimakoshi, S. Hirose, M. Ohba, T. Shiga, H. Okawa, Y. Hisaeda, Bull. Chem. Soc. Jpn., 2005, 78, 1040-1046.、或いは、O. Rotthaus, O. Jarjayes, F. Thomas, C. Philouze, C. P. D. Valle, E. S.aint, J.-L. Pierre, Chem. Eur. J., 2006, 12, 2293-2302.に記載の方法により製造することができる。
【化7】
【0022】
[二酸化チタン]
二酸化チタンとしては、結晶系の異なる、アナターゼ型、ルチル型、アナターゼ・ルチル混合型、ブルッカイト型の酸化チタンなどが用いられるが、これらの中でも還元力の強いアナターゼ型を含むものが望ましい。
このような二酸化チタンとして市販品の粉末状酸化チタンを用いることができ、例えば、「P25」(日本アエロジル(株)製)、「ST−01」(石原産業(株)製)、「ST−21」(石原産業(株)製)、「TKP−101」(テイカ(株)製)、「AMT−600」(テイカ(株)製)、「MT−150A」(テイカ(株)製)、「TP−S201」(住友化学(株)製)などが挙げられるが、これら市販品に限らず通常の酸化チタンのほとんどを使用可能である。
【0023】
[光還元触媒]
本発明の光還元触媒は、上述の卑金属の錯体と二酸化チタンとを含みて構成され、単に混合することによって得られる。
また、卑金属の錯体がビタミンB12化合物の場合、単に混合して用いる形態よりも、二酸化チタンを配位結合させた配位結合型ビタミンB12−チタニアハイブリッド化合物の形態、或いは、二酸化チタンをシロキサン結合を介してビタミンB12化合物に固定化した共有結合型ビタミンB12−チタニアハイブリッド化合物の形態として用いることが好ましい。これらビタミンB12−チタニアハイブリッド化合物は、安定性が高く、高い触媒回転数を示すことができる。
【0024】
上記配位結合型ビタミンB12−チタニアハイブリッド化合物は、下記2文献:H. Shima
koshi, E. Sakumori, K. Kaneko, Y. Hisaeda, Chem. Lett., 2009, 38, 468-469.、或いは、S. Izumi, H. Shimakoshi, M. Abe, Y. Hisaeda, Dalton Trans., 2010, 39, 3302-3307.に記載の方法にて合成可能である。
また、上記共有結合型ビタミンB12−チタニアハイブリッド化合物は、特開2008−222654号公報に記載の方法により合成可能である。
【0025】
本発明の光還元触媒の使用方法は以下の通りである。例えば、本発明の光還元触媒、すなわち、卑金属錯体と酸化チタンと、犠牲還元剤(電子供与体:メタノールなどのアルコール、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)、硫化物イオンなど)と、オレフィンとを水性溶液に溶解或いは分散させ、紫外線等の光照射をすることにより、オレフィンの還元反応が進行する。
上記光還元触媒が前述の配位結合型ビタミンB12−チタニアハイブリッド化合物或いは共有結合型ビタミンB12−チタニアハイブリッド化合物の場合には、そのまま犠牲還元剤と共に水性溶液に溶解或いは分散させる。
また、本発明の光還元触媒をガラス基板又はガラスビーズ等の担体に固定化することで、より取扱いが容易となる。固定化の方法としては、例えば、H. Shimakoshi, M. Abiru,K. Kuroiwa, N. Kimizuka, M. Watanabe, Y. Hisaeda., Bull. Chem. Soc. Jpn., 2010,
83, 170-172.に記載の方法等が挙げられる。
なお、本発明の光還元触媒のメカニズムは、触媒中の酸化チタンが紫外線等の光照射により励起され、励起された電子が卑金属錯体に移動し、低原子価の卑金属錯体がプロトンと反応する。そして、卑金属−ヒドリド錯体が形成され、この卑金属−ヒドリド錯体が基質となるオレフィンに求核攻撃することでオレフィンの還元反応が進行するものと推測される。
【実施例】
【0026】
以下、本発明について実施例を挙げて詳述するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、各装置等はそれぞれ以下の機器を使用した。
【0027】
[1]ブラックライト
UV Bench Lamp XX−15BLB[UVP社製]
[2]質量スペクトル(GC−MS)
GCMS−QP5050AH[(株)島津製作所製]
Agilent J&W GCカラム DB−1[アジレント・テクノロジー(株)製、内径:0.25mm、長さ:25m、膜厚:0.25μm]
[3]質量スペクトル(MALDI−TOF−MS)
autoflex[ブルカー・ダルトニクス(株)製]
[4]電子スペクトル(UV−Vis)
日立分光光度計U−3000[(株)日立ハイテクノロジーズ製]
【0028】
[合成例1]配位結合型ビタミンB12−アナターゼ型チタニアハイブリッド化合物の合成
式[A]で表される配位結合型ビタミンB12−アナターゼ型チタニアハイブリッド化合物を、アナターゼ型酸化チタン[テイカ(株)製、AMT−600]を使用して、文献(S. Izumi, H. Shimakoshi, M. Abe, Y. Hisaeda, Dalton Trans., 2010, 39, 3302-3307.)に記載の方法で合成した。得られた化合物のMALDI−TOF−MSスペクトル及びUV−Visスペクトルより、目的化合物であることを確認した。
【化8】
【0029】
[実施例1]EDTAを犠牲還元剤とする配位結合型ビタミンB12−アナターゼ型チタニアハイブリッド化合物による2−フェニルプロペン酸の光還元反応
【化9】
合成例1で得られた配位結合型ビタミンB12−アナターゼ型チタニアハイブリッド化合物の粉末10mgを水6mLに懸濁させたところへ、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)223mg(0.60mmol)、及び2−フェニルプロペン酸5.2mg(0.036mmol)を加えた。この混合物へ窒素ガスを10分間吹き込み、溶存酸素を除いた。次に、この混合物を撹拌しながら、ブラックライトを用い反応セル外表面における紫外光強度1.76mW/cm2で紫外光を1.5時間照射した。照射後、反応混
合物をディスクフィルター[関東化学(株)製、HLS−DISK 13、孔径0.45μm]でろ過し、触媒を除去した。得られた溶液をクロロホルム10mLで3回抽出し、クロロホルム層を併せて無水硫酸ナトリウムで乾燥した。抽出液をGC−MSにより解析したところ、2−フェニルプロピオン酸の生成を確認した(収率99%)。GC−MSスペクトルを図1に示す。
【0030】
[比較例1]EDTAを犠牲還元剤とする配位結合型ビタミンB12−アナターゼ型チタニアハイブリッド化合物による遮光下での2−フェニルプロペン酸の還元反応
ブラックライトによる紫外光照射を行わなかった以外は実施例1と同様に操作したところ、2−フェニルプロピオン酸は全く生成しなかった。
【0031】
[比較例2]EDTAを犠牲還元剤とするアナターゼ型酸化チタンによる2−フェニルプロペン酸の光還元反応
配位結合型ビタミンB12−アナターゼ型チタニアハイブリッド化合物に替えて、アナターゼ型酸化チタン[テイカ(株)製、AMT−600]を使用した以外は、実施例1と同様に操作したところ、2−フェニルプロピオン酸はほとんど生成しなかった(収率1%)。
【0032】
[実施例2]メタノールを犠牲還元剤とする配位結合型ビタミンB12−アナターゼ型チタニアハイブリッド化合物によるスチレンの光還元反応
合成例1で得られた配位結合型ビタミンB12−アナターゼ型チタニアハイブリッド化合物の粉末10mgをメタノール6mLに懸濁させたところへ、スチレン5.1mg(0.049mmol)を加えた。この混合物へ窒素ガスを10分間吹き込み、溶存酸素を除いた。次に、この混合物を撹拌しながら、ブラックライトを用い反応セル外表面における紫外光強度1.76mW/cm2で紫外光を5時間照射した。照射後、反応混合物をディス
クフィルター[関東化学(株)製、HLS−DISK 13、孔径0.45μm]でろ過し、触媒を除去した。得られた溶液をGC−MSにより解析し、生成物を確認した。結果を表1に示す。GC−MSスペクトルを図2に示す。
【0033】
[実施例3]メタノールを犠牲還元剤とする配位結合型ビタミンB12−アナターゼ型チタニアハイブリッド化合物によるα−メチルスチレンの光還元反応
スチレンに替えてα−メチルスチレン6.0mg(0.051mmol)を使用した以外は実施例2と同様に操作した。結果を表1に併せて示す。反応液のGC−MSスペクトルを図3に示す。
【0034】
[実施例4]メタノールを犠牲還元剤とする配位結合型ビタミンB12−アナターゼ型チタニアハイブリッド化合物による1,1−ジフェニルエチレンの光還元反応
スチレンに替えて1,1−ジフェニルエチレン6.5mg(0.036mmol)を使用した以外は実施例2と同様に操作した。得られた溶液をGC−MS及びMALDI−TOF−MSにより解析し、生成物を確認した。結果を表1に併せて示す。反応液のGC−MSスペクトルを図4に示す。
【0035】
[実施例5]メタノールを犠牲還元剤とする配位結合型ビタミンB12−アナターゼ型チタニアハイブリッド化合物による2−フェニルプロペン酸の光還元反応
スチレンに替えて2−フェニルプロペン酸5.2mg(0.036mmol)を使用した以外は実施例2と同様に操作した。結果を表1に併せて示す。反応液のGC−MSスペクトルを図5に示す。
【0036】
[実施例6]メタノールを犠牲還元剤とする配位結合型ビタミンB12−アナターゼ型チタニアハイブリッド化合物によるp−アミノスチレンの光還元反応
スチレンに替えてp−アミノスチレン4.1mg(0.034mmol)を使用した以外は実施例2と同様に操作した。結果を表1に併せて示す。反応液のGC−MSスペクトルを図6に示す。
【0037】
[実施例7]メタノールを犠牲還元剤とする配位結合型ビタミンB12−アナターゼ型チタニアハイブリッド化合物によるp−トリフルオロメチルスチレンの光還元反応
スチレンに替えてp−トリフルオロメチルスチレン6.3mg(0.037mmol)を使用した以外は実施例2と同様に操作した。結果を表1に併せて示す。反応液のGC−MSスペクトルを図7に示す。
【0038】
[比較例3]メタノールを犠牲還元剤とする配位結合型ビタミンB12−アナターゼ型チタニアハイブリッド化合物による遮光下でのスチレンの還元反応
ブラックライトによる紫外光照射を行わなかった以外は実施例2と同様に操作したところ、スチレンは全く反応しなかった。
【0039】
[比較例4]メタノールを犠牲還元剤とするアナターゼ型酸化チタンによるスチレンの光還元反応
配位結合型ビタミンB12−アナターゼ型チタニアハイブリッド化合物に替えて、アナターゼ型酸化チタン[テイカ(株)製、AMT−600]を使用した以外は、実施例2と同様に操作したところ、スチレンは全く反応しなかった。
【0040】
[比較例5]メタノールを犠牲還元剤とする白金−ルチル型チタニアハイブリッド化合物によるスチレンの光還元反応
配位結合型ビタミンB12−アナターゼ型チタニアハイブリッド化合物に替えて、白金−ルチル型チタニアハイブリッド化合物[テイカ(株)製、TK−750]を使用した以外は、実施例2と同様に操作したところ、スチレンは全く反応しなかった。
【0041】
【化10】
【0042】
【表1】
【0043】
[実施例8]メタノールを犠牲還元剤とする配位結合型ビタミンB12−アナターゼ型チタニアハイブリッド化合物によるα−ブロモスチレンの光還元反応
スチレンに替えてα−ブロモスチレン12.2mg(0.067mmol)を使用した以外は実施例2と同様に操作した。GC−MSによる解析の結果、基質の転換率は99%であった。還元生成物とその収率を以下に、反応液のGC−MSスペクトルを図8にそれぞれ示す。
【化11】
【0044】
[実施例9]メタノールを犠牲還元剤とする配位結合型ビタミンB12−アナターゼ型チタニアハイブリッド化合物によるα−トリフルオロメチルスチレンの光還元反応
スチレンに替えてα−トリフルオロメチルスチレン4.8mg(0.028mmol)を使用した以外は実施例2と同様に操作した。GC−MSによる解析の結果、基質の転換率は80%であった。還元生成物とその収率を以下に、反応液のGC−MSスペクトルを図9にそれぞれ示す。
【化12】
【0045】
[実施例10]メタノールを犠牲還元剤とする配位結合型ビタミンB12−アナターゼ型チタニアハイブリッド化合物によるβ−ブロモスチレンの光還元反応
スチレンに替えてβ−ブロモスチレン8.0mg(0.044mmol)を使用し、紫外光を24時間照射した以外は実施例2と同様に操作した。GC−MSによる解析の結果、基質の転換率は40%であった。還元生成物とその収率を以下に、反応液のGC−MSスペクトルを図10にそれぞれ示す。
【化13】
【0046】
[実施例11]メタノールを犠牲還元剤とする配位結合型ビタミンB12−アナターゼ型チタニアハイブリッド化合物によるtrans−β−メチルスチレンの光還元反応
スチレンに替えてtrans−β−メチルスチレン4.0mg(0.034mmol)を使用した以外は実施例2と同様に操作した。GC−MSによる解析の結果、基質の転換率は33%であった。還元生成物とその収率を以下に、反応液のGC−MSスペクトルを図11にそれぞれ示す。
【化14】
【0047】
[実施例12]メタノールを犠牲還元剤とする配位結合型ビタミンB12−アナターゼ型チタニアハイブリッド化合物によるcis−β−メチルスチレンの光還元反応
スチレンに替えてcis−β−メチルスチレン4.0mg(0.034mmol)を使用し、紫外光を24時間照射した以外は実施例2と同様に操作した。GC−MSによる解析の結果、基質の転換率は38%であった。還元生成物とその収率を以下に、反応液のGC−MSスペクトルを図12にそれぞれ示す。
【化15】
【0048】
[実施例13]メタノールを犠牲還元剤とする配位結合型ビタミンB12−アナターゼ型チタニアハイブリッド化合物によるフェニルアセチレンの光還元反応
スチレンに替えてフェニルアセチレン4.3mg(0.042mmol)を使用した以外は実施例2と同様に操作した。GC−MSによる解析の結果、基質の転換率は47%であった。還元生成物とその収率を以下に、反応液のGC−MSスペクトルを図13にそれぞれ示す。
【化16】
【0049】
[実施例14]メタノールを犠牲還元剤とする配位結合型ビタミンB12−アナターゼ型チタニアハイブリッド化合物によるアクリル酸ヘキシルの光還元反応
スチレンに替えてアクリル酸ヘキシル6.7mg(0.043mmol)を使用し、紫外光を24時間照射した以外は実施例2と同様に操作した。GC−MSによる解析の結果、基質の転換率は69%であった。還元生成物とその収率を以下に、反応液のGC−MSスペクトルを図14にそれぞれ示す。
【化17】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
卑金属の錯体と二酸化チタンとを含むことを特徴とする光還元触媒。
【請求項2】
前記卑金属の錯体が窒素原子及び/又は酸素原子を配位元素とする四座配位子を有する錯体である、請求項1に記載の光還元触媒。
【請求項3】
前記卑金属の錯体がコバルト錯体又はニッケル錯体である、請求項1又は請求項2に記載の光還元触媒。
【請求項4】
前記コバルト錯体がビタミンB12化合物である、請求項3に記載の光還元触媒。
【請求項5】
少なくとも一つのビタミンB12化合物が結合部を介して二酸化チタンに固定化されている、請求項4に記載の光還元触媒。
【請求項6】
前記固定化が配位結合又は共有結合である、請求項5に記載の光還元触媒。
【請求項7】
前記四座配位子が式[1]で表される配位子である、請求項2又は請求項3に記載の光還元触媒。
【化1】
(式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1乃至4のアルキル基又はフェニル基を表す。)
【請求項8】
前記四座配位子が式[2]で表される配位子である、請求項2又は請求項3に記載の光還元触媒。
【化2】
(式中、R5及びR8は、それぞれ独立して、炭素原子数1乃至4のアルキル基を表し、R6及びR7は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1乃至4のアルキル基を表すか、又はR6及びR7が一緒になってカルボキシル基、スルホ基又はホスホン酸基で置換されていても良いベンゼン環を表し、m及びnは0乃至4の整数を表し、m又はnが2以上を表す場合には、同一ベンゼン環内のR5又はR8は各々同一であっても異なっていても良い。)
【請求項1】
卑金属の錯体と二酸化チタンとを含むことを特徴とする光還元触媒。
【請求項2】
前記卑金属の錯体が窒素原子及び/又は酸素原子を配位元素とする四座配位子を有する錯体である、請求項1に記載の光還元触媒。
【請求項3】
前記卑金属の錯体がコバルト錯体又はニッケル錯体である、請求項1又は請求項2に記載の光還元触媒。
【請求項4】
前記コバルト錯体がビタミンB12化合物である、請求項3に記載の光還元触媒。
【請求項5】
少なくとも一つのビタミンB12化合物が結合部を介して二酸化チタンに固定化されている、請求項4に記載の光還元触媒。
【請求項6】
前記固定化が配位結合又は共有結合である、請求項5に記載の光還元触媒。
【請求項7】
前記四座配位子が式[1]で表される配位子である、請求項2又は請求項3に記載の光還元触媒。
【化1】
(式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1乃至4のアルキル基又はフェニル基を表す。)
【請求項8】
前記四座配位子が式[2]で表される配位子である、請求項2又は請求項3に記載の光還元触媒。
【化2】
(式中、R5及びR8は、それぞれ独立して、炭素原子数1乃至4のアルキル基を表し、R6及びR7は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1乃至4のアルキル基を表すか、又はR6及びR7が一緒になってカルボキシル基、スルホ基又はホスホン酸基で置換されていても良いベンゼン環を表し、m及びnは0乃至4の整数を表し、m又はnが2以上を表す場合には、同一ベンゼン環内のR5又はR8は各々同一であっても異なっていても良い。)
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−106236(P2012−106236A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231863(P2011−231863)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 第34回 有機電子移動化学討論会 実行委員会、「第34回 有機電子移動化学討論会 講演要旨集」、第32〜33ページ、平成22年6月25日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2010年光化学討論会実行委員会、「2010年光化学討論会講演要旨集」、第39ページ、平成22年9月8日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 錯体化学会、「第60回錯体化学討論会・第60回記念錯体化学OSAKA国際会議講演要旨集」、第145ページ、平成22年9月16日
【出願人】(504145342)国立大学法人九州大学 (960)
【出願人】(000003986)日産化学工業株式会社 (510)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 第34回 有機電子移動化学討論会 実行委員会、「第34回 有機電子移動化学討論会 講演要旨集」、第32〜33ページ、平成22年6月25日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2010年光化学討論会実行委員会、「2010年光化学討論会講演要旨集」、第39ページ、平成22年9月8日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 錯体化学会、「第60回錯体化学討論会・第60回記念錯体化学OSAKA国際会議講演要旨集」、第145ページ、平成22年9月16日
【出願人】(504145342)国立大学法人九州大学 (960)
【出願人】(000003986)日産化学工業株式会社 (510)
【Fターム(参考)】
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