説明

卒中の診断方法

【課題】卒中の診断方法を提供する。
【解決手段】被験者から採取した体液サンプル中の、ApoC-III、血清アミロイドA、ApoC-I、アンチトロンビンIIIフラグメント、およびApoA-Iから選択される少なくともひとつのポリペプチドの濃度を測定することによって、被験者の卒中を診断する方法であって、ポリペプチドが、卒中に罹患した被験者の体液と、卒中に罹患していない被験者の体液とに異なって含まれており、また、サンプル中のポリペプチドの濃度が、卒中の診断と合致しているか否かを決定することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、卒中の診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
卒中 (梗塞; stroke) は、工業国においては第三位の死亡率を有する。卒中は、血管
の破裂によっても起こり(出血性卒中)、また、脳内血管の障害によっても起こる(虚血
性または血栓症卒中)。卒中は、恒久的あるいは一時的に脳内血流が減少することで引き
起こされる。この脳血流の減少は、多くの場合、塞栓や部分血栓による動脈閉塞によって
起こる。脳傷の位置、および壊死神経の程度によっては、卒中の症状は生涯のハンディキ
ャップにもなり、また、卒中後の死亡率は30%にも至る。
【0003】
S100Bは、潜在的卒中診断用のバイオケミカルマーカーとして最近に記載されてい
る(U.Missler et al., “S100 protein and neuron-specific enolase concentrations
in blood as indicators of infarct volume and prognosis in acute ischemia stroke
”, Stroke 1997; 28: 1956-60)。しかし、S100Bは、また、メラノーマの転移の早
期検出、ならびに、頭部傷害および心臓手術の脳性合併症の早期検出にも有効であるとい
うことも報告されている。このことから、感度および特異性は、それぞれ44%、67%
に留まっている(M. Takahashi et al., “Rapid and sensitive immunoassay for the m
easurement of serum S100B using isoform-specific monoclonal antibody”, Clin. Ch
em. 1999; 45:1307-11)。新しい卒中用マーカーの間発は、臨床医が早期診断を確立する
助けになると考えられた。
【0004】
WO 01/42793 は、体液サンプル中の心臓または脳の脂肪酸蛋白(H−FABPまたはB
−FABP)の濃度を測定するという卒中の診断分析法に関連している。
US-A-6225047 は、差異マップを生成するための保持物質クロマトグラフィーの使用、
特に、2つのサンプル間の差異の存在を同定分析する方法に関連する。その中で述べられ
ている特有の方法のひとつは、レーザー脱離型質量分析法である。
【0005】
WO 01/25791 は、前立腺癌の診断を支援する方法を述べており、前立腺癌患者のサンプ
ルとそうでない対象者とでは差異が存在しているポリペプチドマーカーの試験量を決定す
ることを含んでいる。マーカーは、質量分析法を用いて検出することができ、好ましくは
レーザー脱離型質量分析法を用いて検出する。
【0006】
体液に対する新規な非観血的卒中用マーカーと、そのマーカーの新規な検出法の間発は
、臨床医にとって早期診断確立の助けになる。この問題は、本発明によって今や解決され
た。
【0007】
われわれの先の出願である PCT/EP03/01462 (WO 03/069346) は、卒中に罹患したと思
われる被験者について、卒中またはその可能性を診断する方法を開示した。この方法には
、被験者から採取した体液サンプルを質量分析の対象とし、サンプル中のポリペプチド(
卒中に冒されている被験者と冒されていない被験者とでは異なる量が含まれており、分子
量の範囲は3,000から30,000である)の試験量を測定することを含み、また、この診断法
は、その試験量が、卒中の診断と一致するかどうかも決定する。好ましい実施形態におい
ては、質量分析法は、表面増強レーザ脱離イオン化 ( surface enhanced laser desorpt
ion/ionization; SELDI ) を含んでいる。
【発明の概要】
【0008】
後述する実施例4〜9の手順によって、われわれの先の出願で述べた、卒中マーカーの
同定および免疫有用性評価に関連する、質量分析(SELDI)のピークをさらに検討した。
結果として、或るポリペプチド類が卒中および脳損傷の診断に対して有用なマーカーであ
ることが分かった。
【0009】
本発明で用いた新たなマーカーは以下のようである。
アポリポ蛋白 C-III(以降、 Apo C-IIIと称する)。これは、11.7 kDa SELDIピーク(
グリコシル化された形態として)の候補である。これは Swiss-Prot accession number P
02656 であり、長さ 79aa 、分子量 8765Da であって、以下のシーケンスを有する。
21 SEAEDASLLS FMQGYMKHAT KTAKDALSSV QESQVAQQAR 60
GWVTDGFSSL KDYWSTVKDK FSEFWDLDPE VRPTSAVAA 99
血清アミロイドA蛋白(SAA)。これは、11.5 および 11.7 kDa SAX2 SELDIピークの候
補蛋白質である。これは Swiss-Prot accession number P02735 であり、長さ 103aa 、
分子量 11682Da であって、以下のシーケンスを有する。
19 RS FFSFLGEAFD GARDMWRAYS DMREANYIGS DKYFHARGNY 60
DAAKRGPGGV WAAEAISDAR ENIQRFFGHG AEDSLADQAA NEWGRSGKDP NHFRPAGLPE 120
KY 122
アポリポ蛋白 C-I(以降、Apo C-Iと称する)。これは、 6.44 および 6.64 kDa SAX2
SELDIピークの候補蛋白質である。これは Swiss-Prot accession number P02654 であり
、長さ 57aa 、分子量 6631Da で、以下のシーケンスを有する。
27 TPDV SSALDKLKEF GNTLEDKARE LISRIKQSEL SAKMREWFSE TFQKVKEKLK IDS 83
アンチトロンビン III (フラグメント)。これは 4.47 、 4.63 および 4.80 SAX2 SE
LDIピークに対する候補蛋白質である。これは Swiss-Prot accession number P01008 で
あり、長さ 38aa 、分子量 4473Da で、以下のシーケンスを有する。
426 S LNPNRVTFKA NRPFLVFIRE VPLNTIIFMG RVANPCVK 464
アポリポ蛋白A-I(以下、 Apo A-I と称する)。これは 28kDa SAX2 SELDIピークの候
補蛋白質である。これは Swiss-Prot accession number P02647 であり、長さ 244aa 、
分子量 28079Da で、以下のシーケンスを持つ。
DEPPQS PWDRVKDLAT VYVDVLKDSG RDYVSQFEGS
ALGKQLNLKL LDNWDSVTST FSKLREQLGP VTQEFWDNLE KETEGLRQEM SKDLEEVKAK
VQPYLDDFQK KWQEEMELYR QKVEPLRAEL QEGARQKLHE LQEKLSPLGE EMRDRARAHV
DALRTHLAPY SDELRQRLAA RLEALKENGG ARLAEYHAKA TEHLSTLSEK AKPALEDLRQ
GLLPVLESFK VSFLSALEEY TKKLNTQ
本発明は、付随する請求項によって定義される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1A】図1(A,B)には、4人の出血性卒中患者(H1〜4)と4人の参照(コントロール)のサンプル(CTLR1〜4)とから得た血漿ののレーザー脱離/イオン化質量分析法を用いたスペクトルであって、分子量範囲3750〜4750Daを示す。
【図1B】図1(A,B)には、4人の出血性卒中患者(H1〜4)と4人の参照(コントロール)のサンプル(CTLR1〜4)とから得た血漿のレーザー脱離/イオン化質量分析法を用いたスペクトルであって、分子量範囲3750〜4750Daを示す。
【図2A】図2(A,B)は、分子量範囲5000から11000Daの、図1に対応する図である。
【図2B】図2(A,B)は、分子量範囲5000から11000Daの、図1に対応する図である。
【図3A】図3(A,B)は、分子量範囲12000から30000Daの、図1に対応する図である。
【図3B】図3(A,B)は、分子量範囲12000から30000Daの、図1に対応する図である。
【図4A】図4(A,B)は、4人の虚血性卒中患者(I1〜4)と4人のコントロールサンプル(CTLR1〜4)とから得た血漿のレーザー脱離/イオン化質量分析法を用いたスペクトルであって、分子量範囲3750〜4750Daを示す。
【図4B】図4(A,B)は、4人の虚血性卒中患者(I1〜4)と4人のコントロールサンプル(CTLR1〜4)とから得た血漿のレーザー脱離/イオン化質量分析法を用いたスペクトルであって、分子量範囲3750〜4750Daを示す。
【図5A】図5(A,B)は、分子量範囲5000から11000Daの、図4に対応する図である。
【図5B】図5(A,B)は、分子量範囲5000から11000Daの、図4に対応する図である。
【図6A】図6(A,B)は、分子量範囲12000から30000Daの、図4に対応する図である。
【図6B】図6(A,B)は、分子量範囲12000から30000Daの、図4に対応する図である。
【図7A】図7(A,B,C)は、4人の卒中患者(155卒中、184卒中、194卒中、および195卒中として識別する)と、4人のコントロールサンプル(380陰性、386陰性、387陰性、および390陰性として識別する)とから得た血漿のレーザー脱離/イオン化質量分析法を用いたスペクトルであって、分子量範囲約4300〜5000Daを示す。
【図7B】図7(A,B,C)は、4人の卒中患者(155卒中、184卒中、194卒中、および195卒中として識別する)と、4人のコントロールサンプル(380陰性、386陰性、387陰性、および390陰性として識別する)とから得た血漿のレーザー脱離/イオン化質量分析法を用いたスペクトルであって、分子量範囲約4300〜5000Daを示す。
【図7C】図7(A,B,C)は、4人の卒中患者(155卒中、184卒中、194卒中、および195卒中として識別する)と、4人のコントロールサンプル(380陰性、386陰性、387陰性、および390陰性として識別する)とから得た血漿のレーザー脱離/イオン化質量分析法を用いたスペクトルであって、分子量範囲約4300〜5000Daを示す。
【図8A】図8(A,B,C)は、分子量範囲5000から8000Daの、図7に対応する図である。
【図8B】図8(A,B,C)は、分子量範囲5000から8000Daの、図7に対応する図である。
【図8C】図8(A,B,C)は、分子量範囲5000から8000Daの、図7に対応する図である。
【図9A】図9(A,B,C)は、分子量範囲10000から16000Daの、図7に対応する図である。
【図9B】図9(A,B,C)は、分子量範囲10000から16000Daの、図7に対応する図である。
【図9C】図9(A,B,C)は、分子量範囲10000から16000Daの、図7に対応する図である。
【図10】図10は、Daiichi tests(Cobas Mira plus automate)を用いた、出血性卒中14例および虚血性卒中13例の血漿サンプル中の Apo C-III 量の、陰性コントロール30例と比較した測定結果を示す。
【図11】図11は、2人の卒中患者(155卒中、195卒中として識別する)と、2人のコントロールサンプル(380陰性、387陰性として識別する)とから得た血漿のレーザー脱離/イオン化質量分析法を用いたスペクトルであって、分子量範囲約25000〜32000Daを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、卒中に罹患した疑いのある被験者について、卒中、もしくは卒中の可能性を
診断する方法、および、出血性卒中と虚血性卒中とを判別する方法を提供する。本明細書
においては、卒中の診断、もしくは卒中に関する診断用途とは、出血性卒中と虚血性卒中
との判別をも含むと理解されたい。卒中だけではなく、本発明は他の脳障害疾患の診断も
可能にする。 Apo C-III 、血清アミロイドA、 Apo C-I、アンチトロンビンIIIフラグメ
ント、および Apo A-I の内から選択される特異的ポリペプチドマーカーは、例えばそれ
らに対する抗体を用いることによって、体液サンプル中で測定される。好適には、マーカ
ーは、ポリペプチドに対する特異抗体を用いて、抗原(ポリペプチド)/抗体相互作用の
程度を測るような免疫分析法(イムノアッセイ)によって測定される。抗体はモノクロナ
ール抗体でも良いし、製造された(キメラ体の)抗体でも良い。これらのポリペプチドに
対する抗体は公知であって、市販されている。または、一般的な

-Milstein法を用いて、抗体を作成することもできる。好ましくはないが、抗体はポリク
ロナール抗体でも良い。本発明の説明においては、「抗体」 ( "antibody" ) という語
は、単一鎖もしくはFabフラグメントのような、抗体の結合フラグメントを含む。
【0012】
任意の公知の免疫分析法を使用することができる。サンドイッチアッセイ ( sandwich
assay ) においては、ポリペプチドの抗体(例えばポリクロナール)を、プラスチック
のマイクロタイタープレートのウェル等の固相に結合して、サンプルと、検出すべきポリ
ペプチドに特異的な標識された第二の抗体と共に、温置(インキュベート)する。別の手
法として、抗体捕捉分析法 ( antibody capture assay ) (「間接免疫分析法」 ( "i
ndirect immunoassay" ) とも呼ばれる)を用いることもできる。ここでは、試験サンプ
ルが固相に結合された後、抗ポリペプチド抗体(ポリクロナールもしくはモノクロナール
)が加えられて、結合することになる。この文脈においてポリクロナール抗体が使用され
る場合には、他の形態のポリペプチドとの交差反応性が低いものであるのが望ましい。非
結合物質を洗い流した後に、第一の抗体に拮抗する標識された第二の抗体を用いて、固相
に結合した抗体の量が測定される。
【0013】
直接分析法は、標識された抗ポリペプチド抗体を用いて行うことができる。試験サンプ
ルを固相に結合して、抗ポリペプチド抗体を加える。非結合物質を洗い流した後、固相に
結合している抗体の量を測定する。抗体は、第二の抗体を介してではなく、直接に標識す
ることができる。
【0014】
別の実施形態においては、サンプルと、標識された抗体もしくはそれから誘導されたペ
プチドとの間で、競合分析法を行うことができ、この二つの抗原は、固体支持体に結合し
ている抗ポリペプチド抗体の限られた量を巡って競合する。標識されたポリペプチドもし
くはペプチドを、固相上で抗体と共に前温置することができ、それによって、サンプル中
のポリペプチドが、抗体に結合しているポリペプチドの一部もしくはペプチドを置換する

【0015】
さらに別の実施形態においては、二つの抗原を、抗体と共に単独の共温置にかけて競合
させるようにする。非結合抗原を支持体から洗い流して除去した後、支持体に付着してい
る標識の量を測定し、事前に確立した標準滴定曲線を参照して、サンプル中の蛋白質の量
を測定する。
【0016】
全体を通して、標識には酵素が好ましい。酵素の基質は、発色性、蛍光性、もしくは化
学発光性のものとすることができる。または、標識を、放射性アイソトープもしくは蛍光
性とすることができ、例えば共役型蛍光性色素を用いることができる。
【0017】
例えば、酵素は、アルカリホスファターゼ、もしくは西洋ワサビペルオキシダーゼとす
ることができ、また、比色定量に用いるにあたって便利なものとすることができ、例えば
アルカリホスファターゼと共に、リン酸p-ニトロフェニルを黄色発色基質として用いるこ
とが出来る。
【0018】
化学発光分析に対しては、抗体の標識はアクリジニウムエステルもしくは西洋ワサビペ
ルオキシダーゼで行う。後者は増感化学発光分析法 ( enhanced chemiluminescent assa
y; ECL assay ) で用いられる。ここでは、西洋ワサビペルオキシダーゼで標識された抗
体は、ルミノール、過酸化基質 ( peroxide substrate ) 、および発光の強度と持続性
を強化する化合物(典型的には、 4-ヨードフェノール、もしくは 4-ヒドロキシ桂皮酸)
と、化学発光反応に関与する。
【0019】
イムノPCR法のような増幅免疫分析法を用いることが出来る。この技術では、抗体がP
CRプライマーを含む任意のDNA分子と共有結合し、抗体の付いたDNAがポリメラー
ゼ連鎖反応によって増幅されるようにする。 E. R. Hendrickson et al., Nucleic Acids
Research 1995; 23, 522-529 (1995) 、または、 T. Sano et al., in "Molecular Biol
ogy and Biotechnology" ed. Robert A. Meyers, VCH Publishers, Inc. (1995), pages
458-460 を参照のこと。信号は前述のように読み出される。
【0020】
ポリペプチド検出のための一つの手法として、酵素結合免疫吸着検定法 ( enzyme-lin
ked immunosorbent assay; ELISA ) を用いることが出来る。
AMIの場合のH−FABP検出のために開発された高速微粒子増感比濁免疫分析法
( rapid microparticle-enhanced turbidimetric immunoassay ) の使用によって、分
析時間が特段に短縮された。 M. Robers et al., "Development of a rapid micropartic
le-enhanced turbidimetric immunoassay for plasma fatty acid-binding protein, an
early marker of acute myocardial infarction", Clin. Chem. 1998; 44: 1564-1567 を
参照のこと。これによって、上記の M.Roberts et al. によって述べられている Hoffman
n-La Roche の COBASTM MIRA Plus system 、もしくは Abbott Laboratoriesの AxSYMTM
のような広汎に使用されている臨床化学分析器における全自動化が可能となり、また、卒
中の定期臨床診断に用いることも可能となっているはずである。
【0021】
ポリペプチドの濃度は、免疫分析法以外の手段でも測定することができる。例えば、サ
ンプルを2次元ゲル電気泳動にかけ、ゲルの濃度測定、もしくはゲルのブロットの濃度ス
キャニングによって、ポリペプチドの量を見積もる。しかしながら、患者が迅速に処置さ
れるために、この分析法は素早く行うのが望ましい。
【0022】
われわれの先の出願 PCT/EP03/01462(WO03/069346)に記載しているように、ポリペプ
チドはまた質量分析法でも測定することが出来る。被験者から採取した体液サンプルを質
量分析の対象とし、サンプル中の、卒中に罹患した被験者の体液と、罹患していない被験
者の体液とで異なって含まれているようなポリペプチドマーカーの存在もしくは不在を確
定する。このポリペプチドマーカーの分子量範囲は、3,000から30,000、好ましくは3,900
から29,000であり、また、このマーカーの存在/不在が、卒中の指標となる。本発明の特
徴は、或るマーカーの存在/不在を、診断された卒中が虚血性型であるか出血性型である
かを確定することに用いることが出来るということである。
【0023】
ポリペプチドという語は、蛋白質、および蛋白質フラグメントを含み、また、例えば炭
化水素、リン酸塩、硫酸塩といった非ペプチド残基の添加によって修飾されたペプチド、
または他の任意の翻訳後修飾によって修飾されたペプチドを含む。
【0024】
ポリペプチドとプローブ上の吸着物質とが結合する条件の下で、サンプルをプローブに
吸着させることが出来る。吸着剤は、好ましくは金属イオンと錯体形成した金属キレート
化基を含み、好ましい金属は銅である。ポリペプチド検出の前に、プローブに結合してい
ない物質もしくは弱く結合した物質を洗浄液で除去して、サンプル中のポリペプチドを濃
縮する。サンプルは、好ましくは、ポリペプチドを結合する能力を有するような、固定化
金属アフィニティーキャプチャー ( immobilised metal affinity capture; IMAC ) 表
面、もしくは強アニオン交換(SAX)表面を持ったプローブ上に吸着される。サンプル
は、また、ポリペプチドと結合できる条件の下で、疎水性の、強アニオン交換表面もしく
は弱カチオン交換表面を持つプローブ上に吸着させることも出来る。プローブはいくつか
の吸着剤ウェルを有するストリップから成り、また、プローブを分光器に挿入した後、そ
の中で動かして各ウェルを順にイオン化手段(例えばレーザー)によって撃つことで、分
光器の読み値が得られる。ポリペプチドは、好適には、表面増強レーザ脱離イオン化(SE
LDI)飛行時間型質量分析法(TOF-MS)によって測定される。
【0025】
原則的には、いかなる体液でも診断のサンプルに供するために用いることが出来るが、
好適には、脳脊髄液(CSF)、血漿、血清、血液、尿、もしくは涙液である。
或る実施形態においては、分子量が各々約3900、約3970、約3990、約69
45、約10070、約14040、および/もしくは約28000であるようなひとつ
もしくは複数のポリペプチドが測定されて、それらのポリペプチドに対応するピークが、
コントロール(対照群)と比較して増大もしくは減少していることを、卒中の指標とする
。卒中の血漿サンプルにおいては、ほとんどの場合、3970のピークおよび3990の
ピークよりも、3900のピークが高くなる。
【0026】
別の実施例においては、各々分子量約5920、約6660、および/もしくは約77
70であるようなひとつもしくは複数のポリペプチドが測定されて、それらのポリペプチ
ドに対応するピークが、コントロールと比較して増大もしくは減少していることを、卒中
の指標とする。
【0027】
さらなる実施例においては、各々分子量約3900、約3970、約3990、約14
040、および/もしくは約28000であるようなひとつもしくは複数のポリペプチド
が測定され、それらのポリペプチドに対応するピークが、コントロールと比較して増大も
しくは減少していることを、診断された卒中が虚血性型であるかもしくは出血性型である
かの指標とする。
【0028】
一般的に、次のような観察結果が、単独もしくは任意の組み合わせとして、(コントロ
ールと比較した)出血性卒中の特徴として得られる:約3970のピークの減少;約59
20および/もしくは約10070のピークの減少;約6660および/もしくは約69
45および/もしくは約7770のピークの増大;ならびに、約14040および/もし
くは約28000のピークの減少。
【0029】
一般的に、次のような観察結果が、単独もしくは任意の組み合わせとして、(コントロ
ールと比較して)虚血性卒中の特徴として得られる:約3970のピークが、約3990
のピークよりも大きくなり、且つこの両者ともが約3900のピークよりも小さくなる;
約5920および/もしくは約10070のピークの減少;約7770のピークの増大;
ならびに、約14040および/もしくは約28000のピークの減少しないこと。
【0030】
さらに他の実施例においては、各々の分子量が約4475、約4634、および/もし
くは約4797であるひとつもしくは複数のポリペプチドが測定され、それらのポリペプ
チドに対応するピークが、コントロールと比較して減少していることを、卒中の指標とす
る。
【0031】
なおも別の実施例においては、各々の分子量が約6441、および/もしくは約664
3であるひとつもしくは複数のポリペプチドが測定され、それらのポリペプチドに対応す
るピークが、コントロールと比較して増大していることを、卒中の指標とする。
【0032】
さらにまた別の実施例においては、各々の分子量が約11530および/もしくは約1
1712であるひとつもしくは複数のポリペプチドが測定され、それらのポリペプチドに
対応するピークが、コントロールと比較して減少していることを、卒中の指標とする。
【0033】
別の実施例においては、分子量が約28130であるポリペプチドが測定され、このポ
リペプチドに対応するピークが、コントロールと比較して増大していることを、卒中の指
標とする。
【0034】
本発明においては、卒中の診断は、単独のポリペプチド、または2つ以上のポリペプチ
ドの任意の組み合わせの測定から行うことができる。
ひとつもしくは複数のポリペプチドの分子量の測定は、質量分析器で行われる。上述の
記載で示した分子量は、精度1%以内、好ましくは精度約0.1%以内で測定することが
出来る。ここで、分子量に関する「約」 ( "about" ) という語は、示した数値の約1
%の増減の範囲内を意味し、好ましくは、示した数値の約0.1%の増減の範囲内を意味
する。
【0035】
本発明は、また、卒中に罹患した被験者の体液と、卒中に罹患していない被験者の体液
とで、異なって含まれているひとつもしくは複数の特定のポリペプチドを、診断、予後、
および治療用途に用いることにも関する。これには、上述のポリペプチドを認識する物質
、もしくは上述のポリペプチドと結合する物質、もしくは上述のポリペプチドとの親和性
を有する物質を、調製、および/もしくは使用することが含まれる。このような物質の例
としては、抗体、もしくは抗体チップがある。ここで用いている「抗体」 ( "antibody"
) という語は、ポリクロナール抗血清、モノクロナール抗体、Fabのような抗体フラ
グメント、および遺伝子操作によって作成された抗体を含む。抗体は、キメラ体とするこ
とも、もしくは複数の単独種のものとすることもできる。上記の「予後」 ( "prognosti
c" ) 用途とは、例えば体液サンプル中の上記ポリペプチドの量を測定することによって
、卒中のあり得そうな進行を見極めることを含む。上記の「治療」 ( "therapeutic" )
用途は、例えば、上述のポリペプチドを認識する物質、もしくは上述のポリペプチドと
結合する物質、もしくは上述のポリペプチドとの親和性を有する物質を調製して、治療に
使用することを含む。この場合には、これらの物質を改変することができ、例えば、抗体
と薬剤とを組み合わせて、薬剤を患者の特定の領域に向かわせることができる。
【0036】
本発明に係る方法論は、いかなる種類の卒中にも適用できる。卒中に罹患した被験者と
罹患していない被験者からサンプルが準備される。サンプル中のペプチドの種々の保持の
ための各種の吸着媒体で処理された表面を有するプローブに、サンプルを塗布し、さらに
任意に、洗浄液を使って結合していない物質、もしくは弱い結合をしている物質を取り去
る。適切であれば、エネルギー吸収物質も用いることができる。次に、プローブを質量分
析器に挿入し、分析器をさまざまにセッティングして、種々のサンプル/吸着剤の組み合
わせで読み値を得る。所与の条件の組み合わせにおいて、罹患サンプルと非罹患サンプル
とを比較し、罹患サンプルと非罹患サンプルとで異なった発現をするようなひとつもしく
は複数のポリペプチドを明らかにする。その後、これらのポリペプチドの存在/不在の結
果を、同一条件(吸着体、分析器のセッティング等)の下で行う被験者の体液サンプルの
検査において用い、その被験者が罹患しているか否かを決めることが出来る。さらに、一
方で出血性卒中サンプルとコントロールとを比較し、他方で虚血性卒中サンプルとコント
ロールとを比較することによって、同一条件下での患者の体液サンプルの検査により、出
血性卒中であるか、もしくは虚血性卒中であるかの可能性を弁別することが可能となる。
【0037】
上記のポリペプチドの「存在/不在」 ( "presence or absence" ) という語は、単
に、罹患サンプルおよび非罹患サンプルにおいて検出されるポリペプチドの量に、重大な
差がある、ということを意味する。したがって、試験サンプル中のポリペプチドの「不在
」には、ポリペプチドが実際には存在してはいるが、比較する試験サンプル中の量と比べ
て圧倒的に量が少ないという見込みの場合が含まれる。本発明においては、診断をポリペ
プチドの存在/不在に基づいて行うことができ、これには、比較試験サンプルと比べて、
ポリペプチドの存在が圧倒的に少ない、もしくは圧倒的に多いということが含まれる。
【0038】
卒中の診断に使用するためのキット、および分析装置も、本発明の範囲内にある。これ
らは、 Apo C-III 、血清アミロイドA、 Apo C-I 、アンチトロンビンIIIフラグメント、
および Apo A-I から選択された、ひとつもしくは複数の抗体を含むことが出来る。これ
らの抗体は、患者から採取された体液中の適切なポリペプチドに結合することになる。抗
体は、固体支持体上に固定することができる。好ましくは、それぞれの抗体はユニークな
設置箇所に配置され、サンプル中の個々のポリペプチドについて、別々に分析して読み出
すことができ、また、選択された任意のポリペプチドの組み合わせについて読み出すこと
もできる。
【0039】
Apo C-III 、血清アミロイドA、 Apo C-I 、アンチトロンビンIIIフラグメント、およ
び Apo A-Il の分析キットについては、従来技術として開示されている。しかしながら
、これらを卒中の診断に用いるということは新規であって、本願明細書において初めて開
示されるものである。このようなキットの例を以下に挙げる。
【0040】
Instruchemie provide kits; Daiichi Pure Chemicals Co., Ltd. (Tokyo Japan) 製
。 ApoCIII 検出用(比濁分析法 ( Turbidimetric ) 、および/もしくは検出角度90°
の比濁分析法 ( nephelometric ) 、 ref. 241871 、われわれが使用したキット)、な
らびに ApoAI 検出用(比濁分析法、および/もしくは検出角度90°の比濁分析法、 ref 2
611 )。
【0041】
Human Aporipoprotein LINCOplex Kit (http://www.lincoresearch.com/products/apo-
62k.html) 、カタログ番号 APO-62K は、 Linco Research Inc. 製の多重アッセイであり
、 Apo AI 、 Apo AII 、 Apo B 、 Apo CII 、 Apo CIII 、および Apo E の6つのアポ
リポ蛋白の任意の組み合わせを同時に定量することが出来る。このキットは、血清、組織
抽出液、他の生物学的液体、もしくは組織培養サンプル中の上記のアポリポ蛋白の分析に
使用可能である。
【0042】
SAAの測定に関しては、 BN Systems を使った粒子増感免疫比濁分析手段によって、ヒ
ト血清中、またはヘパリンおよびEDTAを添加した血漿中の血清アミロイドA(SAA)の定量
測定のための生体外診断試薬を、 Dade Behring (www.dadebehring.com) が提供している
( N Latex SAA 、カタログ番号 OQMP11 )。 ApoAI を検出するための診断キットも、 D
ade Behring から市販されている。
【0043】
total アンチトロンビンIII を検出するキット、もしくはアンチトロンビンIII の活性
を測定するキットは、数多く存在している。 Dade Behring は、 BN Systems を用いてヒ
ト血漿中のアンチトロンビンIII を定量するための、生体外診断試薬を提供している( N
Antiserum to Human Antithrombin III 、カタログ番号 OSAY09 )。
【0044】
ApoCI に関しては、多くのモノクロナール抗体、もしくはポリクロナール抗体が市販さ
れている。
【実施例】
【0045】
以下の実施例によって、本発明を例示する。
[実施例1]
本研究の目的は、卒中に罹患した患者の体液(脳脊髄液、血漿その他)中の特定のポリ
ペプチドを検出することであった。サンプルは、表面増強レーザ脱離イオン化(SELDI)
質量分析(MS)技術によって分析された。この技術は、種々の保持型のクロマトグラフィ
ーを用いた、蛋白質のマイクロスケールアフィニティーキャプチャー、および、その後の
飛行時間型質量分析法による分析を包含する。 Ciphergen Biosystem PBS II mass spect
rometer (Freemont, CA, USA) で分析された所与のサンプルの典型的な蛋白質のプロファ
イルにそれぞれ対応して、差分マップ ( difference map ) を生成した。卒中に罹患し
た患者からの血漿サンプル群について生成したスペクトルを、罹患していないコントロー
ル群と比較して、差分を示すピークを同定した。
【0046】
金属親和性を有する特定のポリペプチドを検出するために、未精製のヒト血漿サンプル
2μl を使って、SELDI分析を行った。サンプルから特定のサブセットを選択するために
、このアプローチにおいては、固定化銅アフィニティーアレイ(IMAC-Cu++)を用いて、
銅への親和性を有する蛋白質を捕捉(キャプチャー)した。捕捉された蛋白質は、 the P
BSII Protein Chip Array reader (Ciphergen Biosystems, Freemont, CA, USA) を用い
て、直接検出した。
【0047】
Chromatographic TED-Cu (II) 吸着剤アレイを使用した ProteinChip アレイの処理お
よび分析のために、以下のプロトコルを用いた。TEDとは、 (トリス(カルボキシメチル)
エチレンジアミン-Cu) 吸着剤を、酸化シリコン被覆ステンレス鋼基材上に被覆したもの
のことである。
・まず、表面の各スポットに 100mM 硫酸銅 10μl を載せて、ウェットチャンバー内で1
5分間温置した。
・その後、結合していない余剰の銅を取り除くために、チップを脱イオン水で二度に亘っ
て約10秒間、素早く洗浄した。
・サンプルを載せる前に、 I-MAC 3 アレイを、 0.5M PBS NaCl 0.5μl を用いて5分間
平衡させた。
・平衡化バッファを取り除いた後に、同一のバッファを 3μl 加えてから、 2μl の血漿
を入れた。チップをウェットチャンバー内で20分間温置した。
・その後サンプルを取り除き、表面を平衡化バッファで3回(各5分間)洗浄した。
・水で、最終的な洗浄を素早く2回行った。
・表面を空気中で乾燥した後、 50% アセトニトリルおよび 0.5% トリフルオロ酢酸中で
調製した飽和シナピン酸 (SPA, Ciphergen Biosystem) 0.5μl を加えた。
・再度チップを空気中で乾燥してから、レーザ脱離/イオン化飛行時間型質量分析法にか
けて、各スポットに保持された蛋白質を分析した。
・蛋白質チップアレイを装置内に挿入し、適切な検出感度で一度分析して、データの自動
収集のためのレーザーエネルギーを決定した。
・得られたスペクトルを、 Dell Dimension 4100 PC 上で走らせた the Biomark Wizard
software (Ciphergen Biosystems, Freemont, CA, USA) で分析した。複数のスペクトル
に関して、統一したピークのセットを生成した。
【0048】
図1〜3のように、出血性卒中患者から得た4つの血漿サンプル(血漿H1〜4)と、
罹患していない被験者から得た4つの血漿サンプル(血漿CTRL1〜4)についての上
記の試験の結果を示した。図1では、出血性のサンプルの3970Da近傍のピークが、
健康体のそれと較べて大きく減少していることが示されている。コントロールサンプルで
は、約3990に一対のピークが形成されているが、一方、出血性卒中サンプルでは、大
きく増大している約3900のピークの後ろのピークがほぼ消失している。図2では、出
血性卒中サンプルの5920近傍および10070近傍の二つのピークが、健康体と較べ
て減少していることが特徴である。また、図2では、出血性卒中サンプルの約6660、
約6945、および約7770Daのピークが、健康体と較べて増大している。図3では
、出血性卒中サンプルの約14040、および約28000Daのピークが、健康体と較
べて強度が減少していることが示されている。
【0049】
[実施例2]
虚血性卒中患者から得た4つの血漿サンプル(血漿I1〜4)と、罹患していない被験
者からの4つの血漿サンプル(血漿CTRL1〜4)とについて、実施例1の手順を繰り
返した。図4〜6にその結果を示す。図4では、虚血性卒中サンプルに3970および3
990に一対のピークがあって、3970のピークは3990ピークよりも大きいが、コ
ントロールサンプルとは対照的に共に3900のピークの強度よりは低い、ということが
示されている。図5では、虚血性卒中サンプルの5920近傍および10070近傍の二
つのピークが、健康体と較べて減少していることが特徴である。また、図5では、虚血性
卒中サンプルにおいて、7770のピークが増大しているが、その増大の程度は出血性卒
中サンプルのそれよりも小さい、ということも示している。図6では、虚血性卒中サンプ
ルと健康なサンプルとの間には、14040近傍および28000近傍のピークの減少は
まったく見られず、これは図3の出血性卒中サンプルの場合とは対照的である。
【0050】
[実施例3]
21人の卒中患者(出血性10人、虚血性10人、および不明1人)から得られた血漿
サンプルと、21人の健康な患者から得られた血漿サンプルとについて、SELDI技術
を用いて、実施例1、2と同様の手順(後述する違いを除く)で比較研究を行った。 SAX
ProteinChips (Ciphergen) 、および SPA (Ciphergen) マトリックスは、この研究でも
使用した。図7〜9には、42回の試験の内の、4例の卒中のスペクトルと4例の健康な
患者のスペクトルとを示した。 the Biomarker Wizard (マン・ホイットニー統計分析)
を用いて、卒中と、健康なコントロール群とでは、7つのピークが異なっていることが明
示された。即ち、4475Da、4634Da、および4797Daのピーク信号の減少
は、それぞれp値 0.000138 、 0.00224 、および 0.0132 で卒中の指標となる。また、
6443Da、および6641Daのピークの増大は、それぞれp値 0.08950 、および
0.02134 で卒中の指標となる。また、11530Da、および11712Daのピークの
、コントロールと比較しての減少は、それぞれp値 0.00634 、および 0.04034 で卒中の
指標となる。
【0051】
図11には、さらなる2例の卒中のスペクトルと、2例の健康体のスペクトルとを示し
た。卒中と、健康なコントロールとでは、28130Da近傍のピークが異なった現れ方
をしている。則ち、28130Da近傍のピーク信号の増大は、卒中の指標となる。
【0052】
SAX ProteinChips の処理および分析に用いたプロトコルを以下に示す。
1. hydrophobic pen を用いて、各スポットの輪郭をとる ( outine ) 。空気中で乾
燥する。
2. 10μl の結合バッファ( 20mM Tris - 5mM NaCl pH9.0 )を各スポットに加えて、
室温の保湿チャンバー内で5分間温置する。スポットを乾燥させてはならない。
3. 活性表面には触らずに、スポットから余分なバッファを取り除く。ステップ2および
3をさらに二回繰り返す。
4. 未精製血漿サンプル 1μl + 結合バッファ( 20mM Tris - 5mM NaCl pH9.0 ) 2μ
l を載せる。
5. 保湿チャンバーで30分間温置する。
6. 5μl の結合バッファ( 20mM Tris - 5mM NaCl pH9.0 )で各スポットを五回洗浄し
、その後に水ですばやく二回洗浄する(一回あたり 5μl )。
7. スポットの周囲を拭いて乾燥させる。濡れてはいないがまだ湿っている状態の各ス
ポットに、 0.5μl のSPA飽和マトリックス (Ciphergen) を加える。空気中で乾燥する。
各スポットへ二度目のSPA飽和マトリックス (Ciphergen) 0.5μl を加え、再度空気中で
乾燥した後、各スポットに保持された蛋白質を、レーザー脱離/イオン化飛行時間型質量
分析法で分析する。
8. 蛋白質チップアレイを装置内に挿入し、適切な検出感度で一度分析して、データの
自動収集のためのレーザーエネルギーを決定した。
【0053】
[実施例4]
[SELDIチップのストリッピング、および一次元電気泳動法]
陰性コントロール血漿サンプル、もしくは卒中血漿サンプルのいずれかを、 SAX SELDI
チップ上(各8ウェル)に載せ、 Laemmli バッファを用いてストリップした。ストリッ
プされた蛋白質を、後述するように 1-DE SDS-PAGE gel 上に載せた。
【0054】
[トリス-グリシンゲル]
上述のストリップしたサンプル 10μl を、変性Laemmliバッファ 10μl と混合した [
1] 。サンプルを95℃で5分間加熱し、 Laemmli の方法に従って 15% T SDS-ポリアク
リルアミドゲル上に載せた。 Coomassie Brilliant Blue R-250 (0.1% w/v) およびメタ
ノール (50% v/v) を含んだ溶液で、ゲルを染色した。脱染は、メタノール (40% v/v) お
よび酢酸 (10% v/v) を含んだ溶液中で行った。
【0055】
[トリス-トリシンゲル]
トリス-トリシン SDS-PAGE 電気泳動法は、Schagger and Von Jagow [2] に従って
、既製の 16.5% T gels (Bio-Rad, Hercules, CA) を用いて行った。アノードバッファは
0.2M Tris-HCl, pH8.9 から成り、また、カソードバッファは、 0.1M Tris-HCl 、 0.1M
トリシン、 0.1% SDS, pH8.25 から成る。上述のストリップされたサンプルの 各10μl
ずつを、 50mM Tris-HCl 10μl 、 4%(w/v) SDS 、 12%(w/v) スクロース、 5%(v/v) β-
メルカプトエタノール、および微量のブロモフェノールブルー pH6.8 と混合した。 95℃
で5分間置いて変性させた後、サンプルをゲル上に載せた。ゲルを 80V で3時間泳動さ
せた。電気泳動の後、ゲルを 40% メタノールおよび 10% 酢酸で30分かけて固定した。
その後、ゲルを Colloidal coomassie blue G250 で一晩染色し、 30% メタノールで脱染
した。同定するバンドを直ちにカットし、エッペンドルフチュ−ブに入れて、さらなる分
析まで4℃で保存した。見掛けの分子量を、泳動ポリペプチド分子量の基準 ( running p
olypeptide molecular weight standards )(トリオースリン酸イソメラーゼ MW 26,625
; ミオグロビン MW 16,950; β-ラクトアルブミン MW 14,437; アプロチニン MW 6,512;
酸化型インシュリンβ鎖 MW 3,496; バシトラシン MW 1,423 (Bio-Rad) )を用いて定量
した。
【0056】
[実施例5]
[蛋白質消化およびペプチド抽出]
従来文献の手順 [3] を用いて、トリプシンで蛋白質を消化するために、着目する蛋
白質を含んだゲルのコア部分を切り取り、後述するように改変した。まず、100μl の 50
mM 重炭酸アンモニウム、および 30%(v/v) アセトニトリルを用いて、ゲル片を15分間
室温で脱染した。脱染液を取り除き、代わりに50mM 重炭酸アンモニウム塩中に 10mM 1,4
-ジチオエリトリトールを加えた溶液 25μl を入れ、 56℃で35分間温置した。その後
、 1,4-ジチオエリトリトール溶液を取り除き、代わりに 50mM 重炭酸アンモニウム中に
55mM ヨードアセトアミドを加えた溶液 25μl を入れ、暗所且つ室温で45分間温置した
。ゲル片を 100μl の 50mM 重炭酸アンモニウムで10分間洗浄し、さらに 100μl の 5
0mM 重炭酸アンモニウムおよび 30%(v/v)アセトニトリルを用いて10分間洗浄した。そ
の後、ゲル片を Hetovac vacuum centrifuge (HETO, Allerod, Denmark) で30分間乾燥
した。 6.25ng/μl でトリプシンを含んだ 50mM 重炭酸アンモニウム溶液 5〜20μl 中に
、乾燥したゲル片を4℃で漬けて、45分間かけて再水和した。 37℃で一晩温置した後、
ゲル片を高真空遠心分離にかけて乾燥し、 20μl の蒸留水で再水和し、さらに Speed-va
c に30分間かけて、最終的に乾燥させた。 20μl の 0.1%(v/v) トリフルオロ酢酸(TF
A)を用いて、室温で20分間時々振盪しながらペプチドの抽出を行った。ペプチドを含
んだTFA溶液をポリプロピレンチューブに移した。 50%(v/v) アセトニトリル中に 0.1%(v
/v) TFA を加えた溶液 20μl を用いて、室温で20分間、時々振盪しながら二度目の溶
出を行った。二度目のTFA溶液を最初のものと共にして保存した。保存した抽出物の体積
を、真空中で蒸発させて 1〜2μl とした。コントロール抽出(ブランクコア)は、染色
した蛋白質を欠いたゲル片を用いて行った。
【0057】
[実施例6]
[ペプチド質量フィンガープリント分析による蛋白質の同定]
MALDI 100ウェルターゲットプレートに、 1.5μl のサンプルを入れた。先に入れた消
化物に、同量のマトリックス( 50%(v/v) アセトニトリルおよび 0.1%(v/v) TFA に、 10
mg/ml の □-シアノ-4-ヒドロキシ桂皮酸を加えたもの)を加えた。サンプルを、真空容
器を用いて出来るだけ早く乾燥させた。 337nm窒素レーザーを備えた MALDI-TOF mass sp
ectrometer VoyagerTMElite and super STR (Applied Biosystems, Framingham, MA, USA
) を用いて、溶液から質量分析を行った。分析器は加速電圧 20kV 、遅延抽出パラメータ
100〜140ns 、低質量ゲート 850Da の反射モードで使用した。分子イオンの生成のため
に、レーザー出力を閾値よりも若干高め(閾値より10〜15% 高め)とした。10〜256回の
逐次のレーザー射撃の合計からスペクトルを得た。スペクトルから、最も高かった60個の
ピークに相当する質量を抽出し、 SmartIdent peptide mass fingerprint tool [4]
を用いて蛋白質の同定を行った。 SWISS-PROT database および TrEMBL database を用い
て研究を行った。クエリはヒト蛋白に限定し、合致する質量の最小の数を4、トリプシン
のオートリシス生成物を用いた内部キャブレーション後の質量の最大許容量を 50ppm と
し、トリプシン処理ペプチドの開裂失敗数の許容数は最大でひとつとし、また、許容する
修飾はシステインのヨードアセトアミドによるカルボキシメチル化、およびメチオニンの
人為的な酸化とした。
【0058】
[実施例7]
[ペプチド断片化分析法による蛋白質の同定(Q-TOF および MALDI-TOF/TOF)]
[Q-TOF]
nanoLC 分離に先立ち、溶液を含んだペプチドの体積を、 0.1%(v/v) 蟻酸水溶液を加え
て 7μl に調節した。サンプルを Triathlon autosampler (Spack, Emmen, Holland) に
かけた。各実験ごとに、溶液を含んだ 5μl のペプチドを、内径 75μm の C18逆相カラ
ム (YMS-ODS-AQ200, Michrom Bioresource, Auburn, CA) に注入した。 SunFlow pumps (
SunChrom, Friderichsdorf, Germany) を用いて、 0.1%(v/v) 蟻酸の存在下、アセトニト
リル成分でペプチドを溶出した。分流器を用いて、ポンプ以降の流量を 200μl/min から
0.4μl/min まで減少させた。ペプチドを Q-TOF mass spectrometer (Micromass, Wythe
nshawe, England) で分析した。 the nano-electrospray capillary (New Objective, Wo
burn, MA, USA) に 2700V の電圧をかけた。アルゴンを衝突ガスとして用いた。衝突エネ
ルギーは、前駆体イオン質量の関数として計算した。 MS/MSスペクトルは、MSモードとM
S/MSモードを自動的に切り替えることで得られた。得られたMS/MSデータは、 ProteinL
ynx software (Micromass, Wythenshawe, England) によって、互換性のあるフォーマッ
ト(DTAファイル)に変換し、 MASCOT search engine (http://www.matrixscience.com)
を用いてSWISS-PROT 、 TrEMBL 、 NCBInr 、および EST databasesで分析した。MS/MS
データを手動で解釈する場合には、 PROWL (http://prowl.rockefeller.edu) の Protein
Info search engine を用いてシーケンスのみの検索をして、同定を行った。
【0059】
[MALDI-TOF/TOF]
また、MS分析、およびMS/MS分析は、 200Hz Nd : YAG レーザーを 355nm で用いて、
Applied Biosystems Voyager TOF/TOFTMWorkstation を使用しても行われた。MS/MS分析
中には、空気を衝突ガスとして用いた。スペクトルは、逐次の200回〜2000回のレーザー
射撃の合計として得た。ピークの収集は、 Data Explorer software を使って自動的に行
った。ピークの分解も Data Explorer software を使って行ったが、ベースラインの補正
は生データに対して行った。クエリは、合致する質量の組の最小の数を4として、ウシ種
について行った。トリプシンのオートリシス生成物を用いた内部キャブレーション後の質
量の最大許容量を 50ppm とし、トリプシン処理ペプチドの開裂失敗数の許容数は最大で
ひとつとし、また、許容する修飾はカーバミドメチルシステイン類 ( carbamidomethyl
cysteines ) 、およびメチオニンの人為的な酸化とした。 SWISS-PROT & TrEMBL databa
ses を検索に用いた。 MS-TAG もしくは MS-Pattern tools (http://prospector.ucsf.ed
u/) を、PMF研究について従来に記載されているものと同一のパラメータで、調査のタイ
プに合わせて使用して、MS/MS 調査を行った。前駆体ピークの誤差を 50〜100ppmに設定
して、フラグメント許容値を 500〜1500ppm とした。MS/MSデータには、内部キャリブレ
ーションを行っていない。
【0060】
[実施例8]
[ApoC-III の比濁免疫分析法による検出]
COBAS MIRA plus automate を使用して、 ApoC-III の定量を行った( Apo C-III Auto
N-Daiichi kit (Instruchemie) )。コントロール30人、および卒中29人(出血性1
4人、虚血性13人、不明2人を含む)の血漿サンプルを試験した。図10にその結果を
示す。統計的 student t-test では、卒中とコントロールの血漿サンプルを識別すること
は出来なかった。しかしながら、14例の出血性と13例の虚血性とで ApoC-III の量を
比較したところ、p値 0.0342 で、 ApoC-III の発現に有意な差が群間に見られた。 6.5
mg/dL(カットオフ値)以上においては、感度 92.3% 、特異性 71.4% で虚血性卒中を診
断することが可能である。
【0061】
[実施例9]
[SAA の比濁免疫分析による検出]
卒中サンプルおよびコントロールサンプルのSAAの血漿中量の定量分析を行うために、
immunonephelometric kit (N Latex SAA, Dade Behring) を用いた。試験は、 IMMAGE(R)
Immunochemistry system 上で実行した。分析は、卒中血漿25例、健康なコントロール
血漿25例について行った。SAAの血漿中量は、全体的に、コントロール群(平均値= 32
.66mg/L )の方が、卒中群(平均値= 21.79mg/L )に較べて高くなっている。
【0062】
[参照文献]
[1] Laemmli, U. K., Nature 1970, 227, 680-5.
[2] Schagger, H. and Von Jagow, G., Anal. Biochem. 1987, 166, 368-79.
[3] Bienvenut, W. V., Sanchez, J. C., Karmime, A., Rouge, V., Rose, K., et al.,
Anal. Chem. 1999, 71, 4800-7.
[4] Gras, R. , Muller, M., Gasteiger, E., Gay, S., Binz, P. A., et al., Electrop
horesis 1999, 20, 3535-50.
上記で引用した文献のそれぞれは、本明細書に参照された程度に応じて本願に含まれる

【0063】
図1〜9および11において、横軸はDa単位(m/z比)の分子量を示し、また、縦
軸は信号強度、即ち、所与の分子量を有する物質の量を表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
卒中に罹患した疑いのある被験者について、卒中、もしくは卒中の可能性を診断する方
法であって、前記被験者から採取した体液サンプル中の、 Apo C-III 、血清アミロイドA
、 Apo C-I 、アンチトロンビンIIIフラグメント、および Apo A-I から選択される少な
くともひとつのポリペプチドの濃度を測定することを含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記ポリペプチドが、卒中に罹患した被験者の前記体液と、卒中に罹患していない被験
者の前記体液とに異なって含まれており、また、前記サンプル中の前記ポリペプチドの濃
度が、卒中の診断と合致しているか否かを決定することを含むことを特徴とする、請求項
1記載の方法。
【請求項3】
前記ポリペプチドの抗体を、前記濃度の測定に使用することを特徴とする、請求項1も
しくは2に記載の方法。
【請求項4】
前記体液が、脳脊髄液、血漿、血清、血液、涙液、もしくは尿であることを特徴とする
、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ポリペプチド濃度の前記測定が、診断された卒中が虚血性型もしくは出血性型のい
ずれかであるかを決定することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法

【請求項6】
前記被験者から採取した体液サンプルを質量分析法にかけて、前記サンプル中の前記ポ
リペプチドの試験量を測定するステップであって、卒中に罹患した被験者と、卒中に罹患
していない被験者の前記体液中には、前記ポリペプチドが異なって含まれているようなス
テップと、前記試験量が、卒中の診断と合致するか否かを決定するステップとを含むこと
を特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリペプチドが、卒中に罹患した被験者の前記体液中には存在し、また卒中に罹患
していない被験者の前記体液中には不在であることによって、体液サンプル中の前記ポリ
ペプチドの存在が卒中の指標になることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記
載の方法。
【請求項8】
前記ポリペプチドが、卒中に罹患した被験者の前記体液中には不在であり、また卒中に
罹患していない被験者の前記体液中には存在することによって、体液サンプル中の前記ポ
リペプチドの不在が卒中の指標になることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に
記載の方法。
【請求項9】
前記質量分析法は、レーザー脱離/イオン化質量分析法であることを特徴とする、請求
項6〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
固定化金属アフィニティーキャプチャー(IMAC)、ならびに疎水性、ならびに強アニオ
ン性もしくは弱カチオン性のイオン交換表面であって前記ポリペプチドと結合する能力を
持つ表面を有するプローブに、前記サンプルが吸着されることを特徴とする、請求項6〜
9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ポリペプチドを、表面増強レーザ脱離イオン化(SELDI)飛行時間型質量分析法(T
OF-MS)によって定量することを特徴とする、請求項6〜10のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項12】
前記サンプル中において、複数のペプチドを定量することを特徴とする、請求項1〜1
1のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
Apo C-III 、血清アミロイドA、 Apo C-I 、アンチトロンビンIIIフラグメント、およ
び Apo A-I から選択されるひとつのポリペプチド、またはそれらのポリペプチドの組み
合わせの、卒中に関する診断、予後、および治療用途への使用方法。
【請求項14】
卒中に罹患した被験者の体液中と、卒中に罹患していない被験者の体液中とでは、前記
ポリペプチドが異なって含まれていることを特徴とする、請求項13記載の使用方法。
【請求項15】
Apo C-III 、血清アミロイドA、 Apo C-I 、アンチトロンビンIIIフラグメント、およ
び Apo A-I から選択されるポリペプチドについて、認識する物質、結合する物質、もし
くは親和性を持つ物質の、卒中の診断、予後、治療用途への使用方法。
【請求項16】
Apo C-III 、血清アミロイドA、 Apo C-I 、アンチトロンビンIIIフラグメント、およ
び Apo A-I から選択されるポリペプチドについて、認識する物質、結合する物質、もし
くは親和性を持つ物質のそれぞれの組み合わせを使用することを特徴とする、請求項15
記載の使用方法。
【請求項17】
前記物質もしくは前記のそれぞれの物質が、抗体もしくは抗体チップであることを特徴
とする、請求項15もしくは16に記載の使用方法。
【請求項18】
前記物質は、 Apo C-III の抗体であることを特徴とする、請求項17記載の使用方法

【請求項19】
前記物質は、血清アミロイドAの抗体であることを特徴とする、請求項17記載の使用
方法。
【請求項20】
前記物質は、 Apo C-I の抗体であることを特徴とする、請求項17記載の使用方法。
【請求項21】
前記物質は、アンチトロンビンIIIフラグメントの抗体であることを特徴とする、請求
項17記載の使用方法。
【請求項22】
前記物質は、 Apo A-Iの抗体であることを特徴とする、請求項17記載の使用方法。
【請求項23】
Apo C-III 、血清アミロイドA、 Apo C-I 、アンチトロンビンIIIフラグメント、およ
び Apo A-I から選択されるポリペプチドについて、認識する物質、結合する物質、もし
くは親和性を持つ物質を含んだ箇所を有する固体基材を含むことを特徴とする、卒中診断
に用いるための分析装置。
【請求項24】
前記固体基材が、 Apo C-III 、血清アミロイドA、 Apo C-I 、アンチトロンビンIIIフ
ラグメント、および Apo A-I から選択されるポリペプチドについて、認識する物質、結
合する物質、もしくは親和性を持つ物質を含んだ複数の箇所を有することを特徴とする、
請求項23記載の分析装置。
【請求項25】
前記物質は、抗体もしくは抗体チップであることを特徴とする、請求項23もしくは2
4に記載の分析装置。
【請求項26】
それぞれの抗体についてのユニークな設置箇所を有することにより、個々のポリペプチ
ドのそれぞれについて分析して読み出すこと、または、ポリペプチドの任意の組み合わせ
について分析して読み出すことを特徴とする、請求項25記載の分析装置。
【請求項27】
Apo C-III の抗体を含むことを特徴とする、請求項23〜26のいずれか一項に記載の
分析装置。
【請求項28】
血清アミロイドAの抗体を含むことを特徴とする、請求項23〜26のいずれか一項に
記載の分析装置。
【請求項29】
Apo C-I の抗体を含むことを特徴とする、請求項23〜26のいずれか一項に記載の分
析装置。
【請求項30】
アンチトロンビンIIIの抗体を含むことを特徴とする、請求項23〜26のいずれか一
項に記載の分析装置。
【請求項31】
Apo A-Iの抗体を含むことを特徴とする、請求項23〜26のいずれか一項に記載の分
析装置。
【請求項32】
体液のサンプルを受けて質量分析器内に置くためのプローブを含み、前記サンプル中の
ポリペプチドの試験量を定量する、卒中の診断に用いるためのキットであって、前記ポリ
ペプチドが、 Apo C-III 、血清アミロイドA、 Apo C-I 、アンチトロンビンIIIフラグメ
ント、および Apo A-I 、またはそれらの任意の組み合わせから選択されることを特徴と
する、キット。
【請求項33】
前記プローブは、前記ポリペプチドを吸着するための吸着剤を含むことを特徴とする、
請求項32記載のキット。
【請求項34】
前記プローブから、結合していない物質、もしくは弱く結合した物質を除去するための
洗浄液をさらに含むことを特徴とする、請求項33記載のキット。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−221037(P2011−221037A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147291(P2011−147291)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【分割の表示】特願2006−523059(P2006−523059)の分割
【原出願日】平成16年8月16日(2004.8.16)
【出願人】(506049655)エレクトロフォレティックス リミテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】ELECTROPHORETICS LIMITED
【Fターム(参考)】