説明

卓上切断機

【課題】切削屑などの回収装置を機械ベース内に設けることにより、コンパクトで取り扱いの容易な集塵ボックス付き卓上切断機とする。
【解決手段】被削材を載置可能なベース1やターンテーブル3等からなるベース部と、被削材を切断する丸鋸刃を有する丸鋸部101と、丸鋸部を揺動可能に支持しベースより立設するホルダ等からなるホルダ部とを有する卓上切断機であって、切断時に発生する切粉を収容可能な集じんボックス5をベース1内に設け、丸鋸部101と集じんボックス5とを接続する切粉ガイド101Gを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は集じんボックスを有する卓上切断機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図10に従来の卓上切断機の構造を示す。
【0003】
従来の卓上切断機においては、木材などの切断の際に発生する切粉の回収にはダストバック17や本体から離れた場所に図示しない集じんボックスを設置していた。このように、ダストバッグ17又は集じんボックスによって、切粉を回収していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来の卓上切断機では、ダストバックでは切断屑の回収量が不十分な場合があった。また、ダストバッグは、卓上切断機から後方や上方へと卓上切断機本体よりも出てしまうものであった。製品本体から離れた場所に集じんボックスを設置した場合は運搬の際に本体と別個に持ち運ばなければならなく不便であるという欠点があった。
【0005】
本発明の目的は、上記した従来の欠点を解消し、切粉の回収量を多くすることができ、集じん装置によって卓上切断機の後方や上方へと出てしまうことがない卓上切断機を提供することである。また、卓上切断機と一体型で運搬に便利な集じんボックス付き卓上切断機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
被削材を載置可能なベース部と、被削材を切断する丸鋸刃を有する丸鋸部と、丸鋸部を揺動可能に支持しベースより立設するホルダ部とを有する卓上切断機であって、切断時に発生する切粉を収容可能な集じんボックスを前記ベース内に設け、前記丸鋸部と前記集じんボックスとを接続する切粉ガイドを設けたことを特徴とする卓上切断機によって、上記の目的を達成することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、切粉の回収量を多くすることができ、集塵装置によって卓上切断機の後方や上方へと出てしまうことを抑制することができる。また、卓上切断機と一体型で運搬に便利な集じんボックス付き卓上切断機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の第1の実施形態を図1から図8により説明する。
【0009】
図1は本発明となる卓上切断機の正面図。図2は本発明となる卓上切断機の図1のA部拡大図。図3は本発明となる卓上切断機の図2の集じんボックスを取り外した状態を示すA部拡大図。図4は本発明となる卓上切断機の平面図。図5は本発明となる卓上切断機の図4のB―B断面図。図6は本発明となる卓上切断機の右側面図。図7は本発明となる卓上切断機の図4のC―C断面図。図8は本発明となる卓上切断機の切断屑圧縮操作の詳細図である。
【0010】
図1において、卓上切断機は、ベース部と、ホルダ部100及び丸鋸部101とを有する。
【0011】
ホルダ部100は、下記するベース部に接続されており、丸鋸刃軸101A1の軸方向に揺動可能にベース部に支持されている。ホルダ部として、ホルダ100A、傾斜軸100A1、傾斜固定部材100B、バー100C、摺動部材100Dを有する。
【0012】
傾斜軸100A1によって、傾斜軸100A1を揺動の中心としてホルダ部は、丸鋸刃軸101A1の軸方向に揺動可能になっている。この揺動によって、ホルダ部は、丸鋸刃軸101A1の方向に対してベース部に対して傾斜可能になっている。その傾斜は、傾斜固定部材100Bによって傾斜を規制される。傾斜固定部材100Bを操作すると、傾斜固定部材100Bに設けられた当接部材がベース部をホルダ部に対して押し付けられ、これによって、傾斜された状態で、ベース部に対してホルダ部が揺動不能となる。
【0013】
ホルダ100Aには、バー100Cが2本設けられており、ホルダ100Aとほぼ直交する方向であって、ほぼベース部の上面と平行な方向に伸びている。バー100Cの一端は、ホルダ100Aと接続され保持されているが、他端は突き当て部材100C1が接続されており、突き充て部材100Cは、2本のバー100Cをつなぐように設けられている。2本のバー100Cによって挿通される摺動部材100Dが設けられており、摺動部材100Dは、バー100Cに対して摺動可能となっている。この構成によって、摺動部材100Dは、ベース部に対して相対位置変更可能な構成となっている。
【0014】
丸鋸部101は、ホルダ部の一部である摺動部材100Dと接続されている。接続は、揺動軸100Eを介されており、丸鋸部101は摺動部材100Dに揺動可能に支持されている。丸鋸部101は、図示しないモータに回転される丸鋸刃101Aと、丸鋸刃101Aを回転可能に支持する丸鋸刃軸101A1と、丸鋸刃の略上部を覆う丸鋸カバー101Bと、丸鋸刃101Aの略下部を覆う安全カバー101Cと、切断の際に用いられ丸鋸部前部上方に設けられるハンドル101Dと、持ち運びの際に用いられ丸鋸部上部に設けられるサブハンドル101Eと、図示しない被削材の切断の際に発生する切粉を回収するダクト101Fと、ダクト101Fへと切粉を案内可能な切粉案内部材101Gとを有する。なお、前記したように丸鋸部101は摺動部100Dに対して揺動可能であり、また、丸鋸部101は摺動部材100Dに接続されているために、丸鋸部はベース部に対して相対位置変更可能な構成となっている。
ベース部としてベース1、ターンテーブル3及びベース1上に立設するフェンス4を有する。ベース1にはターンテーブル3が嵌合し、ターンテーブル3はベース1に保持され、水平方向に回動自在となっており、ターンテーブル3の上面は、ベース1の上面と同一面となっている。ターンテーブル3の回動はノブ3Aによって回動規制可能となっている。
【0015】
図1に示すように、ベース1側面には集じんボックス5が設けられている。図2に示すように、ベース1に設けられた空洞6に集じんボックス5が入ることができるようになっている。なお、集じんボックス5は、切粉案内部材であるホース101Gによって、ダクト101Fと接続されており、切粉をダクトから集じんボックス5まで移動可能となっている。
【0016】
図2に図1のA部付近の拡大図を示す。なお、図1に示すホース101Gは取り外した状態である。ホース101Gは、ホース挿入穴2に接続することができるようになっている。集じんボックス5は、ベース1の側面からほぼ丸鋸刃軸101A1と同じ方向へと伸びるように設けられており、ほぼ丸鋸刃軸101A1と同じ方向に引き出すことによってベース1より取り出すことができる。なお、図3に集じんボックス5を引き出し、ベース1から取り出した状態を示している。集じんボックス5は、ベース1内部の他に使われていない空間を用いてベース内部に収納される。集じんボックス5の側面には、図2及び図6に示すような凹部5Aが設けられており、作業者が5Aに指などを入れ、丸鋸刃101A1の方向に引き出すことができるようになっている。ベース1には、リブ7が設けられており、集じんボックス5の丸鋸刃軸101A1と同じ方向に引き出す際のガイド部材となっている。また、集じんボックス5は、ベースに対して引き出されることを規制されることができる。ボルト9は、ベース1に挿通されており集じんボックス5に当接可能となっている。このため、ボルト9をベースに対して回転させると、ベース1に対してボルト9がバー100Cの方向へと進退可能となっており、ボルト9が集じんボックス5に当接すると、そのボルト9と集塵ボックス5の当接面の摩擦によって、集じんボックス5の引き出しを規制される。集じんボックス5の上部には、更に圧縮部材12と圧縮部材12に接続される軸部13Aを有する圧縮部材操作部材13が設けられている。なお、圧縮部材操作部材13は、集じんボックス5の側面に設けられている。ここで、圧縮部材12は丸鋸刃軸101A1方向に伸びる構成となっている。圧縮部材操作部材13を回動し操作すると、圧縮部材12が圧縮部材操作部材13の軸部13Aを回動中心として回動する。この回動によって、集じんボックス5内では、集じんボックス5内に切断材料を切断する際に発生する切粉の容積を圧縮することができる。これは、切粉は圧縮しない状態では空気などを含んでいるが、その空気などを追い出すことによって容積を圧縮することができるものである。また、集じんボックス5の上部側面には、圧縮部材12の回動を規制可能な圧縮部材回動規制部材14が設けられている。圧縮部材回動規制部材14は、図2に示すような圧縮部材12が回動していない際に、圧縮部材12と当接可能に設けられており、丸鋸刃軸101A1の軸方向に移動可能に設けられている。圧縮部材12は圧縮しない際には回動可能に設けられていると不意に回動する恐れがあり、作業の際に支障となる場合がある。このために、切粉を圧縮しない際には圧縮部材回動規制部材14を丸鋸刃軸101A1の軸方向に移動させ、圧縮部材12と当接させ圧縮部材12と集塵ボックス5の当接面の摩擦によって、圧縮部材12の回動を規制させることができる。
【0017】
図4は卓上切断機の要部を示す平面図である。
【0018】
集じんボックス5の上部側面には、排気口11が設けられており、切粉のダクト101Fからの移動に伴って移動した空気を排気することができるようになっている。なお、排気口11には、切粉が排気口より出ることがないように図示しないフィルタが設けられている。なお、卓上切断機の右側面図である図6にも排気口11を示されており、排気口11は、ベース1の一部に設けられた穴部に連通する構成となっており、集塵ボックス5より空気を排出することができる。
【0019】
図5に集じんボックス5内に切粉16が入っている状態を示す。切粉16は、重力によって、集じんボックス5の下方より溜まっていくものである。なお、図7が図6の切粉が入っている状態を示す断面図である。
【0020】
図8を用いて切粉の圧縮の際の動作を説明する。図8の(a)に示すように、切粉16が集じんボックス5内にほぼ充満した場合には、圧縮部材操作部材13を回動させることによって圧縮部材12を軸13Aを中心として回動させることができる。回動すると、切粉16内にあった空気が追い出されることによって、その容積が小さくなる。図8の(b)に示すように、切粉16の容積を圧縮した後には、逆に軸を回動させることによって圧縮部材を元の位置に戻すことができる。その位置で圧縮部材回動規制部材14を操作することによって、圧縮部材12を回動不能にすることができる。
【0021】
図9に第2の実施例を示す。集じんボックス5の反側面側にファン17が設けられている。また、ファン17に電気を供給可能なコード18が設けられている。ファン17によって、ダクト101Fよりより多くの切粉をホース101Gへと移動可能になり、より集じん効率を高くすることができるようになっている。なお、コード18への電気は、丸鋸刃を駆動する図示しないモータへと電気を供給する電源により供給される。
【0022】
本発明においては、丸鋸部のダクト101Fと、ベース1内に設けられた切粉を収納可能な集じんボックス5とを設け、丸鋸部と集じんボックス5とを接続する切粉ガイドであるホースを設けたために、集じんの際に切粉を内部に溜める部材である集じんバッグのように丸鋸部の上部及び後部へと出ることを抑制することができる。また、従来の集じんバッグのように卓上切断機と別体に設けられていないために、集じんの際に切粉を内部に溜める部材を持ち運ぶ際に面倒が少なくなる。なお、ベース1の使われていない空間を用いているために、卓上切断機の大型化は行われていない。
【0023】
また、集じんボックス5にファン17を設ける構成としたために、丸鋸部よりより多くの切粉を集じんボックス5へと移動可能になり、集じん効率を高くすることができる。
【0024】
また、集じんボックス5は、ベース1より取り出すことができるようになっているために、集じんボックス5内部に溜まった切粉を容易に廃棄することが可能である。
【0025】
また、集じんボックス5は、ボルト9によって、ベース1に対して移動を規制され位置固定可能に設けられているために、不意に集じんボックス5が移動することが抑制されるために、使い心地の良い卓上切断機とすることができる。
【0026】
また、集じんボックス5内に切粉を圧縮する圧縮手段である圧縮部材12を持つために、切粉の容積を小さくすることができる。そのため、作業性の良い卓上切断機とすることができる。
【0027】
また、圧縮手段12を固定可能な回動規制部材である圧縮部材回動規制部材14を設け、圧縮手段12の回動を規制可能としたために、圧縮手段12を回動させない際には、不意に圧縮手段12が回動しない構成とした。そのため、作業性の良い卓上切断機とすることができる。
【0028】
なお、本発明においては、丸鋸部がベース部に対して相対位置変更可能な構成としたが、相対位置変更に設けられていない構成でなくとも良いものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す卓上切断機の正面図
【図2】図1のA部拡大図
【図3】本発明の第1の実施の形態を示す卓上切断機の図2の集じんボックスを取り外した状態を示すA部拡大図
【図4】本発明の第1の実施の形態を示す卓上切断機の平面図
【図5】本発明の第1の実施の形態を示す卓上切断機の図4のB―B断面図
【図6】本発明の第1の実施の形態を示す卓上切断機の正面図
【図7】本発明の第1の実施の形態を示す卓上切断機の図4のC―C断面図
【図8】本発明の第1の実施の形態を示す卓上切断機の切断屑圧縮操作の詳細図
【図9】本発明の他の実施の形態を示す集じんボックス付近の平面図
【図10】従来の卓上切断機の正面図
【符号の説明】
【0030】
1・・・ベース、2・・・ホース挿入穴、3・・・ターンテーブル、4・・・フェンス、5・・・集じんボックス、7・・・リブ、8・・・ねじ穴、9・・・ボルト、10・・・ベースリブ、11・・・排気口、12・・・圧縮部材、13・・・圧縮部材操作部材、14・・・圧縮部材回動規制部材、15・・・ホース、
16・・・切粉、17・・・ダストバック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被削材を載置可能なベース部と、
被削材を切断する丸鋸刃を有する丸鋸部と、
丸鋸部を揺動可能に支持しベースより立設するホルダ部とを有する卓上切断機であって、
切断時に発生する切粉を収容可能な集じんボックスを前記ベース内に設け、
前記丸鋸部と前記集じんボックスとを接続する切粉ガイドを設けたことを特徴とする卓上切断機。
【請求項2】
前記集じんボックスは、切粉を集じんボックスへと吸入する吸入手段を有することを特徴とする請求項1に記載の卓上切断機。
【請求項3】
前記吸入手段は、ファンであることを特徴とする請求項2に記載の卓上切断機。
【請求項4】
前記集じんボックスは、ベースより取り出し可能であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項記載の卓上切断機。
【請求項5】
前記集じんボックスは、前記ベース部上面に略平行に移動可能であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項記載の卓上切断機。
【請求項6】
前記集じんボックスは、前記ベース部に対して位置固定可能に設けられることを特徴とする請求項3から請求項5までのいずれか1項記載の卓上切断機。
【請求項7】
前記集じんボックスに、切粉を圧縮可能な圧縮手段を有することを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項記載の卓上切断機。
【請求項8】
前記圧縮手段は、集じんボックスの前面に設けられたノブと、ノブに接続され集じんボックス内に設けられ集じんボックス内で位置変更可能なレバーとを有することを特徴とする請求項7に記載の卓上切断機。
【請求項9】
前記レバーの位置変更を固定するレバー固定手段を有することを特徴とする請求項8に記載の卓上切断機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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