説明

卓上型万華鏡

【課題】オブジェクトの変化する様を眼が疲れないようにして両眼で観察でき、オブジェクト容器も簡単に交換することができる卓上型万華鏡の提供。
【解決手段】平坦面101に載置される基台12と、該基台12に揺動可能に取り付けられるケース本体22と、少なくとも内側2面を反射面としてケース本体22内に収容される鏡体53と、ケース本体22を角度調整可能に支持する一対のガイド腕部42,42と、適宜のオブジェクト65を収容して配置されるオブジェクト容器62とを少なくとも備え、ケース本体22は、ガイド腕部42との間に各別に形成される角度調整機構46を介して揺動角度規制を可能に配設され、オブジェクト容器62は、手指の動きを駆動源としてケース本体22側に配設される回動機構34に対しその着脱と従動回転とを可能に配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オブジェクトの変化する様を楽な姿勢のもとで両眼を使って観察できるようにした卓上型万華鏡に関する技術である。
【背景技術】
【0002】
万華鏡は、1816年にスコットランド(イギリス)のデヴィッド・ブリュースターによって発明されたとされており、200年弱の時を経てめざましい発展を遂げて、多くの優れた作品が生み出されてきている。
【0003】
ここで、基本的な万華鏡の構造を説明すれば、角柱形状を呈する多面鏡と、該多面鏡を収容する筒体と、該筒体の後端側に配置される覗き窓と、筒体の先端側に配置されるビーズやスパンコールや鳥の羽根などの細片(本明細書では「オブジェクト」という。)を収容したオブジェクト容器とで構成されている。
【0004】
そして、このような構造からなる万華鏡は、観察者が覗き窓から片目で中を覗き込みながら手で持った筒体を回転させることで、オブジェクト容器内のオブジェクトが変化する幾何学模様を楽しむことができるようになっている。
【0005】
この場合における多面鏡は、2枚の鏡と1枚の無反射面とで三角柱を作ったり、3枚の鏡で三角柱を作るなど、各種のミラーシステムを採用することで形成されている。
【0006】
また、従来からある万華鏡のなかには、下記特許文献1に開示されているように観察者が両眼で変化する様を鑑賞できるようにしたものや、下記特許文献2に開示されているようにオブジェクト容器を交換できるようにしたものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−155287号公報
【0008】
【特許文献2】実用新案登録第3114922号公報
【0009】
これらのうち、特許文献1に開示されている万華鏡は、後端側に接眼部を配置した二本の多面鏡を備え、これらの多面鏡の先端側に1本のオブジェクト容器を自動回転可能に配置することで、観察者が両眼でオブジェクトが変化する様を観察できるようになっている。
【0010】
また、特許文献2に開示されている万華鏡は、筒体内に1本の多面鏡が収容されており、該多面鏡の先端側に多数のオブジェクトが収容されている透明なオブジェクト容器が手回しと交換とを可能に配置されており、観察者が片眼でオブジェクトの変化する様を観察できるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、上記特許文献1に開示されている万華鏡は、オブジェクト容器を自動回転させた際に、中で移動するオブジェクトの変化する様を両眼で観察することができるものの、その駆動機構が複雑でコスト高になるばかりでなく、観察者が子供であったり老人であったりする場合にその目線方向を最適な観察角度に調整することができない不便さもあった。
【0012】
また、上記特許文献2に開示されている万華鏡は、異なるオブジェクトが収容された複数種類のオブジェクト容器を用意しておき、該オブジェクト容器を交換してそれぞれのオブジェクトの変化する様を観察することができるものの、自分で好きなオブジェクトをオブジェクト容器内に入れて作ることができない不自由さがあったほか、これも片眼で観察しなければならないため、観察者が子供であったり老人であったりする場合には疲れやすいばかりでなく、その目線方向を最適な観察角度に調整することができないという不便さもあった。
【0013】
本発明は、従来技術にみられた上記課題に鑑み、観察者の目線方向を最適な観察角度に調整してオブジェクトの変化する様を眼が疲れないようにして両眼で観察できるほか、オブジェクト容器も自分で好きなオブジェクトを入れて作ったものを自由に、そして簡単に交換することができるようにした卓上型万華鏡を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記目的を達成すべくなされたものであり、平坦面に載置される基台と、該基台の左右幅方向にその先端縁部が揺動可能に取り付けられ、かつ、該先端縁部近傍に先端開口部を確保してなるケース本体と、少なくとも対向する内側2面が反射面となって前記ケース本体の後端開口部に両眼方向を長さ方向とする三角形状を呈する覗き窓から両眼による先端方向の観察を可能に前記ケース本体内に収容される鏡体と、前記基台上に立設されて前記ケース本体を角度調整可能に支持する一対のガイド腕部と、適宜のオブジェクトを収容してケース本体の前記先端開口部の左右幅方向にその軸方向を沿わせて配置される円筒状のオブジェクト容器とを備え、前記ケース本体は、前記ガイド腕部との間に各別に形成される角度調整機構を介して前記先端縁部を支点とする上下方向での揺動角度規制を可能に配設され、前記オブジェクト容器は、手指の動きを駆動源として前記ケース本体側に配設される回動機構に対しその着脱と従動回転とを可能に配置したことを最も主要な特徴とする。
【0015】
この場合、前記角度調整機構は、前記ケース本体の揺動方向を凹凸列方向とする一対の凹凸列部と、各ガイド腕部にあって前記凹凸列部と各別に対面する位置関係にあるそれぞれの対向面に常に突出方向に付勢されて配設される突起部とで構成し、前記凹凸列部に対する突起部の係止位置を変えることで前記ケース体の揺動角度を規制可能とするのが好ましい。
【0016】
また、前記回動機構は、ケース本体における前記先端開口部のやや上方に位置する左右幅方向の両外側面に配設される回転操作ダイヤルと、各回転操作ダイヤルと直結させて回転可能に横架される駆動側回転軸と、前記ケース本体内に位置する前記駆動側回転軸の一端部に軸着される駆動側ロープ車と、ケース本体の前記先端開口部の左右幅方向を軸方向として前記オブジェクト容器を下支えすべく前後2列となって回転可能に軸支される各従動側回転軸と、前記駆動側ロープ車の位置と対応する位置の各従動側回転軸に軸着される各従動側ロープ車と、前記駆動側ロープ車と各従動側ロープ車との間に一体に架け渡されるロープとで構成するのが望ましい。
【0017】
さらに、前記従動側回転軸の少なくともいずれか一方には、前記オブジェクト容器を円滑に従動回転させるための摩擦部材を軸着させておくことができる。また、前記基台における余白面には、予備のオブジェクト容器を安定的に載置させておくための凹部を設けておいてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、覗き窓から両眼でオブジェクト容器を観察することができるようにしてケース本体内に鏡体が収容されているほか、ケース本体自体も角度調整機構を介して上下方向にその揺動角度を規制することができるので、観察者の目線方向を最適な観察角度に調整して両眼でオブジェクトの変化する様を大きな画面のもとで眼が疲れないようにして観察することができる。
【0019】
また、オブジェクト容器は、手指の動きを駆動源としてケース本体側に配設される回動機構を介して観察者が自らの意思で従動回転させることができるので、オブジェクトの変化する様もその速度を思いのまま遅くしたり速くしながら多様なバリエーションのもとで楽しむことができる。
【0020】
しかも、オブジェクト容器自体は、ケース本体が備える回動機構から簡単に取り出して新たなものに交換することができるので、自分で好きなオブジェクトを入れて作っておいた種々のパターンのオブジェクト容器を、その時々の好みに応じて交換しながらその観察を繰り返すことで、想像力を刺激しながら豊かな発想力を身に付けさせることができ、特にお年寄りや子供に対し変化と興趣に富む視覚情報を送ることで、脳に刺激を与えてこれを活性化させる一助とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の構成例をオブジェクト容器側の配置関係とともに示す要部斜視図。
【図2】本発明におけるケース本体と鏡体との配置関係例を部分断面構造のもとで示す要部斜視図。
【図3】本発明の一例をケース本体の揺動状態とともに示す側面図。
【図4】ケース体と一対のガイド腕部との間に形成される角度調整機構の一例を、ガイド腕部側をケース体側から引き離した状態で示す要部分解斜視図。
【図5】本発明における角度調整機構の具体的な構成例を示す説明図。
【図6】本発明における回動機構の一例を示す要部斜視図。
【図7】本発明を利用しての観察者の観察操作状態例を示す全体斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
卓上型万華鏡11は、図1および図2からも明らかなように、机等の平坦面101に載置される基台12と、該基台12に揺動を可能に取り付けられるケース本体22と、向き合う内側2面を反射面56とし、残りの内側1面を無反射面58としてケース本体22内に収容される鏡体53と、ケース本体22を角度調整可能に支持する一対のガイド腕部42,42と、適宜のオブジェクト65を収容して配置されるオブジェクト容器62とを少なくとも備えて形成されている。
【0023】
これらのうち、基台12は、例えば左右の横幅が230mm程度、奥行きが390mm程度、板厚が10mm程度の面サイズを有する平坦な板状部材を用いて形成されている。
【0024】
また、基台12には、交換用に用意されているオブジェクト容器62を安定的に載置しておくための凹部13が、余白部として残されている例えば手前側表面に設けられている。
【0025】
また、ケース本体22は、対面合致する側面形状が付与されて左右に離間配置される各側板部24と、これら側板部24,24相互間の上面側を塞ぐ天板部27と下面側を塞ぐ底板部28とで形成される筒本体部23を基本形としてその全体が形成されている。
【0026】
すなわち、各側板部24は、水平下端面25aを有する支腕片部25と、これら水平下端面25a,25a相互間を塞いで基台12上に載置される底板部28と、該底板部28を基台12上に載置させた際に筒本体部23側が基台12との間に略30度の内角を形成して上向きに斜行するように支腕片部25側から延設された斜片部26とを備えて形成されている。
【0027】
この場合、ケース本体22における筒本体部23は、各側板部24における斜片部26,26相互間を天板部27と底板部28とで塞ぎ、かつ、各支腕片部25,25における後端面25b,25b相互間も閉止することで、前傾する中空部30がその内部に確保される。
【0028】
しかも、ケース本体22にあって側板部24の各支腕片部25と底板部28とで仕切られる先端領域には、オブジェクト容器42を配置するための先端開口部31が確保されることになる。
【0029】
また、底板部28の先端縁部28aは、例えば蝶番のような揺動連結材33を介して基台12側と連結されており、これによりケース本体22の全体が先端縁部28aを支点として持ち上げ・持ち下げ方向へと揺動させることができるようになっている。
【0030】
そして、ケース本体22自体は、基台12上に立設された一対のガイド腕部42,42との間に各別に形成される角度調整機構45を介して先端縁部28aを支点とする上下方向での揺動角度規制を可能にして配設されている。
【0031】
この場合における各角度調整機構45は、ケース本体22の揺動方向を凹凸列方向とする一対の凹凸列部47,47と、各ガイド腕部42にあって各凹凸列部47と各別に対面する位置関係にあるそれぞれの対向面に常に突出方向に付勢されて配設される例えば断面略三角形状を呈する突起部48とで構成されている。
【0032】
これを図3〜図5を参照してより詳しく説明すれば、各側板部24にあって支腕片部25近傍に位置する斜片部26のそれぞれの内側面26aには、ケース本体22の揺動方向を凹凸列方向とした緩い波形形状を呈する凹凸列部47がその幅方向を列方向として配置されている。
【0033】
また、一対のガイド腕部42,42は、基台12に支持される基板部43と、該基板部43からケース本体22の先端縁部28aを揺動中心点とする揺動方向に延設された弧状板部44とでそれぞれが一体形成されている。
【0034】
この場合、各弧状板部44側は、ケース本体22の底板部28に形成された導入孔29を介して中空部30内に導入できるように形成されており、中空部30内に導入されるそれぞれの開放端部44aには、凹凸列部47方向を常に突出方向として付勢されて該凹凸列部47と各別に直面する位置関係のもとで突起部48が配設されている。
【0035】
該突起部48は、図4および図5からも明らかなように、弧状板部44の開放端部44aに設けられている切欠部45の幅方向を長さ方向として支持固定されている支杆51に支持させた圧縮用コイルバネ50を介することで、切欠部45を覆うように固着されている支持金具49から常に突出する方向に付勢された状態のもとで、該支持金具49に強制的な後退を可能にして保持されている。
【0036】
図2は、ケース本体22の筒本体部23内に収容される一例としての鏡体53の断面構造を示すものであり、同図によれば、水平上辺部54の内側面54aと斜下辺部55の内側面55aとの2面を鏡面からなる反射面56とし、水平上辺部54との間の内角が直角の短辺としての縦辺部57の内側面57aを黒色面からなる無反射面58とした断面が直角三角形を呈する筒状に形成されている。
【0037】
つまり、ケース本体22の後端開口部32には、鏡体53における水平上辺部54が天板部27近傍にて平行に位置する直角三角形状を呈する覗き窓59が形成されることになり、該覗き窓59を介して両眼によるケース本体22の先端開口部31側を目視観察できることになる。
【0038】
この場合、覗き窓59からケース本体22の先端開口部31までの長さは、眼が疲れない視界焦点である例えば30cmの距離となるように設定するのが望ましい。
【0039】
オブジェクト容器62は、透明な有底円筒状の容器本体部63と、該容器本体部63の開口部64に施蓋される蓋部65とで形成されている。また、オブジェクト容器62内には、オブジェクト66は、好みに応じて選択される各種パターンのオブジェクト66が収容されている。
【0040】
また、オブジェクト容器62が着脱可能に配置されるケース本体22の先端開口部30には、図7に示すように手指Fの動きを駆動源とする回動機構34が配設されており、該回動機構34を介してオブジェクト容器62を従動回転させることができるようになっている。
【0041】
図6は、回動機構34の具体例を示すものであり、手指で回転させる回転操作ダイヤル35と、駆動側ロープ車37を備えて回転操作ダイヤル35と直結されている駆動側回転軸36と、従動側ロープ車39と摩擦部材40とを備えてオブジェクト容器62を前後2列で下支えする従動側回転軸38と、駆動側ロープ車37と従動側ロープ車39とに一体となって架け渡されるロープ41とで構成されている。
【0042】
これらのうち、指先を受け止めるための穴部35aを外表面に有する回転操作ダイヤル35は、ケース本体22における先端開口部31のやや上方に位置する左右幅方向の両外側面、つまり各側板部24における支腕片部25と斜片部26との境界部位の外表面側に各別に配設されている。
【0043】
また、駆動側回転軸は、ケース本体22内の左右幅方向をその長さ方向として各回転操作ダイヤル35と直結させた状態で架け渡されており、左側に位置する側板部24の内側近傍位置には、駆動側ロープ車37が軸着されている。
【0044】
従動側回転軸38は、ケース本体22における先端開口部31が位置する各側板部24における支腕片部25,25相互間における前後方向に2列に配列されて、その従動回転とオブジェクト容器62の下支えとを可能にして軸支されている。
【0045】
しかも、各従動側回転軸38は、左側に位置する支腕片部25の内側近傍位置には従動側側ロープ車39が、オブジェクト容器62との当接部位にがゴムリングなどの摩擦部材40がそれぞれ軸着された状態のもとでそれぞれが配設されている。
【0046】
そして、駆動側ロープ車37と各従動側ロープ車39との間には、それぞれのガイド溝37a,39aに案内させてシリコーンゴムなどの弾性素材からなるロープ41が一体となって架け渡されており、回転操作ダイヤル35を回転させた際の回転運動が駆動側ロープ車37と各従動側ロープ車39とを介して各従動側回転軸38に伝達することができるようになっている。なお、駆動側ロープ車37は、その外径を各従動側ロープ車39の外径よりも大径にすることで、オブジェクト容器62をより速く回転させることができるほか、その逆にしてオブジェクト容器62をより遅く回転させることができるようにすることもできる。
【0047】
次に、上記構成からなる本発明の作用・効果を説明すれば、図7に示すように子供やお年寄りを含む観察者Hは、机やテーブルなどの平坦面101に卓上型万華鏡11を載置した上で、まず、ケース本体22における後端開口部32の位置が自分の目線との関係で適切な高さ位置にあるか否かを判断する。
【0048】
観察者Hは、ケース本体22における後端開口部32の高さが自分の目線位置に最適だと判断した場合には、両眼Eをケース本体22の後端開口部32側に位置している覗き窓59に両眼Eを近づけて覗き込むと同時に、左側の回転操作ダイヤル35は左の手指Fで持ち、図に表れない右側の回転操作ダイヤルは右の手指で持ち、任意方向に回転させる。この場合、観察者Hは、回転操作ダイヤル35が備える穴部35aを利用して回転操作ダイヤル35を回転させることもできる。
【0049】
また、駆動側回転軸36は、回転操作ダイヤル35に直結されているのでこれも同方向に回転するとともに、これに軸着されているして駆動側ロープ車37も同方向に回転する。
【0050】
しかも、駆動側ロープ車37と各従動側ロープ車39との間には、ロープ41が緊張した状態で架け渡されているので、前後に配置されている各従動側回転軸38も従動回転する。
【0051】
オブジェクト容器62は、前列2個、後列2個の各摩擦部材40を介して前後に位置する各従動側回転軸38上に載置されているので、摩擦部材40の摩擦力により空転することなく円滑に従動回転させることができる。
【0052】
したがって、観察者Hは、覗き窓59からケース本体22の先端開口部31側に配置されている透明なオブジェクト容器62を通じて、中で転動するオブジェクト66の変化する様を両眼Eで観察することができる。
【0053】
しかも、図示例によれば、ケース本体22内に収容されている鏡体53は、ツーミラーシステムとなっているので、中心に一つ焦点を結んだ放射状の模様がその時々の回転速度のもとで変化する様を、観察者Hが大きな画面のもとで眼が疲れないようにして興味深く観察することができる。
【0054】
一方、観察者Hは、ケース本体22における後端開口部32の高さが自分の目線位置に合っていないと判断した場合には、図3に示すようにケース本体22の後端開口部32側を手で持って可動域が残されていれば下方に、可動域が残されていなければ上方に移動させる。
【0055】
この場合、ケース本体22は、底板部28の先端縁部28aが支点である揺動連結材33を介して基台12側に連結されているので、上下方向への揺動性は確保されている。
【0056】
しかも、ケース本体22と一対のガイド腕部42との間には、図4に示すように凹凸列部47と突起部48とからなる角度調整機構46が配設されているので、固定側であるガイド腕部42に配設されている突起部48に対し、移動側であるケース本体22に配設されている凹凸列部47を移動させることで、突起部48の頂端部48aが凹部47aに入り込む際には図5に示すように突出して係合させることができる。
【0057】
また、突起部48の頂端部48aが凸部47bを乗り越えようとする際には、突起部48自体が圧縮用コイルスプリング50の付勢力に抗して後退させることができるので、大きな力をかけることなく容易に乗り越えさせて次の凹部47aへと頂端部48aを簡単に送り込むことができる。
【0058】
つまり、観察者Hは、ケース本体22の後端開口部32側を手で持って単に上下方向に移動させて角度調整することで、覗き窓59の位置を簡単に自分の目線位置に簡単に合わせることができるので、大きな画面のもとで眼が疲れないようにして楽な姿勢のもとでオブジェクトの変化する様を心おきなく安心して観察することができる。
【0059】
しかも、オブジェクト容器62自体は、ケース本体22が備える回動機構34から簡単に取り出して新たなものに交換することができるので、自分で好きなオブジェクトを入れて作っておいた種々のパターンのオブジェクト容器(例えば、基台12の余白面の凹部13に載置されているオブジェクト容器62)を、その時々の好みに応じて交換しながらその観察を繰り返すことで、想像力を刺激しながら豊かな発想力を身に付けさせることができ、特にお年寄りや子供に対し変化と興趣に富む視覚情報を送ることで、脳に刺激を与えてこれを活性化させる一助とすることができる。
【0060】
以上は、本発明を図示例に基づいて説明したものであり、その具体的な構造はこれに限定されるものではない。例えば、鏡体53は、図示例のようなツーミラーシステムのほか、断面が直角三角形を呈する図示しないスリーミラーシステムにより形成されているものや、両眼Eが位置する覗き窓59の横方向を高さ方向とする断面が二等辺三角形を呈するツーミラーシステムやスリーミラーシステムのもとで形成されているものであってもよい。また、回動機構34は、噛合させた歯車列により回転を伝達できるようにした構造を備えるものであってもよい。さらに、各従動側回転軸38には、所望に応じて摩擦部材40を軸着させなかったり、いずれか一方の従動側回転軸38にのみ1以上の摩擦部材40を軸着したり、双方に2以上の摩擦部材40を軸着したりすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明に係る卓上型万華鏡は、大人向けの本格的な万華鏡としての用途に供することができるばかりでなく、子供のための情操教育玩具の一つとして供したり、高齢者の脳神経細胞に心地よい刺激を与える有力な機能回復訓練のためのツールとして有効に活用することができる。
【符号の説明】
【0062】
11 卓上型万華鏡
12 基台
13 凹部
22 ケース本体
23 筒本体部
24 側板部
25 支腕片部
25a 水平下端面
25b 後端面
26 斜片部
26a 内側面
27 天板部
28 底板部
28a 先端縁部
29 導入孔
30 中空部
31 先端開口部
32 後端開口部
33 揺動連結材
34 回動機構
35 回転操作ダイヤル
35a 穴部
36 駆動側回転軸
37 駆動側ロープ車
37a ガイド溝
38 従動側回転軸
39 従動側ロープ車
39a ガイド溝
40 摩擦部材
41 ロープ
42 ガイド腕部
43 基片部
44 弧状片部
45 切欠部
46 角度調整機構
47 凹凸列部
47a 凹部
47b 凸部
48 突起部
48a 頂端部
49 支持金具
50 圧縮用コイルスプリング
51 支杆
53 鏡体
54 水平上辺部
54a 内側面
55 斜下片部
55a 内側面
56 反射面
57 縦辺部
57a 内側面
58 無反射面
59 覗き窓
62 オブジェクト容器
63 容器本体部
64 開口部
65 蓋部
66 オブジェクト
101 平坦面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦面に載置される基台と、該基台の左右幅方向にその先端縁部が揺動可能に取り付けられ、かつ、該先端縁部近傍に先端開口部を確保してなるケース本体と、少なくとも対向する内側2面が反射面となって前記ケース本体の後端開口部に両眼方向を長さ方向とする三角形状を呈する覗き窓から両眼による先端方向の観察を可能に前記ケース本体内に収容される鏡体と、前記基台上に立設されて前記ケース本体を角度調整可能に支持する一対のガイド腕部と、適宜のオブジェクトを収容してケース本体の前記先端開口部の左右幅方向にその軸方向を沿わせて配置される円筒状のオブジェクト容器とを備え、前記ケース本体は、前記ガイド腕部との間に各別に形成される角度調整機構を介して前記先端縁部を支点とする上下方向での揺動角度規制を可能に配設され、前記オブジェクト容器は、手指の動きを駆動源として前記ケース本体側に配設される回動機構に対しその着脱と従動回転とを可能に配置したことを特徴とする卓上型万華鏡。
【請求項2】
前記角度調整機構は、前記ケース本体の揺動方向を凹凸列方向とする一対の凹凸列部と、各ガイド腕部にあって前記凹凸列部と各別に対面する位置関係にあるそれぞれの対向面に常に突出方向に付勢されて配設される突起部とで構成し、前記凹凸列部に対する突起部の係止位置を変えることで前記ケース本体の揺動角度を規制可能とした請求項1記載の卓上型万華鏡。
【請求項3】
前記回動機構は、ケース本体における前記先端開口部のやや上方に位置する左右幅方向の両外側面に配設される回転操作ダイヤルと、各回転操作ダイヤルと直結させて回転可能に横架される駆動側回転軸と、前記ケース本体内に位置する前記駆動側回転軸の一端部に軸着される駆動側ロープ車と、ケース本体の前記先端開口部の左右幅方向を軸方向として前記オブジェクト容器を下支えすべく前後2列となって回転可能に軸支される各従動側回転軸と、前記駆動側ロープ車の位置と対応する位置の各従動側回転軸に軸着される各従動側ロープ車と、前記駆動側ロープ車と各従動側ロープ車との間に一体に架け渡されるロープとで構成した請求項1または2に記載の卓上型万華鏡。
【請求項4】
前記従動側回転軸の少なくともいずれか一方には、前記オブジェクト容器を円滑に従動回転させるための摩擦部材を軸着させた請求項3に記載の卓上型万華鏡。
【請求項5】
前記基台における余白面には、予備のオブジェクト容器を安定的に載置させておくための凹部を設けた請求項1ないし4のいずれかに記載の卓上型万華鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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