説明

単一サイトパラジウム触媒錯体

【課題】重合反応および/またはヘックカップリング反応を容易にする触媒活性を示す、新規な単一サイトパラジウム触媒錯体を提供する。
【解決手段】単一のパラジウム金属中心及び置換されたトリ−アリールホスフィンリガンドを含む触媒構造物。特に、アリール基に結合した置換基としてはーSO3およびーSO2NR2から選択された基が好ましい。重合反応及びヘックカップリング反応を容易に実施するための、この触媒構造物の製造方法及び使用方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology)(NIST)によって与えられたATPアワード第70NANB4H3014号の下で米国政府支援によりなされた。米国政府は本発明に於いて一定の権利を有する。
本件特許出願は、2005年8月31日付で出願された米国仮特許出願第60/713,044号の利益を請求する。
本発明は、単一のパラジウム金属中心及び置換されたトリ−アリールホスフィンリガンドを含む触媒錯体に関する。本発明は、また、重合反応及び/又はヘック(Heck)カップリング反応を容易に実施するための、このような触媒組成物の製造方法及び使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
重合反応及びヘックカップリング反応を容易に実施する用途のための新規な触媒錯体の同定は重要である。例えば、重合反応に触媒作用するために活性である新規な触媒錯体の同定は、特に重要なものである。即ち、極性モノマーを制御された方式で重合することができる新規な触媒錯体についての、及び極性モノマーをオレフィン(例えば、エチレン、プロピレン)と穏和な反応条件下で共重合するための工業的に広範囲な要求が存在する。ポリマーの特性を改質するための多くのアプローチの中で、官能基を他の様式の非極性物質の中に組み込むことは、多くの状況に於いて理想的であろう。極性基を非極性物質の中に組み込むことは、得られるコポリマーの種々の物理的特性、例えば、靱性、接着性、バリヤー特性及び表面特性に対する改質になり得る。これらの物理的特性に於ける変化は、改良された耐溶媒性、他のポリマーとの混和性及びレオロジー特性並びに塗装性、染色性、印刷性、光沢、硬度及び表面摩耗抵抗のような製品性能になり得る。
【0003】
ヘックカップリング反応のために活性である新規な触媒錯体の同定は、また、特別に商業的に重要なことである。
【0004】
パラジウム触媒錯体の一つのグループが、Drentらの国際特許出願公開第WO00/06615号に開示されている。Drentらは、3未満のpKaを有する酸から誘導されたアニオンで錯化されたパラジウム金属中心を含み、そして元素の周期表の第VA族の原子(但し、この第VA族原子は、少なくとも1個のアリール基で置換されており、該アリール基はオルト位で極性基で置換されている)を含有するパラジウム触媒錯体のグループを開示している。
【特許文献1】国際公開第00/06615号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
にもかかわらず、重合反応及び/又はヘックカップリング反応を容易に実施するための触媒活性を示す、新規な単一サイトパラジウム触媒錯体についての要求が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの面に於いて、少なくとも1個のリガンドで錯化されたパラジウム金属中心を含む触媒組成物であって、少なくとも1個のリガンドが、下記の式:
【0007】
【化1】

【0008】
(式中、R〜R14は、独立に、水素;ハロゲン;並びにC〜C20アルキル、C〜C20シクロアルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、フェニル、ビフェニル、C〜C20カルボキシラート、C〜C20アルコキシ、C〜C20アルケニルオキシ、C〜C20アルキニルオキシ、アリールオキシ、C〜C20アルコキシカルボニル、C〜C20アルキルチオ、C〜C20アルキルスルホニル、C〜C20アルキルスルフィニル、シリル及びこれらの誘導体から選択された置換基;から選択され、R15は、−SO、−SON(R18)、−CO、−PO、−AsO、−SiO、−C(CFOから選択され;R18は、水素;ハロゲン;並びにC〜C20アルキル、C〜C20シクロアルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、フェニル、ビフェニル、C〜C20カルボキシラート、C〜C20アルコキシ、C〜C20アルケニルオキシ、C〜C20アルキニルオキシ、アリールオキシ、C〜C20アルコキシカルボニル、C〜C20アルキルチオ、C〜C20アルキルスルホニル、C〜C20アルキルスルフィニル、シリル及びこれらの誘導体から選択された、置換された又は置換されていない置換基;から選択され;但し、R〜R10は全てが水素ではなく;但し、R、R、R及びRが、それぞれ水素であるとき、R、R、R及びR10の何れも、CH、CF、F、SMe、ビフェニル又はフェノキシではなく;そして但しR15が、−SO、−CO、−PO、−AsO又は−SiOであるとき、R、R、R及びR10の何れも、極性基ではない)
に従った構造を有する触媒組成物が提供される。
【0009】
本発明の他の面に於いて、少なくとも1個のリガンドで錯化されたパラジウム金属中心を含む触媒組成物であって、少なくとも1個のリガンドが、下記の式:
【0010】
【化2】

【0011】
(式中、R〜R14は、独立に、水素;ハロゲン;並びにC〜C20アルキル、C〜C20シクロアルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、フェニル、ビフェニル、C〜C20カルボキシラート、C〜C20アルコキシ、C〜C20アルケニルオキシ、C〜C20アルキニルオキシ、アリールオキシ、C〜C20アルコキシカルボニル、C〜C20アルキルチオ、C〜C20アルキルスルホニル、C〜C20アルキルスルフィニル、シリル及びこれらの誘導体から選択された置換基;から選択され;R、R、R及びR10の少なくとも1個は、フェニル及びフェニルの誘導体から選択され;そしてR15は、−SO、−SON(R18)、−CO、−PO、−AsO、−SiO、−C(CFOから選択され;R18は、水素;ハロゲン;並びにC〜C20アルキル、C〜C20シクロアルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、フェニル、ビフェニル、C〜C20カルボキシラート、C〜C20アルコキシ、C〜C20アルケニルオキシ、C〜C20アルキニルオキシ、アリールオキシ、C〜C20アルコキシカルボニル、C〜C20アルキルチオ、C〜C20アルキルスルホニル、C〜C20アルキルスルフィニル、シリル及びこれらの誘導体から選択された、置換された又は置換されていない置換基;から選択される)
に従った構造を有する触媒組成物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本明細書及び付属する特許請求の範囲で使用されるとき、用語「極性基」は、原子のグループと分子の残部との間の結合が、炭素原子と、窒素、酸素及び硫黄から選択されたヘテロ原子との間にある、原子のグループを指す。
【0013】
本発明の幾つかの態様に於いて、触媒組成物は、少なくとも1個のリガンドで錯化されたパラジウム金属中心を含み、ここで少なくとも1個のリガンドは、下記の式に従った構造を有する:
【0014】
【化3】

【0015】
(式中、R〜R14は、独立に、水素;ハロゲン;並びにC〜C20アルキル、C〜C20シクロアルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、フェニル、ビフェニル、C〜C20カルボキシラート、C〜C20アルコキシ、C〜C20アルケニルオキシ、C〜C20アルキニルオキシ、アリールオキシ、C〜C20アルコキシカルボニル、C〜C20アルキルチオ、C〜C20アルキルスルホニル、C〜C20アルキルスルフィニル、シリル及びこれらの誘導体から選択された置換基;から選択され;R15は、−SO、−SON(R18)、−CO、−PO、−AsO、−SiO、−C(CFOから選択され;あるいはR15は、−SO及び−SON(R18)から選択され;あるいはR15は−SOであり;あるいはR15は−SON(R18)であり;R18は、水素;ハロゲン;並びにC〜C20アルキル、C〜C20シクロアルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、フェニル、ビフェニル、C〜C20カルボキシラート、C〜C20アルコキシ、C〜C20アルケニルオキシ、C〜C20アルキニルオキシ、アリールオキシ、C〜C20アルコキシカルボニル、C〜C20アルキルチオ、C〜C20アルキルスルホニル、C〜C20アルキルスルフィニル、シリル及びこれらの誘導体から選択された、置換された又は置換されていない置換基;から選択され;但し、R〜R10は全てが水素ではなく;但し、R、R、R及びRが、それぞれ水素であるとき、R、R、R及びR10の何れも、CH、CF、F、SMe、ビフェニル又はフェノキシではなく;そして但しR15が、−SO、−CO、−PO、−AsO又は−SiOであるとき、R、R、R及びR10の何れも、極性基ではない)。
【0016】
本発明の幾つかの態様に於いて、R、R、R及びR10の何れも、CH、CF、F、SMe、ビフェニル及びフェノキシから選択されない。
【0017】
本発明の幾つかの態様に於いて、R〜Rから選択された、2個以上の隣接するR基は、結合して、置換された又は置換されていない、飽和又は不飽和の環構造を形成することができる。
【0018】
本発明の幾つかの態様に於いて、R〜R10から選択された、2個以上の隣接するR基は、結合して、置換された又は置換されていない、飽和又は不飽和の環構造を形成することができる。
【0019】
本発明の幾つかの態様に於いて、R11〜R14から選択された、2個以上の隣接するR基は、結合して、置換された又は置換されていない、飽和又は不飽和の環構造を形成することができる。
【0020】
本発明の幾つかの態様に於いて、R、R、R及びR10の少なくとも1個は、フェニル及びその誘導体から選択される。これらの態様の幾つかの面に於いて、R、R、R及びR10の少なくとも1個は、オルト置換されたフェニルである。これらの態様の幾つかの面に於いて、オルト置換されたフェニルは、2,6−R1617−フェニル(式中、R16及びR17は、独立に、水素、ハロゲン、C〜C20アルキル、C〜C20シクロアルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、フェニル、ビフェニル、C〜C20カルボキシラート、C〜C20アルコキシ、C〜C20アルケニルオキシ、C〜C20アルキニルオキシ、アリールオキシ、C〜C20アルコキシカルボニル、C〜C20アルキルチオ、C〜C20アルキルスルホニル、C〜C20アルキルスルフィニル、シリル及びこれらの誘導体から選択される)である。これらの態様の幾つかの面に於いて、前記基の誘導体には、任意に、直鎖又は分枝鎖C〜Cアルキル、直鎖又は分枝鎖C〜Cハロアルキル、直鎖又は分枝鎖C〜Cアルケニル及びハロアルケニル、ハロゲン、硫黄、酸素、窒素、リン並びに直鎖又は分枝鎖C〜Cアルキル、直鎖又は分枝鎖C〜Cハロアルキル及びハロゲンで任意に置換されたフェニルから選択されたヒドロカルビル及び/又はヘテロ原子置換基で、任意に置換されたこのような基が含まれてよい。これらの態様の幾つかの面に於いて、シクロアルキル及びシクロアルケニル基は、単環式又は多環式であってよい。これらの態様の幾つかの面に於いて、アリール基には、単環(例えば、フェニル)又は縮合環系(例えば、ナフチル、アントラセニル)が含まれてよい。これらの態様の幾つかの面に於いて、シクロアルキル、シクロアルケニル及びアリール基は、一緒になって、縮合環系を形成することができる。これらの態様の幾つかの面に於いて、単環式及び多環式環系のそれぞれは、任意に、水素、直鎖及び分枝鎖C〜Cアルキル、直鎖及び分枝鎖C〜Cハロアルキル、直鎖及び分枝鎖C〜Cアルコキシ、塩素、フッ素、ヨウ素、臭素、C〜C10シクロアルキル、C〜C15シクロアルケニル並びにC〜C30アリールから独立に選択された置換基で、単置換又は多置換されていてよい。
【0021】
本発明の幾つかの態様に於いて、R、R、R及びR10の少なくとも1個は、2,6−ジメトキシフェニルである。
【0022】
本発明の幾つかの態様に於いて、R15は−SOである。
【0023】
本発明の幾つかの態様に於いて、R15は−SON(R18)である。
【0024】
本発明の触媒組成物は、例えば、重合触媒として及び/又はヘックカップリング反応触媒として使用することができる。本発明の幾つかの態様に於いて、この触媒組成物は、エチレンとα−オレフィンとを共重合するために有用である。
【0025】
本発明の幾つかの態様を、下記の実施例に於いて詳細に記載する。実施例に於いて以下に記載した全ての画分及びパーセンテージは、他の方法で特定しない限り重量基準である。表1に示した化学構造は、例えば、Brownら著、「有機化学(Organic Chemistry)」、ブルックス−コール社(Brooks−Cole)、第4版、2004年に記載されているような、分子のルイス構造を描くための一般的規則に従って描かれた。
【実施例】
【0026】
実施例1−16
(リガンド合成)
下記に示す一般的手順に従って、表1内で同定した成分A及び成分Bを、表1に記載した量で使用して、表1に記載した生成物固体を、それぞれ実施例1〜15について報告した収率で製造した。
【0027】
成分Aを、100mLのフラスコ(「フラスコA」)に添加し、次いで真空下に置き、そして窒素を再充填し、そして60mLのテトラヒドロフラン(THF)を装填した。次いで、フラスコAを氷浴中に置き、そして0℃にまで冷却した。次いで、10.1mLの2.5モル濃度n−BuLiを注入した。次いで、フラスコAをドライアイス/アセトン浴中に置き、そして約−78℃にまで冷却した。
【0028】
別の500mLのシュレンクフラスコ(「フラスコB」)を真空下に置いた。フラスコBを窒素でパージし、そして〜50mLのTHFを装填した。次いで、フラスコBをドライアイス/アセトン浴中に置き、そして約−78℃にまで冷却した。次いで、1.10mLのPClを、攪拌しながらフラスコBに添加した。次いで、フラスコAの内容物を、激しく攪拌しながらカニューレを使用して、フラスコBにゆっくり移した。
【0029】
別の100mLのフラスコ(「フラスコC」)を窒素でパージし、そして窒素を充填した。次いで、フラスコCに、〜60mLのTHF及び成分Bを装填した。次いで、フラスコCをドライアイス/アセトン浴中に置き、そして攪拌しながら約−78℃にまで冷却した。10.1mLの2.5モル濃度n−BuLiをフラスコCに添加し、そして約15分間反応させた。次いで、フラスコCの内容物を、連続して激しく攪拌しながらカニューレを使用して、−78℃に維持したフラスコBに移した。フラスコCの内容物のフラスコBの中への完全な添加に続いて、フラスコBを、約30分間かけて室温にまで加温した。次いで、フラスコBの内容物を、500mLの回収フラスコ(フラスコD)の中に注ぎ、そしてTHFを除去して、固体を残した。次いで、フラスコD内の固体を、蒸留水と混合し、次いで分離フラスコ(フラスコE)に移した。100mLのCHClを、フラスコEの内容物に添加した。フラスコEを振盪して、2つの層を混合した。次いで、約5mLの濃HClをフラスコEに添加した。フラスコEを再び振盪した。次いで、フラスコE内の混合物を沈降させて、2つの層、即ち、底に有機相及び上部に水性相を形成させた。有機層を集めた。水性相を50mLのCHClで洗浄した。有機洗浄物質を集め、そして前に集めた有機層物質に添加した。次いで、一緒にした有機物質を、MgSOと接触させ、乾固するまで回転蒸発させて、固体を残した。次いで、この固体を、最初にジエチルエーテルで、次いでTHFで洗浄して、不純物を除去した。洗浄した生成物固体を、表1に報告した収量で、濾過によって集めた。
【0030】
【表1】

【0031】
【表2】

【0032】
【表3】

【0033】
【表4】

【0034】
実施例16
構造VIのリガンドのカリウム塩の合成
実施例6に従って製造した生成物固体(即ち、リガンド構造VI)のサンプル0.45g(0.81ミリモル)を、反応フラスコ内の50mLのTHFに、激しく攪拌しながら添加して、リガンド溶液を形成させた。別の容器内で、0.10g(0.88ミリモル)のカリウムtert−ブトキシドを、20mLのTHF中に溶解させた。次いで、得られたカリウムtert−ブトキシド溶液を、反応フラスコの内容物に、攪拌しながら滴下により添加した。カリウムtert−ブトキシド溶液の添加に続いて、反応フラスコの内容物を、THF溶媒の幾らかの真空抽出によって減少させ、反応フラスコ内に約25mLの生成物溶液を残した。次いで、20mLのペンタンを添加することによって、リガンドのカリウム塩を、残留する生成物溶液から沈殿させた。沈殿したリガンドのカリウム塩を、微細多孔度フリットを通過させる濾過によって回収し、ペンタン3×20mLで洗浄した。次いで、リガンドのカリウム塩を真空に付して残留する揮発物質を除去し、暗橙色生成物粉末0.40g(0.67ミリモル、83%)を残した。
【0035】
実施例17
構造VIIのリガンドの銀塩の合成
実施例7に従って製造した生成物固体(即ち、リガンド構造VII)のサンプル0.75g(1.43ミリモル)を、反応フラスコ内の50mLのメタノールに、激しく攪拌しながら添加した。別の容器内で、0.23g(1.36ミリモル)の硝酸銀を、50mLの脱イオン水中に溶解させた。次いで、得られた硝酸銀溶液を、反応フラスコの内容物に、激しく攪拌しながら滴下により添加した。硝酸銀溶液の添加に続いて、反応フラスコの内容物の攪拌を20分間続けた。次いで、反応フラスコの内容物を、溶媒の幾らかの真空抽出によって減少させ、約50mLを残し、グレー色の沈殿の生成になった。この沈殿を、微細多孔度フリットを通過させる濾過によって回収し、水2×20mLで洗浄した。次いで、リガンドの銀塩を減圧下で乾燥させて、暗グレー色生成物粉末(0.35g、0.62ミリモル、44%)を残した。
【0036】
実施例18−31
(遷移金属触媒錯体の製造)
表2内で同定した成分Aのサンプルを、反応フラスコ内の30mLのテトラヒドロフランに攪拌しながら添加した。次いで、反応フラスコの内容物に、表2内で同定した成分Bを、攪拌を継続しながら添加した。次いで、反応フラスコの内容物を30分間攪拌し、その後、表2内で同定した成分Cを添加した。次いで反応フラスコの内容物を、真空下で減少させ、ペンタンを添加して生成物触媒錯体を沈殿させた。生成物触媒錯体を、微細多孔度フリットを通過させる濾過によって集め、そしてペンタン2×20mLで洗浄した。次いで生成物触媒錯体を真空に付して、残留する揮発物質を除去し、表2に報告した生成物収量を残した。
【0037】
【表5】

【0038】
【表6】

【0039】
実施例32
(遷移金属触媒錯体の製造及びヘックカップリング)
反応フラスコに、0.02g(30マイクロモル)の酢酸パラジウム及び0.025g(70マイクロモル)の実施例13に従って製造した生成物固体(即ち、リガンド構造XIII)を装填した。この内容物を1.5mLのベンゼン中に溶解させた。反応フラスコに、ブロモベンゼン(50μL、0.21ミリモル)及びアクリル酸メチル(50μL、0.58ミリモル)を添加し、続いて過剰の酢酸ナトリウムを添加した。この反応物を24時間加熱した。試薬の制限に基づいて、3−フェニルアクリル酸メチルエステルへの転化率は30%であると決定された。
【0040】
実施例33
(触媒製造/重合)
グローブボックス内の、攪拌棒を取り付けた8mLのセラムバイアルに、パラジウムビス(ジベンジリデンアセトン)(41.1mg、72.0マイクロモル)、実施例9に従って製造した生成物固体(即ち、リガンド構造IX)(45.0mg、86.4マイクロモル)及びトルエン(4.5mL)を装填した。セラムバイアルの内容物を10分間攪拌して、赤/褐色混合物(即ち、触媒錯体)を製造した。
【0041】
グローブボックス内の反応器セルに、アクリル酸メチル(1.0mL、11.1ミリモル)を装填し、続いてトルエン(4.0mL)を添加した。次いで、反応器を攪拌しながら100℃まで加熱した。次いで、反応器セルをエチレンガスで400psigまで加圧した。平衡になった後、上記のような触媒錯体のサンプル(0.5mL、8マイクロモルPd)を、反応器セルの中に注入し、続いて0.5mLのトルエンリンス液を注入した。60分間後に、反応器セルを排気し、そして冷却した。次いで、反応器セルをグローブボックスから取り出した。反応器セルには、黒色沈殿と共に緑に着色した液体が含まれていることが観察された。この黒色沈殿は、酸性にしたMeOH(10%HCl)に添加したとき、溶解した。ポリマーが生成したことは観察されなかった。
【0042】
実施例34
(触媒製造/重合)
実施例9に従って製造した生成物固体(即ち、リガンド構造IX)のサンプル(0.640g、1.40ミリモル)を、反応フラスコ内の30mLのTHFに攪拌しながら添加した。次いで、ジメチルテトラメチルエチレンジアミンパラジウム(II)(0.350g、1.40ミリモル)を、反応フラスコに攪拌しながら添加した。反応フラスコの内容物を30分間攪拌し、その後、乾燥ピリジン(0.185mL、2.1ミリモル)を添加した。次いで、反応フラスコの内容物を真空下で減少させ、そしてペンタンを添加して触媒錯体を沈殿させた。触媒錯体を、微細多孔度フリットを通過させる濾過によって集め、そしてペンタン2×20mLで洗浄した。次いで触媒錯体を真空に付して、残留する揮発物質を除去し、白色固体(0.68g、1.09ミリモル、78%)を残した。
【0043】
グローブボックス内の反応器セルに、アクリル酸メチル(1.0mL、11.1ミリモル)を装填し、続いてトルエン(4.0mL)を装填した。次いで、セルの内容物を80℃まで加熱し、そしてエチレンガスで400psigまで加圧した。平衡になった後、上記製造した触媒錯体のサンプル(3mg、4.8マイクロモル)を、0.5mLのトルエン中に溶解させ、反応器セルの中に注入し、続いて0.5mLのトルエンリンス液を注入した。60分間後に、反応器セルを排気し、そして冷却した。次いで、反応器セルの内容物をグローブボックスから取り出し、急速に攪拌したMeOHに添加した。60分間後に、得られた混合物をガラスフリット上で濾過し、過剰のMeOHで洗浄し、そして真空下で60℃で一晩乾燥させた。主題の反応によって、0.10gのエチレン及びアクリル酸メチルのランダムコポリマーが得られた。
【0044】
実施例35−42
(重合)
グローブボックス内の反応器セルに、表3内で同定したモノマー成分を装填し、続いてTHF(4.0mL)を装填した。次いで反応器セルの内容物を80℃まで加熱し、そしてエチレンガスで400psigまで加圧した。平衡になった後、表3内で同定した触媒成分を含有する、0.5mLのテトラヒドロフランを、反応器セルの中に注入し、続いてテトラヒドロフランリンス液(0.5mL)を注入した。60分間後に、反応器セルを排気し、そして冷却した。次いで、反応器セルの内容物をグローブボックスから取り出し、そして急速に攪拌したMeOHに添加した。60分間攪拌後に、ポリマーを真空濾過し、そして真空下で60℃で18時間乾燥させた。この反応から得られたランダムコポリマーの生成物収量は、表3に報告した通りであった。
【0045】
【表7】

【0046】
実施例43
(重合)
グローブボックス内の、攪拌棒を取り付けた8mLのセラムバイアルに、パラジウムビス(ジベンジリデンアセトン)(41.1mg、72.0マイクロモル)、実施例12に従って製造した生成物固体(即ち、リガンド構造XII)のサンプル(45.0mg、86.4マイクロモル)及びトルエン(4.5mL)を添加した。セラムバイアルの内容物を10分間攪拌して、赤/褐色混合物(即ち、触媒錯体)を製造した。
【0047】
グローブボックス内の3個の別個の反応器セルに、それぞれ、アクリル酸ブチル(1.0mL、11.1ミリモル)を装填し、続いてトルエン(4.0mL)を装填した。次いで、別個の反応器セルの内容物を、エチレンガスで400psigまで加圧し、そして表4に記載した温度に加熱した。平衡になった後、上記製造した触媒錯体のサンプル0.5mL(8.0マイクロモルPd)を、それぞれの反応器セルの中に注入し、続いてトルエンリンス液(0.5mL)を注入した。60分間後に、反応器セルを排気し、そして冷却した。次いで、反応器セルの内容物をグローブボックスから取り出し、別々に、急速に攪拌したMeOHに添加した。60分間攪拌した後に、それぞれの反応器セル内の生成物ポリマーを別々に真空濾過し、そして真空下で60℃で18時間乾燥させた。それぞれの反応器セルについての、ポリマー収量、アクリル酸ブチル組み込み、重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn及びPDI(即ち、Mw/Mn)を表4に報告する。
【0048】
【表8】

【0049】
実施例44
(重合)
グローブボックス内の反応器セルに、スチレン(1.0mL、8.73ミリモル)及びノルボルネン(1.0mL、7.98ミリモル、トルエン中85モル%ノルボルネン)を装填した。次いで、この反応器セルにトルエン(4.0mL)を装填した。次いで、反応器セルの内容物を80℃まで加熱し、そしてエチレンガスで400psigまで加圧した。平衡になった後、実施例18に従って製造した触媒錯体のサンプル(1.6mg、2マイクロモル)を、0.5mLのトルエン中に溶解させ、反応器セルの中に注入し、続いて0.5mLのトルエンリンス液を注入した。60分間後に、反応器セルを排気し、そして冷却した。次いで、反応器セルの内容物をグローブボックスから取り出し、そして急速に攪拌したMeOHに添加した。60分間後に、得られた混合物をガラスフリット上で濾過し、過剰のMeOHで洗浄し、そして真空下で60℃で一晩乾燥させた。主題の反応によって、0.20gのエチレン、スチレン及びノルボルネンのランダムコポリマーが得られた。
【0050】
実施例45
(重合)
グローブボックス内の反応器セルに、アクリル酸メチル(1.0mL、11.1ミリモル)及びノルボルネン(1.0mL、7.98ミリモル、トルエン中85モル%ノルボルネン)を装填した。次いで、この反応器セルにトルエン(4.0mL)を装填した。次いで、反応器セルの内容物を80℃まで加熱し、そしてエチレンガスで400psigまで加圧した。平衡になった後、実施例18に従って製造した触媒錯体のサンプル(1.6mg、2マイクロモル)を、0.5mLのトルエン中に溶解させ、反応器セルの中に注入し、続いて0.5mLのトルエンリンス液を注入した。60分間後に、反応器セルを排気し、そして冷却した。次いで、反応器セルの内容物をグローブボックスから取り出し、そして急速に攪拌したMeOHに添加した。60分間後に、得られた混合物をガラスフリット上で濾過し、過剰のMeOHで洗浄し、そして真空下で60℃で一晩乾燥させた。主題の反応によって、0.59gのエチレン、アクリル酸メチル及びノルボルネンのランダムコポリマーが得られた。
【0051】
実施例46
(重合)
グローブボックス内の反応器セルに、アクリル酸メチル(1.0mL、11.1ミリモル)及びスチレン(1.0mL、8.73ミリモル)を装填した。次いで、この反応器セルにトルエン(4.0mL)を装填した。次いで、反応器セルの内容物を80℃まで加熱し、そしてエチレンガスで400psigまで加圧した。平衡になった後、実施例18に従って製造した触媒錯体のサンプル(1.6mg、2マイクロモル)を、0.5mLのトルエン中に溶解させ、反応器セルの中に注入し、続いて0.5mLのトルエンリンス液を注入した。60分間後に、反応器セルを排気し、そして冷却した。次いで、反応器セルの内容物をグローブボックスから取り出し、そして急速に攪拌したMeOHに添加した。60分間後に、得られた混合物をガラスフリット上で濾過し、過剰のMeOHで洗浄し、そして真空下で60℃で一晩乾燥させた。主題の反応によって、0.81gのエチレン、アクリル酸メチル及びスチレンのランダムコポリマーが得られた。
【0052】
実施例47
(重合)
5mLのセラムバイアルに、41.4mg(72マイクロモル)のパラジウムビス(ジベンジリデンアセトン)及び53.1mg(86.4マイクロモル)の実施例1に従って製造した生成物固体(即ち、リガンド構造I)を添加した。次いで、このバイアルに、4.5mLのTHFを添加した。セラムバイアルの内容物を数分間攪拌して、触媒錯体を製造した。
【0053】
グローブボックス内の反応器セルに、アクリル酸メチル(1.0mL、11.1ミリモル)及びTHF(4.0mL)を装填した。次いで、反応器セルの内容物を70℃まで加熱し、そしてエチレンガスで400psigまで加圧した。平衡になった後、セラムバイアルからの触媒錯体0.1mL(1.6マイクロモル)を、反応器セルの中に注入し、続いて0.5mLのTHFリンス液を注入した。60分間後に、反応器セルを排気し、そして冷却した。次いで、反応器セルの内容物をグローブボックスから取り出し、そして急速に攪拌したMeOHに添加した。60分間後に、得られた混合物をガラスフリット上で濾過し、過剰のMeOHで洗浄し、そして真空下で60℃で一晩乾燥させた。主題の反応によって、1.02gの、4.8モル%のアクリレート組み込み、474,000の重量平均分子量、Mw及び178,000の数平均分子量、Mnを有する、エチレン及びアクリル酸メチルのランダムコポリマーが得られた。
【0054】
実施例48
(重合)
5mLのセラムバイアルに、41.4mg(72マイクロモル)のパラジウムビス(ジベンジリデンアセトン)及び53.1mg(86.4マイクロモル)の実施例1に従って製造した生成物固体(即ち、リガンド構造I)を添加した。次いで、このバイアルに、4.5mLのTHFを添加した。セラムバイアルの内容物を数分間攪拌して、触媒錯体を製造した。
【0055】
グローブボックス内の反応器セルに、アクリル酸メチル(1.0mL、11.1ミリモル)及びTHF(4.0mL)を装填した。次いで、反応器セルの内容物を70℃まで加熱し、そしてエチレンガスで400psigまで加圧した。平衡になった後、セラムバイアルからの触媒錯体0.1mL(8.0マイクロモル)を、反応器セルの中に注入し、続いて0.5mLのTHFリンス液を注入した。60分間後に、反応器セルを排気し、そして冷却した。次いで、反応器セルの内容物をグローブボックスから取り出し、そして急速に攪拌したMeOHに添加した。60分間後に、得られた混合物をガラスフリット上で濾過し、過剰のMeOHで洗浄し、そして真空下で60℃で一晩乾燥させた。主題の反応によって、1.28gの、2.7モル%のアクリレート組み込み、172,000の重量平均分子量、Mw及び57,000の数平均分子量、Mnを有する、エチレン及びアクリル酸メチルのランダムコポリマーが得られた。
【0056】
実施例49
(重合)
5mLのセラムバイアルに、41.4mg(72マイクロモル)のパラジウムビス(ジベンジリデンアセトン)及び53.1mg(86.4マイクロモル)の実施例1に従って製造した生成物固体(即ち、リガンド構造I)を添加した。このバイアルに、4.5mLのトルエンを添加した。セラムバイアルの内容物を数分間攪拌して、触媒錯体を製造した。
【0057】
グローブボックス内の反応器セルに、アクリル酸メチル(1.0mL、11.1ミリモル)及びトルエン(4.0mL)を装填した。次いで、反応器セルの内容物を50℃まで加熱し、そしてエチレンガスで400psigまで加圧した。平衡になった後、セラムバイアルからの触媒錯体0.5mL(8.0マイクロモル)を、反応器セルの中に注入し、続いて0.5mLのトルエンリンス液を注入した。60分間後に、反応器セルを排気し、そして冷却した。次いで、反応器セルの内容物をグローブボックスから取り出し、そして急速に攪拌したMeOHに添加した。60分間後に、得られた混合物をガラスフリット上で濾過し、過剰のMeOHで洗浄し、そして真空下で60℃で一晩乾燥させた。主題の反応によって、0.81gの、0.4モル%のアクリレート組み込み、716,000の重量平均分子量、Mw及び388,000の数平均分子量、Mnを有する、エチレン及びアクリル酸メチルのランダムコポリマーが得られた。
【0058】
実施例50
(リガンド合成)
【化4】

【0059】
第一100mLシュレンクフラスコに、ベンゼンスルホン酸水和物(1.7g、10.7ミリモル、CS・HO、158.71g/モル、MP Bio Medicals 98−11−3)を装填した。このフラスコを真空下で真空にした。次いで、フラスコの底を、ヒートガンで加熱した。フラスコ内容物は溶融して、褐色液体を形成し、これは泡立ち始めた。液体が還流を開始し、そして圧力が約10ミリトールに低下するまで、加熱を続けた。フラスコに窒素を充填し、冷却し、そしてTHF(無水、アクロス社(Acros)、〜50mL)をフラスコに添加して、透明な無色の溶液を生成させた。0℃で、n−BuLi(2.5Mヘキサン溶液、11.4ミリモル、8.6mL、アルドリッチ社(Aldrich))を添加して、ベージュ色の懸濁液を得、これを0.5時間攪拌して、その後−78℃で冷却した。
【0060】
第二100mLシュレンクフラスコに、Mg(0.30g、0.0125ミリモル、粉末、アルドリッチ社)を装填した。THF(50mL、無水、アクロス社)及び2−ブロモアニソール(2.10g、0.0112ミリモル、CBrO、187.04g/モル、アクロス社)を、第二シュレンクフラスコに添加した。第二シュレンクフラスコの内容物を超音波処理し(〜30秒間)、そして内容物が温度上昇を示していることが観察された。この混合物を、それが冷えて室温に戻るまで攪拌した。
【0061】
200mLシュレンクフラスコに、THF(〜50mL)を装填した。−78℃で、PCl(0.93mL、1.47g、0.0107ミリモル、1.574g/mL、137.33g/モル、アルドリッチ社)を、200mLシュレンクフラスコに注射器を経て添加した。第一100mLシュレンクフラスコ内のベージュ色懸濁液を、−78℃の200mLシュレンクフラスコに、カニューレを経て移した。次いで、200mLシュレンクフラスコの内容物を、温度を−78℃に維持しながら、0.5時間攪拌した。第二100mLシュレンクフラスコの内容物を−78℃にまで冷却し、そして200mLシュレンクフラスコに、カニューレを経て移した。次いで、200mLシュレンクフラスコの内容物を周囲温度まで加温し、そして約1時間攪拌して、黄色溶液を得た。
【0062】
500mLシュレンクフラスコに、2’−Br−2,6−(Me)ビフェニル(3.14g、10.7ミリモル、C1413BrO、293.16g/モル、アルドリッチ社)及びTHF(150mL)を装填した。500mLシュレンクフラスコの内容物を、−78℃にまで冷却した。−78℃のn−BuLi(4.3mL、2.5Mヘキサン溶液、10.7ミリモル、アルドリッチ社)を500mLシュレンクフラスコに添加して、粘稠な白色スラリーを得た。500mLシュレンクフラスコを手によって振盪して、確実に混合した。n−BuLiを添加して0.5時間後に、200mLシュレンクフラスコの内容物を、500mLシュレンクフラスコにカニューレを経て添加した。次いで、500mLシュレンクフラスコの内容物を、周囲温度まで徐々に加温した。500mLシュレンクフラスコの内容物を一晩攪拌して、透明な黄色溶液を得た。500mLシュレンクフラスコから揮発物質を真空下で除去した。得られた固体を、CHCl(200mL)、HO(200mL)、HCl(濃厚、20mL)を使用して抽出した。抽出物からの有機層をMgSOで乾燥させ、そして抽出物の揮発性部分を真空下で除去して、薄黄色固体を残した。この薄黄色固体を集め、そしてTHF(3×15mL)及びEtO(3×15mL)で洗浄して、白色粉末生成物リガンドを得た(2.3g、44%収率)。H NMR(CDCl、℃):δ8.32(m,H),7.71(q,J=8.5,2H),7.56(m,1H),7.47−7.40(m,4H),7.33−7.27(m,2H),6.99(m,2H),6.91(m,1H),6.57(d,J=8.5,1H),6.44(d,J=8.5,1H),3.73(s,3H),3.64(s,3H),3.19(s,3H)。31P NMR(CDCl3,℃):δ−7.1(s)。LC−MS:m/z=509.2。
【0063】
実施例51
(重合)
バイアルに、Pd(dba)(19.8mg、0.0340ミリモル、Pd(C1714O)、アルファ・アエサル社(Alfa Aesar)、575.00g/モル)及び実施例50の生成物リガンド(20.0mg、0.0390ミリモル、C2725PS、508.53g/モル)を装填した。次いで、トルエン(10mL)をバイアルに添加した。バイアルの内容物を激しく振盪して、微量の粒子を有する暗赤色触媒溶液を得た。
【0064】
反応器セルに、アクリル酸メチル(1mL)及びトルエン(4mL)を装填した。反応器セルを90℃まで加熱した。次いでエチレンを反応器セルに装填した(400psi)。バイアルからの触媒溶液(0.5mL)を、反応器セルにカニューレを経て添加し、続いてトルエンリンス液(0.5mL)を添加した。反応器セル内容物を90℃で1時間攪拌した。未反応エチレンを反応器セルから排気し、そして反応器セルの内容物を周囲温度にまで冷却した。次いで、反応器セルの内容物を、メタノール(100mL)でクエンチした。反応器セル内の沈殿したポリマーを、遠心分離によって分離し、そして真空下で60℃で一晩乾燥させて、白色固体を得た(720mg)。H NMR分光法によって、この白色固体が、エチレン(97モル%)及びアクリル酸メチル(3モル%)の組成を有していたことが明らかになった。GPC分析によって、この白色固体が、1.5の多分散度で115,000g−モル−1の重量平均分子量を有していたことが明らかになった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1個のリガンドで錯化されたパラジウム金属中心を含む触媒組成物であって、少なくとも1個のリガンドが、下記の式に従った構造を有する触媒組成物:
【化1】

(式中、R〜R14は、独立に、水素;ハロゲン;並びにC〜C20アルキル、C〜C20シクロアルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、フェニル、ビフェニル、C〜C20カルボキシラート、C〜C20アルコキシ、C〜C20アルケニルオキシ、C〜C20アルキニルオキシ、アリールオキシ、C〜C20アルコキシカルボニル、C〜C20アルキルチオ、C〜C20アルキルスルホニル、C〜C20アルキルスルフィニル、シリル及びこれらの誘導体から選択された置換基;から選択され;
15は、−SO、−SON(R18)、−CO、−PO、−AsO、−SiO、−C(CFOから選択され;
18は、水素;ハロゲン;並びにC〜C20アルキル、C〜C20シクロアルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、フェニル、ビフェニル、C〜C20カルボキシラート、C〜C20アルコキシ、C〜C20アルケニルオキシ、C〜C20アルキニルオキシ、アリールオキシ、C〜C20アルコキシカルボニル、C〜C20アルキルチオ、C〜C20アルキルスルホニル、C〜C20アルキルスルフィニル、シリル及びこれらの誘導体から選択された、置換された又は置換されていない置換基;から選択され;
但し、R〜R10は全てが水素ではなく;
但し、R、R、R及びRがそれぞれ水素であるとき、R、R、R及びR10の何れも、CH、CF、F、SMe、ビフェニル又はフェノキシではなく;そして
但し、R15が、−SO、−CO、−PO、−AsO又は−SiOであるとき、R、R、R及びR10の何れも、極性基ではない)。
【請求項2】
15が、−SO及び−SON(R18)から選択される、請求項1記載の触媒組成物。
【請求項3】
15が−SON(R18)である、請求項1記載の触媒組成物。
【請求項4】
15が−SOである、請求項1記載の触媒組成物。
【請求項5】
少なくとも1個のリガンドで錯化されたパラジウム金属中心を含む触媒組成物であって、少なくとも1個のリガンドが、下記の式に従った構造を有する触媒組成物:
【化2】

(式中、R〜R14は、独立に、水素;ハロゲン;並びにC〜C20アルキル、C〜C20シクロアルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、フェニル、ビフェニル、C〜C20カルボキシラート、C〜C20アルコキシ、C〜C20アルケニルオキシ、C〜C20アルキニルオキシ、アリールオキシ、C〜C20アルコキシカルボニル、C〜C20アルキルチオ、C〜C20アルキルスルホニル、C〜C20アルキルスルフィニル、シリル及びこれらの誘導体から選択された置換基;から選択され;
、R、R及びR10の少なくとも1個は、フェニル及びフェニルの誘導体から選択され;そして
15は、−SO、−SON(R18)、−CO、−PO、−AsO、−SiO、−C(CFOから選択され;そして
18は、水素;ハロゲン;並びにC〜C20アルキル、C〜C20シクロアルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、フェニル、ビフェニル、C〜C20カルボキシラート、C〜C20アルコキシ、C〜C20アルケニルオキシ、C〜C20アルキニルオキシ、アリールオキシ、C〜C20アルコキシカルボニル、C〜C20アルキルチオ、C〜C20アルキルスルホニル、C〜C20アルキルスルフィニル、シリル及びこれらの誘導体から選択された、置換された又は置換されていない置換基;から選択される)。
【請求項6】
、R、R及びR10の少なくとも1個が、オルト置換されたフェニルである、請求項5記載の触媒組成物。
【請求項7】
、R、R及びR10の少なくとも1個が、2,6−R1617−フェニルであり;R16及びR17は、独立に、水素、ハロゲン、C〜C20アルキル、C〜C20シクロアルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、フェニル、ビフェニル、C〜C20カルボキシラート、C〜C20アルコキシ、C〜C20アルケニルオキシ、C〜C20アルキニルオキシ、アリールオキシ、C〜C20アルコキシカルボニル、C〜C20アルキルチオ、C〜C20アルキルスルホニル、C〜C20アルキルスルフィニル、シリル及びこれらの誘導体から選択されうる、請求項5記載の触媒組成物。
【請求項8】
、R、R及びR10の少なくとも1個が、2,6−ジメトキシフェニルである、請求項5記載の触媒組成物。
【請求項9】
15が−SOである、請求項5記載の触媒組成物。
【請求項10】
15が−SON(R18)である、請求項5記載の触媒組成物。

【公開番号】特開2007−117991(P2007−117991A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−233740(P2006−233740)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】