説明

単一サンプルにおける2以上のターゲット分子のクロモゲンを検出する方法

本発明は単一の組織サンプルにおける2以上の標的分子を検出する方法およびキット、例えば単一の組織サンプルにおいて遺伝子およびタンパク質の二重検出を提供する。方法は、第一標的分子と特異的に結合する第一結合部位と組織サンプルを処理する工程を含む。方法は、さらに組織サンプルとハプテン標識された結合部位を接触し、第二標的分子を検出する前またはそれと同時に、可溶性、電子豊富な芳香族化合物を含有する溶液と組織サンプルを処理する工程を含む。一の例において、第一標的分子はタンパク質であり、第二は核酸配列であり、第一標的分子は免疫染色によって、第二はin situハイブリッド形成によって検出される。開示の方法は、ハプテン標識された特異的結合部位を、第一標的分子付近に沈殿した不溶性電子豊富な化合物に非特異的に結合することによるバックグラウンドを減少させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2008年8月22日出願の米国特許出願公開第61/189,752号明細書の利益を要求し、明細書に完全に引用したものとする。
【0002】
本開示は、免疫染色(IHC)およびin situハイブリダイゼーション(ISH)、特に単一サンプルにおける2以上のターゲット分子のクロモゲンを検出する方法の実施形態に関する。
【背景技術】
【0003】
免疫染色(IHC)は、特異的結合薬剤、例えば抗体を使用して、組織サンプルに存在する可能性がある関連のある抗原を検出する。IHCは、臨床および診断の適用において幅広く使用され、例えば特定の疾患状態または条件を診断される。例えば、特定の癌の種類を、特定のターゲット分子の存在に基づいて、対象から得られたサンプルから診断することができる。IHCはまた幅広く基礎研究に使用され、異なった組織におけるバイオマーカーの分布および局在化を理解されている。
【0004】
生物学的サンプルは、in situハイブリダイゼーション(ISH)、例えば銀in situハイブリダイゼーション(SISH)、クロモゲンin situハイブリダイゼーション(CISH)、および蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)であり、ISHとして総括的に称される技術を使用して、調査することができる。ISHは、ISHが組織断片における核酸を検出する一方IHCはタンパク質を検出する点で、IHCとはっきり異なる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
IHCおよびISH法が、研究および臨床環境においてますます重要になるにつれて、多数の標的、例えば核酸配列およびタンパク質、または複数のタンパク質もしくは核酸の二重検出を単一のサンプルにてすぐに検出する能力は現状のままである。例えば、二重遺伝子/タンパク質検出系は、遺伝子およびタンパク質検出を、同じスライドで、2回の別々の動作に対して、1回の自動動作にて可能にする。しかしながら、現在の検出系は、IHCおよびISH法が互いによく両立しないため、複数の標的、例えば二重遺伝子/タンパク質の検出を同じスライドにて検出することを十分に提供しない。
【0006】
本発明は、サンプル中の2以上のターゲット分子のクロモゲン検出する方法およびキットを提供する。さらに本発明の提供は、単一組織サンプルにおける2以上のターゲット分子のクロモゲンを検出する方法を実行するときに発生する非特異的なバックグラウンドを対象とする。従って、本開示は、特に二重検出を促進するとともに、非特異的なバックグラウンドを減少させるあらゆる工程および/または組成物に関してである。これは、電子不足の芳香族化合物(例えばDNP)に電子豊富なクロモゲンコンプレックスへの非特異的結合を、単一サンプルにおける2以上のターゲット分子のクロモゲン検出時に、実質的に減少または抑制することによって達成することができる。本明細書に記載の方法は、自動または手動で実行することができる。
【0007】
実施形態において、単一の組織サンプルにおける2以上のターゲット分子のクロモゲンの検出方法は、第一のターゲット分子に特異的に結合する第一の特異的結合部位と組織サンプルを接触することを含む。一例において、第一の特異的結合部位は1次抗体であり、第一のターゲット分子はタンパク質である。例えば、1次抗体は、癌に関連しているタンパク質、例えばHER2/neu(またはHER2タンパク質)、c−Myc、n−Myc、Abl、EGFRタンパク質、TOP2A、Bcl2、Bcl6、Rb1、p53またはc−Metの1次抗体を検出する抗体であることができる。
【0008】
クロモゲンを検出する特定の実施形態はまた、第一の特異的結合部位が、第一のターゲット分子に結合する位置またはその付近にて不溶性、電子豊富な芳香族のクロモゲン生成物を沈澱させることによって、組織サンプルにおいて第一のターゲット分子を検出することを含有する。一例において、不溶性、電子豊富な芳香族化合物は、アゾ染料である。いくつかの例において、クロモゲン生成物の沈殿は、基質と触媒を反応させて不溶性、電子豊富な芳香族化合物を形成することを含有する。例として、触媒は、酵素、例えばアルカリホスファターゼまたはセイヨウワサビペルオキシターゼであることができる。さらに基質は、ジアミノベンジジン(DAB)、3-アミノ-9-エチルカルバゾール(AEC)、4-クロロ-1-ナフトール(4-CN)、ナフトールAS−TRリン酸塩、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-リン酸塩(BCIP)またはp-ニトロフェニルリン酸塩(pNNP)であることができる。
【0009】
単一の組織サンプルにて、2以上の分子のクロモゲン検出方法で開示された実施形態は、第二のターゲット分子に特異的に結合する第二のハプテン標識の特異的結合部位と、組織サンプルを接触させることを含む。いくつかの実施形態において、第二のハプテン、ハプテン標識の特異的結合部位は、電子不足芳香族化合物である。
【0010】
前記方法の開示された実施形態は、第二の標識の特異的結合部位、例えばハプテン標識の特異的結合部位と、組織サンプルを接触させる前またはそれと同時に、可溶性、電子豊富な芳香族化合物を含む溶液と組織サンプルを処理することを含む。一の例において、可溶性、電子豊富な芳香族化合物を含む溶液と組織サンプルの処理は、第二のハプテン標識の特異的結合部位と組織サンプルを接触させる前に発生する。他の例において、可溶性、電子豊富な芳香族化合物を含む溶液と組織サンプルの処理は、第二のハプテン標識の特異的結合部位と組織サンプルを接触させると同時に発生する。
【0011】
2以上の分子のクロモゲン検出で開示された実施形態はまた、第一のターゲット分子を検出するために沈殿した不溶性、電子豊富な芳香族化合物と区別可能(例えば視覚的に識別可能)な第二の不溶性クロモゲン生成物を沈殿することによって第二のターゲット分子を検出することを含む。可溶性、電子豊富な芳香族化合物を含む溶液と組織サンプルの処理は、第一のターゲット分子付近に沈殿した不溶性、電子豊富な化合物へのハプテン標識の特異的結合部位の非特異的な結合によるバックグラウンドを減少させる。特定の例において、可溶性、電子豊富な芳香族化合物は、ナフトールである。
【0012】
例えば、第二のハプテン標識の特異的結合部位は、ハプテン標識の核酸プローブ、例えばハプテン標識のDNAプローブ(例えば、DNP標識のDNAプローブ)であることができる。いくつかの例において、DNP核酸標識プローブの濃度は、第一のターゲット分子と関連のあるクロモゲン生成物に非特異的な結合をするDNP標識の核酸プローブによる、バックグラウンド染色を抑制または防止するのに十分である。特定の例において、DNP標識のプローブの濃度は1を超え、通常5μg/mL以上である。例えば、DNP核酸標識のプローブの濃度は、10μg/mLから15μg/mLまでの範囲である。
【0013】
一つの例において、第一のターゲット分子はタンパク質であり、第二のターゲット分子は第一のターゲット分子タンパク質をコードする核酸配列である。第一のターゲット分子および第二のターゲット分子は、癌、例えばHER2タンパク質、c−Mycタンパク質、n−Mycタンパク質、Ablタンパク質、EGFRタンパク質、TOP2Aタンパク質、Bcl2タンパク質、Bcl6タンパク質、Rb1タンパク質、p53タンパク質もしくはc−Metタンパク質またはこれらのタンパク質の1つをコードする核酸を含む疾患または疾病と関連することができる。一つの例において、第一のターゲット分子の検出は、免疫染色(IHC)の実行およびin situハイブリダイゼーション(ISH)の実行を含有する第二ターゲット分子の検出を含む。IHCの実行は、酵素介在系、例えばアルカリホスファターゼ赤色クロモゲンコンプレックス検出系またはセイヨウワサビペルオキシダーゼ−DABクロモゲンコンプレックス検出系による第一のターゲット分子の検出を含有する。ISHの実行は、第二ターゲット分子の同一または相違の酵素介在系、例えばセイヨウワサビペルオキシダーゼ銀染色ISH検出またはアルカリホスファターゼ赤色銀検出法による第二のターゲット分子検出を含むことができる。この方法は自動または手動化が可能である。
【0014】
開示した方法の特定の実施形態において、自動核酸/タンパク質検出方法を、同じ組織サンプルにおいて単一の自動動作で二重核酸/タンパク質の検出を可能とすることを開示する。開示した実施形態の一つの方法は、1次抗体が組織サンプル中の第一のターゲット分子に特異的に結合するのに十分な条件下に基づいて、1次抗体を組織サンプルに自動的に分配することを含有する。この実施形態はまた、第一のターゲット分子を組織サンプルにおける1次抗体と、IHCによる検出を含む。この開示した実施形態は、ハプテン標識された核酸プローブを組織サンプルに、前記プローブが第二のターゲット分子に特異的に結合するのに十分な条件に基づいて自動的に分配することを含む。いくつかの例において、ハプテン標識の核酸プローブは、電子不足芳香族化合物を含有する。電子不足芳香族化合物は、上記のような式を有することができる。この実施形態はまた、第二のハプテン標識の核酸プローブを、組織サンプルに自動的に分配し、第二のターゲット分子をISHによって検出する前または同時に、組織サンプルを電子豊富な芳香族化合物を含む溶液との処理を含有することができる。このような実施形態において、電子豊富な芳香族化合物は、本明細書に記載の一般式を有することができる。特定の例において、電子豊富な芳香族化合物は、ナフトールを含有する。リン酸ナフトールAS−TR(またはリン酸ナフトールAS−MX等)を、電子豊富な芳香族化合物として使用するとき、ナフトール濃度は変更することができるが、通常1〜60mg/mL、例えば25mg/mL〜50mg/mL、好ましくは10mg/mL〜40mg/mLまで変更することができる。いくつかの特定の例において、ナフトール濃度は約50mg/mLまたは約25mg/mLである。例えば、ナフタレン−1−オルまたはナフタレン−2−オルを、電子豊富な芳香族化合物として利用するとき、ナフトール濃度は例えば0.2mg/mL〜7mg/mL、好ましくは0.3mg/mL〜1mg/mLと変更することができる。
【0015】
この方法の一実施形態において、ハプテン標識の核酸プローブの組織サンプルへの自動分配は、組織サンプルを電子豊富な芳香族化合物で処理した後、生じる。他の実施形態において、ハプテン標識の核酸プローブを組織サンプルへの自動分配は、組織サンプルを電子豊富な芳香族化合物で処理と同時に生じ、電子豊富な芳香族化合物および核酸標識のプローブを、実質的に同時か、または同じ溶液内のいずれかで組織サンプルに提供する。いくつかの例において、ハプテン標識の核酸プローブは、ハプテン標識のDNAプローブ、例えばDNP標識のDNAプローブである。
【0016】
この方法のいくつかの例において、IHCはISH前に実行される。他の実施形態において、ISHはIHC前に実行される。いくつかの例において、ISHは、セイヨウワサビペルオキシダーゼ銀染色検出法またはアルカリホスファターゼファストレッド/リン酸ナフトール染色検出法による標的とされた核酸の検出を含む。いくつかの例において、IHC検出は、アルカリホスファターゼファストレッド/リン酸ナフトールクロモゲン検出法またはセイヨウワサビペルオキシダーゼ−DABクロモゲン検出法による標的タンパク質の検出を含む。
【0017】
また開示した実施形態の方法を実行するキットをまた提供する。本明細書において開示した方法およびキットの実施形態を使用して、疾患または疾病、例えば癌を有すると考えられる哺乳類からサンプルにおいて標的を検出することができる。
【0018】
特定の実施形態において、単一の組織サンプルにおける2以上のターゲット分子のクロモゲンを検出する方法は、組織サンプルと、第一のターゲット分子を特異的に結合する第一の特異的結合部位を接触させる工程と;組織サンプルにおいて第一のターゲット分子を、不溶性、電子豊富な芳香族クロモゲン生成物の沈殿物によって検出する工程と;第二のハプテンを特異的に結合する第二のハプテン標識の特異的結合部位と、組織サンプルを接触させる工程であって、第二のハプテン標識の特異的結合部位のハプテンは、電子不足芳香族化合物を含む工程と;第二のハプテン標識の特異的な結合部位と組織サンプルを接触する前または同時に、可溶性、電子豊富な芳香族化合物を含有する溶液と組織サンプルを処理する工程と;第一のターゲット分子を検出するために沈殿した不溶性、電子豊富な芳香族化合物から識別可能である第二の不溶性クロモゲン生成物の沈殿によって、第二ターゲット分子を検出する工程であって、組織サンプルを可溶性、電子豊富な芳香族化合物を含む溶液との処理が、ハプテン標識の特異的結合部位を第一のターゲット分子付近に沈殿した不溶性の電子豊富な沈殿物を非特異的に結合することによるバックグラウンドを減少させる工程とを含む。
【0019】
この方法の一実施形態において、可溶性、電子豊富な芳香族化合物は、以下の一般式を有し、
【化1】

【0020】
、R、Rの少なくとも1つは、電子供与基であり、−OR、−NR、−OPO2−から独立して選択され、RおよびRは、独立してHもしくは低級アルキルまたはR、RおよびRの中の2つは、共に結合した芳香環を形成し、任意に1、2または3の電子供与性置換基と置換される。
【0021】
一実施形態の方法において、RおよびRは共に結合芳香族環を形成し、電子豊富な芳香族環は、以下の一般式を有し、

【化2】

【0022】
、RおよびR10は、独立してH、−OR11、−NR1213、−OPO2−または低級アルキルから選択され;R11、R12およびR13は、独立してHおよび低級アルキルから選択される。
【0023】
前記方法の一実施形態において、可溶性、電子豊富な芳香族化合物は、ナフトールを含有し、ナフトール濃度は、ハプテン標識の特異的結合部位の第一のターゲット分子付近に沈殿した不溶性、電子豊富な化合物への非特異的結合によりバックグラウンドを減少し、1mg/mL〜30mg/mL、約1mg/mL〜約7mg/mL、約0.3mg/mL〜約1mg/mLまたは約0.3mg/mL〜約1mg/mLまでの範囲である。例えば、第二のハプテン標識の特異的結合部位は、ハプテン標識の核酸プローブであり、例えばハプテン標識の核酸プローブはDNAプローブである。実施形態において、ハプテン標識の核酸のハプテンは、ニトロアリール化合物、例えばジニトロフェノールである。一の実施形態において、前記方法は、ジニトロフェノールであるハプテン標識の核酸プローブであり、ジニトロフェノール核酸標識のプローブの濃度は、少なくとも5μg/mL、例えば10μg/mL〜15μg/mLである。
【0024】
前記方法の一の実施形態において、第二の、ハプテン標識のプローブのハプテンは、ニトロアリール化合物、例えばジニトロフェノールである。
【0025】
前記方法の一の実施形態において、第一のターゲット分子はタンパク質であり、第二のターゲット分子は核酸配列、例えば第一のターゲット分子タンパク質をコードする核酸配列である。例えば、タンパク質はHER2/neu、c−Myc、n−Myc、Abl、EGFRタンパク質、TOP2A、Bcl2、Bcl6、Rb1、p53またはc−Metであり、核酸配列はHER2、c−Myc、n−Myc、Abl、EGFR、TOP2A、Bcl2、Bcl6、Rb1、p53、c−Metをコードする核酸配列である。
【0026】
前記方法の一の実施形態において、第一のターゲット分子および第二のターゲット分子は、第一のタンパク質および第二のタンパク質である。
【0027】
前記方法の一の実施形態において、第一のターゲット分子および第二のターゲット分子は、第一の核酸配列および第二の核酸配列である。
【0028】
前記方法のいくつかの実施形態において、組織サンプルを、可溶性、電子豊富な芳香族化合物を含む溶液で処理する工程は、第二のハプテン標識の特異的結合部位と組織サンプルを接触する前に、組織サンプルを、可溶性、電子豊富な芳香族化合物を含む溶液で処理する工程を含む。
【0029】
前記方法のいくつかの実施形態において、組織サンプルを、可溶性、電子豊富な芳香族化合物を有する溶液で処理する工程は、第二のハプテン標識の特異的結合部位と組織サンプルを接触すると同時に、組織サンプルを、可溶性、電子豊富な芳香族化合物を有する溶液で処理する工程を含む。
【0030】
前記方法の一の実施形態において、第一の特異的結合部位は、1次抗体、例えばHER2、c−Myc、n−Myc、Abl、EGFRタンパク質、C−Met、TOP2A、Bcl2、Bcl6、Rb1、p53またはc−METペプチドに結合する1次抗体である。
【0031】
前記方法の一の実施形態において、不溶性、電子豊富な芳香族化合物は、アゾ染料を含有する。
【0032】
前記方法の一の実施形態において、クロモゲン生成的な沈殿する工程は、基質と触媒を反応させて、直接または間接的に不溶性、電子豊富な芳香族化合物を形成することを含む。例えば、触媒は酵素、例えばアルカリホスファターゼまたはセイヨウワサビペルオキシターゼである。一の実施形態において、基質は、3,3’−ジアミノベンジジン(DAB)、3−アミノ−9−エチルカルバゾール(AEC)、4−クロロ−1−ナフトール(4−CN)、リン酸ナフトールAS−TR、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−リン酸(BCIP)またはニトロフェニルリン酸塩(pNNP)であることができる。
【0033】
一実施形態において、第一のターゲット分子の検出は、免疫組織化学(IHC)を実行する工程を含み;第二ターゲット分子の検出は、in situハイブリダイゼーション(ISH)の実行を含み;IHCの実行は、アルカリホスファターゼ−赤色クロモゲン検出法またはセイヨウワサビペルオキシダーゼ−DABクロモゲン検出法による第一のターゲット分子の検出を含み;ISHの実行は、セイヨウワサビペルオキシダーゼ銀ISH検出またはアルカリホスファターゼ赤色銀検出法による第二ターゲット分子の検出を含む。
【0034】
一実施形態において、前記方法は自動的に実行される。
【0035】
前記方法の一実施形態において、自動核酸およびタンパク質の検出法を:1次抗体が組織サンプル中で第一のターゲット分子に特異的に結合するのに十分な条件下にて1次抗体を組織サンプル上に自動分配する工程と;組織サンプル中の第一のターゲット分子を1次抗体とIHCによって検出する工程と;ハプテン標識の核酸プローブが第二ターゲット分子に特異的に結合するのに十分な条件下にて組織サンプル上にハプテン標識の核酸プローブを自動分配する工程であって、ハプテン標識の核酸プローブは、電子不足の芳香族化合物を含む工程と;第二のハプテン標識の核酸プローブを組織サンプル上にて自動分配する前またはそれと同時に、電子豊富な芳香族化合物を有する溶液と組織サンプルを処理する工程と:第二ターゲット分子を、in situハイブリダイゼーション(ISH)によって検出し、その結果二重核酸およびタンパク質検出を同じ組織サンプルにて、単一の自動動作において可能とする工程であって、電子豊富な芳香族化合物は一般式である工程とを含有するもので提供する
【化3】

【0036】
、R、Rの少なくとも1つは、電子供与基であり、−OR、−NRから独立して選択され、RおよびRは、独立してHもしくは低級アルキルまたはR、RおよびRの中の2つは、共に結合された芳香環を形成し、任意に1、2または3電子供与性置換基と置換される。
【0037】
自動核酸およびタンパク質の検出法の一の実施形態において、RおよびRが結合した芳香族化合物を共に形成する電子豊富な芳香族化合物であり、電子豊富な芳香族化合物は以下の一般式を有する

【化4】

【0038】
、RおよびR10は、独立してH、−OR11、−NR1213または低級アルキルから選択され;R11、R12およびR13は、独立してHおよび低級アルキルから選択される。
【0039】
自動核酸およびタンパク質の検出法の一実施形態において、電子豊富な芳香族化合物は、ナフトールを含有し、ナフトール濃度は二重核酸およびタンパク質の検出を単一サンプルにて可能とするのに効果的であり、1mg/mL〜30mg/mL、例えば1mg/mL〜7mg/mLまたは約0.3mg/mL〜約1mg/mLまでの範囲である。
【0040】
自動核酸およびタンパク質検出法の一実施形態において、ハプテン標識の核酸プローブのハプテンは、ニトロアリール化合物であり、例えばニトロアリール化合物がジニトロフェノールである。一実施形態において、ジニトロフェノール核酸標識のプローブの濃度は、少なくとも5μg/mLであり、例えば10μg/mL〜15μg/mLまでの範囲である。
【0041】
自動核酸およびタンパク質の検出法の一実施形態において、組織サンプル上にて、ハプテン標識の核酸プローブが、第二ターゲット分子に特異的に結合するのに十分な条件下で、ハプテン標識の核酸プローブの自動分配は、組織サンプルを電子豊富な芳香族化合物の処理後に生じる。
【0042】
自動核酸およびタンパク質の検出法の一実施形態において、組織サンプル上にてハプテン標識の核酸プローブが、第二ターゲット分子に特異的に結合するのに十分な条件下で、ハプテン標識の核酸プローブの自動分配は、組織サンプルを電子豊富な芳香族化合物の処理と同時に生じる。
【0043】
自動核酸およびタンパク質の検出法の一実施形態において、IHCをISH前に実行する。
【0044】
自動核酸およびタンパク質の検出法の一実施形態において、ISHをIHC前に実行する。
【0045】
自動核酸およびタンパク質の検出法の一実施形態において、ISHはセイヨウワサビペルオキシダーゼ銀染色ISHまたはアルカリホスファターゼ赤色銀染色による標的核酸検出を含有する。
【0046】
自動核酸およびタンパク質の検出法の一実施形態において、IHCはアルカリホスファターゼ赤色クロモゲンまたはセイヨウワサビペルオキシダーゼ−DABクロモゲンによる標的タンパク質検出を含有する。
【0047】
一実施形態において、単一の組織サンプルにおける2以上のターゲット分子のクロモゲンを検出するキットは、第一のターゲット分子に特異的に結合する第一の特異的結合部位を有する溶液;第二のターゲット分子に特異的に結合する第二のハプテン標識の特異的結合部位を有する溶液;可溶性、電子豊富な芳香族化合物を有する溶液を含む。
【0048】
前記キットの一実施形態において、可溶性、電子豊富な芳香族化合物は、ナフトールであり、第二のハプテン標識の特異的結合部位は、DNP標識の核酸プローブである。
【0049】
前記キットの一実施形態において、可溶性、電子豊富な芳香族化合物を有する溶液は、さらにハプテン標識の核酸プローブを含有する。
【0050】
開示の前記および他の特徴は、以下の詳細な説明で明らかになり、添付された図を参考にすることでさらに理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】IHC ファストレッドおよびSISH検出法でIHC/ISH染色の後、弱い(1+)HER2で染色した試験サンプルの例示的な顕微鏡(60×)の図である。この画像は銀のバックグラウンド染色であり、銀色の斑点染色が赤色クロモゲンとして同じ位置で存在する場合、赤色クロモゲンが異なった色になるようにするIHC染色のパターン化した後のものを示す。
【図2】IHC ファストレッドおよびSISH検出法でIHC/ISH染色後、弱い(1+)HER2染色で試験サンプルの例示的な顕微鏡(60×)の図である。この画像は、ハイブリッド形成を実行する前にナフトールで処理後、銀のバックグラウンド染色を行わない試験サンプルを示す。
【図3】IHC ファストレッドおよびSISH検出法でIHC/ISH染色の後、強い(3+)HER2染色で試験サンプルの例示的な顕微鏡(60×)の図である。この画像は、強い(3+)ターゲット染色で試験サンプルにおける銀のバックグラウンド染色がないことを示す。
【図4】HER2抗体IHC ファストレッド染色およびHPVIIIプローブ(10μg/mL)SISH検出法後、HPVIIIプローブ染色で試験サンプルの例示的顕微鏡(60×)の図である。この画像は銀のバックグラウンド染色であり、銀色の斑点染色が赤色沈殿物クロモゲンとして同じ位置で存在する場合、赤色クロモゲンが異なった色になるようにするIHC染色のパターン化した後にものを示す。
【図5】HPV FITC標識のプローブでHER2抗体IHCおよびISH染色した後の試験サンプルの例示的顕微鏡(60×)の図である。この画像は、プローブを、DNPの代わりにFITCと標識するとき銀のバックグラウンド染色を行わないサンプルにて示す。
【図6】Ki67抗体(赤)およびTOP2Aプローブ(銀)でIHC/ISH染色した後の試験サンプル(正常)の例示的顕微鏡(60×)の図である。ナフトール(300μg/mL)を有するTOP2Aプローブのハイブリッド溶液は、Ki67タンパク質およびKi67タンパク質と相関のある核酸配列の両方を最小のバックグラウンド染色で可視化することを可能とする。
【図7】Ki67抗体(赤)およびTOP2Aプローブ(銀)でIHC/ISH染色した後の試験サンプル(欠失型)の例示的顕微鏡(60×)の図である。
【図8】Ki67抗体(赤)およびTOP2Aプローブ(銀)でIHC/ISH染色後の試験サンプル(増幅された標的)の例示的顕微鏡(60×)であり、ナフトール(300μg/mL)を有するTOP2Aプローブのハイブリッド溶液はタンパク質および遺伝子の両方を最小のバックグラウンド染色で可視化することを可能にする。
【図9】TOP2A抗体(赤)およびTOP2Aプローブ(銀)でIHC/ISH染色後の試験サンプル(正常)の例示的顕微鏡(60×)であり、ナフトール(300μg/mL)を有するTOP2Aプローブのハイブリッド溶液はTOP2Aタンパク質およびTOP2Aタンパク質と相関のある核酸の両方を最小のバックグラウンド染色で可視化することを可能とする。
【図10】TOP2A抗体(赤)およびTOP2Aプローブ(銀)でIHC/ISH染色した後の試験サンプル(欠失型)の例示的顕微鏡(60×)の図である。
【図11】TOP2A抗体(赤)およびTOP2Aプローブ(銀)でIHC/ISH染色後の試験サンプル(増幅した)の例示的顕微鏡(60×)であり、ナフトール(300μg/mL)を有するTOP2Aプローブのハイブリッド溶液はTOP2Aタンパク質および相関のある核酸を最小のバックグラウンド染色で可視化することを可能とする。
【図12】EGFR抗体(赤)およびEGFRプローブ(銀)でIHC/ISH染色後の試験サンプル(増幅した標的)の例示的顕微鏡(60×)であり、ナフトール(300μg/mL)を有するEGFRプローブのハイブリッド溶液はEGFRタンパク質および相関のある核酸の両方を最小のバックグラウンド染色で可視化することを可能とする。
【図13】c−Met抗体(赤)およびc−Metプローブ(銀)でIHC/ISH染色後の試験サンプル(増幅した)の例示的顕微鏡(60×)であり、ナフトール(300μg/mL)を有するc−Metプローブのハイブリッド溶液はc−Metタンパク質および相関のある核酸を最小のバックグラウンド染色で可視化することを可能とする。
【図14】DNP標識したニックトランスレーションのDNAプローブへの結合する炭粉沈着を阻害するナフトールを示す、試験サンプルの顕微鏡の一連の図である。左パネルは、EGFRおよび染色体7セントロメア(CEN7)DNAプローブの二重色in situハイブリダイゼーションを示す。炭粉沈着の向上した外観を、ダークブルーの塊として観測する(左パネル)。DNP標識のニックトランスレーションプローブを、分析から除去したとき(中央パネル)、炭粉沈着が黒い塊(炭粉沈着の自然な外観)として観測された。ナフトールをEGFR DNP標識のニックトランスレーションプローブで、ハイブリッド工程にて添加したとき(右パネル)、炭粉沈着を黒い塊として観測した。
【図15】ハイブリッドバッファー中で、ナフトール(25mg/mL)で処理(左列)か、または未処理(右列)の試験サンプルの顕微鏡の一連の図である(未拡大、上段;拡大、下段)。画像は、DABおよびDNP間の化学的相互作用、従ってSISH検出から生じるバックグラウンド染色を、ナフトール処理によって除去したものを示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
I.導入
癌等の疾患は、数々の異なった方法によって診断することができる。一の方法はバイオマーカー、例えば癌のバイオマーカーを組織または細胞における存在を同定し、バイオマーカーは特定の癌種と相関性を有するか、相関性を有すると考えられる。免疫染色をしばしば使用して、特定の癌種と関連のあるタンパク質バイオマーカーを標的とするのに対して、in situハイブリダイゼーション技術をしばしば用いて特定の癌種と関連のある核酸配列を標的とする。
【0053】
標的を同定するための免疫染色およびin situハイブリダイゼーション法は、研究の応用および臨床、例えば診断および/または予測の目的で、ますます重要になっている。現在の方法は、組織または細胞サンプルごとに、タンパク質または核酸配列となるように、1つの標的の同定で通常提供する。しかしながら、それは、研究者が2以上の標的を1つの組織サンプル上にて同定、例えば2以上の異なったタンパク質、2以上のタンパク質および核酸配列、または2以上の異なった核酸配列の同定することができる場合には、この結果時間、試薬および貴重な組織または細胞サンプルを節約できるため、有利である。前記多重標的の同定は、臨床医に、疾患のより正確な診断および正確な予測による能力を提供する。本明細書に記載したような方法はコンパニオン診断の有用性を見出す一方、開始した方法を診断のみだけではなく、最適な療法を決定し、臨床設計において前記治療の進行および成功を追跡する。
【0054】
本発明は、単一の組織サンプル中における、2以上のターゲット分子の検出を提供する。特に、本発明に、同じ組織サンプルにおいて2つ以上の核酸配列およびタンパク質、2つのタンパク質または2つの核酸配列を、クロモゲン検出法を提供する。
【0055】
本発明の開発した実施形態において、銀、HRPに基づく検出法を使用するISHの後に、ファストレッド/ナフトールリン酸複合体検出法を使用するIHC実験は、スライド上で、適切なシグナルを観測する特性を弱める銀のバックグラウンドの十分な量を生じる点に留意した。DNP標識の核酸プローブなしでネガティブコントロールスライド実験は、バックグラウンドを全く示さず、バックグラウンドがIHC試薬または多量のHRP結合でないことを示した。後の研究は、ファストレッドまたはファストレッド/ナフトールリン酸複合体によるバックグラウンドが、主にDNP標識のDNAプローブとの相互作用によるものであることを示唆した。バックグラウンドを、ラビット抗DNP抗体またはゴート抗ラビットHRP結合系成分で全く観測しなかった。
【0056】
どの方法成分がバックグラウンドの原因となったか決定するため、ISH法の様々な成分を方法から除外した。DNP標識のDNAプローブの存在は、存在すべきバックグラウンドで重要である。バックグラウンドが、多量体HRP結合による場合、バックグラウンドは、DNP標識のDNAプローブのみが方法から取り除かれたとき存在すると考えられるが、この場合は例外である。バックグラウンドは、DNP標識されたプローブによるものであることを示すさらなる証拠を、バックグラウンドを、スライド上で、ナフトールAS−TRリン酸の添加およびDNP標識のプローブと共にインキュベートに取り除かれたとき、得た。ナフトールの存在は、DNP標識のプローブをファストレッド/ナフトールリン酸複合体と結合することによって阻害し、従ってバックグラウンドを減少した。
【0057】
銀のバックグラウンドは、必ずしも再現可能ではなく、それは機器または試薬に関連する原因のいずれをたどることが困難にさせる機器から機器、動作から動作によって変更した。銀のバックグラウンドが、様々なDNP標識のプローブで観測されたにも関わらず、バックグラウンドはFITC標識のプローブで見られなかった。これらの研究は、銀のバックグラウンドがファストレッドクロモゲンで相互作用するDNP分子の結果であることを示唆した。これは、遊離DNPをファストレッドクロモゲンの進展後組織でインキュベートする研究を行なうことによって確認された。この研究からの結果は、ファストレッドクロモゲンパターンと関連のある相当な銀のバックグラウンドで生じた。
【0058】
本発明の開発する実施形態において、実験を観測される非特異的バックグラウンドを阻害または減少するために利用することができる化合物および方法を同定するために行った。一連の研究を、DNP標識のプローブのDNP部分が、ファストレッド/ナフトールリン酸複合体のナフトールリン酸成分に主に結合することを示す結論に応じた実行した。DNPとナフトールリン酸成分のスライド上の正確な性質は知られていないが、観測される非特異的結合が電子不足芳香族化合物(この場合DNPハプテン)と、電子豊富なクロモゲン複合体(例えばファスト/ナフトールリン酸複合体)の結合、例えばπスタッキングによるものであると考えられる。
【0059】
これらの観測に基づいて、本開示は、単一のサンプルにおける2以上のターゲット分子のクロモゲン検出時に、電子不足芳香族化合物(例えばハプテン)に電子豊富なクロモゲン複合体の非特異的結合を実質的に減少または防止することによる二重検出を提供する方法および/または組成物を提供することを特に目的とする。特定の開示の実施形態は、電子不足芳香族化合物に電子豊富なクロモゲン複合体へのπスタッキングを、実質的に抑制または防止する方法および/または組成物に関する。この方法は自動または手動的な実行であることができる。
【0060】
II.略語および用語
特に明記しない限り、技術用語を従来の用法に従って使用する。分子生物学における一般的な用語を、Benjamin Lewin, Genes VII, published by Oxford University Press, 2000; Kendrew et al. (eds.), The Encyclopedia of Molecular Biology, published by Blackwell Publishers, 1994); Robert A. Meyers (ed.), Molecular Biology and Biotechnology: a Comprehensive Desk Reference, published by Wiley, John & Sons, Inc., 1995; and George P. Redei, Encyclopedic Dictionary of Genetics, Genomics, and Proteomics, 2nd Edition, 2003で見出すことができる。
【0061】
用語および方法の以下の説明を、本開示を十分に記載し、本開示を実行する当業者を導くために提供する。文脈が明確に記載しない限り、単数形「a」、「an」および「the」は、1以上のものとして規定する。例えば、「一つの細胞を含む」という用語は、単一または複数の細胞を含有し、「少なくとも1つの細胞を含む」という表現と同じであると考えられる。「または」という用語は、文脈が明白に示さない限り、定められた代替の要素の単一の要素または2以上の要素の組み合わせとする。
【0062】
本明細書に記載のものと同等または類似の方法および材料を使用して、開示した技術を実行または試験することができるが、適切な方法および材料を以下に記載する。材料、方法および例は、例証のみで、限定される目的とはしない。
【0063】
本開示の様々な実施形態の検討を促進するために、特定の用語で以下の説明を提供する:
【0064】
アルカリホスファターゼ:(P(O)(OR))を分子から取り除く加水分解酵素である。例えば、アルカリホスファターゼは、ナフトールリン酸エステル(基質)をフェノール化合物およびリン酸塩に加水分解する。フェノールアゾは無色のジアゾニウム塩(クロモゲン、例えばファストレッド)と結合して、不溶性且つ色の付いた沈殿物を生成する。
【0065】
脂肪族化合物:以下に記載のようなアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン化アルキル基およびシクロアルキル基を含有する部位である。「低級脂肪族」基は、炭素原子1〜10を有する分岐鎖または非分岐鎖の脂肪族群である。
【0066】
アルキル:炭素原子1〜24の分岐鎖または非分岐鎖の飽和炭化水素基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、テトラデシル、ヘキサデシル、エイコシル、テトラコシル等である。「低級アルキル」基は、炭素原子1〜10を有する分岐鎖または非分岐鎖の炭化水素である。「ハロゲン化アルキル」または「ハロアルキル基」という用語は、ハロゲン(F、Cl、Br、I)で置換したコレラの基が存在する1以上の水素原子で上記に規定するようなアルキル基とする。「シクロアルキル」という用語は、炭素原子少なくとも3から構成する非芳香族の炭素に基づく環式とする。シクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を含有するが、これらに限定されない。「ヘテロシクロアルキル基」という用語は、環式の少なくとも1の炭素原子を、ヘテロ原子、例えば窒素、酸素、硫黄またはリンであるがこれらに限定されないものと置換した上記のように規定したシクロアルキル基である。任意に置換された基、例えば「置換されたアルキル」は、置換基1〜5、通常置換基1〜3を有するアルキル基であり、アルコキシル、任意に置換されたアルコキシル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、アリール、カルボキシアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルケニル、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたヘテロシクリル、ヒドロキシ、チオールおよびチオアルコキシルから選択される基を記載する。
【0067】
抗体:少なくとも軽鎖または重鎖免疫グロブリンの可変領域を含有し、抗原のエピトープに特異的に結合するポリペプチドである。抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、または抗体の断片ならびに従来技術に知られている他のものを含む。いくつかの例において、抗体は検出可能な標識、例えば酵素または蛍光色素分子で標識された。
【0068】
抗原:免疫反応を刺激する分子である。抗原は、通常タンパク質または多糖類である。エピトープは、特定の免疫反応を引き起こす分子で化学基またはペプチド配列から構成される抗原決定基である。抗体は、特定の抗原またはエピトープと結合する。抗体と特定の抗原または抗原のエピトープへの結合を使用して、抗原の位置を、例えば生物学的サンプルにて局在化;または特定の抗原が生物学的サンプルにて存在するかどうかを決定することができる。関連のある抗原は、IHC分析が試験サンプルで検出するように設計される抗原である。例えば、関連のある抗原を検出するために、IHC分析にて使用される1次抗体は、関連のある抗原と特異的に結合する。
【0069】
結合または安定結合:2つの基質または分子間の会合、例えば特異的結合物質(例えば抗体)と抗原の会合である。
【0070】
クロモゲン:着色された生成物、例えば色素または染色に変換することができる物質。特定のクロモゲンは、酸化されたとき着色した生成物となる電子供与体である。着色した生成物の生成および、化学転換、例えば酸化に応じて不溶性になる特徴は、クロモゲンをIHCで役立たせることができる。クロモゲン化合物の特定の例は、限定されないが、ジアミノベンジジン(DAB)、4−クロロ−2−メチル−ベンゼンジアゾニウム(ファストレッド)、2,2’−アジノージー(3−エチルベンゾチアゾリンスルホン酸)(ABTS)、New Fuchsin、ヨードニトロテトラゾリウム(INT)、ブルーテトラゾリウムおよびテトラゾリウムバイオレットを含有する。
【0071】
DABは、アルコールおよび他の有機溶媒に非常に不溶性である茶色の最終生成物を生成するクロモゲンである。DABの酸化は重合を生じ、四酸化オスミウムと反応することができる結果であり、従ってその染色強度および電子密度を上昇させる。いくつかの金属および方法で使用して、重合DABの光学密度を向上させて、硫化銀と組み合わせた塩化金は、最も良好であると考えられる。
【0072】
ジアゾニウム塩は、酵素アルカリホスファターゼ、例えばナフトールリン酸エステル(基質)をフェノール化合物およびリン酸塩に加水分解することによって生じるフェノールと結合するクロモゲンの更なる例である。クロモゲンファストレッドTRおよびファストブルーBBは、それぞれ明るい赤色または青色の最終生成物を生成する。双方ともアルコールおよび他の有機溶媒に可溶性であるため、水溶性封入剤を使用する。新しいフクシンはまた、赤色の最終生成物を生じる。ファストレッド TRおよびファストブルーBBと異なり、新しいフクシンによって生じる色素は、アルコールおよび他の有機溶媒に不溶性であり、試料をカバーガラスする前に脱水することが可能である。
【0073】
検出するのに十分な条件:所望の活性を可能とする、例えばプローブを標的への結合および相互作用を検出することを可能にするあらゆる環境である。例えば、前記条件は適切な温度、バッファー溶液および検出手段、例えば顕微鏡およびデジタル画像処理装置を含有する。
【0074】
接触:2以上の部位間の会合、特に直接的な物理的会合、例えば固体形状および/または液体形状の双方(例えば、生物学的サンプルの配置、スライドに固定された生物学的サンプル等を、抗原を放出する溶液での接触)を可能とする配置である。
【0075】
コントロール:試験有効性を評価するための実行したサンプルまたは製法。一例において、コントロールは品質管理、例えば陽性対象である。例えば、陽性対象は、実際の試験サンプルと同様であるが、従来の実験から肯定的な結果が得られることを知られている方法またはサンプル、例えば組織または細胞である。陽性対象は、実際の試験サンプルがこのような結果を全く生じない場合でさえも、試験の基礎的条件が肯定的な結果をもたらすことを確認する。特定の例において、陽性対象は、推測した抗原を含む従来試験することによって知られているサンプルである。
【0076】
他の例において、コントロールは陰性対象である。陰性対象は、従来の経験から否定的結果を生じることが知られている製法または試験サンプルである。陰性対象は、試験が予測可能な工程な結果をもたらさないときに得られる基礎的な結果を示す;しばしば陰性対象の値は、試験サンプルの結果から差し引かれる「バックグラウンド」値として扱われる。特定の例において、陰性対象は特異的1次抗体を含まない試薬である。他の例は、校正器コントロールを含み、既知の量のコントロール抗原を含有するサンプルである。上記の校正器のコントロールは、予想されるシグナル強度を有し、従ってインターランまたはイントラランの染色の変化を修正するために使用することができる。
【0077】
検出:例えば、試薬(例えばシグナルまたは特定抗原もしくはタンパク質)が、例えばサンプル中の有無を見つけ出す。いくつかの例において、さらにこれは定量化を含有することができる。「検出」とは、何かが存在するか、または存在しないかを、例えばターゲット分子が生物学的サンプル内に存在するかを決定するあらゆる方法とする。例えば、「検出」は、視覚的または機械的な装置を使用して、サンプルが特定の特徴を示すかを見つけ出すことを含むことができる。特定の例において、検出は標的に結合したプローブを視覚的に観測または、標的に結合しないプローブを観測するとする。例えば、顕微鏡検査および他の顕微鏡による手段を通常使用して、本明細書に記載の方法におけるクロモゲン沈殿物を検出する。
【0078】
検出可能な標識:サンプル中の標的の存在および/または濃度を示す検出可能な(例えば、視覚的、電子的またはそれ以外)シグナルが生じることができる分子または物質である。特異的結合分子に結合したとき、検出可能な標識を使用して、特異的結合分子を目的とする標的を局在化および/または定量化することができる。そのため、サンプル中の標的の存在および/または濃度を、検出可能な標識によって生じたシグナルを検出することによって検出することができる。検出可能な標識を、直接または間接的に検出することができ、異なる特異的結合分子に結合するいくつかの異なった検出可能な標識を組み合わせて使用して、1以上の標的を検出することができる。例えば、第一の検出可能な標識、標的に特異的な抗体に結合するハプテン等を、第一の検出可能な標識に特異的に結合する分子に結合する第二の検出可能な標識を使用することによって、間接的に検出することができる。別々に検出することができる多数の検出可能な標識を、異なった標的に特異的に結合してサンプル中にて多数の標的の検出を提供することができる多重化分析を提供する、異なった特異的結合分子に結合することができる。
【0079】
検出可能な標識は、着色、蛍光、リン光および発光の分子および原料;一つの物質を他の物質に変換して検出可能な違い(例えば無色物質を着色物質に変換するかもしくはその逆、または沈殿物を製造またはサンプルの混濁を増加させることによる)を提供する触媒(例えば酵素);更なる検出標識の抗体結合を使用して抗体ハプテン結合相互作用によって検出することができるハプテン、ならびに常磁性および磁性の分子または原料を含有する。検出可能な標識の特定の例は、酵素、例えばセイヨウワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、酸性ホスファターゼ、グルコースオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼまたはβ−グルクロニダーゼ;蛍光色素分子、例えばフルオレセイン、発光団、クマリン、BODIPY染料、レゾルフィンおよびローダミン(多くの更なる例の蛍光分子が、The Handbook − A Guide to Fluorescent Probes and Labeling Technologies, Molecular Probes, Eugene, ORに見出すことができる);ナノ粒子、例えば量子ドット(米国特許第6815064号明細書、米国特許第6682596号明細書および米国特許第6649138号明細書、それぞれの特許を本明細書の参考文献として取り入れる);金属キレート、例えばGd3+のような放射性または常磁性の金属イオンのDOTAおよびDPTAキレート;ならびにリポソーム、例えば閉じ込められた蛍光分子を含むリポソームを含有する。検出可能な標識が酵素を含む場合、検出可能な基質、例えばクロモゲン、蛍光性化合物、または発光原化合物を、酵素と組み合わせて使用して、検出可能なシグナルを発生する。
【0080】
選択的に、酵素を金属組織検出方式において使用することができる。金属組織検出法は、酵素の使用、例えばアルカリホスファターゼを水溶性金属イオンおよび酵素のレドックス不活性基質との組み合わせを含有する。基質は酵素によってレドックス活性剤へ変換し、レドックス活性剤は金属イオンを還元し、検出可能な沈殿物の形成を生じる。(例えば、出願中の2004年12月20日に出願された米国特許公開第11/015646号明細書、PCT公開第2005/003777号明細書および米国特許公開第2004/0265922号明細書を参照;それぞれ本明細書に組み込むものとする。)金属組織検出法は、水溶性金属イオン、酸化剤および還元剤と共に酸化還元酵素酵素(例えばセイヨウワサビペルオキシダーゼ)を使用して、検出可能な沈殿物を再形成することを含有する。(例えば、米国特許第6670113号明細書参照、本願明細書において組み込むものとする)。ハプテンは、抗体によって結合する小分子であるが、それら自体は免疫反応を動物において誘発しなく、最初に大きいキャリア分子、例えばタンパク質に結合して、免疫反応を発生する必要がある。ハプテンの例は、ジニトロフェニル、ビオチン、ジゴキシゲニンおよびフルオレセインを含有する。オキサゾール、ピラゾール、チアゾール、ニトロアリール、ベンゾフラン、トリテルペン、尿素、チオ尿素、ロテノイド、クマリンおよびシクロリグナンハプテンを含有する更なる例を、出願中の2007年11月1日に出願された米国特許出願公開11/982627号明細書であり、本明細書において引用したものとする。
【0081】
電子欠損:ニトロベンゼンまたはアクリロニトリルにて見出されるように、付着して電子求引基を有するπシステム、例えばアルケンまたはアレーンを示す。前記部位に共通の典型的な反応性を示す代わりに、電子不足πシステムは、求電子であり、求核攻撃の作用を受けやすくすることができる。例において、電子不十分なハプテンは、DNPである。
【0082】
エピトープ:抗原結合分子(例えば、抗体、抗体断片、抗体結合領域を含むスカフォールドタンパク質またはアプタマー)が結合する部位であるターゲット分子(例えばタンパク質または核酸分子のような抗原)。エピトープを、ターゲット分子(例えば、タンパク質間相互作用)の隣接または並列された非隣接残基(例えば、アミノ酸またはヌクレオチド)の両方から形成することができる。隣接した残基(例えば、アミノ酸またはヌクレオチド)から形成されるエピトープを、通常、変性溶媒にさらして保つことができる、一方通常三次折りたたみ構造から形成されるエピトープは、変性溶媒で処理することによって欠失する。通常、エピトープは少なくとも3、更に一般的には、5または8 10残基(例えば、アミノ酸またはヌクレオチド)を含有する。通常、エピトープはまた20未満の残基(たとえばアミノ酸またはヌクレオチド)の長さ、例えば15未満または12未満の残基である。
【0083】
固定:可能な限り生存状態に近いような、細胞および組織の構成要素を保存し、それらが調整方法の変化なしに経ることを可能とする工程である。固定は、細胞死と共に開始する自己分解および細菌分解の工程を抑制し、細胞および組織の構成要素を、それらが組織処理後の段階、例えばIHCを抵抗するように安定させる。
【0084】
組織を、潅流、または定着剤、例えばアルデヒド(例えばホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド等)の中に入れるいずれかによって、固定することができる。他の定着剤は、酸化剤(例えば、金属イオンおよび複合体、例えば四酸化オスミウムおよびクロム酸)、タンパク質変性剤(例えば酢酸、メタノールおよびエタノール)、定着剤の未知のメカニズム(例えば塩化第二水銀、アセトンおよびピクリン酸)、組合せ試薬(例えばカルノア固定液、メタカーン、ブアン液、B5定着剤、ロスマンの液体およびジャンドルの液体)、マイクロ波および種々のもの(例えば、体積固定および蒸気固定を除く)を含有する。また添加剤を定着剤、例えばバッファー、洗剤、タンニン酸、フェノール、金属塩類(例えば、塩化亜鉛、硫酸亜鉛およびリチウム塩)およびランタンに含有する。
【0085】
IHCでサンプルを調製する際に最も一般的に使用される定着剤は、ホルムアルデヒド、一般的にはホルマリン溶液状である(バッファー溶液中4%ホルムアルデヒドであり、10%バッファーのホルマリンとする)。
【0086】
ハプテン:通常特異的に抗体と結合することができるが、キャリア分子と組み合わせる以外で、通常は免疫原性を実質的にできない分子である。ハプテンの例は、ジニトロフェノール(DNP)およびジゴキシゲニンを含有するが、これら限定されない、フルオレセイン、ビオチン、ニトロアリールを含有するが、これらに限定されないものである。
【0087】
ハイブリッド形成:DNA、RNAまたはDNAおよびRNAの間の2鎖に相補的な領域の間の塩基対を形成し、それによって二重分子を形成する。一定の程度の厳格に生じるハイブリッド形成条件は、ハイブリッド法の性質ならびにハイブリッド形成する核酸配列の組成物および長さに依存して変更するだろう。通常、ハイブリッド形成の温度およびハイブリッドバッファーのイオン強度(例えばNa濃度)は、ハイブリッド形成の厳格さを決定する。特定の程度の厳格さを達成するためのハイブリッド形成条件に関係する算出を、Sambrook et al., (1989) Molecular Cloning, second edition, Cold Spring Harbor Laboratory, Plainview, NY (chapters 9 and 11)に記載する。
【0088】
免疫染色(IHC):抗原と特異的結合物質、例えば抗体との相互作用を検出することによって、サンプル中の抗原の存在または分布を決定する方法である。抗原(例えば標的抗原)を含有するサンプルを、抗体―抗原結合を可能とする条件下において抗体とインキュベートする。抗体―抗原の結合を、抗体に結合した検出可能な標識(直接的な検出)または2次抗体に結合した検出可能な標識によって検出し、1次抗体に対して(例えば間接的な検出)生じることができる。検出可能な標識は、放射性同位体、蛍光色素(例えばフルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、およびローダミン)および色素産生分子を含有するが、これらに限定されない。
【0089】
in situハイブリッド形成(ISH):標識された相補的DNAまたはRNA鎖(即ちプローブ)を使用して、特定のDNAまたはRNA配列を、部位または組織の断片(in situ)、すなわち組織が完全な組織(全組織標本ISH)において十分に小さい場合(例えば、植物の種、ショウジョウバエの胚)に局在化する、ハイブリッド形成の種である。これは免疫染色と区別して、タンパク質を組織断片中に局在化することができる。DNA ISHを使用して、染色体の構造を、例えば染色体整合性を評価するための医療診断を使用することで決定することができる。RNA ISH(ハイブリッド組織化学)を使用して、mRNAおよび他の転写因子を、組織断片または全組織標本にて測定および局在化する。
【0090】
ハイブリッド形成の組織化学に関して、、サンプル細胞および組織を通常処理して、標的転写因子をその場に固定し、プローブのターゲット分子への接近を向上させる。上記のように、プローブは標識された相補的DNAまたは相補的RNA(リボプローブ)のいずれかである。プローブは標的配列に上昇した温度にてハイブリッド形成し、その後過剰なプローブを洗い流す(ハイブリッド形成されていなく、過剰なRNAプローブの場合RNaseを使用して従来の加水分解後)。溶液パラメータ、例えば温度、塩および/または洗剤濃度を調節して、あらゆる同一でない相互作用を取り除くことができる(即ち、正確な配列の候補が結合して残る)。その後、効率的に例えばラジオ、蛍光または抗原標識塩基(例えばジゴキシゲニン)のいずれかで標識された、標識プローブを局在化し、オートラジオグラフィー、蛍光顕微鏡検査または免疫組織化学のいずれかをそれぞれ使用して、組織中にて潜在的に定量化する。またISHは、2以上のプローブを、放射性標識または他の非放射性標識、例えばハプテン標識で標識して、通常2以上の転写因子を同時に検出する異なった標識を使用することができる。
【0091】
低級アルキル:炭素原子1〜10を有する飽和分岐鎖または非分岐鎖の炭化水素である。
【0092】
哺乳類:この用語は、ヒトおよびヒトでない哺乳類の両方を含有する。同様に、「対象」という用語は、ヒトおよび獣医学的対象の両方を含有する。
【0093】
関連またはターゲット分子:存在、局在および/または濃度を決定する分子である。関連のある分子の例は、核酸配列およびハプテンと結合したタンパク質を含有する。
【0094】
ナフトール:ナフトールまたはナフタレン−1−オルおよびナフタレン−2−オルは、ナフタレンで水素基の位置によって異なる位置異性体である一般式C10OHを有する、2つの無色結晶固体アイソフォームのいずれかである。
【0095】
α−ナフトールは、以下の一般式を有するナフタレン−1−オルである。
【0096】
【化5】

【0097】
β−ナフトールは、以下の一般式を有するナフタレン−2−オルである。
【0098】
【化6】

【0099】
ナフトールは、フェノールのナフタレン相同物であり、水酸基がフェノールより反応性である。ナフトールは、単純アルコール、エーテルおよびクロロホルムに溶解する。一例において、ナフトールはハイブリッド形成バッファーに溶解する。リン酸ナフトールAS−TRおよびリン酸ナフトールAS−MX等の化合物を、基質、例えばホスファターゼであり、アルカリホスファターゼ等およびファストレッド/リン酸ナフトールクロモゲン複合体の通常の成分として利用する。
【0100】
腫瘍形成および腫瘍:異常且つ抑制できない細胞成長の工程である。腫瘍形成は、増殖疾患の一例である。
【0101】
新生組織形成は、新生物(腫瘍)であり、過度な細胞分裂の結果である組織の異常な成長である。転移しない腫瘍を「良性」とする。周辺組織に侵入する腫瘍および/または転移を「悪性」とする。血液学的な腫瘍の例は、急性白血病(例えば急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病ならびに骨髄芽球性、骨髄球性、骨髄単核性、単球性および赤白血病)、慢性白血病(例えば慢性骨髄性(顆粒球)白血病、慢性骨髄性白血病および慢性リンパ球性白血病)、真性赤血球増加症、リンパ腫、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(不活性および高い度合いの形状)、多発性骨髄腫、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、重鎖病、骨髄異形成症候群、毛のような細胞白血病および脊髄形成異常を含有する白血病を含む。
【0102】
固形腫瘍の例、例えば肉腫および癌腫は、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨性肉腫、骨原性肉種および他の肉腫、滑液腫瘍、中皮腫、ユーイングの腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、リンパ悪性、膵癌、乳癌、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、肝臓癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、甲状腺髄様癌、甲状腺乳頭癌、褐色細胞腫脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、髄様癌、気管支癌、腎臓細胞癌、肝癌、胆管癌、絨毛膜癌腫、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、睾丸腫瘍、精上皮腫、膀胱癌および中枢神経系腫瘍(例えば神経膠腫、星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、音響神経腫、乏突起細胞腫、月経血管腫、黒色腫、神経芽腫および網膜芽腫)を含有する。
【0103】
ニトロアリール:一般的な種類のハプテンは、ニトロフェニル、ニトロビフェニル、ニトロトリフェニル等および以下の一般の化学式を有するあらゆるおよび全てのヘテロアリール相対物を含有するが、これらに限定されない。
【0104】
【化7】

【0105】
この一般式に関して、前記化合物は少なくとも1、任意に複数のニトロ基を有する。従って、R〜Rの1を超えるものが、ニトロ基である。R〜Rの1を超えるものがニトロ基である場合、複数のニトロ基の置換基に相対的の環式の位置、またはほかの環式の置換基に相対的なニトロ基置換基の全ての組み合わせが、開示のハプテンのこれら種類の範囲内で含有される。ジニトロアリール化合物は、最も典型的である。当業者は、ニトロ基の数が増加するため、一般式における残りの環状の置換基の数は減少することを理解するだろう。これらの置換基は、水素、アシル基、アルデヒド基、アルコキシル基、脂肪族、特に低級な脂肪族、置換された脂肪族、ヘテロ脂肪族、例えばヘテロ原子を有する有機鎖、例えば酸素基、窒素基、硫黄基、アルキル基、特に炭素原子20以下を有するアルキル基、より一般的に炭素原子10以下を有する低級アルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基およびブチル基、置換されたアルキル基、例えばハロゲン化アルキル基(例えば、−CXにおいて、Xはハロゲン基およびそれらの組み合わせ、いずれか鎖またはそれに結合したもの)、オキシム基、オキシムエーテル基(例えば、メトキシイミン基、CH−O−N=)、アルコール基(即ち、脂肪族またはアルキルヒドロキシ基、特に低級アルキル水酸基)、アミド、アミノ基、アミノ酸、アリール基、アルキルアリール基、例えばベンジル、炭水化物、単糖類、例えばグルコースおよびフルクトース、二糖類、例えばサッカロースおよびラクトース、オリゴ糖類および多糖類、カルボニル基、カルボキシル基、カルボン酸塩(その塩類、例えば第一族金属またはアンモニウムイオンカルボン酸塩を含有する)、環式、異種環状化合物、シアン基(−CN)、エステル基、エーテル基、ヒドロキシルアミン基、オキシム基(HO−N=)、ケト基、例えば脂肪族ケトン基、ニトロ基、スルフヒドリル基、スルホニル基、スルホキシド基、エキソメチレン基、ならびにそれらの組み合わせから独立して選択される。置換基R〜Rの少なくとも1は、リンカーに結合しているか、またはリンカーもしくはキャリア分子のカップリングに適切な官能基である。
【0106】
置換基R〜Rの2以上はまた、環系、例えばナフタレン(以下に示す)またはアントラセン誘導体における、原子、通常炭素原子であることができる。6員環系意外の環系を、例えば結合された6〜5環系で形成することができる。
【0107】
【化8】

【0108】
また、R〜Rを占める環式の位置の少なくとも1つは、リンカーに結合しているか、またはキャリア分子にカップリング、例えば共有結合によって適切な変異性の官能基である。例えば、ニトロアリール化合物はキャリアまたはリンカーに、様々な任意の環状部位でカップリングする官能基であることができる。
【0109】
実用的な実施形態は、ニトロフェニル化合物によって例証される。単なる例として、モノニトロアリール化合物をニトロシナマイド化合物によって例証する。一実施形態のニトロシナマイドに基づく化合物を、以下に示すような4,5−ジメトキシ−2−ニトロシナマイドに例証する。
【0110】
【化9】

【0111】
化合物ニトロフェニル族をまた、ジニトロフェニル化合物によって示す。ニトロ基を有さない環状の位置の残りの炭素原子少なくとも1つは、官能基、リンカー、または直接キャリアに結合する。これらの基の相関的な位置のあらゆるおよび全ての組み合わせを、開示したハプテン族の範囲に含有する。
【0112】
【化10】

【0113】
実用的な実施形態を、以下に示すようなリンカーにカップルする2,4−ジニトロフェニル化合物に、特に例証する。
【0114】
【化11】

【0115】
〜Rを上記のように定める。
【0116】
オリゴヌクレオチド:約6〜約300ヌクレオチドの長さの間で、天然ホスホジエステル結合によって結合した複数の結合ヌクレオチドである。オリゴヌクレオチドの類似体は、オリゴヌクレオチドと同様に機能するが、天然に発生した部位でないものとする。例えば、オリゴヌクレオチドの類似体は、天然に発生した部位でない、例えば変換した糖部位または糖間結合、例えばホスホロチオエートオリゴデオキシヌクレオチドを含有することができる。自然に分泌されるポリヌクレオチドの機能的な類似体は、RNAまたはDNAと結合することができ、ペプチド核酸分子を含有する。
【0117】
特定のオリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドの類似体は、直鎖配列の約200ヌクレオチドまでの長さ、例えば少なくとも6塩基、例えば少なくとも8、10、15、20、25、30、35、40、45、50、100またはさらに200塩基の長さ、または約6〜50塩基、例えば約10〜25塩基、例えば12、15または20塩基である配列(例えばDNAまたはRNA)である。
【0118】
重合物質:構造単位、すなわちモノマーの繰り返しで構成され、共有化学結合によって結合される高分子量を有する分子からなる物質である。本明細書において使用されるように、重合物質の例は、パラフィン、アガロースおよびゼラチンを含有することができる。
【0119】
プローブ:検出可能な標識またはレポーター分子に付着し、単離された核酸、単離合成されたオリゴヌクレオチドとする。典型的な標識は、放射性同位体、酵素基質、補助因子、リガンド、化学発光もしくは蛍光物質、ハプテン(DNPを含有するが、これに限定しない)および酵素を含有する。標識法および様々な目的に適切な標識の選択のガイダンスを、例えばSambrook et al. (In Molecular Cloning: A Laboratory Manual, CSHL, New York, 1989) and Ausubel et al. (In Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publ. Assoc. and Wiley−Intersciences, 1992)に記載する。
【0120】
当業者は、特定のプローブの特異性はその長さとともに増加させることを認識するであろう。従って、プローブは、所望の特性を提供するために選択することができ、所望のヌクレオチド配列の少なくとも17、20、23、25、30、35、40、45、50またはより連続的なヌクレオチドを含有することができる。特定の例において、プローブは、所望ヌクレオチド配列の少なくとも100、250、500、600または1000の連続的なヌクレオチドを含有することができる。
【0121】
サンプル:「サンプル」という用語は、標的が存在することができるあらゆる液体、半固体または固体物質(または原料)とする。特に、サンプルは、生物学的サンプルまたは生物学的材料から得られるサンプルであることができる。生物学的サンプルの例は、組織サンプルおよび細胞学的サンプルを含有する。いくつかの例において、生物学的サンプルは、動物の対象、例えばヒトの対象から得られる。生物学的サンプルは、単細胞生命体、例えばバクテリア、酵母、原生動物およびアメーバ、とりわけ多細胞生命体(例えば植物または健康もしくは外見上健康なヒトの対象、または癌等と診断または検査された状態もしくは疾患によって影響を受けるヒトの患者を含有する動物)を含有するが、これらに限定されないあらゆる生物から得られ、排出されるか、分泌されるあらゆる固体または液体のサンプルである。例えば、生物学的サンプルは、例えば血液、血漿、血清、尿、胆汁、腹水、唾液、脳脊髄液、水溶性もしくは硝子体液またはあらゆる生体分泌物から得られる生物流体または浸出液、滲出液(例えば膿瘍または感染症もしくは炎症の他のいかなる部位から得られる液体)、または関節から得られる液体(例えば、正常な関節または疾患に影響を受ける関節)であることができる。生物学的サンプルは、またあらゆる器官または組織(生検または剖検材料、例えば腫瘍生検を含有する)から得られるサンプルであることができるか、または細胞(初代細胞または培養細胞)もしくはあらゆる細胞、組織、器官によって状態を整える培地を含有することができる。いくつかの例において、生物学的サンプルは核抽出物である。いくつかの例において、生物学的サンプルは細菌細胞質である。特定の例において、サンプルは、優良なコントロールサンプル、例えば開示した細胞ペレット断片サンプルの1つである。他の例において、サンプルは試験サンプルである。例えば、試験サンプルは対象から得られた生物学的サンプルで調製した細胞、組織または細胞ペレット断片である。例において、対象は危険性があり、または特定の状態もしくは疾患もたらすものである。
【0122】
特異的結合:規定された標的に優先して結合する薬剤の結合の用語である(例えば、特定の抗原への抗体または特定の核酸配列への核酸プローブ)。抗原に関して、「特異的結合」とは、特異的なポリペプチドと、全部または一部において、抗体または他のリガンドの優先的な関連とする。核酸配列に関して、「特異的結合」とは、特異的核酸配列と、全部または一部において、核酸プローブの優先的な関連とする。
【0123】
特異的な結合剤は、規定した標的のみに実質的に結合する。わずかな程度の非特異的相互作用が分子間、例えば特異的結合剤、および標的でないポリペプチドもしくは標的でない核酸配列に生じることができることが認める。選択的反応性抗体が抗原に結合するが、それは低い親和性でそうすることができる。抗原に特異的に結合する抗体は、標的でないポリペプチドと比較して、標的ポリペプチドに結合した抗体または他のリガンドの量(単位時間について)において、通常2倍を超え、例えば5倍を超え、10倍を超えるか、100倍を超える増加である。様々な免疫測定法が、特定のタンパク質と特異的に免疫反応性である抗体を選択するために適切である。例えば、固体相ELISA免疫測定法を通常使用して、タンパク質と特異的に免疫反応性を有するモノクローナル抗体を選択する。Harlow & Lane, Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Publications, New York (1988)を、特異的な免疫反応を決定するために使用することができる免疫測定法の記載および条件として参照する。
【0124】
核酸配列に特異的な結合のための核酸プローブは、標的でない核酸と比較して、標的核酸配列に結合した核酸プローブの量において、通常2倍を超え、例えば5倍を超え、10倍を超えるか、100倍を超える増加である。様々なISH条件は、特定の核酸配列と特異的に結合する核酸プローブを選択するために、適切である(本明細書に記載)。
【0125】
特異的結合部位:特定の結合対の部分である。特定の結合対とは、それらが他の分子に結合を実質的に除外して、互いに結合する点で特徴付けられる分子対である(例えば、特定の結合対は、生物学的サンプルにおいて、他の分子を有する結合対の2部のいずれかでの結合定数より、少なくとも10−1を超え、10−1を超え、または10−1を超える結合定数を、有することができる)。特異的結合部位の特定の例は、特異的結合タンパク質(例えば、抗体、レクチン、アビジン、例えばストレプトアビジンおよびタンパク質A)を含有する。特異的結合部位はまた、このような特異的結合タンパク質と特異的に結合する分子(またはその一部)を含むことができる。
【0126】
基質:触媒、例えば酵素に作用した分子である。一例において、基質は、4−クロロ−1−ナフトール(4−CN)、リン酸ナフトールAS−TR、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−リン酸(BCIP)、ジアミノベンジジン(DAB)またはパラ−ニトロフェニルリン酸塩(pNNP)である。
【0127】
標的:存在、位置および/または濃度を決定するか、または決定することができるあらゆる分子である。標的分子の例は、タンパク質、核酸およびハプテン、例えばタンパク質または核酸配列に共有結合するハプテンを含有する。標的分子を、特異的結合分子および検出可能な標識の1以上の複合体を使用して、通常検出する。
【0128】
組織:生命体内で、同様な機能を行う相互接続した細胞の一群である。
【0129】
III.単一組織サンプルにおいて、2以上の分子の検出法の実施形態
開示した実施形態は、サンプルにおけるIHCまたはISHを、第二のIHCまたはISH法の実行を排除しない方法で実行する工程を含む。従って、IHC−IHC、ISH−ISH、IHC−ISHまたはISH−IHC法を実行する。特定の市販の実施形態において、IHCおよびISHを、同じサンプルにおいて実行する。
【0130】
本明細書の開示は、単一の組織サンプルにおける2以上の標的分子のクロモゲン検出法を含有する実施形態である。一実施形態において、方法は組織サンプルと、第一の標的分子に特異的に結合する第一の特異的結合部位とを接触させることを含む。一例において、第一の特異的結合部位は1次抗体であり、第一の標的分子はタンパク質である。例えば、1次抗体は、癌に関連しているタンパク質、例えばHER2、c−Myc、n−Myc、Abl、EGFRタンパク質、TOP2A、Bcl2、Bcl6、Rb1、p53またはc−Metを検出する抗体である。
【0131】
いくつかの実施形態の方法は、組織サンプルにおける第一の標的分子の検出を含有する。例えば、第一の標的分子を、クロモゲン、例えば不溶性電子豊富な芳香族化合物をサンプルに、第一標的分子に結合する第一の特異的結合部位を検出するような方法で、クロモゲン生成的に検出する。一実施形態において、不溶性、電子豊富な芳香族化合物は、アゾ染料である。いくつかの例において、クロモゲンの沈殿は、基質と触媒を反応させて、不溶性、電子豊富な芳香族化合物を形成することを有する。例えば、触媒は酵素であり、アルカリホスファターゼまたはセイヨウワサビペルオキシターゼ等である。酵素に関する基質は、3,3’−ジアミノベンジジン(DAB)、3−アミノ−9−エチルカルバゾール(AEC)、4−クロロ−1−ナフトール(4−CN)、ナフトールAS−TRリン酸塩、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−リン酸(BCIP)またはパラ−ニトロフェニルリン酸塩(pNNP)から選択される。具体的な実施形態において、DABに基づくクロモゲン検出法を使用する。例えば、DAB−IHC検出法を使用して、第一タンパク質標的を検出する。他の実施形態において、ファストレッドアルカリホスファターゼ検出法を用いた。一実施形態において、ファストレッドアルカリホスファターゼIHC検出法を使用して、第一のタンパク質標的を検出する。例えば、本明細書に開示のようなULTRAVIEW RED Detection Kitsを、抗体のアルカリホスファターゼの標識が付いたカクテルを使用して、結合した1次抗体を局在化する。1次抗体、アルカリホスファターゼ標識抗体の複合体を、ファストレッド/リン酸ナフトールクロモゲン複合体を使用して視覚化した。肯定的な結果は、結合部位に局在化した明るい赤色沈殿物をもたらす。例えば、IHCを皮膚病理学組織サンプルにて実行するとき、明るい赤色は標的タンパク質および自然に分泌されるメラニン色素の間の相違をサンプルにおいて提供する。
【0132】
一実施形態において、単一の組織サンプルにおける2以上の標的分子のクロモゲン検出の方法は、第二の標的分子に特異的に結合する第二のハプテン標識された特異的結合部位と組織サンプルを接触させることを含む。いくつかの実施形態において、第二の、ハプテン標識された結合部位のハプテンは、電子不足芳香族化合物である。例えば、第二の、ハプテン標識された特異的結合部位は、ハプテン標識された核酸プローブ、例えばハプテン標識されたDNAプローブである(例えば、DNP標識されたDNAプローブ)。いくつかの実施形態において、DNP核酸標識されたプローブの濃度は、少なくとも5μg/mLである。いくつかの実施形態において、DNP核酸標識されたプローブの濃度は、約10μg/mLから約15μg/mLの範囲である。
【0133】
一実施形態において、第一の標的分子はタンパク質であり、第二の標的分子はタンパク質である。他の実施形態において、第一の標的分子はタンパク質であり、第二の標的分子は核酸配列である。他の実施形態において、第一の標的は核酸配列であり、第二の標的分子は核酸配列である。例えば、第一の標的分子はタンパク質であり、第二の標的分子は標的分子タンパク質と相関する核酸配列である(例えば、配列をコードする標的タンパク質を局在化する染色体の局在部位もしくはその付近で、標的タンパク質または核酸配列をコードする核酸配列)。第一の標的分子および第二の標的分子は癌、例えばHER2タンパク質、c−Mycタンパク質、n−Mycタンパク質、Ablタンパク質、EGFRタンパク質、TOP2Aタンパク質、Bcl2タンパク質、Bcl6タンパク質、Rb1タンパク質、p53タンパク質もしくはc−Metタンパク質;これらのタンパク質の1つをコードする核酸;またはコードする配列を局在化する染色体部位またはその付近の核酸配列に関連している分子が可能である。一例において、第一の標的分子の検出は、IHCの実行およびISHの実行を含有する第二標的分子の検出を含有する。IHCの実行は、アルカリホスファターゼ赤色クロモゲン検出法またはセイヨウワサビペルオキシダーゼ−DABクロモゲン検出法による第一標的分子の検出を含有する。ISHの実行は、セイヨウワサビペルオキシダーゼ銀ISH検出またはアルカリホスファターゼ赤色銀検出法による第二標的分子の検出を含有する。クロモゲン検出法を、自動または手動で実行することができる。
【0134】
開示の実施形態は、第二のハプテン標識された特異的結合部位と組織サンプルを接触させる前、同時または実質的に同時に、可溶な、電子の豊富な芳香族化合物を含む溶液と組織サンプルの処理を含む。一の実施形態において、組織サンプルと、可溶な、電子豊富な芳香族化合物を有する溶液との処理は、第二のハプテン標識された特異的結合部位とサンプルを接触させる前に生じる。他の実施形態において、組織サンプルと、可溶な、電子豊富な芳香族化合物を有する溶液との処理は、第二のハプテン標識された特異的結合部位とサンプルを接触させる同時または少なくとも実質的に同時に生じる。
【0135】
2以上の分子のクロモゲン検出の開示した方法は、第一の標的分子を検出するために使用される不溶性、電子豊富な芳香族化合物と区別できる第二の、不溶性クロモゲンの沈殿による第二標的分子の検出を含む。可溶性、電子豊富な芳香族化合物を有する溶液と組織サンプルの処理は、ハプテン標識された特異的結合部位と、第一の標的分子付近に沈殿した不溶性、電子豊富な化合物への非特異的な結合により、バックグラウンドを減少させる。
【0136】
一実施形態において、可溶性、電子豊富な芳香族化合物は、以下の一般式を有し、
【0137】
【化12】

【0138】
少なくともR、RおよびRの1つは、H、−OR、−NR、−OPO2−および低級アルキルから独立して選択される電子供与基であり;R、RおよびRの2つは、縮合環または第一の芳香環とともに1以上の部位を有する不飽和な環、任意に1、2または3電子供給置換基と置換され;RおよびRは、独立してHまたは低級アルキルである。
【0139】
さらなる実施形態において、RおよびRは共に結合した芳香族環を形成し、電子豊富な結合芳香族環は、以下の一般式を有する
【0140】
【化13】

【0141】
、RおよびR10は、独立してH、−OR11、−NR1213、―OPO2−および低級アルキルから選択され;R11、R12およびR13は、独立してHおよび低級アルキルから選択される。具体的な実施形態において、可溶性の電子豊富な芳香族化合物は、ヒドロキシアリール基またはヒドロキシビアリール化合物、例えばナフトールである。
【0142】
開示した方法の特定の実施形態において、自動核酸タンパク質検出方法を、同じ組織サンプルで単一の自動動作において二重核酸/タンパク質検出を提供して開示する。開示した実施形態の方法の一つは、1次抗体が組織サンプル中で第一の標的分子に特異的に結合するのに十分な条件に基づいて、1次抗体を組織サンプルに自動的に分配することを含有する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示の方法は、さらに第一標的分子と組織サンプルにおいて1次抗体をIHCによって検出することを含有する。この開示した実施形態は、ハプテンラベルされた核酸プローブを組織サンプルに、前記プローブが第二標的分子に特異的に結合するのに十分な条件において自動的に分配することを含む。いくつかの例において、ハプテン標識された核酸プローブは、電子不足芳香族化合物を上記のように含有する。さらなる実施形態はまた、第二の、ハプテン標識された核酸プローブを、組織サンプルに自動的に分配し、第二標的分子をISHによって検出する前または同時に、電子豊富な芳香族化合物を含む溶液と組織サンプルの処理を含有する。前記実施形態において、電子豊富な芳香族化合物は上記一般式を含有する。具体的な実施形態において、電子豊富な芳香族化合物は、ヒドロキシアリール基またはヒドロキシビアリール化合物、例えばナフトールである。ナフトール濃度は変更することができるが、通常約0.1〜10mg/mL、約0.2mg/mL〜7mg/mL、または約0.3mg/mL〜1mg/mLの範囲である。
【0143】
本発明の方法の一実施形態において、ハプテン標識された核酸プローブを組織サンプルでの自動分配は、組織サンプルと電子豊富な芳香族化合物を処理した後に生じる。他の実施形態において、ハプテン標識された核酸プローブで組織サンプルの自動分配は、電子豊富な芳香族化合物との処理と同時に生じ、電子豊富な芳香族化合物およびハプテン標識された核酸標識されたプローブを、組織サンプルに実質的に同時か、同じ溶液のいずれかにて適応される。いくつかの例において、ハプテン標識された核酸プローブは、ハプテン標識されたDNAプローブ、例えばDNP標識されたDNAプローブである。
【0144】
本発明のいくつかの実施形態において、IHCはISH前に実行される。他の実施形態において、ISHはIHC前に実行される。いくつかの例において、ISHは、セイヨウワサビペルオキシダーゼ銀染色またはアルカリホスファターゼ赤色銀染色による標的核酸の検出を含有する。いくつかの例において、IHC検出は、アルカリホスファターゼレッド酵素クロモゲン複合体またはセイヨウワサビペルオキシダーゼ−DAB酵素クロモゲン複合体による標的タンパク質の検出を含む。
【0145】
本明細書に開示の方法を、手動または自動、例えば自動組織処理計測器で実行することができる。自動化システムは、通常少なくとも部分的に、実質的に完全である必要はないが、コンピューターの制御下にある。通常、自動化システムは少なくとも部分的にコンピューターの制御にあるため、本開示の特定の実施形態はまた、コンピューターが開示の実施形態の方法を実行させる実行可能な指示を記憶する1つ以上具体的なコンピューター可読のメディアに関する。
【0146】
IV.サンプルおよび標的
サンプルは、生物学的成分を含有し、一般的には1以上の関連のある標的分子を含有すると考えられる。標的分子は細胞の表面上にあり、細胞は懸濁液または組織断片に存在することができる。また標的分子は細胞内であることができ、細胞溶解物またはプローブによる細胞浸透にて検出される。当業者は、サンプルにおける標的分子の検出方法は、使用されるサンプルおよびプローブの種類に依存して異なることを評価するだろう。サンプルの収集および調製する方法は技術において知られている。
【0147】
本明細書に記載の方法にて使用されるサンプル、例えば組織またはほかの生物学的サンプルを、知られている技術のあらゆる方法を使用して調製することができる。サンプルを、定期的なスクリーニングで対象または疾患、例えば遺伝学的異常または腫瘍形成を有すると考えられる対象から得ることができる。また記載の方法を、遺伝子異常、疾病、疾患等を有さなく、「正常」サンプルとするサンプルに適応することができる。とりわけ前記正常サンプルは、他のサンプルとの比較するためのコントロールとして実用的である。サンプルを、多くの異なる目的のために分析することができる。例えば、サンプルを科学的研究、疑わしい疾患の診断または治療の成功、生存等で前兆の指標として使用することができる。
【0148】
サンプルは、プローブまたはレポーター分子と特異的に結合することができる複数の標的を含有することができる。標的は核酸配列またはタンパク質であることができる。本開示を通じて、参照を標的タンパク質とする場合、タンパク質と関連のある核酸配列はまた標的として使用することができると理解される。いくつかの例において、標的は病原体、例えばウイルス、バクテリアまたは細胞内寄生虫、例えばウイルスゲノムからのタンパク質または核酸分子である。例えば、標的タンパク質は、疾患と関連のある(例えば、相関関係があり、原因となっていることを意味する等)標的核酸配列から生成することができる。
【0149】
標的核酸配列は実質的に大きさを変更することができる。限定しないが、核酸配列は様々な数の核酸残基を有することができる。例えば、標的核酸配列は少なくとも約10核酸残基、または少なくとも約20、30、50、100、150、500、1000残基を有することができる。同様に、標的ポリペプチドは実質的に大きさを変更することができる。限定しないが、標的ポリペプチドは、ペプチドに特異的な抗体またはその断片に結合する少なくとも1つのエピトープを含有する。いくつかの実施形態において、ポリペプチドはペプチド特異的な抗体またはその断片に結合する少なくとも2つのエピトープを含有することができる。
【0150】
特定の非制限の例において、標的タンパク質は新生物(例えば、癌)と関連のある標的核酸配列(例えばゲノム標的核酸配列)によって生成される。多くの染色体異常(転座および他の再配置、増幅または欠損を含有する)を、腫瘍細胞、特に癌細胞、例えばB細胞およびT細胞白血病、リンパ腫、乳癌、大腸癌、神経性腫瘍等において同定した。したがって、いくつかの例において、標的分子の少なくとも一部を、サンプル中の少なくとも細胞のサブセットにおいて、増幅または除去された核酸配列(例えば、ゲノム標的核酸配列)によって生成した。
【0151】
発癌遺伝子がいくつかのヒトの悪性腫瘍の原因であることが知られている。例えば、染色体18q11.2の切断点に位置するSYT遺伝子を含む染色体再配置が、滑膜肉腫軟部組織腫瘍において一般的である。t(18q11.2)転座を、例えばプローブと異なる標識を使用して、同定することができる:第一のプローブは、SYT遺伝子から遠位に延在する標的核酸配列から発生するFPC核酸分子を含有し、第二のプローブは、3’またはSYT遺伝子の近位に延在する標的核酸配列から発生するFPC核酸を含有する。これらの標的核酸配列(例えば、ゲノム標的核酸配列)に対応するプローブを、in situハイブリダイゼーション法において使用するとき、正常細胞は、SYT遺伝子領域にてt(18q11.2)を欠損し、2つの融合シグナル(近接近の2つのラベルから生じる)を示し、SYTの2つの完全なコピーを反映する。t(18q11.2)を有する異常細胞は、単一の融合シグナルを示す。
【0152】
他の例において、核酸配列(例えば、ゲノム標的核酸配列)から産出される標的タンパク質は、悪性細胞において消失(欠失)する腫瘍抑制因子遺伝子であるものを選択する。例えば、染色体9p21に位置するp16領域(D9S1749、D9S1747、p16(INK4A)、p14(ARF)、D9S1748、p15(INK4B)およびD9S1752を含む)は、特定の膀胱癌にて欠失された。染色体1の短腕の末端領域(例えば、SHGC57243、TP73、EGFL3、ABL2、ANGPTL1およびSHGC−1322を包含する)および動原体周辺領域(例えば、19p13−19q13)の染色体19(例えば、MAN2B1、ZNF443、ZNF44、CRX、GLTSCR2およびGLTSCR1を包含する)を含む染色体欠失が、ある種の中枢神経系の固形腫瘍に、特徴的な分子特性である。
【0153】
上記例を、単に説明の目的のために提供し、限定することを目的としない。悪性形質転換および/または成長と相互に関連を示す多くの他の細胞発生異常が、当業者に知られている。核酸配列によって産出される標的タンパク質(例えばゲノム標的核酸配列)は、腫瘍性変性と相関し、開示の方法において実用的であり、またEGFR遺伝子を含有し(7p12;例えば、GENBANKTM取得番号_NC_000007,ヌクレオチド55054219-55242525),C−MYC 遺伝子(8q24.21;例えば、GENBANKTM取得番号NC_000008,ヌクレオチド128817498-128822856),D5S271(5p15.2),リポ蛋白リパーゼ(LPL)遺伝子(8p22;例えば、GENBANKTM取得番号NC_000008,ヌクレオチド19841058-19869049),RB1(13q14;例えば、GENBANKTM取得番号NC_000013,ヌクレオチド47775912-47954023),p53(17p13.1;例えば、GENBANKTM取得番号NC_000017,相補体, ヌクレオチド7512464-7531642)),N−MYC (2p24;例えば、GENBANKTM取得番号NC_000002,相補体,ヌクレオチド 151835231-151854620),CHOP (12q13;例えば、GENBANKTM取得番号NC_000012,相補体,ヌクレオチド56196638-56200567),FUS (16p11.2;例えば、GENBANKTM取得番号NC_000016,ヌクレオチド31098954-31110601),FKHR (13p14;例えば、GENBANKTM取得番号NC_000013,相補体,ヌクレオチド40027817-40138734)ならびに例えば:ALK(2p23;例えば、GENBANKTM取得番号NC_000002,相補体,ヌクレオチド 29269144 29997936),Ig重鎖, CCND1 (11q13;例えば、GENBANKTM取得番号NC_000011,ヌクレオチド 69165054..69178423), BCL2 (18q21.3;例えば、GENBANKTM取得番号NC_000018,相補体,ヌクレオチド 58941559 59137593),BCL6 (3q27;例えば、GENBANKTM取得番号NC_000003,相補体,ヌクレオチド 188921859 188946169),MALF1,AP1(1p32−p31;例えば、GENBANKTM取得番号NC_000001,相補体,ヌクレオチド59019051 59022373),TOP2A (17q21−q22;例えば、GENBANKTM取得番号NC_000017,相補体,ヌクレオチド 35798321 35827695),TMPRSS (21q22.3;例えば、GENBANKTM取得番号NC_000021,相補体,ヌクレオチド41758351 41801948),ERG(21q22.3;例えば、GENBANKTM取得番号NC_000021,相補体,ヌクレオチド 38675671 38955488); ETV1 (7p21.3;例えば、GENBANKTM取得番号NC_000007,相補体,ヌクレオチド 13897379 13995289),EWS (22q12.2;例えば、GENBANKTM取得番号NC_000022,ヌクレオチド 27994271 28026505);FLI1(11q24.1−q24.3;例えば、GENBANKTM取得番号NC_000011,ヌクレオチド 128069199 128187521), PAX3 (2q35 q37;例えば、GENBANKTM取得番NC_000002, 相補体,ヌクレオチド 222772851 222871944), PAX7 (1p36.2−p36.12;例えば、GENBANKTM取得番号NC_000001,ヌクレオチド 18830087 18935219), PTEN (10q23.3;例えば、GENBANKTM取得番号NC_000010,ヌクレオチド 89613175 89716382), AKT2(19q13.1−q13.2;例えば、GENBANKTM取得番号NC_000019, 相補体,ヌクレオチド 45431556 45483036), MYCL1(1p34.2;例えば、GENBANKTM取得番号NC_000001, 相補体,ヌクレオチド40133685 40140274),REL(2p13−p12;例えば、GENBANKTM取得番号NC_000002,ヌクレオチド60962256 61003682)およびCSF1R(5q33 q35;例えば、GENBANKTM取得番号NC_000005, 相補体,ヌクレオチド149413051 149473128)を含有する。
【0154】
他の例において、標的タンパク質は、疾病または状態に関連するウイルスまたは他の微生物から選択される。細胞または組織サンプルにおけるウイルスまたは微生物の誘導標的核酸配列(例えば、ゲノム標的核酸配列)の検出は、生命体の存在を示す。例えば標的ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質は、発癌性のゲノムまたは病原性ウイルス、バクテリアまたは細胞内寄生虫(例えば、熱帯熱マラリア原虫および他の帯熱マラリア種、リーシュマニア(sp.)、クリプトスポリジウムパルブス(赤痢アメーバ)およびランブル鞭毛虫ならびに、トキソプラズマ属、アイメリア属、タイレリア属およびバベシア属の種)から選択することができる。
【0155】
いくつかの例において、標的タンパク質は、ウイルスゲノムの核酸配列(例えばゲノム標的核酸配列)から産出される。例示的なウイルスおよび相当するゲノム配列(GENBANKTM括弧内に参照配列取得番号記載)は、ヒトアデノウイルスA(NC_001460),ヒトアデノウイルスB(NC_004001),ヒトアデノウイルスC(NC_001405),ヒトアデノウイルスD(NC_002067),ヒトアデノウイルスE(NC_003266),ヒトアデノウイルスF(NC_001454),ヒトアストロウイルス(NC_001943), ヒトBKポリオーマウイルス(V01109; GI:60851)ヒトボカウイルス(NC_007455),ヒトコロナウイルス229E (NC_002645),ヒトコロナウイルスHKU1 (NC_006577),ヒトコロナウイルスNL63 (NC_005831),ヒトコロナウイルスOC43 ( NC_005147),ヒトエンテロウイルスA (NC_001612),ヒトエンテロウイルスB(NC_001472),ヒトエンテロウイルスC(NC_001428),ヒトエンテロウイルスD(NC_001430),ヒトエリスロウイルスV9(NC_004295),ヒト泡沫状ウイルス(NC_001736),ヒトヘルペスウイルス1 (単純ヘルペスウイルス1型) (NC_001806),ヒトヘルペスウイルス2(単純ヘルペスウイルス2型) (NC_001798),ヒトヘルペスウイルス3(水痘帯状疱疹ウイルス) (NC_001348),ヒトヘルペスウイルス4の1型(エプスタインバーウイルス1型)(NC_007605),ヒトヘルペスウイルス4の2型(エプスタインバーウイルス2型) (NC_009334),ヒトヘルペスウイルス5病原菌AD169 (NC_001347),ヒトヘルペスウイルス5 病原菌Merlin Strain(NC_006273),ヒトヘルペスウイルス6A(NC_001664),ヒトヘルペスウイルス6B(NC_000898),ヒトヘルペスウイルス7(NC_001716),ヒトヘルペスウイルス8のM型 (NC_003409),ヒトヘルペスウイルス8のP型(NC_009333),ヒト免疫不全ウイルス1(NC_001802),ヒト免疫不全ウイルス1(NC_001722),ヒトメタ肺炎ウイルス(NC_004148),ヒトパピロマウイルス-1(NC_001356),ヒトパピロマウイルス-18(NC_001357),ヒトパピロマウイルス-2(NC_001352),ヒトパピロマウイルス54 (NC_001676),ヒトパピロマウイルス61 (NC_001694),ヒトパピロマウイルス-cand90 (NC_004104),ヒトパピロマウイルスRTRX7 (NC_004761),ヒトパピロマウイルス10型(NC_001576),ヒトパピロマウイルス101型 (NC_008189),ヒトパピロマウイルス103型(NC_008188),ヒトパピロマウイルス107型(NC_009239),ヒトパピロマウイルス16型(NC_001526),ヒトパピロマウイルス24型(NC_001683),ヒトパピロマウイルス26型(NC_001583),ヒトパピロマウイルス32型(NC_001586),ヒトパピロマウイルス34型 (NC_001587),ヒトパピロマウイルス4型(NC_001457),ヒトパピロマウイルス41型(NC_001354),ヒトパピロマウイルス48型(NC_001690),ヒトパピロマウイルス49型(NC_001591),ヒトパピロマウイルス5型(NC_001531),ヒトパピロマウイルス50型(NC_001691),ヒトパピロマウイルス53型(NC_001593),ヒトパピロマウイルス60型(NC_001693),ヒトパピロマウイルス63型(NC_001458),ヒトパピロマウイルス6b型(NC_001355),ヒトパピロマウイルス7型(NC_001595),ヒトパピロマウイルス71型(NC_002644),ヒトパピロマウイルス9型(NC_001596),ヒトパピロマウイルス92型(NC_004500),ヒトパピロマウイルス96型(NC_005134),ヒトパラインフルエンザウイルス1(NC_003461),ヒトパラインフルエンザウイルス2(NC_003443),ヒトパラインフルエンザウイルス3(NC_001796),ヒトパレコウイルス(NC_001897),ヒトパレコウイルス4(NC_007018),ヒトパレコウイルスB19(NC_000883),呼吸系発疹ウイルス(NC_001781),ヒトライノウイルスA(NC_001617),ヒトライノウイルスB(NC_001490),ヒトスプマウイルス(NC_001795),ヒトT−リンパ向性ウイルス1(NC_001436),ヒトT−リンパ向性ウイルス2(NC_001488)を含有する。
【0156】
特定の例において、標的タンパク質を、発癌性ウイルス、例えばイプシュタイン−バーウイルス(EBV)またはヒトパピロマウイルス(HPV、例えばHPV16、HPV18)からの核酸配列(例えば、ゲノム標的核酸配列)から産出する。他の例において、核酸配列から産出される標的タンパク質(例えば、ゲノム標的核酸配列)は、病原性ウイルス、例えば呼吸器合胞体ウイルス、肝炎ウイルス(例えば、C型肝炎ウイルス)、コロナウイルス(例えば、SARSウイルス)、アデノウイルス、ポリオーマウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、または単純疱疹ウイルス(HSV)に由来する。
【0157】
サンプル調製
本明細書に記載の組織サンプルは、現在知られているか、今後開発される技術のあらゆる方法を使用して調製することができる。一般的に、組織サンプルを、媒体の組織を固定し包埋することによって調製することができる。
【0158】
いくつかの例において、包埋剤を使用する。包埋剤は、組織および/または細胞が将来の分析でそれらを保存するのを補助するため包埋する不活性材料である。また包埋物は、組織サンプルを薄い断片に切断することを可能にする。包埋剤は、パラフィン、セロイジン、OCTTM化合物、アガー、プラスチックまたはアクリルを含有するが、これらに限定されない。
【0159】
多くの包埋剤は、疎水性である;したがって、不活性材料を、組織学的または細胞学的分析の前に除去する必要があることができ、主に親水性試薬を利用する。脱パラフィンまたは脱ろうという用語を本明細書において幅広く使用して、生物学的サンプルからのあらゆる種の包埋剤を部分的または完全に除去することをいう。例えば、パラフィンに包埋された組織断片を、有機溶媒、例えばトルエン、キシレン、リモネンまたは他の適切な溶媒を通して脱ろうする。
【0160】
試料を固定する工程は変更することができる。組織サンプルの固定は、可能な限り生存状態に近く、細胞および組織構成要素を保持し、それらが著しい変化なしに調整方法を受けることを可能とする。固定を細胞死と共に開始する自己分解および細菌分解工程を抑制し、それらが組織処理後の次の段階、例えばIHCまたはISHを耐えることができるように、細胞および組織構成成分を安定させる。
【0161】
組織を、潅流を含有するあらゆる適切な方法、または定着剤で浸水によって固定することができる。定着剤を架橋剤(例としてアルデヒド、例えばホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドおよびグルタルアルデヒド、ならびに非アルデヒド架橋剤)、酸化剤(例として金属的イオンおよび複合体、例えば四酸化オスミウムおよびクロム酸)、タンパク質−変性剤(例えば酢酸、メタノールおよびエタノール)、未知のメカニズムの定着剤(例えば、塩化第二水銀、アセトンおよびピクリン酸)、組合せ試薬(例えば、カルノア固定液、メタカーン、ブアン液、B5定着剤、Rossman液体およびGendre液体)、マイクロ波および種々の固定剤(例えば、排除された容積固定および蒸気固定)として分類することができる。また添加剤を定着剤、例えばバッファー、洗剤、タンニン酸、フェノール金属塩類(例えば、塩化亜鉛、硫酸亜鉛およびリチウム塩)およびランタンを含有する。
【0162】
IHCに関するサンプルを調製する際に最も一般的に使用される定着剤は、ホルムアルデヒド、通常ホルマリン溶液状である(バッファー溶液中4%ホルムアルデヒドであり、10%バッファーのホルマリンとする)。一例において、定着剤は、10%の中性の緩衝ホルマリンである。
【0163】
VI.プローブ
上記のように、プローブは標的部位および標識を含有する。標的部位は、標的分子への特異的結合および標識との関連、例えば標識が検出可能であるものの双方に機能する。標的部位は標識と間接的または直接的に関連することができる。当業者は、標識が当業者に知られているあらゆる様々な分子、例えば色素産生分子(例えば、顔料または着色剤を生じる分子)または蛍光色素分子(例えば、光量子を吸収し、異なる波長で他の光量子の放出を誘発する分子)であると認識するだろう。いくつかの例において、クロモゲン産生分子は、それらが酵素および/または付加的な基質と作用するまで、検出可能でない。標識を使用して、プローブ標的複合体を検出または視覚化する。
【0164】
プローブの一の特定の例は、ハプテン標識プローブ、例えばDNP標識核酸プローブである。開示の方法の特定の実施形態において、DNP標識された核酸プローブを使用して核酸配列の検出し、DNP標識核酸プローブ濃度は5μg/mL〜15μg/mL、例えば10μg/mL〜15μg/mLの範囲である。特定の実施形態において、検出は抗ハプテンモノクローナル抗体を用いて促進する。例えば、標的核酸配列に対するハプテン標識プローブを、プローブが標的を認識するために効果的な方法で投与した。その後サンプルはハイブリッド形成を受け、酵素分子を含有する抗ハプテンモノクローナル抗体を添加して、標的/プローブ複合体の検出のために基質/クロモゲン複合体の添加を行う。
【0165】
標的部位を標識に直接結合するように設計することができる。この方法で使用される標的部位/標識複合体(即ちプローブ)をサンプルと接触し、標的を検出する。
【0166】
また標的部位は標識と間接的に関連する。いくつかの例において、第一の標的部位はサンプルと接触する。標的部位は核酸またはタンパク質に基づくもののいずれかであることができる。標的部位は、例えば2次抗体または非ペプチドに基づく結合部位、例えばビオチンと結合する他の部位と接合することができる。その後、2次抗体または非ペプチド結合の対を標識と結合することができる。他の例において、標的部位を、直接的または間接的のいずれかで、酵素活性を有するペプチドに、標的部位を接合することによって、標識と間接的に会合することができる。酵素活性を、(複数の)基質の添加に応じて(複数の)基質が標識に変換またはより活性化した標識になるように選択する。
【0167】
酵素/基質の対の限定しない例は、以下を含有する:HRP/DAB; AP/リン酸ナフトールAS−TR(またはリン酸ナフトールAS−MS等);およびクロモゲン基質(例えばp−ニトロフェニル−β−D−ガラクトシダーゼ)または蛍光基質(例えば、4−メチルウンベリフェリル−β−D−ガラクトシダーゼ)とβ−D−ガラクトシダーゼ(β−D−Gal)。多くの他の酵素−基質の組合せが、当業者に知られている。これらの一般的な概念は、米国特許番第4,275,149号明細書および4,318,980号明細書を参照。プローブを1以上の付加的分子と間接的に関連するように作成するとき、付加的分子をプローブ成分とすることができる。
【0168】
前述したように、いくつかの例において、標識は、抗体と間接的に結合する。例えば、抗体はビオチンに結合することができ、ビオチンはその後の検出で選択的にアビジンに結合する。選択的に、抗体は小さいハプテンと結合し、標識は抗ハプテン抗体と結合する。したがって、標識と標的部位の間接的な結合を達成することができる。
【0169】
プローブが、基質と反応して検出標識を発生する酵素を含有するとき、基質はクロモゲン化合物であることができる。前記基質の多くの例が存在する。例えば、多くの前記化合物はInvitrogen、Eugene ORから購入することができる。クロモゲン化合物の特定の限定しない例は、ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシド(ONPG)、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−−β−ガラクトピラノシド(X−Gal)、メチルウンベリフェリル−β−D−ガラクトピラノシド(MU−Gal)、p−ニトロフェニル−α−D−ガラクトピラノシド(PNP)、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−グルクロニド(X−Gluc)、および3−アミノ−9−エチルカルバゾール(AEC)を含有する。さらなるクロモゲン分子、例えば量子ドットを標識として使用することができる。特定の量子ドットは、例えばLife Technologies Corporation(Carlsbad,CA)からの市販品である。
【0170】
VII.対比染色
対比染色は、サンプルの処理後の方法であり、それらが薬剤ですでに染色されて、1以上の標的を検出した後に、それらの構造が顕微鏡に基づいてより容易に視覚化することができるようなものである。例えば、対比染色をカバーガラスの前に任意に使用して、免疫染色をより明確白にする。対比染色は1次染色と彩色において異なる。多数の対比染色は、例えばヘマトキシリン、エオシン、メチルグリーン、メチレンブルー、ギムザ、アルシアンブルー、およびヌクレアファストレッドがよく知られている。
【0171】
いくつかの例において、1を超える染色剤を共に混合して、対比染色剤を生成することができる。これは、染色剤を選択する柔軟性および可能性を提供する。例えば、第1染色は、特定の特性を有するが、異なった所望の特性を有さない混合物で選択することができる。第2染色液を、欠けている所望の特性を示す混合物に添加することができる。例えば、トルイジンブルー、DAPIおよびポンタミンスカイブルーを共に混合して、対比染色剤を形成することができる。
【0172】
一実施形態において、細胞調整を、二重遺伝子−タンパク質染色で1相または1を超える相で達成することができる。IHC部位の分析はISH部位の分析前または後に実行することができる。
【0173】
VIII.イメージング
開示の実施形態の、特定の態様または全てを、コンピューター分析および/またはイメージ分析システムによって、自動化および促進することができる。いくつかの応用において、正確な色彩比率を測定した。いくつかの実施形態において、顕微鏡検査が画像分析に活用される。特定の開示した実施形態は、デジタル画像の取得を含有する。これはデジカメを顕微鏡に連結することによって行うことができる。染色サンプルから得られたデジタル画像を、イメージ分析ソフトウェアを使用して分析する。色彩はいくつかの異なった方法で測定することができる。例えば、色彩は赤色、青色および緑色の値;色相、彩度および輝度値;および/またはスペクトルイメージングカメラを使用して特異的波長または波長の範囲によって測定することができる。
【0174】
一の開示した実施形態は、クロモゲン染料で明視野画像の使用を含む。可視スペクトルにおける白色光を、染料から伝達する。染料は特定の波長の光を吸収し、他の波長として伝達する。これは伝達した光の特異的な波長に依存して、光を白色から着色したものに変換する。
【0175】
またサンプルを質的および半定量的に評価することができる。質的評価は、染色強度の評価、陽性染色法細胞および染色に関する細胞内コンパートメントの同定、ならびに全体のサンプルまたはスライド品質の評価を含有する。独立した評価を、試験サンプルにおいて実行し、この分析は、サンプルが異常な状態を示しているかを決定するための知られている平均値との比較を含有することができる。
【0176】
IX.試験キット
本発明の開示された実施形態は、部分的に、発明の方法の様々な実施形態を実行するためのキットを提供する。前記キットの例は、コレステロール分析、妊娠キット、癌診断キット等に実用的なものを含有する。本発明の試験キットは、通常第一試薬、一般的に、可溶性、電子豊富な芳香族化合物、例えば以下の一般式を有する可溶性、電子豊富な芳香族化合物を含有する溶液を有し、
【0177】
【化14】

【0178】
R基は上記のものである。
【0179】
さらなる例において、キットは、RおよびRが、以下の一般式を有する共に結合した芳香族環を共に形成する電子豊富な芳香族化合物を有することができ、
【0180】
【化15】

【0181】
R基は上記のものである。具体例において、キットはヒドロキシアリールまたはヒドロキシビアリール化合物、例えばナフトールと、ハイブリッド溶液およびハプテン標識プローブ、例えばDNP標識核酸プローブを混合したものを含有する。
【0182】
キットは、抗体、ハプテン標識プローブ、およびクロモゲン検出によるIHCおよび/またはISHを実行するために必要である他の試薬を含有する付加的成分を含有することができる。前記キットを、例えば臨床医または医師によって特定の患者または診断目的の適切な治療の選択する補助として、使用することができる。
【0183】
X.自動化の例
当業者は、2以上の分子のクロモゲン検出を本明細書に開示の方法の実施形態が自動化することができることを認識するだろう。Ventana Medical Systems, Inc.は、自動化の分析を実行するために開示されたシステムおよび方法を、米国特許第5,650,327号、第5,654,200号、第6,296,809号、第6,352,861号、第6,827,901号および第6,943,029号明細書および米国特許第20030211630号明細書および第20040052685号明細書を含む数々の米国特許の譲受人であり、各々を本明細書に参考としたものとする。特定の実施形態の方法を、様々な自動化工程を使用して実行した。
【実施例】
【0184】
XI.実施例
以下の実施例を、実用的な実施形態の一定の特定の特性を例示するために提供する。本発明の範囲は以下の実施例によって例証されるものに限定されない。
【0185】
実施例1:
この実施例は核酸およびタンパク質を単一のサンプルにおいて検出することを可能とする染色分析を提供する。
【0186】
A.材料および方法
二重核酸/タンパク質ハイブリッド形成を実行するために用いられる試薬および検出分析は、ULTRAVIEW SISH Detection Kit(Ventana Medical Systems,Inc.,p/n780−001)、INFORM HER2 DNA Probe(Ventana Medical SystemsInc.,p/n 780−4332)、Rabbit Anti−DNP Antibody(Ventana Medical Systems,Inc.,p/n780−4335)、Rabbit Anti−HER2(4B5)Antibody(Ventana Medical Systems,Inc.,p/n800−2996)およびULTRAVIEW Universal Alkaline Phosphatase Red Detection Kit(Ventana Medical Systems,Inc.,p/n 760−501)を含有する。標準のバルク溶液を、BENCHMARK XT計測器で用いた。NexESソフトウェアプログラムを、試薬、温度およびインキュベーション時間の添加の順序を確立するために必要に応じて修正した。
【0187】
組織:二重ハイブリッド形成および検出研究を、乳癌組織および異種移植片原料に実行した(HER2 3−in−1 Control Slides,Ventana Medical Systems,Inc.,p/n783−4332)。乳癌組織サンプルは、ラビット抗HER2(4B5)抗体およびHER2のDNAプローブを使用して、HER2陽性細胞に対してスクリーニングを実行した。いくつかの状態を、これらの研究に使用される主な組織モデルである複数の組織ブロックにおける使用で、選択した。複数の組織ブロックは、NBF固定された組織およびPrefer固定された組織を含有した。状態は3+ならびに1+HER2染色を含有した。3+の状態はゲノム増幅を示す一方、1+の状態は正常なゲノムコピー数を示した。また条件付の組織をTOP2A、EGFRおよびc−MetのDNAプローブで使用した。これらプローブに関する抗体は、それぞれTOP2A(51−8/5B4)Ki67(30−9)、EGFR(5B7)およびc−Met(3D4)を含有する。
【0188】
検出法:ISH部位の分析を、ULTRAVIEW SISH Detection Kitで実行した。ISH部位の分析を、HRP−DABシステム(ULTRAVIEW Universal DAB Detection Kit,Ventana Medical Systems,Inc.,p/n760−500)またはAP−Fast Redシステム(ULTRAVIEW Universal Alkaline Phosphatase Red Detection Kit,Ventana Medical Systems,Inc.,p/n760−501およびULTRAVIEW Alkaline Phosphatase Red ISH Detection Kit,Ventana Medical Systems,Inc.,p/n800−504)で実行した。
【0189】
B.結果
ISHの後に続くDAB検出システムでのIHCの実行は、さらなるクロモゲンシグナル検出を低下させる著しい量の銀のバックグラウンド染色を生じる。最初に、それは、このバックグラウンドが、IHC DAB検出キットにて見いだされる複数のHRP結合によるものと考えられた。組織のポストIHCの検出を熱(4分間、60℃〜90℃)または過酸化水素(3%)で処理することによる前記活性を中和する試みは、失敗に終わった。銀検出試薬(SISH Detection Kitの銀クロモゲンA、BおよびC)のポストIHCの添加は、バックグラウンドを全く示さなかった。したがって、それは観測されたバックグラウンドがSISH検出試薬によるものではなかったと結論づけた。バックグラウンドは、ラビット抗DNP抗体またはゴート抗ラビットHRP結合系で全く観測されなかった。IHC部位の分析に関するDAB検出法を、アルカリホスファターゼファストレッド検出法に変更した。アルカリホスファターゼファストレッド検出法(いずれかULTRAVIEW Universal Alkaline Phosphatase Red IHCおよびISH Detection Kit)は、DAB検出法と比較してより低下した銀のバックグラウンド染色を生じる一方、バックグラウンド染色が依然として観測される状態が存在する。その後の研究は、DAB検出キットと共に観測されたバックグラウンドは、HER2DNAプローブによるものであることを示した。
【0190】
銀のバックグラウンド染色の様々な量を、IHC/ISH二重分析と、DABおよびファストレッドIHC検出法の双方で観測した。ファストレッド検出法を使用したとき、銀のバックグラウンドは、銀のまだら染色と局在化したとき異なる色相を見られる赤色クロモゲンに結果として生じるIHC検出染色のパターンに従った。この銀のバックグラウンドは、必ずしも再現可能ではなく、それは原因に関連する機器または試薬のいずれを追跡することを困難にさせる機器から機器、動作から動作によって異なる。銀のバックグラウンドは強い3+染色(図3参照)で明らかではないが、弱い1+染色(図1参照)では有意であった。バックグラウンドがDNAプローブのハイブリッド形成前に上昇したプロテアーゼ消化に伴って、上昇しているように考えられた。
【0191】
ファストレッド検出法と関連のある銀のバックグラウンドは、ラビット抗HER24B5抗体に結合するゴート抗ラビットHRPの交差反応のためであると最初に考えられ、このバックグラウンドは、ポストIHC固定工程を使用して減少することができる。しかしながら、陰性対照のスライドを、ハイブリッドバッファーからDNAプローブを除いたものと検定したとき、バックグラウンド染色は全く存在しなく、バックグラウンドがゴート抗ラビットHRPの交差反応によるものでなく、DNAプローブ自身によるものであることを示した。
【0192】
銀のバックグラウンドを、1次抗体に独立して観測した。抗体、例えばCD20およびTOPOIIに生じるものは、またIHC染色パターンに従う銀のバックグラウンドを示した(CD20は扁桃腺の細胞質であり、TOPOIIは細胞核である)。銀のバックグラウンドを、異なるDNP標識されたDNAプローブでまた観測した。EGFRおよびTOPOII DNAプローブを検出分析における用いる分析はまた銀のバックグラウンドを示した。HPV III(16)DNAプローブを使用する分析は、銀のバックグラウンドを最初生じなかったが、HPVプローブの濃度をHER2DNAプローブ(10μg/mL)のものと同じレベルまで上昇したとき、銀のバックグラウンドを観測した(図4参照)。バックグラウンドをHPV(16)のDNAプローブ(図15参照)のFITC標識バージョンで観測せず、相互作用はファストレッド/リン酸ナフトールクロモゲン複合体と相互作用するDNP分子に基づくものであることを示した。染色体7および染色体17に特異的なDNP標識オリゴヌクレオチドプローブを用いる分析は、銀のバックグラウンドを含まず、おそらく2μg/mLの濃度が観測されるこの反応で低すぎるためである。
【0193】
一研究を、遊離DNPをファストレッドクロモゲンの発現後組織サンプルとインキュベートすることを実施した。この研究からの結果は、Fast Redクロモゲンパターンと関連のある同様の銀のバックグラウンドを生じた。
【0194】
競合阻害研究を、銀のバックグラウンドが、DNAプローブの存在下プローブハイブリッド形成の間、スライドに様々な化合物を添加することによって妨げることができるかを決定するために、実行した。阻害研究は、ナフトールが銀のバックグラウンドを少なくとも痕跡レベルまでに妨げることを決定した。ナフトールをハイブリッドバッファー中に希釈し、銀のバックグラウンドを、ディスペンサー中の濃度300μg/mL以上にて100%阻害することを発見した。ナフトール濃度が約10μg/mL以下のとき、銀のバックグラウンドの阻害は、高いpHの状態(ハイブリッド溶液のpHをpH10に調整した)を除いて全く存在しなかった。これら全ての結果は、DNP標識プローブのDNP成分が、主にファストレッドクロモゲン複合体中のリン酸ナフトール成分に結合することを示唆した。この結合は、DNP標識プローブ濃度10μg/mL以上で重要である。
【0195】
実験を、また増幅および増幅されてない核酸ゲノム配列の組織サンプルならびにTOP2Aの場合に配列欠損に、TOP2A、EGFRおよびc−MetのDNAプローブを使用して実行した。TOP2ADNAプローブをTOP2A抗体およびKi67抗体の双方でハイブリッド形成した。全ての場合において、DNAプローブハイブリッド形成を、抗体の結合と共に二重分析において検出した。ハイブリッド形成条件は、ナフトール(300μg/mL)を含有し、検出分析への銀のバックグラウンドへの寄与を最小限にした。これらの研究は、二重IHC/ISHハイブリッド形成および検出分析を実行する方法を支持する。
【0196】
実施例2:
最適な細胞調整
この実施例は、二重遺伝子タンパク質染色法で最適な細胞調整条件を提供する。
【0197】
A.材料および方法
細胞調整:それぞれの分析に最適な細胞条件を、異なった種類の細胞調整と比較することによって見出した。細胞調整の選択肢はCC1(Tris/ホウ酸/EDTA、pH8.6)、CC2(クエン酸、pH6.0)および反応バッファーを含有した。細胞調整の程度は、細胞調整、例えば、軽度、正常または延長で、異なった時間を選択することによって調整した。また組織を、ISH染色で、約4分間ISHプロテアーゼ3、約8分間プロテアーゼ3または約4分間ISHプロテアーゼ2のいずれかで消化した。
【0198】
B.結果
実験を、前述した方法に従って抗HER2 4B5抗体染色の最適な細胞調整条件を決めるために実行した。最適な抗HER2 4B5抗体標的検出は、CC1正常が選択されたとき観測された。また染色をCC2および比較的長いプロテアーゼとの前処理ならびに反応バッファーで達成した。染色はCC1を使用したときよりは強力ではないが、十分な染色であった。反応バッファーは細胞調整に最小の効力を有する溶液であった。
【0199】
実験を、HER2のDNAプローブに最適な細胞調整条件を決定するために、実行した。HER2DNAプローブを、組織が長期の時間でCC2と細胞調整したとき、および細胞調整をプロテアーゼの前処理で補足したとき、標的ハイブリッド形成において最適に実行した。プロテアーゼの前処理が長いほど、シグナルはより大きくなる;しかしながら、プロテアーゼの前処理が長すぎると、損なわれた組織形態(例えば、組織分解)を生じた。反応バッファーは、DNAプローブのハイブリッド形成および検出で細胞調整溶液として最も低い効果であった。
【0200】
これらの研究は、塩基性細胞調整(CC1はTris/ホウ酸/EDTAのpH8.6である)は、最適な抗HER2 4B5抗体IHCが望ましい一方、プロテアーゼ消化と結合した酸性細胞調整(CC2はクエン酸のpH6.0である)は、DNAプローブISHが好ましいことを示す。しかしながら、HER2タンパク質抗原は、酸性細胞調整に抵抗することが可能であり、プロテアーゼ消化を加えたCC2での細胞調整がCC2のみより強いIHC染色を生成する。
【0201】
ほとんどのpHレベルで、ヒストンは高いリジン/アルギニンの含有量のため、正に荷電したタンパク質である。リジンおよびアルギニンは、高いpKa(それぞれ10.5および12.5)で、ヒストンにpH範囲10.5〜11.0でpIを付与するアミノ酸である。ほとんどのタンパク質はpH範囲4.0〜6.0でpIを有する。酸性(pH6.0)の細胞調整は、それが塩基性(pH8.6)細胞調整よりタンパク質に厳しいため、DNAプローブに最適であることを示唆した。細胞調整は、タンパク質を共に保持するより、共有および非共有の結合を分解するもので、基本的な変性である。ほとんどのタンパク質が環境のpHがタンパク質のpI付近であるとき、変性の対象である。したがって、pHがそのアミノ酸のpKa付近であるとき、電荷されたアミノ酸基の間で正常の静電相互作用は、十分な割合がもはや電荷されていないため、弱まる。電荷がない場合、静電相互作用は全く存在しない。その結果として、タンパク質は、特に温度が37℃を超えて十分に上昇するとき、低下した安定性および多くの変性の対象となる。
【0202】
pI10.5〜11.0を有するヒストンに関して、静電力は、pHがpI付近でないため、ほとんど影響を受けない。これは静電力が依然としてほとんど損なわれていないことを意味する。したがって、それは細胞調整によって最も影響をうける比較的低いpIを有する周囲のタンパク質である。このように、ヒストンを取り除くプロテアーゼ消化は、隣接したタンパク質を可能な限り取り除くため、酸性の細胞調整下で最最善に行うことができる。
【0203】
実施例3:
最適な二重遺伝子/タンパク質染色
この実施例は、二重遺伝子/タンパク質染色法によって生成したIHCシグナルは、IHCがISHの前または後に実行されたかに依存していることを示す。
【0204】
A.材料および方法
細胞調整:それぞれの分析に最適な細胞調整を、上記のように決定した。
【0205】
IHCおよびISHの順序:2つの検出分析の順序は、IHCに続くISHと、ISHに続くIHCを比較して決定した。細胞調整の順序をまた、それぞれの分析を同時または順に細胞調整を実行するかを探求した。
【0206】
B.結果
実験を、IHCおよびISHの順序がIHC検出シグナルに影響を及ぼすか判定するために実行した。IHC検出シグナルは、ISH後に実行した場合減少し、IHCを最初に実行した場合良好であることを見出した。このシグナルでの差の1つの説明は、温度が95℃まで上昇したハイブリッド形成時に厳しい条件である。
【0207】
IHCをISHの前に実行すると、2つの分析の組み合わせるいくつかの形体を試みた。これらフォーマットの少数の実施例を表1に示す。フォーマット1および2を、ISH検出シグナルが良好であり、IHC染色が観測可能であったが、単一のIHC分析から得られた結果より低い(例えば、低いシグナル強度)と判定した点において、十分な結果で実行した。組織形態はプロテアーゼ2消化で最適ではなかった。
【0208】
全ての細胞調整をIHC分析の初期に行い、フォーマット3に記載したようなIHC検出後のプロテアーゼ消化を実行することが可能である。IHCおよびISHの双方のシグナルを多数の異なったフォーマットで発生することが可能である一方、所望のフォーマットは単一の染色分析と比較して最良のシグナルおよび形体を生みだすものである。
【0209】
【表1】

【0210】
実施例4:
DNP、DAB、DNPおよび炭粉沈着の間の相互作用を阻害するリン酸ナフトールAS−TRの使用
【0211】
この実施例は、DNP標識プローブの炭粉沈着吸収が、組織サンプルにおいて、リン酸ナフトールAS−TRとDNP標識プローブのコインキュベーションによって阻害されることを例示する。さらに、実験はDNPおよびDABの間の相互作用はまたハイブリッドバッファー中のナフトールを含有する分析で阻害されたことを示す。
【0212】
炭粉沈着の出現がSISH検出後に向上し、シグナル解釈を妨害した。したがって、SISH検出が炭粉沈着の出現を向上させたメカニズムを研究した。DNP標識されたニックトランスレーションのDNAプローブは、炭粉沈着と関連する一方、DNP標識されたオリゴプローブは、炭粉沈着が原因となるバックグラウンド染色は生じないことを見出した。1説となりえるのは、オリゴプローブがニックトランスレーションされたプローブと比較して、より少ないDNP分子と標識され、DNP標識されたオリゴプローブの炭粉沈着への結合は、DNP濃度が低いときに、有意なバックグラウンド染色を生じない。
【0213】
SISH分析シグナルおよび炭粉沈着と自然に関連するシグナルのクロモゲンの出現は、同程度である。前記アルカリホスファターゼ(AP)に基づくブルー検出を、ISHシグナルの検出に使用した。
【0214】
リン酸ナフトールAS−TRをハイブリッドバッファーに溶解した(HybReady, ULTRAVIEW SISH Detection Kit, Ventana Medical Systems, Inc., p/n 780−001)。リン酸ナフトールAS−TRを含有するハイブリッドバッファーをin situハイブリッド形成に利用した。
【0215】
組織サンプルの脱パラフィン後、約100μLの残余SSCがスライド上に残存した。リン酸ナフトールAS−TRを含有するハイブリッドバッファーの約300μLをスライド上に添加した。液晶カバーガラス(LCS)(Ventana Medical Systems,Inc.)をスライドに添加し、蒸発を防いだ。DNP標識のニックトランスレーションされたHER2のDNAプローブ(Ventana Medical Systems, Inc., p/n 780−4332)またはEGFRのDNAプローブ(Ventana Medical Systems, Inc., p/n 800−4343)約200μLをスライド上に変性の前に適応した。サンプルを加熱し、核酸を一本鎖分子に変性し、in situハイブリッド形成を進行することを可能とした。ハイブリッド形成および洗浄の工程後、ラビット抗DNP抗体を適応し、スライドを濯ぎ、ラビット抗DNP抗体、HRP標識されたゴート抗ラビットまたはAP標識されたゴート抗ラビット抗体を適応し、スライドをインキュベートし、最終検出のために銀検出またはブルー検出のいずれかそれぞれで分析した。実験を、DNPのDABへの結合による銀バックグラウンド染色または炭粉沈着を減少させるまで繰り返した。減少は、銀のバックグラウンド染色が、ハイブリッドバッファー中のリン酸ナフトールAS−TR濃度での上昇と相関することである。
【0216】
ハイブリッドバッファー中のリン酸ナフトールAS−TR10mg/mLの添加は、炭粉沈着に結合するDNAプローブのDNP成分により、銀のバックグラウンド染色を減少した。使用したハイブリッド溶液中のリン酸ナフトールAS−TR5mg/mLは、銀のバックグラウンドで著しい減少を生じた。
【0217】
図14(左パネル)は、EGFRおよび染色体7セントロメア(CEN7)DNAプローブで、二重in situハイブリダイゼーションを示す。EGFR ISHシグナルを、EGFRのDNP標識のニックトランスレーションされたDNAプローブおよびAPに基づくブルー検出を使用して検出する一方、CEN7のISHシグナルをCEN7のDNP標識されたオリゴプローブおよびAPに基づく赤色検出を使用して検出した。炭粉沈着の向上した外観を、ダークブルーの塊として観測した(左パネル)。DNP標識されたニックトランスレーションプローブを、分析から除いたとき(中央パネル)、炭粉沈着を黒い塊(炭粉沈着の通常の外観)として観測した。
【0218】
炭粉沈着は、多環式芳香族炭化水素、例えばナフトールを吸収することが知られた炭素粒子から部分的になる。したがって、DNPの炭粉沈着への非特異的結合を阻害するための水溶性多環式芳香族炭化水素(例えば、ナフトール)の使用を評価した。ナフトールをEGFRのDNP標識されたニックトランスレーションプローブとin situハイブリッド形成のためにハイブリッドバッファー中に含む場合、炭粉沈着を黒い塊として見た(図14、右パネル)。これらの研究は、プローブと炭粉沈着の結合は、ナフトールとDNP標識されたニックトランスレーションDNAプローブのコインキュベーションによってハイブリッド形成中に、効率よく妨げられたことを示す。
【0219】
実施例5:
DABのIHC後のSISH検出バックグラウンドの除去
この実施例は、ハイブリッドバッファー中のリン酸ナフトールAS−TRの高い濃度(25mg/mL)が、DABおよびDNP間の化学相互作用を取り除き、このことによりSISH検出から発生したバックグラウンド染色を取り除くことを例示する。
【0220】
IHCおよびISHの二重ならびに三重検出分析の現像時に、DABに基づくIHC検出後のバックグラウンド染色のSISH検出からの十分な量を観測した。バックグラウンドはDNP標識されたニックトランスレーションDNAプローブのDNP成分と、核中のDNAおよび沈殿したDAB染色への結合の結果である可能性がある。DABは電子豊富であり、DNAに結合し、これによってDABは癌の原因となる薬剤である。DNPは電子豊富なDABと結合することができる電子欠損の芳香族分子である。競合的阻害電子豊富な芳香族の分子(例えば、リン酸ナフトールAS−TR)の添加は、非特異的結合を妨げると考えた。
【0221】
この実験において、IHC検出分析の標的は、HER2遺伝子増幅細胞において高レベルにて発現するHER2タンパク質である。ISH検出分析の標的はHER2遺伝子領域および染色体17セントロメア(CEN17)である。HER2タンパク質標的を、抗HER2抗体およびDABに基づく検出で検出した。HER2遺伝子標的領域を、DNP標識されたニックトランスレーションDNAプローブおよびSISH検出法で検出した一方、CEN17標的を、DNP標識されたオリゴプローブおよびAPに基づく赤色検出法で検出した。HER2 IHC後のHER2 SISH核酸検出は、HER2タンパク質陰性細胞の核(図15、上左パネル)ならびにHER2タンパク質陽性細胞の細胞質、細胞膜および核にて(図15、下左パネル)高いバックグラウンド染色を生じた。様々なリン酸ナフトールAS−TR濃度を、標識同定のためにリン酸ナフトールAS−TRとDNP標識されたプローブのコインキュベーションが、DNP標識されたニックトランスレーションDNAプローブのDABへの結合を、妨害することができるか判定するために試験した。DNPのDAB染色への結合を抑制するために、スライド上に高濃度(25mg/mL)が必要とされる。DABリン酸ナフトールAS−TRに結合するDNP標識されたニックトランスレーションDNAプローブの妨害を効率よく達成したとき、HER2陰性細胞の核(図15、上右パネル)ならびにHER2陽性細胞の細胞膜、細胞質および核(図15、下右パネル)に十分な銀バックグラウンド染色が全く存在しなかった。DNP標識されたニックトランスレーションDNAプローブのDABへの結合を妨げることによって、全ての3つの標的、即ちHER2タンパク質、HER2遺伝子およびCEN17を、同じ組織断片上で、全て視覚化した(図15、下右パネル)。
【0222】
これらの研究は、ハイブリッドバッファー中の高濃度のリン酸ナフトールAS−TR(25mg/mL)が、DABおよびDNPの間の化学相互作用を、除外することを例示する。
【0223】
開示した発明の原理を適用することができる多くの可能な実施形態を考慮して、例示された実施例は、本発明の好ましい例だけであり、本発明の範囲を制限するものでないことを認識すべきである。それよりも、本発明の範囲は添付の請求項によって規定する。したがって、これらの請求項の範囲および趣旨に含まれる全てを我々の発明として請求する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一の組織サンプルにおける2以上の標的分子のクロモゲン検出法において、
組織サンプルと、第一の標的分子に特異的に結合する第一特異的結合部位とを接触させる工程と、
組織サンプルにおける第一の標的分子を、不溶性、電子豊富な芳香族クロモゲン生成物を検出する工程と、
組織サンプルと、第二標的分子に特異的に結合する第二のハプテン標識した特異的結合部位を接触する工程であって、第二の、ハプテン標識された特異的結合部位のハプテンが、電子欠損芳香族化合物を含有する工程と、
第二のハプテン標識された特異的結合部位と、組織サンプルを接触させる前またはそれと同時に、組織サンプルと、可溶性、電子豊富な芳香族化合物を含有する溶液を処理する工程と、
第一標的分子を検出するため、沈殿した不溶性、電子豊富な芳香族化合物から区別することができる第二の不溶性クロモゲン生成物を沈殿させることによって、第二標的分子を検出する工程であって、組織サンプルと、可溶性、電子豊富な芳香族化合物を含有する溶液を処理する工程は、ハプテン標識された特異的結合部位と、第一の標的分子の付近に沈殿した不溶性電子豊富な化合物との非特異的結合により、バックグラウンドを減少させうる工程とを
含有する方法。
【請求項2】
可溶性、電子豊富な芳香族化合物は、以下の一般式を含有する請求項1に記載の方法:
【化1】

、R、Rの少なくとも1つは、電子供与基であり、−OR、−NR、−OPO2−から独立して選択され、RおよびRは、独立してHもしくは低級アルキルであり、またはR、R、Rの2つは、結合した芳香環を共に形成し、任意に1、2または3の電子供与置換基と置換される。
【請求項3】
およびRは結合した芳香環を共に形成し、電子豊富な芳香環は以下の一般式を含有する請求項2に記載の方法:
【化2】

、RおよびR10は、独立してH、−OR11、−NR1213、−OPO2−または低級アルキルから選択され;R11、R12およびR13は、独立してHおよび低級アルキルから選択される。
【請求項4】
可溶性、電子豊富な芳香族化合物は、ナフトールを含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ナフトール濃度は、ハプテン標識された特異的結合部位と、第一の標的分子付近に沈殿した不溶性、電子豊富な化合物のハプテン標識された特異的結合部位の非特異的結合により、バックグラウンドを減少させ、1mg/mL〜30mg/mLの範囲である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ナフトール濃度は、約1mg/mL〜約7mg/mLの範囲である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
ナフトール濃度は、約0.3mg/mL〜約1mg/mLの範囲である、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
ナフトール濃度は、約0.3mg/mL〜約1mg/mLの範囲である、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
第二のハプテン標識された特異的結合部位は、ハプテン標識された核酸プローブである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ハプテン標識された核酸プローブは、DNAプローブである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ハプテン標識された核酸プローブのハプテンは、ニトロアリール化合物である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ニトロアリール化合物は、ジニトロフェノールである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ジニトロフェノール核酸標識されたプローブの濃度は、少なくとも5μg/mLである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ジニトロフェノール核酸標識されたプローブの濃度は、10μg/mL〜15μg/mLに分布する、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
第二のハプテン標識されたプローブのハプテンは、ニトロアリール化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
ニトロアリール化合物は、ジニトロフェノールである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
第一の標的分子はタンパク質であり、第二の標的分子は核酸配列である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
第一の標的分子はタンパク質であり、第二の標的分子は、最初の標的分子タンパク質をコードする核酸配列である、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
タンパク質は、HER2/neu、c−Myc、n−Myc、Abl、EGFRタンパク質、TOP2A、Bcl2、Bcl6、Rbl、p53またはc−Metである、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
第二の標的分子は、核酸配列である、請求項2に記載の方法。
【請求項21】
核酸配列は、HER2、c−Myc、n−Myc、Abl、EGFR、TOP2A、Bcl2、Bcl6、Rb1、p53、c−Metをコードする核酸配列である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
第一の標的分子および第二の標的分子は、第一のタンパク質および第二のタンパク質である、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
第一の標的分子および第二の標的分子は、第一の核酸配列および第二の核酸配列である、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
可溶性、電子豊富な芳香族化合物を含有する溶液で組織サンプルを処理する工程は、第二のハプテン標識された特異的結合部位と組織サンプルを接触させる前に、可溶性、電子豊富な芳香族化合物を含有する溶液と組織サンプルを処理する工程を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
可溶性、電子豊富な芳香族化合物を含有する溶液と組織サンプルを処理する工程は、第二のハプテン標識された特異的結合部位と組織サンプルを接触させると同時に、可溶性、電子豊富な芳香族化合物を含有する溶液と細胞サンプルを処理する工程を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
第一標的結合部位は、1次抗体である、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
1次抗体は、HER2、c−Myc、n−Myc、Abl、EGFRタンパク質、C−Met、TOP2A、Bcl2、Bcl6、Rb1、p53またはc−Metペプチドと結合する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
不溶性、電子豊富な芳香族化合物は、アゾ染色を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
クロモゲン沈殿は、基質と触媒を反応させて、不溶性、電子豊富な芳香族化合物を直接的または間接的に形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
触媒は酵素である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
酵素は、アルカリホスファターゼまたはセイヨウセイワサビペルオキシダーゼである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
基質は、3,3’−ジアミノベンジン、3−アミノ−9−エチルカルバゾール(AEC)、4−クロロ−1−ナフトール(4−CN)、リン酸ナフトールAS−TR、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸(BCIP)またはニトロフェニルフォスフェート(pNNP)である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
第一の標的分子の検出は、免疫染色(IHC)を実行する工程を含み、第二の標的分子の検出は、in situハイブリッド形成(ISH)を実行する工程を含み、IHCの実行は、アルカリホスファターゼレッドクロモゲン検出法またはセイヨウセイワサビペルオキシダーゼ−DABクロモゲン検出法によって、第一標的分子を検出する工程を含み、ISHの実行は、セイヨウセイワサビペルオキシダーゼ銀ISH検出またはアルカリホスファターゼ赤色銀検出法によって、第二標的分子を検出する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
方法は自動化である、請求項1〜33に記載の方法。
【請求項35】
自動化核酸およびタンパク質検出法は、
組織サンプルで、1次抗体が第一標的分子と特異的に結合するのに十分な条件下にて、組織サンプルに1次抗体を自動的に分配する工程と、
組織サンプルにおいて、第一標的分子と1次抗体をIHCによって検出する工程と、
ハプテン標識された核酸プローブが第二標識された分子を特異的に結合するのに十分な条件下にて、組織サンプルにハプテン標識された核酸プローブを自動的に分配する工程であって、ハプテン標識された核酸プローブは、電子欠損の芳香族化合物である工程と、
第二のハプテン標識された核酸プローブを、組織サンプルに自動的に分配の前または同時に、電子豊富な芳香族化合物を含有する溶液と組織サンプルを処理する工程と、
第二標的分子をin situハイブリッド形成(ISH)によって検出し、二重核酸およびタンパク質の検出を同じ組織サンプルにおいて、単一自動実行で可能とする工程であって、電子豊富な芳香族化合物は以下の一般式を有する工程とを含む方法:
【化3】

、R、Rの少なくとも1つは、電子供与基であり、−OR、−NRから独立して選択され、RおよびRは、Hまたは低級アルキルであり、R、RおよびRの2つは結合した芳香族化合物と共に形成し、任意に1、2または3電子供与基と置換される。
【請求項36】
およびRは、結合した芳香族化合物を共に形成し、電子豊富な芳香族化合物は以下の一般式を含有する請求項35に記載の方法:
【化4】

、RおよびR10は独立してH、−OR11、−NR1213または低級アルキルから選択され;R11、R12およびR13は、Hおよび低級アルキルから独立して選択される。
【請求項37】
電子豊富な芳香族化合物は、ナフトールを含有する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
ナフトール濃度は、二重核酸およびタンパク質検出を単一のサンプルにおいて可能とするのに有効であり、1mg/mL〜30mg/mLの範囲である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
ナフトール濃度は、二重核酸およびタンパク質検出を単一のサンプルにおいて可能とするのに有効であり、1mg/mL〜7mg/mLの範囲である、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
ナフトール濃度は0.3mg/mL〜1mg/mLの範囲である、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
ハプテン標識された核酸プローブはニトロアリール化合物である、請求項35に記載の方法。
【請求項42】
ニトロアリール化合物は、ジニトロフェノールである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
ジニトロフェノール核酸標識されたプローブは少なくとも5μg/mLである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
ジニトロフェノール核酸標識されたプローブは10μg/mL〜15μg/mLの範囲である、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
ハプテン標識された核酸プローブが第二標的分子に特異的に結合するのに十分な条件に基づいて、ハプテン標識された核酸プローブを、組織サンプルに自動的に分配する工程は、電子豊富な芳香族化合物と組織サンプルを処理した後に実行する、請求項35〜44に記載の方法。
【請求項46】
ハプテン標識された核酸プローブが第二標的分子に特異的に結合するのに十分な条件に基づいて、ハプテン標識された核酸プローブを、組織サンプルに自動的に分配する工程は、電子豊富な芳香族化合物と組織サンプルを処理すると同時に実行する、請求項35〜44に記載の方法。
【請求項47】
IHCをISHの前に実行する、請求項35〜46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
ISHをIHCの前に実行する、請求項35〜46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
ISHは、セイヨウセイワサビペルオキシダーゼ染色ISHまたはアルカリホスファターゼ赤色銀染色によって、標的核酸を検出する、請求項35〜48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
IHCは、標的核酸を、アルカリホスファターゼ赤色クロモゲンまたはセイヨウセイワサビペルオキシダーゼ―DABクロモゲンによって検出する、請求項35〜49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
単一の組織サンプルにおいて2以上の標的分子のクロモゲン検出するキットにおいて
第一標的分子に特異的に結合する第一の特異的結合部位を含有する溶液と;第二の標的分子に特異的に結合する第二のハプテン標識された特異的結合部位を含有する溶液と;可溶性、電子豊富な芳香族化合物を含有する溶液と
を含有するキット。
【請求項52】
可溶性、電子豊富な芳香族化合物はナフトールであり、第二のハプテン標識された特異的結合部位はDNP標識された核酸プローブである、請求項51に記載のキット。
【請求項53】
可溶性、電子豊富な芳香族化合物を有する溶液は、さらにハプテン標識された核酸プローブを含有する、請求項51に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2012−500973(P2012−500973A)
【公表日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−524027(P2011−524027)
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【国際出願番号】PCT/US2009/054614
【国際公開番号】WO2010/022332
【国際公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(599075070)ベンタナ・メデイカル・システムズ・インコーポレーテツド (31)
【Fターム(参考)】