説明

単一ステージの、軸対称送風機および携帯可能な人工呼吸器

送風機(10)は、同軸上に整列された近位開口(23)と遠位開口(25)とを含むハウジング(20)と;ハウジングに設けられたステータ構成要素(30)と;ハウジングの近位開口とステータ構成要素との間に配置されたインペラ(60)と;インペラを駆動するよう構成されたモータ(40)と;を含む。インペラは複数のインペラブレードを含む。ステータ構成要素は、その外面に沿って複数の空気方向付け溝(35)を含む。空気方向付け溝の前縁は、インペラブレードの外側先端部から外側へ向けて接線方向に延在し、かつ、インペラブレードから流出した空気を集合させるように、かつ、インペラから空気を分離させることによりかつ空気流が実質的に層流となるように遠位開口へ向かって屈曲経路に沿って空気を方向付けることによって、略接線方向から略半径方向へ向けて空気を方向付けるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願に関する相互参照
本発明は、2009年8月11日付けの特許文献1、2009年11月16日付けの特許文献2、2009年8月28日付けの特許文献3および2009年11月19日付けの特許文献4の利点を請求するものである。この参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、異なる圧力(例えば陽圧または負圧(真空)状態の空気)を生じさせるための送風機に関するものである。一実施形態において、送風機は、人工呼吸システムに使用されてもよい。一実施形態において、送風機は、患者に対する呼吸器官治療の提供のために使用される気道陽圧(PAP)デバイスに使用されてもよい。そうした治療の一例として、補助/制御換気、断続強制換気、プレッシャーサポートベンチレーション、持続的気道陽圧法(CPAP)処置などが挙げられる。これらは、非侵略的なまたは侵略的な患者用インターフェースを介して提供される。この治療は、呼吸不全、呼吸機能不全または睡眠時無呼吸症候群(SDB)を含むさまざまな呼吸器状態の治療のために使用される。なお、この送風機は、他の用途(例えば真空用途(治療または他の場合))に使用されてもよい。
【背景技術】
【0003】
当該技術分野においては送風機に関して、より静かで、よりコンパクトでありかつあまり高価でないように設計することが必要とされている。本発明は、こうした必要性を考慮した送風機の代替的な構成を提供する。
【0004】
当該分野における従来技術の一例として、特許文献5(Nadjafizadeh、他)が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許仮出願第61/272,043号明細書
【特許文献2】米国特許仮出願第61/261,527号明細書
【特許文献3】米国特許仮出願第61/272,188号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第61/272,919号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2005/0036887号明細書
【特許文献6】国際公開第2007/134405号パンフレット
【特許文献7】国際公開第2007/048206号パンフレット
【特許文献8】国際出願PCT/AU2010/000708号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第12/083,350号明細書
【特許文献10】国際出願PCT/AU2009/000241号明細書
【特許文献11】国際公開第2009/052560号パンフレット
【特許文献12】米国特許出願公開第2009/0044808号明細書
【特許文献13】米国特許第7,318,437号明細書
【特許文献14】米国特許出願公開第12/478,537号明細書
【特許文献15】オーストラリア国特許出願公開第2009902524号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、患者に近接して配置され、そしてシステムを介して呼吸を可能にする、小さく、携帯可能な人工呼吸システムに関するものである。
【0007】
本発明の他の態様は、効率的で低慣性のインペラと組み合わせられた効率的でパワフルな小型モータおよび小さな送風機を含む人工呼吸器に関するものである。
【0008】
本発明の他の態様は、患者に近接して配置される人工呼吸器に関するものである。人工呼吸器の当該近接する位置は、順応性を向上させるために最小回路抵抗をもたらす短い呼吸回路を使用可能にし、人工呼吸器内に小さなデッドスペースしか必要とせず、人工呼吸器とは別体のバッテリーおよびユーザーインターフェースを使用可能にし、かつセンサが患者により近接するために流量および容積のセンシングをより正確に行うことができる。
【0009】
本発明の他の態様は、モータによって生成された熱の効果的な管理を行うよう構成された送風機に関するものである。例えば、送風機は、モータの中央部分に隣接する非導電スリーブを含んでもよい。パフォーマンスの高い小型モータの実施形態の結果として、この配置により、モータの中央部に隣接する導電材料が、誘導損失によって引き起こされる渦電流を低減させることが回避される。他の例においては、モータに連結された熱伝導要素(例えばアルミニウムステータ、アルミニウム流動要素)がヒートシンクとして機能するよう最大化される。
【0010】
本発明の他の態様は、人工呼吸器を介して空気流の双方向を制御して再呼吸容積が最小化されるよう構成された送風機の近接(つまり患者側)開口においてバルブ装置を含む人工呼吸器に関するものである。
【0011】
本発明の他の態様は、双方向において流れを測定しかつモータのためのヒートシンクとして機能する単一流動要素および単一流動センサを含む人工呼吸器に関するものである。そうした人工呼吸器を近接して使用することにより、流動センサは患者からの湿った吐出空気にさらされるようになり、それは、流動測定に関する潜在的なエラーの危険性を増大させる。本発明の一実施形態に基づく流動センサがモータのためのヒートシンクとして機能する場合、モータは流動センサを温め、そして結露を防止する。それにより、流動センサを過熱するための別体のヒータに関する要求が存在しなくなる。
【0012】
本発明の他の態様は、流動センシングを向上させるために流動センサの周囲の圧力および流れを安定化させるよう構成された人工呼吸器に関するものである。例えば、人工呼吸器は、流動センサにおける偏移および衝撃的なノイズを最小化するべくステータのための均一な圧力源を提供するようインペラの周囲にプレナムチャンバを含んでもよい。また、人工呼吸器は、流動センサに流れが接触する手前で流れが完全に展開されるように流動センシングに影響を及ぼさず、ステータを介した還流を可能にするよう下流にチャンバが設けられてもよい。
【0013】
本発明の他の態様は、流動経路の断面積(例えばステータ角度、インペラベーン形状)を最大化することにより低い供給源インピーダンスを有し、同時にそれが、患者が完全に人工呼吸器を介して呼吸を行うために人工呼吸器内の最小デッドスペースとバランスが取れたものとなっている、人工呼吸器に関するものである。
【0014】
本発明の他の態様は、バッテリーパックを含む人工呼吸器に関するものであり、この場合、人工呼吸器およびバッテリーパックの両方が、人工呼吸器の設定および患者の詳細をモジュール同士の間で転送可能にするためのマイクロコントローラまたはマイクロプロセッサを含み、それは、新たな人工呼吸器へ患者を移動させるかまたはバッテリーを置換することを容易にする。
【0015】
本発明の他の態様は、送風機のための別体のモジュール、ハンドセット(コントローラ/ユーザーインターフェース)、酸素増強部、付属バッテリー、熱水交換フィルタ(HMEF)、粘性トラップおよび/またはハーネスまたはベストを有するモジューラシステムに関連するものである。
【0016】
本発明の他の態様は、加圧空気の供給源を提供するよう高請求項された送風機を含む、患者のための人工呼吸器に関するものである。送風機は、近位端部および遠位端部(つまり患者側開口と患者から遠位にある開口)と、ハウジングに設けられたステータ構成要素と、ハウジングの近位開口とステータ構成要素との間に配置されたインペラと、インペラを駆動するよう構成されたモータと、を有するハウジングを含む。
【0017】
人工呼吸器は、1つ以上の以下の態様を含んでもよい。例えば、人工呼吸器は、送風機に近位開口に設けられかつ双方向において流動経路に沿って送風機を介して空気が流動可能なように構成されているバルブアセンブリを含んでもよい。バルブアセンブリは、患者の呼吸サイクルの吸気段階中に近位開口を介して空気が送風機に流入可能なようにかつ患者の呼吸サイクルの吐出段階中に近位開口を介して送風機から流出可能なように構成されている。ステータ構成要素は、その外面に沿って複数の空気方向付け溝を含んいてもよい。空気方向付け溝の前縁は、インペラブレードの外側先端部から外側へ向けて接線方向に延在しており、かつ、インペラブレードから流出した空気を集合させかつインペラから空気を分離させることによって略接線方向から略半径方向へ向けて空気を方向付けるよう構成されており、かつ空気流が実質的に層流となるように遠位開口へ向かって屈曲経路に沿って空気を方向付けるよう構成されている。送風機は、双方向に流れを測定しかつモータからの熱を伝達するよう構成された流動経路に沿って前記モータに設けられている流動要素を含んでもよい。人工呼吸器は、ハウジングとステータ構成要素とがインペラの周囲のプレナムチャンバを規定するよう協働してもよい。人工呼吸器は、流動要素に影響を及ぼすことなく、ステータ構成要素を介して流動の還流を可能にするため、プレナムチャンバから下流において、下流チャンバを含んでもよい。人工呼吸器は、流動経路に沿ってモータの中央部を取り囲む非導電スリーブを含んでもよい。流動要素およびステータ構成要素は、モータからの熱を伝達するために熱伝導材料から構成されていてもよい。流動要素およびステータ構成要素は、アルミニウムから構成されていてもよい。人工呼吸器は、送風機の遠位開口に設けられた粘性トラップを含んでもよい。粘性トラップは、患者によって吐き出された粒状物体を捕捉するよう構成された捕捉プレートを提供する。人工呼吸器は、送風機の遠位開口に設けられた熱水交換フィルタを含んでもよい。熱水交換フィルタは、患者に吸気される空気を調整しかつ/または患者から吐出された粒状物質から人工吸気を保護するためのフィルタおよび/またはパッドを含む。流動経路の断面積は、低電源インピーダンスをもたらすために、最大化されておりかつ人工呼吸器内の最小デッドスペースとバランスがとれたものとなっていてもよい。人工呼吸器は、人工呼吸器とは別体のバッテリー電源供給制御ユニットを含んでもよい。人工呼吸器および制御ユニットの両方が、患者のデータを記録しかつ人工呼吸器の設定および患者の詳細を伝送可能にするよう構成されたマイクロコントローラを含んでもよい。人工呼吸器は、患者に近接した位置で使用されるよう適合されていてもよい。人工呼吸器は、頭部着用式システムに組み込まれていてもよい。人工呼吸器は、壁、ベッド、ベッドサイド、車椅子、テーブルまたは椅子を含む構造物に取り付けられ、かつチューブを介して患者用インターフェースに接続されるよう構成されていてもよい。人工呼吸器は、衣類に一体化された支持構造にフィットするよう適合されていてもよい。衣類は、シャツ、Tシャツまたはパジャマであってもよい。人工呼吸器送風機は、インターフェースに組み込まれていてもよい。人工呼吸器は、ショルダータイプのハーネスによって支持されていてもよい。人工呼吸器は、ペンダントタイプのハーネスによって支持されていてもよい。人工呼吸器は、使用者の体の一部を取り囲むストラップまたはバンドによって支持されていてもよい。ストラップまたはバンドは、胸部用バンドであってもよい。ストラップまたはバンドはアームバンドであってもよい。流動要素は、内側コアと、内側コアから延在する複数のベーンとを含でいてもよい。流動要素は、40〜60のベーンを含んでいてもよい。流動要素の内側コアは、流動要素がモータの周囲にフィットできるようにしかつモータからの熱の変動に伴い伸縮可能な分割構造体を含んでいてもよい。
【0018】
本発明の他の態様は、モジューラ人工呼吸システムに関するものであり、モジューラ人工呼吸システムは、人工呼吸モジュールと、1つ以上の以下の個別に置換可能なモジュール:人工呼吸モジュールをリモート制御するための制御モジュール;制御モジュールのための付属バッテリーモジュール;人工呼吸モジュールに設けられた酸素増大モジュール;人工呼吸モジュールの遠位開口に設けられた粘性トラップ;人工呼吸モジュールの遠位開口に設けられた熱水交換フィルタモジュール;および/または、人工呼吸モジュールおよび/または制御モジュールを固定するための1つ以上のストラップを含むストラップモジュール;と、を含む。制御モジュールは、内部加速度計を含み、かつパルス酸素濃度計および/またはCOモニターをそれに接続可能にするものであってもよい。
【0019】
本発明の他の態様は送風機に関するものであり、当該送風機は:同軸上に整列されている近位開口と遠位開口とを含むハウジングと;ハウジングに設けられたステータ構成要素と;ハウジングの近位開口とステータ構成要素との間に配置されたインペラと;インペラを駆動するよう構成されたモータと;を含む。インペラは複数のインペラブレードを含む。ステータ構成要素は、その外面に沿って複数の空気方向付け溝を含む。空気方向付け溝の前縁は、インペラブレードの外側先端部から外側へ向けて接線方向に延在しており、かつ、インペラブレードから流出した空気を集合させるように、かつ、インペラから空気を分離させることによりかつ空気流が実質的に層流となるように遠位開口へ向かって屈曲経路に沿って空気を方向付けることによって、略接線方向から略半径方向へ向けて空気を方向付けるよう構成されている。
【0020】
本発明の他の態様、特徴部および利点は、添付の図面と関連する以下の詳細な説明から明らかとなる。当該図面は当該説明の一部を示すものであり、例えば本発明の原理を示すものである。
【0021】
以下の添付の図面は本発明のさまざまな実施形態の理解を容易にするものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に基づく送風機の斜視図である。
【図2】図1の送風機の分解図である。
【図3】図1の送風機のステータ構成要素およびインペラの斜視図である。
【図4】本発明の他の実施形態に基づく送風機の斜視図である。
【図5】図4の送風機の分解図である。
【図6】図4の送風機のステータ構成要素、モータおよびインペラの分解図である。
【図7】本発明の一実施形態に基づくインペラの平面図である。
【図8】図7のインペラの底面図である。
【図9】本発明の他の実施形態に基づく送風機の斜視図である。
【図10】図9の送風機の側面図である。
【図11】図9の送風機の平面図である。
【図12】図10の線12−2における断面図である。
【図13】図9の送風機のステータ構成要素の側面図である。
【図14】図13のステータ構成要素の底面図である。
【図15】チューブが取り付けられた図9の送風機の斜視図である。
【図16】本発明の一実施形態に基づく受動空気バルブアセンブリを含む送風機の側面図である。
【図17】図16の送風機の断面図である。
【図18】図16の送風機の拡大断面図である。
【図19】本発明の一実施形態に基づく送風機のCPAPバージョンの斜視図である。
【図20】図19の送風機の側面図である。
【図21】図19の送風機の断面図である。
【図22】本発明の一実施形態に基づく送風機のCPAPバージョンの斜視図である。
【図23】図22の送風機の断面図である。
【図24】本発明の一実施形態に基づく送風機の、さまざまなRPMに関する圧力対流量を示す図である。
【図25】本発明の一実施形態に基づく人工呼吸システムの斜視図である。
【図26】図25の人工呼吸システムの他の斜視図である。
【図27】図25の人工呼吸システムの側面図である。
【図28】図25の人工呼吸システムの正面図である。
【図29】図25の人工呼吸システムの背面図である。
【図30】図25の人工呼吸システムの底面図である。
【図31】図25の人工呼吸システムの平面図である。
【図32】図25の人工呼吸システムの断面図である。
【図33】図25の人工呼吸システムの他の断面図である。
【図34】図25の人工呼吸システムの分解図である。
【図35】本発明の一実施形態に基づく人工呼吸システムの送風機の斜視図である。
【図36】図35の送風機の背面図である。
【図37】図35の送風機の側面図である。
【図38】図35の送風機の底面図である。
【図39】図35の送風機の平面図である。
【図40】図35の送風機の断面図である。
【図41】本発明の一実施形態に基づく送風機の上部ハウジングの斜視図である。
【図42】図41の上部ハウジング部の側面図である。
【図43】図41の上部ハウジング部の平面図である。
【図44】図41の上部ハウジング部の底面図である。
【図45】本発明の一実施形態に基づく送風機の下部ハウジングの斜視図である。
【図46】図45の下部ハウジング部の左側面図である。
【図47】図45の下部ハウジング部の右側面図である。
【図48】図45の下部ハウジング部の背面図である。
【図49】図45の下部ハウジング部の平面図である。
【図50】図45の下部ハウジング部の底面図である。
【図51】本発明の一実施形態に基づく送風機のステータ構成要素の第1の部分の斜視図である。
【図52】図51の第1の部分の側面図である。
【図53】図51の第1の部分の平面図である。
【図54】図51の第1の部分の底面図である。
【図55】本発明の一実施形態に基づく送風機のステータ構成要素第2の部分の斜視図である。
【図56】図55の第2の部分の平面図である。
【図57】図55の第2の部分の底面図である。
【図58】図55の第2の部分の側面図である。
【図59】図55の第2の部分の断面図である。
【図60】本発明の一実施形態に基づく送風機のインペラの斜視図である。
【図61】図60のインペラの側面図である。
【図62】図60のインペラの平面図である。
【図63】図60のインペラの底面図である。
【図64】本発明の一実施形態に基づく送風機のスリーブの断面図である。
【図65】図64のスリーブの側面図である。
【図66】図64のスリーブの平面図である。
【図67】図64のスリーブの底面図である。
【図68】本発明の一実施形態に基づく送風機の流動要素の斜視図である。
【図69】図68の流動要素の側面図である。
【図70】図68の流動要素の底面図である。
【図71】本発明の一実施形態に基づくフィルタ/バルブアセンブリの斜視図である。
【図72】図71のフィルタ/バルブアセンブリの側面図である。
【図73】図71のフィルタ/バルブアセンブリの平面図である。
【図74】図71のフィルタ/バルブアセンブリの底面図である。
【図75】図71のフィルタ/バルブアセンブリの断面図である。
【図76】図71のフィルタ/バルブアセンブリの分解図である。
【図77】本発明の一実施形態に基づくフィルタ/バルブアセンブリのフィルタカバーの斜視図である。
【図78】図77のフィルタカバーの側面図である。
【図79】図77のフィルタカバーの平面図である。
【図80】図77のフィルタカバーの底面図である。
【図81】本発明の一実施形態に基づくフィルタ/バルブアセンブリの空気流動切換弁/マニホールドの斜視図である。
【図82】図81の空気流動切換弁/マニホールドの側面図である。
【図83】図81の空気流動切換弁/マニホールドの平面図である。
【図84】図81の空気流動切換弁/マニホールドの底面図である。
【図85】本発明の一実施形態に基づくフィルタ/バルブアセンブリの空気流動切換キャップの斜視図である。
【図86】図85の空気流動切換キャップの側面図である。
【図87】図85の空気流動切換キャップの平面図である。
【図88】図85の空気流動切換キャップの底面図である。
【図89】本発明の一実施形態に基づくフィルタ/バルブアセンブリの空気流入膜バルブの斜視図である。
【図90】図89の空気流入膜バルブの側面図である。
【図91】図89の空気流入膜バルブの平面図である。
【図92】図89の空気流入膜バルブの底面図である。
【図93】本発明の一実施形態に基づくフィルタ/バルブアセンブリの空気流出膜バルブの斜視図である。
【図94】図93の空気流出膜バルブの側面図である。
【図95】図93の空気流出膜バルブの平面図である。
【図96】図93の空気流出膜バルブの底面図である。
【図97】本発明の一実施形態に基づく粘性トラップの分解図である。
【図98】本発明の一実施形態に基づく粘性トラップの外側ケースの斜視図である。
【図99】図98の外側ケースの平面図である。
【図100】図98の外側ケースの底面図である。
【図101】図98の外側ケースの側面図である。
【図102】図98の外側ケースの断面図である。
【図103】本発明の一実施形態に基づく粘性トラップの内側ケースの斜視図である。
【図104】図103の外側ケースの平面図である。
【図105】図103の外側ケースの底面図である。
【図106】図103の外側ケースの正面図である。
【図107】図103の外側ケースの側面図である。
【図108】図103の外側ケースの断面図である。
【図109】吸気中の空気流を示す、図25の人工呼吸システムの断面図である。
【図110】吐気中の空気流を示す、図25の人工呼吸システムの断面図である。
【図111】本発明の一実施形態に基づく熱水交換フィルタ(HMEF)の断面図である。
【図112】人工呼吸システムに設けられた図111のHMEFの断面図である。
【図113】図111のHMEFの分解図である。
【図114】図111のHMEFの分解断面図である。
【図115】図111のHMEFの他の分解図である。
【図116】本発明の一実施形態に基づくHMEFの外側ケースの斜視図である。
【図117】図116の外側ケースの底面図である。
【図118】図116の外側ケースの平面図である。
【図119】図116の外側ケースの側面図である。
【図120】図116の外側ケースの断面図である。
【図121】本発明の一実施形態に基づくHMEFの内側ケースの斜視図である。
【図122】図121の内側ケースの平面図である。
【図123】図121の内側ケースの底面図である。
【図124】図121の内側ケースの側面図である。
【図125】図121の内側ケースの断面図である。
【図126】本発明の他の実施形態に基づくHMEFの斜視図である。
【図127】本発明の他の実施形態に基づくHMEFの側面図である。
【図128】本発明の一実施形態に基づく人工呼吸システムのリモートの斜視図である。
【図129】図128のリモートの正面図である。
【図130】図128のリモートの平面図である。
【図131】図128のリモートの左側面図である。
【図132】図128のリモートの右側面図である。
【図133】本発明の一実施形態に基づく粘性トラップを備える人工呼吸システムの斜視図である。
【図134】本発明の一実施形態に基づくHMEFを備える人工呼吸システムの斜視図である。
【図135−1】本発明の一実施形態に基づく人工呼吸システムのためのリモートまたはハンドセットの斜視図である。
【図135−2】図135−1のハンドセットのための付加的な付属バッテリーの斜視図である。
【図135−3】図135−2の付属バッテリーに連結される、図135−1のハンドセットの斜視図である。
【図136】図135−1のハンドセットの平面図である。
【図137】ドックが第1のポジションにある状態の、本発明の一実施形態に基づくドッキングステーションまたはドックの斜視図である。
【図138】図137のドック内にある図135−1のハンドセットの斜視図である。
【図139】第2のポジションまで延伸された図137のドックの斜視図である。
【図140】図139のドック内にある図135−3のハンドセットおよび付属バッテリーの斜視図である。
【図141】本発明の一実施形態に基づく気管切開人工呼吸器、ハンドセット、ハンドセットハーネスおよび安定化ストラップのために適合された人工呼吸器を示す図である。
【図142】本発明の一実施形態に基づく気管切開人工呼吸器、付属バッテリーを備えるハンドセットおよびハンドセットハーネスのために適合された人工呼吸器を示す図である。
【図143】本発明の一実施形態に基づく気管切開人工呼吸器、ハンドセット、ハンドセットハーネス、安定化ストラップ、および酸素増強付属物のために適合された人工呼吸器を示す図である。
【図144−1】本発明の一実施形態に基づく頭部着用人工呼吸システムを示す図である。
【図144−2】本発明の一実施形態に基づく頭部着用人工呼吸システムを示す図である。
【図144−3】本発明の一実施形態に基づく頭部着用人工呼吸システムを示す図である。
【図145】本発明の一実施形態に基づく頭部着用人工呼吸システムを示す図である。
【図146−1】本発明の一実施形態に基づく頭部着用人工呼吸システムを示す図である。
【図146−2】本発明の一実施形態に基づく頭部着用人工呼吸システムを示す図である。
【図146−3】本発明の一実施形態に基づく頭部着用人工呼吸システムを示す図である。
【図146−4】本発明の一実施形態に基づく頭部着用人工呼吸システムを示す図である。
【図147】本発明の一実施形態に基づく頭部着用人工呼吸システムを示す図である。
【図148】本発明の一実施形態に基づく頭部着用人工呼吸システムを示す図である。
【図149】本発明の一実施形態に基づく頭部着用人工呼吸システムを示す図である。
【図150】本発明の一実施形態に基づく頭部着用人工呼吸システムを示す図である。
【図151−1】本発明の一実施形態に基づく頭部着用人工呼吸システムを示す図である。
【図151−2】本発明の一実施形態に基づく頭部着用人工呼吸システムを示す図である。
【図151−3】本発明の一実施形態に基づく頭部着用人工呼吸システムを示す図である。
【図152−1】本発明の一実施形態に基づく頭部着用人工呼吸システムを示す図である。
【図152−2】本発明の一実施形態に基づく頭部着用人工呼吸システムを示す図である。
【図153】本発明の一実施形態に基づく頭部着用人工呼吸システムを示す図である。
【図154】本発明の一実施形態に基づく頭部着用人工呼吸システムを示す図である。
【図155】本発明の一実施形態に基づく頭部着用人工呼吸システムを示す図である。
【図156】本発明の一実施形態に基づく頭部着用人工呼吸システムを示す図である。
【図157】本発明の一実施形態に基づく頭部着用人工呼吸システムを示す図である。
【図158】本発明の一実施形態に基づく頭部着用人工呼吸システムを示す図である。
【図159】本発明の一実施形態に基づく組み込み式送風機を示す図である。
【図160−1】本発明の一実施形態に基づく組み込み式送風機を備える患者用インターフェースを示す図である。
【図160−2】本発明の一実施形態に基づく組み込み式送風機を備える患者用インターフェースを示す図である。
【図161−1】本発明の一実施形態に基づく組み込み式送風機を備える患者用インターフェースを示す図である。
【図161−2】本発明の一実施形態に基づく組み込み式送風機を備える患者用インターフェースを示す図である。
【図162−1】本発明の一実施形態に基づく組み込み式送風機を備える患者用インターフェースを示す図である。
【図162−2】本発明の一実施形態に基づく組み込み式送風機を備える患者用インターフェースを示す図である。
【図163−1】本発明の一実施形態に基づく組み込み式送風機を備える患者用インターフェースを示す図である。
【図163−2】本発明の一実施形態に基づく組み込み式送風機を備える患者用インターフェースを示す図である。
【図164−1】本発明の一実施形態に基づく組み込み式送風機を備える患者用インターフェースを示す図である。
【図164−2】本発明の一実施形態に基づく組み込み式送風機を備える患者用インターフェースを示す図である。
【図164−3】本発明の一実施形態に基づく組み込み式送風機を備える患者用インターフェースを示す図である。
【図165】本発明の一実施形態に基づく組み込み式送風機を備える患者用インターフェースを示す図である。
【図166】本発明の一実施形態に基づく組み込み式送風機を備える患者用インターフェースを示す図である。
【図167】本発明の一実施形態に基づく組み込み式送風機を備える患者用インターフェースを示す図である。
【図168−1】本発明の一実施形態に基づく組み込み式送風機を備える患者用インターフェースを示す図である。
【図168−2】本発明の一実施形態に基づく組み込み式送風機を備える患者用インターフェースを示す図である。
【図169】本発明の一実施形態に基づく組み込み式送風機を備える患者用インターフェースを示す図である。
【図170】本発明の一実施形態に基づく組み込み式送風機を備える患者用インターフェースを示す図である。
【図171】本発明の一実施形態に基づく組み込み式送風機を備える患者用インターフェースを示す図である。
【図172】本発明の一実施形態に基づく組み込み式送風機を備える患者用インターフェースを示す図である。
【図173】本発明の一実施形態に基づく組み込み式送風機を備える患者用インターフェースを示す図である。
【図174】本発明の一実施形態に基づく組み込み式送風機を備える患者用インターフェースを示す図である。
【図175】本発明の一実施形態に基づく組み込み式送風機を備える患者用インターフェースを示す図である。
【図176】本発明の一実施形態に基づく組み込み式送風機を備える患者用インターフェースを示す図である。
【図177】本発明の一実施形態に基づく持ち運び可能な人工呼吸器を示す図である。
【図178】本発明の一実施形態に基づく持ち運び可能な人工呼吸器を示す図である。
【図179】本発明の一実施形態に基づく持ち運び可能な人工呼吸器を示す図である。
【図180−1】本発明の一実施形態に基づく持ち運び可能な人工呼吸器を示す図である。
【図180−2】本発明の一実施形態に基づく持ち運び可能な人工呼吸器を示す図である。
【図181−1】本発明の一実施形態に基づく持ち運び可能な人工呼吸器を示す図である。
【図181−2】本発明の一実施形態に基づく持ち運び可能な人工呼吸器を示す図である。
【図181−3】本発明の一実施形態に基づく持ち運び可能な人工呼吸器を示す図である。
【図181−4】本発明の一実施形態に基づく持ち運び可能な人工呼吸器を示す図である。
【図182】本発明の一実施形態に基づく、ライトアップされたチューブを示す図である。
【図183】本発明の一実施形態に基づく持ち運び可能な人工呼吸器を示す図である。
【図184】本発明の一実施形態に基づく持ち運び可能な人工呼吸器を示す図である。
【図185】本発明の一実施形態に基づく持ち運び可能な人工呼吸器を示す図である。
【図186】本発明の一実施形態に基づく持ち運び可能な人工呼吸器を示す図である。
【図187−1】本発明の一実施形態に基づく着用可能な人工呼吸器を示す図である。
【図187−2】本発明の一実施形態に基づく着用可能な人工呼吸器を示す図である。
【図188−1】本発明の一実施形態に基づく着用可能な人工呼吸器を示す図である。
【図188−2】本発明の一実施形態に基づく着用可能な人工呼吸器を示す図である。
【図188−3】本発明の一実施形態に基づく着用可能な人工呼吸器を示す図である。
【図188−4】本発明の一実施形態に基づく着用可能な人工呼吸器を示す図である。
【図189−1】本発明の一実施形態に基づく着用可能な人工呼吸器を示す図である。
【図189−2】本発明の一実施形態に基づく着用可能な人工呼吸器を示す図である。
【図189−3】本発明の一実施形態に基づく着用可能な人工呼吸器を示す図である。
【図190】本発明の一実施形態に基づく着用可能な人工呼吸器を示す図である。
【図191】本発明の一実施形態に基づく着用可能な人工呼吸器を示す図である。
【図192−1】本発明の一実施形態に基づく着用可能な人工呼吸器を示す図である。
【図192−2】本発明の一実施形態に基づく着用可能な人工呼吸器を示す図である。
【図193】本発明の一実施形態に基づく着用可能な人工呼吸器を示す図である。
【図194】本発明の一実施形態に基づく着用可能な人工呼吸器を示す図である。
【図195】本発明の一実施形態に基づく着用可能な人工呼吸器を示す図である。
【図196】本発明の一実施形態に基づく着用可能な人工呼吸器を示す図である。
【図197】本発明の一実施形態に基づく着用可能な人工呼吸器を示す図である。
【図198−1】本発明の一実施形態に基づく着用可能な人工呼吸器を示す図である。
【図198−2】本発明の一実施形態に基づく着用可能な人工呼吸器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の説明は、共通の特徴部および特徴を備えるいくつかの実施形態に関して提供される。ある実施形態の1つ以上の特徴部が、他の実施形態の1つ以上の特徴部と組み合わせられてもよい。加えて、これら実施形態のうちいずれかの単一の特徴部ありは特徴部を組み合わせたものが付加的な実施形態を構成してもよい。
【0024】
本明細書において、「備えている」との語はオープンな意味、つまり「含んでいる」という意味で使用されており、「〜のみから構成される」というクローズな意味に限定されないことを理解されたい。「備える」、「備えられた」および「具備する」などの対応する語も同様の意味を有している。
【0025】
本件出願の明細書においては本発明の態様について、患者用インターフェースを介して侵略的かつ非侵略的な患者用コネクションに関し、かつ気道陽圧デバイス(PAP device: positive airway pressure device)に関して説明するが、本発明の態様が、例えば陽圧用途および陰圧用途の両方における人工呼吸器などの送風機が使用される他の分野に対する出願を有してもよいことを理解されたい。
【0026】
本明細書において「エアポンプ」および「送風機」との語は相互交換して使用されてもよい。「空気」との語は、例えば酸素または酸素とヘリウムとの混合気体が追加された呼吸に適した気体を含むよう使用されてもよい。また、本明細書に記載される送風機が空気以外の他の流体を送るよう設計されているとも認められる。
【0027】
また各送風機の実施形態が、単段設計を含むように以下に説明される。ただし、当然のことながら、本発明の態様は、例えば二段、三段、四段あるいはさらなる段数の多段設計とされてもよい。
【0028】
1.送風機
図1〜図6には本発明の一実施形態に基づく単段送風機10を示す。後述するように送風機は、コンパクトで、効率がよく、とても静かで、低コストで、複雑ではない構造体を提供し、かつ層流を提供する。一実施形態において、送風機は、2〜30cmHOの範囲の加圧空気を提供するよう構成されてもよく、かつ、60cmHOより大きい加圧空気を提供するよう構成されてもよい。
【0029】
図示されるように、送風機10は、第1のハウジング部22と第2のハウジング部24とを備えるハウジング20と、空気方向付け溝35を含むステータ構成要素30と、ステータ構成要素30内に配置されかつ回転軸またはロータ50を駆動するよう構成されたモータ40と、ステータ構成要素30の片側に設けられかつロータ50の端部に連結されたインペラ60とを備える。図示されるように、送付来は相対的に単純な積層状の組立体を提供する。
【0030】
図5に最もよく示されるように、第1および第2のハウジング部22,24は、1つ以上の固定具(例えばネジ)26によって互いに連結されていてもよい。加えて、第1および第2のハウジング22,24は、整列および連結を容易にするためにジョイント(例えば図5に示されるよう配置された整列ピン28(1)および受容孔28(2))を提供してもよい。図2には、ハウジング部を連結するための代替的なジョイント、例えば環状溝に収容されるよう構成された環状突出部29を示す。
【0031】
送風機10は、一端には第1のハウジング部22によって提供される近位開口(例えば患者側開口つまり患者に近接した開口)または近位端部23を有し、かつ他端には第2のハウジング部24によって提供される遠位開口(例えば環境側開口つまり患者から遠位にある開口)または遠位端部25を有する。送風機10は、近位開口23を介してハウジング20内に供給気体を引き込むように、かつ遠位開口25においてガスの加圧流を提供するよう操作可能である。
【0032】
送風機10は、送風機の軸Aと同心状に整列された近位開口23および遠位開口25の両方に対称的な軸を有する(例えば図1参照)。使用時に、気体は一端において軸方向に送風機に流入し、かつ他端において軸方向に送風機から流出する。そうした構成は、例えば軸対称および/または低渦巻乱流に起因して、使用時に小さなノイズしかださないことができる。そうした送風機の例示的な実施形態が特許文献6に開示されている。
【0033】
図4に示されるように図示された実施形態において、送風機は相対的にコンパクトでありかつ約60〜70mmの、例えば63mmの直径Dおよび約35〜45mmの、例えば38.5mmの高さHを有してもよい。ただし他の適切なサイズのものとすることもできる。
【0034】
1.1 ステータ構成要素
図2、図3、図5および図6に示されるように、ステータ構成要素30は、図6に示されるように1つ以上の固定具33によって互いに連結された第1の部分32と第2の部分34とを含む。加えて、第1および第2のハウジング部32,34は、整列および連結を容易にするためにジョイント(図6に示されるような構成要素、整列ピン31(1)および受容孔31(2))を提供してもよい。第1および第2の部分32,34は、モータ40およびロータ50を作動ポジションに支持しかつ保持するよう構成された中空内部を規定するよう協働する。加えて、第1の部分32および第2の部分34は、複数の空気方向付け溝35がこれら部分の外面に沿って延在する状態で、略「かぶ」形状(略球根形状)の外形を規定するよう協働する。
【0035】
図示されるように、空気方向付け溝または螺旋部35は、インペラ60からの空気を捕集しかつ分配するように、流出口25へ向いた屈曲経路に沿って空気を方向付けるように構成されかつ配置されており、それにより、空気流は層流となり、かつこの溝の長さに沿う螺旋乱流が最小化される。空気方向付け溝35の前縁は、インペラブレードがステータベーンを動かすときに生じるブレード通過ノイズ全体を防止するように、インペラブレードの外側先端から外側へ向けて接線方向に延在している。ステータベーンの前縁は、インペラブレードからの空気を捕集しかつ略接線方向から略半径方向へ向けてその空気を方向付けるよう構成されている。特に各溝の流入部35(1)は、インペラ60のリムの外周部から略接線方向に延在しており、それにより、インペラ60から流出した空気が溝に流入可能となる。好ましくは、溝に流入した空気の流入角度は、インペラの回転平面から離れて、約5〜10%となる。図示されるように、流入部35(1)は、インペラ60のリムから、ステータ構成要素の周縁部の外側の最大半径方向広がり部まで延在している。溝は、ステータ構成要素のコーン形状ベース36が突出する溝の流出部35(2)へ、流入部35(1)から下方へ向けて(約80〜90°で)屈曲している。図示されるように流出部35(2)は、インペラ60の見通し線から外れて配置された層流経路を規定する。つまり流出部は、ステータ構成要素の下部に沿って延在している。溝35はすべて、軸方向出口を形成するよう略コーン形状ベース37に滑らかに収束する、つまり再結合する。これら溝の収束経路はノイズを小さくするための音響破壊をもたらす。
【0036】
加えて、各溝35の深さは、流入部35(1)から流出部35(2)へ向けて溝が延在するように、言い換えると溝が流出部において、より「トンネル状」へと変化するように、大きくつまり深くなっている。ただし、空気が溝35を離れかつ流出部25へ向かって通過するポジションにおいて、溝の深さは、流出部へ向かう空気経路を屈曲させる傾斜路によって減少される。好ましくは、溝の深さは、この実施形態においては0〜4mmの間である。
【0037】
図示される実施形態において、9つの空気方向付け溝35がステータ構成要素30に設けられている。ただし当然のことながら、これ以上のまたはこれ以下の溝、例えば3,4,5もしくはそれ以上の溝を設けることもできる。
【0038】
一実施形態において、送風機は、隆起ファン実施屈曲部が設けられている。これは例えば溝によって設けられる領域を変更することによって変化させることができる。
【0039】
好ましくは、ステータ構成要素はポリマー材料またはポリカーボネートから構成されてもよい。付加的には、ステータ構成要素のうちモータと接触する部分はアルミニウム以外から構成することが好ましい。ステータ構成要素のアルミニウム部分は、モータのための付加的なヒートシンクとして機能してもよい。
【0040】
1.2 モータ
モータ40は、ロータ50に設けられたマグネットと、マグネットを介してロータ50の回転動作を引き起こすためのステータアセンブリ45とを備える。ステータセンブリ45はステータコアを含んでおり、ステータコアの上においてステータ巻線47が巻かれている。この実施形態において、ステータコアは、固体フェライトリングの形態のものである。ただしステータコアは異なる構成、例えばシート状金属の積層体の堆積体を有していてもよい。一実施形態において、ステータセンブリは、例えば共通の巻線変換器に基づく環状巻付モータ構造体(センサのない)を含んでいてもよい。
【0041】
図6において、ステータアセンブリ45はステータコア6つの巻線47を含んでおり、それは対称的な構造体を提供する。ただし、ステータアセンブリは、代替的な巻線構造体例えば3つの巻線を含んでもよい。また、図示されているように、仕切り48が巻線47同士の間に付加的に設けられてもよい。
【0042】
図示されるように、ステータアセンブリ45の外面は、ステータ構成要素30の第1および第2の部分32,24に支持されかつ保持されている。つまりステータアセンブリは第1および第2の部分の間に封入されかつ包囲されている。
【0043】
またステータ構成要素30の第1および第2の部分は、ロータ50を回転可能に支持する保持ベアリング51(1),51(2)に組みつけられている。例えば第1の部分32は一方のベアリング51(1)を支持するための凹部を含んでもよく、かつ第2の部分34は他のベアリング51(2)を支持するための凹部を含んでもよい。第1および第2の部分32,24は、同じベアリングサイズのまたは異なるベアリングサイズの支持ベアリングに組みつけられていてもよい。
【0044】
加えて、第1の部分32はその軸に沿った開口37を提供し、ロータ50の端部がインペラ60と係合するためにその開口を通過する。
【0045】
1.3 インペラ
図示された実施形態において、図7および図8に最良に示されるように、インペラ60は、一対のディスク状遮壁64,66の間に挟まれた連続的に屈曲したあるいは直線状の複数のブレード62を含む。遮壁は、使用時にノイズ全体を低減させるのに役立つ。下方遮壁66は、ロータ50を受容するよう構成されたハブまたはブシュと協働する。またインペラは、ブレードが外側縁部の方へ向けてテーパ形状となるテーパ構造体を含む。インペラのさらなる詳細は特許文献7に開示されており、この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0046】
インペラの遮壁は、好ましくは部分的にブレードをカバーしてもよい。これは、例えば送風機が作動中に衝撃を受けたときに、ブレードがハウジングの内壁に接触してブレーキを掛けることを防止する利点を有していてもよい。
【0047】
図8に最もよく示されるように、インペラは14のブレード62を有する。この実施形態において、ステータ構成要素30における溝35に対するインペラ部レート62の比は、共通の割り切れる数字を含まない(例えば14:9である)。これは、ブレード経路振動およびノイズ全体を避けることに役立つ。ただし当然のことながら、多かれ少なかれブレードを適したものとすることもできる。ブレードは、ノイズの低減を補助するべく流れの方向に対して反対向きに角度がつけられている。
【0048】
1.4 流体流動経路
空気は、近位開口23において送風機10に流入し、そして空気を接線方向に加速させかつ半径方向外側に方向付けるインペラ60へ流動する。続いて空気は、ステータ構成要素30に沿って下方に空気を方向付ける空気方向付け溝35へ向けて流動する。溝35からの空気は、ステータ構成要素のベース36に収束し、遠位開口25へ向けて方向付けられる。空気方向付け溝35により、流出部25における流れは実質的に層流となり、それは相対的に低い伝導ノイズしか引き起こさないものとなる。加えて、インペラ60を駆動するモータ40は、相対的に低い伝導ノイズを引き起こすステータ構成要素30内に遮蔽されている。
【0049】
付加的には、空気流動経路はモータから生じる熱を運び去るようにモータの本体にわたって流動することを助長してもよい。
【0050】
2.0 「ミニ」送風機
図9〜15には本発明の多の実施形態に基づく送風機210が示されている。この実施形態において、送風機210は相対的に小さく、(空気移送タービンのカフに接続するために)約22mmの幅d1と、約22〜25mm(例えば24mm)の幅d2と、約80〜100mm(例えば82mm)の幅d3と、約40〜45mm(例えば43mm)の幅d4とを有する。なお他の適切なサイズのものであってもよい。
【0051】
図示されるように、送風機210は、(例えばPEEKなどのポリマー材料から構成される)ハウジング220と、(例えばPEEKなどのポリマー材料から構成される)ステータ構成要素230と、モータ240と、(例えばPEEKなどのポリマー材料から構成される)インペラ260とを含み、ハウジング220は第1のハウジング部222と第2のハウジング部224とを備え、ステータ構成要素230は空気方向付け溝235を含み、モータ240はステータ構成要素230に支持されかつ回転軸またはロータ250の端部を駆動し、かつ、インペラ260は、ステータ構成要素230の片側に設けられかつロータ250の端部に連結される。インペラ260は、ステータ構成要素230上に小さな隙間を有し、かつ使用時に反時計方向に回転するよう構成されている。
【0052】
送風機210は、送風機の軸Aと整列させられた近位開口223および遠位開口225の両方との軸対称性を有している(図12参照)。一実施形態において、フィルタが近位開口223に連結されていてもよい。また、一実施形態において、遠位開口225は、水または流体がハウジングに流入することを防止するための水分捕集器に接続されていてもよい。
【0053】
図示された実施形態において、流出部225が流出チューブ227によって設けられており、それにより人工呼吸器タービンをハウジングに連結できるようになる。図15には、人工呼吸器タービン215に連結された流出チューブ227を備えるPAPデバイス217が示されている。患者用インターフェース(図示せず)がタービン215の他の端部に連結されている。患者用インターフェースは、鼻マスク、フルフェイスマスク、鼻用カニューレ、鼻用プロングおよび鼻用ピローなどの形態のものとすることができる。これらはヘッドギアによって患者の頭部に支持されてもよい。ヘッドギアは送風機210を支持してもよい。
【0054】
一実施形態において、送風機210は、215L/minまでの流量で60cmH0より大きい加圧空気を提供するよう構成されてもよい。
【0055】
2.1 ステータ構成要素
図12〜図14に示されるように、ステータ構成要素230は、互いに連結された第1および第2の部分232,234を含んでいる。第1および第2の部分232,234は、1つ以上の固定具(例えばネジ)によってあるいは接着剤(例えば糊)によって互いに固定されていてもよい。加えて、第1および第2の部分は、整列および連結を容易にするためにジョイント(例えば第2の部分が凹部231(1)を含み、第1の部分を受容するための第2の部分の中空内部の中で係合するように第1の部分が1つ以上の整列ピン231(2))を提供してもよい。
【0056】
第1および第2の部分232,234は、作動ポジションにおいてモータ240およびロータ250を支持するための中空内部を規定しかつ適合するよう協働する。加えて、第1および第2の部分232,234は、上記のような流入部235(1)と流出部235(2)とを含む複数の空気方向付け溝235(例えば9つの空気方向付け溝)を規定するよう協働する。
【0057】
ステータ構成要素230は、1つ以上の固定具、例えば3つの取り付けネジによってハウジング220に取り付けられていてもよい。ただしステータ構成要素が他の適切な様式でハウジングに取り付けられていてもよい。代替的には、ステータ構成要素は、ハウジングに取り付けられていないが、摩擦嵌合により保持されていてもよい。ステータ構成要素230の中空内部は、成形工程における補助となり、かつステータ構成要素の重量を低減する。ステータ構成要素230の中空内部は、満たされており、かつ人工呼吸器口内のデッドスペースを低減するよう空気経路から密閉遮断されている。
【0058】
図17〜図18に示された代替実施形態において、第1および第2の部分232,234を互いに連結するための固定具を使用する代わりに、固定具は、ステータ構成要素の第1の部分232と第2の部分234との間におけるギャップ277へ挿入されるよう構成されたO−リング276と置き換えられてもよい。この例においては、各部分232,234は、O−リングを収容するよう構成されたギャップ277を規定するよう協働する個々の溝またはリング形状凹部277(1),277(2)を含んでもよい。O−リング276は、各凹部内に載置され、かつ第1および第2の部分232,234を離間させる力に抵抗するよう構成されている。付加的には、O−リングは、製造中の組立容易性(例えば固定具を少なくする)、振動遮断性および衝撃耐性を含む利点を有しており、かつ使用中に高速振動により発生するノイズを付加的に低減してもよい。
【0059】
2.2 モータ
モータ240は、ロータ250の回転運動を引き起こすよう構成されたブラッシュレスDCモータの形態のものである。一実施形態において、モータは、30ワットのパワー消費量および80,000rpmまでの、13mmの直径のモータであってもよい。ただしより大きなモータなどの異なるサイズのモータを使用することも可能である。また、モータは、殺菌可能でありかつ密閉されていてもよい。密閉特徴部は、高い相対湿度および体液にさらされることによって生じるモータの腐食を防止するかあるいは限定的なものとする。
【0060】
図示されるように、ステータ構成要素230の第1の部分232は、モータ250の端部を受容するための凹部238と、インペラ260と係合するためにロータ250が通過可能な開口237とを含む。モータ240は、1つ以上の取り付けネジ239(例えば3つの取り付けネジ)によってステータ構成要素の第1の部分232に取り付けられている。
【0061】
ステータ構成要素230の第2の部分234は、モータ240の下端部が通過可能な開口255を含む。第2の部分234の開口は例えば摩擦嵌合などによりモータを支持しかつ保持するよう役立つものであってもよい。
【0062】
モータ240のベースは、電力配線の接続のために1つ以上の電力接続ポイント249(例えば3つの電力接続ポイント)を含む。図示されるように、コーンあるいはバレット形状片270が第2のハウジング部224によって支持されており、かつ接続ポイント249を空気経路から分離するよう(つまり配線および接続ポイントがコーン形状片によって遮断されかつ封入される)カバーしかつ保護するように構成されかつ配置されている。
【0063】
プリント基板アセンブリ(PCBA)272がモータを制御するためにハウジングに取り付けられている。PCBAは、制御を向上させるために1つ以上のセンサ、ホールセンサや熱センサなどを含んでもよい。
【0064】
一実施形態において、モータは複数の金属製ヒートシンクに連結されていてもよく、かつ/または空気経路が排熱に役立つようにモータにわたって流れるようなされてもよい。
【0065】
付加的に、モータは、モータノイズを低減するために薄手のカバー内に封入されていてもよい。一実施形態において、このカバーは軟質ポリマーまたはシリコンから構成されていてもよい。
【0066】
2.3 流量センサおよび圧力センサ
流量センサ290および圧力センサ296が空気流動経路に沿って設けられてもよい。図12に示されるように、流量センサ290は、空気がセンサに出入りできるようにする空気流動経路を流体連通している流入チューブ292(1)および流出チューブ292(2)を含む。流れストレーナ280が、ステータ構成要素230の流出部に近接してかつ流量センサ290の上流において、ハウジングに設けられていてもよい(図12参照)。流れストレーナ280は、流量センサ流入チューブ292(1)を横断する接線方向空気流を妨げるように、ステータ構成要素230から出た空気流を直線的なものとするよう構成されかつ配置されており、それは流量センサから予想されるより正確な流れを提供する。
【0067】
圧力センサ296は、空気流動経路と流体連通状態のフレキシブル膜298を含む。このものにおいて、フレキシブル膜は空気流動経路における空気の圧力の表示を提供する。
【0068】
流量センサ290および圧力センサ296からのデータを制御しかつ受け取るために、第2のPCBA274が(第1のPCBA272に対向する側において)ハウジングに取り付けられている。
【0069】
2.4 流体流動経路
空気は、近位開口223において送風機210へ流入し、かつ空気を接線方向に加速させかつ半径方向外側へ向けて方向付けるインペラ260を通過する。次に空気は、空気をステータ構成要素230に沿って方向付けるステータ構成要素230の空気方向付け溝235へ流入する。続いて溝235からの空気は、ステータ構成要素235を出て、遠位開口225へ向かって、第2のハウジング部224とモータ240の下端部との間に規定されるチャネルに沿って流動する。空気方向付け溝235およびストレーナ280により、遠位開口225における流れは、相対的に低伝導ノイズしか引き起こさない実質的な層流となる。これら空気方向付け溝35,235,535は実質的に一定の断面積を有しており、それにより、両方向における空気流の抵抗が低減される。特に、流体流動経路のための均一な断面積を有することによって、呼気による妨害が低減される。
【0070】
3. 人工呼吸器
一実施形態において、人工呼吸器が人工呼吸器用送風機として使用されてもよい。送風機が人工呼吸器用送風機として使用されるとき、送風機の近位開口は、受動的空気バルブ組立体に接続されていてもよい。代替的には、バルブ組立体は、流出部に、つまり送風機の流出部に(例えば一体成形で)設けられていてもよい。バルブ組立体は、そのデバイスが人工呼吸器として使用されるときに、デッドスペースを最小化できる。
【0071】
図16〜図18には、本発明の一実施形態に基づく受動的空気バルブ組立体201を含む送風機210を示す。送風機210は、上述のように、近位開口223および遠位開口225を規定する第1のハウジング部222および第2のハウジング部224を備えるハウジング220と、空気方向付け溝235を含むステータ構成要素230と、ステータ構成要素230に支持されかつ回転軸またはロータ250を駆動するよう構成されたモータ240と、インペラ260とを含む。ステータ構成要素の第1および第2の部分232,234は、上記のようにO−リング276を使用して連結されている。
【0072】
図示された実施形態において、バルブ組立体201は、送風機210の近位開口223に設けられている。バルブ組立体201は、第1のバルブ203および第2のバルブ205に適合されるハウジング202を含む。第1のバルブ203は、大気と連通状態となっており、かつ患者の呼吸サイクルの吸い込み(矢印Iで示される)段階中に、近位開口223を介して空気を送風機内に流入可能なように構成されている。第2のバルブ205は、大気と連通状態となっており、かつ、患者の呼吸サイクルの吐き出し(矢印Eで示される)段階中に、近位開口223を介して空気を送風機から流出可能なように構成されている。
【0073】
ハウジング202は、(例えばクリップ構造によって互いに連結されている)第1および第2のハウジング部202(1),202(2)と、ハウジング内でバルブ203,205を保持する中間ハウジング部202(3)と、を含む。図示されるように、中間ハウジング部202(3)は、バルブ203の端部を狭持するように第1および第2のハウジング部と協働する。バルブ205は、中間ハウジング部202(3)に設けられた開口に固定されるハブ205(1)を含む。
【0074】
第2のハウジング部202(2)は、バルブ203を介して大気と連通可能な開口206を有し、かつ第1のハウジング部202(1)およびハウジング部202(3)は、バルブ205を介して大気と連通可能な各開口207,208を含む。
【0075】
3.1 携帯可能なまたは運搬可能な人工呼吸システム
本発明の他の態様は、患者に近接した位置で使用するのに適合された、小さく、携帯可能な人工呼吸器に関連する。一実施形態において、人工呼吸器は、マスクまたは鼻用プロングを介して患者に移送される非侵略的な人工呼吸のために使用されてもよい。代替実施形態において、人工呼吸器は、機関切開チューブまたは気管内チューブへの接続部を介した侵略的人工呼吸のために使用されてもよい。近位の人工呼吸器が有するいくつかの代表的な利点は、患者への人工呼吸の提供に必要なチューブの取り付けの長さを低減する(例えばコンプライアンスの向上のために最小回路抵抗を提供する短呼吸回路を使用可能にする)こと、および、患者のために携帯性が向上され得る、より小さく、より軽量のデバイスを提供することである。一実施形態において、人工呼吸器は、以下に詳述するように着用可能なシステムとして構成されてもよい。
【0076】
一実施形態において、人工呼吸器は、患者に隣接して配置され、かつ非解放マスクなどの非侵略的な患者インターフェースデバイス、非解放マウスピース、気管切開チューブまたは気管内チューブとともに使用される。したがって、患者は人工呼吸器にかつ人工呼吸器へ向けて呼吸する。結果的に、患者の呼吸容積を補償可能なデバイス内のデッドスペースが得られるようになる。このデッドスペースは、送風機の内部寸法によって、かつ場合によっては人工呼吸器入口に組み込まれる受動バルブ組立体によって最小化される。そうした非侵略的な近位システムにおいて、モータから発生する熱はモータの特性の限定内で管理することが必要とされる。一般に、人工呼吸器は、人工呼吸器をモニターしかつ/または制御するために、吸い込む呼気の流れおよび吐き出す呼気の流れのそれぞれを測定するための流動要素および流量センサのそれぞれの2つのセットを含む。上記のように患者に隣接される非侵略的人工呼吸器は双方向の呼気の流れの直接的なモニタリングを可能にするが、患者が吐き出す空気によって生じる流動要素における凝縮を許容するものであってもよく、かつそのため流量/容積の測定の正確さに影響を及ぼし得る。人工呼吸器は、良好な電空効果を備え、バッテリーの耐用期間を増大させ、あるいは小さなバッテリーパックを使用可能にする、高い人工工学的移動性のある人工呼吸器である。有利なことに、患者は、かさばったホースを介して大きなユニットに繋がれることを必要としない。関連する利点として、人工呼吸器が長大な呼吸回路の抵抗損失を、あるいは長大な呼吸システムのコンプライアンスのためのただし容積測定を改善する必要がなくなることが挙げられる。人工呼吸器は、ヘッドセット(バッテリーおよびユーザーインターフェ−ス)に対して薄手のフレキシブルな電気ケーブルのみを使用してカニューレの端部に直接的に、潜在的には衣服の下に設置できる。患者が人工呼吸器と別々ではなく一緒に移動できるため、分離による危険性が低減される。
【0077】
代替実施形態において、人工呼吸器は、ベントを有する気管切開を伴う侵略的なものあるいはベント付きマスク、ベント付きマウスピースまたはベント付き鼻用プロングなどを使用する非侵略的なものであるベント付き患者用インターフェースとともに使用されてもよい。この構成において、患者の呼気が回路から流出する近位ベントを備えるシステムにおいて、人工呼吸器の回路長さおよびデッドスペースが付加的なデッドスペースを強制することはないため、人工呼吸器は要望に応じて患者の近くにまたは遠くに配置されてもよい。回路からの呼気の適切な流出のために、最小のPEEPおよび弁との寸法によって得られる最小ベント流が必要とされる。したがって、非侵略的な実施形態に関連する受動呼気バルブは、専用のベント付き器具には必要ではない。さらにモータの熱管理が、付勢流の存在によりベント付きシステムにおいて簡単化され、かつ、最小の吐き出される空気が流動要素上を流れる際には流動要素における凝縮が形成されない。熱がそうした空気へ伝達され、それから患者へ伝達されることが防止されるのが好ましい。したがって、熱は大気中へ伝達されるよう規定され得る。そうしたベント付き人工呼吸器においては、本発明の一実施形態に基づく人工呼吸器のサイズの小ささ、重量およびバッテリー作動時間は、当該デバイスの携帯性を増大させ得る。それによって、リハビリテーションまたは非常用呼吸マスクとして使用可能なベルト取り付け式のまたはホルスター取り付け式のコンパクトな着装携行式デバイスを得られるようになる。代替的には当該人工呼吸器は、頭または体に取り付けられかつ後述する短い呼吸チューブとともに使用されてもよい。
【0078】
また非侵略的なものに関して、受動的な呼気バルブが人工呼吸器に設けられているため、人工呼吸器は非侵略的なマスクとともに使用されてもよい。さらに人工呼吸器は、非侵略的マスクが2010年6月9日に出願された共同出願人の係属中の特許文献8に記載されるように使用される場合に内部外科バルブまたは近位ソレノイドバルブなどの、人工呼吸器の制御下にある第三者的呼気バルブとともに使用するために設計されていてもよい。この場合において、受動呼気バルブは必要とされなくともよいが、吸気フィルタは依然として有利なものとなり得る。
【0079】
人工呼吸システム全体
図25〜図110には、本発明の一実施形態に基づく人工呼吸システム500が示される。図示されるように、人工呼吸システム500は、送風機510と、送風機の近位開口に設けられるフィルタ/バルブアセンブリ501と、送風機の遠位開口に設けられる粘性トラップ(mucous trap)575とを備える。粘性トラップは、付加的な構成要素であり、例えば後述する標準的な15/22mmの円錐形コネクタまたは熱水交換フィルタ(HMEF)に置換されてもよい。
【0080】
送風機
送風機510は、ハウジング520と、空気方向付け溝535を含むステータ構成要素530と、回転軸またはロータ550を駆動するよう適合されたモータ540と、低慣性の遠心性インペラ560とを含む。プリント回路基板アセンブリ(PCBA)572がモータを制御するためにハウジングに取り付けられている。PCBA572は、キャップ573によって封入されているか、またはカバーされてもよい。付加的には、第1および第2の部分512(1),512(2)を含むケーシング512は、送風機を封入するために設けられてもよい。
【0081】
図32〜図50に最も良く示されるように、ハウジング520は、近位開口または近位端部523(例えば患者側開口または患者に近接する開口)を規定する第1のまたは上部のハウジング部522(例えば図41〜44参照)と、遠位開口または遠位端部525(環境側の開口または患者から遠位にある開口)を規定する第2のまたは下部のハウジング部524とを含む。当然のことながら、近位開口は、吸気用の患者に対する空気流のための流入口として機能し、かつ吐出中に患者から吐き出された空気のための流出口として機能する。同様に、遠位開口は、吸気のための患者への空気流のための流入口として機能し、かつ吐出中には患者から吐き出された空気のための流出口として機能する。
【0082】
図36および48に示されるように、下部ハウジング支持部524は、送風機内の空気流動経路と連通するようPCBA572のセンサを使用可能にする1つ以上の開口527を有している。また下部ハウジング部524は、排熱に役立つ複数のヒートシンクまたはフィン526を含んでいる。
【0083】
図示された実施形態において、第1および第2のハウジング部522,524は、バイオネットタイプの接続部によって互いに連結されていてもよい(図41〜図44参照)。その接続部は、例えば第2のハウジング部に設けられた各スロット524(1)内にスライド可能に係合するよう適合された第1のハウジング部522に設けられた突出部522(1)である。ただし当然のことながら、第1および第2のハウジング部は、例えば固定具などの他の適切な様式によって互いに固定されていてもよい。
【0084】
図32〜図34および図51〜図59に最良に示されるように、ステータ構成要素530は、互いに連結される第1の部分532(図51〜図54参照)と第2の部分534(図55〜図59参照)とを含む。第1の部分532(例えばアルミニウムなどの熱伝導金属から構成される)は、動作ポジションでモータ540を支持するよう適合されたチューブまたはモータフランジ533を提供する。第1の部分532は、インペラ560と係合するべくロータ550が通過可能な開口537を含む。第2の部分534(例えばアルミニウムなどの熱伝導金属から構成される)は、空気を遠心流から軸方向流へと方向付けるような複数の上記空気方向付け溝またはチャネル535を規定する。ステータ構成要素は、モータからの熱を放散させるために熱伝導要素またはヒートシンクとして機能してもよい。ゴム製構成要素536が、熱放散を補助するようステータ構成要素内に設けられる。
【0085】
(例えばプラスチック製の)非導電モータスリーブ545が、モータの中央部分に沿って、ステータ構成要素の下方においてモータ540に取り付けられる。スリーブ545は、モータ540からの誘導損失を防止する。
【0086】
(アルミニウムなどの熱伝導金属から構成される)流動要素555は、モータ540と下部ハウジング部524との間の空気流動経路内に設けられる。流動要素555は、流量センサとして機能しかつ複数のベーン555(1)を含み、ベーン555(1)は、両方向における流量を測定しかつモータに関する熱伝導関数を提供する、つまりモータのためのヒートシンクとして機能する(例えば図68〜図70参照)。
【0087】
ハウジング520およびステータ構成要素530は、インペラ560からの空気流のためのプレナムチャンバ528(例えば図32および図33参照)を規定するよう協働する。また、ハウジング420およびスリーブ545は、流量センサに影響を及ぼすことなくステータ構成要素を通る流れ循環を可能にする下流チャンバ529(例えば図32および図33参照)、つまり流動要素の手前において流れを完全に層流へと変化させかつ乱流を低減することが可能な下流チャンバを規定するよう協働する。さらにインペラからの空気流のためのプレナムチャンバを有することによって、インペラブレード562(特にインペラブレードの先端部)がステータベーン535から遮蔽されている場合に、ブレード通過音ノイズの発生を抑えられる。したがって、インペラブレード562の先端部とステータベーン535との間には見通し線が存在しなくなる。
【0088】
図32〜図34に示されるように、例えば密封、振動抑制、耐衝撃性、およびノイズ低減のために、第1および第2のハウジング部522,524の間にガスケット521(シリコンなどから構成される)が設けられる。加えて図32〜34に示されるように、例えば密封、振動抑制、耐衝撃性、およびノイズ低減のために、第1のハウジング部522とフィルタ/バルブアセンブリ501との間にO−リング541(1)が設けられてもよく、かつステータ構成要素530の第1および第2の部532,534とスリーブ545との間にO−リング541(2)が設けられてもよい。O−リング541(2)は、ステータ構成要素内への空気流を遮断するようステータ構成要素の内部空間を密閉し、したがってデッドスペースの容積が低減される。
【0089】
フィルタ/バルブアセンブリ
図32、図33および図71〜図96に最良に示されるように、フィルタ/バルブアセンブリ501は、空気流入部502(1)および補助部502(2)を規定するフィルタカバー502(例えば図77〜図80参照)と、空気流入部504(1)と空気流出部504(2)と流出チャネル504(3)とを規定する空気流切換弁/マニホールド504(例えば図81〜図84参照)と、空気流切り替えキャップ506(例えば図85〜図88参照)と、吸気のための送風機近位開口への空気流および吐出に関する送風機からの空気流を制御するための流入膜バルブまたは吸入バルブ膜507と、流入バルブリング508と、空気を放出できるようにする空気流出膜バルブまたは放散バルブ膜509(例えば図93〜図96参照)と、流入空気流を濾過するためのフィルタ503とを備える。
【0090】
図示された実施形態において、フィルタ/バルブアセンブリは、バイオネットタイプの接続部によって送風機に連結されていてもよい。その接続部は、例えば第1のハウジング部522(例えば図41参照)の上部に設けられた各スロット522(2)内にスライド可能に係合するよう適合された空気流切換弁/マニホールド504(例えば図74および84)のベースに設けられた突出部504(4)である。フィルタ/バルブアセンブリおよび訴風紀は他の適切な様式によって互いに固定されていてもよい。
【0091】
空気流切換キャップ506は、流出バルブ509のポジションを保持するための構造体506(1)を提供する(例えば図75参照)。また空気流切替キャップ506は、フィルタカバーの流入部に近接したフィルタ503を支持するためにフィルタカバー502と協働する。加えて、空気流切替キャップ506は、空気流の流入のための空気流入部504(1)と連通する開口506(2)を提供する(例えば図87参照)。フィルタ/バルブアセンブリ501の作動については後述する。
【0092】
粘性トラップ
図32、図33および図97から図108に最良に示されるように、粘性トラップ575は、例えば流動要素555を保護するために設けられてもよい。粘性トラップ575は、外側ケース576と、内側ケース578と、外側ケースと内側ケースとの間のシールリング577と、ポートシール579とを含む。外側ケース576は、例えばマスクを介して、患者と連通されるチューブ接続のためのチューブ576(1)を提供する。チューブは、呼気のための患者への空気流用の流出部として機能し、かつ吐出中に患者から吐き出された空気のための流入部として機能する。内側ケース578は、例えば患者によって吐き出された粒状物を細くするために、流動経路の中間において捕捉部または補足プレート578(1)を提供する。外側ケース576および内側ケース578は、スナップ係合を介して互いに連結されてもよく、例えば内側ケースが、外側ケースに設けられた凹部と相互ロックするよう適合されたスナップ係合タブを含む。
【0093】
図133には、一体的な粘性トラップ575を備える人工呼吸システム500の斜視図が示されている。粘性トラップの作動については後述する。
【0094】
熱水交換フィルタ(HMEF)
一実施形態において熱水交換フィルタ580(HMEF)は、患者の気道の湿度レベルおよび保護(例えば吸い込まれる空気の調整および/または吐き出された粒子からの人工呼吸器の保護)を提供するために、(粘性ストラップまたは標準的な円錐形コネクタの代わりに)人工呼吸器に設けられてもよい。HMEFは置換可能な付属物であってもよいが、人工呼吸器に関連して一体的かつ適合された外観を含んでいてもよい。例えば図134には、一体的なHMEF580を備える人工呼吸システムの斜視図が示される。
【0095】
図112〜図125に示されるように、HMEF580は、外部ケーシング582と、内部ケーシング584と、フィルタパッドまたはフィルタ中間部586と、熱および水交換パッド588(例えばフォームスポンジ)と、(例えばシリコンから構成される)ポートシール589とを含む。外部ケーシング582は、例えばマスクを介して、患者と連通するチューブ接続のためのチューブ582(1)を提供する。このチューブは、吸気のための患者への空気流のための流出部として機能し、かつ吐出中に患者から吐き出された空気のための流入部として機能する。内部ケーシングと外部ケーシングとを取り付けるために内部ケーシング584には超音波溶着ライン584(1)が設けられている。内部ケーシングおよび外部ケーシングは、フィルタ中間部586の患者側における圧力を測定するための中間圧力部585を規定するために協働する。中間圧力部585は、細菌などから圧力センサを保護するためにフィルタ中間部586を使用する。
【0096】
代替実施形態において、すぐに使用可能なHMEFがそうしたデバイスに用いられてもよい。例えば図126および図127には、人工呼吸器とともに用いることができ、すぐに使用可能なHMEF580−1(例えばECO MAXI熱水交換フィルタ)が示される。
【0097】
他の代替実施形態において、上記人工呼吸器に備えられる直列型ユニットに対して、同じ機能性を有するHMEFを患者用インターフェースに組み込むことができる。
【0098】
着用可能なシステム
上述したように、人工呼吸器は着用可能なシステムとして構成されてもよい。着用可能な人工呼吸器は、組み込み式の電力貯蔵および制御インターフェースを備える単一ユニットとして実施されてもよく、あるいは電空変換器(または送風/フィルタ/センシングアセンブリ)が実施可能な程度に小さくかつ近接される場合に、分割ユニットとして実施されてもよく、かつ電空変換器(たとえば電力および/または制御構成要素)から分離可能な構成要素は、便利なことに、どこにでも(例えばベスト、ベルトなどに)配置でき、あるいは患者に近接して(車椅子、シート、マクラ、ベッド、ベッドサイド、または介護者によって操作されるところに)配置できる。電力/制御ユニットは、上記デバイスに電力供給するためのバッテリーと、治療のためにパラメータを調節可能なユーザーインターフェースを含んでもよい。また、それは人工呼吸器用警報機を収容することもできる。
【0099】
図135−1および図136には、本発明の一実施形態に基づく人工呼吸器のためのリモートまたはハンドセット590(例えば電力/制御ユニット)を示す。ハンドセット590は、ハンドセットに取り外し可能に接続される付加的な増設バッテリー599を含んでもよい(例えば図135−2および図135−3参照)。
【0100】
図示されるように、ハンドセット590は、(例えばPC/ABSから構成される)ハウジング591と、ハウジングのハウジング部同士の間にシールを提供する(例えばTPUから構成される)緩衝ストリップ592と、薄膜キーパッド593と、(例えばカバーLCDスクリーンである)ディスプレイスクリーン594と、人工呼吸器と連通する電気ケーブルを取り付けるための人工呼吸器接続部595と、リモートアラームコネクタ596と、コミュニケーション接続部597と、アラームブザー598と、SDカードリーダー587とを含む。
【0101】
図示された実施形態において、キーパッド593は、スタート/ストップ人工呼吸ボタン593(1)と、メニュー選択ボタン593(2)と、アップ/増大ボタン593(3)と、ダウン/減少ボタン593(4)と、ok/有効/許可ボタン593(5)と、手動呼吸ボタン593(6)と、再生停止ボタン593(7)と、アラーム表示部593(8)と、DC入力接続表示部593(9)とを含む。ただし、当然のことながら、そうしたキーパッド装置は例示的なものであり、他の適切なボタンおよびボタン装置がキーパッドに設けられてもよい。
【0102】
図137には、本発明の一実施形態に基づくドッキングステーションまたはドック565を示す。ドック565は、ハンドセット590を支持するための受け台566と、ハンドセットの充電のための接触子を規定する。ドックは、DC充電接触子567(1)と、リモートアラーム接触子567(2)と、リモートアラーム接触子567(3)と、電力表示部567(4)とを含む。図138には、ドック565内のドッキングポジションにあるハンドセット590を示す。
【0103】
図139に最良に示されるように、受け台566は、増設バッテリー599を備えるハンドセット590を収容するために受け台のサイズを伸長可能にするスライド可能な受け台部材566(1)を含む。図139には、伸長ポジションへ移動された受け台部材566(1)を備えるドックを示す。図140には、伸長された受け台内のドッキングポジションにある増設バッテリー599を備えたハンドセット590を示す。
【0104】
図141から図143には、着用可能なシステムにおける携帯可能な人工呼吸器500およびハンドセット590のさまざまな装置を示す。例えば図141には、気管切開人工呼吸器に適合された人工呼吸器500、患者の胸部の付近で人工呼吸器を支持するためのネックストラップ568(1)と、患者の胸部の付近で人工呼吸器を安定化するための安定化ストラップ568(2)と、ハンドセットハーネスおよびストラップ568(3)によって患者のウエストに支持されるハンドセット590とを示す。安定化ストラップ568(2)は、付加的なものであってもよく、例えば図142には安定化ストラップを備えないネックストラップ568(1)によって支持された人工呼吸器が示されている。また図142には、増設バッテリー599を備えるハンドセット590を支持するハンドセットハーネスおよびストラップ568(3)が示される。図143には、酸素保管用付属物569が人工呼吸器に設けられている、図141と同様の装置が示されている。
【0105】
図128〜図132には、人工呼吸器を制御するためのリモート操作されるバッテリー590−1の他の実施形態を示す。
【0106】
操作
人工呼吸器の操作および付加的な態様について図32,33,109および110を参照しながら詳細に説明する。
【0107】
人工呼吸器は、システム内に大気を引き込み可能にする空気流入部502(1)を有するフィルタ/バルブアセンブリ501を付加的には含んでいてもよい。好ましくは、空気は粒状物を除去するためにフィルタ503を通過させられる。ただし、空気のフィルタリングに関するあるいはノイズの消音または酸素の富加に関する問題が存在しない場合には、フィルタ/バルブアセンブリは必要とされず、そのため送風機は単純に大気に連通できるようになる。付加的には、フィルタ503は、抗細菌性(AB)フィルタであってもよい。ABフィルタは、(1)病原菌から人工呼吸器および周囲環境を保護し:(2)分泌物から流量メータを保護し、かつ/または(3)熱水交換器(HME)として機能するように、近位側に設けられる。
【0108】
フィルタ/バルブアセンブリ501は、吸い込み流と吐き出し流とを区分するために“背中合わせ(back-to-back)”に構成された2つの一方向バルブ(つまり空気流入バルブ507および空気流出バルブ509)を含む。空気流入バルブ507は、吸気時に、送風機近位開口の周囲で真空状態が生じることにより持ち上げられる環状部507(1)を含む第1の膜の形態のものである。これは、空気流入バルブ507に開口しており、かつ吸気時に送風機近位開口523へ空気を流入可能にする(例えば図109参照)。この空気流入バルブ507は、空気が流通可能な中央開口を有する。空気流出開口509は、第2の膜の形態のものであり、かつ吸気中には、そこに生じた真空状態により、空気は空気流出バルブを通って流出しないようになる。吐出空気流出部を介してあるいは流出チャネル504(3)を介して直接的に送風機内に空気が引き込まれることを防ぐために、空気流出バルブ509は、吸気中は閉じている。吐出空気流出部を介した空気の引き込みがない2つの代表的な理由として、(1)流出部における空気が相対的にCOに富んでおり、かつ(2)吐出空気流出部から引き込まれた空気はフィルタを通過しないことが挙げられる。
【0109】
吐出中、空気は空気流出バルブ509まで人工呼吸器を経て還流する。空気流入バルブ507は、吐出された空気から流入流経路を密封する送風機近位開口の周縁部の周囲に隣接したままであり、かつ空気流出バルブ509は、吐出空気流出チャネル504(3)から吐出空気が流出すること可能にするよう上方に押し上げられる(例えば図110参照)。フィルタ/バルブアセンブリに1つ以上の吐出空気流出チャネル504(3)が、例えば図示されるように2つの吐出空気流出部が設けられてもよい。したがって、吐出空気がフィルタ/バルブアセンブリ内の吸気空気からは区分されている。ポジティブ終端吐出圧力(positive end expiratory pressure:PEEP)を保持するために、インペラおよびロータは吐出中に依然として作動していることに留意されたい。
【0110】
空気は、送風機近位開口523へ流入し、かつインペラ560へ向けて流動する。図示された実施形態においてインペラは11のベーン562を有する(例えば図63参照)。インペラブレードの数は、音ノイズを低減するために最適な数であることが好ましい。またインペラブレードの数は、十分な空気的性能および十分な吐出抵抗を提供し、相対的に低い慣性を提供し、かつ/または高速回転中に変形の小さな強固な構造体を提供するよう選択されてもよい。ただし、インペラが、送風機の要求に応じて9または13などの異なる数のブレードを含んでもよいことに留意されたい。インペラブレードの数は、流動インピーダンスおよび効率性に対してバランスが保たれたものにすることができる。なお、多すぎるブレードは流動インピーダンスを増大させかつ少なすぎるブレードは効率性を低減させうる。インペラは、モータのロータに取り付けられた、混流の、低慣性インペラであってもよい。このインペラは、同時係属の特許文献9に記載の交互側板装置を有していてもよい(この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。インペラのブレードは、インペラの回転に対して後方に屈曲していてもよい。これは、音ノイズの低減を容易にする。後方屈曲インペラブレードは、呼気サイクルを介して流動を制御するためにより細かい分解能を提供するように、容積制御人工呼吸に関する利点になり得る減少圧力流カーブを促進させる。ただし、圧力ターゲット人工呼吸のための実施形態または非侵略的人工呼吸のための実施形態(高い呼吸流速が有益となる)に関しては、半径方向または前方に面するブレードが好まれ得る。
【0111】
モータ540は、強力であり、相対的に静かで、小型化され、かつ効率的なモータ、例えばMaxon ECl 3 motor (30Wまたは50W)である。システムの滅菌のために、モータは完全に密封されかつ加圧滅菌に耐えうることが好ましい。細い直径は、非侵略型の実施形態のデッドスペースの低減を容易にする。ただし、特にモータ巻線周囲の、モータの最小直径は、モータの磁束が近接配置される何らかの導電構造体と相互作用できるようにし、それによりモータの効率性が低減される。また、モータ空気作用がモータ固有の生成熱によってなされ、さらにそうした性能のモータを用いるとき、そのための小さな表面積を有する小さなモータが、モータの熱管理を達成するための特定のデザイン処理を必要としてもよい。一実施形態においてモータは、熱管理の利点のためにモータに対して高い表面積の熱伝導部を連結するが、モータの効率性の損失を避けるためにモータのうちの強い磁束を生じる部分の周囲の導電部分は特に避けられている。特に流動メータとステータとハウジングのベースは、モータ本体と密接に連結されたすべて熱伝導要素であってもよいが、一方で流動メータとステータとの間の領域は非導電のものであってもよい。
【0112】
インペラ560は、回転しかつインペラから接線方向外側へ向けて空気流を方向付ける。インペラからの空気は、インペラを取り囲むプレナムチャンバ528へ流入する。プレナムチャンバは一定の直径を有する一定の容積のチャンバである。プレナムチャンバは、特に低流速において均一なまたは安定した圧力の生成を可能にする。プレナムチャンバは、インペラから流出した流れのための受容部または緩衝部として機能する。プレナムチャンバが形成する容積は、低流量、特にゼロの流量において、流量測定における偏移を抑制しかつノイズを低減させる。この安定した圧力は、ステータ流入部の周縁部周囲の圧力変化を低減させるか最小化する。そうした圧力変化は制御されない場合に流動センシングにおける偏移エラーを加速させ得:圧力変化が、流動要素部分を通り続いて流動要素の他の部分を介してステータ流入部の周縁部の周囲の低圧力領域まで還流する、高圧領域と言われる部分からの局所的な流動を誘発し得る。またプレナムチャンバは、流動センシングにおける衝撃的なノイズを誘発し得るよう引き起こされる圧力インパルスを妨げる。インペラブレードの先端部がステータベーンから遮断されるため、プレナムチャンバを発端にしたステータベーンまたは空気方向付け溝535およびインペラから外側へ向かうプレナムチャンバ半径を有することにより、ブレード通過音ノイズが低減される。
【0113】
プレナムチャンバ528からの空気流は、空気方向付け溝535を伴う部分534を含むステータ構成要素530を通じて方向付けられる。ステータ構成要素は、空気流を略接線方向から略軸線方向へ方向付けかつ層流を形成するのに役立つ複数のチャネルまたは空気方向付け溝535を含む。例示的な実施形態において、ステータ構成要素の部分534は、その部分の13のチャネルの間で実質的に等しく区分される約170〜180cmの断面積を有している。しかしながら、断面積およびチャネルの数は、患者の利用法およびシステムのサイズに応じて変更されてもよい。例えば、小児用の人工呼吸システムは、例えば170mm以下のより小さな断面積を有していてもよい。チャネルの数は:インペラとの連結を防ぎかつ/またはデッドスペースと抵抗との間のバランスをとるため、素数を含むよう選択されてもよい。その断面積は、ベーンの幅および奥行きにおける変動にかかわらず乱流を低減させるためにチャネルを介して実質的に維持される。ステータベーン538(例えば図58参照)は、チャネル535を規定しており、より浅い奥行きを備えるインペラ付近でより幅広なものとなっており、かつ、低減された奥行きまたは広げられた奥行きが下方へ広がっている。実質的に一定の断面は、チャネルを通る層流の最大化に役立つ。実質的に一定の断面は、また、排出された空気流のための排出インピーダンスを低減する。チャネルの形状は、ステータ部分の成形性に寄与する。
【0114】
ステータにおけるチャネルは、例えば使用時に空気がチャネル間を流動しないように、互いに離間されている。ステータチャネルは、先端部において約20〜40°の角度、例えば30°の角度に形状付けられた上方屈曲部を有する。ただしステータチャネルは、他の適切な先端部角度を有していてもよい。先端部角度は、流れおよび回転速度を考慮して選択されてもよく、送風機は、通常使用時に、例えば抵抗性および/または成形性を有するようになる。ステータ構成要素530は、アセンブリにおけるドロップ部を介して送風機ハウジング520内に取り付けられ、かつ、上部ハウジングと下部ハウジング部522,524の間に狭持されている。下部ハウジング部は、熱伝導ポリカーボネート(例えばCoolpoly E4501)から成型されてもよい。
【0115】
一実施形態において、ステータ構成要素は、アルミニウムなどの熱伝導性材料から成形される。アルミニウムは、ヒートシンクとして機能する場合にモータからの熱を発散させるのに役立つ。要求される所望の呼吸容量に応じて、さまざまな数のベーンを備えた異なるサイズのステータが使用されてもよいことに留意されたい。ただし、上述したように、送風機内のデッドスペースは、患者の所望の呼吸容量を維持する程度までに制限されることが要求されてもよい。
【0116】
送風機を通過した吸気流および吐気流の両方によって、送風機の断面積(つまりデッドスペース容積)は、患者における何らかの強制的な抵抗性を最小化するために要望に対してバランスが取られるべきである。したがって、このシステムは、デッドスペースの容積を最小化するとともに、システムを通過する吸流気に関するインピーダンスを低減するよう最適化されている。
【0117】
ステータ構成要素530の下方には、ステータ構成要素530と流動要素555との間にある容積を提供する下流チャンバ529が位置する。この下流チャンバは、乱流を低減することに役立ち、かつゼロの流量または非常に小さな流量においても流動要素555を介した流動センシングに作用することなく、プレナムチャンバに関して記載される再還流をさらに減少させることなく、ステータを介した空気流の再還流を可能にする。これにより、確実に滑らかな流動信号が得られるように、流動要素を通過した空気がより安定しかつより均一なものとなることが確実とされる。また下流チャンバは、ゼロのまたは非常に小さな流量における流動測定変位を除去することに役立つ。
【0118】
非導電スリーブ545(例えばプラスチックなどの非導電材料から形成される)は、下流チャンバ529内でモータ540を包囲している。スリーブは、モータの中央部を包囲しており、かつ、モータにおける導電損失および減少されたモータ効率性をもたらす渦電流の形成を防止するかまたは実質的に低減するよう適合されている(例えばスリーブは、滑らかな流動遷移を形成するようステータ構成要素に従う形状を有している。)。スリーブは、また、ステータ構成要素の正しい整列状態を維持するのに役立つ。スリーブ545の先端部とステータ構成要素530の下部との間のO−リング541(2)は、デッドスペース容積を低減するステータ内の内部空間を密閉する。また熱伝導エラストマー構成要素またはゴム製構成要素536が、モータからの熱の放散に寄与するようステータ構成要素内に配置されている。ゴム製構成要素はステータ構成要素に相補的な形状を有している。
【0119】
流動要素555が下流チャンバ529の下方に配置されている。スリーブ545は、また、流動要素555の配置のためのストッパーを提供する。流動要素(例えばアルミニウムなどの熱伝導材料から構成される)は、モータからの熱の放散を助け、モータ540のための付加的なヒートシンクを提供する。これは、流動測定に逆効果を及ぼしうる流動要素における圧縮を最小化する流動要素を有利に温める。流動要素は、モータの端部の周囲にフィットするよう適合された円形構成要素である。図68〜70に最良に示されるように、流動要素は、20〜60の、例えば40のベーンを含む。ベーンの数は、人工呼吸器のさまざまな用途によって指示されるように最大流量の測定に対応すると同時に良好な分割性が確実なものとなるよう設計される。ベント付きの用途およびベントのない用途が組み合わせられた実施形態において、流動要素は、例えば180L/minの相対的に高い最大流量を測定できる。流動要素555は、流動要素がモータの下部の周囲にバネ係合しかつモータの熱による変化で伸縮することを可能にするように、分割部556(1)を備える分割内部コア556(このコアから図68および70に最良に示されるようにベーン555(1)が延在する)を有する。例示的な実施形態において、流動要素はHoneywell flow sensor X202705であってもよい。
【0120】
流動要素555の後方に、空気流動経路がシステムを通して患者への排気流チューブへと延在している。流動経路の断面積は、流動経路を通じた乱流の発生を抑えるために実質的に一定に維持される。乱流は望ましくないノイズまたはシステムにおける損失を引き起こすことがある。患者によって吐き出された吐出粒状物質を捕捉するために人工呼吸器に近接した(例えば図32、図33および図97〜図108を参照して説明された)粘性トラップ575、例えば粘膜を含むことは有利である。捕捉プレート578(1)は、患者への排出流チューブの中央領域に配置されている。捕捉プレートは、吐出された粒状物質をキャッチする。吸気中に、空気流は、患者に対する排出流チューブ576(2)へ、粘性トラップを通りかつ細くプレートの周囲を流れる。吐出中に、排出流チューブへ入る空気は、吐出された粒状物質を捕捉する捕捉プレート578(1)にぶつかり、続いて空気は、捕捉プレートの周囲で流動し、かつ人工呼吸器を通り上記フィルタ/バルブアセンブリ501まで戻ることができる。粘性トラップ575に代わって、耐細菌性または耐ウイルス性の濾過を提供し、かつ/または吸気空気の調整によって有利な生理学的なものとなり得る熱水交換機として作用し、かつ/または、吐出された粒子から人工呼吸器を保護するために、フィルタ要素が使用されてもよい。例えば上記HMEF 580が粘性トラップの代わりに人工呼吸器に設けられてもよい。
【0121】
フィルタ/バルブアセンブリ501によって提供されるチャンバ空間は、システムを通る還流による伝導ノイズを低減するのに役立つマフラー(消音器)タイプのものとして機能する。
【0122】
フィルタ/バルブアセンブリ501は、また、患者へ酸素富加空気を供給可能にするべく流入部に対して酸素を付与できるようにする部分502(2)を含む。酸素は、フィルタ/バルブアセンブリの流入流動経路領域へと方向付けられる。一実施形態において、フィルタ/バルブアセンブリの空気流入部におけるチャンバの容積は、吐出時の酸素供給によってフィルタリングされ得る酸素貯蓄部を提供するよう増大させられてもよい。
【0123】
付加的に、フィルタ/バルブアセンブリは、(例えば煙、ほこり、汚染物、毒、毒性ガスの吸引)などの特別な目的のための濾過のためのまたは使用者の好みのための第3部のフィルタのためのアタッチメントを提供してもよい。
【0124】
人工呼吸器に関して、流入部付属物が使用時に例えば推定されるFiO(つまり吸気酸素の割合)を計算することが公知であることは有利である。コントローラ(メニュー)への使用者の入力または自動的な検出のいずれかによって使用時に流入部付属物を検出するためにある手段が設けられてもよい。自動的な検出は、例えばホールセンサ検出部、光学反射板、マイクロスイッチ、および機械的キー、インダクタンスループなどを備えた埋め込み式磁石などのすでに確立されたさまざまな手段によって実施されてもよい。
【0125】
分離されたパワー/コントロールアセンブリ(例えば上記ハンドセット590)はいくつかの特徴部を提供する。例えば分離されたパワー/コントロールアセンブリは、再生可能な電源として動作してもよい。パワー/コントロールアセンブリが移動可能である場合、それは、新しい充電池を備える他のパワー/コントロールアセンブリと素早く置換できる。このアセンブリは、変換器内の局部的なマイクロコントローラおよびセンサユニットにより、人工呼吸構造体が電空変換アセンブリ内に置かれる機構を含む。パワー/コントロールユニットの代わりにまたはそれに加えあて、電空変換アセンブリに警報機が含まれてもよい。分離されたパワー/コントロールアセンブリは、また、携帯可能なプログラミングユニットとして機能してもよい。このものにおいて人工呼吸構造体は、電空変換器の形成またはパワー/コントロールユニットの形成のいずれか可能にする選択肢が存在するようにパワー/コントロールハンドセット内で重複される。これは、例えば素早い交換に関して、病院などの施設での設定に有用な、または機械的な故障時に依存的な患者が冗長な電空変換アセンブリを運搬できるようにするのに有用なものとなるように、新たな患者または新たな人工呼吸器への設定の迅速な「ペースト(貼り付け)」を可能にする。
【0126】
電空変換器と一体化されたあるいは別体のパワー/コントロールアセンブリは、また、着装携帯可能なデバイスでの使用への特徴部を含む。それは、内部加速度計(単軸のまたは多軸であってもよい)内を占有し、かつ(薬剤投与または呼気終末の)パルス酸素濃度計またはCOモニターなどに接続された周縁センサを使用可能にする。これは;(人工呼吸−アシスト運動プログラムの間の患者の臨床的管理を向上可能な)6分間に歩く距離の推定の歩数計などのリハビリテーションパラメータをモニタリングする加速度計;患者の転倒をモニタリングする加速度計(これは、患者の転倒に対する注意を引き起こす際に人工呼吸器の警報機を付加的に利用してもよい);(自己防衛的な理由から)すぐに起こるであろう衝撃の予測により送風機動作が一時停止できるようにする、人工呼吸器の自由落下を検出する加速度計;患者の呼吸動作(トリガー/サイクル)を正しく感知する送風機の能力を妨げ得る極端な周囲の振動を検出する加速度計:周囲の振動が検出された場合、外部の影響がなくなるまで強制的な人工呼吸措置が実施される;大きくなった患者の動作を検出する加速度計(それは、それのみであるいは酸素濃度計−熱感知−割合または酸素飽和度に応じて、増加する呼吸要求を予測して呼吸パラメータを変更するために使用されてもよい);呼吸パラメータを変更するための使用者の入力により駆動される加速度計:極端な眩しさ、ノイズ、動作などのある特定の環境において、電子ディスプレイおよびボタンナビゲーションなどの従来の医療デバイス用ユーザーインターフェースが要求されてもよい;加速度計インターフェースが感知されるリズムおよび動作の有効性(加速度)を、呼吸量または振幅などのパラメータを決めるために使用可能にする;周囲のまたは偶発的な運転を指示された運転と区別するために、使用者の意思を確認する別体の手段が要求されてもよい;人工呼吸器の、感知されたCO2の強制管理:人工呼吸器の分野において、何らかの医療トレーニングを伴わずに危機的状態にある人、つまり利用者に使用されており、その操作の単純さが決めてとなり、かつ単純さを最大化するひとつの方法が自動化である:例えばCO2目標を維持するための呼吸容積の閉ループ調節などの制御の限定された自動化を人工呼吸器が実施できるようにすることは、潜在的なアプローチのひとつである:かつ/または、調整可能な酸素流と組み合わせられた酸素濃度計は、血中酸素飽和度によって導き出される酸素を使用者が調整できるようにする;をともに、あるいは別々に使用可能にする。
【0127】
非常用人工呼吸器において、吸い込まれる酸素の割合の推定量を示すことは有利である。こうしたことは酸素感知セルによって提供されるが、セルは大きいものではない。本発明の一態様は、(使用者の入力または流量メータで感知された)追加の酸素流量ならびに人工呼吸器の提供される呼吸容積および内部寸法の情報に基づいて計算されたFiOを含む。
【0128】
病院用運搬人工呼吸器に関して、MRI環境下での操作が有利となる。人工呼吸器多くが鉄または磁性構成要素を備えており、それは、備えられた磁石に人工呼吸器が近接する度合いを制限し得る。ただし、最小磁性構成要素を備える小さく効率的なマイクロモータ人工呼吸器プラットフォームは、従来のデバイスに比べてより近くに近接することを可能にする。そうした人工呼吸器に関して、周囲の磁界強さをモニターし、過度の磁界状態で使用された場合には警報機が作動するようにすることが有利となる。本発明の一態様は、周囲の磁界強さを感知しかつ使用者に適切なフィードバックを提供するために、ホール効果センサなどの磁界強さセンサを付加的に含んでもよい。
【0129】
人工呼吸器の一実施形態のための電源および制御ユニットは、上記電空構成要素とは別体のユニットとして形成される。制御ユニットは、ハンドセット(例えば上記ハンドセット590)として設計されてもよい。制御ユニットは、バッテリーユニットなどの電源ユニットを備えていてもよいが、あるいは電源またはバッテリーユニットは、制御ユニットに取り付けられるよう適合された別体のユニットとして形成されてもよい。制御ユニットおよび人工呼吸ユニットは、いずれも、患者のデータを記録可能なマイクロコントローラを含む。この様式において、さまざまな制御ユニットが、さまざまな人工呼吸ユニットと互換性のあるものでもよく、かつ患者の詳細の差し替えも、人工呼吸器から新たなハンドセットへ、あるいは新たなハンドセットから人工呼吸器へやりとりされるものであってもよい。したがって、電源またはバッテリーユニットが制御ユニット内に組み込まれた実施形態においては、バッテリーが切れかかっている場合に、新たな充電された制御ユニットが人工呼吸器に接続でき、かつ治療を進めるために、患者および治療の詳細は人工呼吸器から新たな制御ユニットへ向けてやり取りされる。代替的には、患者がある場所から他の場所へ移動しかつ人工呼吸ユニットが交換される場合に、制御ユニットは、適切な治療を続けるために、患者および治療データを新たな人工呼吸器へと送ることができる。
【0130】
制御ユニットは、また、患者の詳細および治療パラメータの設定、入力および調整が可能なユーザーインターフェースシステムを備えている。近接配置される人工呼吸ユニットとは別体の制御ユニットを有する利点として、パラメータの調節時の使いやすさが向上されることが挙げられる。そのため、使用者は、近接人工呼吸器に取り付けられている場合に比べて、ユーザーインターフェースをより容易に見ることができるようになる。さらに、医者または看護士は、使用者が動いている間に、使用者の前方に配置せずとも、パラメータを調節できるようになる。
【0131】
代替実施形態において、人工呼吸ユニットは、人工呼吸器の簡単な調整を容易にするために、単一のユーザーインターフェースおよび/またはバッテリーを備えていてもよい。
【0132】
代替的な構成
本発明の代替実施形態において、人工呼吸システムは、頭部着用システム含んでもよい。この実施形態において、送風機は、患者の頭部(例えば、患者の頭部の頂部または患者の頭部の前方)に取り付けられてもよい。
【0133】
一実施形態において、管がヘッドギアを通って延在する場合、エルボまたは外部の管は除去されてもよい。
【0134】
一実施形態において、送風機は振動およびノイズの遮断または伝達制限のために、フォームクッション上に取り付けられてもよい。フォームクッションは、さまざまな硬度および密度のフォーム状層を複数含んでいてもよい。
【0135】
訴風紀は、患者に対して(例えば耳から耳などの一方向において)垂直な角度で取り付けられていてもよい。代替的には、送風機は、患者の頭部の後方と患者の鼻との間の方向に整列させられるものであってもよい。
【0136】
送風機は、頭頂部と額との間に、好ましくは患者の額に近接した状態で、患者の頭部の前方に取り付けられてもよい。
【0137】
一実施形態において、ヘッドギアは、空気経路内に転換部がないまたは限定された転換部しか備えない空気チャネルを含んでもよく、そのため、90°の回転が避けられる。
【0138】
付加的には、1つ以上の(例えば布からなる)ヘッドギアストラップがシステムのベントとして機能するべく構成されていてもよい。
【0139】
図144〜図158には、本発明の代替実施形態に基づく頭部着用人工呼吸システムが示される。図示されるように、送風機は、使用時に患者の頭部の頂部および/または側部に載置される。
【0140】
図144−1から図144−3において、患者用インターフェースまたはマスクは、フレーム1020と、フレームに設けられかつ患者の鼻および口との封止部を形成するよう適合されたクッション1030と、患者の頭部上のポジションにマスクを支持するためのヘッドギア1040とを含む。ヘッドギア1040は、側方ストラップ1041,1043と、患者の頭部の頂部へ向けて患者の目と目の間を通るオーバーヘッド式ストラップ1042とを含む。図示されるように、ヘッドギア1040は、患者の頭部の頂部に配置される送風機1050を支持する。オーバーヘッド式ストラップ1042は、送風機からクッションによって規定される呼吸チャンバへ向けて加圧空気を連通させるためのダクトを形成する。加えて、ヘッドギアは、送風機1050を支持しかつ振動/ノイズを制限するために、多層フォームおよび/または緩衝材料1049を含む。一実施形態において、マスクは、特許文献10に記載された1つ以上の態様を含んでもよく、この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0141】
フレーム20は、その周縁部または最外縁部とクッションが連結されるように配置される。これにより、マスクの視覚的な影響が低減されるように、マスクの外観はあまり目立たないものとなる。それは、また前方から見たときに患者の鼻孔および/または口へ向けた明瞭な視線を得られるようにする。短いチューブ1023が、送風機1050からヘッドギアのフレキシブルチューブ1042を介してクッション1030へ加圧空気を供給するために、クッション1030と連結されている。短いチューブ1023は、シリコンなどの封止材料から形成されてもよい。フレーム1020は、ヘッドギアストラップ1041との接続のためにヘッドギア接続部1021を含んでいてもよい。図144−1に示されるように、ヘッドギアストラップ1041は、クリップ1045を使用してフレームに連結されてもよい。フックまたは、ヘッドギアストラップを受容するためのスロット、押し込み嵌合部、面ファスナー(フック−ループ接続)、マグネットあるいは何らかの接続手段などを代替的な接続手段として使用できる。ヘッドギアには、押し込み係合可能なまたは他の方法でフレームと接続可能なカフまたは接続手段が設けられてもよい。図144−1に示されるように、オーバーヘッド式ストラップ1042にはカフ1055が設けられており、カフは縫込み、接着、超音波溶着、高周波溶着または他の方法により、オーバーヘッド式ストラップ1042の端部または接続部に連結されている。この接続手段は続いてフレームに連結される。
【0142】
フレキシブルなチューブが、マスクとの接続のために、オーバーヘッド式ストラップ1042および接続手段内に成型されていてもよい。フレキシブルなチューブは、代替的には、例えばクッションの一部としてマスクとともに成型され、かつカフ1055およびオーバーヘッド式ストラップ1042内に挿入されている。
【0143】
オーバーヘッド式ストラップ1042は、複数の層材料から構成されてもよい。好ましくは、最外層1047は、患者の肌に接触する場合に快適さを提供するべく、布、織物または他の柔らかい材料であってもよい。内側層1048は、空気供給チューブからのノイズを吸収するためにフォーム、ゲル、3D布または他の緩衝材料であってもよい。他の内側層は、空気の漏出を防止するためダクトの内部を封止するようポリマーシートまたはフィルム1046であってもよい(例えば図146−2−3参照)。ポリマーシートは、ポリウレタン、ポリビニルまたは他の適切なポリマーであってもよい。あるいは、内側部分は、シリコンスプレーまたは別体として取り付け可能なダクト1052を使用して封止されてもよい(図146−2−2参照)。さらなる代替例において、外側層にむき出しのフォーム体が挿入されてもよい。好ましくは、オーバーヘッド式ストラップのうちの使用者の顔に接触する部分は、振動およびノイズをより吸収するために、付加的な層または緩衝層からなる薄手の領域を含んでいてもよい。
【0144】
ヘッドギア1040の送風機流出部を連結するために、オーバーヘッド式ストラップ1042の送風機連結端部において、第2のカフまたは接続手段1053が設けられていてもよい。第2のカフ1053は、ポリマー材料から形成されていてもよい。ポリマーは、熱可塑性エラストマー、熱可塑性ウレタン、ポリエステル、ポリプロピレン、または他の適切な材料であってもよい。カフは、接着されるか、またはオーバーヘッド式ストラップ1042と一体的に形成されたものであってもよい。
【0145】
ヘッドギアの送風機取り付け部1054は、送風機を適所に安定した状態で捕捉するために、好ましくはノイズおよび振動を吸収するために、クレードルまたは位置決め手段を含んでいてもよい。ヘッドギアの送風機取り付け部1054は、フォーム、シリコン、ゲル、3D織物、または他の適切な緩衝材料などの緩衝材料からなる付加的な層1049を含んでもよい。
【0146】
送風機は、患者の頭部の頂部に平行に配置された空気取り込みまたは流入部1052を有していてもよい(図144−1参照)。代替的には、取り込み部は、患者の頭部の頂部に対して垂直に、つまり直交した状態で配置されていてもよい。
【0147】
図145には、図144−1のマスクと同様のマスクを示すが、図145の患者用インターフェースは、鼻用クッション1130を含み、フレーム1120は、下方ヘッドギアストラップ1141を取り付けるための代替的な構造を含む。
【0148】
下方ヘッドギア接続部1121は、ヘッドギアストラップ1141のループを受容するためのスロットまたはループであってもよい。好ましくは、スロットは、患者の視線から離間されたフレームヘ向けてヘッドギアの接続部を移動させ得るヘッドギアのアームまたはウイングと連結されている。
【0149】
図146−1から図146−4において、患者用インターフェースは、患者の鼻孔との封止部を形成するよう適合された鼻用プロングまたはピロー構造体1230を含む。ヘッドギア1240は、送風機から鼻用プロング構造体へ加圧空気を連通させるためのダクトを形成する側方ストラップ1244を含む。一実施形態において、ヘッドギアおよび/またはマスクは、特許文献11、特許文献12および特許文献13に記載の態様を1つ以上含んでもよく、この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0150】
クッション1230は、クッションを封止するためにプラグまたはベントクリップ1231を含んでもよい。ピローまたはクッション1230を製造するために、図146−3に示される開口を介してコアが取り外されてもよい。代替的にプラグは、マスク構造体に換気性を提供するために換気システムを使用する場合に、ベントホールを含んでもよい。あるいは、プラグは、ベントのないシステムで使用するために隙間のないものであってもよい。図146−3には、浮遊コアおよび開口を備えるクッション1230を示されており、矢印で示されるようにコアは開口から取り外される。
【0151】
ヘッドギアストラップ1244はクッション1230に取り付け可能であってもよい。ヘッドギアストラップ1244は、ストラップを介して空気の経路を使用可能にするようダクト付きのまたは中空のものであってもよい。ヘッドギアストラップ1244のクッション接続端部は、ヘッドギアからクッションを取り外せるようにカフまたは接続手段を含んでいてもよい。このカフは、成形されても、接着、高周波溶着、超音波溶着または他の方法で、ヘッドギアストラップ1244のクッション接続端部に取り付けられていてもよい。
【0152】
ヘッドギアは、図146−2−1から図146−2−3に示されるように、複数の層を含んでいてもよい。最外層1047は、布、フォーム材、つや消しされたポリマーなどの柔らかく、快適な材料または他の適切な材料を含むことが好ましい。内側層1048は、フォーム材、ゲル、シリコン、3D織物などの緩衝材または他の適切な材料を備えることが好ましい。ヘッドギアストラップ1244は、超音波溶着または熱形成またはその組み合わせを使用して構成されることが好ましい。ヘッドギアストラップ1244の最内部1046は、送風機からクッションへ空気を送るために密閉された、ダクト付き部分を含んでいてもよい。これは、押出シリコンチューブ、らせん状チューブまたはポリウレタンチューブから構成されてもよい。
【0153】
ヘッドギアの頂部は、送風機にヘッドギアストラップ1244を連結するための移行部または接続部1245を含んでいてもよい(図146−4参照)。移行部は、図146−4に示されるような略W形状部を含んでもよく、これは、側方ストラップまたはヘッドギアストラップのダクトとの接続のための2つの外側部分と送風機との連結のための中央接続部とからなる。この移行部は、熱形成、超音波溶着、のり、または他の適切な接続手段によってヘッドギアとともに一体的に形成されてもよい。代替実施形態において、移行部は、永続的に固定されることなく、ヘッドギア内にあるいはヘッドギアの上に配置されてもよい。移行部は、シリコン、TPE、TPU、ポリプロピレン、ポリカーボネートなどの密閉材料または他の適切な材料から形成されてもよい。好ましくは、移行部は、ヘッドギアダクトおよび送風機と密閉状態で係合されてもよい。移行部およびヘッドギアダクトは、締まり嵌めによって密封状態で係合していてもよい。代替的には、移行部およびヘッドギアダクトは、一体部品として形成されてもよい。移行部および送風機は、押込係合などの締まり嵌めによって密閉状態で係合されてもよい。
【0154】
図147〜図158には、送風機からマスクへ加圧空気を連通させるための代替的な構造体、ヘッドギアに取り付けるための代替的なフレーム構造体、代替的なヘッドギア構造体、および/または代替的なクッションまたは密閉装置を示す。
【0155】
図147には、ヘッドギア1340によって適所に保持される患者の頭部の頂部上にまたは前頂に取り付けられる送風機1350を示す。ヘッドギアは、ヘッドギア上の適所に送風機を保持するための固定部を含んでもよい。固定部は、送風機を適所に保持するために加圧状態で送風機を保持するよう形成された領域を含んでもよい。代替的には固定部は、適所に送風機を保持するためのソック、クリップ、ラップまたは他の構造体を含んでいてもよい。ヘッドギアは、送風機からマスク3120へチューブを通過させるためにチャネルまたは中空領域をさらに含んでいてもおい。チャネルまたは中空領域は、チューブの長さまたはその一部に沿って延在していてもよい。チャネルは、チューブ内の熱を保持し、かつより流線型の外観のシステムを形成してもよい。チャネルは、さらに、送風機からマスクへのノイズの流れを阻害するかまたは遮断してもよい。マスクはクッションおよびフレームを含んでもよい。さらにマスクは、下方ヘッドギア接続ポイントを含んでもよい。下方ヘッドギア接続ポイントは、クリップ、ループ、または他のヘッドギア接続機構を含んでいてもよい。
【0156】
図148には、マスクおよび送風システムのための装置の実施例をさらに示す。このものにおいて、患者の頭部の頂部上にまたは前頂において取り付けられた2つの送風機1350が設けられている。各送風機はチューブに接続されていてよく、チューブは続いてマスクシステム1320に接続されている。好ましくは、送風機とマスクとを接続するチューブは、ヘッドギアストラップの下側に配置されているか、もしくはヘッドギアストラップ内に配置されている。この実施形態では2つの送風機が図示されているが、2つ以上の送風機をヘッドギアに配置することも可能である。
【0157】
図149には、図148に示された実施形態の代替的な構成を示す。図148には、フルフェイスマスク、つまり少なくとも患者の鼻および口の周囲を密閉するマスクを示す。図149に示される実施形態では、患者の鼻領域の周囲を密閉するマスク1320が示される。加えてこのマスクはフレームを備えているが、このフレームは、スケルトンのフレーム、あるいは、マスクの中央部を遮ったりカバーしたりしないでマスクの周縁を囲むフレームであってもよい。これは、システムの使用時に患者の鼻を容易に見ることができるようにするものである。そうした構成は、臨床状況において、患者の鼻孔を見ることが必要とされた場合に利点となる。さらに、このフレームは、マスクの視覚的大きさを減少させかつまたヘッドギア接続部においてより高い可撓性をもたらすために、フレームからヘッドギア接続部へ向かうアウトリガまたは細長い広がり部を含む。そうした可撓性は、患者に対するマスクの密閉係合性をより高めるために必要とされる。
【0158】
図150には、本発明のさらなる実施形態に基づくフルフェイスマスク1320を示す。送風機150は、患者の頭部の頂部上にまたは前頂に配置される。送風機ハウジングの取り込み口は、後方に面している、つまり、患者の顔から水平方向に離れるように面している。これはまた、送風機のハウジングの取り込み口に関して、代替的な方向に、例えば垂直方向に配置できるようにする。ヘッドギア1340は、チューブの位置決めのためにチャネルまたは中空領域を含んでいてもよい。このチューブは、送風機ハウジングの流出部およびマスクに取り付けられている。ヘッドギアチャネルは、カフまたは接続領域において終端をなしていてもよく、このときマスクフレームは、ヘッドギアチャネルとの係合のための対向カフまたは接続領域を有している。接続部は、スナップ嵌合またはテープロックなどの機械的な接続部であってもよい。あるいは接続部は、永続的な化学的接続部であっても、もしくは一体部品に成型されていてもよい。フレームは、スケルトンタイプのものであっても、あるいは図149に示されるものと同様の周縁構造体であってもよい。
【0159】
図151−1から図151−3には本発明の代替的な構成を示すが、この患者用インターゲース1320はピローまたはプロングタイプマスクである。この患者用インターフェースは、流体的に接続されているかまたはチューブ構造1340の一部であり、このときチューブは、患者の目と耳との間でありかつ患者の頬のそれぞれの上に配置されている。チューブは、患者の頭部の頂部上にまたは前頂に配置された送風機または送風機ハウジング1350において終端をなしている、つまり接続されている。ヘッドギアは、チューブとともに形成されてもよく、あるいは、チューブと遡及的な嵌合をなされていても、またはチューブの周囲に配置されていてもよい。図151−2に示されるように、チューブは、例えば熱形成された織物内で高周波溶着されていてもよい。
【0160】
図152−1および図152−2には、代替的なピローまたはプロングタイプマスク1320を示すが、このチューブは、患者の頭部の垂直方向または上方に直接的に延在している。このとき、チューブは使用時に患者の目と目の間に配置されている。マスクは、押込嵌合タブ、面ファスナーまたは他の係合機構によってヘッドギア1340の側方においてヘッドギア1340に連結されている。好ましくは、ベント付きシステムに関して、マスクは、プロングまたはピローのポジションまたは取り付けポイントに直接的に対向する、その下部での換気のためにオリフィスを有していてもよい。これは、図146に関連して上述したピローまたはプロングマスクからコアを除去可能にすることによって製造を容易にし得る。
【0161】
図153には、本発明に基づくさらなる実施形態を示す。この実施形態は、図150に示されるシステムの多くの特性を含む。この実施形態におけるスケルトンのまたは最小化されたフレーム1320は、略逆T時形状の上部を有する。T字形状部の上側部材は、チューブ1325とつながるか、あるいはチューブ1325の周囲を包囲している。下側ヘッドギア接続部は、最小化されたフレームの下部に配置されている。
【0162】
図154には、本発明の代替実施形態を示す。マスク1320は、1つのチューブまたは複数のチューブに対する側方接続部を有しており、このとき、チューブは、患者の目と耳との間において、患者の頬に沿って方向付けられかつ配置されている。チューブは送風機1350において終端をなしておりかつ送風機1350に接続しており、かつ送風機または送風機ハウジングの後部または内面に接続されている。送風機の後部または内面は、患者の顔と同じ方向に面する送風機の側におおむね対向している。これは、使用時に患者の頭部の後方においてカップ状となる、つまり取り巻くようになることにより、システムの安定性を向上させ得る。
【0163】
図155には、本発明のさらなる代替実施形態を示す。マスク3120は、マスクの頂部または前頂においてチューブ接続部を有していてもよい。チューブは、おおむね患者の額の領域において分岐していてもよい。分岐したチューブが外側へ向けて広がることを防止するために、チューブの分岐部あるいは分離部にはウェブまたはメッシュが設けられていてもよい。分岐チューブは、送風機または送風機ハウジングの流出部に導入されていても、あるいは接続されていてもよい。
【0164】
図156には本発明のさらなる代替実施形態を示す。このマスク1320は、下方ヘッドギアストラップの取り付けのための代替的な構造体を有するフルフェイスマスクである。
【0165】
図157には、鼻用クレードルである代替的な患者用インターフェース1320を示す。鼻用クレードルは、鼻用クレードルクッションの前方においてチューブ接続部を有していてもよく、それは送風機1350から鼻用クッションの前方へ直接的に加圧空気を供給する。チューブは、患者の頭部に配置された送風機のチューブ接続部から患者の額に垂直に、つまり上方へ直接的に延在している。言い換えると、チューブは、使用時に患者の目と目の間に配置されている。ヘッドギア側方ストラップ1340は、患者の鼻孔における鼻用クレードルのポジションを保持している。
【0166】
図158には鼻用クレードルである代替的な患者用インターフェースを示す。鼻用クレードルは、患者の鼻孔の両方へ呼吸可能な空気を供給するために、患者の鼻の外側領域に係合する外壁を備えた単一のオリフィスを含んでいてもよい。
【0167】
上述したように、患者の頭部(例えば患者の頭頂部)に送風機を取り付けることにより、振動ノイズを直接的に患者の頭骨に伝達することがある。また、ヘッドギアストラップは、使用時に患者の頭骨にノイズを伝達することがある。そのため使用時の振動を和らげるために、送風機支持構造体が、患者の頭骨から送風機を分離するかあるいは隔離するよう使用されてもよい。
【0168】
好ましくは、送風機は、患者が耐えられないレベルあるいは危険性のあるレベルまでは熱を放散しないものであってもよい。好ましくは、送風機は、60℃を超える温度を生じないものであってもよい。好ましくは、送風機は30℃を超える温度を生じないものであってもよい。
【0169】
本発明の他の態様は、送風機が患者用インターフェースまたはマスク内に組み込まれているかまたはそれに一体化されている人工呼吸システムに関するものである。一実施形態において、送風機は、2つ以上のより小さな送風機に分割されていてもよい。約8mmの直径と約30mmの長さとを有するMaxonによって製造された小さな8W送風機などの小型送風機、または他の市販されている小型送風機が使用されてもよい。一実施形態において、渦型またはプレナムチャンバなどのステータおよび空気経路特徴部が、マスクの内部に組み込まれてもよい。
【0170】
図159〜図176には、本発明の代替実施例に基づく送風機に組み込まれるマスクが示されている。
【0171】
図159において、患者用インターフェースまたはマスクは、患者の鼻孔との密閉状態を形成するよう適合された鼻用プロングまたはピロー構造体1330を含む。鼻用プロングに加圧空気を供給するために、第1および第2の送風機1350(1),1350(2)が鼻用プロング構造体の各端部に設けられる。マスクは、面ファスナー(例えばVelcro(登録商標))、タブおよび接着剤の組み合わせによって患者の顔に取り付けられてもよい。一実施形態においては1つの送風機が使用されてもよい。
【0172】
送風機1350(1)および1350(2)は緩衝手段によって封入されてもよい。例えば、緩衝手段は、シリコンケーシング、フォームおよび/または布層あるいは他の適切な材料などのマフラー(消音器)を含んでいてもよい。
【0173】
鼻用プロング構造体1330には、鼻用プロング構造体1330を接着性の顔パッドに取り外し可能に取り付けるために、タブ部分が連結されていてもよい。タブ部分は、接着性の顔パッドに設けられたループと係合するための、一体成形されたフックを含んでもよい。一実施形態においては2009年月6日4付けの特許文献14に開示されるように取り付け手段が設けられてもよく、この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0174】
消音および/またはフィルタリング材料が送風機1350(1)および1350(2)の空気流入部に設けられてもよい。例えばフォームパッドが送風機の空気流入部に取り付けられていても、あるいは送風機とともに形成されていてもよい。
【0175】
図160−1および図160−2において、患者用インターフェースまたはマスクは、患者の鼻孔との密閉状態を形成するよう適合された鼻用プロングまたはピロー装置1430を含んでいる。第1および第2の送風機1450(1),1450(2)が加圧空気を提供するために各鼻用プロングと直列状態で設けられている。
【0176】
鼻用プロングは、患者の鼻孔の内部と係合するよう返しまたは干渉部を備えていてもよい。
【0177】
送風機は、流出部が空気流を鼻用プロングに向けて直接的に方向付けかつ流入部がクッションにおける開口を介して空気を受容するように配置されていてもよい。流入部は、ノイズを減少させかつ綺麗な空気を患者に提供するために、フィルタおよび/マフラー1451に近接してあるいは隣接していてもよい。フィルタおよび/マフラーは、フィルタ材料、フォーム、布、メッシュまたは他の適切な材料およびその組み合わせを備えていてもよい。
【0178】
ヘッドギアストラップ1440は、患者に患者用インターフェースを固定するためのクッションに連結されていてもよい。ヘッドギアストラップは、スライド可能な係合部によって、患者の頭部の後方で連結されている。ヘッドギアストラップは、ヘッドギアストラップは、送風機に連結され、かつ送風機引用文献電力を供給するための導線を備えている。電力は、電力供給ユニットを含む制御ユニットへの導線を介して送風機に供給される。また制御ユニットは、送風機を制御するためにパラメータの設定が可能なユーザーインターフェースを備えていてもよい。
【0179】
図161−1および図161−2において、患者用インターフェースは、鼻用クッション1530と、鼻用クッションに加圧空気を提供するために鼻用クッションの各端部に設けられた第1および第2の送風機1550(1)および1550(2)とを含む。シリコンクッションが、送風機から鼻用クッションへ加圧空気を連通させるために導管状態となっている。
【0180】
クッション1530は、布部分1530(1)とシリコン封止部およびダクト1530(2)とを含む熱形成布状体であってもよい(例えば図161−2参照)。この布状体は織布または不織布とすることができる。クッションはフォームおよび/または布層を含んでもよい。熱形成布状体は、空気不透過性の、少なくとも最小限しか空気を通さないような密閉表面を含んでいてもよい。これは、シリコンの吹き付け、成形または他の方法で不透過性または最小透過性の材料を布の1つ以上の部分に取り付けることにより実施されてもよい。あるいは、クッション部分が密閉面に取り外し可能に取り付けられてもよい。この密閉面は、患者接触部と、使用者の反から離れた状態でクッションを保持するためのフレームまたは支持部と、空気供給チューブに取り付けるためのダクト部とを含んでいてもよい。
【0181】
ヘッドギアストラップ1540は、超音波溶着および/または熱形成によって形成されてもよい。ヘッドギアストラップは、布およびフォーム複合体から形成されてもよい。あるいはヘッドギアストラップは布であってもよい。ヘッドギアストラップは補強部を含んでいてもよい。ヘッドギアストラップは、送風機および/またはクッションからのノイズを低減させるために付加的な緩衝または消音部1541をさらに含んでもよい。例えば緩衝部は、患者の耳へ伝達される過度なノイズを遮断するために、図161−1に示されるように患者の耳に隣接してまたは近接して配置されている。
【0182】
図162−1および図162−2において、患者用インターフェースは、フレーム1620、鼻用クッション1630、およびフレームの前方に設けられかつクッションによって規定される呼吸チャンバと連通した送風機1650を含む。一実施形態において、ヘッドギアおよび/または患者用インターフェースは、特許文献11、特許文献12、特許文献13および2009年2月27日に出願された特許文献10に開示された1つ以上の態様を含んでいてもよく、この参照によりそれぞれの全体が本明細書に組み込まれる。
【0183】
図162−1および図162−2に示されるようにヘッドギア1640は、ヘッドギアストラップに成形されたケーブルまたはワイヤシステムを含んでいてもよい。例えばワイヤ1640(1)は、図162−2に示されるようにフォームおよび/または布製のストラップ1640(2)内に封入されていてもよく、このものにおいて、フォームおよび/または布は熱形成および/または超音波溶着によって形成されてもよい。フォームは、適所にワイヤを支持するため、ケーブルを絶縁するためかつ目立たない様式でワイヤを保持するために、使用されてもよい。ワイヤは、リボンケーブルの形態で示されているが、他の形態のワイヤも使用することができる。
【0184】
図163−1および図163−2において、患者用インターフェースは、フレーム1720と、フレームに設けられたフルフェイスクッション1730と、フレームの前方に設けられかつクッションによって規定される呼吸チャンバと連通された送風機1750とを含む。メッシュベント1751が送風機の各側部に取り付けられている。メッシュベントは、図163−2において矢印で示されるように送風機に空気を流入させることができる。メッシュベントは、流入空気を濾過するために第1のフィルタとして機能し得る。
【0185】
フレーム1720は、送風機1750との係合のための開口またはリングを含む。送風機はクリップまたは他の方法でフレームと係合してもよい。
【0186】
図163−2に示されるように患者へ供給される空気または患者から吐き出された空気を濾過するために、HEPAフィルタなどの第2のフィルタ1752が、送風機の流出口に近接したまたは隣接したマスクの内部に適合されてもよい。それはまたノイズの低減に寄与してもよい。
【0187】
図164−1から図164−3において、患者用インターフェースは、鼻用クッション1830と、患者の頭部における適所にクッションを保持するためのヘッドギア1840と、ヘッドギアによって支持される送風機1850とを含む。鼻用クッションは、シリコン、ゲルまたはフォームなどの柔軟な材料から構成されてもよい。送風機は、ハウジングによって外側被覆されてもあるいは他の方法でそれに封入されてもよく、このときハウジングは、プラスチック、金属またはその形状を維持できる他の材料から形成されてもよい。ハウジングは、ノイズを低減するためのマフラーとして機能してもよい。一実施形態においてクッションは、1009年6月2日付けで出願された特許文献11に開示された1つ以上の態様を含んでいてもよく、この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0188】
マスク830を支持するためのヘッドギア1840は、電源にモータを接続するための電源ケーブルのためのチャネルまたは他の取り付け手段を含んでもよい。チャネルは、ワイヤを保護し、患者に絡んだりして窒息させることを防止し、かつシステムに流線型の外観を付与してもよい。ヘッドギア1840は熱形成または他の方法で形状付けられてもよい。
【0189】
マフラーまたはフィルタ1851は、図164−3に示されるようにヘッドギアに成形されるかまたは取り付けられたフォームまたは布として、マスク1830および送風機1850に隣接して嵌合されてもよい。あるいは、マフラーまたはフィルタは不織材料であってもよい。マフラーまたはフィルタは、吐き出された空気を濾過し、かつ/またはマスクおよび送風機からのノイズを低減してもよい。さらなる代替例において、マフラーまたはフィルタは、ヘッドギアに一体的に形成されていても、あるいはヘッドギアとは別体として形成されていてもよい。
【0190】
図165〜176には、ヘッドギアを取り付けるための代替的なフレーム構造体、代替的なヘッドギア装置、代替的なクッションまたは密閉装置、および/または、代替的な人工呼吸装置を示す。例えば、図165および図166において、患者用インターフェース2530は、マスクフレームによって支持された複式送風機(つまり第1および第2の送風機2550(1),2550(2))を含む。図167には、送風機がマスクに組み込まれているマスク2530が示されている。図168−1および168−2において、スナップ−オン式のピローまたは鼻用プロング2530が送風機2550に設けられている。図169および170において、患者用インターフェース2530は、フォーム状取り込み部を提供してもよい。図171〜図176において、送風機2550は、マスク2530の前方に設けられ、かつマスクは流線型のデザインを含んでいる。
【0191】
例えば、図165には、マスクまたは患者用インターフェースに取り付けられた一対の送風機または送風機ハウジング2550(1),2550(2)が示される。送風機の取り込み部は、内−外方向において水平方向に外側へ向けて配置される。同様の構造体が図166で実施されている。
【0192】
図168−1および図168−2には、患者用インターフェース2530に直接的に接続された送風機を示す。図示された患者用インターフェース2530は、ピローまたはプロング構造体である。例えば鼻用クレードル、鼻、フルフェイス、または、口−鼻マスクなどの代替的な患者用インターフェースが使用されてもよい。
【0193】
本発明の他の態様は、ベッド、車椅子、テーブル、椅子などに取り付けることができる携帯可能な人工呼吸器に関するものである。図177〜図186には、本発明の代替的な実施形態に基づく携帯可能な人工呼吸器を示す。
【0194】
図177に示されるように、携帯可能な人工呼吸器1950は、患者のベッドサイドまたは壁に取り付けられるよう適合されている。ベッドサイドの実施形態は、ドッキングステーション1970またはないとスタンドに取り付けられた取り外し可能な送風機を含んでもよい。取り外し可能な人工呼吸器は、メイン/AC電源に接続されていないときにデバイスに電力を供給するために、リチウムイオンバッテリーなどのバッテリーを含んでもよい。ナイトスタンドは、マスクと結合されるチューブに接続されるよう適合されたオーバーヘッドチューブ(フレキシブルなチューブ、形状固定されるチューブ、またはその組み合わせ)1960に嵌合されてもよい。オーバーヘッドチューブは、ステンレススチールなどの金属、もしくはサーモプラスチックまたはシリコンなどのポリマー、あるいはその組み合わせから形成されてもよい。オーバーヘッドチューブは、マスクチューブを備えるカフまたは接続領域において、一連のライトまたはLEDライトを含んでおり、それらライトは、タッチによってまたはシステムにおける変化(例えば分離)によって活性化し得る。また、オーバーヘッドチューブは、夜中に見るために患者のための柔らかな明かりを提供することができる。このライトは、オーバーヘッドチューブに対するフレキシブルなマスクチューブの着脱時に患者を手助けし得る。ライトの色は、活性化の理由に関連付けられてもよい。オーバーヘッドチューブのカフまたは接続領域は、マスクチューブの端部または接続領域における磁石または磁性材料を誘引可能な磁石を含んでいてもよい。これは、オーバーヘッドチューブへのマスクチューブの取り付けに役立つ。
【0195】
図178において、人工呼吸器は、壁またはベッドヘッドに取り付けられるよう適合されている。オーバーヘッドチューブ2060は、人工呼吸器から延在しており、かつ患者用インターフェースと関連付けられたチューブへの接続のために適合されていてもよい。マフラーおよび/またはフィルタは、患者へ供給される空気を濾過しかつ/またはシステムのノイズを低減するために送風機に取り付けられていてもよい。図177に示される実施形態と同様に、オーバーヘッドチューブは、ベッド、ベッドヘッド、壁または患者に近接した他の領域に取り付けられてもよい。オーバーヘッドチューブは、ケース2050に接続されてもよく、このケース2050は、人工呼吸システムのための電源を収容している。電源は、バッテリーまたは主電源であってもよい。ケース2050は、熱可塑性エラストマー、熱可塑性ウレタンなどのポリマーから構成されてもよく、あるいはアルミニウムなどの金属から構成されてもよい。ケース2050は、オーバーヘッドチューブの端部に取り付けられた送風機に対する電源保持のためのワイヤまたは他の手段を有していてもよい。ケースは、また、人工呼吸システムに関するパラメータの制御および設定を可能にするために、マイクロプロセッサおよびユーザーインターフェースを含んでもよい。
【0196】
図175および図185において、携帯可能な人工呼吸器2650は、送風機の保持、充電および/または送風機から診断をダウンロードするよう構成され得る送風機ドック2655に取付可能なものであってもよい。
【0197】
図180−1および図180−2において、送風機1650は、人工呼吸器ポーチの形態のものである。このポーチは、携行性のために使用されていないときに減圧されていてもよい。
【0198】
図181−1から図181−4において、誘電帯電によって人工呼吸器を充電するよう適合されたベース2656を提供するための携帯可能な人工呼吸器2650が提供されてもよい。
【0199】
図182には、ライトアップチューブを含むことができるオーバーヘッドチューブ2657の一実施形態を示す。
【0200】
図183、図184および図186には、携帯可能な人工呼吸器を封入しかつ保護するための代替的なケーシング2658を示す。例えば、図183には布またはフォーム/布タイプのケース2658を、図184にはシリコンタイプのケース2658と、かつ図186にはアルミニウム合金タイプのケース2658を示す。
【0201】
バッテリーパックは、マスクおよび人工呼吸システムに設けられてもよい。バッテリーパックは患者の体に装着されてもよい。代替的にはバッテリーは、患者から離れた位置に、例えばベッドサイドテーブルに、配置されるように設けられてもよい。バッテリーは、患者の体に装着される場合には、患者のだいたいの形状に対して屈曲しかつ順応し得るように可撓性を有していてもよい。バッテリーは、バッテリーをモータに取り付けるワイヤまたはケーブルを有していてもよい。ケーブルは、ケーブルに力が掛かったときにケーブルがモータからバッテリーを切断するように、簡易切断または強制切断部を有していてもよい。これは、患者の首の締め付けを防止するか、あるいはモータからの電源が迅速に切断されるという利点となり得る。
【0202】
本発明の他の態様は、マスクや頭部に取り付けられるではなく、患者に着用されるかまたは支持されるよう構成された人工呼吸器に関するものである。
【0203】
図187−1から図198−2には、本発明の代替実施形態に基づく着用可能な人工呼吸器を示す。
【0204】
図187−1および図187−2では、人工呼吸器2150が、患者の胸部に近接して人工呼吸器を支持するショルダータイプのハーネス2180によって支持されている。
【0205】
図188−1から図188−4において、人工呼吸器2150は、ペンダントタイプの構造体によって支持されている。図188−2および図188−3には人工呼吸器に流入部と流出部のための代替的な構造体を示す。
【0206】
図189−1から図189−3、図190、図195および図196において、人工呼吸器2150は、シャツ(例えばTシャツ)、パジャマなどの衣類用品に支持されている。このものにおいて、衣類は、例えばシャツの前方に沿ったポケットなどの送風機支持構造を含んでいる。
【0207】
図191および図197において、人工呼吸器2150は、シャツの肩部に沿って送風機支持構造(例えばポケット)を含んでいる。図196において、人工呼吸器2150は、侵略的な人工呼吸サポートを提供するために、気管切開チューブとともに使用された状態で示されている。
【0208】
図192−1から図194には、ストラップまたはバンド装置2160によって支持された人工呼吸器2150を示す。図192−1および図192−2において、ストラップは、患者の胸部に巻かれている。図193では、ストラップは、例えば襟状スタイルで、患者の首の周囲を取り囲んでいる。図194では、ストラップは患者の腕に巻かれている。
【0209】
図198−1および図198−2において、人工呼吸器2150は、患者の首の周囲に取り巻かれるよう構成された軟質ケーシングによって支持されている。このケーシングは、チューブ2166を支持するためのポケットを含む。図192−1および図196において、人工呼吸器は、気管切開チューブを使用した侵略的なシステムとして示されている。
【0210】
当然のことながら、人工呼吸器の態様(例えば送風機)は代替的な構造を含んでもよい。例えば2009年8月28日付け出願の特許文献3および2009年11月19日付け出願の特許文献4(この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)には代替的な送風機構造ならびに人工呼吸システムに込みこむことができる1つ以上の態様を含むCPAPシステムが開示されている。つまり、2009年8月28日付け出願の特許文献3および2009年11月19日付け出願の特許文献4に開示された送風機構造およびCPAPシステムは、人工呼吸システムとして使用するために適合されてもよい。
【0211】
4.1 CPAPアプリケーション
一実施形態において、送風機は、持続性気道陽圧(CPAP)流発生器に関する用途に関連して使用されてもよい。そうしたCPAPアプリケーションにおいて、送風機は、必要とされる流出量および/または圧力が相対的に低い(例えば人工呼吸器とは同じ高さではない)ため、そのサイズが低減されてもよい。
【0212】
図19〜23には本発明の一実施形態に基づくCPAPバージョンの送風機310を示す。図示されるように、送風機は、上述したように、近位開口323および遠位開口325を規定する第1および第2のハウジング部322,324を備えるハウジング320と、空気方向付け溝353を含むステータ構成要素330と、ステータ構成要素330に支持されかつ回転シャフトまたはロータ350を駆動するよう構成されたモータ340と、インペラ360とを含む。ステータ構成要素の第1および第2の部分332,334は、上記のようにO−リングを使用して連結されている。
【0213】
図22に示される実施形態は、また、送風機310にパワー/コントロールを接続するためのワイヤ404を含んでいる。図23に示される実施形態はまたPCBA402を含んでいる。これは、図12に関連して上述したように流量センサおよび圧力センサを制御するために使用されてもよい。PCBA402は、ネジ、接着剤、またはハウジング320内に成形されたプラスチック製の保持スナップ(図示せず)あるいは他の連結具によってハウジング320に連結されていてもよい。
【0214】
一例において、モータは、約40,000rpmまでの速度で回転してもよく、かつ14cmH2Oまでの圧力を生じてもよい。一例において、インペラは、20〜40mm(例えば30mm)の直径d6を有していてもよく、かつハウジングは、30〜50mm(例えば37mm)の外側最大幅d7および30〜50mm(例えば43mm)の外側最大高さh1を有していてもよい。一例において、モータは、約10〜15mm(例えば12mm)の直径d5と約20〜30(例えば26mm)の長さを有していてもよい。ただし、他の適切なサイズを採用することもできる。送風機は、500gms未満の重さを、より詳細には50〜200gmsの重さのものであってもよい。
【0215】
図24には、本発明の一実施形態に基づく送風機の特性を示す変動RPMに関する圧力対流量のカーブを示す。図示されるように、圧力対流量は、モータの速度範囲(例えば30,000から40,000rpm)にわたって相対的に一定であり、これは、送風機に連結されたチューブが存在しないかまたはその量が制限されている場合に、患者が送風機を還流するよう呼吸できるようにするのに役立つ。これは、PAPデバイスの一部そしてチューブに取り付けられたマスクまたは患者用インターフェースにおける換気に関する必要性を限定または消去するようになる。以下の表1−1は、図24に示されるように、変動RPMにおける圧力対流量に関する4つのファンのカーブデータを示す。
【0216】
【表1】

【0217】
本明細書に記載した実施形態は、旅行用途に、かつ送風機のサイズおよび大きさが最小であることを求められる状況において使用されるよう好ましく適合されたものである。
【0218】
本発明について、現在考えられ得る最も実際的でありかつ好ましい実施形態に関連して説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されないが、本発明の精神および範囲内に含まれるさまざまな変形例および同等の構成を包含するよう意図されていることを理解されたい。また、上記さまざまな実施径庭は他の実施形態と併せて実施されてもよく、例えば一実施形態の態様が、他の実施形態の実現のために、さらに他の実施形態の態様と組み合わせられてもよい。さらに、各独立特徴部または所定のアセンブリの構成要素が付加的な実施形態を構成してもよい。加えて、本発明が、OSAを患う患者への特定の用途を有する場合、他の病気(例えば鬱血性心不全、糖尿病、病的肥満、脳卒中、または肥満手術)を患う患者が上記記載から利点を誘導できることが明らかである。さらに、上記記載は患者および患者でない人、同様に非医療用途に対しても適用性を有している。
【符号の説明】
【0219】
10 送風機
22 第1のハウジング部
23 近位開口
24 第のハウジング部
25 遠位開口
26 固定具
28(1) 整列ピン
28(2) 受容孔
29 環状突出部
30 静止構成要素
31(1) 整列ピン
31(2) 受容孔
32 第1の部分
33 固定具
34 第2の部分
35 空気方向付け溝
35(1) 流入部
35(2) 流出部
36 コーン形状ベース
40 モータ
45 ステータセンブリ
47 巻線
48 仕切り
50 ロータ
51(1),51(2) 保持ベアリング
57 開口
60 インペラ
62 ブレード
64,66 遮壁
201 受動的空気バルブ組立体
202(1) 第1のハウジング部
202(2) 第2のハウジング部
202(3) 中間ハウジング部
203 第1のバルブ
205 第2のバルブ
205(1) ハブ
206 開口
210 送風機
215 換気タービン
217 PAPデバイス
220 ハウジング
222 第1のハウジング部
223 近位開口
224 第2のハウジング部
225 遠位開口
227 流出チューブ
230 ステータ構成要素
231(1) 受容部
231(2) 整列ピン
235 空気方向付け溝
235(1) 流入部
235(2) 流出部
237 開口
238 凹部
239 取り付けネジ
240 モータ
250 ロータ
260 インペラ
272 第1のPCBA
274 第2のPCBA
276 O−リング
277 ギャップ
277(1),277(2) リング形状凹部
280 流れストレーナ
290 流動センサ
292(1) 流入チューブ
292(2) 流出チューブ
296 圧力センサ
298 フレキシブル膜
402 PCBA
404 ワイヤ
500 換気システム
501 フィルター/バルブアセンブリ
502(1) 空気流入部
502(2) 補助部
502 フィルターカバー
503 フィルタ
504 空気流切換弁/マニホールド
504(1) 空気流入部
504(2) 空気流出部
504(3) 流出チャネル
504(4) 突出部
506 空気流切り替えキャップ
506(1) 構造体
506(2) 開口
507 流入膜バルブ
507(1) 環状部
508 流入バルブリング
509 空気流出膜バルブ
510 送風機
512(1) 第1の部分
512(2) 第2の部分
520 ハウジング
521 ガスケット
522 第1のハウジング部
522(1) 突出部
522(2) スロット
523 近位開口
524 第2のハウジング部
524(1) スロット
525 遠位開口
526 ヒートシンク
528 プレナムチャンバ
529 下流チャンバ
530 ステータ構成要素
532 第1の部分
533 モータフランジ
534 第2の部分
535 空気方向付け溝
537 開口
538 ステータベーン
540 モータ
541(1),541(2) O−リング
545 モータスリーブ
550 ロータ
555 流動要素
555(1) ベーン
556 分割内部コア
560 インペラ
562 インペラブレード
565 ドック
566 受け台
566(1) 受け台部材
567(1) DC充電接触子
567(2) リモートアラーム接触子
567(3) リモートアラーム接触子
567(4) 電力表示部
568(1) ネックストラップ
568(2) 安定化ストラップ
568(3) ハンドセットハーネスおよびストラップ
569 酸素保管用付属物
572 プリント回路基板アセンブリ(PCBA)
573 キャップ
575 粘性トラップ
576 外側ケース
576(1) チューブ
577 シールリング
578 内側ケース
578(1) 捕捉部
579 ポートシール
580 熱水交換フィルタ(HMEF)
582 外部ケーシング
582(1) チューブ
584 内部ケーシング
584(1) 超音波溶着ライン
585 中間圧力部
586 フィルタ中間部
587 SDカードリーダー
588 熱および水交換パッド
589 ポートシール
590 ハンドセット
591 ハウジング
592 緩衝ストリップ
593 薄膜キーパッド
593(1) スタート/ストップ換気ボタン
593(2) メニュー選択ボタン
593(3) アップ/増大ボタン
593(4) ダウン/減少ボタン
593(5) ok/有効/許可ボタン
593(6) 手動呼吸ボタン
593(7) 再生停止ボタン
593(8) アラーム表示部
593(9) DC入力接続表示部
594 ディスプレイスクリーン
595 換気装置接続部
596 リモートアラームコネクタ
597 コミュニケーション接続部
598 アラームブザー
599 増設バッテリー
1020 フレーム
1021 ヘッドギア接続部
1023 チューブ
1030 クッション
1040 ヘッドギア
1041,1043 側方ストラップ
1042 オーバーヘッド式ストラップ
1046 ポリマーシート
1047 最外層
1048 内側層
1049 緩衝層
1050 送風機
1052 空気取り込み部
1053 第2のカフ
1054 送風機取り付け部
1055 カフ
1130 鼻用クッション
1120 フレーム
1121 下方ヘッドギア接続部
1141 下方ヘッドギアストラップ
1230 クッション
1231 プラグ
1244 側方ストラップ
1245 移行部
1320 マスク
1325 チューブ
1340 ヘッドギア
1350 送風機
1350(1) 第1の送風機
1350(2) 第2の送風機
1450(1) 第1の送風機
1450(2) 第2の送風機
1451 フィルタ
1550(1) 第1の送風機
1550(2) 第2の送風機
1620 フレーム
1630 鼻用クッション
1650 送風機
1720 フレーム
1730 フルフェイスクッション
1750 送風機
1751 第1のフィルタ
1752 第2のフィルタ
1830 鼻用クッション
1840 ヘッドギア
1850 送風機
1851 フィルタ
1950 人工呼吸器
1960 オーバーヘッドチューブ
1970 ドッキングステーション
2060 オーバーヘッドチューブ
2166 チューブ
2180 ハーネス
2530 患者用インターフェース
2550 送風機
2550(1) 第1の送風機
2550(2) 第2の送風機
2650 人工呼吸器
2655 送風機ドック
2656 ベース
2658 ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風機であって、
前記送風機は:
近位開口と遠位開口とを含み、前記近位開口と前記遠位開口とが同軸上に整列されている、ハウジングと;
前記ハウジングに設けられたステータ構成要素と;
前記ハウジングの前記近位開口と前記ステータ構成要素との間に配置されたインペラであって、複数のインペラブレードを含む、インペラと;
前記インペラを駆動するよう構成されたモータと;
を具備してなり、
前記ステータ構成要素は、その外面に沿って複数の空気方向付け溝を含んでおり、前記空気方向付け溝の前縁は、前記インペラブレードの外側先端部から外側へ向けて接線方向に延在しており、かつ、前記インペラブレードから流出した空気を集合させかつ前記インペラから空気を分離させることによって略接線方向から略半径方向へ向けて空気を方向付けるよう構成されており、かつ空気流が実質的に層流となるように前記遠位開口へ向かって屈曲経路に沿って空気を方向付けるものであることを特徴とする送風機。
【請求項2】
前記ステータ構成要素は、9、11または13の空気方向付け溝を含むことを特徴とする請求項1に記載の送風機。
【請求項3】
各空気方向付け溝は、前記インペラから流出した空気が前記溝に流入可能なように前記インペラの周縁から略接線方向に延在する近位部と、前記近位部から前記ハウジングの前記遠位開口へ向けて延在する遠位部と、含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の送風機。
【請求項4】
前記溝は、すべて、前記ステータ構成要素の基部において収束していることを特徴とする請求項3に記載の送風機。
【請求項5】
前記溝の断面積は、前記溝の各々に沿って実質的に一定であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の送風機。
【請求項6】
前記各溝の深さは、前記溝が前記近位部から前記遠位部へ向けて延在するにつれて増大するか、または深くなっていることを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の送風機。
【請求項7】
前記各溝の幅は、前記溝が前記近位部から前記遠位部へ向けて延在するにつれて低減されるか、または狭くなっていくものであり、かつ、前記各溝の深さは、前記溝が前記近位部から前記遠位部へ向けて延在するにつれて増大するか、または深くなっていることを特徴とする請求項5に記載の送風機。
【請求項8】
前記ステータ構成要素は、その中で前記モータを支持するよう構成された中空内部を含むことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の送風機。
【請求項9】
前記モータは、ロータを回転させるよう構成されたステータアセンブリを含み、かつ前記インペラは、前記ロータの端部に連結されていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の送風機。
【請求項10】
前記ロータは、前記ロータは一対のベアリングによって支持されており、前記ベアリングは前記ハウジングによって支持されていることを特徴とする請求項9に記載の送風機。
【請求項11】
前記インペラは、複数のインペラブレードを含んでおり、空気方向付け溝に対するインペラブレードの比は、共通の、割り切れないものを含んでいることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の送風機。
【請求項12】
前記ハウジングは、約30〜50mmの最大直径を有していることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の送風機。
【請求項13】
前記送風機は60cmHOより大きい加圧空気を提供するよう構成されていることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の送風機。
【請求項14】
前記ハウジングは、前記モータへの電力接続ポイントをカバーするかまたは保護するよう構成されかつ配置されたハウジング部片を含むことを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の送風機。
【請求項15】
前記ステータ構成要素の下流に流量センサおよび圧力センサをさらに具備してなることを特徴とする請求項1から請求項14のいずれか一項に記載の送風機。
【請求項16】
前記ハウジングは、前記ステータ構成要素の下流にかつ前記流量センサの上流において整流部を含み、それは前記流量センサへ流入する空気流を整流するために構成されかつ配置されていることを特徴とする請求項15に記載の送風機。
【請求項17】
前記圧力センサは、前記空気流経路と流体連通したフレキシブルな膜を含み、かつ前記フレキシブルな膜の変位は、前記空気流経路における空気の圧力の表示を提供することを特徴とする請求項15または請求項16に記載の送風機。
【請求項18】
前記圧力センサは、前記流動センサの下流に配置されていることを特徴とする請求項15から請求項17のいずれか一項に記載の送風機。
【請求項19】
前記流量センサと圧力センサとを制御するために前記ハウジングに取り付けられたプリント基板アセンブリをさらに具備してなることを特徴とする請求項15から請求項18のいずれか一項に記載の送風機。
【請求項20】
前記モータを制御するために前記ハウジングに取り付けられたプリント基板アセンブリをさらに具備してなることを特徴とする請求項1から請求項19のいずれか一項に記載の送風機。
【請求項21】
前記ステータ構成要素は、前記複数の空気方向付け溝を規定するよう協働する第1の部分と第2の部分とを含むことを特徴とする請求項1から請求項20のいずれか一項に記載の送風機。
【請求項22】
前記ステータ構成要素は、O−リングによって互いに連結される第1および第2の部分を含むことを特徴とする請求項1から請求項21のいずれか一項に記載の送風機。
【請求項23】
前記ハウジングの前記近位開口に設けられた受動的な空気バルブアセンブリをさらに具備してなることを特徴とする請求項1から請求項22のいずれか一項に記載の送風機。
【請求項24】
前記バルブアセンブリは、
大気と連通しており、かつ、患者の呼吸サイクルの吸気段階中に前記近位開口を介して前記送風機へ空気が流入できるように配置されかつ構成された第1のバルブと、
大気と連通しており、かつ、患者の呼吸サイクルの吐出段階中に前記近位開口を介して前記送風機から空気が流出できるように配置されかつ構成された第2のバルブと、
を含むことを特徴とする請求項23に記載の送風機。
【請求項25】
前記ハウジングは、30〜50mmの最大外側高さを有することを特徴とする請求項1から請求項23のいずれか一項に記載の送風機。
【請求項26】
前記送風機は、500gms未満の重量を有することを特徴とする請求項1から請求項25のいずれか一項に記載の送風機。
【請求項27】
前記送風機は、50〜200gmsの重量を有することを特徴とする請求項26に記載の送風機。
【請求項28】
前記ハウジングに設けられたプリント回路基板(PCBA)をさらに具備してなることを特徴とする請求項1から請求項27のいずれか一項に記載の送風機。
【請求項29】
前記送風機は、モータの速度の所定の範囲にわたって、80L/minまでの流量で相対的に一定の圧力を提供するよう構成されていることを特徴とする請求項1から請求項28のいずれか一項に記載の送風機。
【請求項30】
前記モータ速度の範囲は、約30,000rpmから40,000rpmであることを特徴とする請求項29に記載の送風機。
【請求項31】
請求項1から請求項30のいずれか一項に記載の送風機を具備してなることを特徴とする人工呼吸デバイス。
【請求項32】
前記送風機に接続されるチューブと、前記チューブに接続される患者用インターフェースとをさらに具備してなる請求項29に記載の送風機を具備してなることを特徴とする人工呼吸デバイス。
【請求項33】
前記患者用インターフェースは、前記送風機によって提供される相対的に一定の圧力に起因するベントを含まないことを特徴とする請求項32に記載の人工呼吸デバイス。
【請求項34】
前記人工呼吸デバイスはPAPデバイスであることを特徴とする請求項31から請求項33のいずれか一項に記載の人工呼吸デバイス。
【請求項35】
患者のための人工呼吸器であって、
前記人工呼吸器は:
加圧空気の供給源を提供するよう構成された送風機であって、近位開口と遠位開口とを有するハウジングと、前記ハウジングに設けられたステータ構成要素と、前記ハウジングの前記近位開口と前記ステータ構成要素との間に配置されたインペラと、前記インペラを駆動するよう構成されたモータと、を含む送風機と;
前記送風機の前記近位開口に設けられ、かつ空気が双方向において流動経路に沿って前記送風機を介して流動できるよう構成されたバルブアセンブリであって、患者の呼吸サイクルの吸気段階中に前記近位開口を介して前記送風機へ空気が流入でき、かつ患者の呼吸サイクルの吐気段階中に前記近位開口を介して前記送風機から空気が流出できるように構成された、バルブアセンブリと;
を具備してなり、
前記ステータ構成要素は、その外面に沿って複数の空気方向付け溝を含んでおり、前記空気方向付け溝の前縁は、前記インペラブレードの外側先端部から外側へ向けて接線方向に延在しており、かつ、前記インペラブレードから流出した空気を集合させるように、かつ、前記インペラから前記空気を分離させることによりかつ空気流が実質的に層流となるように前記遠位開口へ向かって屈曲経路に沿って空気を方向付けることによって、略接線方向から略半径方向へ向けて空気を方向付けるよう構成されていることを特徴とする人工呼吸器。
【請求項36】
前記送風機は、双方向に流れを測定しかつ前記モータからの熱を伝達するよう構成された流動経路に沿って前記モータに設けられている流動要素を含むことを特徴とする請求項35に記載の人工呼吸器。
【請求項37】
前記ハウジングとステータ構成要素とは、前記インペラの周囲にプレナムチャンバを規定するよう協働することを特徴とする請求項36に記載の人工呼吸器。
【請求項38】
流動要素に影響を及ぼすことなく、前記ステータ構成要素を介して還流を可能にするため、前記プレナムチャンバから下流において、下流チャンバをさらに具備してなることを特徴とする請求項37に記載の人工呼吸器。
【請求項39】
流動経路に沿って前記モータの中央部に設けられた非導電スリーブをさらに具備してなることを特徴とする請求項36から請求項38のいずれか一項に記載の人工呼吸器。
【請求項40】
前記流動要素およびステータ構成要素は、前記モータからの熱を伝達するために熱伝導材料から構成されていることを特徴とする請求項36から請求項39のいずれか一項に記載の人工呼吸器。
【請求項41】
前記流動要素および前記ステータ構成要素は、アルミニウムから構成されていることを特徴とする請求項40に記載の人工呼吸器。
【請求項42】
前記送風機の前記遠位開口に設けられた粘性トラップをさらに具備してなり、前記粘性トラップは、患者によって吐き出された粒状物体を捕捉するよう構成された捕捉プレートを提供することを特徴とする請求項35から請求項41のいずれか一項に記載の人工呼吸器。
【請求項43】
前記送風機の前記遠位開口に設けられた熱水交換フィルタをさらに具備してなり、前記熱水交換フィルタは、患者に吸気される空気を調整しかつ/または患者から吐出された粒状物質から前記人工吸気を保護するためのフィルタおよび/またはパッドを含むことを特徴とする請求項35から請求項42のいずれか一項に記載の人工呼吸器。
【請求項44】
前記流動経路の断面積は、低供給源インピーダンスをもたらすために、最大化されておりかつ前記人工呼吸器内の最小デッドスペースとバランスがとれたものとなっていることを特徴とする請求項35から請求項43のいずれか一項に記載の人工呼吸器。
【請求項45】
前記人工呼吸器とは別体のバッテリー電源供給制御ユニットをさらに具備してなり、前記人工呼吸器および制御ユニットの両方が、患者のデータを記録しかつ人工呼吸器の設定および患者の詳細を伝送可能にするよう構成されたマイクロコントローラを含むことを特徴とする請求項35から請求項44のいずれか一項に記載の人工呼吸器。
【請求項46】
前記人工呼吸器は、患者に近接した位置で使用されるよう構成されていることを特徴とする請求項35から請求項45のいずれか一項に記載の人工呼吸器。
【請求項47】
前記人工呼吸器は、頭部着用式システムに組み込まれていることを特徴とする請求項46に記載の人工呼吸器。
【請求項48】
前記人工呼吸器は、壁、ベッド、ベッドサイド、車椅子、テーブルまたは椅子を含む構造物に取り付けられ、かつチューブを介して患者用インターフェースに接続されるよう構成されていることを特徴とする請求項46に記載の人工呼吸器。
【請求項49】
前記人工呼吸器は、衣類に一体化された支持構造にフィットするよう構成されていることを特徴とする請求項46に記載の人工呼吸器。
【請求項50】
前記衣類は、シャツ、Tシャツまたはパジャマであることを特徴とする請求項49に記載の人工呼吸器。
【請求項51】
前記人工呼吸器送風機は、患者用インターフェースに組み込まれていることを特徴とする請求項46に記載の人工呼吸器。
【請求項52】
前記人工呼吸器は、ショルダータイプのハーネスによって支持されていることを特徴とする請求項46に記載の人工呼吸器。
【請求項53】
前記人工呼吸器は、ペンダントタイプのハーネスによって支持されていることを特徴とする請求項46に記載の人工呼吸器。
【請求項54】
前記人工呼吸器は、使用者の体の一部を取り囲むストラップまたはバンドによって支持されていることを特徴とする請求項46に記載の人工呼吸器。
【請求項55】
前記ストラップまたはバンドは、胸部用バンドであることを特徴とする請求項54に記載の人工呼吸器。
【請求項56】
前記ストラップまたはバンドはアームバンドであることを特徴とする請求項54に記載の人工呼吸器。
【請求項57】
人工呼吸器であって、
前記人工呼吸器は:
加圧空気の供給源を提供するよう構成された送風機と;
前記送風機に設けられかつ空気が双方向において流動経路に沿って前記送風機を介して流動できるように構成されたバルブアセンブリと;
を具備してなり、
前記送風機は、双方向において流動を測定するようにかつ前記送風機のモータから熱を伝達するよう構成された前記流動経路に沿って流動要素を含むことを特徴とする請求項に記載の人工呼吸器。
【請求項58】
前記流動要素は熱伝導材料から構成されていることを特徴とする請求項57に記載の人工呼吸器。
【請求項59】
前記流動要素は、アルミニウムから構成されていることを特徴とする請求項59に記載の人工呼吸器。
【請求項60】
前記流動要素は、内側コアと、前記内側コアから延在する複数のベーンとを含むことを特徴とする請求項57から請求項59のいずれか一項に記載の人工呼吸器。
【請求項61】
前記流動要素は、40〜60のベーンを含むことを特徴とする請求項60に記載の人工呼吸器。
【請求項62】
前記流動要素の内側コアは、前記流動要素が前記モータの周囲にフィットできるようにしかつ前記モータからの熱の変動に伴い伸縮可能な分割構造体を含むことを特徴とする請求項60から請求項61のいずれか一項に記載の人工呼吸器。
【請求項63】
モジューラ人工呼吸システムであって、
前記モジューラ人工呼吸システムは:
人工呼吸モジュールと;
1つ以上の以下の個別に置換可能なモジュール:
前記人工呼吸モジュールを遠隔制御するための制御モジュール;
前記制御モジュールのための付属バッテリーモジュール;
前記人工呼吸モジュールに設けられた酸素増大モジュール;
前記人工呼吸モジュールの遠位開口に設けられた粘性トラップ;
前記人工呼吸モジュールの遠位開口に設けられた熱水交換フィルタモジュール;および/または、
前記人工呼吸モジュールおよび/または制御モジュールを固定するための1つ以上のストラップを含むストラップモジュール;
と、を具備してなることを特徴とするモジューラ人工呼吸システム。
【請求項64】
前記制御モジュールは、内部加速度計を含み、かつパルス酸素濃度計および/またはCOモニターをそれに接続可能にするものであることを特徴とする請求項63に記載のモジューラ人工呼吸システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図59】
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【図60】
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【図70】
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【図80】
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【図82】
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【図83】
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【図110】
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【図136】
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【図143】
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【図144−1】
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【図146−1】
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【図147】
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【図150】
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【図151−1】
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【図165】
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【図166】
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【図168−1】
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【図180−1】
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【図181−1】
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【図187−1】
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【図187−2】
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【図188−1】
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【図188−3】
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【図188−4】
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【図189−1】
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【図190】
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【図191】
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【図192−1】
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【図193】
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【図194】
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【図195】
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【図196】
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【図197】
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【図198−1】
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【図198−2】
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【公表番号】特表2013−501541(P2013−501541A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524056(P2012−524056)
【出願日】平成22年8月11日(2010.8.11)
【国際出願番号】PCT/AU2010/001031
【国際公開番号】WO2011/017763
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(509116613)レスメド・モーター・テクノロジーズ・インコーポレーテッド (4)