単位回路の駆動方法、発光装置およびその駆動方法、データ線駆動回路、および電子機器
【課題】駆動トランジスタの動作特性に関わらず、画像データが示す階調に正しく応じた光量で発光素子を発光させる。
【解決手段】駆動電流Ielのレベルに応じた光量で発光する発光素子11と、駆動電流Ielを発光素子11に供給する駆動トランジスタTdrとを備えた単位回路P(PA,PB)を駆動する際に、駆動トランジスタTdrをダイオード接続した状態で、駆動トランジスタTdrのソースからドレインへの経路で定電流I1を流しつつ駆動トランジスタTdrのゲートの電位Vgを計測して計測電位V1とする一方、上記経路で定電流I2を流しつつ上記電位Vgを計測して計測電位V2とする。そして、(I1,V1)、(I2,V2)の組に基づいて、駆動トランジスタTdrの動作特性のバラツキを補正して画像データVDATAが示す階調に応じたデータ信号Vdataを生成し、駆動トランジスタTdrのゲートに供給する。
【解決手段】駆動電流Ielのレベルに応じた光量で発光する発光素子11と、駆動電流Ielを発光素子11に供給する駆動トランジスタTdrとを備えた単位回路P(PA,PB)を駆動する際に、駆動トランジスタTdrをダイオード接続した状態で、駆動トランジスタTdrのソースからドレインへの経路で定電流I1を流しつつ駆動トランジスタTdrのゲートの電位Vgを計測して計測電位V1とする一方、上記経路で定電流I2を流しつつ上記電位Vgを計測して計測電位V2とする。そして、(I1,V1)、(I2,V2)の組に基づいて、駆動トランジスタTdrの動作特性のバラツキを補正して画像データVDATAが示す階調に応じたデータ信号Vdataを生成し、駆動トランジスタTdrのゲートに供給する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流駆動型の発光素子の挙動を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電流駆動型の発光素子は、電流により駆動され、駆動電流のレベルに応じた光量で発光する素子であり、典型的には、階調を示す信号を受けて当該階調に応じた光量で発光する発光装置の光源として用いられる。この種の発光装置として、発光素子を含む複数の単位回路をマトリクス状に備え、画像を構成する複数の画素の各々の階調を示す画像データを受け、この画像データに応じて複数の単位回路を駆動することにより当該画像を表示する表示装置がある。
【0003】
この種の表示装置において、発光素子は画像を構成する単位である画素となる。よって、以降、この種の表示装置の単位回路を「画素回路」とも称する。画素回路は、画像データに応じた信号を受けて内部の発光素子の光量を制御する回路であり、この信号に応じたレベルの駆動電流を生成する駆動トランジスタを備える。駆動トランジスタは、電源電位が供給されるソースとゲートとの間の電圧Vgsに応じた電流をドレインから出力するトランジスタであり、画素回路では、この電流が駆動電流として用いられる。
【0004】
駆動トランジスタの動作特性には個体差によるバラツキがあるから、上記の表示装置において、表示される画像の階調に画素間でバラツキが生じる虞がある。そこで、例えば特許文献1には、駆動トランジスタの閾値電圧のバラツキを補正(補償)する技術が開示されている。
【特許文献1】米国特許第6,229,506号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、駆動トランジスタの動作特性のバラツキには、移動度等の、閾値電圧のバラツキ以外のバラツキも含まれる。したがって、閾値電圧のバラツキを十分に補正することができたとしても、それだけでは不十分である。そもそも、駆動トランジスタの動作特性のバラツキを十分に補正することができたとしても、画像データが示す階調に正しく応じた光量で発光素子を発光させることができるとは限らない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、駆動トランジスタの動作特性に関わらず、画像データが示す階調に正しく応じた光量で発光素子を発光させることができる単位回路の駆動方法、発光装置およびその駆動方法、データ線駆動回路、および電子機器の提供を解決課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
駆動トランジスタは、飽和領域において2乗特性を示すので、駆動トランジスタの電圧Vgsとそのときの駆動電流との組が少なくとも2つ判ればその動作特性を推定することができる。そして、駆動トランジスタの動作特性が判れば、駆動トランジスタの動作特性の個体間でのバラツキを補正することができる。本発明は、このような思想に基づいて、上述した課題を解決するものであり、その具体的な構成は以下に説明する通りである。
【0007】
本発明に係る単位回路の駆動方法(第1駆動方法)は、駆動電流のレベルに応じた光量で発光する発光素子と、前記駆動電流を前記発光素子に供給する駆動トランジスタとを備えた単位回路に前記駆動電流のレベルを定めるデータ信号を供給して、階調を示す画像データに応じた前記データ信号を用いて前記発光素子の光量を制御する単位回路の駆動方法であって、前記駆動トランジスタのゲートとドレインとを電気的に接続した状態で、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第1電流を流しつつ前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の電圧を第1電圧として計測し、前記駆動トランジスタのゲートとドレインとを電気的に接続した状態で、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第2電流を流しつつ前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の電圧を第2電圧として計測し、前記発光素子の光量が前記画像データの示す階調となるように、前記第1電流と前記第1電圧の組および前記第2電流と前記第2電圧の組に基づいて、前記駆動トランジスタの動作特性のバラツキを補正して前記画像データが示す階調に応じた前記データ信号を生成し、前記データ信号を前記駆動トランジスタのゲートに供給する、ことを特徴とする。
第1駆動方法においては、駆動トランジスタをダイオード接続した状態で、駆動トランジスタのソースからドレインに向けて電流(第1電流および第2電流)を流しつつ駆動トランジスタのソースとゲートの間の電圧(第1電圧および第2電圧)を計測することにより、第1電流と第1電圧の組および第2電流と第2電圧の組が求められ、これら2つの組に基づいて、画像データが示す階調に応じたデータ信号が生成され、駆動トランジスタのゲートに供給される。データ信号の生成では、上記の思想に基づいて、駆動トランジスタの動作特性のバラツキが補正される。つまり、データ信号は、供給先の駆動トランジスタに、画像データが示す階調に応じた光量で発光素子を発光させるレベルの駆動電流を生成させる信号となる。よって、第1駆動方法によれば、駆動トランジスタの動作特性に関わらず、画像データが示す階調に正しく応じた光量で発光素子を発光させることができる。
上記の組を求める方法としては、駆動トランジスタのソースからドレインに向けて定電流を流しつつ当該駆動トランジスタの電圧Vgsを計測する方法と、駆動トランジスタの電圧Vgsを定電圧としつつ駆動トランジスタのソースからドレインに向けて流れる電流を計測する方法とがある。いずれの方法であっても、電圧や電流を計測するための配線が必要となるが、後者の方法では、この配線の寄生容量が電圧の計測に影響し、計測の精度が低くなってしまう。これに対して、第1駆動方法では、前者の方法を採用しているから、上記の寄生容量が電流の計測に影響せず、計測の精度を高く維持することができる。つまり、第1駆動方法によれば、駆動トランジスタの動作特性に関わらず、画像データが示す階調に正確に応じた光量で発光素子を発光させることができる。
第1駆動方法は、駆動対象の単位回路として、「データ信号を駆動トランジスタのゲートに供給するための配線」を備えた回路を前提としている。この配線を用いれば、駆動トランジスタのソースからドレインに向けて定電流を流すことも、駆動トランジスタのソースとゲートの間の電圧を計測することも可能となる。この配線を備えた単位回路は一般的であり、例えば、表示装置の画素回路として普及している。よって、第1駆動方法によれば、一般的な単位回路を変更することなく、上述した各種効果を得ることも可能である。
第1駆動方法には、第1電流と第1電圧の組および第2電流と第2電圧の組のみならず、これらの組と同様に求められる他の組にも基づいて、駆動トランジスタの動作特性のバラツキを補正する駆動方法が含まれる。つまり、駆動トランジスタの動作特性のバラツキを補正する際に基づく組の数は3以上であってもよい。基づく組が多ければ多いほど、補正の精度が向上する。
第1駆動方法には、駆動トランジスタの動作特性を複数の階調範囲に分割し、そのうちの1つの階調範囲についてだけ補正を行う方法や、各階調範囲について個別に補正を行う方法が含まれる。前者の方法としては、第1階調と第2階調の間の階調範囲についてだけ、第1電流と第1電圧の組および第2電流と第2電圧の組に基づいて、駆動トランジスタの動作特性のバラツキを補正する方法を例示することができる。後者の方法としては、或る階調範囲については複数の組に基づいて駆動トランジスタの動作特性のバラツキを補正し、別の階調範囲については当該複数の組とは完全には一致しない他の複数の組に基づいて駆動トランジスタの動作特性のバラツキを補正する方法を例示することができる。
また、「駆動トランジスタの動作特性のバラツキ」とは、基準の動作特性(例えば、理想的な動作特性)から、計測の対象となる駆動トランジスタの動作特性の差分を意味する。そして、駆動トランジスタの動作特性が基準の動作特性である場合に、発光素子の光量が画像データの示す階調となる。
【0008】
第1駆動方法において、前記画像データを前記データ信号に変換する工程では、前記第1電流と前記第1電圧の組および前記第2電流と前記第2電圧の組に基づいて、前記画像データの最大階調に対応する前記データ信号の電圧と、前記画像データの最小階調に対応する前記データ信号の電圧を生成し、生成した電圧に基づいて、前記駆動トランジスタの動作特性のバラツキを補正して前記画像データが示す階調に応じた前記データ信号を生成する、ようにしてもよい。
【0009】
本発明に係る別の単位回路の駆動方法(第2駆動方法)は、駆動電流のレベルに応じた光量で発光する発光素子と、前記駆動電流を前記発光素子に供給する駆動トランジスタと、前記駆動トラジスタのゲートとドレインとの間に設けられた第1トランジスタと、前記駆動トランジスタのゲートまたはドレインとデータ線との間に設けられた第2トランジスタとを備えた単位回路に前記データ線を通じて前記駆動電流のレベルを定めるデータ信号を所定期間毎に供給して、階調を示す画像データに応じた前記データ信号を用いて前記発光素子の光量を制御する単位回路の駆動方法であって、前記所定期間では、前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタがオン状態となる計測期間において、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第1電流を流しつつ、前記データ線の電圧を前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の電圧を第1電圧として計測し、前記計測期間において、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第2電流を流しつつ、前記データ線の電圧を前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の第2電圧として計測し、前記発光素子の光量が前記画像データの示す階調となるように、前記第1電流と前記第1電圧の組および前記第2電流と前記第2電圧の組に基づいて、前記駆動トランジスタの動作特性のバラツキを補正して前記画像データが示す階調に応じた前記データ信号を生成し、前記第1トランジスタがオフ状態となり、且つ第2トランジスタがオン状態となる書込期間に前記データ信号を前記データ線に供給することによって前記駆動トランジスタのゲートに供給する、ことを特徴とする。
この駆動方法によれば、第1駆動方法により得られる効果と同様の効果を得ることができる。また、この駆動方法によれば、所定期間毎に、毎回、上記の計測および補正が行われるから、駆動トランジスタの動作特性の個体間でのバラツキのような静的なバラツキのみならず、温度変化や劣化等の要因による動的なバラツキについても、適切に補正することができる。
【0010】
本発明に係る発光装置の駆動方法は、データ線と、前記データ線と対になるように設けられた信号線と、複数の走査線と、前記データ線と前記複数の走査線の交差に対応して設けられた複数の画素回路とを備え、前記複数の画素回路の各々は、駆動電流のレベルに応じた光量で発光する発光素子と、前記駆動電流を前記発光素子に供給する駆動トランジスタと、前記駆動トラジスタのゲートとドレインとの間に設けられた第1トランジスタと、前記駆動トランジスタのゲートと前記データ線との間に設けられた第2トランジスタと、前記駆動トランジスタのゲートと前記信号線との間に設けられた第3トランジスタとを有する、発光装置の駆動方法であって、前記複数の画素回路の各々を対応する走査線毎に水平走査期間だけ順に選択し、前記複数の画素回路の各々では、当該画素回路とは異なる他の画素回路が選択される第1水平走査期間において、前記第1トランジスタおよび前記第3トランジスタをオン状態とし、且つ前記第2トランジスタをオフ状態とし、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第1電流を流しつつ、前記データ線の電圧を前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の電圧を第1電圧として計測し、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第2電流を流しつつ、前記データ線の電圧を前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の第2電圧として計測し、前記発光素子の光量が前記画像データの示す階調となるように、前記第1電流と前記第1電圧の組および前記第2電流と前記第2電圧の組に基づいて、前記駆動トランジスタの動作特性のバラツキを補正して前記画像データが示す階調に応じた前記データ信号を生成し、当該画素回路が選択される第2水平走査期間において、前記第1トランジスタおよび前記第3トランジスタをオフ状態とし、且つ前記第2トランジスタをオン状態とし、前記データ信号を前記データ線に供給する、ことを特徴とする。
この駆動方法によれば、第1駆動方法により得られる効果と同様の効果を得ることができる。ただし、駆動対象は、データ線と対になるように設けられた信号線を備えた発光装置に限られる。
また、この駆動方法においては、1本の走査線に対応する画素回路に注目すると、駆動トランジスタの電圧Vgsの計測は、当該画素回路が選択される水平走査期間外の期間に行われる。したがって、この駆動方法によれば、この計測を当該水平走査期間内に行う場合に比較して、当該水平走査期間における、当該複数の画素回路の駆動トランジスタのゲートにデータ信号が供給される期間の割合を大きくすることができる。これは、以下に述べる理由により、発光品質の向上につながる。
駆動トランジスタのゲートへのデータ信号の供給を開始しても、駆動トランジスタの電圧Vgsが当該データ信号に応じた電圧になるまでには、ある程度の時間を要する。つまり、発光品質を向上させる観点からすると、水平走査期間において、駆動トランジスタのゲートへデータ信号が供給される時間をできるだけ長く確保した方がよいことになる。一方、発光装置には、大画面化および高精細化の要請があり、水平走査期間の短縮が必要である。よって、水平走査期間において、駆動トランジスタのゲートにデータ信号を供給する期間の割合が大きくなることが、発光品質の向上につながるのである。
【0011】
第2駆動方法を除く上記の各駆動方法には、発光素子が繰り返し発光する場合に、上記の計測および補正を毎回行う方法だけでなく、最初の1回または複数回だけ行う方法や、間歇的に行う方法も含まれる。間歇的に行う方法としては、所定の回数毎に繰り返し行う方法も含まれる。
【0012】
本発明に係る発光装置(第1発光装置)は、複数のデータ線と、複数の走査線と、前記複数のデータ線の各々にデータ信号を供給するデータ線駆動回路と、前記複数のデータ線と前記複数の走査線の交差に対応して設けられた複数の画素回路とを備え、前記複数の画素回路の各々は、駆動電流のレベルに応じた光量で発光する発光素子と、前記駆動電流を前記発光素子に供給する駆動トランジスタと、前記駆動トラジスタのゲートとドレインとの間に設けられた第1トランジスタと、前記駆動トランジスタのゲートまたはドレインと前記データ線との間に設けられた第2トランジスタとを有し、前記データ線駆動回路は、前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタがオン状態となる計測期間において、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第1電流を流しつつ、前記データ線の電圧を前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の電圧を第1電圧として計測し、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第2電流を流しつつ、前記データ線の電圧を前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の第2電圧として計測する計測手段と、前記発光素子の光量が前記画像データの示す階調となるように、前記第1電流と前記第1電圧の組および前記第2電流と前記第2電圧の組に基づいて、前記駆動トランジスタの動作特性のバラツキを補正して前記画像データが示す階調に応じた前記データ信号を生成する信号生成手段とを備える、ことを特徴とする。
第1発光装置においては、計測期間において、駆動トランジスタのソースからドレインに向けて電流(第1電流および第2電流)を流しつつ駆動トランジスタのソースとゲートの間の電圧(第1電圧および第2電圧)を計測することを、第2トランジスタおよびデータ線を通じて行うことにより、第1電流と第1電圧の組および第2電流と第2電圧の組が求められ、これら2つの組に基づいて、画像データが示す階調に応じたデータ信号が生成さる。この生成では、前述の思想に基づいて、駆動トランジスタの動作特性のバラツキが補正される。よって、第1発光装置によれば、第1駆動方法により得られる効果と同様の効果を得ることができる。なお、第2トランジスタおよびデータ線は、第1トランジスタがオフ状態であり、且つ第2トランジスタがオン状態である場合、すなわちデータ信号を駆動トランジスタのゲートに正しく供給可能である場合に、前述の「データ信号を駆動トランジスタのゲートに供給するための配線」を構成する要素となる。
また、第1発光装置においては、データ線およびオン状態の第2トランジスタに代表される、データ信号を駆動トランジスタのゲートに供給するための配線を用いて、駆動トランジスタのソースからドレインに向けて所定値の電流を流している。この配線を備えた画素回路は一般的であり、広く普及している。よって、この発光装置によれば、一般的な画素回路を用いつつ、上述した各種効果を得ることができる。
【0013】
第1発光装置において、前記第2トランジスタは前記駆動トランジスタのドレインと前記データ線との間に設けられ、前記第1トランジスタは前記駆動トランジスタのゲートと前記データ線との間に設けられ、前記駆動トラジスタのゲートとドレインは、前記第1トランジスタ、前記データ線および前記第2トランジスタを含む経路で結ばれている、ようにしてもよい。この態様では、第1トランジスタは、駆動トラジスタのゲートとドレインとの間の経路上に設けられる。つまり、第1トランジスタは、駆動トラジスタのゲートとドレインとの間に設けられることになる。よって、第1発光装置により得られる各種効果を得ることができる。また、この態様によれば、データ電圧がプログラムされた駆動トランジスタの電流をデータ線に読み出すことができる。データ線には回路動作の検査を行う検査回路を接続し易いから、この態様によれば、回路動作の検査を容易に行うことができる。
【0014】
本発明に係る別の発光装置(第2発光装置)は、複数のデータ線と、前記複数のデータ線と対になるように設けられた複数の信号線と、複数の走査線と、前記複数のデータ線の各々にデータ信号を供給するデータ線駆動回路と、前記複数のデータ線と前記複数の走査線の交差に対応して設けられた複数の画素回路とを備え、前記複数の画素回路の各々は、駆動電流のレベルに応じた光量で発光する発光素子と、前記駆動電流を前記発光素子に供給する駆動トランジスタと、前記駆動トラジスタのゲートとドレインとの間に設けられた第1トランジスタと、前記駆動トランジスタのゲートと前記データ線との間に設けられた第2トランジスタと、前記駆動トランジスタのゲートと前記信号線との間に設けられた第3トランジスタとを有し、前記データ線駆動回路は、前記第1トランジスタおよび前記第3トランジスタがオン状態となり、且つ前記第2トランジスタがオフ状態となる計測期間において、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第1電流を流しつつ、前記データ線の電圧を前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の電圧を第1電圧として計測し、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第2電流を流しつつ、前記データ線の電圧を前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の第2電圧として計測する計測手段と、前記発光素子の光量が前記画像データの示す階調となるように、前記第1電流と前記第1電圧の組および前記第2電流と前記第2電圧の組に基づいて、前記駆動トランジスタの動作特性のバラツキを補正して前記画像データが示す階調に応じた前記データ信号を生成し、前記第1トランジスタおよび第3トランジスタがオフ状態となり、且つ前記第2トランジスタがオン状態となる書込期間に前記データ信号を前記データ線に供給する信号生成手段とを備える、ことを特徴とする。
第2発光装置においては、計測期間において、駆動トランジスタのソースからドレインに向けて電流(第1電流および第2電流)を流しつつ駆動トランジスタのソースとゲートの間の電圧(第1電圧および第2電圧)を計測することを、第3トランジスタおよび信号線を通じて行うことにより、第1電流と第1電圧の組および第2電流と第2電圧の組が求められ、これら2つの組に基づいて、画像データが示す階調に応じたデータ信号が生成される。この生成では、前述の思想に基づいて、駆動トランジスタの動作特性のバラツキが補正される。生成されたデータ信号は、書込期間において、データ線からオン状態の第3トランジスタを通じて駆動トランジスタのゲートに正しく供給される。よって、第2発光装置によれば、第1駆動方法により得られる効果と同様の効果を得ることができる。
ただし、第2発光装置は、データ信号を駆動トランジスタのゲートに供給するための配線とは別に、駆動トランジスタのソースからドレインに向けて所定値の電流を流すため、および駆動トランジスタのソースとゲートの間の電圧を計測するための信号線を備えている。したがって、第2発光装置によれば、一般的な画素回路をそのまま用いることはできない。その代わり、画素回路が選択される水平走査期間において、当該画素回路の駆動トランジスタのゲートにデータ信号が供給される期間の割合を大きくすることができる。具体的には、或る走査線に対応する画素回路が選択されて書込期間を迎えたときには、当該画素回路において、第2トランジスタがオン状態になり、第1トランジスタおよび第3トランジスタがオフ状態になるようにする一方、当該画素回路の直後に書き込み期間を迎える画素回路において、第2トランジスタがオフ状態になり、第1トランジスタおよび第3トランジスタがオン状態になるようにすれば、上記の割合を大きくすることができる。上記の割合の増大は、前述したように、発光品質の向上につながる。
【0015】
第1発光装置または第2発光装置において、前記計測手段は、前記第1電流を発生する第1電流源と、前記第2電流を発生する第2電流源と、前記計測期間において前記第1電流と前記第2電流を各々選択して前記データ線に供給する選択回路と、前記選択回路が前記第1電流を選択する期間において前記データ線の電圧をサンプルして、サンプルした電圧をホールドして前記第1電圧を出力する第1サンプルホールド回路と、前記選択回路が前記第2電流を選択する期間において前記データ線の電圧をサンプルして、サンプルした電圧をホールドして前記第2電圧を出力する第2サンプルホールド回路と、を備える、ようにしてもよい。
この態様によれば、計測の開始から補正の完了までの時間を、計測の結果をコンピュータで処理する場合に比較して、遥かに短くすることができる。したがって、例えば、発光素子を繰り返し発光させる場合に、当該発光素子を発光させる前に、毎回、当該発光素子に駆動電流を供給する駆動トランジスタについて、上記の計測および補正を行うことも可能である。よって、この態様によれば、駆動トランジスタの動作特性の個体間でのバラツキのような静的なバラツキのみならず、温度変化や劣化等の要因による動的なバラツキについても、適切に補正することができる。また、この態様によれば、計測した電圧がサンプルホールド回路により保持されるから、計測の結果をコンピュータで処理する場合はもちろん、計測した電圧をメモリに保持させる場合と比較しても、構成が遥かに簡素となる。これは、例えば、製造コストの低減につながる。
【0016】
第1発光装置または第2発光装置において、前記信号生成手段は、前記第1電流と前記第1電圧の組および前記第2電流と前記第2電圧の組に基づいて、前記画像データの最大階調に対応する前記データ信号の電圧と、前記画像データの最小階調に対応する前記データ信号の電圧を生成する電圧生成手段と、前記電圧生成手段で生成した電圧に基づいて、前記駆動トランジスタの動作特性のバラツキを補正して前記画像データが示す階調に応じた前記データ信号を生成する補正手段と、を備える、ようにしてもよい。
【0017】
本発明に係る電子機器は、上記の発光装置のいずれか1つを備える。よって、備える発光装置により得られる効果を奏する。
【0018】
本発明に係るデータ線駆動回路は、複数のデータ線と、複数の走査線と、前記複数のデータ線と前記複数の走査線の交差に対応して設けられた複数の画素回路とを備え、前記複数の画素回路の各々は、駆動電流のレベルに応じた光量で発光する発光素子と、前記駆動電流を前記発光素子に供給する駆動トランジスタと、前記駆動トラジスタのゲートとドレインとの間に設けられた第1トランジスタと、前記駆動トランジスタのゲートまたはドレインと前記データ線との間に設けられた第2トランジスタとを有する発光装置に用いられ、前記複数のデータ線の各々にデータ信号を供給するデータ線駆動回路であって、前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタがオン状態となる計測期間において、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第1電流を流しつつ、前記データ線の電圧を前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の電圧を第1電圧として計測し、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第2電流を流しつつ、前記データ線の電圧を前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の第2電圧として計測する計測手段と、前記発光素子の光量が前記画像データの示す階調となるように、前記第1電流と前記第1電圧の組および前記第2電流と前記第2電圧の組に基づいて、前記駆動トランジスタの動作特性のバラツキを補正して前記画像データが示す階調に応じた前記データ信号を生成する信号生成手段とを備える、ことを特徴とする。
このデータ線駆動回路によれば、計測期間において、駆動トランジスタのソースからドレインに向けて電流(第1電流および第2電流)を流しつつ駆動トランジスタのソースとゲートの間の電圧(第1電圧および第2電圧)を計測することを、第2トランジスタおよびデータ線を通じて行うことにより、第1電流と第1電圧の組および第2電流と第2電圧の組を求め、これら2つの組に基づいて、画像データが示す階調に応じたデータ信号を生成することができる。この生成では、前述の思想に基づいて、駆動トランジスタの動作特性のバラツキが補正される。よって、このデータ線駆動回路によれば、第1発光装置により得られる効果と同様の効果を得ることができる。
【0019】
本発明に係る別のデータ線駆動回路は、複数のデータ線と、前記複数のデータ線と対になるように設けられた複数の信号線と、複数の走査線と、前記複数のデータ線と前記複数の走査線の交差に対応して設けられた複数の画素回路とを備え、前記複数の画素回路の各々は、駆動電流のレベルに応じた光量で発光する発光素子と、前記駆動電流を前記発光素子に供給する駆動トランジスタと、前記駆動トラジスタのゲートとドレインとの間に設けられた第1トランジスタと、前記駆動トランジスタのゲートと前記データ線との間に設けられた第2トランジスタと、前記駆動トランジスタのゲートと前記信号線との間に設けられた第3トランジスタとを有する発光装置に用いられ、前記複数のデータ線の各々にデータ信号を供給するデータ線駆動回路であって、前記第1トランジスタおよび前記第3トランジスタがオン状態となり、且つ前記第2トランジスタがオフ状態となる計測期間において、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第1電流を流しつつ、前記データ線の電圧を前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の電圧を第1電圧として計測し、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第2電流を流しつつ、前記データ線の電圧を前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の第2電圧として計測する計測手段と、前記発光素子の光量が前記画像データの示す階調となるように、前記第1電流と前記第1電圧の組および前記第2電流と前記第2電圧の組に基づいて、前記駆動トランジスタの動作特性のバラツキを補正して前記画像データが示す階調に応じた前記データ信号を生成し、前記第1トランジスタおよび第3トランジスタがオフ状態となり、且つ前記第2トランジスタがオン状態となる書込期間に前記データ信号を前記データ線に供給する信号生成手段とを備える、ことを特徴とする。
このデータ線駆動回路によれば、計測期間において、駆動トランジスタのソースからドレインに向けて電流(第1電流および第2電流)を流しつつ駆動トランジスタのソースとゲートの間の電圧(第1電圧および第2電圧)を計測することを、第3トランジスタおよび信号線を通じて行うことにより、第1電流と第1電圧の組および第2電流と第2電圧の組を求め、これら2つの組に基づいて、画像データが示す階調に応じたデータ信号を生成することができる。この生成では、前述の思想に基づいて、駆動トランジスタの動作特性のバラツキが補正される。生成されたデータ信号は、書込期間において、データ線からオン状態の第3トランジスタを通じて駆動トランジスタのゲートに正しく供給される。よって、このデータ線駆動回路によれば、第2発光装置により得られる効果と同様の効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
<A:発光装置D>
図1は、本発明の実施の形態に係る発光装置Dの構成を示すブロック図である。この発光装置Dは、画像を表示するための手段として各種の表示装置に採用される装置であり、複数の画素回路Pが面状に配列された画素アレイ部10と、各画素回路Pを駆動する走査線駆動回路20およびデータ線駆動回路30と、発光装置Dで利用される各電圧を生成する電圧生成回路(図示略)とを有する。なお、走査線駆動回路20、データ線駆動回路30および電圧生成回路を、その一部または全部が単一の回路となるように構成してもよい。また、走査線駆動回路20(あるいはデータ線駆動回路30や電圧生成回路)は、複数のICチップに区分された態様で発光装置Dに実装されてもよい。
【0021】
図1に示されるように、画素アレイ部10には、X方向に延在するm本の制御線12と、X方向と直交するY方向に延在するn本の信号線13と、各信号線13に対をなしてY方向に延在するn本の給電線14とが形成される(mおよびnは自然数)。各画素回路Pは、信号線13および給電線14の対と制御線12との交差に対応する位置に配置される。したがって、これらの画素回路PAは、縦m行×横n列のマトリクス状に配列する。
【0022】
電圧生成回路(図示略)は、電源の高位側の電位(以下「電源電位」という)Velおよび低位側の電位(以下「接地電位」という)Gndを生成する。電源電位Velは、総ての給電線14に対して共通に出力されて各画素回路Pに供給される。
【0023】
走査線駆動回路20は、複数の画素回路Pを水平走査期間ごとに行単位で選択するための回路であり、図示しない制御回路から供給される信号S1に応じた信号を制御線12に出力し、水平走査期間毎に1行分(n個)の画素回路Pを順次選択する。走査線駆動回路20が出力する信号の内容については後述する。上記制御回路は、階調を示す画像データを入力して画素回路Pの発光を制御する回路であり、入力した画像データに応じた信号S1およびS2を走査線駆動回路20およびデータ線駆動回路30へ供給する。
【0024】
データ線駆動回路30は、上記制御回路から供給される信号S2に応じた信号を信号線13へ出力する。信号S2には階調を示す画像データが含まれており、データ線駆動回路30は、水平走査期間を迎えている1行分(n個)の画素回路Pの各々に対応するデータ信号(後述のデータ信号Vdata[1]ないしVdata[n])を生成して各信号線13に出力する。第i行(iは1≦i≦mを満たす整数)が選択される水平走査期間において第j列目(jは1≦j≦nを満たす整数)の信号線13に出力されるデータ信号の電位は、第i行の第j列目に位置する画素回路Pに対して指定された階調に対応するレベルとなる。
【0025】
詳しくは後述するが、画素回路Pは発光素子11および駆動トランジスタTdrを備え、データ線駆動回路30は、駆動トランジスタTdrのゲートの電位Vgを計測して当該駆動トランジスタTdrの動作特性を推定し、この推定の結果に基づいた補正を行ってデータ信号を生成し、このデータ信号を信号線13経由で当該駆動トランジスタTdrのゲートに供給する。発光装置Dには、上記の計測と上記の供給を同一の配線により行う発光装置DAと、異なる配線により行う発光装置DBとがある。
【0026】
<B:発光装置DA>
<B−1:構成>
発光装置DAは、画素回路Pとして画素回路PAを、信号線13としてデータ線131を、走査線駆動回路20として走査線駆動回路20Aを、データ線駆動回路30としてデータ線駆動回路30Aを備える。
【0027】
図2は、画素回路PAの構成を示すブロック図である。この図においては、第i行の第j列目に位置するひとつの画素回路PAのみが図示されているが、その他の画素回路PAも同様の構成である。同図に示されるように、画素回路PAは、電源電位Velが供給される給電線14と接地電位Gndが供給される接地線との間に介挿された発光素子11を含む。発光素子11は、これに供給される駆動電流Ielに応じた輝度で発光する電流駆動型の発光素子であり、典型的には、有機EL(Electro Luminescent)材料からなる発光層を陽極と陰極との間に介在させたOLED(Organic Light Emitting Diode)素子である。
【0028】
図2に示されるように、図1において便宜的に1本の配線として図示された制御線12は、実際には3本の配線(走査線121・計測制御線122・発光制御線123)を含む。各配線には走査線駆動回路20Aから所定の信号が供給される。例えば、第i行目の走査線121には、同行の画素回路PAを選択するための走査信号GWRT[i]が供給される。また、計測制御線122には、電位Vgの計測を制御するための計測制御信号GMSR[i]が供給される。さらに、発光制御線123には、発光素子11が実際に発光する期間を規定する発光制御信号GELA[i]が供給される。各信号の具体的な波形やこれに応じた画素回路PAの動作については後述する。
【0029】
図2に示されるように、給電線14から発光素子11の陽極に至る経路にはpチャネル型の駆動トランジスタTdrとnチャネル型の発光制御トランジスタTelとが介挿される。駆動トランジスタTdrは、ソースとゲートの間の電圧Vgsに応じた駆動電流Ielを生成するためのトランジスタ(実際には薄膜トランジスタ)であり、そのソースが給電線14に接続されるとともにドレインが発光制御トランジスタTelのドレインに接続される。発光制御トランジスタTelは、駆動電流Ielが実際に発光素子11に供給される期間を規定するためのトランジスタであり、そのソースが発光素子11の陽極に接続されるとともにゲートが発光制御線123に接続される。したがって、発光制御信号GELA[i]がローレベルを維持する期間においては発光制御トランジスタTelがオフ状態となって発光素子11に対する駆動電流Ielの供給が遮断される一方、発光制御信号GELA[i]がハイレベルに遷移すると発光制御トランジスタTelがオン状態となって発光素子11に駆動電流Ielが供給される。なお、発光制御トランジスタTelは駆動トランジスタTdrと給電線14との間に介挿されてもよい。
【0030】
駆動トランジスタTdrのゲートとドレインとの間にはnチャネル型のトランジスタTbが介挿される。このトランジスタTbのゲートは計測制御線122に接続される。したがって、計測制御信号GMSR[i]がハイレベルに遷移するとトランジスタTbがオン状態となって駆動トランジスタTdrがダイオード接続され、計測制御信号GMSR[i]がローレベルに遷移するとトランジスタTbがオフ状態となって駆動トランジスタTdrのダイオード接続は解除される。
【0031】
図2に示される容量素子C1は、第1電極L1と第2電極L2との間の電圧を保持する容量である。第1電極L1は駆動トランジスタTdrのソースに接続され、第2電極L2は駆動トランジスタTdrのゲートに接続される。つまり、容量素子C1には電圧Vgsが保持される。容量素子C1の第2電極L2とデータ線131との間にはnチャネル型のトランジスタTaが介挿される。トランジスタTaは第2電極L2とデータ線131との導通および非導通を切り替えるスイッチング素子であり、そのゲートは走査線121に接続される。したがって、走査信号GWRT[i]がローレベルを維持する期間においてはトランジスタTaがオフ状態となって第2電極L2とデータ線131とが非導通となる一方、走査信号GWRT[i]がハイレベルに遷移するとトランジスタTaがオン状態となって第2電極L2とデータ線131とが短絡する。
このように駆動電流Ielは駆動トランジスタTdrのゲートの電位Vgによって定まるから、トランジスタTaがオン状態になったときにデータ線131を介して供給されるデータ信号Vdata[j]によって、駆動電流Ielの大きさが定まる。
【0032】
図3は、データ線駆動回路30Aの構成を示すブロック図である。この図に示すように、データ線駆動回路30Aは、I/F(インターフェイス)ブロック31A、複数のデータ電圧出力ブロック37A、計測切替ライン32、電流切替ライン33および走査回路ブロック36を含む。I/Fブロック31Aは、上記制御回路からの信号S2を入力し、この信号S2に含まれている画像データVDATAを順に走査回路ブロック36に供給する。走査回路ブロック36は、シフトレジスタを含み、1行分の画像データVDATAの供給を受けると、この画像データVDATAに含まれているn列分の画像データVDをn個のデータ電圧出力ブロック37Aの各々に供給する。この供給では、第j列目の画像データVD[j]が第i列目の電圧出力ブロック37Aに渡される。
【0033】
計測切替ライン32および電流切替ライン33は、複数のデータ電圧出力ブロック37Aに共通である。データ電圧出力ブロック37Aは、画像データVD[j]に応じた電圧を容量素子C1に保持させる前に、毎回、駆動トランジスタTdrの動作特性のバラツキを計測するものであり、I/Fブロック31Aは、上記の計測の期間(後述する計測期間PMSR)を指示する計測切替信号S7を計測切替ライン32に出力する。データ電圧出力ブロック37Aは、2種類の定電流を用いて上記の計測を行うものであり、I/Fブロック31Aは、計測期間PMSRを一周期とする電流指定信号S6を電流指定ライン33に出力する。また、I/Fブロック31Aおよび走査回路ブロック36は、第i行の水平走査期間において、複数のデータ電圧出力ブロック37Aの各々に、画像データVD[j]が供給され、且つ当該水平走査期間の先頭が計測期間PMSRとなるように構成されている。
【0034】
図4は、データ電圧出力ブロック37Aの構成を示すブロック図である。この図に示すように、データ電圧出力ブロック37Aは、出力電圧生成回路371、スイッチ372、定電流源373、電圧サンプルホールド回路374および基準電圧生成回路375を含む。出力電圧生成回路371は、画像データVD[j]に応じたデータ信号Vdata[j]を生成し、スイッチ372の端点P1へ出力する。スイッチ372は、端点P1または端点P2をデータ線131に導通させるものであり、データ線131と導通させる端点を計測切替信号S7に応じて切り替える。
【0035】
図4に示されるように、図3において便宜的に1本の配線として図示された電流指定ライン33は、実際には2本の配線を含み、定電流源373には、一方の配線からI1指定信号S6-1が供給され、他方の配線からI2指定信号S6-2が供給されている。定電流源373は、I1指定信号S6-1により指定された期間では定電流I1を、I2指定信号S6-1により指定された期間では定電流I2を発生させ、端点P2に流す。これらの期間は計測期間PMSRに排他的に割り当てられている。そして、計測期間PMSRにおいては、駆動トランジスタTdrのゲートとドレインを短絡する。したがって、計測期間PMSRにおいて、駆動トランジスタTdrはダイオード接続された状態となり、そのソース・ゲート間を定電流I1,I2が流れる。
【0036】
電圧サンプルホールド回路374は、2つの電位を保持可能であり、I1指定信号S6-1により指定された期間にあっては、端点P2の電位Vref[j](データ線131の電位)を一定周期で繰り返しサンプルし、最後にサンプルした電位を計測電位V1として保持し、I2指定信号S6-2により指定された期間にあっては、端点P2の電位Vref[j]を一定周期で繰り返しサンプルし、最後にサンプルした電位を計測電位V2として保持する。つまり、(I1,V1)、(I2,V2)といった電流と電位の組を計測可能である。駆動トランジスタTdrは、飽和領域において2乗特性を示すので、電流と電位の組が2つ判ればその動作特性を特定することができる。本実施の形態では、(I1,V1)、(I2,V2)を計測することによって、駆動トランジスタTdrの動作特性を特定し、そのバラツキを補正している。
【0037】
上述したように、データ信号Vdata[j]によって駆動電流Ielの大きさが定まる。データ信号Vdata[j]は、最小光量(黒レベル)から最大光量(白レベル)までに対応した電位となる。最大光量は発光装置DAの仕様によって定まり、最小光量では発光素子11が消灯する。本実施の形態では、最小光量に対応するデータ信号Vdata[j]を、駆動トランジスタTdrのゲート・ソース間電圧Vgsが閾値電圧Vthとなるように設定する。以下の説明では、最小光量に対応するデータ信号Vdata[j]の電位をVb、最大光量に対応するデータ信号Vdata[j]の電位をVwと称する。
【0038】
本実施の形態において、定電流源373が発生する定電流I1のレベルはIwである。Iwは最大駆動電流のレベルに等しい。最大駆動電流とは、発光装置DAが設計通りに製造された場合に、発光素子11が発光装置DAの仕様から定まる最大光量で発光するときの駆動電流Ielである。また、定電流I2のレベルはImであり、式(1)で与えられる。
Im = Iw/4……(1)
本実施の形態では、電圧サンプルホールド回路374における計測電位V1のレベルを「Vw」とし、計測電位V2のレベルを「Vm」とする。つまり、本実施の形態では、(Iw,Vw)と(Iw/4,Vm)の組を計測する。
【0039】
Im = Iw/4に設定したのは、VwとVmから、Vbを簡単に求めることができるからである。この点について図6を参照して説明する。図6に示すように、画素回路Pの駆動トランジスタTdrの電位Vgに対する駆動電流Ielの平方根の特性を示す特性線は、駆動トランジスタTdrの動作特性に個体差があっても、温度変化や劣化等の要因による動的なバラツキがあっても、直線状になる。したがって、電位Vgと駆動電流Ielとの組を2組以上得ることができれば、駆動トランジスタTdrの閾値電圧Vthに対応する電位Vbを、定数倍の乗算や減算などの簡単な演算により推定することができる。簡単な演算により推定可能であることは、以下に述べるように、数式からも導き出される。
【0040】
前述したように、駆動トランジスタTdrは、飽和領域において2乗特性を示す。つまり、いかなる状態にあっても、式(2)で表される、駆動トランジスタの動作特性モデルは崩れない。式(2)において、「β」は駆動トランジスタTdrの利得係数である。
Iel= (β/2)・(Vgs−Vth)2……(2)
よって、定電流I1について式(3)が、定電流I2について式(4)が得られる。
Iw = (β/2)・((Vel−Vw)−(Vel−Vb))2……(3)
Iw/4 = (β/2)・((Vel−Vm)−(Vel−Vb))2……(4)
そして、(3)式の右辺を(4)式の左辺のIwに代入して整理することにより、式(5)が得られる。
Vb = 2・Vm−Vw……(5)
つまり、Vmを2倍して得られる値からVwを減ずることによって簡単にVbを算出することが可能となる。なお、本実施の形態では、推定に用いる組を2組としているが、これを変形して3組以上とし、推定の精度を上げるようにしてもよい。
【0041】
基準電圧生成回路375は、電圧サンプルホールド回路374に保持されている計測電位V1およびV2に基づいて、レベルがVwの基準電位V3およびレベルがVbの基準電位V4を生成して出力する。VwおよびVbは、駆動トランジスタTdrのゲートの電位Vgの推測値であり、Vwは駆動電流Ielが最大駆動電流となるときのレベル、Vbは電源電位Velから駆動トランジスタTdrの閾値電圧Vthを減じて得られるレベルである。出力電圧生成回路375は、基準電圧生成回路375から出力される基準電位V3および基準電位V4に基づいて、データ信号Vdata[j]の生成を行う。
【0042】
具体的には、図5に示すように、基準電圧生成回路375はオペアンプAおよび抵抗素子R1およびR2を備えている。オペアンプAの非反転入力端には計測電位V2が入力され、反転入力端には計測電位V1が抵抗素子R1を介して入力され、基準電位V4となる出力端は抵抗素子R2を介して反転入力端に接続されている。本実施の形態では、抵抗素子R1の抵抗値と抵抗素子R2の抵抗値は同一であるが、同一でない態様とすることも可能である。
【0043】
図7を参照して、出力電圧生成回路371の構成を説明する。図7に示すように、本実施の形態では、出力電圧生成回路371として、ラダー回路RRおよび選択回路3711を備えるものを採用している。これは一例に過ぎず、例えば、一般的なD/Aコンバータ(デジタル/アナログ変換器)を備えるものを出力電圧生成回路371として採用することも可能である。
【0044】
ラダー回路RRは、基準電位V3となる配線3712と、基準電位V4となる配線3713との間に、q個の抵抗素子RR1〜RRqを直列に接続して構成されている。配線3712、配線3713、および抵抗素子RR1〜RRqのq−1個の接続点は、それぞれ、選択回路3711に接続される。つまり、選択回路3711には、画像データが示すことができる全ての階調の各々に対応するレベルの電位が与えられる。選択回路3711は、与えられる電位から、供給されている画像データVD[j]に応じたレベルの電位を選択し、選択した電位のデータ信号Vdata[j]を出力する。なお、qは、画像データが示すことができる階調数から1を減じた自然数である。
【0045】
抵抗素子RR1〜RRqの抵抗値は、個別に定められる。具体的には、配線3712の電位のレベルを上限とし、配線3713の電位のレベルを下限とした場合に、上限および下限で定められるレベル範囲を適切に分割するレベルの電位が選択回路3711に与えられるように定められる。ここでいう「適切に分割」は、出力電圧生成回路371により画像データに応じて選択された電位が、当該画像データが示す階調に応じた光量での発光をもたらすように分割することを意味する。
【0046】
出力電圧生成回路371の構成は上述したものに限らない。例えば、図8に示す構成であってもよい。この構成によれば、回路規模を小さくすることができる。なお、この構成では、上限および下限で定められるレベル範囲の分割は等分割に限られる。しかし、薄膜トランジスタの特性が略二乗特性であるため、十分に実用的である。
【0047】
図9は、走査線駆動回路20Aおよびデータ線駆動回路30Aが生成する各信号の具体的な波形を示すタイミングチャートである。この図に示されるように、走査信号GWRT[1]ないしGWRT[m]は、水平走査期間(1H)ごとに順番にハイレベルとなる。すなわち、走査信号GWRT[i]は、垂直走査期間(1V)のうち第i番目の水平走査期間においてハイレベルを維持するとともにそれ以外の期間においてローレベルを維持する。走査信号GWRT[i]のハイレベルへの移行は第i行の各画素回路PAの選択を意味する。なお、図9においては走査信号GWRT[i]の立ち下がりとその次行の走査信号GWRT[i+1]の立ち上がりとを同時とした場合が例示されているが、走査信号GWRT[i]の立ち下がりから所定の時間が経過したタイミングで走査信号GWRT[i+1]が立ち上がる構成としてもよい。
【0048】
図9に示されるように、走査信号GWRT[i]がハイレベルとなる期間は、計測期間PMSR[i]の後に書込期間PWRT[i]を連ねた期間に一致する。計測期間PMSR[i]は、駆動トランジスタTdrの動作特性のバラツキを計測するための期間であり、書込期間PWRT[i]は、画像データが示す階調に応じた電圧を容量素子C1に書き込むための期間である。計測制御信号GMSR[i]は、計測期間PMSR[i]においてハイレベルとなり、その他の期間においてローレベルを維持する信号である。計測切替信号S7は、計測期間PMSR[i]においてハイレベルに維持され、書込期間PWRT[i]においてローレベルに維持される信号である。
【0049】
計測期間PMSR[i]は、前半のI1期間PI1[i]と後半のI2期間PI2[i]とに区分される。I1期間PI1[i]は、定電流源373が定電流I1を発生させる期間であり、I2期間PI2[i]は、定電流源373が定電流I2を発生させる期間である。I1指定信号S6-1は、I1期間PI1[i]においてハイレベルに維持され、I2期間PI2[i]および書込期間PWRT[i]においてローレベルに維持される信号である。I2指定信号S6-2は、I2期間PI2[i]においてハイレベルに維持され、I1期間PI1[i]および書込期間PWRT[i]においてローレベルに維持される信号である。発光制御信号GELA[i]は、書込期間PWRT[i]の経過後から、計測制御信号GMSR[i]がハイレベルとなる計測期間PMSR[i]の開始前までの期間(すなわち発光期間PE[i])にてハイレベルとなり、それ以外の期間(すなわち走査信号GWRT[i]がハイレベルとなる期間)にてローレベルとなる信号である。
【0050】
<B−2:動作>
次に、図10ないし図13を参照しながら画素回路PAの具体的な動作を説明する。以下では、第i行に属する第j列目の画素回路PAの動作を、計測期間PMSR[i]と書込期間PWRT[i]と発光期間PE[i]に区分し、計測期間PMSR[i]についてはI1期間PI1[i]とI2期間PI2[i]とに区分して説明する。
【0051】
(a)計測期間PMSR[i]
計測期間PMSR[i]においては、図9に示されるように、走査信号GWRT[i]および計測制御信号GMSR[i]がハイレベルを維持するとともに発光制御信号GELA[i]がローレベルを維持する。したがって、図10および図11に示されるように、トランジスタTaとTbはオン状態に遷移し、発光制御トランジスタTelはオフ状態を維持する。この状態においては、駆動トランジスタTdrがダイオード接続され、駆動トランジスタTdrのゲートとデータ線131とがトランジスタTaを介して導通する。また、計測期間PMSR[i]においては、計測切替信号S7がローレベルを維持する。したがって、図4のスイッチ372が端点P2側に切り替わり、データ線131に端点P2が接続された状態となる。
【0052】
(a−1)I1期間PI1[i]
I1期間PI1[i]においては、図9に示されるように、I1指定信号S6-1がハイレベルを維持するとともにI2指定信号S6-2がローレベルを維持する。したがって、図10に示すように、定電流源373は端点P2に定電流I1が流れるように働き、電圧サンプルホールド回路374は端点P2の電位Vref[j]を一定周期で繰り返しサンプルする。I1期間PI1[i]を含む計測期間PMSR[i]では、データ線131に端点P2が接続されており、データ線131はトランジスタTaを通じて駆動トランジスタTdrのゲートと導通しており、駆動トランジスタTdrはダイオード接続されているから、電流は、給電線14に端を発し、駆動トランジスタTdrのソース、駆動トランジスタTdrのドレイン、トランジスタTb、トランジスタTa、データ線131および端点P2を通る経路(以降、「計測経路」と称するのを流れる。I1期間PI1[i]の開始時点では、容量素子C1やデータ線131の寄生容量に電荷が蓄えられているから、端点P2を流れる電流の流路は計測経路に限らないが、ある程度の時間が経過すると、計測経路に限られる。発光装置DAでは、端点P2を流れる電流の流路が計測経路に限られているときの電位Vref[j]を確実にサンプルすることができるように、I1期間PI1[i]と電圧サンプルホールド回路374によるサンプルの繰り返し周期とが定められている。したがって、I1期間PI1[i]において電圧サンプルホールド回路374により最後にサンプルされる電位Vref[j]、すなわち計測電位V1を、駆動電流Ielが定電流I1であるときの電位Vgとみなすことができる。これが、計測電位V1をレベルがVwの電位とみなすことができる理由である。
【0053】
(a−2)I2期間PI2[i]
I2期間PI2[i]においては、図9に示されるように、I2指定信号S6-2がハイレベルを維持するとともにI1指定信号S6-1がローレベルを維持する。したがって、図11に示すように、定電流源373は端点P2に定電流I2が流れるように働き、電圧サンプルホールド回路374は端点P2の電位Vref[j]を一定周期で繰り返しサンプルする。I2期間PI2[i]における電流の流路はI1期間PI1[i]における電流の流路と同様であり、ある程度の時間が経過すると、計測経路のみに限られる。発光装置DAでは、端点P2を流れる電流の流路が計測経路に限られているときの電位Vref[j]を確実にサンプルすることができるように、I2期間PI2[i]と電圧サンプルホールド回路374によるサンプルの繰り返し周期とが定められている。したがって、I2期間PI2[i]において電圧サンプルホールド回路374により最後にサンプルされる電位Vref[j]、すなわち計測電位V2を、駆動電流Ielが定電流I2であるときの電位Vgとみなすことができる。
【0054】
計測期間PMSR[i]の終了時には、図4の電圧サンプルホールド回路374により、レベルがVwの計測電位V1およびレベルがVmの計測電位V2が保持されている。したがって、この時には、基準電圧生成回路375により生成される基準電位V3およびV4は、レベルがVwの計測電位V1およびレベルがVmの計測電位V2に基づいたものとなっており、出力電圧生成回路371の配線3712および3713(図7参照)の電位にもなっている。
【0055】
本実施の形態では、定電流I2のレベル(Im)は、定電流I1のレベル(Iw)の1/4であるから、定電流I2を流し始めてから端点P2を流れる電流の流路が計測経路に限られるまでの時間は、通常、定電流I1を流し始めてから端点P2を流れる電流の流路が計測経路に限られるまでの時間よりも長くなる。したがって、本実施の形態では、I1期間PI1[i]よりもI2期間PI2[i]が長くなるように両期間を定めている。なお、本実施の形態では、絶対値が小さな定電流I2に先立って絶対値が大きな定電流I1を流すようにしているが、このようにしているのは、計測期間PMSR[i]の開始時に容量素子C1に残存している電荷の量が一定ではなく、先に絶対値が小さな定電流I2を流すと、当該電荷を流し切る前に、すなわち電流の流路が計測経路に限られる前にI2期間PI2[i]が終わってしまう虞があるからである。
【0056】
(b)書込期間PWRT[i]
書込期間PWRT[i]においては、図9に示されるように、走査信号GWRT[i]がハイレベルを維持するとともに発光制御信号GELA[i]および計測制御信号GMSR[i]がローレベルを維持する。したがって、図12に示されるように、トランジスタTbはオフ状態に遷移し、トランジスタTaはオン状態を維持し、発光制御トランジスタTelはオフ状態を維持する。この状態においては、駆動トランジスタTdrのダイオード接続が解除される。また、書込期間PWRT[i]においては、計測切替信号S7がハイレベルを維持する。したがって、図4のスイッチ372が端点P1側に切り替わり、データ線131に端点P1が接続された状態となる。したがって、駆動トランジスタTdrのゲートの電位Vgはデータ信号Vdata[j]の電位となり、容量素子C1には電圧Vgs=Vel−Vdata[j]が書き込まれる。
【0057】
図5ないし図9から明らかなように、書込期間PWRT[i]において、出力生成回路371の配線3712の電位は、直前のI1期間PI1[i]において電圧サンプルホールド回路374にサンプルされて保持されている計測電位V1に基づく基準電位V3に維持され、配線3713の電位は、直前の計測期間PMSR[i]において電圧サンプルホールド回路374にサンプルされて保持されている計測電位V1およびV2に基づく基準電位V4に維持される。よって、書込期間PWRT[i]において出力生成回路371から出力されるデータ信号Vdata[j]は、画像データVD[j]に応じたレベルであって、直前の計測期間PMSR[i]において推定されたVwおよびVbをそれぞれ上限および下限とした範囲から選択されたレベル、つまり直前の計測期間PMSR[i]における駆動トランジスタTdrの動作特性に応じたレベルに維持される。したがって、書込期間PWRT[i]において容量素子C1に書き込まれる電圧Vgsのレベルは、駆動トランジスタTdrの動作特性に関わらず、画像データVD[1]が示す階調に応じた光量で発光素子11を発光させるレベルの駆動電流Ielを駆動トランジスタTdrから発光素子11に供給させるレベルとなる。
【0058】
(c)発光期間PE[i]
発光期間PE[i]においては、図9に示されるように、走査信号GWRT[i]および計測制御信号GMSR[i]がローレベルを維持するとともに発光制御信号GELA[i]がハイレベルを維持する。したがって、図13に示されるように、トランジスタTaはオフ状態に遷移し、トランジスタTbはオフ状態を維持し、発光制御トランジスタTelはオン状態を遷移する。この状態においては、容量素子C1は直前の書込期間PWRT[i]において書き込まれた電圧Vgsを保持し、この電圧Vgsに応じた駆動電流Ielが電源線から駆動トランジスタTdrおよび発光制御トランジスタTelを経由して発光素子11に供給される。この駆動電流Ielの供給によって、発光素子11は、容量素子C1に保持されている電圧Vgsに応じた光量、すなわち画像データVD[1]が示す階調、つまりは画像データが示す階調に応じた光量で発光する。
【0059】
上述した発光装置DAによれば、駆動トランジスタTdrのソースからドレインに向けて定電流を流しつつ駆動トランジスタTdrのゲートの電位Vgを計測するようにしているから、容量素子C1やデータ線131の寄生容量の影響を排した正確な計測を行うことができる。よって、画像データが示す階調に正確に応じた光量で発光素子11を発光させることができる。また、データ線131を用いて、駆動トランジスタTdrのソースからドレインに向けて定電流を流すこと、および、駆動トランジスタTdrのゲートの電位Vgを計測することができる。したがって、一般的な画素回路を用いることができる。
【0060】
また、発光装置DAでは、駆動トランジスタTdrのゲートの電位Vgの計測、駆動トランジスタTdrの動作特性の推定、および当該推定に基づくデータ信号Vdata[j]の補正は、RAM(Random Access Memory)等のメモリを必要としない簡素な構成(電圧サンプルホールド回路374、基準電圧生成回路375および出力電圧生成回路376)により迅速に行われる。したがって、発光素子11の発光前に、毎回、当該発光素子11に駆動電流Ielを供給する駆動トランジスタTdrについて、上記の計測、推定および補正を行うことができる。よって、駆動トランジスタTdrの動作特性の個体間でのバラツキのような静的なバラツキのみならず、温度変化や劣化等の要因による動的なバラツキについても、適切に補正することができる。
【0061】
<C:画素回路PAの変形例>
画素回路PAの構成は、図2に示すものに限らない。例えば、図14〜図19に示す構成であってもよい。
図14に示す構成では、発光制御トランジスタTelとしてpチャネル型のトランジスタが用られ、この発光制御トランジスタTelのゲートに走査線121が接続される。この構成を採るならば、発光制御線123は不要である。
図15に示す構成では、トランジスタTbのゲートに走査線121が接続される。この構成によれば、書込期間PWRT[i]において、トランジスタTbがオン状態となり、駆動トランジスタTdrのゲートとドレインとが導通するが、発光制御トランジスタTelはオフ状態となるから、容量素子C1に電圧が書き込まれても、発光素子11は発光しない。この構成を採るならば、計測制御線122は不要である。
図16に示す構成は、図14に示す構成と図15に示す構成とを組み合わせて得られる。この構成を採るならば、計測制御線122および発光制御線123は不要である。
図17に示す構成が図15に示す構成と異なるのは、駆動トランジスタTdrのゲートとデータ線131との導通/非導通を切り替えるトランジスタTaに代えて、駆動トランジスタTdrのドレインとデータ線131との導通/非導通を切り替えるトランジスタTcを備える点である。この構成を採るならば、計測制御線122は不要である。
図18に示す構成が図17に示す構成と異なるのは、発光制御トランジスタTelとしてpチャネル型のトランジスタが用いられ、この発光制御トランジスタTelのゲートに走査線121が接続される点である。この構成を採るならば、計測制御線122および発光制御線123は不要である。
図19に示す構成では、発光制御トランジスタTelとしてpチャネル型のトランジスタが用られ、この発光制御トランジスタTelのゲートに計測制御線122が接続される。この構成によれば、書込期間PWRT[i]において、発光制御トランジスタTelがオン状態となり、容量素子C1に書き込まれる電圧に応じた光量で発光素子11が発光する。つまり、書込期間PWRT[i]と発光期間PE[i]とが重なる。この構成を採るならば、発光制御線123は不要である。
図20に示す構成では、駆動トランジスタTdrのゲートとデータ線131との間にトランジスタTaが介挿され、駆動トランジスタTdrのドレインとデータ線131との間にトランジスタTcが介挿される。計測期間PMSR[i]においては、トランジスタTaおよびトランジスタTcがオン状態となり、駆動トランジスタTdrのゲートとドレインとがデータ線131を介して導通する。したがって、データ電圧がプログラムされた駆動トランジスタTdrの電流をデータ線に読み出すことができる。データ線には回路動作の検査を行う検査回路を接続し易いから、この構成によれば、回路動作の検査を容易に行うことができる。
また、画素回路PAの構成は、上述した各種の画素回路において、各トランジスタの導電型を反転させた構成であってもよい。
【0062】
<D:発光装置DB>
発光装置DBは、画素回路Pとして画素回路PBを、信号線13としてデータ線131および信号線132を、走査線駆動回路20として走査線駆動回路20Bを、データ線駆動回路30としてデータ線駆動回路30Bを備える。走査線駆動回路20Bおよびデータ線駆動回路30Bが出力する信号については後述する。
【0063】
図21は、画素回路PBの構成を示す回路図である。この図においては、第i行の第j列目に位置するひとつの画素回路PBのみが図示されているが、その他の画素回路PBも同様の構成である。図21に示されるように、図1において便宜的に1本の配線として図示された制御線12は、実際には4本の配線(走査線121・計測制御線122・発光制御線123・計測選択線124)を含む。また、図21に示されるように、図1において便宜的に1本の配線として図示された信号線13は、実際には2本の配線(データ線131・信号線132)を含む。図21に示されるように、画素回路PBの構成の一部は、図2に示す構成と同様である。画素回路PBが、画素回路Aと異なる点は、駆動トランジスタTdrのゲートと信号線132との間にnチャネル型のトランジスタTdが介挿され、このトランジスタTdのゲートが計測選択線124に接続される点である。
【0064】
計測選択線124には、走査線駆動回路20Bから所定の信号が供給される。例えば、第i行目の計測選択線124には、同行の画素回路PBを、計測のために選択するための計測選択信号GMSR1[i]が供給される。また、第i行目の計測制御線122には、計測制御信号GMSR[i]に代えて計測制御信号GMSR2[i]が供給される。さらに、第i行目の第i行目のには、発光制御信号GELAに代えて発光制御信号GELBが供給される。各信号の具体的な波形については後述する。信号線132は、駆動トランジスタTdrのゲートの電位を計測するための配線である。例えば、第j列目の画素回路PBについての計測では、第j列目の信号線132の電位Vrefが直接的な計測対象となる。信号線132が存在するため、データ線131の役割は、データ信号の供給に限定されている。
【0065】
図22は、データ線駆動回路30Bの構成を示すブロック図である。この図に示すように、データ線駆動回路30Bは、I/Fブロック31B、複数のデータ電圧出力ブロック37B、電流切替ライン33および走査回路ブロック36を含み、計測切替ライン32を含まない。I/Fブロック31Bは、画像データVD[j]に応じた電圧を容量素子C1に保持させる前に、毎回、駆動トランジスタTdrの動作特性のバラツキを計測するものであり、定電流I1およびI2を用いて上記の計測を行う。I/Fブロック31BがI/Fブロック31Aと異なる点は、計測切替信号S7を出力しない点と、電流指定信号S6に代えて電流指定信号S7を電流切替ライン33に出力する点である。
【0066】
図23は、データ電圧出力ブロック37Bの構成を示す図である。この図に示すように、データ電圧出力ブロック37Bは、出力電圧生成回路371、定電流源373、電圧サンプルホールド回路374および基準電圧生成回路375を含み、スイッチ372を含まない。出力電圧生成回路371によるデータ信号Vdata[j]の出力先はデータ線131であり、定電流源373および電圧サンプルホールド回路374は信号線132に接続されている。
【0067】
図23に示されるように、図22において便宜的に1本の配線として図示された電流指定ライン33は、実際には2本の配線を含み、定電流源373には、一方の配線からI1指定信号S8-1が供給され、他方の配線からI2指定信号S8-2が供給されている。定電流源373は、I1指定信号S8-1により指定された期間では定電流I1を、I2指定信号S8-1により指定された期間では定電流I2を発生させ、信号線132に流す。詳しくは後述するが、両期間が重なることはない。電圧サンプルホールド回路374は、2つの電位を保持可能であり、I1指定信号S8-1により指定された期間にあっては、信号線132の電位Vref[j]を一定周期で繰り返しサンプルし、最後にサンプルした電位を計測電位V1として保持し、I2指定信号S8-2により指定された期間にあっては、信号線132の電位Vref[j]を一定周期で繰り返しサンプルし、最後にサンプルした電位を計測電位V2として保持する。
【0068】
図24は、走査線駆動回路20Bおよびデータ線駆動回路30Bが生成する各信号の具体的な波形を示すタイミングチャートである。この図に示されるように、計測選択信号GMSR1[i]および計測制御信号GMSR2[i]は、垂直走査期間(1V)のうち第i−1番目の水平走査期間においてハイレベルを維持するとともにそれ以外の期間においてローレベルを維持する。計測制御信号GMSR2[i]のハイレベルへの移行は第i行の各画素回路PAについての計測の開始を意味し、ローレベルへの移行は当該計測の終了を意味する。したがって、発光装置DBでは、計測選択信号GMSR1[i]および計測制御信号GMSR2[i]がハイレベルとなる期間が計測期間PMSR[i]となる。よって、走査信号GWRT[i]がハイレベルとなる期間の全てが書込期間PWRT[i]となり、計測期間PMSR[i]と書込期間PWRT[i-1]とが一致する。なお、図24においては計測選択信号GMSR1[i]の立ち下がりとその次行の計測選択信号GMSR1[i+1]の立ち上がりとを同時とした場合が例示されているが、計測選択信号GMSR1[i]の立ち下がりから所定の時間が経過したタイミングで計測選択信号GMSR1[i+1]が立ち上がる構成としてもよい。このことは、計測制御信号GMSR2[i]にもあてはまる。
【0069】
I1指定信号S6-1は、計測期間PMSR[i]の前半のI1期間PI1[i]においてハイレベルに維持され、後半のI2期間PI2[i]においてローレベルに維持される信号である。I2指定信号S6-2は、I2期間PI2[i]においてハイレベルに維持され、I1期間PI1[i]においてローレベルに維持される信号である。発光制御信号GELB[i]は、書込期間PWRT[i]の経過後から、計測選択信号GMSR1[i]および計測制御信号GMSR2[i]がハイレベルとなる計測期間PMSR[i](書込期間PWRT[i-1])の開始前までの期間(すなわち発光期間PE[i])にてハイレベルとなり、それ以外の期間(すなわち走査信号GWRT[i]、計測選択信号GMSR1[i]または計測制御信号GMSR2[i]がハイレベルとなる期間)にてローレベルとなる信号である。
【0070】
上述した発光装置DBによれば、第i−1番目の水平走査期間では、第i−1行の画素回路PBにおいては、トランジスタTaがオン状態になり、且つトランジスタTbおよびTdがオフ状態になるから、電圧を容量素子C1に書き込むことが可能となり、第i行の画素回路PBにおいては、トランジスタTaがオフ状態になり、且つトランジスタTbおよびTdがオフ状態になるから、信号線132を介して駆動トランジスタTdrの電位Vg(Vref)を計測することが可能となる。第i−1番目の水平走査期間にて計測された電位は、電圧サンプルホールド回路374に保持されるから、第i番目の水平走査期間において第i−1行の第j列目の画素回路PBの駆動トランジスタTdrのゲートに与えられるデータ信号Vdata[j]は、当該駆動トランジスタTdrの動作特性に応じて補正されたものとなる。よって、発光装置DAと同様の効果を得ることができる。ただし、一般的な画素回路を用いることはできない。
【0071】
データ線の電位をデータ信号の電位とし、データ線と駆動トランジスタTdrのゲートとを導通させても、当該ゲートの電位が即座にデータ信号の電位となる訳ではない。ある程度の時間が必要である。したがって、発光品質を向上させる観点からすると、水平走査期間において、書込期間をできるだけ長く確保した方がよいことになる。一方、発光装置には、大画面化および高精細化の要請があり、水平走査期間は短くなる方向にある。よって、発光品質を向上させる観点からすると、水平走査期間において書込期間が占める割合を大きくすべきである。これに対し、発光装置DBによれば、第i−1番目の水平走査期間において、第i行目の画素回路PBについて前述の計測を行うことができるから、水平走査期間の全てを書込期間とすることができる。よって、発光装置DBによれば、発光品質を向上させることができる。
【0072】
<E:発光装置DBの変形例>
発光装置DBでは、第i行の画素回路PBについての計測を、第i−1番目の水平走査期間において行うようにしているが、これを変形し、第i−2番目の水平走査期間において行うようにしてもよい。これは一例に過ぎず、要は、上記の計測が行われる水平走査期間が第i番目の水平走査期間でなければよい。
発光装置DBを変形し、計測選択信号GMSR1[i]を計測制御信号GMSR2[i]として用いる構成としてもよい。この構成を採るならば、計測制御線122は不要である。
【0073】
<F:発光装置Dの変形例>
以上の各形態には様々な変形を加えることができる。具体的な変形の態様を例示すれば以下の通りである。なお、以下の各態様を適宜に組み合わせてもよい。
発光装置Dは計測電位V1および計測電位V2に基づいて駆動トランジスタTdrの動作特性を推定するように構成されているが、これを変形し、3種類以上の定電流を用いて3以上の電位を計測し、これらに基づいて駆動トランジスタTdrの動作特性を推定するようにしてもよい。この場合には、推定の精度、ひいては発光の品質が向上する。
発光装置Dは定電流I1およびI2を発生可能な定電流源373を備えているが、これを変形し、定電流I1を発生する第1定電流源と、定電流I2を発生する第2定電流源と、選択回路とを備えるようにしてもよい。この選択回路は、計測期間において、定電流I1と定電流I2とを各々選択し、データ線131または信号線132に流す定電流を切り替えるものである。また、第1定電流源および第2定電流源を各行のデータ電圧出力ブロックに共通して備えるようにしてもよい。この場合、選択回路を各行のデータ電圧出力ブロックに共通して備えるようにしてもよい。
また、発光装置Dは2種類の電位を保持および出力可能な電圧サンプルホールド回路374を備えているが、これを変形し、I1期間PI1においてデータ線131または信号線132の電位をサンプルして、サンプルした電位を計測電位V1として保持および出力可能な第1サンプルホールド回路と、I2期間PI2においてデータ線131または信号線132の電位をサンプルして、サンプルした電位を計測電位V2として保持および出力可能な第2サンプルホールド回路とを備えるようにしてもよい。
また、発光装置Dでは、計測電位V1およびV2に基づいて駆動トランジスタTdrの動作特性が推定され、全ての階調についてデータ信号Vdataを補正するようにしているが、これを変形し、一部の階調のみについてデータ信号Vdataを補正するようにしてもよい。例えば、推定された動作特性を複数の階調範囲に分割し、そのうちの1つの範囲についてだけデータ信号Vdataを補正するようにしてもよいし、各範囲について個別にデータ信号Vdataを補正するようにしてもよい。後者の具体例としては、3種類の定電流を流して第1電位、第2電位および第3電位を計測し、第1範囲の階調を示すデータ信号については第1電位および第2電位に基づいた補正を行い、第2範囲の階調を示すデータ信号については第2電位および第3電位に基づいた補正を行う、という態様を例示することができる。
また、発光装置Dは発光素子11としてOLED素子を採用しているが、これを変形し、発光素子11として無機EL素子やLED(Light Emitting Diode)素子を採用するようにしてもよい。これに限らず、発光素子11としては、電流により駆動され、駆動電流のレベルに応じて光量が変化する様々な発光素子を採用可能である。
【0074】
<G:応用例>
次に、以上に説明した何れかの形態に係る発光装置Dを利用した電子機器について説明する。図25は、発光装置Dを表示装置として採用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。パーソナルコンピュータ2000は、表示装置としての発光装置Dと本体部2010とを備える。本体部2010には、電源スイッチ2001およびキーボード2002が設けられている。この発光装置Dは発光素子11にOLED素子を使用しているので、視野角が広く見易い画面を表示できる。
【0075】
図26に、発光装置Dを適用した携帯電話機の構成を示す。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002、ならびに表示装置としての発光装置Dを備える。スクロールボタン3002を操作することによって、発光装置Dに表示される画面がスクロールされる。
【0076】
図27に、発光装置Dを適用した携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001および電源スイッチ4002、ならびに表示装置としての発光装置Dを備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が発光装置Dに表示される。
【0077】
なお、本発明に係る発光装置が適用される電子機器としては、図25から図27に示したもののほか、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、プリンタ、スキャナ、複写機、ビデオプレーヤ、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。また、本発明に係る発光装置の用途は画像の表示に限定されない。例えば、光書込み型のプリンタや電子複写機といった画像形成装置においては、用紙などの記録材に形成されるべき画像に応じて感光体を露光する書込みヘッドが使用されるが、この種の書込みヘッドとしても本発明の発光装置は利用される。本発明にいう単位回路とは、表示装置の画素を構成する画素回路のほか、画像形成装置における露光の単位となる回路をも含む概念である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施の形態に係る発光装置D(発光装置DA,DB)の構成を示す図である。
【図2】発光装置DA内の画素回路PA(画素回路P)の構成を示す回路図である。
【図3】発光装置DA内のデータ線駆動回路30Aの構成を示す図である。
【図4】発光装置DA内のデータ電圧出力ブロック37Aの構成を示す図である。
【図5】データ電圧出力ブロック37A内の基準電圧生成回路375の構成を示す回路図である。
【図6】画素回路Pの駆動トランジスタTdrのゲートの電位Vgに対する駆動電流Ielの平方根の特性を示す図である。
【図7】データ電圧出力ブロック37A内の出力電圧生成回路371の構成を示す図である。
【図8】出力電圧生成回路371の別の構成例を示す図である。
【図9】発光装置DA内の走査線駆動回路20Aおよびデータ線駆動回路30Aが生成する各信号の具体的な波形を示すタイミングチャートである。
【図10】I1期間における画素回路PAの具体的な動作を説明するための図である。
【図11】I2期間における画素回路PAの具体的な動作を説明するための図である。
【図12】書込期間における画素回路PAの具体的な動作を説明するための図である。
【図13】発光期間における画素回路PAの具体的な動作を説明するための図である。
【図14】画素回路PAの変形例を示す回路図である。
【図15】画素回路PAの変形例を示す回路図である。
【図16】画素回路PAの変形例を示す回路図である。
【図17】画素回路PAの変形例を示す回路図である。
【図18】画素回路PAの変形例を示す回路図である。
【図19】画素回路PAの変形例を示す回路図である。
【図20】画素回路PAの変形例を示す回路図である。
【図21】発光装置DB内の画素回路PB(画素回路P)の構成を示す回路図である。
【図22】発光装置DB内のデータ線駆動回路30Bの構成を示す図である。
【図23】データ線駆動回路30B内のデータ電圧出力ブロック37Bの構成を示す図である。
【図24】発光装置DB内の走査線駆動回路20Bおよびデータ線駆動回路30Bが生成する各信号の具体的な波形を示すタイミングチャートである。
【図25】本発明に係る電子機器の具体的な形態を示す斜視図である。
【図26】本発明に係る電子機器の具体的な形態を示す斜視図である。
【図27】本発明に係る電子機器の具体的な形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0079】
D(DA,DB)……発光装置、P(PA,PB)……画素回路、11……発光素子、12……制御線、121……走査線、122……計測制御線、123……発光制御線、124……計測選択線、13……信号線、131……データ線、132……信号線、14……給電線、20(20A.20B)……走査線駆動回路、30(30A,30B)……データ線駆動回路、31A,31B……I/Fブロック、32……計測切替ライン、33……電流切替ライン、36……走査回路ブロック、37A,37B……データ電圧出力ブロック、371……出力電圧生成回路、372……スイッチ、373……定電流源(第1電流源、第2電流源および選択回路)、374……電圧サンプルホールド回路(第1サンプルホールド回路および第2サンプルホールド回路)、375……基準電圧生成回路、Tdr……駆動トランジスタ、Tel……発光制御トランジスタ、Ta,Tb,Tc,Td……トランジスタ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流駆動型の発光素子の挙動を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電流駆動型の発光素子は、電流により駆動され、駆動電流のレベルに応じた光量で発光する素子であり、典型的には、階調を示す信号を受けて当該階調に応じた光量で発光する発光装置の光源として用いられる。この種の発光装置として、発光素子を含む複数の単位回路をマトリクス状に備え、画像を構成する複数の画素の各々の階調を示す画像データを受け、この画像データに応じて複数の単位回路を駆動することにより当該画像を表示する表示装置がある。
【0003】
この種の表示装置において、発光素子は画像を構成する単位である画素となる。よって、以降、この種の表示装置の単位回路を「画素回路」とも称する。画素回路は、画像データに応じた信号を受けて内部の発光素子の光量を制御する回路であり、この信号に応じたレベルの駆動電流を生成する駆動トランジスタを備える。駆動トランジスタは、電源電位が供給されるソースとゲートとの間の電圧Vgsに応じた電流をドレインから出力するトランジスタであり、画素回路では、この電流が駆動電流として用いられる。
【0004】
駆動トランジスタの動作特性には個体差によるバラツキがあるから、上記の表示装置において、表示される画像の階調に画素間でバラツキが生じる虞がある。そこで、例えば特許文献1には、駆動トランジスタの閾値電圧のバラツキを補正(補償)する技術が開示されている。
【特許文献1】米国特許第6,229,506号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、駆動トランジスタの動作特性のバラツキには、移動度等の、閾値電圧のバラツキ以外のバラツキも含まれる。したがって、閾値電圧のバラツキを十分に補正することができたとしても、それだけでは不十分である。そもそも、駆動トランジスタの動作特性のバラツキを十分に補正することができたとしても、画像データが示す階調に正しく応じた光量で発光素子を発光させることができるとは限らない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、駆動トランジスタの動作特性に関わらず、画像データが示す階調に正しく応じた光量で発光素子を発光させることができる単位回路の駆動方法、発光装置およびその駆動方法、データ線駆動回路、および電子機器の提供を解決課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
駆動トランジスタは、飽和領域において2乗特性を示すので、駆動トランジスタの電圧Vgsとそのときの駆動電流との組が少なくとも2つ判ればその動作特性を推定することができる。そして、駆動トランジスタの動作特性が判れば、駆動トランジスタの動作特性の個体間でのバラツキを補正することができる。本発明は、このような思想に基づいて、上述した課題を解決するものであり、その具体的な構成は以下に説明する通りである。
【0007】
本発明に係る単位回路の駆動方法(第1駆動方法)は、駆動電流のレベルに応じた光量で発光する発光素子と、前記駆動電流を前記発光素子に供給する駆動トランジスタとを備えた単位回路に前記駆動電流のレベルを定めるデータ信号を供給して、階調を示す画像データに応じた前記データ信号を用いて前記発光素子の光量を制御する単位回路の駆動方法であって、前記駆動トランジスタのゲートとドレインとを電気的に接続した状態で、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第1電流を流しつつ前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の電圧を第1電圧として計測し、前記駆動トランジスタのゲートとドレインとを電気的に接続した状態で、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第2電流を流しつつ前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の電圧を第2電圧として計測し、前記発光素子の光量が前記画像データの示す階調となるように、前記第1電流と前記第1電圧の組および前記第2電流と前記第2電圧の組に基づいて、前記駆動トランジスタの動作特性のバラツキを補正して前記画像データが示す階調に応じた前記データ信号を生成し、前記データ信号を前記駆動トランジスタのゲートに供給する、ことを特徴とする。
第1駆動方法においては、駆動トランジスタをダイオード接続した状態で、駆動トランジスタのソースからドレインに向けて電流(第1電流および第2電流)を流しつつ駆動トランジスタのソースとゲートの間の電圧(第1電圧および第2電圧)を計測することにより、第1電流と第1電圧の組および第2電流と第2電圧の組が求められ、これら2つの組に基づいて、画像データが示す階調に応じたデータ信号が生成され、駆動トランジスタのゲートに供給される。データ信号の生成では、上記の思想に基づいて、駆動トランジスタの動作特性のバラツキが補正される。つまり、データ信号は、供給先の駆動トランジスタに、画像データが示す階調に応じた光量で発光素子を発光させるレベルの駆動電流を生成させる信号となる。よって、第1駆動方法によれば、駆動トランジスタの動作特性に関わらず、画像データが示す階調に正しく応じた光量で発光素子を発光させることができる。
上記の組を求める方法としては、駆動トランジスタのソースからドレインに向けて定電流を流しつつ当該駆動トランジスタの電圧Vgsを計測する方法と、駆動トランジスタの電圧Vgsを定電圧としつつ駆動トランジスタのソースからドレインに向けて流れる電流を計測する方法とがある。いずれの方法であっても、電圧や電流を計測するための配線が必要となるが、後者の方法では、この配線の寄生容量が電圧の計測に影響し、計測の精度が低くなってしまう。これに対して、第1駆動方法では、前者の方法を採用しているから、上記の寄生容量が電流の計測に影響せず、計測の精度を高く維持することができる。つまり、第1駆動方法によれば、駆動トランジスタの動作特性に関わらず、画像データが示す階調に正確に応じた光量で発光素子を発光させることができる。
第1駆動方法は、駆動対象の単位回路として、「データ信号を駆動トランジスタのゲートに供給するための配線」を備えた回路を前提としている。この配線を用いれば、駆動トランジスタのソースからドレインに向けて定電流を流すことも、駆動トランジスタのソースとゲートの間の電圧を計測することも可能となる。この配線を備えた単位回路は一般的であり、例えば、表示装置の画素回路として普及している。よって、第1駆動方法によれば、一般的な単位回路を変更することなく、上述した各種効果を得ることも可能である。
第1駆動方法には、第1電流と第1電圧の組および第2電流と第2電圧の組のみならず、これらの組と同様に求められる他の組にも基づいて、駆動トランジスタの動作特性のバラツキを補正する駆動方法が含まれる。つまり、駆動トランジスタの動作特性のバラツキを補正する際に基づく組の数は3以上であってもよい。基づく組が多ければ多いほど、補正の精度が向上する。
第1駆動方法には、駆動トランジスタの動作特性を複数の階調範囲に分割し、そのうちの1つの階調範囲についてだけ補正を行う方法や、各階調範囲について個別に補正を行う方法が含まれる。前者の方法としては、第1階調と第2階調の間の階調範囲についてだけ、第1電流と第1電圧の組および第2電流と第2電圧の組に基づいて、駆動トランジスタの動作特性のバラツキを補正する方法を例示することができる。後者の方法としては、或る階調範囲については複数の組に基づいて駆動トランジスタの動作特性のバラツキを補正し、別の階調範囲については当該複数の組とは完全には一致しない他の複数の組に基づいて駆動トランジスタの動作特性のバラツキを補正する方法を例示することができる。
また、「駆動トランジスタの動作特性のバラツキ」とは、基準の動作特性(例えば、理想的な動作特性)から、計測の対象となる駆動トランジスタの動作特性の差分を意味する。そして、駆動トランジスタの動作特性が基準の動作特性である場合に、発光素子の光量が画像データの示す階調となる。
【0008】
第1駆動方法において、前記画像データを前記データ信号に変換する工程では、前記第1電流と前記第1電圧の組および前記第2電流と前記第2電圧の組に基づいて、前記画像データの最大階調に対応する前記データ信号の電圧と、前記画像データの最小階調に対応する前記データ信号の電圧を生成し、生成した電圧に基づいて、前記駆動トランジスタの動作特性のバラツキを補正して前記画像データが示す階調に応じた前記データ信号を生成する、ようにしてもよい。
【0009】
本発明に係る別の単位回路の駆動方法(第2駆動方法)は、駆動電流のレベルに応じた光量で発光する発光素子と、前記駆動電流を前記発光素子に供給する駆動トランジスタと、前記駆動トラジスタのゲートとドレインとの間に設けられた第1トランジスタと、前記駆動トランジスタのゲートまたはドレインとデータ線との間に設けられた第2トランジスタとを備えた単位回路に前記データ線を通じて前記駆動電流のレベルを定めるデータ信号を所定期間毎に供給して、階調を示す画像データに応じた前記データ信号を用いて前記発光素子の光量を制御する単位回路の駆動方法であって、前記所定期間では、前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタがオン状態となる計測期間において、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第1電流を流しつつ、前記データ線の電圧を前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の電圧を第1電圧として計測し、前記計測期間において、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第2電流を流しつつ、前記データ線の電圧を前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の第2電圧として計測し、前記発光素子の光量が前記画像データの示す階調となるように、前記第1電流と前記第1電圧の組および前記第2電流と前記第2電圧の組に基づいて、前記駆動トランジスタの動作特性のバラツキを補正して前記画像データが示す階調に応じた前記データ信号を生成し、前記第1トランジスタがオフ状態となり、且つ第2トランジスタがオン状態となる書込期間に前記データ信号を前記データ線に供給することによって前記駆動トランジスタのゲートに供給する、ことを特徴とする。
この駆動方法によれば、第1駆動方法により得られる効果と同様の効果を得ることができる。また、この駆動方法によれば、所定期間毎に、毎回、上記の計測および補正が行われるから、駆動トランジスタの動作特性の個体間でのバラツキのような静的なバラツキのみならず、温度変化や劣化等の要因による動的なバラツキについても、適切に補正することができる。
【0010】
本発明に係る発光装置の駆動方法は、データ線と、前記データ線と対になるように設けられた信号線と、複数の走査線と、前記データ線と前記複数の走査線の交差に対応して設けられた複数の画素回路とを備え、前記複数の画素回路の各々は、駆動電流のレベルに応じた光量で発光する発光素子と、前記駆動電流を前記発光素子に供給する駆動トランジスタと、前記駆動トラジスタのゲートとドレインとの間に設けられた第1トランジスタと、前記駆動トランジスタのゲートと前記データ線との間に設けられた第2トランジスタと、前記駆動トランジスタのゲートと前記信号線との間に設けられた第3トランジスタとを有する、発光装置の駆動方法であって、前記複数の画素回路の各々を対応する走査線毎に水平走査期間だけ順に選択し、前記複数の画素回路の各々では、当該画素回路とは異なる他の画素回路が選択される第1水平走査期間において、前記第1トランジスタおよび前記第3トランジスタをオン状態とし、且つ前記第2トランジスタをオフ状態とし、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第1電流を流しつつ、前記データ線の電圧を前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の電圧を第1電圧として計測し、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第2電流を流しつつ、前記データ線の電圧を前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の第2電圧として計測し、前記発光素子の光量が前記画像データの示す階調となるように、前記第1電流と前記第1電圧の組および前記第2電流と前記第2電圧の組に基づいて、前記駆動トランジスタの動作特性のバラツキを補正して前記画像データが示す階調に応じた前記データ信号を生成し、当該画素回路が選択される第2水平走査期間において、前記第1トランジスタおよび前記第3トランジスタをオフ状態とし、且つ前記第2トランジスタをオン状態とし、前記データ信号を前記データ線に供給する、ことを特徴とする。
この駆動方法によれば、第1駆動方法により得られる効果と同様の効果を得ることができる。ただし、駆動対象は、データ線と対になるように設けられた信号線を備えた発光装置に限られる。
また、この駆動方法においては、1本の走査線に対応する画素回路に注目すると、駆動トランジスタの電圧Vgsの計測は、当該画素回路が選択される水平走査期間外の期間に行われる。したがって、この駆動方法によれば、この計測を当該水平走査期間内に行う場合に比較して、当該水平走査期間における、当該複数の画素回路の駆動トランジスタのゲートにデータ信号が供給される期間の割合を大きくすることができる。これは、以下に述べる理由により、発光品質の向上につながる。
駆動トランジスタのゲートへのデータ信号の供給を開始しても、駆動トランジスタの電圧Vgsが当該データ信号に応じた電圧になるまでには、ある程度の時間を要する。つまり、発光品質を向上させる観点からすると、水平走査期間において、駆動トランジスタのゲートへデータ信号が供給される時間をできるだけ長く確保した方がよいことになる。一方、発光装置には、大画面化および高精細化の要請があり、水平走査期間の短縮が必要である。よって、水平走査期間において、駆動トランジスタのゲートにデータ信号を供給する期間の割合が大きくなることが、発光品質の向上につながるのである。
【0011】
第2駆動方法を除く上記の各駆動方法には、発光素子が繰り返し発光する場合に、上記の計測および補正を毎回行う方法だけでなく、最初の1回または複数回だけ行う方法や、間歇的に行う方法も含まれる。間歇的に行う方法としては、所定の回数毎に繰り返し行う方法も含まれる。
【0012】
本発明に係る発光装置(第1発光装置)は、複数のデータ線と、複数の走査線と、前記複数のデータ線の各々にデータ信号を供給するデータ線駆動回路と、前記複数のデータ線と前記複数の走査線の交差に対応して設けられた複数の画素回路とを備え、前記複数の画素回路の各々は、駆動電流のレベルに応じた光量で発光する発光素子と、前記駆動電流を前記発光素子に供給する駆動トランジスタと、前記駆動トラジスタのゲートとドレインとの間に設けられた第1トランジスタと、前記駆動トランジスタのゲートまたはドレインと前記データ線との間に設けられた第2トランジスタとを有し、前記データ線駆動回路は、前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタがオン状態となる計測期間において、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第1電流を流しつつ、前記データ線の電圧を前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の電圧を第1電圧として計測し、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第2電流を流しつつ、前記データ線の電圧を前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の第2電圧として計測する計測手段と、前記発光素子の光量が前記画像データの示す階調となるように、前記第1電流と前記第1電圧の組および前記第2電流と前記第2電圧の組に基づいて、前記駆動トランジスタの動作特性のバラツキを補正して前記画像データが示す階調に応じた前記データ信号を生成する信号生成手段とを備える、ことを特徴とする。
第1発光装置においては、計測期間において、駆動トランジスタのソースからドレインに向けて電流(第1電流および第2電流)を流しつつ駆動トランジスタのソースとゲートの間の電圧(第1電圧および第2電圧)を計測することを、第2トランジスタおよびデータ線を通じて行うことにより、第1電流と第1電圧の組および第2電流と第2電圧の組が求められ、これら2つの組に基づいて、画像データが示す階調に応じたデータ信号が生成さる。この生成では、前述の思想に基づいて、駆動トランジスタの動作特性のバラツキが補正される。よって、第1発光装置によれば、第1駆動方法により得られる効果と同様の効果を得ることができる。なお、第2トランジスタおよびデータ線は、第1トランジスタがオフ状態であり、且つ第2トランジスタがオン状態である場合、すなわちデータ信号を駆動トランジスタのゲートに正しく供給可能である場合に、前述の「データ信号を駆動トランジスタのゲートに供給するための配線」を構成する要素となる。
また、第1発光装置においては、データ線およびオン状態の第2トランジスタに代表される、データ信号を駆動トランジスタのゲートに供給するための配線を用いて、駆動トランジスタのソースからドレインに向けて所定値の電流を流している。この配線を備えた画素回路は一般的であり、広く普及している。よって、この発光装置によれば、一般的な画素回路を用いつつ、上述した各種効果を得ることができる。
【0013】
第1発光装置において、前記第2トランジスタは前記駆動トランジスタのドレインと前記データ線との間に設けられ、前記第1トランジスタは前記駆動トランジスタのゲートと前記データ線との間に設けられ、前記駆動トラジスタのゲートとドレインは、前記第1トランジスタ、前記データ線および前記第2トランジスタを含む経路で結ばれている、ようにしてもよい。この態様では、第1トランジスタは、駆動トラジスタのゲートとドレインとの間の経路上に設けられる。つまり、第1トランジスタは、駆動トラジスタのゲートとドレインとの間に設けられることになる。よって、第1発光装置により得られる各種効果を得ることができる。また、この態様によれば、データ電圧がプログラムされた駆動トランジスタの電流をデータ線に読み出すことができる。データ線には回路動作の検査を行う検査回路を接続し易いから、この態様によれば、回路動作の検査を容易に行うことができる。
【0014】
本発明に係る別の発光装置(第2発光装置)は、複数のデータ線と、前記複数のデータ線と対になるように設けられた複数の信号線と、複数の走査線と、前記複数のデータ線の各々にデータ信号を供給するデータ線駆動回路と、前記複数のデータ線と前記複数の走査線の交差に対応して設けられた複数の画素回路とを備え、前記複数の画素回路の各々は、駆動電流のレベルに応じた光量で発光する発光素子と、前記駆動電流を前記発光素子に供給する駆動トランジスタと、前記駆動トラジスタのゲートとドレインとの間に設けられた第1トランジスタと、前記駆動トランジスタのゲートと前記データ線との間に設けられた第2トランジスタと、前記駆動トランジスタのゲートと前記信号線との間に設けられた第3トランジスタとを有し、前記データ線駆動回路は、前記第1トランジスタおよび前記第3トランジスタがオン状態となり、且つ前記第2トランジスタがオフ状態となる計測期間において、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第1電流を流しつつ、前記データ線の電圧を前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の電圧を第1電圧として計測し、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第2電流を流しつつ、前記データ線の電圧を前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の第2電圧として計測する計測手段と、前記発光素子の光量が前記画像データの示す階調となるように、前記第1電流と前記第1電圧の組および前記第2電流と前記第2電圧の組に基づいて、前記駆動トランジスタの動作特性のバラツキを補正して前記画像データが示す階調に応じた前記データ信号を生成し、前記第1トランジスタおよび第3トランジスタがオフ状態となり、且つ前記第2トランジスタがオン状態となる書込期間に前記データ信号を前記データ線に供給する信号生成手段とを備える、ことを特徴とする。
第2発光装置においては、計測期間において、駆動トランジスタのソースからドレインに向けて電流(第1電流および第2電流)を流しつつ駆動トランジスタのソースとゲートの間の電圧(第1電圧および第2電圧)を計測することを、第3トランジスタおよび信号線を通じて行うことにより、第1電流と第1電圧の組および第2電流と第2電圧の組が求められ、これら2つの組に基づいて、画像データが示す階調に応じたデータ信号が生成される。この生成では、前述の思想に基づいて、駆動トランジスタの動作特性のバラツキが補正される。生成されたデータ信号は、書込期間において、データ線からオン状態の第3トランジスタを通じて駆動トランジスタのゲートに正しく供給される。よって、第2発光装置によれば、第1駆動方法により得られる効果と同様の効果を得ることができる。
ただし、第2発光装置は、データ信号を駆動トランジスタのゲートに供給するための配線とは別に、駆動トランジスタのソースからドレインに向けて所定値の電流を流すため、および駆動トランジスタのソースとゲートの間の電圧を計測するための信号線を備えている。したがって、第2発光装置によれば、一般的な画素回路をそのまま用いることはできない。その代わり、画素回路が選択される水平走査期間において、当該画素回路の駆動トランジスタのゲートにデータ信号が供給される期間の割合を大きくすることができる。具体的には、或る走査線に対応する画素回路が選択されて書込期間を迎えたときには、当該画素回路において、第2トランジスタがオン状態になり、第1トランジスタおよび第3トランジスタがオフ状態になるようにする一方、当該画素回路の直後に書き込み期間を迎える画素回路において、第2トランジスタがオフ状態になり、第1トランジスタおよび第3トランジスタがオン状態になるようにすれば、上記の割合を大きくすることができる。上記の割合の増大は、前述したように、発光品質の向上につながる。
【0015】
第1発光装置または第2発光装置において、前記計測手段は、前記第1電流を発生する第1電流源と、前記第2電流を発生する第2電流源と、前記計測期間において前記第1電流と前記第2電流を各々選択して前記データ線に供給する選択回路と、前記選択回路が前記第1電流を選択する期間において前記データ線の電圧をサンプルして、サンプルした電圧をホールドして前記第1電圧を出力する第1サンプルホールド回路と、前記選択回路が前記第2電流を選択する期間において前記データ線の電圧をサンプルして、サンプルした電圧をホールドして前記第2電圧を出力する第2サンプルホールド回路と、を備える、ようにしてもよい。
この態様によれば、計測の開始から補正の完了までの時間を、計測の結果をコンピュータで処理する場合に比較して、遥かに短くすることができる。したがって、例えば、発光素子を繰り返し発光させる場合に、当該発光素子を発光させる前に、毎回、当該発光素子に駆動電流を供給する駆動トランジスタについて、上記の計測および補正を行うことも可能である。よって、この態様によれば、駆動トランジスタの動作特性の個体間でのバラツキのような静的なバラツキのみならず、温度変化や劣化等の要因による動的なバラツキについても、適切に補正することができる。また、この態様によれば、計測した電圧がサンプルホールド回路により保持されるから、計測の結果をコンピュータで処理する場合はもちろん、計測した電圧をメモリに保持させる場合と比較しても、構成が遥かに簡素となる。これは、例えば、製造コストの低減につながる。
【0016】
第1発光装置または第2発光装置において、前記信号生成手段は、前記第1電流と前記第1電圧の組および前記第2電流と前記第2電圧の組に基づいて、前記画像データの最大階調に対応する前記データ信号の電圧と、前記画像データの最小階調に対応する前記データ信号の電圧を生成する電圧生成手段と、前記電圧生成手段で生成した電圧に基づいて、前記駆動トランジスタの動作特性のバラツキを補正して前記画像データが示す階調に応じた前記データ信号を生成する補正手段と、を備える、ようにしてもよい。
【0017】
本発明に係る電子機器は、上記の発光装置のいずれか1つを備える。よって、備える発光装置により得られる効果を奏する。
【0018】
本発明に係るデータ線駆動回路は、複数のデータ線と、複数の走査線と、前記複数のデータ線と前記複数の走査線の交差に対応して設けられた複数の画素回路とを備え、前記複数の画素回路の各々は、駆動電流のレベルに応じた光量で発光する発光素子と、前記駆動電流を前記発光素子に供給する駆動トランジスタと、前記駆動トラジスタのゲートとドレインとの間に設けられた第1トランジスタと、前記駆動トランジスタのゲートまたはドレインと前記データ線との間に設けられた第2トランジスタとを有する発光装置に用いられ、前記複数のデータ線の各々にデータ信号を供給するデータ線駆動回路であって、前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタがオン状態となる計測期間において、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第1電流を流しつつ、前記データ線の電圧を前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の電圧を第1電圧として計測し、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第2電流を流しつつ、前記データ線の電圧を前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の第2電圧として計測する計測手段と、前記発光素子の光量が前記画像データの示す階調となるように、前記第1電流と前記第1電圧の組および前記第2電流と前記第2電圧の組に基づいて、前記駆動トランジスタの動作特性のバラツキを補正して前記画像データが示す階調に応じた前記データ信号を生成する信号生成手段とを備える、ことを特徴とする。
このデータ線駆動回路によれば、計測期間において、駆動トランジスタのソースからドレインに向けて電流(第1電流および第2電流)を流しつつ駆動トランジスタのソースとゲートの間の電圧(第1電圧および第2電圧)を計測することを、第2トランジスタおよびデータ線を通じて行うことにより、第1電流と第1電圧の組および第2電流と第2電圧の組を求め、これら2つの組に基づいて、画像データが示す階調に応じたデータ信号を生成することができる。この生成では、前述の思想に基づいて、駆動トランジスタの動作特性のバラツキが補正される。よって、このデータ線駆動回路によれば、第1発光装置により得られる効果と同様の効果を得ることができる。
【0019】
本発明に係る別のデータ線駆動回路は、複数のデータ線と、前記複数のデータ線と対になるように設けられた複数の信号線と、複数の走査線と、前記複数のデータ線と前記複数の走査線の交差に対応して設けられた複数の画素回路とを備え、前記複数の画素回路の各々は、駆動電流のレベルに応じた光量で発光する発光素子と、前記駆動電流を前記発光素子に供給する駆動トランジスタと、前記駆動トラジスタのゲートとドレインとの間に設けられた第1トランジスタと、前記駆動トランジスタのゲートと前記データ線との間に設けられた第2トランジスタと、前記駆動トランジスタのゲートと前記信号線との間に設けられた第3トランジスタとを有する発光装置に用いられ、前記複数のデータ線の各々にデータ信号を供給するデータ線駆動回路であって、前記第1トランジスタおよび前記第3トランジスタがオン状態となり、且つ前記第2トランジスタがオフ状態となる計測期間において、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第1電流を流しつつ、前記データ線の電圧を前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の電圧を第1電圧として計測し、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第2電流を流しつつ、前記データ線の電圧を前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の第2電圧として計測する計測手段と、前記発光素子の光量が前記画像データの示す階調となるように、前記第1電流と前記第1電圧の組および前記第2電流と前記第2電圧の組に基づいて、前記駆動トランジスタの動作特性のバラツキを補正して前記画像データが示す階調に応じた前記データ信号を生成し、前記第1トランジスタおよび第3トランジスタがオフ状態となり、且つ前記第2トランジスタがオン状態となる書込期間に前記データ信号を前記データ線に供給する信号生成手段とを備える、ことを特徴とする。
このデータ線駆動回路によれば、計測期間において、駆動トランジスタのソースからドレインに向けて電流(第1電流および第2電流)を流しつつ駆動トランジスタのソースとゲートの間の電圧(第1電圧および第2電圧)を計測することを、第3トランジスタおよび信号線を通じて行うことにより、第1電流と第1電圧の組および第2電流と第2電圧の組を求め、これら2つの組に基づいて、画像データが示す階調に応じたデータ信号を生成することができる。この生成では、前述の思想に基づいて、駆動トランジスタの動作特性のバラツキが補正される。生成されたデータ信号は、書込期間において、データ線からオン状態の第3トランジスタを通じて駆動トランジスタのゲートに正しく供給される。よって、このデータ線駆動回路によれば、第2発光装置により得られる効果と同様の効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
<A:発光装置D>
図1は、本発明の実施の形態に係る発光装置Dの構成を示すブロック図である。この発光装置Dは、画像を表示するための手段として各種の表示装置に採用される装置であり、複数の画素回路Pが面状に配列された画素アレイ部10と、各画素回路Pを駆動する走査線駆動回路20およびデータ線駆動回路30と、発光装置Dで利用される各電圧を生成する電圧生成回路(図示略)とを有する。なお、走査線駆動回路20、データ線駆動回路30および電圧生成回路を、その一部または全部が単一の回路となるように構成してもよい。また、走査線駆動回路20(あるいはデータ線駆動回路30や電圧生成回路)は、複数のICチップに区分された態様で発光装置Dに実装されてもよい。
【0021】
図1に示されるように、画素アレイ部10には、X方向に延在するm本の制御線12と、X方向と直交するY方向に延在するn本の信号線13と、各信号線13に対をなしてY方向に延在するn本の給電線14とが形成される(mおよびnは自然数)。各画素回路Pは、信号線13および給電線14の対と制御線12との交差に対応する位置に配置される。したがって、これらの画素回路PAは、縦m行×横n列のマトリクス状に配列する。
【0022】
電圧生成回路(図示略)は、電源の高位側の電位(以下「電源電位」という)Velおよび低位側の電位(以下「接地電位」という)Gndを生成する。電源電位Velは、総ての給電線14に対して共通に出力されて各画素回路Pに供給される。
【0023】
走査線駆動回路20は、複数の画素回路Pを水平走査期間ごとに行単位で選択するための回路であり、図示しない制御回路から供給される信号S1に応じた信号を制御線12に出力し、水平走査期間毎に1行分(n個)の画素回路Pを順次選択する。走査線駆動回路20が出力する信号の内容については後述する。上記制御回路は、階調を示す画像データを入力して画素回路Pの発光を制御する回路であり、入力した画像データに応じた信号S1およびS2を走査線駆動回路20およびデータ線駆動回路30へ供給する。
【0024】
データ線駆動回路30は、上記制御回路から供給される信号S2に応じた信号を信号線13へ出力する。信号S2には階調を示す画像データが含まれており、データ線駆動回路30は、水平走査期間を迎えている1行分(n個)の画素回路Pの各々に対応するデータ信号(後述のデータ信号Vdata[1]ないしVdata[n])を生成して各信号線13に出力する。第i行(iは1≦i≦mを満たす整数)が選択される水平走査期間において第j列目(jは1≦j≦nを満たす整数)の信号線13に出力されるデータ信号の電位は、第i行の第j列目に位置する画素回路Pに対して指定された階調に対応するレベルとなる。
【0025】
詳しくは後述するが、画素回路Pは発光素子11および駆動トランジスタTdrを備え、データ線駆動回路30は、駆動トランジスタTdrのゲートの電位Vgを計測して当該駆動トランジスタTdrの動作特性を推定し、この推定の結果に基づいた補正を行ってデータ信号を生成し、このデータ信号を信号線13経由で当該駆動トランジスタTdrのゲートに供給する。発光装置Dには、上記の計測と上記の供給を同一の配線により行う発光装置DAと、異なる配線により行う発光装置DBとがある。
【0026】
<B:発光装置DA>
<B−1:構成>
発光装置DAは、画素回路Pとして画素回路PAを、信号線13としてデータ線131を、走査線駆動回路20として走査線駆動回路20Aを、データ線駆動回路30としてデータ線駆動回路30Aを備える。
【0027】
図2は、画素回路PAの構成を示すブロック図である。この図においては、第i行の第j列目に位置するひとつの画素回路PAのみが図示されているが、その他の画素回路PAも同様の構成である。同図に示されるように、画素回路PAは、電源電位Velが供給される給電線14と接地電位Gndが供給される接地線との間に介挿された発光素子11を含む。発光素子11は、これに供給される駆動電流Ielに応じた輝度で発光する電流駆動型の発光素子であり、典型的には、有機EL(Electro Luminescent)材料からなる発光層を陽極と陰極との間に介在させたOLED(Organic Light Emitting Diode)素子である。
【0028】
図2に示されるように、図1において便宜的に1本の配線として図示された制御線12は、実際には3本の配線(走査線121・計測制御線122・発光制御線123)を含む。各配線には走査線駆動回路20Aから所定の信号が供給される。例えば、第i行目の走査線121には、同行の画素回路PAを選択するための走査信号GWRT[i]が供給される。また、計測制御線122には、電位Vgの計測を制御するための計測制御信号GMSR[i]が供給される。さらに、発光制御線123には、発光素子11が実際に発光する期間を規定する発光制御信号GELA[i]が供給される。各信号の具体的な波形やこれに応じた画素回路PAの動作については後述する。
【0029】
図2に示されるように、給電線14から発光素子11の陽極に至る経路にはpチャネル型の駆動トランジスタTdrとnチャネル型の発光制御トランジスタTelとが介挿される。駆動トランジスタTdrは、ソースとゲートの間の電圧Vgsに応じた駆動電流Ielを生成するためのトランジスタ(実際には薄膜トランジスタ)であり、そのソースが給電線14に接続されるとともにドレインが発光制御トランジスタTelのドレインに接続される。発光制御トランジスタTelは、駆動電流Ielが実際に発光素子11に供給される期間を規定するためのトランジスタであり、そのソースが発光素子11の陽極に接続されるとともにゲートが発光制御線123に接続される。したがって、発光制御信号GELA[i]がローレベルを維持する期間においては発光制御トランジスタTelがオフ状態となって発光素子11に対する駆動電流Ielの供給が遮断される一方、発光制御信号GELA[i]がハイレベルに遷移すると発光制御トランジスタTelがオン状態となって発光素子11に駆動電流Ielが供給される。なお、発光制御トランジスタTelは駆動トランジスタTdrと給電線14との間に介挿されてもよい。
【0030】
駆動トランジスタTdrのゲートとドレインとの間にはnチャネル型のトランジスタTbが介挿される。このトランジスタTbのゲートは計測制御線122に接続される。したがって、計測制御信号GMSR[i]がハイレベルに遷移するとトランジスタTbがオン状態となって駆動トランジスタTdrがダイオード接続され、計測制御信号GMSR[i]がローレベルに遷移するとトランジスタTbがオフ状態となって駆動トランジスタTdrのダイオード接続は解除される。
【0031】
図2に示される容量素子C1は、第1電極L1と第2電極L2との間の電圧を保持する容量である。第1電極L1は駆動トランジスタTdrのソースに接続され、第2電極L2は駆動トランジスタTdrのゲートに接続される。つまり、容量素子C1には電圧Vgsが保持される。容量素子C1の第2電極L2とデータ線131との間にはnチャネル型のトランジスタTaが介挿される。トランジスタTaは第2電極L2とデータ線131との導通および非導通を切り替えるスイッチング素子であり、そのゲートは走査線121に接続される。したがって、走査信号GWRT[i]がローレベルを維持する期間においてはトランジスタTaがオフ状態となって第2電極L2とデータ線131とが非導通となる一方、走査信号GWRT[i]がハイレベルに遷移するとトランジスタTaがオン状態となって第2電極L2とデータ線131とが短絡する。
このように駆動電流Ielは駆動トランジスタTdrのゲートの電位Vgによって定まるから、トランジスタTaがオン状態になったときにデータ線131を介して供給されるデータ信号Vdata[j]によって、駆動電流Ielの大きさが定まる。
【0032】
図3は、データ線駆動回路30Aの構成を示すブロック図である。この図に示すように、データ線駆動回路30Aは、I/F(インターフェイス)ブロック31A、複数のデータ電圧出力ブロック37A、計測切替ライン32、電流切替ライン33および走査回路ブロック36を含む。I/Fブロック31Aは、上記制御回路からの信号S2を入力し、この信号S2に含まれている画像データVDATAを順に走査回路ブロック36に供給する。走査回路ブロック36は、シフトレジスタを含み、1行分の画像データVDATAの供給を受けると、この画像データVDATAに含まれているn列分の画像データVDをn個のデータ電圧出力ブロック37Aの各々に供給する。この供給では、第j列目の画像データVD[j]が第i列目の電圧出力ブロック37Aに渡される。
【0033】
計測切替ライン32および電流切替ライン33は、複数のデータ電圧出力ブロック37Aに共通である。データ電圧出力ブロック37Aは、画像データVD[j]に応じた電圧を容量素子C1に保持させる前に、毎回、駆動トランジスタTdrの動作特性のバラツキを計測するものであり、I/Fブロック31Aは、上記の計測の期間(後述する計測期間PMSR)を指示する計測切替信号S7を計測切替ライン32に出力する。データ電圧出力ブロック37Aは、2種類の定電流を用いて上記の計測を行うものであり、I/Fブロック31Aは、計測期間PMSRを一周期とする電流指定信号S6を電流指定ライン33に出力する。また、I/Fブロック31Aおよび走査回路ブロック36は、第i行の水平走査期間において、複数のデータ電圧出力ブロック37Aの各々に、画像データVD[j]が供給され、且つ当該水平走査期間の先頭が計測期間PMSRとなるように構成されている。
【0034】
図4は、データ電圧出力ブロック37Aの構成を示すブロック図である。この図に示すように、データ電圧出力ブロック37Aは、出力電圧生成回路371、スイッチ372、定電流源373、電圧サンプルホールド回路374および基準電圧生成回路375を含む。出力電圧生成回路371は、画像データVD[j]に応じたデータ信号Vdata[j]を生成し、スイッチ372の端点P1へ出力する。スイッチ372は、端点P1または端点P2をデータ線131に導通させるものであり、データ線131と導通させる端点を計測切替信号S7に応じて切り替える。
【0035】
図4に示されるように、図3において便宜的に1本の配線として図示された電流指定ライン33は、実際には2本の配線を含み、定電流源373には、一方の配線からI1指定信号S6-1が供給され、他方の配線からI2指定信号S6-2が供給されている。定電流源373は、I1指定信号S6-1により指定された期間では定電流I1を、I2指定信号S6-1により指定された期間では定電流I2を発生させ、端点P2に流す。これらの期間は計測期間PMSRに排他的に割り当てられている。そして、計測期間PMSRにおいては、駆動トランジスタTdrのゲートとドレインを短絡する。したがって、計測期間PMSRにおいて、駆動トランジスタTdrはダイオード接続された状態となり、そのソース・ゲート間を定電流I1,I2が流れる。
【0036】
電圧サンプルホールド回路374は、2つの電位を保持可能であり、I1指定信号S6-1により指定された期間にあっては、端点P2の電位Vref[j](データ線131の電位)を一定周期で繰り返しサンプルし、最後にサンプルした電位を計測電位V1として保持し、I2指定信号S6-2により指定された期間にあっては、端点P2の電位Vref[j]を一定周期で繰り返しサンプルし、最後にサンプルした電位を計測電位V2として保持する。つまり、(I1,V1)、(I2,V2)といった電流と電位の組を計測可能である。駆動トランジスタTdrは、飽和領域において2乗特性を示すので、電流と電位の組が2つ判ればその動作特性を特定することができる。本実施の形態では、(I1,V1)、(I2,V2)を計測することによって、駆動トランジスタTdrの動作特性を特定し、そのバラツキを補正している。
【0037】
上述したように、データ信号Vdata[j]によって駆動電流Ielの大きさが定まる。データ信号Vdata[j]は、最小光量(黒レベル)から最大光量(白レベル)までに対応した電位となる。最大光量は発光装置DAの仕様によって定まり、最小光量では発光素子11が消灯する。本実施の形態では、最小光量に対応するデータ信号Vdata[j]を、駆動トランジスタTdrのゲート・ソース間電圧Vgsが閾値電圧Vthとなるように設定する。以下の説明では、最小光量に対応するデータ信号Vdata[j]の電位をVb、最大光量に対応するデータ信号Vdata[j]の電位をVwと称する。
【0038】
本実施の形態において、定電流源373が発生する定電流I1のレベルはIwである。Iwは最大駆動電流のレベルに等しい。最大駆動電流とは、発光装置DAが設計通りに製造された場合に、発光素子11が発光装置DAの仕様から定まる最大光量で発光するときの駆動電流Ielである。また、定電流I2のレベルはImであり、式(1)で与えられる。
Im = Iw/4……(1)
本実施の形態では、電圧サンプルホールド回路374における計測電位V1のレベルを「Vw」とし、計測電位V2のレベルを「Vm」とする。つまり、本実施の形態では、(Iw,Vw)と(Iw/4,Vm)の組を計測する。
【0039】
Im = Iw/4に設定したのは、VwとVmから、Vbを簡単に求めることができるからである。この点について図6を参照して説明する。図6に示すように、画素回路Pの駆動トランジスタTdrの電位Vgに対する駆動電流Ielの平方根の特性を示す特性線は、駆動トランジスタTdrの動作特性に個体差があっても、温度変化や劣化等の要因による動的なバラツキがあっても、直線状になる。したがって、電位Vgと駆動電流Ielとの組を2組以上得ることができれば、駆動トランジスタTdrの閾値電圧Vthに対応する電位Vbを、定数倍の乗算や減算などの簡単な演算により推定することができる。簡単な演算により推定可能であることは、以下に述べるように、数式からも導き出される。
【0040】
前述したように、駆動トランジスタTdrは、飽和領域において2乗特性を示す。つまり、いかなる状態にあっても、式(2)で表される、駆動トランジスタの動作特性モデルは崩れない。式(2)において、「β」は駆動トランジスタTdrの利得係数である。
Iel= (β/2)・(Vgs−Vth)2……(2)
よって、定電流I1について式(3)が、定電流I2について式(4)が得られる。
Iw = (β/2)・((Vel−Vw)−(Vel−Vb))2……(3)
Iw/4 = (β/2)・((Vel−Vm)−(Vel−Vb))2……(4)
そして、(3)式の右辺を(4)式の左辺のIwに代入して整理することにより、式(5)が得られる。
Vb = 2・Vm−Vw……(5)
つまり、Vmを2倍して得られる値からVwを減ずることによって簡単にVbを算出することが可能となる。なお、本実施の形態では、推定に用いる組を2組としているが、これを変形して3組以上とし、推定の精度を上げるようにしてもよい。
【0041】
基準電圧生成回路375は、電圧サンプルホールド回路374に保持されている計測電位V1およびV2に基づいて、レベルがVwの基準電位V3およびレベルがVbの基準電位V4を生成して出力する。VwおよびVbは、駆動トランジスタTdrのゲートの電位Vgの推測値であり、Vwは駆動電流Ielが最大駆動電流となるときのレベル、Vbは電源電位Velから駆動トランジスタTdrの閾値電圧Vthを減じて得られるレベルである。出力電圧生成回路375は、基準電圧生成回路375から出力される基準電位V3および基準電位V4に基づいて、データ信号Vdata[j]の生成を行う。
【0042】
具体的には、図5に示すように、基準電圧生成回路375はオペアンプAおよび抵抗素子R1およびR2を備えている。オペアンプAの非反転入力端には計測電位V2が入力され、反転入力端には計測電位V1が抵抗素子R1を介して入力され、基準電位V4となる出力端は抵抗素子R2を介して反転入力端に接続されている。本実施の形態では、抵抗素子R1の抵抗値と抵抗素子R2の抵抗値は同一であるが、同一でない態様とすることも可能である。
【0043】
図7を参照して、出力電圧生成回路371の構成を説明する。図7に示すように、本実施の形態では、出力電圧生成回路371として、ラダー回路RRおよび選択回路3711を備えるものを採用している。これは一例に過ぎず、例えば、一般的なD/Aコンバータ(デジタル/アナログ変換器)を備えるものを出力電圧生成回路371として採用することも可能である。
【0044】
ラダー回路RRは、基準電位V3となる配線3712と、基準電位V4となる配線3713との間に、q個の抵抗素子RR1〜RRqを直列に接続して構成されている。配線3712、配線3713、および抵抗素子RR1〜RRqのq−1個の接続点は、それぞれ、選択回路3711に接続される。つまり、選択回路3711には、画像データが示すことができる全ての階調の各々に対応するレベルの電位が与えられる。選択回路3711は、与えられる電位から、供給されている画像データVD[j]に応じたレベルの電位を選択し、選択した電位のデータ信号Vdata[j]を出力する。なお、qは、画像データが示すことができる階調数から1を減じた自然数である。
【0045】
抵抗素子RR1〜RRqの抵抗値は、個別に定められる。具体的には、配線3712の電位のレベルを上限とし、配線3713の電位のレベルを下限とした場合に、上限および下限で定められるレベル範囲を適切に分割するレベルの電位が選択回路3711に与えられるように定められる。ここでいう「適切に分割」は、出力電圧生成回路371により画像データに応じて選択された電位が、当該画像データが示す階調に応じた光量での発光をもたらすように分割することを意味する。
【0046】
出力電圧生成回路371の構成は上述したものに限らない。例えば、図8に示す構成であってもよい。この構成によれば、回路規模を小さくすることができる。なお、この構成では、上限および下限で定められるレベル範囲の分割は等分割に限られる。しかし、薄膜トランジスタの特性が略二乗特性であるため、十分に実用的である。
【0047】
図9は、走査線駆動回路20Aおよびデータ線駆動回路30Aが生成する各信号の具体的な波形を示すタイミングチャートである。この図に示されるように、走査信号GWRT[1]ないしGWRT[m]は、水平走査期間(1H)ごとに順番にハイレベルとなる。すなわち、走査信号GWRT[i]は、垂直走査期間(1V)のうち第i番目の水平走査期間においてハイレベルを維持するとともにそれ以外の期間においてローレベルを維持する。走査信号GWRT[i]のハイレベルへの移行は第i行の各画素回路PAの選択を意味する。なお、図9においては走査信号GWRT[i]の立ち下がりとその次行の走査信号GWRT[i+1]の立ち上がりとを同時とした場合が例示されているが、走査信号GWRT[i]の立ち下がりから所定の時間が経過したタイミングで走査信号GWRT[i+1]が立ち上がる構成としてもよい。
【0048】
図9に示されるように、走査信号GWRT[i]がハイレベルとなる期間は、計測期間PMSR[i]の後に書込期間PWRT[i]を連ねた期間に一致する。計測期間PMSR[i]は、駆動トランジスタTdrの動作特性のバラツキを計測するための期間であり、書込期間PWRT[i]は、画像データが示す階調に応じた電圧を容量素子C1に書き込むための期間である。計測制御信号GMSR[i]は、計測期間PMSR[i]においてハイレベルとなり、その他の期間においてローレベルを維持する信号である。計測切替信号S7は、計測期間PMSR[i]においてハイレベルに維持され、書込期間PWRT[i]においてローレベルに維持される信号である。
【0049】
計測期間PMSR[i]は、前半のI1期間PI1[i]と後半のI2期間PI2[i]とに区分される。I1期間PI1[i]は、定電流源373が定電流I1を発生させる期間であり、I2期間PI2[i]は、定電流源373が定電流I2を発生させる期間である。I1指定信号S6-1は、I1期間PI1[i]においてハイレベルに維持され、I2期間PI2[i]および書込期間PWRT[i]においてローレベルに維持される信号である。I2指定信号S6-2は、I2期間PI2[i]においてハイレベルに維持され、I1期間PI1[i]および書込期間PWRT[i]においてローレベルに維持される信号である。発光制御信号GELA[i]は、書込期間PWRT[i]の経過後から、計測制御信号GMSR[i]がハイレベルとなる計測期間PMSR[i]の開始前までの期間(すなわち発光期間PE[i])にてハイレベルとなり、それ以外の期間(すなわち走査信号GWRT[i]がハイレベルとなる期間)にてローレベルとなる信号である。
【0050】
<B−2:動作>
次に、図10ないし図13を参照しながら画素回路PAの具体的な動作を説明する。以下では、第i行に属する第j列目の画素回路PAの動作を、計測期間PMSR[i]と書込期間PWRT[i]と発光期間PE[i]に区分し、計測期間PMSR[i]についてはI1期間PI1[i]とI2期間PI2[i]とに区分して説明する。
【0051】
(a)計測期間PMSR[i]
計測期間PMSR[i]においては、図9に示されるように、走査信号GWRT[i]および計測制御信号GMSR[i]がハイレベルを維持するとともに発光制御信号GELA[i]がローレベルを維持する。したがって、図10および図11に示されるように、トランジスタTaとTbはオン状態に遷移し、発光制御トランジスタTelはオフ状態を維持する。この状態においては、駆動トランジスタTdrがダイオード接続され、駆動トランジスタTdrのゲートとデータ線131とがトランジスタTaを介して導通する。また、計測期間PMSR[i]においては、計測切替信号S7がローレベルを維持する。したがって、図4のスイッチ372が端点P2側に切り替わり、データ線131に端点P2が接続された状態となる。
【0052】
(a−1)I1期間PI1[i]
I1期間PI1[i]においては、図9に示されるように、I1指定信号S6-1がハイレベルを維持するとともにI2指定信号S6-2がローレベルを維持する。したがって、図10に示すように、定電流源373は端点P2に定電流I1が流れるように働き、電圧サンプルホールド回路374は端点P2の電位Vref[j]を一定周期で繰り返しサンプルする。I1期間PI1[i]を含む計測期間PMSR[i]では、データ線131に端点P2が接続されており、データ線131はトランジスタTaを通じて駆動トランジスタTdrのゲートと導通しており、駆動トランジスタTdrはダイオード接続されているから、電流は、給電線14に端を発し、駆動トランジスタTdrのソース、駆動トランジスタTdrのドレイン、トランジスタTb、トランジスタTa、データ線131および端点P2を通る経路(以降、「計測経路」と称するのを流れる。I1期間PI1[i]の開始時点では、容量素子C1やデータ線131の寄生容量に電荷が蓄えられているから、端点P2を流れる電流の流路は計測経路に限らないが、ある程度の時間が経過すると、計測経路に限られる。発光装置DAでは、端点P2を流れる電流の流路が計測経路に限られているときの電位Vref[j]を確実にサンプルすることができるように、I1期間PI1[i]と電圧サンプルホールド回路374によるサンプルの繰り返し周期とが定められている。したがって、I1期間PI1[i]において電圧サンプルホールド回路374により最後にサンプルされる電位Vref[j]、すなわち計測電位V1を、駆動電流Ielが定電流I1であるときの電位Vgとみなすことができる。これが、計測電位V1をレベルがVwの電位とみなすことができる理由である。
【0053】
(a−2)I2期間PI2[i]
I2期間PI2[i]においては、図9に示されるように、I2指定信号S6-2がハイレベルを維持するとともにI1指定信号S6-1がローレベルを維持する。したがって、図11に示すように、定電流源373は端点P2に定電流I2が流れるように働き、電圧サンプルホールド回路374は端点P2の電位Vref[j]を一定周期で繰り返しサンプルする。I2期間PI2[i]における電流の流路はI1期間PI1[i]における電流の流路と同様であり、ある程度の時間が経過すると、計測経路のみに限られる。発光装置DAでは、端点P2を流れる電流の流路が計測経路に限られているときの電位Vref[j]を確実にサンプルすることができるように、I2期間PI2[i]と電圧サンプルホールド回路374によるサンプルの繰り返し周期とが定められている。したがって、I2期間PI2[i]において電圧サンプルホールド回路374により最後にサンプルされる電位Vref[j]、すなわち計測電位V2を、駆動電流Ielが定電流I2であるときの電位Vgとみなすことができる。
【0054】
計測期間PMSR[i]の終了時には、図4の電圧サンプルホールド回路374により、レベルがVwの計測電位V1およびレベルがVmの計測電位V2が保持されている。したがって、この時には、基準電圧生成回路375により生成される基準電位V3およびV4は、レベルがVwの計測電位V1およびレベルがVmの計測電位V2に基づいたものとなっており、出力電圧生成回路371の配線3712および3713(図7参照)の電位にもなっている。
【0055】
本実施の形態では、定電流I2のレベル(Im)は、定電流I1のレベル(Iw)の1/4であるから、定電流I2を流し始めてから端点P2を流れる電流の流路が計測経路に限られるまでの時間は、通常、定電流I1を流し始めてから端点P2を流れる電流の流路が計測経路に限られるまでの時間よりも長くなる。したがって、本実施の形態では、I1期間PI1[i]よりもI2期間PI2[i]が長くなるように両期間を定めている。なお、本実施の形態では、絶対値が小さな定電流I2に先立って絶対値が大きな定電流I1を流すようにしているが、このようにしているのは、計測期間PMSR[i]の開始時に容量素子C1に残存している電荷の量が一定ではなく、先に絶対値が小さな定電流I2を流すと、当該電荷を流し切る前に、すなわち電流の流路が計測経路に限られる前にI2期間PI2[i]が終わってしまう虞があるからである。
【0056】
(b)書込期間PWRT[i]
書込期間PWRT[i]においては、図9に示されるように、走査信号GWRT[i]がハイレベルを維持するとともに発光制御信号GELA[i]および計測制御信号GMSR[i]がローレベルを維持する。したがって、図12に示されるように、トランジスタTbはオフ状態に遷移し、トランジスタTaはオン状態を維持し、発光制御トランジスタTelはオフ状態を維持する。この状態においては、駆動トランジスタTdrのダイオード接続が解除される。また、書込期間PWRT[i]においては、計測切替信号S7がハイレベルを維持する。したがって、図4のスイッチ372が端点P1側に切り替わり、データ線131に端点P1が接続された状態となる。したがって、駆動トランジスタTdrのゲートの電位Vgはデータ信号Vdata[j]の電位となり、容量素子C1には電圧Vgs=Vel−Vdata[j]が書き込まれる。
【0057】
図5ないし図9から明らかなように、書込期間PWRT[i]において、出力生成回路371の配線3712の電位は、直前のI1期間PI1[i]において電圧サンプルホールド回路374にサンプルされて保持されている計測電位V1に基づく基準電位V3に維持され、配線3713の電位は、直前の計測期間PMSR[i]において電圧サンプルホールド回路374にサンプルされて保持されている計測電位V1およびV2に基づく基準電位V4に維持される。よって、書込期間PWRT[i]において出力生成回路371から出力されるデータ信号Vdata[j]は、画像データVD[j]に応じたレベルであって、直前の計測期間PMSR[i]において推定されたVwおよびVbをそれぞれ上限および下限とした範囲から選択されたレベル、つまり直前の計測期間PMSR[i]における駆動トランジスタTdrの動作特性に応じたレベルに維持される。したがって、書込期間PWRT[i]において容量素子C1に書き込まれる電圧Vgsのレベルは、駆動トランジスタTdrの動作特性に関わらず、画像データVD[1]が示す階調に応じた光量で発光素子11を発光させるレベルの駆動電流Ielを駆動トランジスタTdrから発光素子11に供給させるレベルとなる。
【0058】
(c)発光期間PE[i]
発光期間PE[i]においては、図9に示されるように、走査信号GWRT[i]および計測制御信号GMSR[i]がローレベルを維持するとともに発光制御信号GELA[i]がハイレベルを維持する。したがって、図13に示されるように、トランジスタTaはオフ状態に遷移し、トランジスタTbはオフ状態を維持し、発光制御トランジスタTelはオン状態を遷移する。この状態においては、容量素子C1は直前の書込期間PWRT[i]において書き込まれた電圧Vgsを保持し、この電圧Vgsに応じた駆動電流Ielが電源線から駆動トランジスタTdrおよび発光制御トランジスタTelを経由して発光素子11に供給される。この駆動電流Ielの供給によって、発光素子11は、容量素子C1に保持されている電圧Vgsに応じた光量、すなわち画像データVD[1]が示す階調、つまりは画像データが示す階調に応じた光量で発光する。
【0059】
上述した発光装置DAによれば、駆動トランジスタTdrのソースからドレインに向けて定電流を流しつつ駆動トランジスタTdrのゲートの電位Vgを計測するようにしているから、容量素子C1やデータ線131の寄生容量の影響を排した正確な計測を行うことができる。よって、画像データが示す階調に正確に応じた光量で発光素子11を発光させることができる。また、データ線131を用いて、駆動トランジスタTdrのソースからドレインに向けて定電流を流すこと、および、駆動トランジスタTdrのゲートの電位Vgを計測することができる。したがって、一般的な画素回路を用いることができる。
【0060】
また、発光装置DAでは、駆動トランジスタTdrのゲートの電位Vgの計測、駆動トランジスタTdrの動作特性の推定、および当該推定に基づくデータ信号Vdata[j]の補正は、RAM(Random Access Memory)等のメモリを必要としない簡素な構成(電圧サンプルホールド回路374、基準電圧生成回路375および出力電圧生成回路376)により迅速に行われる。したがって、発光素子11の発光前に、毎回、当該発光素子11に駆動電流Ielを供給する駆動トランジスタTdrについて、上記の計測、推定および補正を行うことができる。よって、駆動トランジスタTdrの動作特性の個体間でのバラツキのような静的なバラツキのみならず、温度変化や劣化等の要因による動的なバラツキについても、適切に補正することができる。
【0061】
<C:画素回路PAの変形例>
画素回路PAの構成は、図2に示すものに限らない。例えば、図14〜図19に示す構成であってもよい。
図14に示す構成では、発光制御トランジスタTelとしてpチャネル型のトランジスタが用られ、この発光制御トランジスタTelのゲートに走査線121が接続される。この構成を採るならば、発光制御線123は不要である。
図15に示す構成では、トランジスタTbのゲートに走査線121が接続される。この構成によれば、書込期間PWRT[i]において、トランジスタTbがオン状態となり、駆動トランジスタTdrのゲートとドレインとが導通するが、発光制御トランジスタTelはオフ状態となるから、容量素子C1に電圧が書き込まれても、発光素子11は発光しない。この構成を採るならば、計測制御線122は不要である。
図16に示す構成は、図14に示す構成と図15に示す構成とを組み合わせて得られる。この構成を採るならば、計測制御線122および発光制御線123は不要である。
図17に示す構成が図15に示す構成と異なるのは、駆動トランジスタTdrのゲートとデータ線131との導通/非導通を切り替えるトランジスタTaに代えて、駆動トランジスタTdrのドレインとデータ線131との導通/非導通を切り替えるトランジスタTcを備える点である。この構成を採るならば、計測制御線122は不要である。
図18に示す構成が図17に示す構成と異なるのは、発光制御トランジスタTelとしてpチャネル型のトランジスタが用いられ、この発光制御トランジスタTelのゲートに走査線121が接続される点である。この構成を採るならば、計測制御線122および発光制御線123は不要である。
図19に示す構成では、発光制御トランジスタTelとしてpチャネル型のトランジスタが用られ、この発光制御トランジスタTelのゲートに計測制御線122が接続される。この構成によれば、書込期間PWRT[i]において、発光制御トランジスタTelがオン状態となり、容量素子C1に書き込まれる電圧に応じた光量で発光素子11が発光する。つまり、書込期間PWRT[i]と発光期間PE[i]とが重なる。この構成を採るならば、発光制御線123は不要である。
図20に示す構成では、駆動トランジスタTdrのゲートとデータ線131との間にトランジスタTaが介挿され、駆動トランジスタTdrのドレインとデータ線131との間にトランジスタTcが介挿される。計測期間PMSR[i]においては、トランジスタTaおよびトランジスタTcがオン状態となり、駆動トランジスタTdrのゲートとドレインとがデータ線131を介して導通する。したがって、データ電圧がプログラムされた駆動トランジスタTdrの電流をデータ線に読み出すことができる。データ線には回路動作の検査を行う検査回路を接続し易いから、この構成によれば、回路動作の検査を容易に行うことができる。
また、画素回路PAの構成は、上述した各種の画素回路において、各トランジスタの導電型を反転させた構成であってもよい。
【0062】
<D:発光装置DB>
発光装置DBは、画素回路Pとして画素回路PBを、信号線13としてデータ線131および信号線132を、走査線駆動回路20として走査線駆動回路20Bを、データ線駆動回路30としてデータ線駆動回路30Bを備える。走査線駆動回路20Bおよびデータ線駆動回路30Bが出力する信号については後述する。
【0063】
図21は、画素回路PBの構成を示す回路図である。この図においては、第i行の第j列目に位置するひとつの画素回路PBのみが図示されているが、その他の画素回路PBも同様の構成である。図21に示されるように、図1において便宜的に1本の配線として図示された制御線12は、実際には4本の配線(走査線121・計測制御線122・発光制御線123・計測選択線124)を含む。また、図21に示されるように、図1において便宜的に1本の配線として図示された信号線13は、実際には2本の配線(データ線131・信号線132)を含む。図21に示されるように、画素回路PBの構成の一部は、図2に示す構成と同様である。画素回路PBが、画素回路Aと異なる点は、駆動トランジスタTdrのゲートと信号線132との間にnチャネル型のトランジスタTdが介挿され、このトランジスタTdのゲートが計測選択線124に接続される点である。
【0064】
計測選択線124には、走査線駆動回路20Bから所定の信号が供給される。例えば、第i行目の計測選択線124には、同行の画素回路PBを、計測のために選択するための計測選択信号GMSR1[i]が供給される。また、第i行目の計測制御線122には、計測制御信号GMSR[i]に代えて計測制御信号GMSR2[i]が供給される。さらに、第i行目の第i行目のには、発光制御信号GELAに代えて発光制御信号GELBが供給される。各信号の具体的な波形については後述する。信号線132は、駆動トランジスタTdrのゲートの電位を計測するための配線である。例えば、第j列目の画素回路PBについての計測では、第j列目の信号線132の電位Vrefが直接的な計測対象となる。信号線132が存在するため、データ線131の役割は、データ信号の供給に限定されている。
【0065】
図22は、データ線駆動回路30Bの構成を示すブロック図である。この図に示すように、データ線駆動回路30Bは、I/Fブロック31B、複数のデータ電圧出力ブロック37B、電流切替ライン33および走査回路ブロック36を含み、計測切替ライン32を含まない。I/Fブロック31Bは、画像データVD[j]に応じた電圧を容量素子C1に保持させる前に、毎回、駆動トランジスタTdrの動作特性のバラツキを計測するものであり、定電流I1およびI2を用いて上記の計測を行う。I/Fブロック31BがI/Fブロック31Aと異なる点は、計測切替信号S7を出力しない点と、電流指定信号S6に代えて電流指定信号S7を電流切替ライン33に出力する点である。
【0066】
図23は、データ電圧出力ブロック37Bの構成を示す図である。この図に示すように、データ電圧出力ブロック37Bは、出力電圧生成回路371、定電流源373、電圧サンプルホールド回路374および基準電圧生成回路375を含み、スイッチ372を含まない。出力電圧生成回路371によるデータ信号Vdata[j]の出力先はデータ線131であり、定電流源373および電圧サンプルホールド回路374は信号線132に接続されている。
【0067】
図23に示されるように、図22において便宜的に1本の配線として図示された電流指定ライン33は、実際には2本の配線を含み、定電流源373には、一方の配線からI1指定信号S8-1が供給され、他方の配線からI2指定信号S8-2が供給されている。定電流源373は、I1指定信号S8-1により指定された期間では定電流I1を、I2指定信号S8-1により指定された期間では定電流I2を発生させ、信号線132に流す。詳しくは後述するが、両期間が重なることはない。電圧サンプルホールド回路374は、2つの電位を保持可能であり、I1指定信号S8-1により指定された期間にあっては、信号線132の電位Vref[j]を一定周期で繰り返しサンプルし、最後にサンプルした電位を計測電位V1として保持し、I2指定信号S8-2により指定された期間にあっては、信号線132の電位Vref[j]を一定周期で繰り返しサンプルし、最後にサンプルした電位を計測電位V2として保持する。
【0068】
図24は、走査線駆動回路20Bおよびデータ線駆動回路30Bが生成する各信号の具体的な波形を示すタイミングチャートである。この図に示されるように、計測選択信号GMSR1[i]および計測制御信号GMSR2[i]は、垂直走査期間(1V)のうち第i−1番目の水平走査期間においてハイレベルを維持するとともにそれ以外の期間においてローレベルを維持する。計測制御信号GMSR2[i]のハイレベルへの移行は第i行の各画素回路PAについての計測の開始を意味し、ローレベルへの移行は当該計測の終了を意味する。したがって、発光装置DBでは、計測選択信号GMSR1[i]および計測制御信号GMSR2[i]がハイレベルとなる期間が計測期間PMSR[i]となる。よって、走査信号GWRT[i]がハイレベルとなる期間の全てが書込期間PWRT[i]となり、計測期間PMSR[i]と書込期間PWRT[i-1]とが一致する。なお、図24においては計測選択信号GMSR1[i]の立ち下がりとその次行の計測選択信号GMSR1[i+1]の立ち上がりとを同時とした場合が例示されているが、計測選択信号GMSR1[i]の立ち下がりから所定の時間が経過したタイミングで計測選択信号GMSR1[i+1]が立ち上がる構成としてもよい。このことは、計測制御信号GMSR2[i]にもあてはまる。
【0069】
I1指定信号S6-1は、計測期間PMSR[i]の前半のI1期間PI1[i]においてハイレベルに維持され、後半のI2期間PI2[i]においてローレベルに維持される信号である。I2指定信号S6-2は、I2期間PI2[i]においてハイレベルに維持され、I1期間PI1[i]においてローレベルに維持される信号である。発光制御信号GELB[i]は、書込期間PWRT[i]の経過後から、計測選択信号GMSR1[i]および計測制御信号GMSR2[i]がハイレベルとなる計測期間PMSR[i](書込期間PWRT[i-1])の開始前までの期間(すなわち発光期間PE[i])にてハイレベルとなり、それ以外の期間(すなわち走査信号GWRT[i]、計測選択信号GMSR1[i]または計測制御信号GMSR2[i]がハイレベルとなる期間)にてローレベルとなる信号である。
【0070】
上述した発光装置DBによれば、第i−1番目の水平走査期間では、第i−1行の画素回路PBにおいては、トランジスタTaがオン状態になり、且つトランジスタTbおよびTdがオフ状態になるから、電圧を容量素子C1に書き込むことが可能となり、第i行の画素回路PBにおいては、トランジスタTaがオフ状態になり、且つトランジスタTbおよびTdがオフ状態になるから、信号線132を介して駆動トランジスタTdrの電位Vg(Vref)を計測することが可能となる。第i−1番目の水平走査期間にて計測された電位は、電圧サンプルホールド回路374に保持されるから、第i番目の水平走査期間において第i−1行の第j列目の画素回路PBの駆動トランジスタTdrのゲートに与えられるデータ信号Vdata[j]は、当該駆動トランジスタTdrの動作特性に応じて補正されたものとなる。よって、発光装置DAと同様の効果を得ることができる。ただし、一般的な画素回路を用いることはできない。
【0071】
データ線の電位をデータ信号の電位とし、データ線と駆動トランジスタTdrのゲートとを導通させても、当該ゲートの電位が即座にデータ信号の電位となる訳ではない。ある程度の時間が必要である。したがって、発光品質を向上させる観点からすると、水平走査期間において、書込期間をできるだけ長く確保した方がよいことになる。一方、発光装置には、大画面化および高精細化の要請があり、水平走査期間は短くなる方向にある。よって、発光品質を向上させる観点からすると、水平走査期間において書込期間が占める割合を大きくすべきである。これに対し、発光装置DBによれば、第i−1番目の水平走査期間において、第i行目の画素回路PBについて前述の計測を行うことができるから、水平走査期間の全てを書込期間とすることができる。よって、発光装置DBによれば、発光品質を向上させることができる。
【0072】
<E:発光装置DBの変形例>
発光装置DBでは、第i行の画素回路PBについての計測を、第i−1番目の水平走査期間において行うようにしているが、これを変形し、第i−2番目の水平走査期間において行うようにしてもよい。これは一例に過ぎず、要は、上記の計測が行われる水平走査期間が第i番目の水平走査期間でなければよい。
発光装置DBを変形し、計測選択信号GMSR1[i]を計測制御信号GMSR2[i]として用いる構成としてもよい。この構成を採るならば、計測制御線122は不要である。
【0073】
<F:発光装置Dの変形例>
以上の各形態には様々な変形を加えることができる。具体的な変形の態様を例示すれば以下の通りである。なお、以下の各態様を適宜に組み合わせてもよい。
発光装置Dは計測電位V1および計測電位V2に基づいて駆動トランジスタTdrの動作特性を推定するように構成されているが、これを変形し、3種類以上の定電流を用いて3以上の電位を計測し、これらに基づいて駆動トランジスタTdrの動作特性を推定するようにしてもよい。この場合には、推定の精度、ひいては発光の品質が向上する。
発光装置Dは定電流I1およびI2を発生可能な定電流源373を備えているが、これを変形し、定電流I1を発生する第1定電流源と、定電流I2を発生する第2定電流源と、選択回路とを備えるようにしてもよい。この選択回路は、計測期間において、定電流I1と定電流I2とを各々選択し、データ線131または信号線132に流す定電流を切り替えるものである。また、第1定電流源および第2定電流源を各行のデータ電圧出力ブロックに共通して備えるようにしてもよい。この場合、選択回路を各行のデータ電圧出力ブロックに共通して備えるようにしてもよい。
また、発光装置Dは2種類の電位を保持および出力可能な電圧サンプルホールド回路374を備えているが、これを変形し、I1期間PI1においてデータ線131または信号線132の電位をサンプルして、サンプルした電位を計測電位V1として保持および出力可能な第1サンプルホールド回路と、I2期間PI2においてデータ線131または信号線132の電位をサンプルして、サンプルした電位を計測電位V2として保持および出力可能な第2サンプルホールド回路とを備えるようにしてもよい。
また、発光装置Dでは、計測電位V1およびV2に基づいて駆動トランジスタTdrの動作特性が推定され、全ての階調についてデータ信号Vdataを補正するようにしているが、これを変形し、一部の階調のみについてデータ信号Vdataを補正するようにしてもよい。例えば、推定された動作特性を複数の階調範囲に分割し、そのうちの1つの範囲についてだけデータ信号Vdataを補正するようにしてもよいし、各範囲について個別にデータ信号Vdataを補正するようにしてもよい。後者の具体例としては、3種類の定電流を流して第1電位、第2電位および第3電位を計測し、第1範囲の階調を示すデータ信号については第1電位および第2電位に基づいた補正を行い、第2範囲の階調を示すデータ信号については第2電位および第3電位に基づいた補正を行う、という態様を例示することができる。
また、発光装置Dは発光素子11としてOLED素子を採用しているが、これを変形し、発光素子11として無機EL素子やLED(Light Emitting Diode)素子を採用するようにしてもよい。これに限らず、発光素子11としては、電流により駆動され、駆動電流のレベルに応じて光量が変化する様々な発光素子を採用可能である。
【0074】
<G:応用例>
次に、以上に説明した何れかの形態に係る発光装置Dを利用した電子機器について説明する。図25は、発光装置Dを表示装置として採用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。パーソナルコンピュータ2000は、表示装置としての発光装置Dと本体部2010とを備える。本体部2010には、電源スイッチ2001およびキーボード2002が設けられている。この発光装置Dは発光素子11にOLED素子を使用しているので、視野角が広く見易い画面を表示できる。
【0075】
図26に、発光装置Dを適用した携帯電話機の構成を示す。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002、ならびに表示装置としての発光装置Dを備える。スクロールボタン3002を操作することによって、発光装置Dに表示される画面がスクロールされる。
【0076】
図27に、発光装置Dを適用した携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001および電源スイッチ4002、ならびに表示装置としての発光装置Dを備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が発光装置Dに表示される。
【0077】
なお、本発明に係る発光装置が適用される電子機器としては、図25から図27に示したもののほか、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、プリンタ、スキャナ、複写機、ビデオプレーヤ、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。また、本発明に係る発光装置の用途は画像の表示に限定されない。例えば、光書込み型のプリンタや電子複写機といった画像形成装置においては、用紙などの記録材に形成されるべき画像に応じて感光体を露光する書込みヘッドが使用されるが、この種の書込みヘッドとしても本発明の発光装置は利用される。本発明にいう単位回路とは、表示装置の画素を構成する画素回路のほか、画像形成装置における露光の単位となる回路をも含む概念である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施の形態に係る発光装置D(発光装置DA,DB)の構成を示す図である。
【図2】発光装置DA内の画素回路PA(画素回路P)の構成を示す回路図である。
【図3】発光装置DA内のデータ線駆動回路30Aの構成を示す図である。
【図4】発光装置DA内のデータ電圧出力ブロック37Aの構成を示す図である。
【図5】データ電圧出力ブロック37A内の基準電圧生成回路375の構成を示す回路図である。
【図6】画素回路Pの駆動トランジスタTdrのゲートの電位Vgに対する駆動電流Ielの平方根の特性を示す図である。
【図7】データ電圧出力ブロック37A内の出力電圧生成回路371の構成を示す図である。
【図8】出力電圧生成回路371の別の構成例を示す図である。
【図9】発光装置DA内の走査線駆動回路20Aおよびデータ線駆動回路30Aが生成する各信号の具体的な波形を示すタイミングチャートである。
【図10】I1期間における画素回路PAの具体的な動作を説明するための図である。
【図11】I2期間における画素回路PAの具体的な動作を説明するための図である。
【図12】書込期間における画素回路PAの具体的な動作を説明するための図である。
【図13】発光期間における画素回路PAの具体的な動作を説明するための図である。
【図14】画素回路PAの変形例を示す回路図である。
【図15】画素回路PAの変形例を示す回路図である。
【図16】画素回路PAの変形例を示す回路図である。
【図17】画素回路PAの変形例を示す回路図である。
【図18】画素回路PAの変形例を示す回路図である。
【図19】画素回路PAの変形例を示す回路図である。
【図20】画素回路PAの変形例を示す回路図である。
【図21】発光装置DB内の画素回路PB(画素回路P)の構成を示す回路図である。
【図22】発光装置DB内のデータ線駆動回路30Bの構成を示す図である。
【図23】データ線駆動回路30B内のデータ電圧出力ブロック37Bの構成を示す図である。
【図24】発光装置DB内の走査線駆動回路20Bおよびデータ線駆動回路30Bが生成する各信号の具体的な波形を示すタイミングチャートである。
【図25】本発明に係る電子機器の具体的な形態を示す斜視図である。
【図26】本発明に係る電子機器の具体的な形態を示す斜視図である。
【図27】本発明に係る電子機器の具体的な形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0079】
D(DA,DB)……発光装置、P(PA,PB)……画素回路、11……発光素子、12……制御線、121……走査線、122……計測制御線、123……発光制御線、124……計測選択線、13……信号線、131……データ線、132……信号線、14……給電線、20(20A.20B)……走査線駆動回路、30(30A,30B)……データ線駆動回路、31A,31B……I/Fブロック、32……計測切替ライン、33……電流切替ライン、36……走査回路ブロック、37A,37B……データ電圧出力ブロック、371……出力電圧生成回路、372……スイッチ、373……定電流源(第1電流源、第2電流源および選択回路)、374……電圧サンプルホールド回路(第1サンプルホールド回路および第2サンプルホールド回路)、375……基準電圧生成回路、Tdr……駆動トランジスタ、Tel……発光制御トランジスタ、Ta,Tb,Tc,Td……トランジスタ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動電流のレベルに応じた光量で発光する発光素子と、前記駆動電流を前記発光素子に供給する駆動トランジスタとを備えた単位回路に前記駆動電流のレベルを定めるデータ信号を供給して、階調を示す画像データに応じた前記データ信号を用いて前記発光素子の光量を制御する単位回路の駆動方法であって、
前記駆動トランジスタのゲートとドレインとを電気的に接続した状態で、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第1電流を流しつつ前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の電圧を第1電圧として計測し、
前記駆動トランジスタのゲートとドレインとを電気的に接続した状態で、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第2電流を流しつつ前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の電圧を第2電圧として計測し、
前記発光素子の光量が前記画像データの示す階調となるように、前記第1電流と前記第1電圧の組および前記第2電流と前記第2電圧の組に基づいて、前記駆動トランジスタの動作特性のバラツキを補正して前記画像データが示す階調に応じた前記データ信号を生成し、
前記データ信号を前記駆動トランジスタのゲートに供給する、
ことを特徴とする単位回路の駆動方法。
【請求項2】
前記画像データを前記データ信号に変換する工程では、
前記第1電流と前記第1電圧の組および前記第2電流と前記第2電圧の組に基づいて、前記画像データの最大階調に対応する前記データ信号の電圧と、前記画像データの最小階調に対応する前記データ信号の電圧を生成し、
生成した電圧に基づいて、前記駆動トランジスタの動作特性のバラツキを補正して前記画像データが示す階調に応じた前記データ信号を生成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の単位回路の駆動方法。
【請求項3】
駆動電流のレベルに応じた光量で発光する発光素子と、前記駆動電流を前記発光素子に供給する駆動トランジスタと、前記駆動トラジスタのゲートとドレインとの間に設けられた第1トランジスタと、前記駆動トランジスタのゲートまたはドレインとデータ線との間に設けられた第2トランジスタとを備えた単位回路に前記データ線を通じて前記駆動電流のレベルを定めるデータ信号を所定期間毎に供給して、階調を示す画像データに応じた前記データ信号を用いて前記発光素子の光量を制御する単位回路の駆動方法であって、
前記所定期間では、
前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタがオン状態となる計測期間において、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第1電流を流しつつ、前記データ線の電圧を前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の電圧を第1電圧として計測し、
前記計測期間において、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第2電流を流しつつ、前記データ線の電圧を前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の第2電圧として計測し、
前記発光素子の光量が前記画像データの示す階調となるように、前記第1電流と前記第1電圧の組および前記第2電流と前記第2電圧の組に基づいて、前記駆動トランジスタの動作特性のバラツキを補正して前記画像データが示す階調に応じた前記データ信号を生成し、前記第1トランジスタがオフ状態となり、且つ第2トランジスタがオン状態となる書込期間に前記データ信号を前記データ線に供給することによって前記駆動トランジスタのゲートに供給する、
ことを特徴とする単位回路の駆動方法。
【請求項4】
本発明に係る発光装置の駆動方法は、データ線と、前記データ線と対になるように設けられた信号線と、複数の走査線と、前記データ線と前記複数の走査線の交差に対応して設けられた複数の画素回路とを備え、前記複数の画素回路の各々は、駆動電流のレベルに応じた光量で発光する発光素子と、前記駆動電流を前記発光素子に供給する駆動トランジスタと、前記駆動トラジスタのゲートとドレインとの間に設けられた第1トランジスタと、前記駆動トランジスタのゲートと前記データ線との間に設けられた第2トランジスタと、前記駆動トランジスタのゲートと前記信号線との間に設けられた第3トランジスタとを有する、発光装置の駆動方法であって、
前記複数の画素回路の各々を対応する走査線毎に水平走査期間だけ順に選択し、
前記複数の画素回路の各々では、
当該画素回路とは異なる他の画素回路が選択される第1水平走査期間において、前記第1トランジスタおよび前記第3トランジスタをオン状態とし、且つ前記第2トランジスタをオフ状態とし、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第1電流を流しつつ、前記データ線の電圧を前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の電圧を第1電圧として計測し、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第2電流を流しつつ、前記データ線の電圧を前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の第2電圧として計測し、
前記発光素子の光量が前記画像データの示す階調となるように、前記第1電流と前記第1電圧の組および前記第2電流と前記第2電圧の組に基づいて、前記駆動トランジスタの動作特性のバラツキを補正して前記画像データが示す階調に応じた前記データ信号を生成し、
当該画素回路が選択される第2水平走査期間において、前記第1トランジスタおよび前記第3トランジスタをオフ状態とし、且つ前記第2トランジスタをオン状態とし、前記データ信号を前記データ線に供給する、
ことを特徴とする発光装置の駆動方法。
【請求項5】
複数のデータ線と、
複数の走査線と、
前記複数のデータ線の各々にデータ信号を供給するデータ線駆動回路と、
前記複数のデータ線と前記複数の走査線の交差に対応して設けられた複数の画素回路とを備え、
前記複数の画素回路の各々は、駆動電流のレベルに応じた光量で発光する発光素子と、前記駆動電流を前記発光素子に供給する駆動トランジスタと、前記駆動トラジスタのゲートとドレインとの間に設けられた第1トランジスタと、前記駆動トランジスタのゲートまたはドレインと前記データ線との間に設けられた第2トランジスタとを有し、
前記データ線駆動回路は、
前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタがオン状態となる計測期間において、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第1電流を流しつつ、前記データ線の電圧を前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の電圧を第1電圧として計測し、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第2電流を流しつつ、前記データ線の電圧を前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の第2電圧として計測する計測手段と、
前記発光素子の光量が前記画像データの示す階調となるように、前記第1電流と前記第1電圧の組および前記第2電流と前記第2電圧の組に基づいて、前記駆動トランジスタの動作特性のバラツキを補正して前記画像データが示す階調に応じた前記データ信号を生成する信号生成手段とを備える、
ことを特徴とする発光装置。
【請求項6】
前記第2トランジスタは前記駆動トランジスタのドレインと前記データ線との間に設けられ、
前記第1トランジスタは前記駆動トランジスタのゲートと前記データ線との間に設けられ、
前記駆動トラジスタのゲートとドレインは、前記第1トランジスタ、前記データ線および前記第2トランジスタを含む経路で結ばれている、ことを特徴とする請求項5に記載の発光装置。
【請求項7】
複数のデータ線と、
前記複数のデータ線と対になるように設けられた複数の信号線と、
複数の走査線と、
前記複数のデータ線の各々にデータ信号を供給するデータ線駆動回路と、
前記複数のデータ線と前記複数の走査線の交差に対応して設けられた複数の画素回路とを備え、
前記複数の画素回路の各々は、駆動電流のレベルに応じた光量で発光する発光素子と、前記駆動電流を前記発光素子に供給する駆動トランジスタと、前記駆動トラジスタのゲートとドレインとの間に設けられた第1トランジスタと、前記駆動トランジスタのゲートと前記データ線との間に設けられた第2トランジスタと、前記駆動トランジスタのゲートと前記信号線との間に設けられた第3トランジスタとを有し、
前記データ線駆動回路は、
前記第1トランジスタおよび前記第3トランジスタがオン状態となり、且つ前記第2トランジスタがオフ状態となる計測期間において、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第1電流を流しつつ、前記データ線の電圧を前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の電圧を第1電圧として計測し、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第2電流を流しつつ、前記データ線の電圧を前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の第2電圧として計測する計測手段と、
前記発光素子の光量が前記画像データの示す階調となるように、前記第1電流と前記第1電圧の組および前記第2電流と前記第2電圧の組に基づいて、前記駆動トランジスタの動作特性のバラツキを補正して前記画像データが示す階調に応じた前記データ信号を生成し、前記第1トランジスタおよび第3トランジスタがオフ状態となり、且つ前記第2トランジスタがオン状態となる書込期間に前記データ信号を前記データ線に供給する信号生成手段とを備える、
ことを特徴とする発光装置。
【請求項8】
前記計測手段は、
前記第1電流を発生する第1電流源と、
前記第2電流を発生する第2電流源と、
前記計測期間において前記第1電流と前記第2電流を各々選択して前記データ線に供給する選択回路と、
前記選択回路が前記第1電流を選択する期間において前記データ線の電圧をサンプルして、サンプルした電圧をホールドして前記第1電圧を出力する第1サンプルホールド回路と、
前記選択回路が前記第2電流を選択する期間において前記データ線の電圧をサンプルして、サンプルした電圧をホールドして前記第2電圧を出力する第2サンプルホールド回路と、
を備えることを特徴とする請求項5乃至7のうちいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項9】
前記信号生成手段は、
前記第1電流と前記第1電圧の組および前記第2電流と前記第2電圧の組に基づいて、前記画像データの最大階調に対応する前記データ信号の電圧と、前記画像データの最小階調に対応する前記データ信号の電圧を生成する電圧生成手段と、
前記電圧生成手段で生成した電圧に基づいて、前記駆動トランジスタの動作特性のバラツキを補正して前記画像データが示す階調に応じた前記データ信号を生成する補正手段と、
を備えることを特徴とする請求項5乃至8のうちいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項10】
請求項5乃至9のうちいずれか1項に記載した発光装置を備えた電子機器。
【請求項11】
複数のデータ線と、複数の走査線と、前記複数のデータ線と前記複数の走査線の交差に対応して設けられた複数の画素回路とを備え、前記複数の画素回路の各々は、駆動電流のレベルに応じた光量で発光する発光素子と、前記駆動電流を前記発光素子に供給する駆動トランジスタと、前記駆動トラジスタのゲートとドレインとの間に設けられた第1トランジスタと、前記駆動トランジスタのゲートまたはドレインと前記データ線との間に設けられた第2トランジスタとを有する発光装置に用いられ、前記複数のデータ線の各々にデータ信号を供給するデータ線駆動回路であって、
前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタがオン状態となる計測期間において、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第1電流を流しつつ、前記データ線の電圧を前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の電圧を第1電圧として計測し、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第2電流を流しつつ、前記データ線の電圧を前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の第2電圧として計測する計測手段と、
前記発光素子の光量が前記画像データの示す階調となるように、前記第1電流と前記第1電圧の組および前記第2電流と前記第2電圧の組に基づいて、前記駆動トランジスタの動作特性のバラツキを補正して前記画像データが示す階調に応じた前記データ信号を生成する信号生成手段とを備える、
ことを特徴とするデータ線駆動回路。
【請求項12】
複数のデータ線と、前記複数のデータ線と対になるように設けられた複数の信号線と、複数の走査線と、前記複数のデータ線と前記複数の走査線の交差に対応して設けられた複数の画素回路とを備え、前記複数の画素回路の各々は、駆動電流のレベルに応じた光量で発光する発光素子と、前記駆動電流を前記発光素子に供給する駆動トランジスタと、前記駆動トラジスタのゲートとドレインとの間に設けられた第1トランジスタと、前記駆動トランジスタのゲートと前記データ線との間に設けられた第2トランジスタと、前記駆動トランジスタのゲートと前記信号線との間に設けられた第3トランジスタとを有する発光装置に用いられ、前記複数のデータ線の各々にデータ信号を供給するデータ線駆動回路であって、
前記第1トランジスタおよび前記第3トランジスタがオン状態となり、且つ前記第2トランジスタがオフ状態となる計測期間において、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第1電流を流しつつ、前記データ線の電圧を前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の電圧を第1電圧として計測し、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第2電流を流しつつ、前記データ線の電圧を前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の第2電圧として計測する計測手段と、
前記発光素子の光量が前記画像データの示す階調となるように、前記第1電流と前記第1電圧の組および前記第2電流と前記第2電圧の組に基づいて、前記駆動トランジスタの動作特性のバラツキを補正して前記画像データが示す階調に応じた前記データ信号を生成し、前記第1トランジスタおよび第3トランジスタがオフ状態となり、且つ前記第2トランジスタがオン状態となる書込期間に前記データ信号を前記データ線に供給する信号生成手段とを備える、
ことを特徴とするデータ線駆動回路。
【請求項1】
駆動電流のレベルに応じた光量で発光する発光素子と、前記駆動電流を前記発光素子に供給する駆動トランジスタとを備えた単位回路に前記駆動電流のレベルを定めるデータ信号を供給して、階調を示す画像データに応じた前記データ信号を用いて前記発光素子の光量を制御する単位回路の駆動方法であって、
前記駆動トランジスタのゲートとドレインとを電気的に接続した状態で、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第1電流を流しつつ前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の電圧を第1電圧として計測し、
前記駆動トランジスタのゲートとドレインとを電気的に接続した状態で、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第2電流を流しつつ前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の電圧を第2電圧として計測し、
前記発光素子の光量が前記画像データの示す階調となるように、前記第1電流と前記第1電圧の組および前記第2電流と前記第2電圧の組に基づいて、前記駆動トランジスタの動作特性のバラツキを補正して前記画像データが示す階調に応じた前記データ信号を生成し、
前記データ信号を前記駆動トランジスタのゲートに供給する、
ことを特徴とする単位回路の駆動方法。
【請求項2】
前記画像データを前記データ信号に変換する工程では、
前記第1電流と前記第1電圧の組および前記第2電流と前記第2電圧の組に基づいて、前記画像データの最大階調に対応する前記データ信号の電圧と、前記画像データの最小階調に対応する前記データ信号の電圧を生成し、
生成した電圧に基づいて、前記駆動トランジスタの動作特性のバラツキを補正して前記画像データが示す階調に応じた前記データ信号を生成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の単位回路の駆動方法。
【請求項3】
駆動電流のレベルに応じた光量で発光する発光素子と、前記駆動電流を前記発光素子に供給する駆動トランジスタと、前記駆動トラジスタのゲートとドレインとの間に設けられた第1トランジスタと、前記駆動トランジスタのゲートまたはドレインとデータ線との間に設けられた第2トランジスタとを備えた単位回路に前記データ線を通じて前記駆動電流のレベルを定めるデータ信号を所定期間毎に供給して、階調を示す画像データに応じた前記データ信号を用いて前記発光素子の光量を制御する単位回路の駆動方法であって、
前記所定期間では、
前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタがオン状態となる計測期間において、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第1電流を流しつつ、前記データ線の電圧を前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の電圧を第1電圧として計測し、
前記計測期間において、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第2電流を流しつつ、前記データ線の電圧を前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の第2電圧として計測し、
前記発光素子の光量が前記画像データの示す階調となるように、前記第1電流と前記第1電圧の組および前記第2電流と前記第2電圧の組に基づいて、前記駆動トランジスタの動作特性のバラツキを補正して前記画像データが示す階調に応じた前記データ信号を生成し、前記第1トランジスタがオフ状態となり、且つ第2トランジスタがオン状態となる書込期間に前記データ信号を前記データ線に供給することによって前記駆動トランジスタのゲートに供給する、
ことを特徴とする単位回路の駆動方法。
【請求項4】
本発明に係る発光装置の駆動方法は、データ線と、前記データ線と対になるように設けられた信号線と、複数の走査線と、前記データ線と前記複数の走査線の交差に対応して設けられた複数の画素回路とを備え、前記複数の画素回路の各々は、駆動電流のレベルに応じた光量で発光する発光素子と、前記駆動電流を前記発光素子に供給する駆動トランジスタと、前記駆動トラジスタのゲートとドレインとの間に設けられた第1トランジスタと、前記駆動トランジスタのゲートと前記データ線との間に設けられた第2トランジスタと、前記駆動トランジスタのゲートと前記信号線との間に設けられた第3トランジスタとを有する、発光装置の駆動方法であって、
前記複数の画素回路の各々を対応する走査線毎に水平走査期間だけ順に選択し、
前記複数の画素回路の各々では、
当該画素回路とは異なる他の画素回路が選択される第1水平走査期間において、前記第1トランジスタおよび前記第3トランジスタをオン状態とし、且つ前記第2トランジスタをオフ状態とし、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第1電流を流しつつ、前記データ線の電圧を前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の電圧を第1電圧として計測し、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第2電流を流しつつ、前記データ線の電圧を前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の第2電圧として計測し、
前記発光素子の光量が前記画像データの示す階調となるように、前記第1電流と前記第1電圧の組および前記第2電流と前記第2電圧の組に基づいて、前記駆動トランジスタの動作特性のバラツキを補正して前記画像データが示す階調に応じた前記データ信号を生成し、
当該画素回路が選択される第2水平走査期間において、前記第1トランジスタおよび前記第3トランジスタをオフ状態とし、且つ前記第2トランジスタをオン状態とし、前記データ信号を前記データ線に供給する、
ことを特徴とする発光装置の駆動方法。
【請求項5】
複数のデータ線と、
複数の走査線と、
前記複数のデータ線の各々にデータ信号を供給するデータ線駆動回路と、
前記複数のデータ線と前記複数の走査線の交差に対応して設けられた複数の画素回路とを備え、
前記複数の画素回路の各々は、駆動電流のレベルに応じた光量で発光する発光素子と、前記駆動電流を前記発光素子に供給する駆動トランジスタと、前記駆動トラジスタのゲートとドレインとの間に設けられた第1トランジスタと、前記駆動トランジスタのゲートまたはドレインと前記データ線との間に設けられた第2トランジスタとを有し、
前記データ線駆動回路は、
前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタがオン状態となる計測期間において、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第1電流を流しつつ、前記データ線の電圧を前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の電圧を第1電圧として計測し、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第2電流を流しつつ、前記データ線の電圧を前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の第2電圧として計測する計測手段と、
前記発光素子の光量が前記画像データの示す階調となるように、前記第1電流と前記第1電圧の組および前記第2電流と前記第2電圧の組に基づいて、前記駆動トランジスタの動作特性のバラツキを補正して前記画像データが示す階調に応じた前記データ信号を生成する信号生成手段とを備える、
ことを特徴とする発光装置。
【請求項6】
前記第2トランジスタは前記駆動トランジスタのドレインと前記データ線との間に設けられ、
前記第1トランジスタは前記駆動トランジスタのゲートと前記データ線との間に設けられ、
前記駆動トラジスタのゲートとドレインは、前記第1トランジスタ、前記データ線および前記第2トランジスタを含む経路で結ばれている、ことを特徴とする請求項5に記載の発光装置。
【請求項7】
複数のデータ線と、
前記複数のデータ線と対になるように設けられた複数の信号線と、
複数の走査線と、
前記複数のデータ線の各々にデータ信号を供給するデータ線駆動回路と、
前記複数のデータ線と前記複数の走査線の交差に対応して設けられた複数の画素回路とを備え、
前記複数の画素回路の各々は、駆動電流のレベルに応じた光量で発光する発光素子と、前記駆動電流を前記発光素子に供給する駆動トランジスタと、前記駆動トラジスタのゲートとドレインとの間に設けられた第1トランジスタと、前記駆動トランジスタのゲートと前記データ線との間に設けられた第2トランジスタと、前記駆動トランジスタのゲートと前記信号線との間に設けられた第3トランジスタとを有し、
前記データ線駆動回路は、
前記第1トランジスタおよび前記第3トランジスタがオン状態となり、且つ前記第2トランジスタがオフ状態となる計測期間において、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第1電流を流しつつ、前記データ線の電圧を前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の電圧を第1電圧として計測し、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第2電流を流しつつ、前記データ線の電圧を前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の第2電圧として計測する計測手段と、
前記発光素子の光量が前記画像データの示す階調となるように、前記第1電流と前記第1電圧の組および前記第2電流と前記第2電圧の組に基づいて、前記駆動トランジスタの動作特性のバラツキを補正して前記画像データが示す階調に応じた前記データ信号を生成し、前記第1トランジスタおよび第3トランジスタがオフ状態となり、且つ前記第2トランジスタがオン状態となる書込期間に前記データ信号を前記データ線に供給する信号生成手段とを備える、
ことを特徴とする発光装置。
【請求項8】
前記計測手段は、
前記第1電流を発生する第1電流源と、
前記第2電流を発生する第2電流源と、
前記計測期間において前記第1電流と前記第2電流を各々選択して前記データ線に供給する選択回路と、
前記選択回路が前記第1電流を選択する期間において前記データ線の電圧をサンプルして、サンプルした電圧をホールドして前記第1電圧を出力する第1サンプルホールド回路と、
前記選択回路が前記第2電流を選択する期間において前記データ線の電圧をサンプルして、サンプルした電圧をホールドして前記第2電圧を出力する第2サンプルホールド回路と、
を備えることを特徴とする請求項5乃至7のうちいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項9】
前記信号生成手段は、
前記第1電流と前記第1電圧の組および前記第2電流と前記第2電圧の組に基づいて、前記画像データの最大階調に対応する前記データ信号の電圧と、前記画像データの最小階調に対応する前記データ信号の電圧を生成する電圧生成手段と、
前記電圧生成手段で生成した電圧に基づいて、前記駆動トランジスタの動作特性のバラツキを補正して前記画像データが示す階調に応じた前記データ信号を生成する補正手段と、
を備えることを特徴とする請求項5乃至8のうちいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項10】
請求項5乃至9のうちいずれか1項に記載した発光装置を備えた電子機器。
【請求項11】
複数のデータ線と、複数の走査線と、前記複数のデータ線と前記複数の走査線の交差に対応して設けられた複数の画素回路とを備え、前記複数の画素回路の各々は、駆動電流のレベルに応じた光量で発光する発光素子と、前記駆動電流を前記発光素子に供給する駆動トランジスタと、前記駆動トラジスタのゲートとドレインとの間に設けられた第1トランジスタと、前記駆動トランジスタのゲートまたはドレインと前記データ線との間に設けられた第2トランジスタとを有する発光装置に用いられ、前記複数のデータ線の各々にデータ信号を供給するデータ線駆動回路であって、
前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタがオン状態となる計測期間において、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第1電流を流しつつ、前記データ線の電圧を前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の電圧を第1電圧として計測し、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第2電流を流しつつ、前記データ線の電圧を前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の第2電圧として計測する計測手段と、
前記発光素子の光量が前記画像データの示す階調となるように、前記第1電流と前記第1電圧の組および前記第2電流と前記第2電圧の組に基づいて、前記駆動トランジスタの動作特性のバラツキを補正して前記画像データが示す階調に応じた前記データ信号を生成する信号生成手段とを備える、
ことを特徴とするデータ線駆動回路。
【請求項12】
複数のデータ線と、前記複数のデータ線と対になるように設けられた複数の信号線と、複数の走査線と、前記複数のデータ線と前記複数の走査線の交差に対応して設けられた複数の画素回路とを備え、前記複数の画素回路の各々は、駆動電流のレベルに応じた光量で発光する発光素子と、前記駆動電流を前記発光素子に供給する駆動トランジスタと、前記駆動トラジスタのゲートとドレインとの間に設けられた第1トランジスタと、前記駆動トランジスタのゲートと前記データ線との間に設けられた第2トランジスタと、前記駆動トランジスタのゲートと前記信号線との間に設けられた第3トランジスタとを有する発光装置に用いられ、前記複数のデータ線の各々にデータ信号を供給するデータ線駆動回路であって、
前記第1トランジスタおよび前記第3トランジスタがオン状態となり、且つ前記第2トランジスタがオフ状態となる計測期間において、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第1電流を流しつつ、前記データ線の電圧を前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の電圧を第1電圧として計測し、前記駆動トランジスタのソースからドレインに向けて第2電流を流しつつ、前記データ線の電圧を前記駆動トランジスタのソースとゲートの間の第2電圧として計測する計測手段と、
前記発光素子の光量が前記画像データの示す階調となるように、前記第1電流と前記第1電圧の組および前記第2電流と前記第2電圧の組に基づいて、前記駆動トランジスタの動作特性のバラツキを補正して前記画像データが示す階調に応じた前記データ信号を生成し、前記第1トランジスタおよび第3トランジスタがオフ状態となり、且つ前記第2トランジスタがオン状態となる書込期間に前記データ信号を前記データ線に供給する信号生成手段とを備える、
ことを特徴とするデータ線駆動回路。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
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【図7】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2007−206139(P2007−206139A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−21982(P2006−21982)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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